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  • 特許-請求方法、情報処理装置及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】請求方法、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/04 20120101AFI20240722BHJP
   G06Q 50/50 20240101ALI20240722BHJP
   G06Q 20/14 20120101ALI20240722BHJP
【FI】
G06Q30/04
G06Q50/50
G06Q20/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023102563
(22)【出願日】2023-06-22
【審査請求日】2023-10-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】岩本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】三浦 智幹
(72)【発明者】
【氏名】古閑 裕朗
(72)【発明者】
【氏名】藤原 光る
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-84870(JP,A)
【文献】特開2005-85099(JP,A)
【文献】特開2006-279313(JP,A)
【文献】”【10社比較】ポケットWiFiの法人契約おすすめ4選!絶対失敗しない選び方を6ステップで解説”,[onlne],株式会社ハイホー(デジセレクト),2023年04月11日,インターネット:<URL:https://web.archive.org/web/20230604145215/https://hi-ho.jp/media/digital/pocketwifi-biz/>,[検索日:2024.06.11]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を提供する通信事業者が、前記通信回線を利用させる対象端末を出荷する出荷事業者から、出荷した前記対象端末を識別するための対象端末識別情報を含む端末リストを取得するステップと、
前記通信事業者が、端末を利用する利用者から、利用する前記端末である利用端末を識別するための利用端末識別情報を取得するステップと、
前記通信事業者が、前記端末リストにおいて取得した前記利用端末識別情報と一致する前記対象端末識別情報が含まれる場合に、前記通信事業者が管理する情報処理装置において前記利用端末に対して前記通信回線の利用を許可するステップと、
前記通信事業者が利用するコンピュータが、前記端末リストに含まれる前記対象端末の台数に基づいて、前記出荷事業者に請求する請求費用を決定するステップと、
前記通信事業者が、決定した前記請求費用を前記通信回線の通信費として前記出荷事業者に請求するステップと、
を有する請求方法。
【請求項2】
前記通信費は、前記端末リストに含まれる前記利用端末を利用する前記利用者に対して請求されることの無い通信費である、
請求項1に記載の請求方法。
【請求項3】
前記請求費用を決定するステップにおいて、前記端末リストに含まれる前記対象端末の台数と、予め定められた係数とを乗算することにより、前記請求費用を決定する、
請求項1に記載の請求方法。
【請求項4】
前記請求費用を決定するステップにおいて、前記端末リストに含まれる前記対象端末の台数に対する前記通信回線の利用が許可された前記利用端末の台数の割り合いを示す回線許可率と、予め定められた係数とを乗算することにより、前記請求費用を決定する、
請求項1に記載の請求方法。
【請求項5】
前記通信事業者が、前記利用者の要求に応じて、前記利用端末において前記通信回線を利用するためのアプリケーションプログラムを利用可能とするステップをさらに有し、
前記請求費用を決定するステップにおいて、前記端末リストに含まれる前記対象端末の台数に対する前記アプリケーションプログラムを利用した前記利用端末の台数の割り合いを示す利用率と、予め定められた係数とを乗算することにより、前記請求費用を決定する、
請求項1に記載の請求方法。
【請求項6】
通信回線を提供する通信事業者が、前記通信回線を利用させる対象端末を出荷する出荷事業者から、出荷した前記対象端末を識別するための対象端末識別情報を含む端末リストを取得するステップと、
前記通信事業者が、端末を利用する利用者から、利用する前記端末である利用端末を識別するための利用端末識別情報を取得するステップと、
前記通信事業者が、前記端末リストにおいて取得した前記利用端末識別情報と一致する前記対象端末識別情報が含まれる場合に、前記通信事業者が管理する情報処理装置において前記利用端末に対して前記通信回線の利用を許可するステップと、
前記通信事業者が利用するコンピュータが、前記端末リストに含まれる前記対象端末における前記通信回線のデータ通信量の統計値と、予め定められた係数とを乗算することにより、前記出荷事業者に請求する請求費用を決定するステップと
前記通信事業者が、決定した前記請求費用を前記通信回線の通信費として前記出荷事業者に請求するステップと、
を有する請求方法。
【請求項7】
前記通信事業者が、前記対象端末における前記通信回線の利用度合いが高いほど、前記係数を大きく決定し、前記対象端末における前記通信回線の利用度合いが低いほど、前記係数を小さく決定するステップをさらに有する、
請求項4から6のいずれか一項に記載の請求方法。
【請求項8】
前記対象端末は、前記通信回線の利用に伴って発生する所定の期間における通信費が販売価格に含まれるセルラーモデルの端末である、
請求項1に記載の請求方法。
【請求項9】
通信回線を利用させる対象端末を出荷する出荷事業者から、出荷した前記対象端末を識別するための対象端末識別情報を含む端末リストを取得する事業者取得部と、
端末を利用する利用者から、利用する前記端末である利用端末を識別するための利用端末識別情報を取得する利用者取得部と、
