IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司の特許一覧

特許7524330充電時間決定方法及びBMS、電池、電気エネルギ機器
<>
  • 特許-充電時間決定方法及びBMS、電池、電気エネルギ機器 図1
  • 特許-充電時間決定方法及びBMS、電池、電気エネルギ機器 図2
  • 特許-充電時間決定方法及びBMS、電池、電気エネルギ機器 図3
  • 特許-充電時間決定方法及びBMS、電池、電気エネルギ機器 図4
  • 特許-充電時間決定方法及びBMS、電池、電気エネルギ機器 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】充電時間決定方法及びBMS、電池、電気エネルギ機器
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/388 20190101AFI20240722BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20240722BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20240722BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20240722BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
G01R31/388
G01R31/382
H02J7/04 B
H02J7/04 C
H02J7/10 B
H02J7/10 K
H01M10/44 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022547161
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 CN2022089766
(87)【国際公開番号】W WO2023137900
(87)【国際公開日】2023-07-27
【審査請求日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】202210060952.7
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】王 海将
(72)【発明者】
【氏名】孫 淑▲てぃん▼
(72)【発明者】
【氏名】張 世昌
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-029394(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111525654(CN,A)
【文献】特開2012-115004(JP,A)
【文献】特開2002-305038(JP,A)
【文献】特開平08-205418(JP,A)
【文献】特開平07-105980(JP,A)
【文献】特表2014-523731(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0205261(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0069399(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第111555389(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112035777(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36-31/396
H02J 7/04
H02J 7/10
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電時間決定方法であって、
電池の複数の単体電池コアの電圧のうちの大電圧を取得することと、
前記最大電圧が第一の値以上であると決定した場合、前記電池の充電電圧に基づいて前記電池の充電時間を決定することと
低速充電状態における単体電池コアの充電電圧と前記最大電圧との第一の差分値を計算することと、
前記第一の差分値と前記第一の値との比を前記電池の充電残り時間の電圧追従比率として決定することと、を含み、
前記第一の値は、低速充電状態における単体電池コアの充電電圧と設定電圧閾値との差分値であり、
前述した、前記電池の充電電圧に基づいて前記電池の充電時間を決定することは、
前記電池の残り容量と充電電流に基づいて第一の充電残り時間長を計算し、前記第一の充電残り時間長を記憶することと、
前記電池の充電電圧と前記第一の充電残り時間長に基づいて前記電池の第二の充電残り時間長をリアルタイムに計算することと、
現在の時刻と前記第二の充電残り時間長に基づいて前記電池の充電時間を決定することとを含み、
前述した、前記電池の充電電圧と前記第一の充電残り時間長に基づいて前記電池の第二の充電残り時間長をリアルタイムに計算することは、
前記第一の充電残り時間長と前記電圧追従比率との積を計算し、前記積を前記第二の充電残り時間長として決定することを含む、ことを特徴とする充電時間決定方法。
【請求項2】
前述した、前記電池の残り容量と充電電流に基づいて第一の充電残り時間長を計算することは、
前記電池の現在のSOC及び前記電池の総容量に基づいて前記電池の残り容量を計算することと、
前記電池の残り容量と現在の充電電流に基づいて前記第一の充電残り時間長を計算することとを含む、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、
