(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】吸引および灌注制御システムならびに方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20240722BHJP
A61B 17/94 20060101ALI20240722BHJP
A61B 1/015 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
A61M1/00 140
A61B17/94
A61B1/015 514
(21)【出願番号】P 2022551714
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 US2021019599
(87)【国際公開番号】W WO2021173791
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-10-25
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カート・ジー・シェルトン
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-533830(JP,A)
【文献】特表2009-506817(JP,A)
【文献】特表2016-515441(JP,A)
【文献】特開2016-043178(JP,A)
【文献】特開平03-207371(JP,A)
【文献】特開2019-093138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
A61B 17/94
A61B 1/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスを用いる処置中に、患者の解剖学的部位における解剖学的環境の圧力を維持するためのシステムであって、
前記解剖学的環境の圧力を感知するように構成された圧力センサと、
前記処置中に、前記解剖学的環境の前記圧力を、安全な圧力範囲内に維持するために、前記解剖学的環境の前記感知された圧力と前記安全な圧力範囲の間の比較に基づき、前記医療デバイスの少なくとも1つの作業チャネルを通る灌注流または吸引流の1つまたは複数を調整するように構成され、処置中に対象物を外科的に除去する際の圧力による組織損傷を回避しながら、前記少なくとも1つの作業チャネルを通り対象物の外科的除去を容易にする、制御モジュールと
を備え
、
前記制御モジュールは、
前記解剖学的環境に適用される、前記安全な圧力範囲内の望ましい圧力のユーザ入力を受け取ること、および
前記解剖学的環境の前記感知された圧力を、実質的に前記望ましい圧力レベルに維持するように、前記灌注流または前記吸引流の1つまたは複数を調整すること
を実施するように構成される、システム。
【請求項2】
前記望ましい圧力が、前記解剖学的環境の実質的に正味ゼロの圧力であり、また前記制御モジュールが、
前記解剖学的環境の前記感知された圧力の増加に応じて、前記感知された圧力の前記増加を実質的に無効化するために、前記少なくとも1つの作業チャネルを通る前記吸引流を増加すること、および
前記解剖学的環境の前記感知された圧力の減少に応じて、前記感知された圧力の前記減少を実質的に無効化するために、前記少なくとも1つの作業チャネルを通る前記灌注流を増加すること
を実施するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記望ましい圧力が前記解剖学的環境の正圧であり、また前記制御モジュールは、前記感知された圧力が実質的に前記望ましい正圧レベルに達するまで、前記少なくとも1つの作業チャネルを通る前記灌注流を増加する、または前記吸引流を減少させるように構成される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項4】
前記望ましい圧力が前記解剖学的環境の負圧であり、また前記制御モジュールは、前記感知された圧力が実質的に前記望ましい負圧レベルに達するまで、前記少なくとも1つの作業チャネルを通る前記灌注流を減少させる、または前記吸引流を増加するように構成される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項5】
前記安全な圧力範囲は、ユーザ指定の、または調整可能に指定できる負圧の下限および正圧の上限を含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御モジュールは、
前記少なくとも1つの作業チャネルにおける望ましい流れ条件のユーザ入力を受け取ることであって、前記望ましい流れ条件は、前記灌注流と前記吸引流の間の相対的な状況を表し、かつ前記解剖学的環境に適用される望ましい圧力に対応する、受け取ること、および
前記少なくとも1つの作業チャネルにおける前記望ましい流れ条件を維持するために、灌注流量または吸引流量の1つまたは複数を調整すること
を実施するように構成される、請求項1から
5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御モジュールは、
灌注ソースを前記少なくとも1つの作業チャネルに流体結合させ、調整可能な圧力または調整可能な流量を用いてそれに前記灌注流を提供すること、および
吸引ソースを前記少なくとも1つの作業チャネルに流体結合させ、調整可能な圧力または調整可能な流量を用いてそれに前記吸引流を供給すること
を実施するように構成される、請求項1から
6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの作業チャネルは、前記灌注ソースおよび前記吸引ソースに流体結合された共通の作業チャネルを含み、前記共通の作業チャネルは、前記灌注流および前記吸引流を通過させるように構成されている、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの作業チャネルは、前記灌注ソースに流体結合され、かつ前記灌注流を通過させるように構成された灌注チャネルと、前記吸引ソースに流体結合され、かつ前記吸引流を通過させるように構成された、前記灌注チャネルとは別の吸引チャネルとを含む、請求項
7に記載のシステム。
【請求項10】
前記灌注流または前記吸引流の1つまたは複数を増加させる、または減少させるユーザコマンドを受け取るように構成されたユーザ入力を備える、請求項1から
9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御モジュールは、比例積分(PI)コントローラ、または比例積分微分(PID)コントローラを含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記解剖学的部位の中に少なくとも部分的に挿入可能な組織除去デバイスをさらに備え、前記組織除去デバイスは、前記解剖学的環境および周囲環境の少なくとも一部を照明し、前記解剖学的環境の画像を提供し、前記解剖学的環境から望ましくない組織を切除し、かつ前記切除された組織を、前記少なくとも1つの作業チャネルを介して除去するように構成され、
前記制御モジュールは、前記望ましくない組織の切除および除去中に、前記解剖学的環境の前記圧力を、前記安全な圧力範囲内に維持するために、前記灌注流または前記吸引流の1つまたは複数を調整するように構成される、請求項1から
11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記患者の尿路の一部の中に少なくとも部分的に挿入可能な腎臓鏡をさらに備え、前記腎臓鏡は、腎臓腫瘤および周囲環境を照明し、前記照明された腎臓腫瘤の画像を提供し、前記腎臓腫瘤を断片へと破壊し、かつ前記腎臓腫瘤の断片を前記少なくとも1つの作業チャネルを介して除去するように構成され、
前記制御モジュールは、前記腎臓腫瘤の破壊および除去中に、前記腎臓腫瘤の前記周囲環境の前記圧力を前記安全な圧力範囲内に維持するために、前記灌注流または前記吸引流の1つまたは複数を調整するように構成される、請求項1から
12のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、本願の譲受人に譲渡された、2020年2月27日出願の「SUCTION AND IRRIGATION CONTROL SYSTEM AND METHOD」と題する米国特許出願第16/803,649号(代理人整理番号5409.175US1)に関し、その全体を本明細書に参照により組み込むものとする。
【0002】
本文書は、一般に、内視鏡検査法システムに関し、より詳細には、内視鏡処置中に制御下で、解剖学的部位における解剖学的環境の原位置圧力を保つための吸引および灌注システムに関する。
【背景技術】
【0003】
内視鏡は、通常、医師に視覚的なアクセスが提供されるように、患者の内部位置へのアクセスを提供するために使用される。いくつかの内視鏡は、患者の体から望ましくない組織、または異物を取り除くために、最小の侵襲性手術において使用される。例えば、内視鏡組織除去デバイスは、臨床医により使用される器具であり、解剖学的部位において、壊死した、がん性の、損傷した、感染した、もしくはその他の望ましくない軟組織、骨、または他の解剖学的構造に対して遠隔的にアクセスし、前記望ましくない物質を隣接する解剖学的構造から切除し、かつそれらを、解剖学的部位から移送する。腎臓鏡は、直接的な視覚制御下で、腎臓系を検査し、様々な手技を実施するために臨床医により使用される。例えば、経皮的腎砕石術(PCNL)は、腎臓鏡を患者の脇腹を介して腎盤の中に配置することを含む手技である。例えば、尿路系、胆のう、鼻腔、胃腸管、胃、または扁桃腺などを含む体の様々な部位からの結石もしくは塊(mass)が視覚化され、かつ取り出すことができる。大きな寸法の結石は、衝撃波、超音波エネルギー(超音波砕石機などの特殊なデバイスによる)、またはレーザなどの振動力を用いて、より小さな断片へと切除され得る。
【0004】
いくつかの内視鏡は、いくつかある望ましくない物質の中でもとりわけ、切除された組織、結石(例えば、様々な石を形成する部位における石または石の断片)、および塊を移送するための吸引チャネル(吸気チャネルとしても知られている)を有する。灌注作用物質(例えば、生理食塩水)の流れは、処置中に、内視鏡における灌注チャネルを通って解剖学的部位に導かれ得る。灌注液は、組織の破片、石の断片、および他の望ましくない物質を、吸引チャネルを通して除くことを容易にすることができる。灌注液はまた、手技を実施する臨床医に対して、解剖学的環境の明確な視認性を維持するのを助けることができる。加えて、灌注の流れは、内視鏡組織除去デバイスに対する冷却効果を有し、結石(例えば、腎臓結石など)の切除中に生成された熱を消すのを助けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
