(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】台所用液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 17/08 20060101AFI20240722BHJP
C11D 1/52 20060101ALI20240722BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20240722BHJP
C11D 1/88 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D1/52
C11D1/72
C11D1/88
(21)【出願番号】P 2024018969
(22)【出願日】2024-02-09
【審査請求日】2024-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591225132
【氏名又は名称】株式会社アルボース
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】三輪 真之
(72)【発明者】
【氏名】尾山 昌弘
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-294300(JP,A)
【文献】国際公開第2012/147915(WO,A1)
【文献】特開2015-000951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)両性界面活性剤、(B)脂肪酸N-メチルアルカノールアミド、および(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有し、
陰イオン界面活性剤を含有せず、
(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、炭素数1~10の直鎖または分岐のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルであ
り、
pHが、6.0~8.0の範囲である、
台所用液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが、炭素数8または10の直鎖または分岐のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルである、請求項1に記載の台所用液体洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
台所用品である食器や調理器具を手洗いで洗浄する食器洗いの方法としては、台所用液体洗浄剤を付着させたスポンジ等の洗浄具で食器等を擦り洗いした後に水ですすぐ洗浄方法や、台所用液体洗浄剤を水に分散させて浸漬液とし、この浸漬液に食器等を漬け置き、一定時間放置した後に水ですすぐ洗浄方法がある。このように食器等を手洗いするために用いられる液体洗浄剤には、洗浄成分として界面活性剤(典型的には両性界面活性剤)が配合されており、この界面活性剤の機能により、食器等に付着した油汚れが洗浄される。このような両性界面活性剤を主成分とする台所用液体洗浄剤として、例えば、特許文献1には、両性界面活性剤およびジオール合成酵素を含む洗剤組成物が開示されている。
【0003】
近年、SDGsへの関心の高まりから、台所用液体洗浄剤についても、より少ない量でより大量の食器等を洗浄可能な、環境に配慮した製品が望まれるようになっている。すなわち、台所用液体洗浄剤の開発において、以前よりも増して、泡立ちや洗浄性能の持続性の改善が求められている。また、台所用液体洗浄剤は、取り扱いを容易にするために、あらかじめ数倍希釈した希釈液(例えば、実際の洗浄時の濃度により近い)を準備しておく場合があり、従来、希釈時の保存安定性も台所用液体洗浄剤の重要な性能として要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、両性界面活性剤を含有する台所用液体洗浄剤組成物であって、泡立ち持続性および洗浄力持続性に優れ、かつ希釈時の保存安定性にも優れる台所用液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、両性界面活性剤とともに、脂肪酸N-メチルアルカノールアミドおよび特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを組み合わせて配合することで、意外にも、泡立ち持続性および洗浄力持続性を向上させることができ、しかも希釈保存時に白濁、分離等を生じず希釈時の保存安定性にも優れることを見出して、本発明を完成させた。すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
【0007】
[1](A)両性界面活性剤、(B)脂肪酸N-メチルアルカノールアミド、および(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有し、(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、炭素数1~10の直鎖または分岐のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルである、台所用液体洗浄剤組成物。
[2]陰イオン界面活性剤を含有しない、[1]に記載の台所用液体洗浄剤組成物。
[3](C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが、炭素数8または10の直鎖または分岐のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルである、[1]または[2]に記載の台所用液体洗浄剤組成物。
