(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/26 20090101AFI20240722BHJP
H04B 7/15 20060101ALI20240722BHJP
H04W 52/16 20090101ALI20240722BHJP
H04W 72/0453 20230101ALI20240722BHJP
H04W 84/06 20090101ALI20240722BHJP
【FI】
H04W16/26
H04B7/15
H04W52/16
H04W72/0453
H04W84/06
(21)【出願番号】P 2024034835
(22)【出願日】2024-03-07
【審査請求日】2024-03-11
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和5年度 国立研究開発法人情報通信研究機構 「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5Gにおける超広域・大容量モバイルネットワークを実現するHAPS通信技術の研究開発 HAPS移動通信の高速大容量化技術の研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】小西 光邦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 拓哉
【審査官】鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-150038(JP,A)
【文献】特開2011-124650(JP,A)
【文献】特開2010-187188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
H04B 7/14- 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と、前記基地局と端末装置との間の無線信号を中継する非再生型の無線中継装置と、を備える通信システムであって、
前記基地局は、
システム帯域の任意の周波数領域に、前記無線中継装置の
電力増幅器の利得制御に利用可能な既知信号を割り当てるための制御用周波数領域を設定し、
前記制御用周波数領域に割り当てた前記既知信号と、前記制御用周波数領域とは異なる通信用周波数領域に割り当てた前記端末装置向けの信号とを多重し、前記無線中継装置に対するフィーダリンクの送信を行い、
前記無線中継装置は、前記制御用周波数領域の前記既知信号を前記無線中継装置内でキャンセル又は抑圧して前記端末装置に対するサービスリンクの送信を行う、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1の通信システムにおいて、
前記基地局は、基地局装置と、前記基地局装置に接続されたゲートウェイ装置とを有し、
前記無線中継装置は、前記ゲートウェイ装置を介して前記基地局装置と前記端末装置との間の無線信号を中継し、
前記基地局装置は、
システム帯域の任意の周波数領域に、前記無線中継装置の
電力増幅器の利得制御に利用可能な既知信号を割り当てるための制御用周波数領域を設定し、
前記システム帯域における前記制御用周波数領域に前記端末装置向けの信号を割り当てないで、前記制御用周波数領域とは異なる通信用周波数領域に前記端末装置向けの信号を割り当てて送信し、
前記ゲートウェイ装置は、前記制御用周波数領域に割り当てる前記既知信号を生成し、前記制御用周波数領域に割り当てた前記既知信号と、前記制御用周波数領域とは異なる通信用周波数領域に割り当てた前記端末装置向けの信号とを多重し、前記無線中継装置に対するフィーダリンクの送信を行い、
前記無線中継装置は、前記ゲートウェイ装置から送信された前記制御用周波数領域の既知信号をキャンセル又は抑圧して前記端末装置に対するサービスリンクの送信を行う、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項1の通信システムにおいて、
前記基地局は、基地局装置と、前記基地局装置に接続されたゲートウェイ装置と、を有し、
前記無線中継装置は、前記ゲートウェイ装置を介して前記基地局装置と前記端末装置との間の無線信号を中継し、
前記基地局装置は、
前記システム帯域の任意の周波数領域に、前記無線中継装置の
電力増幅器の利得制御に利用可能な既知信号を割り当てるための制御用周波数領域を設定し、
前記制御用周波数領域に割り当てる前記既知信号を生成し、前記制御用周波数領域に割り当てた前記既知信号と、前記制御用周波数領域とは異なる通信用周波数領域に割り当てた前記端末装置向けの信号とを多重して前記ゲートウェイ装置に送信し、
前記ゲートウェイ装置は、前記基地局装置で多重した前記既知信号と前記端末装置向けの信号とを受信し、前記無線中継装置に対するフィーダリンクの送信を行い、
前記無線中継装置は、
前記ゲートウェイ装置を介して前記基地局装置から送信された前記制御用周波数領域の前記既知信号を受信し、
前記既知信号をキャンセル又は抑圧して前記端末装置に対するサービスリンクの送信を行う、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項1、2又は3の通信システムにおいて、
前記無線中継装置の制御は、前記基地局から受信して前記端末装置に送信するサービスリンクの信号を増幅する電力増幅器の利得を制御する利得制御であり、
前記無線中継装置は、前記既知信号の受信結果に基づいて前記電力増幅器の利得を制御する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項4の通信システムにおいて、
前記無線中継装置は、
前記システム帯域における時間軸上の観測電力に基づいて前記電力増幅器の利得を制御する第1の利得制御を実行し、
前記第1の利得制御の後、前記既知信号の受信結果に基づいて前記電力増幅器の利得を制御する第2の利得制御を実行する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項1、2又は3の通信システムにおいて、
