(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】裁断刃駆動装置および裁断設備
(51)【国際特許分類】
B26D 1/56 20060101AFI20240722BHJP
B26D 5/08 20060101ALI20240722BHJP
B26D 5/16 20060101ALI20240722BHJP
B23Q 5/34 20060101ALI20240722BHJP
H01M 4/139 20100101ALN20240722BHJP
【FI】
B26D1/56 E
B26D5/08 D
B26D5/16
B23Q5/34 510C
H01M4/139
(21)【出願番号】P 2022551321
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 CN2022093640
(87)【国際公開番号】W WO2023142312
(87)【国際公開日】2023-08-03
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】202220238774.8
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廖如虎
(72)【発明者】
【氏名】郭益泰
(72)【発明者】
【氏名】文志華
(72)【発明者】
【氏名】史云茹
(72)【発明者】
【氏名】張聡
(72)【発明者】
【氏名】張永力
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-172699(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/56 - 1/62
B26D 5/08
B26D 5/16
B23Q 5/34
H01M 4/139
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裁断設備における裁断刃を、材料帯を裁断するように駆動する裁断刃駆動装置であって、
追従駆動アッセンブリーと、
裁断駆動アッセンブリーと、
前記追従駆動アッセンブリーと接続される裁断刃駆動ロッドと、
第1接続端が前記裁断駆動アッセンブリーと接続され、第2接続端が前記裁断刃駆動ロッドと接続される、リンク対と、を備え
、
前記リンク対は第1リンクと第2リンクとを含み、前記第1リンクが前記第1接続端と第1ヒンジ接続端とを有し、前記第2リンクが前記第2接続端と第2ヒンジ接続端とを有し、前記第1ヒンジ接続端と前記第2ヒンジ接続端とがヒンジ接続され、
前記第1接続端は前記裁断駆動アッセンブリーと回動可能に接続され、前記第2接続端は前記裁断刃駆動ロッドと回動可能に接続され、
前記第1リンクおよび前記第2リンクは、いずれも前記裁断刃駆動ロッドの軸線と垂直をなすように設置され、第1リンクが第2リンクの上方に位置し、前記回動可能な接続およびヒンジ接続の回動平面が前記裁断刃駆動ロッドの軸線と垂直をなす
ことを特徴とする裁断刃駆動装置。
【請求項2】
前記第1ヒンジ接続端と第2ヒンジ接続端とが接続ピンによりヒンジ接続され、前記第1接続端および前記第2接続端がそれぞれショルダーボルトにより前記裁断駆動アッセンブリーおよび前記裁断刃駆動ロッドと回動可能に接続される
ことを特徴とする請求項
1に記載の裁断刃駆動装置。
【請求項3】
前記裁断駆動アッセンブリーは裁断駆動モータとカム従動構造とを備え、前記カム従動構造が、前記裁断駆動モータの回動軸に取り付けられるとともに前記第1接続端と接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の裁断刃駆動装置。
【請求項4】
前記カム従動構造はカムと、カム従動ブロックと、スライドレールとを備え、前記スライドレールが前記裁断駆動モータと接続され、前記カム従動ブロックが縦方向にスライド可能に前記スライドレールに取り付けられ、前記カム従動ブロックにガイド溝が開設されており、前記カムが前記裁断駆動モータの回動軸に取り付けられ、前記カムに設置される軸受従動装置が前記ガイド溝に挿設される
