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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】電極、電極群及び電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/533 20210101AFI20240722BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240722BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M10/058
H01M10/04 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023503273
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(86)【国際出願番号】 JP2021008320
(87)【国際公開番号】W WO2022185464
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】中澤 明日菜
(72)【発明者】
【氏名】田中 政典
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-178997(JP,A)
【文献】特開平09-092338(JP,A)
【文献】国際公開第2014/054734(WO,A1)
【文献】特開2019-003891(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038044(WO,A1)
【文献】特開2003-242957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体基部と、集電体基部の縁である基部縁から突出する集電タブと、を備える集電体と、
前記集電体の前記集電体基部の表面に担持される活物質含有層と、
を具備し、
前記集電タブは、前記集電タブの突出方向に交差する幅方向の一方側の縁である第1のタブ側縁と、前記幅方向の前記第1のタブ側縁とは反対側の縁である第2のタブ側縁と、を備え、
前記集電体には、前記集電タブの前記突出方向及び前記幅方向の両方に交差する厚さ方向に凹むシワが形成され、
前記シワは、前記集電体基部の前記基部縁と前記集電タブの前記第1のタブ側縁との交差部分又はその交差部分の近傍に位置する第1の延設端から前記集電体基部の前記基部縁と前記集電タブの前記第2のタブ側縁との交差部分又はその交差部分の近傍に位置する第2の延設端まで延設されるとともに、前記厚さ方向から視て前記集電タブの前記突出方向に凸となる円弧状に形成され、
前記活物質含有層では、前記集電体基部の前記基部縁又は前記基部縁の近傍に、層縁が形成され、
前記シワの前記第1の延設端及び前記第2の延設端の少なくとも一方は、前記活物質含有層の前記層縁に接する、
電極。
【請求項2】
下記式(A)及び下記式(B)を満たす、請求項1の電極。
0.067 ≦ D/W ≦ 0.270 (A)
0.033 ≦ H/A ≦ 0.200 (B)
ここで、Dは、凹状の前記シワの深さを表す。Wは、凹状の前記シワの幅を表す。Hは、前記シワにおいて前記活物質含有層の前記層縁から最も離れた位置までの前記層縁からの距離を表す。Aは、前記シワの前記第1の延設端と前記第2の延設端との間の前記幅方向に沿った寸法を表す。
【請求項3】
前記集電体基部は、前記基部縁及び前記集電タブのそれぞれと前記活物質含有層の前記層縁との間に、前記活物質含有層を担持していない未担持部分を備え、
前記シワの前記第1の延設端及び前記第2の延設端のそれぞれは、前記集電体基部の前記未担持部分に位置し、
前記シワにおいて前記活物質含有層の前記層縁から最も離れた位置は、前記集電タブに位置する、
請求項1又は2の電極。
【請求項4】
前記幅方向に沿った前記集電タブの寸法は、15mm以上30mm以下である、請求項1乃至のいずれか1項の電極。
【請求項5】
正極及び負極の一方である請求項1乃至のいずれか1項の電極と、
前記正極及び前記負極の中の前記電極とは逆の極性の一方である逆極性電極と、
を具備する、電極群。
【請求項6】
前記電極と前記逆極性電極との間に設けられるとともに、前記電極を前記逆極性電極に対して電気的に絶縁するセパレータをさらに具備し、
前記電極において前記セパレータと対向する部分の対向面積は、前記逆極性電極において前記セパレータと対向する部分の対向面積に比べて、小さい、
請求項の電極群。
【請求項7】
請求項又はの電極群を具備する、電池。
【請求項8】
前記電極群を収納する外装部材と、
前記電極の前記集電タブに電気的に接続される第1の電極端子と、
前記逆極性電極に電気的に接続される第2の電極端子と、
をさらに具備する、請求項の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電極、電極群及び電池に関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解質二次電池等の二次電池は、携帯機器、自動車及び蓄電装置等の電池搭載機器に、広く用いられている。二次電池等の電池には、電極群が設けられ、電極群は、正極及び負極を電極として備える。正極及び負極のそれぞれは、集電体を備え、集電体は、集電体基部と、集電体基部の縁(基部縁)から突出する集電タブを備える。電極群では、正極及び負極のそれぞれにおいて、複数の集電タブが積層及び結束される。前述のように集電体基部の縁から集電タブが突出する電極群では、電気抵抗は、集電タブにおいて、集電体の集電タブ以外の部分に比べて大きい。そして、電極群では、熱容量は、集電タブにおいて、電極群の集電タブ以外の部分に比べて小さい。このため、電池が大電流で充電又は放電されている状態では、集電タブのそれぞれでの発熱が大きくなる。
【0003】
前述のような電池では、充電又は放電等によって集電タブでの発熱が大きくなっても、集電タブ及びその近傍での温度の上昇が抑制され、活物質の劣化の度合いが集電タブの近傍で局所的に大きくなることを抑制することが、求められている。そして、集電タブの近傍で劣化の度合いが局所的に大きくなることを抑制することにより、電池の充電及び放電を繰返した後でも、電池の容量維持率が高く確保されることが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開2015-106533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、集電タブでの発熱による集電タブ及びその近傍での温度の上昇が抑制され、活物質の劣化の度合いが集電タブの近傍で局所的に大きくなることが抑制される電極を提供することにある。また、その電極を備える電極群及び電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、電極は、集電体及び活物質含有層を備え、集電体は、集電体基部と、集電体基部の縁である基部縁から突出する集電タブと、を備える。活物質含有層は、集電体の前記集電体基部の表面に担持される。集電タブは、集電タブの突出方向に交差する幅方向の一方側の縁である第1のタブ側縁と、幅方向の第1のタブ側縁とは反対側の縁である第2のタブ側縁と、を備える。集電体には、集電タブの突出方向及び幅方向の両方に交差する厚さ方向に凹むシワが形成される。シワは、集電体基部の基部縁と集電タブの第1のタブ側縁との交差部分又はその交差部分の近傍に位置する第1の延設端から、集電体基部の基部縁と集電タブの第2のタブ側縁との交差部分又はその交差部分の近傍に位置する第2の延設端まで、延設される。シワは、厚さ方向から視て集電タブの突出方向に凸となる円弧状に、形成される。活物質含有層では、集電体基部の基部縁又は基部縁の近傍に、層縁が形成される。シワの第1の延設端及び第2の延設端の少なくとも一方は、活物質含有層の層縁に接する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る電池を概略的に示す斜視図である。
図2図2は、図1の電池の電極群を概略的に示す斜視図である。
図3図3は、図1の電池の電極群の一部を、捲回構造を展開し、かつ、部材ごとに分解した状態で示す概略図である。
図4図4は、図1の電池の電極群の一部を、電極群の幅方向に直交又は略直交する断面で概略的に示す断面図である。
図5図5は、図1の電池の電極群の2種類の電極の一方において、集電タブ及びその近傍の構成を、電極の厚さ方向の一方側から視た状態で示す概略図である。
図6図6は、図1の電池の電極群の2種類の電極の一方において、集電タブ及びその近傍の構成を、電極の幅方向に直交又は略直交する断面で概略的に示す断面図である。
図7図7は、図1の電池の電極に形成されるシワに関連するパラメータの計測において、複数のラインのある1つのラインでの、基準位置から集電体の外表面までの電極の厚さ方向についての距離のラインスキャンの結果の一例を示す概略図である。
図8図8は、第1の変形例に係る電池の電極群の2種類の電極の一方において、集電タブ及びその近傍の構成を、電極の厚さ方向の一方側から視た状態で示す概略図である。
図9図9は、第2の変形例に係る電池の電極群の2種類の電極の一方において、集電タブ及びその近傍の構成を、電極の厚さ方向の一方側から視た状態で示す概略図である。
図10図10は、第3の変形例に係る電池の電極群の2種類の電極の一方において、集電タブ及びその近傍の構成を、電極の厚さ方向の一方側から視た状態で示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照して、説明する。
