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特許7524364ペットボトルをリサイクルしてPET複合材料マスターバッチを再製造し、その製造方法及び発泡靴材料の応用
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  • 特許-ペットボトルをリサイクルしてPET複合材料マスターバッチを再製造し、その製造方法及び発泡靴材料の応用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】ペットボトルをリサイクルしてPET複合材料マスターバッチを再製造し、その製造方法及び発泡靴材料の応用
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/22 20060101AFI20240722BHJP
   C08J 9/04 20060101ALI20240722BHJP
   C08L 31/04 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
C08J3/22 CFD
C08J9/04 101
C08L31/04 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022579059
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 CN2020101833
(87)【国際公開番号】W WO2022011542
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】512288097
【氏名又は名称】馳▲緑▼國際股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】許智仁
(72)【発明者】
【氏名】許佳鳴
(72)【発明者】
【氏名】黄▲ゲイ▼儒
【審査官】脇田 寛泰
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104452415(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103131138(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102329478(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101362852(CN,A)
【文献】国際公開第2005/066245(WO,A1)
【文献】特開平09-111030(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103242628(CN,A)
【文献】特開2004-250711(JP,A)
【文献】特開2003-112314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B17/00-17/04
C08J3/00-3/28
9/00-99/00
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ET複合材料マスターバッチ製造方法であって、
エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、高分子相溶化剤、及びペットボトルをリサイクルしたポリエチレンテレフタレート再生材料を提供し、材料の総重量は計100wt%であり、前記ポリエチレンテレフタレート再生材料の含有量の範囲は25~65wt%であり、前記エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂の含有量の範囲は30~70wt%であり、前記高分子相溶化剤の含有量の範囲は2~10wt%である材料取得ステップと、
ロスインウェイト式計量システムを利用し、前記エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、前記高分子相溶化剤、及び前記ポリエチレンテレフタレート再生材料を比率に基づいてそれぞれ供給してポリマーアロイを形成し、2軸押出機を使用して温度160~245℃の間の範囲で平均剪断速度100~300/秒の条件において、前記ポリマーアロイを100~250kg/hrの押出量でストランド状に押し出し、同時にポリマーアロイを押し出す過程においてスクリューを前述の温度範囲内に制御して先に昇温してから降温するプラスチック材料溶融ステップと、
ストランド状に圧出された前記ポリマーアロイを抽出するように前記2軸押出機を制御し、且つストランド状の前記ポリマーアロイを水路を経て冷却するようにガイドする半製品抽出ステップと、