前記制御用周波数領域は、前記システム帯域の高周波数側の端部の周波数領域、前記システム帯域の
低周波数側の端部の周波数領域、又は、前記システム帯域の高周波数側及び低周波数側の両端部の周波数領域である、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項7】
請求項1、2又は3の通信システムにおいて、
前記基地局は、
前記既知信号に関する設定情報を動的に変更し、
前記既知信号に関する設定情報を変更したとき、前記無線中継装置に前記変更の情報を通知し、
前記既知信号に関する設定情報は、前記既知信号を割り当てる前記制御用周波数領域の配置位置、前記既知信号の送信電力、前記既知信号と前記端末装置向けの信号の送信電力の比、前記既知信号の信号系列の少なくとも一つの情報を含む、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項8】
請求項2又は3の通信システムにおいて、
前記基地局装置は、
前記既知信号に関する設定情報を動的に変更し、
前記既知信号に関する設定情報を変更したとき、前記ゲートウェイ装置及び前記無線中継装置に前記変更の情報を通知し、
前記既知信号に関する設定情報は、前記既知信号を割り当てる前記制御用周波数領域の配置位置、前記既知信号の送信電力、前記既知信号と前記端末装置向けの信号の送信電力の比、前記既知信号の信号系列の少なくとも一つの情報を含む、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項9】
請求項2又は3の通信システムにおいて、
前記ゲートウェイ装置は、
前記既知信号に関する設定情報を動的に変更し、
前記既知信号に関する設定情報を変更したとき、前記基地局装置及び前記無線中継装置に前記変更の情報を通知し、
前記既知信号に関する設定情報は、前記既知信号を割り当てる前記制御用周波数領域の配置位置、前記既知信号の送信電力、前記既知信号と前記端末装置向けの信号の送信電力の比、前記既知信号の信号系列の少なくとも一つの情報を含む、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項10】
請求項2又は3の通信システムにおいて、
前記無線中継装置は、
前記既知信号に関する設定情報を動的に変更し、
前記既知信号に関する設定情報を変更したとき、前記基地局装置及び前記ゲートウェイ装置に前記変更の情報を通知し、
前記既知信号に関する設定情報は、前記既知信号を割り当てる前記制御用周波数領域の配置位置、前記既知信号の送信電力、前記既知信号と前記端末装置向けの信号の送信電力の比、前記既知信号の信号系列の少なくとも一つの情報を含む、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項11】
請求項2又は3の通信システムにおいて、
前記基地局装置、前記ゲートウェイ装置及び前記無線中継装置のそれぞれと通信可能な中央制御装置を更に備え、
前記中央制御装置は、
前記既知信号に関する設定情報を動的に変更し、
前記既知信号に関する設定情報を変更したとき、前記基地局装置、前記ゲートウェイ装置及び前記無線中継装置に前記変更の情報を通知し、
前記既知信号に関する設定情報は、前記既知信号を割り当てる前記制御用周波数領域の配置位置、前記既知信号の送信電力、前記既知信号と前記端末装置向けの信号の送信電力の比、前記既知信号の信号系列の少なくとも一つの情報を含む、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項12】
請求項11の通信システムにおいて、
前記中央制御装置は、
前記既知信号の受信結果に関するフィードバック情報を前記無線中継装置から受信し、
前記フィードバック情報に基づいて前記既知信号に関する設定情報を動的に変更し、
前記既知信号に関する設定情報を変更したとき、前記基地局装置、前記ゲートウェイ装置及び前記無線中継装置に前記変更の情報を通知する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項13】
請求項1、2又は3の通信システムにおいて、
前記無線中継装置は、
前記システム帯域における時間軸上の観測電力に基づいて、前記基地局から受信して前記端末装置に送信するサービスリンクの信号を増幅する電力増幅器の利得を制御する第1の利得制御を実行し、
前記第1の利得制御の後、前記既知信号の受信結果に基づいて前記電力増幅器の利得を制御する第2の利得制御を実行する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項14】
請求項1、2又は3の通信システムにおいて、
前記無線中継装置は、地上又は海上の所定の高度に位置する浮揚体又は飛行体に搭載されている、ことを特徴とする通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線中継装置を介した基地局と端末装置との間の通信の中継に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動通信システムの基地局から送信された無線信号を中継する非再生型の無線中継装置において、基地局からの送信された信号の受信電力を測定し、その受信電力の測定結果に基づいて、端末装置に送信する送信信号の電力を増幅する電力増幅器の利得を制御する利得制御(AGC)が知られている。
【0003】
