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特許7524485エネルギーと水との使用の低減をサポートする方法とシステムと装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】エネルギーと水との使用の低減をサポートする方法とシステムと装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20220101AFI20240722BHJP
   F24H 4/02 20220101ALI20240722BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20240722BHJP
   F24H 15/395 20220101ALI20240722BHJP
   F24H 15/156 20220101ALI20240722BHJP
   F24H 15/219 20220101ALI20240722BHJP
   F24H 15/238 20220101ALI20240722BHJP
   F24H 15/32 20220101ALI20240722BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20240722BHJP
   F24H 15/37 20220101ALI20240722BHJP
   F24H 15/414 20220101ALI20240722BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20240722BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240722BHJP
   F21Y 113/10 20160101ALN20240722BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240722BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240722BHJP
【FI】
F24H1/18 G
F24H4/02 C
F24H1/00 621C
F24H15/395
F24H15/156
F24H15/219
F24H15/238
F24H15/32
F24H15/375
F24H15/37
F24H15/414
F21V33/00
F21S2/00 600
F21Y113:10
F21Y115:10
F21Y115:30
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023547555
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 IB2022051075
(87)【国際公開番号】W WO2022168043
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】2101678.7
(32)【優先日】2021-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109593.0
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109594.8
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109596.3
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109597.1
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109598.9
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109599.7
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109600.3
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2111089.5
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523293529
【氏名又は名称】オクトパス エナジー ヒーティング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OCTOPUS ENERGY HEATING LIMITED
【住所又は居所原語表記】UK House, 164-182 Oxford Street, London, W1D 1NN, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】コノヴァルチク ピーター
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-081245(JP,A)
【文献】特開2009-275957(JP,A)
【文献】特開2014-035160(JP,A)
【文献】特開2010-286137(JP,A)
【文献】特開2015-175582(JP,A)
【文献】特許第7034402(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/18
F24H 4/02
F24H 1/00
F24H 15/395
F24H 15/156
F24H 15/219
F24H 15/238
F24H 15/32
F24H 15/375
F24H 15/37
F24H 15/414
F21V 33/00
F21S 2/00
F21Y 113/10
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水供給システムの温水出口のユーザにエネルギー使用を信号送信する方法であって、
前記温水供給システムは、
再生可能エネルギーの源からエネルギーが供給される熱エネルギーストアと、
再生可能エネルギー源と
ネルギー供給ネットワークに接続される補助水ヒータと、
水流が前記温水出口を通過するときに、前記水流についての流量の測定データを提供するように動作可能であるフロートランスデューサと、
前記フロートランスデューサに接続されるプロセッサと、
を備えて、
前記温水供給システムは、前記プロセッサの制御下で、前記補助水ヒータと、前記再生可能エネルギー源と、前記熱エネルギーストアからのエネルギーと、のうちの1つ以上の選択を使用して、前記温水出口に供給される水を目標のシステム供給温度まで加熱するように動作可能であり、
前記方法は
記温水出口で前記ユーザにより要求される前記流量で前記目標のシステム供給温度を維持するために必要とされる前記選択を決定することと、
前記選択を、前記温水出口で前記ユーザにより要求される、前記目標のシステム供給温度での前記水流が、前記熱エネルギーストアからのエネルギーのみを使用して維持され得る場合の第1カテゴリと、前記温水出口で前記ユーザにより要求される、前記目標のシステム供給温度での前記水流が、単に、前記補助水ヒータを使用して維持され得る場合の第2カテゴリと、前記温水出口で前記ユーザにより要求される、前記目標のシステム供給温度での前記水流が、前記熱エネルギーストアと前記再生可能エネルギー源との両方からのエネルギーのみを使用して維持され得る場合の第3カテゴリと、に分類することと、
前記プロセッサから離れた光源に、前記分類に基づく色を信号送信して、前記光源が、信号送信された前記色で、前記温水出口の近傍で認識可能な光を放出することと、
前記選択を使用して水を加熱することと、
を有してなる、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記光は、
前記第1カテゴリについて緑色または青色であり、
前記第2カテゴリについて赤色であり、
前記第3カテゴリについて琥珀色または黄色である、
請求項記載の方法。
【請求項3】
前記流量と現在の前記選択とに対応するエネルギー使用割合を決定することと、
決定された前記エネルギー使用割合に基づいて、前記光源に信号を提供することと、
を有してなる、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
決定された前記エネルギー使用割合に基づく調節割合で前記光源を調節すること、
を有してなる、
請求項記載の方法。
【請求項5】
前記温水出口に供給される前記水を加熱するために使用されるエネルギーの単位コストを決定することと、
決定された前記エネルギーの単位コストに基づいて、前記光源に信号を提供することと、
を有してなる、
請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
決定された前記エネルギー使用割合に基づいて、前記光源の色彩度を制御すること、
を有してなる、
請求項記載の方法。
【請求項7】
前記光源は、室内灯に組み込まれている、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記光源は、前記温水出口から出てくる水に光を当てるように配置される、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記光源はまた、周囲の照明を提供するように配置されて、
色相または色は、前記信号送信に応じて変更される、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記光源は、
RGBのLED、
を備える、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
温水供給システムであって、
制御可能な温水供給出口と、
再生可能エネルギーの源からエネルギーを受け取るように構成される熱エネルギーストアと、
再生可能エネルギー源と
ネルギー供給ネットワークに接続される補助水ヒータと、
水流が前記温水供給出口を通過するときに、前記水流についての流量の測定データを提供するように動作可能なフロートランスデューサと、
前記フロートランスデューサに接続されるプロセッサと、
を有してなり、
前記温水供給システムは、前記プロセッサの制御下で、前記補助水ヒータと、前記再生可能エネルギー源と、前記熱エネルギーストアからのエネルギーと、のうちの1つ以上の選択を使用して、前記温水供給出口に供給される水を目標のシステム供給温度まで加熱するように動作可能であり、
前記プロセッサは
記温水供給出口でユーザにより要求される前記流量で前記目標のシステム供給温度を維持するために必要とされる前記選択を決定して、
前記選択を、前記温水供給出口で前記ユーザにより要求される、前記目標のシステム供給温度での前記水流が、前記熱エネルギーストアからのエネルギーのみを使用して維持され得る場合の第1カテゴリと、前記温水供給出口で前記ユーザにより要求される、前記目標のシステム供給温度での前記水流が、単に、前記補助水ヒータを使用して維持され得る場合の第2カテゴリと、前記温水供給出口で前記ユーザにより要求される、前記目標のシステム供給温度での前記水流が、前記熱エネルギーストアと前記再生可能エネルギー源との両方からのエネルギーのみを使用して維持され得る場合の第3カテゴリと、に分類して、
前記プロセッサから離れた光源に、前記分類に基づく色を信号送信して、前記光源は、信号送信された前記色で、前記温水供給出口の近傍で認識可能な光を放出して、
前記選択を使用して水を加熱水にするように構成される、
ことを特徴とする温水供給システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記流量と現在の前記選択とに対応するエネルギー使用割合を決定して、決定された前記エネルギー使用割合に基づいて、前記光源に信号を提供するように構成される、
請求項11記載の温水供給システム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記温水供給出口に供給される前記水を加熱するために使用されるエネルギーの単位コストを決定して、決定された前記エネルギーの単位コストに基づいて、前記光源に信号を提供するように構成される、
請求項12記載の温水供給システム。
【請求項14】
前記再生可能エネルギーの源は、
ソーラー水加熱設備またはヒートポンプ、
を備える、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記再生可能エネルギーの源は、
ソーラー水加熱設備またはヒートポンプ、
を備える、
請求項11乃至13のいずれか一項に記載の温水供給システム。
【請求項16】
前記補助水ヒータは、電気供給ネットワークに接続される電気水ヒータである、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記補助水ヒータは、電気供給ネットワークに接続される電気水ヒータである、
請求項11乃至13のいずれか一項に記載の温水供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は種々に、エネルギーと水との使用の低減をサポートする、建物内の温水供給システムを含む設備のための方法と装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料水の不足は、世界的に生じている。現在、一般的に、水不足は世界中で報告されており、このような問題は「暑い」国と大陸とに影響を与えているだけと考えられるかもしれないが、それはもはや事実ではない。欧州環境機関は、水不足または水ストレスがヨーロッパの1億人を超える人々を含む世界中の数百万人の人々に影響を与える問題であると報告している。ヨーロッパの真水使用(飲用と他の用途)の約88.2%は川と地下水とから生じており、一方、残りは貯水池(10.3%)と湖(1.5%)とから生じており、これにより、これらの源は過剰採取と汚染と気候変化とによりもたらされる脅威に対して極めて脆弱となる。
【0003】
結果として、家庭の水使用の低減は、緊急で必要とされている。ヨーロッパでは、平均して、毎日1人あたり144リットルの真水は世帯消費に供給されているが、この水の多くは蛇口とシャワーと器具との不注意で不適切な選択により、「無駄」にされている。
【0004】
特に、(少なくともヨーロッパで)暖房と冷房との約75%が依然、化石燃料から生成されている一方、22%だけが再生可能エネルギーから生成されていることを想定すると、水消費を低減する必要性と類似して、家庭のエネルギー消費を低減する必要がある。
【0005】
指令2012/27/EUによると、建物は、欧州連合の最終エネルギー消費の40%とCO排出の36%とに相当する。2016年の欧州委員会報告書「現在と将来と(2020年から2030年)の暖房/冷房の燃料展開(化石/再生可能)のマッピングと分析」は、EUの世帯において、暖房と温水とだけで総最終エネルギー使用の79%(192.5メガトン)を占めていると結論付けた。欧州委員会は、「ユーロスタットの2019年図表によると、暖房と冷房との約75%が依然、化石燃料から生成されている一方、22%だけが再生可能エネルギーから生成されている」とも報告している。EUの気候とエネルギーとの目標を果たすために、暖房と冷房との領域は、そのエネルギー消費を大幅に低減して、化石燃料のその使用を削減する必要がある。(エネルギーが空気、地中、または水から取り出される)ヒートポンプは、この問題に対処する可能性のある重要な寄与として確認されている。
【0006】