冷却したストランド状の前記ポリマーアロイを粒状に切断した後に振動ふるいにかけるように前記2軸押出機を制御し、前記複合材料マスターバッチを製造し、前記複合材料マスターバッチはエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂及び弾性材料と混合して発泡し、靴材料として成型するために用いている切断造粒ステップと、を含むことを特徴とするPET複合材料マスターバッチ製造方法。
【請求項2】
プラスチック材料溶融ステップにおいて、ポリマーアロイを押し出す過程において前記スクリューは、材料の供給開始から順次160、180、190、200、220、230、240、245、240、235℃の温度で前記ポリマーアロイに対し先に昇温してから降温する段階的加熱を行うことを特徴とする請求項に記載のPET複合材料マスターバッチ製造方法。
【請求項3】
前記ポリエチレンテレフタレート再生材料の固有粘度は0.6~1.0dL/gの間の範囲であり、
前記エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂の酢酸ビニルの含有量は8~40wt%の間の範囲であり、前記エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂のメルトフローレートは190℃/2.16kgの条件において10分間当たり1~10gの間の範囲であることを特徴とする請求項に記載のPET複合材料マスターバッチ製造方法。
【請求項4】
前記高分子相溶化剤はメタクリル酸グリシジル、無水マレイン酸、アクリル酸、一級アミン官能基を含有するグラフトポリマー、二級アミン官能基を含有するグラフトポリマー、またはイソシアネートを含有するグラフトポリマーから選ばれることを特徴とする請求項に記載のPET複合材料マスターバッチ製造方法。
【請求項5】
靴の製造の材料として使用されるPET複合材料マスターバッチの製造方法であって、
エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、高分子相溶化剤、及びペットボトルをリサイクルしたポリエチレンテレフタレート再生材料を提供し、材料総重量は計100wt%であり、前記ポリエチレンテレフタレート再生材料の含有量の範囲は25~65wt%であり、前記エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂の含有量の範囲は30~70wt%であり、前記高分子相溶化剤の含有量の範囲は2~10wt%である材料取得ステップと、
ロスインウェイト式計量システムを利用し、前記エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、前記高分子相溶化剤、及び前記ポリエチレンテレフタレート再生材料を比率に基づいてそれぞれ供給してポリマーアロイを形成し、2軸押出機を使用して温度160~245℃の間の範囲及び平均剪断速度100~300/秒の条件において、前記ポリマーアロイを100~250kg/hrの押出量でストランド状に押し出し、同時にポリマーアロイを押し出す過程においてスクリューを前述の温度範囲内に制御し、材料の供給開始から順次160、180、190、200、220、230、240、245、240、235℃の温度で前記ポリマーアロイに対し先に昇温してから降温する段階的加熱を行うプラスチック材料溶融ステップと、
ストランド状に圧出された前記ポリマーアロイを抽出するように前記2軸押出機を制御し、且つストランド状の前記ポリマーアロイを水路を経て冷却するようにガイドする半製品抽出ステップと、
冷却したストランド状の前記ポリマーアロイを粒状に切断した後に振動ふるいにかけるように前記2軸押出機を制御し、複合材料マスターバッチを製造する切断造粒ステップと、
所定の靴材料のサイズに基づいて、発泡用金型の型穴の長さ、幅及び/または高さを調整し、長さの微調整範囲は5~10mmであり、幅の微調整範囲は5~10mmであり、厚さの微調整範囲は10~20mmである発泡用金型微調整ステップと、
前記複合材料マスターバッチをエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂及び弾性材料と混合した後に型に入れ、発泡成型技術により前記靴材料を製造する発泡成型ステップと、を含むことを特徴とするPET複合材料マスターバッチの製造方法。
【請求項6】
前記ポリエチレンテレフタレート再生材料の固有粘度は0.6~1.0dL/gの間の範囲であり、
前記エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂の酢酸ビニルの含有量は8~40wt%の間の範囲であり、前記エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂のメルトフローレートは190℃/2.16kgの条件において10分間当たり1~10gの間の範囲であり、