操作対象の解剖学的構造など、解剖学的部位における解剖学的環境の圧力は、内視鏡処置中に変化する可能性がある。例えば、流れもしくは灌注液、または吸引圧力を加えることは、解剖学的環境の圧力を変動させる可能性があり、それは、内臓に対して有害な影響を有することがある。内臓への圧力に関する害を回避する、または低減するために、内視鏡処置中に、解剖学的環境の圧力を制御下に維持することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本文書は、内視鏡処置中に、解剖学的部位における解剖学的環境の原位置圧力を維持するシステムおよび方法を述べる。本文書の一態様によれば、圧力制御システムは、解剖学的環境に適用される望ましい圧力を、または望ましい圧力に対応する内視鏡の作業チャネルにおける望ましい流れ条件を、ユーザから受け取るように構成されたユーザ入力を含む。システムは、解剖学的環境の圧力を感知するように構成された圧力センサと、内視鏡処置中に、解剖学的環境の圧力を実質的に望ましい圧力レベルに維持するために、または作業チャネルにおける望ましい流れ条件を維持するために、感知された圧力に基づいて、内視鏡の少なくとも1つの作業チャネルの灌注流量または吸引流力の1つまたは複数を調整するように構成された制御モジュールとを備える。
【0007】
例1は、医療デバイスを用いる処置中に、患者の解剖学的部位における解剖学的環境に適用される圧力を維持するためのシステムである。システムは、解剖学的部位における解剖学的環境に適用される望ましい圧力をユーザから受け取るように構成されたユーザ入力と、解剖学的部位における解剖学的環境の圧力を感知するように構成された圧力センサと、感知された圧力に基づいて、解剖学的環境の圧力を実質的に望ましい圧力レベルに維持するために、医療デバイスの少なくとも1つの作業チャネルを介する灌注流量、または吸引流量の1つまたは複数を制御するように構成された制御モジュールとを備える。
【0008】
例2では、例1の主題は、任意選択で、少なくとも1つの作業チャネルにおける望ましい流れ条件を受け取るように構成され得るユーザ入力であって、望ましい流れ条件は、解剖学的環境に適用される望ましい圧力に対応する、ユーザ入力を含み、また制御モジュールは、望ましい流れ条件を維持するために、医療デバイスの少なくとも1つの作業チャネルを通る灌注流量または吸引流量の1つまたは複数を制御するように構成される。
【0009】
例3では、例1~例2のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、任意選択で、灌注ソースを少なくとも1つの作業チャネルに流体結合させ、調整可能な灌注流量でそれに灌注液を提供するように構成され、かつ吸引ソースを少なくとも1つの作業チャネルに流体結合させ、調整可能な吸引流量でそれに吸引圧力を供給するように構成され得る制御モジュールを含む。
【0010】
例4では、例3の主題は、任意選択で、灌注チャネルおよび吸引チャネルを含むことのできる少なくとも1つの作業チャネルを含み、またここで、制御モジュールは、調整可能な灌注流量で、灌注液を灌注チャネルに提供し、かつ調整可能な吸引流量で吸引圧力を吸引チャネルに提供するように構成される。
【0011】
例5では、例1~例4のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、任意選択で、灌注流量または吸引流量の1つまたは複数を増減させるユーザコマンドを受け取るように構成され得るユーザ入力を含む。
【0012】
例6では、例1~例5のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、任意選択で、解剖学的環境の実質的に正味ゼロの圧力であり得る望ましい圧力と、制御モジュールであって、灌注流量の増加により生成され感知された圧力の増加に応じて、感知された圧力の増加を実質的に無効化するために、少なくとも1つの作業チャネルを通る吸引流量を増加するように構成し、かつ吸引流量の増加により生成され感知された圧力の減少に応じて、感知された圧力の減少を実質的に無効化するために少なくとも1つの作業チャネルを通る灌注流量を増加するように構成され得る制御モジュールとを含む。
【0013】
例7では、例1~例5のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、任意選択で、解剖学的環境の正圧とすることのできる望ましい圧力と、感知された圧力が実質的に望ましい正圧レベルに達するまで、少なくとも1つの作業チャネルを通る灌注流量を増加する、または吸引流量を減少させるように構成され得る制御モジュールとを含む。
【0014】
例8では、例1~例5のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、任意選択で、解剖学的環境の負圧とすることのできる望ましい圧力と、感知された圧力が、実質的に望ましい負圧レベルに達するまで、少なくとも1つの作業チャネルを通る灌注流量を減少させる、または吸引流量を増加するように構成され得る制御モジュールとを含む。
【0015】
例9では、例1~例8のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、任意選択で、解剖学的部位の中に少なくとも部分的に挿入可能な組織除去デバイスを含み、組織除去デバイスは、解剖学的環境および周囲環境の少なくとも一部を照明し、解剖学的環境の画像を提供し、解剖学的環境から望ましくない組織を切除し、かつ切除された組織を、少なくとも1つの作業チャネルを介して取り除くように構成され、またここで、制御モジュールは、解剖学的環境の圧力を実質的に望ましい圧力レベルに維持するように、灌注流量または吸引流量の1つまたは複数を調整するように構成することができる。
【0016】
例10では、例1~例8のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、任意選択で、患者の尿路の一部の中に少なくとも部分的に挿入可能な腎臓鏡であって、腎臓腫瘤および周囲環境を照明し、照明された腎臓腫瘤の画像を提供し、腎臓腫瘤を断片へと破壊し、かつ腎臓腫瘤の断片を少なくとも1つの作業チャネルを介して取り除くように構成された腎臓鏡と、腎臓腫瘤の周囲環境の圧力を実質的に望ましい圧力レベルに維持するために、灌注流量または吸引流量の1つまたは複数を調整するように構成され得る制御モジュールとを含む。
【0017】
例11は内視鏡外科手術システムであり、システムは、撮像モジュール、外科手術モジュール、および灌注液または吸引圧力を伝えるように構成された少なくとも1つの作業チャネルを含む内視鏡と、解剖学的部位において解剖学的環境に適用される望ましい圧力をユーザから受け取るように構成されたユーザ入力と、解剖学的部位における解剖学的環境の圧力を感知するように構成された圧力センサと、解剖学的環境の圧力を、実質的に望ましい圧力レベルに維持するために、感知された圧力に基づき、少なくとも1つの作業チャネルを通る灌注流量または吸引流量の1つまたは複数を調整するように構成された制御モジュールとを備える。
【0018】
例12では、例11の主題は、任意選択で、灌注チャネルおよび吸引チャネルを含むことができる少なくとも1つの作業チャネルと、灌注ソースを灌注チャネルに流体結合させ、調整可能な灌注流量でそれに灌注液を提供するように構成され、かつ吸引ソースを吸引チャネルに流体結合させ、調整可能な吸引流量で吸引圧力をそれに供給するように構成され得る制御モジュールとを含む。
【0019】
例13では、例11~例12のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、任意選択で、灌注流量または吸引流量の1つまたは複数を増減させるユーザコマンドを受け取るように構成され得るユーザ入力含み、望ましい圧力は、解剖学的環境の実質的に正味ゼロの圧力、正圧、または負圧とすることができる。
【0020】
例14は、医療デバイスを用いる処置中に、患者の解剖学的部位における解剖学的環境に適用される圧力を維持する方法である。方法は、ユーザ入力を介して、解剖学的部位における解剖学的環境に適用される望ましい圧力を受け取るステップと、圧力センサを介して、解剖学的部位における解剖学的環境の圧力を感知するステップと、感知された圧力に基づいて、解剖学的環境の圧力を実質的に望ましい圧力レベルに維持するように、制御モジュールにより、少なくとも1つの作業チャネルを通る灌注流量または吸引流量の1つまたは複数を調整するステップとを含む。
【0021】
例15では、例14の主題は、任意選択で、少なくとも1つの作業チャネルにおける望ましい流れ条件を受け取るステップであって、望ましい流れ条件は、解剖学的環境に適用される望ましい圧力に対応する、ステップと、望ましい流れ条件を維持するために、少なくとも1つの作業チャネルを通る灌注流量または吸引流量の1つまたは複数を調整するステップとを含む。
【0022】
例16では、例14~例15のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、任意選択で、灌注チャネルおよび吸引チャネルを含むことのできる少なくとも1つの作業チャネルを含む。方法は、灌注チャネルにおいて、調整可能な灌注で灌注液を提供するように、灌注ソースを制御するステップと、吸引チャネルを通る調整可能な吸引流量で吸引圧力を提供するように、吸引ソースを制御するステップとを含む。
【0023】
例17では、例16の主題は、任意選択で、灌注流量または吸引流量の1つまたは複数を増減させるユーザコマンドをユーザ入力から受け取るステップを含む。
【0024】
例18では、例14~例17のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、任意選択で、解剖学的環境の実質的に正味ゼロの圧力であり得る望ましい圧力を含み、灌注流量または吸引流量の1つまたは複数を調整するステップは、灌注流量における増加により生成され感知された圧力における増加に応じて、感知された圧力における増加を実質的に無効化するために、少なくとも1つの作業チャネルを通る吸引流量を増加させるステップと、吸引流量の増加により生成され感知された圧力の減少に応じて、感知された圧力の減少を実質的に無効化するために、少なくとも1つの作業チャネルを通る灌注流量を増加させるステップとを含むことができる。
【0025】
例19では、例14~例17のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、任意選択で、解剖学的環境の正圧であり得る望ましい圧力を含み、灌注流量または吸引流量の1つまたは複数を調整するステップは、感知された圧力が、実質的に望ましい正圧レベルに達するまで、少なくとも1つの作業チャネルを通る灌注流量を増加する、または吸引流量を減少させるステップを含むことができる。
