(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】統合された音減衰を有する自動レーシングシステム
(51)【国際特許分類】
A43B 3/50 20220101AFI20240722BHJP
A43B 3/48 20220101ALI20240722BHJP
A43B 3/40 20220101ALN20240722BHJP
A43B 3/44 20220101ALN20240722BHJP
A43C 11/16 20060101ALN20240722BHJP
【FI】
A43B3/50
A43B3/48
A43B3/40
A43B3/44
A43C11/16
(21)【出願番号】P 2022523431
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 IB2020058424
(87)【国際公開番号】W WO2021079205
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-09-07
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511264353
【氏名又は名称】プーマ エス イー
【氏名又は名称原語表記】PUMA SE
【住所又は居所原語表記】Puma Way 1,91074 Herzogenaurach Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ボック マルカス
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0246747(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101397980(CN,A)
【文献】特開平09-260279(JP,A)
【文献】特開平07-219562(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107131054(CN,A)
【文献】特開2018-136038(JP,A)
【文献】特開平09-193505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 3/50
A43B 3/48
A43B 3/40
A43B 3/44
A43C 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ、
前記モータに連結されたギアトレイン、
スピーカ、および
前記スピーカと前記モータに接続されたスピーカコントローラを備え、
前記スピーカコントローラは、前記モータの始動に応答して減衰音波を前記スピーカに出力させて前記モータまたは前記ギアトレインによって生成される音を低減または消失させるように構成される、履物具のための自動レーシングシステム。
【請求項2】
前記モータと前記ギアトレインを支持するハウジングをさらに備える、請求項1に記載の自動レーシングシステム。
【請求項3】
前記スピーカは、前記ハウジング内に収容される、請求項2に記載の自動レーシングシステム。
【請求項4】
前記スピーカは前記ギアトレインに隣接して配置される、請求項1に記載の自動レーシングシステム。
【請求項5】
前記モータは、前記自動レーシングシステムのパネルへの入力に応答して始動する、請求項1に記載の自動レーシングシステム。
【請求項6】
前記モータは、前記自動レーシングシステムに接続されるワイヤレスデバイスへの入力に応答して始動する、請求項1に記載の自動レーシングシステム。
【請求項7】
前記スピーカコントローラに接続され、前記モータまたは前記ギアトレインによって生成される音を記録するように構成されるマイクロフォンをさらに含む、請求項1に記載の自動レーシングシステム。
【請求項8】
前記スピーカコントローラは、前記モータの始動に応答して前記モータまたは前記ギアトレインによって生成される音の記録を前記マイクロフォンに開始させるように構成される、請求項7に記載の自動レーシングシステム。
【請求項9】
前記スピーカコントローラは、前記マイクロフォンが記録した前記音に応答して前記減衰音波の強さと位相を調整するように構成される、請求項8に記載の自動レーシングシステム。
【請求項10】
前記スピーカコントローラは、前記マイクロフォンが記録した前記音の強さとほぼ同一の強さ、および前記マイクロフォンが記録した前記音に対して逆の位相を有する前記減衰音波を出力するように構成される、請求項9に記載の自動レーシングシステム。
【請求項11】
モータ、
前記モータに連結され
、回転軸を定めるホイールギアを有するギアトレイン、および
音を減衰するように構成され、前記ギアトレイン
とカバーの間に配置される音減衰パネルを備え、
前記音減衰パネルは、前記モータの始動中に前記モータまたは前記ギアトレインによって生成される音の少なくとも一部を吸収するように構成され
、
前記ホイールギアの回転軸は、前記音減衰パネルと前記カバーを通過するように延伸する、
る、履物具のための自動レーシングシステム。
【請求項12】
前記音減衰パネルは、コルク材料、不織繊維材料、ゴム材料、ビニール材料、マスロードビニール材料、高分子材料、発泡材料、滑り止めされた発泡材料、熱可塑性高分子発泡体、または多孔質材料で形成される、請求項11に記載の自動レーシングシステム。
【請求項13】
前記音減衰パネルは、二つ以上の層を備え、
前記二つ以上の層のうち少なくとも二つは異なる材料で形成される、請求項11に記載の自動レーシングシステム。
【請求項14】
前記二つ以上の層のうち少なくとも二つは同一の材料で形成される、請求項13に記載の自動レーシングシステム。
【請求項15】
前記音減衰パネルは、グリッド状に配置された複数の防音パネルを含む、請求項11に記載の自動レーシングシステム。
【請求項16】
前記防音パネルの各々は、複数の窪みと複数の突起の少なくとも一つを定める構造化された表面を備える、請求項
15に記載の自動レーシングシステム。
【請求項17】
モータ、
前記モータに連結されたギアトレイン、
前記モータと前記ギアトレインを支持するハウジング、および
音を減衰するように構成され、前記ハウジングに取り付けられ、トップカバ
ーと噛み合うシールを備える、履物具のための自動レーシングシステム。
【請求項18】
前記シールは、前記ハウジングの外周の周りに配置され、前記トップカバーと噛み合って前記モータと前記ギアトレインを前記ハウジングと前記トップカバーの間に収容する、請求項17に記載の自動レーシングシステム。
【請求項19】
前記ハウジングは、前記ギアトレインの少なくとも一部を収容するように構成されたギアトレイン開口を有する、請求項17に記載の自動レーシングシステム。
【請求項20】
前記シールは、前記ギアトレイン開口の周りに沿って配置され、前
記ハウジングに噛み合って前記ギアトレインを前記ギアトレイン開口と前
記ハウジングの間に収容する、請求項19に記載の自動レーシングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体として、一つまたは複数の靴紐を自動的に締めるまたは緩めるための電子アッセンブリを含む自動レーシングシステムを含む履物具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の靴または履物具の多くは、一般的に、アッパーおよびアッパーの下端に取り付けられたソールを備える。従来の靴は、例えば空洞や空孔といった、アッパーとソールの内表面によって作り出される内部空間をさらに有し、靴を足に固定する前に内部空間がユーザの足を収容する。ソールはアッパーの下面に取り付けられ、アッパーと地面の間に位置する。その結果、ソールは、一般的に、靴を履いている時および/または使用中、ユーザに対して安定性とクッション性を提供する。幾つかの例では、ソールは、アウトソール、中敷き、インソールなどの複数の構成を含んでもよい。アウトソールはソールの底面に牽引力を与えることができ、中敷きはアウトソールの内表面に取り付けられてもよく、ソールに対してクッション性および/またはさらなる安定性を提供することができる。例えば、ソールは、ソール上の望まれる一箇所または複数箇所において安定性を増大することができる特定の発泡材料を含んでもよく、あるいは、ユーザが走る、歩く、若しくは他の活動に従事している際に足および脚にかかるストレスまたは衝撃エネルギーを低減できる発泡材料を含んでもよい。
【0003】
アッパーは、全般的にソールから上に延伸し、足を完全にまたは部分的に包む内部空孔を定める。多くの場合、アッパーは足の甲と足先領域上を延伸し、その内側と外側を横切って延伸する。多くの履物具は、また、足の甲領域に渡って延伸してアッパーの内側と外側の間のギャップを橋架けするトングを備えることがある。トングは、レーシングシステムの下でアッパーの内側と外側の間に配置されてもよく、靴の締まり具合を調節することを可能にするように設けられる。さらに、トングをユーザによって操作できるようにすることで、内部空間または空孔から足を出し入れできるようにしてもよい。さらに、レーシングシステムによってユーザがアッパーおよび/またはソールの一定の範囲を調整できるようにしてもよく、これにより、アッパーは様々な大きさや形状に亘る広範囲のタイプの足を収容することができる。
【0004】
アッパーは、様々な材料を含むことができ、材料は、靴の一つまたは複数の使用目的に基づいて選択することができる。アッパーは、アッパーの特定領域に対して特有の様々な材料を含む部分を含んでもよい。例えば、より高い程度の抵抗力または硬さを与えるためにアッパーの前部または踵領域の近辺にさらなる安定性が望まれることがある。一方、靴の他の部分は、伸縮耐性、柔軟性、空気透過性、または吸湿発散性を有する領域を提供するために柔軟な生地を含んでもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さらに、典型的な靴に結び付けられるレーシングシステムは、歴史的には十字または平行状の複数の鳩目に通される単一の靴紐を有していた。多くの靴は、歴史的にはアッパーの一方の側から他の側に、すなわち、アッパーの内側から外側に延伸する靴紐を含んでいた。各靴の靴紐は鳩目に通され、ユーザが両端を掴み、フィットするように結ぶことができるよう、靴紐の両端は鳩目の外に伸びる。幾つかの靴は、ユーザに対して靴紐を結ぶことを要求しないが、ユーザが靴を履く際に伸びるように伸縮可能な靴紐を含んでおり、ユーザが靴を脱ぐと元のきつさに戻るようになっている。さらに、幾つかの靴は、スリッポンのように靴紐を持たず、幾つかの靴は、靴のきつさを可変できるように調整可能なストラップを含んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで記載されるように、履物具は、様々な態様を備える。履物具は、アッパーおよびアッパーに接続されるソール構造を備える。幾つかの実施形態では、履物アッセンブリは、含む。
【0007】
幾つかの実施形態において、本開示は履物具のための自動レーシングシステムを提供し、自動レーシングシステムは、モータ、モータに連結されるギアトレイン、スピーカ、およびスピーカとモータに接続されたスピーカコントローラを含む。スピーカコントローラは、モータの起動に応答してスピーカに対して減衰音波を出力させてモータまたはギアトレインが生成する音を低減するまたは消失するように構成される。
【0008】
幾つかの実施形態において、本開示は履物具のための自動レーシングシステムを提供し、自動レーシングシステムは、モータ、モータに連結されるギアトレイン、およびモータとギアトレインに隣接配置される音減衰パネルを含む。音減衰パネルは、モータが起動している間、モータまたはギアトレインが発生する音の少なくとも一部を吸収するように構成される。
【0009】
幾つかの実施形態において、本開示は履物具のための自動レーシングシステムを提供し、自動レーシングシステムは、モータ、モータに連結されるギアトレイン、モータとギアトレインを支持するハウジング、およびハウジングに取り付けられ、トップカバーとギアトレインハウジングの少なくとも一方と噛み合うシールを含む。
【0010】
ここで記述される履物具の他の側面は、その特徴と利点を含め、図面と詳細な説明を検討することで当業者にとって明らかになるであろう。したがって、履物具のそのようなすべての側面は、詳細な説明と要約に含まれるように意図される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、自動レーシングシステムを含む一対の靴、一対の靴内の一つまたは複数のバッテリを充電する充電器、充電のためにバッテリを収容するバッテリカートリッジ、および自動レーシングシステムに一つまたは複数の信号を送信するために用いることができる携帯電話などの電子デバイスを含む自動レーシング履物アッセンブリの鳥瞰図である。
【
図4】
図4は、外側メッシュ層が取り除かれた、
図3の靴の右または外側の側面図である。
【
図5】
図5は、外側メッシュ層が取り除かれた、
図3の靴の左または内側の側面図である。
【
図6】
図6Aは
図3の靴の上面図であり、
図6Bは、アッパーが取り除かれ、ユーザの足の骨格構造が重ね合わされた、
図3の履物具の上平面図である。
【
図7】
図7は、
図3の靴上の自動レーシングシステムの詳細図である。
【
図8】
図8は、靴のアッパーを構成する層を説明する、
図3の靴の右側面図である。
【
図9A】
図9Aは、
図7の自動レーシングシステムの内部部品の詳細な上透視図である。
【
図9B】
図9Bは、
図7の自動レーシングシステムの内部部品の詳細な鳥瞰透視図である。
【
図10A】
図10Aは、自動レーシングシステムの他の実施形態の内部部品の詳細な上透視図である。
【
図11】
図11は、
図7の自動レーシングシステムの幾つかの部品の拡大鳥瞰図である。
【
図15】
図15は、例示目的のために反転されたギアハウジングを有する
図11の自動レーシングシステムの部品の拡大側面図である。
【
図16】
図16は、
図11から15の自動レーシングシステム内に配置されるように構成されるフレキシブルプリント回路の上平面図である。
【
図18】
図18Aから
図18Mは、様々な状態にあり、入力された一つまたは複数の命令に対する種々の応答を示す、自動レーシングシステムの制御/表示パネルの上面図である。
【
図19】
図19は、充電のために充電器上に置かれた一対の靴を含む、
図1の一対の靴と充電器の側面図である。
【
図21】
図21は、バッテリカートリッジ内に配置されたバッテリを含む、開放された態様の
図1のバッテリカートリッジの鳥瞰図である。
【
図24】
図24は、ソールまたは中敷き内に配置されたバッテリにアクセスするためにインソールを外す段階を示す、
図2の靴の一方の上面図である。
【
図25】
図25は、ソールまたは中敷き内に配置されたバッテリを外す段階を示す、
図24の靴の上面図である。
【
図26】
図26は、コントローラ、ドライバ、メモリ、および他の電子部品を一つまたは複数含むコントロールプリント回路基板(PCB)の上面図である。
【
図27】
図27は、本開示に係る自動レーシングシステムの種々の電子部品を示す他の回路図である。
【
図28】
図28は、自動レーシングシステムの種々の電子部品を示す更なる他の回路図である。
【
図29】
図29は、自動レーシングシステムの種々の電子部品を示す更なる他の回路図である。
【
図30】
図30は、自動レーシングシステムの種々の電子部品を示す更なる他の回路図である。
【
図31】
図31は、自動レーシングシステムの種々の電子部品を示す他の回路図である。
【
図32】
図32は、自動レーシングシステムの種々の電子部品を示す更なる他の回路図である。
【
図33】
図33は、自動レーシングシステムの種々の電子部品を示す他の回路図である。
【
図34】
図34は、自動レーシングシステムの種々の電子部品を示す更なる他の回路図である。
【
図35】
図35は、自動レーシングシステムの種々の電子部品のブロック図である。
【
図36】
図36は、ユーザが本開示の自動レーシングシステムを制御できるようにする第1の表示を示す視覚的ユーザインターフェースの図である。
【
図37】
図37は、ユーザが本開示の自動レーシングシステムを制御できるようにする第2の表示を示す視覚的ユーザインターフェースの図である。
【
図38】
図38は、ユーザが本開示の自動レーシングシステムを制御できるようにする第3の表示を示す視覚的ユーザインターフェースの図である。
【
図39】
図39は、ユーザが本開示の自動レーシングシステムを制御できるようにする第4の表示を示す視覚的ユーザインターフェースの図である。
【
図40】
図40は、スピーカを含む自動レーシングシステムの種々の電子部品のブロック図である。
【
図41】
図41は、スピーカを含む自動レーシングシステムのモータハウジングの鳥瞰図である。
【
図43】
図43は、二つのスピーカを含む自動レーシングシステムのモータハウジングの上平面図である。
【
図44】
図44は、四つのスピーカを含む自動レーシングシステムのモータハウジングの上平面図である。
【
図45】