ことを特徴とする請求項
3に記載の裁断刃駆動装置。
【請求項5】
前記追従駆動アッセンブリーはラックと追従駆動モータとを備え、前記ラックが水平に配置され、前記追従駆動モータの回動軸に、前記ラックと噛合する歯車が環装され、前記裁断刃駆動ロッドと前記追従駆動モータとが接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の裁断刃駆動装置。
【請求項6】
前記裁断刃駆動ロッドは、上端が前記リンク対の第2接続端と接続され、下端が前記追従駆動モータと接続される
ことを特徴とする請求項
5に記載の裁断刃駆動装置。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の裁断刃駆動装置を備えることを特徴とする裁断設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、リチウム電池製造の技術分野に属し、具体的に、裁断刃駆動装置および裁断設備に関する。
【0002】
関係出願の相互参照
本出願は、2022年1月28日に提出された、名称が「裁断刃駆動装置および裁断設備」である中国出願2022202387748に基づいて優先権を主張し、その内容のすべては本明細書に参照として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン電池極板は、ペースト塗布、乾燥およびロールプレスを経って、集電体と2面の塗布層からなる3層の複合構造として形成される。そして、電池の設計構造および仕様によって極板に対して裁断を行う。一般的に、捲回型電池に対して、極板を設計幅に基づいて帯状にし、積層型電池に対して、極板を相応のシート状に裁断する。
【0004】
現在、電池極板の裁断効率に対する要求が高まることに従って、極板裁断装置が追従機構に設計され、即ち、極板材料帯の搬送速度を落とさずに、極板裁断装置における裁断刃を、材料帯に追従してその搬送方向に沿って移動させ、裁断刃が材料帯の搬送速度と同速度または搬送速度に近い速度に達したあと材料帯に対して裁断を行うことにより、裁断効率を向上させる。しかし、上記の追従過程において、各機構の相対的な移動が発生するため、接触面に例えば摩擦力のような作用力が発生する。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、追従機構の裁断駆動時に落ちた金属微粒子に起因した電池安全リスクの問題を改善できる裁断刃駆動装置および裁断設備を提供することを目的とする。
【0006】
第1局面において、本出願は、裁断設備における裁断刃を、材料帯を裁断するように駆動する裁断刃駆動装置を提供する。該裁断刃駆動装置は、追従駆動アッセンブリーと、裁断駆動アッセンブリーと、裁断刃駆動ロッドと、リンク対とを備える。前記裁断刃駆動ロッドは、前記追従駆動アッセンブリーと接続される。前記リンク対は、第1接続端が前記裁断駆動アッセンブリーと接続され、第2接続端が前記裁断刃駆動ロッドと接続される。
【0007】
本出願の実施例による技術案において、従来技術のスライドレール、スライダの物理的構造の代わりに、リンク対を設置して、その第1接続端が裁断刃駆動ロッドに接続され、その第2接続端が裁断駆動アッセンブリーと接続されるように構成し、リンク対により裁断駆動アッセンブリーによる縦方向往復駆動を裁断刃駆動ロッドに伝達する。リンク対は、縦方向において回動不能であるため、裁断駆動アッセンブリーによる駆動力を裁断刃駆動ロッドに伝達でき、また、スライドレールとスライダとの接触する面が存在しないため、裁断するときにスライドレールとスライダとの作用力で金属微粒子を生じることもなく、電池の安全リスクが低減する。
【0008】
いくつかの実施例において、前記リンク対は第1リンクと第2リンクとを含み、前記第1リンクが前記第1接続端と第1ヒンジ接続端とを有し、前記第2リンクが前記第2接続端と第2ヒンジ接続端とを有し、前記第1ヒンジ接続端と前記第2ヒンジ接続端とがヒンジ接続される。