多くの国では、カーボンフットプリントを低減するためのポリシーと圧力とが存在している。例えば、2020年のイギリスにおいて、イギリス政府は、2025年までに既存レベルと比較して75%から80%まで、新居からの炭素排出を低減するように提案した将来の住宅基準に関する白書を発行した。加えて、2025年から新居に対して、ガスボイラの取付を禁止することが2019年初頭に公表された。イギリスでは、出願時において、建物の暖房に使用される総エネルギーの78%はガスから生じている一方、12%は電気から生じていることが報告されている。
【0007】
イギリスは、ガス燃焼の集中暖房を備えた多数の小さい(2つから3つまでの寝室以下)物件を有しており、同物件のほとんどは、ボイラが瞬間温水ヒータとして、かつ、集中暖房のボイラとして機能するコンビネーションボイラとして知られているものを使用している。コンビネーションボイラは、小さいフォームファクタを組み合わせて、(20kWから35kWまでの出力で)「無限の」温水のほぼ即時の源を提供して、温水貯蔵部を必要としないため、人気である。このようなボイラは、信頼できる製造から比較的安価に購入され得る。小さいフォームファクタと温水貯蔵タンクなしでできる能力とは、一般的に、小さいフラットまたは家でも、このようなボイラを収容する(多くの場合、キッチンの壁に取り付けられる)ことが可能であり、1人日の作業で新しいボイラを設置することが可能であることを意味する。したがって、新しいコンビガスボイラを安価に設置することが可能である。新しいガスボイラの禁止が差し迫っており、代替的な熱源はガスコンビボイラの代わりに提供される必要がある。加えて、前に取り付けられたコンビボイラは、最終的に、何らかの代替品に交換される必要がある。
【0008】
ヒートポンプは、化石燃料への依存を低減してCO2排出を削減する必要性に対して、可能性のあるソリューションとして提案されているが、ヒートポンプは、現在、より小さい家庭の(そして、小さい商業用の)建物内でガス燃焼のボイラを交換する問題、または多数の技術的な理由と商業的な理由と実用的な理由とで不適当である。ヒートポンプは、典型的に、非常に大きくて、物件の外側に実体的なユニットを必要とする。したがって、典型的なコンビボイラを備えた物件に対して、ヒートポンプは、容易に後付けされ得ない。典型的なガスボイラと同等の出力を提供できるユニットは、現在高価であり、著しい電気需要を必要とし得る。ユニット自体が複数の同等のガス燃焼同等品を必要とするだけでなく、ユニットのサイズと複雑性とは、設備が技術的に複雑で、したがって高価であることも意味する。温水の貯蔵タンクも必要であり、このことは小さい家庭住宅でのヒートポンプの使用に影響するさらなる要素である。さらなる技術的問題は、ヒートポンプが需要に応じて熱を生成し始めるのに著しい時間、場合により、自己点検に30秒、次いで加熱に何らかの時間を必要とするため、温水を要求して温水が供給される間に1分以上の遅延がある傾向にあること、である。この理由で、ヒートポンプおよび/またはソーラーを使用した試行の再生可能なソリューションは、典型的に、(空間需要と熱損失とレジオネラ菌のリスクとを伴って)温水貯蔵タンク用の空間を備えた大きい物件に適用可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
家庭のエネルギー消費の重要な構成部分は、使用される温水の量の観点と家庭の温水の過熱によるエネルギー浪費の観点との両方において、家庭の温水の使用に由来する。もちろん、温水浪費も、より一般的な水浪費の問題に対する著しい寄与であって、この問題にも、持続可能な将来を人類が有するつもりならば対処する必要がある。本開示の態様は、温水の使用を低減することに役立ち、このようにしてエネルギーと水との両方の使用の低減に寄与し得る方法と設備とに関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1態様によれば、温水供給システムの温水出口のユーザにエネルギー使用を信号送信する方法であって、温水供給システムは、再生可能エネルギーの源からエネルギーが供給される熱エネルギーストアと、再生可能エネルギー源と、ネットワーク化エネルギー供給に接続される補助水ヒータと、水流が温水出口を通過するときに、水流についての流量データを提供するように動作可能であるフロートランスデューサと、フロートランスデューサに接続されるプロセッサと、を含み、温水供給システムは、プロセッサの制御下で、補助水ヒータと再生可能エネルギー源と熱エネルギーストアからのエネルギーとのうちの1つ以上の選択を使用して、温水出口に供給される水を目標のシステム供給温度まで加熱するように動作可能であって、方法は、水が温水出口を通って流れていることを決定することと、対応する流量を決定することと、出口でユーザにより要求される流量で目標のシステム供給温度を維持するために必要とされる選択を決定することと、選択を少なくとも2つのカテゴリのうちの1つに分類すること、および/または所定の範囲のエネルギー使用に対してエネルギー使用を決定することと、出口の近傍で認識可能な離れた光源に、分類または決定されたエネルギー使用に基づく色を信号送信することと、選択を使用して水を加熱することと、を含む方法が提供される。温水供給システムは、好ましくは、例えば、住宅用の家庭システムである。好ましくは、ネットワーク化供給以外による再生可能エネルギーの源からのエネルギーは、熱エネルギーストアに供給される。
【0011】
方法は、例えば、人のエネルギー使用を低減するために、またはより「グリーン」な源から温水が供給されているときに温水を使用して、ネットワーク化エネルギー供給などのあまり「グリーン」でない可能性がある源により温水が加熱されているときに温水の使用を回避するために、水を加熱するために使用されている熱の源に関する温水情報の使用を人に与えて、人が自身の挙動を調整することを可能にする。温水が使用されている瞬間に直接のフィードバックをユーザに提供することにより、方法は、ソーラー電力またはヒートポンプなどの再生可能エネルギー源からのエネルギーを優先的に使用するように、また、全体のエネルギー使用を低減するように促され得る。
【0012】
所定の範囲のエネルギー使用に対してエネルギー使用を決定して、出口の近傍で認識可能な離れた光源に、決定されたエネルギー使用に基づく色を信号送信することにより、例えば、エネルギー使用の割合が変化するにつれて色が連続的にまたはほぼ連続的に変化する色表示を提供することが可能である。しかしながら、多くの場合、色のステップ変化を使用するか、またはカテゴリ間の変化を示すことが好ましい場合があり、その理由は、これがスムーズに変化する色よりも、視覚的で、したがって心理的なインパクトを有し得るためである。対応する範囲の色にマッピングされた設備の所定の範囲のエネルギー使用は、好適にプログラムされたプロセッサに提供され得て、その結果、任意の決定されたエネルギー使用について、対応する色が選択されて、色の識別情報、またはより典型的には色の識別情報についてのコードが離れた光源に信号送信され得る。
【0013】
好ましくは、例えば、「グリーン生成」ネットワーク電力をネットワーク化の風力発電機またはソーラー(PV)発電機から受け取ることとは異なり、ネットワーク化エネルギー供給以外による再生可能エネルギーの源からの、例えば、ローカルもしくはオンサイトのソーラー(例えば、ソーラー水加熱)設備、オンサイトの空気熱源ヒートポンプ、地中熱源ヒートポンプ、もしくは水熱源ヒートポンプ、またはローカルもしくはオンサイトのPVシステムからのエネルギーは、熱エネルギーストアに供給される。ここで、オンサイトは、温水供給を収容した住宅、家、もしくはオフィスの建物に、または建物を収容した団地、ブロック、コンドミニアム、もしくはゾーンに配置されていることを意味してもよく、ローカルは、建物の1kmから5kmまでの範囲内で生成されて、ネットワーク化エネルギー供給のネットワーク以外により供給されることを意味してもよい。
【0014】
好ましくは、選択は、出口でユーザにより要求される、目標のシステム供給温度での水流が、熱エネルギーストアまたは再生可能エネルギー源からのエネルギーのみを使用して維持され得る場合の第1カテゴリと、出口でユーザにより要求される、目標のシステム供給温度での水流が、単に、補助水ヒータを使用して維持され得る場合の第2カテゴリと、に分類される。多くの国において、化石燃料から得られる少なくとも何らかのエネルギーを供給する可能性があるネットワーク化エネルギー供給を源とするエネルギーと、他の2つのエネルギー源と、を区別することにより、ユーザは、ユーザの温水供給システムの動作コストを低減する可能性があるだけでなく、化石燃料へのユーザの依存を低減することも可能である。
【0015】
任意選択的に、選択は、出口でユーザにより要求される、目標のシステム供給温度での水流が、熱エネルギーストアからのエネルギーのみを使用して維持され得る場合の第1カテゴリと、出口でユーザにより要求される、目標のシステム供給温度での水流が、単に、補助水ヒータを使用して維持され得る場合の第2カテゴリと、出口でユーザにより要求される、目標のシステム供給温度での水流が、熱エネルギーストアまたは再生可能エネルギー源からのエネルギーのみを使用して維持され得る場合の第3カテゴリと、に分類される。
【0016】
好ましくは、光は、第1カテゴリについて緑色または青色であり、第2カテゴリについて赤色であり、任意選択的に、第3カテゴリについて琥珀色または黄色である。
【0017】
第1態様に係る方法は、流量と現在の選択とに対応するエネルギー使用割合を決定することと、決定されたエネルギー使用割合に基づいて、離れた光源に信号を提供することと、をさらに含み得る。エネルギー使用の割合に対してフィードバックを提供することにより、方法は、温水流量を低減することにより、ユーザのエネルギー使用の割合を低減するようにユーザに促し得て、これは、補助ヒータを使用する必要がなく、場合により、再生可能エネルギー源を要求する必要がなく、熱エネルギーストアが全てのユーザの温水の要求を満たし得ることを意味してもよく、その結果、例えば、ヒートポンプは、ユーザの温水の需要を満たすために開始される必要はない。このフィードバックの提供はまた、温水が流れることを可能にする時間の長さを低減するようにユーザに促し得て、それにより、場合により、使用されるエネルギーの量を低減し得る。
【0018】
エネルギー使用、すなわち、要求される温水を供給するために使用されるエネルギーの量に対するフィードバックの提供は、エネルギーの源を参照して、または参照することなく行われ得ることであると理解されるであろう。換言すれば、消費されている加熱水の温度と体積との両方の関数である、使用されるエネルギーの量に関する視覚的なフィードバックを単に提供することは、エネルギーがより少なく使用されるようにユーザ挙動を修正する際に有用であり得る。例えば、同提供は、全体の水流量を低減して、熱い供給と冷たい供給との水を混合する出口から使用される温水の割合を低減して、および/または水が流れるのを可能にする時間の長さを低減するようにユーザに促し得る。
【0019】
第1態様に係る方法は、決定されたエネルギー使用割合に基づく調節割合で光源を調節することをさらに含み得る。決定されたエネルギー使用割合に基づいて、ある調節深度で(例えば、10%から100%まで、または20%から90%までのいずれか、好ましくは、30%から70%までの量、例えば、50%まで最大明度を低減して)、ユーザが認識可能な割合、例えば、数Hzから分数Hz(fractional Hz)まで(例えば、数秒ごとの光のパルス出力)の割合で光源を調節することは、ユーザの温水使用がエネルギーを使用している割合をユーザに認識させることを可能にする。エネルギー使用の割合と共に割合が増加する実質的に認識可能なパルスを提供することにより、ユーザは温水流量を低減するように促されて、それにより、エネルギー使用の割合は低減されて、したがって、認識可能なパルスは遅くなり得る。パルス出力の光により伝えられる「メッセージ」の強度は使用される調節の深度を変化させることにより変化し得て、すなわち、より大きい調節深度はエネルギー使用の割合を低減するためのよりよい機会を示す。
【0020】
第1態様に係る方法は、温水出口に供給される水を加熱するために使用されるエネルギーの単位コストを決定することと、決定されたエネルギーの単位コストに基づいて、離れた光源に信号を提供することと、をさらに含み得る。温水供給システムは、再生可能エネルギー源とネットワーク化エネルギー供給との両方を使用できるため、様々なエネルギーコストがこれらの源からのエネルギーに適用される可能性がある。使用されるエネルギーのコストに基づいて、視覚的な信号をユーザに提供することにより、ユーザは、使用される温水の量に関して、情報に基づく選択を行える。再生可能エネルギー源と、(再生可能エネルギー源とは異なる場合)熱エネルギーストアに動力供給するために使用される再生可能エネルギーの源と、に対する任意の関連のコスト情報と共に、ネットワーク化エネルギー供給についての(1日を通じて変化して、毎日および/または季節的に異なり得る)料金データへのアクセスをプロセッサに提供することにより、プロセッサは、視覚的なインジケータにより、正確な最新のコスト情報をユーザに提供可能となり得る。例えば、低い料金期間中、水を加熱するためにネットワーク化エネルギー供給を使用することが特に安価な場合があり、このような時間は、光源からの光の何らかの特性により、ユーザに信号送信され得る。
【0021】
第1態様に係る方法は、決定されたエネルギー使用割合に基づいて光源の色彩度または色相を制御することをさらに含み得る。
【0022】
第1態様に係る方法において、光源は、室内灯に組み込まれる。
【0023】
第1態様に係る方法において、光源は、温水出口から出てくる水に光を当てるように配置される。このように、第1態様の様々な変形体に係る光信号は、ユーザの環境が日光または追加の人工の光により照らされているか否かに関わらず、ユーザに対して容易に認識可能とさせ得る。
【0024】
第1態様に係る方法において、光源はまた、周囲の照明を提供するように配置されて、色相または色は信号送信に応じて変更される。
【0025】
第1態様に係る方法において、光源は、RGBのLEDを備える。同光源は、典型的に、幅広い範囲の色を提供し得て、典型的に、彩度と色相と明度とは全て、容易に制御され得る。
【0026】
第2態様によれば、温水供給システムであって、制御可能な温水供給出口と、再生可能エネルギーの源からエネルギーを受け取るように構成される熱エネルギーストアと、再生可能エネルギー源と、ネットワーク化エネルギー供給に接続される補助水ヒータと、水流が温水出口を通過するときに、水流についての流量データを提供するように動作可能であるフロートランスデューサと、フロートランスデューサに接続されるプロセッサと、を含み、温水供給システムは、プロセッサの制御下で、補助水ヒータと、再生可能エネルギー源と、熱エネルギーストアからのエネルギーと、のうちの1つ以上の選択を使用して、温水出口に供給される水を目標のシステム供給温度まで加熱するように動作可能であり、プロセッサは、水が温水出口を通って流れていることを決定して、対応する流量を決定して、出口でユーザにより要求される流量で目標のシステム供給温度を維持するために必要とされる選択を決定して、選択を少なくとも2つのカテゴリに分類して、および/または使用に対して段階分けされた規模を割り当てて、出口の近傍で認識可能な離れた光源に、分類に基づく色を信号送信して、選択を使用して水を加熱水にするように構成される、温水供給システムが提供される。
【0027】
好ましくは、プロセッサは、出口でユーザにより要求される、目標のシステム供給温度での水流が、熱エネルギーストアまたは再生可能エネルギー源からのエネルギーのみを使用して維持され得る場合の第1カテゴリと、出口でユーザにより要求される、目標のシステム供給温度での水流が、単に、補助水ヒータを使用して維持され得る場合の第2カテゴリと、に選択を分類するように構成される。
