(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】医用画像化システムのボア用デジタル表示装置
(51)【国際特許分類】
G01T 1/161 20060101AFI20240722BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20240722BHJP
A61B 6/46 20240101ALI20240722BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
G01T1/161 E
A61B6/03 521Z
A61B6/03 577
A61B6/46 530
A61B5/055 390
(21)【出願番号】P 2022579063
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(86)【国際出願番号】 US2020070162
(87)【国際公開番号】W WO2021262242
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】593063105
【氏名又は名称】シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】コルベイユ,ジェームズ エル.
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0196367(US,A1)
【文献】特開2003-190112(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0244384(US,A1)
【文献】特表2019-534111(JP,A)
【文献】特開2012-005684(JP,A)
【文献】特開平07-327934(JP,A)
【文献】特開2012-245315(JP,A)
【文献】国際公開第2019/173237(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0322271(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
A61B 5/055
G01T 1/161 - 1/166
G01R 33/20 -33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を画像化するための医用画像化システムであって、
患者を受け入れるためのボアを画定するようにボア内面を有するガントリであって、前記ボア内に位置する患者の画像化を可能にする画像化装置を備えた前記ガントリと、
前記ボア内に患者を移動させるための患者用の寝台と、
前記ボアの前記ボア内面
上に直接的にプリントされたデジタル・ディスプレイと、
を含
み、
前記画像化装置は視野を定め、前記ディスプレイと関連する電子部品が前記ディスプレイの内部で、かつ前記視野の外側に配置されたことを特徴とする、
システム。
【請求項2】
前記ディスプレイは、前記ボア内面の上部に配置されて、前記システムの長手方向軸に沿って患者によって前記ディスプレイが視認できるようにした、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ディスプレイは、前記ボア内面の約360度をカバーする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ディスプレイは、前記ボアの外側で、前記ガントリの外面上に延在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムは、ポジトロン断層法/X線コンピュータ断層撮影(PET/CT)システムである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
患者を画像化するための医用画像化システム内に位置する患者に対して視覚的内容を表示する方法であって、
患者を受け入れるためのボアを画定するようにボア内面を有するガントリであって、前記ボア内に位置する患者の画像化を可能にする画像化装置を備えた前記ガントリを提供することと、
前記ボア内に患者を移動させるための患者用の寝台を提供することと、
前記ボアの前記ボア内面
上に直接的にプリントされたデジタル・ディスプレイを提供することと、
患者に対して鎮静作用のある視覚的内容を患者に対して表示することと、
を含
み、
前記画像化装置は視野を定め、前記ディスプレイと関連する電子部品が前記ディスプレイの内部で、かつ前記視野の外側に配置されたことを特徴とする、
方法。
【請求項7】
前記視覚的内容は、前記ディスプレイ上に仮想的天井を表示することを含み、患者が前記ボアの内側にいるとき、部屋の天井を見上げているように患者が知覚できるようにした、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記視覚的内容は、画像化される前に患者によって選択された色と画像とが、聴覚的合図と共に画像化の間に表示されることを含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項9】
