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特許7524466硫黄回収ユニットの硫黄回収テールガス流から水素を回収するための膜プロセスおよび環境にやさしいセールスガスのためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】硫黄回収ユニットの硫黄回収テールガス流から水素を回収するための膜プロセスおよび環境にやさしいセールスガスのためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/56 20060101AFI20240722BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 63/00 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/02 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/12 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/16 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/28 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/32 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/36 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/38 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/40 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/42 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/44 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/52 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/56 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/58 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/62 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/64 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/66 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/68 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 71/70 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20240722BHJP
   C10L 3/08 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
C01B3/56 Z
B01D53/22
B01D63/00
B01D69/10
B01D69/12
B01D71/02 500
B01D71/12
B01D71/16
B01D71/28
B01D71/32
B01D71/36
B01D71/38
B01D71/40
B01D71/42
B01D71/44
B01D71/52
B01D71/56
B01D71/58
B01D71/62
B01D71/64
B01D71/66
B01D71/68
B01D71/70 500
B01D53/14 200
C10L3/08
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2023513409
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 US2021048863
(87)【国際公開番号】W WO2022051493
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】17/011,164
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,スン-ハク
(72)【発明者】
【氏名】デュバル,セバスティアン,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイダヤ,ミリンド
(72)【発明者】
【氏名】ハマド,フェラス
(72)【発明者】
【氏名】バハムダン,アフマド
(72)【発明者】
【氏名】アル-タリブ,アフメド
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05843395(US,A)
【文献】国際公開第2011/050439(WO,A1)
【文献】特表2020-526384(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0120948(US,A1)
【文献】国際公開第2020/087067(WO,A1)
【文献】特表2022-505766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B3
C01B17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄回収操作から生成するテールガスを処理して水素ガスまたは水素を含有する天然ガスを生成する方法であって:
酸性ガス流を硫黄回収ユニットに供給するステップであって、前記酸性ガス流は、二酸化炭素および硫化水素を含むステップ;
前記硫黄回収ユニットを介して前記酸性ガス流から硫黄を除去し、硫黄回収ユニット廃棄物流を生成するステップ;
前記硫黄回収ユニット廃棄物流をテールガス処理再加熱器で加熱し、加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流を生成するステップ;
前記加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流を、硫黄化合物を硫化水素に還元するように操作可能なテールガス処理反応器で反応させ、テールガス流を生成するステップであって、前記テールガス流が、水素、二酸化炭素、窒素、および硫化水素を含むステップ;
前記テールガス流を急冷塔で冷却し、急冷塔塔頂流を生成するステップ;
前記急冷塔塔頂流を、H2選択膜ユニットおよびH2S除去ユニットを含む、塔頂流処理プロセスで処理し、H2Sリッチリサイクル、H2Sリーン流、H2リッチ流、およびH2リーン流を生成するステップであって、前記H2Sリッチリサイクルが前記H2Sリーン流における硫化水素の濃度よりも高い濃度の硫化水素を含み、前記H2リッチ流が前記H2リーン流における水素ガスの濃度よりも高い濃度の水素を含み、さらに、前記H2リッチ流が前記H2選択膜ユニットで生成され、前記H2Sリッチリサイクルが前記H2S除去ユニットで生成され、さらに、前記H2選択膜ユニットがH2選択膜を含むステップ;および
前記H2Sリッチリサイクルを前記硫黄回収ユニットにリサイクルするステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記H2選択膜は、二酸化炭素に対する水素の選択率が少なくとも20である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記H2選択膜は、100℃~300℃の温度範囲で操作される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記H2選択膜は、100℃~300℃の操作温度で分解することなく機能するように操作可能なガラス状ポリマーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記H2選択膜は、PBIポリマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記H2選択膜は、PBIタイプポリマーからなり、前記PBIタイプポリマーが、ヘキサフルオロイソプロピリデン官能基、テトラアミノジフェニルスルホンから誘導されるPBIポリマー、テトラアミノジフェニルスルホンポリマーから誘導されるPBIポリマー、テトラアミノジフェニルスルホンコポリマーから誘導されるPBIポリマー、N-置換変性PBI、PBIおよびメラミン-コ-ホルムアルデヒド熱硬化性ブレンド、Pd/PBI-HFA複合体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記H2選択膜は、さらにPdを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記H2選択膜は、さらにHFAを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記H2選択膜は、多孔質支持層上に形成された芳香族ポリアミド層、および前記芳香族ポリアミド層上に形成されたガラス状ポリマーを含むコーティングを含み、前記ガラス状ポリマーが50℃超のガラス転移温度を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ガラス状ポリマーは、モノマー、コポリマー、ブロックコポリマー、ターポリマー、ブロックターポリマー、またはポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリフェニルスルホン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリフェニルエーテル、ニトロセルロース、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルトリメチルシラン、ポリトリメチルシリルプロピン、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリオキサジアゾール、ポリ(フェニレンオキサイド)、およびそれらの組み合わせを含む化合物群から選択される化合物の組み合わせによって生成される任意の分子構造を含む、請求項4~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記H2選択膜ユニットおよび前記H2S除去ユニットの前記急冷塔塔頂流を処理する前記ステップが、さらに、
前記H2S除去ユニットで処理する前に、前記急冷塔塔頂流を前記H2選択膜ユニットに導入し、硫化水素が除去される前に前記急冷塔塔頂流から水素ガスが分離されるステップ;
前記H2選択膜ユニットから前記H2リーン流を生成するステップ;および
次いで、前記H2リーン流を前記H2S除去ユニットに導入し、前記H2S除去ユニットが前記H2Sリッチ流および前記H2Sリーン流を生成するステップ
を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記急冷塔塔頂流は、少なくとも2モル%の硫化水素を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
プラントリサイクルを生成するためにプラントコンプレッサで前記H2リッチ流を圧縮するステップ;および
プラント入口からの処理された天然ガスが水素含有量を増加させるように、前記プラントリサイクルを酸性ガス除去のために前記プラント入口にリサイクルするステップ
をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記H2選択膜ユニットは、膜供給コンプレッサ、第1のH2選択膜、透過液コンプレッサ、および第2のH2選択膜を含み、さらに、
前記膜供給コンプレッサで前記急冷塔塔頂流を圧縮して圧縮された膜供給流を生成するステップ;
前記圧縮された膜供給流を前記第1のH2選択膜に導入し、前記第1のH2選択膜は、第1のH2選択膜透過液側および第1のH2選択膜保持液側を有するステップ;
前記第1のH2選択膜に水素を透過させ、H2リッチ透過液を生成するステップ;
前記H2リッチ透過液を前記第1のH2選択膜透過液側から除去するステップ;
前記H2リーン流を前記第1のH2選択膜保持液側から除去するステップ;
前記透過液コンプレッサで前記H2リッチ透過液を圧縮し、第2の膜供給流を生成するステップ;
前記第2の膜供給流を前記第2のH2選択膜に導入するステップであって、前記第2のH2選択膜は、第2のH2選択膜保持液側および第2のH2選択膜透過液側を有するステップ;
前記第2のH2選択膜に水素を透過させ、前記第2のH2選択膜透過液側から前記H2リッチ流を生成するステップ;
前記第2のH2選択膜保持液側から膜リサイクル流を除去するステップ;および
前記膜リサイクル流を前記第1のH2選択膜保持液側にリサイクルするステップ
を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記H2選択膜ユニットおよび前記H2S除去ユニットの前記急冷塔塔頂流を処理するステップは、さらに、
前記H2選択膜ユニットにおける処理の前に、前記急冷塔塔頂流を前記H2S除去ユニットに導入し、前記急冷塔塔頂流から水素が除去される前に、前記急冷塔塔頂流から硫化水素が除去されるステップ;
前記H2S除去ユニットから前記H2Sリーン流を生成するステップ;および
次いで、前記H2Sリーン流を前記H2選択膜ユニットに導入するステップ
を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記H2Sリーン流は、150ppm未満の硫化水素を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