【0028】
好ましくは、プロセッサは、出口でユーザにより要求される、目標のシステム供給温度での水流が、熱エネルギーストアからのエネルギーのみを使用して維持され得る場合の第1カテゴリと、出口でユーザにより要求される、目標のシステム供給温度での水流が、単に、補助水ヒータを使用して維持され得る場合の第2カテゴリと、出口でユーザにより要求される、目標のシステム供給温度での水流が、熱エネルギーストアまたは再生可能エネルギー源からのエネルギーのみを使用して維持され得る場合の第3カテゴリと、に選択を分類するように構成される。
【0029】
任意選択的に、プロセッサは、流量と現在の選択とに対応するエネルギー使用割合を決定して、決定されたエネルギー使用割合に基づいて、離れた光源に信号を提供するように構成される。
【0030】
任意選択的に、プロセッサは、温水出口に供給される水を加熱するために使用されるエネルギーの単位コストを決定して、決定されたエネルギーの単位コストに基づいて、離れた光源に信号を提供するように構成される。
【0031】
任意選択的に、第1態様または第2態様によれば、再生可能エネルギーの源は、ソーラー水加熱設備またはヒートポンプを備える。
【0032】
任意選択的に、第1態様または第2態様によれば、再生可能エネルギー源は、ソーラー水加熱設備またはヒートポンプを備える。
【0033】
任意選択的に、第1態様または第2態様によれば、補助水ヒータは、ネットワーク化電気供給に接続される電気水ヒータである。
【0034】
第3態様によれば、第1態様の任意の変形体の方法で使用するための光源であって、オンにするかもしくは照明を増加させるか、またはオフにするかもしくは照明を低減して、色を変更するように第1ユーザ制御入力に応答して、エネルギー使用を示す信号に応じて色相または色を調整するように加熱器具からの第2入力に応答するように配置される光源が提供される。
【0035】
第4態様によれば、第1態様の任意の変形体の方法で使用するための光源であって、ユーザの上流の位置から、出口を通って流れる水を通る光を当てるように配置される光源が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
ここで、本開示の様々な態様の実施形態は、添付図面を参照して、単なる例示として記載される。
図1図1は、本開示の態様に係る建物内の温水供給システムを含む設備の可能性のある機構を示す概略図である。
図2図2は、相変化材料と、ヒートポンプエネルギー源に接続される熱交換器と、を含むエネルギーバンクを示す概略図であり、エネルギーバンクは、相変化材料に潜熱として蓄えられるエネルギーの量を示す測定データを提供するための1つ以上のセンサを含む。
図3図3は、図2のエネルギーバンクなどのエネルギーバンクを含む設備により行われる方法のハイレベルフローチャートである。
図4図4は、図2のエネルギーバンクなどのエネルギーバンクにより行われる別の方法のハイレベルフローチャートである。
図5図5は、図2のエネルギーバンクなどのエネルギーバンクにより行われる別の方法のフローチャートである。
図6図6は、図2のエネルギーバンクなどのエネルギーバンクにより行われる別の方法のフローチャートである。
図7図7は、本開示の態様に係る建物内の水供給設備を示す概略図である。
図8図8は、本開示の態様に係るエネルギーバンクを組み込んだ、インターフェースユニットの構成要素の可能性のある機構を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本開示の第1態様に係る温水供給システム100を概略的に示す。システム100は、瞬間水加熱器具101と、器具101から離れた、例えば、瞬間水加熱器具101が配置された空間以外の空間103における少なくとも1つの制御可能な水出口102と、を含む。
【0038】
瞬間水加熱器具101は、好ましくは、エネルギーを潜熱として蓄えるための相変化材料を含む熱エネルギーストア104と、再生可能エネルギー源105と、を含み、再生可能エネルギー源105は、空気熱源ヒートポンプまたは地中熱源ヒートポンプなどのヒートポンプであり得るが、代替的には、例えば、水などの液体がソーラー放射を使用して加熱されるソーラー加熱機構であり得る。再生可能エネルギー源は、典型的に、温水供給システムが配置された建物、典型的には、商業用の建物ではなく家庭の建物に関連付けられて、同建物にのみ供給し得るか、またはいくつかの住宅もしくは建物間で共有され得る。熱エネルギーストア104は、典型的に、再生可能エネルギー源105に接続される熱交換器を含み、その結果、再生可能エネルギー源105からの熱の形態のエネルギーは、エネルギーストア104内の材料に伝達され得る。したがって、熱伝達液体は、再生可能エネルギー源105により加熱されて、エネルギーストア104内の熱交換器回路を通じて循環されて、再加熱のために再生可能エネルギー源105に戻され得る。器具101は、ネットワーク化エネルギー供給に接続される補助水ヒータ106、好ましくは、瞬間水ヒータも含む。典型的に、補助水ヒータ106は抵抗加熱または誘導加熱を使用した電気ヒータであって、ネットワーク化エネルギー供給は本線の電気供給である。本管のガス供給に接続されるガス動力の水ヒータを使用することは、一般的にあまり好ましくないが、依然想定されている。
【0039】
本管の冷水供給であり得る水供給107は、熱エネルギーストア104に接続されて、エネルギーをエネルギー貯蔵材料から抽出するために、熱交換器の別の回路を通過する。図示されるように、水供給107はまた、好ましくは、熱エネルギーストア104を通過する必要なく温水が生成され得るように、補助水ヒータ106に接続される。熱エネルギーストアから出てくる加熱水は、補助水ヒータ106に向けて108を通過して、次いで、サーモスタット混合バルブ109を通って、配管110と制御可能な出口102とにより例示される温水供給設備に向かう(実際、典型的には、浴室蛇口と、シャワー出口と、手洗い器蛇口と、キッチン蛇口と、を含む複数の制御可能な水出口が存在するが、ここでは、説明を容易にするためにこれらは省略されている)。供給107から冷水の供給も受ける混合バルブ109は、瞬間水加熱器具101のコントローラまたはプロセッサ111に接続されて、コントローラまたはプロセッサ111により電子制御される。
【0040】
図1はまた、供給107から再生可能エネルギー源105に向かい、再生可能エネルギー源から補助水ヒータ106に向かう水供給を破線で示すが、本機構は任意である。一般的に、熱源105がヒートポンプである場合、ヒートポンプからのエネルギーは、エネルギーストア104に供給されるだけであり得て、エネルギー源105から補助水ヒータ106に向かう温水の供給は存在しない。再生可能熱源105と熱エネルギーストア104との可能性のある構成は、図2を参照してより詳細に後述される。
【0041】
プロセッサ111はまた、水ヒータ106から混合バルブ109へのフロー経路内の第1温度センサ112と、混合バルブ109の出口における別のセンサ113と、水供給107からの水の温度を検知するための別のセンサ115と、に接続される。また、フローまたは圧力センサ114とフローコントローラ(バルブ)116とは、共に、水ヒータ106から混合バルブ109へのフロー経路においてプロセッサ111に接続される。プロセッサ111に接続されるさらなるフローセンサまたは圧力センサ117は、出口(例えば、蛇口)102への温水供給において、例えば、出口102の近くに設けられ得る。また、さらなるフローコントローラ(バルブ)118は、プロセッサ111により制御されるエネルギーストアへの冷水供給において設けられ得る。
【0042】
熱エネルギーストアの状態に関する情報、特に、エネルギーストアのエネルギー貯蔵状態をプロセッサが決定することを可能にするための情報をプロセッサに提供するための検知機構119も示される。検知機構119はまた、エネルギー貯蔵媒体の温度を測定して、その結果、プロセッサ111は顕熱として蓄えられたエネルギーの量を決定し得る。様々な好適な検知機構は、本出願において後述される。プロセッサ111と、様々なセンサとアクチュエータと、の間の接続は、例えば、CANバス機構を使用して有線であり得るか、(例えば、ISM無線帯域内で割り当てられた周波数を使用して)送受信機110を使用して無線であり得るか、またはその両方であり得る。
【0043】
再生可能エネルギー源105は、好ましくは、空気熱源ヒートポンプなどのヒートポンプであり、したがって一般的には、ほとんどまたは完全に、温水供給システムが設置された建物の外側に配置される。典型的に、ヒートポンプはヒートポンプと器具101との間で流体が流れる熱交換器を含み、熱は流体によりヒートポンプ内で取り上げられて熱エネルギーストア104と交換されて、冷却された流体はより多くのエネルギーを抽出するためにヒートポンプ内の熱交換器に戻る。好ましくは、ヒートポンプは温水供給システムを収容した建物にのみエネルギーを供給して、その結果、ヒートポンプは建物の利益のために最適に制御され得る。
【0044】
別々の部材として示されているが、冷水を器具101により加熱された水と混合するように、プロセッサにより制御されるバルブ109は、代替的に、ほぼ自蔵式の器具を作るために内部または外部のいずれかで器具101に組み込まれてもよく(再生可能エネルギー源105は、器具101の一部として示されているが、一般的に別々のエンティティであることが理解される)、器具101は幅広い加熱範囲にわたって温度制御された加熱水を提供し得る。
【0045】
再び概略的に、図1は光源150も示して、光源150は、単に同じ空間内のものとしてここで示された温水出口102の近傍にあって、図示された温水出口102を含む空間の外側のものとしてここで示された器具101から離れている。この光源は複数の発光体を含み得て、光源は各々が1つ以上の発光体を備えた複数の筐体を含み得る。好ましくは、光源150は1つ以上のLED発光体を備えて、光源は発光する光の色を変更するように制御可能である。また好ましくは、光源が発する光の色相と彩度との両方は、電気的に調整され得る。光源は、空間103の唯一のまたは主要な照明源として使用され得るが、空間103内の唯一のまたは主要な照明源を補う追加の源であり得る。光源150は、有線接続を介してか、またはより好ましくは図示されるように、ローカルRF受信機(もしくはより一般的には、送受信機)110による無線接続を介して、器具101のプロセッサ111に接続される。光源150は離れた「ハブ」から制御されるように構成される「スマート」電球を備え得て、プロセッサ111自体は、ハブのように機能し得るか、または別々のハブを介して、光源150とインターフェース接続し得る。
【0046】
出口102が開放されると、フローセンサ114は、結果として生じるフローを検知して、対応する流量をプロセッサ111が決定することを可能にする。プロセッサ111は、熱エネルギーストアの状態(チャージ割合もしくはエネルギー含有量、または何らかの同様の測定量であり、その代替的な技術は後述する)を認識しているか、または取得する。プロセッサは、熱エネルギーストア内のエネルギーだけを使用して目標のシステム供給温度で流量がサポートされることを可能にするために、蓄えられたエネルギーが十分に存在するかどうかを決定する。存在しない場合、プロセッサは、再生可能エネルギー源の状態を決定する、例えば、関連付けられたヒートポンプが既に動作しているか、または所定の遅延時間未満の時間後に始動され得るかを決定する。これらの決定の結果に応じて、プロセッサは、温水の需要を満たす最善の方法を決定する、すなわち、補助水ヒータ106と、再生可能エネルギー源105と、熱エネルギーストア104からのエネルギーと、のうちの1つ以上の選択を行う。プロセッサ111は、選ばれた選択に対して所定の分類を適用して、次いで、対応する信号を光源150に送信する。信号をプロセッサから受信すると、光源150/160は、対応する色の光を表示する。光源150が発する光の他の特性もプロセッサ111により制御されてもよく、例えば、特定の調節ならびに/または特定の色相および/もしくは彩度が指定されてもよい。光源150自体はプロセッサ111から送信される信号に光源150が応答することを可能にするための制御電子機器を含み得るか、または光源はプロセッサ111から送信される制御信号に直接応答するように構成され得る。
【0047】
別の光源160も図1に示されている。光源150と同様に、光源160は温水出口102の近傍にあって、ここで、光源160の光は器具101から離れた出口102のユーザにより知覚され得る。しかしながら、独立型の光源ではなく、光源160は、出口102の外部で認識可能であるように温水出口102に組み込まれるか、より好ましくは、水出口102から出てくる水を照らすように配置されるか、またはその両方である。光源160は光源150の代わりに設けられてもよく、光源160は、前述のとおりプロセッサ111からの制御信号に反応するか、または光源160は光源150に加えて設けられてもよく、両方の光源が制御信号に応答する。
【0048】
プロセッサは、出口でユーザにより要求される、目標のシステム供給温度での水流が、熱エネルギーストアまたは再生可能エネルギー源からのエネルギーのみを使用して維持され得る場合の第1カテゴリ(これは、使用されるエネルギーが(完全にまたはほとんど)再生可能源から生じているため、「グリーン」カテゴリとみなされ得る)と、出口でユーザにより要求される、目標のシステム供給温度での水流が、単に、補助水ヒータを使用して維持され得る場合の第2カテゴリ(これは、化石燃料に大きく依存する可能性があるため、あまり望ましくないカテゴリとみなされ得る)と、に選択を分類し得る。
【0049】
代替的に、プロセッサは、より多くのカテゴリまたはクラス、例えば、出口でユーザにより要求される、目標のシステム供給温度での水流が、熱エネルギーストアからのエネルギーのみを使用して維持され得る場合の第1カテゴリ、すなわち、最もグリーンなカテゴリと、出口でユーザにより要求される、目標のシステム供給温度での水流が、単に、補助水ヒータを使用して維持され得る場合の第2カテゴリ、すなわち、あまりグリーンではないカテゴリと(例えば、ヒートポンプは、典型的に、コンプレッサと、他の内部システムと、に動力供給するための電気に依存して、少なくとも一部の時間に、必要な電気が非再生可能源から生じる可能性がある)、出口でユーザにより要求される、目標のシステム供給温度での水流が、熱エネルギーストアまたは再生可能エネルギー源からのエネルギーのみを使用して維持され得る場合の第3カテゴリ、すなわち、エネルギーが化石燃料から生じている可能性が高いため「レッド」カテゴリと、に選択を分類し得る。
【0050】
これらの考慮に基づいて、光は、好ましくは、第1カテゴリについて緑色または青色であり、第2カテゴリについて赤色であり、任意選択的に、第3カテゴリについて琥珀色または黄色である。2カテゴリシステムは、より理解しやすいため一部のユーザに魅力的であって、2つよりも多いクラスの使用にはあまり関心がないと分かり得る。このような状況において、緑色と赤色とは、典型的に、重要性を理解しやすいため、上述のように好ましいが、他のペアの色は、例えば、赤色とペアで、緑色の代わりに青色を使用して、色盲の人を含む世帯に対して選択され得る。典型的に、3クラスは、ユーザが快適であると感じる数である。ここで、慣習的な交通信号灯メタファーは、容易に理解されて、一般的に直感的であると分かる。
【0051】
