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特許7524338電池充電方法及び電池、電気エネルギー機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】電池充電方法及び電池、電気エネルギー機器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/10 20060101AFI20240722BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240722BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240722BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240722BHJP
【FI】
H02J7/10 H
H01M10/44 Z
H01M10/48 301
H01M10/058
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022554608
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 CN2022096897
(87)【国際公開番号】W WO2023092984
(87)【国際公開日】2023-06-01
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】202111435377.6
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】肖青林
(72)【発明者】
【氏名】呉譯晨
(72)【発明者】
【氏名】劉真威
(72)【発明者】
【氏名】楊麗美
(72)【発明者】
【氏名】劉暁梅
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-068467(JP,A)
【文献】特開2016-123251(JP,A)
【文献】特開2014-045626(JP,A)
【文献】特開2014-068468(JP,A)
【文献】特開2020-149880(JP,A)
【文献】特開2011-004509(JP,A)
【文献】特開2021-082426(JP,A)
【文献】特開2018-185944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H01M10/42-10/48
H01M10/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン電池の充電方法であって、
リチウムイオン電池の充電過程において、前記リチウムイオン電池の膨張力に対応するSOCに基づいて第1のSOC範囲を確定し、前記リチウムイオン電池の充電状態(SOC)が前記第1のSOC範囲に達したと確定された場合に、前記第1のSOC範囲の最小境界値から第1の設定SOCまでの範囲で、前記リチウムイオン電池の充電レートが第1の充電レートから第2の充電レートに下がるように調整し、前記第1の設定SOCから前記第1のSOC範囲の最大境界値までの範囲で、前記リチウムイオン電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レート又は第3の充電レートに上がるように調整することを含
前記充電レートは充電時の電流レートであり、
前記第3の充電レートは前記第1の充電レートよりも大きい
ことを特徴とするリチウムイオン電池の充電方法。
【請求項2】
前記の、前記リチウムイオン電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レート又は第3の充電レートに上がるように調整することは、
前記リチウムイオン電池のSOCが前記第1の設定SOCから第2のSOCの範囲に達した場合、前記リチウムイオン電池の充電レートを前記第2の充電レートに維持することと、前記リチウムイオン電池のSOCが前記第2のSOCから前記第1のSOC範囲の最大境界値までの範囲に達した場合、前記リチウムイオン電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レートに上がるように調整することとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の、前記リチウムイオン電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レート又は第3の充電レートに上がるように調整することは、
前記リチウムイオン電池のSOCが前記第1の設定SOCから前記第1のSOC範囲の最大境界値までの範囲に達した場合、前記リチウムイオン電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レートに上がるように調整することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記の、前記リチウムイオン電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レート又は第3の充電レートに上がるように調整することは、
前記リチウムイオン電池のSOCが前記第1の設定SOCから第3のSOCまでの範囲に達した場合、前記リチウムイオン電池の充電レートが前記第2の充電レートから第の充電レートに上がるように調整することと、前記リチウムイオン電池のSOCが前記第3のSOCから第4のSOCまでの範囲に達した場合、前記リチウムイオン電池の充電レートが前記第の充電レートから前記第2の充電レートに下がるように調整することと、前記リチウムイオン電池のSOCが前記第4のSOCから前記第1のSOC範囲の最大境界値までの範囲に達した場合、前記リチウムイオン電池の充電レートが第の充電レートから前記第1の充電レートに上がるように調整することとを含
前記第4の充電レートは、前記第2の充電レートより大きくかつ前記第1の充電レートより小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記の、前記リチウムイオン電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レート又は第3の充電レートに上がるように調整することは、
前記リチウムイオン電池のSOCが前記第1の設定SOCから前記第1のSOC範囲の最大境界値までの範囲に達した場合、前記リチウムイオン電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第3の充電レートに上がるように調整することを含み、ここで、前記第3の充電レートは前記第1の充電レートよりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、