【0026】
例20では、例14~例17のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、任意選択で、解剖学的環境の負圧であり得る望ましい圧力を含み、灌注流量または吸引流量の1つまたは複数を調整するステップは、感知された圧力が、実質的に望ましい負圧レベルに達するまで、少なくとも1つの作業チャネルを通る灌注流量を減少させる、または吸引流量を増加させるステップを含むことができる。
【0027】
この要約は、本出願の教示のいくつかを概観するものであり、本主題の排他的な、または網羅的な処置であることを意図するものではない。本主題に関するさらなる詳細は、詳細な説明および添付の特許請求の範囲において見出される。本開示の他の態様は、限定的な意味にそれぞれを解釈すべきではないが、当業者であれば、以下の詳細な説明を読み、理解し、またその一部を形成する図面を見れば明らかになろう。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲により、かつその法律的に均等な形態により定義される。
【0028】
様々な実施形態は、添付図面の諸図において例として示されている。このような実施形態は、説明的なものであり、本主題の網羅的または排他的な実施形態であるようには意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】最小の侵襲性処置中に、解剖学的部位における解剖学的環境の原位置圧力を、実質的に望ましいレベルに維持するためのシステムの例を示すブロック図である。
【
図2A】
図1を参照して述べられたシステムで使用され得る動力付き組織除去デバイス200を示す図である。
【
図2B】
図1を参照して述べられたシステムで使用され得る動力付き組織除去デバイス200を示す図である。
【
図3A】内視鏡処置中に、解剖学的環境の原位置圧力を実質的に望ましいレベルに維持できる内視鏡システムを示す図である。
【
図3B】内視鏡処置中に、解剖学的環境の原位置圧力を実質的に望ましいレベルに維持できる内視鏡システムを示す図である。
【
図4】例示的なフィードバック制御される圧力規制システムを示す図である。
【
図5】最小の侵襲性処置中に、解剖学的部位における解剖学的環境の圧力を維持する方法を示す流れ図である。
【
図6A】内視鏡処置中に、解剖学的環境のバランスの取れた環境圧力を維持するための方法を示す流れ図である。
【
図6B】内視鏡処置中に、解剖学的環境のバランスの取れた環境圧力を維持するための方法を示す流れ図である。
【
図7A】内視鏡処置中に、解剖学的環境の望ましい正圧を維持するための方法を示す流れ図である。
【
図7B】内視鏡処置中に、解剖学的環境の望ましい負圧を維持するための方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
内視鏡は、診断または治療を支援するために、体の臓器または空洞部の内部に挿入できる管状部分を備える。1つまたは複数の作業チャネル(例えば、吸引チャネルおよび/または灌注チャネル)は、内視鏡処置中に、流れもしくは灌注液、または吸引圧力を提供するために、管状部分の内側に配置され、かつその長さに沿って延びることができる。灌注および吸引は、いくつかある中でもとりわけ、組織の破片、結石および塊、または体液など、内視鏡処置中に生成される望ましくない物質の移送を容易にすることができる。
【0031】
内視鏡において作業チャネルを介する吸引は、解剖学的部位に負の圧力変化を生ずる可能性がある。内視鏡において、作業チャネルを介して灌注液を加えることは、解剖学的部位に正の圧力変化を生ずる可能性がある。負および正の圧力変化は、適正に制御されない場合、解剖学的部位に露出された内臓に対して有害になり得る。例えば、体は、何らかの正の圧力変化を調整できるかもしれないが、多くの臓器は、負の圧力変化に対して比較的無防備である。
【0032】
本発明者は、解剖学的部位における解剖学的環境の圧力をモニタし、処置中に解剖学的環境の圧力を安定化し、かつ内臓を圧力に関連する害から保護するために、ユーザが吸引流および/または灌注流を手動で制御できる内視鏡システムの満たされていない必要性を認識してきた。
【0033】
本明細書で開示されるものは、内視鏡処置中に、解剖学的部位における解剖学的環境(例えば、内臓またはその環境)の原位置圧力を維持するシステムおよび方法である。本文書の一態様によれば、灌注および吸引システムは、解剖学的環境の圧力を感知するように構成された圧力センサと、感知された圧力に基づいて、内視鏡の少なくとも1つの作業チャネルの灌注流量または吸引流量の1つまたは複数を調整するように構成された制御モジュールとを含む。制御モジュールは、内視鏡処置中に、解剖学的環境の圧力を実質的に望ましい圧力レベルに維持するために、または作業チャネルにおける望ましい流れ条件を維持するためになど、圧力変化を制御下に保つために、フィードバック制御機構を使用することができる。
【0034】
この文書で論じられる様々な実施形態によるシステムおよび方法は、内視鏡処置中に原位置圧力を制御することに対して向上させた解決策を提供する。灌注液および吸引圧力の制御された適用を含む提案される解決策は、内臓の環境的な安定化を提供する。本明細書で論じられる圧力のフィードバック制御は、内視鏡の付属物およびアクセサリの挿入および除去を繰り返すことのない内視鏡検査法をユーザに提供し、また効果的に、手技時間を低減して患者の安全性を高めることができる。
【0035】
図1は、最小の侵襲性の処置中に、解剖学的部位における解剖学的環境101の原位置圧力を実質的に望ましいレベルに維持するためのシステム100の例を示すブロック図である。システム100は、医療デバイス110および任意選択の構成要素を含むことができる。任意選択の構成要素は、吸引ソース120、灌注ソース130、ユーザインターフェース140、センサ回路150、または制御モジュール160のいずれかを含むことができる。様々な例では、システム100は、個々の構成要素の構成および置き換えを容易にできる向上した柔軟性を提供するモジュール式の設計を有することができる。例では、ユーザインターフェース140、センサ回路150、および制御モジュール160が、吸引/灌注制御ユニットに含まれ得る。吸引/灌注制御ユニットは、1つまたは複数のデバイス110、吸引ソース120、または灌注ソース130に流体結合することができる。吸引/灌注制御ユニットは、異なるタイプの医療デバイスに、また異なるタイプの灌注ソースおよび吸引ソースに適合させることができる。例示的な吸引/灌注制御ユニットは、
図3A~
図3Bを参照して以下で論じられる。吸引/灌注制御ユニットは選択的に、作業チャネル111を介して、灌注および/または吸引を活動化する、または非活動化し、また灌注流量、灌注液圧力、吸引流量、または吸引圧力の1つまたは複数を調整することができる。本明細書で論じられる様々な実施形態に従って、吸引および/または灌注を制御することにより、解剖学的環境101の圧力が、処置中に望ましいレベルに維持され得る。
【0036】
医療デバイス110は、例えば、内視鏡手技など、最小の侵襲性手術を含む診断的、分析的、または治療的用途において使用することができる。例としてのものあり、限定するものではないが、医療デバイス110は、これだけに限らないが、副鼻腔手術、扁桃腺摘出、またはそれらの組合せを含む関節手術、形成外科手術、様々な耳鼻咽喉手技において使用され得る。医療デバイス110は、解剖学的環境101において臓器に手技を実施するために、または臓器組織を除去するために、ユーザにより制御され得る。医療デバイス110の制御は、例えば、ロボット手術コンソールまたはユーザインターフェースを介するなど、ハンドピースまたは間接的な制御を含むことができる。
【0037】
医療デバイス100の例は、目標とする解剖学的構造から望ましくない組織を切除するために回転する、かつ/または往復運動するように構成されたブレード組立体を備える組織除去デバイスを含むことができる。ブレード組立体は、ハンドピースに対して内部の、または代替的に外部のエネルギー源により動力が供給されるモータにより駆動され得る。エネルギー源はまた、以下で論じられる、動力により駆動される灌注および吸引を医療デバイス110に提供するなど、他の機能を満たすこともできる。例えば、いくつかある中でもとりわけ、シェーバ、デブリッダー(debrider)、ブレード、またはバー(burr)などを含む様々なブレード組立体を使用することができる。使用されるブレード組立体に応じて、組織除去デバイスは、目標とする解剖学的構造における、もしくはそこからの、壊死した、がん性の、損傷された、感染した、またはその他の望ましくない軟組織、骨、または他の解剖学的機能もしくは対象物を削る、切断する、切除する、またはその他の形で除去するように機能することができる。例示的な組織除去デバイスは、
図2A~
図2Bを参照して以下で論じられる。
【0038】
医療デバイス110の別の例は、内視鏡を含むことができる。内視鏡の例は、いくつかある中でもとりわけ、膀胱を調べるための膀胱鏡、腎臓を調べるための腎臓鏡、気管支を調べるための気管支鏡、関節を調べるための関節鏡、結腸を調べるための結腸鏡、胆管部位(例えば、胆管)を調べるための胆管鏡、胃腸部位を調べるための十二指腸内視鏡、または腹部もしくは骨盤を調べるための腹腔鏡を含むことができる。内視鏡は、内視鏡処置中に、解剖学的部位における解剖学的環境を照明するための光源と、解剖学的環境の画像またはビデオを作成するための撮像モジュールとを含むことができる。内視鏡組織除去デバイスなどのいくつかの内視鏡は、削る、切断する、切除する、またはその他の形で、目標とする解剖学的構造から望ましくない組織の部分を除去するように構成された組織切除要素を含むことができる。切除された組織の破片は、次いで、解剖学的部位から取り出すことができる。いくつかの内視鏡は、解剖学的環境から、結晶性の鉱物構造などの異物を破壊するまたは除去するように構成された切除要素を含むことができる。例えば、腎臓鏡を、腎臓の中に少なくとも部分的に挿入することができる。いくつかあるエネルギーモダリティの中で、超音波エネルギー、電磁衝撃波、またはレーザを、腎臓結石へと送達し、それらを断片に、または「石の塵」へと破壊することができ、次いで、それらを解剖学的部位から取り出すことができる。例示的な内視鏡は、
図3A~
図3Bを参照して以下で論じられる。
【0039】
医療デバイス110は、本明細書で総称的に「望ましくない物質」と呼ばれる、削られた、切断された、切除された、剥離された、もしくは除去された組織、骨、または他の解剖学的機能もしくは対象物、結石および塊、解剖学的部位における体液、ならびに灌注液を移送するための1つまたは複数の作業チャネル111を含むことができる。作業チャネル111は、吸引ソース120(医療デバイス110における吸引ポートを介するなど)、または灌注ソース130(医療デバイス110における灌注ポートを介するなど)の1つまたは複数に選択的に結合され得る。
