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特許7524371粗い酸素ゲッター粒子を含むボンドコート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】粗い酸素ゲッター粒子を含むボンドコート
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/89 20060101AFI20240722BHJP
   C04B 35/80 20060101ALI20240722BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20240722BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
C04B41/89 K
C04B35/80 600
F01D25/00 L
F02C7/00 C
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023010325
(22)【出願日】2023-01-26
(65)【公開番号】P2023109727
(43)【公開日】2023-08-08
【審査請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】17/585,957
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】ジュリン・ワン
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-100545(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0323112(US,A1)
【文献】特開2019-73432(JP,A)
【文献】特開2018-114754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00-35/84,41/80-41/91
F01D 25/00
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化ケイ素を含み、表面(103)を有するセラミックマトリックス複合材基材(102)と、
前記セラミックマトリックス複合材基材(102)の表面(103)上のボンドコート(104)であって、前記ボンドコート(104)が、マトリックス相(112)内に分散された複数の離散粒子(110)を含み、前記マトリックス相(112)がムライトを含み、前記ボンドコート(104)の60体積%~98体積%を画定し、前記複数の離散粒子(110)は酸素が前記セラミックマトリックス複合材基材(102)の表面(103)に到達するのを妨げるために構成部品(100)の使用中に酸素と反応するように構成された酸素ゲッターを含み、その体積の50%以上が、10μm~100μmの平均サイズを有する粒子から形成された、前記ボンドコート(104)と、
前記ボンドコート(104)上の環境バリアコーティング(108)と、
を備えるコーティングされた構成部品(100)。
【請求項2】
前記複数の離散粒子(110)の体積の50%以上が、20μm~75μmの平均サイズを有する粒子から形成された、請求項1に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【請求項3】
前記複数の離散粒子(110)の体積の50%以上が、30μm~50μmの平均サイズを有する粒子から形成された、請求項1または2に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【請求項4】
前記複数の離散粒子(110)の体積の75%以上が、10μm~100μmの平均サイズを有する粒子から形成された、請求項1に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【請求項5】
前記複数の離散粒子(110)の体積の75%以上が、20μm~75μmの平均サイズを有する粒子から形成された、請求項1に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【請求項6】
前記複数の離散粒子(110)の体積の75%以上が、30μm~50μmの平均サイズを有する粒子から形成された、請求項1に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【請求項7】
前記複数の離散粒子(110)の体積の75%以上が、10μm~60μmの平均サイズを有する粒子から形成された、請求項1に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【請求項8】
前記酸素ゲッターがケイ素元素、ケイ素合金、ケイ化物、またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【請求項9】
前記マトリックス相(112)が連続相であり、前記マトリックス相(112)が、前記ボンドコート(104)にわたっており、前記セラミックマトリックス複合材基材(102)の表面(103)および前記環境バリアコーティング(108)の内面に直接接合された、請求項1に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【請求項10】
前記マトリックス相(112)が前記ボンドコート(104)の65体積%~96体積%を画定する、請求項1に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【請求項11】
前記マトリックス相(112)が前記ボンドコート(104)の75体積%~95体積%を画定する、請求項1に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【請求項12】
前記マトリックス相(112)がムライトを含み、前記環境バリアコーティング(108)が複数の層を含み、前記環境バリアコーティング(108)の前記層のうちの少なくとも1つが気密層を含む、請求項1に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【請求項13】
前記気密層が前記環境バリアコーティング(108)の内面を画定するように、前記気密層が前記ボンドコート(104)に隣り合う、請求項12に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【請求項14】
前記ボンドコート(104)が、1475℃~1650℃の動作温度に曝されることに耐えるように構成された、請求項1に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【請求項15】
前記セラミックマトリックス複合材基材(102)の前記表面(103)に、マトリックス材料と前記複数の離散粒子(110)との混合物から前記ボンドコート(104)を形成するステップであって、前記マトリックス材料がムライトを含み、前記複数の離散粒子(110)は酸素が前記セラミックマトリックス複合材基材(102)の前記表面(103)に到達するのを妨げるために前記コーティングされた構成部品(100)の使用中に酸素と反応するように構成された酸素ゲッターを含み、その体積の50%以上が、10μm~60μmの平均サイズを有する、ステップと、
前記ボンドコート(104)上に前記環境バリアコーティング(108)を形成し、その結果、前記複数の離散粒子(110)が、溶融されると、前記セラミックマトリックス複合材基材(102)の前記表面(103)と前記環境バリアコーティング(108)の内面との間の前記マトリックス相(112)内に収容されるステップと、
を含む、請求項1に記載のコーティングされた構成部品(100)を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、セラミック構成部品、特に、ケイ素系セラミックマトリックス構成部品の環境バリアコーティングとともに使用するためのボンドコート、およびその形成方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