【0009】
実施形態の電池は、例えば、非水電解質二次電池及び水系電解質二次電池等の二次電池である。電池は、電極群を備え、電極群は、正極及び負極を備える。電極群では、正極と負極との間にセパレータが介在する。正極及び負極は、互いに対して逆の極性の電極であり、負極は、正極に対して逆極性電極となる。セパレータは、電気的絶縁性を有する材料から形成され、正極を負極に対して電気的に絶縁する。セパレータとしては、これらに限定されるものではないが、合成樹脂製の多孔質フィルム及び不織布等が用いられる。セパレータの厚さは、2μm~30μm程度である。
【0010】
正極は、正極集電箔等の正極集電体と、正極集電体の表面に担持される正極活物質含有層と、を備える。正極集電体は、導電性を有する金属から形成される。正極集電体は、これらに限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔等であり、厚さが10μm~30μm程度である。正極活物質含有層は、正極活物質を備え、結着剤及び導電剤を任意に含んでもよい。正極活物質としては、これらに限定されるものではないが、リチウムイオンを吸蔵放出できる酸化物、硫化物及びポリマー等が挙げられる。正極活物質は、例えば、二酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物、ニッケルコバルトマンガン複合酸化物、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物、硫酸鉄、及びバナジウム酸化物からなる群から選択される少なくとも1つを含む。導電剤としては、例えば、炭素質物の1種類以上が用いられる。また、結着剤としては、例えば、ポリマー樹脂が用いられる。
【0011】
正極活物質含有層における正極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、正極活物質が80質量%以上95質量%以下、導電剤が3質量%以上20質量%以下、及び、結着剤が2質量%以上7質量%以下であることが、好ましい。正極の形成においては、正極活物質、導電剤及び結着剤を有機溶媒に懸濁することにより、スラリーを調製し、調製したスラリーを正極集電体の片面又は両面に塗布する。そして、塗布したスラリーを乾燥及び圧延することにより、正極集電体の片面又は両面に担持される正極活物質含有層が形成される。
【0012】
また、正極集電体には、正極活物質含有層を未担持の部分が形成される。そして、正極集電体は、集電体基部、及び、集電体基部の縁(基部縁)から突出する複数の正極集電タブを備える。正極集電体では、正極活物質含有層を未担持の部分の少なくとも一部が、正極集電タブから形成される。ある一例では、正極活物質含有層を未担持の部分は、集電タブに加えて、集電体基部の一部から形成されてもよい。また、正極集電体には、シワが1つ以上形成される。1つ以上のシワのそれぞれは、正極集電タブの対応する1つの突出の根元位置、及び、その近傍の範囲に渡って、形成される。
【0013】
負極は、負極集電箔等の負極集電体と、負極集電体の表面に担持される負極活物質含有層と、を備える。負極集電体は、導電性を有する金属から形成される。負極集電体は、これらに限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔等であり、厚さが10μm~30μm程度である。負極活物質含有層は、負極活物質を備え、結着剤及び導電剤を任意に含んでもよい。負極活物質としては、特に限定されるものではないが、リチウムイオンを吸蔵放出でき、かつ、チタンを含有する活物質等が挙げられる。チタンを含有する活物質としては、チタン含有酸化物が挙げられる。そして、負極活物質となるチタン含有酸化物には、例えば、チタン酸化物、リチウムチタン含有複合酸化物、ニオブチタン含有複合酸化物及びナトリウムニオブチタン含有複合酸化物が、含まれる。負極活物質含有層の導電剤及び結着剤としては、正極活物質含有層の導電剤及び結着剤と同様の材料が挙げられる。
【0014】
負極活物質含有層における負極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、負極活物質が70質量%以上95質量%以下、導電剤が0質量%以上25質量%以下、及び、結着剤が2質量%以上10質量%以下であることが、好ましい。負極の形成においては、正極の形成と同様にして、負極集電体の片面又は両面に担持される負極活物質含有層が形成される。
【0015】
また、負極集電体には、負極活物質含有層を未担持の部分が形成される。そして、負極集電体は、集電体基部、及び、集電体基部の縁(基部縁)から突出する複数の負極集電タブを備える。負極集電体では、負極活物質含有層を未担持の部分の少なくとも一部が、負極集電タブから形成される。ある一例では、負極活物質含有層を未担持の部分は、集電タブに加えて、集電体基部の一部から形成されてもよい。また、負極集電体には、シワが1つ以上形成される。1つ以上のシワのそれぞれは、負極集電タブの対応する1つの突出の根元位置、及び、その近傍の範囲に渡って、形成される。
【0016】
電極群では、例えば、正極活物質含有層と負極活物質含有層との間でセパレータが挟まれた状態で、正極、負極及びセパレータが捲回軸を中心として捲回され、電極群は捲回構造を有する。別のある一例では、電極群は、複数の正極及び複数の負極が交互に積層されるスタック構造を有し、正極と負極との間にはセパレータが設けられる。電極群では、複数の正極集電タブが積層及び結束され、複数の負極集電タブが積層及び結束される。また、正極集電タブの結束部分、及び、負極集電タブの結束部分は、正極集電体の集電体基部、負極集電体の集電体基部及びセパレータの積層部分に対して、突出する。
【0017】
また、電池では、電極群に、電解液が保持(含浸)される。電解液は、電解質を有機溶媒に溶解させた非水電解液であってもよく、電解質を水系溶媒に溶解させた水溶液等の水系電解液であってもよい。非水電解液では、電解質の濃度は、0.5mol/L以上2mol/L以下であることが好ましい。有機溶媒に溶解される電解質としては、例えば、リチウム塩の1種類、又は、リチウム塩の2種類以上混合した混合物が、用いられる。また、電解液の代わりに、電解液と高分子材料とを複合化させたゲル状電解質が用いられてもよい。また、電解液の代わりに、又は、電解液に加えて、固体電解質が用いられてもよい。固体電解質が電解質として用いられる場合、電極群において、セパレータの代わりに固体電解質を、正極と負極との間に介在させてもよい。この場合、固体電解質により、正極が負極に対して電気的に絶縁される。
【0018】
また、電池では、電極群が外装部材の内部に収納される。外装部材としては、金属製容器及びラミネートフィルム製の袋状容器のいずれかを用いることができる。金属製容器は、例えば、アルミニウム、亜鉛、チタン及び鉄から成る群から選択される少なくとも1種の金属、又は、これらの金属の合金により形成されることが、好ましい。金属製容器の肉厚は、0.2mm~5mm程度であり、0.5mm以下であることが好ましい。ラミネートフィルムとしては、例えば、多層フィルムが用いられ、多層フィルムは、複数の樹脂層と、樹脂層同士の間に配置される金属層とを含む。ラミネートフィルムの厚さは、0.1mm~2mm程度であり、0.2mm以下であることがより好ましい。
【0019】
また、電池は、一対の電極端子を備える。電極端子の一方が、正極集電タブに電気的に接続される正極端子であり、電極端子の正極端子とは別の一方が、負極集電タブに電気的に接続される負極端子である。電極端子は、外装部材の内部に形成される内部端子であってよく、外装部材の外表面に形成される外部端子であってもよい。電極端子は、導電材料から形成され、アルミニウム、亜鉛、チタン及び鉄からなる群より選択される少なくとも1種の金属、又は、これらの金属の合金により形成されていることが好ましい。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は、実施形態の一例である第1の実施形態に係る電池を示す。図1に示すように、本実施形態では、電池1は、電極群2、外装容器3及び蓋部材5を備える。外装容器3及び蓋部材5のそれぞれは、金属から形成される。外装容器3は、底壁6及び周壁7を備え、電極群2が収納される内部空洞8は、底壁6及び周壁7によって規定される。外装容器3では、内部空洞8は、底壁6が位置する側とは反対側へ向かって開口する。蓋部材5は、底壁6とは反対側の端部で周壁7に取付けられ、外装容器3の内部空洞8の開口を塞ぐ。内部空洞8に収納される電極群2には、電解液等の電解質が保持されている。また、蓋部材5には、内部空洞8に電解液等を注入する注液口が形成され、蓋部材5には、注液口を塞ぐ封止板9が溶接等される。
【0021】
図2乃至図4は、図1の電池1の電極群2を示す。図2乃至図4等に示すように、電極群2は、正極11A、負極11B及びセパレータ12A,12Bを備える。そして、電極群2では、正極11A、セパレータ12A、負極11B及びセパレータ12Bの順に積層された積層体が形成され、積層体が捲回軸Bを中心として捲回される捲回構造が形成される。電極群2では、セパレータ12A,12Bによって、正極11Aが負極11Bに対して電気的に絶縁される。ある一例では、負極11Bが、電極群2の捲回構造の最外周を形成する。
【0022】