焼却炉で前記H2リーン流を焼却するステップをさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記H2リッチ流は、水、二酸化炭素、および窒素を除去して高品質の水素流を生成するためにさらに処理される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記H2リッチ流は、プラント燃料ガスに添加される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記H2選択膜ユニットは、膜供給コンプレッサ、第1のH2選択膜、透過液コンプレッサ、および第2のH2選択膜を含み、さらに、
前記膜供給コンプレッサで前記H2Sリーン流を圧縮して、圧縮された膜供給流を生成するステップ;
前記圧縮された膜供給流を前記第1のH2選択膜に導入するステップであって、前記第1のH2選択膜は、第1のH2選択膜保持液側および第1のH2選択膜透過液側を含むステップ;
前記第1のH2選択膜に水素を透過させ、H2リッチ透過液を生成するステップ;
前記H2リッチ透過液を前記第1のH2選択膜透過液側から除去するステップ;
前記H2リーン流を前記第1のH2選択膜保持液側から除去するステップ;
前記透過液コンプレッサで前記H2リッチ透過液を圧縮し、第2の膜供給流を生成するステップ;
前記第2の膜供給流を前記第2のH2選択膜に導入し、前記第2のH2選択膜は、第2のH2選択膜保持液側および第2のH2選択膜透過液側を含むステップ;
前記第2のH2選択膜に水素を透過させ、前記第2のH2選択膜透過液側から前記H2リッチ流を生成するステップ;
前記第2のH2選択膜保持液側から膜リサイクル流を除去するステップ;および
前記膜リサイクル流を前記第1のH2選択膜保持液側にリサイクルするステップ
を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
酸性ガス汚染流を処理して、排出ガスを抑制し、水素ガスを生成し、または水素を含有する天然ガスを生成するためのシステムであって、
酸性ガス流の硫黄化合物を元素硫黄に転換し、さらに硫黄回収ユニット廃棄物流を生成するように操作可能な、硫黄回収ユニット;
前記硫黄回収ユニットに流体接続され、前記硫黄回収ユニット廃棄物流を加熱して加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流を生成するように操作可能な、テールガス処理再加熱器;
前記テールガス処理再加熱器に流体接続され、前記加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流の硫黄化合物を硫化水素に還元し、テールガス流を生成するように操作可能な、テールガス処理反応器;
前記テールガス処理反応器に流体接続され、前記テールガス流の温度を低下させ、サワー水流および急冷塔塔頂流を生成するように操作可能な、急冷塔;
前記急冷塔に流体接続されたH2選択膜ユニットであって、H2選択膜を備え、前記急冷塔塔頂流から前記H2選択膜を介して水素を選択的に除去してH2リッチ流およびH2リーン流を生成するように操作可能な、H2選択膜ユニット;および
前記H2選択膜ユニットに流体接続され、前記H2リーン流から硫化水素を溶剤で吸収するように操作可能で、溶剤を再生するように構成され、H2Sリーン流およびH2Sリッチリサイクルを生成するH2S除去ユニット
を含む、システム。
【請求項22】
前記H2選択膜ユニットは、さらに、
前記加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流を圧縮して、圧縮された膜供給流を生成するように操作可能な膜供給コンプレッサ;
第1のH2選択膜であって、前記第1のH2選択膜を介して前記圧縮された膜供給流から水素を選択的に除去し、H2リッチ透過液および前記H2リーン流を生成するように操作可能な、第1のH2選択膜;
前記H2リッチ透過液を圧縮して第2の膜供給流を生成するように操作可能な、透過液コンプレッサ;および
第2のH2選択膜であって、前記第2のH2選択膜を介して前記第2の膜供給流から水素を選択的に除去し、前記H2リッチ流および膜リサイクル流を生成するように操作可能な、第2のH2選択膜
を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
酸性ガス汚染流を処理して、排出ガスを抑制し、水素ガスを生成し、または水素を含有する天然ガスを生成するためのシステムであって、
酸性ガス流の硫黄化合物を元素硫黄に転換し、さらに硫黄回収ユニット廃棄物流を生成するように操作可能な、硫黄回収ユニット;
前記硫黄回収ユニットに流体接続され、前記硫黄回収ユニット廃棄物流を加熱して加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流を生成するように操作可能な、テールガス処理再加熱器;
前記テールガス処理再加熱器に流体接続され、前記加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流の硫黄化合物を硫化水素に還元し、テールガス流を生成するように操作可能な、テールガス処理反応器;
前記テールガス処理反応器に流体接続され、前記テールガス流を冷却し、サワー水流および急冷塔塔頂流を生成するように操作可能な、急冷塔;
前記急冷塔に流体接続され、前記急冷塔塔頂流から硫化水素を溶剤で吸収するように操作可能で、溶剤を再生するように構成され、H2Sリーン流およびH2Sリッチリサイクルを生成するH2S除去ユニット;および
前記H2S除去ユニットに流体接続されたH2選択膜ユニットであって、H2選択膜を備え、前記H2Sリーン流から前記H2選択膜を介して水素を選択的に除去し、H2リッチ流およびH2リーン流を生成するように操作可能な、H2選択膜ユニット
を含む、システム。
【請求項24】
前記H2選択膜ユニットは、さらに
前記H2Sリーン流を圧縮し、圧縮された膜供給流を生成するように操作可能な、膜供給コンプレッサ;
第1のH2選択膜であって、前記第1のH2選択膜を介して前記圧縮された膜供給流から水素を選択的に除去し、H2リッチ透過液および前記H2リーン流を生成するように操作可能な、第1のH2選択膜;
前記H2リッチ透過液を圧縮して第2の膜供給流を生成するように操作可能な、透過液コンプレッサ;および
第2のH2選択膜であって、前記第2のH2選択膜を介して前記第2の膜供給流から水素を選択的に除去し、前記H2リッチ流および膜リサイクル流を生成するように操作可能な、第2のH2選択膜
を含む、請求項23に記載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、硫黄回収テールガス流を処理するための方法およびシステムに関する。より具体的には、本開示は硫黄回収ユニットのテールガス流からHS(硫化水素)およびH(水素)を除去することに関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガス処理および油留分の水素化処理の一部として、大量のHSが生成される。HSの元素硫黄(S)への転換は、硫黄回収ユニット(SRU)において行われる。この転換のために使用される最も一般的なプロセスは、改変クラウス処理プロセスとして、あるいはクラウスユニットまたは改変クラウスユニットとして知られている。改変されたクラウス処理プロセスは、ガス状HSをSに転換するために使用される熱および触媒プロセスとの組み合わせである。
【0003】
クラウスユニット供給ガスは、広範囲の組成を有する。供給ガスは、石油精製、天然ガスプロセスなどの副生ガスからサワー水蒸留塔ユニットでHSを抽出し、各種溶剤(アミン、物理またはハイブリッド溶剤)を用いた吸収プロセスに由来する。
【0004】
クラウスユニットの第1のプロセスは、反応炉における熱プロセスである。クラウスユニットへの供給ガスは、反応炉で充分な燃焼用空気、または酸素濃縮空気を用いて、化学量論的に含有するHSの1/3を燃焼させる。供給ガスからのHSは、二酸化硫黄(SO)とともにSに熱的に転換される。反応炉操作は、空気/酸素供給、反応温度、圧力、追加の燃料、および滞留時間を調整することによって、供給組成を考慮して回収を最大化するように設計される。さらに、反応炉では、供給ガス流に含まれる炭化水素などの汚染物質を破壊する。このような汚染物質は、触媒反応器において、炭素-硫黄化合物の生成による触媒層の目詰まりや不活性化などの問題を引き起こす。
【0005】
硫黄蒸気を含有する反応炉からの加熱された反応生成物ガスは、廃熱ボイラーで高圧蒸気を生成するために使用され、また、ガスの冷却も行われる結果となる。ついで、生成物ガスは、さらに熱交換器で冷却され、凝縮される。凝縮された液体Sは、凝縮器の出口端において残りの未反応ガスから分離され、硫黄ピットまたは他の回収領域に送られる。
【0006】
ついで、分離されたガスは、クラウスユニットの触媒プロセスに入る。触媒プロセスは、2から3の触媒反応器を含む。硫黄凝縮器に続いて、分離ガスは再加熱され、第1の触媒反応器に入る。第1の触媒反応では、供給ガス中のHSの一部がSOとの反応によってSに転換される。第1の触媒反応器からの出口生成ガスは、第2の凝縮器で冷却される。この場合も、凝縮された液体Sは、第2の凝縮器の出口端において残りの未反応ガスから分離され、硫黄貯蔵所に送られる。第2の凝縮器からの分離ガスは、別の再加熱器に送られ、ガスの再加熱、触媒反応、凝縮、未反応ガスからの液体Sの分離という一連の流れが、第2および第3の触媒反応器について繰り返される。
【0007】
3つの触媒反応器を有する良好に設計され、良好に操作されたクラウス硫黄回収プラントでは、供給ガス組成に応じて、96~98%の硫黄回収率が達成可能である。より高い回収率を得るためには、テールガスを焼却炉の上流で、または、あるいは焼却炉の代替としてさらに処理するためにテールガス処理ユニットを追加する必要がある。現在利用可能なテールガス処理ユニットは、最大99.9%以上の回収率を達成するのに有効であるが、クラウス処理ユニットに大きな資本コストがかかり、クラウス装置ユニット本体と同じオーダーになることが多い。
【0008】
硫黄回収ユニットの熱ステップでは、HSがSとHに分裂されることにより、硫黄回収の熱ステップで大量のHが生成する。Hの大部分は、テールガス下流の触媒コンバーターと水素化ステージに残る。一般に、1.0モル%~3.0モル%のHが、テールガス流中に残存する。Hは貴重なガスであるが、テールガスからHを分離することは困難であり、コストもかかる。現在、工業用途で使用されている従来の膜でもこの分離を行うことができるが、膜は高価であり、操作が困難である。また、従来の膜は、HS、二酸化炭素(CO)、または窒素(N)を含む流れからHを効率的、かつ効果的に分離するのに苦労しているため、効率が悪いという問題もある。さらに、Hの分離に使用される従来の膜は、テールガス流の操作温度に耐えることができず、大幅な冷却が必要となり、コストと装置が増加する。従来の膜は、より高温に対応できるものでも、これらの温度では経時劣化することが多く、膜寿命が短くなる。このような欠点があるため、従来の膜は、コスト高になる。
【0009】
従来の膜には、多孔質膜および高密度ポリマー膜を含む、様々なタイプがある。様々なタイプの膜は、様々な方法で操作する。高密度ポリマー膜は、溶液拡散のメカニズムで操作する。高密度ポリマー膜を通過するガス輸送は、ガスと膜の特性や性質、膜の両側のガスの分圧や膜厚などの要因によって支配される。膜透過性は、膜がガスを透過する能力を示す指標で、圧力と膜厚で規格化されている。透過性の指標は、一般に、ガス透過単位(gpu)で表され、1gpuは10-6cm(STP)/cm・S・cmHgと定義され、これは1バレル/ミクロン(Barrer/micron)である。
【0010】
膜は、ある化合物を、他の化合物よりも選択的に膜を介して移動させることができる。膜選択性とは、2つのガスを分離する能力を示す指標で、膜を通過するガスの透過率の比として計算される単位のない値である。膜選択性は、以下の式で算出される:
【0011】
膜選択性の式は、下記式のように書き換えることができる。
比D/Dは、2つのガスの拡散係数の比であり、一般に移動度または拡散選択率と見なされ、成分iおよびjの2つの分子の大きさが異なることを反映している。比K/Kは、2つのガスの溶解度係数の比であり、一般にガスの相対的な溶解度を反映して、収着または溶解度選択率と見なされる。
【0012】
これまでのところ、従来の膜では、硫黄回収ユニットのテールガス流からH成分を効果的かつ効率的に、特に高温で分離することができなかった。そのため、Hガスの価値を損なわず、Hガスをより効率的にリユースまたはリサイクルするために、テールガス流の成分を効果的に分離する必要性が存在する。さらに、硫黄化合物を含む硫黄回収ユニット廃棄物流に使用するための高温耐性膜の必要性が存在する。これらの必要性のうちの1つ以上が、本発明によって解決される。
【発明の概要】
【0013】
本開示は、硫黄回収操作から生成するテールガスを処理するためのシステムおよび方法に関するものである。硫黄回収ユニットは、HSとCOを含む酸性ガスを処理し、硫黄流と硫黄回収ユニット廃棄物流を生成する。テールガス流は、H、CO、N、およびHSを含むことができる。具体的には、本開示は、CO、HS、およびNよりもHを選択的に透過するH選択膜を使用して、テールガス流からHを除去することに関する。また、この方法およびシステムは、テールガス流からHSを除去するためにHS除去ユニットを利用する。いくつかの実施形態では、テールガスは、HS除去で処理される前に、H選択膜で処理される。いくつかの実施形態では、テールガスは、H選択膜で処理される前に、HS除去で処理される。この処理により、Hリッチ流およびHSリッチ流が生成する。経済性またはH選択膜の位置によって、Hリッチ流は、より環境にやさしくクリーンな燃焼セールスガスを生成するためにセールスガスと組み合わせたり、酸性ガス処理のために酸性ガスと組み合わせたり、より純度の高いH流を生成するためにさらなる精製に送ることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、H選択膜は、ポリベンゾイミダゾール(PBI)タイプポリマーおよびコポリマーを含むガラス状ポリマー材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、H選択膜は、100℃以上、最大300℃以上で操作可能なポリマー材料から作ることができる。H選択膜は、複数のH選択膜とコンプレッサを備えたH選択膜ユニットに配置することができる。