前記端末リストにおいて取得した前記利用端末識別情報と一致する前記対象端末識別情報が含まれる場合に、前記利用端末に対して前記通信回線の利用を許可する利用処理部と、
前記端末リストに含まれる前記対象端末の台数に基づいて、前記出荷事業者に請求する請求費用を決定する決定部と、
前記決定部が決定した前記請求費用を前記通信回線の通信費として前記出荷事業者に請求する請求部と、
を有する情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータを、
通信回線を利用させる対象端末を出荷する出荷事業者から、出荷した前記対象端末を識別するための対象端末識別情報を含む端末リストを取得する事業者取得部、
端末を利用する利用者から、利用する前記端末である利用端末を識別するための利用端末識別情報を取得する利用者取得部、
前記端末リストにおいて取得した前記利用端末識別情報と一致する前記対象端末識別情報が含まれる場合に、前記利用端末に対して前記通信回線の利用を許可する利用処理部、
前記端末リストに含まれる前記対象端末の台数に基づいて、前記出荷事業者に請求する請求費用を決定する決定部、及び
前記決定部が決定した前記請求費用を前記通信回線の通信費として前記出荷事業者に請求する請求部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求方法、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な端末が販売されている。特許文献1には、顧客と業者との間における商取引を管理するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-133348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顧客が購入した端末がモバイルデータ通信を利用可能な端末、すなわちセルラーモデルの端末である場合、顧客は、購入した端末でモバイルデータ通信を利用するために、通信事業者が提供する通信サービスの利用を契約する必要がある。この場合、通信サービスの利用に伴って発生する通信費を支払わなければならず、通信サービスの利用を契約した顧客にとって手間であった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、顧客が通信費を支払う手間を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様にかかる請求方法は、通信回線を提供する通信事業者が、前記通信回線を利用させる対象端末を出荷する出荷事業者から、出荷した前記対象端末を識別するための対象端末識別情報を含む端末リストを取得するステップと、前記通信事業者が、端末を利用する利用者から、利用する前記端末である利用端末を識別するための利用端末識別情報を取得するステップと、前記通信事業者が、前記端末リストにおいて取得した前記利用端末識別情報と一致する前記対象端末識別情報が含まれる場合に、前記通信事業者が管理する情報処理装置において前記利用端末に対して前記通信回線の利用を許可するステップと、前記通信事業者が、前記端末リストに含まれる前記対象端末の台数に基づいて、前記出荷事業者に請求する請求費用を算出するステップと、前記通信事業者が、算出した前記請求費用を前記通信回線の通信費として前記出荷事業者に請求するステップと、を有する。
【0007】
前記通信費は、前記端末リストに含まれる前記利用端末を利用する前記利用者に対して請求されることの無い通信費であってもよい。
前記請求費用を算出するステップにおいて、前記端末リストに含まれる前記対象端末の台数と、予め定められた係数とを乗算することにより、前記請求費用を算出してもよい。
【0008】
前記請求費用を算出するステップにおいて、前記端末リストに含まれる前記対象端末の台数に対する前記通信回線の利用が許可された前記利用端末の台数の割り合いを示す回線許可率と、予め定められた係数とを乗算することにより、前記請求費用を算出してもよい。
【0009】
前記通信事業者が、前記利用者の要求に応じて、前記利用端末において前記通信回線を利用するためのアプリケーションプログラムを利用可能とするステップをさらに有してもよいし、前記請求費用を算出するステップにおいて、前記端末リストに含まれる前記対象端末の台数に対する前記アプリケーションプログラムを利用した前記利用端末の台数の割り合いを示す利用率と、予め定められた係数とを乗算することにより、前記請求費用を算出してもよい。
【0010】
前記請求費用を算出するステップにおいて、前記端末リストに含まれる前記対象端末における前記通信回線のデータ通信量の統計値と、予め定められた係数とを乗算することにより、前記請求費用を算出してもよい。
【0011】
前記通信事業者が、前記対象端末における前記通信回線の利用度合いが高いほど、前記係数を大きく決定し、前記対象端末における前記通信回線の利用度合いが低いほど、前記係数を小さく決定するステップをさらに有してもよい。
前記対象端末は、前記通信回線の利用に伴って発生する所定の期間における通信費が販売価格に含まれるセルラーモデルの端末であってもよい。
【0012】
本発明の第2の態様にかかる情報処理装置は、通信回線を利用させる対象端末を出荷する出荷事業者から、出荷した前記対象端末を識別するための対象端末識別情報を含む端末リストを取得する事業者取得部と、端末を利用する利用者から、利用する前記端末である利用端末を識別するための利用端末識別情報を取得する利用者取得部と、前記端末リストにおいて取得した前記利用端末識別情報と一致する前記対象端末識別情報が含まれる場合に、前記利用端末に対して前記通信回線の利用を許可する利用処理部と、前記端末リストに含まれる前記対象端末の台数に基づいて、前記出荷事業者に請求する請求費用を算出する算出部と、前記算出部が算出した前記請求費用を前記通信回線の通信費として前記出荷事業者に請求する請求部と、を有する。
【0013】