前記高分子相溶化剤はメタクリル酸グリシジル、無水マレイン酸、アクリル酸、一級アミン官能基を含有するグラフトポリマー、二級アミン官能基を含有するグラフトポリマー、またはイソシアネートを含有するグラフトポリマーから選ばれることを特徴とする請求項5に記載のPET複合材料マスターバッチの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスターバッチ材料に関し、特に、リサイクルして再製造したポリエチレンテレフタレート(PET)及びエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)を使用して製造する複合材料マスターバッチ及びその製造方法及び応用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアルキレンテレフタレート(Poly-Alkylene Terephthalate)は化学安定性が非常に優れており、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)が特に優れている。
このため、繊維、薄膜、樹脂等の生活に関わる資材及び飲料水、炭酸飲料に用いるボトル等の食品分野において大量に生産され、使用されている。但し、大量に生産し、大量に使用されると同時に、繊維、薄膜、樹脂製品等の廃棄物及び不適格なPET製品も大量に生み出されているため、無視できない環境問題を引き起こしている。
このため、物質の再利用(Material Recycle)の種々の方法が次々と提出されている。
【0003】
ここで留意すべき点は、廃棄物に占めるペットボトルは極めて大量であり、ペットボトルを洗浄して再充填して使用する方法は、リサイクルの費用、安全性、衛生面、及び再使用回数の制限等の要因により放棄されている。
ペットボトルリサイクルを溶融して再利用する方法において、ペットボトル本体に含まれる顔料がリサイクルして再使用する際の制限となり、ひいてはリサイクルして溶融する際に汚染を引き起こし、ペットボトルをリサイクルして再製造した製品の歩留まりを低下させた。
【発明の概要】
【0004】
上述の技術的問題を克服するため、本発明の目的は、ペットボトルをリサイクルしてポリエチレンテレフタレート(PET)及びエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)の複合材料マスターバッチを再製造し、その製造方法及び発泡靴材料の応用を提供する。
リサイクルし再製造したPET及びEVAに高分子相溶化剤を組み合わせて溶融し混練し、修飾され変性された新たなポリマーアロイ(Polymer alloy)を形成し、押出機を利用してマスターバッチを製造し、廃棄ポリエチレンテレフタレート(PET)をリサイクルして再利用し、二酸化炭素排出量を減らし、環境保護の目的を達成させると同時に、バージンPETポリマー材料の需要を減らし、石油化学原料に対する需要も減らす。
【0005】
上述した目的を達成するために、本発明はペットボトルをリサイクルしたPET複合材料マスターバッチの再製造を提供する。
ポリエチレンテレフタレート(PET)、廃棄包装材及び紡織品からリサイクルした後に再製造したポリエチレンテレフタレート再生材料(r-PET)と、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)と、高分子相溶化剤と、を含む。前記複合材料マスターバッチの総重量は計100wt%であり、前記ポリエチレンテレフタレートの含有量の範囲は25~65wt%であり、前記エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂の含有量の範囲は30~70wt%であり、前記高分子相溶化剤の含有量の範囲は2~10wt%である。
【0006】
本発明はペットボトルをリサイクルしてPET複合材料マスターバッチを再製造する製造方法を更に提供する。
エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、高分子相溶化剤、及び廃棄包装材または紡織品からリサイクルした後に再製造したポリエチレンテレフタレート再生材料(r-PET)を提供し、材料の総重量は計100wt%であり、前記ポリエチレンテレフタレート再生材料の含有量の範囲は25~65wt%であり、前記エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂の含有量の範囲は30~70wt%であり、前記高分子相溶化剤の含有量の範囲は2~10wt%である材料取得ステップと、
ロスインウェイト式(loss-in-weight)計量システムを利用し、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、高分子相溶化剤、及びポリエチレンテレフタレート(PET)を比率に基づいてそれぞれ供給してポリマーアロイを形成し、2軸押出機を使用して温度160~245℃の間の範囲及び平均剪断速度100~300/秒(sec-1)の条件において、前記ポリマーアロイを100~250kg/hrの押出量でストランド状に押し出し、同時にポリマーアロイを押し出す過程においてスクリューを前述の温度範囲内に制御して先に昇温してから降温するプラスチック材料溶融ステップと、
