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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】デュアル入力画像光ガイド
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240722BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/18
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023505943
(86)(22)【出願日】2021-08-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(86)【国際出願番号】 US2021047377
(87)【国際公開番号】W WO2022046789
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】63/069,643
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516201548
【氏名又は名称】ビュージックス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Vuzix Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ, ロバート, ジェイ.
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/112836(WO,A1)
【文献】特表2020-519960(JP,A)
【文献】国際公開第2015/001839(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/104046(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
G02B 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像担持光ビームを伝播させるように動作可能な基板と、
前記基板に沿って形成され、透過型回折光学要素として動作可能であり、画像ソースからの前記画像担持光ビームの第1部分を角度的にエンコードされた形態で前記基板内に回折し、前記画像ソースからの前記画像担持光ビームの第2部分を透過するように動作可能な第1インカップリング回折光学要素と、
前記基板に沿って形成され、少なくとも一方向にアイボックスを拡大し、前記画像担持光ビームを角度的にデコードされた形態で前記基板から方向付けるように動作可能なアウトカップリング回折光学要素と、
前記基板に沿って形成され、反射型回折光学要素として動作可能であり、前記画像担持光ビームの前記第2部分の一部を、角度的にエンコードされた形態で前記基板内に回折するように動作可能な第2インカップリング回折光学要素と、
前記画像ソースの軸に沿って配置され、画像担持光ビームの前記第2部分を、前記第2インカップリング回折光学要素へと方向付けるように動作可能な光カプラと、
を備えた、バーチャル像を伝送するための画像光ガイド。
【請求項2】
前記第1インカップリング回折光学要素は、前記第2インカップリング回折光学要素よりも高い効率で第1方向から入射する画像担持光ビームを回折するように動作可能であり、前記第2インカップリング回折光学要素は、前記第1インカップリング回折光学要素よりも高い効率で第2方向から入射する画像担持光ビームを回折するように動作可能である、請求項1に記載のバーチャル像を伝送するための画像光ガイド。
【請求項3】
前記第1インカップリング回折光学要素および前記第2インカップリング回折光学要素が表面レリーフ格子を含む、請求項に記載のバーチャル像を伝送するための画像光ガイド。
【請求項4】
前記第1インカップリング回折光学要素および前記第2インカップリング回折光学要素が、傾斜した表面レリーフの格子フィーチャを備え、前記第2インカップリング回折光学要素の前記格子フィーチャが、前記第1インカップリング回折光学要素の前記格子フィーチャに対して実質的に180度傾斜している、請求項2に記載のバーチャル像を伝送するための画像光ガイド。
【請求項5】
前記第2インカップリング回折光学要素の格子フィーチャが前記第1インカップリング回折光学要素の格子フィーチャと対称である、請求項2に記載のバーチャル像を伝送するための画像光ガイド。
【請求項6】
画像担持光ビームを伝播させるように動作可能な基板と、
前記基板に沿って形成され、画像ソースからの前記画像担持光ビームの第1部分を角度的にエンコードされた形態で前記基板内に回折し、前記画像ソースからの前記画像担持光ビームの第2部分を透過するように動作可能な第1インカップリング回折光学要素と、
前記基板に沿って形成され、少なくとも一方向にアイボックスを拡大し、前記画像担持光ビームを角度的にデコードされた形態で前記基板から方向付けるように動作可能なアウトカップリング回折光学要素と、
前記基板に沿って形成され、前記画像担持光ビームの前記第2部分の一部を、角度的にエンコードされた形態で前記基板内に回折するように動作可能な第2インカップリング回折光学要素と、
前記画像ソースの軸に沿って配置され、画像担持光ビームの前記第2部分を、前記第2インカップリング回折光学要素へと方向付けるように動作可能な光カプラと、
を備え、
前記光カプラが、
第1角度で入射する前記画像担持光ビームを透過させ、第2角度で入射する前記画像担持光ビームを反射するように動作可能な第1面と、
前記画像担持光ビームを反射するように動作可能な第2面と、
前記画像担持光ビームを反射するように動作可能な第3面と、
を備えた、バーチャル像を伝送するための画像光ガイド。
【請求項7】
前記光カプラの前記第2面は前記光カプラの前記第3面と対称である、請求項に記載のバーチャル像を伝送するための画像光ガイド。
【請求項8】
前記第2面によって反射されて前記第1面に入射する前記画像担持光ビームが、全内部反射によって前記第1面で反射される、請求項に記載のバーチャル像を伝送するための画像光ガイド。
【請求項9】
前記第3面によって反射され前記第1面に入射する前記画像担持光ビームが、前記第1面を透過する、請求項に記載のバーチャル像を伝送するための画像光ガイド。
【請求項10】
前記画像担持光ビームは、前記画像担持光ビームが前記光カプラに入る箇所から横にオフセットされて前記光カプラを出る、請求項に記載のバーチャル像を伝送するための画像光ガイド。
【請求項11】
前記画像担持光ビームが3回の反射を含む前記光カプラ内の経路をたどり、前記画像担持光ビームが、前記入力した画像担持光ビームに対してミラー角度で前記光カプラを出る、請求項に記載のバーチャル像を伝送するための画像光ガイド。
【請求項12】