前記視覚的内容は、さらに、前記ディスプレイ上にゲームを表示することで患者を集中させて、患者がスキャンの手順に慣れるようにした、請求項
6に記載の方法。
【請求項10】
前記ディスプレイは、前記ボア内面の上部に配置されて、前記システムの長手方向軸に沿って患者によって前記ディスプレイが視認できるようにした、請求項
6に記載の方法。
【請求項11】
前記ディスプレイは、実質的に半円形状を有する、請求項
6に記載の方法。
【請求項12】
前記ディスプレイは、前記ボアの外側で、前記ガントリの外面上に延在する、請求項
6に記載の方法。
【請求項13】
前記システムは、ポジトロン断層法/X線コンピュータ断層撮影(PET/CT)システムである、請求項
6に記載の方法。
【請求項14】
患者を画像化するための医用画像化システムであって、
患者を受け入れるためのボアを画定するようにボア内面を有するガントリであって、前記ボア内に位置する患者の画像化を可能にする画像化装置を備えた前記ガントリと、
前記ボア内に患者を移動させるための患者用の寝台と、
前記ボアの前記ボア内面
上に直接的にプリントされたデジタル・ディスプレイであって、前記システムの長手方向軸に沿って患者によって前記デジタル・ディスプレイが視認できるようにされた前記デジタル・ディスプレイと、
を有
し、
前記画像化装置は視野を定め、前記ディスプレイと関連する電子部品が前記ディスプレイの内部で、かつ前記視野の外側に配置されたことを特徴とする、
システム。
【請求項15】
前記ディスプレイは、前記ボア内面の約360度をカバーする、請求項
14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ディスプレイは、前記ボアの外側で、前記ガントリの外面上に延在する、請求項
14に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムが、ポジトロン断層法/X線コンピュータ断層撮影(PET/CT)システムである、請求項
14に記載のシステム。
【請求項18】
患者に対して鎮静作用のある視覚的内容が表示される、請求項
14に記載のシステム。
【請求項19】
前記視覚的内容は、前記ディスプレイ上に仮想的天井を表示することを含み、患者が前記ボアの内側にいるとき、部屋の天井を見上げているように患者が知覚できるようにした、請求項
18に記載のシステム。
【請求項20】
前記視覚的内容は、画像化される前に患者によって選択された色と画像とが、聴覚的合図と共に画像化の間に表示されることを含む、請求項
18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像化システム(医用撮像システム)に関し、より具体的には、患者を収容可能なボアを画定するようにボア内面を備えたガントリを含む医用画像化システムであって、ボア内面に対してデジタル表示装置(ディスプレイ)を取付けて、視覚的内容(ビジュアル・コンテンツ)を患者に対して表示可能にした、医用画像化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像化システムには、画像化(撮像)又はスキャン(走査)を行うために、患者を受け入れるためのボアが含まれている。典型的には、ボアは、細長く延在して、トンネルを形成している。このトンネルは、閉所恐怖症で苦しんでいる子供や大人に対して強制的又は威圧的になる虞がある。この影響は、医用画像化システムの平均ボア長さがより長くなる程、より顕著になり得るが、その医用画像化システムの例として、ポジトロン断層法/コンピュータ断層撮影(PET/CT)システムや、核磁気共鳴画像法(MRI)システム等が挙げられる。以前では、典型的なPET/CTスキャナでは、ボア・カバーは、160mmから250mmの間で、長手軸方向の視野範囲(aFoV)を得る上で必要なように、内部構成部分を取り巻いていたが、近年のスキャナは、aFoVは1m以上の長さに近づいている。同様のことが核磁気共鳴画像法(MRI)についても言うことができ、例えば、標準的なボア・カバーの長さは、場合によっては、1.5mを超えることがある。スキャナ固有の問題に加えて、一度患者が細長いシステムの中に取り込まれると、患者と技師が相互に関係し合う選択肢が非常に制限されるため、患者と技師の間の相関関係が制限されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
従って、患者を画像化するための医用画像化システムを開示する。このシステムには、患者を受け入れるためのボアを画定したボア内面を有するガントリが含まれる。さらにガントリには、ボア内に位置する患者の画像化を可能にする画像化装置が備えられる。さらに、このシステムには、ボア内に患者を移動させるための患者用の寝台が含まれる。さらに、このシステムには、ボアのボア内面の上部に取付けられたデジタル・ディスプレイが含まれて、このシステムの長手方向軸に沿って、患者がディスプレイを視認できるようにしている。
【0004】
当業者であれば、本発明の個々の特徴を、任意に組み合わせて又は部分的に組み合わせて、結合的に又は単独で適用することができるであろう。
【0005】
