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特許7524427半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法
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  • 特許-半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法 図1
  • 特許-半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法 図2
  • 特許-半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 29/00 20060101AFI20240722BHJP
   G06F 11/10 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
G11C29/00 426
G06F11/10 662
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023131858
(22)【出願日】2023-08-14
【審査請求日】2023-08-14
(73)【特許権者】
【識別番号】512167426
【氏名又は名称】華邦電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Winbond Electronics Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】二宮 敏夫
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-35245(JP,A)
【文献】特開昭61-123100(JP,A)
【文献】特開昭60-201599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 29/00
G06F 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冗長救済動作時において検出された、メモリセルアレイの不良メモリセルの置換アドレス情報が書き込まれるデータ用メモリ、及び当該置換アドレス情報に対応して付加されるチェック情報が書き込まれるチェック用メモリを有し、ワンタイムプログラマブルメモリである記憶部と、
前記チェック情報に基づいて前記置換アドレス情報のエラー検出訂正を行うエラー検出訂正部とを備え、
前記データ用メモリは、置換アドレス情報を書き込み可能であるユニットを有し、
前記エラー検出訂正部は、一の前記ユニットに一の前記置換アドレス情報及びこの前記置換アドレス情報に対応した前記チェック情報のいずれかが書き込まれた場合に、さらに一の前記ユニットに別の置換アドレス情報が書き込まれると、前記エラー検出訂正を行わないように構成されていることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
さらに制御部を備え、
当該制御部は、一の前記ユニットに一の前記置換アドレス情報に対応した前記チェック情報が書き込まれているかどうかを判断し、
当該チェック情報が書き込まれている場合には、第一論理値にフラグをセットし、
前記エラー検出訂正部は、当該フラグが前記第一論理値である場合には、前記エラー検出訂正を行わないように構成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記制御部は、一の前記ユニットに一の前記置換アドレス情報に対応した前記チェック情報が書き込まれているかどうかを判断するとともに、当該ユニットを構成するメモリセルに不良メモリセルがあるかどうかを判断し、
前記チェック情報が書き込まれた場合に、かつ、当該ユニットには前記不良メモリセルがない場合に、前記第一論理値に前記フラグをセットすることを特徴とする請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記記憶部は、一の前記ユニットに一の前記置換アドレス情報に対応した前記チェック情報が書き込まれているかどうかを示すフラグ用データ情報と、当該データ情報に付加されるフラグ用チェックビット情報とを記憶する領域とを備え
前記制御部は、一の前記ユニットに一の前記置換アドレス情報に対応した前記チェック情報が書き込まれているかどうかに応じて、前記フラグ用データ情報及び前記フラグ用チェックビット情報を生成することを特徴とする請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
当該制御部は、前記冗長救済動作時を開始する際に、前記チェック情報が書き込まれているかどうかを判断し、前記チェック情報が書き込まれている場合には前記第一論理値に前記フラグをセットすることを特徴とする請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