図45は、スピーカとマイクロフォンを含む自動レーシングシステムの種々の電子部品のブロック図である。
【
図46】
図46は、モジュール内に搭載されたスピーカとマイクロフォンを含む自動レーシングシステムのモータハウジングの上平面図である。
【
図47】
図47は、個別に搭載されたスピーカとマイクロフォンを含む自動レーシングシステムのモータハウジングの上平面図である。
【
図48】
図48は、個別に搭載された二つのスピーカと二つのマイクロフォンを含む自動レーシングシステムのモータハウジングの上平面図である。
【
図49】
図49は、音減衰パネルを含む自動レーシングシステムの拡大側面図である。
【
図50】
図50は、ハイブリッド材料で形成された音減衰パネルの単位セルの模式図である。
【
図51】
図51は、二つの層を含む音減衰パネルの模式図である。
【
図52】
図52は、三つの層を含む音減衰パネルの模式図である。
【
図53】
図53は、複数の防音パネルを含む音減衰パネルを有する自動レーシングシステムのトップカバーの下平面図である。
【
図54】
図54は、複数の窪みを含む防音パネルの鳥瞰図である。
【
図55】
図55は、複数のピラミッド型の突起を含む防音パネルの鳥瞰図である。
【
図56】
図56は、複数の半球状の窪みを含む防音パネルの鳥瞰図である。
【
図57】
図57は、複数の三角形状の突起を含む防音パネルのグリッドの鳥瞰図である。
【
図58】
図58は、ベースシールを含む自動レーシングシステムのモータハウジングの上平面図である。
【
図59】
図59は、ギアトレインシールを含む自動レーシングシステムの拡大鳥瞰図である。
【
図60】
図60は、靴紐のための開口を持たない自動レーシングシステムのトップカバーの上平面図である。
【
図62】
図62は、レースコンジットとシーリングビーズとを含む自動レーシングシステムの鳥瞰図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明と添付図面は、靴と靴のための自動レーシングシステムの種々の実施形態と態様を開示する。実施形態は、ランニングシューズ、テニスシューズ、バスケットボールシューズなどのスポーツシューズを参照して開示されるが、この靴の実施形態に結び付けられるコンセプトは、例えばバスケットボールシューズ、クロストレーニングシューズ、フットボールシューズ、ゴルフシューズ、ハイキングシューズ、ハイキングブーツ、スキーやスノーボードブーツ、サッカーシューズやスパイク、ウォーキングシューズ、トラックスパイクといった広範囲の履物と履物様式に適用することができる。靴または自動レーシングシステムのコンセプトは、ドレスシューズ、サンダル、ローファー、スリッパ、およびヒールを含む非運動競技用と考えられる履物具にも適用することができる。
【0013】
ここで用いられる「約」という言葉は数量についての変動を指し、例えば、履物具あるいはここで開示される実施形態を含む他の製造物に用いられる典型的な測定・製造工程を通じて、これらの工程における不注意を通じて、製品、産地、または組成物若しくは混合物を作るまたは方法を実施するために用いられる原料の純度の相違などによって生じ得るものである。本開示を通じ、「約」と「おおよそ」という言葉は、その言葉に先行する数値の±5%の数値範囲を指す。
【0014】
ここで用いられる「スワイプ」という言葉またはその変形は、人の指がパネルまたはタッチスクリーンを横切ることで機能を起動するための動作または段階を指す。「スワイプ」は、パネルまたはタッチスクリーンに触る、パネルまたはタッチスクリーンに沿って指を第1の方向に移動する、および指とパネルまたはタッチスクリーンの接触を実質的に取り除くこと。
【0015】
本開示は、履物具、および/またはアッパーおよび/またはソール若しくはソール構造、および自動レーシングシステムといった履物具の特定の部品を志向する。アッパーは、編まれた部品、織られた生地、不織布、革、メッシュ、スエード、および/または上述した材料の一つまたは複数の組み合わせを含んでもよい。編まれた部品は糸を編むことで、織られた生地は糸を織ることで、不織布は単一の不織物を製造することで作られる。編まれた生地は、経編、横編、平編、丸編、および/または他の適切な編み込み操作によって形成された生地を含む。編まれた生地は、例えば平編構造、メッシ編構造、および/またはリブ編構造を有してもよい。織られた生地は、平織り、あや織、しゅす織、ドビー織り、ジャガード織、二重織、および/または二重織などの数多くある織り方の任意の方法で形成された生地を含んでもよいが、これに限られない。不織生地は、例えばエアレイドおよび/またはスパンレイド法によって作られた生地を含む。アッパーは、異なる特性または異なる視覚特性を有する第1の糸、第2の糸、および/または第3の糸といった多様な材料を含んでもよい。
【0016】
図1は履物アッセンブリ20を示し、履物アッセンブリ20は、各々自動レーシングシステム24を含む一対の靴22、各靴22内に設けられる一つまたは複数のバッテリ(図示されない)を充電する充電器26、一方の靴22からバッテリが外された際に充電するためのバッテリ(図示されない)を収容する充電カートリッジ28、およびセルラーフォンまたはタブレットといったユーザの一つまたは複数の入力に基づいて自動レーシングシステム24に一つまたは複数の信号を送信するために用いることができる電子デバイス30を含む。履物アッセンブリ20は、ここでは特に言及されない他の部品を含んでもよい。
【0017】
以下により詳細に述べるように、履物アッセンブリ20は、ユーザが自動レーシングシステム24の制御またはスワイプパネル32をスイープする、タップする、押す、または圧力をかけることで靴22の靴紐を締めたり緩めたりすることを許容するように意図されている。制約されない例として、ユーザは自動レーシングシステム24のパネル32に沿って下にスワイプすることで、自動レーシングシステム24の靴紐を閉じるまたは締めることができ、上にスワイプすることで靴紐を開放するまたは緩めることができ、パネル32の上端をタップすることでより精密に靴紐を緩めることができ、パネル32の下端をタップすることでより精密に靴紐を締めることができる。これらの、および他の特徴は、以下、より詳細に記述される。
【0018】
図2を参照すると、靴22がより詳細に示されている。靴22は、第1または左の靴40と第2または右の靴42を含む。左の靴40と右の靴42は、それぞれユーザの左足と右足を受け止めるような大きさと形状を有することを除き、すべての材料側面において類似してもよい。開示を容易にするため、一つの靴または履物具44が参照されて本開示の側面を記載する。幾つかの図面では、履物具44は右の靴として示され、幾つかの図面では、履物具は左の靴として示される。履物具44に関する以下の開示は、左の靴40と右の靴42の両者に適用できる。幾つかの実施形態では、左右の態様以外に左の靴40と右の靴42で相違することがある。例えば、幾つかの実施形態では、左の靴40は自動レーシングシステム24を含むものの、右の靴42は自動レーシングシステム24を含まないことがあり、その逆もある。さらに、幾つかの実施形態では、左の靴40は、右の靴42が備えない一つまたは複数の要素をさらに含むことがあり、その逆もある。以下に述べるように、履物具44は自動レーシングシステム24を含まなくてもよいが、以下に開示されるレーシングシステムに従って手動で靴紐が締められてもよい。
【0019】
図3から
図6Bは、アッパー50とソール構造52を含む履物具44の典型的な実施形態を示す。ここでさらに詳細に述べるように、アッパー50はソール構造52に取り付けられ、ともに内部空孔54を定め(
図4と5を参照。)、この中にユーザの足を挿入することができる。例えば、履物具44は、足先領域56、中央領域58、および踵領域60を定める(
図6Aと6B参照。)。足先領域56は、概してつま先、母指球、および中足骨をつま先または趾骨に連結する関節を含む足の一部を包む履物具44の一部に対応する。中央領域58は、足先領域56のすぐ後ろに隣接し、概して足のブリッジと一緒に土踏まずを包む履物具44の一部に対応する。踵領域60は、中央領域58のすぐ後ろに隣接し、概して踵若しくは踵骨、足首、および/またはアキレス腱を含む足の後部を包む履物具44の一部に対応する。
【0020】
従来の多くの履物のアッパーは、例えば生地、ポリマー発泡体、ポリマーシート、革、および/または合成皮革などの複数の要素で作られており、これらは継ぎ目で接合または縫い合わされる。幾つかの実施形態では、履物具44のアッパー50は編まれた構造または編まれた部品で作られる。種々の実施形態では、編まれた部材には異なる特性をアッパーに付与する種々のタイプの糸が組み込まれる。例えば、アッパー50の一部の領域は、第1の特性群を付与する第1タイプの糸で作られ、アッパー50の他の領域は、第2の特性群を付与する第2タイプの糸で作られてもよい。このような態様を用いることで、アッパー50の異なる領域に特定の糸を選択することによってアッパー50の全体にわたってアッパー50の特性が変化し得る。好ましい実施形態では、
図8を参酌すると、履物具44は、第1またはメッシュ層62と第2またはベース層64を含む。ベース層64は、複数の鳩目68を設けることができる外表面66や、ユーザが履物具44を履く際に足に噛み合う内表面70などの複数の層を含むことができる。メッシュ層62とベース層64は、履物具44上で腕一箇所または複数箇所で接続される。
【0021】
アッパー50を構成する材料に関し、編まれた部材の一部の領域に特定のタイプの糸が付与する特定の特性は、少なくとも部分的に糸の様々な単繊維と繊維を形成する材料に依存することがある。例えば、綿は柔らかい効果、生体分解性、または自然な感覚を編まれた材料に与えることができる。エラステインや伸縮ポリエステルは、望まれる弾性と回復性を編まれた部材に付与することができる。レーヨンは高い光沢を持つ吸湿材料を与えることができ、ウールはより高い吸湿性を有する材料を与えることができ、ナイロンは耐摩耗性の耐久性材料であり、ポリエステルは疎水性の耐久性材料を与えることができる。
【0022】
編まれた部材の他の側面も、編まれた部材の性質に作用して望まれる特質を付与するように変化させてもよい。例えば、編まれた部品を形成する糸は、単繊維または多重繊維を含むことができ、あるいは、糸は二つ以上の異なる材料で形成される繊維を含んでもよい。さらに、編まれた部品は、編まれた部品の一部の領域に特定の性質を与えるように特定の編成プロセスを用いて形成してもよい。このため、糸を形成する材料と糸の他の側面の両方を選択してアッパー50の特定の領域に様々な性質を付与してもよい。
【0023】
幾つかの実施形態では、ニット構造の弾性は、第1の非伸張状態のニット構造の幅または長さと、横方向にニット構造に与えられた力をニット構造が有した後の第2の伸張状態におけるニット構造の幅または長さとの比較に基づいて測定することができる。更なる実施形態では、アッパー50は、追加的な構造的要素をさらに含んでもよい。例えば、幾つかの実施形態では、ヒールプレートまたはカバー(図示されない)が踵領域60に設けられてユーザの踵に対して追加のサポートを提供してもよい。幾つかの例では、他の要素、例えば、プラスチック材料、ロゴ、商標などを糊または熱形成を利用して外表面に適用または固定してもよい。幾つかの実施形態では、弾性、美観、厚さ、空気透過性、または耐摩擦性などの、例えば縫合型式、糸のタイプ、または異なる縫合型式または糸のタイプといったアッパー50に関連する性質を変更してもよい。
【0024】
図4と5を参照すると、履物具44はまた、外側80と内側82を定め、外側80は
図4に示され、内側82は
図5に示されている。ユーザが靴を履く時、外側80は履物具44の外側に向いた部分に相当し、内側82は履物具44の内側に向いた部分に相当する。このため、左の靴40と右側の靴42は、対向する外側80と内側82を有し、ユーザが靴22を履いている時には内側82は互いに最も近く、外側80は、靴22が身につけられている時には互いに最も遠い側として定義される。以下により詳しく述べるように、内側82と外側80は、履物具44の対向する遠位端において互いに繋がる。
【0025】
図6Aと6Bを参照すると、内側82と外側80は、履物具44の長手方向の中心面または軸84上で互いに繋がる。ここでさらに詳しく述べるように、長手方向の中心面または軸84は、履物具44の内側82と外側80の間の中心、中間軸を定めることができる。換言すると、長手方向の面または軸84は、履物具44の後方遠位端86と履物具44の前方遠位端88の間で延伸することができ、履物具44のインソール90、ソール構造52、および/またはアッパー50の中間を連続的に定めることができる。すなわち、長手方向の面または軸84は、踵領域60の後方遠位端86から足先領域56の前方遠位端88にわたって延伸する真直ぐな軸である。
【0026】
特筆しない限り、
図6Aと6Bを参照すると、履物具44は、足先領域56、中央領域58、および踵領域60によって区画されてもよい。足先領域56は、概してつま先または趾骨94、母指球96、および足92の中足骨100をつま先または趾骨94に接続する一つまたは複数の関節98を含む足92の一部を包む履物具44の一部に対応する。中央領域58は足先領域56のすぐ後ろに隣接する。中央領域58は、概して足のブリッジ92と一緒に土踏まず92を包む履物具44の一部に対応する。踵領域60は、中央領域58のすぐ後ろにあり、中央領域58に隣接する。踵領域60は、概して踵若しくは踵骨104、足首(図示されていない)、および/またはアキレス腱(図示されていない)を含む足の後部を包む履物具44の一部に対応する。
【0027】
依然として
図6Aと6Bを参照すると、足先領域56、中央領域58、踵領域60、内側82、および外側80は、履物具44の境界または領域を定めるように意図される。この点において、足先領域56、中央領域58、踵領域60、内側82、および外側80は、全体的に履物具44のセクションを特徴付ける。本開示のある側面は、足先領域56、中央領域58、踵領域60、内側82、および/または外側80の一つまたは複数と同一領域を占める部分または要素に関係することがある。さらに、アッパー50とソール構造52の両者は、足先領域56、中央領域58、踵領域60内の、ならびに/または内側82および/若しくは外側80の上の一部を有するように特徴付けられてもよい。従って、アッパー50とソール構造52、および/またはアッパー50とソール構造52の個々の部分は、足先領域56、中央領域58、踵領域60内、ならびに/または内側82および/若しくは外側80上で、これらの一部を含むことがある。
【0028】
依然として
図6Aと6Bを参照すると、足先領域56、中央領域58、踵領域60、内側82、および外側80が詳細に示される。足先領域56はつま先端110から履物具44の最大幅部112へ延伸する。最大幅部112は、つま先端110の遠位部からつま先端に対向する踵端116の遠位部へ延伸する長手方向の軸84に対して垂直な第1の線114上で定められ、測定される。中央領域58は、最大幅部112から履物具44の最細部118へ延伸する。履物具44の最細部118は、長手方向の軸84に対して垂直な第2の線120を横切るように測定される。踵領域60は最細部118から履物具44の踵端116へ延伸する。
【0029】
上記の記載を考慮すると、数多くの変形が当業者にとって明らかであることが理解されるべきであり、これらの個々の部品は、数多くの履物具に組み込むことができる。したがって、履物具44の側面とその部品は、ここで述べられた足先領域56、中央領域58、踵領域60、内側82、および/または外側80の境界は履物具間で異なり得るという理解のもと、履物具44の一般的な領域または部分を参照して記載することができる。
【0030】
しかしながら、履物具44の側面とその個々の部品は、履物具44の正確な領域または部分を参照して記載されてもよく、添付された請求項の範囲は、ここで説明された足先領域56、中央領域58、踵領域60、内側82、および/または外側80のこれらの境界に関連する限定を組み込んでもよい。
【0031】
依然として
図6Aと6Bを参照すると、内側82はつま先の遠位端88から始まり、履物具44の内側面に沿って足先領域56上で中央領域58に向かって外側に曲がる。内側82は第1の線114に達し、この点で内側82は内部に向かって、中心の長手方向の軸84に向かって曲がる。内側82は第1の線114、すなわち、最大幅部112から第2の線120、すなわち、最細部118に向かって延伸し、この点において、すなわち、第1の線114を横切ることで内側82は中央領域58に入る。一旦第2の線120に達すると、内側82は外側に向かって長手方向の中心軸84から離れるように曲がり、この点で、すなわち、第2の線120を横切ることで内側82は踵領域60内へ延伸する。内側82はその後外側に向かって、その後、踵端86に向かって内側に曲がり、内側82が長手方向の中心軸84に交わる点で終結する。
【0032】
依然として