特許文献1には、基地局から受信したLTE(LONG TERM EVOLUTION)システムのシンク信号(同期信号)を検出し、検出したシンク信号の電力サイズを測定し、測定したシンク信号の電力サイズに基づいて中継器(無線中継装置)のカバレッジを一定に維持するための前記中継器の増幅器の利得を算定し、算定された利得によって前記中継器の増幅器を制御する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記増幅器の利得制御(AGC)で用いる既知信号(例えば、第4世代や第5世代移動通信システムで用いられる同期信号又は参照信号)は、基地局から比較的長い送信間隔(例えば、第5世代の移動通信システムの場合、5ミリ秒以上)で送信されるため、増幅器の利得の高速制御に不向きであり、基地局と中継局の間のフィーダリンクのチャネル情報を利用した高度な制御(例えば数ミリ秒以下の高速制御)に不向きであるという課題がある。また、移動通信システムで用いられる既知信号ではなく、独自の既知信号を任意のタイミングで配置することで、上記の高速な制御に対応する手法も考えられるが、このような信号は上記中継器の制御だけに用いられるものであり、移動通信システムに対しては干渉信号となる。特に、上記中継器が上空にあり、上空と地上移動通信システムの間で周波数共用を行う場合には、この信号が広範囲にわたって地上移動通信システムへの干渉となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る通信システムは、基地局と、前記基地局と端末装置との間の無線信号を中継する非再生型の無線中継装置と、を備える通信システムである。前記基地局は、システム帯域の任意の周波数領域に、前記無線中継装置の電力増幅器の利得制御に利用可能な既知信号を割り当てるための制御用周波数領域を設定し、前記制御用周波数領域に割り当てた前記既知信号と、前記制御用周波数領域とは異なる通信用周波数領域に割り当てた前記端末装置向けの信号とを多重し、前記無線中継装置に対するフィーダリンクの送信を行う。前記無線中継装置は、前記制御用周波数領域の前記既知信号を前記無線中継装置内でキャンセル又は抑圧して前記端末装置に対するサービスリンクの送信を行う。
【0007】
前記通信システムにおいて、前記基地局は、基地局装置と、前記基地局装置に接続されたゲートウェイ装置とを有し、前記無線中継装置は、前記ゲートウェイ装置を介して前記基地局装置と前記端末装置との間の無線信号を中継してもよい。
【0008】
前記基地局装置と前記ゲートウェイ装置とを有する通信システムにおいて、前記基地局装置は、システム帯域の任意の周波数領域に、前記無線中継装置の電力増幅器の利得制御に利用可能な既知信号を割り当てるための制御用周波数領域を設定し、前記システム帯域における前記制御用周波数領域に前記移動通信システムの端末装置向けの信号を割り当てないで、前記制御用周波数領域とは異なる通信用周波数領域に前記端末装置向けの信号を割り当てて送信してもよい。前記ゲートウェイ装置は、前記制御用周波数領域に割り当てる前記既知信号を生成し、前記制御用周波数領域に割り当てた前記既知信号と、前記制御用周波数領域とは異なる通信用周波数領域に割り当てた前記端末装置向けの信号とを多重し、前記無線中継装置に対するフィーダリンクの送信を行ってもよい。
前記無線中継装置は、前記ゲートウェイ装置から送信された前記制御用周波数領域の既知信号をキャンセル又は抑圧して前記端末装置に対するサービスリンクの送信を行ってもよい。
【0009】
前記基地局装置と前記ゲートウェイ装置とを有する通信システムにおいて、前記基地局装置は、前記システム帯域の任意の周波数領域に、前記無線中継装置の電力増幅器の利得制御に利用可能な既知信号を割り当てるための制御用周波数領域を設定し、前記制御用周波数領域に割り当てる前記既知信号を生成し、前記制御用周波数領域に割り当てた前記既知信号と、前記制御用周波数領域とは異なる通信用周波数領域に割り当てた前記端末装置向けの信号とを多重して前記ゲートウェイ装置に送信してもよい。前記ゲートウェイ装置は、前記基地局装置で多重した前記既知信号と前記端末装置向けの信号とを受信し、前記無線中継装置に対するフィーダリンクの送信を行ってもよい。前記無線中継装置は、前記ゲートウェイ装置を介して前記基地局装置から送信された前記制御用周波数領域の前記既知信号を受信し、前記既知信号をキャンセル又は抑圧して前記端末装置に対するサービスリンクの送信を行ってもよい。
【0010】
前記無線中継装置の制御は、前記基地局から受信して前記端末装置に送信するサービスリンクの信号を増幅する電力増幅器の利得を制御する利得制御であり、前記無線中継装置は、前記既知信号の受信結果(例えば、相関処理による推定電力)に基づいて前記電力増幅器の利得を制御してもよい。ここで、前記無線中継装置は、前記システム帯域における時間軸上の観測電力に基づいて、前記基地局から受信して前記端末装置に送信するサービスリンクの信号を増幅する電力増幅器の利得を制御する第1の利得制御を実行し、前記第1の利得制御の後、前記既知信号の受信結果に基づいて前記電力増幅器の利得を制御する第2の利得制御を実行してもよい。
【0011】
前記制御用周波数領域は、前記システム帯域の高周波数側の端部の周波数領域、前記システム帯域の低周波数側の端部の周波数領域、又は、前記システム帯域の高周波数側及び低周波数側の両端部の周波数領域であってもよい。
【0012】
前記基地局は、前記既知信号に関する設定情報を動的に変更し、前記既知信号に関する設定情報を変更したとき、前記無線中継装置に前記変更の情報を通知してもよい。
【0013】
前記基地局装置は、前記既知信号に関する設定情報を動的に変更し、前記既知信号に関する設定情報を変更したとき、前記ゲートウェイ装置及び前記無線中継装置に前記変更の情報を通知してもよい。
【0014】
前記ゲートウェイ装置は、前記既知信号に関する設定情報を動的に変更し、前記既知信号に関する設定情報を変更したとき、前記基地局装置及び前記無線中継装置に前記変更の情報を通知してもよい。
【0015】
前記無線中継装置は、前記既知信号に関する設定情報を動的に変更し、前記既知信号に関する設定情報を変更したとき、前記基地局装置及び前記ゲートウェイ装置に前記変更の情報を通知してもよい。
【0016】
前記通信システムにおいて、前記基地局装置、前記ゲートウェイ装置及び前記無線中継装置のそれぞれと通信可能な中央制御装置を更に備えてもよい。前記中央制御装置は、前記既知信号に関する設定情報を動的に変更し、前記既知信号に関する設定情報を変更したとき、前記基地局装置、前記ゲートウェイ装置及び前記無線中継装置に前記変更の情報を通知してもよい。
【0017】