[4]pHが、6.0~8.0の範囲である、[1]~[3]のいずれかに記載の台所用液体洗浄剤組成物。
[5][1]に記載の台所用液体洗浄剤組成物を用いて被洗浄物を洗浄する、台所用品の洗浄方法。
【0008】
なお、前記[1]から[5]の各構成は、任意に2つ以上を選択して組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、泡立ち持続性および洗浄力持続性に優れ、かつ希釈時の保存安定性にも優れる台所用液体洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書中で使用される用語は、特に言及しない限り、当該技術分野で通常用いられる意味で解釈される。
【0011】
<台所用液体洗浄剤組成物>
本発明の台所用液体洗浄剤組成物(以下、単に洗浄剤組成物ということがある)は、(A)両性界面活性剤、(B)脂肪酸N-メチルアルカノールアミド、および(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有し、(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが、炭素数1~10の直鎖または分岐のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルであることを特徴とする。本発明の台所用液体洗浄剤組成物は、主たる界面活性剤として両性界面活性剤を含有するが、さらに脂肪酸N-メチルアルカノールアミド、および特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを組み合わせて含有することで、高い洗浄剤の泡立ち持続性および洗浄力持続性を実現するとともに、高い希釈時の保存安定性も実現している。
【0012】
[(A)両性界面活性剤]
本発明において、(A)両性界面活性剤は、当該技術分野において公知のものを、特に制限なく、広く使用することができる。両性界面活性剤として、具体的には、ベタイン型、アミンオキシド型、アミノ酸型等の両性界面活性剤を挙げることができる。中でも、ベタイン型およびアミンオキシド型の両性界面活性剤を好ましく使用できる。
【0013】
ベタイン型両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、2-アルキル-N-カルボキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のカルボン酸塩型;ラウリルジメチルスルホベタイン(ラウリルスルタイン)、ラウリルヒドロキシスルホベタイン(ラウリルヒドロキシスルタイン)等のスルホン酸塩型;などの界面活性剤が挙げられる。
【0014】
アミンオキシド型両性界面活性剤としては、例えば、オクチルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド(n-ドデシルジメチルアミンオキシド)、ミリスチルジメチルアミンオキシド、パルミチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ヤシアルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド、ラウリルジヒドロキシエチルアミンオキシド等のアルキルアミンオキシド型;ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド等のアミドアミンオキシド型;ラウリルオキシプロピルアミンオキシド等のアルキルオキシプロピルアミンオキシド型;などの界面活性剤が挙げられる。
【0015】
アミノ酸型両性界面活性剤としては、例えば、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン、アルキルアミノエチルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、グリシンn-(3-アミノプロピル)C10~16誘導体、アルキルポリアミノエチルグリシン、アルキルβアラニン等が挙げられる。
【0016】
また、本発明における両性界面活性剤として、例えば、以下の市販品を使用することができる:グローバル・アミンズ社のGENAMINOX KC(ヤシアルキルジメチルアミンオキシド)、GENAMINOX OC(オクチルジメチルアミンオキシド)、GENAMINOX K-10(デシルジメチルアミンオキシド)、GENAMINOX K-12(ラウリルジメチルアミンオキシド)、GENAMINOX MY(ミリスチルジメチルアミンオキシド)など;日油社のユニセーフ A-LE(ラウリルジヒドロキシエチルアミンオキシド)など;ミヨシ油脂社のアンホレックス LSB(ラウリルヒドロキシスルタイン)など;新日本理化社のリカビオンA-100(ラウリルベタイン)、リカビオンA-200(ミリスチルベタイン)など;川研ファインケミカル社のソフタゾリンLAO-C(ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド)など;EVONIK社のTomamine AO 728(直鎖アルキルオキシプロピルアミンオキシド)など;三洋化成工業社のレボンT-2(塩酸アルキルジアミノエチルグリシン)など。
【0017】
なお、本発明の台所用液体洗浄剤組成物において、両性界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
