(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】デパレタイザーシステム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
B65G 59/04 20060101AFI20240722BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
B65G59/04
B25J13/00 A
(21)【出願番号】P 2023539340
(86)(22)【出願日】2022-01-05
(86)【国際出願番号】 KR2022000121
(87)【国際公開番号】W WO2022149839
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】10-2021-0002643
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523238117
【氏名又は名称】シージェイ ロジスティックス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100087491
【氏名又は名称】久門 享
(74)【代理人】
【識別番号】100104271
【氏名又は名称】久門 保子
(72)【発明者】
【氏名】クァク キョンミン
(72)【発明者】
【氏名】パク ムキュン
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-124802(JP,A)
【文献】特開2010-005769(JP,A)
【文献】特開平04-286541(JP,A)
【文献】特開2019-136828(JP,A)
【文献】特開2017-211890(JP,A)
【文献】特開平06-262557(JP,A)
【文献】実開平03-018033(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0226711(US,A1)
【文献】中国実用新案第209052076(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/00 - 60/00
B65G 47/00 - 47/96
B25J 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品をピッキングして既に設定された所定の位置に運搬するデパレタイザーシステムにおいて、
前記複数の物品の上面の画像データを取得するカメラ部と、
前記取得された上面の画像データをビジョン認識して、前記複数の物品のうち、隣り合う二つの物品に対して同時ピッキング(picking)が可能であるか否かを判断する制御部と、
前記判断の結果、同時ピッキングが可能であると判断された二つの物品を同時にピッキングして前記所定の位置に運搬するピッキングロボットと、
を備え、
前記制御部は、
前記複数の物品の上面の画像データから深度マップ(depth map)を作成し、
前記深度マップに基づいて、前記複数の物品のうち、最も高い上面レベルを有するいずれか一つを基準物品として選択し、
前記基準物品と隣り合う隣りの物品の大きさ及び表面イメージが前記基準物品の大きさ及び表面イメージと同じであるか否かに基づいて、前記基準物品と前記隣りの物品に対して同時にピッキング可能であるか否かを判断する、デパレタイザーシステム。
【請求項2】
前記ピッキングロボットは、
複数の関節から構成されたロボットアームと、
前記ロボットアームの一方の端に装着されてピッキング対象物品を空圧にて吸着するグリッピング部と、
前記グリッピング部の側面においてグリッピング部の長手方向の回転軸に回動自在に結合されて前記物品を把持するクランピング部と、
を備える、請求項1に記載のデパレタイザーシステム。
【請求項3】
前記グリッピング部は、前記ピッキング対象物品を吸い込むグリッピングユニットが配設され、昇降駆動する複数のグリッパー本体を備え、
前記制御部は、ピッキング対象物品の大きさに応じて、前記複数のグリッパー本体のうちの少なくとも一つを前記ピッキング対象物品と接触するように下降させる、請求項2に記載のデパレタイザーシステム。
【請求項4】
前記制御部は、前記ピッキング対象物品の大きさに応じて、前記グリッピング部による前記ピッキング対象物品の吸着と前記クランピング部による前記ピッキング対象物品の把持を同時に行うか否かを決定する、請求項2に記載のデパレタイザーシステム。
【請求項5】
前記画像データは、イメージまたは動画を含むことを特徴とする、請求項1に記載のデパレタイザーシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記複数の物品が前記基準物品と同一の上面レベルを有する場合に、いずれも同一の物品が積載されていると判断して、前記ピッキングロボットが前記基準物品と隣りの物品を同時にピッキングして前記所定の位置に運搬するように制御する、請求項1に記載のデパレタイザーシステム。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数の物品に関するマスター情報を提供され、前記マスター情報に基づいて、前記基準物品と前記隣りの物品が同一の物品であるか否かを判断する、請求項1に記載のデパレタイザーシステム。
【請求項8】
前記マスター情報は、物品の種類、大きさ、重さ、配送先、生産日及び現在の位置情報のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項7に記載のデパレタイザーシステム。
【請求項9】
複数の物品をピッキングして既に設定された所定の位置に運搬するデパレタイザーシステムの制御方法において、
前記複数の物品の上面の画像データを取得するステップと、
前記取得された前記複数の物品の上面の画像データをビジョン認識するステップと、
前記ビジョン認識結果に基づいて、前記複数の物品のうち、隣り合う二つの物品に対して同時ピッキングが可能であるか否かを判断するステップと、
前記判断の結果、同時ピッキングが可能であると判断された二つの物品を同時にピッキングして前記所定の位置に運搬するステップと、
を含み、
前記複数の物品の上面の画像データをビジョン認識するステップは、
前記複数の物品の上面の画像データから深度マップ(depth map)を作成するステップと、
前記深度マップに基づいて、前記複数の物品のうち、最も高い上面レベルを有するいずれか一つを基準物品として選択するステップと、
を含み、
前記複数の物品のうち、隣り合う二つの物品に対して同時ピッキングが可能であるか否かを判断するステップは、
前記基準物品と隣り合う隣りの物品の大きさ及び表面イメージが前記基準物品の大きさ及び表面イメージと同一であるか否かに基づいて、前記基準物品と前記隣りの物品が同時にピッキング可能であるか否かを判断することを含む、デパレタイザーシステムの制御方法。
【請求項10】