電圧を通常動作状態時の電圧範囲以外の電圧値で印可して前記置換アドレス情報及び前記フラグのうちの少なくともいずれかの読み出しを行い、前記ユニットを構成する前記メモリセルに前記不良メモリセルがあるかどうかを判断することを特徴とする請求項3記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
さらにデータ領域であるメモリセルアレイを備えたことを特徴とする請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記半導体記憶装置は、揮発性メモリであることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
冗長救済動作時において検出された、データ領域であるメモリセルアレイの不良メモリセルの置換アドレス情報が書き込まれるデータ用メモリ及び当該置換アドレス情報に対応して付加されるチェック情報が書き込まれるチェック用メモリを有し、ワンタイムプログラマブルメモリである記憶部を有し、
前記データ用メモリは、置換アドレス情報を書き込み可能であるユニットを有する半導体記憶装置の制御方法であって、
前記チェック情報に基づいて前記置換アドレス情報のエラー検出訂正を行うエラー検出訂正ステップを有し、
一の前記ユニットに一の前記置換アドレス情報及びこの前記置換アドレス情報に対応した前記チェック情報のいずれかが書き込まれると、一の前記ユニットに別の置換アドレス情報が書き込まれる際には、前記エラー検出訂正ステップを行わないことを特徴とする半導体記憶装置の制御方法。
【請求項10】
一の前記ユニットに一の前記置換アドレス情報に対応した前記チェック情報が書き込まれているかどうかを判断し、
当該チェック情報が書き込まれている場合には、フラグを第一論理値にセットするフラグ設定ステップを有し、
当該フラグが前記第一論理値である場合には、前記エラー検出訂正ステップを行わないことを特徴とする請求項9記載の半導体記憶装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Dynamic Random Access Memories (DRAM)等の大容量の半導体記憶装置では、一般的に冗長回路技術を採用し、救済試験を行う際にデータ領域であるメモリセルアレイに不良メモリセルが検出されれば、不良メモリセルを冗長メモリセルに置き換えて救済することで、歩留りの向上を図っている。ここで、半導体記憶装置は、不良メモリセル(フェイルビット)のアドレス情報を、一回だけ書き込みが可能であるOTP(One Time Programmable)メモリにプログラムしているが、この不良メモリセルのアドレス情報の記録に用いられるOTPメモリ自体の欠陥によりデータ誤りが発生してしまい、歩留まりが低下することがある。このようなOTPメモリのデータ誤りを補正するため、ECC(Error Checking and Correcting)機能が搭載されたOTPメモリがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2016-508658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ECC機能付きのOTPメモリでは、データ用メモリとエラー訂正のためのチェックビット用メモリとを有し、それぞれ、置換アドレス情報であるデータ情報と、データ情報に対応するエラー検出/訂正用に付加されるチェックビット情報とを書き込むことができる。1ビットエラー検出/訂正の場合、例えば16ビットのデータ情報に対しては5ビットのチェックビット情報、32ビットのデータ情報に対しては6ビットのチェックビット情報が付加される。このように、1ビットエラーを検出/訂正する単位(ECCユニット)が大きいほど付加されるチェックビットのデータビットに対する割合は小さく済むが、ECCユニット内のデータビットは、データ領域における不良メモリセルの置換アドレス情報が複数セット入力できるようなサイズとなる。
【0005】
このような状況において、製品完成後に複数の救済試験工程(ウェハテスト、ポストパッケージテストなど)を行って冗長救済を行う場合を説明する。初めに、最初の救済試験工程において、データ領域において不良メモリセルを検出すると、ECCユニット内のデータ用メモリに1セットの置換アドレス情報とこれに対応するチェックビット情報とが書き込まれる。この時に、データ用メモリは、別の1セット以上の置換アドレス情報が入力できる領域が何も書き込まれずに残ってしまう。しかし、この書き込まれていない2番目の置換アドレス情報セットを、別の工程で利用しようとしても、一度しか書き込みできないOTPメモリであるチェックビット用メモリにはすでに書き込みが行われているので、チェックビット用メモリへの書き込みを行うことができない。その結果、データ用メモリに書き込まれた2番目の置換アドレス情報とチェックビット用メモリに書き込まれた1番目の置換アドレス情報に対応したチェックビット情報とに基づいてエラー検出/訂正が行われると誤りになってしまい、歩留まりが全体として低下してしまう。他方で、置換アドレス情報を記憶するメモリは、不揮発性メモリであることが必要であるが、置換アドレス情報の記録のためだけに標準のCMOSプロセス以外に専用プロセスを追加するのはコストの点から好ましくないので、標準CMOSプロセスで形成できる不揮発性記憶素子、特にOTPメモリを用いることが望ましい。