前記リチウムイオン電池のSOCがゼロから前記第1のSOC範囲の最小境界値までの範囲にある場合、第5の充電レートから前記第1の充電レートに下がる充電ポリシーで前記リチウムイオン電池を充電することをさらに含む、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、
前記リチウムイオン電池のSOCが前記第1のSOC範囲の最大境界値から第5のSOCまでの範囲に達した場合、前記リチウムイオン電池の充電レートが前記第3の充電レートから第6の充電レートに上がってから、前記第6の充電レートから前記第1の充電レートに下がるように調整することをさらに含む、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の設定SOCは、24.5~25.5%の範囲にあり、環境温度に応じて変動する、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の設定SOCは、24.7%、又は24.8%、又は24.9%、又は25%、又は25.1%、又は25.2%又は25.3%を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のSOC範囲は、20%~40%を含む、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池充電分野に関し、具体的には電池充電方法及び電池、電気エネルギー機器に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月29日に提出された、発明の名称が「電池充電方法及び電池、電気エネルギー機器」である中国特許出願202111435377.6の優先権を主張している。
【背景技術】
【0003】
電池は、充放電の使用において、セルが膨張して電池の安全性能に影響を与える。また、電池の充放電サイクルに伴い、電解液が絶え間なく消費され、電池の寿命に影響を与える。特に、電池の充電過程において、充電状態が一定値に達すると、電池セルの膨張力が大きいことに起因して、電池の極板が曲がって、電池の使用寿命が低下してしまう。
【発明の概要】
【0004】
上記問題に鑑み、本出願は、電池の充電過程においておける膨張による電池の安全性の問題と電池の寿命に影響を与える問題を緩和できる電池充電方法及び電池、電気エネルギー機器を提供する。
【0005】
第1の態様によれば、本出願は、電池充電方法を提供する。この方法は、電池の充電過程において、前記電池の充電状態(SOC)が第1のSOC範囲に達したと確定された場合に、前記第1のSOC範囲の最小境界値から第1の設定SOCまでの範囲で、前記電池の充電レートが第1の充電レートから第2の充電レートに下がるように調整し、前記第1の設定SOCから前記第1のSOC範囲の最大境界値までの範囲で、前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レート又は第3の充電レートに上がるように調整することを含む。
【0006】
本出願の実施例の技術案では、電池を充電する際に、セルのサイクル膨張力を考慮すると、電池を充電する際に、電池の膨張力に対応するSOCに基づいて第1のSOC範囲を確定し、この第1のSOC範囲内で電池の充電レートが先に下がるように調整して、電池のSOCが第1の設定SOCに近づくと、低い充電レートで電池を充電し、電池の膨張力を低下させることにより、電池の使用寿命を高める。
【0007】
いくつかの実施例では、前記の前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レート又は第3の充電レートに上がるように調整することは、前記電池のSOCが前記第1の設定SOCから第2のSOCの範囲に達した場合、前記電池の充電レートを前記第2の充電レートに維持することと、前記電池のSOCが前記第2のSOCから前記第1のSOC範囲の最大境界値までの範囲に達した場合、前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レートに上がるように調整することとを含む。
【0008】
本出願の実施例では、電池の充電レートが第2の充電レートに下がった後、この第2の充電レートを所定時間維持することで、電池の膨張力を低い状態に保持し、電池の使用寿命をさらに高める。
【0009】
いくつかの実施例では、前記の前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レート又は第3の充電レートに上がるように調整することは、前記電池のSOCが前記第1の設定SOCから前記第1のSOC範囲の最大境界値までの範囲に達した場合、前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レートに上がるように調整することを含む。
【0010】
本出願の実施例は、電池のSOCが第1の設定SOCに近づくと、低い充電レートで電池を充電し、電池の膨張力を低下させ、一方、電池のSOCが第1の設定SOCを超えると、電池の充電レートを上昇させることにより、第1の設定SOC近傍で電池の膨張力を低くし、且つ後続のSOC段階で電池の充電効率を向上させる。
【0011】
いくつかの実施例では、前記の前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レート又は第3の充電レートに上がるように調整することは、前記電池のSOCが前記第1の設定SOCから第3のSOCまでの範囲に達した場合、前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから第3の充電レートに上がるように調整することと、前記電池のSOCが前記第3のSOCから第4のSOCまでの範囲に達した場合、前記電池の充電レートが前記第3の充電レートから前記第2の充電レートに下がるように調整することと、前記電池のSOCが前記第4のSOCから前記第1のSOC範囲の最大境界値までの範囲に達した場合、前記電池の充電レートが第4の充電レートから前記第1の充電レートに上がるように調整することとを含む。
【0012】
本出願の実施例は、電池のSOCが第1の設定SOCに近づくと、低い充電レートで電池を充電することにより、電池の膨張力を低下させ、一方、電池のSOCが第1の設定SOCを超えると、電池の充電レートを上昇させることにより、電池の充電効率を向上させ、また、充電レートが一定値に達した後、再び電池の充電レートを低下させ、例えば、第2の充電レートに下がった後、充電レートを先の第1の充電レートまで上昇させる。それにより、電池の充電効率を確保しながら、電池の使用寿命を高める。