図6Aと6Bを参照すると、外側80もつま先の遠位端88から始まり、履物具44の外側の辺に沿って足先領域56上で中央領域58に向かって外側に曲がる。外側80は第1の線114に達し、この点で外側80は長手方向の中心軸84に向かって内側に曲がる。外側80は第1の線、すなわち、最大幅部112から第2の線120、すなわち、最細部118に向かって延伸し、この点で、すなわち、第1の線114を横切ることで外側80は中央領域58に入る。一旦第2の線120に達すると、外側80は、長手方向の中心軸84から離れるように外側に曲がり、この点で、すなわち、第2の線120を横切ることで外側80は踵領域60内へ延伸する。外側80は、その後、外側に、その後、踵端86に向かって内側に曲がり、外側80が長手方向の中心軸84に交わる点で終結する。
【0033】
図4と5に戻って参照すると、ソール構造52はアッパー50に接続または固定され、履物具44がユーザに身につけられる時にユーザの足と地面の間に延伸する。ソール構造はまた、一つまたは複数の部品を含んでもよく、アウトソール、中敷、ヒール、つま皮、および/またはインソールを含んでもよい。例えば、幾つかの実施形態では、ソール構造は、ソール構造に構造的清廉さとともにユーザのための牽引力を与えるアウトソール、クッションシステムを与える中敷、およびユーザの土踏まずの支持を提供するインソールを含んでもよい。
【0034】
図4から6Aを参照すると、本実施形態のソール構造52は、アウトソールまたはアウトソール領域130、中敷領域132、およびインソールまたはインソール領域134によって特徴付けられる(
図6A参照。)。アウトソール領域130、中敷領域132、およびインソール領域134、ならびに/またはこれらの部品は、足先領域56、中央領域58、および/または踵領域60の一部を含んでもよい。さらに、アウトソール領域130、中敷領域132、およびインソール領域134、ならびに/またはこれらの部品は、外側80および/または内側82上の一部を含んでもよい。
【0035】
他の例では、アウトソール領域130は、履物具44が身につけられる際、例えば地面などの屋外の面と少なくとも部分的に接触する部分として定義されてもよい。インソール領域134は、履物具が身につけられる際、ユーザの足と少なくとも部分的に接触する部分として定義されてもよい。最後に、中敷領域132は、アウトソール領域130とインソール領域134の間でこれらと接触するソール構造52の少なくとも一部として定義されてもよい。
【0036】
アッパー50は、
図4と5に示すように、ソール構造52から上に延伸し、ユーザの足を受け入れて固定する内部空孔54を定める。アッパー50は、足領域136と足首領域138によって定義することができる。一般的に、足領域136は、ソール構造52から足先領域56、中央領域58、および踵領域60を通って上方に延伸する。足首領域138は、主として踵領域60に位置するが、幾つかの実施形態では、足首領域138は部分的に中央領域58内へ延伸してもよい。
【0037】
外側メッシュ層62が無い履物具44を示す
図4と5を再度参照すると、自動レーシングシステム24の靴紐の一部がより詳細に示されている。自動レーシングシステム24は、パネル32を定めるハウジング140、および外側または第1の靴紐142と内側または第2の靴紐144を含む靴紐を含む。自動レーシングシステム24はまた、数々の電子部品を含み、これらは後述する。第1の靴紐142は複数の外側の鳩目146を通って延伸し、第2の靴紐144は、複数の内側鳩目148を通って延伸する。外側の鳩目146は第1の外側の鳩目150、第2の外側の鳩目152、第3の外側の鳩目154、第4の外側の鳩目156、および第5の外側の鳩目158を含む。内側鳩目148は第1の内側鳩目160、第2の内側鳩目162、第3の内側鳩目164、第4の内側鳩目166、および第5の内側鳩目168を含む。第1の靴紐142と第2の靴紐144の両者は、また、中央領域58を横切ってトング176のベースに隣接するストラップ174内に設けられる第1のチャネルまたはスリット170と第2のチャネルまたはスリット172を通って延伸する。外側の鳩目146は、足先領域56、中央領域58、および踵領域60の全てに設けられ、内側鳩目148は、足先領域56、中央領域58、および踵領域60の全てに設けられる。
【0038】
さらに、第1の靴紐142と第2の靴紐144の両者は、ハウジング140内に配置された部分を備え、これにより、自動レーシングシステム24は、ユーザによる特定の入力または望まれる操作に依存し、靴紐142、144を取り込むまたは靴紐142、144を開放することができる。好ましい実施形態では、第1の靴紐142と第2の靴紐144は閉ループであり、それぞれハウジング140内に設けられた部分、ストラップ174を通って延伸する部分、および鳩目146、148を通って延伸する部分を有する。幾つかの実施形態では、第1の靴紐142および/または第2の靴紐144は閉ループを構成しなくてもよく、替わって履物具44の一部に固く取り付けられた両端を有してもよい。
【0039】
図4を参照すると、第1の靴紐142は、第1の外側の開口180からハウジング140上を下に向かって、そしてわずかに足先領域56に向かって第1の外側の鳩目150に延伸する。第1の靴紐142は、第1の外側の鳩目150を通過する際に僅かに屈曲または傾くが、第1の靴紐142は、第1の外側の鳩目150を通過する際に実質的に直線状を維持する。第1の靴紐142は、その後、第3の外側の鳩目154に向かって延伸する際に通過する第2の外側の鳩目152へ延伸する。第1の靴紐142は、第2の外側の鳩目を通過する際に約120°の角度を形成する。第2の外側の鳩目152を通過した後、第1の靴紐142は、足先領域56に向かって、第3の外側の鳩目154を通って延伸する。第1の靴紐142は、第3の外側の鳩目154を通過する際に約80°の角度を形成する。第3の外側の鳩目154を通過した後、第1の靴紐142は、ストラップ174に向かって上に、かつ後方に延伸する。第1の靴紐142は、その後、ストラップ174において踵領域に向かって第1のチャネル170を通過し、第4の外側の鳩目156に向かって下に延伸する。第4の外側の鳩目156に向かって延伸する際、第1の靴紐142は、第1の外側の鳩目150と第2の外側の鳩目152の間で延伸する第1の靴紐142の一部の上を横切る。幾つかの実施形態では、第1の靴紐142は、第1の外側の鳩目150と第2の外側の鳩目152の間を延伸する第1の靴紐142の一部の下を横切る。第1の靴紐142は、第4の外側の鳩目156を通過する際に約155°の角度を形成する。
【0040】
なおも
図4を参照すると、一旦第4の外側の鳩目156に達すると、第1の靴紐142は僅かに傾き、第5の外側の鳩目158へ延伸する。第1の靴紐142は、第5の外側の鳩目158を通過する際に約50°の角度を形成する。第5の外側の鳩目158において、第1の靴紐142は、中央領域58に向かって鋭く引き返し、ハウジング140の第2の外側の開口182に向かって上に延伸する。以下により詳しく述べるように、第1の靴紐142は、その後第2の外側の開口182を通過してハウジング140内へ入る。上述したような靴紐構造のもう一つの態様が考えられ、より多くのまたはより少ない鳩目、および、または第1の靴紐142とそれ自身との交差が含まれてもよい。しかし、上述したように、好ましい実施形態では、第1の靴紐142は、それ自身と一回交差する。幾つかの実施形態では、第1の靴紐142はそれ自身と二回、三回、四回、五回、六回、または七回交差してもよい。しかしながら、好ましい実施形態では、ハウジング140、第1の鳩目146、およびストラップ174の特定の配置により、履物具44は適切にかつ確実にユーザの足の周りで締め付けられ、履物具44が身に着けられる間、第1の靴紐142と第2の靴紐144によって掛けられる力が効果的にかつ継続的な方法でユーザの足上で広げられ、ユーザの足に沿って低減された力が掛かる。この意味において、上述したように、第1の靴紐142の好ましい配置は、第1の鳩目146の二つを介してソール構造52に向かってハウジング140から下に延伸し、そして残りの鳩目を通って延伸する。
【0041】
図5を参照すると、第2の靴紐144は、第1の内側の開口184からハウジング140上で下に向かって、そしてわずかに足先領域56に向かって第1の内側の鳩目160に延伸する。第2の靴紐144は、第1の内側の鳩目160を通過する際に僅かに屈曲または傾いてもよいが、第2の靴紐144は、第1の内側の鳩目160を通過する際、実質的に直線状を維持する。第2の靴紐144は、その後、第3の内側の鳩目164に向かって延伸する際に通過する第2の内側の鳩目162へ延伸する。第2の靴紐144は、第2の内側の鳩目を通過する際に約120°の角度を形成する。第2の内側の鳩目162を通過した後、第2の靴紐144は、足先領域56に向かって、第3の内側の鳩目164を通って延伸する。第2の靴紐144は、第3の内側の鳩目164を通過する際に約80°の角度を形成する。第3の内側の鳩目164を通過した後、第2の靴紐144は、ストラップ174に向かって上に、かつ後方に延伸する。第2の靴紐144は、その後、ストラップ174において踵領域60に向かって第2のチャネル172を通過し、第4の内側の鳩目166に向かって下に延伸する。第4の内側の鳩目166に向かって延伸する際、第2の靴紐144は、第1の内側の鳩目160と第2の内側の鳩目162の間で延伸する第2の靴紐144の一部の上を横切る。幾つかの実施形態では、第2の靴紐144は、第1の内側の鳩目160と第2の内側の鳩目162の間を延伸する第2の靴紐144の一部の下を横切る。第2の靴紐144は、第4の内側の鳩目166を通過する際に約155°の角度を形成する。
【0042】
なおも
図5を参照すると、一旦第4の内側の鳩目166に達すると、第2の靴紐144は僅かに傾き、第5の内側の鳩目168へ延伸する。第2の靴紐144は、第5の内側の鳩目168を通過する際に約50°の角度を形成する。第5の内側の鳩目168において、第2の靴紐144は中央領域58に向かって鋭く引き返し、ハウジング140の第2の内側の開口186に向かって上に延伸する。以下により詳しく述べるように、第2の靴紐144は、その後第2の内側の開口186を通過してハウジング140内へ入る。上述したような靴紐構造のもう一つの態様が考えられ、より多くのまたはより少ない鳩目、および、または第2の靴紐144とそれ自身との交差が含まれてもよい。
【0043】
上述したように、第2の靴紐144は、それ自身と一回交差する。幾つかの実施形態では、第2の靴紐144はそれ自身と二回、三回、四回、五回、六回、または七回交差してもよい。しかしながら、好ましい実施形態では、ハウジング140、第2の鳩目148、およびストラップ174の特定の配置により、履物具44は適切にかつ確実にユーザの足の周りを締め付けられ、履物具44が身に着けられる間、第1の靴紐142と第2の靴紐144によって掛けられる力が効果的にかつ継続的な方法でユーザの足上で広げられ、ユーザの足に沿って低減された力が掛かる。この意味において、上述したように、第2の靴紐144の好ましい配置は、第2の鳩目148の二つを介してソール構造52に向かってハウジング140から下に延伸し、そして残りの鳩目を通って延伸する。
【0044】
上述したように、レーシングシステム24は、ユーザが望む時、足の周りのアッパー50のディメンジョンを変更すること、例えば、アッパー50の一部を締め付けるまたは緩めることをユーザに許容してもよい。ここでさらに詳細に述べるように、レーシングシステム24は、ユーザが望む時、ユーザがきつさを変更することを許容してもよい。幾つかの実施形態では、ユーザによって命令が入力されると、第1の靴紐142と第2の靴紐144の両方が同じ具合で締められるまたは緩められる。幾つかの実施形態では、ユーザによって命令が入力されると、第1の靴紐142と第2の靴紐144の一方のみが締められるまたは緩められる。幾つかの実施形態では、第1の靴紐142を第1のきつさレベルへ締めるまたは緩め、第2の靴紐144を第1のきつさレベルと異なる第2のきつさレベルへ締めるまたは緩める。このように、第1の靴紐142と第2の靴紐144は、同じきつさレベルで締められてもよく、異なるレベルで締められてもよい。
【0045】
図6Aと
図6Bを参照すると、アッパー50は外側80と内側82上で足先領域56、中央領域58、および踵領域60を横切って延伸し、ユーザの足を収容して包む。完全に組み立てられると、アッパー50は、また、内表面190と外表面192を含む。内表面190は内側に向き、全体的に内部空孔54を定め、アッパー50の外表面192は外側を向き、全体的にアッパー50の外周または境界を定める。内表面190と外表面192は、上述した層62、64の一部を構成してもよい。アッパー50は、少なくとも部分的に履物具44の踵領域60に位置する開口194をさらに有し、これによって内部空洞へのアクセスが提供され、足を出し入れすることができる。幾つかの実施形態では、アッパー50は、また、踵領域60内の開口194から足先領域56に隣接する領域まで足の甲に対応する領域の上を延伸するインステップ領域196を含む。インステップ領域196は、本開示のトング176が設けられる所に類似する領域を構成してもよい。幾つかの実施形態では、アッパー50は、トング176を含まなくてもよく、すなわち、アッパー50はトングレスであり、ハウジング140は、上述したように、アッパー50の一部に沿って設けられる。
【0046】
図6Aを参照すると、ハウジング140またはその部品は、3D印刷などの付加製造技術を通じて形成してもよい。このため、ハウジング140を形成するため、液槽光重合、材料射出、バインダージェッティング、粉末床溶融結合、材料押出、指向性エネルギー堆積、および/またはシート積層といった多くの3D印刷技術を実施してもよい。幾つかの実施形態では、ハウジング140またはその部品は、インステップ領域196上に直接、あるいは足先領域56、中央領域58、または踵領域60などの足の他の領域に沿って3D印刷してもよい。幾つかの実施形態では、ハウジング140またはその部品は、3D印刷し、その後、靴44の一部と個別に連結してもよい。
【0047】
図7を参照すると、自動レーシングシステム24のハウジング140がより詳細に示されている。ハウジング140は、アッパー50の外側80とアッパー50の内側82の間に位置するトング176上で中央に設けられる。ストラップ174はトング176のベースに位置し、ストラップ174はチャネル170、172を含み、靴紐が締められているまたは緩められている時に第1と第2の靴紐142、144がこれを通じて移動することができる。ハウジング140上のパネル32が
図7に明確に示されている。第1と第2の外側の開口180、182、および第1と第2の内側の開口184、186も示されており、これらを通って第1の靴紐142と第2の靴紐144が延伸する。デザイン要素200もトング176上に設けられ、幾つかの実施形態では、トング176の上に設けられ、ユーザからのフィードバックを受けるまたは提供するLEDまたはセンサを含んでもよい。履物具44のトング176は、多数の接続ポイントにおいて、またはその辺と底の上でアッパー50に接続されてもよい。トング176は、また、ここで特に述べられない更なる側面を含んでもよい。
【0048】
ここで
図8を参照すると、履物具44のレイヤリングの部分拡大図が示されている。この拡大図において与えられているように、第1またはメッシュ層62と第2またはベース層64が履物具44から分離して示されている。メッシュ層62は、ウェブまたはウェブ状構造を有するように示されており、複数の開口202がウェブ状構造上に設けられる。ベース層64は、その上に開口または穴を持たない概して均一な層である。さらに、ベース層64は、複数の鳩目68を構成する。ベース層64の一部とメッシュ層62の一部は、組み合わされた状態でアッパー50の外表面192を構成する。ベース層64は、また、履物具44が完全に組み立てられると、メッシュ層62の下に設けられる。メッシュ層62とベース層64の間に中間物が設けられていてもよく、例えば幾つかの実施形態では、一つまたは複数の追加的な層がベース層64とメッシュ層62の間に設けられてもよい。幾つかの実施形態では、メッシュ層62またはベース層64の上または下にそれぞれ追加的な層が設けられる。
【0049】
第1の層62と第2の層64は異なる特性を有してもよく、例えば、弾性、美観、厚さ、空気透過性、または耐摩擦性などの縫合型式、糸のタイプ、または異なる縫合型式または糸のタイプに関連する特性を第1の層62と第2の層64の間、および/またはアッパー50の他の部分とで異ならせてもよい。例えば、アッパー50およびその個々の部品、例えばメッシュ層と62ベース層64は、様々な要素、生地、ポリマー(発泡ポリマーとポリマーシートを含む)、革、合成皮革などを用いて個別に形成してもよい。さらに、アッパー50およびその個々の部品は、接着、縫合、または縫製によって繋げられてアッパー50が作り出される。
【0050】
図9Aから15を参照すると、ここでレーシングシステム24がより詳細に記述される。