図1乃至図4等に示すように、電極群2では、捲回軸Bに沿う軸方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、軸方向に対して交差する(直交又は略直交する)幅方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)、及び、軸方向及び幅方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)厚さ方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)が、規定される。電極群2の軸方向は、電極群2の長さ方向と一致又は略一致する。電極群2では、厚さ方向についての寸法が、軸方向(長さ方向)についての寸法及び幅方向についての寸法のそれぞれに比べて、小さく、電極群2は、扁平形状に形成される。なお、図3は、電極群2の一部を、捲回構造を展開し、かつ、部材ごとに分解した状態で示し、図4は、電極群2の一部を、電極群2の幅方向に直交又は略直交する断面で示す。
【0023】
正極11Aは、正極集電体13A及び正極活物質含有層15Aを備え、本実施形態では、正極集電体13Aの両面に正極活物質含有層15Aが担持される。また、負極11Bは、負極集電体13B及び負極活物質含有層15Bを備え、本実施形態では、負極集電体13Bの両面に負極活物質含有層15Bが担持される。なお、図3では、活物質含有層15A,15Bをドットのハッチングで示し、セパレータ12A,12Bを斜線のハッチングで示す。
【0024】
正極集電体13Aには、正極活物質含有層15Aを未担持の部分が形成されるとともに、正極集電体13Aは、複数の正極集電タブ16Aを備える。本実施形態では、正極集電体13Aにおいて正極活物質含有層15Aを未担持の部分の一部が、正極集電タブ16Aによって形成される。同様に、負極集電体13Bには、負極活物質含有層15Bを未担持の部分が形成されるとともに、負極集電体13Bは、複数の負極集電タブ16Bを備える。本実施形態では、負極集電体13Bにおいて負極活物質含有層15Bを未担持の部分の一部が、負極集電タブ16Bによって形成される。
【0025】
本実施形態では、複数の正極集電タブ16Aは、電極群2において、電極群2の軸方向(長さ方向)の一方側へ、突出する。そして、電極群2では、複数の負極集電タブ16Bは、電極群2の軸方向(長さ方向)について、正極集電タブ16Aが突出する側へ、突出する。このため、集電タブ16A,16Bのそれぞれの突出方向は、電極群2の幅方向及び厚さ方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)。電極群2では、正極集電タブ16Aは、電極群2の幅方向について、負極集電タブ16Bから離れて位置し、負極集電タブ16Bと接触しない。また、電極群2では、複数の正極集電タブ16Aは、互いに対して積層され、1箇所に結束される。同様に、電極群2では、複数の負極集電タブ16Bは、互いに対して積層され、1箇所に結束される。なお、図4では、集電タブ16A,16Bのそれぞれは、結束されていない状態で示す。
【0026】
また、電極群2の幅方向についての正極集電タブ16A及び負極集電タブ16Bのそれぞれの寸法は、幅方向についての電極群2の全寸法(全幅)に比べて、小さい。また、本実施形態では、電極群2において、複数の負極集電タブ16Bは、正極集電タブ16Aが突出する側へ、突出する。このため、電極群2の幅方向についての正極集電タブ16A及び負極集電タブ16Bのそれぞれの寸法は、幅方向についての電極群2の全寸法(全幅)の半分値に比べて、小さい。なお、電極群2の幅方向についての集電タブ16A,16Bのそれぞれの寸法は、15mm以上30mm以下であることが好ましい。
【0027】
本実施形態の電池1では、蓋部材5の外表面に、一対の電極端子41が取付けられる。電極端子41のそれぞれと蓋部材5の外表面との間には、絶縁部材42が、介在する。電極端子41のそれぞれは、絶縁部材42によって、蓋部材5及び外装容器3に対して電気的に絶縁される。正極集電タブ16Aは、リード43Aを含む1つ以上の正極側リードを間に介して、一対の電極端子41の一方である正極端子に電気的に接続される。そして、負極集電タブ16Bは、リード43Bを含む1つ以上の負極側リードを間に介して、一対の電極端子41の正極端子とは別の一方である負極端子に、電気的に接続される。また、内部空洞8では、集電タブ16A,16B及びリード43A,43Bのそれぞれは、1つ以上の絶縁部材(図示しない)によって、外装容器3及び蓋部材5に対して電気的に絶縁される。なお、ある一例では、電極群2において集電タブ16A,16B以外の部分が、絶縁テープ等によって外周側から覆われる。
【0028】
以下、電極群2を形成する2種類の電極(正極11A及び負極11B)のそれぞれの構成について説明する。なお、以下の説明では、正極11A及び負極11Bを区別することが必要な場合等を除き、正極11A及び負極11Bに関連する構成要素の参照符号において、A,Bを付すことを省略する。すなわち、正極11A及び負極11Bを区別することが必要な場合等を除き、2種類の電極のそれぞれを電極11と示すとともに、電極11の構成要素を、例えば、集電タブ16等と示す。
【0029】
図5及び図6は、電極群2の2種類の電極11の一方において、集電タブ16及びその近傍の構成を示す。図3乃至図6等に示すように、電極11のそれぞれは、前述のように集電体13及び活物質含有層15を備える。そして、電極11のそれぞれでは、集電体13は、前述の複数の集電タブ16を備えるとともに、集電体基部17を備える。電極11のそれぞれの集電体13では、集電タブ16のそれぞれは、集電体基部17から突出する。このため、電極11のそれぞれでは、集電タブ16の突出方向(矢印X3で示す方向)及び、突出方向とは反対方向(矢印X4で示す方向)が規定される。
【0030】
なお、電極11のそれぞれでは、集電タブ16のそれぞれは、電極11の長さ方向(矢印X3及び矢印X4で示す方向)の一方側に突出し、集電タブ16は、互いに対して同一の側へ突出する。そして、電極群2では、複数の集電タブ16の結束部分(正極集電タブ16Aの結束部分及び負極集電タブ16Bの結束部分)は、集電体基部17及びセパレータ12A,12Bの結束部分に対して、軸方向(長さ方向)の一方側へ突出する。また、電極11のそれぞれでは、集電タブ16の突出方向に対して交差する(直交又は略直交する)幅方向(矢印Y3及び矢印Y4で示す方向)、及び、集電タブ16の突出方向及び幅方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)厚さ方向(矢印Z3及び矢印Z4で示す方向)が規定される。ここで、図5は、厚さ方向の一方側から視た状態を示し、図6は、幅方向に直交又は略直交する断面を示す。また、図5では、活物質含有層15は、ドットのハッチングで示す。
【0031】
電極11のそれぞれでは、集電体基部17は、長さ方向について集電体基部17の両縁を形成する一対の基部縁21,22を備える。電極11のそれぞれの集電体基部17では、基部縁(第1の基部縁)21は、長さ方向について集電タブ16が位置する側の縁を形成し、基部縁(第2の基部縁)22は、長さ方向について基部縁21とは反対側の縁を形成する。電極11のそれぞれでは、基部縁21,22のそれぞれは、幅方向に沿って延設される。また、電極11のそれぞれでは、集電タブ16のそれぞれは、基部縁21から、長さ方向の一方側へ突出する。
【0032】
また、電極11のそれぞれでは、集電タブ16のそれぞれは、突出端を形成する突出端縁23、及び、一対のタブ側縁25,26を備える。集電タブ16のそれぞれでは、タブ側縁(第1のタブ側縁)25が、電極11の幅方向についての一方側の縁となり、タブ側縁(第2のタブ側縁)26が、電極11の幅方向ついてタブ側縁25とは反対側の縁となる。集電タブ16のそれぞれでは、タブ側縁25,26のそれぞれは、集電体基部17の基部縁21から突出端縁23まで、電極11の長さ方向に沿って延設される。また、集電タブ16のそれぞれにおいて、タブ側縁25と集電体基部17の基部縁21との交差部分C1、及び、タブ側縁26と集電体基部17の基部縁21との交差部分C2を規定する。集電タブ16のそれぞれでは、例えば、交差部分C1,C2を結ぶ仮想直線が、突出の根元位置として規定される。なお、電極11の幅方向についての集電タブ16のそれぞれの寸法(幅)、すなわち、集電タブ16のそれぞれにおける交差部分C1,C2の間の距離は、15mm以上30mm以下であることが好ましい。
【0033】
また、本実施形態では、電極11のそれぞれにおいて、集電体13の両面に活物質含有層15が担持される。電極11のそれぞれでは、活物質含有層15は、長さ方向について活物質含有層15の両縁を形成する一対の層縁27,28を備える。電極11のそれぞれの活物質含有層15では、層縁(第1の層縁)27は、長さ方向について集電タブ16が位置する側の縁を形成し、層縁(第2の層縁)28は、長さ方向について層縁27とは反対側の縁を形成する。電極11のそれぞれでは、層縁27,28のそれぞれは、幅方向に沿って延設される。
【0034】
本実施形態では、電極11のそれぞれにおいて、活物質含有層15は、集電体基部17の基部縁22まで、長さ方向について集電タブ16とは反対側へ延設される。このため、電極11のそれぞれでは、活物質含有層15の層縁28は、長さ方向について、集電体基部17の基部縁22に対してずれていない、又は、ほとんどずれていない。すなわち、電極11のそれぞれでは、厚さ方向からの投影において、活物質含有層15の層縁28は、集電体基部17の基部縁22に対して重なる、又は、ほぼ重なる。
【0035】