前記中央制御装置は、前記既知信号の受信結果に関するフィードバック情報を前記無線中継装置から受信し、前記フィードバック情報に基づいて前記既知信号に関する設定情報を動的に変更し、前記既知信号に関する設定情報を変更したとき、前記基地局装置、前記ゲートウェイ装置及び前記無線中継装置に前記変更の情報を通知してもよい。
【0018】
前記既知信号に関する設定情報は、前記既知信号を割り当てる前記制御用周波数領域の配置位置、前記既知信号の送信電力、前記既知信号と前記端末装置向けの信号の送信電力の比、前記既知信号の信号系列の少なくとも一つの情報を含んでもよい。
【0019】
前記既知信号は、当該信号の符号化の信号系列及び送信電力、当該信号を割り当てる制御用周波数領域の配置位置が既知の信号であってもよい。また、前記既知信号は、移動通信システムで用いられる同期信号などの標準の既知信号ではなく、前記無線中継装置の制御に利用するために独自に設定した独自既知信号であってもよい。
【0020】
前記無線中継装置は、地上又は海上の所定の高度に位置する浮揚体又は飛行体に搭載されていてもよい。例えば、前記無線中継装置は、上空に位置するドローン、気球、飛行船、ソーラープレーン、HAPS、飛行機、又は、人工衛星等に搭載されてもよい。
【0021】
前記基地局、前記基地局装置、前記ゲートウェイ装置及び前記無線中継装置において実行されるプログラムは、機械学習に用いられる学習済モデル、機械学習で新規に作成された学習済モデル又は機械学習で更新された学習済モデルを含んでもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、非再生型の無線中継装置における既知信号を用いた高速制御が可能であり、しかも、基地局から受信されて無線中継装置の制御に用いられた既知信号によるサービスリンクへの干渉を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、実施形態に係る基地局及び無線中継装置を含む通信システムの一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る基地局を含む階層セル構成の通信システムの全体構成の一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る通信システムにおける無線中継装置の自動利得制御(AGC)の一例を示す説明図である。
【
図4】
図4(a)は、実施形態に係る通信システムにおける基地局から無線中継装置への独自既知信号の送信及び独自既知信号の抑制の一例を示す説明図である。
図4(b)は同通信システムのフィーダリンクにおける無線リソース及び信号の一例を示す説明図である。
図4(b)は同通信システムのサービスリンクにおける無線リソース及び信号の一例を示す説明図である。
【
図5】
図5(a)は、実施形態に係る通信システムにおける基地局(基地局装置及びGW局)から無線中継装置への独自既知信号の送信及び独自既知信号のキャンセルの他の例を示す説明図である。
図5(b)は同通信システムの基地局装置とGW局との間の通信回線における無線リソース及び信号の一例を示す説明図である。
図5(c)は同通信システムのフィーダリンクにおける無線リソース及び信号の一例を示す説明図である。
図5(d)は同通信システムのサービスリンクにおける無線リソース及び信号の一例を示す説明図である。
【
図6】
図6(a)は、実施形態に係る通信システムにおける基地局(基地局装置及びGW局)から無線中継装置への独自既知信号の送信及び独自既知信号の抑制の更に他の例を示す説明図である。
図6(b)は同通信システムの基地局装置とGW局との間の通信回線における無線リソース及び信号の一例を示す説明図である。
図6(c)は同通信システムのフィーダリンクにおける無線リソース及び信号の一例を示す説明図である。
図6(d)は同通信システムのサービスリンクにおける無線リソース及び信号の一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る通信システムにおける中央制御装置(中央制御サーバ)を介した独自既知信号に関する設定情報の変更の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ここでは、3GPP(登録商標)のLTE/LTE-Advancedの移動通信システム、第5世代以降の次世代のNR(New Radio)の移動通信システムのへの適用を前提に本発明の実施形態を説明するが、類似のセル構成、物理チャネル構成を用いるシステムであれば、本発明の概念はどのようなシステムにも適用可能である。
【0025】
図1は、本実施形態に係る基地局及び無線中継装置を含む通信システム(上空無線中継システム)の全体構成の一例を示す説明図である。本実施形態の通信システムにおける無線中継装置10は、電力増幅器の自動利得制御(AGC)を行う非再生型の中継局である。本実施形態の通信システムは、高高度プラットフォーム局(HAPS)(「高高度疑似衛星」ともいう。)、ドローン、気球、人工衛星などの機体の移動や回転を伴う飛行体又は浮揚体に組み込まれて上空に位置する非再生型の無線中継装置(以下「中継局」、「非再生中継局」又は「子機」ともいう。)10と、地上又は海上に配置された基地局(以下「HAPS基地局」ともいう。)35と、を備える。本実施形態の通信システムにおいて、システム帯域の任意の周波数領域に、中継局10の制御に利用可能な独自既知信号を割り当てるための制御用周波数領域を設定し、その制御用周波数領域に割り当てた独自既知信号と、制御用周波数領域とは異なる通信用周波数領域に割り当てた端末装置向け(移動通信システム向け)の信号とを多重し、上空の中継局10に対するフィーダリンクFLの送信を行う。中継局10は、制御用周波数領域の独自既知信号を中継局10内でキャンセルして端末装置に対するサービスリンクSLの送信を行う。これにより、前記独自既知信号を用いた中継局(子機)における高速制御(例えば、電力増幅器の利得の数ミリ秒以下のオーダーの高速制御)が可能であり、しかも、基地局から受信されて中継局(子機)の制御に用いられた独自既知信号がサービスリンクに再放射されなくなるので、独自既知信号によるサービスリンクへの干渉を軽減することができる。
【0026】