送信周期の到来又は要求メッセージに応答して、決定された前記電池の充電時間の情報をターゲット対象へ出力することをさらに含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、
前記電池の充電時間の情報を表示ユニットによって表示し、又は管理するクライアントアプリケーション側にネットワーク接続によって送信することをさらに含む、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
プロセッサと、記憶媒体とを含み、前記記憶媒体には、コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行される時、請求項1又は2に記載の充電時間決定方法で充電時間を計算することができる、ことを特徴とする電池管理システム。
【請求項6】
電池コアと、請求項に記載の電池管理システムとを含む、ことを特徴とする電池。
【請求項7】
機器本体と、請求項に記載の電池を使用する電源とを含む、ことを特徴とする電気エネルギ機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年01月19日に提出された名称が「充電時間決定方法及びBMS、電池、電気エネルギ機器」である中国特許出願202210060952.7の優先権を主張しており、この出願の内容の全ては、ここに参照として取り込まれる。
【0002】
本出願は、電池の充電分野に関し、具体的に、充電時間決定方法及び電池管理システム(BMS)、電池、電気エネルギ機器に関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー電気自動車の急速な普及に伴い、充電時間長は、多くの電気自動車の所有者が日常的に使用する際の主な関心事の一つとなっている。ソフトウェアアルゴリズムによって今回の充電プロセスにまだ要する時間を正確に予測することは、電気自動車の所有者が自分の自動車使用時間と仕事・生活時間とを合理的に検討するための正確な時間根拠を提供することができる。しかし、現在の電池の充電時間長は、主に残り容量及び充電スタンドの出力電流値に依存し、その除算値によって充電時間長を決定している。このような計算方式は、あまりにも理想的であり、且つ電池が充電中に充電状態が随時変換していることにより、充電時間長の決定方式が不正確になり、これは、ユーザ、特に所有者に多くの不便をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題に鑑み、本出願は、電池低速充電状態における充電時間長を正確に決定することができる充電時間決定方法、BMS及び電池、電気エネルギ機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の側面によれば、本出願は、充電時間決定方法を提供する。前記方法は、電池の充電状態SOCが低速充電状態に対応するSOCに達した場合、前記電池の電池コアの最大単体電圧を取得することと、前記最大単体電圧が第一の値以上であると決定した場合、前記電池の充電電圧に基づいて前記電池の充電時間を決定することとを含む。
【0006】
本出願の実施例では、主に電池SOCが低速充電状態に達した時の充電時間長の決定について、電池の電池コアの最大単体電圧が第一の値以上である場合、ここでの第一の値は、具体的なアプリケーションシナリオに応じて設定されてもよい。本出願の実施例の充電時間長の決定の切り替えによって、SOCが低速充電状態に達すると、本出願の実施例による充電時間長の決定は、より正確であり、誤差は、より小さい。
【0007】
いくつかの実施例では、前述した、前記電池の充電電圧によって前記電池の充電時間を決定することは、前記電池の残り容量と充電電流に基づいて第一の充電残り時間長を計算し、前記第一の充電残り時間長を記憶することと、前記電池の充電電圧と前記第一の充電残り時間長に基づいて前記電池の第二の充電残り時間長をリアルタイムに計算することと、現在の時刻と前記第二の充電残り時間長に基づいて前記電池の充電時間を決定することとを含む。
【0008】
本出願の実施例では、電池SOCが低速充電状態に達した時の充電時間長の計算方式を提案しており、即ち電池の充電電圧によって残充電時間長を決定し、現在の時点に基づいて電池の充電時間を決定するため、決定された充電時間がより正確であり、電動車の所有者は、電池の充電時間に基づいて自分の時間を合理的に検討することができ、且つ電池が満充電される時間を決定することができ、ユーザによる自動車の使用などに便利である。
【0009】
いくつかの実施例では、前記方法は、低速充電状態における単体電池コアの充電電圧と前記最大単体電圧との第一の差分値を計算することと、前記第一の差分値と前記第一の値との比を前記電池の充電残り時間の電圧追従比率として決定することとをさらに含む。
【0010】
本出願の実施例では、低速充電状態における単体電池コアの充電電圧と最大単体電圧との第一の差分値を決定することによって、電池の充電残り時間の電圧追従比率を決定して、電池SOCが低速充電状態に達した時の充電時間長を正確に決定することを容易にすることができる。
【0011】
いくつかの実施例では、前述した、前記電池の充電電圧と前記第一の充電残り時間長に基づいて前記電池の第二の充電残り時間長をリアルタイムに計算することは、前記第一の充電残り時間長と前記電圧追従比率との積を計算し、前記積を前記第二の充電残り時間長として決定することを含む。
【0012】
本出願の実施例では、電池の電池コアの最大単体電圧が上昇し続ける場合、電池の充電時間長の計算ロジックを調整する必要があり、具体的に、充電残り時間計算ロジックが電圧追従計算ロジックに入る場合、電圧追従比率に基づいて電池の充電残り時間を再決定することによって電池が満充電される残り時間長を決定して、より正確な電池の充電時間を提供する必要がある。