【0015】
第1の態様では、硫黄回収操作から生成するテールガスを処理して、水素ガスまたはより環境にやさしい天然ガスを生成する方法が提供される。この方法は、酸性ガス流を硫黄回収ユニットに供給するステップであって、酸性ガス流は、二酸化炭素および硫化水素を含むステップと、硫黄回収ユニットを介して酸性ガス流から硫黄を除去し、硫黄回収ユニット廃棄物流を生成するステップとを含む。この方法は、さらに、硫黄回収ユニット廃棄物流をテールガス処理再加熱器で加熱し、加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流を生成し、硫黄化合物を硫化水素に還元するように操作可能なテールガス処理反応器で加熱された硫黄回収廃棄物流を反応させて、テールガス流を生成するステップを含む。テールガス流は、水素、二酸化炭素、窒素、および硫化水素を含む。この方法は、さらに、テールガス流を急冷塔で冷却し、急冷塔塔頂流を生成するステップを含む。この方法では、急冷塔塔頂流は、塔頂流処理プロセスで処理される。塔頂流処理プロセスは、H2選択膜ユニットおよびH2S除去ユニットを含む。H2選択膜ユニットは、H2選択膜を含む。塔頂流処理プロセスでは、H2Sリッチリサイクル、H2Sリーン流、H2リッチ流、およびH2リーン流を生成する。このH2SリッチリサイクルがH2Sリーン流における硫化水素の濃度よりも高い濃度の硫化水素を含み、H2リッチ流がH2リーン流における水素の濃度よりも高い濃度の水素を含む。このH2リッチ流がH選択膜ユニットで生成され、H2SリッチリサイクルがH2S除去ユニットで生成される。また、膜は、H2Sリッチリサイクルを硫黄回収ユニットにリサイクルするステップを含む。
【0016】
特定の態様では、H2選択膜は、二酸化炭素に対する水素の選択率が少なくとも20である。特定の態様では、H2選択膜は、100℃~300℃の操作温度で分解することなく機能するように操作可能なガラス状ポリマーを含む。特定の態様では、H2選択膜は、PBIポリマーを含む。特定の態様では、H2選択膜は、また、パラジウム(Pd)を含む。特定の態様では、H2選択膜は、また、ハイドロフルオロアルカン(HFA)を含む。
【0017】
特定の態様では、H2選択膜は、多孔質支持層上に形成された芳香族ポリアミド層を含み、さらに芳香族ポリアミド層上に形成されたガラス状ポリマーを含むコーティングを含み、ガラス状ポリマーは、50℃超のガラス転移温度を有する。いくつかの態様では、ガラスポリマーは、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリフェニルスルホン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリフェニルエーテル、ニトロセルロース、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルトリメチルシラン、ポリトリメチルシリルプロピン、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリオキサジアゾール、ポリ(フェニレンオキサイド)、またはそれらの組み合わせもしくはコポリマーもしくはターポリマーを含む。
【0018】
いくつかの態様では、このPBIタイプポリマーは、ヘキサフルオロイソプロピリデン官能基から成る群から選択される化合物、テトラアミノジフェニルスルホンから誘導されるPBIポリマー、テトラアミノジフェニルスルホンポリマーから誘導されるPBIポリマー、テトラアミノジフェニルスルホンコポリマーから誘導されるPBIポリマー、N-置換変性PBI、PBIおよびメラミン-コ-ホルムアルデヒド熱硬化性ブレンド、Pd/PBI-HFA複合体、極薄層状Pd/PBI-HFA複合体、ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0019】
特定の態様では、この方法におけるH2選択膜ユニットおよびH2S除去ユニットにおいて急冷塔塔頂流を処理するステップは、H2S除去ユニットで処理する前に、急冷塔塔頂流をH2選択膜ユニットに導入するステップをさらに含み、水素ガスは、硫化水素が除去される前に急冷塔塔頂流から分離され、H2選択膜ユニットからH2リーン流を生成し、次いでH2リーン流をH2S除去ユニットに導入し、H2S除去ユニットがH2Sリッチ流およびH2Sリーン流を生成するステップを含む。いくつかの態様では、ステップは、少なくとも2モル%の硫化水素を含む。いくつかの態様では、この方法は、プラントコンプレッサでH2リッチ流を圧縮してプラントリサイクルを生成するステップと、プラントリサイクルを酸性ガス除去のためにプラント入口にリサイクルして、プラント入口からの処理された天然ガスが増加した水素含有量を有するようにするステップと、をさらに含む。
【0020】
いくつかの態様では、H2選択膜ユニットは、膜供給コンプレッサ、第1のH2選択膜、透過液コンプレッサ、および第2のH2選択膜を含み、この方法は、膜供給コンプレッサで急冷塔塔頂流を圧縮して圧縮された膜供給流を生成するステップと、圧縮された膜供給流を第1のH2選択膜に導入するステップとをさらに含み、第1のH2選択膜は、第1のH2選択膜透過液側および第1のH2選択膜保持液(retentate)側を有する。この方法は、水素が第1のH2選択膜を透過してH2リッチ透過液を生成するステップと、第1のH2選択膜透過液側からH2リッチ透過液を除去するステップと、第1のH2選択膜保持液側からH2リーン流を除去するステップとをさらに含む。この方法は、また、H2リッチ透過液を透過液コンプレッサで圧縮し、第2の膜供給流を生成するステップと、第2の膜供給流を第2のH2選択膜に導入するステップとを含み、第2のH2選択膜は、第2のH2選択膜保持液側および第2のH2選択膜透過液側とを有する。この方法は、また、水素が第2のH2選択膜を透過して第2のH2選択膜透過液側からH2リッチ流を生成するステップと、第2のH2選択膜保持液側から膜リサイクル流を除去するステップと、膜リサイクル流を第1のH2選択膜保持液側にリサイクルするステップ、を含む。
【0021】
特定の態様では、この方法のH2選択膜ユニットおよびH2S除去ユニットの急冷塔塔頂流を処理するステップは、H2選択膜ユニットにおける処理の前に、急冷塔塔頂流をH2S除去ユニットに導入し、急冷塔塔頂流から水素が除去される前に、硫化水素を除去し、H2S除去ユニットからH2Sリーン流を生成し、H2Sリーン流をH2選択膜ユニットに導入するステップ、をさらに含む。
【0022】
いくつかの態様では、H2Sリーン流は、150ppm未満の硫化水素を含む。いくつかの態様では、この方法は、H2Sリーン流を焼却炉で焼却するステップをさらに含む。いくつかの態様では、H2Sリッチ流は、水、二酸化炭素、および窒素を除去するためにさらに処理され、高品質の水素流を生成する。いくつかの態様では、H2リッチ流は、プラント燃料ガスに添加される。
【0023】
いくつかの態様では、H2選択膜ユニットは、膜供給コンプレッサ、第1のH2選択膜、透過液コンプレッサ、および第2のH2選択膜を含み、この方法は、膜供給コンプレッサでH2Sリーン流を圧縮して、圧縮された膜供給流を生成するステップをさらに含み、圧縮された膜供給流を第1のH2選択膜に導入し、第1のH2選択膜は、第1のH2選択膜保持液側および第1のH2選択膜透過液側を含み、水素が第1のH2選択膜を透過してH2リッチ透過液を生成する。この方法は、また、H2リッチ透過液を第1のH2選択膜透過液側から除去し、H2リーン流を第1のH2選択膜保持液側から除去し、H2リッチ透過液を透過液コンプレッサで圧縮して第2の膜供給流を生成するステップを含む。この方法は、また、第2の膜供給流を第2のH2選択膜に導入するステップであって、第2のH2選択膜は、第2のH2選択膜保持液側および第2のH2選択膜透過液側を含むステップと、第2のH2選択膜の透過液側に水素を透過させて第2のH2選択膜透過液側からのH2リッチ流を生成するステップと、第2のH2選択膜保持液側から膜リサイクル流を除去するステップと、膜リサイクル流を第1のH2選択膜保持液側にリサイクルするステップと、を含む。
【0024】
第2の態様では、排出ガスを抑制し、水素ガスを生成し、またはより環境にやさしい天然ガスを生成するために酸性ガス汚染流を処理するためのシステムが提供される。このシステムは、酸性ガス流の硫黄化合物を元素硫黄に転換し、さらに硫黄回収ユニット廃棄物流を生成するように操作可能な、硫黄回収ユニットを含む。このシステムは、また、硫黄回収ユニットに流体接続され、硫黄回収ユニット廃棄物流を加熱して加熱された硫黄回収ユニット廃棄物を生成するように操作可能な、テールガス処理再加熱器を含む。このシステムは、また、テールガス処理再加熱器に流体接続され、加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流の硫黄化合物を硫化水素に還元し、テールガス流を生成するように操作可能な、テールガス処理反応器を含む。このシステムは、また、テールガス処理反応器に流体接続され、テールガス流の温度を低下させ、サワー水流および急冷塔塔頂流を生成するように操作可能な、急冷塔を含む。このシステムは、急冷塔に流体接続されたH2選択膜ユニットをさらに含み、H2選択膜を介して急冷塔塔頂流から水素を選択的に除去してH2リッチ流およびH2リーン流を生成するように操作可能である。このシステムは、H2選択膜ユニットに流体接続され、H2リーン流から硫化水素を溶剤で吸収するように操作可能で、溶剤を再生するように構成され、H2Sリーン流およびH2Sリッチリサイクルを生成するH2S除去ユニットを含む。
【0025】
いくつかの態様では、システムのH2選択膜ユニットは、加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流を圧縮して、圧縮された膜供給流を生成するように操作可能な、膜供給コンプレッサをさらに含む。H2選択膜ユニットは、また、圧縮された膜供給流から第1のH2選択膜を介して水素を選択的に除去して、H2リッチ透過液およびH2リーン流を生成するように操作可能な、第1のH2選択膜と、H2リッチ透過液を圧縮して第2の膜供給流を生成するように操作可能な、透過コンプレッサを含む。H2選択膜ユニットは、また、第2のH2選択膜も含み、第2のH2選択膜を通して第2の膜供給流から水素を選択的に除去し、H2リッチ流および膜リサイクル流を生成するように操作可能である。
【0026】
第3の態様では、排出物を抑制し、水素ガスを生成し、またはより環境にやさしい天然ガスを生成するために酸性ガス汚染流を処理するためのシステムが提供される。酸性ガス汚染流を処理するためのシステムは、酸性ガス流の硫黄化合物を元素硫黄に転換し、さらに硫黄回収ユニット廃棄物流を生成するように操作可能な、硫黄回収ユニットを含む。このシステムは、また、硫黄回収ユニットに流体接続され、硫黄回収ユニット廃棄物流を加熱して加熱された硫黄回収ユニット廃棄物を生成するように操作可能な、テールガス処理再加熱器を含む。このシステムは、また、テールガス処理再加熱器に流体接続され、加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流中の硫黄化合物を硫化水素に還元し、テールガス流を生成するように操作可能な、テールガス処理反応器を含む。このシステムは、また、テールガス流の温度を低下させ、サワー水流および急冷塔塔頂流を生成するように操作可能な、テールガス処理反応器に流体接続された急冷塔を含む。このシステムは、また、急冷塔に流体接続されたH2S除去ユニットを含み、このユニットは、溶剤を用いて急冷塔塔頂流から硫化水素を吸収するように操作可能で、溶剤を再生して、H2Sリーン流およびH2Sリッチリサイクルを生成するように構成される。このシステムは、また、H2S除去ユニットに流体接続されたH2選択膜ユニットを含み、H2選択膜は、H2選択膜を介してH2Sリーン流から水素を選択的に除去してH2リッチ流およびH2リーン流を生成するよう操作可能である。
【0027】
いくつかの態様では、システムのH2選択膜ユニットは、H2Sリーン流を圧縮し、圧縮された膜供給流を生成するように操作可能な、膜供給コンプレッサと、第1のH2選択膜を介して圧縮された膜供給流から水素を選択的に除去して、H2リッチ透過液およびH2リーン流を生成するように操作可能な、第1のH2選択膜と、をさらに含む。H2選択膜ユニットは、第2の膜供給流を生成するためにH2リッチ透過液を圧縮するように操作可能な、透過コンプレッサと、第2のH2選択膜を介して第2の膜供給流から水素を選択的に除去するように操作可能な、H2リッチ流および膜リサイクル流を生成するように操作可能な、第2のH2選択膜と、をさらに含む。
【0028】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明、特許請求の範囲、および添付の図面に関してよりよく理解されるのであろう。しかしながら、図面は本開示のいくつかの実施形態のみを示し、したがって、他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本開示の一実施形態による、膜処理および吸収体処理の両方を備えたテールガス処理ユニットのブロック図である。
【0030】
図2】本開示の他の実施形態による、吸収体の前の膜処理を備えたテールガス処理システムのブロック図である。
【0031】
図3】本開示の他の実施形態による、吸収体の後の膜処理を備えたテールガス処理システムのブロック図である。
【0032】
図4】本開示の他の実施形態による、膜処理プロセスのブロック図である。
【0033】
添付の図面では、類似の構成要素または特徴、あるいはその両方に類似の参照符号を付す。図1図4の簡略化した概略図および説明のために、当業者によく知られている多数のポンプ、バルブ、温度および圧力センサ、電子制御装置などは含まれない。システムの様々な構成要素間の輸送ラインは、1つ以上のシステム構成要素を1つ以上の他のシステム構成要素に流体連通によって接続するパイプ、導管、チャネル、または他の適切な物理的輸送ラインを含むことができる。また、従来の工業的用途にある付随する構成要素は図示されていない。しかしながら、本開示で説明したような操作構成要素を、本開示で説明した実施形態に追加することができる。