【0013】
いくつかの実施例では、前記の前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レート又は第3の充電レートに上がるように調整することは、前記電池のSOCが前記第1の設定SOCから前記第1のSOC範囲の最大境界値までの範囲に達した場合、前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第3の充電レートに上がるように調整することを含み、ここで、前記第3の充電レートは前記第1の充電レートよりも大きい。ここで、前記電池のSOCがゼロから前記第1のSOC範囲の最小境界値までの範囲にある場合、第5の充電レートから前記第1の充電レートに下がる充電ポリシーで前記電池を充電する。前記電池のSOCが前記第1のSOC範囲の最大境界値から第5のSOCまでの範囲に達した場合、前記電池の充電レートが前記第3の充電レートから第6の充電レートに上がってから、前記第6の充電レートから前記第1の充電レートに下がるように調整する。
【0014】
本出願の実施例は、電池の充電効率を確保するために、充電開始から第1のSOC範囲の最小値までは、高い充電レートで電池を充電する。一方、電池のSOCが第1のSOC範囲にあると、前記電池の充電レートが第1の充電レートから第2の充電レートに下がるように調整し、充電レートを最低値まで急速に低下させることで、電池が大きな膨張力を受けないようにする。その後、電池のSOCが第1の設定SOCよりも大きくなったら、電池の充電レートを第3の充電レートまで急速に上昇させ、電池のSOCが第1のSOC範囲の最大境界値を超えると、第1の充電レートよりも大きい充電方式で電池を充電して、電池の充電効率を大きく向上させることができる。
【0015】
いくつかの実施例では、前記第1の設定SOCは、24.5%~25.5%の範囲にあり、環境温度に応じて変動する。
【0016】
本出願の実施例では、電池のタイプ、温度などに応じて前記第1の設定SOCを確定する必要がある。電池の使用寿命を確保するために、第1の設定SOC近傍では、充電電流を大きく低下させて電池の膨張力を大きく低下させ、電池の使用寿命を高める。
【0017】
いくつかの実施例では、前記第1の設定SOCは、24.7%、又は24.8%、又は24.9%、又は25%、又は25.1%、又は25.2%又は25.3%を含む。
【0018】
本出願の実施例では、電池のタイプ、温度などに応じて第1の設定SOCを確定することにより、電池を充電する際に、第1の設定SOC近傍で電池の充電レートを低下させて、電池の使用寿命を高める。
【0019】
いくつかの実施例では、前記第1のSOC範囲は、20%~40%を含む。
【0020】
本出願の実施例では、電池特性、電池の使用環境温度などに応じて、第1のSOC範囲を確定することにより、この区間で電池の充電電流を低下させて電池の使用寿命を高める。
【0021】
第2の態様によれば、本出願は、前記電池充電方法に従って充電されて対応する電気エネルギーを有する電池セルを含む電池を提供する。
【0022】
第3の態様によれば、本出願は、機器本体と、前記電池を用いた電源とを含む電気エネルギー機器を提供する。
【0023】
上記の説明は、本出願の技術案の概要に過ぎない。本出願の技術的手段をより明確に理解し、明細書の内容に基づいて実施できるようにし、本出願の上記及び他の目的、特徴及び利点をより明らかで理解しやすいようにするために、以下、本出願の具体的な実施形態を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下の好ましい実施形態の詳細な記述を読むことによって、当業者にとって、様々な他の利点及び有益点が明らかになる。図面は、好ましい実施形態を示すためにのみ用いられ、本出願を制限するものとはみなされない。そして、図面全体において、同じ部品は、同じ図面記号で表されている。図面において、
図1】本出願のいくつかの実施例による車両の構成概略図である。
図2】本出願のいくつかの実施例による充電段階及び充電電流の概略図である。
図3】本出願のいくつかの実施例による電池充電ポリシーの概略図1である。
図4】本出願のいくつかの実施例による電池充電ポリシーの概略図2である。
図5】本出願のいくつかの実施例による充電段階及び充電電流の概略図である。
図6】本出願のいくつかの実施例による電池充電ポリシーの概略図1である。
図7】本出願のいくつかの実施例による電池充電ポリシーの概略図2である。
図8】本出願のいくつかの実施例による電池充電ポリシーの概略図3である。
図9】本出願のいくつかの実施例による電池充電ポリシーの概略図4である。
図10】本出願のいくつかの実施例による最低充電レートと温度との関係の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面によって本出願の技術案の実施例を詳しく説明する。以下の実施例は、本出願の技術案をより明確に説明するためのものであり、例示に過ぎず、これによって本出願の保護範囲が制限されるものではない。
【0026】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためにのみ用いられ、本出願を制限することを意図するものではない。本出願の明細書と請求の範囲及び上記の図面の説明における用語である「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。
【0027】
本出願の実施例の説明では、用語「第1の」、「第2の」などは、異なる対象を区別する目的だけに用いられ、相対的な重要性を明示又は示唆する、又は対象となる技術的特徴の数、特定の順序又は主副関係を暗黙的に示すと理解されない。本出願の実施例の説明では、特に具体的な限定が明確化されない限り、「複数」は2つ以上を意味する。
【0028】
本明細書に言及される「実施例」は、実施例を参照しながら説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本出願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。明細書における各箇所に記載されたこの語句は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と相互排他する独立した又は代替的な実施例でもない。当業者は、本明細書に記述された実施例が他の実施例と組み合わされてもよいことを明示的かつ暗示的に理解できる。
【0029】