効率を改善するために、ガスタービンエンジンについてはより高い動作温度が常に求められている。しかしながら、動作温度が上がると、エンジンの構成部品の高温耐久性もそれに応じて向上させる必要がある。高温性能の著しい進歩は、鉄系、ニッケル系、およびコバルト系超合金の配合によって達成されてきた。依然として、超合金から構成された多くの高温ガス通路の構成部品では、構成部品を断熱するために遮熱コーティング(TBC:thermal barrier coating)を使用することがあり、遮熱コーティングは、荷重支持合金とコーティング表面との間に大きな温度差を受けることがあり、したがって、これによって構造部品の熱曝露が制限される。
【0003】
ガスタービンエンジン全体で、特に、より高温のセクションで用いられる構成部品に超合金が広範に用いられるようになってきたが、セラミックマトリックス複合材(CMC:ceramic matrix composite)材料、特に炭化ケイ素(SiC)繊維強化SiCおよびSiC-Siマトリックス複合材、いわゆるSiC/SiC複合材など、より軽量の代替の基材材料が提案されている。CMCおよびモノリシックセラミック構成部品は、高温エンジンセクションの苛酷な環境からこれらの構成部品を保護するために環境バリアコーティング(EBC:environmental barrier coating)でコーティングされることがある。EBCは、高温燃焼環境中の腐食ガスに対して密な気密シールを提供することができる。
【0004】
炭化ケイ素および窒化ケイ素セラミックは、高温乾燥環境で酸化を受ける。この酸化は、不動態酸化ケイ素スケールを材料の表面に生じさせる。タービンエンジンなどの、水蒸気を含む高温多湿環境では、不動態酸化ケイ素スケールの形成と、それに続く、酸化ケイ素からガス状の水酸化ケイ素への転換とによって、酸化と減肉の両方が起きる。高温多湿環境における減肉を防ぐために、環境バリアコーティング(EBC)を炭化ケイ素および窒化ケイ素材料上に堆積させる。
【0005】
現在、EBC材料は、希土類ケイ酸塩化合物から作られている。これらの材料は水蒸気を閉め出し、水蒸気が炭化ケイ素または窒化ケイ素表面上の酸化ケイ素スケールに達するのを防ぎ、それによって減肉を防ぐ。しかしながら、そのような材料は酸素浸透を防ぐことができず、その結果、下地基材の酸化をもたらす。基材の酸化は、酸化炭素系または酸化窒素系ガスの放出とともに、不動態酸化ケイ素スケールをもたらす。酸化炭素系(すなわち、CO、CO2)、または酸化窒素系(すなわち、NO、NO2など)のガスを、密なEBCを通して逃がすことができず、したがって、膨れが形成され、それによってEBCが剥離することがある。ケイ素ボンドコートの使用は、今日までのこの膨れの問題に対する解決策であった。ケイ素ボンドコートは、ガス状副生成物を遊離させることなく、酸化する(EBCの下に不動態酸化ケイ素層を形成する)層を提供する。
【0006】
しかしながら、金属ケイ素の融点は1414℃で比較的低いので、ケイ素ボンドコートの存在はEBCに対する上限動作温度を制限する。これらの溶融温度より上では、ケイ素ボンドコートは下地基材から剥離し、それによりボンドコートおよびその上のEBCを事実上除去し得る。最近、ケイ素粒子を含むボンドコートを酸素ゲッターとして利用した高温EBCが考えられている。
【0007】
しかしながら、これらの高温EBCは中間温度域に弱点があることが示された。ゲッター相の酸化膨張により、マトリックス相は、低温において適応することができない引張応力を受け、それは、EBCを無効にする微小亀裂および高速酸化を引き起こす。したがって、低温および中間温度において有効であることを保ちながら、EBCのより高い動作温度限界を達成するために、EBCのボンドコートを改善することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
当業者を対象として、最良の態様を含む本発明の完全かつ有効な開示を、添付の図を参照して本明細書に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ボンドコートおよびその上のEBCを含む例示的なコーティングされた構成部品の側面断面図である。
図2】分散された離散粒子を含むマトリックスから形成された例示的なボンドコートの側面断面図である。
図3】本主題の様々な実施形態による例示的なガスタービンエンジンの概略断面図である。
図4】分散された離散粒子を含むマトリックスから形成されたボンドコートを有するコーティングされた構成部品を形成する例示的な方法の図である。
図5】20μmの離散粒子がマトリックス内に分散された実施例に従って形成された例示的なボンドコートの断面写真である。
図6】1~2μmの離散粒子がマトリックス内に分散された実施例に従って形成された比較ボンドコートの断面写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および図面では参照符号を繰り返し使用しているが、これは本発明の同じまたは類似の特徴または要素を表すことを意図している。
【0011】
次に、1つまたは複数の例が図面に示されている本発明の実施形態を詳細に参照する。それぞれの例は本発明を説明するために提示されており、本発明を限定するためではない。実際、本発明の範囲から逸脱せずに、本発明において様々な修正および変更を行うことができることは、当業者には明らかであろう。例えば、1つの実施形態の一部分として図示または記述された特徴を別の実施形態とともに使用してさらなる実施形態を得ることができる。したがって、本発明は、このような修正および変更を添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内にあるものとして包含することが意図されている。
【0012】
用語「第1の」、「第2の」、および「第3の」は、本明細書で使用するとき、1つの構成部品を別の構成部品と区別するために交換可能に使用される場合があり、個々の構成部品の位置または重要性を意味することを意図していない。
【0013】
本開示では、元素周期表に通常見られるような一般的な化学記号を使用して化学元素を説明する。例えば、水素は、その一般的な化学記号Hで表され、ヘリウムは、その一般的な化学記号Heで表され、その他も同様である。「RE」は、本明細書で使用するとき、希土類元素または希土類元素の混合物を指す。より詳細には、「RE」は、希土類元素のスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、またはそれらの混合物を指す。
【0014】
「アルミナ」は、本明細書で使用するとき、Al2O3の形態の酸化アルミニウムを指す。
【0015】
「シリカ」は、本明細書で使用するとき、SiO2の形態の酸化ケイ素を指す。
【0016】
用語「ムライト」は、本明細書で使用するとき、一般に、アルミナおよびシリカを含む鉱物を指す。すなわち、ムライトは、アルミナ(Al2O3)とシリカ(SiO2)の比が3対2(例えば、アルミナ対シリカの3対2の10モル%以内)であるアルミナとシリカの化学化合物である。しかしながら、ムライトとして2対1の比(例えば、アルミナ対シリカの2対1の10モル%以内)もまた報告されている。
【0017】
「実質的に含まない」という用語は、本明細書で使用するとき、ごくわずかな量しか存在しないことを意味し、完全に含まないことを包含する(例えば、0モル%~0.01モル%)。
【0018】
本開示において、ある層が別の層または基材の「上(on)」または「上方(over)」にあると記述されるとき、反することが明記されない限り、層は互いに直接接触してもよく、または層と層との間に別の層もしくは要素を有してもよいと理解されたい。したがって、これらの用語は、層同士の互いに対する相対的な位置を単に記述しているに過ぎず、上方または下方という相対的な位置は視認者に対するデバイスの向きに依存するので、必ずしも「上にある」ことを意味してはいない。