前記光カプラは2つの直角プリズムを含む、請求項に記載のバーチャル像を伝送するための画像光ガイド。
【請求項13】
画像担持光ビームを伝播させるように動作可能な基板と、
前記基板に沿って形成され、画像ソースからの前記画像担持光ビームの第1部分を角度的にエンコードされた形態で前記基板内に回折し、前記画像ソースからの前記画像担持光ビームの第2部分を透過するように動作可能な第1インカップリング回折光学要素と、
前記基板に沿って形成され、少なくとも一方向にアイボックスを拡大し、前記画像担持光ビームを角度的にデコードされた形態で前記基板から方向付けるように動作可能なアウトカップリング回折光学要素と、
前記基板に沿って形成され、前記画像担持光ビームの前記第2部分の一部を、角度的にエンコードされた形態で前記基板内に回折するように動作可能な第2インカップリング回折光学要素と、
前記画像ソースの軸に沿って配置され、画像担持光ビームの前記第2部分を、前記第2インカップリング回折光学要素へと方向付けるように動作可能な光カプラと、
前記光カプラと前記第2インカップリング回折光学要素との間に配置された波長板と、を備え、
前記波長板は前記画像担持光ビームの偏光を回転させるように動作可能であり、前記波長板は半波長板または1/4波長板を含む、バーチャル像を伝送するための画像光ガイド。
【請求項14】
画像担持光ビームを伝播させるように動作可能な基板と、
前記基板に沿って形成され、画像ソースからの前記画像担持光ビームの第1部分を角度的にエンコードされた形態で前記基板内に回折し、前記画像ソースからの前記画像担持光ビームの第2部分を透過するように動作可能な第1インカップリング回折光学要素と、
前記基板に沿って形成され、少なくとも一方向にアイボックスを拡大し、前記画像担持光ビームを角度的にデコードされた形態で前記基板から方向付けるように動作可能なアウトカップリング回折光学要素と、
前記基板に沿って形成され、前記画像担持光ビームの前記第2部分の一部を、角度的にエンコードされた形態で前記基板内に回折するように動作可能な第2インカップリング回折光学要素と、
前記画像ソースの軸に沿って配置され、画像担持光ビームの前記第2部分を、前記第2インカップリング回折光学要素へと方向付けるように動作可能な光カプラと、
を備え、
前記第1インカップリング回折光学要素を介して入力結合される前記画像担持光ビームの前記第1部分は、第1バーチャル像に対応し、
前記第2インカップリング回折光学要素を介して入力結合された前記画像担持光ビームの前記第2部分は、第2バーチャル像に対応し、
前記第1、第2バーチャル像は実質的に同一であり、
前記基板は、前記基板の面が前記光カプラの第1面に対してある角度で配置されるように回転され、これにより、前記第1、第2バーチャル像は無限遠の焦点でアライメントされる、バーチャル像を伝送するための画像光ガイド。
【請求項15】
画像担持光ビームを伝播させるように動作可能な基板と、
前記基板に沿って形成され、画像ソースからの前記画像担持光ビームの第1部分を角度的にエンコードされた形態で前記基板内に回折し、前記画像ソースからの前記画像担持光ビームの第2部分を透過するように動作可能な第1インカップリング回折光学要素と、
前記基板に沿って形成され、少なくとも一方向にアイボックスを拡大し、前記画像担持光ビームを角度的にデコードされた形態で前記基板から方向付けるように動作可能なアウトカップリング回折光学要素と、
前記基板に沿って形成され、前記画像担持光ビームの前記第2部分の一部を、角度的にエンコードされた形態で前記基板内に回折するように動作可能な第2インカップリング回折光学要素と、
前記画像ソースの軸に沿って配置され、画像担持光ビームの前記第2部分を、前記第2インカップリング回折光学要素へと方向付けるように動作可能な光カプラと、
を備え、
前記光カプラが第1面を備え、前記第1面の第1部分で、前記第1面に入射する前記画像担持光ビームを透過させ、前記第1面の第2部分で、前記第1面に入射する前記画像担持光ビームを反射するように動作可能であり、前記第1面の前記第2部分は鏡面であり、
前記光カプラがさらに、前記画像担持光ビームを反射するように動作可能な第2面と、前記画像担持光ビームを反射するように動作可能な第3面を備え、
前記第2面によって反射され前記第1面の前記第2部分に入射した前記画像担持光ビームは、前記第1面で反射されて前記第3面に入射し、
前記第3面によって反射され前記第1面に入射した前記画像担持光ビームは、前記第1面を透過する、バーチャル像を伝送するための画像光ガイド。
【請求項16】
バーチャル像に対応する画像担持光ビームをに沿って投射するように動作可能な画像ソースであって、前記バーチャル像のピクセルが無限遠で集束される画像ソースと、
前記画像担持光ビームを伝播させるように動作可能な第1基板と、
前記画像担持光ビームを伝播するように動作可能で前記第1基板と結合される第2基板と、
を備え、
前記第1、第2基板の各々は、第1インカップリング回折光学要素と、第2インカップリング回折光学要素と、アウトカップリング回折光学要素とを有し、前記アウトカップリング回折光学要素は、少なくとも一方向にアイボックスを拡大し、前記画像担持光ビームの少なくとも一部を角度的にデコードされた形態で前記基板から方向付けするように動作可能であり、
さらに前記に沿って配置された光カプラを備え、
前記光カプラは、前記第1、第2基板の前記第1インカップリング回折光学要素を透過した前記画像担持光ビームの経路に少なくとも部分的に沿って配置され、
前記光カプラは、前記画像担持光ビームを前記第2基板の前記第2インカップリング回折光学要素へと方向付けるように動作可能であり、
前記第2インカップリング回折光学要素は、前記画像担持光ビームの一部を角度的にエンコードされた形態で前記第2基板内に回折し、前記画像担持光ビームの一部を透過させて、前記第1基板の前記第2インカップリング回折光学要素に向けて方向付けするように動作可能であり、
前記第1基板の前記第2インカップリング回折光学要素は、前記画像担持光ビームの一部を角度的にエンコードされた形態で前記第1基板内へと回折するように動作可能である、バーチャル像を伝送するための画像光ガイドシステム。
【請求項17】
前記第1インカップリング回折光学要素が透過型回折光学要素として動作可能であり、前記第2インカップリング回折光学要素が反射型回折光学要素として動作可能である、請求項16に記載のバーチャル像を伝送するための画像光ガイドシステム。
【請求項18】
前記光カプラが、
第1角度で入射する前記画像担持光ビームを透過させ、第2角度で入射する前記画像担持光ビームを反射するように動作可能な第1面と、
前記画像担持光ビームを反射するように動作可能な第2面と、
前記画像担持光ビームを反射するように動作可能な第3面と、
を有する、請求項16に記載のバーチャル像を伝送するための画像光ガイドシステム。
【請求項19】
画像担持光ビームを伝播させるように動作可能であって、対向する第1面及び第2面を備えた基板と、