図9Aと9Bを参照すると、自動レーシングシステム24の幾つかの内部部品のゴーストビューは、ホイールギア210、ウォームギア212、追加的なギアを含むギアトレイン214、およびモータ216を示している。スプール(図示されない)がホイールギア210の下面によって形成され、第1の靴紐142と第2の靴紐144を巻き取るように操作することができる。ハウジング140の一部は明確性のために取り除かれている。特定のギア態様は後述するが、モータ216はギアトレイン214を介してウォームギア212を回転するように操作することができる。ウォームギア212は、ホイールギア210を駆動するように構成され、これにより、第1の靴紐142と第2の靴紐144がホイールギア軸218の周りを回転することができる。ホイールギア210が回転して第1の靴紐142と第2の靴紐144をスプールの軸と一致する軸218の周りで引っ張ると、ホイールギア210(したがって、ウォームギア212、ギアトレイン214のギア、およびモータ216)の回転の方向に応じて第1と第2の靴紐122、144は締められるか緩められる。後述するように、モータ216はDCブラシレスモータでもよい。
【0051】
具体的に
図9Aを参照すると、ホイールギア210は第1の開口220と第2の開口222をその外側または右側224に、第3の開口226と第4の開口228をその内側はたは左側230に備える。第1と第2の開口220、222は、互いに隣接するように設けられ、第3と第4の開口226、228は、互いに隣接するように設けられる。好ましい実施形態では、第1の靴紐142はハウジング140に入り、第1の開口220を上方向に通され、第2の開口222を戻って下方向に通される。好ましい実施形態では、第2の靴紐144は、ハウジング140に入り、第3の開口226を上方向に通され、第4の開口228を戻って下方向に通される。この配置により、第1の靴紐142と第2の靴紐144は、自動レーシングシステム24が靴紐142、144を締めるか緩めるかのいずれに用いられるかによって矢印AまたはBの方向でギア軸218の周りで内側に引っ張られる。第1の靴紐142と第2の靴紐144のホイールギア210上での配置から明らかなように、第1の靴紐142と第2の靴紐144は、この配置において同時に、かつ同程度に締められるか緩められる。
【0052】
好ましい実施形態では、(
図9Aに示される)初期または緩められた態様からホイールギア210を約90°回すと第1レベルのきつさが得られ、ホイールギア210を約180°回すと第2レベルのきつさが得られ、ホイールギア210を約270°回すと第3レベルのきつさが得られるなどとなる。幾つかの実施形態では、ホイールギア210の回転が約60°増大することで第1レベルのきつさ、第2レベルのきつさ、第3レベルのきつさなどが得られる。幾つかの実施形態では、ホイールギア210の回転が約45°増大することで第1レベルのきつさ、第2レベルのきつさ、第3レベルのきつさなどが得られる。幾つかの実施形態では、ホイールギア210の回転が約30°増大することで第1レベルのきつさ、第2レベルのきつさ、第3レベルのきつさなどが得られる。幾つかの実施形態では、ホイールギア210の回転が約15°増大することで第1レベルのきつさ、第2レベルのきつさ、第3レベルのきつさなどが得られる。
【0053】
依然として
図9Aを参照すると、ウォームギア212は、ウォームギア軸238を定め、これに沿ってギアトレイン214の一つである第1のギア240が配置される。
図9Bを参照すると、ハウジング140のモータハウジング242(
図11と12参照。)が取り除かれて示される一方、ハウジング140のギアベース244がこれに連結されたホイールギア210を有するように示されている。
図9Bでは、第1のギア240がホイールギア210とウォームギア212とともに見えているが、ギアトレイン214の残りのギアはギアトレインハウジング246によって隠れている。ギアトレインハウジング246は、ギアトレイン214をコンパクトでかつ保護された態様を保持するために設けられる。
図9Bと10Bにおいて示されているように、ギアトレイン214とギアトレインハウジング246は、ハウジング140の占有面の外側上に設けられる。さらに、モータ216は、ハウジング140の占有面の踵側上に設けられる一方、ホイールギア210はハウジング140の占有面の足中央部端に設けられる。
【0054】
ここで
図10Aと10Bを参照すると、自動レーシングシステム24の幾つかの内部部品のゴーストビューは、ホイールギア210、ウォームギア212、ギアトレイン214、およびモータ216を示している。具体的に
図10Aを参照すると、ホイールギア210は第1の開口220と第2の開口222をその右側224に、第3の開口226と第4の開口228をその左側230に備える。第1と第2の開口220、222は、互いに隣接するように設けられ、第3と第4の開口226、228は、互いに隣接するように設けられる。
図10Aと10Bに示される代替的な実施形態では、第1の靴紐142はハウジング140に入り、第1の開口220を上方向に通され、第3の開口226を戻って下方向に通される。同じ実施形態では、第2の靴紐144はハウジング140に入り、第2の開口222を上方向に通され、第4の開口228を戻って下方向に通される。この配置により、第1の靴紐142と第2の靴紐144は、自動レーシングシステム24が靴紐142、144を締めるか緩めるかのいずれに用いられるかによって矢印AまたはBの方向でギア軸218の周りで内側に引っ張られる。第1の靴紐142と第2の靴紐144のホイールギア210上での配置から明らかなように、第1の靴紐142と第2の靴紐144は、この配置において同時に、かつ同程度に締められるか緩められる。
【0055】
図11から15は、拡大された態様における自動レーシングシステム24の要素を示す。具体的に
図11を参照すると、自動レーシングシステム24の幾つかの部品の拡大鳥観図が示されている。これらの部品は、トップカバー250、ギアベース244、モータハウジング242、ギアトレインハウジング246、ホイールギア210、ウォームギア212、およびギアトレイン214を含む。ウォームギア212は第1のシャフト252の周りに設けられ、第1のギア240は第1のシャフト252端に設けられる。ウォームギア212、第1のシャフト252、および第1のギア240が第1のギアアッセンブリ254を構成する。第2のギアアッセンブリ256は、第2のシャフト262に沿って設けられる第2のギア258と第3のギア260(
図13参照。)を含む。第2のギア258と第3のギア260は、互いに強固に連結され、このため、第2のギア258が回転すると第3のギア260も回転する。第3のギアアッセンブリ264も設けられ、第3のギアアッセンブリ264は第4のギア266と第5のギア268を含む(
図13参照。)。第4のギア266と第5のギア268は、互いに強固に固定され、第3のシャフト270に沿って設けられる。モータギア272もモータ216から延伸するように示されており、モータギア272はモータシャフト274に沿って設けられる(
図15参照。)。
【0056】
第1のギア240、第2のギア258、第3のギア260、第4のギア266、および第5のギア268は、平ギアまたは円筒ギアでもよい。平ギアまたはストレートカットギアは、放射状に突き出た歯を有するシリンダまたはディスクを備える。歯は直線的に設けられていないが、各歯は真っすぐであり、回転の軸に平行に並べられる。二つのギア、例えば第1のギア240と第3のギア260を噛み合わせると一方のギアが他方よりも大きいのであれば(第1のギア240は、第3のギア260よりも大きい直径を有する)、機械的利点が得られ、これらの直径に比例して二つのギアの回転速度とトルクが変わる。大きいギアはより遅く回転するので、そのトルクは比例して大きく、この例では、第3のギア260のトルクは第1のギア240のトルクよりも比例して大きい。
【0057】
依然として
図11から15を参照すると、第1のギアアッセンブリ254は、ホイールギア210と連結するウォームギア212を含む。ウォームギアはヘリカルギアの一種であるが、そのらせん角度は、通常、多少大きく(90°に近い。)、そのボディーは、通常、軸方向においてかなり長い。当業者に理解されるように、ウォームギア212を用いることで高いトルクとウォームギア212とホイールギア210間の低いスピードギア比を実現する簡単でコンパクトな方法が得られる。本実施形態では、ウォームギア212は常にホイールギア210を動かすが、必ずしも逆とはならない。ウォームギア212とホイールギア210の組み合わせによって自己ロッキングシステムが提供され、例えば、特定のきつさが必要なときにウォームギア212が簡単に利用できてその位置を保持することができるといったメリットが得られる。ウォームギア212は右回りでも左回りでもよい。本開示の目的のためには、ウォームギアアッセンブリ276はホイールギア210、ウォームギア212、第1のシャフト252、および第1のギア240を含む。ウォームギア212、第1のシャフト252、および第1のギア240は、単一の材料を含んでもよく、異なる材料を含んでもよい。
【0058】
ウォームギアアッセンブリ276は、第2のギアアッセンブリ256と組み合わされており、第2のギア256はモータギア272と組み合わされた第3のギアアッセンブリ264と組み合わされている。その結果、モータシャフト274がモータ216によって回転すると、ホイールギア210が時計回りと反時計回りのどちらに回転させようとするか、すなわち、第1の靴紐142と第2の靴紐144を締めるか緩めるかに応じてモータギア272が時計回りまたは反時計回りの方向に回転する。モータギア272は第5のギア268と組み合わされており、その回転によって第3のシャフト270と第4のギア266が回転する。第4のギア266は、第3のギア260と固く連結された第2のギア258と組み合わされる。上述したように、第2のギア258、第3のギア260、および第2のシャフト262が第2のギアアセンブリ256を構成する。
【0059】
依然として
図11から15を参照すると、第2のギアアッセンブリ256は、第3のギアアッセンブリ264がモータギア272によって回転すると、それによって回転する。第2のギアアッセンブリ256の第3のギア260は第1のギア240と組み合わされており、これにより、第3のギア260の回転によって第1のギア240の回転が生じる。第2のギアアッセンブリ256によって第1のギア240が回転すると、第1のギア240は第1のシャフト252を回転させ、第1のシャフト252はウォームギア212と固く連結される。ウォームギア212は、第1のギア240が回転すると、これによって回転する。ホイールギア210はウォームギア212に組み合わされているので、ホイールギア210も第1のギアアッセンブリ254が回転すると回転する。ホイールギア210が回転すると、第1の靴紐142と第2の靴紐144は、ホールギア軸218またはスプールを回ってハウジングの中に引き込まれる。上述したように、第1のギアアセンブリ254は第1のギア240、第1のシャフト252、およびウォームギア212を含む。ウォームギアアッセンブリ276は第1のギアアッセンブリ254とホイールギア210を含む。このため、モータギア272が回転すると、第3のギアアッセンブリ264が回転して第2のギアアッセンブリ256が回転し、これにより、ウォームギアアッセンブリ276が回転する。
【0060】
ここで
図11と12を参照すると、モータハウジング242、ベース244、ギアハウジング140、ハウジング140のトップカバー250が詳細に示されている。モータハウジング242は紐穴280をその左右の側(内側と外側)に、ギアトレイン開口282をその右側(外側)に沿って有している。紐穴280によって第1の靴紐142と第2の靴紐144が障害なくハウジング242に入ることができる。モータハウジング242は、モータコンパートメント286を取り囲むアウタープラットフォーム284をさらに備える。モータコンパートメント286はすべてのギアアセンブリ256、264、276、およびモータ216を収容する。ギアハウジング140は、ギアアセンブリ256、264、276のシャフト252、262、270を保持する複数のシャフト保持孔を有している(
図15参照。)。モータコンパートメント286は、全体としてハウジング140の輪郭を定め、トップカバー250は、モータハウジング242とギアハウジング140の上に据え付けられるように形成される。
【0061】
図15を参照すると、ギアハウジング140が詳細に示されている。ギアハウジング140は、シャフト252、262、270が確実に回転して機能するように配置されたシャフト保持孔288を備える。スプール290がホイールギア210から下に伸びるように示されており、スプール290は柱状のリール292と下フランジ294を含み、これらはともにスプールシャフト296を中心に配置されている。柱状のリール292は、自動レーシングシステム24が動作中に靴紐がスプール290の周りで巻き取られる際、第1の靴紐142と第2の靴紐144を保持するように大きさと形状が調整される。リール292は異なる直径を有してもよいが、好ましい実施形態では、リール292は、ホイールギア210の直径よりも小さい直径を有する。幾つかの実施形態では、スプール290は下フランジ294を含まなくてもよく、このため、スプールは、単に、靴紐を巻き取る柱状構造を有してもよい。ギア210が回転すると、第1の靴紐142と第2の靴紐144はリール292に巻き取られ、これにより、ハウジング140内に引っ張られる。スプール290は、靴紐142、144が締められるか緩められるかによって時計回りか反時計回りに回転される。スプールシャフト296は、ギアベース244に対して上またはギアベース244に対して回転できるように配置される。
【0062】
図13を参照すると、トップカバー250が示されており、トップカバー250は、スナップフィットでモータハウジング242のアウタープラットフォーム284に固定することができる。留め具孔302がトップカバー250の底面304上に配置され、孔302はモータハウジング242上のねじ穴306に揃う。ボルトまたはねじなどの留め具は、トップカバー250をモータハウジング242にさらに固定するよう、トップカバー250の上にねじ穴306を介して留め具孔302に挿入することができる。トップカバー250は、また、他の連結方法でモータハウジング242に固定できてもよい。
【0063】
依然として
図13を参照すると、紐穴180、182、184、186がトップカバー250の辺に沿って設けられる。紐穴180、182、184、186は、第1の靴紐142と第2の靴紐144がハウジング140に出入りできるように大きさが設定される。したがって、靴紐142、144は、モータハウジング242の紐穴280を通って紐穴180、182、184、186内へ延伸し、上述したように、ホイールギア210の開口220、222、226、228に噛み合わされる。
図12を再度参照すると、ギアベース244が示されている。ギアベース244は、ホイールギア210を収容するように大きさと形状が調整されたホイールギアコンパートメント310を含む。ホイールギア210は、シャフトを介してギアベース244と連結されてもよく、あるいは、ベース244から延伸する突起またはシャフト上に置かれてもよい。ホイールギア210は、ギアトレイン214を介して回転させられた際に自由に回転できるよう、ホイールギアコンパートメント310内に配置される。
【0064】
図14を参照すると、トップカバー250はパネル32、外側面312、前側面314、および内側面316を含む。ハウジング140のトップカバー250のパネル32と側面312、314、316は、自動レーシングシステム24の電子部品やセンサを完全に覆うように意図されている。以下に詳述するように、トップカバー250の外側面312、前側面314、および内側面316の下に一つまたは複数のLEDが設けられる。トップカバー250は黒色でも何色でもよく、好ましい実施形態では、ハウジング140内で一つまたは複数の光源が起動するとトップカバー250を通して光が視認することができる。光源の特定の起動は、
図18Aから
図18Mに関連付けて説明する。
【0065】
センサーシステム320が
図16に示されており、センサーシステム320は、ハウジング140のトップカバー250とモータハウジング242の間に配置されるように構成される。センサーシステム320は、その上に配置される複数のスワイプセンサ324を含むフレキシブル回路322を備える。スパイプセンサ324は、ジグザグ模様または「M」字が繰り返した形状であるが、スパイプセンサ324は、卵型、正方形、長方形、円形、三角形、あるいは他の多角形などの他の形状を有してもよい。スパイプセンサ324は、ユーザによるハウジング140のパネル32に対する接触作用に応答する。センサーシステム320は、種々の回路、センサ、LEDなどを含むことができる複数の層を含む。センサーシステム320は、また、センサーシステム320の内側面または左側面328上に設けられるように示される第1のコントローラまたはマイクロコントローラ326を含む。フレキシブル回路322上には複数の抵抗330が設けられる。さらに、複数の発光ダイオードまたはLED332がフレキシブル回路322の外周に沿って設けられる。複数のLED332は、すべて組み立てられるとトップカバー250の外側面312、前側面314、および内側面316に沿って揃うようにフレキシブル回路322上に設けられる。