本出願の実施例の説明において、用語「及び/又は」は、関連対象の関連関係を説明するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えば、A及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの三つのケースを表してもよい。また、本明細書における文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0030】
本出願の実施例の説明では、用語「複数」は、2つ以上(2つを含む)を意味する。同じ理由により、「複数のグループ」は、2つのグループ以上(2つのグループを含む)を意味し、「複数枚」は、2枚以上(2枚を含む)を意味する。
【0031】
本出願の実施例の説明において、技術用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語によって示された方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、本出願の実施例の説明の便宜又は説明の簡略化を図るためのものであり、言及された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構造及び操作される必要があることを指示又は暗示するものではなく、本出願の実施例を限定するものと理解されるべきでない。
【0032】
本出願の実施例の説明において、特に明確に規定、限定されていない限り、技術用語「装着」、「繋がる」、「接続」、「固定」などの用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続されていてもよいし、着脱可能に接続されていてもよいし、又は一体化されてもよい。機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよい。直接的に接続されていてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されていてもよいし、両素子の内部の連通又は両素子の相互作用関係であってもよい。当業者は、具体的な状況に応じて、上記用語の本出願の実施例における具体的な意味を理解することができる。
【0033】
現在では、市場情勢の発展から、動力電池の応用が益々拡大している。動力電池は、水力、火力、風力、太陽光発電所などのエネルギー蓄積電源システムのみならず、電気自転車、電気バイク、電気自動車などの電動交通機関、軍事用機器、航空・宇宙飛行などの分野で広く応用されている。動力電池の応用分野の拡大に伴い、その市場の需要量も絶えず拡大している。
【0034】
本発明者らは以下のことを見出した。リチウムイオン電池充電方法を例にして、その充電ポリシーは、低次定電流定電圧充電ポリシーを含み、低次定電流定電圧充電ポリシーは、複数の充電段階を含み、各充電段階において電流がいずれも定電流である。隣接する2つの充電段階において、前の充電段階における定電流は、次の充電段階における定電流よりも大きい。前の充電段階の終了ノードと次の充電段階の開始ノードとの間の電圧は一定に保持され、電流は逓減する。各充電段階において、終了ノードの電圧は、開始ノードの電圧よりも高い。隣接する2つの充電段階のうち、前の充電段階の終了ノードと次の充電段階の開始ノードとの間に過渡段階があり、過渡段階は、電池をより速く満充電にするように電池を充電し続けることができ、それにより、リチウムイオン電池の充電速度を向上させる。しかしながら、上記の電池の充電方法では、電池があるSOC又はその近傍領域にあると、電池セルの膨張力が大きいことを考慮しておらず、このとき、電池の充電レートを適切に低下させて電池の膨張力を低下させるべきであるが、現在の充電方法は、充電効率及び充電時間長を考慮することが多く、電池の膨張力状況や電池の使用寿命などを考慮していない。
【0035】
電池の充電段階の膨張力の問題を緩和するために、出願人は、検討により、電池を充電する際に、あるSOC又はその近傍領域で充電レートを下げて電池の膨張力を下げるべきであり、このとき、電池の膨張力が大きすぎて、電池の高充電レート充電に不利であることを見出した。従って、電池の使用寿命を高めるために、一部のSOC区間で電池の充電レートを低下させるべきであり、且つ、他のSOC区間で電池の充電レートを上昇させることができる。
【0036】
本出願の実施例に開示される電池充電方法は、リチウムイオン電池、リン酸鉄リチウムイオン電池などを充電することができ、電池の使用寿命を確保できるだけでなく、電池の充電効率を確保することができる。本出願の実施例による充電方法を利用した電池は、車両、船舶又は航空機などの電力消費装置に用いられることができる。
【0037】
本出願の実施例は、充電方法を用いた電池を電源とする電力消費装置を提供する。電力消費装置は、携帯電話、タブレットパソコン、ノートパソコン、電動玩具、電動工具、電動自転車、電気自動車、船舶、宇宙船などであり得るが、これらに限定されない。ここで、電動玩具は、固定型又は可動型の電動玩具、例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電動船舶玩具、電動飛行機玩具などを含んでもよく、宇宙航空機は、飛行機、ロケット、スペースシャトル、宇宙飛行船などを含んでもよい。
【0038】
図1を参照されたい。図1は、本出願のいくつかの実施例による車両100の構成概略図である。車両100は、ガソリン自動車、ガス自動車、又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車、又はレンジエクステンダー車などであってもよい。車両100の内部には、電池10が設けられており、電池10は、車両100の底部又は頭部又は後部に設けられていてもよい。電池10は、車両100への給電に用いられてもよい。例えば、電池10を車両100の動作電源とすることができる。車両100は、コントローラ110と、モータ120とをさらに含んでもよく、コントローラ110は、電池10がモータ120に給電し、例えば、車両100の始動、ナビゲーション及び走行時の動作電力需要に用いるように制御するためのものである。
【0039】
本出願のいくつかの実施例では、電池10は、車両100の動作電源として用いることができるだけでなく、車両100の駆動電源として、ガソリン又は天然ガスの代わりに、又はその一部の代わりに車両100に駆動動力を提供することもできる。
【0040】
異なる電力使用ニーズを満たすために、電池10は、複数の電池単体210を含んでもよく、電池単体210は、電池モジュール又は電池パックを構成する最小単位である。複数の電池単体210は、電極端子を介して直列及び/又は並列に接続されて、多様な応用場面に応用され得る。本願でいう電池には、電池モジュール又は電池パックが含まれる。ここで、複数の電池単体210同士は、直列又は並列又は直並列に接続され、直並列接続されるとは、直列接続と並列接続の混合を意味する。電池10は、電池パックと呼ばれてもよい。本出願の実施例では、複数の電池単体210は、直接電池パックを構成してもよいし、先に電池モジュール20を構成して、電池モジュール20がさらに電池パックを構成してもよい。