【0009】
ヒンジ接続で接続された第1リンクおよび第2リンクによりリンク対を構成し、第1リンクおよび第2リンクの第1接続端および第2接続端が回動によってその距離が変化する特性を利用することにより、裁断刃により材料帯を追従裁断するときの水平往復移動を実現する。
【0010】
いくつかの実施例において、前記第1接続端は前記裁断駆動アッセンブリーと回動可能に接続され、前記第2接続端は前記裁断刃駆動ロッドと回動可能に接続される。
【0011】
第1接続端と裁断駆動アッセンブリー、および第2接続端と裁断刃駆動ロッドの接続方式が回動可能な接続に設計されるとともに、第1リンクと第2リンクがヒンジ接続されるため、裁断刃により材料帯を追従裁断するとき、裁断刃が水平方向において往復移動することができる。従来のスライドレールとスライダによるスライド接続方式の代わりに上記のリンク対による回動可能な接続方式を用いることにより、スライドレールとスライダとの摩擦により金属微粒子を生じるリスクを避けることができる。
【0012】
いくつかの実施例において、前記第1リンクおよび前記第2リンクは、いずれも前記裁断刃駆動ロッドの軸線と垂直をなすように設置され、第1リンクが第2リンクの上方に位置し、前記回動可能な接続およびヒンジ接続の回動平面が前記裁断刃駆動ロッドの軸線と垂直をなす。
【0013】
第1リンクおよび第2リンクの移動平面を限定することにより、第1接続端および第2接続端が水平方向においてのみ変位し、縦方向において変位しないため、駆動力の伝達効率を向上させることができる。また、第1リンクおよび第2リンクがそれぞれ異なる移動平面を有するため、第1リンクおよび第2リンクの干渉が発生しなく、それらの回動変化範囲を拡大することができる。
【0014】
いくつかの実施例において、前記第1ヒンジ接続端と第2ヒンジ接続端とが接続ピンによりヒンジ接続され、前記第1接続端および前記第2接続端がそれぞれショルダーボルトにより前記裁断駆動アッセンブリーおよび前記裁断刃駆動ロッドと回動可能に接続される。
【0015】
接続ピンおよびショルダーボルトの設置により、具体的な回動可能な接続構造が提供され、そして、上記の構成が簡単で、取り付けが容易で、安定性が高い。
【0016】
いくつかの実施例において、前記裁断駆動アッセンブリーは裁断駆動モータとカム従動構造とを備え、前記カム従動構造が、前記裁断駆動モータの回動軸に取り付けられるとともに前記第1接続端と接続される。
【0017】
裁断駆動モータおよびカム従動構造の設置により、実現可能な縦方向往復駆動の構造が提供される。
【0018】
いくつかの実施例において、前記カム従動構造はカムと、カム従動ブロックと、スライドレールとを備え、前記スライドレールが前記裁断駆動モータと接続され、前記カム従動ブロックが縦方向にスライド可能に前記スライドレールに取り付けられ、前記カム従動ブロックにガイド溝が開設されており、前記カムが前記裁断駆動モータの回動軸に取り付けられ、前記カムに設置される軸受従動装置が前記ガイド溝に挿設される。
【0019】
カム従動構造は、カムと、カム従動ブロックと、スライドレールとを備えるように構成されるため、裁断駆動モータの回転駆動を縦方向における縦方向往復駆動に変換して裁断の機能を実現することができる。
【0020】
いくつかの実施例において、前記追従駆動アッセンブリーはラックと追従駆動モータとを備え、前記ラックが水平に配置され、前記追従駆動モータの回動軸に、前記ラックと噛合する歯車が環装され、前記裁断刃駆動ロッドと前記追従駆動モータとが接続される。
【0021】
駆動モータおよびラックの設置により、実現可能な水平方向の往復駆動の構造が提供され、そして、ラックの形状により、駆動モータがラックに対して縦方向に移動することができ、追従駆動アッセンブリーと裁断駆動アッセンブリーが複合して使用されるときの縦方向の相対的な変位の問題を解決することができる。
【0022】
いくつかの実施例において、前記裁断刃駆動ロッドは、上端が前記リンク対の第2接続端と接続され、下端が前記追従駆動モータと接続される。