【0066】
上述したように、フレキシブル回路322はトップカバー250とモータハウジング242の間に設けることができる。フレキシブル回路322は、複数のスワイプセンサ324を含み、これらは、幾つかの実施形態では、マイクロコントローラ326を含む一つまたは複数のコントローラによって送信される信号に応答して光るまたは点灯してもよい。幾つかの実施形態では、LEDがさらにパネル32上に、またはハウジング140の他の部分上に設けられる。フレキシブル回路322は、上述したように、左の靴40と右に靴42の間の違いを考慮して逆の配置で設けられていてもよい。自動レーシングシステム24が組み立てられる際、フレキシブル回路322のスワイプセンサ324はハウジング140のトップカバー250のパネル32の下に設けられる。その結果、複数のLED332は、トップカバー250の辺に沿いつつ隣接して設けられる。トップカバー250は、LED332から射出される光が出るように透明または半透明の部分を有してもよい。
【0067】
依然として
図16を参照すると、本実施形態では、フレキシブル回路322は16のLED332を備え、これらはレーシングシステム24が組み立てられるとモータコンパートメント286の周囲でトップカバー250の下に位置する。LED332は光に基づくフィードバックをユーザに提供する。特に、LED332は、靴紐142、144のきつさレベル、および/または電力低下警告などのバッテリ340のエネルギーレベルを示す合図や(
図20、22、24参照。)、バッテリ340が充電されていることを示す合図を与える。例えば、靴紐142、144が開放された態様であればいずれのLED332も発光されず、自動レーシングシステム24が第1の状態であれば四つのLED332が発光され、自動レーシングシステム24が(第1の状態よりもきつい)第2の状態であれば九つのLED332が発光され、自動レーシングシステム24が(第1の状態と第2の状態よりもきつい)第3の状態であれば16のLED332が発光される。上述したように、LED332はハウジング140のトップカバー250の下に位置する。LED332は、トップカバー250の上または中において、バッテリが低電力モードにある時などには星形状やバッテリ充電情報などの様々な形状で、バッテリが充電されている時には稲妻形状で点灯するように配置されてもよい。
【0068】
ここで
図17Aと17Bを参照すると、緩められた態様と締められた態様の靴44の側面図がそれぞれ示されている。具体的に
図17を参照すると、緩められた態様では、第1の靴紐142と第2の靴紐144は仕込まれていないが、第1の鳩目146と第2の鳩目148の全てにそれぞれ通されている。幾つかの実施形態では、第1の靴紐142と第2の靴紐144は、靴が締められていないモードである場合には、幾分たるみが直されていて、足の甲をより快適にする。このため、
図17に示すように、靴44は、靴44が身につけられている時、特定の状況のユーザによって利用され得る、より快適な足の甲の位置を実現する。
図9Aに戻ると、緩められた態様では、第1の靴紐142と第2の靴紐144は、この詳細図に示すように配置されてもよく、ここでは、ホイールギア210は、第1の靴紐142と第2の靴紐144が締められるようには回転されていない。ホイールギア210は、緩められた状態においてもう一方の配向で配置することができるが、ホイールギア210は、緩められた状態では
図9Aに示されたのと類似する方式で配置されることが好ましい。好ましい実施形態では、緩められた態様においてホイールギア210の第1の開口220と第3の開口226を結ぶ直線は、第1のシャフト252の軸と平行である。
【0069】
ここで
図17Bを参照すると、自動レーシングシステム24が第1の靴紐142と第2の靴紐144を締めるように命令されると、トング176、したがって、ハウジング140とが矢印Cの方向に下に引っ張られ、これにより、第1の締められた態様が実現される。締められた態様の数は、ユーザの入力、または前もって設定された自動レーシングシステム24のセッティングに基づくきつさのレベルに応じて任意である。第1の締められた態様は、きつさの第1レベルを有することができ、第2の締められた態様は、きつさの第1レベルよりも大きなきつさの第2レベルを有することができる。再度
図9Aに戻ると、きつさの第1レベルは、ホイールギア210を約15°、約30°、約45°、約60°、または約90°回転した時に実現されてもよい。後続するきつさのレベルは、それぞれ異なる量でホイールギア210を回転させることで実現されてもよく、その量は約15°、約30°、約45°、約60°、または約90°でもよい。
【0070】
一旦靴44が第1の締められた態様になった場合、ホイールギア210を逆方向に回転することで靴44を緩められた態様に戻してもよく、例えば、矢印Aの方向で回転することでホイールギア210を締めた場合には(
図9A参照。)、矢印Bの方向に回転することでホイールギア210を緩める。このため、
図17Aに緩められた態様で示されている靴44は、
図17Bに示すような締められた態様に調整してもよく、引き続き
図17Aに示される元の緩められた態様に戻してもよい。靴44の靴紐142、144は、任意の増加分で任意の回数締められても緩められてもよい。一定の紐締/解紐順序が本出願で記載されるが、本開示は制約されることを意図するものではない。
【0071】
ここで
図18Aから18Mを参照すると、上述したように、自動レーシングシステム24は、二つのモードを用いてユーザによって操作されることができる:(1)ハウジング140のパネル32に対する物理的接触、すなわち、ユーザのスワイプセンサ324に対する相互作用;および(2)ワイヤレスデバイス30の利用。操作の第1の方法、すなわち、物理的調節が
図18Aから18Mに関連づけて説明される。このため、自動レーシングシステム24は、靴紐142、144が所定のきつさに緩められた開放された態様、および、靴紐142、144が所定のきつさに締められた閉じられた態様を含む所定のレベルのきつさを有することができる。特に、ユーザは、パネル32を下にスワイプして閉じられた態様まで所定のきつさに靴紐142、144を締めることができ、あるいは、パネル32を上にスアイプして開放された態様まで所定のきつさに靴紐142、144を緩めることができる。さらに、ユーザは、パネル32の上端をタップすることで閉じられた態様または開放された態様のきつさを低減する、またはパネル32の下端をタップすることで閉じられた態様または開放された態様のきつさを増大することにより、開いた状態と閉じた状態の靴紐の所定のきつさを調節することができる。さらに、以下に詳細に述べるように、ユーザは、パネル32に対して所定時間量、例えば10秒間圧力を加えることで上記所定のレベルをリセットでき、パネル32をタップすることで自動レーシングシステム24を「立ち上げる」または起動でき、あるいは、上面を第2の所定時間量、例えば1から2秒間圧力を加えることでワイヤレスデバイス30を接続またはペアリングすることができる。
【0072】
図18Aから18Mは、種々の状態におけるコントロール/表示パネル32上でのスワイプ命令の模式図を示し、一つまたは複数の入力コマンドへの種々の応答を示す。自動レーシングシステム24の状態に基づく種々の態様で複数のLED332が発光しているのが示されている。例えば、履物具44が緩められた態様の時、いずれのLED332も起動していない。履物具44が第1のきつさレベルの態様にある時、下の行のLED332が発光する。履物具44が第2のきつさレベルの態様にある時、下の行のLED332と横の列のLED332が発光する。これらの図では、第1の円342はユーザによるパネル32上でのタッチ位置を示し、矢印344はパネル32上での他のタッチ位置を示す第2の円346へのスワイプ方向を示す。
【0073】
ここで、種々のスワイプ命令を説明する。具体的に
図18Aを参照すると、第1のまたは閉じるスワイプ命令350が示されている。閉じるスワイプ命令350を有効化するため、ユーザは第1の円342においてパネル32にタッチし、第2の円346に向かって矢印344の方向で下にスワイプする。閉じるスワイプ命令350は、靴22を完全に締めてもよい。
図18Bを参照すると、第2のまたは開放するスワイプ命令352が示されている。開放するスワイプ命令352を有効化するため、ユーザは第1の円342においてパネル32にタッチし、第2の円346に向かって矢印344の方向で上にスワイプする。開放するスワイプ命令352は、靴22を完全に緩めてもよい。
図18Cを参照すると、調整/開放命令354が示されている。調整/開放命令354を有効化するため、ユーザは第1の円342においてパネル32にタッチする。調整/開放命令354は、自動レーシングシステム24の靴紐を一定増分で緩める。
図18Dを参照すると、調整/紐締命令356が示されている。調整/紐締命令356を有効化するため、ユーザは第1の円342においてパネル32をタッチする。調整/紐締命令356は、自動レーシングシステム24の靴紐を一定増分で締める。
【0074】
ここで
図18Eを参照すると、リセット命令358が示されている。リセット命令358を有効化するため、ユーザは第1の円342において10秒間パネル32をタッチするまたは押す。リセット命令358は自動レーシングシステム24を工場の設定、または他のタイプのゼロセッティングに戻す。
図18Fを参照すると、接続/ペアリング命令360が示されている。接続/ペアリング命令360を有効化するため、ユーザは第1の円342において1から2秒間パネル32を押し下げる。接続/ペアリング命令360は、ブルートゥース(登録商標)を介して靴22を電子デバイス30に接続またはペアリングするために用いることができる。
図18Gを参照すると、立ち上げ命令362が示されている。立ち上げ命令362を有効化するため、ユーザは第1の円342においてパネル32をタッチする。立ち上げ命令362は自動レーシングシステム24をオンにすることができる。
【0075】
ここで
図18Hから
図18Kを参照すると、LED332の種々の発光態様が示されており、発光態様は、それぞれ開放された態様364、第1の閉じられた態様366、第2の閉じられた態様368、第3の閉じられた態様370を表している。開放された態様364では、LED332はいずれも発光しない。第1の閉じられた態様366では、下の行に沿った四つのLED332が発光する。第2の閉じられた態様368では、LED332の下の行に沿った四つのLED332とパネル32の各横列に沿った六つのLED332が発光する。第3の閉じられた態様370では、すべてのLED332が発光する。開放された態様364は自動レーシングシステム24が完全に開いた状態を表し、第3の閉じられた態様370は自動レーシングシステム24が完全に閉じた状態を表すことが理解されよう。第1の閉じられた態様366と第2の閉じられた態様368は、完全に開いた状態と完全に閉じた状態の間の閉じた状態であってもよい。
【0076】
図18Lを参照すると、低バッテリ状態372が示されている。低バッテリ状態372では、すべてのLED332が点滅または明滅してユーザに対して自動レーシングシステム24がバッテリが少ない状態で動いていることを知らせることができる。幾つかの実施形態では、自動レーシングシステム24は、充電量の約5%まで低下した時に低バッテリ状態372に入ってもよい。幾つかの実施形態では、バッテリが充電量の3%を下回ると自動レーシングシステム24が靴紐142、144を緩めて開放された態様364とし、ユーザが靴22を脱げるようにしてもよい。ここで
図18Mを参照すると、充電状態374が示されている。充電状態374では、すべてのLED332が発光し、開放された/閉じられた態様364、366、368、370の色とは異なる色を表示してもよい。上述した態様と状態はLED332の様々な発光態様に関連付けられて記述されたが、他のバリエーションも考えられる。例えば、幾つかの態様または状態において、LED332は、点滅する、異なる色に変化する、明滅する、あるは他の状態または態様を示す時に一つを明滅させてもよい。
【0077】
図19は
図1の一対の靴と充電器の側面図であり、一対の靴が充電器26上に載せられて充電を開始するまたは充電状態374に入るところである。この図に示されるように、ユーザは靴22の踵領域60を充電器26の踵収容ドック380上に載せればよい。踵収容ドック380は円形でもよく、あるいは楕円形状でもよく、全体的に靴22の踵領域60を受け入れるように形成することができる。充電器26は、また、壁上の電気コンセント(図示されない)などの充電のための電源に差し込むことができる取り外し可能な電源コード382を含む。以下により詳細に説明されるように、充電器26は、靴22内に設けられる靴コイル384(
図23AからC参照。)に電荷を提供する誘導コイル(図示されない)を含む。靴コイル384は、靴22のソール構造52内に設けられるバッテリ340に電気的に接続される。また、ここで述べるように、履物具44のバッテリ340は、ワイヤレスで充電できてもよく、あるいは、バッテリ340を履物具44から取り外してバッテリ340を直接電源に接続することで充電できてもよい。幾つかの実施形態では、充電器26上に靴22を載せるユーザの行為によって電源が起動して靴22のソール構造52内に位置するコイルに誘導電力が伝わり、これにより、バッテリに電力が提供される。
【0078】
図20は、それに結合される電源コード382が省略された充電器26の上面図である。
図20に示すように、充電器26は踵収容ドック380の二つを含み、これらは、一般的に円形であり、靴22の踵領域60を受け入れて保持することができる凹部390を備える。
図21は、開放された態様で示されてバッテリ340を保持する
図1のバッテリカートリッジ28の鳥観図である。バッテリカートリッジ28は、
図19に示された電源コードと同一または異なる電源コードでもよい電源コード382に接続されて示されている。電源コード382はバッテリカートリッジ28に固定的に連結されてもよく、電源コード382はバッテリカートリッジ28から取り外しできるように連結されてもよい。バッテリカートリッジ28はベース392、および回転できるようにベース392に接続されたカバー394を備える。バッテリ340がベース392に挿入されると、カバー394をバッテリ340上で閉じてバッテリカートリッジ28内にバッテリ340を完全に保護することができる。
【0079】
ここで
図22を参照すると、アッパー50が取り外された後の靴44のソール構造52が示されている。ソール構造52内に限定されたバッテリ孔402内に配置されたバッテリケース400が示されている。バッテリ孔402は、バッテリケース400をぴったり受け入れるように形作ることができ、全体としてソール構造52の外側80と内側82の間の中央に配置される。バッテリ孔402はソール構造52の全体に亘って延伸しない。バッテリ340、充電コイル384(
図23Aから23C参照。)を収容するコイルハウジング140、コントロールPCBまたは第2のコントローラ410(
図26参照。)、および充電PCBまたは第3のコントローラ412(
図33の等価回路参照。)を含むバッテリケース400が示されている。
図22を参照すると、バッテリケース400は、モータ216と電気的に接続される少なくとも一つのモータ配線414、およびハウジング140内に設けられるフレキシブル回路322に電気的に接続されるコントロール配線416を介して、ハウジング140と電気的に接続される。以下より詳細に説明するように、モータ配線414はコントロールPCB410をモータ216に接続し、(多数の配線を含みうる)コントロール配線416はコントロールPCB410をフレキシブル回路322およびそれに搭載される電子部品に接続する。
【0080】
図23Aから
図23Cはコイルハウジング140が除かれたバッテリケース400を示す。幾つかの実施形態では、コイルハウジング140は含まれない。具体的に
図23Aを参照すると、靴コイル384がより詳細に示されている。コイル384は充電配線420を介してバッテリ340に電気的に接続される。充電の間、コイル384は充電器26内でコイル(図示されない)と揃い、無線または誘導充電を介してバッテリ340を充電することができる。バッテリケース400内に配置されたバッテリ340が示されており、バッテリ340は、バッテリ340の端に設けられたバッテリ取り外しストラップ422を用いることで取り外すことができる。バッテリケース400は、バッテリケース400の反対側の端に設けられるコントローラハウジング424をさらに含む。コントローラハウジング140により、コントロールPCB410および/または充電PCB412にアクセスすることができる。バッテリケース400は、靴44のソール構造52内に効果的に、かつ、安全に保持されるような他の形状を有してもよい。
【0081】
図24と25は、ソール構造52からバッテリ340を取り外す段階の説明のための図である。
図24を参照すると、靴44の内部空洞54からインソール90を取り外すユーザ426が示されている。インソール90は、当業者に知られているように、靴44内にしまうことができる。一旦インソール90が取り外されると、具体的に