なお、以下の実施形態において、基地局と端末装置との間の無線通信を中継する非再生型の無線中継装置(中継局)は、地上又は海上に固定配置された装置であってもよいし、地上又は海上において移動可能な車両や船舶などの移動体に設けられた装置であってもよい。
【0027】
図1において、通信システムは、飛行体(例えば、HAPS、飛行船、ソーラープレーン、ドローン、気球、飛行機、人工衛星など)15などに設けられた上空滞在型の無線中継装置(中継局)10を備える。無線中継装置10は、非再生リピータ型の中継局(非再生中継局)であり、フィーダリンクFLを介して地上又は海上のHAPS基地局35と無線通信を行い、サービスリンクSLを介して端末装置(UE)60と無線通信を行い、HAPS基地局35と端末装置(UE)60との間の通信を中継する。無線中継装置10は、サービスリンクSLの送信信号を増幅する電力増幅部としての電力増幅器(PA)を有する。なお、フィーダリンクFLの周波数(周波数帯)とサービスリンクSLの周波数(周波数帯)は、電波の回り込みによる干渉を防止するために互いに異なる周波数(周波数帯)であってもよい。また、通信システム(無線中継システム)は、無線中継装置10のほかHAPS基地局35を含んでもよく、UE60を更に含んでもよい。
【0028】
無線中継装置(中継局)10の電力増幅器は、HAPS基地局35から受信する独自既知信号の受信結果(例えば受信電力)に基づいて、端末装置(UE)60に対するサービスリンクSLの送信信号の電力が一定になるように利得を制御する自動利得制御(AGC)機能を有する。
【0029】
本実施形態における上記独自既知信号は、例えば、当該信号の符号化の信号系列及び送信電力、当該信号を割り当てる制御用周波数領域の配置位置が既知の信号である。
【0030】
無線中継装置10は、フィーダリンクFLを介してHAPS基地局35から受信する下りリンクの高周波無線(RF)信号に含まれる同期信号を検出する機能を備え、中継対象の下りリンクの信号(以下「下りリンク信号」ともいう。)のフレームタイミングを検出できる。
【0031】
無線中継装置10は、HAPS基地局35(例えば、後述の基地局装置36若しくはゲートウェイ装置37)又は中央制御サーバ(中央制御装置)から、自装置内の制御(例えば、電力増幅器の利得制御)に用いる独自既知信号に関する設定情報を受信する。独自既知信号は、システム帯域の任意の周波数領域に設定された制御用周波数領域に割り当てられる。独自既知信号に関する設定情報は、例えば、独自既知信号を割り当てる制御用周波数領域の配置位置、独自既知信号の送信電力、独自既知信号と端末装置向け(移動通信システム向け)の信号との送信電力の比、独自既知信号の信号系列の少なくとも一つの情報を含む。
【0032】
また、無線中継装置10は、HAPS基地局35又は中央制御サーバ(中央制御装置)から、基地局情報(例えば、システム帯域幅、物理セルIDやサブキャリア間隔などの基地局パラメータや、同期信号の時間・周波数グリッド上の無線リソース配置位置を含む下りリンクの準静的スケジューリング情報、又は、下りリンク及び上りリンクの準静的スケジューリング情報、同期信号の受信電力算出に用いる所定のオフセット量)を受信する。
【0033】
HAPS基地局35は、例えば、移動通信網のコアネットワーク(例えばHAPSコアネットワーク)に接続された基地局装置36と、基地局装置36に接続されたゲートウェイ装置(以下「GW局」ともいう。)37を有する。例えば、フィーダリンクFLの下りリンクの無線通信において、GW局37は親機として機能し、無線中継装置10は子機として機能する。
【0034】
図2は、本実施形態に係る無線中継装置10を含むHAPS移動通信システムの全体構成の一例を示す説明図である。
図2において、災害時対応や臨時のイベントなどによる通信トラフィック対策として、上空に位置して移動可能な飛行体(又は浮揚体)15のアンテナ101から地上又は水上(例えば海上)に向かって形成される移動通信ネットワークの複数のサービスリンクSL(1),SL(2)の広域の大セル10A(1),10A(2)を展開している。この複数の大セル10A(1),10A(2)は、単一の無線中継装置によって形成され、「セクタセル」ともいう。
【0035】
図2の例では、無線中継装置10を有する飛行体15が上空を移動可能な飛行体としての飛行船タイプのHAPS(「高高度プラットフォーム局」又は「高高度疑似衛星」)である例を示しているが、飛行体15は、上空を移動又は飛行可能なドローン、気球、航空機、ヘリコプター、ソーラープレーンタイプのHAPS(
図1参照)若しくはLAPS(「低高度プラットフォーム局」又は「低高度疑似衛星」)、飛行船タイプのLAPS、人工衛星などの他の無人又は有人の飛行体(又は浮揚体)であってもよい。また、飛行体15は、無線中継を行う運用時に位置する上空の所定の位置に移動した後、その位置にとどまるように又はその位置を含む所定範囲の飛行空間内を循環飛行するように制御してもよい。
【0036】
飛行体は、自律制御若しくは外部から制御により又は飛行体に搭乗する操縦者の操縦により、地面、海面、又は川若しくは湖などの水面から100[km]以下の高度の空域を飛行して位置するように制御されてもよい。また、飛行体の飛行空域は、高度が11[km]以上及び50[km]以下の成層圏の空域であってもよい。更に、飛行体の飛行空域は、気象条件が比較的安定している高度15[km]以上25[km]以下の空域であってもよく、特に高度がほぼ20[km]の空域であってもよい。
【0037】
本実施形態の移動通信システムは、LTE(Long Term Evolution)/LTE-Advanced又は第5世代などの次世代の標準仕様に準拠した通信システムであり、無線中継装置10は、複数の大セル10A(1),10A(2)を形成するサービスリンクSL(1),SL(2)のアンテナ(以下「SLアンテナ装置」ともいう。)101と、地上側に設けられたHAPS基地局(例えば、eNodeB、gNodeB)35と無線通信するためのフィーダリンクFLのアンテナ(以下「FLアンテナ装置」ともいう。)102とを有する。HAPS基地局35は、回線終端装置及び専用回線などの通信回線を介して移動体通信網のHAPSコアネットワーク30に接続され、コアネットワーク装置やサーバなどの各種ノードとの間で所定の通信インターフェースにより通信可能になっている。