【0013】
いくつかの実施例では、前述した、前記電池の残り容量と充電電流に基づいて第一の充電残り時間長を計算することは、前記電池の現在のSOC及び前記電池の総容量に基づいて前記電池の残り容量を計算することと、前記電池の残り容量と現在の充電電流に基づいて前記第一の充電残り時間長を計算することとを含む。
【0014】
本出願の実施例では、電池の充電時間長の決定は、さらに電池の残り容量と充電電流に基づいて他の充電残り時間長を計算して、前述した電池の電池コアの最大単体電圧によって決定された充電時間長とで電池の充電時間を総合的に決定する必要があり、これによって決定された電池の充電時間長は、より正確であり、ユーザが充電時間長を正確に把握することを容易にし、ユーザによる自動車の使用及び自分の行動の検討に便利である。
【0015】
いくつかの実施例では、前記第一の値は、低速充電状態における単体電池コアの充電電圧と設定電圧閾値との第二の差分値であり、そのうち、前記電池の充電電圧に基づいて前記電池の充電時間を決定する場合、前記設定電圧閾値を設定する。
【0016】
本出願の実施例では、電池の電池コアの最大単体電圧が第一の値のうちの第一の値以上であるか否かを決定し、それを低速充電状態における単体電池コアの充電電圧と設定電圧閾値との差分値として決定することができる。ここでの設定電圧閾値は、電池の充電特徴に基づいてシミュレーションして決定することができる。電圧閾値を設定することによって、電池の残充電時間を正確に決定することをより容易にする。
【0017】
いくつかの実施例では、前記方法は、送信周期到来又は要求メッセージに応答して、決定された前記電池の充電時間の情報をターゲット対象へ出力することをさらに含む。
【0018】
いくつかの実施例では、前記方法は、前記電池の充電時間の情報を表示ユニットによって表示し、又は管理するクライアントアプリケーション側にネットワーク接続によって送信することをさらに含む。
【0019】
本出願の実施例では、電池の残充電時間を決定した後、ユーザへ出力する必要があり、ユーザが残充電時間に基づいて行動計画を検討することを容易にする。具体的に、表示ユニットによって残り時間を出力し、又は遠隔通信方式によって、残充電時間をユーザの携帯電子機器、例えば携帯電話などに送信することができ、ユーザが直接見なくても電池の充電時間を取得することができ、ユーザが電池の充電時間を知ることをより容易にする。
【0020】
第二の側面によれば、本出願は、電池管理システムを提供する。前記電池管理システムは、プロセッサと、記憶媒体とを含み、前記記憶媒体には、コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行される時、前記充電時間決定方法で充電時間を計算することができる。
【0021】
第三の側面によれば、本出願は、電池を提供する。前記電池は、電池コアと、前述した電池管理システムとを含む。
【0022】
第四の側面によれば、本出願は、電気エネルギ機器を提供する。前記電気エネルギ機器は、機器本体と、前記電池を使用する電源とを含む。
【0023】
上記説明は、ただ本発明の実施例の技術案の概略にすぎず、本発明の実施例の技術手段をより明確に知ることができ、明細書の内容に従って実施することができるようにするために、且つ本発明の実施例の上記と他の目的、特徴と利点をより明確に分かりやすくするために、以下、本発明の具体的な実施の形態を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下の好ましい実施の形態に対する詳細な記述を読むことによって、当業者にとって、様々な他の利点及び有益点が明らかになる。添付図面は、好ましい実施の形態を示すためにのみ使用され、本出願に対する制限とは考えられない。且つ全ての添付図面において、同じ添付図面符号で同じ部品を示す。添付図面において、
図1】本出願のいくつかの実施例による車両の構造概略図である。
図2】本出願の一実施例の電池の構造概略図を示す。
図3】本出願の一実施例の電池モジュールの構造概略図を示す。
図4】本出願のいくつかの実施例による電池単体の分解構造概略図である。
図5】本出願のいくつかの実施例による充電時間決定方法フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下は、添付図面を結び付けながら本出願の技術案の実施例を詳細に記述する。以下の実施例が本出願の技術案をより明確に説明するためにのみ使用されるため、例としてのみ使用され、これによって本出願の保護範囲を制限することができない。
【0026】
特に定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術と科学用語は、当業者が通常理解している意味と同じであり、本明細書で使用される用語は、具体的な実施例を記述するためにのみ使用され、本出願を制限することを意図するものではない。本出願の明細書と請求項及び上記添付図面の説明における用語である「含む」と「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図している。
【0027】
本出願の実施例の記述において、技術用語である「第一」「第二」などは、異なる対象を区別するためにのみ使用され、相対的な重要性を指示又は示唆し、又は指示された技術特徴の数、特定の順序又は主従関係を非明示的に指示すると理解できない。本出願の実施例の記述において、「複数」とは、明確かつ具体的に限定されない限り、二つ以上を意味する。
【0028】