【0019】
複数の離散粒子が分散されたマトリックス相を含むボンドコートを含むコーティングされた構成部品が、その形成方法および使用方法とともに全体的に提供される。離散粒子は、一般に、その酸化反応がボンドコートの厚さを通って比較的ゆっくりと起こるように十分大きなサイズとなるように粗くされる。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、より細かい粒子と比較して離散粒子の酸化を効果的に遅らせる比較的粗い粒子の薄い表面層でのみ酸化が起こると考えられる。したがって、比較的粗い粒子の存在は、より細かい粒子と比較してより管理しやすい応力状態を作り出し、したがって、亀裂を生じる傾向をより少なくすると考えられる。さらに、比較的粗い粒子の酸化は、小さい粒子で見られることがある鋭い反応前面部の代わりに、ボンドコートの厚み内に拡散反応域を生成することができる。さらに、離散粒子は、コーティングの製造プロセス中に、酸化または蒸発を受ける。粗い粒子は、そのような劣化を遅らせる利点があり、したがって、ボンドコート中の粒子の所望の割合を維持するのを助けることができる。
【0020】
マトリックス相を含み、離散粒子を含むボンドコートは、1つの特定の実施形態では、一般に、基材の表面とその上の環境バリアコーティング(EBC)との間に配置される。図1を参照すると、コーティングシステム106を上に有する表面103を有する基材102から形成された例示的なコーティングされた構成部品100が示されている。一般に、コーティングシステム106は、基材の表面103上にボンドコート104、ボンドコート104上にEBC108を含む。図示の実施形態では、ボンドコート104は、間にいかなる層もなく直接表面103上にある。
【0021】
図2の例示的な実施形態では、ボンドコート104は、離散粒子110が分散されたマトリックス相112を有するように示されている。図示の実施形態では、マトリックス相112は、ボンドコート104の連続相を形成する。さらに、図示の実施形態では、マトリックス相112は、ボンドコート104の厚さにわたっており、基材102の表面103およびEBC108の内面107に直接接合されている。
【0022】
一般に、複数の離散粒子は、構成部品の使用中に酸素と反応するように構成された酸素ゲッターを含み、その結果、酸素が基材102の下地表面103に到達するのを妨げる。一実施形態では、酸素ゲッターは、ケイ素元素などのケイ素を含む。例えば、酸素ゲッターは、(ボンドコートの形成時に)(酸素に曝される前に)酸素ゲッターの少なくとも99重量%など、酸素ゲッターの少なくとも95重量%がケイ素であるように実質的にケイ素からなっていてもよい。
【0023】
1つの特定の実施形態では、ボンドコート104は、マトリックス相112内に含まれるケイ素元素から(離散粒子110として)形成されてもよい。下でより詳細に説明するように、ムライト内のケイ素元素は、コーティングされた構成部品の作動中に溶融する場合があるが、マトリックス相内に含まれたままであり、ボンドコート104の機能を保っている。ボンドコート104のこのような機能としては、限定するものではないが、基材をその上のEBCに接合すること、および、ガスを放出することなく酸素をゲッタリングして、そうしなければガス状副生成物を生じる下地基材の酸化を防ぐことが含まれる。したがって、(例えば、ガスタービンエンジン内の)コーティングされた構成部品の作動中に、ボンドコート104内で液体離散粒子を利用することができる。ボンドコート104は、離散粒子の融点より上で機能し続けるので、コーティングされた構成部品を離散粒子の融点より上の温度で動作させることができる。
【0024】
ケイ素は酸化してSiCからCOのようなガスを形成することはないが、水蒸気と接触すると、水酸化ケイ素ガス種を形成する。しかしながら、水酸化ケイ素ガス種の分圧は十分低く、気泡を著しく形成することはない。さらに、これらの分圧は、ガス表面の外側へ相互接続された気孔がなければ、減肉を生じさせることはない。ムライトマトリックスの密度およびEBCの上部層の気密性は、水酸化ケイ素の形成を最小化するように制御することができる。
【0025】
上記のように、複数の離散粒子は、酸素ゲッターの酸化反応がボンドコートの厚さを通じて比較的ゆっくりと起こるような比較的大きなサイズ(すなわち、粗い粒子)を有する。しかしながら、離散粒子110のサイズが大きすぎる場合、および/または含有量が多すぎる場合、酸素ゲッターが液化する温度(例えば、ケイ素を含む場合は1414℃より上)での使用で離散粒子が連続相を形成する場合がある。(大きすぎる離散粒子が液化することによって形成された)多すぎる連続相は、コーティングの剥離につながる場合がある。
【0026】
例えば、複数の離散粒子の体積の50%以上(例えば、その体積の75%以上)が、10μm~100μmの平均サイズを有する粒子から形成される。一実施形態では、複数の離散粒子の体積の50%以上(例えば、その体積の75%以上)が、20μm~75μmの平均サイズを有する粒子から形成される。1つの特定の実施形態では、複数の離散粒子の体積の50%以上(例えば、その体積の75%以上)が、30μm~50μmの平均サイズを有する粒子から形成される。したがって、いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、これらの比較的大きな粒子の存在は、酸化反応を遅くして拡散反応域を生成し、膨張による応力を低減させ、亀裂を抑制すると考えられる。
【0027】
ボンドコート104の構成にかかわらず、離散粒子110は、酸素ゲッターの溶融時に、基材102の表面103と環境バリアコーティング108の内面107との間のマトリックス相112内に含まれる。すなわち、マトリックス相112は、ボンドコート104の厚さにわたって3次元網状組織を形成することができ、基材102の表面103および環境バリアコーティング108の内面107に接合される。したがって、マトリックス相112は、基材102の表面103から剥離することなく、ボンドコート104の完全性を保ちながら、基材102の表面103および環境バリアコーティング108と協働して溶融した離散粒子を内部に封じ込める。
【0028】
したがって、マトリックス相112は、ボンドコート104に構造的完全性を提供する量でボンドコート104内に含まれ、一方、離散粒子110は、酸素ゲッターがケイ素のとき、酸素ゲッターの十分な量を取り込みながら、ケイ素元素の融点(すなわち、約1414℃)より上の温度などの動作温度で溶融される。マトリックス相112はまた、酸化剤、すなわち酸素または水蒸気の、離散粒子110に到達する拡散を制限するように機能する。一実施形態では、マトリックス相は、ボンドコート104の少なくとも60体積%を画定してもよい(例えば、ボンドコート104の少なくとも60体積%がムライトを含んでもよい)。特定の実施形態では、ボンドコート104は、65体積%~96体積%のマトリックス相(例えば、ムライト)など、75%~95体積%のマトリックス相(例えば、ムライト)など、60体積%~98体積%のマトリックス相(例えば、ムライト)を含んでもよい。
【0029】
離散粒子110は、酸素ゲッターとして働いて酸素が下地基材102に到達するのを妨げるのに十分な量でボンドコート104に含まれる。1つの特定の実施形態では、離散粒子110は、金属ケイ素(すなわち、ケイ素元素)、ケイ素合金(例えば、ケイ素共晶合金)、ケイ化物、またはそれらの混合物から形成されてもよい。したがって、離散粒子110は、離散粒子110の組成に応じて、ボンドコート104が1400℃~約2550℃の温度に達すると溶融することができる。いくつかの実施形態では、マトリックス相112はムライトを含み、1825℃~1890℃の融点を有する。いくつかの状況下では、ボンドコート104の温度は、離散粒子110の融点より高いが、マトリックス相112の融点より低い場合があり、その結果、離散粒子110は溶融状態になる。例えば、離散粒子110は、1414℃(すなわち、ケイ素元素の融点)~1485℃の溶融温度を有してもよい。特定の実施形態では、離散粒子110は、1415℃、1450℃、1550℃、および/または1600℃のボンドコート温度で溶融状態になるケイ素材料から形成されてもよい。