また、本実施形態では、電極11のそれぞれにおいて、活物質含有層15の層縁27は、長さ方向について、集電体基部17の基部縁21に対して集電タブ16とは反対側に位置する。このため、電極11のそれぞれの集電体基部17では、長さ方向について集電体基部17の基部縁21及び集電タブ16のそれぞれと活物質含有層15の層縁27との間に、活物質含有層15を担持していない未担持部分18が形成される。すなわち、集電体基部17では、未担持部分18は、活物質含有層15の層縁27から基部縁21まで、集電タブ16が位置する側へ延設される。このため、本実施形態では、電極11のそれぞれにおいて集電タブ16以外の部位にも、活物質含有層15が未担持の部分が形成される。
【0036】
ただし、電極11のそれぞれでは、長さ方向に沿った未担持部分18の寸法は、長さ方向に沿った集電体基部17の寸法(基部縁21,22の間の距離)に比べて、遥かに小さい。例えば、長さ方向に沿った未担持部分18の寸法は、長さ方向に沿った集電体基部17の寸法に対して、0.2%以上6.0%以下程度である。したがって、電極11のそれぞれの集電体基部17の表面では、未担持部分18以外の大部分において、活物質含有層15が担持される。
【0037】
また、電極11のそれぞれでは、集電体13に、1つ以上のシワ30が形成される。集電体13では、1つ以上のシワ30のそれぞれは、集電タブ16の対応する1つの突出の根元位置、及び、その近傍の範囲に渡って、形成される。また、集電体13では、シワ30は、電極11の厚さ方向の一方側へ凹む。以下、電極11の一方に形成される1つ以上のシワ30の中の1つについて説明する。なお、電極11のそれぞれでは、1つ以上のシワ30のそれぞれが、集電タブ16の対応する1つの突出の根元位置、及び、その近傍の範囲に、以下のようにして形成される。
【0038】
図5等に示すように、シワ30は、延設端E1,E2を有し、延設端(第1の延設端)E1から延設端(第2の延設端)E2まで延設される。本実施形態では、シワ30の延設端(第1の延設端)E1は、集電体基部17の基部縁21と集電タブ16の対応する1つのタブ側縁(第1のタブ側縁)25との交差部分C1の近傍に、位置する。そして、シワ30の延設端(第2の延設端)E2は、集電体基部17の基部縁21と集電タブ16の対応する1つのタブ側縁(第2のタブ側縁)26との交差部分C2の近傍に、位置する。また、本実施形態では、シワ30において、延設端E1,E2の両方が、活物質含有層15の層縁27に接する。したがって、シワ30の延設端E1,E2は、電極11の長さ方向について、活物質含有層15の層縁27に対して、ずれていない、又は、ほとんどずれていない。すなわち、電極11の厚さ方向からの投影において、シワ30の延設端E1,E2は、活物質含有層15の層縁27に対して重なる。
【0039】
また、電極11の厚さ方向から視て、シワ30は、集電タブ16の突出方向に凸となる円弧状に形成される。したがって、シワ30では、電極11の幅方向について延設端E1,E2から離れた位置ほど、集電タブ16が突出する側に位置する。すなわち、シワ30では、電極11の幅方向について延設端E1,E2から離れた位置ほど、活物質含有層15の層縁27からの距離が大きくなる。また、シワ30では、延設端E1,E2から離れた位置ほど、電極11の幅方向について、集電タブ16の対応する1つの内側に位置する。
【0040】
また、本実施形態では、シワ30の延設端E1,E2は、集電体基部17の未担持部分18に位置する。また、シワ30において、活物質含有層15の層縁27から最も離れた位置は、集電タブ16に位置する。このため、シワ30は、延設端E1と層縁27から最も離れた位置との間において、集電体基部17と集電タブ16との境界(集電タブ16の根元位置)を超えて延設され、延設端E2と層縁27から最も離れた位置との間において、集電体基部17と集電タブ16との境界を超えて延設される。したがって、集電体13では、集電タブ16及び集電体基部17の未担持部分18に跨って、シワ30が形成される。なお、シワ30において層縁27から最も離れた位置は、電極11の幅方向について、集電タブ16の中央部に位置する。
【0041】
ここで、凹状のシワ30の深さD、凹状のシワ30の幅Wを規定する。シワ30の深さDは、シワ30が形成する凹形状において、開口から底部までの寸法に相当する。また、シワ30の幅Wは、シワ30が形成する凹形状において、電極11の長さ方向に沿った開口の寸法に相当し、凹形状の開口縁から開口縁までの電極11の長さ方向に沿った寸法に相当する。また、シワ30において活物質含有層15の層縁27から最も離れた位置までの層縁27からの距離H、電極11の幅方向に沿ったシワ30の延設端E1,E2の間の寸法Aを規定する。シワ30では、以下の式(1)及び式(2)が成立することが好ましい。すなわち、幅Wに対する深さDの比率が、0.067以上0.270以下であることが好ましい。そして、寸法Aに対する距離Hの比率が、0.033以上0.200以下であることが好ましい。また、ある一例では、前述の距離Hは、4mm以下であることが好ましい。
【0042】
0.067 ≦ D/W ≦ 0.270 (1)
0.033 ≦ H/A ≦ 0.200 (2)
深さD、幅W、距離H及び寸法A等のシワ30に関連する前述のパラメータは、例えば、レーザー顕微鏡を用いて計測可能である。例えば、パラメータの計測では、シワ30を、複数の領域に分けて、レーザー顕微鏡で観察する。そして、観察した複数の領域を繋ぎ合わせることにより、シワ30の全体像を観察する。シワ30の全体像を観察することにより、シワ30において活物質含有層15の層縁27から最も離れた位置までの層縁27からの距離H、及び、電極11の幅方向に沿ったシワ30の延設端E1,E2の間の寸法Aを、確認可能になる。また、シワ30の全体像を観察することにより、延設端E1,E2のそれぞれについて、活物質含有層15の層縁27に接しているか否かを確認可能になる。
【0043】
また、シワ30の深さD及び幅Wの計測においては、基準位置から集電体13の外表面までの電極11の厚さ方向についての距離γを、レーザー顕微鏡を用いてラインスキャンする。この際、ラインスキャンは、活物質含有層15の層縁27から電極11の長さ方向(集電タブ16の突出方向)に沿って行われ、シワ30より集電タブ16の突出端縁23に近い位置まで行われる。また、ラインスキャンは、電極11の幅方向についてシワ30が延設される範囲(延設端E1,E2の間の範囲)において、複数のラインで行われる。ある一例では、電極11の幅方向について一定の間隔の複数のラインのそれぞれで、前述のラインスキャンが電極11の長さ方向に沿って行われる。複数のラインの間の一定の間隔は、例えば、1mmである。なお、距離γの基準位置は、例えば、レーザー顕微鏡のステージの位置である。
【0044】
図7は、複数のラインのある1つのラインにおける、基準位置から集電体13の外表面までの電極11の厚さ方向についての距離γのラインスキャンの結果の一例を示す。図7では、横軸に、集電タブ16の突出方向への活物質含有層15の層縁27からの距離αを示し、縦軸に前述の距離γを示す。シワ30の深さD及び幅Wの計測においては、ある1つのラインでのラインスキャンの結果において、距離γのピークトップ(極大値)を計測し、ピークトップの座標(α1,γ1)を計測する。
【0045】
そして、距離αがα1-Δα以上α1以下となる範囲において、距離γの極小値を計測し、極小値の座標(α2,γ2)を計測する。これにより、ピークトップより寸法Δαだけ層縁27が位置する側の位置からピークトップまでの間において、距離γの極小値が計測される。また、距離αがα1以上α1+Δα以下となる範囲において、距離γの極小値を計測し、極小値の座標(α3,γ3)を計測する。これにより、ピークトップからピークトップより寸法Δαだけ層縁27とは反対側の位置までの間において、距離γの極小値が計測される。ある一例では、寸法Δαは、2mmである。
【0046】
そして、極小値の座標(α2,γ2)と極小値の座標(α3,γ3)との間の直線距離を、ラインにおけるシワ30の幅Wmと規定する。また、座標(α2,γ2)と座標(α3,γ3)とを結ぶ直線とピークトップの座標(α1,γ1)との間の直線距離を、ラインにおけるシワ30の深さDmと規定する。シワ30の深さD及び幅Wの計測では、前述した複数のラインのそれぞれについて、シワ30の深さDm及び幅Wmを計測する。そして、複数のラインで計測した深さDmの平均値を、シワ30の深さDとする。また、複数のラインで計測した幅Wmの平均値を、シワ30の深さWとする。
【0047】
前述のような集電タブ16の根元位置及びその近傍の範囲に形成されるシワ30は、電極11の集電体13の複数の集電タブ16の中の全てに形成される必要はない。ただし、電極11の集電体13では、前述のシワ30は、複数の集電タブ16の中の少なくとも1つには、形成される。そして、前述のシワ30は、電極11の集電体13の複数の集電タブ16の中の半数以上に形成されることが、好ましい。
【0048】
また、本実施形態では、図3及び図4等に示すように、セパレータ12A,12Bのそれぞれは、一対のセパレータ縁31,32を備える。セパレータ12A,12Bのそれぞれでは、電極群2の長さ方向についての両縁のそれぞれは、セパレータ縁31,32の対応する一方によって形成される。セパレータ12A,12Bのそれぞれでは、セパレータ縁(第1のセパレータ縁)31は、電極群2の長さ方向について集電タブ16(16A,16B)が位置する側の縁を形成し、セパレータ縁(第2のセパレータ縁)32は、電極群2の長さ方向についてセパレータ縁31とは反対側の縁を形成する。
【0049】