前記基板に沿って形成され、前記第1面または前記第2面に配置され、画像ソースからの前記画像担持光ビームの第1部分を角度的にエンコードされた形態で前記基板内に回折し、前記画像ソースからの前記画像担持光ビームの第2部分を透過するように動作可能な第1インカップリング回折光学要素と、
前記基板に沿って形成され、少なくとも一方向にアイボックスを拡大し、前記画像担持光ビームを角度的にデコードされた形態で前記基板から方向付けるように動作可能なアウトカップリング回折光学要素と、
前記基板に沿って形成され、前記第1面または前記第2面に配置され、前記画像担持光ビームの前記第2部分の一部を、角度的にエンコードされた形態で前記基板内に回折するように動作可能な第2インカップリング回折光学要素と、
前記画像ソースの軸に沿って配置され、画像担持光ビームの前記第2部分を、前記第2インカップリング回折光学要素へと方向付けるように動作可能な光カプラと、
を備え、
前記第2インカップリング回折光学要素は、前記第1インカップリング回折光学要素から、前記アウトカップリング回折光学要素に向かう前記画像担持光ビームの伝播方向を横切る方向に、偏寄している、バーチャル像を伝送するための画像光ガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ディスプレイに関し、特に、回折光学要素を有する画像光ガイドを用いて、視者に画像担持光を伝送するディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)とバーチャル像ニアアイディスプレイは、軍事、商業、工業、消防、および娯楽分野への適用を含め、様々な用途に向けて開発されている。これら適用の多くにおいて、HMDユーザーの視野にある現実世界の像に視覚的に重ね合わせ可能なバーチャル像を形成することは、価値がある。光学的な画像光ガイドは、狭い空間内で画像担持光を視者に伝送し、バーチャル像を視者の瞳に向け、上記重ね合わせ機能を可能にする。
【0003】
従来の画像光ガイド構造は、ニアアイディスプレイ光学システムのかさ、重量、およびコストを大きく減じたが、さらなる改良が求められている。場合によっては、アイボックスのサイズが制限され、それによりHMDの設計において、動きの許容範囲及びデバイスの配置の許容範囲が制限される。光は視野において不均衡に分配されることがしばしば起こり得る。その結果、視野の中心では光のレベルが高く、周辺部では光のレベルが低くなる等のホットスポットが生じかねない。そのため場合によっては、画像光ガイドの回折効率が十分でなく、所望の画像輝度を生じさせることができない。画像光ガイド構造により生成されるバーチャル像は、満足すべき視認性と視者の快適さのために、十分な輝度を有さなければならない。
【発明の概要】
【0004】
第1の例示的な実施形態において、本開示は、バーチャル像を伝送するための画像光ガイドを提供する。この画像光ガイドは、画像担持光ビームを伝送するように動作可能な基板を備えている。第1インカップリング回折光学要素が前記基板に沿って形成されている。この第1インカップリング回折光学要素は、画像ソースからの前記画像担持光ビームの第1部分を角度的にエンコードされた形態で前記基板内に回折し、前記画像ソースからの前記画像担持光ビームの第2部分を透過するように動作可能である。アウトカップリング回折光学要素が前記基板に沿って形成されている。このアウトカップリング回折光学要素は、前記画像担持光ビームを拡大し、前記拡大された画像担持光ビームを角度的にデコードされた形態で前記基板から方向付けるように動作可能である。第2インカップリング回折光学要素が前記基板に沿って形成されている。この第2インカップリング回折光学要素は、前記画像担持光ビームの前記第2部分の一部を、角度的にエンコードされた形態で前記基板内に回折するように動作可能である。画像光ガイドはさらに光カプラを備えている。この光カプラは、前記画像ソースの軸に沿って配置され、前記画像ソースからの画像担持光の前記第2部分を、前記第2インカップリング回折光学要素へと方向付けるように動作可能である。
【0005】
第2の例示的な実施形態において、本開示は、バーチャル像を伝送するための画像光ガイドシステムを提供する。画像光ガイドシステムは、バーチャル像に対応する画像担持光を第1軸に沿って投射するように動作可能な画像ソースを備えている。前記バーチャル像のピクセルは無限遠で集束される。画像光ガイドシステムはまた、前記画像担持光を伝播させるように動作可能な第1基板と、前記画像担持光を伝播させるように動作可能で前記第1基板と結合される第2基板とを備えている。前記第1、第2基板の各々は、第1インカップリング回折光学要素と、第2インカップリング回折光学要素と、アウトカップリング回折光学要素とを有している。前記アウトカップリング回折光学要素は、前記画像担持光を拡大し、前記拡大された画像担持光を前記基板から方向付けするように動作可能である。さらに画像光ガイドシステムは、前記第1軸に沿って配置された光カプラを備えている。前記光カプラは、前記第1、第2基板の前記第1インカップリング回折光学要素を透過した画像担持光の経路に少なくとも部分的に沿って配置されている。前記光カプラは、前記画像担持光を前記第2基板の前記第2インカップリング回折光学要素へと方向付けるように動作可能である。前記第2インカップリング回折光学要素は、前記画像担持光の一部を角度的にエンコードされた形態で前記第2基板内に回折させ、前記画像担持光の一部を透過させて、前記第1基板の前記第2インカップリング回折光学要素に方向付けするように動作可能である。前記第1基板の前記第2インカップリング回折光学要素は、前記画像担持光の一部を角度的にエンコードされた形態で前記第1基板内へと回折するように動作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付の図面は、詳細な説明の一部として本明細書に組み込まれる。開示された図面は、ここで開示されている主題の実施形態を示しており、本開示の選択された原理および教示を示している。しかし、 図面はここで開示されている主題のすべての可能な実施形態を示しているわけではなく、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0007】
図1】画像光ガイドの簡略化した断面図であり、アイボックスの1つの方向を拡大するための、伝搬方向に沿う画像担持ビームの拡大を示している。
【0008】
図2】回転格子を有する画像光ガイドの斜視図であり、アイボックスの第2方向を拡大するための、伝搬方向に垂直な画像担持ビームの拡大を示している。
【0009】
図3】画像光ガイドの平面図であり、この画像光ガイドは、本開示の主題の例示的実施形態による2つのインカップリング回折光学要素を有している。
【0010】
図4】本開示の手段の例示的実施形態による光カプラを有する図3の画像光ガイドの側面図である。
【0011】