【0034】
さらに、図面中のラインおよび矢印は、2つ以上のシステム構成要素間の流れを描写するのに役立つ転送ラインを指すことに留意されたい。また、システム構成要素に接続するラインと矢印は、各システム構成要素の入口と出口を定義する。矢印の方向は、ラインと矢印で示される物理的な転送ライン内に含まれる流れの材料の主要な移動方向と概ね一致する。さらに、2つ以上のシステム構成要素を接続していないラインと矢印は、図示のシステムから出る生成物流、または図示のシステムに入るシステム入口流を意味する。生成物流は、処理システムでさらに処理することができ、または最終生成物になることもある。システム入口流は、付随する処理システムから転送される流または処理済みまたは未処理の供給流であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示は、いくつかの実施形態を用いて説明されるが、当業者は、説明されるシステムおよび方法に対する多くの例、変形および変更が本開示の範囲およびその精神内にあることを認めるであろうことが理解される。したがって、記載された開示の実施形態は、一般性を失うことなく、また、特許請求の範囲に制限を課すことなく記載される。
【0036】
本開示で使用される「膜」は、様々な駆動力(driving forces)下で物質移動が起こり得る構造を指す。駆動力は、膜の保持液側の正圧、膜の透過液側の真空圧、膜の透過液側と保持液側との間の流れ成分濃度差、またはそれらの組み合わせによって生成される膜の両側間の圧力差とすることができる。入口ガス流から選択透過膜を介して1つ以上の成分の転送を促進する駆動力は、膜を横切る圧力、濃度、電位、またはそれらの組み合わせとすることができる。膜操作は、保持液側を高圧にしたり、透過液側を真空にしたりと、任意のモードとすることができる。膜は、「浸透剤」(penetrant)(「浸透剤」とは、膜の一方の面に接触している相から膜を通過する存在)を保持液から透過液に通過させることができる。本開示で使用する場合、「保持液」(retentate)は、膜を通過せずに膜モジュールを出る流れであり、浸透剤を減損させたものである。膜は、単層または多層である。本開示で名詞として使用される「permeate」は、膜モジュールから出る浸透剤を含む流れを指すことができ、または膜ユニットの膜を透過した液体および気体を指すことができる。「permeate」は、本開示では動詞としても用いることができ、膜ユニットの膜を介して広がること、膜を介して流れること、膜を通過することを意味する。
【0037】
本開示で使用される「選択層」は、透過液流を生成する膜を浸透剤が通過することを可能にする活性を有する膜層を意味する。本開示で使用されるように、膜がガスに対して「選択的」である場合、それは、他の成分と比較して、1つの成分の膜材料を介してより多くの物質輸送を可能にする膜の特性を意味する。例えば、COに対するHS(CO over HS)選択膜は、処理流中のHSや他の成分が存在下で膜を介して優先的に輸送し、CO-濃縮透過液とCO-減損保持液を生成する。
【0038】
本開示で使用されるように、膜の選択性は、X/Xで示される2つの化合物に対する単位なしの数として表すことができ、ここでXは第1の化合物であり、Xは第2の化合物である。X/Xは、「Xに対するX」と読み替えられ、膜選択性とは、膜が2つの気体を分離する能力を示す指標で、膜を通過する気体の透過率の比として計算される無次元数である。
【0039】
本開示で使用される「薄膜、複合膜」は、1つ以上の多孔質支持層上に形成された薄いポリマーバリア層からなる膜を指す。ポリマーバリア層は、膜のフラックスと分離特性を決定する;多孔質支持体は、選択層の支持体として機能し、膜の輸送特性に影響を及ぼさないか、または影響を及ぼすことができる。本開示で使用する、特定の材料を含む膜への言及は、選択層または支持層に使用される材料を指す。支持構造は、任意の材料で作ることができる。
【0040】
本開示において使用する「膜モジュール」とは、供給液、透過液、および保持液の流れを分離するために、同一または異なる組成の1つ以上の膜を含むマニホルドアセンブリを指す。膜モジュールは、中空糸膜モジュール、プレート-アンド-フレーム膜モジュール、スパイラル巻きの膜モジュール、またはポッテッド(potted)中空糸モジュールを含む、任意のタイプの膜モジュールとすることができる。膜モジュールには、様々な構成の膜を配置することができる。膜は、平板状、板状および枠状、あるいは中空糸状、毛細管状、または渦巻き状など、充填密度が高くなるように配置することができる。膜モジュールには、複数の膜を使用することができ、複合膜、複数の材料からなる膜および異なる種類の膜を一緒に膜モジュールに配置することもできる。
【0041】
本開示で使用される場合、「空気」は、地球の大気を構成する集合ガスまたは集合ガスの個々の成分を指す。特に別段の指示がない限り、空気という用語の使用は、空気に含まれるガスの一部または全部を含む。
【0042】
組成物は、特に別段の指示がない限り、乾燥量基準で提供される。
【0043】
本明細書では、「いくつかの実施形態において」、「一実施形態において」、または「実施形態において」という表現を使用することができ、これらはそれぞれ、同一または異なる実施形態のうちの1つ以上を指すことができる。
【0044】
本開示で使用する「約」という用語は、任意の定量的比較、値、測定、または他の表現に帰することができる固有の不確実性の程度を表すために利用され、また本開示では、問題となっている主題の基本機能に変化をもたらすことなく定量表現が明記された基準から変化し得る程度を表すために利用される。
【0045】
本開示の実施形態では、硫黄回収ユニットのテールガス流からHおよびHSを分離および除去するための方法およびシステムが開示される。硫黄回収ユニットは、HSとCOを含む酸性ガスを処理し、硫黄流と硫黄回収ユニット廃棄物流を生成する。硫黄回収ユニット廃棄物流を再加熱器および反応器で処理し、急冷塔で冷却されたテールガス流を生成することができる。テールガス流は、H、CO、N、およびHSを含むことができる。急冷塔塔頂は、H選択膜およびHS除去ユニットで処理することができる。HS除去ユニットは、吸収ユニットとすることができる。急冷塔塔頂は、HS除去ユニットの前にH選択膜で処理するか、またはHS選択膜の前にHS除去ユニットで最初に処理されるかのいずれかである。この処理により、Hリッチ流およびHSリッチ流が生成する。経済性またはH選択膜の位置によって、Hリッチ流は、より環境にやさしく、よりクリーンな燃焼セールスガスを生成するためにセールスガスと結合するために送られるか、または酸性ガス処理のために酸性ガスと組み合わせることができ、より純粋なH流れを生成するためにさらなる精製に送ることができる。
【0046】
選択膜は、一般に、流れ中の他の化合物よりもHが優先的に膜を透過するようにする高密度ポリマー膜である。H選択膜は、ポリベンゾイミダゾール(PBI)ポリマーを含むガラス状ポリマー材料を含むことができる。H選択膜は、100℃以上、300℃以下で操作可能なポリマー材料で作ることができる。H選択膜は、複数のH2選択膜ステージまたはステップおよびコンプレッサを有するH選択膜ユニットに配置することができる。
【0047】
有利なことに、本明細書に開示された実施形態は、多くの問題を解決する。本実施形態では、Hガスを有利に回収することができ、このHガスは、そうでなければ大気中に失われるか、焼却炉で燃焼される貴重なガス流となり得る。本発明の実施形態は、テールガス流から回収され、硫黄回収ユニットに供給される酸性ガス流にリサイクルすることができるので、SOを生成するフレアまたは熱酸化装置で大量のHSを燃焼する必要がなく、大気中に放出されるかまたは燃焼される望ましくないHSの量を低減する。本発明の実施形態は、既存の操作に後付け(retrofit)として配備することもできる。さらに、本発明の実施形態は、実質的な期間にわたって劣化することなく操作可能で、かつ操作性を維持して、他の成分よりもHに対して選択的な膜を含み、Hの分離は、テールガス流のより少ない冷却で達成することができる。
【0048】
つぎに図を参照すると、本発明の実施形態を示すブロック図が提供される。図1は、本開示に記載の1つ以上の実施形態による、膜処理および吸収処理の両方を備えたテールガス処理システム100のブロック図である。酸性ガス流105は、硫黄回収ユニット110に導入される。酸性ガス流105は、HS、CO、水、他の硫黄化合物、および不純物を含む。酸性ガス流105は、石油およびガス処理操作、採掘操作、または酸性ガス流を生成することができる他の任意の操作から生成することができる。酸性ガス流105は、任意の濃度のHSまたはCOを有することができ、任意の温度および圧力にすることができる。酸性ガス流105の組成は、変化し得る。いくつかの実施形態では、酸性ガス流105は、40モル%超のHSおよび50モル%超のCOを含有する。いくつかの実施形態において、酸性ガス流105は、約10~約90mol%のHSを含む。酸性ガス流105の圧力は、約2psig~約15psigとすることができ、酸性ガス流105の温度は、約20℃~約260℃とすることができる。一実施形態では、酸性ガス流105は、石油およびガス操作から酸性ガス処理ユニットで生成される。硫黄回収ユニット110は、ガス流から硫黄を除去する任意のタイプのプロセスユニットとすることができる。いくつかの実施形態では、硫黄回収ユニット110は、燃焼、加熱器、冷却器、および触媒コンバーターを利用してHSをSに転換するクラウス プラント(Claus plant)である。硫黄回収ユニット110は、HSなどの硫黄化合物をSに転換するために必要な任意の温度、圧力、および操作条件で操作することができる。硫黄回収ユニット110は、硫黄回収ユニット廃棄物流112を生成する。硫黄回収ユニット廃棄物流112は、N、CO、H、HS、CO、SO、および他の成分を含む。いくつかの実施形態では、硫黄回収ユニット廃棄物流112は、40モル%超のN、20モル%超のCO、1モル%超のH、および0.3モル%超のHSを含有する。いくつかの実施形態では、硫黄回収ユニット廃棄物流112の圧力は、約15~30psia(絶対圧力)の範囲である。いくつかの実施形態では、硫黄回収ユニット廃棄物流112の温度は、200℃超である。硫黄回収ユニット廃棄物流112は、テールガス処理再加熱器120に導入される。テールガス処理再加熱器120は、硫黄回収ユニット廃棄物流112の温度を上昇させる。テールガス処理再加熱器120は、硫黄回収ユニット廃棄物流112の温度を上昇させることができる任意のタイプの加熱器または再加熱器とすることができる。燃料ガス流114は、テールガス処理再熱器120に導入することもできる。燃料ガス流114は、テールガス処理再熱器120に適合する任意のタイプの燃料を含むことができる。いくつかの実施形態では、燃料ガス流114は、天然ガスである。燃料ガス流114は、任意の温度および圧力とすることができる。空気流118は、テールガス処理再加熱器120にも導入される。空気流118は、空気を含むことができる。空気流118は、任意の温度および圧力とすることができる。
【0049】
加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流125は、テールガス処理再加熱器120を出て、テールガス処理反応器130に入る。加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流125は、約260℃~約310℃の範囲の温度を有することができる。加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流125は、約15~20psiaの範囲の圧力を有することができる。テールガス処理反応器130は、加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流125中の硫黄化合物を還元し、その結果、S化合物は、HSに転換される。テールガス処理反応器130は、化合物を還元することができる任意のタイプの反応器とすることができる。テールガス処理反応器130は、260℃~310℃の間で操作することができる。テールガス処理反応器130は、Co-Mo触媒タイプを使用することができる。いくつかの実施形態では、テールガス処理反応器130は、SCOTプロセス触媒コンバーターである。
【0050】
テールガス流135は、テールガス処理反応器130を出る。テールガス流135は、H、CO、HS、およびNを含む。テールガス流135は、約1.0モル%~約3.0モル%の範囲のH濃度を有する回収可能量のHを含む。テールガス流135は、約0.1モル%~約5モル%、あるいは約0.5モル%~約4モル%の範囲のH濃度を有する。テールガス流135は、約2.0モル%~約4.0モル%、あるいは約1.8モル%~約3.0モル%、あるいは約1000ppmv~約5.0モル%、あるいは約200ppmv~約4.0モル%、あるいは約50ppmv~約3.5モル%のHS濃度を含む。テールガス流135は、150ppmv未満のHSのレベル(level)を含む。テールガス流135は、また、COおよびNを含むことができる。テールガス流135中のCOの濃度は、約10モル%~約50モル%、あるいは約20モル%~約40モル%の範囲とすることができる。一実施形態では、テールガス流135中のNの濃度は、約25モル%~約80モル%、あるいは約30モル%~約75モル%、あるいは約40モル%~約60モル%の範囲とすることができる。テールガス流135は、任意の濃度のHおよびHSを含むことができる。テールガス流135は、約500°F~約600°F、または約260℃~約315℃の範囲とすることができる。テールガス流135は、約1~3psigの範囲の圧力を有することができる。
【0051】