【0038】
無線中継装置10のSLアンテナ装置101及びFLアンテナ装置102はそれぞれ、複数のアンテナ素子(例えば、直線偏波アンテナとしての垂直偏波アンテナ及び水平偏波アンテナ)を有する。垂直偏波アンテナは、鉛直方向と電波伝搬方向とを含む垂直偏波面の電波を送受信する。水平偏波アンテナは、垂直偏波面に直交する面であって電波伝搬方向を含む水平偏波面の電波を送受信する。例えば、SLアンテナ装置101及びFLアンテナ装置102はそれぞれ、垂直偏波アンテナ及び水平偏波アンテナを1組として構成したアンテナ素子を1次元的、2次元的又は3次元的に配列したアレーアンテナであってもよい。
【0039】
なお、HAPSコアネットワーク30は、大セル10A(1),10A(2)のHAPS基地局35を収容する共通のコアネットワークであってもよい。また、セル10A(1),10A(2)で用いられる周波数は、例えば、300MHz~30GHzのマイクロ波帯の周波数でもよいし、30GHzよりも高いミリ波帯の周波数でもよい。
【0040】
本実施形態において、飛行体15に搭載された無線中継装置10は、アンテナ102と地上側のフィーダリンクの中継装置(親機)であるゲートウェイ装置(以下「GW局」ともいう。)が接続されたHAPS基地局35を介して、移動通信網のHAPSコアネットワーク30、各種のコアネットワーク装置、インターネットなどの外部ネットワーク、中央制御サーバ50などの各種サーバ等と通信することができる。
【0041】
中央制御サーバ50は、HAPS基地局35のスケジューリング情報等の基地局情報を一元管理し、基地局を制御するための制御情報を生成することができる。
【0042】
また、中央制御サーバ50は、無線中継装置10の電力増幅器のAGCに用いられる既知信号の設定情報を管理し、既知信号の設定情報を基地局35(
図1の基地局装置36及びGW局37)並びに無線中継装置10に通知する機能を有する。なお、中央制御サーバ50は、データセンターなどの遠隔地に設置してもよいし、HAPSコアネットワーク30に設けてもよい。
【0043】
UE60(1),60(2)はそれぞれ、大セル10A(1),10A(2)に在圏するときに、その在圏するセルに対応する上空の無線中継装置10を介してHAPS基地局35と間で所定の通信方式及び無線通信リソースを用いて無線通信することができる。UE60(1),60(2)はそれぞれ、例えばCPUやメモリ等を有するコンピュータ装置、無線通信部などのハードウェアを用いて構成され、所定のプログラムが実行されることにより無線中継装置10を介したHAPS基地局35との通信を行うことができる。
【0044】
HAPS基地局35の基地局装置36は、例えばCPUやメモリ等を有するコンピュータ装置、HAPSコアネットワーク30に対する外部通信インターフェース部、中央制御サーバ50に対する外部通信インターフェース部、無線通信部などのハードウェアを用いて構成され、所定のプログラムが実行されることにより、所定の通信方式及び無線通信リソースを用いてGW局37を介したUE60(1),60(2)との間の無線通信を行ったり、HAPSコアネットワーク30のコアネットワーク装置との間の情報の送受信を行ったり、中央制御サーバ50との間の情報の送受信を行ったりすることができる。
【0045】
HAPS基地局35のGW局37は、例えばCPUやメモリ等を有するコンピュータ装置、基地局装置36に対する外部通信インターフェース部、中央制御サーバ50に対する外部通信インターフェース部、無線通信部などのハードウェアを用いて構成され、所定のプログラムが実行されることにより、所定の通信方式及び無線通信リソースを用いてUE60(1),60(2)との間の無線通信を行ったり、基地局装置36との間の情報の送受信を行ったり、中央制御サーバ50との間の情報の送受信を行ったりすることができる。
【0046】
無線中継装置10は、例えばCPUやメモリ等を有するコンピュータ装置、サービスリンク及びフィーダリンクの無線通信部などのハードウェアを用いて構成され、所定のプログラムが実行されることにより、所定の通信方式及び無線通信リソースを用いてUE60(1),60(2)との間の無線通信を行ったり、HAPS基地局35を介して中央制御サーバ50との間の情報の送受信を行ったりすることができる。
【0047】
無線中継装置10は、所定のプログラムが実行されることにより、HAPS基地局35から受信した無線信号に含まれる同期信号に基づいて無線フレームのフレームタイミングを検出する処理を行うことができる。
【0048】
また、無線中継装置10は、所定のプログラムが実行されることにより、HAPS基地局35から受信した無線信号に含まれる移動通信システムの既知信号(例えば同期信号:SS)の受信結果(例えば受信電力の測定結果)に基づいて、端末装置(UE)60に対するサービスリンクSLの送信信号の電力が一定になるように電力増幅器の利得を制御することができる。
【0049】
HAPS基地局35は、上空の無線中継装置10を介して、UEに対してOFDM(直交周波数分割多重)方式の下りリンクの無線通信可能な基地局である。HAPS基地局35は、例えば、アンテナ、無線信号経路切り換え部、送受共用器(DUP:Duplexer)、下りリンク無線受信部及び下りリンク変調部としてのOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調部、制御部、上りリンク無線受信部及び上りリンク復調部(例えば、SC-FDMA(Single-Carrier Frequency-Division Multiple Access)復調部又はOFDM復調部)などを備える。更に、HAPS基地局35は、無線インターフェースベースの同期などの特殊用途のために、下りリンク無線送信部及びOFDM復調部を備えてもよい。
【0050】