本発明の第3の態様にかかるプログラムは、コンピュータを、通信回線を利用させる対象端末を出荷する出荷事業者から、出荷した前記対象端末を識別するための対象端末識別情報を含む端末リストを取得する事業者取得部、端末を利用する利用者から、利用する前記端末である利用端末を識別するための利用端末識別情報を取得する利用者取得部、前記端末リストにおいて取得した前記利用端末識別情報と一致する前記対象端末識別情報が含まれる場合に、前記利用端末に対して前記通信回線の利用を許可する利用処理部、前記端末リストに含まれる前記対象端末の台数に基づいて、前記出荷事業者に請求する請求費用を算出する算出部、及び前記算出部が算出した前記請求費用を前記通信回線の通信費として前記出荷事業者に請求する請求部、として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、顧客が通信費を支払う手間を軽減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】通信費の請求方法の概要を説明するための図である。
図2】情報処理システムの概要について説明する。
図3】情報処理装置のブロック図である。
図4】情報処理装置が実行する請求方法の処理の流れを示すフローチャートである。
図5】情報処理装置が実行する利用許可方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[通信費の請求方法の概要]
図1は、通信費の請求方法の概要を説明するための図である。一般的に、顧客は、セルラーモデルの端末を購入すると、当該端末においてモバイルデータ通信を行えるようにするために通信サービスを契約し、当該通信サービスを提供する事業者に対して、当該通信サービスの利用プランに応じた通信費を月ごとに支払う必要がある。この場合、顧客は、端末の代金と、月ごとに発生する通信費との2つの種類の費用を支払わなければならず、費用を支払う負担が大きかった。そこで、本願にかかる通信費の請求方法においては、通信事業者Cが、対象端末Tにおいて通信サービスを利用する利用事業者Aに対して通信費を請求せず、当該対象端末Tを出荷した出荷事業者Mに対して通信費を請求する。
【0017】
対象端末Tは、モバイルデータ通信を行うために利用される通信回線の利用に伴って発生する所定の期間における通信費が販売価格に含まれるセルラーモデルの端末である。所定の期間は、例えば、1週間、1か月、1年、5年等のように通信事業者C又は出荷事業者Mが定めた期間であってもよいし、対象端末Tの減価償却の期間であってもよい。対象端末Tは、例えば、ノートパソコン、スマートフォン等のコンピュータである。対象端末Tは、LAN(Local Area Network)に接続するための第1通信部と、モバイルデータ通信を行うための第2通信部とを有する。
【0018】
通信事業者Cは、端末がモバイルデータ通信を行うための通信回線を提供する通信サービスを提供する事業者である。
【0019】
出荷事業者Mは、対象端末Tを出荷する事業者である。出荷事業者Mは、例えば、対象端末Tを利用事業者Aに直接出荷(販売)してもよいし、対象端末Tを販売代理店に出荷してもよい。出荷事業者Mは、例えば、対象端末Tを法人に限定して出荷(販売)する。出荷事業者Mは、様々な種類の対象端末Tを出荷するが、Wi-Fi(登録商標)モデルの対象端末Tにおいては出荷せず、セルラーモデルの対象端末Tのみを出荷する。
【0020】
利用事業者Aは、利用端末Uと通信サービスとを利用する利用者であり、例えば法人である。利用端末Uは、通信サービスを利用する端末であり、例えば、対象端末Tである。利用端末Uは、例えば、利用事業者Aの従業者によって利用される。
以下において、通信事業者Cが利用端末Uにおける通信サービスの利用を許可するための利用許可方法と、通信事業者Cが出荷事業者Mに通信費を請求するための請求方法との流れについて説明する。
【0021】
最初に、利用許可方法の流れについて説明する。利用許可方法においては、図1における(1)から(3)までに示すステップが実行される。まず、出荷事業者Mは、対象端末Tを出荷すると、出荷した対象端末TのID(identifier)を含む端末リストを通信事業者Cに提示する(図1における(1))。対象端末TのIDは、対象端末Tを識別するための対象端末識別情報であり、例えば、シリアル番号であってもよいし、国際移動体装置識別番号(IMEI:International Mobile Equipment Identifier)であってもよいし、シリアル番号及びIMEIの組み合わせであってもよい。
【0022】
利用事業者Aは、出荷事業者M又は販売代理店から利用端末Uを購入すると、当該利用端末Uにおける通信サービスの利用を通信事業者Cに要求する(図1における(2))。利用事業者Aによる要求には、利用端末UのIDが含まれる。利用端末UのIDは、利用端末Uを識別するための利用端末識別情報であり、例えば、シリアル番号であってもよいし、IMEIであってもよいし、シリアル番号及びIMEIの組み合わせであってもよい。
【0023】
そして、通信事業者Cは、出荷事業者Mから取得した端末リストを参照し、利用事業者Aから取得した利用端末のIDが当該端末リストに含まれている場合に、利用事業者Aに対して、利用端末Uにおける通信サービスの利用を許可する(図1における(3))。その後、利用事業者Aは、利用端末Uにおいて、通信サービスを利用することにより、当該通信サービスにおいて提供される通信回線を利用してモバイルデータ通信を行う。
【0024】
続いて、請求方法の流れについて説明する。請求方法においては、図1における(1)、(4)、(5)、(6)に示すステップが実行される。通信事業者Cは、出荷事業者Mから端末リストを取得すると(図1における(1))、当該端末リストに含まれる対象端末Tの台数に基づいて、出荷事業者Mに請求する請求費用を算出する(図1における(4))。
【0025】
通信事業者Cは、算出した請求費用を通信費として、端末リストに含まれる利用端末U、すなわち、当該通信費を通信サービスの利用を許可した利用端末Uを利用する利用事業者Aには請求せずに、当該通信費を出荷事業者Mに請求する(図1における(5))。そして、出荷事業者Mは、通信事業者Cから請求された請求費用を通信事業者Cに支払う(図1における(6))。
【0026】