本明細書で「実施例」に言及することは、実施例を結び付けて記述された特定の特徴、構造又は特性が、本出願の少なくとも一実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書における各位置にこのフレーズが現れることは、必ずしもいずれも同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と排他的に独立した実施例又は代替の実施例でもない。当業者は、本明細書に記述された実施例が他の実施例と結び付けられることが可能であると明示的且つ非明示的に理解している。
【0029】
本出願の実施例の記述において、用語である「及び/又は」は、関連する対象の関連関係を記述するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えばA及び/又はBは、Aが存在するケース、AとBとが同時に存在するケース、Bが存在するケースの3つのケースを表してもよい。また、本明細書におけるキャラクタである「/」は、一般的には前後に関連する対象が「又は」の関係であることを表す。
【0030】
本出願の実施例の記述において、用語である「複数」とは、二つ以上(二つを含む)であり、同様に、「複数組」とは、2組以上(2組を含む)であり、「複数枚」とは、2枚以上(2枚を含む)である。
【0031】
本出願の実施例の記述において、技術用語である「中心」「縦方向」「横方向」「長さ」「幅」「厚さ」「上」「下」「前」「後ろ」「左」「右」「鉛直」「水平」「上」「底」「内」「外」「時計回り」「反時計回り」「軸方向」「径方向」「周方向」などが指示する方位又は位置関係は、添付図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本出願の実施例を記述し、記述を簡略化することを容易にするためだけであり、指定された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成され、操作されなければならないことを指示又は示唆するものではないため、本出願の実施例に対する制限と理解すべきものではない。
【0032】
本出願の実施例の記述において、特に明確に規定又は限定しない限り、技術用語である「取り付ける」、「繋がる」、「接続」、「固定」などの用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続してもよく、取り外し可能に接続してもよく、又は一体になってもよく、機械的に接続してもよく、電気的に接続してもよく、直接に繋がってもよく、中間媒体を介して間接的に繋がってもよく、二つの要素内部の連通又は二つの要素の相互作用の関係であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、本出願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0033】
現在、市場情勢の発展からみると、動力電池の応用は、ますます広がっている。動力電池は、水力、火力、風力と太陽光発電所などのエネルギー貯蔵電源システムに用いられるだけでなく、電動自転車、電動バイク、電気自動車などの電気交通手段、及び軍備と航空宇宙などの複数の分野に広く用いられている。動力電池の応用分野の絶えることのない拡大に伴い、その市場の需要量も絶えず拡大している。
【0034】
本発明者は、電池の充電残り時間決定過程において、主に電池残り容量及び充電スタンドの出力電流値によって電池の充電残り時間を決定することに留意した。しかし、電池の充電電流は、電池の充電状態とともに変化している。特に電池の充電状態SOCが低速充電状態に対応するSOC、例えば97%に達した場合、従来の充電時間決定方法は極めて不正確になることによって、電池の充電時間出力が不正確になり、ユーザ、特に電動車の所有者による行動計画の検討にとって不利である。
【0035】
電池の充電時間を正確に決定するために、本発明者の研究によると、電池を充電する際に、低速充電出力パワーが一定であり、電流が相対的に安定しており、低速充電の最終段階で電池の電池コアの最大単体電圧は、単調増加する。電池の電池コアの最大単体電圧が低速充電満充電単体充電電圧(Volt_FullChrgVolt)と進入電圧追従電圧閾値(Volt_acfollowvoltThr)との差分値以上である場合、充電残り時間計算には、電池の充電電圧に基づいて充電残り時間を計算するという計算ロジックに変更する必要があることを発見した。
【0036】
本出願の実施例の充電時間決定方法を利用する電池は、車両、船舶又は航空機などの電力消費装置に用いられてもよく、ユーザが電池の充電時間に基づいて自分の後続行動を検討することを容易にする。
【0037】
本出願の実施例は、充電時間決定方法を用いる電池を電源とする電力消費装置を提供する。電力消費装置は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、電動玩具、電動ツール、バッテリ車、電気自動車、汽船、宇宙機などであってもよいが、それらに限定されない。そのうち、電動玩具は、固定式又は移動式の電動玩具、例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電動汽船玩具と電動飛行機玩具などを含んでもよく、宇宙機は、飛行機、ロケット、スペースシャトルと宇宙船などを含んでもよい。
【0038】
図1を参照すると、図1は、本出願のいくつかの実施例による車両100の構造概略図である。車両100は、燃料自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー型自動車などであってもよい。車両100の内部には、電池10が設置され、電池10は、車両100の底部又は頭部又は尾部に設置されてもよい。電池10は、車両100の電力供給に用いられてもよく、例えば、電池10は、車両100の動作電源としてもよい。車両100は、コントローラ110とモータ120とをさらに含んでもよく、コントローラ110は、モータ120に電力を供給するように電池10を制御するために用いられ、例えば、車両100の起動、ナビゲーションと走行時の作動電力消費需要に用いられる。