【0041】
図2は、本出願の一実施例に係る電池10の構造概略図を示す。図2において、電池10は、複数の電池モジュール20と、筐体30とを含んでもよく、複数の電池モジュール20は、筐体30の内部に収容される。筐体30は、液体又はその他の異物が電池単体210の充電又は放電に影響しないように電池単体210又は電池モジュール20を収容するためのものである。筐体30は、単独の直方体、又は円柱体や球体などの単純な立体構造であってもよいし、直方体、又は円柱体や球体などの単純な立体構造を組み合わせた複雑な立体構造であってもよく、本出願の実施例ではこれについて限定しない。筐体30の材質は、例えば、アルミ合金、鉄合金などの合金材料であってもよいし、ポリカーボネート、ポリイソシアヌレートフォームなどの高分子材料であってもよいし、又はガラス繊維とエポキシ樹脂との複合材料であってもよく、本出願の実施例ではこれについて限定しない。
【0042】
いくつかの実施例では、筐体30は、第1の部分301と第2の部分302を含んでもよく、第1の部分301と第2の部分302は、互いにカバーし合い、第1の部分301と第2の部分302は共同で電池単体210を収容するための空間を画定する。第2の部分302は、一端が開口された中空構造であってもよく、第1の部分301は、板状構造であってもよく、第1の部分301は、第2の部分302の開口側をカバーする。それにより、第1の部分301と第2の部分302は共同で電池単体210を収容する空間を画定する。第1の部分301と第2の部分302は、いずれも一側が開口した中空構造であってもよく、第1の部分301の開口側は、第2の部分302の開口側をカバーしてもよい。
【0043】
図3は、本出願の一実施例による電池モジュール20の構造概略図を示す。図3において、電池モジュール20は、複数の電池単体210を含んでもよく、複数の電池単体210は、先に直列又は並列又は直並列接続されて電池モジュール20を構成し、複数の電池モジュール20は、さらに直列又は並列又は直並列接続されて電池10を構成してもよい。本出願において、電池単体210は、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよく、本出願の実施例ではこれについて限定しない。電池単体210は、円柱体、扁平体、直方体、又はその他の形状などを有してもよく、本出願の実施例ではこれについても限定しない。電池単体210は、一般的に、パッケージング方式によって、柱形電池単体210、直方体角型電池単体210及び軟質バッグ電池単体210という3種類に分けられ、本出願の実施例ではこれについても限定しない。但し、説明を簡潔にするために、以下の実施例はいずれも直方体角型電池単体210を例にして説明する。
【0044】
図4は、本出願のいくつかの実施例による電池単体210の分解構造概略図である。電池単体210は、電池を構成する最小単位である。図4に示すように、電池単体210は、エンドキャップ211、ケース212、及びセルアセンブリ213を含む。
【0045】
エンドキャップ211は、ケース212の開口をカバーして電池単体210の内部環境を外部環境から隔離する部材を意味する。エンドキャップ211の形状は、ケース212に合うようにケース212の形状に適合してもよいが、これに限定されない。任意選択的に、エンドキャップ211は、一定の硬度と強度を有する材質(例えば、アルミニウム合金)で作製されてもよい。これにより、エンドキャップ211は、押圧・衝突時に変形しにくく、電池単体210の構造的強度をより高めることができ、安全性能を向上させることもできる。エンドキャップ211には、電極端子211aなどの機能部品が設けられてもよい。電極端子211aは、電池単体210の電気エネルギーを入出力するようにセルアセンブリ213と電気的に接続されてもよい。いくつかの実施例では、エンドキャップ211には、電池単体210の内圧又は温度が閾値に達したときに内圧を逃がすための圧力逃がし機構が設けられてもよい。エンドキャップ211の材質は、種々のものが可能であり、例えば、銅、鉄、アルミニウム、ステンレススチール、アルミニウム合金、プラスチックなどであってもよく、本出願の実施例では特にこれについて限定しない。いくつかの実施例では、エンドキャップ211の内側に絶縁部材が設けられてもよく、絶縁部材は、短絡のリスクを低減するために、ケース212内の電気接続部材をエンドキャップ211から隔離するために用いられてもよい。例示的に、絶縁部材は、プラスチック、ゴムなどであり得る。
【0046】
ケース212は、エンドキャップ211に合わせて電池単体210の内部環境を形成するためのアセンブリであり、ここで、形成された内部環境は、セルアセンブリ213、電解液(図示せず)、及び他の部材を収容するために用いられることができる。ケース212とエンドキャップ211は、独立した部材であってもよく、ケース212に開口を設け、開口のところにエンドキャップ211でもって開口をカバーさせることにより、電池単体210の内部環境を形成してもよい。エンドキャップ211とケース212とを一体化してもよいが、これに限定されない。具体的には、エンドキャップ211とケース212とは、他の部品がケースに入る前に、1つの共通の連結面を形成し、ケース212の内部をパッケージする必要がある場合、エンドキャップ211にケース212をカバーさせてもよい。ケース212は、様々な形状、サイズであってもよく、例えば、直方体形状、円柱体形状、六角柱形状などである。具体的に、ケース212の形状を、セルアセンブリ213の具体的な形状及びサイズに応じて確定してもよい。ケース212の材質は、種々のものが可能であり、例えば、銅、鉄、アルミニウム、ステンレススチール、アルミニウム合金、プラスチックなどであってもよく、本出願の実施例では特にこれについて限定しない。
【0047】
セルアセンブリ213は、電池単体210において電気化学反応が生じる部材である。ケース212内には、1つ又は複数のセルアセンブリ213が含まれてもよい。セルアセンブリ213は、主に正極板と負極板とが捲回又は積層されて形成されており、一般的には、正極板と負極板との間にセパレータが設けられている。正極板と負極板の活物質を有する部分は、セルアセンブリの本体部を構成し、正極板と負極板の活物質を有しない部分は、それぞれタブ(図示せず)を構成する。正極タブと負極タブは、共に本体部の一端に位置していてもよいし、それぞれ本体部の両端に位置していてもよい。電池の充放電過程において、正極活物質と負極活物質は、電解液と反応し、タブは、電極端子に接続されて電流回路を形成する。
【0048】