図5A】第1面に配置された2つのインカップリング回折光学要素を有する図4の画像光ガイドの端部側面図である。
【0012】
図5B】第1面に配置された第1インカップリング回折光学要素と第2面に配置された第2インカップリング回折光学要素を有する図4の画像光ガイドの端部側面図である。
【0013】
図5C】第2面に配置された第1インカップリング回折光学要素と第1面に配置された第2インカップリング回折光学要素を有する図4の画像光ガイドの端部側面図である。
【0014】
図5D】第2面に配置された第1インカップリング回折光学要素と第2面に配置された第2インカップリング回折光学要素を有する図4の画像光ガイドの端部側面図である。
【0015】
図6図4の画像光ガイドの斜視図である。
【0016】
図7A図4の光カプラの斜視図である。
【0017】
図7B図4の光カプラの端面を示す図であり、第1面がミラーを含んでいる。
【0018】
図8A図4の画像光ガイドの端部側面図である。
【0019】
図8B】軸回りに回転した平面導波路を有する図8Aの画像光ガイドの端部側面図である。
【0020】
図9図4の光カプラの平面図である。
【0021】
図10A】本開示の主題の例示的実施形態による周期的回折格子の一部を示す図である。
図10B】本開示の主題の例示的実施形態による周期的回折格子の一部を示す図である。
【0022】
図11】本開示の主題の例示的実施形態による重ねられた画像光ガイドシステムを示す端部側面図である。
【0023】
図12図11の重ねられた画像光ガイドシステムの側面図である。
【0024】
図13】本開示の主題の例示的実施形態による画像光ガイドを用いた、拡張現実を見るためのディスプレイシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、明確に指定されている場合を除いて、様々な代替の向きおよびステップシーケンスを想定し得ることを理解すべきである。添付の図面に示され以下の明細書で説明される特定のアセンブリおよびシステムは、本明細書で定義される発明概念の単なる例示的な実施形態であることも理解されたい。したがって、開示された実施形態に関連する特定の寸法、方向、または他の物理的特性は、特に断りのない限り、限定と見なされるべきではない。また、そうでない場合もあるが、本明細書に記載の様々な実施形態における同様の要素は、同様の参照番号で共通に参照される。
【0026】
本明細書で使用される場合、「第1」、「第2」等の用語は必ずしも順序、順次または優先関係を示すものではなく、特に明記しない限り、単に1つの要素または要素の集合を他と明確に区別するために用いられる。
【0027】
本明細書で使用される場合、「視者」、「操作者」、「観察者」、および「使用者(ユーザー)」という用語は均等と見なされ、画像光ガイドを有するデバイスを使用して画像を見る人または機械を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「集合(set)」という用語は、要素又はメンバーの集まりをいう概念として初等数学で広く理解されているように、非空集合を指す。本明細書で使用される場合、「部分集合(subset)」という用語は、特に明記されない限り、非空の真部分集合、すなわち、1以上の要素を持つ、より大きな集合のうちの部分集合を指す。部分集合が全体集合Sを構成してもよい。しかし、集合Sの「真部分集合(proper subset)」は、集合Sに完全に含まれ、しかも集合Sの少なくとも1つのメンバーを除外したものを指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、光学の分野における「結合された(coupled)」、「カプラ(結合器;coupler)」、「結合する(coupling)」という用語は、光を1つの光学的媒体又はデバイスから別の光学的媒体又はデバイスへと伝送させるような結合を意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「ビーム拡大」、「画像担持ビームの拡大」、および「拡大された画像担持光」という用語は、1以上の方向の射出瞳拡大を提供するために、光学要素との複数回の遭遇によるビームの複製を意味する。同様に、本明細書で使用される場合、ビームまたはビームの一部を「拡大する」とは、1以上の方向に射出瞳を拡大するために、光学要素との複数回の遭遇を介してビームを複製することを意味する。
【0031】
HMDなどの光学システムは、バーチャル像を表示することができる。実像を結ぶ方法とは対照的に、バーチャル像がディスプレイ面に結ばれることはない。つまり、ディスプレイ面がバーチャル像を知覚する位置にあるとしたら、ディスプレイ面に像は結ばれない。拡張現実表示において、バーチャル像表示には固有の利点が数多くある。例えば、バーチャル像の見かけの大きさはディスプレイ面の寸法や位置によって制限されない。さらに、バーチャル像のソースとなる対象物は、小さくすることができる。例えば拡大鏡が対象物のバーチャル像を提供する。実像を投影するシステムに比べて、ある程度離れたところにあるように見えるバーチャル像を結ぶことによって、よりリアルな視覚体験を提供することができる。また、バーチャル像を提供すれば、実像投影の場合には必要となるスクリーンアーチファクトを補正する必要が無くなる。
【0032】
画像光ガイドは、プロジェクタなどの光源からの画像担持光を用いてバーチャル像を表示することができる。例えば、コリメートされ相対的に角度的にエンコードされたプロジェクタからの光ビームは、インカップリング回折光学要素などの入力カップリング(入力結合)によって平面導波路内へと結合される。このインカップリング回折光学要素は、平面導波路の表面に取り付けられるか形成され、または導波路内に埋め込まれている。このような回折光学要素は、回折格子、ホログラフィック光学素子(HOE)として、または他の既知の方法で形成することができる。例えば、回折格子は、表面レリーフによって形成することができる。回折光は導波路に沿って伝搬した後、同様のアウトカップリング(アウトカップリング回折光学要素など)によって、導波路外に戻すことができる。このアウトカップリング回折光学要素は、一方向に沿って瞳拡大を提供するように配置することができる。さらに、回転格子を導波路上または導波路内に配置することにより、直交する方向で瞳拡大を提供することができる。導波路から出力される画像担持光は、視者に拡張されたアイボックスを提供する。
【0033】
図1に示すように、画像光ガイド10は、平坦かつ平行な表面を有する平面導波路22を備えている。平面導波路22は、外側表面12とこの外側表面12の反対側に配置された内側表面14を有する透明な基板Sを備えている。本実施形態では、インカップリング回折光学要素IDOとアウトプットカップリング回折光学要素ODOが、内側表面14に配置されている。インカップリング回折光学要素IDOは、反射型回折格子であり、この回折格子を介して画像担持光WIが平面導波路22内へと結合される。しかしながら、インカップリング回折光学要素IDOは、透過型回折格子、体積ホログラムまたは他のホログラフィック回折素子、または入光する画像担持光WIを回折する他のタイプの光学要素であってもよい。インカップリング回折光学要素IDOは平面導波路22の外側表面12に配置されても、内側表面14に配置されてもよく、画像担持光WIが平面導波路22に近づいていく方向との組み合わせで、透過型であっても、反射型であってもよい。