このようにすることで、通信事業者Cは、利用事業者Aが対象端末Tの代金を支払うことで、通信サービスの利用に伴う通信費の支払いを済ませることができる。これにより、通信事業者Cは、利用事業者Aに対して、対象端末Tの代金の支払いと、通信サービスの利用に伴う月々の通信費の支払いとのうち、通信サービスの利用に伴う月々の通信費の支払いを省くことができる。その結果、通信事業者Cは、利用事業者Aが通信費を支払う手間を軽減させることができる。
【0027】
[情報処理システムSの概要]
続いて、情報処理システムSの概要について説明する。図2は、情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、利用事業者端末1と、出荷事業者装置2と、情報処理装置3とを有する。
【0028】
利用事業者端末1は、利用事業者Aが利用する端末である。利用事業者端末1は、利用端末Uであってもよいし、利用端末U以外の端末であってもよい。出荷事業者装置2は、出荷事業者Mが管理する装置であり、例えばサーバである。情報処理装置3は、通信事業者Cが管理する装置であり、例えばサーバである。
【0029】
以下において、情報処理システムSが、利用許可方法と請求方法とにおいて実行する処理の流れについて説明する。
【0030】
最初に、利用許可処理について説明する。まず、出荷事業者装置2は、端末リストを情報処理装置3に送信する(図2における(1))。利用端末Uを購入した利用事業者Aが、利用事業者端末1において、通信サービスを利用するための操作を行うと、利用事業者端末1は、通信サービスの利用要求を情報処理装置3に送信する(図2における(2))。利用要求には、利用端末UのIDが含まれる。
【0031】
そして、情報処理装置3は、利用事業者端末1から取得した利用端末UのIDが出荷事業者装置2から取得した端末リストに含まれている場合に、端末に通信サービスを利用させるための設定内容を示す設定情報を対象端末Tに送信する(図2における(3))。設定情報は、端末に通信サービスを利用させるための設定内容を示す情報であり、例えば、アクティベーションコード、eSIMプロファイル情報等である。その後、利用事業者Aは、通信事業者Cから取得した設定情報に基づいて、通信サービスにおいて提供される通信回線を利用するための設定を行い、利用端末Uにおいてモバイルデータ通信を行う。
【0032】
続いて、請求処理について説明する。情報処理装置3は、出荷事業者装置2から端末リストを取得すると、当該端末リストに含まれる対象端末Tの台数に基づいて、出荷事業者Mに請求する請求費用を算出する(図2における(4))。そして、情報処理装置3は、算出した請求費用を、通信費として出荷事業者装置2に通知する(図2における(5))。
【0033】
上記において、情報処理システムSが、利用許可方法と請求方法とにおける処理を実行する例を説明したが、これに限らない。例えば、上記処理のうちの少なくとも一部を事業者(利用事業者A、通信事業者C又は出荷事業者M)が手動で実行してもよい。
以下、情報処理装置3の構成について説明する。
【0034】
[情報処理装置3の構成]
図3は、情報処理装置3のブロック図である。図3において、矢印は主なデータの流れを示しており、図3に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。図3において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図3に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0035】
情報処理装置3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを有する。情報処理装置3は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、情報処理装置3は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0036】
通信部31は、ネットワークを介して対象端末T又は出荷事業者装置2との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部31は、対象端末T又は出荷事業者装置2からネットワークを介して受信したデータを制御部33に通知する。また、通信部31は、ネットワークを介して、制御部33から出力されたデータを対象端末T又は出荷事業者装置2に送信する。
【0037】
記憶部32は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部32は、情報処理装置3の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部33との間でデータの授受を行ってもよい。記憶部32は、制御部33が実行するプログラムを予め記憶している。
【0038】
制御部33は、出荷事業者取得部331と、利用事業者取得部332と、判定部333と、利用処理部334と、算出部335と、設定部336と、通知部337とを有する。制御部33は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、出荷事業者取得部331、利用事業者取得部332、判定部333、利用処理部334、算出部335、設定部336及び通知部337として機能する。
以下、制御部33が有する各構成部の処理の詳細を、利用許可方法と請求方法とに分けて説明する。
【0039】
[利用許可方法]
まず、利用許可方法において情報処理装置3が実行する処理について説明する。通信サービスにおいては、利用許可方法として、以下の3つのステップが実行されることにより、通信事業者Cが利用端末Uにおける通信サービスの利用を許可する。
【0040】
第1のステップとして、出荷事業者Mは、出荷した対象端末TのIDを含む端末リストを、通信事業者Cに送信する。出荷事業者Mは、例えば、所定の間隔(例えば、毎週、毎月等)で、新たに出荷した対象端末TのIDを含む端末リストを通信事業者Cに送信する。
【0041】
通信事業者Cは、出荷事業者Mから端末リストを取得する。具体的には、出荷事業者取得部331は、出荷事業者装置2から端末リストを取得する。出荷事業者取得部331は、例えば、端末リストを取得すると、当該端末リストを記憶部32に記憶させる。