図5を参照すると、図5は、充電段階及び充電電流を示す図であり、現在よく見られる段階的充電ポリシーは、低次定電流定電圧充電ポリシーを含み、前記低次定電流定電圧充電ポリシーは、複数の充電段階を含み、各充電段階における充電電流がいずれも定電流であり、隣接する2つの充電段階において、前の充電段階における定電流は、次の充電段階における定電流よりも大きく、前の充電段階の終了ノードと次の充電段階の開始ノードとの間に、充電電圧が一定に保持され、充電電流が逓減し、各充電段階において、終了ノードの電圧は、開始ノードの電圧よりも高い。
【0049】
本願の実施例は、電池セルに対して、そのシステム特性を利用し、セルのサイクル性能を効果的に果たさせ、セルのサイクル動作寿命を高めることができる新しい充電ポリシーを提案する。具体的には、リチウムイオン電池の膨張力が非常に大きい領域では、電流降下処理を適切に行う。それにより、セルのサイクル過程における分極の蓄積が低減され、セルのサイクル性能が効率的に果たされ、セルのサイクル寿命が向上する。本出願の実施例は、電池のSOCが0~80%の区間では、充電レートを低下させる必要のある具体的なSOCを確定し、確定されたSOCにおいて、その充電レートを低下させる。
【0050】
本出願の実施例では、充電レートは、電池の充電の速さのはかり指標であり、電池が所定の時間内にその定格容量まで充電するのに要する電流値を指し、数値上、電池の定格容量の倍数に等しく、即ち、充電電流/電池の定格容量=充電レートである。蓄電池の放電後、放電電流と逆方向の直流電流を蓄電池に流して、動作能力を回復させる。この過程を蓄電池の充電という。蓄電池の充電時、電池の正極は電源の正極に接続され、電池の負極は電源の負極に接続され、充電電源電圧は電池の総起電力より高くなければならない。充電方式には、定電流充電と定電圧充電の2種類がある。
【0051】
定電流充電法は、充電装置の出力電圧を調整し、又は蓄電池と直列に接続される抵抗を変えることにより、充電電流の強度を一定に保つ充電方法である。制御方法は簡単であるが、電池の電流受け入れ能力は充電過程の進行に伴って徐々に低下するため、充電後期になると、充電電流は水の電解に多く使用され、ガスを発生させ、発生したガスが多過ぎるので、段階的充電法がよく選択される。
【0052】
充電電源の電圧は全充電時間にわたって一定値を保ち、蓄電池の端子電圧が徐々に上昇するにしたがって、電流は徐々に減少する。定電流充電法に比べて、その充電過程の方が最適充電曲線に近い。定電圧で急速充電する場合、充電初期において、蓄電池起電力が低く、充電電流が非常に大きいため、充電が進むにつれて、電流が徐々に減少するので、簡易な制御システムで十分である。
【0053】
本出願のいくつかの実施例によれば、電池の充電過程において、前記電池の充電状態SOCが第1のSOC範囲に達したと確定された場合に、前記第1のSOC範囲の最小境界値から第1の設定SOCまでの範囲で、前記電池の充電レートが第1の充電レートから第2の充電レートに下がるように調整し、前記第1の設定SOCから前記第1のSOC範囲の最大境界値までの範囲で、前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レート又は第3の充電レートに上がるように調整する。
【0054】
本出願の実施例の電池充電方法は、既存の蓄電池充電方式と類似した充電方法を採用し、即ち、電池充電の初期段階で、大きい充電レートで電池を充電し、電池のSOCが第1のSOC範囲にある場合、SOCが低い状態から高くなるにつれて、前記電池の充電レートが先に下がってから上がるように調整する。本出願の実施例では、電池系セルサイクル過程において、電池が置かれる環境における温度、及び多数の実験により、電池のSOCが25%近傍にあるときに電池の膨張力が極大値に達することを見出し、充電過程において、充電SOCが25%SOCに近づくと、低い電流で充電を行い、膨張極大値による分極ウィンドウの劣化を低減し、セル性能をより効率的に利用する。即ち、本出願の実施例の充電ポリシーは、明らかなノッチ特徴を呈する傾向にあり、即ち、まず電池の充電レートを低下させ、その後充電電池の充電レートを上昇させる。つまり、電池のSOCが0~80%の区間で、ノッチはSOC領域が20%~40%の区間に現れ、充電レートの極低値は25%SOCに現れる。
【0055】
本出願の実施例の技術案において、電池を充電する際に、セルのサイクル膨張力を考慮する。電池を充電する際に、電池の膨張力に対応するSOCに基づいて第1のSOC範囲を確定し、電池の充電状態SOCが第1のSOC範囲に達した場合、前記第1のSOC範囲の最小境界値から第1の設定SOCまでの範囲で、前記電池の充電レートが第1の充電レートから第2の充電レートに下がるように調整し、前記第1の設定SOCから前記第1のSOC範囲の最大境界値までの範囲で、前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レート又は第3の充電レートに上がるように調整する。それにより、電池のSOCが第1の設定SOC、例えば、25%に近づいた場合、低い充電レートで電池を充電し、電池の膨張力を低下させることで、電池の使用寿命を高める。電池のSOCが第1の設定SOCを超える場合、電池の充電効率を確保するために、その充電レートをできる限り早く上昇させる。ここで、第3の充電レートは第1の充電レートよりも大きい。
【0056】
以下、具体例を用いて、本出願の実施例の技術案の本質をさらに説明する。
【0057】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記の、前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レート又は第3の充電レートに上がるように調整することは、前記電池のSOCが前記第1の設定SOCから前記第2のSOCの範囲に達した場合、前記電池の充電レートを前記第2の充電レートに維持することと、前記電池のSOCが前記第2のSOCから前記第1のSOC範囲の最大境界値までの範囲に達した場合、前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レートに上がるように調整することとを含む。
【0058】