ストランド状に圧出された前記ポリマーアロイを抽出するように前記2軸押出機を制御し、且つ前記ストランド状ポリマーアロイを水路を経て冷却するようにガイドする半製品抽出ステップと、
冷却したストランド状ポリマーアロイを粒状に切断した後に振動ふるいにかけるように前記2軸押出機を制御し、前記複合材料マスターバッチを製造する切断造粒ステップと、を含む。
【0007】
本発明の他の目的は、前述のポリエチレンテレフタレート(PET)及びエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)をリサイクルして再製造した複合材料マスターバッチを靴材料の製造に応用する方法を提供する。前記複合材料マスターバッチ及びエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)を熱可塑性弾性材料と混合し、発泡成型技術を利用して特定の造形の靴材料を製造することで、廃棄PETリサイクルを再利用する目的を確実に達成すると同時に、靴材料を製造する際のバージンPETポリマー材料の需要を減らす。
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明はペットボトルをリサイクルしてPET複合材料マスターバッチを再製造し、靴材料の製造に応用する方法を提供する。
エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、高分子相溶化剤、及び廃棄包装材及び紡織品からリサイクルした後に再製造したポリエチレンテレフタレート再生材料(r-PET)を提供し、材料の総重量は計100wt%であり、前記ポリエチレンテレフタレート再生材料の含有量の範囲は25~65wt%であり、前記エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂の含有量の範囲は30~70wt%であり、前記高分子相溶化剤の含有量の範囲は2~10wt%である材料取得ステップと、
ロスインウェイト式(loss-in-weight)計量システムを利用し、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、高分子相溶化剤、及びポリエチレンテレフタレート(PET)を比率に基づいてそれぞれ供給してポリマーアロイを形成し、2軸押出機を使用して温度160~245℃及び平均剪断速度100~300/秒(sec-1)の条件において、前記ポリマーアロイを100~250kg/hrの押出量でストランド状に押し出し、同時にポリマーアロイを押し出す過程においてスクリューを前述の温度範囲内に制御し、材料の供給開始から順次160、180、190、200、220、230、240、245、240、235℃の温度で前記ポリマーアロイに対し先に昇温してから降温する段階的加熱を行うプラスチック材料溶融ステップと、
ストランド状に圧出された前記ポリマーアロイを抽出するように前記2軸押出機を制御し、且つ前記ストランド状ポリマーアロイを水路を経て冷却するようにガイドする半製品抽出ステップと、
冷却したストランド状ポリマーアロイを粒状に切断した後に振動ふるいにかけるように前記2軸押出機を制御し、前記複合材料マスターバッチを製造する切断造粒ステップと、
所定の靴材料のサイズに基づいて、発泡用金型の型穴の長さ、幅及び/または高さを調整し、長さの微調整範囲は5~10mmであり、幅の微調整範囲は5~10mmであり、厚さの微調整範囲は10~20mmである発泡用金型微調整ステップと、
前記複合材料マスターバッチ及びエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)を弾性材料と混合した後に型に入れ、発泡成型技術により前記靴材料を製造する発泡成型ステップと、を含む。
【0009】
本発明が上述の目的を達成するために採用する技術、手段及び他の効果は、実施可能な好ましい実施例を挙げて以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ポリエチレンテレフタレート再生材料(r-PET)をオリジナルサイズの金型で発泡させたシートを示す外観図である。
図2】本発明のポリエチレンテレフタレート再生材料(r-PET)を含む複合材料マスターバッチから作製したT字型モールドを示す外観図である。
図3】EVA素材をオリジナルサイズの金型で発泡させたシートを示す外観図である。
図4】ポリエチレンテレフタレート再生材料(r-PET)を補正サイズ金型で発泡させたシートを示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の技術方法について明確に、完全に描写する。明らかに、描写する実施例は本発明の一部分の実施例であり、全部の実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、本分野の普通の技術者が創造性を働かせない前提で獲得した全ての他の実施例は、全て本発明の保護範囲に含まれる。
【0012】