前記複数の物品のうち、隣り合う二つの物品に対して同時ピッキングが可能であるか否かを判断するステップは、
前記複数の物品が前記基準物品と同一の上面レベルを有する場合に、いずれも同一の物品が積載されていると判断し、前記基準物品と隣りの物品が同時にピッキング可能であると判断することを含む、請求項9に記載のデパレタイザーシステムの制御方法。
【請求項11】
前記複数の物品に関するマスター情報を提供されるステップと、
前記マスター情報に基づいて、前記基準物品と前記隣りの物品が同一の物品であるか否かを判断するステップと、
をさらに含む、請求項9に記載のデパレタイザーシステムの制御方法。
【請求項12】
前記マスター情報は、物品の種類、大きさ、重さ、配送先、生産日及び現在の位置情報のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項11に記載のデパレタイザーシステムの制御方法。
【請求項13】
前記判断の結果、同時ピッキングが可能であると判断された二つの物品を同時にピッキングして前記所定の位置に運搬するステップは、複数の関節から構成されたロボットアーム、前記ロボットアームの一方の端に装着されてピッキング対象物品を空圧にて吸着するグリッピング部、及び前記グリッピング部の側面においてグリッピング部の長手方向の回転軸に回動自在に結合されて前記物品を把持するクランピング部を備えるピッキングロボットにより行われる、請求項9に記載のデパレタイザーシステムの制御方法。
【請求項14】
前記グリッピング部は、前記ピッキング対象物品を吸い込むグリッピングユニットが配設され、昇降駆動する複数のグリッパー本体を備え、
前記同時にピッキング可能であると判断された二つの物品を同時にピッキングして前記所定の位置に運搬するステップは、
ピッキング対象物品の大きさに応じて、前記複数のグリッパー本体のうちの少なくとも一つを前記ピッキング対象物品と接触するように下降させることを含む、請求項13に記載のデパレタイザーシステムの制御方法。
【請求項15】
前記同時ピッキングが可能であると判断された二つの物品を同時にピッキングして前記所定の位置に運搬するステップは、
前記ピッキング対象物品の大きさに応じて、前記グリッピング部による前記ピッキング対象物品の吸着と前記クランピング部による前記ピッキング対象物品の把持を同時に行うか否かを決定することを含む、請求項13に記載のデパレタイザーシステムの制御方法。
【請求項16】
前記画像データは、イメージまたは動画を含むことを特徴とする、請求項9に記載のデパレタイザーシステムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デパレタイザーシステム及びその動作方法に関し、より詳細には、ビジョン認識を通じてパレット上の隣り合う複数の物品のうち、同時にピッキング可能な物品を決定してコンベアラインに同時に積載することのできるデパレタイザーシステム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デパレタイザーは、配送ラインにおいてパレットに積載されて搬送された物品をパレットから取り卸してコンベアラインの上に搬送する装置である。物品がコンベアラインに積載された後に、後続して自動仕分け作業、荷積み作業などが行われるため、配送物品の処理に当たって、デパレタイザーによるコンベアラインへの速やかな積載(積み付け)作業が必須的に求められる。
【0003】
近頃には、ボックスに入れられた物品をピッキング(picking)可能なグリッパー(gripper)を備えたロボットにより自動化されたデパレタイジング作業が取り入れられている。速やかな積載作業のために隣り合う二つ以上の物品を自動的に識別してグリッパーが同時にピッキングするならば、積載作業の速度がより一層高くなる。但し、配送される物品は、多種多様に構成されている場合が多く、同一のパレットに積載された物品であるとしても、その大きさ及び形状が揃っていない非定形の物品から構成された場合が多いため、これを自動的に認識してピッキング作業を行うことが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、同一のパレットに積載された物品のうち、隣り合う二つ以上の物品を認識して同時にピッキングすることのできるデパレタイザーシステムとその制御方法を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的課題を達成するための本発明の一実施形態に係るデパレタイザーシステムは、複数の物品をピッキングして既に設定された所定の位置に運搬するデパレタイザーシステムにおいて、前記複数の物品の上面の画像データを取得するカメラ部と、前記取得された上面の画像データをビジョン認識して、前記複数の物品のうち、隣り合う二つの物品に対して同時ピッキング(picking)が可能であるか否かを判断する制御部と、前記判断の結果、同時ピッキングが可能であると判断された二つの物品を同時にピッキングして前記所定の位置に運搬するピッキングロボットと、を備える。
【0006】
本発明のいくつかの実施形態において、前記ピッキングロボットは、複数の関節から構成されたロボットアームと、前記ロボットアームの一方の端に装着されてピッキング対象物品を空圧にて吸着するグリッピング部と、前記グリッピング部の側面においてグリッピング部の長手方向の回転軸に回動自在に結合されて前記物品を把持するクランピング部と、を備えていてもよい。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態において、前記グリッピング部は、前記ピッキング対象物品を吸い込むグリッピングユニットが配設され、昇降駆動する複数のグリッパー本体を備え、前記制御部は、ピッキング対象物品の大きさに応じて、前記複数のグリッパー本体のうちの少なくとも一つを前記ピッキング対象物品と接触するように下降させてもよい。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態において、前記制御部は、前記ピッキング対象物品の大きさに応じて、前記グリッピング部による前記ピッキング対象物品の吸着と前記クランピング部による前記ピッキング対象物品の把持を同時に行うか否かを決定してもよい。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態において、前記画像データは、イメージまたは動画を含んでいてもよい。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態において、前記制御部は、前記複数の物品の上面の画像データから深度マップ(depth map)(デプスマップ)を作成し、前記深度マップに基づいて、前記複数の物品のうち、最も高い上面レベルを有するいずれか一つを基準物品として選択し、前記基準物品と前記隣りの物品に対して同時にピッキング可能であるか否かを判断してもよい。