電極群2では、セパレータ12A,12Bのセパレータ縁32は、長さ方向について、集電体13の基部縁22及び活物質含有層15の層縁28に対して、外側に位置する。また、正極集電体13Aの基部縁22及び正極活物質含有層15Aの層縁28は、電極群2の長さ方向について、負極集電体13Bの基部縁22及び負極活物質含有層15Bの層縁28に対して、ずれていない、又は、ほとんどずれていない。このため、電極群2では、厚さ方向からの投影において、正極集電体13Aの基部縁22及び正極活物質含有層15Aの層縁28は、負極集電体13Bの基部縁22及び負極活物質含有層15Bの層縁28に対して、重なる、又は、ほぼ重なる。
【0050】
また、電極群2では、セパレータ12A,12Bのセパレータ縁31は、長さ方向について、集電体13の集電体基部17の基部縁21に対して、外側に位置する。すなわち、セパレータ縁31は、集電体基部17の基部縁21に対して、集電タブ16が突出する側に位置し、集電タブ16の突出端縁23に近い側に位置する。ただし、集電体13のそれぞれの基部縁21は、電極群2の長さ方向について、集電タブ16の突出端縁23に対して、内側に位置する。また、電極11のそれぞれでは、シワ30のそれぞれの少なくとも一部は、電極群20の長さ方向について、セパレータ12A,12Bのセパレータ縁31に対して、内側に位置する。そして、シワ30のそれぞれの延設端E1,E2は、セパレータ縁31に対して、集電タブ16が突出する側とは反対側に位置する。
【0051】
また、本実施形態では、正極集電体13Aの基部縁21は、電極群2の長さ方向について、負極集電体13Bの基部縁21対して、内側に位置し、正極集電体13Aの基部縁21は、負極集電体13Bの基部縁21対して、集電タブ16A,16Bが突出する側とは反対側に位置する。前述のような構成であるため、正極11Aにおいてセパレータ12Aと対向する部分の対向面積は、負極11Bにおいてセパレータ12Aと対向する部分の対向面積に比べて、小さい。そして、正極11Aにおいてセパレータ12Bと対向する部分の対向面積は、負極11Bにおいてセパレータ12Bと対向する部分の対向面積に比べて、小さい。なお、本実施形態では、正極活物質含有層15Aの層縁27は、電極群2の長さ方向について、負極活物質含有層15Bの層縁27対して、内側に位置し、正極活物質含有層15Aの層縁27は、負極活物質含有層15Bの層縁27対して、集電タブ16A,16Bが突出する側とは反対側に位置する。
【0052】
ここで、シワ30の形成について説明する。前述のように、電極11のそれぞれの形成では、活物質含有層15を形成するスラリーを集電体13に塗布し、塗布したスラリーを乾燥した後、電極11を圧延する。圧延では、集電体13において活物質含有層15を担持する部分は圧延されるが、集電体13において活物質含有層15を未担持の部分は圧延されない。このため、集電体13では、活物質含有層15を担持する部分と活物質含有層15を未担持の部分との間で、圧延による伸び率の差が生じる。また、電極11の圧延においては、シワ30が電極に形成されない電池等の製造時と比べて、高い荷重が電極11に印加される。このため、圧延した後の電極11では、シワ30が形成されない電極等に比べて、活物質含有層の電極密度が極めて大きくなる。例えば、圧延した後において、正極の正極活物質層の密度は3.1g/cmとなり、負極の負極活物質含有層の密度は、2.2g/cmとなる。圧延による伸び率の差によって、集電体13では、活物質含有層15を担持する部分と活物質含有層15を未担持の部分との境界部分及びその近傍に、ひずみ等が生じる。これにより、活物質含有層15を担持する部分と活物質含有層15を未担持の部分との境界部分又はその近傍に、シワ30が形成され、集電タブ16の根元位置及びその近傍の範囲に、シワ30が形成される。
【0053】
なお、活物質含有層15を形成するスラリーの圧延における荷重は、電極11の幅方向についての集電タブ16の寸法、すなわち、交差部分C1,C2の間の距離(タブ側縁25,26の間の距離)に対応させて、変化させる。この際、電極11の幅方向についての集電タブ16の寸法が小さいほど、圧延における荷重を大きくする。また、電極11の幅方向に沿ったシワ30の延設端E1,E2の間の寸法Aは、電極群2の幅方向についての集電タブ16の寸法を変更することで、調整可能である。
【0054】
本実施形態の電極11のそれぞれでは、前述のシワ30が1つ以上設けられ、シワ30のそれぞれは、集電タブ16の対応する1つ及びその近傍の範囲に形成される。シワ30のそれぞれは、延設端E1から延設端E2まで延設される。そして、シワ30のそれぞれでは、延設端E1は、集電体基部17の基部縁21と集電タブ16のタブ側縁25との交差部分C1の近傍に位置し、延設端E2は、集電体基部17の基部縁21と集電タブ16のタブ側縁26との交差部分C2の近傍に位置する。本実施形態では、前述のようにシワ30が形成されることにより、集電タブ16での発熱による集電タブ16及びその近傍での温度の上昇が、抑制され、活物質の劣化の度合いが集電タブ16の近傍で局所的に大きくなることが、抑制される。この理由の1つとして、以下のことが考えられる。
【0055】
ここで、電池1等の電極群2では、電気経路の延設方向に直交又は略直交する断面の断面積は、集電タブ16において、集電体基部17等の集電体13の集電タブ16以外の部分に比べて、小さい。このため、集電タブ16では、集電体13の集電タブ16以外の部分に比べて、電気抵抗が大きい。また、電極群2では、集電タブ16(集電タブの積層部分)は、集電体基部17及びセパレータ12の積層部分等の電極群2の集電タブ16以外の部分に比べて、体積が小さい。このため、集電タブ16では、電極群2の集電タブ16以外の部分に比べて、熱容量が小さい。したがって、電池1が大電流で充電又は放電されている状態では、集電タブ16のそれぞれでの発熱が大きくなる。また、集電タブ16では電極群2の集電タブ16以外の部分に比べて熱容量が小さいため、電池1の充電及び放電を停止すると、電極群2では、集電タブ16から冷却される。特に、集電タブ16では、突出端縁23及びその近傍から、冷却される。
【0056】
前述のように集電タブ16が冷却されることにより、揮発している電解液の蒸気が液化し、液化した電解液が集電タブ16に付着する。また、電解液の液滴と集電タブ16等を含む集電体13との接触角は小さく、集電タブ16に付着した液滴は、集電体13において活物質含有層15を未担持の部分の表面上を移動する(流動する)。本実施形態では、前述のように集電体13にシワ30が形成される。このため、集電体13の表面上を移動する液滴は、集電タブ16の根元位置及びその近傍の範囲に形成されるシワ30に集まり易くなる。
【0057】
そして、電池1を充電又は放電すると、集電タブ16で発生した熱によって、シワ30に集まった液滴が気化し、液滴の気化によって、集電タブ16で発生した熱が吸収される。このため、大電流で電池1を充電又は放電しても、シワ30に集まった液滴の気化熱によって、集電タブ16での発生した熱が吸収され、集電タブ16及びその近傍での温度の上昇が抑制される。これにより、活物質の劣化の度合いが集電タブ16の近傍で局所的に大きくなることが、抑制される。
【0058】
また、本実施形態では、シワ30のそれぞれは、電極11の厚さ方向から視て、集電タブ16の突出方向に凸となる円弧状に形成される。電極11の厚さ方向からシワ30が円弧状になることにより、電池1への外部衝撃等によって電極群2が振動しても、シワ30が伸び難くなる。したがって、電池1をある程度の期間使用した後でも、集電体13において前述のシワ30が形成された状態が、維持される。
【0059】
また、本実施形態では、シワ30の延設端E1,E2の両方が、活物質含有層15に接する。このような構成であることにより、活物質含有層15において集電タブ16の近傍の部分が、シワ30に集まった液滴によって、さらに適切に冷却される。これにより、集電タブ16の近傍で活物質の劣化の度合いが局所的に大きくなることが、さらに適切に抑制される。
【0060】
また、シワ30では、シワ30の幅Wに対するシワ30の深さDの比率が、前述の式(1)の条件を満たすことが好ましい。これにより、シワ30が過度に浅くならないため、電解液等の液滴がシワ30に適切に溜まる。また、シワ30が過度に深くならないため、シワ30に起因する集電タブ16の強度の低下が、防止される。これにより、電池1への外部衝撃等によって電極群2が振動しても、集電タブ16の破損が、有効に防止される。また、シワ30が過度に深くならないため、集電タブ16と電極端子41との間の電気経路の経路長がシワ30によって過度に長くなることが、防止される。これにより、集電タブ16と電極端子41との間の電気抵抗がシワ30に起因して高くなることが、防止される。
【0061】
また、前述の式(1)の条件を満たすことにより、シワ30の幅Wが過度に狭くならないため、電解液等の液滴がシワ30に適切に溜まる。また、前述の式(1)の条件を満たすことにより、シワ30の幅Wが過度に広くならないため、シワ30に溜まった液滴が、シワ30において適切に保持される。また、シワ30の幅Wが過度に広くならないため、集電タブ16と電極端子41との間の電気経路の経路長がシワ30によって過度に長くなることが、防止される。これにより、集電タブ16と電極端子41との間の電気抵抗がシワ30に起因して高くなることが、防止される。
【0062】
また、前述のように寸法A及び距離Hを規定すると、シワ30では、寸法Aに対する距離Hの比率が、前述の式(2)の条件を満たすことが好ましい。式(2)の条件を満たすことにより、シワ30において、活物質含有層15から過度に離れる部分が存在しなくなり、シワ30の全体が、活物質含有層15からある程度近い位置に形成される。これにより、活物質含有層15において集電タブ16の近傍の部分が、シワ30に集まった液滴によって、さらに適切に冷却される。そして、集電タブ16の近傍で活物質の劣化の度合いが局所的に大きくなることが、さらに適切に抑制される。