【0034】
バーチャルディスプレイシステムの一部として使用される場合、インカップリング回折光学要素IDOは、画像ソースからの画像担持光WIを結合して、平面導波路22の基板Sに入り込ませる。実像又はイメージディメンションは最初に、重なり合う角度的に関連付けられたビームのアレイに変換される。このビームのアレイは、インカップリング回折光学要素IDOに呈示するバーチャル像内の異なる位置をエンコードするものである。画像担持光WIは(概ね一次回折により)回折され、それによって、インカップリング回折光学要素IDOにより画像担持光WGとして平面導波路22内に再方向付けられ、全内部反射(Total Internal Reflection:TIR)により平面導波路22に沿ってさらに伝搬される。画像担持光WGは、TIRにより定められた境界に合わせて、概ね角度的に関連付けられたビームのより凝縮された範囲で回折されるが、エンコードされた形態で画像情報を保持する。アウトカップリング回折光学要素ODOは、エンコードされた画像担持光WGを受け取り、画像担持光WGを画像担持光WOとして、平面導波路22の外へ、視者の目の意図された位置に向かって(これも概ね一次回折により)回折する。一般的に、アウトカップリング回折光学要素ODOはインカップリング回折光学要素IDOに対して対称に設計され、出力された画像担持光WOの角度的に関連付けられたビームにおいて、画像担持光WIの当初の角度的関係を復元する。しかし、バーチャル像を見ることができる、いわゆるアイボックスEにおいて、角度的に関連付けられたビームの重なり合いの1つの次元を増大するために、アウトカップリング回折光学要素ODOは、画像担持光WGと複数回遭遇し、各遭遇において画像担持光WGの一部のみを回折するように構成されている。アウトカップリング回折光学要素ODOの長さに沿う伝播方向での複数回の遭遇は、ビームが重なり合うアイボックスEを一方向に拡大する効果を有する。拡大されたアイボックスEは、バーチャル像を見るための視者の目の位置に対する感受性を低下させる。
【0035】
本実施形態では、アウトカップリング回折光学要素ODOは、平面導波路22の内側表面14に配置された透過型の回折格子である。しかし、インカップリング回折光学要素IDOと同様に、アウトカップリング回折光学要素ODOは平面導波路22の外側表面12に配置されても、内側表面14に配置されてもよく、画像担持光WGが平面導波路22を出ることを意図された方向との組み合わせで、透過型であっても、反射型であってもよい。
【0036】
図2に示すように、画像光ガイド20は、2方向、すなわち意図された画像のx軸及びy軸に沿ってアイボックス74を拡大するように構成することができる。第2の方向のビーム拡大を達成するために、インカップリング回折光学要素IDOは、画像担持光WGを格子ベクトルk0で中間回転格子TGに向けて回折するように方向づけられている。この中間回転格子TGの格子ベクトルk1は、画像担持光WGを反射モードでアウトカップリング回折光学要素ODOに向けて回折するように方向づけられている。中間回転格子TGとの多数の遭遇のうちの各遭遇により、画像担持光WGの一部のみが回折され、それにより、アウトカップリング回折光学要素ODOに近づく画像担持光WGの角度的に関連付けられた各ビームを横方向に拡大する。中間回転格子TGは、画像担持光WGを、アウトカップリング回折光学要素ODOの格子ベクトルk2と少なくとも概ねアライメント(整列)する方向へと再方向付けする。画像担持光WGの角度的に関連付けられたビームを、画像担持光WOとして平面導波路22から出る前に、第2の方向で縦方向に拡大するためである。描かれた格子ベクトルk0、k1、k2等の格子ベクトルは、回折光学要素の回折フィーチャ(例えば、溝、線、又は罫線)と垂直な方向に延び、回折光学要素IDO、TG、ODOの周期又はピッチd(すなわち、溝間の中心距離)に反比例する大きさを有する。
【0037】
図2に示すように、インカップリング回折光学要素IDOは入力する画像担持光WIを受け取る。この画像担持光W1は、画像ソース16によって生成された画像におけるピクセルまたは均等の位置に対応する、角度的に関連付けられたビームの集合を含んでいる。画像ソース16は、バーチャル像を作成するために角度的にエンコードされたビームの全範囲を生成するように動作可能である。画像ソース16は、集束光学素子とともに用いられる実像のディスプレイ、ビームの角度をより直接的に設定するためのビームスキャナ、又はスキャナと組合された1次元の実像ディスプレイとすることができるが、これらに限定されない。画像光ガイド20は、配向の異なる中間回転格子TG及びアウトカップリング回折光学要素ODOと画像担持光WGとの多数の遭遇を提供することによって、画像の2方向で拡大された角度的に関連付けられたビームの集合を出力する。平面導波路22の当初の配向(original orientation)において、中間格子TGはy軸方向のビーム拡大を提供し、アウトカップリング回折光学要素ODOはx軸方向の同様のビーム拡大を提供する。回折光学要素IDO、ODO、TGの反射率特性およびそれぞれの周期dと、それぞれの格子ベクトルの配向により、画像担持光WIにおける角度的に関連付けられたビーム間の意図された関係を保持しながら、2方向でビームを拡大し、画像光ガイド20から画像担持光WOとして出力する。
【0038】
画像光ガイド20に入力される画像担持光WIは、インカップリング回折光学要素IDOによって角度的に関連付けられたビームの異なる集合にエンコードされるが、画像を再構築するために必要な情報は、インカップリング回折光学要素IDOの組織的な効果によって保持される。回転格子TGはインカップリング回折光学要素IDOとアウトカップリング回折光学要素ODOの間の中間位置に位置し、通常、画像担持光WGのエンコーディングに大きな変化を引き起こさないように構成される。アウトカップリング回折光学要素ODOは、通常インカップリング回折光学要素IDOに対して対称に構成され、例えば同じ周期を共有する回折フィーチャを含む。同様に、回転格子TGの周期も、通常、インカップリング回折光学要素IDO及びアウトカップリング回折光学要素ODOの共通の周期に一致する。図2に示すように、回転格子の格子ベクトルk1は、他の格子ベクトルに対して45°を向くように図示されている(全て方向づけられていない線分として)。しかし、一実施形態では、回転格子TGの格子ベクトルk1はインカップリング回折光学要素IDO及びアウトカップリング回折光学要素ODOの格子ベクトルk0、k2に対して60°に配向され、画像担持光WGが120°回転する。中間回転格子TGの格子ベクトルk1をインカップリング回折光学要素IDO及びアウトカップリング回折光学要素ODOの格子ベクトルk0、k2に対して60°に配向することによって、インカップリング回折光学要素IDOとアウトカップリング回折光学要素ODOの格子ベクトルk0、k2もまた、互いに対して60°をなして配向される(ここでも、格子ベクトルは方向づけられていない線分と見なされる)。格子ベクトルの大きさは、回転格子TG、インカップリング回折光学要素IDO、アウトカップリング回折光学要素ODOの共通のピッチに基づくため、方向づけられた線分としての3つの格子ベクトルk0、k1、k2は正三角形を形成し、大きさの合計はゼロとなる。これにより、色分散を含む望ましくない収差を引き起こしかねない非対称の効果が避けられる。