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態において、前記制御部は、前記隣りの物品の大きさ及び表面イメージが前記基準物品の大きさ及び表面イメージと同一であるか否かに基づいて、前記基準物品と隣りの物品とが同時にピッキング可能であるか否かを判断してもよい。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態において、前記制御部は、前記複数の物品が前記基準物品と同一の上面レベルを有する場合に、いずれも同一の物品が積載されていると判断して、前記ピッキングロボットが前記基準物品と隣りの物品を同時にピッキングして前記コンベアラインに積載するように制御してもよい。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態において、前記制御部は、前記複数の物品に関するマスター情報を提供され、前記マスター情報に基づいて、前記基準物品と前記隣りの物品が同一の物品であるか否かを判断してもよい。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態において、前記マスター情報は、物品の種類、大きさ、重さ、配送先、生産日及び現在の位置情報のうちの少なくとも一つを含むことを特徴としてもよい。
【0015】
上記の技術的課題を達成するための本発明の一実施形態に係るデパレタイザーシステムの制御方法は、複数の物品をピッキングして既に設定された所定の位置に運搬するデパレタイザーシステムの制御方法において、前記複数の物品の上面の画像データを取得するステップと、前記取得された前記複数の物品の上面の画像データをビジョン認識するステップと、前記ビジョン認識結果に基づいて、前記複数の物品のうち、隣り合う二つの物品に対して同時ピッキングが可能であるか否かを判断するステップと、前記判断の結果、同時ピッキングが可能であると判断された二つの物品を同時にピッキングして前記所定の位置に運搬するステップと、を含む。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、前記複数の物品の上面の画像データをビジョン認識するステップは、前記複数の物品の上面の画像データから深度マップ(depth map)を作成するステップと、前記深度マップに基づいて、前記複数の物品のうち、最も高い上面レベルを有するいずれか一つを基準物品として選択するステップと、を含み、前記複数の物品のうち、隣り合う二つの物品に対して同時ピッキングが可能であるか否かを判断するステップは、前記基準物品と隣りの物品に対して同時ピッキングが可能であるか否かを判断することを含んでいてもよい。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態において、前記複数の物品のうち、隣り合う二つの物品に対して同時ピッキングが可能であるか否かを判断するステップは、前記隣りの物品の大きさ及び表面イメージが前記基準物品のそれと同一であるか否かに基づいて、前記基準物品と隣りの物品が同時にピッキング可能であるか否かを判断することを含んでいてもよい。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態において、前記複数の物品のうち、隣り合う二つの物品に対して同時ピッキングが可能であるか否かを判断するステップは、前記複数の物品が前記基準物品と同一の上面レベルを有する場合に、いずれも同一の物品が積載されていると判断し、前記基準物品と隣りの物品が同時にピッキング可能であると判断することを含んでいてもよい。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態において、前記デパレタイザーシステムの制御方法は、前記複数の物品に関するマスター情報を提供されるステップと、前記マスター情報に基づいて、前記基準物品と前記隣りの物品が同一の物品であるか否かを判断するステップと、をさらに含んでいてもよい。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態において、前記判断の結果、同時ピッキングが可能であると判断された二つの物品を同時にピッキングして前記所定の位置に運搬するステップは、複数の関節から構成されたロボットアーム、前記ロボットアームの一方の端に装着されてピッキング対象物品を空圧にて吸着するグリッピング部、及び前記グリッピング部の側面においてグリッピング部の長手方向の回転軸に回動自在に結合されて前記物品を把持するクランピング部を備えるピッキングロボットにより行われてもよい。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態において、前記グリッピング部は、前記ピッキング対象物品を吸い込むグリッピングユニットが配設され、昇降駆動する複数のグリッパー本体を備え、前記同時にピッキング可能であると判断された二つの物品を同時にピッキングして前記コンベアラインに積載するステップは、ピッキング対象物品の大きさに応じて、前記複数のグリッパー本体のうちの少なくとも一つを前記ピッキング対象物品と接触するように下降させることを含んでいてもよい。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、前記同時ピッキングが可能であると判断された二つの物品を同時にピッキングして前記所定の位置に運搬するステップは、前記ピッキング対象物品の大きさに応じて、前記グリッピング部による前記ピッキング対象物品の吸着と前記クランピング部による前記ピッキング対象物品の把持を同時に行うか否かを決定することを含んでいてもよい。
【0023】
その他の実施形態の具体的な事項は、発明の詳細な説明の欄及び図面に盛り込まれている。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るデパレタイザーシステム及びその制御方法は、人間の介入なしに同時にピッキング可能な物品を識別してピッキング作業を行うことができ、単一の物品のみをピッキングする場合と比べたときにさらに高いピッキング作業速度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムを説明するための図である。
【
図2】
図1のデパレタイザーシステムに備えられているピッキングロボットを説明するための斜視図である。
【
図3a】
図2のピッキングロボットに備えられているグリッピング部を様々な方向から眺めて示す背面図である。
【
図3b】
図2のピッキングロボットに備えられているグリッピング部を様々な方向から眺めて示す側面図である。
【
図3c】
図2のピッキングロボットに備えられているグリッピング部を様々な方向から眺めて示す側面図である。
【
図4】本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムに備えられているカメラ部と画像処理部を説明するための図である。
【