【0040】
吸引ソース120は、解剖学的部位から、望ましくない物質を、引っ張る、吸引する、引き出す、吸い出す、またはその他の形で移動させる、もしくは除去するように働くことができる。望ましくない物質は、医療デバイス110の近位端に、ハンドピースの内側に、または医療デバイス110から離れた場所に位置する受け口の中へと移動させることができる。例では、ハンドピースは、ハンドピースが清浄化され、収集された物質が除去される前に、少なくとも一時的に望ましくない物質を収集するための容器または貯蔵器を含むことができる。吸引ソース120は、医療デバイス110の作業チャネル111に、真空、吸引、または負圧を生成して加えることにより、前述の機能を実施することができる。例では、吸引ソース120は、医療デバイス110から分離することができ、1つもしくは複数の管、ワイヤ、またはホースによりそこに接続することができる。別の例では、吸引ソース120は、医療デバイス110に含まれる、またはそれに取り付けることができる。例えば、吸引ソース120は、組織除去デバイスまたは内視鏡のハンドピース内に含まれ得る。吸引ソースは、医療デバイスにも動力を与えるエネルギー源により動力が得られる、またはそれ自体のエネルギー源により動力が得られる。
【0041】
灌注ソース130は、灌注液を作業チャネル111に提供するように働き、作業チャネル111を介して望ましくない物資(例えば、組織の破片、または石の断片)の除去を支援することができる。灌注液はまた、回転する、または往復運動する創面切除術(debridement)中に、または切除中に、組織除去デバイスもしくは切除要素を冷却し、かつ石の断片化中に生成された熱を消失させるのを助けることができる。灌注液は、重力送りされる、または加圧され得る。例では、灌注ソースは、医療デバイス111および解剖学的部位に対して上昇させて、重力送りされる灌注液を生成するバッグを備えることができる。別の例では、ポンプが、加圧された灌注流を生成することができる。灌注液は、灌注ソース130または灌注液が含まれる場所から、外部の液供給管へ、またそれを介して提供され、作業チャネル111の中に引き込まれ得る。吸引ソース120により提供される吸引圧力下で、灌注液は、望ましくない物質と共に、作業チャネル111の近位方向に向けて流れ、解剖学的部位から除去され得る。
【0042】
例では、単一の作業チャネル111を、灌注と吸引の両方に使用することができる。制御モジュール160は、別々の時間に、作業チャネル111を介して灌注および吸引を制御可能に活動化することができる。別の例では、医療デバイス110は、
図1で示されるように、吸引チャネル112および灌注チャネル114など、2つ以上の別の作業チャネルを含むことができる。吸引チャネル112は、制御可能に吸引ソース120に接続されて、それを介して吸引される望ましくない物質を送ることができる。灌注チャネル114は、制御可能に灌注ソース130に接続されて、それを介して灌注液を送ることができる。例では、吸引チャネル112は、灌注ソース130に制御可能に接続することができる。例では、灌注チャネル114は、吸引ソース120に制御可能に接続することができる。本明細書で論ずる様々な例による灌注および吸引は、いくつかある中でもとりわけ、望ましくない物質を除去すること、解剖学的環境の圧力を望ましいレベルに維持すること、および望ましい圧力に対応する望ましい流れ条件を作業チャネル内で維持することを支援するために使用され得る。
【0043】
例では、吸引チャネル112および灌注チャネル114は、医療デバイス110のハンドピースの管状部分の長さに沿って、平行な方向に配置することができる。例では、吸引チャネル112および灌注チャネル114は、入れ子構成など、共通軸と同軸に配置され得る。例では、医療デバイス110は、外側部材と、外側部材の内部に位置する内側部材とを備える。吸引チャネル112は、内側部材の内部に位置することができる。灌注チャネル114は、外側部材の外部に位置することができる。いくつかの構成では、灌注液を、灌注チャネル114を通して供給することに加えて、またはそれに代えて、灌注液を、以降で「灌注ギャップ」と呼ばれる、医療デバイス110の内側部材と外側部材の間で画定されるギャップを通して供給することができる。灌注チャネル114、または灌注ギャップの一方は、灌注液を医療デバイス110に供給するために、選択的に活動化させることができる。いくつかの例では、灌注チャネル114および灌注ギャップを共に、同時に活動化させて、灌注液を供給することができる。こうすることは、処置中に、どれほど多くの灌注液が使用されるかを臨床医が調整できるので有利であり得る。例えば、より多くの組織の破片または石の断片が生成されたとき、またはチャネルが詰まったとき、灌注チャネル114と灌注ギャップを共に活動化させて、より大きな容量の液を医療デバイス110に提供することができる。
【0044】
制御モジュール160は、内視鏡処置中に、いくつかある機能の中でもとりわけ、組織切除もしくは石の剥離、照明、撮像、灌注、および吸引の1つまたは複数を含む、医療デバイス110の動作を制御するように構成することができる。例では、制御モジュール160は、情報を処理するための専用プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロプロセッサ、または他のタイプのプロセッサなど、マイクロプロセッサ回路の一部として実装することができ、システム100の構成要素の動作を活動化する、非活動化する、または変更するための制御信号を生成する。代替的に、マイクロプロセッサ回路は、本明細書で述べられる機能、方法、または技法を実施する命令を受け取り、かつ実行することのできるプロセッサとすることができる。
【0045】
制御モジュール160は、
図3A~
図3Bで示されているものなど、医療デバイス110から分離されたユニットにおいて少なくとも部分的に実装され得る。代替的に、制御モジュール160のいくつかの部分は、医療デバイス110に一体化される、またはその他の形で取り付けられ得る。いくつかの例では、制御モジュール160は、本明細書で述べられる機能、方法、または技法を、単独で、または組み合わせて実施する回路セットを含むことができる。例では、回路セットのハードウェアは、特定の動作を実行するように設計された一定に接続された構成要素を含むことができる(例えば、ハードワイアード)。例では、回路セットのハードウェアは、特定の動作の命令を符号化するために物理的に変更された(例えば、不変質量の粒子(invariant massed particle)の磁気的に、電気的に、移動可能な配置など)コンピュータ可読媒体を含む可変に接続された物理的な構成要素(例えば、実行ユニット、トランジスタ、簡単な回路など)を含むことができる。物理的な構成要素の接続において、ハードウェア構成要素の基礎となる電気特性は、例えば、その逆も同様であるが、絶縁体から導体へと変化される。命令は、組み込まれたハードウェア(例えば、実行ユニットまたはローディング機構)に、動作時、特定の動作部分を実行するように、可変の接続を介してハードウェアにおける回路セットの要素を作成できるようにする。したがって、コンピュータ可読媒体は、デバイスが動作しているとき、回路セット要素の他の構成要素に通信可能に結合される。例では、物理的な構成要素のいずれも、複数の回路セットの複数の要素において使用され得る。例えば、動作下において、実行ユニットは、ある時点で第1の回路セットの第1の回路において使用され、別の時間に第1の回路セットの第2の回路により、または第2の回路セットの第3の回路により再使用され得る。
【0046】
図1で示されるように、制御モジュール160は、ユーザインターフェース140に結合され、かつそこから、医療デバイス110の複数の機能のうちの1つを活動化する、非活動化する、または調整するためのユーザコマンドを受け取ることができる。ユーザインターフェース140は、医療デバイス110に少なくとも部分的に一体化される、またはその他の形で取り付けられ得る。代替的に、ユーザインターフェース140は、
図3A~
図3Bで示された例示的なシステムのように、医療デバイス110から分離することができる。ユーザインターフェース140は、可動性のものとすることができ、また医療デバイス110および流体システム(例えば、ポンプ、灌注)に取り付けることができる。例では、ユーザインターフェース140は、ユーザ(例えば、臨床医)が吸引をオン/オフする、または吸引流量もしくは吸引圧力を調整できるようにする1つまたは複数のユーザコントロールを含むことができる。ユーザコントロールは、医療デバイス110から離れた可動性のユーザインターフェース上に位置することができる。代替的に、ユーザコントロールは、
図2Aで示されるデバイスなど、内視鏡または組織除去デバイスのハンドピースのように、医療デバイス110上に位置することができる。制御モジュール160は、ユーザコマンドに応じて、望ましい吸引流量を達成するために、吸引ソース120からの吸引流を活動化もしくは非活動化する、または作業チャネル111に加えられる吸引圧力を増減することができる。同様に、ユーザインターフェース140は、ユーザが、灌注をオン/オフする、または灌注流量もしくは灌注液圧力(例えば、ポンプによる)を調整できるようにする1つまたは複数のユーザコントロールを含むことができる。制御モジュール160は、ユーザコマンドに応じて、灌注ソース130からの灌注流を活動化もしくは非活動化する、または作業チャネル111を介する灌注流量を増減することができる。
【0047】
いくつかの例では、ユーザインターフェース140上のユーザコントロールは、繰り返して押下されたとき、灌注および吸引をオフにする前に、1つまたは複数の灌注レベルおよび/または吸引レベルを循環する押下可能な洗浄制御ボタンを含むことができる。いくつかの例では、灌注および吸引は、単一のコントロールと共に制御され得る。灌注レベルおよび/もしくは吸引レベルを指定できる位置決め可能なスライド、位置決め可能なレバー、または位置決め可能なダイヤルなど、他の適切な制御要素も使用することができる。いくつかの例では、ユーザインターフェース140は、ユーザに、複数の指定された別々の灌注レベルもしくは吸引レベルのうちの1つから選択できるようにする、または代替的に、灌注レベルもしくは吸引レベルを、連続的に(例えば、別々にではなく)指定できるようにする。
【0048】