以下、添付の図面を参照しながら、詳細な説明において、本発明の例示的な実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本発明の一態様に従った医用画像化システムを例示した図である。
【
図2】
図2は、医用画像化システムの正面図であり、本発明の一態様に従ってボアの内面の上部に取付けられたデジタル・ディスプレイを例示した図である。
【
図3】
図3は、デジタル・ディスプレイの構成を例示した図である。
【
図4】
図4は、例示的なPET検出器リングを例示した図である。
【
図5】
図5は、
図3の線5-5に沿った、ディスプレイの側面図であり、第1、第2及び第3のPET検出器リング、並びに医用画像化システムの断面側面図を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本明細書の教示内容を含む様々な実施形態について例示して、詳述する。当業者であれば、それら教示内容を含む様々な他の実施形態について比較的に容易に考案することができるであろう。従って、本開示内容の範囲は、本明細書で説明し、添付した図面に例示した構成や構成要素の配置について、具体的に例示した実施形態に限定されない。即ち、本開示内容は、様々な他の仕方で行われ得る他の実施形態も含まれ得るものとする。なお、本明細書で用いられる専門語や用語等は、内容を説明するために用いられており、限定的なものではない。また、本明細書で用いられている「含む」、「有する」、及びそれらの派生語等は、後述される項目を包括することを意味しているが、それら項目と同等なものや、追加的な項目についても包括し得るものとする。また、特段のただし書きや制限等がない限り、「取付けられた」、「接続された」、「支持された」、「結合された」、及びそれらの派生語等は、広義に用いられて、直接的又は間接的に、取付ける、接続する、支持する、又は結合することを意味し得るものとする。さらに、「接続された」、「結合された」の用語は、物理的又は機械的な接続や結合の形態に必ずしも限定されないものとする。
【0008】
図1を参照すると、本発明の一態様に係る医用画像化システム10が例示されている。本発明は、患者(被検体)14を受け入れることができるように、実質的に円筒形状のボア(開口部等ともいう)12を有する任意の医用画像化システム10に適用可能であり、例えば、核磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging:MRI)システム、ポジトロン断層法(positron emission tomography:PET)システム、単一光子放射断層撮影(single photon emission computed tomography:SPECT)システム、PET/MRIシステム、X線コンピュータ断層撮影(computed tomography:CT)システム、PET/CTシステム、SPECT/CTシステム、等に適用可能である。以下、例示の目的上、本発明について、CT部15とPET部17とを有する既知のPET/CTシステム16に関して説明する。CT部15は、X線源18とX線検出器20とを含む記録部を有する。記録部は、断層画像の記録中、長手方向軸22の周りで回転し、ヘリカル状の記録中、X線源18からX線24が放出される。画像が記録される際、患者14は寝台26の上で横になっている。寝台26は、システム16のガントリ(構台)30のボア12を通って記録方向に患者14を移動させるように構成されている。テーブル基台(ベース)28には制御部32が含まれているが、これは、データ交換が可能なようにコンピュータ34と接続されている。例示したシステムでは、医用診断部又は医用治療部は、コンピュータ34によって実行可能なように保存されているコンピュータ・プログラムの形態で、決定部36により、システム16の形態で、構成されている。コンピュータ34は、出力部38と入力部40に接続されている。出力部38は、例えば、1つ又は複数の液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)又はプラズマ・スクリーンである。出力部38上に表示される出力42には、例えば、システム16と制御部32の個々のユニットを作動可能にするグラフィカル・ユーザ・インタフェース(graphical user interface:GUI)が含まれる。さらに、出力部38には、記録されたデータの様々な表示(ビュー)が表示され得る。入力部40には、例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーン、又は音声入力用のマイクロフォンが含まれ得る。
【0009】
システム10、16のボア12は、ボア内面(内周面)44によって画定されており、そこには少なくとも1つのボア・カバーを含むことができる。ボア12は、システム16を通って延出して、細長いボア・トンネル46を画定している(