図25を参照するように、ユーザ426はバッテリ340の取り外しストラップ422にアクセスすることができる。そしてユーザ426は、ストラップ422を掴み、バッテリケース400からバッテリ340を取り外すことができる。上述したように、ユーザ426は、この後バッテリ340をバッテリカートリッジ28内に置けばよい。ここで述べた段階のほか、取り外しおよび/または充電の他の段階が含まれてもよい。幾つかの実施形態では、ストラップ422は含まれず、ユーザがバッテリ340を掴んで手動で外に引き出せるよう、指溝(図示されない)がバッテリケース400に設けられる。
【0082】
ここで
図26を参照すると、コントロールPCB410が示されている。コントロールPCB410は、そこに搭載される複数の部品を含み、複数の部品には、無線通信をサポートするモジュールとなり得る無線通信デバイス430、スイッチングレギュレータとなり得る第1のレギュレータ432、DCモータドライバとなり得るモータドライバ434、電圧レギュレータとなり得る第2のレギュレータ436が含まれる。複数の抵抗、容量、および他の電子部品もコントロールPCB410上に搭載されるが、ここでは特段参照しない。無線通信デバイス430はブルートゥース(登録商標)低エネルギー(BLE)無線通信をサポートする。好ましい実施形態では、無線通信デバイス430はオンボード水晶発振器、チップアンテナ、および受動部品を含む。無線通信デバイス430は、そのプログラム可能な構成を通し、例えばADC、タイマー、カウンタ、PWM、および例えばI2C、UART、SPIなどのシリアル通信プロトコルといった数多くの周辺機能をサポートしてもよい。無線通信デバイス430は、ここで特に言及されないプロセッサ、フラッシュメモリ、タイマー、およびその他の部品を含んでもよい。
【0083】
依然として
図26を参照すると、モータドライバ434もコントロールPCB上に設けられる。モータドライバ434は、3Vから5Vのロジックレベルで動くデュアル・ブラシ付きDCモータでもよく、(20kHzまでの)超音波PWMをサポートし、電流フィードバック、不足電圧保護、過電流保護、および過熱保護を特徴付ける。モータドライバ434は、チャネルあたり3アンペアまたはそれ以上の連続電流をモータ216に供給し、モータ出力電圧の(20kHzまでの)超音波パルス幅変調(PWM)をサポートし、これにより、PMW速度制御によって生じる、人に聞き取られるスイッチ音の減少に役立つ。
【0084】
依然として
図26を参照すると、リニアレギュレータ436も設けられる。リニアレギュレータ436は、固定出力電圧低ドロップアウトリニアレギュレータを含んでもよい。リニアレギュレータ436は、ビルトイン出力電流制限値を含んでもよい。スイッチングレギュレータ432もコントロールPCB410に含まれる。スイッチングレギュレータ432は、5-A、24-V集積電源スイッチを備えるモノリシック非同期スイッチングレギュレータでもよい。スイッチングレギュレータ432は、電流モードPWM制御された出力電圧を調整し、内部発振器を含む。PWMのスイッチング周波数は、外部抵抗または外部クロック信号に同期することで設定すればよい。スイッチングレギュレータ432は、内部5A、24VローサイドMOSFETスイッチ、2.9Vから16Vの入力電圧範囲の固定周波数電流モードPWMコントローラ、および約100kHzから約1.2MHzで調整できる周波数ハットを含んでもよい。
【0085】
再び
図16を参照すると、マイクロコントローラ326がフレキシブル回路322に設けられる。マイクロコントローラ326は、ハウジング140のパネル32上の容量性のタッチセンシングユーザインターフェースを実現し、制御する。マイクロコントローラ326は、16までの容量性センシング入力をサポートすることができ、容量性ボタン、スライダ、および/または近接センサがこれらに電気的に接続することを可能にし、これらの幾つかまたは全てがフレキシブル回路322に組み入れられてもよい。マイクロコントローラ326はアナログセンシングチャネルを含むことができ、100:1よりも大きな信号-ノイズ比(SNR)を提供することで喧騒な環境条件下でもタッチ精度を保証する。マイクロコントローラ326は、全ての環境下で最適なセンサ性能を動的に追跡して維持するようにプログラムされていてもよい。LEDの輝度制御、近接センシング、およびシステム診断などのより高等な機能がプログラムされていてもよい。マイクロコントローラ326は、雨や水滴、または水の流れによる偽タッチを排除することで液体耐性の設計が可能なように動作できるようにしてもよい。
【0086】
依然として
図16を参照すると、ホール効果ICまたはセンサ440が設けられてもよく(これは、フレキシブル回路322に設けられるように示されている)、これは、モータ216に隣接するNからSまたはその逆の磁界切り替えを検知し、この検知結果を次の切り替えまで出力上で維持するように動作することができる。出力は、S極場でローに引っ張られ、N極場でハイに引っ張られる。ホール効果センサ440は、モータ216の方向に関するフィードバックを提供するように動作できてもよい。他のセンサが設けられてもよく、種々のタイプのセンサがフレキシブル回路322または靴44の一部に設けられてもよい。ホール効果センサ440は、したがって、回転、位置、開放された/閉じられた態様、電流方向、および/または他の種々のモータ216の側面を検知するように動作することができる。ホール効果センサ440は、マイクロコントローラ326に電気的に接続される。
【0087】
ここで
図27から34を参照すると、上述した電子部品の電気的等価回路がより詳細に示されている。
図27を参照すると、ホール効果センサ440の等価回路がより詳細に示されている。上述したように、センサ440はモータ216の回転数および/または回転方向のトラックを保つように意図されている。
図28を参照すると、マイクロコントローラ326の等価回路が詳細に示されている。上述したように、マイクロコントローラ326は、LED332、スワイプセンサ324、およびホール効果センサ440に接続される。マイクロコントローラ326は、コントロールPCB410に設けられる他の電子部品にも接続される。
図29は無線通信モジュール430の電気的等価回路である。
図30はモータドライバ434の電気的等価回路である。
図31はスイッチングレギュレータ432の電気的等価回路である。
図32はレギュレータ436の電気的等価回路である。
【0088】
ここで
図33、34を参照すると、充電450と充電モジュール452の電気的等価回路が示されている。充電コントローラ450は、バッテリケース400内に収容することができるPCB412に設けられる。充電モジュール452は、種々の容量、ダイオード、および整流器を備え、数多くの他の態様を有することができる。充電モジュール452は、ユーザがバッテリ340を充電したいときにバッテリ340の充電を許容するように構成される。
【0089】
ブロック
図460が
図35に示されており、ブロック
図460は、自動レーシングシステム24内の上記の種々の電子部品を含む。自動レーシングシステム24は、コントロールPCB410、モータ216、フレキシブル回路320、バッテリ340、および充電PCB412を広く含む。複数のLED332、マイクロコントローラ326、およびホール効果センサ440がフレキシブル回路322に設けられる。コントロールPCB410は、無線通信モジュール430、レギュレータ436、スイッチングレギュレータ432、およびモータドライバ434を含む。モータ216はコントロールPCB410と電気的に接続される。フレキシブル回路322もコントロールPCB410と電気的に接続される。バッテリ340は全ての電子部品と電気的に接続されるが、バッテリ340はコントロールPCB410に直接接続されてもよい。ここで特段言及されない他の電子部品もコントロールPCB410またはフレキシブル回路322の一つに含まれてもよい。
【0090】
図36から39を参照すると、自動レーシングシステム24は、また、ブルートゥース(登録商標)または他のワイヤレス信号を用いてレーシングシステム24にペアリングまたは接続されるワイヤレスデバイス30を用いて制御することができる。これらの図は、ブルートゥース(登録商標)を介して自動レーシングシステム24にペアリングされたワイヤレスデバイス30の表示スクリーン462の典型的なスクリーンショットを提供している。まず、
図36を参照すると、表示スクリーン462は、ワイヤレスデバイス30を、電子デバイスを介して調整する特定の一対の靴22にペアリングするようユーザを誘導する。ペアリングに引き続き、ユーザは
図37に示されるようなスクリーンに招かれる。ユーザには靴情報464が与えられ、この場合には、靴情報464は左の靴40と右の靴42内のバッテリ340のエネルギーレベルである。靴情報464は一定の充電レベルを有するバッテリの形状でスクリーン上に伝えられる。靴情報は、きつさレベル、靴の温度、靴の態様、などの他の情報を含んでもよい。靴情報は、ここで特段言及されない他の側面をさらに含んでもよい。
【0091】
図38は、両方の靴22がワイヤレスデバイス30にペアリングされる直前の表示スクリーン462を示している。靴22の対を選択した後、ワイヤレスデバイス30は左の靴40または右の靴42上のLED332を起動し、両方の靴22上でLED332が発光したかどうかについて注意を向けるようにユーザを促してもよい。幾つかの実施形態では、表示スクリーンは、両方の靴22上でLED332が発光したか否かといった左の靴40または右の靴42に関する情報を要求してもよい。靴22の実際の対上のLED332に加え、ワイヤレスデバイス30は、表示スクリーン426上に示される靴の近くに各靴22のきつさレベルまたはきつさの状態を示すレベルインジケータ466を提供してもよい。靴22がワイヤレスデバイス30に一旦ペアリングまたは接続されると、ユーザは選択した履物に名前をつける若しくは登録したり、靴22の一つまたは複数の設定を操作するための靴22を選択したり、または表示スクリーン462上で他の入力を選択したりすることができる。
【0092】
図39に示される靴22が一旦電子デバイス30にペアリングされると、ユーザは、表示スクリーン462上の左の靴40、右の靴42、または一対の靴22上でスワイプアップまたはスワイプダウンすることで、対としての靴22を緩めるまたは締めることができる。靴22を締めるまたは緩めるため、ユーザは、まず、左の靴40、右の靴42、または一対の靴22を押すまたはタップする。次に、ユーザは、表示スクリーン462上の左の靴40、右の靴42、または一対の靴22をスワイプアップまたはスワイプダウンして靴22を緩めるまたは締める。上述したようにユーザがパネル32の上表面とどのように相互作用するかと同様、ユーザは、また、選択した靴44の一定の領域をタップしてもよい。
【0093】
操作の第1の方法に関する上述したすべての命令、すなわち、物理的な調節も、電子デバイス30の表示スクリーン462との相互作用を通じて実行することができる。このため、自動レーシングシステム24は、靴紐142、144が所定のきつさまで緩められる、予めセットされた開放された態様、および靴紐142、144が所定のきつさまで締められる、予めセットされた閉じられた態様とを含む所定のきつさレベルを有することができる。実際には、ユーザは、表示スクリーン462上の一対の靴22上でスワイプダウンすることで予めセットされた閉じられた態様の所定のきつさまで靴紐142、144を締めることができ、あるいは、表示スクリーン462上でスワイプアップすることで予めセットされた開いたの状態の所定のきつさまで靴紐142、144を緩めることができる。さらに、ユーザは、表示スクリーン462上の一対の靴22のつま先端をタップすることで予めセットされた閉じられた態様若しくは予めセットされた開放された態様のきつさを低減する、あるいは、表示スクリーン462上の一対の靴22の踵端をタップすることで予めセットされた閉じられた態様若しくは予めセットされた開放された態様のきつさを増大することにより、予めセットされた開いた若しくは閉じた状態の靴紐の所定のきつさを調節することができる。
【0094】
図18Aから18Mのスワイプ命令も表示スクリーン462に適用可能であり、この点に関してここで説明する。
図18AからMおよび39を参照すると、閉じるスワイプ命令350を有効化するため、ユーザは表示スクリーン462をタッチしてスワイプダウンする。開放するスワイプ命令352は、ユーザが表示スクリーン462をタッチしてスワイプアップすることで有効化できる。開放するスワイプ命令352は、完全に靴22を緩めてもよい。調整/開放命令354は、ユーザが表示スクリーン462上の靴22の踵端において表示スクリーン462をタッチすることで有効化することができる。調整/開放命令354は、一定増分で自動レーシングシステム24の靴紐142、144を緩める。調整/紐締命令356は、ユーザが表示スクリーン462上の靴22のつま先端において表示スクリーン462をタッチすることで有効化することができる。調整/紐締命令356は、一定増分で自動レーシングシステム24の靴紐142、144を締める。
【0095】
リセット命令358は、ユーザが表示スクリーン462を10秒間タッチまたは押すことで有効化できる。リセット命令358は、自動レーシングシステム24を工場の設定、または他のタイプのゼロセッティングに戻してもよい。接続/ペアリング命令360は、ユーザが表示スクリーン462を1または2秒間押し下げることで有効化できる。接続/ペアリング命令360は、ブルートゥース(登録商標)を介して一対の靴22を電子デバイス30に接続またはペアリングするために用いることができる。立ち上げ命令362は、ユーザが一対の靴22上で表示スクリーン462をタッチすることで有効化できる。立ち上げ命令362は、自動レーシングシステム24をオンにすることができる。
【0096】
電子デバイス30を通してLED332の様々な発光態様を操作することができる。ユーザは、一つまたは複数の入力を電子デバイス30に与えることで、靴22をそれぞれ開放された態様364、第1の閉じられた態様366、第2の閉じられた態様368、および/または第3の閉じられた態様370にすることができる。さらに、これらの態様や状態は、表示スクリーン462を通してユーザに表示してもよい。例えば、低バッテリ状態372または充電状態374を電子デバイス30上に表示してもよい。上述した態様や状態は、LED332の種々の発光態様に関連付けて説明したが、他のバリエーションを電子デバイス30の表示スクリーン462上で行うことができる。例えば、幾つかの態様または状態では、LED332が点滅する、異なる色に変化する、明滅する、あるは他の状態または態様を示す時に一つを明滅させてもよい。
【0097】
幾つかの実施形態では、ユーザが選択した靴を完全に締める、選択した靴を完全に緩める、選択した靴を段階的に締める、選択した靴を段階的に緩める、LED332によって表示される特定の色を選択する、および/または選択した靴について望みの若しくは好ましいきつさを選択することができるための一つまたは複数のボタンといった他の制御手段が表示スクリーン462上に提供される。幾つかの実施形態では、ユーザは、選択した靴を望みの程度まで特定の時間に自動的に緩めるまたは締める一つまたは複数のタイマーを表示スクリーン462上でセットできてもよい。
【0098】
自動レーシングシステムを備える従来の履物具では、自動レーシングシステムが作動している間に雑音/音を発生することがある。自動レーシングシステムによって生成する音のレベルまたは強度は望ましくないほど高いことがあり、これは、履物具のユーザにとって不快な経験を引き起こす。例えば、自動レーシングシステムを作動させるたびに(例えば、靴紐を締めるまたは緩める間)、ユーザ体験の観点から不快な音を自動レーシングシステム内の部品が発生することがある。
【0099】
本開示の実施形態は、履物具上の自動レーシングシステムによって生成される音のレベルまたは強度を減衰または低減するための、そして自動レーシングシステムを起動する間ユーザに聞きとられる音のレベルまたは強度を低減するためのシステムと方法を提供する。
【0100】
本開示の実施形態は、概して履物具上の自動レーシングシステムによって生成する音を電子的に減衰することを含む。例えば、自動レーシングシステムによって生成する音を減衰音波の電子的生成によって低減または消失させてもよい。幾つかの実施形態では、例えば、自動レーシングシステムが起動する間(例えば、自動レーシングシステムのモータが起動して動作する間)、自動レーシングシステムの動作に応答して減衰音波を生成することによって、電子的に減衰することを能動的に制御してもよい。幾つかの実施形態では、例えば、自動レーシングシステムの電源がオンになると減衰音波を常に発生させることにより、電子的に減衰することを受動的に制御してもよい。
【0101】