図5】本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムの制御方法を説明するための手順図である。
【
図6】本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムの制御方法を説明するための手順図である。
【
図7a】本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムにより行われる深度マップの生成を説明するための図である。
【
図7b】本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムにより行われる深度マップの生成を説明するための図である。
【
図8】本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムにより行われる直角度の判断を説明するための図である。
【
図9】本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムにより行われる同時ピッキングの可否の判断を説明するための図である。
【
図10】本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムにより行われるピッキング作業を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のメリット及び特徴、並びにそれらを成し遂げる方法は、添付図面と結び付けてられて詳しく後述されている実施形態を参照すればなお一層明らかになる筈である。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化される筈であり、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に発明の範ちゅうを完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、特許請求の範囲の範ちゅうにより定義されるだけである。明細書の全般にわたって、同一の参照符号は、同一の構成要素を指し示す。
【0027】
この開示において、ある構成要素が他の構成要素と「連結や接続(connected to)」されているとか、「結合(coupled to)」されているとか、と言及された場合、他の構成要素と直接的に連結や接続されたり結合されたりする場合、またはこれらの間に他の構成要素が介在している場合を両方とも含む。これに対し、ある構成要素が他の構成要素と「直接的に連結や接続(directly connected to)」されているとか、「直接的に結合(directly coupled to)」されているとか、と言及されたときには、これらの間に他の構成要素が介在していないことを示す。なお、「及び/又は」という言い回しは、明細書に記載のアイテムのそれぞれ及び一つ以上のあらゆる組み合わせを含む。
【0028】
本明細書中において用いられた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであり、本発明を制限しようとする意図をもったものではない。この開示において、単数の表現は、文脈からみて明らかに他の意味を有さない限り、複数の言い回しを含む。本明細書中において用いられる「備える(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」などの用語は、明細書に記載の段階、動作及び/又は素子またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものに過ぎず、一つまたはそれ以上の他の段階、動作及び/又は素子またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解すべきである。
【0029】
たとえ「第1の」、「第2の」などの言い回しが様々な構成要素を叙述するうえで使用可能であるが、これらの構成要素は、これらの言い回しによって何等限定されないということはいうまでもない。これらの言い回しは、単にある構成要素を他の構成要素から区別する目的でしか使えない。よって、以下において言及される第1の構成要素は、本発明の技術的思想内において第2の構成要素であり得るということはいうまでもない。
【0030】
本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、この開示に用いられる全ての用語(技術的用語及び科学的用語を網羅する)は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって共通して理解できる意味として使用可能である筈である。また、一般に用いられる、辞書に定義されているような用語は、この開示において明らかに定義しない限り、理想的な意味として、または過度に形式的な意味として解釈されない。
【0031】
この実施形態において用いられる「部」または「モジュール」という用語は、ソフトウェアまたはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate arrays)または特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuits)のようなハードウェアの構成要素を意味し、「部」または「モジュール」は、ある任意の役割を果たす。しかしながら、「部」または「モジュール」は、ソフトウェアまたはハードウェアに限定される意味ではない。「部」または「モジュール」は、アドレッシング可能な記憶媒体にあるように構成されてもよく、一つまたはそれ以上のプロセッサーを再生するように構成されてもよい。したがって、一例として、「部」または「モジュール」は、ソフトウェアの構成要素、オブジェクト指向ソフトウェアの構成要素と、関数、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイ、及び変数を含み得る。構成要素と「部」または「モジュール」内において提供される機能は、さらに少ない数の構成要素及び「部」または「モジュール」として結合されてもよく、あるいは、追加的な構成要素と「部」または「モジュール」としてさらに分離されてもよい。
【0032】
図1は、本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムを説明するための図である。
【0033】
図1を参照すると、本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムは、ピッキングロボット100と、カメラ部200及び制御部400などを備えていてもよい。
【0034】
ピッキングロボット100は、パレット50に積載されてピッキング領域に運搬された複数の物品1000をピッキングしてコンベアライン300に積載することができる。ピッキングロボット100は、一つ以上の関節を備えて様々な方向に可動となるロボットアームと、ロボットアームの一方の端に連結されたグリッピング部と、から構成されてもよい。