本発明の台所用液体洗浄剤組成物における(A)両性界面活性剤の含有量は、本発明の効果が奏される範囲であれば特に制限なく、適量配合できる。(A)両性界面活性剤の含有量の下限としては、洗浄力の観点から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。また、(A)両性界面活性剤の含有量の上限としては、保存安定性の観点から、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。(A)両性界面活性剤の含有量の数値範囲としては、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
【0019】
[(B)脂肪酸N-メチルアルカノールアミド]
本発明において、(B)脂肪酸N-メチルアルカノールアミドは、当該技術分野において公知のものを、特に制限なく、広く使用することができる。このような脂肪酸N-メチルアルカノールアミドは、例えば、下記の一般式により示すことができ、当該技術分野において一般的に使用されるものを適宜選択して使用できる。
【化1】
[式中、R
1-CO-は、水酸基を有していてもよい飽和または不飽和のアシル基であり、R
2は、直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、または、直鎖若しくは分岐鎖のアルケニレン基である。]
【0020】
ここで、上記一般式中、R1-CO-は、水酸基を有していてもよい飽和または不飽和のアシル基を表すが、特に、炭素数6~24の水酸基を有していてもよい飽和または不飽和アシル基であることが好ましく、炭素数8~18の飽和または不飽和アシル基であることがより好ましい。
【0021】
R1-CO-として、具体的には、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、リノール酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、またはパーム核油脂肪酸等から誘導されるアシル基が挙げられる。好ましくは、ヤシ油脂肪酸、ラウリン酸等から誘導されるアシル基である。
【0022】
上記一般式中、R2は、直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、または、直鎖若しくは分岐鎖のアルケニレン基を表すが、特に、炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、または、炭素数2~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。
【0023】
具体的に、本発明における脂肪酸N-メチルアルカノールアミドとしては、例えば、ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド等を挙げることができる。
【0024】
また、本発明における脂肪酸N-メチルアルカノールアミドとして、例えば、以下の市販品を使用することができる:花王社のアミノーンC11-S(ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド)、KLK OLEO社のPALMOCOL PMMA1300(ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド)など。
【0025】
なお、本発明の台所用液体洗浄剤組成物において、脂肪酸N-メチルアルカノールアミドは、1種単独で使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
本発明の台所用液体洗浄剤組成物における(B)脂肪酸N-メチルアルカノールアミドの含有量は、本発明の効果が奏される範囲であれば特に制限なく、適量配合できる。(B)脂肪酸N-メチルアルカノールアミドの含有量の下限としては、泡立ち持続性の観点から、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましい。また、(B)脂肪酸N-メチルアルカノールアミドの含有量の上限としては、希釈時保存安定性の観点から、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。(B)脂肪酸N-メチルアルカノールアミドの含有量の数値範囲としては、1質量%以上25質量%以下であることが好ましく、3質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上15質量%以下であることが更に好ましい。
【0027】
[(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル]
本発明において、(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、炭素数1~10の直鎖または分岐のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルであればよく、当該技術分野において公知のものを、特に制限なく、広く使用することができる。このようなポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、例えば、下記の一般式により示すことができ、当該技術分野において一般的に使用されるものを適宜選択して使用できる。
【化2】
[式中、R
1は炭素数1~10の直鎖または分岐のアルキル基であり、A
1Oは炭素数2~4のオキシアルキレン基を示し、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示し、1以上である。好ましくは、nは、1000以下である。なお、nが2以上のとき、[A
1O]
nにおいて、それぞれのA
1Oは同一のオキシアルキレン基であってもよく、異なるオキシアルキレン基であってもよい。]