エネルギーの源に基づいて、使用されるエネルギーを分類することに加えて、方法とシステムとは、流量と現在の選択とに対応するエネルギー使用割合を決定することと、決定されたエネルギー使用割合に基づいて、離れた光源に信号を提供することと、も含み得る。エネルギー消費を節約して低減することを考慮すると、エネルギーが使用されている割合はエネルギーの源と同程度に重要であり得て、したがって、このことを光源がユーザに信号送信することを可能にすることは、非常に魅力的である。様々なエネルギー使用割合は、エネルギー源を示すための色を使用しないように選択する場合の絶対的な意味において、または使用されているエネルギーの源を反映した色選択に対して追加の色要素を重ねることにより、様々な表示色の使用を通じて信号送信され得る。例えば、エネルギー源が熱エネルギーストアであって、その結果、プロセッサが緑色を表示するように光源に信号送信する場合、より暗いまたはより青色に近い緑色はエネルギー使用のより低い割合を示すために使用され得て、一方、エネルギー使用のより高い割合はより青白いまたはより黄色に近い色合いの緑色を使用し得る。同様に、出口に供給されている水が補助水ヒータ106により加熱されて、光源が赤色を表示するように制御されていた場合、エネルギー使用のより低い割合はよりオレンジに近い赤色を表示し得て、一方、エネルギー使用のより高い割合はより深い赤色を表示し得る。
【0052】
追加的に、または代替的に、プロセッサは、所定の範囲のエネルギー使用に対してエネルギー使用を決定して、出口の近傍で認識可能な離れた光源に、決定されたエネルギー使用に基づく色を信号送信するように構成されてもよく、例えば、エネルギー使用の割合が変化するにつれて色が連続的にまたはほぼ連続的に変化する色表示を提供することが可能である。しかしながら、多くの場合、色のステップ変化を使用するか、またはカテゴリ間の変化を示すことが好ましい場合があり、その理由は、これがスムーズに変化する色よりも視覚的で、したがって心理的なインパクトを有し得るためである。対応する範囲の色にマッピングされた設備の所定の範囲のエネルギー使用は、好適にプログラムされたプロセッサ111に提供され得て、その結果、任意の決定されたエネルギー使用について、対応する色が選択されて、色の識別情報、またはより典型的には色の識別情報についてのコードが1つ以上の離れた光源に信号送信され得る。
【0053】
代替的に、エネルギー使用割合は、決定されたエネルギー使用割合に基づく調節割合で光源を調節することにより示され得る。決定されたエネルギー使用割合に基づいて、ある調節深度で(例えば、10%から100%まで、または20%から90%までのいずれか、好ましくは、30%から70%までの量、例えば、50%まで最大明度を低減して)、ユーザに認識できる割合、例えば、数Hzから分数Hzまで(例えば、数秒ごとの光のパルス出力)の割合で光源を調節することは、ユーザの温水使用がエネルギーを使用している割合を、ユーザに認識させることを可能にする。エネルギー使用の割合と共に割合が増加する実質的に認識可能なパルスを提供することにより、ユーザは温水流量を低減するように促されて、それにより、エネルギー使用の割合は低減されて、したがって、認識可能なパルスは遅くなり得る。パルス出力の光により伝えられる「メッセージ」の強度は使用される調節の深度を変化させることにより変化し得て、すなわち、より大きい調節深度はエネルギー使用の割合を低減するためのよりよい機会を示す。
【0054】
先行するオプションに加えて、または先行するオプションに対する代替として使用され得るさらなるオプションでは、方法は、温水出口に供給される水を加熱するために使用されるエネルギーの単位コストを決定することと、決定されたエネルギーの単位コストに基づいて、離れた光源に信号を提供することと、をさらに含み得る。プロセッサ111は、好ましくは、インターネットに接続されるか、または他の場合には、データダウンロードを受信するように構成されて、その結果、プロセッサは、電気と任意の他のネットワーク化エネルギー源との最新の料金データを受信して、好ましくは、予報データを含む気象データも受信し得る。再生可能エネルギー源の動作コストについてのデータ、例えば、ヒートポンプを動作させるために、または(電気ポンプと制御電子機器とを含み得る)ソーラー水加熱設備を動作させるために、使用される電気の量もプロセッサに提供されて、プロセッサはまた、任意のローカルの電気生成能力と、生成される電力のタイミングと量と、を認識している。このように、プロセッサは、熱エネルギーストア内に蓄えられるエネルギーのコストと、再生可能エネルギー源を動作させるための現在のコストと、ネットワーク化エネルギー供給に接続される補助水ヒータを使用するためのコストと、を計算できる。これらのコストデータに基づいて、プロセッサ111は、温水出口に供給される水を加熱するために使用されるエネルギーの単位コストを決定して、決定されたエネルギーの単位コストに基づいて、離れた光源に信号を提供できる。光源150または光源160が発する光の特性は、プロセッサから受信された信号に基づいて、決定されたエネルギーの単位コストを表すために使用され得る。例えば、光源の色彩度は、決定されたエネルギー使用割合に基づき得る。
【0055】
光源150は室内灯に組み込まれてもよく、その結果、温水出口のユーザは、光源からの光により搬送されて、コントローラ111から送信される情報を反映した情報を容易に認識し得る。光源150が「スマート」電球を含む場合、ユーザ自身が光を点けない場合であっても、プロセッサ111からの信号に基づいて、スマート電球に照明を行わせることができて、その結果、日中であっても、ユーザはプロセッサ111から供給される情報を認識し得る。
【0056】
光源150はまた、周囲の照明を提供するように配置されてもよく、光源からの光の色相または色は、プロセッサ111から送信される信号送信と情報とに応じて変更され得る。
【0057】
追加的に、または代替的に、光源は、図1で概略的に示されるように、温水出口から出てくる水に光を当てるように配置され得る。光源160からの光は好ましくは水に放たれて、その結果、光は出口102から出てくる水の流れの内側で全内部反射により導光されるが、代わりに、光は、単に、出口から流れる水に現れるように配置され得る。
【0058】
これらの構成または機構のいずれかにおいて、光源は、1つ以上のRGBのLEDを備え得る。
【0059】
図2は、ヒートポンプの形態の関連付けられた再生可能エネルギー源105と共に、エネルギーバンクの形態の熱エネルギーストア104を概略的に示す簡略化された図面である。説明を簡略化して容易にするために、図2は、これらの2つのデバイスの相互関係に焦点を当てたものであり、図1の機構の補助水ヒータと混合バルブ109とを詳細に示しておらず、代わりに、これらは要素170により表されて、図1の熱エネルギーストアと、再生可能エネルギー源と、補助水ヒータと、の間の関係は図2に示される機構にも存在していることが理解されるであろう。
【0060】
エネルギーバンク10は、筐体12を備えて、熱交換器を含む。ヒートポンプ16としてここで示された再生可能エネルギーの源への接続のための熱交換器の入力側回路14と、冷水供給20に接続されて1つ以上の出口102を含む温水供給システムとしてここで示されたエネルギーシンクへの接続のための熱交換器の出力側回路18とは、筐体12内にある。潜熱としての(また、顕熱としての)エネルギーの貯蔵用の相変化材料(PCM)も、筐体12内にある。エネルギーバンク10は、PCMの状態を示す測定値を提供するための1つ以上の状態センサ24も含む。例えば、状態センサ24のうちの1つ以上は、筐体内の圧力を測定するための圧力センサであり得る。好ましくは、筐体は、相変化材料内の温度を測定するための1つ以上の温度センサ26も含む。複数の温度センサがPCM内で設けられることが好ましい場合、これらは、好ましくは、熱交換器の入力と出力との回路の構造から離間して、PCMの状態の良い「画像」を取得するためにPCM内で好適に離間する。
【0061】
エネルギーバンク10は、プロセッサ111を含む関連付けられたシステムコントローラ28を有する。コントローラは、エネルギーバンク10に組み込まれ得るが、より典型的には、別々に取り付けられる。組み込まれたユニットもしくは別々のユニット、またはコントローラ28を含む本体に取り外し可能に取り付けられ得るユニットとして、ユーザインターフェースモジュール31も、コントローラ28に設けられ得る。ユーザインターフェースモジュール31は、典型的に、例えば、タッチ感応ディスプレイの形態のディスプレイパネルとキーパッドとを含む。ユーザインターフェースモジュール31は、コントローラ28から分離されるかまたは分離可能な場合、好ましくは、コントローラ28のプロセッサ111と、ユーザインターフェースモジュールと、が互いに通信することを可能にするための無線通信能力を含む。ユーザインターフェースモジュール31は、システム状態情報と、メッセージと、アドバイスと、警告と、をユーザに表示して、開始と停止との命令、温度設定、システムオーバーライドなどのユーザ入力とユーザコマンドとを受信するために使用され得る。
【0062】
状態センサは、温度センサ26が存在する場合、温度センサ26のようにプロセッサ111に接続される。プロセッサ111はまた、有線接続、もしくは関連付けられた送受信機110と送受信機36とを使用して、無線、または有線と無線との接続の両方を通じて、ヒートポンプ16内のプロセッサ/コントローラ32に接続される。このように、システムコントローラ28は、開始命令、停止命令などの命令をヒートポンプ16のコントローラ32に送信できる。同じように、プロセッサ111はまた、状態更新、温度情報などの情報をヒートポンプ16のコントローラ32から受信できる。
【0063】
温水供給設備は、温水供給システム内のフローを測定する1つ以上のフローセンサ38も含む。図示されるように、このようなフローセンサは、システムへの冷水供給20上、およびまたは熱交換器の出力側回路18の出力間に設けられ得る。任意選択的に、1つ以上の圧力センサも温水供給システムに含まれてもよく、ここでも、圧力センサは、熱交換器/エネルギーバンクの上流および/または熱交換器/エネルギーバンクの下流に、例えば、1つ以上のフローセンサ38のうちの1つ以上の傍に設けられ得る。各フローセンサと各温度センサと各圧力センサとは、有線または無線接続のいずれかまたは両方を用いて、例えば、1つ以上の無線送信機または送受信機40を使用して、システムコントローラ28のプロセッサ111に接続される。様々なセンサ24,26,38の性質に応じて、様々なセンサ24,26,38は、システムコントローラ28のプロセッサ30により照会可能でもあり得る。
【0064】
任意選択的に、図示されるように、エネルギーバンク10は筐体12内に電気加熱要素42を含んでもよく、電気加熱要素42は、システムコントローラ28のプロセッサ111により制御されて、エネルギーバンクを再チャージするために、時にはヒートポンプ16に対する代替として使用され得る。
【0065】
図2は、単なる概略図であって、温水供給設備に対するヒートポンプの接続を示しているだけである。世界の多くの地域で、温水だけでなく空間暖房も必要であることが理解されるであろう。したがって、典型的に、ヒートポンプ16は、空間暖房を提供するためにも使用される。ヒートポンプが空間暖房を提供して、かつ温水加熱用のエネルギーバンクで機能する例示的な機構は、本出願において後述される。説明を容易にするために、例えば、図2に示されるような本発明の態様に係るエネルギーバンクの動作方法の以下の説明は、関連付けられたヒートポンプが空間暖房を提供するか否かに関わらず、エネルギーバンク設備にも同様に適用される。
【0066】
ここで、本発明の態様に係る設備を制御する方法は、図3を参照して記載される。図3は、本発明の態様に係る設備に関連付けられたプロセッサにより行われる様々な動作を示す簡略化されたフローチャートである。
【0067】
方法は、状態センサ24のうちの1つ以上からの情報に基づいて、相変化材料内で潜熱として蓄えられたエネルギーの量の決定を生成して(320)、始まる。
【0068】
次いで、その決定に少なくとも部分的に基づいて、プロセッサは、開始信号をヒートポンプに提供するかどうかを決定する(ステップ330)。プロセッサがPCMの状態に加えて考慮し得る様々な要素は、本明細書において後で導入されて述べられる。
【0069】
図4は、本発明の態様に係る設備に関連付けられたプロセッサにより行われる様々な動作を示す別の簡略化されたフローチャートである。
【0070】
方法は、温水供給システムの出口の開放を示す信号をプロセッサが受信して(400)、始まる。信号は、例えば、温水供給システムにおける、または温水システムへの冷水供給におけるフローセンサ38から来得る。プロセッサは、例えば、開放された出口の識別情報もしくはタイプに基づいて、または瞬間流量に基づいて、温水供給システムからの温水の需要を推定する(402)。プロセッサは、推定された需要を第1閾値需要レベルと比較する。推定された需要が第1閾値需要レベルよりも上である場合、プロセッサは、ヒートポンプ開始メッセージを生成する(404)。推定された需要が第1閾値需要レベルよりも下である場合、プロセッサは、推定された需要を、第1閾値需要レベルよりも低い第2閾値需要レベルと比較する。推定された需要が第2閾値需要レベルよりも下である場合、プロセッサは、ヒートポンプ開始メッセージを生成しないことを決定する(406)。
【0071】
推定された需要が、第1閾値需要レベルと、第2閾値需要レベルと、の間にある場合、プロセッサは、エネルギーバンクのエネルギー貯蔵レベルを考慮する。このことは、エネルギーバンクのエネルギー貯蔵レベルをプロセッサが新たに確立することを含み得るか、またはプロセッサはエネルギーバンクのエネルギー貯蔵レベルに関する最新の生成情報を使用し得る。
【0072】
エネルギーバンクのエネルギー貯蔵レベルが第1エネルギー貯蔵レベル閾値よりも大きいという決定(408)の場合、プロセッサは、ヒートポンプ開始メッセージを生成しないことを決定する(406)。逆に、エネルギーバンクのエネルギー貯蔵レベルが第1エネルギー貯蔵レベル閾値よりも小さいという決定の場合、プロセッサは、ヒートポンプ開始メッセージを生成することを決定する(404)。
【0073】
ここで、本発明の態様に係る設備を制御する方法は、図5を参照して記載される。図5は、図2に示されたエネルギーバンクなどのエネルギーバンクに関連付けられたプロセッサにより行われる様々な動作を示す簡略化されたフローチャートである。プロセスは、温水供給システム内の水流をプロセッサ111が検出したときに(ステップ500)、始まる。検出は、好ましくは、図2のフローセンサ38などのフローセンサからのデータに基づいているが、代替的に、温水供給システム内の圧力センサからのデータに基づき得る。関連のセンサは、測定データをプロセッサ111に連続的に供給するように構成され得るか、もしくは単に測定データの変化を報告するように構成され得るか、またはプロセッサは関連のセンサを連続的にもしくは定期的に(例えば、毎秒少なくとも1回)読み取り得る。
【0074】
プロセッサ111は、センサからのデータにより示される流量が高いフローまたは低いフロー、例えば、特定の閾値よりも上または下を示しているかを決定する(ステップ502)。プロセッサは、流量を高、中、もしくは低に分類するために複数の閾値を使用し得るか、またはカテゴリは、超高と、高と、中と、低と、を含み得る。超低または僅少のフローカテゴリも、存在し得る。(例えば、本特許出願において後述されるものなどの技術を使用した)温水供給システムの出口102の各々、または出口タイプの各々についての流量とフローの特徴とに関する(例えば、データベース、モデル、またはMLAの形態の)情報も、プロセッサ111に提供されてもよく、次いで、プロセッサは、検出された流量を、出口102のうちの特定の出口または特定のタイプ(例えば、シャワー出口、浴室出口、キッチンシンク出口、洗面台出口、手洗い器出口)に関連付けられたものとして特徴付ける。
【0075】