【0035】
特に、本発明の実施形態において、ピッキングロボット100は、制御部400における判断結果、同時にピッキング可能であると判断された隣り合う二つ以上の物品を同時にピッキングしてコンベアライン300に積載することができる。
【0036】
図1において、ピッキングロボット100がパレット50に積載された複数の物品1000をピッキングしてコンベアライン300に積載する動作が例として示されているが、本発明がこれに何ら制限されるものではない。ピッキングロボット100は、例えば、一つのパレットに積載された複数の物品を他のパレットに運搬したり、コンベアラインに搬送されてくる複数の物品をパレットまたは他のコンベアラインに運搬したりすることができる。すなわち、ピッキングロボット100は、制御部400の制御に従って、複数の物品1000を既に設定された所定の位置に運搬することができる。
【0037】
カメラ部200は、パレット50に積載された複数の物品1000の上面の画像データを取得することができる。カメラ部200により取得された物品の上面の画像データは、制御部400に与えられて同時にピッキング可能な物品があるか否かが判断され得る。
【0038】
制御部400は、カメラ部200が取得した物品の画像に基づいて、ピッキングロボット100のピッキング作業を制御することができる。制御部400は、カメラ部200が取得した物品の上面の画像データに対してビジョン認識を行い、認識の結果に基づいて、同時にピッキング可能な複数の物品を決定することができる。
【0039】
図2は、
図1のデパレタイザーシステムに備えられているピッキングロボットを説明するための斜視図である。
【0040】
図2を参照すると、ピッキングロボット100は、自由に可動となるロボットアーム110と、ロボットアーム110の一方の端に装着されたグリッピング部120と、を備えていてもよい。
【0041】
ロボットアーム110は、ピッキングロボット100の本体部105から延び、一つ以上の関節部を備えることにより、第1乃至第3の方向X、Y、Zのうちの任意の方向にグリッピング部120を移動させることができる。ロボットアーム110は、制御部400により与えられた制御指令に従ってグリッピング部120を移動させて、ピッキング対象物品をグリッピングし、コンベアライン300の上に積載することができる。
【0042】
グリッピング部120は、ピッキングしようとする物品の上面を吸着したり、側面をクランピング(clamping)したりすることにより、物品をグリッピングすることができる。グリッピング部120の構成及び動作に関し、以下、
図3aから
図3cを用いて説明する。
【0043】
図3aから
図3cは、
図2のロボットに備えられているグリッピング部を様々な方向から眺めて示す背面図及び側面図である。
【0044】
図3aから
図3cを参照すると、第3の方向Zから眺めて示すグリッピング部120の上面(
図3a)と第1の方向Xに向かって眺めたグリッピング部120の側面(
図3b)及び第2の方向Yに向かって眺めたグリッピング部120の側面(
図3c)が示されている。
【0045】
グリッピング部120は、複数のグリッピングユニット123が装着されたグリッパー本体124及びグリッパー本体124の側面に装着されたクランピング部122を備えていてもよい。
【0046】
図3aから
図3cに示される通り、グリッピング部120は、2×2に配列された4つのグリッパー本体124-1、124-2、124-3、124-4を備えるように構成されてもよい。但し、これは単なる例示的なものに過ぎず、グリッピング部120は、4つ以上または4つ以下のグリッパー本体124が格子状に配置された構造を含んでいてもよい。
【0047】
グリッパー本体124は、連結部126を介してプレート121と連結可能である。いくつかの実施形態において、グリッピング部120が物品をピッキングするとき、複数のグリッパー本体124-1~124-4のうちの少なくとも一つは、プレート121から突き出るように駆動されてもよい。すなわち、例えば、空圧シリンダーとピストンとから構成された連結部126がプレート121の対向方向に前進することにより、グリッパー本体124を物品の方向に突出させることができる。
【0048】
制御部400は、ビジョン認識を通じて識別されたピッキング対象物品の幅などに基づいて、複数のグリッパー本体124のうちの少なくとも一つを選択して昇降駆動するように制御することができる。いくつかの実施形態において、制御部400が隣り合う複数の物品が同時にピッキング可能であると判断した場合、制御部400は、同時にピッキングされる複数の物品の第1の方向X及び第2の方向Yの幅の和に基づいて、下降すべき少なくとも一つのグリッパー本体124を選択することができる。
【0049】
また、複数のグリッパー本体124は、第1の方向Xまたは第2の方向Yの間隔が調節可能である。すなわち、グリッパー本体124-1とグリッパー本体124-2との間の第2の方向Yの間隔が調節されたり、グリッパー本体124-1とグリッパー本体124-3との間の第1の方向Xの間隔が調節されたりすることができる。二つのグリッパー本体(例えば、124-1、124-2)は、一つのボールスクリューにモーターとともに連結され、モーターの駆動により第2の方向Yの間の間隔が調節可能である。
【0050】
複数のグリッパー本体124の間の第1の方向Xまたは第2の方向Yの間隔は、ピッキング対象物品の第1の方向Xまたは第2の方向Yの幅に応じて制御可能である。
【0051】
グリッパー本体124には、複数のグリッピングユニット123が結合可能である。複数のグリッピングユニット123は、それぞれが連結された空圧供給手段により空圧の供給を受けてピッキング対象物品を吸着し、コンベアライン300上において空圧供給手段により静圧の供給を受けてピッキング対象物品を着脱することができる。
【0052】
クランピング部122は、グリッパー本体124の長手方向の回転軸127を中心として回動可能なようにグリッパー本体124と結合可能である。クランピング部122は、回転方向Rに回動して搬送の対象である物品に対して狭まったり広がったりすることができる。グリッピングユニット123に吸着ピッキングされた物品と狭まったクランピング部122の把持部125とが接触することにより、ピッキング作業の安定性を付加することができる。
【0053】
図3aから
図3cに示される通り、複数のグリッパー本体124-1~124-4と1:1にて対応するように複数のクランピング部122が配備されてもよい。
【0054】