【0028】
ここで、[A1O]nにおいて、異なるオキシアルキレン基が混在する場合、その2種類以上のオキシアルキレン基の付加は、ブロック状の付加であってもよく、ランダム状の付加であってもよい。
【0029】
本発明におけるポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、上記のとおり、炭素数1~10の直鎖または分岐のアルキル基を有するが(すなわち、R1が、炭素数1~10の直鎖または分岐のアルキル基である)、例えば、炭素数8~10の直鎖または分岐のアルキル基が好ましく、炭素数8または10の直鎖または分岐のアルキル基をより好ましく使用できる。また、直鎖のアルキル基であっても、分岐のアルキル基であっても使用できるが、直鎖のアルキル基を好ましく使用できる。
【0030】
具体的に、本発明におけるポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンエチルヘキシルエーテル等を挙げることができる。
【0031】
また、本発明におけるポリオキシアルキレンアルキルエーテルとして、例えば、以下の市販品を使用することができる:青木油脂工業社のファインサーフD-1307(ポリオキシエチレンデシルエーテル)、ワンダサーフNDR-1400(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル)など;第一工業製薬社のノイゲンXL-400D(ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル)、ノイゲンSD-80(ポリオキシエチレンイソデシルエーテル)など;竹本油脂社のタケサーフD-1006EH(ポリオキシエチレンエチルヘキシルエーテル)、タケサーフD-1007(ポリオキシエチレンオクチルエーテル)など。
【0032】
なお、本発明の台所用液体洗浄剤組成物において、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、1種単独で使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
本発明の台所用液体洗浄剤組成物における(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量は、本発明の効果が奏される範囲であれば特に制限なく、適量配合できる。(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量の下限としては、希釈時保存安定性の観点から、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましい。また、(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量の上限としては、配合安定性の観点から、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量の数値範囲としては、1質量%以上25質量%以下であることが好ましく、2質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上15質量%以下であることが更に好ましい。
【0034】
本発明の台所用液体洗浄剤組成物中の(B)脂肪酸N-メチルアルカノールアミドと(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとの質量比[(B)/(C)]は、特に制限されず、配合される脂肪酸N-メチルアルカノールアミドおよびポリオキシアルキレンアルキルエーテルの種類によって適宜調整することができるが、希釈時保存安定性の観点から、例えば、0.1~10であることが好ましく、0.5~8であることがより好ましく、1~6であることが更に好ましく、1~4であることが特に好ましい。
【0035】
本発明の台所用液体洗浄剤組成物中の(A)両性界面活性剤と(B)脂肪酸N-メチルアルカノールアミドと(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとの質量比[(A):(B):(C)]は、特に制限されず、配合される両性界面活性剤、脂肪酸N-メチルアルカノールアミド、およびポリオキシアルキレンアルキルエーテルの種類によって適宜調整することができるが、希釈時保存安定性の観点から、例えば、1:0.01~100:0.01~100であることが好ましく、1:0.1~10:0.1~10であることがより好ましく、1:0.2~2:0.2~2であることが更に好ましい。
【0036】
本発明の台所用液体洗浄剤組成物には、上記成分の他、本発明の効果が奏される範囲であれば、必要に応じて、高分子分散剤、キレート剤、酵素、色素、殺菌剤、水溶性溶剤、消泡剤、漂白剤、漂白活性化剤、酸化防止剤、除菌剤、香料、金属腐食防止剤、防腐剤、pH調整剤等を含有させることができる。また、本発明の洗浄剤組成物は、両性界面活性剤以外の任意の界面活性剤(例えば、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤)を含有してもよい。
【0037】
ここで、本発明の台所用液体洗浄剤組成物において、陰イオン界面活性剤は配合安定性を低下させる可能性があることから、本発明の台所用液体洗浄剤組成物は、陰イオン界面活性剤を含まないことが好ましい。
【0038】
本発明の台所用液体洗浄剤組成物において、溶剤は水である。本発明の液体洗浄剤組成物が含有する水としては、特に限定されず、例えば水道水、イオン交換水、精製水、蒸留水、純水、軟水、硬水等が挙げられる。
【0039】
本発明の台所用液体洗浄剤組成物は、上述の各成分を常法により混合することで製造することができる。