【0030】
例えば、ボンドコート104は、特定の実施形態では、4体積%~35体積%の離散粒子110(例えば、5体積%~25体積%の離散粒子110)など、2体積%~40体積%の離散粒子110を含んでもよい。特定の実施形態では、例えば、離散粒子110は、7重量%~35重量%のケイ素元素(例えば、5体積%~25体積%のケイ素元素)など、5体積%~40体積%のケイ素元素を含んでもよい。ケイ素元素は1414℃の融点を有する。「ケイ素元素」は、本明細書で使用するとき、付随する不純物を除いて、いかなる合金材料も存在しないケイ素を指す。
【0031】
特定の実施形態では、1900℃以下(例えば、1400℃~1900℃)の融点を有するケイ化物もまた、離散粒子110であり得る。特定のケイ化物の融点は、Si相図を使用して容易に決定することができる。
【0032】
特定の実施形態では、離散粒子内の酸素ゲッターは、基材とムライトとの熱膨張係数の不一致を最小限にして(例えば、1℃当たり2~3ppm以下)マトリックスの亀裂を避けることができる。しかしながら、当業者であれば、より大きな膨張係数の不一致はゲッター相の体積分率を下げることによって適応することができることを知っている。別の特定の実施形態では、酸素ゲッターは、ムライト相内の応力およびその亀裂を減らすために、酸化時の体積増大を最小限(例えば、150%以下、100%以下が好ましい、酸化時に体積膨張するよりも体積減少する方がより好ましい)にすべきである。膨張係数の不一致および酸化時の体積変化に対する要件を満足する離散粒子については多くの実施形態が可能である。一実施形態では、酸素ゲッターはケイ素元素を含み、純ケイ素元素であってもよい。別の実施形態では、酸素ゲッターはケイ素合金および/またはケイ化物を含む。離散粒子がケイ素元素を含む実施形態では、ボンドコートは、「ムライト/Siボンドコート」と呼ぶことができる。ケイ素の酸化は、非晶質シリカを形成するときは115%~130%の体積膨張を引き起こし、結晶シリカを形成するときは85%の体積膨張を引き起こす。しかしながら、酸化生成物は、最初は常に非晶質で、それから時間とともに結晶になることがある。
【0033】
酸素ゲッターの他の実施形態は、限定するものではないが、ニッケル、コバルト、クロム、またはそれらの混合物を含むことができる。これらの酸素ゲッターはまた、ケイ素、ケイ素合金、および/またはケイ化物を有する特定の実施形態で使用することができる。例えば、ニッケルは、基材およびムライトとの膨張の不一致がより大きい(1℃当たりほとんど8ppm)。したがって、許容できるニッケルの最大体積分率は、不一致が1℃当たり1ppmより小さいケイ素よりも少ない。しかしながら、ニッケルは、ケイ素が非晶質ケイ素へ変換するに対して体積膨張が115%~130%であるのに比べると、酸化時の体積膨張は65%である。一方、クロムは、基材およびムライトとの膨張の不一致はニッケルよりも小さい。クロムはまた、その溶融温度(1907℃)が、ケイ素(1410℃)およびニッケル(1455℃)と比べて高い。
【0034】
マトリックス相112は、酸化物材料、特に酸素ゲッターの溶融温度よりも高い溶融温度を有する酸化物材料を含んでもよい。さらに、マトリックス相112は、高い動作温度においても、離散粒子110の酸素ゲッターと一般的には反応しない酸化物材料を含んでもよい。1つの特定の実施形態では、マトリックス相112は、酸素ゲッターの溶融温度よりも高い溶融温度を有する結晶化ムライトから形成される。特定の実施形態では、ムライトは、約1825℃~1890℃の溶融温度を有し、離散粒子110のケイ素材料(例えば、ケイ素元素)とは一般的には反応しない。
【0035】
一実施形態では、マトリックス相112は、10モル%までの過剰なアルミナを有するムライトを含んでもよい。例えば、マトリックス相112は、3対2~3.5対2の化学量論比、または2対1~2.25対1の化学量論比でアルミナとシリカから形成されたムライトを含んでもよい。別の実施形態では、マトリックス相112は過剰なシリカを含むムライトを含んでもよい。
【0036】
ムライトは一般に、対象となるすべての温度、最高1650℃でさえ(例えば、1200℃~1650℃)、酸素に対する拡散速度が比較的遅い。1200℃を超える温度において、ムライトよりも酸素拡散速度が低い唯一の他の結晶性酸化物はアルミナであると思われるが、アルミナは、基材に比べて膨張係数が非常に高く、剥離せずに密なコーティングとして堆積させることができない。ムライトは、SiCのCMC基材102と類似の熱膨張係数(「CTE:coefficient of thermal expansion」)を有するが、ムライトのCTEはSiCと正確には一致しない。ムライトとSiCのCTEのわずかな不一致は、ムライトボンドコート104が厚すぎる場合、亀裂および/または剥離などの熱膨張に関係する問題につながりかねない。例えば、20ミル(すなわち、508μm)の厚さを有するボンドコート104は、動作温度に繰り返し曝された後にCTEの不一致に関係する問題をもたらすと思われる。一方、1ミル~15ミルなど、15ミル以下(すなわち、25.4μm~381μmなど、381μm以下)の最大厚さを有するボンドコート104は、CTEの不一致からの大きな問題を生じないでこのような動作温度を生き残ると思われる。1つの特定の実施形態では、ボンドコート104は、3ミル~10ミルなど、10ミル(すなわち、76.2μm~254μmなど、127μm)の最大厚さを有する。
【0037】
1つの特定の実施形態では、基材102は、セラミックマトリックス複合材(「CMC」)材料から形成される。セラミックマトリックス複合材または「CMC」は、本明細書で使用するとき、セラミックマトリックス相に囲まれた強化材料(例えば、強化繊維)を含む材料の種類を指す。一般に、強化繊維は、セラミックマトリックスに構造的完全性を提供する。CMCのマトリックス材料のいくつかの例としては、限定するものではないが、非酸化物ケイ素系材料(例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素、またはそれらの混合物)、酸化物セラミックス(例えば、オキシ炭化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、アルミノケイ酸塩、またはそれらの混合物)、またはそれらの混合物を挙げることができる。任意選択で、セラミック粒子(例えば、Si、Al、Zr、Yの酸化物、およびそれらを組み合わせたもの)および無機フィラー(例えば、パイロフィライト、ウォラストナイト、マイカ、タルク、カイヤナイト、およびモンモリロナイト)もCMCマトリックスの中に含まれてもよい。
【0038】
CMCの強化繊維のいくつかの例としては、限定するものではないが、非酸化物ケイ素系材料(例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素、またはそれらの混合物)、非酸化物炭素系材料(例えば、炭素)、酸化物セラミックス(例えば、オキシ炭化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、ムライトなどのアルミノケイ酸塩、またはそれらの混合物)、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0039】
一般に、特定のCMCは、繊維の種類/マトリックスの種類の組み合わせで呼ぶことができる。例えば、炭素繊維強化炭化ケイ素はC/SiC、炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素はSiC/SiC、炭化ケイ素繊維強化窒化ケイ素はSiC/SiN、炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素/窒化ケイ素マトリックス混合物はSiC/SiC-SiN等である。他の例では、CMCは、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、アルミノケイ酸塩、およびそれらの混合物などの酸化物系材料を含むマトリックスと強化繊維とを含むことができる。アルミノケイ酸塩は、ムライト(3Al2O3 2SiO2)などの結晶性材料、およびガラス状アルミノケイ酸塩を含むことができる。