【0039】
平面導波路22内に回折された画像担持光WIは、インカップリング回折光学要素が格子、ホログラム、プリズム、ミラー、その他の機構のいずれを用いるかに関わらず、インカップリング回折光学要素によって有効にエンコードされる。インカップリング回折光学要素IDOで生じる光の反射、屈折、及び/又は回折は、視者に提示されるバーチャル像を再形成するために、アウトカップリング回折光学要素ODOによって、デコードされる必要がある。好ましくは、インカップリング回折光学要素IDOとアウトカップリング回折光学要素ODOの間の中間位置に位置する回転格子TGは、通常、エンコードされた光にいかなる変更も引き起こさないように設計され、配向される。アウトカップリング回折光学要素ODOは、画像担持光WGを元の又は所望の形の、角度的に関連付けられたビームにデコードする。このビームはアイボックス74を満たすように拡大されている。
【0040】
回転格子TGとインカップリング回折光学要素IDOとアウトカップリング回折光学要素ODOとの間で対称性が維持されると否とに拘わらず、また、画像担持光WIの角度的に関連付けられたビームのエンコーディングに、平面導波路22沿いに何らかの変化が起こると否とに拘わらず、回転格子TGとインカップリング回折光学要素IDOとアウトカップリング回折光学要素ODOは、平面導波路22から出力される画像担持光WOが、画像担持光WIの元の形、又は意図されたバーチャル像を生成するための望ましい形を維持または保持するように、関連付けられている。
【0041】
文字「R」は、アイボックス74内に目がある視者に見えるバーチャル像の向きを表わしている。図示のとおり、表わされるバーチャル像の中の文字「R」の向きは、画像担持光WIにエンコードされた文字「R」の向きと一致している。入射する画像担持光WIのx-y平面におけるz軸周りの回転又は角度的配向の変化は、アウトカップリング回折光学要素ODOから出射する光の回転又は角度的配向に、対応する対称の変化を引き起こす。画像の配向という面においては、回転格子TGは単にある種の光学リレーとして作用し、画像担持光WGの角度的にエンコードされたビームを、画像の1つの軸に沿って(例えば、y軸に沿って)拡大する。アウトカップリング回折光学要素ODOは、画像担持光WIによってエンコードされたバーチャル像の元の配向を維持しながら、画像担持光WGの角度的にエンコードされたビームを、画像の別の軸に沿って(例えば、x軸に沿って)拡大する。図2に示すように、回転格子TGは、傾斜又は正方形の回折格子であり、平面導波路22の前面又は後面に配置される。或いは回転格子TGはブレーズド回折格子であってもよい。
【0042】
本開示は、出力開口を通過する画像担持光の出力強度を改善した画像光ガイド構成を提供する。より具体的に述べると、本開示はとりわけ、画像担持光ビームを二方向に拡大し、拡大された画像担持光ビームをアイボックスに向けて出力するように動作可能な1以上のインカップリング回折光学要素とアウトカップリング回折光学要素を有する導波路を提供する。
【0043】
図3図4図5Aに示すように、画像光ガイド100は、平面導波路22の第1面102に形成された第1インカップリング回折光学要素IDO1、第2インカップリング回折光学要素IDO2、およびアウトカップリング回折光学要素ODOを有する。別の実施形態では、図5Bに示すように、第1インカップリング回折光学要素IDO1とアウトカップリング回折光学要素ODOは、平面導波路22の第1面102に形成され、第2インカップリング回折光学要素IDO2は、平面導波路22の第2面104(第1面102の反対側に位置する面)に形成される。別の実施形態では、図5Cに示すように、第1インカップリング回折光学要素IDO1は平面導波路22の第2面104に形成され、第2インカップリング回折光学要素IDO2およびアウトカップリング回折光学要素ODOは平面導波路22の第1面102に配置される。別の実施形態では、図5Dに示すように、第1、第2インカップリング回折光学要素IDO1、IDO2は、平面導波路22の第2面104に形成され、アウトカップリング回折光学要素ODOは、平面導波路22の第1面102に配置される。さらに別の実施形態では、第1、第2インカップリング回折光学要素IDO1、IDO2およびアウトカップリング回折光学要素ODOは、平面導波路22の第2面104に形成される。
【0044】
図3を参照すると、一実施形態では、第1、第2インカップリング回折光学要素IDO1、IDO2は、2つの周期的格子構造106、108の集合を含む。例えば、インカップリング回折光学IDOは、x軸に対して30度未満の角度(例えば、25°)だけ回転/オフセットされた周期的線形格子構造106の第1集合と、x軸に対してー30度未満の角度(例えば、-25°)だけ回転/オフセットされた周期的線形回折格子構造108の第2集合を含む。周期的格子構造106の第1集合と、周期的格子構造108の第2集合は交差している。周期的格子構造106の第1集合は第1周期を含み、周期的格子構造108の第2集合は第2周期を含む。一実施形態では、第2周期は第1周期に等しい。
【0045】
一実施形態では、アウトカップリング回折光学要素ODOは、周期的格子構造110の第3集合と周期的格子構造112の第4集合を備える。周期的格子構造110、112の第3、第4集合は、周期格子構造106、108の第1、第2集合とそれぞれ平行である。周期的格子構造110、112の第3、第4集合は、インカップリング回折光学要素IDO1、IDO2からの画像担持光を拡大し出力結合(アウトカップル)するように動作可能な複合回折光学要素を形成する。一実施形態では、周期的格子構造110の第3集合は、周期的格子構造112の第4集合と交差する。周期的格子構造110.112の第3、第4集合はまた、周期的格子構造106、108の第1、第2集合とそれぞれ同じ周期性を有してもよい。一実施形態では、アウトカップリング回折光学要素ODOは、縦軸115を横切って左右対称である。
【0046】