【0039】
本出願のいくつかの実施例では、電池10は、車両100の動作電源だけでなく、車両100の駆動電源として、燃料又は天然ガスに代えて又はその一部に代えて車両100に駆動動力を提供することができる。
【0040】
異なる使用電力需要を満たすために、電池10は、複数の電池単体210を含んでもよい。電池単体210とは、電池モジュール又は電池パックを構成する最小ユニットである。複数の電池単体210は、電極端子を介して直列及び/又は並列に接続されて、様々な適用場面に用いられてもよい。本出願に言及された電池は、電池モジュール又は電池パックを含む。そのうち、複数の電池単体210間は、直列又は並列又は直並列に接続されてもよく、直並列とは、直列と並列との混合である。電池10は、電池パックと呼ばれてもよい。本出願の実施例において、複数の電池単体210は、電池パックを直接構成してもよく、電池モジュール20を構成してから、電池モジュール20によって電池パックを構成してもよい。
【0041】
図2は、本出願の一実施例の電池10の構造概略図を示す。図2において、電池10は、複数の電池モジュール20と筐体30とを含んでもよく、複数の電池モジュール20は、筐体30の内部に収容されている。筐体30は、液体又は他の異物が電池単体210の充電又は放電に影響を及ばないように、電池単体210又は電池モジュール20を収容するために用いられる。筐体30は、個別の直方体又は円柱体又は球体などの簡単な立体構造であってもよく、直方体又は円柱体又は球体などの簡単な立体構造によって組み合わせられた複雑な立体構造であってもよく、本出願の実施例は、これに限定されない。筐体30の材質は、例えば、アルミニウム合金、鉄合金などの合金材料であってもよく、ポリカーボネート、ポリイソシアヌレートフォームなどの高分子材料、又はガラス繊維とエポキシ樹脂のような複合材料であってもよく、本出願の実施例は、これにも限定されない。
【0042】
いくつかの実施例では、筐体30は、第一の部分301と第二の部分302とを含んでもよく、第一の部分301と第二の部分302とが互いに閉じ合わせされ、第一の部分301と第二の部分302は、電池単体210を収容するための空間を共同で形成する。第二の部分302は、一端が開口する中空構造であってもよく、第一の部分301は、板状構造であってもよく、第一の部分301は、第二の部分302の開口側に閉じ合わせされて、第一の部分301と第二の部分302とによって電池単体210を収容する空間が共同で形成される。第一の部分301と第二の部分302は、いずれも一方側が開口する中空構造であってもよく、第一の部分301の開口側は、第二の部分302の開口側に閉じ合わされる。
【0043】
図3は、本出願の一実施例の電池モジュール20の構造概略図を示す。図3において、電池モジュール20は、複数の電池単体210を含んでもよく、複数の電池単体210は、まず直列又は並列又は直並列に接続されて電池モジュール20を構成し、複数の電池モジュール20は、それから直列又は並列又は直並列に接続されて、電池10を構成してもよい。本出願において、電池単体210は、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよく、本出願の実施例は、これに限定されない。電池単体210は、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状などを呈してもよく、本出願の実施例は、これにも限定されない。電池単体210は、一般的には、パッケージ化された方式で、円筒型電池単体210、角形電池単体210とパウチ電池単体210の3種類に分けられ、本出願の実施例は、これにも限定されない。しかし、記述を簡潔にするために、以下の実施例は、いずれも角形電池単体210を例に説明する。
【0044】
図4は、本出願のいくつかの実施例による電池単体210の分解構造概略図である。電池単体210とは、電池を構成する最小ユニットである。図4で示すように、電池単体210は、端部キャップ211と、ケーシング212と、電池コアコンポーネント213とを含む。
【0045】
端部キャップ211とは、ケーシング212の開口部に閉じ合わせされて、電池単体210の内部環境を外部環境から遮断する部品である。端部キャップ211の形状は、制限されないが、端部キャップ211は、ケーシング212の形状に適応してケーシング212と嵌合してもよい。選択的に、端部キャップ211は、一定の硬度と強度を持つ材質(例えばアルミニウム合金)から作製されてもよく、このように、端部キャップ211が押圧衝突時に変形が発生しにくく、電池単体210がより高い構造強度を備え、安全性能も向上することができる。端部キャップ211には、例えば電極端子211aなどの機能性部品が設置されてもよい。電極端子211aは、電池単体210の電気エネルギを出力又は入力するために、電池コアコンポーネント213に電気的に接続するために用いられてもよい。いくつかの実施例において、端部キャップ211には、電池単体210の内部圧力又は温度が閾値に達した時に内部圧力を放出するための圧力放出機構がさらに設置されてもよい。端部キャップ211の材質は、複数であってもよく、例えば、銅、鉄、アルミニウム、ステンレス、アルミニウム合金、プラスチックなどであってもよく、本出願の実施例は、特にこれに制限されない。いくつかの実施例において、端部キャップ211の内側には、絶縁体がさらに設置されてもよく、絶縁体は、ケーシング212内の電気的接続部品と端部キャップ211を隔離して、短絡のリスクを低減するために用いられてもよい。例示的には、絶縁体は、プラスチック、ゴムなどであってもよい。