本発明の特徴及び利点の幾つかの実施例について、以下の説明において詳述する。
ちなみに、本発明は異なる態様において各種の変化を有しているが、これらは全て本発明の範囲を逸脱しておらず、且つ本質について説明するために用いているにすぎず、本発明を制限するものではない。
【0013】
本発明のPET及びEVAをリサイクルし再製造した複合材料マスターバッチは、ポリエチレンテレフタレート(PET)と、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)と、高分子相溶化剤と、を含む。前記複合材料マスターバッチの総重量は計100wt%であり、前記ポリエチレンテレフタレートの含有量の範囲は25~65wt%であり、前記エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂の含有量の範囲は30~70wt%であり、前記高分子相溶化剤の含有量の範囲は2~10wt%である。
【0014】
本発明の実施例では、前記ポリエチレンテレフタレートは、廃棄包装材及び紡織品からリサイクルした後に再製造したポリエチレンテレフタレート再生材料(recycled PET、r-PET)である。前記ポリエチレンテレフタレート再生材料は、固有粘度(Intrinsic Viscosity、IV)が0.6~1.0dL/gの間の範囲であるPET材料である。前述の廃棄包装材はPETで製造したペットボトル等の容器を含む。
【0015】
本発明の実施例では、前記エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)の酢酸ビニル(VA)の含有量は8~40wt%の間の範囲であり、前記エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂のメルトフローレート(Melt mass~flow rate、MFR)は190℃/2.16kgの条件において10分間当たり1~10g(1~10g/10min)の間の範囲である。
【0016】
本発明の実施例では、前記高分子相溶化剤はエポキシ官能基(Epoxy)を有しないポリマーまたはグラフトポリマーでもよく、エポキシ官能基(Epoxy)を有するポリマーまたはグラフトポリマーでもよく、或いは、前記高分子相溶化剤は一級アミン(Primary(1°) amine)官能基、二級アミン(Secondary(2°) amine)官能基、またはイソシアネート(Isocyanate)を含有するグラフトポリマー(オリゴマー)でもよい。
前記高分子相溶化剤はエポキシ官能基(Epoxy)を有するグラフトポリマーまたはポリマーが好ましい。
具体的には、前記高分子相溶化剤は、メタクリル酸グリシジル(GMA、Glycidyl methacrylate)、マレイン酸無水物(無水マレイン酸、MA、Maleic anhydride)、或いはアクリル酸(AA、Acrlic acid)から選ばれる。
前記高分子相溶化剤は、メタクリル酸グリシジル(GMA)を選択するのが好ましく、特にメタクリル酸グリシジル(GMA)をエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)にグラフトしたグラフトポリマーが最も好ましい。さらに、前記高分子相溶化剤がエポキシ官能基(Epoxy)を有するポリマーまたはグラフトポリマーである場合、高分子相溶化剤は3~16mol%のエポキシ官能基を含有するポリマー派生物であることが好ましい。
【0017】
本発明に係る複合材料マスターバッチは、前記ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、及び高分子相溶化剤を溶融し混練してポリマーアロイ(Polymer alloy)を製造する。
PET及びEVAは高分子相溶化剤を添加した後にエーテル化反応またはエステル化反応を発生させ、材料を修飾し、PET及びEVAを良好に相溶化させて前記ポリマーアロイを形成する目的を達成させる。
【0018】
以下の構造式(1)は、PET及びEVAに高分子相溶化剤を添加した後にエーテル化反応を発生させて形成したポリマーアロイの構造式を示し、PETは末端に有機酸官能基(carboxyl group)を有している。
<構造式(1)>
以下の構造式(2)は、PET及びEVAに高分子相溶化剤を添加した後にエステル化反応を発生させて形成したポリマーアロイ構造式を示し、PETは末端にヒドロキシ基官能基(hydroxyl group)を有している。
<構造式(2)>
【0019】
本発明に係る複合材料マスターバッチに使用するポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、及びエポキシ官能化EVA(Epoxy functionalized EVA)(即ち、高分子相溶化剤)の構造は順次以下の化学式(1)、化学式(2)、化学式(3)で表される。
<化学式(1)>
化学式(1)のn=100moleである。
<化学式(2)>