吸引および灌注の独立した制御に加えて、またはそれに代えて、制御モジュール160は、灌注または吸引の一方を、灌注または吸引の他方の状況に基づいて、自動的に制御することができる。例では、制御モジュール160は、医療デバイスに動力が供給されたとき、または灌注ソース130が灌注液を医療デバイス110に供給するとき、自動的に吸引をオンにすることができ、また医療デバイスに動力が供給されないとき、または灌注ソース130が、灌注液の医療デバイス110への供給をやめたとき、自動的に吸引をオフにすることができる。例では、制御モジュール160は、吸引流量に応じて、灌注流量または液の容量を(例えば、内側部材と外側部材の間で画定される灌注ギャップにおける流れを活動化または非活動化することにより)自動的に調整することができる。例えば、増加した吸引において(例えば、除去すべき大量の望ましくない物質に起因して)、制御モジュール160は、自動的に、灌注流量を増加する、または灌注チャネル114と灌注ギャップの両方を介して灌注液を供給することができる。それとは反対に、減少した吸引において(例えば、除去すべき望ましくない物質が少量であることに起因して)、制御モジュール160は、自動的に灌注流量を減少させる、または灌注チャネル114と灌注ギャップの両方ではなく、一方だけを介して灌注液を供給することができる。
【0049】
制御モジュール160は、環境圧力を実質的に望ましい圧力レベル(例えば、所定のレベル、またはユーザインターフェース140を介してユーザにより指定されたものなど)に維持するために、制御下で、解剖学的環境の圧力(「環境圧力」とも呼ばれる)を維持するように構成された圧力コントローラ162を含むことができる。例では、環境圧力とは、環境圧力測定(圧力センサによるものなど)と、望ましい圧力の間の差が、非限定的な例として、例えば、±5~10%の許容差範囲に含まれる場合、望ましい圧力レベルに維持されていると考えられる。解剖学的環境101の解剖学的部位で維持されるべき望ましい圧力レベルは、ユーザインターフェース140から受け取ることができる。前に述べたように、吸引は、解剖学的部位に負の圧力変化を生ずる可能性があるが、灌注は、解剖学的部位に正の圧力変化を生ずる可能性がある。負および正の圧力変化は、解剖学的部位に露出された内臓に対して有害な作用をもたらし得る。環境圧力を、制御された圧力レベルに維持することは、患者の安全性を高め、手技時間を有効に低減することができる。いくつかの例では、望ましい圧力レベルを受け取ることに加えて、またはそれに代えて、ユーザインターフェース140などから、望ましい流れ条件を受け取ることができる。望ましい流れ条件は、流出量(例えば、解剖学的環境に適用される吸引流量など)に対する流入量(例えば、解剖学的環境に適用される灌注液の流量など)に関する情報を含む。望ましい流れ条件は、解剖学的環境に適用される望ましい圧力に相当する。例えば、実質的に等しい流入量および流出量の望ましい流れ条件は、実質的に正味ゼロの環境圧力に相当し、流出量よりも高い流入量の望ましい流れ条件は、正の環境圧力に相当し、また流出量よりも少ない流入量の望ましい流れ条件は、負の環境圧力に相当する。圧力コントローラ162は、処置中に、望ましい流れ条件を維持するために、1つまたは複数の作業チャネルを通る灌注流量または吸引流量の1つまたは複数を制御することができる。
【0050】
圧力コントローラ162は、吸引または灌注の1つまたは複数を自動的に活動化する、非活動化する、または調整することにより、制御された圧力を達成することができる。センサ回路150は、内視鏡処置中に、解剖学的環境の圧力(「環境圧力」)をモニタすることができる。例では、センサ回路150は、環境圧力を感知する圧力センサに、または環境圧力を示す、もしくはその他の形でそれに関連する信号に結合することができる。圧力センサの例は、抵抗性の、静電性の、圧電性の、光学的な、または微小な電気機械システム(MEMS)圧力センサを含むことができる。例では、圧力センサは、内視鏡の挿入可能な管状部分の遠位先端など、医療デバイス110の遠位部分に取り付けられる、またはその中に一体化することができ、したがって、圧力センサは、解剖学的環境101と接触するようになる。例では、圧力センサは、解剖学的環境101から離れた内視鏡の管状部分の内側のより近位位置に配置することができる。制御モジュール160は、処置中に維持されるべき望ましい環境圧力をユーザインターフェース140から受け取ることができる。制御モジュール160は、感知された環境圧力を望ましい環境圧力と比較し、灌注流量または吸引流量の1つまたは複数を調整して、環境圧力を望ましい環境圧力レベルに向けて駆動することができる。吸引および/または灌注流量の自動調整を介して、環境圧力を規制するための例示的なシステムは、
図4を参照して以下で論ずる。
【0051】
ユーザインターフェース140は、ディスプレイなどの出力ユニットを含むことができ、例えば、いくつかある中でもとりわけ、外科手術領域の画像(ライブビデオを含む)、作業チャネル111の状況を含む医療デバイス110の動作状況、詰まったチャネルもしくは成功した詰まりの除去などのチャネル状態に関する情報、およびセンサ回路150により感知された環境圧力を含む内視鏡処置中に収集された情報を提示することができる。
【0052】
図2Aは、医療デバイス110の例である、動力付きの組織除去デバイス200の斜視図を示す。動力付きの組織除去デバイス200は、ハンドピース210と、ハンドピース210から延びる管状組立体222を含むことができる。管状組立体222は、ハンドピース210に位置する近位部分226と、反対側の遠位部分228とを備える。遠位部分228が、管状組立体222の残りの部分と整列された「真っ直ぐなシャフト」であるとして示されているが、いくつかの例では、遠位部分228は、近位部分226を含む管状組立体222の残部に対して曲げる、または角度を付けることができる。
【0053】
遠位部分228の例示的な構成が、
図2Bで示されている。管状組立体222は、外側管状部材252と、外側管状部材252の内側に位置する内側管状部材254とを備える。外側管状部材252は、外側部材窓262を備える。内側部材254は、切断部分264と、内側部材254の内部に画定される吸引チャネル274とを備える。内側部材254または切断部分264は、吸引チャネル274と連通する内側部材窓266を備える。
【0054】
動力付き組織除去デバイス200は、外側部材252に対して外部に、またはその外側に位置する灌注チャネル272を備える。灌注チャネル272は、外側部材252の長さに沿って延びる。灌注チャネル272の近位端は、灌注ソース230と流体連通している近位の灌注ポート282を備え、また灌注チャネル272の遠位端は、動力付きの組織除去デバイス200に、または外側部材252に取り付けられた遠位の灌注ポート284を備える。
【0055】
動力付きの組織除去デバイス200は、エネルギー源240、吸引ソース220、および灌注ソース230に結合され得る。エネルギー源240は、動力付き組織除去デバイス200、吸引ソース220、灌注ソース230、またはそれらの組合せに動力を供給するように構成される。吸引ソース120の実施形態である吸引ソース220は、内側部材254の内部に画定される吸引チャネル274と流体連通することができる。吸引ソース220は、吸引チャネル274を介して、動力付き組織除去デバイス200に吸引を行う、またはそこから真空を引き抜くように構成される。灌注ソース130の実施形態である灌注ソース230は、外側部材252に対して外部に、またはその外側に位置する灌注チャネル272と流体連通することができる。灌注ソース230は、代替的に、または加えて、内側部材254と外側部材252の間のギャップと流体連通することができる。
【0056】
動力付き組織除去デバイス200は、動力付き組織除去デバイス200、エネルギー源214、吸引ソース220、灌注ソース230、またはそれらの組合せを動作させるための1つまたは複数のユーザコントロール224を含む。例としてのものあり、限定するものではないが、ユーザインターフェース140の実施形態であるユーザコントロール224は、処置中に、ユーザが容易にアクセスでき、操作可能であるように、ハンドピース210に位置することができる。例では、ユーザコントロール224は、ユーザが、手動で創面切除術を制御し、いくつかある灌注もしくは吸引パラメータの中でもとりわけ、灌注流量もしくは吸引流の1つまたは複数を活動化し、非活動化し、または調整できるようにする。
【0057】
動力付き組織除去デバイス200は、ハンドピース210の内部に少なくとも部分的に位置する制御モジュール(図示せず)を含む。制御モジュール160の実施形態であり得る制御モジュールは、ユーザコントロール224からのユーザコマンドに応じて、いくつかある機能の中でもとりわけ、組織の創面切除術、灌注、吸引の1つまたは複数を含む、動力付きの組織除去デバイス200の動作を制御するように構成することができる。例では、制御モジュールは、
図1を参照して上記で論じたように、処置中に環境圧力を実質的にユーザ指定の望ましい圧力に維持するためになど、解剖学的環境の圧力(「環境圧力」)を制御下に保つために、1つもしくは複数の灌注流パラメータ、または1つもしくは複数の吸引流パラメータを活動化し、かつ調整することができる。
【0058】
図3A~
図3Bはそれぞれ、例として、内視鏡手技において使用される、内視鏡システム300Aおよび300Bを示す。内視鏡システム300Aおよび300Bは、システム100の実施形態である。
図3Aを参照すると、システム300Aは、内視鏡310A、吸引ソース320、灌注ソース330、および吸引/灌注制御ユニット340を備える。医療デバイス110の例である内視鏡310Aは、遠位端からハブ312へと延びる管311を含むシースの中へと延びることができる。ハブ312は近位端で終了する。内視鏡310は、光ポート314および視認ポート315を含むことができる。光ポート314は、内視鏡の中に、また内視鏡の管311の外に光を送るように機能することができ、したがって、解剖学的環境の対象とする構造(例えば、切除された組織、または結石および塊)が照明される。光ポートは、例えば、対象とする構造が低い照明状態に位置するとき、視認性を向上させるのに有利である。視認ポート315は、ユーザに、対象とする構造を観察できるようにする視認窓を提供するように機能することができる。例では、視認ポート315は、遠位端における視認レンズに対して視覚的なアクセスを提供する近位端における光学的窓とすることができる。別の例では、視認ポート315は、カメラに対する接続点を提供し、対象とする構造および解剖学的環境の画像またはビデオを撮ることができる。画像またはビデオは、出力されて、モニタ上に表示することができる。
【0059】