テールガス流135は、急冷塔140に導入される。急冷塔140は、テールガス流135を冷却する。テールガス流135を冷却することができる任意のタイプの塔を、急冷塔140として使用することができる。いくつかの実施形態では、急冷塔140は、テールガス流135を冷却するために水を利用する。急冷塔140は、また、ガス流からHSを除去するアミンユニットに影響を与え、汚染する可能性のある少量の汚染物質(SOおよびアンモニア)を、テールガス流135から除去することができる。急冷塔140は、テールガス流135を任意の温度まで冷却することができる。テールガス流135は冷却して、急冷塔塔頂流148を生成する。急冷塔140は、サワー水流144と急冷塔塔頂流148を生成する。サワー水流144は、硫黄化合物、酸性ガス成分、およびテールガス流135から洗浄されたアンモニアで汚染された水を含む。
【0052】
急冷塔塔頂流148は、任意の温度および圧力とすることができる。いくつかの実施形態では、急冷塔塔頂流148は、100℃~300℃の温度である。いくつかの実施形態では、急冷塔塔頂流148は、約40℃超の温度および約1~5psigの圧力を有することができる。急冷塔塔頂流148は、テールガス流135と同じ乾燥量基準組成を有することができ、水蒸気で飽和されている。
【0053】
急冷塔塔頂流148は、塔頂流処理プロセス150で処理される。塔頂流処理プロセス150は、H2選択膜ユニット160およびH2S除去ユニット180を含む。塔頂流処理プロセス150は、H2リッチ流178およびH2Sリッチリサイクル188を生成する。H2リッチ流178は、H2選択膜ユニット160から生成され、H2Sリッチリサイクル188は、H2S除去ユニット180から生成される。また、塔頂流処理プロセス150からは、H2Sリーン流(図示せず)およびH2リーン流(図示せず)も、塔頂流処理プロセス150から生成される。
【0054】
H2S除去ユニット180は、HSを分離および除去するように操作可能な装置の一部または装置のグループとすることができる。H2S除去ユニット180は、吸収ユニットであることができ、HSを媒体に吸収するように構成される。H2S除去ユニット180は、別個の装置のグループとすることができ、装置の各一部は、吸収材料をガス流に接触させ、吸収材料を再生し、HSリッチ流およびHSリーン流を生成し、吸収材料またはガス流を輸送するのに必要な異なる機能を果たす。H2S除去ユニット180は、吸収タワー、再生ストリッピングタワー、再生ヒーター、ポンプ、およびその他の必要な装置を含むことができる。いくつかの実施形態では、H2S除去ユニット180は、アミン吸収ユニットおよび再生ユニットを含む。いくつかの実施形態では、H2S除去ユニット180は、COよりもHSを選択的に多く吸収するメチルジエタノールアミン(MDEA)などのHS選択的アミンを含む。他の実施形態では、H2S除去ユニット180は、ジエタノールアミン(DEA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、およびジグリコールアミン(DGA)として知られているアミノエトキシエタノールなどのHSおよびCOを吸収するアミンを含む。H2S除去ユニット180は、流れからHSを吸収する溶剤を含むことができ、約100°Fの供給ガス温度および約1~5psigの供給ガス圧などの典型的なアミン吸収操作条件で操作することができる。H2S除去ユニット180は、モレキュラーシーブベッドなどの再生ベッド吸収ユニットとすることができる。H2S除去ユニット180は、一連のHS選択膜とすることができる。H2S除去ユニット180の操作条件は、使用されるプロセスユニットおよび媒体に応じて変化することができる。
【0055】
H2選択性膜ユニット160は、H2選択膜162を含む装置と共に、装置の一部または装置のグループとすることができる。H2選択膜ユニット160は、ガス流からHを分離することができる。H2選択膜ユニット160は、膜モジュールを含む。H2選択膜ユニット160は、コンプレッサ、ポンプ、バキューム、およびガス流をH2選択膜ユニット160で処理するために必要な任意の他の装置を含むことができる。H2選択膜ユニット160は、H2選択膜162を通るHの透過を促進するために任意の方法で構成することができる。
【0056】
H2選択膜ユニット160は、H2選択膜162を含む。H2選択膜162は、HS、CO2、および水蒸気の存在を含む、液流中の他の成分よりもHに対して選択的な膜である。H2選択膜162は、流れ中の他の成分よりもHを選択的に透過させる選択層を有することができる。いくつかの実施形態では、H2選択膜162は、COに対するHの選択率が約3超、または約10超、または約15超、または約20超、または約30超、または約35超、または約40超である。一実施形態では、H2選択膜162は、高いフラックスを有し、Hが高速でH2選択膜162を透過することを可能にする。H2選択膜162への供給は、25℃~350℃、あるいは100℃~350℃、あるいは150℃~300℃、あるいは200℃~300℃、あるいは150℃~250℃の温度範囲とすることができる。H2選択膜162への供給圧力は、30psia~150psia、あるいは50psia~約100psiaの範囲とすることができる。
【0057】
H2選択膜162は、支持層および選択層を含むことができる。H2選択膜162は、1つ以上の材料で作ることができ、支持層または選択層の一部とすることができる。H2選択膜162は、薄膜、複合膜とすることができる。H2選択膜162は、多層芳香族ポリアミド薄膜複合膜を含むことができる。H2選択膜162は、平坦なシート膜であってもよい。H2選択膜162の選択層の厚さは、任意の厚さとすることができる。いくつかの実施形態では、選択層は、1μm~10μmの範囲、あるいは0.1μm~5μmの範囲である。
【0058】
H2選択膜162は、ガラス状ポリマーを含むことができる。ガラス状ポリマーは、耐湿性を有することができる。いくつかの実施形態では、H2選択膜162は、PBIポリマーを含む。いくつかの実施形態では、H2選択膜162は、PBIポリマーおよびPdを含む。いくつかの実施形態では、H2選択膜162は、多孔質支持層上に形成された芳香族ポリアミド選択層を含む。いくつかの実施形態では、芳香族ポリアミド選択層は、ガラス状ポリマーでコーティングされている。ガラス状ポリマーは、50℃超、あるいは100℃超、あるいは150℃超のガラス転移温度を有することができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、H2選択膜162は、PBIタイプポリマーおよびコポリマーを含むガラス状ポリマー材料を含む。いくつかの実施形態では、PBIタイプポリマーは、ヘキサフルオロイソプロピリデン官能基、テラアミノジフェニルスルホンから誘導されるPBIs、テトラアミノジフェニルスルホンポリマーおよびコポリマーから誘導されるPBIs、N-置換変性PBIs、およびPBIおよびメラミン-コ-ホルムアルデヒド熱硬化性ブレンドを含む。PBIタイプポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、交互コポリマータイプ、ランダムコポリマータイプ、ブロックタイプコポリマー、ターポリマー、交互ターポリマータイプ、ランダムターポリマータイプ、ブロックタイプターポリマー、および任意の他のタイプのポリマーレイアウト(polymer layout)とすることができる。ポリマーは、ランダムコポリマータイプ、交互タイプ、およびブロックタイプとすることができる。H2選択膜162は、超薄層Pd/PBI-HFA複合膜を含むことができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、ガラス状ポリマーは、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリフェニルスルホン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリフェニルエーテル、ニトロセルロース、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(フェニレンサルフィド)、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルトリメチルシラン、ポリトリメチルシリルプロピン、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリオキサジアゾール、ポリ(フェニレンオキサイド)、または列挙したガラス状ポリマーの組み合わせもしくはコポリマーもしくはターポリマーである。いくつかの実施形態では、ガラス状ポリマーは、官能化されている。官能化ガラス状ポリマーは、スルホン化ガラス状ポリマーおよびハロゲン化ガラス状ポリマー、例えば臭素化ガラス状ポリマーを含むことができる。好適なガラス状ポリマーの例としては、臭素化ポリイミド、臭素化ポリスルホン、および臭素化ポリ(フェニレンオキサイド)などが挙げられる。
【0061】
いくつかの実施形態では、H2選択膜162は、米国特許公開2019/0009207に開示されている材料から選択され、その全体が本明細書に組み込まれている。いくつかの実施形態において、H2選択膜162は、多孔質支持体層と、界面重合を介して多孔質支持体層上に形成された選択層としての芳香族ポリアミド層と、芳香族ポリアミド層上に形成されたガラス状ポリマーを含む選択層の一部を形成するコーティングとを含む。界面重合では、2つの非混和溶剤の界面で反応成分同士が反応を起こす。多孔質支持体層は、m-フェニレンジアミンなどのモノマーアリーレンポリアミンを含む水溶液に浸漬または噴霧によって飽和される。飽和後、多孔質支持体は、トリメソイルクロライドなどのモノマーアシルハライドを溶解した水-非混和性溶剤に浸漬される。その場で界面重合を開始し、多孔質支持体上に直接芳香族ポリアミド層を形成する。ポリアミド層および多孔質支持体を乾燥させることで、複合膜を得ることができる。いくつかの実施形態では、多孔質支持体は、芳香族ポリアミド層が、界面重合によって多孔質支持体上にそれぞれ形成された架橋芳香族ポリアミド層であるような、多孔質支持体などのバッキング層を有する。いくつかの実施形態では、多孔質支持体は、芳香族ポリアミド層が、界面重合によって多孔質支持体上にそれぞれ形成された架橋芳香族ポリアミド層であるような、多孔質支持体などのバッキング層を有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、多孔質支持層は、基材を含む。多孔質支持体層は、精密ろ過、限外ろ過、またはナノろ過に適したメソポーラスポリマー膜支持体とすることができる。多孔質支持体層は、10μm~1000μmの範囲の厚さを有することができる。多孔質層の厚さは、30μm~100μmの範囲とすることができる。多孔質支持体層の表面細孔は、不均一であってもよく、1nm~100μmの範囲の寸法を有することができる。
【0063】
H2選択膜162は、芳香族ポリアミド層上に形成されるガラス状ポリマーコーティングを含むことができる。ポリアミド層の厚さは、20nm~200nmの範囲とすることができる。芳香族ポリアミド層上にガラス質ポリマーを含む溶液をスロットダイコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、またはスプレーコーティングすることにより、ガラス質ポリマーコーティングを形成し、芳香族ポリアミド層の細孔や欠陥を有効に塞ぎ、ガス分離に適した芳香族ポリアミド薄膜複合膜を得る。ガラス状ポリマーコーティングの厚さは、10nm~1μmの範囲とすることができる。
【0064】
一実施形態では、H2選択膜162は、250℃で約47のH/CO選択率および7バレル(Barrers)のH透過率を有するPBIを含むPBIタイプのポリマー膜である。一実施形態では、H2選択膜162は、ポリ(5,5’-ベンゾイミダゾール-2,2’-ジイル-1,3-フェニレン)のPBI材料を含む。一実施形態では、H2選択膜162は、300℃の操作温度で1gpuのH透過率を有する約21のH/CO選択率を有するPBIタイプポリマーを含む。一実施形態では、H2選択膜162は、35℃の操作温度で、約47のH/CO選択率および3.6バレルのH透過率を有するPBIタイプのポリマー膜である。一実施形態では、H2選択膜162は、250℃の操作温度で、約23のH/CO選択率および76.8バレルのH透過率を有するm-PBIを含むPBIタイプのポリマー膜である。一実施形態では、H2選択膜162は、250℃の操作温度で500gpuのH透過率および約19のH/CO選択率を有するm-PBIを含むPBIタイプのポリマー膜である。
【0065】
一実施形態では、H2選択膜162は、150℃を超える操作温度を可能にする熱安定特性を示すPBI、ポリイミド、およびポリベンゾオキサゾール(PBO)材料を含む。一実施形態では、H2選択膜162は、250℃を超える高温で長時間操作可能であり、H/CO選択率が約43、HSの存在下で250℃においてH/N選択率が約233であるm-PBIを含む。一実施形態では、H選択膜162は、250℃を超える操作温度において、約100gpuのH透過率および約25のH/CO選択率および約100のH/N選択率を有するPBIを含む。一実施形態では、H2選択膜162は、水蒸気の存在下において230℃で、470バレルのH透過率および約26.3のH/CO選択率を有するPBI/ゼオライトイミダゾレート骨格(ZIF)複合膜を含む。
【0066】
一実施形態では、H2選択膜162は、250℃で、76.8バレルのH透過性を有する約23のH/CO選択率を有するPBIポリマーまたはPBIコポリマーを含む。一実施形態では、H2選択膜162は、PBIセグメントを有する高度に破壊され、緩やかに充填されたヘキサフルオロイソプロピリデンのジフェニル基である6F-PBIと、PBIセグメントを有する高度に選択的な密充填されたフェニレン基であるm-PBIとが配置されたPBIである。
【0067】
一実施形態では、H2選択膜162は、100℃~400℃の高温でのH/CO選択的分離のためのPBI非対称中空糸膜であり、H透過率は、2.6×10-6cm(STP)/cm・s・cmHgであり、H/CO選択率は、約27である。
【0068】