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消することにあり、歩留まりの高いECC機能が搭載されたOTPメモリを有する半導体記憶装置、及びECC機能が搭載されたOTPメモリを有する半導体記憶装置の歩留まりの高い制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体記憶装置は、冗長救済動作時において検出された、メモリセルアレイの不良メモリセルの置換アドレス情報が書き込まれるデータ用メモリ、及び当該置換アドレス情報に対応して付加されるチェック情報が書き込まれるチェック用メモリを有し、ワンタイムプログラマブルメモリである記憶部と、前記チェック情報に基づいて前記置換アドレス情報のエラー検出訂正を行うエラー検出訂正部とを備え、前記データ用メモリは、置換アドレス情報を書き込み可能であるユニットを有し、前記エラー検出訂正部は、一の前記ユニットに一の前記置換アドレス情報及びこの前記置換アドレス情報に対応した前記チェック情報のいずれかが書き込まれた場合に、さらに一の前記ユニットに別の置換アドレス情報が書き込まれると、前記エラー検出訂正を行わないように構成されていることを特徴とする。
【0008】
一の前記ユニットに一の前記置換アドレス情報及びこの前記置換アドレス情報に対応した前記チェック情報のいずれかが書き込まれた場合に一の前記ユニットに別の置換アドレス情報が書き込まれると、別の置換アドレス情報と、一の置換アドレス情報に対応したチェック情報とでエラー検出訂正が行われてしまうと、意図しないエラーが検出される可能性がある。そこで、本発明においては、かかる場合には前記エラー検出訂正を行わないことで、意図しないエラーが検出されることを抑制することができ、全体的な歩留まりを向上させることができる。
【0009】
このため、本発明の好ましい具体的な構成としては、さらに制御部を備え、当該制御部は、一の前記ユニットに一の前記置換アドレス情報に対応した前記チェック情報が書き込まれているかどうかを判断し、当該チェック情報が書き込まれている場合には、第一論理値にフラグをセットし、前記エラー検出訂正部は、当該フラグが前記第一論理値である場合には、前記エラー検出訂正を行わないように構成されることが挙げられる。制御部がフラグを設定するという簡易な構成でエラー検出訂正を行うかどうかを設定することができる。
【0010】
本発明の半導体記憶装置の制御方法は、冗長救済動作時において検出されたデータ領域の不良メモリセルの置換アドレス情報が書き込まれるデータ用メモリ及び当該置換アドレス情報に対応して付加されるチェック情報が書き込まれるチェック用メモリを有し、ワンタイムプログラマブルメモリである記憶部を有し、前記データ用メモリは、置換アドレス情報を書き込み可能であるユニットを有する半導体記憶装置の制御方法であって、前記チェック情報に基づいて前記置換アドレス情報のエラー検出訂正を行うエラー検出訂正ステップを有し、一の前記ユニットに一の前記置換アドレス情報及びこの前記置換アドレス情報に対応した前記チェック情報のいずれかが書き込まれると、一の前記ユニットに別の置換アドレス情報が書き込まれる際には、前記エラー検出訂正ステップを行わないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、歩留まりの高いECC機能が搭載されたOTPメモリを有する半導体記憶装置、及びECC機能が搭載されたOTPメモリを有する半導体記憶装置の歩留まりの高い制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る半導体記憶装置の構成例を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係る半導体記憶装置における記憶部の動作例を示す図である。
図3】実施形態2に係る半導体記憶装置における記憶部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法について添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、この実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
本発明における半導体記憶装置1は、制御部10と、記憶部20と、エラー検出訂正(ECC)部30と、置換アドレスレジスタ40と、データ領域であるメモリセルアレイ50とを備える。本実施形態における半導体記憶装置1は、揮発性メモリである。このような半導体記憶装置1は、製品完成後に複数の救済試験工程(ウェハテスト、ポストパッケージテストなど)を行って不良メモリセルに対する冗長救済動作が行われる。
【0015】
メモリセルアレイ50に対して行われる冗長救済動作により不良メモリセルが検出された場合に、その不良メモリセルの置換アドレス情報であるデータ情報dt及びこれに対応して付与されたチェックビット情報cbが記憶部20に入力される。そして、この記憶部20に対して設けられたエラー検出訂正部30により、必要に応じてエラー検出訂正が行われて得られた置換アドレス情報ssが置換アドレスレジスタ40に入力され、この置換アドレス情報ssに応じてメモリセルアレイ50の冗長救済が行われる。以下、詳細に説明する。