内視鏡310Aは、吸引または灌注液を受け取るための灌注/吸引ポート313を含むことができる。灌注/吸引ポート313は、ハブ312の外側に、または内視鏡310Aの近位端など内視鏡310A上の他の場所に位置することができる。灌注/吸引ポート313は、管311の内側の作業チャネル(図示せず)へと開いている。作業チャネルは、灌注液を移送するように、かつ/または吸引するような寸法、形状をしており、かつそのように構成され得る。例では、灌注および吸引を行うために、同じ作業チャネルを使用することができる(統合された灌注/吸引チャネルとも呼ばれる)。別の例では、灌注チャネルおよび吸引チャネルは、管311内に別々に配置される。
【0060】
例では、内視鏡310は、腎臓鏡とすることができる。使用中に、管311の可撓性のある遠位部分が、患者の腎臓内に外科的に挿入され得る。管311の近位部分は、患者の体外に留まることができる。管311の内側には、内視鏡310の長さに沿って延びる光ファイバを含むことができる。光ファイバは、マルチモードファイバまたはシングルモードファイバとすることができる。腎臓鏡の外部にあるレーザは、レーザビームを生成することができる。レーザビームは、適切なコネクタを介して、光ファイバの近位端の中に結合することができる。光ファイバは、腎臓結石を断片へと切除するために腎臓結石にレーザビームを送達することができる。いくつかの例では、レーザビームは、2100nm、1942nm、および他のものなど、人間の血液および塩類液(saline)の吸収のスペクトルピークに対応する波長を有することができる。概して、血液および塩類液に大幅な吸収を有するレーザビームを送達することは、このようなレーザビームは、周囲の組織に対して最小の侵襲性であり得るので有利であり、それは、腎臓結石における、またはその近くの組織に対する損傷を低減する、またはなくすことができる。レーザコントローラは、内視鏡310の把持可能な近位部分に位置することができる。
図2Aで示された創面切除術の手動制御を可能にするユーザコントロール224と同様に、レーザコントローラは、ユーザに、動作状態(「オン」)と非動作状態(「オフ」)の間でレーザビームの状態を切り替えることを可能にする。いくつかの例では、ユーザは、レーザのハウジング上で、レーザコントローラによるのではなく、出力パワーなどのレーザの1つまたは複数の設定を調整することができる。
【0061】
吸引/灌注制御ユニット340は、内視鏡処置中に、吸引および灌注を内視鏡310に提供することができ、その間は、圧力を、実質的にユーザ指定の圧力レベル(例えば、±5~10%などの許容差を有するユーザ指定の圧力など)に維持するなど、解剖学的環境の圧力を制御下に保持する。吸引/灌注制御ユニット340は、圧力モニタ(センサ回路150の実施形態である)、制御モジュール(制御モジュール160の実施形態である)、ポンプ、動力源を含むことができる。制御モジュールは、制御モジュールを制御するために、吸引/灌注制御ユニット340の外部に位置するなど、ユーザインターフェース341(ユーザインターフェース140の実施形態である)と通信状態にあることができる。
【0062】
吸引ソース320は、外部の吸引管路326を介して吸引/灌注制御ユニット340に接続することができる。吸引/灌注制御ユニット340は、灌注液の適用サイクルのすべて、または一部の間は、吸引を停止できるように、吸引ソース320と内視鏡310の間の吸引を制御するように構成された制御弁342を含む。灌注ソース330は、外部の灌注管路336を介して、吸引/灌注制御ユニット340に接続することができる。吸引/灌注制御ユニット340に含まれるポンプは、灌注液を、灌注管路336を介して内視鏡310に入る前に加圧することができる。
図3Aで示されるように、外部の吸引管路326および外部の灌注管路336は、共通の付属品350において共に接続することができ、それは、灌注/吸引ポート313を介して、内視鏡310に液または吸引を供給するための共通管路356に結合され得る。
【0063】
吸引/灌注制御ユニット340に含まれる制御モジュールは、ユーザインターフェース341からのユーザコマンドに応じて、内視鏡310の動作を制御するように構成され得る。例では、制御モジュールは、
図1を参照して上記で論じたように、環境圧力を、実質的にユーザが指定した圧力レベルに維持するためになど、解剖学的環境の圧力(「環境圧力」)を制御下に保つために、灌注流パラメータ、または1つもしくは複数の吸引流パラメータの1つまたは複数を自動的に活動化し、かつ調整することができる。
【0064】
図3Bで示されたシステム300Bは、システム300Aと同様のものであり、内視鏡310B、吸引ソース320、灌注ソース330、および吸引/灌注制御ユニット340を備える。内視鏡310Aと同様に、内視鏡310Bは、管311、ハブ312、光ポート314、および視認ポート315を含むことができる。しかし、単一の灌注/吸引ポート313に代えて、内視鏡310Bは、吸引ソース320および灌注ソース330のそれぞれと流体連通するように適合された、別々の吸引ポート313Aと灌注ポート313Bを含む。吸引ソース320は、外部の吸引管路326を介して、吸引ポート313Aに流体結合される。灌注ソース330は、外部の灌注管路336を介して、灌注ポート313Bに流体結合される。吸引ポート313Aおよび灌注ポート313Bはそれぞれ、管311の内側の1つまたは複数の作業チャネルへと開くことができる。例では、灌注チャネルおよび吸引チャネルは、管311内で別々に配置される。吸引ポート313Aは、吸引チャネルまたは灌注チャネルへと選択的に開くことができる。同様に、灌注ポート313Bは、管311の内側の吸引チャネル、または灌注チャネルへと選択的に開くことができる。
【0065】
図4は、例示的なフィードバック制御される圧力規制システム400を示す図であり、それは、システム100の環境圧力制御部分の実施形態である。システム400は、各吸引チャネル112および灌注チャネル114における吸引および/または灌注流量の自動調整を介して、解剖学的部位における環境圧力を規制するように構成することができる。例では、吸引チャネル112の長手方向軸、および灌注チャネル114の長手方向軸は、互いに平行にすることができる。例では、吸引チャネル112および灌注チャネル114は、入れ子構成になど、共通軸を用いて同軸に配置することができる。例では、灌注および吸引は、異なる時間に、統合された灌注/吸引チャネルなどの同じ作業チャネルを介して適用することができる。圧力モニタ450は、圧力センサ352を介して、解剖学的環境101の圧力をモニタすることができる。例としてのものあり、限定するものではないが、制御モジュール160は、いくつかあるフィードバックコントローラの中でもとりわけ、比例積分(PI)コントローラ、または比例積分微分(PID)コントローラを含むことができる。感知された圧力(圧力モニタ450において)と望ましい圧力の間の差は、「エラー」とも呼ばれるが、フィードバックコントローラにおけるP、I、またはD項を決定するために使用することができる。
【0066】
ユーザにより提供される望ましい圧力(または望ましい流れ条件)に応じて、システム500は、望ましい圧力が実質的に正味ゼロであるとき、安定した圧力モードで(解剖学的環境に適用される灌注液の流入量と、解剖学的環境に適用される吸引の流出量が実質的に等しい望ましい流れ条件に相当する)、または望ましい圧力が正圧もしくは負圧であるときは圧力制御モードで(流入量と流出量の間に不均衡がある望ましい流れ条件に相当する)動作することができる。安定した圧力モードで動作するとき、灌注流量または吸引流量は、ユーザインターフェース140上の各ユーザコントロールによるなど、ユーザにより手動で調整することができる。内視鏡処置中に、灌注流量における増加は、解剖学的部位における環境圧力の増加を生ずる可能性があり、それは、圧力モニタ450により感知され得る。制御モジュール160は、それに応じて、吸引圧力を吸引チャネル112に加えることにより、吸引を活動化することができる。吸引することは、灌注により生成された増加した圧力を相殺する負圧を生成することができる。制御モジュール160は、圧力増加(増加した灌注に起因する)が、吸引流により実質的に無効化されるまで、吸引流量または吸引圧力を調整することができる。環境圧力は、次いで実質的にゼロに向けて駆動され、かつゼロに維持することができる。
【0067】
同様に、吸引流量の増加は、解剖学的部位における環境圧力の減少を生ずる可能性がある。制御モジュール160は、それに応じて、灌注液の流れを灌注チャネル114に送ることにより、灌注を活動化することができる。灌注は、吸引により生成された減少した圧力を相殺するための正圧を生成することができる。制御モジュール160は、圧力低下(増加した吸引による)が、灌注流により実質的に無効化されるまで、灌注流量を調整することができる。環境圧力は、次いで実質的にゼロに向けて駆動され、ゼロに維持され得る。
【0068】
いくつかの状況では、解剖学的部位において、正または負の環境圧力を維持することが望ましい。安全な範囲内で制御された正圧は、内視鏡処置中に解剖学的構造(例えば、尿管、腎臓、子宮、または他の臓器)を広げるのを助けることができ、過度の正圧に起因する組織損傷を生じることなく、スコープによる解剖学的構造のより良好な視認性を可能にする。正圧はまた、組織の破片または石の断片が、解剖学的構造に詰まらないようにし、それらを解剖学的構造から除去するのを支援することができる。いくつかの場合では、内視鏡処置中に、安全な範囲内で制御された負圧を維持することはまた、内臓を過度の負圧の危険にさらすことなく、解剖学的構造からの破片の取り出しを容易にすることができる。
【0069】
望ましい正の環境圧力が、ユーザインターフェース140を介するなどしてユーザにより提供されたとき、システム400は、圧力制御モードで動作することができる。制御モジュール160は、解剖学的部位における正の環境圧力を増加するために、灌注チャネル114を通る灌注流量を自動的に増加することができる。加えて、または代替的に、制御モジュール160は、解剖学的部位における負圧を減少させるために、吸引チャネル112を通る吸引流量を自動的に減少させることができる。灌注および/または吸引の自動調整は、感知された環境圧力が、実質的に、望ましい正圧レベルに達するまで続けることができる。
【0070】
同様に、システム400は、ユーザインターフェース140を介するなどして、望ましい負の環境圧力がユーザにより提供されたとき、圧力制御モードで動作することができる。制御モジュール160は、解剖学的部位における負の環境圧力を増加するために、吸引チャネル112を通る吸引流量を自動的に増加することができる。加えて、または代替的に、制御モジュール160は、解剖学的部位における正圧を減少させるために、灌注チャネル114を通る灌注流量を自動的に減少させることができる。灌注および/または吸引の自動調整は、感知された環境圧力が、実質的に望ましい負圧レベルに達するまで続けることができる。
【0071】