温水の需要が低いことを決定が示す場合(503)、プロセッサは、少なくとも状態センサ24からの情報に基づいて、パワーバンク10の状態を考慮する(ステップ504)。エネルギーバンクが(エネルギーバンクの大きい割合の潜熱容量が利用可能である)高エネルギー状態505にあるか、または(エネルギーバンクの小さい割合の潜熱容量が利用可能である)低エネルギー状態506にあるか、を決定するいずれの場合にも、プロセッサ111は、この段階で状態センサ24(例えば、圧力センサ)に照会し得るか、または最新の更新されたエネルギーバンク状態を確認し得る。プロセッサはまた、例えば、エネルギーバンク10内に蓄えられた知覚可能エネルギーを考慮するために、温度センサ26からの情報を考慮し得る。プロセッサ111が高エネルギー状態を決定する場合、プロセッサは開始命令をヒートポンプに送信しないことを決定して、プロセスは終了する(507)。プロセッサ111が低エネルギー状態を決定する場合、プロセッサは、開始命令をヒートポンプに送信する(522)ことを決定し得る(506)。
【0076】
温水の需要が高いことを決定が示す場合(508)、プロセッサは、少なくとも状態センサ24からの情報に基づいて、パワーバンク10の状態を考慮し得る(ステップ509)。エネルギーバンクが(エネルギーバンクの大きい割合の潜熱容量が利用可能である)高エネルギー状態510にあるか、または(エネルギーバンクの小さい割合の潜熱容量が利用可能である)低エネルギー状態512にあるか、を決定するいずれの場合にも、プロセッサ111は、この段階で状態センサ24に照会し得るか、または最新の更新されたエネルギーバンク状態を確認し得る。
【0077】
プロセッサはまた、例えば、エネルギーバンク10内に蓄えられた知覚可能エネルギーを考慮するために、温度センサ26からの情報を考慮し得る。プロセッサ111が高エネルギー状態510を決定する場合、プロセッサは、任意選択的に、予測される温水需要を決定する(ステップ514)。しかしながら、プロセッサは、代替的に、(網掛け矢印511により示されるように)温水需要を予測することなく、単に流量の大きさに基づいて、ヒートポンプを開始する命令を出す(522)ように構成され得る。
【0078】
プロセッサ111は、温水需要を予測するために、水出口の決定された識別情報(すなわち、特定の出口)またはタイプを考慮し得る(ステップ514)。例えば、出口がキッチンシンク出口として識別される場合、蛇口が30秒から1分までの時間を超えて動作する可能性は、低い。一方、出口が浴室蛇口である場合、蛇口は、場合により120リットルから150リットルまでの温水の需要で、数分間、開放されたままである可能性がある。
【0079】
第1状況において、プロセッサ111は、開始信号をヒートポンプに送信しないことを決定する(516)が、代わりに、プロセスを終了させるか、またはより好ましくは、フローが継続する時間を見るために流量を継続して監視する(518)。フローが予測された時間内で停止する場合、プロセスは終了するが(520)、水流が予測よりも長く継続する場合、プロセッサはステップ509に戻るように移動する(519)。第2状況において、プロセッサ111は、開始信号をヒートポンプに送信する(522)ことを決定する(521)(矢印511は、単に、瞬間流量に基づいて、または温水供給システムからの著しい量の温水の取水に関連付けられた出口(もしくは出口タイプ)の識別に基づいて、ヒートポンプを開始する決定を示す)。
【0080】
(決定(506または521)のいずれかから)ヒートポンプを開始した(522)後、プロセッサ111はパワーバンク状態がチャージの何らかの閾値レベルに達する(525)までパワーバンク状態を継続して(定期的にまたは連続的に)監視して(524)、同閾値レベルで、プロセッサはヒートポンプをオフにする信号を送信する(526)。
【0081】
図6は、図2のプロセッサ111などの、エネルギーバンクに関連付けられたプロセッサにより行われる様々な動作を示す別の簡略化されたフローチャートである。図5を参照して記載された方法とは異なり、図6の方法は、温水の要求の検出に依存していない、すなわち、温水システムの出口の開放に依存していない。一般的に、図6は設備を制御する方法を示して、方法は、相変化材料内で潜熱として蓄えられたエネルギーの量の決定を生成することと、その決定に基づいて、開始信号をヒートポンプに提供するかどうかを決定することと、を含む。しかしながら、理解されるように、任意選択的であるが好ましいステップは、相変化材料内で潜熱として蓄えられたエネルギーの量の決定を生成するステップと、その決定に基づいて、開始信号をヒートポンプに提供するかどうかを決定するステップと、の間で行われ得る。
【0082】
方法は、エネルギーバンク10の相変化材料内で潜熱として蓄えられたエネルギーの量をプロセッサ111が推定して(ステップ600)始まる。熱の量は、キロジュールの絶対量であり得るが、単に、現在利用可能な潜熱容量の割合の測定量でも同様に十分であり得る。換言すれば、プロセッサは、依然、より高いエネルギー状態の相である相変化材料の割合を効果的に決定し得る。このため、例えば、相変化材料が液体から固体への相変化を伴うパラフィンワックスである場合、液相は融解潜熱を取り入れたより高いエネルギー相であって、固相は融解潜熱が凝固に屈したより低いエネルギー相である。
【0083】
潜熱として蓄えられたエネルギーの量が十分である、すなわち、何らかの所定の閾値を超えていることをプロセッサが決定する場合(602)、方法はプロセスが止まるステップ604に移動して、プロセッサは次の確認(600)を待つ。
【0084】
潜熱として蓄えられたエネルギーの量が十分ではない、すなわち、何らかの所定の閾値以下であることをプロセッサが決定する場合(606)、方法は、ステップ608に移動する。プロセッサは、今後の期間内(例えば、今後の半時間、1時間、2時間、3時間、または4時間内)の著しい温水需要の可能性を決定する(ステップ608)。考慮される期間は、エネルギーバンクの熱容量と、決定されるエネルギー不足の大きさと、同状況下でエネルギーバンクを再チャージするヒートポンプの能力と、に関する因子である。考慮される需要期間はヒートポンプが期間内でエネルギーバンクを十分に再チャージすることを可能にするために十分長くされるべきであり、その結果、エネルギーバンクは予測または予想される需要に対処可能にするために最適にチャージされる(場合により、完全にチャージされる)ことが理解されるであろう。逆に、ヒートポンプは、放射、伝導、または対流により、著しい量のエネルギーをエネルギーバンクが失う程あまりに長い間、予想/予測されたエネルギー需要の前にエネルギーバンクを再チャージするために使用されるべきではない。
【0085】
プロセッサは、データベース、モデル、カレンダー、またはスケジュールに依存してもよく、これらのうちのいずれかと全てとは、学習された挙動と挙動のパターンと、(不在の予定、またはどこか他の場所について予定された出来事などの)予定された出来事と、を含み得る。プロセッサはまた、例えば、インターネット上でもしくは無線送信で提供(プッシュもしくは受信)される地域気象通報および/または外部の温度計にアクセスし得る。
【0086】
期間内の著しい温水需要の可能性が低いことをプロセッサが決定する場合(610)、方法はプロセスが止まるステップ604に移動して、プロセッサは次の確認(600)を待つ。
【0087】
期間内の著しい温水需要の可能性が高いことをプロセッサが決定する場合(612)、方法はヒートポンプがオンにされるステップ614に移動して、例えば、プロセッサ30は命令をヒートポンプ16に送信して、その結果、ヒートポンプのプロセッサ32はヒートポンプ開始手順を始めて、その後、ヒートポンプは、熱交換器の入力側への熱の供給を開始して、それにより、エネルギーを相変化材料に入れる。次いで、プロセッサは、十分なエネルギーが相変化材料の潜熱としてエネルギーバンクに現在蓄えられているかどうかを繰り返し決定する(ステップ616)。十分なエネルギーが相変化材料の潜熱としてエネルギーバンクに現在蓄えられていることをプロセッサが決定すると(618)、方法はステップ620に移動して、ヒートポンプは、例えば、プロセッサ30が適切な命令を送信することによりオフにされる。蓄えられたエネルギーが不十分であることをプロセッサが決定している限り(622)、方法は、継続する。
【0088】
図2に戻る。筐体内の圧力を測定するために1つ以上の状態センサ24を提供する代わりに、または加えて、他のセンサタイプはPCMの透過性、吸収、屈折、屈折率などの光特性を測定するために提供されてもよく、これは様々なこれらのものがPCM内の相転移と共に変化するためである。加えて、様々なこれらの特性は、相の変化と共に変化する波長依存性を示し得る。
【0089】
したがって、エネルギーバンクは光を相変化材料内に放つための1つ以上の光源をさらに備えてもよく、1つ以上の状態センサ24は、光が相変化材料を通過した後に、光源から放たれた光を検出するための光検知機構を含み得る。相変化材料内の相間の変化は相変化材料の光特性の可逆変化を生じさせて、したがって、PCMの光特性の観察はPCMの状態に関する情報を収集するために使用され得る。好ましくは、PCMの光特性は、PCMのいくつかのエリアにおいて、好ましくは、材料内の様々な方向で観察される。例えば、光源とセンサとは源からの光が1つ以上の位置でPCMを長手方向に通過するように配置されてもよく、他の源とセンサとは源からの光が1つ以上の位置において1つ以上の向きでPCMを幅方向に通過する(幅およびまたは厚さを通る)ように配置されてもよい。
【0090】
光源は様々な色の光を生成するように制御可能でもよく、光検知機構は様々な色のうちの少なくとも一部を検出するように構成され得る。光の適切な色を選択することにより、任意の用途で選択される特定のPCMに基づいて、PCMの相が変化した程度をより正確に決定することが可能であり得る。
【0091】
好ましくは、光源は、複数の別々に作動可能なデバイスを備える。
【0092】
光検知機構から受信される情報に基づいて、相変化材料内に蓄えられたエネルギーの量を推定するように構成されるプロセッサへの光検知機構の接続は、PCM内で潜熱として蓄えられたエネルギーの量を決定する手段を提供して、この情報はヒートポンプを制御する際に使用され得る。特に、このような情報は、PCMエネルギーバンクをチャージする際に、ヒートポンプのより効率的で適切な使用を可能にし得る。
【0093】
さらなるオプションとして、相変化材料内で潜熱として蓄えられたエネルギーの量を示す測定データを提供するための1つ以上の状態センサ24は、音を相変化材料内に放つように構成される音源と、音が相変化材料を通過した後に、音源から放たれた音を検出するための音検知機構と、を含み得る。相変化材料内の相間の変化は相変化材料の吸音特性の可逆変化を生じさせて、したがって、PCMの音特性の観察はPCMの状態に関する情報を収集するために使用され得る。音源は、超音波を生成するように構成され得る。
【0094】
図7は、建物内の水供給設備700を概略的に示す。建物内の水供給設備700は、複数の制御可能な水出口(より完全に後述される様々な蛇口とシャワー)と水の供給105とを有して、水の供給105と、複数の制御可能な水出口と、の間の水流経路内で、少なくとも1つのフロー測定デバイス110と少なくとも1つのフローレギュレータ115とを有して、少なくとも1つのフロー測定デバイス110と、少なくとも1つのフローレギュレータ115と、に動作可能に接続されるプロセッサ140を有する。図示された水供給設備は、マスターバスルーム121と、エンスイートの第1シャワールーム122と、エンスイートの第2シャワールーム123と、トイレ124と、キッチン125と、を備えた住宅を表している。マスターバスルームとエンスイートの第1シャワールームとは住宅のあるフロアにあり得る一方、トイレと第2エンスイートとキッチンとは住宅の別のフロアにあり得る。
【0095】
このような状況において、水を様々な出口に供給するために、図示されるように2つの別々の回路130と回路131とを有することが好都合であり得る。
【0096】
マスターバスルーム121は、シャワー出口135と、浴室蛇口または水栓136と、シンク用の蛇口137と、を含むものとして示されている。エンスイートのシャワールーム122,123も、シャワー出口135と、シンク用の蛇口137と、を含む。逆に、トイレは、水洗便所(不図示)と、蛇口138を備えた手洗い器と、だけを含む。最後に、キッチンは、蛇口139を備えたシンクを有する。
【0097】
関連付けられたメモリ141を備えたプロセッサまたはシステムコントローラ140は、少なくとも1つのフロー測定デバイス110と、少なくとも1つのフローレギュレータ115と、に接続される。2つの回路130,131との各々に、それぞれのフロー測定デバイス110とフローレギュレータ115とが設けられることが理解されるであろう。プロセッサは、任意選択的に、回路130,131との各々に1つずつある1つ以上の温度センサ143にも接続される。このプロセッサは、前述のようにエネルギーバンクに関連付けられ得る。
【0098】
プロセッサは、Wi-Fi、Bluetoothなどを介した双方向通信のために少なくとも1つのRF送信機と少なくとも1つのRF受信機とを含むRF送受信機142にも接続されて、好ましくは、サーバまたはセントラルステーション145への接続のためにインターネット144にも接続されて、任意選択的に、(LTE、UMTS、4G、5Gなどの)セルラ無線ネットワークに接続される。RF送受信機142および/またはインターネットへの接続により、プロセッサ140は、建物内の水供給設備をマッピングする際に設備エンジニアが使用するための、例えば、スマートフォンまたはタブレットであり得るモバイルデバイス149と通信できる。モバイルデバイス149は、本発明の実施形態に係るマッピング方法を容易にするために、特に、エンジニアにより行われる動作をシステムコントローラ140/サーバ145のクロックに同期させるために、システムコントローラ140内で、また、場合によりサーバ145内で対応するソフトウェアと協働する、特定のアプリなどのソフトウェアを含む。メモリ141は、例えば、新しい設備を作動させるプロセス中に建物内の水供給設備プロセッサをマッピングする方法をプロセッサが行うことを可能にするためのコードを含む。説明のために、図7を考慮して温水供給設備を示すが、温水供給設備は、同様に、冷水供給設備であり得る。
【0099】
作動プロセス中に、エンジニアは、(例えば、蛇口、シャワー、浴室、キッチンの)全ての温水出口を定めるようにプロセッサ/システムコントローラ140により要求される。システムコントローラは、出口(蛇口、シャワー出口など)の各々を完全に開放するようにエンジニアに要求して、関連のフロー測定デバイス110により、結果として生じる水流を監視する。このプロセス中、関連のフロー測定デバイス110は水流を測定して、プロセッサは、これらのデータを受信して、結果をデータベースに追加する。この情報に基づいて、システムは、その後、任意の出口が開放されたときに、関連のフロー制御デバイス115を制御することにより、最も効率的なフローを各々の単一の蛇口に提供できる。
【0100】