図6を参照すると、図6は、本出願のいくつかの実施例による電池充電ポリシーの概略図1である。電池のSOCが0~80%の区間では、通常の充電ポリシーは定電流充電である。これに対して、本出願の実施例の充電ポリシーは、電池の充電環境温度が25℃であることを例にして、本出願の実施例の新しい充電ポリシーは、通常の充電ポリシーに比べて、SOCが20~40%の区間では、明らかな電流降下傾向にあり、25%~35%の区間では、定電流充電であり、その充電レートは、既定の0.2~0.8の間にある。このポリシーにより、セル性能を効果的に利用し、セル寿命を延すことができる。一実現形態として、充電レートF(25%)=F(30%)=F(35%)=0.42*F(20%)である。即ち、SOCが0~20%の領域では、充電レートが既存の充電ポリシーの充電レートと同じように保持するが、SOCが20%~25%の領域では、充電レートを元の充電レートの0.42倍に低下させ、即ち、元の充電レートをその0.42倍に低下させ、SOCが30%~35%の領域では、電池の充電レートが元の充電レート(SOCが20%)の0.42倍であるように維持し、SOCが35%~40%の領域では、電池の充電レートを元の充電レート、即ち、SOCが20%の充電レートに上昇させる。SOCが40%~80%の領域では、SOCが20%での充電レートを維持する。SOCが80%~100%の領域では、充電レートを低下させ、既存の電池充電ポリシーと同じように保持する。
【0059】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記第1の充電レートは、SOCが20%での充電レートを含み、第2の充電レートは、SOCが30~35%での充電レート、即ち、20%での充電レートの0.42倍を含む。本出願の実施例では、第2の充電レートは、SOCが20%での充電レートの0.2倍~0.8倍のいずれのレート、例えば、0.28倍、0.35倍、0.45倍、0.56倍などであってもよく、具体的には、電池の充電過程における膨張力を低減させるように、電池の充電過程における膨張力に応じて確定される。
【0060】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記の、前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レート又は第3の充電レートに上がるように調整することは、前記電池のSOCが前記第1の設定SOCから前記第1のSOC範囲の最大境界値までの範囲に達した場合、前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レートに上がるように調整することを含む。SOCが第1の設定SOCに近づくと、充電レートを最低値まで低下させ、SOCが第1の設定SOCを超えると、電池の充電レートを上昇させる。即ち、充電SOCが第1の設定SOCに近づくと、電池の膨張極大値による分極ウィンドウの劣化を避けるために、電池の充電レートを最小値まで低下させ、SOCが第1の設定SOCを超えると、電池の充電レートを上昇させる。
【0061】
図7を参照すると、図7は、本出願のいくつかの実施例による電池充電ポリシーの概略図2である。25℃である場合を例にして、本出願の実施例の新しい充電ポリシーは、通常の充電ポリシーに比べて、SOCが0~40%の区間では、明らかな電流降下傾向にあり、25%~40%の区間では、段階的充電であり(図7では階段的に漸増することを示す)、その充電レートは、既定の0.2~0.8の間にある。ここで、各温度毎に該当する最適な割合がある。本出願の実施例は、このポリシーにより、セル性能を効果的に利用し、セル寿命を延すことができる。充電ポリシーは以下の通りである。
F(25%)=0.42*F(20%)<F(30%)<F(35%)<F(40%)。
【0062】
図7に示す充電ポリシーでは、電池のSOCが0~20%の領域では、充電レートが既存の充電ポリシーの充電レートと同じように保持するが、SOCが20%~25%の領域では、充電レートを元の充電レートの0.42倍に低下させ、即ち、元の充電レートをその0.42倍に低下させ、SOCが25%~40%の領域では、電池の充電レートを元の充電レートに上昇させる。SOCが40%~80%の領域では、SOCが20%での充電レートを維持する。SOCが80%~100%の領域では、充電レートを低下させ、既存の電池充電ポリシーと同じように保持する。
【0063】
SOCが25%~40%の領域では、充電レートのパターンは以下のようになる。
F(25%)=0.42(20%に対応するF)、
F(30%)=0.6(20%に対応するF)、
F(35%)=0.7(20%に対応するF)。
【0064】
SOCが25%~40%の領域では、充電レートのパターンは以下のようになる。
F(25%)=0.42(20%に対応するF)、
F(30%)=0.5(20%に対応するF)、
F(35%)=0.6(20%に対応するF)。
【0065】
本出願のいくつかの実施例によれば、第2の充電レートは、SOCが20%での充電レート(SOCが0~20%での充電レート)の0.42倍を含む。SOCが20%での充電レートの0.2倍~0.8倍のいずれの倍率、例えば、0.28倍、0.35倍、0.45倍、0.56倍などであってもよく、具体的には、電池の充電過程における膨張力を低減させるように、電池の充電過程における膨張力に応じて確定される。
【0066】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記の、前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レート又は第3の充電レートに上がるように調整することは、前記電池のSOCが前記第1の設定SOCから第3のSOCまでの範囲に達した場合、前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから第3の充電レートに上がるように調整することと、前記電池のSOCが前記第3のSOCから第4のSOCまでの範囲に達した場合、前記電池の充電レートが前記第3の充電レートから前記第2の充電レートに下がるように調整することと、前記電池のSOCが前記第4のSOCから前記第1のSOC範囲の最大境界値までの範囲に達した場合、前記電池の充電レートが前記第4の充電レートから前記第1の充電レートに上がるように調整し、電池の充電レートがジグザグ状を呈するようにすることとを含む。ここで、第4の充電レートは、第2の充電レートよりも大きい。
【0067】
図8を参照すると、図8は、本出願のいくつかの実施例による電池充電ポリシーの概略図3である。25℃である場合を例にして、本出願の実施例の新しい充電ポリシーは、通常の充電ポリシーに比べて、SOCが20~40%の区間では、明らかな電流降下傾向にあり、25%~40%の区間では、段階的充電であり(図では「略ジグザグ状」段階的充電を示す)、SOCが25%のとき、充電レートは、既定の0.2~0.8の間にある(各温度毎に最適な割合がある)。このポリシーにより、セル性能を効果的に利用し、セル寿命を延すことができる。
【0068】