【0016】
制御部10は、メモリセルアレイ50に対して冗長救済動作が開始され不良メモリセルが検出されると、その不良メモリセルの置換アドレス情報であるデータ情報dtを生成し、記憶部20に入力する。また、制御部10は、このデータ情報dtに対応するチェックビット情報cbを生成し、記憶部20に入力する。また、制御部10は、ECC停止フラグflを生成し、記憶部20に入力する。ECC停止フラグflは、エラー検出訂正部30によるECC動作の停止/作動を設定するためのフラグを示す信号であり、停止する場合にはハイレベル「1」であり、ECC動作を行う場合にはローレベル「0」である。
【0017】
記憶部20は、ワンタイムプログラマブル(OTP)メモリからなる。標準のCMOSプロセスで実現できるOTPメモリとしては、レーザー光線を用いてプログラムするフューズ素子と、電気的にプログラムするフューズ素子とがあるが、本実施形態では、電気的にプログラムするフューズ素子を用いている。データ用メモリ21と、チェックビット用メモリ(チェック用メモリ)22と、ECC停止用メモリ23とを備える。記憶部20のデータ用メモリ21、チェックビット用メモリ22、ECC停止用メモリ23は、ロウ、カラムに対応付けされて二次元的に配置された複数のメモリセルから構成されている。データ用メモリ21は、不良メモリセルの置換アドレス情報であるデータ情報dtの記憶領域であり、チェックビット用メモリ22は、データ情報dtに対応するチェックビット情報cbの記憶領域であり、ECC停止用メモリ23は、エラー検出訂正部30によるECC動作の停止/作動を設定するためのECC停止フラグflの記憶領域である。
【0018】
エラー検出訂正部30には、記憶部20から出力されたデータ情報dt及びチェックビット情報cb、並びにECC停止フラグflが入力される。エラー検出訂正部30は、ECC停止フラグflが「1」(第一論理値)で入力されると、エラー検出訂正動作(エラー検出訂正ステップ)を行わず、データ情報dtをそのまま置換アドレス情報ssとして生成する。エラー検出訂正部30は、ECC停止フラグflが「0」で入力されると、データ情報dt及びチェックビット情報cbからエラー検出訂正を行い、エラーがあれば訂正して正しい置換アドレス情報ssを生成する。エラー検出訂正部30は、生成した置換アドレス情報ssを置換アドレスレジスタ40へ入力する。
【0019】
置換アドレスレジスタ40には、エラー検出訂正部30から入力された、置換アドレス情報ssが一時的に記録され、メモリセルアレイ50に出力される。
【0020】
メモリセルアレイ50は、ロウ及びカラムに対応付けられ、二次元的に配置された複数の図示しない複数のメモリセルを備えている。ロウデコーダ51には、メモリセルアレイの行(ロウ)方向を指定するロウアドレスraや、ロウ置換アドレスssrが入力され、これらをデコードする。そして、デコード結果に応じてワード線を選択し、データの書き替え、読み出しに必要な電圧を印加する。また、カラムデコーダ52は、メモリセルアレイの列(カラム)方向を指定するカラムアドレス情報caやカラム置換アドレス情報sscが入力され、これらをデコードする。そして、デコード結果に応じてワード線を選択し、データの書き替え、読み出しに必要な電圧を印加する。置換アドレスレジスタ40に入力された当該置換アドレス情報ssのロウ置換アドレス情報ssrはロウデコーダ51に、カラム置換アドレス情報sscはカラムデコーダ52にそれぞれ入力される。なお、置換アドレス情報以外のアドレス情報等は図1中図示しないメモリコントローラから各構成要素に入力されている。
【0021】
図2も用いて、記憶部20について詳細に説明する。記憶部20のデータ用メモリ21、チェックビット用メモリ22、ECC停止用メモリ23は、ユニットごとに構成されている。このユニットは、エラー検出訂正部30が1ビットエラーを検出/訂正する単位であり、記憶部20は複数のユニットから構成されている。なお、本実施形態ではこのユニットは、メモリセルアレイ50の所定の領域に対応したものではないが、これに限定されない。冗長救済動作の救済方式によってはメモリセルアレイ50の所定の領域に対応してユニットを設定してもよい。
【0022】
本実施形態の各ユニットを図2を用いて模式的に説明する。図2に示すように、各ユニットにおけるデータ用メモリ21(以下、データビットともいう)は32ビット、チェックビット用メモリ22(以下、チェックビットともいう)は6ビット、ECC停止用メモリ23は1ビットで構成されている。前述のように、1ビットエラーを検出/訂正する単位であるユニットが大きくなるほど付加されるチェックビットのデータビットに対する割合は小さく済むが、データビットのサイズは、置換アドレス情報が複数セット入力できるサイズになる。
【0023】