【0042】
第2のステップとして、利用事業者Aは、利用事業者Aが利用する端末である利用端末UのIDを通信事業者Cに送信する。例えば、まず、利用事業者Aは、利用端末Uを購入すると、利用事業者端末1を用いて、通信サービスにおける非請求プランの契約を行うための契約サイトにアクセスする。非請求プランは、通信サービスにおいて提供される通信回線の利用に伴って発生する所定の期間における通信費が利用事業者Aに対して直接請求されることがない利用プランである。
【0043】
そして、利用事業者Aが、契約サイトにアクセスしたことに応じて利用事業者端末1に表示された表示画面において、非請求プランの契約で利用事業者Aに求められる情報を入力すると、利用事業者端末1は、利用事業者Aが入力した入力情報を含む通信サービスの利用要求を情報処理装置3に送信する。入力情報には、利用端末UのID、利用事業者Aを示す情報(例えば、利用事業者Aの名称、利用事業者AのID等)等が含まれる。
【0044】
通信事業者Cは、利用事業者Aから利用端末UのIDを取得する。具体的には、利用事業者取得部332は、利用事業者端末1から、利用端末UのIDを含む通信サービスの利用要求を取得する。
【0045】
上記において、通信事業者Cが利用事業者Aによって入力された利用端末のIDを取得する例を説明したが、これに限らない。例えば、通信事業者Cは、利用端末Uから当該利用端末UのIDを取得してもよい。例えば、利用事業者Aが、対象端末Tにおいて設定ツールを実行する操作を行うと、対象端末Tは、当該対象端末TのIDを利用端末UのIDとして情報処理装置3に送信する。設定ツールは、利用端末Uが通信回線を利用するためのアプリケーションプログラム、具体的には、実行された端末のIDを情報処理装置3に送信し、端末のIDを送信したことに応じて情報処理装置3が送信した設定情報を取得するためのアプリケーションプログラムである。設定ツールは、所定のダウンロードサイトから取得されてもよいし、予め対象端末Tに記憶されていてもよい。このようにすることで、通信事業者Cは、利用事業者Aによる利用端末UのIDの入力を省略することができるので、通信サービスの利用の手続きを簡素化でき、また、対象端末T以外の端末が対象端末Tになりすまして不正に通信サービスを利用する事態の発生を抑止することができる。
【0046】
第3のステップとして、通信事業者Cは、出荷事業者Mから取得した端末リストにおいて利用事業者Aから取得した利用端末UのIDと一致する対象端末TのIDが含まれる場合に、利用端末UのIDによって示される利用端末Uに対して通信回線の利用を許可する。具体的には、まず、判定部333は、出荷事業者取得部331によって取得された端末リストに含まれる一以上の対象端末TのIDの中に、利用事業者取得部332によって取得された利用端末UのIDと一致する対象端末TのIDがあるか否かを判定する。
【0047】
そして、判定部333が端末リストにおいて利用端末UのIDと一致する対象端末TのIDがあると判定した場合に、利用処理部334は、利用事業者端末1に設定情報(例えばアクティベーションコード)を送信する(例えば、契約サイトの表示画面に設定情報を表示させる)。情報処理装置3は、設定情報を送信することにより、利用端末Uに対して通信サービスの利用を許可する、すなわち、利用端末Uに対して非請求プランを適用する。その後、利用事業者Aは、送信された設定情報を用いて利用端末Tが通信サービスを利用するための設定を行う。
【0048】
利用処理部334は、利用端末UのIDによって示される利用端末Uに設定情報を送信してもよい。具体的には、利用処理部334は、利用事業者取得部332が利用端末UのIDを取得した利用端末Uに設定情報(例えばeSIMプロファイル情報)を送信する。その後、利用端末Uは、設定ツールが情報処理装置3から取得した設定情報を用いて通信サービスを利用するための設定を実行する。なお、利用事業者Aが設定ツールにおいてメールアドレスを入力した場合、利用処理部334は、当該メールアドレスを宛先として設定情報を送信してもよい。
【0049】
通信事業者Cは、設定ツールを送信可能であり、利用端末Uによる通信回線の利用を許可した後に、当該利用端末Uを利用する利用事業者Aの要求に応じて、設定ツールを送信してもよい。
【0050】
利用処理部334は、例えば、判定部333が端末リストにおいて利用端末UのIDと一致する対象端末TのIDがあると判定した場合に、設定情報と、利用端末UのIDを含む契約情報とを記憶部32に記憶させる。契約情報は、利用事業者Aと通信事業者と間における通信サービスの利用に関する契約内容を示す情報である。
【0051】
この場合において、まず、利用事業者Aが利用端末Uにおいて設定ツールを実行する操作を行うと、利用端末Uは、設定情報の送信要求を情報処理装置3に送信する。送信要求には、例えば、利用端末UのIDが含まれる。利用処理部334は、利用端末Uから送信要求を取得すると、当該送信要求に含まれる利用端末UのIDを含む契約情報に関連付けられている設定情報を当該利用端末Uに送信する。利用端末Uは、情報処理装置3から設定情報を取得すると、設定ツールが、当該設定情報に基づいて、通信サービスにおいて提供される通信回線を利用してモバイルデータ通信を行うための通信設定を実行する。なお、利用端末Uにおいて設定ツールは、通信設定の他に、利用事業者Aに関する情報(例えば、電話番号、メールアドレス等)を登録する処理を実行してもよい。
【0052】
一方、判定部333は、端末リストにおいて利用端末UのIDと一致する対象端末TのIDがないと判定した場合、利用端末Uに対して通信サービスの利用を拒否する。この場合、情報処理装置3は、非請求プランではなく、通信サービスにおいて提供される通信回線の利用に伴って発生する通信費を支払う通常の請求プランを適用してもよい。
【0053】
判定部333は、端末リストにおいて利用端末UのIDと一致する対象端末TのIDがあると判定した場合であっても、所定の条件を満たす場合に、利用端末Uに対して通信サービスの利用を拒否してもよい。例えば、記憶部32には、通信サービスの利用を拒否する拒否事業者の拒否リストが記憶されている。拒否リストは、例えば、拒否事業者(例えば、反社会的な事業者等)を示す情報のリストである。