【0040】
[pH]
本発明の台所用液体洗浄剤組成物のpHは、特に制限されるものではないが、例えば、25℃でのpHが6.0~8.0であり、好ましくは6.0~7.5であり、より好ましくは6.0~7.0である。このような範囲のpHが、保存安定性の観点から好ましい。
【0041】
<台所用品の洗浄方法>
本発明の台所用液体洗浄剤組成物を用いた台所用品の洗浄方法(以下、単に洗浄方法ということがある)は、本発明の台所用液体洗浄剤組成物を用いて被洗浄物を洗浄することを特徴とし、その他の工程、条件等は制限されない。なお、この洗浄方法の説明には、前述の本発明の台所用液体洗浄剤組成物の記載が援用できる。
【0042】
本発明の洗浄方法は、例えば、本発明の台所用液体洗浄剤組成物を水で所定の倍率に希釈することで希釈洗浄剤とし、該希釈液体洗浄剤を用いて被洗浄物を洗浄することを含む。
【0043】
本発明の洗浄方法において、具体的な洗浄方法は特に限定されないが、例えば手洗いを行うことができる。より具体的に、被洗浄物に応じて、擦り洗い、漬け置き洗い等を行うことができる。
【0044】
本発明の洗浄方法において、本発明の台所用液体洗浄剤組成物は、水で希釈しても、希釈せずに原液のままで使用してもよい。本発明の台所用液体洗浄剤組成物を水で希釈するときの希釈倍率は、特に制限はされないが、例えば、2~10000倍である。また、希釈洗浄剤中の本発明の台所用液体洗浄剤組成物の濃度は、例えば、0.01質量%以上50質量%以下である。
【0045】
なお、本発明の台所用液体洗浄剤組成物の洗浄対象(被洗浄物)は、皿、箸、スプーン等の食器;鍋、包丁、まな板等の調理器具;レンジ、コンロ等の厨房器具;などの台所用品が挙げられる。中でも、食器または調理器具を洗浄するのに好ましく用いられ、食器を洗浄するのに好ましく用いられる。そこで、本発明の台所用洗浄剤組成物は、例えば、食器用液体洗浄剤組成物や調理器具用液体洗浄剤組成物ということもできる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0047】
下記表1および2に示す組成の台所用液体洗浄剤組成物を調製し、以下の試験を行った。配合に用いた各成分を以下に示す。ここで洗浄剤組成物のpHは、pH調整剤としてのクエン酸を適量配合することで、いずれもpH6.0~7.0(25℃)の範囲に調整した。なお、以下において「%」は特に記載がない限り質量%を表す。また、表1および2における括弧内の数値は純分換算値である。
【0048】
[配合成分]
<脂肪酸N-メチルアルカノールアミド>
・100%ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド:商品名「アミノーンC11-S」、花王社製
<両性界面活性剤>
・30%ヤシアルキルジメチルアミンオキシド:商品名「GENAMINOX KC」、グローバル・アミンズ社製
・30%ラウリルジメチルアミンオキシド:商品名「GENAMINOX K-12」、グローバル・アミンズ社製
・30%ラウリルヒドロキシスルタイン:商品名「アンホレックス LSB」、ミヨシ油脂社製
・30%ラウリルベタイン:商品名「リカビオンA-100」、新日本理化社製
<ポリオキシアルキレンアルキルエーテル>
・ポリオキシエチレンデシルエーテル:商品名「ファインサーフD-1307」、青木油脂工業社製
・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル:商品名「ワンダサーフNDR-1400」、青木油脂工業社製
・ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル:商品名「ノイゲンXL-400D」、第一工業製薬社製
・ポリオキシエチレンイソデシルエーテル:商品名「ノイゲンSD-80」、第一工業製薬社製
・ポリオキシエチレンエチルヘキシルエーテル:商品名「タケサーフD-1006EH」、竹本油脂社製
・ポリオキシエチレンオクチルエーテル:商品名「タケサーフD-1007」、竹本油脂社製
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル:商品名「エマルミンNL-80」、三洋化成工業社製
・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル:商品名「ノイゲンLP-180」、第一工業製薬社製
<陰イオン界面活性剤>
・30%ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム:商品名「シノリンSPE-1300」、新日本理化社製
・33%ラウリル硫酸ナトリウム:商品名「テイカライトN4133」、テイカ社製
・40%αオレフィンスルホン酸ナトリウム:商品名「リポランLJ-441」、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製
・93%アルカンスルホン酸ナトリウム:商品名「WeylClean SAS93」、アゼリスジャパン社製
・75%ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム:商品名「マーポマーセPT」、松本油脂製薬社製
【0049】
[配合安定性試験]
各洗浄剤組成物を、前述のとおり調製した後、液温を25℃にした。外観を目視で観察し、配合安定性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:透明である。
△:ゲル化している。
×:白濁、分離等が生じている。
【0050】
[希釈時保存安定性試験]