ここで、本開示の態様に係る建物内の水供給設備をマッピングする方法は、図7を参照して記載される。方法は、複数の制御可能な水出口のうちの第1水出口を開放することと、少なくとも第1フロー特性が決定されるまで、少なくとも1つのフロー測定デバイス110からの信号をプロセッサ140を用いて処理することと、次いで、複数の制御可能な水出口のうちの第1水出口を閉じることと、を含む。複数の制御可能な水出口のうちの第1水出口の開放は、好ましくは、関連のエンジニアが携えるモバイルデバイス149にプロセッサまたはシステムコントローラ140がメッセージを送信することにより命令される。例えば、命令は、Wi-Fiにより送信されてもよく、マスターバスルーム121内の温浴室の蛇口136を開放するようにエンジニアに伝え得る。次いで、モバイルデバイス149を携えているエンジニアは、マスターバスルームに行って、温浴室の蛇口136を完全に開放する。モバイルデバイスは、蛇口を開放する正確な時間をエンジニアに伝えるために、好ましくは、可聴のプロンプトをカウントダウンでエンジニアに提供し得る。代替的に、モバイルデバイス上のアプリは、蛇口136が開放された瞬間にボタンの押圧またはリリースなどのエンジニアからの入力を受けるように構成され得る。いずれの場合も、アプリは、プロンプトまたは瞬間のローカル時間を捕らえて、次いで、関連の制御可能な出口の識別情報と共に、このローカル時間をシステムコントローラ140またはサーバ145に送信し得る。このように、モバイルデバイス149に達するプロンプトの遅延、またはコントローラ140もしくはサーバ145に達する命令のタイミングの遅延は、考慮され得る(モバイルデバイス149とシステムコントローラ140とは、好ましくは、マッピングプロセスの前または後に何らかのハンドシェイク手順を経て、その結果、2つのデバイスのクロック間の圧倒的なオフセットは除去され得るか、または同オフセットも考慮され得る)。
【0101】
次いで、エンジニアは、建物を回って進んで、アプリ上のリストもしくはメニューから出口識別情報を選択するか、または明白な識別情報を入力して、次いで、出口の各々を開放し得る。または、全ての蛇口のリストなど(一般的には「制御可能な出口」)は既にシステムコントローラに提供されており、システムコントローラは、別のメッセージをモバイルデバイス149に送信することにより、関連の出口に行くようにエンジニアに促し得る。アプリは、好ましくは、エンジニアが命令を受信して次の制御可能な出口を開放する準備が整っているというメッセージをシステムコントローラ140/サーバ145にエンジニアが送信するオプションを含む。次いで、全ての出口と、同出口のフロー特性、すなわち、フローが検出される前の遅延と、フローの上昇割合と、最大流量と、任意の他の識別可能な特性と、が捕らえられてデータベース内に記憶されるまで、プロセスは、他の温水出口の各々に対して繰り返される。データベース内に記憶された特性を使用することにより、プロセッサ140は、その後次いで、それぞれのフロー特性に対する検出されたフロー特性の類似性に基づいて、複数の制御可能な水出口のうちの特定の水出口の開放を識別できる。
【0102】
出口のタイプ(浴室蛇口、キッチン蛇口、洗面台蛇口、トイレ蛇口)と、出口の場所(例えば、メインバスルーム、エンスイート、子供の部屋、大人の部屋、トイレ、キッチン)と、に基づく、好ましい流量、任意選択的にフロー継続時間に関するいくつかの規則もプロセッサに提供されて、プロセッサは、目標流量を決定するために、検出されたフロー特性から認識される出口識別情報と共にこれらの規則を使用する。次いで、目標流量は、システムコントローラ140が関連のフローコントローラ115を制御することにより課されて、好ましくは、対応するフロー測定デバイス110により監視される。このように、少なくとも1つのフローレギュレータを制御することにより、関連の出口の識別情報に基づいて、プロセッサ140は、識別された制御可能な水出口への水の供給を制御できる。
【0103】
それぞれのフロー特性は、それぞれの安定流量を含み得る。次いで、方法は、それぞれの安定流量に基づいて、複数の制御可能な水出口の各々に対して流量の少なくとも10%削減を課すために、少なくとも1つのフローレギュレータ115を制御するようにプロセッサ140を構成することをさらに含み得る。任意選択的に、方法は、それぞれの安定流量に基づいて、それぞれの安定流量が毎分7リットルを超える複数の制御可能な水出口のいずれかに対して、流量の少なくとも10%削減を課すために、少なくとも1つのフローレギュレータ115を制御するようにプロセッサ140を構成することをさらに含み得る。これは、特に、バスルーム、エンスイート、最も著しくはトイレで、洗面台の機能を果たす蛇口に対して適用されて、主として、蛇口は、多くの場合、非常に控えめな流量で効果的に達成され得る手洗い用の水を提供するために使用される。
【0104】
温水供給設備をマッピングする上述の技術は、前述のようなエネルギーバンクに関連付けられたプロセッサにより使用され得る、ニューラルネットワークまたは機械学習アルゴリズム(MLA)などのデータベースまたは訓練ロジックにデータを追加するために使用されてもよく、その結果、プロセッサは、より十分に、検出されたフロー挙動から特定の出口または出口タイプを識別できて、したがって、温水供給からの温水の需要をより容易に推定できる。次いで、これは、ヒートポンプを制御する効率と、エネルギーバンクを使用する効率と、を改善し得る。
【0105】
温水供給設備における、エネルギーバンクと、エネルギーバンクの設備と動作と、が記載されてきたが、ここで、エネルギーバンクとヒートポンプとが、どのように温水供給システムと空間暖房機構との両方に組み込まれ得るかが考慮される。
【0106】
図8は、本開示の態様に係るインターフェースユニット10の構成要素の可能性のある機構を概略的に示す。インターフェースユニットは、ヒートポンプ(この図では不図示)と、建物内の温水システムと、の間でインターフェース接続する。インターフェースユニットは、(別々に番号付けされていない)筐体を備える熱交換器12を含む。非常に簡略化された形態で14として示された、ヒートポンプへの接続のための入力側回路と、再び非常に簡略化された形態で16として示された、建物内の温水システム(この図では不図示)への接続のための出力側回路とは、同筐体内にある。熱交換器12は、エネルギーの貯蔵用の熱貯蔵媒体も含むが、これは図示されていない。ここで、図9を参照して記載される例において、熱貯蔵媒体は相変化材料である。インターフェースユニットは、前述のエネルギーバンクに対応することが認識されるであろう。特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、エネルギーバンクと、熱貯蔵媒体と、エネルギー貯蔵媒体と、相変化材料と、に対する言及は、文脈が明確に他の場合を必要としていない限り交換可能であるとみなされるべきである。
【0107】
典型的に、熱交換器内の相変化材料は、(融解潜熱により蓄えられたエネルギーの量の観点で)2メガジュールと、5メガジュールと、の間のエネルギー貯蔵能力を有するが、より多くのエネルギー貯蔵が可能であり、有用であり得る。もちろん、より少ないエネルギー貯蔵も可能であるが、一般的に、インターフェースユニット10の相変化材料内のエネルギー貯蔵の可能性を(物理的な寸法と、重量と、コストと、安全性と、に基づく実用的な制約を受けて)最大化することが望まれる。本明細書において後で、好適な相変化材料と、同相変化材料の特性と、に関してより多くのことが述べられて、また寸法などに関してもより多くのことが述べられる。
【0108】
入力側回路14はパイプまたは導管18に接続されて、次いで、パイプまたは導管18は、ノード20から、すなわち、ヒートポンプからの供給への接続のための接続24を有するパイプ22から供給される。ノード20はまた、接続28で終端を成すパイプ26にヒートポンプからの流体を供給して、接続28は、家またはフラットの暖房ネットワークに接続されること、例えば、床下暖房もしくはラジエータのネットワークまたはその両方に配管されることが意図される。したがって、インターフェースユニット10が完全に設置されて稼働すると、(家またはフラットの外側に配置された)ヒートポンプにより加熱された流体は、接続24を通過して、パイプ22に沿ってノード20に向かって、ノード20から、3ポートバルブ32の設定に応じて、流体フローは、パイプ18に沿って通過して、熱交換器の入力側回路14に向かって、またはパイプ26に沿って通過して、家もしくはフラットの暖房インフラストラクチャに向かって、接続28を通過して、出ていく。
【0109】
ヒートポンプからの加熱流体は、熱交換器の入力側回路14を通過して流れて、パイプ30に沿って熱交換器12から出ていく。使用時、何らかの状況下で、ヒートポンプからの加熱流体により搬送される熱のエネルギーの一部は熱交換器の内側の相変化材料に渡されて、一部は出力側回路16内の水に渡される。他の状況下で、後で説明されるように、熱交換器の入力側回路14を通って流れる流体は、実際、熱を相変化材料から取得する。
【0110】
パイプ30は、電動3ポートバルブ32に向けて入力側回路14を出ていき、次いで、バルブの状態に応じてパイプ34に沿って出ていき、ポンプ36に向かう流体、を供給する。ポンプ36は、接続38を介して、外部のヒートポンプにフローを押し進める機能を果たす。
【0111】
電動3ポートバルブ32はまた、家またはフラットの暖房インフラストラクチャ(例えば、ラジエータ)から戻る流体を接続42を介して受け取るパイプ40から、流体を受け取る。
【0112】
3つ組のトランスデューサ、すなわち、温度トランスデューサ44と、フロートランスデューサ46と、圧力トランスデューサ48とは、電動3ポートバルブ32と、ポンプ36と、の間に設けられる。加えて、温度トランスデューサ49は、ヒートポンプの出力からの流体を導入するパイプ22内に設けられる。これらのトランスデューサは、インターフェースユニット10内の全ての他のものと同様に、不図示のプロセッサに動作可能に接続されるか、または同プロセッサにより対処可能であって、同プロセッサは、典型的には、インターフェースユニットの一部として提供されるが、別々のモジュールで提供され得る。
【0113】
図8には示されていないが、追加の電気加熱要素も、ヒートポンプの出力から流体を受け取るカプラ24間のフロー経路内に設けられ得る。この追加の電気加熱要素は、ここでも、誘導加熱要素または抵抗加熱要素でもよく、ヒートポンプの潜在的な故障を補償するためだけでなく、(例えば、現在のエネルギーコストと、暖房および/または温水に対して予測されるエネルギーコストと、に基づいて)エネルギーを熱貯蔵ユニットに追加する際に、場合により使用するための手段として設けられる。もちろん、追加の電気加熱要素も、システムのプロセッサにより制御可能である。
【0114】
また、膨張容器50はパイプ34に接続されて、バルブ52は膨張容器50に接続されて、バルブ52により、充填ループは加熱回路において補充流体に接続され得る。また、ノード20と入力側回路14との間にある圧力解放バルブ54と、接続42と3ポートバルブ32との間にある(粒子状汚染物質を捕らえるための)ストレーナ56とは、インターフェースユニットの加熱回路の一部として示される。
【0115】
少なくとも1つのトランスデューサ58と圧力トランスデューサ60とを含むいくつかのトランスデューサも熱交換器12に設けられるが、好ましくは、より多くの(例えば、最大4つ以上)トランスデューサ58は図示されるように設けられる。図示された例において、熱交換器は相変化材料内で均等に分配された4つの温度トランスデューサを含み、その結果、温度変化が決定され得る(したがって、相変化材料のバルクにおける相変化材料の状態に関する知見が取得される)。このような機構は、追加の熱伝達機構を最適化することを含む、熱交換器の設計を最適化するための手段として、設計/実装段階の間に特に利点となり得る。しかしながら、複数のセンサを有することは、プロセッサと、プロセッサにより採用される機械学習アルゴリズム(インターフェースユニットのみ、および/またはインターフェースユニットを含むシステムのプロセッサ)と、に有用な情報を提供し得るため、このような機構はまた、展開されるシステムにおいて、継続して利点となり得る。
【0116】
インターフェースユニット10の冷水供給と温水回路との機構は、ここで記載される。接続62は、水本管からの冷たい供給に対する接続のために設けられる。典型的に、水本管からの水がインターフェースユニット10に達する前に、水は、アンチサイフォンノンリターンバルブを通過して、水の圧力を低減し得る。冷水は、接続62から、パイプに沿って通過して、熱交換器12の出力側回路16に向かう。インターフェースユニット内の多くのセンサを監視するプロセッサを設けると想定すると、任意選択的に、行うべきもう1つのタスク、すなわち、本管の水供給から冷水を届ける圧力を監視することは、同じプロセッサに与えられ得る。この目的のために、さらなる圧力センサは、接続62の上流で、特に、建物内の任意の圧力低減機構の上流で、冷水供給ラインに導入され得る。次いで、プロセッサは、供給される水圧を連続的にまたは定期的に監視して、水本管が法定最小値未満の圧力で水を供給している場合に、水供給会社から補償を求めるように所有者/ユーザに促すことさえし得る。
【0117】
熱交換器を通る水の通路により加熱されている場合がある水は、出力側回路16から、パイプ66に沿って通過して、電気加熱ユニット68に向かう。前述のプロセッサの制御下にある電気加熱ユニット68は、プロセッサからの命令に従って熱出力が調節され得る抵抗加熱機構または誘導加熱機構を備え得る。
【0118】
プロセッサは、相変化材料とヒートポンプとの状態に関する情報に基づいて、電気ヒータを制御するように構成される。
【0119】
典型的に、電気加熱ユニット68は10kW以下の電力定格を有するが、例えば、12kWのより力強いヒータは何らかの状況下で設けられ得る。
【0120】
今ではもう温水である水は、電気ヒータ68からパイプ70に沿って通過して、接続74に向かって、蛇口、シャワーなどの制御可能な出口を含む家またはフラットの温水回路は、接続74に接続される。
【0121】
温度トランスデューサ76は、温水システムの出口での水温に関する情報を提供するために、電気ヒータ68の後に、例えば、電気ヒータ68の出口で提供される。圧力解放バルブ77も温水供給に設けられており、これは、電気ヒータ68と出口温度トランスデューサ76との間に配置されたものとして示されているが、圧力解放バルブ77の正確な場所は重要ではなく、実際、図9に示された多くの構成要素でも同様である。
【0122】
また、圧力トランスデューサ79およびまたはフロートランスデューサ81は、温水供給ライン内のどこかにあり、そのうちのいずれかは、温水の要求を検出するために、すなわち、蛇口またはシャワーなどの制御可能な出口の開放を検出するために、プロセッサにより使用され得る。フロートランスデューサは、好ましくは、可動部分が無いもの、例えば、音波フロー検出または磁気フロー検出に基づくものである。次いで、プロセッサは、ヒートポンプを開始するように信号送信するかどうかを決定するために、これらのトランスデューサのうちの一方または両方からの情報を同トランスデューサの記憶ロジックと共に使用し得る。
【0123】
プロセッサは、空間暖房の需要に基づいて(例えば、プロセッサもしくは外部のコントローラに記憶されたプログラムに基づいて、および/または1つ以上のサーモスタット、例えば、ルームサーモスタット、外部サーモスタット、床下暖房サーモスタットからの信号に基づいて)、または温水の需要に基づいて、ヒートポンプの開始を要求し得ることが理解されるであろう。ヒートポンプの制御は、単純なオン/オフコマンドの形態であり得るが、さらに、または代替的に、(例えば、ModBusを使用した)調節の形態であり得る。
【0124】
インターフェースユニットの加熱回路の場合と同様に、3つ組のトランスデューサ、すなわち、温度トランスデューサ78とフロートランスデューサ80と圧力トランスデューサ82とは、冷水供給パイプ64に沿って設けられる。別の温度トランスデューサ84も、熱交換器12の出力側回路16の出口と、電気ヒータ68と、の間でパイプ66において設けられる。ここでも、これらのトランスデューサは、全て、前述のプロセッサにより動作可能に接続されるか、またはプロセッサにより対処可能である。