【0023】
裁断刃駆動ロッドの下端が駆動モータと接続されることによれば、裁断刃駆動ロッドの縦方向駆動の伝達方向のずれに起因にして裁断刃に影響を与えることを抑えることができ、裁断刃まで伝達される駆動力の方向を縦方向に保つことができる。
【0024】
第2局面において、本出願は、上記の実施例による裁断刃駆動装置を備える裁断設備を提供する。
【0025】
上記の説明は本出願の技術案の概略内容であり、本出願の技術的手段をより明瞭に理解するため、明細書の内容を参照して実施することができ、そして、本出願の上記および他の目的、特徴、利点を簡単にするため、以下、本出願の具体的な実施形態を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
下記の好ましい実施形態の詳しい説明を閲覧することで、各種の他の利点および有益効果は、当業者にとって明瞭になる。図面は、好ましい実施形態を示すものにすぎず、本出願を限定するものではない。そして、すべての図面において、同様の符号は、同様の部材を表す。図面において、
【
図1】本出願のいくつかの実施例による裁断刃駆動装置の模式的構成図である。
【
図2】本出願のいくつかの実施例によるリンク対の箇所の構成の拡大図である。
【
図3】本出願のいくつかの実施例による裁断刃駆動ロッドの箇所の構成の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本出願の技術案の実施例を詳細に説明する。以下の実施例は本出願の技術案をより明瞭に説明することだけに用いられるため、例示的なものに過ぎず、本出願の保護範囲がこれに限定されない。
【0028】
別の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者が通常に理解する意味と同じ意味を有し、本明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明する目的だけに使用し、本出願を限定するものではない。本出願の明細書および特許請求の範囲並びに上記の図面の説明における用語の「含む」および「有する」、並びにそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。
【0029】
本出願の実施例の説明において、技術的用語の「第1」、「第2」等は、異なるオブジェクトを区別することだけに用いられ、相対的な重要性を指示し又は暗示し、または表される技術特徴の数、特定の順序又は主要と副次的の関係を暗示するものではない。本出願の実施例の説明において、「複数」は、特に明確な、具体的な限定がない限り、2つ以上を意味する。
【0030】
本明細書に「実施例」をいうとき、実施例を用いて説明する特定の特徴、構造または特性が本出願の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味している。明細書の各部分にこの用語が使用された場合、同一の実施例を指しているとは限らなく、他の実施例と互いに排斥する独立な実施例または選択可能な実施例を指しているでもない。本明細書で説明する実施例が他の実施例と組み合わせることができると当業者が理解できる。
【0031】
本出願の実施例の説明において、用語の「および/または」は、関連対象の関連関係を説明するためのものにすぎず、3種の関係を表すことができ、例えばAおよび/またはBのように、Aだけが存在することと、AおよびBがともに存在することと、Bだけが存在することとの3種の状況を表すことができる。また、本明細書における記号「/」は、一般的に記号の前後の関連対象が「または」の関係を満たすことを意味している。
【0032】
本出願の実施例の説明において、用語の「複数」は、2つ以上(2つを含む)のことを意味し、同様に、「複数組」は、2組以上(2組を含む)のことを意味し、「複数枚」は、2枚以上(2枚を含む)のことを意味する。
【0033】