ピッキング作業において、クランピング部122は、選択的に駆動可能である。すなわち、ピッキング作業中に、制御部400は、ビジョン認識を通じて識別されたピッキング対象物品の幅などに基づいて、複数のクランピング部122-1~122-4のうち、向かい合う少なくとも一対のクランピング部(例えば、クランピング部122-1、122-3及び/又はクランピング部122-2、122-4)が回動して物品を把持するように制御することができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、制御部400が隣り合う複数の物品が同時にピッキング可能であると判断した場合、制御部400は、同時にピッキングされる複数の物品の第1の方向X及び第2の方向Yの幅の和に基づいて、回動すべきクランピング部を複数のクランピング部122の中から選択することができる。
【0056】
図4は、本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムに備えられているカメラ部と画像処理部を説明するための図である。
【0057】
図4を参照すると、カメラ部200は、パレット50の上に積載された物品1000の上面の画像を取得する上カメラ210と下カメラ240を備えていてもよい。上カメラ210と下カメラ240は、物品の上面の画像データが得られるように所定の高さのスタンド250に配設されてもよい。上カメラ210は、スタンド250に取り付けられた支持フレーム220に、回転を通じて角度が調節可能な調節フレーム230を介して結合可能である。
【0058】
カメラ部200により得られる物品の上面の画像データは、例えば、イメージまたは動画を含んでいてもよい。
【0059】
図4において、カメラ部200が、互いに異なる高さを有するように第3の方向Zに並ぶように配置された上カメラ210と下カメラ240とから構成される実施形態が示されているが、本発明はこれに何ら制限されるものではない。カメラ部200は、水平方向に並ぶように配置された二つのカメラにより物品の上面の画像データを取得することもできれば、一つのカメラから構成されて物品の上面の画像データを取得することもできる。
【0060】
カメラ部200は、取得した複数の物品1000の上面の画像データを制御部400に伝送することができる。制御部400は、提供された物品の上面の画像データに対してビジョン認識を行った結果に基づいて、同時にピッキング可能な物品を識別することができる。同時にピッキング可能な物品が識別されれば、制御部400は、複数の物品を同時にピッキングするようにピッキングロボット100を制御することができる。
【0061】
制御部400は、少なくとも一つのプロセッサー及びこれらがアクセスしてデータを読み込んだり書き込んだりすることができ、プロセッサーにより実行されるコマンドを記憶するメモリの集合を備えるモジュールであってもよい。制御部400は、例えば、パソコン(PC)、サーバーコンピューター、ワークステーション、ラップトップパソコンなどの多種多様なコンピューターシステムを備えていてもよい。いくつかの実施形態において、制御部400は、複数のコンピューターシステムの集合を備えていてもよい。
【0062】
ピッキングロボット100、カメラ部200及び制御部400は、広く知られている有無線ネットワークプロトコールにより互いに接続可能であるため、これについての説明は省略する。
【0063】
図5は、本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムの制御方法を説明するための手順図である。
【0064】
図5を参照すると、本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムの制御方法は、パレットに積載されてピッキング領域に搬送された複数の物品の上面の画像データを取得するステップ(S110)と、取得された上面の画像データに対してビジョン認識を行うステップ(S120)と、複数の物品のうち、隣り合う二つ以上の物品が同時にピッキング可能であるか否かを判断するステップ(S130)と、同時にピッキング可能な二つ以上の物品を同時にピッキングしてコンベアラインに積載するステップ(S140)と、を含んでいてもよい。
【0065】
まず、パレット50に積載された複数の物品1000がピッキング領域に搬送され、カメラ部200により上面の画像データが取得される(S110)。ピッキング領域は、デパレタイザーシステムのピッキングロボット100により物品のピッキング作業が進められる領域を意味し、フォークリフトが物品をパレットに積載してピッキング領域に運搬したり、物品の積載されたパレットがコンベアラインを介してピッキング領域に搬送されてきたりすることができる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態において、複数の物品1000がピッキング領域に搬送されることとともに、制御部400は、パレット50に積載された複数の物品1000のマスター情報を提供されてもよい。前記複数の物品1000のマスター情報は、例えば、物品の種類、大きさ、重さ、配送先、生産日及び現在のパレットの上に配置された位置情報などを含んでいてもよいが、これに何ら制限されるものではない。いくつかの実施形態において、制御部400は、後述する通り、提供された複数の物品1000の情報を用いて同時にピッキング可能な二つ以上の物品の有無を判断してもよい。
【0067】
カメラ部200がピッキング領域に配置された物品1000の上面を向くように調節フレーム230の角度が設定されてもよい。カメラ部200は、例えば、上カメラ210と下カメラ240によりそれぞれ撮影された2枚の複数の物品1000の上面の画像を取得することができる。但し、本発明は、これに何ら制限されるものではなく、カメラ部200は、水平方向に並ぶように配置された二つのカメラまたは単一のカメラによる物品1000の上面の画像を取得してもよい。
【0068】
カメラ部200により取得された複数の物品1000の上面の画像データは、制御部400に与えられてビジョン認識が行われ、これを通じて、複数の物品1000のうち、隣り合う二つ以上の物品が同時にピッキング可能であるか否かが判断される。この詳細に関し、
図6を参照してさらに詳しく説明する。
【0069】
図6は、本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムの制御方法を説明するための手順図である。
【0070】
図6を参照すると、制御部400により取得された画像の深度マップが作成される(S210)。
【0071】
深度マップ(depth map)は、複数の物品1000の視点であるカメラ部200から物品の表面までの距離に関わる情報が入れられた画像を意味する。すなわち、複数の物品1000の上面の高さ情報、隣りの物品の有無などを判別できるように深度マップが作成可能である。特に、制御部400により次回のピッキング作業の対象となる基準物品を決定する上で深度マップが使用可能である。
【0072】
図7a及び7bは、本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムにより行われる深度マップの生成を説明するための図である。
【0073】
図7a及び