【0054】
この場合において、判定部333は、利用事業者取得部332が利用事業者端末1から取得した入力情報によって特定される利用事業者Aが拒否リストに含まれている場合、端末リストにおいて利用端末UのIDと一致する対象端末TのIDがあると判定した場合であっても、利用端末Uに対して通信サービスの利用を拒否する。このようにすることで、通信事業者Cは、例えば、反社会的な事業者に通信サービスが利用されてしまう事態の発生を低減することができる。
【0055】
通信事業者Cは、非請求プランを適用した場合、所定の期間において非請求プランを適用した利用端末Uによる通信サービスの利用に伴う通信費を利用事業者Aに請求しない。通信事業者Cは、所定の期間が経過した場合、非請求プランの適用を解除する。この場合、通信事業者Cは、適用する利用プランを請求プランに変更し、所定の期間が経過した後における通信サービスの利用に伴う通信費を利用事業者Aに請求してもよい。
【0056】
具体的には、まず、利用処理部334は、利用端末Uの契約情報を参照し、基準日から所定の期間が経過した場合に、利用端末Uに適用した非請求プランを請求プランに変更する。基準日は、例えば、利用端末UのIDが含まれる端末リストを出荷事業者Mから取得した日、非請求プランを適用した日(非請求プランの通信サービスの利用を契約した日)、利用処理部334が設定情報を送信した日等である。そして、利用処理部334は、変更した請求プランに応じた通信費を、利用事業者端末1に通知することにより、利用事業者Aに通信費を請求する。このようにすることで、通信事業者Cは、利用事業者Aが所定の期間が経過したことによって通信サービスを利用することができなくなる事態の発生を防ぐことができる。
【0057】
通信事業者Cは、所定の期間が経過した場合以外の所定の条件を満たす場合に、非請求プランの適用を解除してもよい。通信事業者Cは、例えば、所定の条件として、利用端末Uが、ダウンロードしたeSIM情報に基づく通信設定を実行した後に初期化された場合に、非請求プランの適用を解除又は中断してもよい。
【0058】
利用処理部334は、例えば、利用端末Uからの1回目の送信要求に応じて、eSIM情報を当該利用端末Uに送信する。一方、利用処理部334は、利用端末Uからの2回目以降の送信要求に対してはeSIM情報を当該利用端末Uに送信しない。利用処理部334は、利用端末Uにおける通信サービスの利用状態を管理し、利用端末Uから2回目の送信要求を取得した場合、非請求プランの適用を解除又は中断してもよい。
【0059】
通信事業者Cは、所定の条件として、対象端末T以外の端末が当該対象端末Tの設定情報を用いて通信サービスを利用した場合、非請求プランの適用を解除してもよい。利用処理部334は、例えば、記憶部32において、利用端末Uから取得した送信要求に含まれる利用端末UのIDとeSIMのIDとが関連付けられているeSIM情報が存在しない場合、eSIMのIDに対応する非請求プランの適用を解除又は中断する。このようにすることで、通信事業者Cは、対象端末T以外の端末による通信サービスの利用を防ぐことができる。
【0060】
通信事業者Cは、所定の条件として、対象端末T以外の端末が、通信サービスを利用している利用端末Uを介してモバイルデータ通信を行った場合、非請求プランの適用を解除又は中断してもよい。利用処理部334は、例えば、モバイルデータ通信を行っている端末のIDとeSIMのIDとを取得し、記憶部32に記憶されている複数のeSIM情報の中に、取得した端末のIDとeSIMのIDとが関連付けられているeSIM情報が存在しない場合に、取得したeSIMのIDに対応する非請求プランの適用を解除又は中断する。
【0061】
なお、通信事業者Cは、対象端末Tにおけるデザイングを制限してもよい。利用処理部334は、例えば、モバイルデータ通信を行っている端末のIDとeSIMのIDとを取得し、記憶部32に記憶されている複数のeSIM情報の中に、取得した端末のIDとeSIMのIDとが関連付けられているeSIM情報が存在しない場合に、端末のIDが示す端末によるモバイルデータ通信の利用を禁止する。このようにすることで、通信事業者Cは、対象端末T以外の端末が対象端末Tのデザリングによって通信サービスを利用してしまう事態の発生を防ぐことができる。
【0062】
通信事業者Cは、非請求プランの適用を解除又は中断した場合において、利用事業者Aが非請求プランの再契約を行った場合に、非請求プランを再度適用してもよい。例えば、まず、利用事業者Aが、契約サイトの表示画面において、非請求プランの再契約で利用事業者Aに求められる情報を入力すると、利用事業者端末1は、利用事業者Aが入力した入力情報(例えば、利用端末UのID等)を含む通信サービスの再利用要求を情報処理装置3に送信する。そして、判定部333が端末リストにおいて再利用要求に含まれる利用端末UのIDと一致する対象端末TのIDがあると判定した場合に、利用処理部334は、利用端末UのIDによって示される利用端末Uに利用許可情報を再度送信する。このようにすることで、通信事業者Cは、諸事情によって通信サービスの利用ができなくなった利用事業者Aを救済することができる。なお、通信事業者Cは、利用事業者Aが非請求プランの適用の中断を解除するための専用サイトにおいて非請求プランの適用の中断を解除するための手続きを行った場合に、非請求プランの適用の中断を解除し、利用端末Uにおいて通信サービスを利用させてもよい。
【0063】
[請求方法]
続いて、請求方法において情報処理装置3が実行する処理について説明する。通信サービスにおいては、請求方法として、以下の3つのステップが実行されることにより、通信事業者Cが出荷事業者Mに通信費を請求する。
【0064】
第1のステップとして、出荷事業者Mは、出荷した対象端末TのIDを含む端末リストを、通信事業者Cに送信する。出荷事業者取得部331は、出荷事業者装置2から端末リストを取得する。
【0065】
第2のステップとして、通信事業者Cは、出荷事業者取得部331が取得した端末リストに含まれる対象端末Tの台数を用いて、出荷事業者Mに請求する請求費用を算出する。具体的には、算出部335は、端末リストに含まれる対象端末Tの台数に基づいて、出荷事業者Mに請求する請求費用を算出する。