化学式(2)において、m+n=100mol%である場合、m=60~84mol%であり、n=16~40mol%である。
<化学式(3)>
化学式(3)において、x+y+z=100mol%である場合、x=45~80mol%であり、y=5~30mol%であり、z=5~26mol%である。
【0020】
以下の反応式1は、PET及びエポキシ官能化EVAに対しエーテル化反応を行うメカニズムを示す。
反応式1:
反応式1によりEVA親和性末端基及びPET親和性末端基を有しているエーテル化反応化合物を生成し、下記[反応式2]に示す如く、前記エーテル化反応化合物とEVA及びPETとが相溶化する反応メカニズムを示す。
反応式2:
下記反応式3は、PET及びエポキシ官能化EVAのエステル化反応を行うメカニズムを示す。
反応式3:
反応式3により、EVA親和性末端基及びPET親和性末端基を有しているエステル化反応化合物を生成し、反応式4に示す如く、前記エステル化反応化合物とEVA及びPETとが相溶化する反応メカニズムを示す。
反応式4:
以上、本発明のPET及びEVAをリサイクルし再製造した複合材料マスターバッチの配合及びその材料を溶融し混練して相溶化する反応メカニズムについての説明である。以下、本発明に係る複合材料マスターバッチの製造方法及びその応用方法について説明する。
【0021】
本発明に係るPET及びEVAをリサイクルし再製造した複合材料マスターバッチの製造方法は、
ロスインウェイト式(loss-in-weight)計量システムを利用し、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、高分子相溶化剤、及びポリエチレンテレフタレート(PET)を比率に基づいてそれぞれ供給してポリマーアロイを形成し、2軸押出機を使用して温度160~245℃の間の範囲及び平均剪断速度100~300/秒(sec-1)の条件において、前記ポリマーアロイを100~250kg/hrの押出量でストランド状に押し出し、同時にポリマーアロイを押し出す過程においてスクリューを前述の温度範囲内に制御して先に昇温してから降温するプラスチック材料溶融ステップと、
ストランド状に圧出された前記ポリマーアロイを抽出するように前記2軸押出機を制御し、且つ前記ストランド状ポリマーアロイを水路を経て冷却するようにガイドする半製品抽出ステップと、
冷却したストランド状ポリマーアロイを粒状に切断した後に振動ふるいにかけるように前記2軸押出機を制御し、前記複合材料マスターバッチを製造する切断造粒ステップと、を含む。
【0022】
本発明の実施例では、前記溶融プラスチック材料ステップにおいて、ポリマーアロイを押し出す過程において前記スクリューは、材料の供給開始から順次160、180、190、200、220、230、240、245、240、235℃の温度で前記ポリマーアロイに対し先に昇温してから降温する段階的加熱を行う。これにより、後述の温度加熱段階の制御により、EVAの分解前(270℃)に、溶融段階でPET、EVA及びエポキシ官能化EVAが初期反応に達するのを保証することで、EVAの分解及びエポキシ官能化EVAのエポキシ開環自己重合反応が発生し、r-PET及びEVAが均一なポリマーアロイを形成できなくなり、最終的にr-PET/EVAアロイの発泡の均一性が破壊されるのを回避する。
【0023】
本発明の実施例では、本発明に係るPET及びEVAをリサイクルし再製造した複合材料マスターバッチの製造方法において、切断造粒ステップ後に、ふるいにかけた後の粒状ポリマーアロイ(即ち、前記複合材料マスターバッチ)の収集及び袋詰めを行う収集袋詰めステップを更に含む。
【0024】
本発明は前述の配合比率及び製造方法で製造された複合材料マスターバッチが、靴材料の製造分野に主に応用されるが、但しこの限りではない。
本発明の実施例において、前記複合材料マスターバッチはエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)及び熱可塑性弾性材料と混合し、発泡成型技術により靴材料を製造するために用いられている。
【0025】
本発明に係る複合材料マスターバッチを靴材料の製造に用いる方法は、
エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、高分子相溶化剤、及び廃棄包装材及び紡織品からリサイクルした後に再製造したポリエチレンテレフタレート再生材料(r-PET)を提供し、材料の総重量は計100wt%であり、前記ポリエチレンテレフタレート再生材料の含有量の範囲は25~65wt%であり、前記エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂の含有量の範囲は30~70wt%であり、前記高分子相溶化剤の含有量の範囲は2~10wt%である材料取得ステップと、