本出願の実施例の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」等の技術的用語で表された方向または位置関係は、図面に基づくものであり、本出願の実施例を便宜におよび簡略に説明するためのものにすぎず、該当装置又は要素が、必ずしも特定の方向を有したり、特定の方向に構成、操作されたり、することを明示又は暗示するものではないため、本出願の実施例を限定するものではないと理解すべきである。
【0034】
本出願の実施例の説明において、明確な定義や限定がない限り、「取付」、「連係」、「接続」、「固定」などの技術的用語は、広義に理解すべきである。例えば、固定接続でもよいし、取外し可能な接続でもよいし、一体的な接続でもよい。そして、機械的な接続でもよいし、電気的な接続でもよい。また、直接接続してもよいし、中間物を介して間接的に接続してもよいし、2つの素子の内部が連通し又は2つの素子が相互に作用してもよい。当業者は、本出願の実施例における上記用語の具体的な意味を、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0035】
現在、極板の裁断工程において、裁断の精度を保証するため、裁断するときに材料帯を止めるまたは減速させる必要があり、裁断効率の低下になる。電池極板の裁断効率を向上させるため、極板材料帯の搬送速度を落とさずに、極板裁断装置における裁断刃を、材料帯に追従してその搬送方向に沿って移動させ、裁断刃が材料帯の搬送速度と同速度または搬送速度に近い速度に達したあと材料帯に対して裁断を行う。上記の裁断方式は、追従とも呼ばれ、前記極板裁断設備は極板追従裁断設備と呼ばれる。しかし、従来の裁断設備には下記の欠点が存在する。
【0036】
裁断過程において、裁断刃を、材料帯を追従裁断するように駆動できるように、水平方向往復駆動を提供する追従駆動アッセンブリーおよび縦方向往復駆動を提供する裁断駆動アッセンブリーがともに裁断刃駆動ロッド10に作用する必要がある。縦方向往復駆動と水平方向往復駆動との複合を実現するため、一般的に、複数のスライド構造を設置し、スライド構造におけるスライダとスライドレールの相対的なスライドを利用して駆動力の伝達を実現する。しかし、スライド構造の多くが金属材料で製造されたものであるため、スライド過程において相対的なスライドで摩損が発生することが避けられなく、そして一定量の金属微粒子が発生し、金属微粒子が極板に落ちると直接極板を汚染し、それに起因して電池の内部短絡になったり、自己放電になったりし、ひいては熱暴走して電池に危険を及ぼすリスクがある。
【0037】
上記の問題を解決するため、
図1-3に示すように、本出願の実施例は、裁断刃を、材料帯を追従裁断するように駆動する裁断刃駆動装置100を提供する。具体的に、駆動装置は、追従駆動アッセンブリーと、裁断駆動アッセンブリーと、裁断刃駆動ロッドと、リンク対40とを備え、裁断刃駆動ロッドと追従駆動アッセンブリーとが接続され、リンク対40は、第1接続端が裁断駆動アッセンブリーと接続され、第2接続端が裁断刃駆動ロッドと接続される。
【0038】
説明を簡単にするため、本実施例では、材料帯の前進方向に平行な方向を水平方向とし、即ち図面に示すX方向であり、材料帯の前進方向に垂直な方向を縦方向とし、即ち図面に示すY方向である。本実施例において、追従駆動アッセンブリーは、水平方向往復駆動に用いられ、その駆動方向が材料帯の前進方向と平行をなし、追従裁断工程において裁断刃を材料帯に同期して前進させるように材料帯の前進方向に一致する方向の駆動力を提供し、そして、追従裁断工程が終了後に裁断刃の復帰を駆動するように材料帯の前進方向と逆の方向の駆動力を提供するように構成される。裁断駆動アッセンブリーは、縦方向往復駆動に用いられ、その駆動方向が材料帯の前進方向と垂直をなし、追従裁断工程において裁断刃により材料帯を裁断するように材料帯に向かう駆動力を提供し、そして、追従裁断工程が終了後に裁断刃の復帰を駆動するように逆方向の駆動力を提供するように構成される。上記の駆動力の方向は、材料帯の前進方向に対するものであり、具体的に応用するときに材料帯の前進方向に応じて調整する。