【0125】
また、磁気的または電気的水調節装置86と、(全ての電動バルブと同様に、前述のプロセッサにより制御され得る)電動の調節可能バルブ88と、ノンリターンバルブ90と、膨張容器92とは、冷水供給ライン64に示されている。調節可能バルブ88は、(例えば、温度トランスデューサ76により測定される)温水の所望の温度を維持するために、冷水のフローを規制するように制御され得る。
【0126】
バルブ94とバルブ96とはまた、冷水と加熱水との貯蔵用の外部貯蔵タンクに対する接続のためにそれぞれ設けられる。最後に、ダブルチェックバルブ98は冷たい供給パイプ64を別のバルブ100に接続して、別のバルブ100は、より多くの水、または水と腐食抑制剤との混合物を用いて加熱回路をチャージするように前述のバルブ52に接続するために、充填ループを用いて使用され得る。
【0127】
図8は様々なパイプの交差を示しているが、今ではもう、図に関する以上の説明から明らかなはずであるように、これらの交差がノード20のようにノードとして示されていない限り、交差しているものとして示された2本のパイプは、互いに連通していないことに留意されたい。
【0128】
図8には示されていないが、熱交換器12は、熱を熱貯蔵媒体に入れるように構成される1つ以上の追加の電気加熱要素を含み得る。これは直感に反するように思われ得るが、ここで説明されるように、熱交換器12は、熱貯蔵媒体を予めチャージするように電気エネルギーを使用することを、そうすることが経済的に意味があるときに可能にする。
【0129】
需要の増加または低減の時間を考慮して、供給能力に対して需要をより十分に均衡させるように顧客挙動の形成を助けるために、時刻に応じて電気の単位コストが変化する料金を有することは、エネルギー供給会社により長い間実施されている。伝統的に、料金計画は、電力生成と消費との両方の技術を反映して、やや粗いものであった。しかしながら、(例えば、光起電性のセルとパネルとファームとからの)ソーラー電力、風力などの電力の再生可能エネルギー源の、国の電力生成構造への導入の増加は、エネルギーのより動的な価格設定の展開を駆り立てている。本手法は、このような気象依存の電力生成に固有の変動性を反映している。初めに、このような動的な価格設定は、主として大規模ユーザに対しては制限されたものであり、より一層動的な価格設定は家庭消費者に提供されている。
【0130】
価格設定の動的性の程度は、国ごとに変化して、所与の国において異なる生産者間でも変化する。ある極端な状態において、「動的な」価格設定は、1日における異なる時間ウィンドウでの異なる料金の提供に過ぎず、このような料金は、週、月、または季節について変化なく適用され得る。しかしながら、いくつかの動的な価格設定制度は、1日の通知、またはそれよりも少ない通知を伴って供給者が価格を変更することを可能にするため、例えば、半時間スロットの今日の価格は明日に顧客に提供され得る。6分程度の短い時間スロットは、いくつかの国において提供されて、おそらく、今後の料金を消費者に通知するための所要時間は、エネルギー消費機器に「知能」を含めることにより、さらに低減され得る。
【0131】
ソーラー設備と風設備とにより生成される可能性があるエネルギーの量と、可能性のある暖房と冷房との電力需要の規模と、の両方を予測するために、短期と中期との気象予測を使用することが可能であるため、極端な需要の期間を予測することが可能となる。著しい再生可能な生成能力を有するいくつかの電力生成会社は、電気の負のチャージを提供している、すなわち、文字どおり、余剰電力を使用するように顧客に支払うことさえ知られている。より多くの場合、電力は、通常の割合のほんのわずかな割合で提供され得る。
【0132】
本開示に係るシステムの熱交換器などのエネルギー貯蔵ユニットに電気ヒータを組み込むことにより、顧客が低コスト供給の期間を利用して、高いエネルギー価格の時間における電力への顧客の依存を低減することが可能になる。これは、個々の消費者の利益となるだけでなく、より一般的に、化石燃料を燃やすことにより過剰な需要を満たす必要があるときに需要を低減し得る場合にも有利である。
【0133】
インターフェースユニットのプロセッサは、プロセッサが動的な価格設定情報をエネルギー供給者から受信することを可能にするために、インターネットなどのデータネットワークに有線もしくは無線(またはその両方)で接続される。プロセッサはまた、好ましくは、命令をヒートポンプに送信して、かつ情報(例えば、状態情報と温度情報)をヒートポンプから受信するために、ヒートポンプにデータリンク(例えば、ModBus)で接続される。プロセッサは世帯の挙動をプロセッサ*が学習することを可能にするロジックを有して、このことと動的な価格設定情報とを用いて、プロセッサは、加熱システムを予めチャージするために、より安い電気を使用するかどうかと、より安い電気をいつ使用するかと、を決定できる。これは、熱交換器の内側の電気要素を使用してエネルギー貯蔵媒体を加熱することによるものであり得るが、代替的に、これは、通常よりも高い温度、例えば、摂氏40度と摂氏48度との間ではなく摂氏60度までヒートポンプを駆動することによるものでもよい。より高い温度でヒートポンプが動作する場合、ヒートポンプの効率は低減されるが、これはより安い電気を使用する時間と方法とを決定する際にプロセッサにより考慮され得る。
【0134】
*システムプロセッサはインターネットおよび/またはプロバイダのイントラネットなどのデータネットワークに接続可能であるため、ローカルシステムプロセッサは外部計算能力の恩恵を受け得る。このため、例えば、インターフェースユニットの製造者はクラウドの存在(またはイントラネット)を有する可能性があり、ここでは、計算能力は、例えば、予測される、占有、活動、料金(短/長)、気象予報(一般的に利用可能な気象予報はローカルプロセッサが容易に使用するために予め処理可能であり、同気象予報はまた、インターフェースユニットが設置された物件の状況、場所、露光に対して非常に具体的に合わせられ得るため、同気象予報が好ましい場合がある)、偽陽性および/または偽陰性の識別を計算するために提供される。
【0135】
温水供給システムからの過熱水によりやけどするリスクからユーザを保護するために、やけど保護機能を提供することが賢明である。これは、温水が熱交換器の出力回路を出ていくときに、冷水供給からの冷水を温水に混合するための電気的に制御可能な(調節可能な)バルブを提供する形態を取り得る(追加のバルブは、前述の既存のバルブ94と96とのノード間に取り付けられ得る)。
【0136】
図8は、インターフェースユニットの「心臓部」とみなされ得るものを概略的に示しているが、これらの「心臓部」に対していかなる容器も示していない。本開示に係るインターフェースユニットの重要な適用は、ガス燃焼のコンビネーションボイラが以前に設けられた(または他の場合には、このようなボイラが設置された場合がある)住宅の空間暖房と温水要求とに対する実用的な寄与としてヒートポンプが使用されるのを可能にするための手段としてのものであり、ちょうど従来のコンビボイラの場合と同様に、多くの場合、美観と安全性との両方のために容器を提供することが好都合であることが理解されるであろう。さらに、好ましくは、任意のこのような容器はコンビボイラとの直接交換を可能にするフォームファクタ内に取り付けられるような寸法であって、コンビボイラは多くの場合、キッチンキャビネットと共存するキッチンにおいて、典型的には壁に取り付けられる。ある高さと幅と深さとを有する(もちろん、美観、人間工学、または安全性のために、湾曲表面は、容器の表面のいずれかまたは全てに使用され得るが)略直方体の形態に基づいて、好適なサイズは、適切な範囲、すなわち、650mmから800mmまでの高さ、350mmから550mmまでの幅、260mmから420mmまでの深さ、例えば、800mmの高さ、500mmまでの幅、400mmの深さにおいて見出され得るが、より大きい、特に、より背の高いユニットは同ユニットが収容され得る設備に提供され得る。
【0137】
本開示に係るインターフェースユニットの、ガスコンビボイラに対する1つの顕著な違いは、ガスコンビボイラの容器は、一般的に、高温燃焼チャンバの存在により鋼などの不燃性材料で作られる必要があるが、インターフェースユニットの内部温度は、一般的に、摂氏100度よりも著しく低く、典型的には摂氏70度よりも低く、多くの場合、摂氏60度よりも低いということ、である。このため、木材、竹、さらには紙などの可燃性材料を使用することは、インターフェースユニットの容器を製造する際に実用的となる。
【0138】
燃焼が無いことはまた、一般的に、決してガスコンビボイラの設備に好適であるとみなされない場所にインターフェースユニットを設置する可能性を開いて、もちろん、ガスコンビボイラとは異なり、本開示に係るインターフェースユニットは、排気ガスの煙道を必要としない。このため、例えば、キッチンカウンタの下で設備のインターフェースユニットを構成することが可能となり、カウンタ下の角が代表的である、よく知られたデッドスポットを活用することさえ可能となる。このような場所での設備に対して、インターフェースユニットは、実際、好ましくは、キッチンキャビネットの製造者と協働して、カウンタ下のカップボードに組み込まれてもよい。しかしながら、展開における最も優れた柔軟性は何らかの形態のキャビネットの背後に効果的に存在するインターフェースユニットを有することにより保持されて、キャビネットはインターフェースユニットへのアクセスを可能にするように構成される。次いで、インターフェースユニットは、好ましくは、循環ポンプ36が入力側回路のフロー経路から分離される前に、熱交換器12から循環ポンプ36が取り出されるのを可能にするように構成される。
【0139】
取り付けられたキッチンで頻繁に無駄となっている他の空間、すなわち、カウンタ下のカップボードの下の空間を利用することも考慮に入れられ得る。多くの場合、150mmよりも大きい高さ、約600mmの深さ、300mm、400mm、500mm、600mm以上の幅(キャビネットを支持する任意の脚について余裕を持つ必要があるが)を有するより多くの空間が存在する。新しい設備について、または特にコンビボイラがキッチン改装と共に交換される場合、少なくともインターフェースユニットの熱交換器を収容するために、または所与のインターフェースユニットについて複数の熱交換器ユニットを使用するために、同空間を使用することは、理にかなっている。
【0140】
特に、壁取付用に設計されたインターフェースユニットについて、インターフェースユニットのどのような適用であっても潜在的に有利であるが、多くの場合、複数のモジュールとしてインターフェースユニットを設計することが望ましい。このような設計において、相変化材料の存在が、単独で25kgを超える重さの熱交換器をもたらし得るため、モジュールのうちの1つとして熱交換器を有することは好都合であり得る。健康と安全性と、1人での設置の容易性と、のために、約25kgを超える重さのモジュールが無いモジュールのセットとしてインターフェースユニットが供給され得るのを保証することが望ましい。
【0141】
このような重さの制約は、モジュールのうちの1つを、インターフェースユニットを構造に取り付けるシャーシにすることによりサポートされ得る。例えば、既存のガスコンビボイラの代わりに、インターフェースユニットが壁に取り付けられるとき、他のモジュールを支持するシャーシが、まず壁に固定され得る場合に好都合であり得る。好ましくは、シャーシは、交換されるコンビボイラを支持するために使用される既存の固定点の位置で機能するように設計される。これは場合により、人気のあるガスコンビボイラの間隔と位置とに従って予め形成された固定孔を有する「ユニバーサル」シャーシを提供することにより行われ得る。代替的に、特定の製造者のボイラのものと一致するように孔の位置/サイズ/間隔を各々有する、ある範囲のシャーシを作ることにより、コスト効果が高くなり得る。その場合、関連の製造者のボイラを交換するために正しいシャーシを指定することだけが必要である。本手法に対する複数の利益が存在する。すなわち、本手法は、固定ボルトを受け入れるプラグ用のより多くの孔を穿孔する必要性を回避して、これは、マークをつけて穿孔してきれいにするのに必要な時間を無くすだけでなく、「スターターホーム」と他の低コスト住居とに頻繁に使用される低コスト建築の技術と材料とにおける重要な考慮であり得る、設置を行っている住宅の構造をさらに弱くする必要性を回避する。
【0142】
好ましくは、熱交換器モジュールとシャーシモジュールとは、一緒に接続されるように構成される。このように、分離可能な留め具の必要性を回避することが可能であって、ここでも設置時間を節約し得る。
【0143】
好ましくは、追加のモジュールは、熱交換器12の出力側回路16を建物内の温水システムに接続するための第1相互接続、例えば、62と74とを含む。好ましくは、追加のモジュールはまた、熱交換器12の入力側回路14をヒートポンプに接続するための第2相互接続、例えば、38と24とを含む。好ましくは、追加のモジュールはまた、インターフェースユニットが使用される建物の熱回路にインターフェースユニットを接続するための第3相互接続、例えば、42と28とを含む。まず接続部をシャーシに取り付けるのではなく、それ自体が壁に直接接続されるシャーシに熱交換器を取り付けることにより、熱交換器の重さは、壁のより近くで維持されて、インターフェースユニットを壁に固定する壁固定具に対するカンチレバー負荷効果を低減することが理解されるであろう。
【0144】
相変化材料
ある好適な種類の相変化材料は、家庭用温水供給と、ヒートポンプとの組合せでの使用と、に対する重要な温度で固体-液体相変化を有するパラフィンワックスである。摂氏40度から摂氏60度までの範囲の温度で溶けるパラフィンワックスは特に重要であり、この範囲内で、ワックスは、特定の用途に適するように様々な温度で溶けることが見出され得る。典型的な潜熱容量は約180kJ/kgと230kJ/kgとの間であり、場合により、比熱容量は、液体相で2.27Jg-1-1であり、固体相で2.1Jg-1-1である。非常に多くの量のエネルギーが融解潜熱の使用を要して蓄えられ得ることがわかる。より多くのエネルギーはまた、相変化液体の融点を上回って相変化液体を加熱することにより蓄えられ得る。例えば、電気コストが比較的低く、間もなく温水の必要性が出てくることが予測され得る場合、(場合により、より多くの電気のコストがかかる可能性があるか、またはより多くの電気のコストがかかる予定であることが知られているときに)熱エネルギーストアを「過熱」するために、通常よりも高い温度でヒートポンプを動作させることに意味があり得る。
【0145】
好適な選択肢のワックスは、n-トリコサンC23またはパラフィンC20-C33などの摂氏約48度の融点を有するものであり得る。(ヒートポンプにより供給される液体と熱交換器内の相変化材料との間で)熱交換器にわたって標準的な3Kの温度差を適用することにより、摂氏約51度のヒートポンプ液体温度が与えられる。出力側でも同様に、3Kの温度低下を可能にして、一般的な家庭温水に十分である、すなわち、キッチン蛇口については十分高温であるが、シャワー/バスルーム蛇口については少し高い可能性がある摂氏45度の水温に達するが、当然、冷水は、常に、水温を低減するためにフローに追加され得る。もちろん、より低い温水温度を受け入れるように教育された世帯の場合、または何らかの他の理由で同温度を受け入れられる場合、場合により、より低い融点を有する相変化材料は考慮され得るが、一般的に、摂氏45度から摂氏50度までの相転移温度は、優れた選択肢である可能性がある。当然、このような温度での水の貯蔵によるレジオネラ菌のリスクを考慮することが望まれるであろう。
【0146】