SC-FDMA復調部は、上りリンク無線受信部で受信した受信信号に対してSC-FDMA方式の復調処理を実行し、復調されたデータを制御部に渡す。OFDM復調部は、上りリンク無線受信部で受信した受信信号に対してOFDM方式の復調処理を実行し、復調されたデータを制御部に渡す。OFDM変調部は、制御部から受けた自局のセルに在圏しているUEに向けて送信する下りリンク信号のデータを、所定の電力で送信されるように、OFDM方式で変調する。また、基地局が例えばサーバから送信停止対象のスロットの情報を受信した場合、OFDM変調部は、無線フレーム中の特定のスロットについてのみ下りリンク送信を停止するように制御される。下りリンク無線送信部は、OFDM変調部で変調した送信信号を、送受共用器、無線信号経路切り換え部及びアンテナを介して、上空の無線中継装置10に送信する。
【0051】
本実施形態において、フィーダリンクFLを介して上空の無線中継装置10と無線通信するHAPS基地局35(GW局37)のFLアンテナ装置は、複数のアンテナ素子(例えば、直線偏波アンテナとしての垂直偏波アンテナ及び水平偏波アンテナ)を有する。垂直偏波アンテナは、鉛直方向と電波伝搬方向(アンテナ指向方向)とを含む垂直偏波面の電波を送受信する。水平偏波アンテナは、垂直偏波面に直交する面であって電波伝搬方向(アンテナ指向方向)を含む水平偏波面の電波を送受信する。HAPS基地局35(GW局37)のFLアンテナ装置は、垂直偏波アンテナ及び水平偏波アンテナを1組として構成したアンテナ素子を1次元的、2次元的又は3次元的に配列したアレーアンテナであってもよい。
【0052】
また、サービスリンクSLを介して端末装置(UE)60(1),60(2)と無線通信するHAPS基地局35のSLアンテナ装置は、複数のアンテナ素子(例えば、直線偏波アンテナとしての垂直偏波アンテナ及び水平偏波アンテナ)を有する。HAPS基地局35のSLアンテナ装置は、垂直偏波アンテナ及び水平偏波アンテナを1組として構成したアンテナ素子を1次元的、2次元的又は3次元的に配列したアレーアンテナであってもよい。
【0053】
上記構成の通信システムにおいて、
図3に示すように、フィーダリンクFLの無線伝搬路での損失により、HAPS基地局35のGW局37から最大送信電力で送信しても、無線中継装置10で受信されるときの信号電力は小さくなる。そのため、無線中継装置10の電力増幅器によって信号の電力を所定電力まで増幅し、端末装置(UE)60に向けて送信する。HAPS基地局35から受信する移動通信システムの既知信号(例えば同期信号:SS)の受信電力の測定結果に基づいて電力増幅器の利得量を決定するように制御することにより、無線中継装置10のフィーダリンクFLの受信電力が変動しても、サービスリンクSLの送信信号の電力を一定にすることができる。
【0054】
本実施形態の無線中継方式では、HAPS基地局35からの送信信号はフィーダリンクFLを通してHAPS等の飛行体(又は浮揚体)15に搭載される無線中継装置(中継局)10で非再生中継され、地上移動通信システムで広く用いられる端末装置(UE)60で直接受信することができる。このとき、飛行体15の機体の飛行に伴ってフィーダリンク信号の受信電力が変化するため、上空の無線中継装置(中継局)10ではサービスリンクSLに対して最大電力で送信することを目的として、AGCによる信号電力の増幅を行う。ただし、5GNR等の移動通信システムにおいては低消費電力化やセル間干渉抑圧の観点から、データ信号が存在しない場合には、所定のタイミングで必ず送信される一部の同期信号(SS)等を除いて、不必要な信号を送信しない。ゆえに、数ミリから数十ミリ秒に渡って無信号状態となりうる。この無信号区間においては、実際には雑音電力や回り込み干渉などが存在するため完全な無入力でないものの、AGCにおいて不必要に大きい利得量が設定されてしまう。これを解決するAGC部の制御方法の一つとして、同期信号(SS)等の特定の既知信号の受信電力を観測し、増幅すべき利得量を決定する手法がある。例えば、5GNRの無線中継システムでは、AGC部で同期信号(SS)のレプリカ信号を用いた相関検出処理を行うことで、同期信号(SS)のみの信号電力を算出し、データ信号の有無に依存せずに利得量を決定する。
【0055】
しかしながら、上記自動利得制御(AGC)で用いる従来の移動通信システムにおける既知信号(例えば、同期信号又は参照信号)は、HAPS基地局35から比較的長い送信間隔(例えば、第5世代の移動通信システムの場合、5ミリ秒~数十ミリ秒)で送信されるため、無線中継装置(中継局)10の電力増幅器の利得の高速制御(例えば数ミリ秒以下の高速制御)が難しい。
【0056】
そこで、本実施形態では、基地局35が制御用周波数領域に割り当てた独自既知信号と通信用周波数領域に割り当てた端末装置向け(移動通信システム向け)の信号とを多重してフィーダリンクの送信を行う。これにより、前記独自既知信号を用いた無線中継装置(中継局子機)10の電力増幅器における高速利得制御(例えば、数ミリ秒オーダーの高速制御)が可能となる。またこのとき、当該独自信号は無線中継装置の制御のみに用いられるため、移動通信システムのサービスリンクとしては干渉信号となり得るが、本実施形態では、無線中継装置(中継局子機)10が、制御用周波数領域の独自既知信号をキャンセルしてサービスリンクの送信を行っている。これにより、HAPS基地局35から受信されて無線中継装置(中継局子機)10の制御に用いられた独自既知信号がサービスリンクに再放射されなくなるので、独自既知信号によるサービスリンクへの干渉を軽減することができる。
【0057】
図4(a)、
図4(b)及び
図4(c)は、実施形態に係る通信システムにおける基地局35から無線中継装置10への独自既知信号の送信及び独自既知信号の抑制の一例を示す説明図である。図示の例は、基地局35がGW局を備えていない場合や、無線中継装置(中継局)10が地上又は海上に固定配置又は移動可能に配置されている場合にも適用可能である。
【0058】
図4(a)において、基地局35は、移動通信システムにおけるシステム帯域Fsの任意の周波数領域に設定した制御用周波数領域Fkに割り当てた独自既知信号Sk(0),Sk(1)と、制御用周波数領域Fkとは異なる通信用周波数領域Fmに割り当てた端末装置向け(移動通信システム向け)の信号Smとを多重し、HAPS基地局35から上空の無線中継装置(中継局)10へのフィーダリンクの送信を行う(