図40は、スピーカ500とサウンドコントローラ502を含む自動レーシングシステム24の一つの実施形態を示す。図示された実施形態では、スピーカ500はコントロールPCB410に接続され、コントロールPCB410はサウンドコントローラ502を含む。スピーカ500は、概して所定の強さと位相で減衰音波を出力するように構成される。スピーカ500によって出力される減衰音波の強さは、自動レーシングシステム24が動作する間に発生する音の強さと同一またはほぼ同一でよい。減衰音波の位相は、自動レーシングシステム24が動作する間に発生する音に関して反転または180°ずれてもよい。同一強度と反転位相の減衰音波は自動レーシングシステム24が生成する音と干渉し、自動レーシングシステム24の動作中に生成する音を効果的に低減または消失させる。
【0102】
サウンドコントローラ502は、概してスピーカ500の始動(すなわち、減衰音波の出力が開始される時)、減衰音波が出力される期間、および減衰音波の特性(例えば、強さと位相)を制御する。サウンドコントローラ502は、プロセッサ(図示されない)とメモリ(図示されない)を含んでもよい。図示された実施形態では、サウンドコントローラ502はコントロールPCB410に統合され、無線通信モジュール430とモータドライバ434、したがってモータ216に接続される。幾つかの実施形態では、サウンドコントローラ502は、靴紐142、144を締めるまたは緩めるためにモータ216へ信号を送信するモータドライバ434に応答して減衰音波の出力を始動してもよい。例えば、サウンドコントローラ502は、モータ216の動作に応答してスピーカ500に信号を送信し、減衰音波を開始し、モータ216の停止に応答して別の信号をスピーカ500に送信し、減衰音波を停止してもよい。この方法では、例えば、モータ216、したがって、自動レーシングシステム24が操作されている間、減衰音波をスピーカ500によって出力することができる。
【0103】
代替的にまたは追加的に、サウンドコントローラ502は、ワイヤレスデバイス30とペアリングした無線通信モジュール430、または靴紐142、144を締めるまたは緩めるためにワイヤレスデバイス30のディスプレイ462に対して行われたユーザ入力に応答して減衰音波の出力を始動するように構成されてもよい。例えば、ユーザは、ここで述べるように、ディスプレイ462に入力を行って自動レーシングシステム24を介して靴紐142、144を締めるまたは緩めることができる。サウンドコントローラ502は、無線通信モジュール430との接続を介してディスプレイ462に対するユーザ入力を検出し、スピーカ500に命令して減衰音波を出力させてもよい。サウンドコントローラ502は、紐締または解紐が完了するまで、例えば、モータドライバ434との接続を介してモータ216が停止するまで、スピーカ500に減衰音波を出力させ続けてもよい。
【0104】
図示された実施形態では、コントロールPCB410、したがって、サウンドコントローラ502は、フレキシブルPCB320に接続される。サウンドコントローラ502も(例えば、ここで述べた制御戦略に替わって、または制御戦略と共に)、パネル32へのユーザ入力(すなわち、スワイプセンサ324とのユーザ相互作用)に応答してスピーカ500を始動して減衰音波を出力するように構成してもよい。例えば、サウンドコントローラ502は、フレキシブルPCB320との接続を介してパネル32へのユーザ入力を検出し、スピーカ500に減衰音波を出力させてもよい。サウンドコントローラ502は、フレキシブルPCB320がパネル32に対するユーザ入力を検知する間、スピーカ500に減衰音波を出力させ続けてもよく、パネル32へのユーザ入力が消失するまたはもはや検出できなくなるとスピーカ500をオフにさせてもよい。
【0105】
幾つかの実施形態では、自動レーシングシステム24が起動中に出力する音波の特性をサウンドコントローラ502のメモリに格納してもよい。この方法では、例えば、サウンドコントローラ502は、自動レーシングシステム24によって出力される音波(例えば、モータ216および/またはギアトレイン214によって生成される音波)を減衰または消失することを容易にする特性を備える減衰音波を出力するように構成されてもよい。例えば、サウンドコントローラ502は、自動レーシングシステム24によって出力される音波の強さとほぼ同一または同一の強さを有し、自動レーシングシステム24によって出力される音波の位相と反転または180°ずれた位相を有する減衰音波をスピーカ500に出力させてもよい。
【0106】
一般的に、自動レーシングシステム24が起動中に生成する音/雑音の実質的部分は、ギアトレイン214および/またはモータ216上の相互作用に起因することがある。幾つかの実施形態では、スピーカ500は、ギアトレイン214に隣接して自動レーシングシステム24内に配置してもよい。
図41と42は、自動レーシングシステム24内に配置されたスピーカ500の一つの実施形態を示す。図示された実施形態では、スピーカ500はハウジング140内に配置される。具体的には、スピーカ500はトップカバー250とモータハウジング242の間に収容されてモータハウジング242のアウタープラットフォーム284によってサポートされる。スピーカ500は、ギアトレイン開口282に隣接するアウタープラットフォーム284の角に配置される。この方法では、例えば、スピーカ500は、自動レーシングシステム24の雑音(例えば、モータ216および/またはギアトレイン214)の主発生源の近辺で減衰音波を出力することができる。
【0107】
幾つかの実施形態では、スピーカ500は自動レーシングシステム24の他の場所に搭載されてもよい。例えば、スピーカ500は、アウタープラットフォーム284のギアトレイン開口282に隣接する角以外の他の角に配置されてもよい。幾つかの実施形態では、スピーカ500は、トップカバー250の底面304とモータハウジング242の間に形成される空洞を定める任意の表面上の任意の位置に配置されてもよい。
【0108】
幾つかの実施形態では、
図43と44に示されるように、自動レーシングシステム24は一つまたは複数のスピーカ500を備えてもよい。例えば、
図43は、アウタープラットフォーム284の対向する角上に支持された二つのスピーカ500を含む自動レーシングシステム24の実施形態を示している。
図44は、アウタープラットフォーム284の各角上に支持された四つのスピーカ500を含む自動レーシングシステム24の実施形態を示している。幾つかの実施形態では、自動レーシングシステム24は、トップカバー250の底面304とモータハウジング242の間の空洞を定める任意の表面上に四つよりも多いスピーカ500を備えてもよい。
【0109】
幾つかの実施形態では、例えば、自動レーシングシステム24は、フィードバック制御手段を備える能動的音減衰能を備えてもよい。
図45は、スピーカ500、サウンドコントローラ502、およびマイクロフォン504を含む一つの実施形態を示している。マイクロフォン504は、自動レーシングシステム24から発せられる音(例えば、モータ216および/またはギアトレイン214によって生成する音波)を検出するように構成される。例えば、マイクロフォンは、少なくとも自動レーシングシステム24が動作時(例えば、靴紐142、144の紐締または解紐)に生成する音波の強さと位相を検出するように構成されてもよい。
【0110】
図示された実施形態では、マイクロフォン504はコントロールPCB410、したがって、サウンドコントローラ502に接続されている。サウンドコントローラ502は、全体としてマイクロフォン504の始動または起動を制御する。幾つかの実施形態では、マイクロフォン504の始動は、スピーカ500に関してここで記載した始動方法に類似する。例えば、マイクロフォン504は、モータ216の軌道、靴紐142、144を締めるまたは緩めるためのワイヤレスデバイス30のディスプレイ462へのユーザ入力、およびパネル32へのユーザ入力(すなわち、スワイプセンサ324とのユーザ相互作用)の一つまたは複数に応答して始動して録音を開始してもよい。
【0111】
マイクロフォン504がサウンドコントローラ502によって始動して録音を開始すると、マイクロフォン504は、自動レーシングシステム24が停止するまで(例えば、紐締または解紐が停止すると)自動レーシングシステム24から(例えば、ギアトレイン214および/またはモータ216における相互作用から)発せられる音を記録することができる。自動レーシングシステム24から発せられ、マイクロフォン504によって記録された音はサウンドコントローラ502に送信され、サウンドコントローラ502は、記録された音を少なくとも強さと位相について解析する。記録された音の強さと位相がサウンドコントローラ502によって決定されると、サウンドコントローラ502は、次に、記録された音に関して同一またはほぼ同一の強さと逆位相(例えば、180°ずれた位相)の減衰音波を実質的に同時にスピーカ500に出力させる。マイクロフォン504は、自動レーシングシステム24の動作中に連続的に音を記録してもよく、サウンドコントローラ502は、応答として、干渉する、したがって、記録された音を減衰または消失するように連続的に調節される特性を有する減衰音波をスピーカ500に連続的に出力させてもよい。この方法では、例えば、自動レーシングシステム24の動作中に生成する音を低減または消失させてより好ましいユーザ体験を提供することができる。
【0112】
図46は、自動レーシングシステム24内に配置されたスピーカ500とマイクロフォン504の一つの実施形態を示す。図示された実施形態では、スピーカ500とマイクロフォン504は同一のモジュールに統合されており、モータハウジング242のアウタープラットフォーム284によって支持される。具体的には、スピーカ500とマイクロフォン504は、ギアトレイン開口282に隣接するアウタープラットフォーム284の角に配置される。
【0113】
幾つかの実施形態では、スピーカ500とマイクロフォン504は別個の部品として自動レーシングシステム24内に搭載されてもよい。例えば、
図47は、アウタープラットフォーム284に支持され、アウタープラットフォーム284の対向する角に配置されたスピーカ500とマイクロフォン504を含む自動レーシングシステム24の一つの実施形態を示す。マイクロフォン504をギアトレイン開口282に隣接するアウタープラットフォーム284の角に配置し、スピーカ500を対向する角に配置してもよい。この方法では、例えば、自動レーシングシステム24の動作中にギアトレイン214および/またはモータ216から発せられる音を記録するようにマイクロフォン504を置いてもよく、これにより、スピーカ500は、ギアトレイン214および/またはモータ216からの音を低減または消失させる特性を備える減衰音波を出力することが可能となる。
【0114】
幾つかの実施形態では、自動レーシングシステム24は、一つまたは複数のスピーカ500と一つまたは複数のマイクロフォン504を備えてもよい。例えば、
図48に示すように、自動レーシングシステム24は二つのスピーカ500と二つのマイクロフォン504を有してもよい。図示された実施形態では、一方のスピーカ504をギアトレイン開口282に隣接するアウタープラットフォーム284の角に配置し、他方のスピーカ504をアウタープラットフォーム284の対向する角に配置してもよい。スピーカ500は、マイクロフォン504からオフセットしたアウタープラットフォーム284の対向する角に配置してもよい。幾つかの実施形態では、スピーカコントローラ502は、マイクロフォン504によって記録された音波を平均して平均的特性に基づいて減衰音波をスピーカ500に出力させてもよい。幾つかの実施形態では、スピーカコントローラ502は、個別の記録に基づいて減衰音波をスピーカ500に出力させてもよい。例えば、スピーカ500の一つがマイクロフォン504の一つからの記録された音に基づく特性に対応する減衰音波を出力し、スピーカ500の他の一つがマイクロフォン504の他の一つからの記録された音に基づく特性に対応する減衰音波を出力してもよい。
【0115】
幾つかの実施形態では、自動レーシングシステム24は、自動レーシングシステム24内の任意の位置に配置された二つを超えるスピーカ500および/または二つを超えるマイクロフォン504を備えてもよい。例えば、一つまたは複数のスピーカ500と一つまたは複数のマイクロフォン504がトップカバー250の底面304とモータハウジング242の間の空洞を定める表面上の任意の位置に配置してもよい。
【0116】
ここで述べた電子的音減衰技術に替わり、またはこれに加え、自動レーシングシステム24は、自動レーシングシステム24が動作中に生成する音のレベルまたは強度を吸収または低減する機械的音減衰または音吸収特性を備えてもよい。幾つかの実施形態では、自動レーシングシステム24は、自動レーシングシステム24によって生成される音波を受け取ってその音の一部または全てを熱に変換するように構成された多孔性材料で製造された一つまたは複数のパネル若しくは層を含んでもよく、これにより、自動レーシングシステム24が出力した音を減衰することができる。これに替わりまたは加え、自動レーシングシステム24の部品を包むまたは封止し、自動レーシングシステム24から音が周辺環境に漏洩することを防ぐまたは実質的に防いでもよい。
【0117】
図49は、音減衰パネル506を含む自動レーシングシステム24の一つの実施形態を示す。音減衰パネル506は、トップカバー250の底面304とモータハウジング242の間で定められる空洞内に配置されてもよい。図示された実施形態では、例えば、音減衰08320866パネル506は、トップカバー250の底面304とモータハウジング242の間で定められる空洞の形状と大きさに一致してもよい。幾つかの実施形態では、音減衰パネル506は、モータハウジング242の形状に一致するよりもむしろトップカバー250の底面304に取り付けられて全体的に一定の厚さを定めてもよい。
【0118】
音減衰パネル506は、全体的に、音減衰パネル506に進む自動レーシングシステム24からの音波(例えば、モータ216および/またはギアトレイン214によって生成される音波)を効果的に弱める音響絶縁材料から形成されてもよい。例えば、音減衰パネル506は、自動レーシングシステム24によって生成されて入射する音波を吸収するおよび/または反射を実質的に禁止するように構成することができる。幾つかの実施形態では、音減衰パネル506は、コルク材料、不織繊維材料、ゴム材料、ビニール材料、マスロードビニール材料、高分子材料、発泡材料、滑り止めされた発泡材料、熱可塑性高分子発泡体、または多孔質材料で形成してもよい。
【0119】
自動レーシングシステム24の動作中、生成する音波は音減衰パネル506に入射することがある。音減衰パネル506の材料特性により、音減衰パネル506に入射する音波の少なくとも一部を音減衰パネル506に吸収して熱に変換することができる。この方法では、自動レーシングシステム24によって生成された音を減衰することができ、これにより、自動レーシングシステム24の動作中に生成する騒音の全体を低減または消失させることができる。
【0120】
幾つかの実施形態では、音減衰パネル506の幾何学的性質をカスタマイズして自動レーシングシステム24の動作中にギアトレイン214および/またはモータ216によって生成される音を効果的に吸収、減衰してもよい。例えば、ギアトレイン214上の相互作用および/またはモータ216の動作によって生成する音の周波数が分かっていることがあり、音減衰パネル506をこの周波数において音を効果的に減衰する構造的性質を備えるように設計すればよい。幾つかの実施形態では、音減衰パネル506は、自動レーシングシステム24の動作中にギアトレイン214および/またはモータ216によって生成される音の周波数の吸収または減衰に見合った細孔、その細胞構造中の空隙、および/または三次元構造(例えば、表面のリッジ)を備えてもよい。
【0121】
幾つかの実施形態では、音減衰パネル506は、ここで述べた材料の一つまたは複数のハイブリッド材料または組み合わせで作製されてもよい。
図50は、音減衰パネル506を形成することができるハイブリッド材料508の実施形態を示す。図示された実施形態では、ハイブリッド材料508は、不織繊維マトリクス512中に分散した複数のビーズ510を含む。幾つかの実施形態では、複数のビーズ510は、熱可塑性ポリウレタン発泡体(E-TPU)で作製されてもよい。複数のビーズ510は繊維マトリクス512内を移動することができ、このことは音減衰パネル506の音吸収/減衰能に役立つ。例えば、複数のビーズ510は、自動レーシングシステム24によって生成された音波が不織繊維マトリクス512を通過するときに振動してもよい。複数のビーズ510の振動が自動レーシングシステム24によって生成される音の少なくとも一部を吸収する。さらに、不織繊維マトリクス512自身が自動レーシングシステム24によって生成される音の一部を吸収することができる。
【0122】
幾つかの実施形態では、音減衰パネル506は、一体化された部品として(例えば、単一の材料として)形成されてもよい。幾つかの実施形態では、音減衰パネル506は、異なる材料性質を有する二つ以上の層で形成されてもよい。