制御モジュール160は、解剖学的環境の圧力を、負圧の下限と正圧の上限により画定される安全範囲内に保持するための安全機構を含むことができる。感知された環境圧力が、正圧の上限に達した場合、制御モジュール160は、環境圧力のさらなる増加を阻止するために、灌注流の現在の流量を自動的に停止する、低減する、または維持することができる。同様に、感知された環境圧力が負圧の下限に達した場合、制御モジュール160は、環境圧力のさらなる減少を阻止するために、吸引流の現在の流量を、自動的に停止する、低減する、または維持することができる。システムが圧力制御モードで動作するとき、ユーザから受け取られた望ましい正圧および望ましい負圧は、それらが安全範囲に含まれることを確かめるために検査される。非限定の例において、望ましい正圧は5重量ポンド毎平方インチ(psi)(または約34.5キロパスカル(kPa))、望ましい負圧は-5psi(または約-34.5kPa)、また安全範囲は、-6psi(または約-41.4kPa)の下限と、6psi(または約41.4kPa)の上限の間である。例では、ユーザから受け取られた望ましい正圧が、正圧の上限を超える場合、または望ましい負圧が、負圧の安全範囲よりも低い場合、警告が出され得る(例えば、ユーザインターフェース140から)。このような安全機構を用いると、制御モジュール160は、環境圧力をユーザ指定のレベルに維持することができ、同時に、処置中に解剖学的環境に加えられる過度の正圧もしくは負圧を阻止する、または最小化する。
【0072】
図5は、内視鏡手技などの最小の侵襲性処置中に、患者における解剖学的部位の解剖学的環境の圧力(「環境圧力」)を維持するための方法500を示す流れ図である。医療デバイスの例は、いくつかある中でもとりわけ、
図2で示されたものなどの組織除去デバイス、または
図3A~
図3Bで示されたものなどの内視鏡を含むことができる。医療デバイスは、医療診断または外科的治療を支援するために、体の中空の臓器または空洞部の内部に挿入可能な管状部分を含むことができる。医療デバイスは、灌注液を解剖学的部位に提供し、かつ本明細書で総称的に「望ましくない物質」と呼ばれる組織の破片、結石および塊、体液、ならびに灌注液を、解剖学的部位から離れて移動させるように構成された1つまたは複数の作業チャネルを備えることができる。作業チャネルは、医療デバイスの管状部分の内側に少なくとも部分的に位置することができる。例では、作業チャネルは、灌注および吸引に制御可能に使用される(例えば、異なる時間に)統合された灌注/吸引チャネルである。別の例では、作業チャネルは、医療デバイスの管状部分内に配置される別個の灌注チャネルおよび吸引チャネルを含むことができる。灌注チャネルおよび吸引チャネルは、本文書で論じられる様々な実施形態に従って、内視鏡処置中に、異なるタスクを実施する、または異なる機能を満たすために、コントローラユニットによる自動制御下などにおいて、灌注液または吸引圧力をそれぞれ受け入れることができる。
【0073】
方法500は、システム100またはその変形形態、例えば、システム200、300A、もしくは300Bのうちの1つなど、詰まりを除去するシステムを動作させる1つまたは複数のプロセスを含む。方法500のプロセスが1つの流れ図に描かれているが、それらは、特定の順序で実施される必要はない。様々な例では、プロセスのいくつかは、ここで示されたものとは異なる順序で実施することができる。
【0074】
方法500は、1つまたは複数の作業チャネルにおける吸引もしくは灌注流量の1つまたは複数を自動的に活動化する、非活動化する、または調整することにより、環境圧力を規制することができる。前に述べたように、吸引は、解剖学的部位に負の圧力変化を生ずることができ、一方、灌注は、解剖学的部位に正の圧力変化を生ずることができる。負および正の圧力変化は、解剖学的部位に露出された内臓に対して有害な作用をもたらし得る。環境圧力を制御された圧力レベルに維持することは、患者の安全性を高め、また手技時間を有効に低減することができる。
【0075】
510で、望ましい環境圧力を、ユーザインターフェース140を介するなどしてユーザから受け取ることができる。望ましい圧力は、処置中に、解剖学的環境において維持されるべき圧力を表す。様々な例では、望ましい圧力は、実質的に正味ゼロの圧力、望ましい正圧、または望ましい負圧のうちの1つとすることができる。
【0076】
いくつかの例では、望ましい圧力を受け取ることに加えて、またはその代わりに、望ましい流れ条件を、ユーザインターフェース140からなど、510で受け取ることができる。望ましい流れ条件は、流出量(例えば、解剖学的環境に適用される吸引の流量など)に対する流入量(例えば、解剖学的環境に適用される灌注液の流量など)に関する情報を含み、解剖学的環境に加えられる望ましい圧力に対応する。1つまたは複数の作業チャネルを介する灌注流量または吸引流量の1つまたは複数は、処置中に、望ましい流れ条件を維持するために変化させることができる。
【0077】
520において、圧力センサを用いるなど、解剖学的環境の圧力(「環境圧力」)が感知され得る。圧力センサは、医療デバイスの遠位部分に取り付けられる、またはその中に一体化することができ、したがって、センサは、解剖学的環境と接触状態になる。圧力センサの例は、抵抗性の、静電性の、圧電性の、光学的な、または微小な電気機械システム(MEMS)圧力センサを含むことができる。
【0078】
530において、感知された圧力は、望ましい圧力と比較することができる。感知された圧力が、実質的に望ましい圧力レベルに達しない場合、540で、圧力コントローラ162を用いるなど、作業チャネルを通る灌注流量または吸引流量の1つまたは複数を調整し、望ましい圧力レベルに向けて環境圧力を駆動することができる。
図4を参照して上記で述べられたように、吸引チャネルに加えられる吸引は、解剖学的環境の負圧を生成することができ、それは、増加した灌注流量により生成された環境圧力の増加を相殺することができる。同様に、灌注チャネルに提供される灌注液の流れは、解剖学的環境の正圧を生成することができ、それは、吸引により生成された環境圧力の減少を相殺することができる。吸引流量もしくは吸引圧力、および灌注流量もしくは灌注圧力は、環境圧力を実質的に望ましい圧力レベルに維持するために、圧力コントローラ162などにより調整することができる。正味ゼロの圧力、望ましい正圧、または望ましい負圧など、望ましい環境圧力を維持するために、吸引および/または灌注を調整する例示的な方法は、
図6A~
図6B、および
図7A~
図7Bを参照して以下で論じられる。
【0079】
530において、感知された環境圧力が、実質的に望ましい圧力レベルに達して、維持する場合(すなわち、望ましい圧力の±5~10%などの許容差の範囲内で)、550で、手順が完了したかどうかが確認される。手順が完了していない場合、520における圧力感知、および540における灌注/吸引流の調整を、手順が完了するまで続けることができる。
【0080】
図6A~
図6Bは、内視鏡処置中に、解剖学的部位における解剖学的環境のバランスの取れた環境圧力(例えば、実質的に正味ゼロの圧力)を維持すること、または解剖学的環境に適用される灌注液の流入量および解剖学的環境に適用される吸引の流出量が実質的に等しい望ましい流れ条件を維持することに関する各方法600Aおよび600Bを示す流れ図である。等しい流入および流出は、解剖学的環境の実質的に正味ゼロの圧力に相当する。バランスの取れた環境圧力、または作業チャネルにおける等しい流入量および流出量は、1つまたは複数の作業チャネルにおける吸引流量または灌注流量の1つもしくは複数を自動的に活動化する、非活動化する、または調整することによって達成され得る。実質的に正味ゼロの環境圧力を維持することはまた、安定した圧力モードとも呼ばれる。方法600Aおよび600Bは、圧力コントローラ162など、圧力コントローラに実装され、かつそれにより実行され得る。これらの方法のいずれのプロセスも特定の順序で実施される必要はない。例えば、いくつかのステップは、本明細書に示されたものとは異なる順序で実施することができる。
【0081】
方法600Aは、内視鏡処置中に、作業チャネルを通る増加した灌注に応じて、吸引圧力を自動的に活動化し、かつその制御された適用を行うステップを含む。611において、灌注流量を増加するユーザコマンドを、ユーザインターフェースから受け取ることができる。灌注流は、解剖学的環境において、正の圧力変化を生成することができ、それを、圧力センサを用いて612で感知することができる。感知された正の圧力変化に応じて、613で、圧力コントローラ162の制御下で、吸引ソースを作業チャネルに流体結合することによるなど、吸引を活動化することができる。圧力コントローラ162は、いくつかあるフィードバックコントローラの中でもとりわけ、比例積分(PI)コントローラ、または比例積分微分(PID)コントローラを含むことができる。「エラー」項とも呼ばれる感知された圧力と望ましい圧力の間の差は、フィードバックコントローラにおけるP、I、およびD項を決定するために使用することができる。いくつかの例では、611における灌注および613における吸引は、
図4で示されるように、灌注チャネルおよび吸引チャネルなどの別々のチャネルに適用することができる。代替的には、611における灌注および613における吸引は、異なる時間になど、同じ作業チャネル(「統合された吸引/灌注チャネル」)に適用することができる。
【0082】
613における作業チャネルを介する吸引は、負の圧力変化を生成することができ、それは、611における増加した流量の灌注により生成された圧力増加を相殺することができる。望ましい環境圧力を達成するために、吸引流量または吸引圧力は、環境圧力測定に基づいて調整され得る。614で、感知された圧力は、望ましい正味ゼロの圧力に対して確認される。感知された圧力が、実質的に望ましい圧力レベルに達していない場合、吸引流量は、613で、(増加した灌注から生じた)感知された圧力の増加が吸引流により実質的に無効化されるまで、さらに調整することができ、したがって、環境圧力は、実質的にゼロに向けて駆動され、ゼロに維持することができる。
【0083】
方法600Bは、内視鏡処置中に、作業チャネルに加えられた吸引に応じて、灌注液の流れを自動的に活動化し、かつその制御された適用を行うステップを含む。621で、作業チャネルに吸引を適用するユーザコマンドを、ユーザインターフェースから受け取ることができる。吸引圧力を適用することは、解剖学的環境において負の圧力変化を生成することができ、それは、622で、圧力センサにより感知され得る。感知された負の圧力変化に応じて、623で、灌注が活動化されて、灌注流を作業チャネルの中に提供することができる。
図4で示されるように、621における吸引、および623における灌注は、灌注チャネルおよび吸引チャネルなど、別々のチャネルに適用することができる。代替的に、灌注および吸引は、異なる時間になど、統合された吸引/灌注チャネルに適用することができる。