図7bを参照すると、カメラ部200が撮影した床面に置かれた物品1000の上面の画像が示され、
図7bには、
図7aの画像に対して深度マップ1000aを作成した例が示される。
【0074】
図7bでのように、深度マップ1000aは、高さが最も高い領域、すなわち、カメラ部200と最も近い距離に位置している領域を青色のような低い波長の色彩にて示し、高さが最も高い領域、すなわち、カメラ部200と最も遠い距離に位置している領域を赤色のような高い波長の色彩にて示し得る。但し、
図7bのように視覚化された深度マップは、単なる例示的なものに過ぎず、深度マップは、取得された物品1000の上面の画像データの各ポイントに対して高さが算出されたデータを含めばよい。
【0075】
次いで、制御部400は、作成された深度マップに基づいて、複数の物品のうち、最も高い上面レベルを有するように基準物品を選定する(S220)。
【0076】
制御部400は、複数の物品1000に含まれているそれぞれのボックスにより区別された個別物品の形状を認識することができる。制御部400は、例えば、取得された物品の上面の画像データに含まれている四角い形状のボックスの上面の形状のエッジ検出(edge detection)を行うことで個別物品を認識することができ、必要に応じて、作成された深度マップを参照することにより、個別物品を認識することもできる。制御部400は、個別物品の情報を認識し、画像から物品の上面のレベル、イメージ、幅と長さを識別し、物品情報とともに格納することができる。
【0077】
制御部400は、得られた個別物品の情報に基づいて、最も高い上面レベルを有する基準物品を選定することができる。基準物品は、パレット50に積載された複数の物品1000のうち、最上端に位置してピッキングロボット100により直接的にピッキング作業が行われ得る物品の一つであり、基準物品が定められれば、ピッキングロボット100は、ピッキング作業を行うことができる。
【0078】
制御部400は、複数の物品の上面が基準物品と同一の高さに構成されているか否かを判断する(S230)。ここで、「同一の高さ」は、深度マップから識別された物品の高さと数値的に同一である高さのみならず、発生し得る測定誤差に鑑みて計算された高さを含み得る。したがって、基準物品の上面の高さと予め定めた範囲(例えば、5%)以内の高さ差を有する物品の場合、基準物品と同一の高さを有すると判断可能である。
【0079】
判断の結果、基準物品の上面と同一の高さを有する物品がない場合、制御部400は、パレット50の上に積載された物品がそれぞれ互いに異なる種類から構成されていると判断し、二つ以上の物品に対して同時ピッキングを行わず、基準物品のみをピッキングしてコンベアラインに積載することができる(S280)。
【0080】
あるいは、判断の結果、基準物品の上面と同一の高さを有する物品のみから構成された場合、制御部400は、パレット50の上にいずれも同一の物品が積載されていると判断し、ピッキングロボット100が基準物品と隣りの物品を同時にピッキングしてコンベアラインに積載するように制御することができる。ここで、「同一の物品」は、基準物品と同一の種類の物品が、大きさ及び形状が同一であるボックスに包装されている場合を意味する。
【0081】
制御部400が、パレット50の上にいずれも同一の物品が積載されていると判断した場合、物品がコンベアラインにすべて積載され終わるまで、ピッキングロボット100は、基準物品を含む二つ以上の物品を同時にピッキングしてコンベアラインに積載するように制御することができる。
【0082】
いくつかの実施形態において、制御部400は、パレット50の上にいずれも同一の物品が積載されていると判断するに先立って、予め提供された複数の物品に関する情報を参照することができる。すなわち、複数の物品1000がピッキング領域に搬送されるときに提供された物品の種類、重さ、配送先、生産日などに関する情報に基づいて、パレット50に積載された複数の物品1000が同一の高さの上面を有すると測定された場合、先に提供された情報と組み合わせることにより、パレット50に同一の物品が積載されていると判断することができる。したがって、制御部400は、カメラ部200により取得した複数の物品の上面の画像データと複数の物品の情報を相互補完的に活用して判断の正確性を向上させることができる。
【0083】
それ以外の場合、すなわち、判断の結果、基準物品の上面と同一の高さを有する物品が一部存在するとき、制御部400は、同一の高さを有する物品に対して基準物品と同時にピッキング可能であるか否かを以下の基準に準拠して判断する。
【0084】
制御部400は、グリッピング部120が基準物品とともにグリッピング可能な距離に物品があるか否かを判断する(S240)。もし、パレット50に積載された複数の物品1000のうち、基準物品と同一の物品があるとしても、グリッピング部120により同時にピッキングできないほど遠く離れていたり、揃えられて積載されていない場合には、同時にピッキングが行えないからである。制御部400が、基準物品と予め定めた離隔距離及び直角距離以内に隣り合う隣りの物品があるか否かを判断することに関し、
図8を用いて説明する。
【0085】
図8は、本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムにより行われる離隔距離及び直角距離の判断を説明するための図である。
【0086】
図8を参照すると、基準物品B1と他の物品B2が隣り合うように配置される例が示される。基準物品B1の第1の面F1と隣りの物品B2の第2の面F2とが対向するように配置される。すなわち、基準物品B1と隣りの物品B2は、これらの間に介在する他の物品なしに一対の面が対向するように配置される。
【0087】
第1の面F1と第2の面F2との間の距離が離隔距離D1として定義可能である。第1の面F1と第2の面F2とが平行ではないように基準物品B1と隣りの物品B2が配置される場合には、対向する面F1、F2の間の距離を複数の個所に対して測定し、その平均を求めて離隔距離D1として決定することができる。
【0088】
基準物品B1と隣りの物品B2との間の直角距離D2は、基準物品B1と他の物品B2との間の位置合わせがずれた度合いを意味することがあり、基準物品B1の第1の面F1につながる面F3の延長線と隣りの物品B2の第2の面F2につながる面F4との間の距離として定義可能である。
【0089】
制御部400は、基準物品B1と隣りの物品B2との間の離隔距離D1または直角距離D2のうちの少なくとも一方が予め定めた基準以内として測定される場合に限って、同時ピッキングが可能であるか否かに関する判断を行い続ける。それ以外の場合、すなわち、基準物品B1と他の物品B2との間の離隔距離D1または直角距離D2のうちの少なくとも一方が予め定めた基準以上である場合、同時ピッキングの対象から除かれ、上述した条件を満たしている物品が見つからない場合、制御部400は、基準物品のみをピッキングしてコンベアラインに積載するように(S280)ピッキングロボット100を制御することができる。