図4図7Bに示すように、一実施形態では、画像光ガイド100は光カプラ120を含む。光カプラ120は、インカップリング回折光学要素IDO1、IDO2に隣接し、平面導波路22から見てプロジェクタ16(すなわち、画像ソース)の反対側に配置される。一実施形態では、光カプラ120は、平面導波路22の近くに位置する第1面122を含む。光カプラ120はまた、第1面122に対して角度αで配置された第2面124と、第1面122に対して角度αで配置された左右対称の第3面126とを含む。一実施形態では、光カプラ120は、2つの直角プリズム120A、120Bから組み立てられる。一実施形態では、第2、第3面124、126は鏡面である。
【0047】
第1面122は、光カプラ120の入射面であり、第1軸A1に沿うプロジェクタ16からの画像担持光を受け取る。第1軸A1は、プロジェクタ16の中心光線とアライメントされている。画像担持光は、第2面124で反射され、TIR(全内部反射)の角度範囲内で第1面122に向かって戻る。第1面122は、TIRで画像担持光を反射するように動作可能であり、第2面124から反射された画像担持光は、第1面122により第3面126に向かって反射される。第3面126は、第1面122を透過するように動作可能な角度範囲内で、画像担持光を第1面122に向かってさらに反射する。画像担持光は、第2軸A2を中心として光カプラ120から出力される。第2軸A2は、光カプラ120から出力される中心光線とアライメントされる。第2軸A2は、第1軸A1からy軸方向にオフセットされている。光カプラ120内に3つの反射点を有するように光カプラ120を設計することにより、光カプラ120に入射する画像担持光のバーチャル像が反転する(flip)ことが防止される。
【0048】
動作において、プロジェクタ16からの画像担持光WIは、第1インカップリング回折光学要素IDO1に入射し、画像担持光の第1部分WG1は、第1インカップリング回折光学要素IDO1によって回折され、TIRによりアウトカップリング回折光学要素ODOに向かって伝播する。画像担持光WIの第2部分は、第1インカップリング回折光学要素IDO1および平面導波路22を透過して、光カプラ120に入射する。画像担持光WIの第2部分は、光カプラ120の第1面122を透過し、光カプラの第2面124により、第1面122でTIRで反射するように動作可能な入射角で、反射される。画像担持光WIの第2部分は、それから第1面122によりTIRで反射され、光カプラの第3面126に入射する、画像担持光WIの第2部分はこの第3面126で反射され第1面122に向かい、第2軸A2に沿って第1面122を透過する。
【0049】
次に、第2軸A2を中心とする画像担持光WIの第2部分は、第2インカップリング回折光学要素IDO2に入射する。画像担持光の第2部分WG2の一部は、第2インカップリング回折光学要素IDO2によって回折され、TIRを介してアウトカップリング回折光学要素ODOに向かって伝播する。一実施形態では、第2インカップリング回折光学要素IDO2は、光カプラ120から出力される画像担持光の回折効率を最適化するように構成される。例えば、第1インカップリング回折光学要素IDO1は透過型回折格子として構成され、第2インカップリング回折光学要素IDO2は反射型回折格子として構成される。図10A図10Bに示すように、周期的格子構造106、108の第1、第2集合が表面レリーフ格子である場合、周期的格子構造106、108の第1、第2集合は、平面導波路22の第1、第2面102、104と平行な平面に対して傾斜角φで傾斜している。一実施形態では、第1インカップリング回折光学要素IDO1の周期的格子構造106の第1集合は、傾斜角φを有し、第2インカップリング回折光学要素IDO2の周期的格子構造106の第1集合は傾斜角φを有する。同様に、第1インカップリング回折光学要素IDO1の周期的格子構造108の第2集合は、傾斜角φを有し、第2インカップリング回折光学要素IDO2の周期的格子構造108の第2集合は、傾斜角φを有する。第1、第2インカップリング回折光学要素IDO1、IDO2の周期的格子構造106、108は、互いに対して180度回転した傾斜角φを有する。
【0050】
光カプラ120と第2インカップリング回折光学要素IDO2を利用することによって、画像光ガイド100は、プロジェクタ16からの画像担持光をより大きなパーセンテージで入力結合(インカップル)するように動作可能である。プロジェクタ16からの画像担持光が平面導波路22に入力結合されるパーセンテージを増加させると、アイボックス内で見られるバーチャル像の輝度が増加する。
【0051】
一実施形態では、図7Bに示すように、光カプラ120の第1面122は、鏡面132を含んでもよい。第2面124で反射された画像担持光の第2部分が鏡面132に入射するように、鏡面132は第1面122に形成される。鏡面132は、光カプラの第1面122の一部に、少なくとも部分的に反射性のコーティングを付与ことにより、形成することができる。画像ソース16からの画像担持光は、光カプラの第1面122の第1部分122Aに入射してそこを透過し、第2面124に入射する。第2面124から反射された画像担持光は、鏡面132を有する第1面122の第2部分122Bに入射し、第3面126に向かって反射される。第1面122の第2部分122Bから反射された画像担持光は、第3面126に入射し、第1面122の第3部分122Cに向かって反射される。第1面122の第3部分122Cに入射した画像担持光は、そこを透過する。
【0052】
一実施形態では、図4図5A図5D図7Bに示すように、画像光ガイド100は、光カプラ120と平面導波路22との間に配置された波長板(waveplate)130を含む。波長板130の長さは光カプラ120より短く、これにより、平面導波路22を透過して光カプラ120の第1面122に入射する光は波長板130を透過せず、第3面126で反射されて光カプラ120の第1面122を透過した画像担持光は、波長板130を透過するようになっている。波長板130は、画像光ガイド100がプロジェクタ16からの画像担持光を十分に利用するように、画像担持光の偏光方向(polarization direction)を変えるように動作可能である。例えば、波長板130は、画像担持光の偏光方向を直角(90°)またはほぼ直角に回転させるように動作可能な半波長板(1/2波長板)であってもよい。一実施形態では、波長板130は、画像担持光の偏光方向をほぼ45度(45°)回転させるように動作可能な1/4波長板であってもよい。透過型回折格子は、反射型回折格子よりも偏光感度が低い。第2インカップリング回折光学要素IDO2が反射型回折格子である場合、半波長板130を介した画像担持光の偏光は、より大きな回折効率を可能にする。換言すれば、一実施形態では、画像ソース16からのより多くの画像担持光が、代替偏光(alternate polarization)で第2インカップリング回折光学要素IDO2を介して導波路22に入力結合(インカップル)するのに利用可能である。一実施形態では、プロジェクタ16は、偏光されていない光を出力するように動作可能なデジタル光処理「DLP」プロジェクタを備えている。