一実施形態では、H2選択膜162は、TADPS-IPA(テトラアミノジフェニルスルホン-イソフタル酸ポリベンゾイミダゾール)、TADPS-TPA(テトラアミノジフェニルスルホン-テレフタル酸ポリベンゾイミダゾール)、またはTADPS-OBA(テトラアミノジフェニルスルホン-オキシビス(ベンゾイックアシッド)ポリベンゾイミダゾール)などのスルホニル含有テトラアミンモノマーTADPS(3,3’4,4’-テトラアミノジフェニルスルホンモノマー)から作られたPBIを含む。一実施形態では、H2選択膜162は、少なくとも約20のH/CO選択率を有するTADPS-TPAを含む。一実施形態では、H2選択膜162は、少なくとも約10のH/CO選択率を有するTADPS-OBAを含む。一実施形態では、H2選択膜162は、少なくとも約32のH/CO選択率を有するTADPS-IPAを含む。
【0069】
一実施形態では、H2選択膜162は、250℃で、約20のH/CO混合気体選択率を有し、H透過性が7バレルであるPBIタイプポリマー膜である。一実施形態では、H2選択膜162は、PBIタイプポリマー膜であり、熱安定性に優れ、酸、塩基、および有機溶剤に対する耐性がある。一実施形態では、H2選択膜162は、200℃~270℃の操作範囲において、H/CO選択率が約20、H透過率が9~13のPBIタイプポリマー膜である。
【0070】
一実施形態では、H2選択膜162は、25℃で、2.1バレルの透過率と約11.3のH/CO選択率を有するPBIタイプのポリマー膜である。一実施形態では、H2選択膜162は、DMPBI-I、PBI-I、DBPBI-I、DSPBI-I、DBzPBI-I、DMPBI-BUL、DBPBI-BUL、DSPBI-Bul、DBzPBI-Bul、またはPBI-Bulを含む。
【0071】
一実施形態では、H2選択膜162は、250℃の操作温度で、57バレルのH透過率および約12.9のH/CO選択率を有するPBIおよび他の材料のブレンドを含む。一実施形態では、H2選択膜162は、PBIおよびPMF(ポリ(メラミンコ-ホルムアルデヒド))ポリマーブレンドを含む。一実施形態では、PBIおよびPMFブレンドを含むH2選択膜162は、30℃の操作温度で、2.1バレルのH透過率および約25.8のH/CO選択率を有する。
【0072】
選択膜162は、Pd、バナジウム、ニッケル、ニオブ、および鉄などの金属および金属合金、または銀、ルテニウム、金、および銅とのPd合金を含むことができる。H選択膜162は、金属酸化物、ゼオライト、およびカーボンモレキュラーシーブ、非晶質シリカ、ZrOおよびTiOを含む非シリカ金属酸化物、ゼオライト膜;マイクロポーラス炭素膜;緻密なセラミック膜、バナジウム、ニオブ、ジルコニウムおよびタンタル合金、およびグラフェンなどを含むことができる。H選択膜162は、ジルコニア中間層を有する多孔質ステンレス鋼支持体を含むことができる。
【0073】
一実施形態では、H2選択膜162は、150℃の操作温度で、262バレルのH透過率および約22のH/CO選択率を有するPd/PBI-HFA複合膜である。一実施形態では、150℃の操作温度で、H2選択膜162は、276バレルのH透過率および約22のH/CO選択率を有するPBI-HFA膜である。
【0074】
一実施形態では、H2選択膜162は、150℃で、約50バレルのH透過率および約20のH/CO選択率を有するPROTEUS TMコポリマー(三菱ケミカルアドバンストマテリアルズから入手可能)からなる選択層を含む。H2選択膜162は、MATRIMID TMマテリアル(Huntsmanから入手可能)などの架橋ポリイミドから作ることができる。H2選択膜162は、熱的に転位したベンゾイミダゾール(TR-PBI)および熱的に転位したベンゾオキサゾール(TR-PBO)から作ることができる。
【0075】
H2選択膜162は、広い温度範囲にわたって適切な操作性を維持しながら、高温に長時間耐えることができる材料から作ることができる。適切な操作性には、膜の予想寿命に対する設計パラメータ内の透過率および選択率を維持する能力が含まれる。膜の予想寿命は、典型的には約3年である。H2選択膜162は、約25℃~約300℃の間の温度、あるいは約100℃~約300℃の間の温度で操作可能である。H2選択膜162は、約25℃~約250℃、あるいは約50℃~約250℃、あるいは約100℃~約250℃、あるいは約150℃~約300℃の温度範囲で操作可能である。有利には、H2選択膜162は、広い温度範囲にわたって適切な操作性を有し、これは分離を高温で行うことができ、膜ユニットに供給するガス流の冷却が少なくて済む。
【0076】
H2リッチ流178は、H2選択膜ユニット160から生成される。H2リッチ流178は、テールガス流135または急冷塔塔頂流148に存在していたものよりも高いH濃度を有する。H2リッチ流178は、約20モル%超、あるいは約30モル%超、あるいは約35モル%超、あるいは約40モル%超のH濃度を有することができる。H2リッチ流178は、約50ppmv~約5モル%、あるいは約200ppmv~約4モル%、あるいは約1000ppmv~約3.5モル%、または約0.1モル%~約3.0モル%の範囲のHS濃度を有することができる。H2リッチ流178は、また、約5モル%~約35モル%、または約10モル%~約30モル%の範囲のCO濃度を含むことができる。H2リッチ流178は、また、約20モル%~約60モル%、または約25モル%~約50モル%のN濃度を含むことができる。
【0077】
H2リッチ流178は、約5psia未満、あるいは約2psia未満の圧力とすることができる。いくつかの実施形態では、H2リッチ流178は、少なくとも50℃、あるいは60℃の温度を有することができる。H2リッチ流178は、約25℃~約350℃、あるいは約100℃~約300℃、あるいは約25℃~約250℃、あるいは約50℃~約250℃、あるいは約100℃~約250℃、あるいは約150℃~約300℃の範囲の温度を有することができる。
【0078】
H2Sリッチリサイクル188は、H2S除去ユニット180から生成される。H2Sリッチリサイクル188は、テールガス流135または急冷塔塔頂流148に存在したものよりも高い濃度のHSを有する。H2Sリッチリサイクル188は、硫黄回収ユニット110にリサイクルすることができる。H2Sリッチリサイクル188は、約20モル%超、あるいは約35モル%超、あるいは約45モル%超、あるいは約50モル%超のHS濃度を有することができる。H2Sリッチリサイクル188は、約10モル%超、あるいは約20モル%超のCO濃度を有することができる。H2Sリッチリサイクル188は、約29psiaの圧力を有することができる。
【0079】
塔頂流処理プロセス150は、また、H2リーン流(図示せず)およびH2Sリーン流(図示せず)を生成する。H2リーン流(図示せず)は、塔頂流処理プロセス150内で十分に利用することができる。H2リーン流(図示せず)は、H2リッチ流178よりも低いH濃度を有する。H2Sリーン流(図示せず)は、H2Sリッチリサイクル188よりも低いH2S濃度を有する。塔頂流処理プロセス150における流れの圧力は、1psig~40psigの間で変動し得る。コンプレッサで圧力を上げることができる。
【0080】
ここで図に戻ると、図2は、本開示に記載の1つまたは複数の実施形態による吸収装置200の前の膜処理を有するテールガス処理システムのブロック図である。吸収装置200の前に膜処理によるテールガス処理システムの設定は、膜プロセスからのHリッチ透過流をプラント入口ガスにリサイクルすることによって、H含有量が増加したより環境にやさしいセールスガスを生成するために使用することができる。有利なことに、吸収装置200の前に膜処理を行うテールガス処理システムは、より高温を扱うことができるH選択膜を利用し、急冷塔または急冷塔の部分的迂回での冷却を少なくすることができる。酸性ガス流205は、硫黄回収ユニット210に導入される。酸性ガス流205は、酸性ガス流105と同じ特性、組成、および操作条件を有することができる。硫黄回収ユニット210は、硫黄回収ユニット110と同じ特性、組成、および操作条件を有することができる。
【0081】
硫黄回収ユニット210は、硫黄回収ユニット廃棄物流212を生成することができる。硫黄回収ユニット廃棄物流212は、硫黄回収ユニット廃棄物流112と同じ特性、組成、および操作条件を有することができる。硫黄回収ユニット廃棄物流212は、テールガス処理再加熱器220に導入される。テールガス処理再熱器220は、テールガス処理再熱器120と同じ特性および操作条件を有することができる。燃料ガス流114は、テールガス処理再加熱器220にも導入される。空気流118は、テールガス処理再加熱器220にも導入される。加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流225は、テールガス処理再加熱器220から生成され、加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流125と同じ特性、組成、および操作条件を有することができる。加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流225は、テールガス処理反応器230に導入される。テールガス処理反応器230は、テールガス処理反応器130と同じ特性および操作条件を有することができる。テールガス処理反応器230は、テールガス流235を生成し、テールガス流135と同じ特性、組成、および操作条件を有することができる。
【0082】
テールガス流235は、急冷塔140と同じ特性および操作条件を有することができる急冷塔240に導入される。一実施形態では、急冷塔240は、急冷塔塔頂流248が、H選択膜ユニット260内に収容されたH2選択膜262にとって許容できる温度になるようなサイズに設定され、操作される。一実施形態では、H2選択膜262は、150℃~300℃のより高温のガス流を扱うことができ、急冷塔240は、従来の膜が使用される場合よりも少ない冷却が必要となるように操作される。したがって、急冷塔240は、従来の膜が使用された場合、または急冷塔塔の塔頂流がアミン吸収ユニットに直接送られた場合よりも軽い負荷で操作させることができる。
【0083】
急冷塔240は、サワー水流244を生成し、サワー水流144と同じ特性、組成、および操作条件を有することができる。いくつかの実施形態では、急冷塔240が、従来の膜が使用された場合よりも少ない冷却が必要とされるように操作される場合、サワー水流244は、サワー水流144よりも小さい流速を有する。
【0084】
急冷塔240は、また、急冷塔塔頂流248を生成し、これは、急冷塔塔頂流148と同じ特性、組成、および操作条件を有することができる。急冷塔塔頂流248は、水蒸気で飽和している。急冷塔塔頂流248中のHS濃度は、約0.5モル%~約5.0モル%、あるいは約1.0モル%~約3.0モル%、あるいは約0.5モル%~約4.0モル%、または約1.0モル%~約2.5モル%の範囲であることができる。急冷塔塔頂流248のCO濃度は、約10モル%~約50モル%、あるいは約20モル%~約40モル%、あるいは約25モル%~約35モル%の範囲であることができる。急冷塔塔頂流248のN濃度は、約25モル%~約80モル%、あるいは約40モル%~約75モル%、あるいは約50モル%~約65モル%の範囲であることができる。急冷塔塔頂流248中のH濃度は、約0.5モル%~約5モル%、あるいは約1モル%~約3モル%、あるいは約1.5モル%~約2.5モル%の範囲であることができる。
【0085】
急冷塔塔頂流248は、H2選択膜ユニット260に導入される。H2選択膜ユニット260は、H2選択膜ユニット160と同じ特性および操作条件を有することができる。いくつかの実施形態では、H2選択膜ユニット160は、より高いガス流温度を扱うように設計される。H2選択膜ユニット260は、H2選択膜162を含む。H2選択膜162は、先に開示したものと同じ組成、特性、および操作パラメータを有することができる。H2選択膜ユニット260は、HSを含む急冷塔塔頂流248を処理する。
【0086】
急冷塔塔頂流248は、H2選択膜162の保持液側に導入され、急冷塔塔頂流248中に存在するHがH2選択膜162を透過することを可能にする。H2リッチ流278は、H2選択膜162の透過液から生成される。
【0087】
H2リッチ流278は、少なくとも50℃、あるいは60℃の温度を有することができる。H2リッチ流278は、約25℃~約350℃、あるいは約100℃~約300℃、あるいは約25℃~約250℃、あるいは約50℃~約250℃、あるいは約100℃~約250℃、あるいは約150℃~約300℃の範囲の温度を有することができる。H2リッチ流278は、約5psia未満、あるいは約2psia未満の圧力とすることができる。
【0088】
H2リッチ流278は、急冷塔塔頂流248中に存在するものよりも高いH濃度を有する。H2リッチ流278は、H2選択膜ユニット260の透過液側から除去される。H2リッチ流278は、少なくとも約20モル%、あるいは少なくとも約30モル%、あるいは少なくとも約40モル%のH濃度を有することができる。
【0089】
H2選択膜162は、HSよりもHに対して選択的であるが、一部のHSは、H2選択膜162を透過することができる。したがって、H2リッチ流278は、いくらかのHSを含む。H2リッチ流278は、0.1モル%~約3モル%、あるいは約0.5モル%~約2モル%、あるいは約0.75モル%~約1.5モル%の範囲のHS濃度を有することができる。さらに、一部のCOおよびNは、H2選択膜162を透過して、H2リッチ流278中に存在することができる。H2リッチ流278のCO濃度は、約5モル%~約35モル%、あるいは約10モル%~約20モル%の範囲であることができる。H2リッチ流278のN濃度は、約20モル%~約60モル%、あるいは約30モル%~約40モル%の範囲であることができる。
【0090】
H2リッチ流278は、プラントコンプレッサ290に導入される。プラントコンプレッサ290は、ガス流を推進することができる駆動力を提供することができる任意のタイプのポンプ、コンプレッサ、または他の機器とすることができる。H2選択膜162の透過液から生成されたH2リッチ流278は、低圧を有し、したがって、プロセスにおいて利用されるか、または距離を移動するためにコンプレッサを必要とすることがある。一実施形態では、プラントコンプレッサ290は、往復コンプレッサである。