【0063】
また、式(2)の条件を満たすことにより、シワ30において、層縁27から最も離れた位置まで延設端E1,E2のそれぞれからの電極11の長さ方向についての距離が、過度に小さくならない。このような構成であることにより、電池1への外部衝撃等によって電極群2が振動しても、シワ30が伸び難くなる。したがって、電池1をある程度の期間使用した後でも、集電体13において前述のシワ30が形成された状態が、適切に維持される。また、電池1の製造時においても、形成されたシワ30の伸びが抑制される。
【0064】
また、本実施形態では、正極11Aと負極11Bとの間にセパレータ12A,12Bが設けられる。このため、正極11A及び負極11Bのそれぞれでは、セパレータ12A,12Bに保持されている電解液等も、シワ30に溜まり易くなる。また、本実施形態では、電極11のそれぞれでは、シワ30のそれぞれの少なくとも一部は、セパレータ12A,12Bのセパレータ縁31に対して、集電タブ16が突出する側とは反対側に位置する。このため、セパレータ12A,12Bに保持されている電解液等が、シワ30にさらに溜まり易くなる。
【0065】
[変形例]
以下、前述の実施形態等の変形例を、図8乃至図10を参照して、説明する。なお、図8乃至図10は、電極群2の2種類の電極11の一方において、集電タブ16及びその近傍の構成を示す。また、図8乃至図10では、電極11の厚さ方向の一方側から視た状態を示し、活物質含有層15は、ドットのハッチングで示す。
【0066】
図8に示す第1の変形例でも、電極11のそれぞれに、シワ30が形成される。ただし、本変形例では、シワ30において、延設端E1は、活物質含有層15の層縁27に接するが、延設端E2は、活物質含有層15の層縁27に接していない。また、ある変形例では、シワ30において、延設端E2は、活物質含有層15の層縁27に接するが、延設端E1は、活物質含有層15の層縁27に接していない。また、別のある変形例では、シワ30において、シワ30の両方が、活物質含有層15の層縁27に接していない。ただし、いずれの変形例でも、シワ30の延設端E1は、集電体基部17の基部縁21と集電タブ16のタブ側縁25との交差部分C1、又は、その近傍に位置し、シワ30の延設端E2は、集電体基部17の基部縁21と集電タブ16のタブ側縁26との交差部分C2、又は、その近傍に位置する。そして、シワ30は、電極11の厚さ方向から視て、集電タブ16の突出方向に凸となる円弧状に形成される。
【0067】
また、延設端E1,E2の少なくとも一方が活物質含有層15の層縁27に接していない構成であっても、活物質含有層15の層縁27から延設端E1及び/又はE2までの集電タブ16の突出方向への距離は、2mm程度である。また、延設端E1,E2の少なくとも一方が活物質含有層15の層縁27に接していない構成であっても、前述した寸法Aに対する距離Hの比率が式(2)の条件を満たすことが、好ましい。これにより、前述の実施形態等と同様に、活物質含有層15において集電タブ16の近傍の部分が、シワ30に集まった液滴によって、適切に冷却される。
【0068】
また、図9に示す第2の変形例では、電極11において、ある集電タブ16の根元位置及びその近傍の範囲に、前述のシワ30に加えて、シワ35が設けられる。本変形例では、シワ35は、一対の延設端を備え、シワ35は、一対の延設端の間に延設される。そして、延設端の一方は、交差部分C1又はその近傍に位置し、延設端の他方は、交差部分C2又はその近傍に位置する。そして、シワ35は、電極11の厚さ方向から視て、集電タブ16の突出方向に凸となる円弧状に形成される。また、本変形例では、シワ35は、シワ30に対して、集電タブ16が突出する側に位置する。
【0069】
なお、前述の実施形態等と同様にシワ30が形成されれば、シワ35等のシワ30以外のシワの構成は、図9の変形例とは異なってもよい。ある変形例では、シワ35は、電極11の厚さ方向から視て、円弧状にならず、シワ35は、電極11の厚さ方向から視て、例えば、直線状になる。また、別のある変形例では、シワ35の延設端の一方が、交差部分C1及びその近傍以外の位置に位置し、例えば、電極群2の幅方向に交差部分C1から離れた位置に位置する。そして、シワ35の延設端の他方が、交差部分C2及びその近傍以外の位置に位置し、例えば、電極群2の幅方向に交差部分C2から離れた位置に位置する。ただし、いずれの変形例でも、電極11には、前述の実施形態等と同様にして、シワ30が形成される。したがって、いずれの変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0070】
また、図10に示す第3の変形例では、電極11において、集電体基部17に活物質含有層15の未担持部分18が形成されない。すなわち、集電体基部17の片面全体又は両面全体に渡って、活物質含有層15が担持される。本変形例でも、集電タブ16のそれぞれでは、活物質含有層15は担持されない。本変形例では、活物質含有層15の層縁27は、電極11の長さ方向について、集電体基部17の基部縁21に対して、ずれていない、又は、ほとんどずれていない。すなわち、電極11の厚さ方向からの投影では、活物質含有層15の層縁27は、集電体基部17の基部縁21に対して、重なる、又は、ほぼ重なる。
【0071】
本変形例では、シワ30において、延設端E1,E2の間の全体が、集電タブ16に形成される。ただし、本変形例でも、シワ30の延設端E1は、交差部分C1又はその近傍に位置し、シワ30の延設端E2は、交差部分C2又はその近傍に位置する。そして、シワ30は、電極11の厚さ方向から視て、集電タブ16の突出方向に凸となる円弧状に形成される。すなわち、本変形例でも、前述の実施形態等と同様にして、シワ30が形成される。このため、本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0072】
また、前述の実施形態等では、正極11A及び負極11Bの両方にシワ30が形成されるが、ある変形例では、正極11A及び負極11Bの一方のみにシワ30が形成されてもよい。ここで、正極11A及び負極11Bの中で、シワ30が形成される一方を第1の電極とし、正極11A及び負極11Bの中で第1の電極とは逆の極性の一方を第2の電極とする。本変形例では、シワ30が形成される第1の電極においてセパレータ(12A,12B)と対向する部分の対向面積は、シワ30が形成されない第2の電極においてセパレータ(12A,12B)と対向する部分の対向面積に比べて、小さい。
【0073】
また、正極11Aでは、負極11Bに比べて、シワ30が形成されることに起因する前述の効果が、顕著になる。このため、正極11A及び負極11Bの一方のみにシワ30が形成される場合、正極11Aにシワ30が形成されることが、好ましい。そして、正極11Aにおいてセパレータ(12A,12B)と対向する部分の対向面積は、負極11Bにおいてセパレータ(12A,12B)と対向する部分の対向面積に比べて、小さいことが、好ましい。
【0074】
また、捲回構造ではなくスタック構造の電極群であっても、前述の実施形態等のいずれかと同様にして、正極及び負極の少なくとも一方に、シワ30と同様のシワを形成可能である。なお、スタック構造の電極群では、複数の正極及び複数の負極が交互に積層され、正極と負極との間にはセパレータが設けられる。そして、複数の正極のそれぞれに、正極集電タブが形成され、複数の正極集電タブは積層及び結束される。同様に、複数の負極のそれぞれに、負極集電タブが形成され、複数の負極集電タブは積層及び結束される。そして、集電タブのそれぞれは、電極群において外側に突出する。
【0075】
また、前述の実施形態等では、電極群において、正極集電タブ及び負極集電タブが互いに対して同一の側に突出するが、例えば、正極集電タブ及び負極集電タブが互いに対して反対側に突出する電極群にも、シワ30と同様のシワを、電極に形成可能である。正極集電タブ及び負極集電タブが互いに対して反対側に突出する電極群でも、正極及び負極のそれぞれの集電体において、集電体基部から集電タブが突出する。そして、電極群では、複数の正極集電タブが積層及び結束され、複数の負極集電タブが積層及び結束される。
【0076】
なお、正極集電タブ及び負極集電タブが互いに対して反対側に突出する電極群では、電極群の幅方向についての正極集電タブ及び負極集電タブのそれぞれの寸法は、幅方向についての電極群の全寸法(全幅)の半分値より、大きくてもよい。ただし、この場合も、電極群の幅方向についての正極集電タブ及び負極集電タブのそれぞれの寸法は、幅方向についての電極群の全寸法(全幅)に比べて、小さい。
【0077】
また、電池の外装部は、外装容器3及び蓋部材5から形成される図1等の一例の構成に限るものではない。ある変形例では、参照文献1(国際公開2016/204147号公報)のように、金属製の第1の外装部材及び第2の外装部材から外装部が形成されてもよい。この場合、第1の外装部材は、底壁及び周壁を備え、第1の外装部材では、周壁において底壁とは反対側の端部からフランジが外周側へ突出する。そして、第1の外装部材のフランジに第2の外装部材が取付けられる。また、別のある変形例では、金属層が樹脂層で挟まれた三層構造のラミネートフィルムから、電池の外装部が形成されてもよい。いずれの変形例でも、前述の実施形態等のいずれかと同様にして、シワ30と同様のシワが、電極に形成される。
【0078】
[実施形態に関連する検証]
また、前述の実施形態等に関連する検証を行った。以下、行った検証について、説明する。検証では、実施例1~13及び比較例1の電池を作製し、実施例1~13及び比較例1の電池のそれぞれについて、サイクル特性等の評価を行った。