【0084】
623で、作業チャネルを介する灌注は、正の圧力変化を生成することができ、それは、611で、吸引により生成された圧力の減少を相殺することができる。望ましい環境圧力を達成するために、灌注流量または灌注圧力(作業チャネルに導かれる前に、灌注液を加圧するためにポンプにより制御されるものなど)は、環境圧力測定に基づいて調整され得る。624で、感知された圧力は、望ましい正味ゼロの圧力と比較される。感知された圧力が、実質的に望ましい圧力レベルに達しない場合、灌注は、感知された圧力(適用された吸引から得られたもの)における減少が、灌注流により実質的に無効化されるまで623で、さらに調整することができ、したがって、環境圧力は実質的にゼロに向けて駆動され、かつゼロに維持することができる。
【0085】
図7A~
図7Bは、内視鏡処置中に、解剖学的環境の望ましい正圧、または負圧を維持すること、または解剖学的環境に適用される灌注液の流入量と、解剖学的環境に適用される吸引の流出量との間の望ましい不均衡により特徴付けられる流れ条件を維持することの各方法700Aおよび700Bを示す流れ図である。望ましい不均衡の流れは、解剖学的環境の望ましい正圧または負圧に相当する。望ましい圧力条件、または望ましい流れ条件は、1つまたは複数の作業チャネルにおいて、吸引流量または灌注流量の1つまたは複数を自動的に活動化する、非活動化する、または調整することにより達成することができる。環境圧力を、制御された正または負のレベルに維持することはまた、圧力制御モードとも呼ばれる。
【0086】
方法700Aおよび700Bは、制御モジュールの圧力コントローラ162など、圧力コントローラにおいて実装され、かつそれにより実行され得る。これらの方法のいずれのプロセスも、特定の順序で実施される必要はない。例えば、いくつかのステップは、本明細書に示されたものとは異なる順序で実施することができる。
【0087】
図7Aを参照すると、方法700Aは、解剖学的部位における解剖学的環境の望ましい正圧を維持するために、内視鏡処置中に、作業チャネルに対して、吸引または灌注を自動的に活動化し、かつその制御された適用を行うステップを含む。制御された正圧を安全範囲内に維持することは、内視鏡処置中に解剖学的構造(例えば、尿管、腎臓、または他の臓器など)を広げるのを助けることができ、過度の正圧に起因して組織損傷を生じることなく、スコープによる解剖学的構造のより良好な視認性を可能にする。正圧はまた、組織の破片、または石の断片が解剖学的構造に詰まることを阻止し、かつこれらの望ましくない物質を解剖学的構造から除去するのを支援することができる。711で、望ましい正圧は、ユーザインターフェースを介してユーザから受け取ることができる。例としてのものあり、限定するものではないが、望ましい正圧は、5psi(約34.5kPa)である。712で、灌注を増加した流量で、または吸引を減少した流量で、作業チャネルに適用することができる。これは、解剖学的環境における圧力に正の変化を生ずることができ、それは、713において、圧力センサにより感知することができる。714において、感知された圧力は、望ましい正圧に対して比較され得る。感知された圧力が、望ましい正圧に達しておらず、維持しない場合、712で、灌注および/または吸引の調整を続けることができる。これは、例えば、感知された圧力が、望ましい正圧以下である場合(例えば、5psiの望ましい正圧に対して、感知された圧力が4psiであるなど)、灌注流量をさらに増加し、かつ/または吸引流量を減少させること、または感知された圧力が、望ましい正圧を超える場合(例えば、5psiの望ましい正圧に対して、感知された圧力が6psiであるなど)、灌注流量を減少させる、かつ/または吸引流量を増加することを含むことができる。
【0088】
図7Bを参照すると、方法700Bは、解剖学的部位における解剖学的環境の望ましい負圧を維持するために、内視鏡処置中に、作業チャネルに対して、吸引または灌注を自動的に活動化し、かつその制御された適用を行うステップを含む。内視鏡処置中に、制御された負圧を安全範囲内に維持することはまた、内臓を、過度の負圧の危険にさらすことなく、解剖学的構造から破片の取り出しを容易にすることができる。721において、望ましい負圧は、ユーザインターフェースによりユーザから受け取ることができる。望ましい負圧の例は、-5psi(約-34.5kPa)である。722において、増加した流量の吸引を、または減少した流量の灌注を、作業チャネルに適用することができる。こうすることは、解剖学的環境における負の圧力変化を生ずることができ、それは、723で、圧力センサにより感知され得る。724で、感知された圧力は、望ましい負圧と比較することができる。感知された圧力が、望ましい負圧に達せず、かつ維持しない場合、722で、灌注および/または吸引の調整を続けることができる。これは、例えば、感知された圧力が、望ましい負圧を超える場合(例えば、-5psiの望ましい負圧に対して、感知された圧力が-4psiであるなど)、吸引流量をさらに増加し、かつ/または灌注流量を減少させること、または感知された圧力が、望ましい負圧以下の場合(例えば、-5psiの望ましい負圧に対して、感知された圧力が-6psiであるなど)、吸引流量を減少させる、かつ/または灌注流量を増加することを含むことができる。
【0089】
上記で述べられた1つまたは複数の作業チャネルを介して灌注および/または吸引の適用を制御する方法(例えば、方法500、600A~600B、および700A~700B)は、内視鏡処置中に、内臓に対して課せられる過度の正圧または負圧を有効に回避する、または最小化することができる。したがって、全体の手技時間は低減され、かつ、患者の安全性を向上させることができる。
【0090】
付加的な注記
上記の詳細な記述は、添付図面に対する参照を含み、それは詳細な記述の一部を形成する。図面は、例として、本発明が実施され得る特定の実施形態を示す。これらの実施形態はまた、本明細書では「例」とも呼ばれる。このような例は、示されまたは述べられたもの以外の要素を含むことができる。しかし、本発明者はまた、示された、または述べられたこれらの要素だけが提供される例も企図する。さらに本発明者はまた、本明細書で示されもしくは述べられた特定の例(またはその1つもしくは複数の態様)に関して、または他の例(またはその1つもしくは複数の態様)に関して、示され、または述べられたこれらの要素(またはその1つまたは複数の態様)の任意の組合せもしくは置き換えを用いる例も企図する。
【0091】
この文書において、用語「1つの(a)」または「1つの(an)」が使用されるが、それは、「少なくとも1つの」、または「1つまたは複数の」のいずれかの他の例もしくは使用とは独立して、1つ以上の1つまたは複数を含めるために、特許文書では一般的なものである。本文書において、「または」という用語は、その他の形で指定がない限り、非排他的なものを参照するために使用されるが、あるいは「AまたはB」は、「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、また「AおよびB」を含むように使用される。本文書では、用語「含む」、および「それにおいて(in which)」は、各用語「含む/備える(comprising)」および「ここにおいて(wherein)」の平易な英語の等価な形態として使用される。さらに、添付の特許請求の範囲において、用語「含む」および「含む/備える(comprising)」は開放式のものである、すなわち、請求項において、システム、デバイス、商品、構成、配合物、またはプロセスは、このような用語の後に列挙された要素以外の要素を含むが、なお、その請求項の範囲に含まれるものと見なされる。さらに添付の特許請求の範囲において、用語「第1の」、「第2の」、および「第3の」などは、単にラベルとして使用されるに過ぎず、それらの対象に対して、数値的な要件を課すことを意図するものではない。
【0092】
上記の記述は、例示的なものであり、限定するものではないように意図されている。例えば、前述の例(またはその1つもしくは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。当業者が上記の記述を再検討することなどにより、他の実施形態を使用することができる。要約は、読者が、技術的な開示の性質を迅速に確認できるようにするために提供される。それは、特許請求の範囲もしくは意味を解釈する、または限定するためには使用されないという理解の下に提示されている。さらに上記の詳細な説明において、本開示を整理するために、様々な特徴を共にグループ化することができる。これは、特許請求されない開示された特徴が、いずれかの特許請求の範囲の基礎となることを意図するものと解釈されるべきではない。そうではなくて、本発明の主題は、個々の開示された実施形態のすべての特徴より少ない特徴に存在することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、本明細書において例または実施形態として詳細な説明に組み込まれており、各特許請求の範囲は、別の実施形態としてそれ自体で成立しているため、このような実施形態は、様々な組合せまたは置き換えにおいて、互いに組み合わせることができるように企図される。本発明の範囲は、このような請求項に権利が与えられる均等な形態の完全な範囲と併せて、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
【符号の説明】
【0093】
100 システム
101 解剖学的環境
110 医療デバイス
111 作業チャネル
112 吸引チャネル
114 灌注チャネル
120 吸引ソース
130 灌注ソース
140 ユーザインターフェース
150 センサ回路
160 制御モジュール
162 圧力コントローラ
200 動力付きの組織除去デバイス
210 ハンドピース
214 エネルギー源
220 吸引ソース
222 管状組立体
224 ユーザコントロール
226 近位部分
228 遠位部分
230 灌注ソース
240 エネルギー源
252 外側管状部材、外側部材
254 内側管状部材、内側部材
262 外側部材窓
264 切断部分
266 内側部材窓
272 灌注チャネル
274 吸引チャネル
282 近位の灌注ポート
284 遠位の灌注ポート
300A 内視鏡システム
300B 内視鏡システム
310 内視鏡
310A 内視鏡
310B 内視鏡
311 管
312 ハブ
313 灌注/吸引ポート
313A 吸引ポート
313B 灌注ポート
314 光ポート
315 視認ポート
320 吸引ソース
326 吸引管路
330 灌注ソース
336 灌注管路
340 吸引/灌注制御ユニット
341 ユーザインターフェース
342 制御弁
350 付属品
352 圧力センサ
356 共通管路
400 圧力規制システム
450 圧力モニタ