各洗浄剤組成物を、水で5倍希釈したのち、40℃で1日間保存した。保存後、外観を目視で観察し、保存安定性を評価した。評価基準は以下のとおりである。なお、「-」は、試験を実施しなかったことを示す。
○:透明である。
△:ゲル化している。
×:白濁、分離等が生じている。
【0051】
[泡立ち持続性試験]
<汚れ付着食器>
モデル汚れは、牛脂と大豆油とを1:1で混合した油を使用した。この油を0.5gずつ、直径23cmのPEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂製丸皿に均一に塗布し、汚れ付着食器を準備した。
【0052】
<洗浄方法>
各洗浄剤組成物を用いて、上記汚れ付着食器を洗浄した。具体的には、洗浄剤組成物を20倍希釈した希釈液20gをスポンジに含ませ、そのスポンジを5回揉んで泡立て、上記汚れ付着食器をぬるつきがなくなるまで擦り洗いした。ぬるつきがなくなれば、その食器については擦り洗いをやめ、同じスポンジを用いて新たな汚れ付着食器を擦り洗いすることを繰り返し、約十数枚の食器を擦り洗いした。その後、食器を水ですすぎ、自然乾燥させた。
【0053】
<評価方法>
泡立ちが維持されていた食器枚数により洗浄時の泡立ち持続性を評価した。具体的には、上記洗浄方法にて、汚れ付着食器を一枚ずつ、順次擦り洗い洗浄した。擦り洗い時少しでも泡が生じた場合には泡立ちが維持されていたと判断し、洗浄時に泡立ちが維持されていた食器の枚数を数えた。評価基準は以下のとおりである。なお、「-」は、試験を実施しなかったことを示す。
◎:9枚以上
○:7~8枚
×:6枚以下
【0054】
[洗浄力試験]
<洗浄方法>
上記の洗浄時の泡立ち持続性試験と同様の方法にて、各洗浄剤組成物を用いて上記汚れ付着食器を洗浄した。
<評価方法>
上記洗浄方法により洗浄できた食器の枚数により洗浄力(洗浄力持続性)を評価した。ここで、洗浄できたことの確認は、オイルレッドを用いて油汚れを検出し、目視により油汚れが残っていないことを確認することで行った。評価基準は以下のとおりである。なお、「-」は、試験を実施しなかったことを示す。
◎:10枚以上
○:8~9枚
×:7枚以下
【0055】
【0056】
【0057】
各試験の結果を表1および2に示す。表1および2に示されるとおり、両性界面活性剤に加えて脂肪酸N-メチルアルカノールアミドを含有するがポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有しない場合(比較例3)、両性界面活性剤に加えてポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有するが脂肪酸N-メチルアルカノールアミドを含有しない場合(比較例4および5)には、それらの洗浄剤の配合安定性は優れるものの泡立ち持続性および洗浄力持続性に劣っていた(比較例3は希釈時保存安定性も劣っていた)。これに対し、両性界面活性剤に加えて、脂肪酸N-メチルアルカノールアミドおよび炭素数10以下のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有する場合(実施例1~10)、それらの洗浄剤は、希釈時保存安定性に優れ、かつ泡立ち持続性および洗浄力持続性にも優れていた。また、ここで、洗浄剤組成物が、両性界面活性剤および脂肪酸N-メチルアルカノールアミドに加え、炭素数10以下のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルに代えて炭素数11以上のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有する場合(比較例1および2)、意外にも泡立ち持続性および洗浄力持続性に劣っていた。したがって、台所用液体洗浄剤組成物において、両性界面活性剤とともに、脂肪酸N-メチルアルカノールアミドおよび炭素数10以下のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルを組み合わせて配合することで、希釈時の保存安定性に優れたものとなるだけでなく、泡立ち持続性および洗浄力持続性を向上させることができることがわかった。
【0058】
また、比較例6~10の洗浄剤組成物は、両性界面活性剤および脂肪酸N-メチルアルカノールアミドに加え、種々の陰イオン界面活性剤を含有した組成物であるが、いずれの陰イオン界面活性剤を含有した場合であっても、配合安定性に劣っていた。したがって、陰イオン界面活性剤を含有すると配合安定性を低下させる可能性があることがわかった。
【0059】
以上より、本発明によれば、泡立ち持続性および洗浄力持続性に優れ、かつ希釈時の保存安定性にも優れる台所用液体洗浄剤組成物を提供することができることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、泡立ち持続性および洗浄力持続性に優れ、かつ希釈時の保存安定性にも優れる台所用液体洗浄剤組成物を提供することができる。
【要約】
【課題】本発明は、両性界面活性剤を含有する台所用液体洗浄剤組成物であって、泡立ち持続性および洗浄力持続性に優れ、かつ希釈時の保存安定性にも優れる台所用液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、(A)両性界面活性剤、(B)脂肪酸N-メチルアルカノールアミド、および(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有し、
(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、炭素数1~10の直鎖または分岐のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルである、
台所用液体洗浄剤組成物である。
【選択図】なし