ヒートポンプ(例えば、地中熱源ヒートポンプまたは空気熱源ヒートポンプ)は(プロパンを冷媒として使用することにより、摂氏72度までの動作温度が可能であるが)摂氏60度までの動作温度を有するが、ヒートポンプの効率は摂氏45度から摂氏50度までの温度で動作する場合にはるかに高い傾向にある。このため、摂氏48度の相転移温度からの摂氏51度が十分である可能性がある。
【0147】
ヒートポンプの温度性能も考慮に入れる必要がある。一般的に、最大値ΔT(ヒートポンプにより加熱される流体の入力温度と出力温度との差)は、好ましくは、摂氏5度から摂氏7度までに維持されるが、最大値ΔTは摂氏10度の高さでもよい。
【0148】
パラフィンワックスは、エネルギー貯蔵媒体として使用するのに好ましい材料であるが、唯一の好適な材料ではない。塩水和物も、本システムなどの潜熱エネルギー貯蔵システムに好適である。本文脈での塩水和物は無機塩と水との混合物であり、相変化は同混合物の水の全てまたは多くを失うことを伴う。相転移において、水和結晶は、無水(または少量の水を含む)塩と、水と、に分けられる。塩水和物の利点は、塩水和物がパラフィンワックスよりもはるかに高い(2倍の高さと5倍の高さとの間の)熱伝導率を有して、相転移を伴う体積変化がはるかに小さいということ、である。現在の用途の好適な塩水和物は、摂氏約48度から摂氏49度までの融点と、200kJ/kgから220kJ/kgまでの潜熱と、を有するNa・5HOである。
【0149】
単にエネルギー貯蔵の観点で、摂氏40度から摂氏50度までの範囲を著しく超えた相転移温度を有するPCMの使用も考慮に入れられ得る。例えば、パラフィンワックスのワックスは幅広い範囲の融点で利用可能であって、n-ヘンイコサンC24は摂氏約40度の融点を有して、n-ドコサンC21は摂氏約44.5度の融点を有して、n-テトラコサンC23は摂氏約52度の融点を有して、n-ペンタコサンC25は摂氏約54度の融点を有して、n-ヘキサコサンC26は摂氏約56.5度の融点を有して、n-ヘプタコサンC27は摂氏約59度の融点を有して、n-オクタコサンC28は摂氏約64.5度の融点を有して、n-ノナコサンC29は摂氏約65度の融点を有して、n-トリアコサン(triacosane)C30は摂氏約66度の融点を有して、n-ヘントリアコサン(hentriacosane)C31は摂氏約67度の融点を有して、n-ドトリアコサン(dotriacosane)C32は摂氏約69度の融点を有して、n-トリアトリアコサン(triatriacosane)C33は摂氏約71度の融点を有して、パラフィンC22-C45は摂氏約58度から摂氏60度までの融点を有して、パラフィンC21-C50は摂氏約66度から摂氏68度までの融点を有して、RT70HCは摂氏約69度から摂氏71度までの融点を有する。
【0150】
代替的に、摂氏約58度の融点と、226kJ/kgから265kJ/kgまでの潜熱と、を有する、CHCOONa・3HOなどの塩水和物が使用されてもよい。
【0151】
これまで、熱エネルギーストアは、主として、入力回路と出力回路とを各々、1つ以上のコイルまたはループの形態で有する熱交換器内で、単一の集まりの相変化材料を有するものとして記載されてきた。しかしながら、例えば、熱伝達の割合の観点で、(好ましくは、(家庭)温水システムに温水を提供するために使用される)出力回路が熱を抽出する熱伝達液体により囲まれた、複数の密封された本体内、例えば、金属(例えば、銅または銅合金)シリンダ(または他の細長い形態)内に相変化材料を封入することも有利であり得る。
【0152】
このような構成により、熱伝達液体は熱交換器内で密封され得るか、またはより好ましくは、熱伝達液体はエネルギーストアを流れてもよく、エネルギーストア内の入力熱伝達コイルを使用することなく、グリーンエネルギー源(例えば、ヒートポンプ)からの熱を伝達する熱伝達液体でもよい。このように、入力回路は、単に、1つの(またはより一般的には複数の)入口と、1つ以上の出口と、により提供されてもよく、その結果、熱伝達液体は、コイルまたは他の通常の導管により閉じ込められることなく、熱交換器を自由に通過して、熱伝達液体は、熱を封入されたPCMに、または封入されたPCMから伝達して、次いで、出力回路(したがって、出力回路内の水)に伝達する。このように、入力回路は、熱伝達液体の1つ以上の入口と1つ以上の出口と、封入されたPCMとエネルギーストアとを通る自由形態の経路と、により定められる。
【0153】
好ましくは、PCMは、(各行が複数の離間したパイプを備える千鳥状の行のパイプなどの)1つ以上の離間した配置で配置された複数の細長い閉端パイプ内に封入されて、熱伝達液体は、好ましくは、パイプにおいて、入口から出口までのルート上で、または入力コイルが使用される場合、熱エネルギーストア内に設けられる1つ以上のインペラにより方向付けされて、横方向に(またはパイプもしくは他の封入筐体の長さに対して横断して)流れるように配置される。
【0154】
任意選択的に、出力回路はエネルギーストアの上部に配置されて封入されたPCMよりも上に位置してもよく、同PCMの容器は、(対流がエネルギーストアを上向きに通ってエネルギー伝達をサポートするように)入力ループもしくはコイルの上に、または入口方向から入って来る熱伝達液体を、封入されたPCMに接して、任意選択的に上の出力回路に向けた状態で、水平方向に配置されてもよい。1つ以上のインペラが使用される場合、好ましくは、各インペラは外部に取り付けられたモータに磁気的に接続されて、その結果、エネルギーストアの筐体の完全性は損なわれない。
【0155】
任意選択的に、PCMは、典型的には円形断面を有して、20mmから67mmまでの、例えば、22mm、28mm、35mm、42mm、54mm、または67mmの公称外径を有する細長いチューブ内に封入されてもよく、典型的に同チューブは配管の使用に好適な銅で形成される。好ましくは、パイプは、22mmと54mmとの間、例えば、28mmと42mmとの間の外径を有する。
【0156】
熱伝達液体は、好ましくは、水または水ベースの液体、例えば、フロー添加剤、腐食抑制剤、不凍剤、殺虫剤のうちの1つ以上が混合された水であって、例えば、好適には水で希釈される、セントラルヒーティングシステム用に設計されたタイプの抑制剤、例えば、Sentinel X100またはFernox F1(共にRTM)を含み得る。
【0157】
したがって、本出願の明細書と特許請求の範囲との全体を通して、入力回路という表現は、文脈が明確に他の場合を必要としていない限り、入力回路の入力から入力回路の出力までの液体フローの経路が通常の導管により定められるのではなく、エネルギーストアの筐体内を実質的に自由に流れる液体を含む、先ほど記載されたような機構を含むように解釈されるべきである。
【0158】
PCMは円形または略円形断面の複数の細長いシリンダ内に封入されてもよく、シリンダは、好ましくは、1つ以上の行において離間して配置される。好ましくは、隣接する行のシリンダは、熱伝達液体からの熱伝達と、熱伝達液体への熱伝達と、を容易にするために互いに対してオフセットされる。任意選択的に入力機構が設けられて、ここで、熱伝達液体は1つ以上の入力ポートにより封入本体の周りの空間に導入されて、同入力ポートは、入力マニホールドにより供給される封入本体に向かう、または封入本体上に、入力熱伝達液体を方向付ける複数の入力ノズルの形態であり得る。ノズルの出力におけるノズルの孔は、一般的に、円形断面でもよく、または封入されたPCMに熱をより効果的に伝達する液体のジェットもしくは流れを生成するように細長くてもよい。マニホールドは、単一の端から供給され得るか、または流量を増加させて圧力損失を低減させるために両端から供給され得る。
【0159】
熱伝達液体はグリーンエネルギー源のポンプ(例えば、ヒートポンプもしくはソーラー温水システム)または別のシステムポンプの動作の結果としてエネルギーストア12にポンプで注入されてもよく、または熱エネルギーストアは熱エネルギーストア自身のポンプを含んでもよい。入力回路の1つ以上の出口でエネルギーストアから出てきた後、熱伝達液体は、エネルギー源(例えば、ヒートポンプ)に直接戻り得るか、またはグリーンエネルギー源に戻る前に、まず暖房設備(例えば、床下暖房、ラジエータ、もしくは何らかの他の形態の空間暖房)を通過するように、1つ以上のバルブの使用により切り換え可能であり得る。
【0160】
封入本体は、出力回路のコイルが封入本体よりも上に位置する状態で水平方向に配置され得る。これは、単に、多くの可能性のある配置と向きとのうちの1つであることが理解されるであろう。同じ配置は、封入本体が垂直方向に配置された状態で同様に十分に位置し得る。
【0161】
代替的に、PCM封入を使用したエネルギーストアは、ここでも、前述のものなどの円筒形の細長い封入本体を使用し得るが、この場合、入力回路は、導管の形態、例えば、コイルの形態である。封入本体は封入本体の長軸が垂直方向に配置された状態で配置されてもよく、入力14と出力18とのコイルはエネルギーストア12のいずれかの側に配置される。しかしながら、本配置は、ここでもまた、代替的な向きで、例えば、下の入力回路と、上の出力回路と、封入本体の長軸が水平方向に配置された封入本体と、を有して使用され得る。好ましくは、1つ以上のインペラは、エネルギー伝達液体を入力コイル14の周りから封入本体に向けて推し進めるようにエネルギーストア12内に配置される。各インペラは、好ましくは、外部に取り付けられた駆動ユニット(例えば、電気モータ)に磁気駆動システムを介して接続されて、その結果、エネルギーストア12の筐体は、駆動シャフトを受け入れるように穿孔される必要はなく、それにより、同シャフトが筐体に入る場所での漏れのリスクを低減する。
【0162】
PCMが封入されていることにより、エネルギーストアを容易に構成することが可能となり、同エネルギーストアは、エネルギー貯蔵用の複数の相変化材料を使用して、特に、異なる遷移(例えば、融解)温度を有するPCMが組み合わされて、それによりエネルギーストアの動作温度を広げるエネルギー貯蔵ユニットの作成を可能にする。
【0163】
先ほど記載されたタイプの実施形態において、エネルギーストア12は、(水または水/抑制剤の溶液などの)熱伝達液体と組み合わされて、潜熱としてエネルギーを蓄えるための1つ以上の相変化材料を含むことが理解されるであろう。
【0164】
封入本体内の相変化材料は、好ましくは、複数の弾力性のある本体に提供されて、同弾力性のある本体は、相変化材料の相変化によりもたらされる圧力の増加に応じて、体積を低減して、相変化材料の逆の相変化によりもたらされる圧力の低減に応じて、再び広がるように構成される(封入本体はまた、本明細書の他の場所に記載されるような「バルク」PCMを使用したエネルギーバンクにおいて使用され得る)。
【0165】
図2を参照して前述されたように、相変化材料の状態は、その内部圧力に基づいて、決定され得る。圧力トランスデューサは、インターフェースユニットのプロセッサに接続され得る。したがって、インターフェースユニットのプロセッサは、相変化材料のエネルギー貯蔵量に関する情報を提供する、相変化材料の凝固/液化の程度に関する信号を受信する。インターフェースユニットのプロセッサは、プロトタイプの経験的分析に基づいて、製造中またはその後にプログラムされてもよく、その結果、相変化材料の凝固の程度(より一般的には状態)は圧力トランスデューサからの圧力信号にマッピングされ得る。例えば、相変化材料の状態が検査/分析により決定され得るように、生産前のプロトタイプにはガラスサイドパネルが取り付けられてもよく、圧力トランスデューサからの圧力信号に対してマッピングされる状態、使用される相変化材料の融解潜熱の知見は、熱交換器に蓄えられた潜熱の量を、測定される圧力ごとに計算するのを可能にする。次いで、このように取得されたデータは、生産インターフェースユニットのプロセッサをプログラムする際に使用されてもよく、システム内のこのプロセッサと可能性のある他のプロセッサとにおいて機械学習アルゴリズムを知らせる際に使用されてもよい。
【0166】
前述もされたように、前述の方法に対する代替として、または同方法のうちの1つ以上に加えて、提供され得る相変化材料の状態を監視する別の方法は、適切に配置された1つ以上の光センサ(光検知機構)による検出のために相変化材料の本体に光放射を発するための1つ以上の光源を提供することである。1つ以上の光源は、単一の波長もしくはある範囲の波長(すなわち、実質的に単一の色)で動作し得るか、または2つ以上の離間した波長(すなわち、異なる色)で動作し得る。放射は、スペクトルの可視領域もしくは赤外領域内であり得るか、または複数の色の光が使用される場合、両方の領域内であり得る。光源は、LEDなどのインコヒーレント光源であり得るか、またはレーザ、例えば、LEDレーザであり得る。光源は、単一の赤色-緑色-青色発光ダイオードであり得る。光検知機構は、光検知機構から受信された情報に基づいて、相変化材料内に蓄えられたエネルギーの量を推定するように構成されるプロセッサ(例えば、インターフェースユニットのプロセッサ)に接続され得る。
【0167】
前述もされたように、前述の方法に対する代替として、または同方法のうちの1つ以上に加えて、提供され得る相変化材料の状態を監視する別の方法は、音声を熱交換器内の相変化材料内に放つように構成される音源と、音声が相変化材料を通過した後に、音源から放たれた音声を検出するための音検知機構と、を提供することである。好ましくは、音源は、超音波を生成するように構成される。
【0168】
本出願は、多くの態様がより広範な適用可能性を有する場合でさえ、一般的に、共通のセットの問題に基づいた多数の自明である相間の態様と実施形態とを含む。特に、ロジックと制御方法とは、全て、開示されたハードウェアによる動作に必ずしも限定されず、より広範に適用され得るが、様々なハードウェア態様のハードウェアと同ハードウェア態様の好ましい変形体とによる動作に特に適合する。特定の態様は他の特徴の具体例に関するものであり、特定の態様で記載または請求される好ましい特徴は他のものに適用され得ることが当業者により理解されるであろう。相互運用性の全ての点において明示的な言及を行った場合、本開示は収拾不可能に長くなるが、当業者は、任意の態様の好ましい特徴が、違うように明示的に特に述べられていない限り、または文脈から不適切であることが明白でない限り、任意の他のものに適用され得ることを理解すると予想されて、理解するように明示的に本明細書で教示される。ここでも繰り返しを回避するために、多くの態様と概念とは方法の形態またはハードウェアの形態でのみ記載され得るが、対応する装置またはコンピュータプログラムもしくはロジックはまた、方法の場合における開示とみなされるか、または装置の説明の場合におけるハードウェアを動作させる方法とみなされる。上記が意味することの例として、流体ベースの(典型的には空気熱源)ヒートポンプと、相変化材料と、電気補助加熱要素と、(ユニット内もしくはリモートまたはその両方の)プロセッサによる制御と、の組合せに関して、ハードウェアとソフトウェアとの両方の多数の特徴が存在する。これは好ましい適用であるが、ほとんどの方法とハードウェアとは、より一般的に、他のヒートポンプ(熱電気と地中熱源)と、他の再生可能エネルギー源(例えば、ソーラーアレイのポンプ)と、代替的な補助加熱(ガスボイラなどの燃焼ヒータのあまり好ましくない機構、さらにはあまり効率的でない、より高い温度のより低いCOPのヒートポンプを含む)と、多重温度の熱貯蔵アレイを含む代替的な熱貯蔵と、に適用可能である。さらに、構成要素のうちのいずれかについて特定の機構を与える態様、または構成要素の相互作用は、システムの代替的な要素に焦点を当てた態様で自由に使用され得る。
図1
図2
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図8