ロスインウェイト式(loss-in-weight)計量システムを利用し、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、高分子相溶化剤、及びポリエチレンテレフタレート(PET)を比率に基づいてそれぞれ供給してポリマーアロイを形成し、2軸押出機を使用して温度160~245℃及び平均剪断速度100~300/秒(sec-1)の条件において、前記ポリマーアロイを100~250kg/hrの押出量でストランド状に押し出し、同時にポリマーアロイを押し出す過程においてスクリューを前述の温度範囲内に制御し、材料の供給開始から順次160、180、190、200、220、230、240、245、240、235℃の温度で前記ポリマーアロイに対し先に昇温してから降温する段階的加熱を行うプラスチック材料溶融ステップと、
ストランド状に圧出された前記ポリマーアロイを抽出するように前記2軸押出機を制御し、且つ前記ストランド状ポリマーアロイを水路を経て冷却するようにガイドする半製品抽出ステップと、
冷却したストランド状ポリマーアロイを粒状に切断した後に振動ふるいにかけるように前記2軸押出機を制御し、前記複合材料マスターバッチを製造する切断造粒ステップと、
所定の靴材料のサイズに基づいて、発泡用金型の型穴の長さ、幅及び/または高さを調整し、長さの微調整範囲は5~10mmであり、幅の微調整範囲は5~10mmであり、厚さの微調整範囲は10~20mmである発泡用金型微調整ステップと、
前記複合材料マスターバッチ及びエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)を弾性材料と混合した後に型に入れ、発泡成型技術により前記靴材料を製造する発泡成型ステップと、を含む。
【0026】
以下、本発明含ペットボトルまたは漁網をリサイクルしてPETを含む複合材料マスターバッチを再製造し、その製造方法及び発泡靴材料の応用の具体的な実施方式について説明する。
【0027】
本発明に係る複合材料マスターバッチのポリエチレンテレフタレート(PET)は廃棄ペットボトルから取得する。
ポリエチレンテレフタレート(PET)を廃棄ペットボトルから取得する際に、既知のペットボトルリサイクル技術(PET bottle recycling)により前記ポリエチレンテレフタレート再生材料(r-PET)を製造する。
具体的には、廃棄ペットボトルの処理方法は、破砕、洗浄、分離、及び乾燥を含む。
破砕ステップでは、材料を小さな破片に破砕し、続いて、これら前記破片に残った紙ラベル及びプラスチックのキャップの破片等の少数の原物質の残留物を、適切な方法で除去した後、洗浄、分離、及び乾燥を行い、最終的に純粋なPET破片またはPETの薄片を製造し、本発明のポリエチレンテレフタレート再生材料(r-PET)を形成する。
【0028】
本発明に係る複合材料マスターバッチの材料の配合比率を下記[表1]の実施例1~4に示す。
表1(実施例1~4の複合材料マスターバッチの総量を計100wt%とし、材料の含有量の単位はwt%とする)
【0029】
以下の表2、表3と図1乃至図4に示すように、本発明のリサイクルし再製造したPETを含む複合材料マスターバッチを発泡靴材料の調製に用いる場合、本発明のリサイクルし再製造したPETを含む複合材料マスターバッチは発泡プロセスにおける膨張率が従来のEVA材料の膨張率よりも高い。
図1に示すように、本発明に係る複合材料マスターバッチをオリジナルサイズの金型で発泡させたシートの外観は、外形が明らかに不規則で線が変形している。
このため、本発明は図2に示すT字型モールドにより異なる構造の製品を反復してテストし、且つテストを比較すると、本発明のリサイクルし再製造したPETを含む複合材料マスターバッチの発泡プロセスにおける膨張率が従来のEVA材料の膨張率よりも高いことが確定した。
即ち、本発明のポリエチレンテレフタレート再生材料(r-PET)を含む複合材料マスターバッチを使用して発泡靴材料を製造する場合、金型の型穴のサイズを調整し、発泡製品の外観の歩留まりを高める必要がある。
【0030】
<表2>
【0031】
表2はリサイクルし再製造したPETを含む複合材料マスターバッチの型穴の厚さが8mmである場合、長さ及び幅が標準的な長さ及び幅に接近し、厚さは標準的な膨張率に比べて15%増加している。
異なるステップから分析し比較すると、新しい金型を作る際に、型穴の厚さを6mm以上とする場合、長さは使用する原材料よりも4%膨張率を低くし、幅も3~4%短く調整する必要があり、厚さは使用する原材料よりも10%~20%短くすることが推奨される。製品のサイズは厚さを基準として計算する。
【0032】
【0033】
表3に示すように、本発明は一連のテストを経て、ポリエチレンテレフタレート再生材料(r-PET)を含む複合材料マスターバッチと従来のEVA材料との相違性が見出され、T字型モールド及び原料の配合を調整することで、本発明に係る複合材料マスターバッチが発泡製品の幅及び厚さを金型内に収まるように影響する。図3及び図4の試験片モールドのテストにより、金型を補正した後、本発明に係る複合材料マスターバッチで製造する発泡靴材料製品(図4参照)は従来のEVA材料で製造する発泡製品(図3参照)のサイズと同様であることが証明された。
図1
図2
図3
図4