【0046】
ケーシング212は、端部キャップ211と嵌合して電池単体210の内部環境を形成するためのコンポーネントであり、そのうち、形成された内部環境は、電池コアコンポーネント213、電解液(図示せず)及び他の部品を収容するために用いられてもよい。ケーシング212と端部キャップ211は、独立した部品であってもよく、ケーシング212に開口を設置し、開口部に端部キャップ211に開口を閉じ合わせさせることによって電池単体210の内部環境を形成してもよい。制限されないが、端部キャップ211とケーシング212とを一体化してもよく、具体的に、端部キャップ211とケーシング212は、他の部品がハウジングに入る前に、まず共通の接続面を形成し、ケーシング212の内部をパッケージ化する必要がある場合、端部キャップ211にケーシング212を閉じ合わせしてもよい。ケーシング212は、複数の形状と複数のサイズ、例えば直方体形、円柱体形、六角柱形などであってもよい。具体的に、ケーシング212の形状は、電池コアコンポーネント213の具体的な形状とサイズに基づいて決定されてもよい。ケーシング212の材質は、複数であってもよく、例えば銅、鉄、アルミニウム、ステンレス、アルミニウム合金、プラスチックなどであってもよく、本出願の実施例は、特にこれに制限されない。
【0047】
電池コアコンポーネント213は、電池単体210において電気化学反応が発生する部品である。ケーシング212には、一つ又は複数の電池コアコンポーネント213が含まれてもよい。電池コアコンポーネント213は、主に正極シートと負極シートの巻き取り又は積層によって形成され、且つ通常、正極シートと負極シートとの間にセパレータが設けられる。正極シートと負極シートのうち、活物質を有する部分は、電池コアコンポーネントの本体部を構成し、正極シートと負極シートのうち、活物質を有しない部分は、それぞれタブ(図示せず)を構成している。正極シートと負極シートは、共同で本体部の一端に位置してもよく、又はそれぞれ本体部の両端に位置してもよい。電池の充放電過程で、正極活物質と負極活物質は、電解液と反応し、タブは、電極端子に接続されて電流回路を形成する。
【0048】
新エネルギー電気自動車の急速な普及に伴い、電気自動車充電時間長は、多くの電気自動車の所有者が日常的に使用する際の主な関心事の一つとなっている。ソフトウェアアルゴリズムによって今回の充電プロセスに要する時間を正確に予測することは、電気自動車の所有者が自分の自動車使用時間と仕事・生活時間を合理的に検討するために正確な時間根拠を提供することができる。現在の低速充電残り時間の計算方式は、以下の通りである。
【0049】
低速充電残り時間=残り容量(CAP_remain)/充電スタンドの出力電流値(I_act)であり、この計算式に基づいて電池の今回の充電中の低速充電残り時間を大体計算することができる。しかし、この計算方式がいくつかの特殊な状況で充電過程における他の要素の影響を考慮していないため、計算された低速充電残り時間と実充電時間との誤差が比較的に大きくなってしまう。具体的に、上記計算式の誤差が大きい主な影響要素の一つは、低速充電残り時間計算式において使用される残り容量(CAP_remain)には、大きい誤差が導入されていることである。残り容量(CAP_remain)の計算方式は、以下の通りである。
【0050】
残り容量(CAP_remain)=(充電ターゲットSOC(SOC_Tar)-現在のSOC)*電池コア容量値、実際の応用において、SOC値の計算は充電中に計算誤差が起きる。一回の低速充電プロセスを想定すると、充電が満充電の直前になると、SOCが不当に3%高くなる。即ち実際のSOCは97%であるにもかかわらず、SOC計算アルゴリズムの誤差により、このとき計算されたSOC値が100%と表示され、SOCが不当に3%高くなると定義される。SOCの取値範囲が0-100%であるため、SOCが満充電の直前のSOC(100%)に達すると、SOCが不当に3%高くなる場合、99.8(又は他の値)で待機となり、電池単体電圧に基づいて電池の充電を満充電に設定すると、SOCを100%に修正する。SOCが100%であると表示される場合、充電残り時間送信値は、0である。このとき、充電電流(3.3kWの充電スタンド)が0.05C充電倍率で充電された場合、低速充電プロセスであるとすると、SOCが不当に3%高くなり、実SOCが97%である時に、SOCが99.8%で待機と表示され、計算によると、実充電時間は、満充電されるまで最低36minが必要である。しかし、このとき、SOCがこのときにすでに99.8%になったと表示され、計算された充電残り時間は、1min(充電残り時間解像度が1であり、且つ計算値は切り上げるとする)である。実際に応用する際に、計算された充電残り時間は1minであるが、実際の充電で満充電までさらに36minが必要であるという現象が起こることによって、電気自動車の所有者に悪い自動車使用体験をもたらしてしまう。
【0051】
上記問題を解決するために、本出願の実施例は、低速充電残り時間精度を向上させる充電時間計算方法を提供する。車両において高電圧から低速充電に入ると、プラグが挿入して充電し、充電スタンドと車両は、情報インタラクションを完了し、車両と電池管理システム(BMS)は、内部通信を完了し、電池管理システム(BMS)は、低速充電残り時間を計算し、車両のダッシュボード又は充電スタンドに表示され、又は顧客の端末APPに送信される。
【0052】
図5は、本出願のいくつかの実施例による充電時間決定方法フローチャートである。図5に示すように、本出願の実施例の充電時間決定方法は、以下の処理ステップを含む。
【0053】