【0039】
裁断刃駆動ロッドは、ロッド状を呈し、その軸線方向が図面のY方向であり、その下端が裁断刃の取り付けに用いられ、裁断刃を、材料帯を追従裁断するように駆動するために、水平往復移動の能力および縦方向往復移動の能力がともに必要とされ、具体的に、駆動アッセンブリーに従う水平方向往復駆動ができるように、裁断刃駆動ロッドが追従駆動アッセンブリーに取り付けられる。
【0040】
リンク対40は、回動可能な接続構造であり、その回動平面が裁断刃駆動ロッドの軸線方向と垂直をなしており、第1接続端が裁断駆動アッセンブリーと接続され、第2接続端が裁断刃駆動ロッドと接続され、裁断駆動アッセンブリーによる縦方向往復駆動を裁断刃駆動ロッドに伝達することができ、これによって裁断刃駆動ロッドが縦方向往復駆動できる。上記の裁断刃駆動ロッドの軸線方向と縦方向とY方向とが同じ方向である。
【0041】
従来技術のスライドレール、スライダの物理的構造の代わりに、リンク対40を設置して、その第1接続端が裁断刃駆動ロッドに接続され、その第2接続端が裁断駆動アッセンブリーと接続されるように構成し、リンク対40により裁断駆動アッセンブリーによる縦方向往復駆動を裁断刃駆動ロッドに伝達する。リンク対40は、縦方向において回動不能であるため、裁断駆動アッセンブリーによる駆動力を裁断刃駆動ロッドに伝達でき、また、スライドレールとスライダとの接触する面が存在しないため、裁断するときにスライドレールとスライダとの作用力で金属微粒子を生じることもなく、電池の安全リスクが低減する。
【0042】
本出願のいくつかの実施例において、リンク対40は第1リンク41と第2リンク42とを含み、第1リンク41が第1接続端と第1ヒンジ接続端とを有し、第2リンク42が第2接続端と第2ヒンジ接続端とを有し、第1ヒンジ接続端と第2ヒンジ接続端とがヒンジ接続される。
【0043】
第1リンク41の両端がそれぞれ第1接続端および第1ヒンジ接続端であり、第2リンク42の両端がそれぞれ第2接続端および第2ヒンジ接続端であり、第1ヒンジ接続端と第2ヒンジ接続端とをヒンジ接続することにより、第1リンク41と第2リンク42とがリンク対40を構成し、第1リンク41と第2リンク42とが相対的に回動するとき、第1接続端と第2接続端との距離が変化可能であり、第1接続端が裁断駆動アッセンブリーと接続され、第2接続端が裁断刃駆動ロッドと接続され、即ち、裁断刃駆動ロッドと裁断駆動アッセンブリーとの水平面における位置関係が変化し、前記水平面が、図面におけるX-Z平面である。
【0044】
ヒンジ接続で接続された第1リンク41および第2リンク42によりリンク対40を構成し、第1リンク41および第2リンク42の第1接続端および第2接続端が回動によってその距離が変化する特性を利用することにより、裁断刃により材料帯を追従裁断するときの水平往復移動を実現する。
【0045】
本出願のいくつかの実施例において、第1接続端は裁断駆動アッセンブリーと回動可能に接続され、第2接続端は裁断刃駆動ロッドと回動可能に接続される。
【0046】
第1接続端と裁断駆動アッセンブリー、および第2接続端と裁断刃駆動ロッドの接続方式が回動可能な接続に設計されるとともに、第1リンクと第2リンクがヒンジ接続されるため、裁断刃により材料帯を追従裁断するとき、裁断刃が水平方向において往復移動することができる。従来のスライドレールとスライダによるスライド接続方式の代わりに上記のリンク対による回動可能な接続方式を用いることにより、スライドレールとスライダとの摩擦により金属微粒子を生じるリスクを避けることができる。
【0047】
本出願のいくつかの実施例において、第1リンク41および第2リンク42がいずれも裁断刃駆動ロッドの軸線と垂直をなすように設置され、第1リンク41が第2リンク42の上方に位置し、前記回動可能な接続およびヒンジ接続の回動平面が前記裁断刃駆動ロッドの軸線と垂直をなす。
【0048】