図2参照)。このトンネルは、閉所恐怖症で苦しんでいる子供や大人に対して強制的又は威圧的になる虞がある。そこで、ボア12の深さの外観を緩和するように、意匠的審美性がそこに施されることがある。そのことには、ガントリ30に沿って後方に目(視覚)が進むように、ボア・トンネル46及び外側シェル(外胴)の双方にテーパ付けることが含まれる。しかしながら、このことは特定の有利な場所に限って有効であって、ボア・トンネル46の内部にいる患者14には有効とは限らない。そこで、患者14に対して鎮静作用を提供するように、医用画像化システムに色彩の光等のデバイスを配置することがある。そのことについて、例えば、スティーベル,ジュニア(Steibel,JR.)らにより、2013年12月26日付けで公開された米国特許公開第2013/0345543A1号の開示内容を挙げることができるが、その全体が参照により本明細書に援用されるものとする。さらに、音楽、空気の流れ、患者の目の上方に置かれる布、治療用ガントリの覆いであって、患者14の気をまぎらわすように作用するものや、他、癒しのための手法や装置であって、患者14に対して鎮静効果を有するがあるが、それらは限定的な効果しかもたらさない可能性がある。さらに、ボア12内の患者14を刺激する(又は注意を引く)必要性に対処するためのものがあるが、例えば、バイザー上のミラーを使用して、患者14が、ヘルメット上の、投影像、スクリーン、発光ダイオード(light-emitting diode:LED)スクリーン、又はスキャナの外部にいる技師(又は医師)を見るようにさせることがある。しかしながら、このような方法は煩雑であり、患者を不快にさせることがあり、設定が困難で、減弱調整の点で問題があり得る。
【0010】
図2を参照すると、システム16に用いられる別の構成の正面図が例示されている。なお、テーブル基台(ベース)28は、ボア12に対してオフセットされている。本発明の一態様では、ボア内面33の上部50には、デジタル・ディスプレイ(表示装置)48が取付けられており、患者14に対してディスプレイ48が視認できるようにしている。このディスプレイ48は、例えば、複数の発光ダイオード(LED)のアレイ(配列)を用いて構成された発光ダイオード(LED)ディスプレイ48や、複数の有機発光ダイオード(organic light-emitting diode:OLED)を用いて構成された有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ48等でもよい。他、任意の種類のデジタル・ディスプレイが利用可能なことを理解されたい。ディスプレイ48には、画像と文字の双方を生成することができ、聴覚的合図を増強させて、患者の体験を高めることができる。
【0011】
図3を参照すると、ディスプレイ48の構成が例示されている。ディスプレイ48は、ボア内面44の形状に対応して、湾曲形状又は円弧形状を有することができる。本発明の一態様では、ディスプレイ48は、実質的に半円形状を有し(つまり、約180度の中心角を有し)、長手方向軸22に対応して、軸方向に延在する。これにより、ディスプレイ48は、ボア12内の長手方向軸の区間に沿って視認可能となっている。あるいは、ディスプレイ48は、実質的に円形状を有する(つまり、約360度の中心角を有する)ことも可能であり、この際、ディスプレイ48が実質的にボア内面44の全周囲を覆って、環状の形状を有してもよい。また、本発明の一態様では、180度を超える中心角又は180度を下回る中心角での他の湾曲構成又は円弧状構成を有することも可能である。本発明の一実施形態では、中心角度は、約10度と180度との間の範囲内でもよい。
【0012】
ディスプレイ48は、ボア内面44上にラミネート(積層)されていてもよい。あるいは、ディスプレイ48は、ボア内面44上に直接的にプリンティング(プリント)されてもよく、例えば、既知の円筒座標ロボット及び/又はAM技術(Additive Manufacturing)を用いることができる。ボア内面44上、例えば、ボア内面44の一部を構成するボア・カバー上に直接的にディスプレイ48をプリンティングすることにより、ディスプレイ48のストレスレベルを低めて、ディスプレイ48の耐久性を高めることができる。有利には、OLEDディスプレイ48は、低い減衰をもたらして、システム16の操作と、走査(スキャン)又は画像(イメージ)の質とが、OLEDディスプレイ48の使用によって実質的に影響を受けないようにする。
【0013】
システム16のPET部17には、少なくとも1つのPET検出器リング52が含まれ(
図4参照)、それぞれが、バックプレーン56上にリング形状(環状)構成で配置された複数の既知のPET検出器54を備えている。
図5を参照すると、
図3の線5-5に沿って、ディスプレイ48の側面図が例示されている。図解上、第1のPET検出器リング58、第2のPET検出器リング60及び第3のPET検出器リング62、並びにシステム16の断面側面図も
図5に例示されている。なお、3つのPET検出器リング58、60、62よりも多い個数、又はより少ない個数でそれらを用いることが可能なことを理解されたい。長手方向軸22は、PET検出器リング58、60、62を通って延在する。PET検出器56は、長手方向軸22と同一方向で延在する軸方向の視野範囲(axial field of view region:aFoV)64を定める。システム16のPET部17の既知の操作の間、aFoV64の中で消滅事象が生じるが、その際、電子が陽電子と相互作用して、ガンマ線を生じさせており、それがPET検出器56によって検出されるようになっている。ガンマ線の検出は、PET画像の生成に用いられ、その後、その画像は、システム16のCT部15によって生成されるCT画像と合わせて用いられて、患者の画像又は患者の解剖学的構造の一部の画像が提供されるようになっている。