【0079】
(実施例1)
実施例1では、正極及び負極を備える電極群を以下のようにして作成した。正極では、正極集電体として、厚さ20μmのアルミニウム箔を用いた。また、正極活物質としては、ニッケルコバルトマンガン複合酸化物の一種であるリチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi0.33Co0.33Mn0.33)を用いた。また、導電剤としては、炭素質物であるカーボンブラックを用い、結着剤としては、ポリマー樹脂の一種であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いた。リチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物を90質量%、カーボンブラックを5質量%、ポリフッ化ビニリデンを5質量%の配合比で、有機溶媒の一種であるN-メチルピロリドン(NMP)の溶媒に懸濁し、スラリーを調整した。なお、スラリーの調整には、アイメックス社製のニュービスコミル(NVM-2)を使用した。
【0080】
そして、アルミニウム箔の両面に調整したスラリーを塗布し、アルミニウム箔に塗布されたスラリーを乾燥及び圧延することにより、アルミニウム箔の両面に正極活物質含有層を形成した。このように形成された正極活物含有質層では、密度が3.1g/cmとなった。また、正極集電体において正極活物質含有層が未担持の部分をカットして、複数の正極集電タブを形成した。正極の幅方向に沿った正極集電タブのそれぞれの寸法、すなわち、正極集電タブのそれぞれの幅は、20mmとした。そして、正極集電タブのそれぞれの突出長、すなわち、正極集電タブのそれぞれの根元位置から突出端までの距離は、20mmとした。また、正極集電体では、前述の実施形態等と同様に、集電体基部の一部にも、正極活物質含有層の未担持部分を形成した。正極活物質含有層の層縁から集電体基部の基部縁(集電タブの突出の根元位置)までの距離、すなわち、正極の長さ方向に沿った集電体基部の未担持部分の寸法は、1mmとした。また、前述のようにスラリーを圧延することにより、正極集電タブのそれぞれの根元位置及びその近傍の範囲に、前述の実施形態等のシワ30と同様のシワを形成した。
【0081】
負極では、負極集電体として、厚さ20μmのアルミニウム箔を用いた。また、負極活物質としては、リチウムチタン含有複合酸化物の一種であるLiTi12を用いた。また、導電剤としては、炭素質物であるカーボンブラックを用い、結着剤としては、ポリマー樹脂の一種であるポリフッ化ビニリデンを用いた。リチウムチタン含有複合酸化物を90質量%、カーボンブラックを5質量%、ポリフッ化ビニリデンを5質量%の配合比で、有機溶媒の一種であるN-メチルピロリドンの溶媒に懸濁し、スラリーを調整した。
【0082】
そして、アルミニウム箔の両面に調整したスラリーを塗布し、アルミニウム箔に塗布されたスラリーを乾燥及び圧延することにより、アルミニウム箔の両面に負極活物質含有層を形成した。このように形成された負極活物質含有層では、密度が2.2g/cmとなった。また、負極集電体において負極活物質含有層が未担持の部分をカットして、複数の負極集電タブを形成した。負極の幅方向に沿った負極集電タブのそれぞれの寸法、すなわち、負極集電タブのそれぞれの幅は、20mmとした。そして、負極集電タブのそれぞれの突出長、すなわち、負極集電タブのそれぞれの根元位置から突出端までの距離は、20mmとした。また、負極集電体では、前述の実施形態等と同様に、集電体基部の一部にも、負極活物質含有層の未担持部分を形成した。負極活物質含有層の層縁から集電体基部の基部縁(集電タブの突出の根元位置)までの距離、すなわち、負極の長さ方向に沿った集電体基部の未担持部分の寸法は、1mmとした。また、前述のようにスラリーを圧延することにより、負極集電タブのそれぞれの根元位置及びその近傍の範囲に、前述の実施形態等のシワ30と同様のシワを形成した。
【0083】
前述のように正極及び負極を作成すると、正極、セパレータ、負極及びセパレータの順に積層された積層体を形成し、積層体を捲回することにより、図2等の一例と同様に、捲回構造の電極群を形成した。セパレータは、不織布を用いた。また、電極群は、負極が最外周になる状態に、捲回した。そして、捲回した電極群をプレスし、電極群を扁平形状に形成した。
【0084】
また、電池としては、図1等の一例と同様に、外装容器3及び蓋部材5を外装部として備える電池を形成した。前述のように電極群を形成すると、蓋部材に取付けられた正極端子にリード等を間に介して正極集電タブを電気的に接続し、蓋部材に取付けられた負極端子にリード等を間に介して負極集電タブを電気的に接続した。そして、外装容器の内部空洞に、蓋部材と組立てられた電極群を挿入した。そして、蓋部材を外装容器に取付け、内部空洞の開口を塞いだ。なお、外装容器及び蓋部材は、アルミニウムから形成し、外装容器及び蓋部材のそれぞれの肉厚は、0.3mmに形成した。
【0085】
前述のように電極群を外装容器の内部空洞に挿入し、かつ、蓋部材を外装容器に取付けると、蓋部材の注液口から電解液を内部空洞に注入し、電極群に電解液を含浸させた。電解液としては、非水電解液を用いた。非水電解液では、有機溶媒に溶解される電解質として、リチウム塩の1種である六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を用いた。また、有機溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネイト(EMC)とを体積比1:2で混合した有機溶媒を用いた。非水電解液では、LiPFを有機溶媒に1mol/Lとなるように溶解させ、非水電解液を調整した。そして、電解液を内部空洞に前述のように注入した後に、注液口を封止し、電池を形成した。
【0086】
前述のように形成された電池では、外装容器の底壁の外表面と蓋部材の外表面との距離、すなわち、高さ方向に沿った電池の寸法が、25mmとなった。また、高さ方向に交差する(直交又は略直交する)横方向に沿った電池の寸法が、30mmとなり、高さ方向及び横方向に交差する(直交又は略直交する)奥行き方向に沿った電池の寸法が、5mmとなった。なお、形成された電池では、蓋部材の長辺縁に沿った方向を横方向と規定し、蓋部材の短辺縁に沿った方向を奥行き方向と規定した。また、形成された電池では、蓋部材の外表面において、一対の電極端子は、互いに対して横方向に離れて、位置した。また、形成された電池の重量は、10gとなった。
【0087】
また、前述のように形成した電池について、製造時の電池容量、すなわち、初期の電池容量を計測した。製造時の電池容量の計測では、形成された電池を25℃の環境下で充電した。電池の充電では、まず、電池の電圧が2.8Vに上昇するまで、充電電流が20mAの定電流で電池を充電した。そして、電池の電圧が2.8Vになると、充電電流が5mAに減少するまで、電圧が2.8Vの定電圧で電池を充電した。そして、充電電流が5mAに減少すると、電池の充電を停止した。
【0088】
また、製造時の電池容量の計測では、前述の充電に継続して、25℃の環境下で電池から放電した。電池からの放電では、電池の電圧が1.5Vに下降するまで、放電電流が20mAの定電流で電池から放電した。そして、電池の電圧が1.5Vまで下降すると、電池からの放電を停止した。前述のように電池から放電している状態での電池の放電容量を、製造時の電池容量として計測した。この結果、計測された電池容量は、250mAhであった。
【0089】
また、検証では、形成した電池について後述する試験(サイクル特性試験)を行った後、電池を解体した。そして、解体した電池について、シワに関連する前述のパラメータを計測する等して、シワの形状を含む集電タブ及びその近傍の形状等を確認した。電池の解体は、ドラフト内で行った。電池を解体することにより、外装容器の内部空洞から、電極群を取出した。電極群の取出しにおいては、まず、外装容器を切断し、電極群を蓋部材及び電極端子等と一体に、内部空洞から取出した。電極群の取出し作業では、外装容器の切断等を注意して行うことにより、集電タブの根元位置及びその近傍の範囲での新たなシワの形成を、防止した。そして、リードのそれぞれを電極端子との接続位置の近傍で切断し、電極群を蓋部材から切離した。この際、集電タブ及び集電タブ以外の部分で電極群を抑えた状態でリードのそれぞれを切断することにより、集電タブへの衝撃を抑制した。
【0090】
そして、前述のように電極群を蓋部材から切離した後、シワに関連するパラメータを計測した。この際、シワの両方の延設端(E1,E2)のそれぞれが、活物質含有層に接しているか否かも、確認した。シワに関連するパラメータとしては、シワの深さD、シワの幅W、シワにおいて活物質含有層の層縁から最も離れた位置までの層縁からの距離H、及び、電極の幅方向に沿ったシワの延設端(E1,E2)の間の寸法Aを計測した。シワに関連するパラメータは、レーザー顕微鏡を用いて、前述した方法によって計測した。シワに関連するパラメータを計測した結果、深さDが0.12mm、幅Wが0.875mm、距離Hが1.5mm、寸法Aが20mmとなった。この結果、幅Wに対する深さDの比率が、0.137となり、寸法Aに対する距離Hの比率が、0.075となった。また、確認の結果、シワの延設端(E1,E2)の両方が、活物質含有層に接していた。
【0091】
(実施例2~13及び比較例1)
実施例2~13のそれぞれでも、実施例1と同様に、正極集電タブ及び負極集電タブのそれぞれの根元位置及びその近傍の範囲に、前述の実施形態等のシワ30と同様のシワを形成した。ただし、実施例2~13のそれぞれでは、シワに関連するパラメータのいずれか、すなわち、幅W、深さD、寸法A及び距離Hのいずれかが、実施例1とは異なった。実施例2~13のそれぞれでは、シワに関連するパラメータ以外については、実施例1と同様にした。