【0040】
特定の実施形態では、強化繊維は、マトリックス内に含まれる前に束ねられ、かつ/またはコーティングされてもよい。例えば、繊維の束は、一方向強化テープなどの強化テープとして形成されてもよい。複数のテープは、プリフォーム構成部品を形成するために一緒にレイアップされてもよい。繊維の束は、プリフォームを形成する前に、またはプリフォームの形成後に、スラリー組成物で含浸されてもよい。次いで、プリフォームは、プリフォームに多くの炭化残留物をもたらすための硬化またはバーンアウトなどの熱処理、およびその後のケイ素での溶融含侵などの化学処理を受けて、所望の化学組成を有するCMC材料から形成された構成部品に到達することができる。
【0041】
このような材料は、特定のモノリシックセラミック(すなわち、強化材料なしのセラミック材料)とともに、高温用途に特に適する。さらに、これらのセラミック材料は、超合金に比べて軽量でありながら、それから作られた構成部品に強度と耐久性を与える。したがって、このような材料は、現在、これらの材料が提供することができる軽量およびより高温での能力の恩恵を受けるであろうガスタービンエンジンのより高温部に使用されている多くのガスタービン構成部品用に、例えば、エーロフォイル(例えば、タービン、およびベーン)、燃焼器、シュラウド、および他の同様の構成部品用に考えられている。
【0042】
上記のように、ボンドコート104は、(マトリックス相のない)ケイ素ボンドコートのみを使用する場合と比べて高い動作温度で、EBC108とともに使用されて、コーティングされた構成部品100を形成することができる。EBC108は、典型的なEBCまたは熱遮蔽コーティング(「TBC」)層の化学物質から選択された材料から形成された1つまた複数の層を任意に組み合わせたものを含むことができる。これらの化学物質としては、限定するものではないが、希土類ケイ酸塩(例えば、一ケイ酸塩および二ケイ酸塩)、アルミノケイ酸塩(例えば、ムライト、バリウムストロンチウムアルミノケイ酸塩(BSAS)、希土類アルミノケイ酸塩など)、ハフニア、ジルコニア、安定化ハフニア、安定化ジルコニア、希土類ハフニウム酸塩、希土類ジルコニウム酸塩、希土類酸化ガリウムなどが挙げられる。EBCは、ハフニア層、アルミナ層、または両方を含んでもよい。これに代えて、またはこれに加えて、EBCは、希土類二ケイ酸塩層、希土類一ケイ酸塩層、または両方を含んでもよい。
【0043】
環境バリアコーティングまたは「EBC」は、本明細書で使用するとき、セラミック材料の1つまたは複数の層を備えるコーティングシステムを指し、各層は下にあるCMCに対して特定の、または多機能の保護を提供する。EBCは一般に、複数の層、例えば、希土類ケイ酸塩コーティング(例えば、スラリーまたはAPS堆積イットリウムイッテルビウム二ケイ酸塩(YbYDS)などの希土類二ケイ酸塩)、アルカリ土類アルミノケイ酸塩(例えば、BaO、SrO、Al2O3、および/またはSiO2組成の範囲を有するなど、バリウム-ストロンチウム-アルミニウムケイ酸塩(BSAS)を含む)、気密層(例えば、希土類二ケイ酸塩)、および/または外側コーティング(例えば、スラリーまたはAPS堆積イットリウム一ケイ酸塩(YMS)などの希土類一ケイ酸塩を含む)を含む。1つまたは複数の層は所望によりドープされてもよく、EBCはまた、アブレイダブルコーティングで被覆されてもよい。
【0044】
EBC108は、図1に示すように、複数の個々の層114から形成されてもよい。図示の実施形態では、EBC108は、離散粒子110を溶融時にボンドコート104内に収容するように、ボンドコート104上に直接配置された気密層116を含む。1つの実施形態では、この気密層は、2ミルまでの厚さ、好ましくは0.1ミル~1ミルの厚さ(例えば、0.1ミル~0.5ミルの厚さ)のムライトの層である。離散粒子110は酸素と反応して酸化ケイ素を形成するので、構成部品100が動作温度で酸素に曝されるとき、最小限のガス状酸化物(例えば、酸化炭素)しか生成されない。したがって、ボンドコート104を通ってガスを逃がす層の必要がなく、気密層はEBC108内に含まれてもよい。水蒸気がボンドコートに入らないよう気密層を有することがいっそう望ましい。1つの実施形態では、気密層116は、ボンドコート104に直接配置されてもよいが、EBC108内のどこか別なところに配置されてもよい。
【0045】
コーティングされた構成部品100は、ガスタービンエンジン内にある構成部品、例えば、燃焼器構成部品、タービンブレード、シュラウド、ノズル、ヒートシールド、およびベーンなどの高温環境にある構成部品として使用するために特に適している。特に、コーティングされた構成部品100は、ガスタービンの高温ガス流路内に配置されたCMC構成部品とすることができ、その結果、高温ガス流路に曝されているとき、コーティングシステム106が下地基材102に対して環境バリアを形成して、ガスタービン内の構成部品100を保護する。特定の実施形態では、ボンドコート104は、コーティングされた構成部品100が1475℃~1650℃の動作温度に曝されるように構成される。
【0046】
図3は、本開示の例示的な実施形態によるガスタービンエンジンの概略断面図である。より詳細には、図3の実施形態では、ガスタービンエンジンは、本明細書では「ターボファンエンジン10」と呼ぶ高バイパスターボファンジェットエンジン10である。図3に示すように、ターボファンエンジン10は、軸方向A(参考のために示した長手方向軸線12に平行に延在する)、および半径方向Rを定める。一般に、ターボファンエンジン10は、ファンセクション14、およびファンセクション14の下流に配置されたコアタービンエンジン16を含む。ターボファンエンジン10を参照して下記で説明するが、本開示は、産業用および舶用ガスタービンエンジン、ならびに補助動力装置を含むターボジェット、ターボプロップ、およびターボシャフトガスタービンエンジンを含むターボ機械全般に適用可能である。例えば、炭化水素燃料の燃焼から生じるガス相の水蒸気を含む他の高温用途にも適用可能である。
【0047】
図示の例示的なコアタービンエンジン16は一般に、環状入口20を画定する実質的に管状の外側ケーシング18を含む。外側ケーシング18内には、直列流れ関係で、ブースタまたは低圧(LP:low pressure)圧縮機22および高圧(HP:high pressure)圧縮機24を含む圧縮機セクション、燃焼セクション26、高圧(HP)タービン28および低圧(LP)タービン30を含むタービンセクション、ならびにジェット排気ノズルセクション32が収まっている。高圧(HP)シャフトまたはスプール34は、HPタービン28をHP圧縮機24に駆動接続する。低圧(LP)シャフトまたはスプール36は、LPタービン30をLP圧縮機22に駆動接続する。
【0048】
図示の実施形態では、ファンセクション14は可変ピッチファン38を含み、可変ピッチファン38は、間隔を置くようにディスク42に結合された複数のファンブレード40を有する。図示のように、ファンブレード40は、半径方向Rに概ね沿ってディスク42から外向きに延在する。ファンブレード40が、ファンブレード40のピッチを同時にまとめて変えるように構成された適切な作動部材44に動作可能に結合されることによって、各ファンブレード40はディスク42に対してピッチ軸線Pの周りを回転することができる。ファンブレード40、ディスク42、および作動部材44は、任意選択の動力歯車装置46を通るLPシャフト36によって、長手方向軸線12の周りを一緒に回転することができる。動力歯車装置46は、LPシャフト36の回転速度をより効率的なファン回転速度に落とすために複数の歯車を含む。
【0049】