【0091】
プラントコンプレッサ290は、真空源を提供することができ、その段階のカットを最小限に抑えながら、H2選択膜162の透過率および効率を増加させる。いくつかの実施形態では、プラントコンプレッサ290は、H2リッチ流278が大気圧未満の圧力であるような真空源を提供する。プラントコンプレッサ290は、HおよびHSを含むことができるプラントリサイクル292を生成する。プラントコンプレッサ290は、任意のレベルの圧縮を提供することができ、プラントリサイクル292の圧力を任意の圧力まで上昇させることができる。いくつかの実施形態では、プラントリサイクル292は、30psig超の圧力を有する。いくつかの実施形態では、プラントリサイクル292は、1000psig未満の圧力を有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、プラントリサイクル292は、酸性ガス除去システムにおける処理のために天然ガス処理プラント入口にリサイクルされる。酸性ガス除去システムは、HSを除去することができ、Hは炭化水素とともに天然ガス処理プラントを通って移動し、最終処理天然ガス流は、プラントリサイクル292なしで生じたであろうものよりも高いH含有量を有する。より高いH含有量は、よりクリーンな燃焼天然ガス、またはより少ない汚染物質およびより少ない温室効果ガスを放出する「より環境にやさしいガス」をもたらし、したがって、より環境にやさしい。また、Hは、プラントリサイクル292から除去され、製油所全体で使用されて触媒失活を防止するか、または硫黄回収プラントの低温始動に使用することができる。残りのガスは、おおい隠すための、またはパージ用のガスのために使用することができる。
【0093】
H2リーン流264は、保持液としてH2選択膜ユニット260から除去される。H2リーン流264は、H2リッチ流278よりも低いH濃度を有する。H2リーン流264中のH濃度は、約0.1モル%~約2モル%、あるいは約0.1モル%~約1モル%、あるいは約0.2モル%~約0.5モル%の範囲であることができる。H2リーン流264は、約0.5モル%~約5モル%、あるいは約1モル%~約3モル%の範囲のHS濃度を有することができる。H2リーン流264中のCO濃度は、約10モル%~約50モル%、あるいは約20モル%~約40モル%の範囲であることができる。H2リーン流264中のN濃度は、約40モル%~約80モル%、あるいは約50モル%~約75モル%、あるいは約60モル%~約70モル%であることができる。
【0094】
H2リーン流264は、H2S除去ユニット280に導入される。H2S除去ユニット280は、H2S除去ユニット180と同じ特性および操作条件のすべてを有することができる。H2S除去ユニット280は、H2選択膜がHS除去ユニットの後に配置される場合よりも少ないHSを取り扱うようにサイズ設定、または操作されることができる。
【0095】
H2S除去ユニット280は、H2Sリッチリサイクル288を生成する。H2Sリッチリサイクル288は、H2S除去ユニット280から硫黄回収ユニット210にリサイクルすることができる。H2Sリッチリサイクル288は、H2リーン流264よりも高い濃度のHSを有する。H2Sリッチリサイクル288は、約20モル%超、あるいは約35モル%超、あるいは約45モル%超、あるいは約50モル%超のHSを有することができる。H2Sリッチリサイクル288は、約10モル%超、あるいは約20モル%超のCO濃度を有することができる。H2S除去ユニット280は、典型的な操作条件で操作するアミンユニットとすることができる。Hリーン流264は、約100°Fの温度を有することができる。
【0096】
H2S除去ユニット280は、H2Sリーン流284を生成する。H2Sリーン流284は、H2Sリッチリサイクル288よりもHSの濃度が低い。H2Sリーン流284は、500ppmv未満、あるいは250ppmv未満、あるいは175ppmv未満、あるいは150ppmv未満、あるいは125ppmv未満、あるいは100ppmv未満のHS濃度を有することができる。H2Sリーン流284は、廃棄のために焼却装置に送られるか、大気に放出されるか、またはリサイクルまたは使用のためにプラントの別の領域に送ることができる。
【0097】
有利には、図2のレイアウトおよび吸収前の膜処理を有するテールガス処理システムが既存のシステムに後付けすることができる。いくつかの実施形態では、H2選択膜262が150℃~300℃のより高温のガス流を扱うことができる場合、急冷塔240は、より高温のガス流を扱えない膜に必要な冷却量と比較して、より少ない冷却で済むように小さくする。さらに、いくつかの実施形態では、プラントリサイクル292は、よりクリーンな燃焼燃料またはセールスガスを生成するために、プラント入口または燃料ガスラインにリサイクルされる。吸収装置200の前に膜処理を行うテールガス処理システムの他の利点は、H2リーン流264中の水蒸気がH2S除去ユニット280に向かうのを減らすことであり、これは、水蒸気がH選択膜を透過し、アミン希釈が少なくなるからである。さらに、H2S除去ユニット280は、より高い圧力で操作することができ、その結果、H2S除去ユニット280のサイズを縮小することができる。
【0098】
ここで図3を参照すると、本開示に記載の1つまたは複数の実施形態による、吸収装置300の後に膜処理を有するテールガス処理システムのブロック図が示されている。酸性ガス流305は、硫黄回収ユニット310に導入される。酸性ガス流305は、酸性ガス流105と同じ特性、組成、および操作条件を有することができる。硫黄回収ユニット310は、硫黄回収ユニット110と同じ特性、組成、および操作条件を有することができる。吸収装置300の後に膜処理を行うテールガス処理システムは、酸性ガス流305中の硫黄レベルが低い場合に有利である。
【0099】
硫黄回収ユニット310は、硫黄回収ユニット廃棄物流312を生成することができる。硫黄回収ユニット廃棄物流312は、硫黄回収ユニット廃棄物流112と同じ特性、組成、および操作条件を有することができる。硫黄回収ユニット廃棄物流312は、テールガス処理再加熱器320に導入される。テールガス処理再熱器320は、テールガス処理再熱器120と同じ特性および操作条件を有することができる。燃料ガス流114は、テールガス処理再加熱器320に導入される。空気流118は、テールガス処理再加熱器320に導入される。
【0100】
加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流325は、テールガス処理再加熱器320から生成することができ、加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流125と同じ特性、組成、および操作条件を有することができる。加熱された硫黄回収ユニット廃棄物流325は、テールガス処理反応器330に導入することができる。テールガス処理反応器330は、テールガス処理反応器130と同じ特性および操作条件を有することができる。テールガス処理反応器330は、テールガス流335を生成することができ、これは、テールガス流135と同じ特性、組成、および操作条件を有することができる。
【0101】
テールガス流335は、急冷塔140と同じ特性および操作条件を有することができる急冷塔340に導入される。いくつかの実施形態では、急冷塔340は、急冷塔塔頂流348が、H2S除去ユニット380の操作効率を最大にするために許容可能な温度になるようなサイズにされ、操作される。急冷塔340は、急冷塔塔頂流348がH2S除去ユニット380に導かれているので、より少ない冷却が必要となるように操作することができ、H2S除去ユニット380は、従来の膜と比較してより高温を扱うことができる。
【0102】
急冷塔340は、サワー水流144と同じ特性、組成、および操作条件を有することができるサワー水流344を生成する。いくつかの実施形態では、膜がH2S除去ユニット380の前に配置された場合よりも少ない冷却が必要とされるように急冷塔340が操作される場合、サワー水流344はサワー水流144よりも小さい流速を有する。
【0103】
急冷塔340は、急冷塔塔頂流348を生成し、これは、急冷塔塔頂流148と同じ特性、組成、および操作条件を有することができる。急冷塔塔頂流348中のHS濃度は、約1.0モル%~約3.0モル%、もしくは約0.5モル%~約5.0モル%、もしくは約0.5モル%~約4.0モル%、もしくは約1.0モル%~約2.5モル%の範囲とすることができる。
【0104】
急冷塔塔頂流348は、H2S除去ユニット380に導入される。H2S除去ユニット380は、H2S除去ユニット180と同じ特性および操作条件を有することができる。H2S除去ユニット380は、COとともにHSを選択的に吸収することができる任意の種類のユニットとすることができる。H2S除去ユニット380は、H2S除去ユニット180と同じ特性および操作条件を有することができる。H2S除去ユニット380は、H2Sリッチ流388を生成し、これは、H2Sリッチ流188と同じ特性、組成、および操作条件を有することができる。H2Sリッチ流388は、リサイクルされて、硫黄回収ユニット310にリサイクルされ得る。H2S除去ユニット380は、H2リッチ流378に望まれる純度に基づいてサイズを決定することができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、H2選択膜362は、200℃を超えるより高温のガス流を扱うことができず、したがって、H2選択膜ユニット360は、H2S除去ユニット380の後に配置され、その結果、H2Sリーン流384の温度は、H2選択膜ユニット360の操作条件に影響を及ぼさないほど十分に低い温度である。H2Sリーン流384は、約500ppmv未満、あるいは約350ppmv未満、あるいは約250ppmv未満、あるいは約175ppmv未満、あるいは約150ppmv未満、あるいは約125ppmv未満、あるいは約100ppmv未満のHS濃度を有することができる。いくつかの実施形態では、H2選択膜ユニット360は、非常に低濃度でH2Sを含有するH2Sリーン流384を処理する。H2Sリーン流384のCO濃度は、約10モル%~約50モル%、あるいは約15モル%~約45モル%、あるいは約25モル%~約35モル%の範囲とすることができる。H2Sリーン流384のN濃度は、約25モル%~90モル%、あるいは約40モル%~約80モル%、あるいは約50モル%~約70モル%の範囲とすることができる。H2Sリーン流384のH濃度は、約0.5モル%~約5モル%、あるいは約1モル%~約4モル%、あるいは約1.5モル%~約2.5モル%の範囲とすることができる。
【0106】
H2Sリーン流384は、H2選択膜ユニット360に導入される。H2選択膜ユニット360は、H2選択膜ユニット160と同じ特性および操作条件を有することができる。H2選択膜ユニット360は、H2選択膜162を含む。H2選択膜162は、本明細書で先に開示されたものと同じ組成、特性、および操作パラメータを有することができる。
【0107】
H2Sリーン流384は、H2選択膜162の保持液側に導入され、H2Sリーン流384中に存在するHがH2選択膜162を透過することを可能にする。H2リッチ流378は、H2選択膜162の透過液によって生成される。H2リッチ流378は、H2Sリーン流384中に存在するものよりも高いH濃度を有する。H2リッチ流378は、H2選択膜ユニット360から除去される。一実施形態では、H2リッチ流378は、約5psia未満、あるいは約2psia未満の圧力である。H2リッチ流378は、少なくとも50℃の温度を有することができる。H2リッチ流378は、約25℃~約350℃、あるいは約100℃~約300℃、あるいは約25℃~約250℃、あるいは約50℃~約250℃、あるいは約100℃~約250℃、あるいは約150℃~約300℃の範囲の温度を有することができる。
【0108】
H2リッチ流378は、少なくとも約20モル%、あるいは少なくとも約40モル%、あるいは少なくとも約50モル%のH濃度を有することができる。H2選択膜162は、HSよりもHに対して選択的であるが、一部のHSはH2選択膜162を透過することができる。したがって、H2リッチ流378は、いくらかのHSを含有することができる。H2リッチ流378は、約120ppmv未満、あるいは約100ppmv未満、あるいは約75ppmv未満のHS濃度を有することができる。さらに、一部のCOおよびNは、H2選択膜162を透過し、H2リッチ流378中に存在することができる。H2リッチ流378は、約10モル%~30モル%、あるいは約15モル%~約25モル%の範囲のCO濃度を有することができる。H2リッチ流378は、約10モル%~50モル%、あるいは約15モル%~約45モル%、あるいは約20モル%~約40モル%の範囲のN濃度を有することができる。
【0109】
H2リッチ流378は、プラントコンプレッサ290に導入される。プラントコンプレッサ290は、ガス流を推進することができる任意のタイプのポンプ、コンプレッサ、または他の駆動力であることができる。H2選択膜162の透過液から生成されたH2リッチ流378は低圧を有し、したがって、プロセスで利用するため、または距離を移動するためにコンプレッサを必要とする。
【0110】
いくつかの実施形態では、プラントコンプレッサ290は、真空源を提供することができ、ステージカットを最小限に抑えながら、H2選択膜162の透過率および効率を増加させる。H2リッチ流378は、約5psia未満、あるいは約2psia未満の圧力とすることができる。
【0111】
プラントコンプレッサ290は、Hを含むプラントリサイクル392を生成する。プラントリサイクル392は、H2リッチ流378と同じ組成を有することができる。プラントリサイクル392は、天然ガス処理プラント燃料ガスまたはセールスガスにリサイクルすることができる。天然ガス処理プラントの燃料ガスまたはセールスガスにプラントリサイクル392を追加すると、プラントリサイクル392がない場合よりも高いH含有量を有する天然ガスが得られる。より高いH含有量は、よりクリーンな燃焼天然ガス、またはより少ない汚染物質およびより少ない温室効果ガスを放出する「より環境にやさしいガス」をもたらす。典型的には、プラントガス中のH濃度は、約0.5モル%~約3モル%の範囲とすることができる。さらに、プラントリサイクル392を水およびN除去で処理して、プラントリサイクル392中のH純度を高め、セールス用の精製H流を生成することができる。