【0014】
OLEDディスプレイ等の従来のディスプレイに関連する電子部品(電子コンポーネント)は、ディスプレイ48全体に散在し得る。本発明の一態様では、ディスプレイ48に関連する電子部品、例えば、コンデンサ、トランジスタ、インダクタ、集積回路、同様物等の、システム16によって生成される画質に影響を及ぼす可能性のあるものは、ディスプレイ48の電子部品領域66内のaFoV64の外側に位置する。例えば、ディスプレイ48の後部68に、電子部品領域を配置することができる。aFoV64の外側に電子部品を位置させることで、aFoV64内のディスプレイ48の部分が、画質に影響を及ぼさないように、実質的に低い減衰特性を提供することを確保する。あるいは、aFoV64内に位置する電子部品によって生成される虞のある画像アーティファクト(偽像等)は、既知の画像アーティファクト修正技術を用いて修正されてもよい。
【0015】
別の実施形態では、ディスプレイ48の一部が、ボア12の外側であって、ガントリ30の外面上に延出してもよい。又は、別体のディスプレイが、ボア12の外側に位置していてもよい。それによって、画像化の間、ボア12の中に患者14が移動する際、患者14がディスプレイ48を視認できるようにしてもよい。このため、患者14がボア12の外側から寝台26上でボア12の内部へと移動する際、実質的にシームレスな(途切れの無い)経験を提供することが可能になる。
【0016】
あるいは、ディスプレイ48は、フレキシブル(可撓性)OLEDディスプレイ48を形成するように、既知の複数のOLEDの可撓性アレイから形成されていてもよい。このことにより、ボア12内へのフレキシブルOLEDディスプレイ48の設置を容易にして、ディスプレイ48の形状が、実質的に、ボア内面44の形状と適合することを確保してもよい。加えて、フレキシブル・ディスプレイ48を用いることにより、現在用いられている既存の画像化システムに対して、フレキシブル・ディスプレイ48の追加導入等が容易になる。
【0017】
本発明の一態様によれば、ディスプレイ48は視覚的内容を表示するために用いることができ、そして、患者14又は臨床医による個別化(パーソナライズ)を可能にしている。一実施形態では、ディスプレイ48は、患者14を鎮静させたり、患者に指示を与えるために用いることができる。また、ディスプレイ48は、刺激、装飾または治療上の忠告についても用いることができる。鎮静作用に関しては、ディスプレイ48は、仮想的な(ヴァーチャルな)天井を表示するために用いることができ、例えば、システム16の外側からボア12の内側まで長手方向軸22に沿って寝台26の上で患者14が移動する際、妨げられることなく、患者が中にいる部屋の天井を見上げているように、患者14に対して現れるようにしてもよい。さらに、患者14が前もって(例えば、ソフトウェア・アプリケーションを用いて)選択した色や画像が、スキャン中に表示されるようにしたり、また、聴覚的合図と共に用いられるようにしてもよい。また、一実施形態では、ディスプレイ48は、スマートフォン等の携帯コンピューティング・デバイスとワイヤレスに(無線)通信可能なように構成されていてもよい。また、システム16は、ソフトウェア・アプリケーションのダウンロード又はアップロードを可能にするように、ユニバーサル・シリアル・バス(Universal Serial Bus:USB)ポート等の通信インターフェース70を含んでいてもよい。
【0018】
ディスプレイ48は、患者14の注意を向かわせる(又は集中させる)媒介(又は手段)としても用いることができ、又は患者14を楽しませる媒介(手段)としても用いることもできる。例えば、子供の注意を引くようにディスプレイ48上にアニメーション(動画)や漫画等を流して、そして、突然にその流れを停止させて、子供が特定の作業を意識下で行うようにさせてもよい。この行為は、例えば、ソフトウェア・アプリケーションで利用可能となるゲームの一部として行うことができ、スキャンの開始前に子供がそのスキャンの手順に慣れるようにして、その結果、そのスキャンがゲームの続きとして捉えられるようにしてもよい。あるいは、ディスプレイ48は、単にエンターテインメント(娯楽等)として画像を表示させたり、信頼されている人や愛玩動物(ペット)のリアル・タイムでのビデオを表示させたり、患者がスキャン中に影響を受けるようにしてもよい。また、難聴患者に対しては、音声合図の替わりに視覚的合図を用いることができる。このため、研究者に対して、脳の働き方を研究する上で、新しいツールを提供することも考えられる。
【0019】
以上、本開示内容の特定の実施形態について例示し、記載したが、当業者であれば、本開示内容の技術思想及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行い得ることを理解するであろう。従って、添付の特許請求の範囲では、本開示内容の範囲内にある変更や修正を全てカバーすることが意図されている。