図3の例示的な実施形態をさらに参照すると、ディスク42は、空気流が複数のファンブレード40を通りやすくなるような空気力学的な形状にされた回転可能な前面ナセル48によって覆われる。さらに、例示的なファンセクション14は、ファン38および/またはコアタービンエンジン16の少なくとも一部分を周方向に取り囲む環状のファンケーシングまたは外側ナセル50を含む。ナセル50は、周方向に離間した複数の出口案内翼52によって、コアタービンエンジン16に対して支持されるように構成することができることを認識すべきである。さらに、ナセル50の下流セクション54は、コアタービンエンジン16の外側部分を覆って延在して、それらの間にバイパス空気流通路56を画定することができる。
【0050】
ターボファンエンジン10の作動中、ある量の空気58が、ナセル50および/またはファンセクション14の関連する入口60を通ってターボファンエンジン10に入る。その量の空気58がファンブレード40を通りすぎると、矢印62で示した空気58の第1の部分は、バイパス空気流通路56内に向けられ、または送られ、矢印64で示した空気58の第2の部分は、LP圧縮機22内に向けられ、または送られる。空気の第1の部分62と空気の第2の部分64との比は一般にバイパス比として知られている。次いで、空気の第2の部分64の圧力は、高圧(HP)圧縮機24を通って燃焼セクション26内に送られると上昇し、そこで燃料と混合されて燃焼して燃焼ガス66を供給する。
【0051】
燃焼ガス66はHPタービン28を通るように送られ、そこで、燃焼ガス66からの熱エネルギーおよび/または運動エネルギーの一部分が、外側ケーシング18に結合されたHPタービンステータベーン68と、HPシャフトまたはスプール34に結合されたHPタービンロータブレード70との連続した段によって取り出され、したがって、HPシャフトまたはスプール34を回転させ、それによって、HP圧縮機24の作動が維持される。次いで、燃焼ガス66はLPタービン30を通るように送られ、そこで、燃焼ガス66から、熱エネルギーおよび運動エネルギーの第2の部分が、外側ケーシング18に結合されたLPタービンステータベーン72と、LPシャフトまたはスプール36に結合されたLPタービンロータブレード74との連続した段によって取り出され、したがって、LPシャフトまたはスプール36を回転させ、それによって、LP圧縮機22の作動および/またはファン38の回転が維持される。
【0052】
続いて、燃焼ガス66は、コアタービンエンジン16のジェット排気ノズルセクション32を通るように送られて推進力を与える。同時に、空気の第1の部分62がバイパス空気流通路56を通るように送られると、空気の第1の部分62の圧力が実質的に上昇し、それから、ターボファンエンジン10のファンノズル排気セクション76から排出されてこれもまた推進力を与える。HPタービン28、LPタービン30、およびジェット排気ノズルセクション32は、コアタービンエンジン16を通るように燃焼ガス66を送るための高温ガス通路78を少なくとも部分的に画定する。
【0053】
セラミック構成部品をコーティングするための方法もまた、全体的に提供される。例えば、図4は、基材の表面にコーティングシステムを形成する例示的な方法400の図である。402において、ボンドコートは、ボンドコート104に関して上記したように、マトリックス相内に入れられた離散粒子を含むように基材の表面に形成される。1つの実施形態では、ボンドコートは空気プラズマ溶射によって形成される。別の実施形態では、ボンドコートは、所望の化学的性質の懸濁液を空気プラズマ溶射に対して使用するサスペンションプラズマ溶射によって形成される。さらに別の実施形態では、コーティングは低圧プラズマ溶射によって形成される。さらに別の実施形態では、コーティングされる層の1つまたは複数は、スラリー式コーティングプロセスに続いて層を焼結することによって形成されてもよい。これらのプロセスの1つまたは複数によって異なるコーティング層が形成されてもよい。
【0054】
404において、環境バリアコーティング(EBC)がボンドコート上に形成される。上記のように、離散粒子は、溶融されると、基材の表面と環境バリアコーティングの内面との間のマトリックス相内に収容される。
【0055】
(実施例)
例示的なボンドコート材料は、連続ムライト相内に分散された比較的粗い粒子を用いて調合され、比較ボンドコート材料は、連続ムライト相内に分散された比較的細かい粒子を用いて調合された。
【0056】
例示的なボンドコート材料は、ムライトおよび20μmの平均サイズを有するケイ素元素粒子を用いて形成された。その結果得られた例示的なボンドコート材料では、ケイ素元素粒子は、例示的なボンドコート材料の約10体積%を形成した。例示的なボンドコート材料は、ムライトとケイ素の粉末混合物を放電プラズマ焼結(SPS)した後、ペレットに熱間プレスすることによって形成された。このボンドコート材料は、コーティングでないにもかかわらず、例示的なボンドコート材料として機能した。
【0057】
比較ボンドコート材料は、ムライトおよび1~2μmの平均サイズを有するケイ素元素粒子を用いて、例示的なボンドコート材料と同じ方法で形成された。その結果得られた比較ボンドコート材料では、ケイ素元素粒子は、比較ボンドコート材料の約10体積%を形成した。
【0058】
次いで、例示的なボンドコート材料および比較ボンドコート材料は、90体積%の水と10体積%の酸素を含む雰囲気中で500時間、2400°F(1315℃)に加熱することによって酸化速度に対して試験した。
【0059】
図5は、酸化試験後の例示的なボンドコート150を示し、図6は、酸化試験後の比較ボンドコート160を示す。明確に示されているように、図5の例示的なコーティングは、ボンドコート150の厚さの約20μm浸透した拡散酸化前面部152を有し、粗い離散粒子154は拡散酸化前面部152の下のボンドコート内のマトリックス156に残存している。逆に、図6の比較コーティングは、ボンドコート160の厚さの約250μm浸透した鋭い酸化前面部162を有し、細かい離散粒子164は、鋭い酸化先端部162の下のボンドコート160内のマトリックス166に残存している。
【0060】
これらの結果は、図5の例示的なボンドコート150(より大きなSi離散粒子154を有する)が、図6の比較ボンドコート160(より小さなSi離散粒子164を有する)よりも酸素拡散速度が遅いことを明らかに示している。
【0061】
例示的なボンドコート150において粗い離散粒子と細かい離散粒子とが見かけ上混合しているのは、例示的なボンドコート150を作るために使用されたプレス方法の結果であると考えられることに留意されたい。スラリーまたは他の堆積技術によってボンドコートに形成される場合、得られるボンドコートは、小さな粒子が(もしあれば)はるかに少なく、その結果、粗い粒子が離散相の大部分(例えば、その体積の75%以上など、その体積の50%以上が粗い粒子から形成される)であると考えられる。
【0062】
本発明のさらなる態様は、以下の項の主題によって提供される。
【0063】
[項1]炭化ケイ素を含み、表面を有するセラミックマトリックス複合材基材と、前記基材の前記表面上のボンドコートであって、前記ボンドコートが、マトリックス相内に分散された複数の離散粒子を含み、前記マトリックス相がムライトを含み、前記ボンドコートの60体積%~98体積%を画定し、前記複数の離散粒子が酸素ゲッターを含み、その体積の50%以上が、10μm~100μmの平均サイズを有する粒子から形成された、ボンドコートと、前記ボンドコート上の環境バリアコーティングとを備えるコーティングされた構成部品。
【0064】
[項2]前記複数の離散粒子の体積の50%以上が、20μm~75μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0065】
[項3]前記複数の離散粒子の体積の50%以上が、30μm~50μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0066】