ステップ501、前記電池の電池コアの最大単体電圧を取得する。
【0054】
電池の充電状態SOCが低速充電状態に対応するSOCに達した場合、ここで、低速充電状態に対応するSOCは、97%、95%、98%などであってもよい。電池が低速充電状態にある場合、SOCが、例えば97%に達すると、このときSOCが不当に高いため、実SOCが97%である時刻において、決定されたSOCが不正確になり、このとき、現在のエラーでSOCを表示すると、実充電時間の計算誤差は、比較的大きい。そのため、このとき、電池残り時間の決定ロジックを調整する必要がある。本出願のいくつかの実施例において、電池の電池コアの最大単体電圧を取得することによってこのときの残り容量を決定し、新たに決定された残り容量で電池残充電時間を決定する。
【0055】
ステップ502、前記最大単体電圧が第一の値以上であると決定した場合、前記電池の充電電圧に基づいて前記電池の充電時間を決定する。
【0056】
電池の電池コアの最大単体電圧が取得され、且つ最大単体電圧が第一の値以上であると決定した場合、本出願の実施例による電池の充電方法で電池の充電時間を決定する。
【0057】
本出願のいくつかの実施例によれば、主に電池SOCが低速充電状態に達した時の充電時間長の決定に関するものであり、電池の電池コアの最大単体電圧が第一の値以上である場合、ここでの第一の値は、具体的なアプリケーションシナリオに応じて設定されてもよい。本出願の実施例の充電時間長の決定の切り替えによって、SOCが低速充電状態に達すると、本出願の実施例による充電時間長の決定は、より正確であり、誤差は、より小さい。
【0058】
本出願のいくつかの実施例によれば、前述した、前記電池の充電電圧によって前記電池の充電時間を決定することは、具体的に、
前記電池の残り容量と充電電流に基づいて第一の充電残り時間長を計算し、前記第一の充電残り時間長を記憶することと、前記電池の充電電圧と前記第一の充電残り時間長に基づいて前記電池の第二の充電残り時間長をリアルタイムに計算することと、現在の時刻と前記第二の充電残り時間長に基づいて前記電池の充電時間を決定することとを含む。
【0059】
本出願のいくつかの実施例では、電池SOCが低速充電状態に達した時の充電時間長の計算方式を提案しており、即ち電池の充電電圧によって残充電時間長を決定し、現在の時点に基づいて電池の充電時間を決定するため、決定された充電時間がより正確であり、電動車の所有者は、電池の充電時間に基づいて自分の時間を合理的に検討することができ、且つ電池が満充電される時間を決定することができ、ユーザによる自動車の使用などに便利である。
【0060】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記方法は、
低速充電状態における単体電池コアの充電電圧と前記最大単体電圧との第一の差分値を計算することと、前記第一の差分値と前記第一の値との比を前記電池の充電残り時間の電圧追従比率として決定することとをさらに含む。
【0061】
本出願のいくつかの実施例では、低速充電状態における単体電池コアの充電電圧と最大単体電圧との第一の差分値を決定することによって、電池の充電残り時間の電圧追従比率を決定して、電池SOCが低速充電状態に達した時の充電時間長を正確に決定することを容易にすることができる。
【0062】
本出願のいくつかの実施例によれば、前述した、前記電池の充電電圧と前記第一の充電残り時間長に基づいて前記電池の第二の充電残り時間長をリアルタイムに計算することは、
前記第一の充電残り時間長と前記電圧追従比率との積を計算し、前記積を前記第二の充電残り時間長として決定することを含む。
【0063】
本出願のいくつかの実施例では、電池の電池コアの最大単体電圧が上昇し続ける場合、電池の充電時間長の計算ロジックを調整する必要があり、具体的に、充電残り時間計算ロジックが電圧追従計算ロジックに入る場合、電圧追従比率に基づいて電池の充電残り時間を再決定することによって電池が満充電される残り時間長を決定して、より正確な電池の充電時間を提供する必要がある。
【0064】
本出願のいくつかの実施例によれば、前述した、前記電池の残り容量と充電電流に基づいて第一の充電残り時間長を計算することは、
前記電池の現在のSOC及び前記電池の総容量に基づいて前記電池の残り容量を計算することと、前記電池の残り容量と現在の充電電流に基づいて前記第一の充電残り時間長を計算することとを含む。
【0065】
本出願のいくつかの実施例では、電池の充電時間長の決定は、さらに電池の残り容量と充電電流に基づいて他の充電残り時間長を計算して、前述した電池の電池コアの最大単体電圧によって決定された充電時間長とで電池の充電時間を総合的に決定する必要があり、これによって決定された電池の充電時間長は、より正確であり、ユーザが充電時間長を正確に把握することを容易にし、ユーザによる自動車の使用及び自分の行動の検討に便利である。
【0066】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記第一の値は、低速充電状態における単体電池コアの充電電圧と設定電圧閾値との第二の差分値であり、そのうち、前記電池の充電電圧に基づいて前記電池の充電時間を決定する場合は、前記設定電圧閾値を設定する。
【0067】
本出願のいくつかの実施例では、電池の電池コアの最大単体電圧が第一の値のうちの第一の値以上であるか否かを決定し、それを低速充電状態における単体電池コアの充電電圧と設定電圧閾値との差分値として決定することができる。ここでの設定電圧閾値は、電池の充電特徴に基づいてシミュレーションして決定することができる。電圧閾値を設定することによって、電池の残充電時間を正確に決定することをより容易にする。