具体的には、図2(1)に示すように、本実施形態では、例としてデータビットには、[0]~[15]に置換アドレス情報が1セット入り、[16]~[31]にさらにもう一つ別の置換アドレス情報が1セット入ることができるサイズになっている。このように、本実施形態ではデータビットは、置換アドレス情報が入るセット1、セット2の二つのセット分のサイズを有している。なお、データビットには、例えば[0]~[7]、[8]~[15]、[16]~[23]、[24]~[31]にそれぞれ置換アドレス情報が1セット入る等、置換アドレス情報やデータビットのサイズに応じて適宜構成されていればよい。
【0024】
このような半導体記憶装置1に対して製品完成後に複数の救済試験工程(ウェハテスト、ポストパッケージテストなど)を行ってメモリセルアレイ50に対して冗長救済を行う場合を説明する。初めに、冗長救済動作を始める際には、制御部10がチェックビットにすでに書き込みがなされているかどうかを判断する。そして、書き込みがなされていない場合には、ECC停止フラグflを「0」のままとする。
【0025】
次に、メモリセルアレイ50に対して冗長救済動作が開始され不良メモリセルが検出されると、図2(2)に示すように、制御部10は、その不良メモリセルの置換アドレス情報を、セット1即ちデータビットの[0]~[15]に入力するとともに、対応するチェックビット情報cbをチェックビットの[0]~[5]に入力する。そして、このデータ情報dtとチェックビット情報cbと「0」を示すECC停止フラグflとがエラー検出訂正部30に入力される。
【0026】
エラー検出訂正部30は、「0」を示すECC停止フラグflが入力されたことから、データ情報dtとチェックビット情報cbとに基づいてエラー検出訂正を行う。そして、エラー検出訂正部30は、エラーが検出されれば訂正を行い、置換アドレス情報を生成し、置換アドレスレジスタ40へ入力する。
【0027】
次いで、メモリセルアレイ50に対して別の冗長救済動作が開始され不良メモリセルが検出されると、制御部10は、図2(3)に示すように、その不良メモリセルの置換アドレス情報をデータビットの[16]~[31]に入力する。しかし、チェックビットには最初の冗長救済動作によりすでにセット1に入力されたデータ情報に対応した書き込みがなされており、かつ、記憶部20はワンタイムプログラマブルメモリであることから、セット2に入力された置換アドレス情報に対応したチェックビット情報cbの入力をすることはできない。即ち、チェックビットに入力された値は、最初の冗長救済動作において検出された不良メモリセルの置換アドレス情報に対応するチェックビット情報cbのままである。このままこのセット2に入力されたデータ情報dtとチェックビット情報cbとがエラー検出訂正部30に入力され、エラー検出訂正が行われると、データビットとチェックビットとは期待値が一致しないので、エラーとして検出されてしまい、データビットの値が意図しない値に訂正されてしまう。
【0028】
そこで、本実施形態では、制御部10は、この別の冗長救済動作が開始されるタイミングでフラグ設定動作(フラグ設定ステップ)を行う。フラグ設定動作においては、動作当初においては、ECC停止フラグflは「0」(第2論理値)であり、制御部10は、すでにチェックビットが書き込まれたかどうかを判断し、書き込みがされていれば、ECC停止フラグflを「1」(第1論理値)として入力する。そして、ECC停止フラグflが「1」でエラー検出訂正部30に入力されると、エラー検出訂正部30は、「1」を示すECC停止フラグflが入力されたことから、データ情報dtとチェックビット情報cbに基づいてエラー検出訂正が行わない。そして、エラー検出訂正部30は、セット2に入力されたデータ情報dtを置換アドレス情報ssとして生成し、置換アドレスレジスタ40へ入力する。
【0029】
このように、本実施形態では、データビットに複数の置換アドレス情報が書き込める場合に、この置換アドレス情報に対応したチェック情報が書き込まれると、制御部10がECC停止フラグflを立てることで、エラー検出訂正部30が、エラー検出訂正をしないように構成されている。これにより、エラー検出訂正部30において意図しないエラーが検出されることを防止することができ、全体的な歩留まりを向上させることができる。
【0030】
また、本実施形態では、ECC停止フラグflが「1」でエラー検出訂正部30に入力されると、エラー検出訂正は行われないように構成されているが、ECC停止フラグflが「1」で、かつ、当該ユニットには不良メモリセルがないことをエラー評価により確認した場合に、エラー検出訂正部はECC動作をしないように構成されていてもよい。この場合のエラー評価は、例えば、電圧を通常動作条件の範囲外、即ち電圧を通常動作状態の電圧値よりも高く/低くする等の条件下の加速試験においてデータ情報dtおよびECC停止フラグflの読み出しを行い、エラーが発生しないかどうかを確認することで行われる。好ましくは、試験条件を厳しくするために電圧を通常動作状態の電圧値よりも低くすることである。また、このエラー評価を行うタイミングは、エラー検出部がエラー検出を行うタイミングでもよく、また、全ての救済試験工程を始める前のタイミングや、それぞれの救済試験工程を始めるタイミングでもよい。このようにエラー評価をさらに行うことで、2セット目の置換アドレス情報が入力された際にこれに対応したチェック情報が入力されなかったとしても、置換アドレス情報の信頼性を高めることが可能である。
【0031】
(実施形態2)
【0032】