【0066】
通信事業者Cは、例えば、端末リストに含まれる対象端末Tの台数と、台数係数とを用いて、請求費用を算出する。台数係数は、予め定められた数値であり、例えば、出荷事業者Mに請求する対象端末Tの一台あたりの費用である。具体的には、まず、算出部335は、端末リストに含まれる対象端末Tの台数を集計する。そして、算出部335は、集計した集計台数(端末リストに含まれる対象端末Tの台数)と、台数係数とを乗算することにより、請求費用を算出する。
【0067】
通信事業者Cは、端末リストに含まれる対象端末Tの台数のうちの通信サービスの利用が許可された利用端末Uの台数に基づいて、請求費用を算出してもよい。具体的には、算出部335は、端末リストに含まれる対象端末Tの台数のうちの通信サービスの利用が許可された利用端末Uの台数に基づいて、請求費用を算出する。算出部335は、例えば、端末リストに含まれる対象端末Tの台数のうちの通信サービスの利用が許可された対象端末Tの台数と、台数係数とを乗算することにより、請求費用を算出する。このようにすることで、通信事業者Cは、出荷された対象端末Tの台数に応じた通信費を出荷事業者Mに請求することができる。
【0068】
通信事業者Cは、回線許可率と、許可率係数とを用いて、請求費用を算出してもよい。回線許可率は、端末リストに含まれる対象端末Tの台数に対する通信サービスの利用が許可された利用端末Uの台数の割り合いを示す。許可率係数は、予め定められた数値であり、例えば、対象端末Tの台数に対する通信回線の利用が許可された利用端末の台数が多いほど請求費用が高くなる数値である。具体的には、まず、算出部335は、端末リストに含まれる対象端末Tの中から、通信サービスの利用が許可された利用端末Uの台数を集計し、端末リストに含まれる対象端末Tの台数と、集計した集計台数(通信サービスの利用が許可された利用端末Uの台数)とに基づいて、回線許可率を算出する。そして、算出部335は、算出した回線許可率と、許可率係数とを乗算することにより、請求費用を算出する。このようにすることで、通信事業者Cは、通信サービスが利用されている対象端末Tの台数に応じた通信費を出荷事業者Mに請求することができる。
【0069】
通信事業者Cは、端末リストに含まれる対象端末Tの台数に対する設定ツールを利用した利用端末Uの台数を用いて、請求費用を算出してもよい。具体的には、算出部335は、端末リストに含まれる対象端末Tの台数のうちの設定ツールを利用した利用端末Uの台数と、台数係数とを乗算することにより、請求費用を算出する。このようにすることで、通信事業者Cは、通信サービスが利用されている対象端末Tの台数に応じた通信費を出荷事業者Mに請求することができる。
【0070】
通信事業者Cは、利用率と、利用率係数とを用いて、請求費用を算出してもよい。送信率は、端末リストに含まれる対象端末Tの台数に対する設定ツールを利用した利用端末Uの台数の割り合いを示す。利用率係数は、予め定められた数値であり、例えば、対象端末Tの台数に対する設定ツールを利用した利用端末Uの台数が多いほど請求費用が高くなる数値である。具体的には、まず、算出部335は、設定ツールを利用した利用端末Uの台数を集計し、端末リストに含まれる対象端末Tの台数と、集計した集計台数(設定ツールを利用した利用端末Uの台数)とに基づいて、利用率を算出する。そして、算出部335は、算出した利用率と、利用率係数とを乗算することにより、請求費用を算出する。このようにすることで、通信事業者Cは、通信サービスが利用されている対象端末Tの台数に応じた通信費を出荷事業者Mに請求することができる。
【0071】
通信事業者Cは、端末リストに含まれる対象端末Tにおける通信回線のデータ通信量と、通信量係数とを用いて、請求費用を算出してもよい。通信量係数は、予め定められた数値であり、例えば、データ通信量が多いほど請求費用が高くなる数値である。具体的には、まず、算出部335は、端末リストに含まれる各対象端末Tにおける通信回線のデータ通信量を合計することにより、合計データ通信量を算出する。そして、算出部335は、算出した合計データ通信量と、通信量係数とを乗算することにより、請求費用を算出する。このようにすることで、通信事業者Cは、対象端末Tによる通信サービスの利用状態に応じた通信費を出荷事業者Mに請求することができる。
【0072】
通信事業者Cは、端末リストに含まれる対象端末Tにおける通信回線のデータ通信量の統計値(例えば、平均値、中央値等)と、通信量係数とを用いて、請求費用を算出してもよい。具体的には、まず、算出部335は、端末リストに含まれる各対象端末Tにおける通信回線のデータ通信量に基づいて、データ通信量の統計値を算出する。そして、算出部335は、算出したデータ通信量の統計値と、通信量係数とを乗算することにより、請求費用を算出する。このようにすることで、通信事業者Cは、対象端末Tによる通信サービスの利用状態に応じた通信費を出荷事業者Mに請求することができる。
【0073】
通信事業者Cは、対象端末Tにおける通信サービスの利用度合いに応じて、所定の係数(台数係数、許可率係数、送信率係数、通信量係数)を決定してもよい。具体的には、設定部336は、対象端末Tにおける通信サービスの利用度合いが高いほど、所定の係数を大きく決定し、対象端末Tにおける通信サービスの利用度合いが低いほど、所定の係数を小さく決定する。このようにすることで、通信事業者Cは、対象端末Tによる通信サービスの利用状態に応じた通信費を出荷事業者Mに請求することができる。
【0074】
第3のステップとして、通信事業者Cは、算出した請求費用を通信費として出荷事業者Mに請求する。具体的には、通知部337は、算出部335が算出した請求費用を出荷事業者装置2に通知することにより、請求費用を出荷事業者Mに請求する。
【0075】
通信事業者Cは、出荷事業者Mが対象端末Tを出荷する前に、対象端末Tの販売価格に通信費として含める追加費用を出荷事業者Mに通知する。追加費用は、例えば、予め定められた固定費、又は過去に対象端末Tが出荷された台数に応じて定められた費用である。
【0076】