図51は、第1の層514と第2の層516を含む音減衰パネル506の一つの実施形態を示す。幾つかの実施形態では、第1の層514は、第2の層516よりもモータハウジング242に近く配置してもよい(例えば、第2の層516はトップカバー250の底面304に取り付けられてもよい。)。幾つかの実施形態では、第1の層514は、自動レーシングシステム24によって生成される音波を音減衰パネル506に伝えることができる空隙または細孔を有する材料(例えば、発泡体、コルク、不織繊維)で作製してもよい。自動レーシングシステム24によって生成される音波の一部が第1の層514によって吸収され、残りの音波が第2の層516まで伝わってもよい。幾つかの実施形態では、第2の層516は、第1の層508とは異なる材料(例えば、発泡体、コルク、不織繊維、ゴム、ビニール、マスロードビニール材料、高分子、熱可塑性高分子発泡体など)で形成されてもよく、第1の層508を通過する音波の一部をさらに吸収、減衰、または反射してもよい。
【0123】
幾つかの実施形態では、音減衰パネル506は、
図52に示すように、二つを超える層で形成されてもよい。図示された実施形態では、音減衰パネル506は第1の層514、第2の層516、および第3の層518を含み、第2の層518が第1の層514と第3の層518の間に配置される。第1の層514、第2の層518、および第3の層518は、それぞれ異なる材料で形成されてもよい。幾つかの実施形態では、第1の層514、第2の層516、および第3の層518のうち二つは同一の材料で形成されてもよい。
【0124】
幾つかの実施形態では、音減衰パネル506は、好ましい向きで互いに隣接する複数の防音パネルで作製されてもよい。複数の防音パネルの各々は、自動レーシングシステム24に面する音減衰パネル506の表面上の表面構造を定めてもよい。例えば、表面構造は、音吸収および減衰に役立つ好ましいパターンで各防音パネル上に配置された複数の突起または窪みを備えてもよい。
図53は、複数の防音パネル520を備える音減衰パネル506の実施形態を示す。全体として防音パネル520の各々は、音減衰パネル506が自動レーシングシステム24内に囲まれるように形作ることができる。例えば、図示された実施形態では、防音パネル520の各々はトップカバー250の底面304に取り付けられ、音減衰パネル506の外周に沿って配置された複数の防音パネル520の一部は、トップカバー250の輪郭に合致するように形状が異なる。幾つかの実施形態では、音減衰パネル506は、モータハウジング242に取り付けられて複数の防音パネル520がモータカバー242の外表面(すなわち、トップカバー250の底面304とモータカバー242の間で定められる空洞内に配置される表面)を覆うように配置されてもよい。幾つかの実施形態では、自動レーシングシステム24は、トップカバー250の底面304とモータハウジング242の間の空洞を定義する各表面上に配置された複数の防音パネル520を備えてもよい。
【0125】
防音パネル520の各々は、音減衰パネル506の外側表面524を累積的に定める、構造化された表面522を備える。複数の防音パネル520の各々は、構造化された表面522が防音パネル520が取り付けられる表面から離れるように自動レーシングシステム24内に配置される。例えば、構造化された表面522がモータハウジング242に向かって底面304から離れるように防音パネル520の一つをトップカバー250の底面304に取り付けてもよい。この場合、例えば、防音パネル520の配置により、動作中に自動レーシングシステム24が発生する音波を確実に構造化された表面522に当てることができる。
【0126】
構造化された表面522は、全体的に、入射する音波の反射を抑制、最小化、または防止する、および/または入射する音波の吸収を促進するように形作ることができる。
図54から57は、構造化された表面522の形状とデザインについての種々の実施形態を示す。例えば、
図54の実施形態では、構造化された表面522は、構造化された表面522に窪む複数の溝526を備える。複数の溝526の各々は、全体的に隣接する溝526から離隔して平行に配置される。複数の溝526の各々は、一方の辺から他方の辺へ防音パネル520を横切るように延伸する。
図55は、複数のピラミッド型突起528を備える構造化された表面522の実施形態を示す。ピラミッド型突起528は、構造化された表面522をグリッドまたはアレイパターンで覆う。
図56は、複数の半球状または卵型窪み530を備える構造化された表面522の実施形態を示す。複数の半球状窪み530は、グリッドまたはアレイパターンで構造化された表面522上に配置される。
図57は、複数の三角形状の突起532を備える構造化された表面522の実施形態を示す。三角形状の突起532は、全体として互いに平行であり、一方の辺から他方の辺へ防音パネル520を横切るように延伸する。図示された実施形態では、防音パネル520は、グリッドまたはアレイパターンで配置され、各防音パネル520が隣接する防音パネル520に対して回転してずれるように配置することができる。例えば、各防音パネル520は、隣接する防音パネル520に対して90°の回転でずれてもよい。図示された実施形態では、隣接する防音パネル520の回転のずれによって三角形状の突起532が交互する向きで配置され(例えば、
図57の鳥観図から、縦の配置と水平の配置が交互する)、これにより、防音パネル520の音吸収、減衰特性が改善される。
【0127】
幾つかの実施形態では、所定の周波数範囲において音減衰を増進するように構造化された表面522の幾何学的性質を設計してもよい。例えば、ギアトレイン214および/またはモータ216内の相互作用によって生成される音の周波数を含む周波数範囲において音を吸収するように、構造化された表面522の幾何学的性質を設計してもよい。幾つかの実施形態では、ギアトレイン214および/またはモータ216によって生成される音の周波数を吸収するように、溝526の深さ、溝526の幅、および/または溝526間の距離を調整してもよい。幾つかの実施形態では、ギアトレイン214および/またはモータ216によって生成される音の周波数を吸収するように、ピラミッド型突起528の高さ、アレイにおけるピラミッド型突起528の数、および/またはピラミッド型突起528の外観を作り出す三角形の内角を調整してもよい。幾つかの実施形態では、ギアトレイン214および/またはモータ216によって生成される音の周波数を吸収するように、半球状窪み530の深さ、半球状窪み530の直径、および/またはアレイ中の半球状窪み530の数を調整してもよい。幾つかの実施形態では、ギアトレイン214および/またはモータ216によって生成される音の周波数を吸収するように、三角形状の突起532の高さ、三角形状の突起532の内角、および/または構造化された表面522上の三角形状の突起532の数を調整してもよい。
【0128】
防音パネル520の幾何学的性質に加え、自動レーシングシステム24内の一つまたは複数の部品によって生成される音に対応する周波数範囲において音を吸収するように、防音パネル520を作製する材料を構成してもよい。例えば、防音パネル520の材料は、自動レーシングシステム24の動作中にギアトレイン214および/またはモータ216内の相互作用によって生成される音の周波数を吸収する性質を備えてもよい。幾つかの実施形態では、防音パネル520は、コルク材料、不織繊維材料、ゴム材料、ビニール材料、マスロードビニール材料、高分子材料、発泡材料、滑り止めされた発泡材料、熱可塑性高分子発泡材料、または多孔質材料で作製してもよい。
【0129】
幾つかの実施形態では、自動レーシングシステム24は、音が自動レーシングシステム24の内部から散逸して周辺環境へ漏洩する(そして、ユーザの耳に入る)ことを防止するために役立つよう、自動レーシングシステム24内に配置された一つまたは複数のシールを備えてもよい。
図58は、モータハウジング242の外周に沿って配置されたベースシール534を備える自動レーシングシステム24の一つの実施形態を示す。具体的には、ベースシール534は、アウタープラットフォーム284の外周の周りに配置される。
【0130】
自動レーシングシステム24が組み立てられる際、トップカバー250の底面304が少なくとも部分的にベースシール534に噛み合ってベースシール534を圧縮するようにトップカバー250をベースシール534上に据え付ければよい。この場合、例えば、ベースシール534は、音波がトップカバー250とモータハウジング242の間の界面を介して伝達するのを防止するために役立つことができる。幾つかの実施形態では、ベースシール534は、例えば、ゴム材料、滑り止めされた発泡材料、発泡材料、または高分子材料で作製されたガスケットの形状でもよい。
【0131】
ここで述べたように、起動している際に自動レーシングシステム24によって生成される音/雑音の実質的部分はギアトレイン214の相互作用および/またはモータ216の動作による。幾つかの実施形態では、自動レーシングシステム24は、ベースシール534に替わり、あるいはベースシール534に加えて、ギアトレイン214とモータ216を閉じ込める一つまたは複数のシールを備えてもよい。
図59は、ギアトレインシール536を備える自動レーシングシステム24の一つの実施形態を示す。ギアトレインシール536は、モータハウジング242のギアトレイン開口282の外周の周りに配置される。幾つかの実施形態では、ギアトレインシール536は、例えば、ゴム材料、滑り止めされた発泡材料、発泡材料、または高分子材料で作製されたガスケットの形状でもよい。
【0132】
自動レーシングシステム24が組み立てられる際、ギアトレインハウジング246が少なくとも部分的にギアトレインシール536に噛み合ってギアトレインシール536を圧縮するよう、ギアトレインハウジング246をギアトレイン開口282上に据え付けてもよい。この場合、例えば、ギアトレインシール536は、モータハウジング242とギアトレインハウジング246の間の界面を通って音波が伝達するのを防止することに役立つことができる。
【0133】
幾つかの実施形態では、ギアトレイン214は、ギアトレイン開口282内にシールされて、液体(例えば、作動油)に浸かっていてもよい。例えば、ギアトレインシール536は、ギアトレインハウジング246とモータハウジング242の間の界面を介した漏れを防止することができる。さらに、第1のシャフト252、第2のシャフト262、第3のシャフト270、および/またはモータシャフト274は、シャフトとモータハウジング242間の界面に配置された一つまたは複数のOリングを備えてギアトレイン214をギアトレイン開口282内にシールしてもよい。一つまたは複数のOリングは、ギアトレインシール536と組み合わされてギアトレイン開口282内において封止された壁を提供することができ、その上、この中に液体(例えば、作動油)を充填することができる。ギアトレイン開口282内の液体は、自動レーシングシステム24の動作中にギアトレイン214の相互作用によって生成される音を吸収または減衰することができる。ギアトレイン開口282内の液体の本質的な音減衰性質に加え、液体はギアトレイン214上の相互作用によって生み出される摩擦を低減することにさらに役立つことができ、このことは、一方でモータ216に必要な出力を低減する。摩擦とギアトレイン214を駆動するために必要な出力が低減することで、自動レーシングシステム24の動作中に生成する音の量をさらに低減することができる。
【0134】
幾つかの実施形態では、自動レーシングシステム24は、自動レーシングシステム24の動作中に発生する音がユーザまで届くことを防止するように設計してもよい。例えば、自動レーシングシステム24の内部(例えば、トップカバー250の底面304とモータハウジング242の間で定められる空洞)と周辺環境の間を延伸する開口または開孔を排除するように自動レーシングシステム24の部品を設計してもよい。
図60と61は、自動レーシングシステム24の開口を持たないトップカバー250の実施形態を示す。具体的には、図示された実施形態では、トップカバー250の外側表面538は、概して連続しており、第1の外側の開口180、第2の外側の開口182、第1の内側の開口184、および第2の内側の開口186を持たない。
【0135】
第1の外側の開口180、第2の外側の開口182、第1の内側の開口184、および第2の内側の開口186を持たないため、自動レーシングシステム24内の部品はトップカバー250によって閉じ込められ、自動レーシングシステム24によって生成される音波がトップカバー250を介して靴22を取り巻く外部環境に直接伝わることを防ぐことができる。トップカバー250の開口を容易に取り除くため、靴紐142、144は、ここで述べたパスに替わるパスに沿って引き回してもよい。例えば、靴紐142、144をトング176を通って、またはトング176の下に引回し、ホイールギア210に噛み合わせるためにモータハウジング242のアウタープラットフォーム284に形成される開口を介して自動レーシングシステム24内に延伸してもよい。
【0136】
幾つかの実施形態では、靴紐142、144をコンジットを通して引回し、トップカバー250に形成される開口を封止してもよい。例えば、
図62は、レースコンジット540とビーズ542を自動レーシングシステム24の各側面に備える自動レーシングシステム24の実施形態を示す。すなわち、一つのレースコンジット540と一つのビーズ542をトップカバー250の外側312に配置し、もう一つのレースコンジット540ともう一つのビーズ542をトップカバー250の内側316に配置してもよい。幾つかの実施形態では、レースコンジット540を織られた繊維材料で形成してもよい。幾つかの実施形態では、ビーズ542は、ゴム材料、滑り止めされた発泡材料、発泡材料、または高分子材料で形成されてもよい。
【0137】
レースコンジット540は靴紐142、144を自動レーシングシステム24の中と外を引回し、靴紐142、144はレースコンジット540内でスライドできるように収容される。ビーズ542の各々は、対応する一方のレースコンジット540の遠位端に配置される。一方のビーズ542はトップカバー250の外側312に噛み合い、他方のビーズ542はトップカバー250の内側と噛み合う。ビーズ542の各々は、トップカバー250に形成され、靴紐142、144を自動レーシングシステム24内へ通してホイールギア210と連結することを許容する開口上でシールされてもよい。トップカバー250に開口部を持たない
図61と62の実施形態と同様、トップカバー250にシールされたビーズ542は、自動レーシングシステム24の動作中に発生する音波がトップカバー250を介して靴22を取り巻く環境へ直接伝達することを防ぐことができる。
【0138】
幾つかの実施形態では、自動レーシングシステム24の部品は、自動レーシングシステム24の動作中に発生する音波を吸収する、および/または動作中に音を発生しにくい材料で形成してもよい。例えば、幾つかの実施形態では、トップカバー250および/またはモータハウジング242は、音を吸収する性質を有する材料で形成してもよい。幾つかの実施形態では、トップカバー250および/またはモータハウジング242は、コルク材料で形成してもよい。幾つかの実施形態では、トップカバー250および/またはモータハウジング242は、ゴム材料、ビニール材料、マスロードビニール材料、高分子材料、発泡材料、滑り止めされた発泡材料、熱可塑性高分子発泡材料、または多孔質材料で形成してもよい。
【0139】
幾つかの実施形態では、自動レーシングシステム24内のギアをプラスチック、ゴム、または高分子材料で形成し、噛み合わされたギア間の相互作用によって発生する音を低減してもよい。例えば、ギアトレイン214を構成するギア(例えば、第1のギア240、第2のギア258、第3のギア260、第4のギア266、第5のギア268、およびモータギア272)をプラスチック、ゴム、または高分子材料で形成してもよい。プラスチック、ゴム、または高分子材料は、例えば金属材料と比較すると、ギアトレイン214上での相互作用(例えば、回転中のギアの歯の連結)による音を発生しにくいことがある。
【0140】
ここで述べた実施形態のいずれも、他の実施形態に関連して開示されたいずれの構造や方法を含むように変更することができる。さらに、本開示は具体的に示されたタイプの履物具に限定されるものではない。さらに、ここで述べられたいずれの実施形態の履物具の側面は、他の如何なるタイプの履物、衣服、その他運動具で機能するように変更してもよい。
【0141】
上述したように、特定の実施形態と実施例に関連付けて本開示が記述されているものの、本開示は必ずしもそのように限定されるものではなく、数多くの他の実施形態、実施例、使用、変更、実施形態からの逸脱、例、使用は、添付された請求項に含まれることが当業者によって理解されるであろう。ここで引用された各特許と公開公報の開示は、あたかもここで各特許または公開公報が参照によって個別に組み合わされるように、参照として組み込まれる。本発明の種々の特徴や利点は、以下の請求項で表される。
【産業上の利用可能性】
【0142】
上記記載に照らすと、本開示に対する数多くの変更が当業者にとって明らかになるであろう。したがって、この記載は単に説明のために解釈されるものであり、当業者が発明するおよび発明を使用することを可能とし、それを実行するためのベストモードを教示することを可能にする目的で提供される。