【0112】
H2リーン流364は、保持液としてH2選択膜ユニット360から除去される。H2リーン流364は、H2リッチ流378よりも低いH濃度を有する。H2リーン流364は、約0.1モル%~2モル%、あるいは0.1モル%~約1モル%の範囲のH濃度を有することができる。H2リーン流364のHS濃度は、500ppmv未満、あるいは250ppmv未満、あるいは160ppmv未満とすることができる。H2リーン流364中のCO濃度は、約10モル%~約30モル%、あるいは約15モル%~約25モル%とすることができる。H2リーン流364中のN濃度は、約15モル%~約50モル%、あるいは約20モル%~約40モル%、あるいは約30モル%~約40モル%とすることができる。H2リーン流364は、約3~約4psigの圧力を有することができる。
【0113】
H2リーン流364は、焼却炉394に導入されて、あらゆる残留HS、硫黄化合物、または炭化水素を燃焼させることができる。焼却炉394は、150ppmv未満の量のSO、CO2、および水蒸気を含むことができる焼却炉排気398を生成する。
【0114】
吸収装置300の後に膜処理を行うテールガス処理システムの利点は、膜ユニットに向かう流れからHSを除去することであり、これにより、あらゆる関連機器に対してのために非サワー冶金を使用することができる。H2選択性膜ユニット360における処理の前にHSを除去することにより、クリーンなH流が得られ、これを処理して、水、CO、およびNを除去して、高品質のH流を生成することができる。あるいは、H2リッチ流378は、設備における燃料ガスに使用することができる。有利には、膜処理が酸性ガス処理の後である場合、膜ユニットに供給されるガス流であるHSリーン流384は、SOおよびHSを欠如し、膜の寿命を潜在的に延ばすことができる。
【0115】
図4を参照すると、一実施形態による膜処理プロセスのブロック図が示されている。膜処理ユニット460は、2つ以上の膜を含む。H2選択膜ユニット160、260、および360は、膜処理ユニット460を含むことができる。膜供給流452は、膜処理ユニット460に導入される。いくつかの実施形態では、膜供給流452は、急冷塔塔頂流248である。いくつかの実施形態では、膜供給流452は、H2Sリーン流384である。
【0116】
膜供給流452は、膜供給コンプレッサ454に導入される。膜供給コンプレッサ454は、往復動、スクリュー、または遠心コンプレッサを含む、膜供給流452の圧力を上昇させることができる任意のタイプのコンプレッサとすることができる。膜供給コンプレッサ454は、圧縮された膜供給流458を生成する。圧縮された膜供給流458は、膜供給流452よりも高い圧力を有する。一実施形態では、圧縮された膜供給流458は、約23psia超、あるいは約30psia超、あるいは約40psia超、あるいは約55psia超の圧力を有する。圧縮された膜供給流458は、約25℃~約350℃、あるいは約100℃~約300℃、あるいは約25℃~約250℃、あるいは約50℃~約250℃、あるいは約100℃~約250℃、あるいは約150℃~約300℃の範囲の温度を有することができる。圧縮された膜供給流458は、膜供給流452と同じ組成を有することができる。
【0117】
圧縮された膜供給流458は、第1のH2選択膜462の第1のH2選択膜保持液側461に導入される。第1のH2選択膜462は、H2選択膜162と同じ特性、組成、および操作条件を有することができる。Hは、第1のH2選択膜462を優先的に透過する。他の化合物も、ある程度は第1のH2選択膜462を透過することができる。
【0118】
H2リッチ透過液468は、第1のH2選択膜透過液側463から除去される。一実施形態では、H2リッチ透過液468は、約5psia未満、あるいは約2psia未満の圧力である。H2リッチ透過液468は、約25℃~約350℃、あるいは約100℃~約300℃、あるいは約25℃~約250℃、あるいは約50℃~約250℃、あるいは約100℃~約250℃、あるいは約150℃~約300℃の範囲の温度を有することができる。
【0119】
H2リーン流464は、第1のH2選択膜保持液側461から除去される。いくつかの実施形態では、H2リーン流264は、H2リーン流464を含む。いくつかの実施形態では、H2リーン流364は、H2リーン流464を含む。一実施形態では、H2リーン流464は、約25psia、あるいは約30psia、あるいは約40psia、あるいは約55psia超の圧力を有する。H2リーン流464は、約25℃~約350℃、あるいは約100℃~約300℃、あるいは約25℃~約250℃、あるいは約50℃~約250℃、あるいは約100℃~約250℃、あるいは約150℃~約300℃の範囲の温度を有することができる。
【0120】
H2リッチ透過液468は、透過液コンプレッサ470に導入される。透過液コンプレッサ470は、H2リッチ透過液468の圧力を上昇させることができる任意のタイプのコンプレッサとすることができる。透過液コンプレッサ470は、第2の膜供給流472を生成する。第2の膜供給流472は、H2リッチ透過液468と同じ組成を有することができる。第2の膜供給流472は、H2リッチ透過液468よりも高い圧力を有する。第2の膜供給流472は、約25psia超、あるいは約30psia、あるいは約40psia、あるいは約55psiaの圧力を有することができる。第2の膜供給流472は、約25℃~約350℃、あるいは約100℃~約300℃、あるいは約25℃~約250℃、あるいは約50℃~約250℃、あるいは約100℃~約250℃、あるいは約150℃~約300℃の範囲の温度を有することができる。
【0121】
第2の膜供給流472は、第2のH2選択膜474の第2のH2選択膜保持液側473に導入される。第2のH2選択膜474は、H2選択膜162と同じ特性、組成、および操作条件を有することができる。Hは、第2のH2選択膜474を優先的に透過する。他の化合物も、ある程度は第2のH2選択膜474を透過することができる。H2リッチ透過液478は、第2のH2選択膜透過液側475から除去される。いくつかの実施形態では、H2リッチ流278は、H2リッチ流478を含む。いくつかの実施形態では、H2リッチ流378は、H2リッチ流478を含む。H2リッチ流478は、約5psia未満、あるいは約2psia未満の圧力であり得る。H2リッチ流478は、約25℃~約350℃、あるいは約100℃~約300℃、あるいは約25℃~約250℃、あるいは約50℃~約250℃、あるいは約100℃~約250℃、あるいは約150℃~約300℃の範囲の温度を有することができる。
【0122】
膜リサイクル流482は、第2のH2選択膜保持液側473から除去される。膜リサイクル流482は、約25℃~約350℃、あるいは約100℃~約300℃、あるいは約25℃~約250℃、あるいは約50℃~約250℃、あるいは約100℃~約250℃、あるいは約150℃~約300℃の範囲の温度を有することができる。膜リサイクル流482は、約25psia超、あるいは約30psia超、あるいは約40psia超、あるいは約55psia超の圧力であることができる。膜リサイクル流482は、H回収の効率を向上させるために、第1のH選択膜保持液側461に再循環される。
実施例
【0123】
本明細書に開示されたプロセスの操作および結果を説明するために、コンピュータシミュレーションを実施した。コンピュータシミュレーションでは、H2選択膜ユニットには、H選択膜を1枚のみ使用した。すべての実施例のすべての流れの温度は120°Fであった。
【0124】
以下に、HS含有量を変化させることの影響、H2選択膜ユニットまたはHS除去ユニットのいずれか一方における急冷塔の塔頂流を処理する順序を変えることの影響、H選択膜に導入される供給ガスの圧力、およびCO、HS、ArおよびNに対するHの膜選択性を例示する。
実施例1
【0125】
実施例1では、H2S除去ユニット380の後にH2選択膜ユニット360を設置した場合のコンピュータシミュレーションを実施した。図3は、シミュレーションにおいて使用したプロセスレイアウトを簡略化した描画である。H2選択膜ユニット360に供給されたH2Sリーン流384は、乾燥量基準で0.6lbmol/hr(ポンドモル/時)以下のHSを含有した。シミュレーションでは、H選択膜ユニット360内にH選択膜を1枚使用し、CO、HS、ArおよびNに対するHの選択率は20とした。H2選択膜ユニット360へのH2Sリーン流384の供給圧力は43psiaであり、透過液圧力は1psiaであった。表1は、実施例1の結果を示す。
【0126】
【表1】
実施例2
【0127】
実施例2では、H2S除去ユニット380の後にH2選択膜ユニット360を設置した場合のコンピュータシミュレーションを実施した。図3は、シミュレーションにおいて使用したプロセスレイアウトの簡略化された描画である。H2選択膜ユニット360に供給されたH2Sリーン流384は、乾燥量基準で0.6lbmol/hr以下のHSを含有した。シミュレーションでは、H2選択膜ユニット360内にH選択膜を1枚使用し、CO、HS、ArおよびNに対するHの選択率は20とした。H2選択膜ユニット360へのH2Sリーン流384の供給圧力は58psiaであり、透過液圧力は1psiaであった。表2は、実施例2の結果を示す。
【0128】
【表2】
実施例3
【0129】
実施例3では、HS除去ユニット380の後にH2選択膜ユニット360を設置した場合のコンピュータシミュレーションを実施した。図3は、シミュレーションにおいて使用したプロセスレイアウトの簡略化された描画である。H2選択膜ユニット360に供給されたH2Sリーン流384は、乾燥量基準で0.6lbmol/hr以下のHSを含有した。シミュレーションでは、H2選択膜ユニット360内にH選択膜を1枚使用し、CO、HS、ArおよびNに対するHの選択率は40とした。H2選択膜ユニット360へのH2Sリーン流384の供給圧力は58psiaであり、透過液圧力は1psiaであった。表3は、実施例3の結果を示す。
【0130】
【表3】
実施例4
【0131】
実施例4では、H2S除去ユニット380の後にH2選択膜ユニット360を設置した場合のコンピュータシミュレーションを実施した。図3は、シミュレーションにおいて使用されるプロセスレイアウトの簡略化された描画である。H2選択膜ユニット360に供給されたH2Sリーン流384は、乾燥量基準で0.6lbmol/hr以下のHSを含有した。シミュレーションでは、H2選択膜ユニット360内にH選択膜を1枚使用し、CO、HS、Ar、およびNに対するHの選択率は40とした。H2選択膜ユニット360へのH2Sリーン流384の供給圧力は43psiaであり、透過液圧力は1psiaであった。表4は、実施例4の結果を示す。
【0132】
【表4】
実施例5
【0133】
実施例5では、H2S除去ユニット380の後にH2選択膜ユニット360を設置した場合のコンピュータシミュレーションを実施した。図3は、シミュレーションにおいて使用されるプロセスレイアウトの簡略化された描画である。H2選択膜ユニット360に供給されたH2Sリーン流384は、乾燥量基準で0.6lbmol/hr以下のHSを含有した。シミュレーションでは、H2選択膜ユニット360内にH選択膜を1枚使用し、CO、HS、Ar、およびNに対するHの選択率は40とした。H2選択膜ユニット360へのH2Sリーン流384の供給圧力は28psiaであり、透過液圧力は1psiaであった。表5は、実施例5の結果を示す。
【0134】
【表5】
実施例6
【0135】
実施例6では、H2S除去ユニット280の前にH2選択膜ユニット260を設置した場合のコンピュータシミュレーションを実施した。図2は、シミュレーションで使用されるプロセスレイアウトの簡略図である。H2選択膜ユニット260に供給された急冷塔塔頂流248は、乾燥量基準で78.44lbmol/hrのHSを含有した。シミュレーションでは、H2選択膜ユニット260内にH選択膜を1枚使用し、CO、HS、Ar、およびNに対するHの選択率は40とした。H2選択膜ユニット260への急冷塔塔頂流248の供給圧力は30psiaであり、透過液圧力は1psiaであった。表6は、実施例6の結果を示す。
【0136】
【表6】
実施例7
【0137】
実施例7では、H2S除去ユニット280の前にH2選択膜ユニット260を設置した場合のコンピュータシミュレーションを実施した。図2は、シミュレーションで使用したプロセスレイアウトの簡略化された描画である。H2選択膜ユニット260に供給された急冷塔塔頂流248は、乾燥量基準で78.44lbmol/hrのHSを含有した。シミュレーションでは、H2選択膜ユニット260内にH選択膜を1枚使用し、CO、HS、Ar、およびNに対するHの選択率は40とした。H2選択膜ユニット160への急冷塔塔頂流248の供給圧力は45psiaであり、透過液圧力は1psiaであった。表7は、実施例7の結果を示す。
【0138】
【表7】
【0139】
本開示を詳細に説明してきたが、様々な改変、代替、および変更が、本開示の原理および範囲から逸脱することなく、ここにおいて行うことができることを理解されたい。したがって、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの適切な法的均等物によって決定されるべきである。
【0140】
単数形「a」、「an」、および「the」は文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0141】
範囲は約1つの特定の値から、または約他の特定の値までとして全体的に表現することができる。そのような範囲が表現される場合、別の実施形態は前記範囲内の全ての組み合わせとともに、1つの特定の値から、または他の特定の値までであることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4