【0053】
一実施形態では、図8Aに示すように、光カプラ120の製造が不完全な場合、及び/又はプロジェクタ16と光カプラ120のアライメントに誤差がある場合、画像光ガイド100は、2つのアライメントされていないバーチャル像を生成することがある。例えば、図8Aに示すように、光カプラ120が不完全なため、画像担持光WG2が、第2軸A2に対してある角度で第2インカップリング回折光学要素IDO2に入射する可能性がある。この入射角は、第2軸A2に対する第2出射光ビームWO2の角度に反映され、2つのバーチャル像がアライメントされない状況を引き起こす。図8Bに示されるように、平面導波路22は、画像光ガイド100によって生成される2つのバーチャル像をアライメントするために、x軸及び/又はy軸を中心に回転または揺動することができる。プロジェクタ16および光カプラ120に対して平面導波路22を回転させることにより、画像担持光ビームWG2(第2インカップリングIDO2を介して平面導波路22に入力結合され、アウトカップリング回折光学要素ODO を介して出力結合される画像担持光ビーム)の中心光線のアライメントにおける不完全性の影響が補償される。第1インカップリング回折光学要素IDO1の中央を中心として平面導波路22を回転させることにより、第1回折光学要素IDO1の中心に対して第1出射光ビームWO1の中心光線の位置を変更することなく、第2出射光ビームWO2を第2インカップリング回折光学要素IDO2に対して再配置することができる。図8A図8Bに示すように、平面導波路22を揺動させると、画像担持光ビームWO1、WO2の中心光線が互いにほぼ平行にアライメントされる。この特徴により、プロジェクタ16と光カプラ120とのアライメントにおけるより大きな公差が可能になる。換言すれば、導波路22をバーチャル像のアライメントに利用できるので、プロジェクタ16および光カプラ120は、極めて正確なアライメントをする必要はない。
【0054】
図11および図12に示すように、一実施形態では、積み重ねられた画像光ガイドアセンブリ400は、第2画像光ガイド404と結合された第1画像光ガイド402を備えている。第1画像光ガイド402および第2画像光ガイド404の少なくとも1つは、上述の画像光ガイド100の1つである。画像光ガイド402、404は、機械的に結合された別々の導波路基板22に形成される。一実施形態では、画像光ガイド402、404の導波路基板22は、接着剤を介して機械的に結合される。別の実施形態では、これら導波路基板22は、HMDの構造的手段によって互いに対して適所に保持される。例えば、画像光ガイド402、404を組み込んだHMDがスマートグラス(図13参照)である場合、これら基板22は、スマートグラスのリムを介して相対的な位置に保持することができる。一実施形態では、積層画像光ガイドアセンブリ400は、3つの独立したカラーチャネルを提供する。第1画像光ガイド402の第1インカップリング回折光学要素IDO1に入射するプロジェクタ16からの画像担持光WIの第1部分は、回折され、TIRを介して第1画像光ガイド402のアウトカップリング回折光学要素ODOに向かって伝搬する。
【0055】
第1画像光ガイド402の第1インカップリング回折光学要素に入射する画像担持光WIの第2部分は、そこを透過し、第2画像光ガイド404の第1インカップリング回折光学要素IDO1に入射する。第2画像光ガイド404の第1インカップリング回折光学要素IDO1に入射した画像担持光WG2の一部は、回折され、TIRを介して第2画像光ガイド404のアウトカップリング回折光学要素ODOに向かって伝播する。画像担持光WIの第3部分は、上述のように、第2画像光ガイド404のインカップリング回折光学IDO1を透過し、光カプラ120に入射する。画像担持光WIの第3部分は、第2軸A2を中心にして光カプラ120から出力され、第2画像光ガイド404の第2インカップリング光学要素IDO2に入射する。第2画像光ガイド404の第2インカップリング回折光学要素IDO2に入射する画像担持光WG3の一部は、回折され、TIRを介して第2画像光ガイド404のアウトカップリング回折光学要素ODOに向かって伝播する。画像担持光WIの第4部分は、第2画像光ガイド404の第2インカップリング回折光学要素IDO2を透過し、第1画像光ガイド402の第2インカップリング回折光学要素IDO2に入射する。第1画像光ガイド402の第2インカップリング回折光学要素IDO2に入射した画像担持光WG4の一部は、回折され、TIRを介して第1画像光ガイド402のアウトカップリング回折光学要素ODOに向かって伝播する。第1、第2画像光ガイド402、404のアウトカップリング回折光学要素ODOに入射した画像担持光WG1、WG2、WG3、WG4は拡大され、画像担持光WOとしてアイボックスに向かって出力結合される。
【0056】
図13の斜視図は、本開示の1つまたは複数の画像光ガイドを使用して拡張現実を見るためのディスプレイシステム60を示す。ディスプレイシステム60は、右眼用の画像光ガイド66Rを有する右眼光学システム64Rを備えたHMDとして示されている。ディスプレイシステム60は画像ソース68を備えている。この画像ソース68は、画像を生成するために励起可能なピコプロジェクタまたは同様のデバイス等からなる。一実施形態では、ディスプレイシステム60は、1つまたは複数の画像光ガイドおよび第2画像ソースを有する左眼光学システムを備えている。生成される画像は、三次元表示用の立体的な画像のペアにすることができる。表示システム60によって形成されるバーチャル像は、画像光ガイド66Rを通して視者によって見られる現実世界のシーンコンテンツに重なるようにして、見ることができる。拡張現実の視覚化技術の当業者によく知られている追加の構成要素、例えばシーンコンテンツの表示または視者の視線追跡のためにHMDのフレームに取り付けられた1つまたは複数のカメラを、提供することもできる。
【0057】
本明細書に記載の実施形態の1つまたは複数の特徴を組み合わせて、図示されていない追加の実施形態を作成することができる。様々な実施形態を詳細に説明したが、それらは例として提示したものであり、限定するものではないことを理解されたい。開示された主題が、その範囲、精神、または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態、変形、および修正で具現化され得ることは、当業者には明らかであろう。したがって、上述の実施形態は、あらゆる点で例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示されており、その均等の意味および範囲内にあるすべての変更が含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13