【0090】
制御部400は、基準物品B1と隣りの物品B2との幅、長さを比較し、物品の上面イメージが互いに同一であるか否かを比較することができる(S250)。制御部400は、先に取得した複数の物品1000の上面の画像データに基づいて、基準物品B1と隣りの物品B2の大きさと上面イメージを比較することができる。
【0091】
制御部400は、基準物品B1の幅と長さが隣りの物品B2のそれと予め定めた範囲(例えば、5%以内)として測定された場合、基準物品B1と隣りの物品B2が同一の大きさを有すると判断することができる。
【0092】
一方、基準物品B1と隣りの物品B2との上面イメージの比較は、基準物品B1と隣りの物品B2のボックスの上面に印刷されたイメージ、ボックスに貼り付けられたテープイメージなどを比較して行われてもよい。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態において、制御部400は、基準物品B1と隣りの物品B2の大きさ及びイメージの比較に際して、予め格納された物品のマスター情報を用いてもよい。
【0094】
図9は、本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムにより行われる同時ピッキングの可否の判断を説明するための図である。
【0095】
図9を参照すると、基準物品B1と隣りの物品B2、B3の同時ピッキングの可否の判断過程が視覚化されて示される。パレットに積載された複数の物品のうち、基準物品B1と対向面を有する隣りの物品B2、B3に対して同一の物品であるか否かの判断が制御部400により行われる。隣りの物品B2、B3のうち、物品B2が大きさ及びイメージの同一条件まで満たすことにより、同時ピッキング対象として決定されることができる。
【0096】
但し、
図9に示すようなグラフィック的な表現は、単なる例示的なものに過ぎず、制御部400は、このような画面を出力せずに、内部的なデータのみにて処理することができるということはいうまでもない。
【0097】
制御部400は、基準物品B1と隣りの物品B2との大きさ及び上面イメージの比較を通じて同一の物品であるか否かを判断し(S260)、同一の物品であると判断された場合、基準物品B1と隣りの物品B2を同時にピッキングしてコンベアラインに積載するようにピッキングロボット100を制御することができる(S270)。あるいは、同一ではない物品であると判断された場合、ピッキングロボット100は、基準物品B1のみをピッキングしてコンベアラインに積載するように制御されてもよい(S280)。
【0098】
まとめると、本発明の実施形態に係るデパレタイザーシステムは、パレット50に積載されて搬送された複数の物品1000に対してビジョン認識を行うことで、最も高い上面レベルを有する物品を基準物品として決定し、基準物品と隣りの物品のうち、同一の形状を有する物品を基準物品と同時にピッキングしてコンベアライン300に積載する。
【0099】
これを通じて、人間の介入なしに同時にピッキング可能な物品を識別してピッキング作業を行うことができ、単一の物品のみをピッキングする場合と比べるときに高いピッキング作業速度を得ることができる。例えば、一つのパレットに同時ピッキングが可能な物品が60%の割合を占めるように構成されている場合、本発明の実施形態に係るデパレタイザーシステムは、単一の物品のみをピッキングする場合よりもピッキング作業にかかる時間が約70%ほどまで短縮されるという効果を得ることができる。
【0100】
図10は、本発明のいくつかの実施形態に係るデパレタイザーシステムにより行われるピッキング作業を説明するための図である。
【0101】
図10を参照すると、制御部400の制御により基準物品B1及び隣りの物品B2が同時にピッキングされる動作が進められる。
【0102】
制御部400は、物品のピッキングに先立って、ピッキング対象物品の中心とグリッピング部120の中心とを位置合わせすることができる。ピッキング対象物品が基準物品B1の一つのみである場合、基準物品B1の中心とグリッピング部120の中心とが一つに位置合わせされる。ピッキング対象物品が基準物品B1と隣りの物品B2を含む場合、グリッピング部120の中心は、二つの物品同士の離隔距離(
図8におけるD1)及び直角距離(
図8におけるD2)を考慮しての二つの物品の中心と上下に位置合わせ可能である。
【0103】
制御部400は、同時にピッキングされる物品B1、B2の第1及び第2の方向X、Yの幅に応じて、4つのグリッパー本体124のうちの一部を選択的に駆動することができる。4つのグリッパー本体124の中から選択されたグリッパー本体は、グリッピングユニット123が物品と接触するまで下降して物品をグリッピングすることができる。いくつかの実施形態において、物品の幅に応じて、二つのグリッパー本体(例えば、124-1と124-2、または124-1と124-3)の間の間隔が広がったり狭まったりするように駆動されてもよい。
【0104】
一方、同時にピッキングされる物品の幅に応じて、第1の方向Xに向かい合う少なくとも一対のクランピング部122-1と122-3及び/又は122-2と122-4がさらに駆動されてもよい。すなわち、グリッピングユニット123により物品が吸着された状態で、同時に少なくとも一対のクランピング部122-1と122-3及び/又は122-2と122-4が回転軸127を中心として回転方向Rに回動することで物品を把持することにより、ピッキング作業の安定性を付加することができる。あるいは、ピッキングされる物品が予め定めた大きさよりも小さな幅を有する場合、すなわち、グリッピング部120の第1の方向Xの幅に比べて小さくてクランピング部122による把持が非効率的であるとき、制御部400は、ピッキングに際してクランピング部122が動作しないように制御することができる。
【0105】
グリッピング部120が物品のグリッピングを行い終えると、ロボットアーム110は、グリッピング部120を移動させてコンベアライン300の上に位置させることができる。グリッピング部120は、コンベアライン300上において物品のグリッピングを解放する。すなわち、クランピング部122は拡開され、グリッピングユニット123は静圧の供給を受けて物品をコンベアライン300の上に着脱する。
【0106】
以上、添付図面に基づいて、本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明が、その技術的な思想や必須的な特徴を変更することなく、他の具体的な形態として実施可能であるということが理解できる筈である。よって、上述した実施形態は、あらゆる面において例示的なものに過ぎず、限定的ではないものと理解されたい。
【符号の説明】
【0107】
100 ピッキングロボット
110 ロボットアーム
120 グリッピング部
200 カメラ部
210 上カメラ
220 支持フレーム
230 調節フレーム
240 下カメラ
300 コンベアライン
400 制御部