[項4]前記複数の離散粒子の体積の75%以上が、10μm~100μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0067】
[項5]前記複数の離散粒子の体積の75%以上が、20μm~75μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0068】
[項6]前記複数の離散粒子の体積の75%以上が、30μm~50μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0069】
[項7]前記複数の離散粒子の体積の75%以上が、10μm~60μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0070】
[項8]前記酸素ゲッターがケイ素元素、ケイ素合金、ケイ化物、またはそれらの混合物を含む、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0071】
[項9]前記酸素ゲッターがケイ素元素を含む、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0072】
[項10]前記酸素ゲッターが、ケイ素元素、ケイ素合金、ケイ化物、またはそれらの混合物からなる群から選択された、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0073】
[項11]前記酸素ゲッターがケイ素元素からなる、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0074】
[項12]前記マトリックス相が連続相であり、前記マトリックス相が、前記ボンドコートにわたっており、前記基材の前記表面および前記環境バリアコーティングの内面に直接接合された、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0075】
[項13]前記マトリックス相が前記ボンドコートの65体積%~96体積%を画定する、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0076】
[項14]前記マトリックス相が前記ボンドコートの75体積%~95体積%を画定する、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0077】
[項15]前記マトリックス相がムライトを含む、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0078】
[項16]前記マトリックス相が実質的にムライトからなる、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0079】
[項17]前記環境バリアコーティングが複数の層を含み、前記環境バリアコーティングの前記層のうちの少なくとも1つが気密層を含む、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0080】
[項18]前記気密層が前記環境バリアコーティングの内面を画定するように、前記気密層が前記ボンドコートに隣り合う、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0081】
[項19]前記環境バリアコーティングが、ハフニア層、アルミナ層、または両方を含む、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0082】
[項20]前記環境バリアコーティングが、希土類二ケイ酸塩層、希土類一ケイ酸塩層、または両方を含む、任意の前項におけるようなコーティングされた構成部品。
【0083】
[項21]炭化ケイ素を含み、表面を有するセラミックマトリックス複合材基材と、前記基材の前記表面上のボンドコートであって、前記ボンドコートが、ムライト相内に分散された複数の離散粒子を含み、前記ムライト相が、前記ボンドコートの60体積%~98体積%を画定し、前記複数の離散粒子が酸素ゲッターを含み、その体積の50%以上が、10μm~100μmの平均サイズを有する粒子から形成された、ボンドコートと、前記ボンドコート上の環境バリアコーティングとを備えるコーティングされた構成部品。
【0084】
[項22]炭化ケイ素を含み、表面を有するセラミックマトリックス複合材基材と、前記基材の前記表面上のボンドコートであって、前記ボンドコートが、ムライト内に分散された複数の離散粒子を含み、前記ムライト相が、前記ボンドコートの60体積%~98体積%を画定し、前記複数の離散粒子がケイ素元素を含み、その体積の50%以上が、10μm~100μmの平均サイズを有する粒子から形成された、ボンドコートと、前記ボンドコート上の環境バリアコーティングとを備えるコーティングされた構成部品。
【0085】
[項23]任意の前項のコーティングされた構成部品を形成する方法。
【0086】
[項24]前記基材の前記表面に、マトリックス材料と複数の離散粒子との混合物から前記ボンドコートを形成するステップと、前記ボンドコート上に前記環境バリアコーティングを形成するステップとを含む任意の前項の方法。
【0087】
[項25]基材の表面に、マトリックス材料と複数の離散粒子との混合物からボンドコートを形成するステップであって、前記マトリックス材料がムライトを含み、前記複数の離散粒子が酸素ゲッターを含み、その体積の50%以上が、10μm~100μm平均サイズを有する、ステップと、前記ボンドコート上に前記環境バリアコーティングを形成するステップとを含む、コーティングされた構成部品を形成する方法。
【0088】
[項26]前記環境バリアコーティングが複数の層を含み、前記環境バリアコーティングの前記層のうちの少なくとも1つが気密層を含む、任意の前項の方法。
【0089】
[項27]前記気密層が前記環境バリアコーティングの内面を画定するように、前記気密層が前記ボンドコートに隣り合う、任意の前項の方法。
【0090】
[項28]前記複数の離散粒子の体積の50%以上が、20μm~75μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項におけるような方法。
【0091】
[項29]前記複数の離散粒子の体積の50%以上が、30μm~50μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項におけるような方法。
【0092】
[項30]前記複数の離散粒子の体積の75%以上が、10μm~100μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項におけるような方法。
【0093】
[項31]前記複数の離散粒子の体積の75%以上が、20μm~75μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項におけるような方法。
【0094】
[項32]前記複数の離散粒子の体積の75%以上が、30μm~50μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項におけるような方法。
【0095】
[項33]前記複数の離散粒子の体積の75%以上が、10μm~60μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項におけるような方法。
【0096】
[項34]前記酸素ゲッターがケイ素元素、ケイ素合金、ケイ化物、またはそれらの混合物を含む、任意の前項におけるような方法。
【0097】
[項35]前記酸素ゲッターがケイ素元素を含む、任意の前項におけるような方法。
【0098】
[項36]前記マトリックス相が連続相であり、前記マトリックス相が、前記ボンドコートにわたっており、前記基材の前記表面および前記環境バリアコーティングの内面に直接接合された、任意の前項におけるような方法。
【0099】
[項37]前記マトリックス相が前記ボンドコートの65体積%~96体積%を画定する、任意の前項におけるような方法。
【0100】