【0068】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記方法は、
送信周期の到来又は要求メッセージに応答して、決定された前記電池の充電時間の情報をターゲット対象へ出力することをさらに含む。
【0069】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記方法は、
前記電池の充電時間の情報を表示ユニットによって表示し、又は管理するクライアントアプリケーション側にネットワーク接続によって送信することをさらに含む。
【0070】
本出願のいくつかの実施例では、電池の残充電時間を決定した後、ユーザへ出力する必要があり、ユーザが残充電時間に基づいて行動計画を検討することを容易にする。具体的に、表示ユニットによって残り時間を出力し、又は遠隔通信方式によって、残充電時間をユーザの携帯電子機器、例えば携帯電話などに送信することができ、ユーザが直接見なくても電池の充電時間を取得することができ、ユーザが電池の充電時間を知ることをより容易にする。
【0071】
以下、具体例によって本出願の実施例の技術案の実質をさらに明らかにする。
【0072】
電気自動車が満充電の直前の段階で、充電残り時間計算が不正確になることにより電気自動車の所有者に悪い体験をもたらす状況に対し、本出願の実施例の電池管理システム(BMS)が充電残り時間を計算する計算ロジックは、以下のステップを含む。
【0073】
ステップ1:低速充電出力パワーが一定であり、電流が相対的に安定しているため、低速充電の最終段階で最単体電圧は、単調増加し、電池の電池コアの最大単体電圧が低速充電状態における単体電池コアの充電電圧(Volt_FullChrgVolt)-進入電圧追従電圧閾値(Volt_acfollowvoltThr)以上である場合、充電残り時間計算のためには、計算ロジックが、以下のように切り替えられる。本来の充電残り時間計算ロジックは、残り容量(CAP_remain)/充電スタンドの出力電流値(I_act)であり、現在は、電池の充電電圧に基づいて充電残り時間を計算するという計算ロジックに切り替えられる。充電残り時間計算ロジックが電圧追従段階に入ると、残りのSOCに基づいて計算された充電残り時間(RemainTime_Save)を記憶する。具体的に、電池の電池コアの最大単体電圧が低速充電状態における単体電池コアの充電電圧(Volt_FullChrgVolt)-進入電圧追従電圧閾値(Volt_acfollowvoltThr)以上である場合、残りのSOCに基づいて充電残り時間(RemainTime_Save)を計算する。進入電圧追従電圧閾値は、実測データに基づいて標定され、又は電池特性に基づいてシミュレーションして決定されてもよい。
【0074】
ステップ2:低速充電の場合、電池の電池コアの最大単体電圧は、上昇し続け、充電残り時間計算ロジックが電圧追従計算ロジックに入ると、充電残り時間電圧追従比率を算出する必要があり、電圧追従比率の計算式は、(低速充電状態における単体電池コアの充電電圧(Volt_FullChrgVolt)-電池の電池コアの最大単体電圧値(Volt_MaxVolt))/(低速充電状態における単体電池コアの充電電圧(Volt_FullChrgVolt)-進入電圧追従電圧閾値(Volt_acfollowvoltThr))である。
【0075】
ステップ3:低速充電の場合、充電残り時間計算ロジックが電圧追従段階に入ると、充電電圧が絶えずに上昇するとともに、充電残り時間計算式は、低速充電残り時間計算方法=充電残り時間(RemainTime_Save)*電圧追従比率(Ratrio_StepIntoFollowVolt)に変更される。充電プロセスにおいて、充電電圧が絶えず上昇するとともに、電圧追従比率(Ratrio_StepIntoFollowVolt)は、徐々に低下し、満充電に達すると、電圧追従比率は徐々に0に低下し、充電残り時間の計算も0に低下する。
【0076】
本出願のいくつかの実施例によれば、本出願の実施例は、電池管理システムをさらに記載してある。前記電池管理システムは、プロセッサと、記憶媒体とを含み、前記記憶媒体には、コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行される時、前記充電時間決定方法で充電時間を計算することができる。
【0077】
本出願のいくつかの実施例によれば、本出願の実施例は、電池をさらに記載してある。前記電池は、電池コアと、前述した電池管理システムとを含む。
【0078】
本出願のいくつかの実施例によれば、本出願は、電気エネルギ機器をさらに記載してある。前記電気エネルギ機器は、機器本体と、前記電池を使用する電源とを含む。
【0079】
本出願の実施例の電気エネルギ機器は、前述したいずれか一つの電池を応用する機器又はシステムであってもよい。
【0080】
最後に説明すべきことは、以上の各実施例が本出願の技術案を説明するためにのみ使用されるが、それに限定されるものではない。前記各実施例を参照しながら本出願を詳細に説明したが、当業者は、依然として前記各実施例に記載された技術案を修正し、又はその一部又は全ての技術特徴に同等の置き換えを行うことができるが、これらの修正又は置き換えは、該当する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の範囲から逸脱させるものではなく、それらがいずれも本出願の特許請求の範囲と明細書の範囲に含まれるべきであると理解すべきである。特に、構造衝突がない限り、各実施例に言及された各技術特徴は、いずれも任意の方式で組み合わせてもよい。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、請求項の範囲内に含まれる全ての技術案を含む。
図1
図2
図3
図4
図5