【0092】
実施例2では、距離Hが3mmとなったこと以外のシワに関連するパラメータの値は実施例1と同様である。このため、寸法Aに対する距離Hの比率が、0.15となった。実施例3では、幅Wが1mmとなったこと以外のシワに関連するパラメータの値は実施例1と同様である。このため、幅Wに対する深さDの比率が、0.12となった。実施例4では、幅Wが0.75mmとなったこと以外のシワに関連するパラメータの値は実施例1と同様である。このため、幅Wに対する深さDの比率が、0.16となった。実施例5では、深さDが0.1mmとなったこと以外のシワに関連するパラメータの値は実施例1と同様である。このため、幅Wに対する深さDの比率が、0.11となった。実施例6では、深さDが0.2mmとなったこと以外のシワに関連するパラメータの値は実施例1と同様である。このため、幅Wに対する深さDの比率が、0.23となった。
【0093】
実施例7では、幅Wが0.625mmとなり、距離Hが1mmとなったこと以外のシワに関連するパラメータの値は実施例1と同様である。このため、幅Wに対する深さDの比率が、0.19となり、寸法Aに対する距離Hの比率が、0.05となった。実施例8では、幅Wが1mmとなり、距離Hが3mmとなったこと以外のシワに関連するパラメータの値は実施例1と同様である。このため、幅Wに対する深さDの比率が、0.12となり、寸法Aに対する距離Hの比率が、0.15となった。実施例9では、電極群の幅方向についての集電タブの寸法(幅)を実施例1に比べて大きくすることで、寸法Aが25mmとなったこと以外のシワに関連するパラメータの値は実施例1と同様である。このため、寸法Aに対する距離Hの比率が、0.06となった。実施例10では、深さDが0.08mmとなり、幅Wが1.2mmとなったこと以外のシワに関連するパラメータの値は実施例1と同様である。このため、幅Wに対する深さDの比率が、0.067となった。実施例11では、深さDが0.18mmとなり、幅Wが0.7mmとなったこと以外のシワに関連するパラメータの値は実施例1と同様である。このため、幅Wに対する深さDの比率が、0.257となった。実施例12では、距離Hが1mmとなり、電極群の幅方向についての集電タブの寸法を実施例1に比べて大きくすることで、寸法Aが30mmとなったこと以外のシワに関連するパラメータの値は実施例1と同様である。このため、寸法Aに対する距離Hの比率が、0.033となった。実施例13では、距離Hが3mmとなり、電極群の幅方向についての集電タブの寸法を実施例1に比べて小さくすることで、寸法Aが15mmとなったこと以外のシワに関連するパラメータの値は実施例1と同様である。このため、寸法Aに対する距離Hの比率が、0.2となった。
【0094】
比較例1では、正極集電タブ及び負極集電タブのそれぞれの根元位置及びその近傍の範囲に、前述の実施形態等のシワ30と同様のシワを形成しなかった。比較例1では、シワを形成しなかったこと以外については、実施例1と同様にした。なお、実施例1~9におけるシワに関連するパラメータの計測結果等は、表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
(試験内容)
検証では、前述のように形成された実施例1~13及び比較例1のそれぞれについて、以下の試験(サイクル特性試験)を行った。試験では、45℃の環境下で、形成した電池の充電及び放電を繰返し行った。電池の充電では、1000mAの定電流で、電池を充電し、電池からの放電では、1000mAの定電流で、電池から放電した。また、電池の充電及び放電は、電池の電圧が1.5V以上2.8V以下の範囲で行った。したがって、電池の電圧が2.8Vまで上昇すると1回の充電を終了し、電池の電圧が1.5Vまで下降すると1回の放電を終了した。また、試験では、充電及び放電の1サイクルを、500サイクル行った。
【0097】
そして、充電及び放電を500サイクル繰返した後の電池の電池容量を計測した。そして、前述のようにして計測した製造時の電池容量(250mAh)に対する充電及び放電を500サイクル繰返した後の電池容量の比率を、電池の容量維持率として算出した。
【0098】
(試験結果及び考察)
前述のようにして行われた試験での電池の容量維持率の計測結果を、表2に示す。表2では、実施例1~13及び比較例1のそれぞれについて、計測された容量維持率を示す。
【0099】
【表2】
【0100】
容量維持率は、実施例1で92%、実施例2で90%、実施例3で91%、実施例4で92%、実施例5で90%、実施例6で92%、実施例7で93%、実施例8で91%、実施例9で90%、実施例10で91%、実施例11で90%、実施例12で91%、実施例13で90%、比較例1で74%となった。したがって、電極に前述のシワが形成される実施例1~13のそれぞれでは、電極に前述のシワが形成されない比較例1に比べ、容量維持率が高くなった。このため、前述のシワ30と同様のシワを電極(正極及び負極のいずれか)に形成することにより、集電タブでの発熱による集電タブ及びその近傍での温度の上昇が抑制され、活物質の劣化の度合いが集電タブの近傍で局所的に大きくなることが抑制されることが、実証された。
【0101】
また、実施例1~13のそれぞれでは、幅Wに対する深さDの比率が式(1)を満たし、寸法Aに対する距離Hの比率が式(2)を満たす。したがって、シワに関連するパラメータが式(1)及び式(2)を満たすことにより、活物質の劣化の度合いが集電タブの近傍で局所的に大きくなることがさらに有効に抑制されることが、実証された。
【0102】
これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例によれば、シワは、集電体基部の基部縁と集電タブの第1のタブ側縁との交差部分又はその近傍に位置する第1の延設端から、集電体基部の基部縁と集電タブの第2のタブ側縁との交差部分又はその近傍に位置する第2の延設端まで、延設される。そして、シワは、電極の厚さ方向から視て集電タブの突出方向に凸となる円弧状に、形成される。これにより、集電タブでの発熱による集電タブ及びその近傍での温度の上昇が抑制され、活物質の劣化の度合いが集電タブの近傍で局所的に大きくなることが抑制される電極を提供することができる。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、付記を記載する。
[1]集電体基部と、集電体基部の縁である基部縁から突出する集電タブと、を備える集電体を具備し、
前記集電タブは、前記集電タブの突出方向に交差する幅方向について前記集電タブの一方側の縁となる第1のタブ側縁と、前記幅方向について前記集電タブの前記第1のタブ側縁とは反対側の縁となる第2のタブ側縁と、を備え、
前記集電体には、前記集電タブの前記突出方向及び前記幅方向の両方に交差する厚さ方向に凹む状態でシワが形成され、
前記シワは、前記集電体基部の前記基部縁と前記集電タブの前記第1のタブ側縁との交差部分又はその近傍に位置する第1の延設端から前記集電体基部の前記基部縁と前記集電タブの前記第2のタブ側縁との交差部分又はその近傍に位置する第2の延設端まで延設され、前記厚さ方向から視て前記集電タブの前記突出方向に凸となる円弧状に形成される、
電極。
[2]前記集電体の前記集電体基部の表面に担持される活物質含有層をさらに具備し、
前記活物質含有層では、前記集電体基部の前記基部縁又は前記基部縁の近傍に、層縁が形成される、
[1]の電極。
[3]前記シワの前記第1の延設端及び前記第2の延設端の少なくとも一方は、前記活物質含有層の前記層縁に接する、[2]の電極。
[4]下記式(A)及び下記式(B)を満たす、[2]又は[3]の電極。
0.067 ≦ D/W ≦ 0.270 (A)
0.033 ≦ H/A ≦ 0.200 (B)
ここで、Dは、凹状の前記シワの深さを表す。Wは、凹状の前記シワの幅を表す。Hは、前記シワにおいて前記活物質含有層の前記層縁から最も離れた位置までの前記層縁からの距離を表す。Aは、前記幅方向に沿った前記シワの前記第1の延設端と前記第2の延設端との間の寸法を表す。
[5]前記集電体基部は、前記基部縁及び前記集電タブのそれぞれと前記活物質含有層の前記層縁との間に、前記活物質含有層を担持していない未担持部分を備え、
前記シワの前記第1の延設端及び前記第2の延設端のそれぞれは、前記集電体基部の前記未担持部分に位置し、
前記シワにおいて前記活物質含有層の前記層縁から最も離れた位置は、前記集電タブに位置する、
[2]乃至[4]のいずれか1つの電極。
[6]前記幅方向についての前記集電タブの寸法は、15mm以上30mm以下である、[1]乃至[5]のいずれか1つの電極。
[7]正極及び負極の一方となる[1]乃至[6]のいずれか1つの電極と、
前記正極及び前記負極の中の前記電極とは逆の極性の一方となる逆極性電極と、
を具備する、電極群。
[8]前記電極と前記逆極性電極との間に設けられ、前記電極を前記逆極性電極に対して電気的に絶縁するセパレータをさらに具備し、
前記電極において前記セパレータと対向する部分の対向面積は、前記逆極性電極において前記セパレータと対向する部分の対向面積に比べて、小さい、
[7]の電極群。
[9][7]又は[8]の電極群を具備する、電池。
[10]前記電極群を収納する外装部材と、
前記電極の前記集電タブに電気的に接続される第1の電極端子と、
前記逆極性電極に電気的に接続される第2の電極端子と、
をさらに具備する、[9]の電池。
図1
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