[項38]前記マトリックス相が前記ボンドコートの75体積%~95体積%を画定する、任意の前項におけるような方法。
【0101】
[項39]前記マトリックス相がムライトを含む、任意の前項におけるような方法。
【0102】
[項40]前記マトリックス相が実質的にムライトからなる、任意の前項におけるような方法。
【0103】
[項41]前記環境バリアコーティングが、ハフニア層、アルミナ層、または両方を含む、任意の前項におけるような方法。
【0104】
[項42]前記環境バリアコーティングが、希土類二ケイ酸塩層、希土類一ケイ酸塩層、または両方を含む、任意の前項におけるような方法。
【0105】
本明細書では、最良の態様を含む例を用いて本発明を開示し、また、任意の装置またはシステムの作製および使用、ならびに任意の組み入れられた方法の実行を含め、当業者が本発明を実践できるようにしている。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が想到する他の例を含むことができる。このような他の例は、特許請求の範囲の文言と相違ない構造的要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的に相違ない等価の構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内であることを意図されている。
【0106】
本発明のさらなる態様は以下の項の主題によって提示される。
【0107】
[項1]炭化ケイ素を含み、表面(103)を有するセラミックマトリックス複合材基材(102)と、前記基材(102)の前記表面(103)上のボンドコート(104)であって、前記ボンドコート(104)が、マトリックス相(112)内に分散された複数の離散粒子(110)を含み、前記マトリックス相(112)がムライトを含み、前記ボンドコート(104)の60体積%~98体積%を画定し、前記複数の離散粒子(110)が酸素ゲッターを含み、その体積の50%以上が、10μm~100μmの平均サイズを有する粒子から形成された、ボンドコート(104)と、前記ボンドコート(104)上の環境バリアコーティング(108)と、を備えるコーティングされた構成部品(100)。
【0108】
[項2]前記複数の離散粒子(110)の体積の50%以上が、20μm~75μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【0109】
[項3]前記複数の離散粒子(110)の体積の50%以上が、30μm~50μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【0110】
[項4]前記複数の離散粒子(110)の体積の75%以上が、10μm~100μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【0111】
[項5]前記複数の離散粒子(110)の体積の75%以上が、20μm~75μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【0112】
[項6]前記複数の離散粒子(110)の体積の75%以上が、30μm~50μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【0113】
[項7]前記複数の離散粒子(110)の体積の75%以上が、10μm~60μmの平均サイズを有する粒子から形成された、任意の前項に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【0114】
[項8]前記酸素ゲッターがケイ素元素、ケイ素合金、ケイ化物、またはそれらの混合物を含む、任意の前項に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【0115】
[項9]前記マトリックス相(112)が連続相であり、前記マトリックス相(112)が、前記ボンドコート(104)にわたっており、前記基材(102)の前記表面(103)および前記環境バリアコーティング(108)の内面に直接接合された、任意の前項に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【0116】
[項10]前記マトリックス相(112)が前記ボンドコート(104)の65体積%~96体積%を画定する、任意の前項に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【0117】
[項11]前記マトリックス相(112)が前記ボンドコート(104)の75体積%~95体積%を画定する、任意の前項に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【0118】
[項12]前記マトリックス相(112)がムライトを含み、前記環境バリアコーティング(108)が複数の層を含み、前記環境バリアコーティング(108)の前記層のうちの少なくとも1つが気密層を含む、任意の前項に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【0119】
[項13]前記気密層が前記環境バリアコーティング(108)の内面を画定するように、前記気密層が前記ボンドコート(104)に隣り合う、任意の前項に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【0120】
[項14]前記ボンドコート(104)が、1475℃~1650℃の動作温度に曝されることに耐えるように構成された、任意の前項に記載のコーティングされた構成部品(100)。
【0121】
[項15]基材(102)の表面(103)に、マトリックス材料と複数の離散粒子(110)との混合物からボンドコート(104)を形成するステップであって、前記マトリックス材料がムライトを含み、前記複数の離散粒子(110)が酸素ゲッターを含み、その体積の50%以上が、10μm~60μm平均サイズを有する、ステップと、前記ボンドコート(104)上に環境バリアコーティング(108)を形成し、その結果、前記複数の離散粒子(110)が、溶融されると、前記基材(102)の前記表面(103)と前記環境バリアコーティング(108)の内面との間のマトリックス相(112)内に収容されるステップと、を含む、コーティングされた構成部品(100)を形成する方法。
【符号の説明】
【0122】
10 ターボファンエンジン
12 長手方向軸線
14 ファンセクション
16 コアタービンエンジン
18 外側ケーシング
20 環状入口
22 低圧(LP)圧縮機
24 高圧(HP)圧縮機
26 燃焼セクション
28 高圧(HP)タービン
30 低圧(LP)タービン
32 ジェット排気ノズルセクション
34 高圧(HP)スプール
36 低圧(LP)スプール
38 ファン
40 ファンブレード
42 ディスク
44 作動部材
46 動力歯車装置
48 前面ナセル
50 ナセル
52 出口案内翼
54 下流セクション
56 バイパス空気流通路
58 空気
60 入口
62 空気の第1の部分
64 空気の第2の部分
66 燃焼ガス
68 HPタービンステータベーン
70 HPタービンロータブレード
72 LPタービンステータベーン
74 LPタービンロータブレード
76 ファンノズル排気セクション
78 高温ガス通路
100 コーティングされた構成部品
102 基材
103 基材の表面
104 ボンドコート
106 コーティングシステム
107 環境バリアコーティングの内面
108 環境バリアコーティング
110 離散粒子
112 マトリックス相
114 層
116 気密層
150 ボンドコート
152 拡散酸化前面部
154 離散粒子
156 マトリックス
160 ボンドコート
162 鋭い酸化前面部
164 離散粒子
166 マトリックス
400 方法
506 外層
A 軸方向
P ピッチ軸線
R 半径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6