本出願のいくつかの実施例では、電池のSOCが0~20%の領域では、充電レートが既存の充電ポリシーの充電レートと同じように保持するが、SOCが20%~25%の領域では、充電レートを元の充電レートの0.42倍に低下させ、即ち、元の充電レートをその0.42倍に低下させ、SOCが25%~30%の領域では、電池の充電レートを元の充電レートの0.6倍に上昇させる。ここでは、元の充電レートの0.6倍は、第4の充電レートである。この第4の充電レートは、元の充電レートの0.65倍、0.5倍などであってもよく、第2の充電レートよりも大きければよい。30%~35%の領域では、電池の充電レートを元の充電レートの0.6倍から元の充電レートの0.42倍に再度低下させ、35%~40%の領域では、電池の充電レートを元の充電レートの0.42倍から元の充電ポリシーの充電レートに上昇させる。SOCが40%~80%の領域では、SOCが20%での充電レートを維持する。SOCが80%~100%の領域では、充電レートを低下させ、既存の電池充電ポリシーと同じように保持する。
【0069】
本出願のいくつかの実施例によれば、最低充電レートに対し、環境温度に応じて確定される、SOCが20%の充電レートの可能な倍数との関係は、下記の表1に示す通りである。
【表1】
【0070】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記の、前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第1の充電レート又は第3の充電レートに上がるように調整することは、
前記電池のSOCが前記第1の設定SOCから前記第1のSOC範囲の最大境界値までの範囲に達した場合、前記電池の充電レートが前記第2の充電レートから前記第3の充電レートに上がるように調整することを含み、ここで、前記第3の充電レートは前記第1の充電レートよりも大きい。ここで、前記電池のSOCがゼロから前記第1のSOC範囲の最小境界値までの範囲にある場合、第5の充電レートから前記第1の充電レートに下がる充電ポリシーで前記電池を充電する。前記電池のSOCが前記第1のSOC範囲の最大境界値から第5のSOCまでの範囲に達した場合、前記電池の充電レートが前記第3の充電レートから第6の充電レートに上がってから、前記第6の充電レートから前記第1の充電レートに下がるように調整する。
【0071】
図9を参照すると、図9は、本出願のいくつかの実施例による電池充電ポリシーの概略図4である。25℃である場合を例にして、電池のSOCが0~20%の区間では、既存の電池充電ポリシーに比べて、充電レートを元の充電レートの1.4倍などに直接上昇させるか、又は少なくとも元の充電レートよりも大きくする(リチウム析出ウィンドウ内に)。つまり、電池の充電の初期充電レートが元の電池充電ポリシー時の充電レートの1.4倍であるように直接調整することができる。ここで、元の充電レートの1.4倍の充電レートは、第5の充電レートであり、この第5の充電レートの値は状況に応じて設定されてもよく、元の充電レートの1.3倍などであってもよい。SOCが0~20%の区間では、電池の充電レートを元の電池充電ポリシーの充電レートまで徐々に低下させ、SOCが20%~25%の段階では、図7に示すケース2を採用し、充電レートを元の充電レートの0.42倍に低下させ、即ち、元の充電レートをその0.42倍に低下させ、SOCが25%~40%の領域では、電池の充電レートを元の充電レートに上昇させる。具体的に、25%~40%の領域では、電池の充電レートを元の充電レートの0.42倍から元の充電ポリシーの充電レートの1.1倍に上昇させ、40%~50%の領域では、電池の充電レートを元の充電レートの1.1倍から元の充電ポリシーの充電レートの1.2倍に上昇させる。SOCが50%~70%の領域では、電池の充電レートを元の充電レートの1.2倍から元の充電ポリシーの充電レートに低下させる。SOCが70%~80%の領域では、電池の充電レートを元の充電ポリシーの充電レートに維持する。SOCが80%~100%の領域では、充電レートを低下させ、既存の電池充電ポリシーと同じように保持する。この例は、電池の全体的な充電時間長が基本的に電池の元の充電ポリシーと同じである前提の下で、セルのサイクル使用寿命を改善した。
【0072】
本願のいくつかの実施例によれば、前記第1の設定SOCは、24.5%~25.5%の範囲にあり、環境温度に応じて変動する。第1の設定SOCは、24.7%、又は24.8%、又は24.9%、又は25%、又は25.1%、又は25.2%、又は25.3%を含んでもよい。
【0073】
図10を参照すると、図10は、本出願のいくつかの実施例による最低充電レートと温度との関係の概略図である。前記実施例において設定された最低充電レートと電池が置かれた環境温度との間の対応関係は、下記の表2に示すように、ほぼ線形関係にある。
【表2】
【0074】
各温度での充電レートは表2に示す通りであり、例えば、環境温度が20℃であれば、SOCが25%のときの充電レートは、元の充電レートの0.33倍である。同様に、環境温度が25℃であれば、SOCが25%のときの充電レートは、元の充電レートの0.42倍である。環境温度が30℃であれば、SOCが25%のときの充電レートは、元の充電レートの0.5倍である。環境温度が35℃であれば、SOCが25%のときの充電レートは、元の充電レートの0.59倍である。環境温度が40℃であれば、SOCが25%のときの充電レートは、元の充電レートの0.7倍である。環境温度が45℃であれば、SOCが25%のときの充電レートは、元の充電レートの0.8倍である。
【0075】
本出願のいくつかの実施例によれば、本出願には、前記電池充電方法に従って充電されて対応する電気エネルギーを有する電池セルを含む電池がさらに記載されている。
【0076】
本出願のいくつかの実施例によれば、本出願には、機器本体と、前記電池を用いた電源とを含む電気エネルギー機器がさらに記載されている。
【0077】
本出願の実施例による電気エネルギー機器は、前記いずれかの電池を応用した機器又はシステムであってもよい。
【0078】
最後に、上述の各実施例は、本出願の技術案を説明するためのみに用いられ、それを制限するものではない。前述した各実施例を参照して本出願を詳細に説明したが、当業者であれば理解できるように、前述した各実施例に記載の技術案を依然として変更し、又はそのうちの一部又は全部の技術的特徴を同等に置換することが可能であり、これらの変更又は置換は、対応する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の範囲から逸脱させないものであり、本出願の請求の範囲及び明細書の範囲に包含されるべきである。特に、構成の矛盾が生じない限り、各実施例で言及された各技術的特徴は、任意の方式で組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に含まれる全ての技術案を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10