第1リンク41および第2リンク42の移動平面を限定することにより、第1接続端および第2接続端が水平方向においてのみ変位し、縦方向において変位しないため、駆動力の伝達効率を向上させることができる。また、第1リンク41および第2リンク42がそれぞれ異なる移動平面を有するため、第1リンク41と第2リンク42の干渉が発生しなく、それらの回動変化範囲を拡大することができ、比較的に短い第1リンク41および第2リンク42が比較的に大きい範囲の回動変化を実現することができ、構造の寸法を最適化することができる。第2接続端が回動可能な接続により第1接続端との距離変化を実現でき、したがって裁断刃の水平方向における往復移動を実現することができる、裁断刃の水平方向における往復移動の最大距離が第1リンクと第2リンクとの長さの合計の2倍となる。
【0049】
本出願のいくつかの実施例において、第1ヒンジ接続端と第2ヒンジ接続端とが接続ピン43によりヒンジ接続され、第1接続端および第2接続端がショルダーボルトによりそれぞれ裁断駆動アッセンブリーおよび裁断刃駆動ロッドと回動可能に接続される。
【0050】
第1リンク41の第1ヒンジ接続端および第1接続端にそれぞれ縦方向の取付孔が設けられ、第2リンク42の第2ヒンジ接続端および第2接続端にそれぞれ縦方向の取付孔が設けられ、裁断刃駆動ロッドの上面および裁断駆動アッセンブリーの下面にも縦方向の取付孔が設けられている。第1ヒンジ接続端の取付孔と第2ヒンジ接続端の取付孔とが、縦方向に配置される接続ピン43の挿着により接続され、第1接続端と裁断駆動アッセンブリーの取付孔とがショルダーボルトにより接続され、第2接続端と裁断刃駆動ロッドの取付孔ともショルダーボルトにより接続される。当業者にとって、他の回動可能な接続方式により裁断駆動アッセンブリー、第1リンク、第2リンク、裁断刃駆動ロッドの接続を実現してもよく、ここで限定しない。
【0051】
接続ピン43およびショルダーボルトの設置により、具体的な回動可能な接続構造が提供され、そして、上記の構成が簡単で、取り付けが容易で、安定性が高い。
【0052】
本出願のいくつかの実施例において、裁断駆動アッセンブリーは裁断駆動モータ31とカム従動構造とを備え、カム従動構造が裁断駆動モータ31の回動軸に取り付けられるとともに第1接続端と接続される。裁断駆動モータ31およびカム従動構造の設置により、実現可能な縦方向往復駆動の構造が提供される。
【0053】
本出願のいくつかの実施例において、カム従動構造は、カム32と、カム従動ブロック35と、直線スライドレール34とを備える。カム従動ブロック35は、縦方向にスライド可能に直線スライドレール34に取り付けられ、カム従動ブロック35にガイド溝36が開設された。カム32は、裁断駆動モータ31の回動軸に取り付けられ、カム32に設置される軸受従動装置33がガイド溝36に挿設される。
【0054】
裁断駆動モータ31の回動軸がカムの回動を駆動し、そして軸受従動装置33を同期して回動させ、軸受従動装置33がガイド溝36内に取り付けられるとともにガイド溝36において水平に往復移動できるため、回動する軸受従動装置33が、ガイド溝36において水平に往復移動することができるとともに、ガイド溝36と協働してカム従動ブロック35を、直線スライドレール34において縦方向に往復移動するように駆動することにより、裁断駆動モータ31の回転駆動を縦方向の往復駆動に変換することができる。また、カム従動ブロック35がリンク対40と接続され、具体的にリンク対40における第1リンク41の第1接続端と接続されるため、縦方向の往復駆動をリンク対40に伝達し、リンク対40により裁断刃駆動ロッドに伝達することができる。
【0055】
カム従動構造は、カム32と、カム従動ブロック35と、直線スライドレール34とを備えるように構成されるため、裁断駆動モータ31の回転駆動を縦方向における縦方向往復駆動に変換して裁断の機能を実現することができる。
【0056】
本出願のいくつかの実施例において、追従駆動アッセンブリー20は、ラック22と追従駆動モータ21とを備え、ラック22が水平に配置され、追従駆動モータ21の回動軸に、ラック22と噛合する歯車が環装され、裁断刃駆動ロッドと追従駆動モータ21とが接続される。
【0057】