例えば、まず、算出部335は、新たな追加費用を決定する場合、過去の所定の期間(例えば、1か月前、半年前、1年前等から現在までの間)に対象端末Tが出荷された台数を用いて、追加費用を決定する。算出部335は、過去の所定の期間に対象端末Tが出荷された台数が多いほど付帯費用を高く決定してもよいし、過去の所定の期間に対象端末Tが出荷された台数が多いほど付帯費用を低く決定してもよい。そして、通知部337は、算出部335が算出した追加費用を出荷事業者装置2に通知する。
【0077】
[情報処理装置3の処理]
続いて、情報処理装置3が実行する処理の流れについて説明する。図4は、情報処理装置3が実行する請求方法の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートは、出荷事業者取得部331が、出荷事業者装置2から端末リストを取得したことを契機として開始する(S11)。
【0078】
算出部335は、端末リストに含まれる対象端末Tの台数に基づいて、出荷事業者Mに請求する請求費用を算出する(S12)。そして、通知部337は、算出部335が算出した請求費用を出荷事業者装置2に通知する(S13)。
【0079】
図5は、情報処理装置が実行する利用許可方法の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートは、出荷事業者取得部331が、出荷事業者装置2から端末リストを取得したことを契機として開始する(S21)。
【0080】
利用事業者取得部332は、利用事業者端末1から、利用端末UのIDを取得する(S22)。判定部333は、出荷事業者取得部331によって取得された端末リストに含まれる一以上の対象端末TのIDの中に、利用事業者取得部332によって取得された利用端末UのIDと一致する対象端末TのIDがあるか否かを判定する(S23)。
【0081】
判定部333は、出荷事業者取得部331によって取得された端末リストに含まれる一以上の対象端末TのIDの中に、利用事業者取得部332によって取得された利用端末UのIDと一致する対象端末TのIDが無いと判定した場合(S23においてNOの場合)、処理を終了する。一方、出荷事業者取得部331によって取得された端末リストに含まれる一以上の対象端末TのIDの中に、利用事業者取得部332によって取得された利用端末UのIDと一致する対象端末TのIDがあると判定部333が判定した場合(S23においてYESの場合)、利用処理部334は、利用端末UのIDによって示される利用端末Uに設定情報を送信する(S24)。
【0082】
<変形例>
上記において、通信事業者Cが、利用事業者Aに対して利用端末Uにおける通信サービスの利用を許可する例を説明したが、これに限らない。例えば、出荷事業者Mが、利用事業者Aに対して利用端末Uにおける通信サービスの利用を許可してもよい。変形例における出荷事業者Mは、例えば、通信事業者Cから業務委託を受けた事業者であって、官公庁への届け出によって電気通信事業者として登録された事業者である。
【0083】
変形例における出荷事業者装置2は、情報処理装置3の機能を有し、情報処理装置3が実行する処理の少なくとも一部を実行する。このようにすることで、出荷事業者Mは、通信回線の利用の申し込みから通信回線の提供までの一連の通信サービスを提供することができる。また、利用事業者Aは、対象端末Tの購入と、通信サービスの利用とを、同じ事業者である出荷事業者Mに対して行うことができる。
【0084】
[本実施の形態における効果]
以上説明したとおり、通信事業者Cは、出荷事業者Mから取得した端末リストにおいて利用事業者Aから取得した利用端末のIDが含まれている場合に、利用事業者Aに対して、利用端末Uにおける通信サービスの利用を許可する。また、通信事業者Cは、出荷事業者Mから取得した端末リストに含まれる対象端末Tの台数に基づいて請求費用を算出し、算出した請求費用を通信費として出荷事業者に請求する。
【0085】
このようにすることで、通信事業者Cは、利用事業者Aが対象端末Tの代金を支払うことで、通信サービスの利用に伴う通信費の支払いを済ませることができる。これにより、通信事業者Cは、利用事業者Aに対して、対象端末Tの代金の支払いと、通信サービスの利用に伴う月々の通信費の支払いとのうち、通信サービスの利用に伴う月々の通信費の支払いを省くことができる。その結果、通信事業者Cは、利用事業者Aが通信費を支払う手間を軽減させることができる。
【0086】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0087】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0088】
1 利用事業者端末
2 出荷事業者装置
3 情報処理装置
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
331 出荷事業者取得部
332 利用事業者取得部
333 判定部
334 利用処理部
335 算出部
336 設定部
337 通知部
A 利用事業者
C 通信事業者
M 出荷事業者
S 情報処理システム
T 対象端末
U 利用端末
【要約】
【課題】顧客が通信費を支払う手間を軽減する。
【解決手段】請求方法は、通信回線を提供する通信事業者Cが、通信回線を利用させる対象端末を出荷する出荷事業者Mから、出荷した対象端末を識別するための対象端末識別情報を含む端末リストを取得するステップと、通信事業者Cが、端末を利用する利用事業者Aから、利用する端末である利用端末を識別するための利用端末識別情報を取得するステップと、通信事業者Cが、端末リストにおいて取得した利用端末識別情報と一致する対象端末識別情報が含まれる場合に、通信事業者Cが管理する情報処理装置において利用端末に対して通信回線の利用を許可するステップと、通信事業者Cが、端末リストに含まれる対象端末の台数に基づいて、出荷事業者Mに請求する請求費用を算出するステップと、通信事業者Cが、算出した請求費用を通信回線の通信費として出荷事業者Mに請求するステップと、を有する。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5