本実施形態では、上述のECC停止用メモリ23を複数ビットで構成し、ECC停止用データビットとECC停止用チェックビットとから構成することで、ECC停止用メモリ23に不良メモリセルが含まれていたとしてもそれを検出し、訂正することができるように構成している点が実施形態1とは異なる。
【0033】
本実施形態では、図3に示すように、本実施形態ではユニットにおけるECC停止フラグflを構成するECC停止用メモリ23は、1ビットからなるECC停止用データビット31と、2ビットからなるECC停止用チェックビット32とからなる。例えば、ECC停止用データビット31が「0」であり、かつ、ECC停止用チェックビット32が「00」の時にはECC停止フラグflは立たず(「0」)、また、ECC停止用データビット31が「1」であり、ECC停止用チェックビット32が「11」の時にはECC停止フラグflが立つ(「1」)ように構成されている。
【0034】
本実施形態では、制御部10は、別の冗長救済動作が開始されるタイミングで、すでにチェックビットにチェック情報が書き込まれたかどうかを判断し、結果に応じてECC停止用メモリに書き込みを行う。例えば、制御部10は、チェックビットにチェック情報がすでに書き込まれている場合には、ECC停止用データビット31に「1」を書き込み、かつ、ECC停止用チェックビット32に「11」を入力する。そして、エラー検出訂正部30は、ECC動作をする前に、これらのECC停止用データビット31及びECC停止用チェックビット32に基づいてECC動作をまず行ってECC停止フラグflが「1」であるか「0」であるかを判断し、これに応じてECC動作を行う。
【0035】
このように、本実施形態ではECC停止フラグflのECC停止用メモリ23を複数ビットから構成し、エラー検出用ビットを付与することで、ECC停止用データビット31自体が不良メモリセルである可能性を排除することができ、より確実に歩留まりを向上させることが可能である。
【0036】
上述した各実施形態では、チェックビットにチェックビット情報cbが書き込まれているかどうかにより、前回以前の冗長救済動作においてデータ情報dt及びチェックビット情報cbの書き込みがあったことを検出したが、これに限定されない。例えば、データビットに書き込まれたデータ情報の有無により前回以前の冗長救済動作においてデータ情報dt及びチェックビット情報cbの書き込みがあったことを検出してもよい。また、上述した各実施形態では、チェックビットにチェックビット情報cbが書き込まれているかどうかによりECC停止フラグflを設定したが、ECC停止フラグflを用いない構成としてもよい。
【0037】
上述した各実施形態では、制御部10は、別の冗長救済動作が開始されるタイミングで、すでにチェックビット用メモリ22にチェックビット情報cbが書き込まれたかどうかを判断してECC停止ビットに「1」を入力したが、これに限定されない。置換アドレス情報に対応したチェックビット情報cbが書き込まれた場合に、エラー検出訂正部30が、エラー検出訂正をしないように構成されていればよく、例えば、制御部10が最初の冗長救済動作を行ったあとにECC停止フラグflとして「1」を入力し、次の冗長救済動作を行ったときにこのECC停止フラグflをエラー検出訂正部30が取得するように構成してもよい。いずれのタイミングでおいても、エラー検出訂正部30がより好ましくエラー検出訂正を作動又は停止することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 半導体記憶装置
10 制御部
20 記憶部
21 データ用メモリ
22 チェックビット用メモリ
23 ECC停止用メモリ
30 エラー検出訂正部
31 ECC停止用データビット
32 ECC停止用チェックビット
40 置換アドレスレジスタ
50 メモリセルアレイ
51 ロウデコーダ
52 カラムデコーダ
fl ECC停止フラグ
ca カラムアドレス情報
cb チェックビット情報
dt データ情報
ra ロウアドレス
ss 置換アドレス情報
ssc カラム置換アドレス情報
ssr ロウ置換アドレス情報
【要約】
【課題】歩留まりの高いECC機能が搭載されたOTPメモリを有する半導体記憶装置、及びその制御方法を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置1は、冗長救済動作時において検出された、メモリセルアレイ50の不良メモリセルの置換アドレス情報が書き込まれるデータ用メモリ21、及び置換アドレス情報に対応して付加されるチェック情報が書き込まれるチェックビット用メモリ22を有し、ワンタイムプログラマブルメモリである記憶部20と、チェック情報に基づいて置換アドレス情報のエラー検出訂正を行うエラー検出訂正部30とを備え、データ用メモリ21は、置換アドレス情報を書き込み可能であるユニットを有し、エラー検出訂正部は、一のユニットに一の置換アドレス情報及びこの置換アドレス情報に対応したチェック情報のいずれかが書き込まれた場合に、さらに一のユニットに別の置換アドレス情報が書き込まれると、エラー検出訂正を行わないように構成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3