追従駆動モータ21が歯車とラック22との噛合伝動によりラック22において移動して水平方向の往復駆動を実現し、そして、ラック22の歯が縦方向に設けられるため、追従駆動モータ21がラック22において縦方向に移動することもでき、したがって裁断駆動アッセンブリーの縦方向駆動も実現できる。
【0058】
追従駆動モータ21およびラック22の設置により、実現可能な水平方向の往復駆動の構造が提供され、そして、ラック22の形状により、上記の追従駆動モータ21がラック22に対して縦方向に移動することができ、追従駆動アッセンブリーと裁断駆動アッセンブリーが複合して使用されるときの縦方向の相対的な変位の問題を解決することができる。
【0059】
本出願のいくつかの実施例において、裁断刃駆動ロッドは、上端がリンク対40の第2接続端と接続され、下端が追従駆動モータ21と接続される。
【0060】
裁断刃駆動ロッドは、上端がリンク対40の第2接続端と回動可能に接続され、下端が追従駆動モータ21と固定接続されることにより、裁断刃駆動ロッドがリンク対40から伝達された縦方向往復駆動を追従駆動モータ21に伝達することができ、したがって駆動モータ21および裁断刃駆動ロッドが縦方向に移動する。上記の構成によれば、ラック22と追従駆動モータ21との位置制限の作用により、リンク対における第1接続端および第2接続端が同一の鉛直直線に位置しないことに起因した縦方向往復駆動の伝達方向のずれの問題を解決し、裁断刃駆動ロッドの下端を鉛直状態に保ち、裁断刃まで伝達される駆動力の方向を縦方向にすることができる。
【0061】
裁断刃駆動ロッドの下端が追従駆動モータ21と接続されることによれば、裁断刃駆動ロッドの縦方向駆動の伝達方向のずれに起因にして裁断刃に影響を与えることを抑えることができ、裁断刃まで伝達される駆動力の方向を縦方向に保つことができる。
【0062】
本出願のいくつかの実施例において、任意で、ベース構造50をさらに備え、ベース構造50に裁断駆動モータ31、ラック22および直線スライドレール34が取り付けられる。ベース構造50は、水平に配置される底板と、底板に垂直をなすとともに材料帯の前進方向に平行をなした立板とを少なくとも含み、底板の上面に、回動軸が立板に向けられている裁断駆動モータ31が取り付けられ、その回動軸が立板を穿通して配置され、底板の下面にラック22が取り付けられ、立板に直線スライドレール34が設置される。直線スライドレール34は、2つであり、それぞれ裁断駆動モータ31の両側に設置され、カム従動ブロック35を縦方向にスライド可能に取り付けるとともに、カム従動ブロック35と立板との間にカム32を収容する室を形成するように構成される。
【0063】
ベース構造50を設置し、裁断駆動モータ31、ラック22および直線レールをベース構造50に取り付けることにより、裁断駆動モータ31、ラック22および直線レールのレイアウトが最適化され、構造全体がより合理的になるとともにコンパクトである。本出願のいくつかの実施例において、本出願は、上記のいずれか1種の裁断刃駆動装置100を備える裁断設備をさらに提供する。
【0064】
最後に説明すべきこととしては、上記の各実施例は、本出願の技術案を説明するためのものにすぎず、それを限定するものではない。上記の各実施例を用いて本出願を詳細に説明したが、当業者であればわかるように、依然として上記の各実施例に記載される技術案を変更し、又はそのうちの一部又は全ての技術特徴に対して均等置換を行うことが可能であり、これらの変更又は置換は、対応する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の範囲から逸脱させることがない。
【符号の説明】
【0065】
100 裁断刃駆動装置
10 裁断刃駆動ロッド
20 追従駆動アッセンブリー
21 追従駆動モータ
22 ラック
31 裁断駆動モータ
32 カム
33 軸受従動装置
34 直線スライドレール
35 カム従動ブロック
36 ガイド溝
40 リンク対
41 第1リンク
42 第2リンク
43 接続ピン
50 ベース構造