図4(b)参照)。
【0059】
無線中継装置(中継局)10は、例えば、HAPS基地局35から受信した独自既知信号Sk(0),Sk(1)の受信結果(例えば受信電力)に基づいて、端末装置(UE)60に対するサービスリンクSLの送信信号の電力が一定になるように利得を制御する自動利得制御(AGC)を行う。
【0060】
無線中継装置(中継局)10は、制御用周波数領域Fkの独自既知信号Sk(0),Sk(1)をキャンセルし、その独自既知信号Sk(0),Sk(1)がキャンセルされ端末装置向け(移動通信システム向け)の信号S'mを含む下りリンクの信号を端末装置(UE)60に送信するサービスリンクの送信を行う(
図4(c)参照)。
【0061】
なお、
図4(a)~
図4(c)の例では、制御用周波数領域Fkをシステム帯域Fsの低周波数側の端部(例えば第1サブキャリア及び第2サブキャリアの周波数領域)に設定しているが、制御用周波数領域Fkはシステム帯域Fsの任意の周波数領域(例えば、任意のサブキャリア)に設定することができる。例えば、制御用周波数領域Fkは、システム帯域Fsの高周波数側端部又は中央部の周波数領域に設定してもよいし、システム帯域Fsの複数の位置の周波数領域(例えば、システム帯域Fsの高周波数側及び低周波数側の両端部の周波数領域)に設定してもよい。
【0062】
また、
図4(a)~
図4(c)の例では、MIMO通信を行うことができるように複数のアンテナポートに対応させた複数の独自既知信号Sk(0),Sk(1)を制御用周波数領域Fkに割り当てて送信しているが、単数の独自既知信号又は3以上の独自既知信号を制御用周波数領域Fkに割り当てて送信してもよい。
【0063】
また、
図4(a)~
図4(c)の通信システムにおいて、基地局35は、上記独自既知信号に関する設定情報を動的に変更し、上記独自既知信号に関する設定情報を変更したとき、その変更の情報を、制御用回線(例えば、イーサネット回線、衛星通信回線、WiFi回線、光回線、移動通信回線など)を介して無線中継装置10に通知してもよい。また、無線中継装置10は、上記独自既知信号に関する設定情報を動的に変更し、上記独自既知信号に関する設定情報を変更したとき、その変更の情報を、制御用回線などを介して基地局35に通知してもよい。
【0064】
図5(a)、
図5(b)及び
図5(c)は、実施形態に係る通信システムにおける基地局35(基地局装置36及びGW局37)から無線中継装置(上空の中継局)10への独自既知信号の送信及び独自既知信号のキャンセルの他の例を示す説明図である。図示の例は、HAPS基地局35が基地局装置36とGW局37とを有し、基地局装置36がGW局37を介して無線中継装置(上空の中継局)10と通信する通信システムの例である。
【0065】
図5(a)において、基地局装置36は、システム帯域Fsの任意の周波数領域に、無線中継装置10の制御に利用可能な独自既知信号を割り当てるための制御用周波数領域Fkを設定し、システム帯域Fsにおける制御用周波数領域Fkに端末装置向けの信号Smを割り当てないで、制御用周波数領域Fkとは異なる通信用周波数領域Fmに端末装置向けの信号Smを割り当てて送信する(
図5(b)参照)。
【0066】
GW局37は、制御用周波数領域Fkに割り当てる独自既知信号Sk(0),Sk(1)を生成し、制御用周波数領域Fkに割り当てた独自既知信号Sk(0),Sk(1)と、制御用周波数領域Fkとは異なる通信用周波数領域Fmに割り当てた端末装置向けの信号Smとを多重し、無線中継装置10に対するフィーダリンクの送信を行う(
図5(c)参照)。
【0067】
無線中継装置(中継局)10は、例えば、HAPS基地局35から受信した独自既知信号Sk(0),Sk(1)の受信結果(例えば受信電力)に基づいて、端末装置(UE)60に対するサービスリンクSLの送信信号の電力が一定になるように利得を制御する自動利得制御(AGC)を行う。
【0068】
無線中継装置(中継局)10は、制御用周波数領域Fkの独自既知信号Sk(0),Sk(1)をキャンセルし、その独自既知信号Sk(0),Sk(1)がキャンセルされ移動通信システム向け(端末装置向け)の信号S'mを含む下りリンクの信号を端末装置(UE)60に送信するサービスリンクの送信を行う(
図5(d)参照)。
【0069】
図6(a)、
図6(b)及び
図6(c)は、実施形態に係る通信システムにおける基地局35(基地局装置36及びGW局37)から無線中継装置10への独自既知信号の送信及び独自既知信号の抑制の更に他の例を示す説明図である。図示の例は、HAPS基地局35が基地局装置36とGW局37とを有し、基地局装置36がGW局37を介して無線中継装置(上空の中継局)10と通信する通信システムの例である。
【0070】
図6(a)において、基地局装置36は、システム帯域Fsの任意の周波数領域に、無線中継装置10の制御に利用可能な独自既知信号を割り当てるための制御用周波数領域Fkを設定し、制御用周波数領域Fkに割り当てる独自既知信号Sk(0),Sk(1)を生成し、制御用周波数領域Fkに割り当てた独自既知信号Sk(0),Sk(1)と、制御用周波数領域Fkとは異なる通信用周波数領域Fmに割り当てた移動通信システム向けの信号Smとを多重してGW装置37に送信する(
図6(b)参照)。制御用周波数領域Fkには移動通信システム向けの信号Smが割り当てられない。
【0071】
GW局37は、基地局装置36で多重した独自既知信号Sk(0),Sk(1)と端末装置向けの信号Smとを受信し、無線中継装置10に対するフィーダリンクの送信を行う(
図6(c)参照)。
【0072】
無線中継装置(中継局)10は、例えば、HAPS基地局35から受信した独自既知信号Sk(0),Sk(1)の受信結果(例えば受信電力)に基づいて、端末装置(UE)60に対するサービスリンクSLの送信信号の電力が一定になるように利得を制御する自動利得制御(AGC)を行う。
【0073】
無線中継装置(中継局)10は、制御用周波数領域Fkの独自既知信号Sk(0),Sk(1)をキャンセルし、その独自既知信号Sk(0),Sk(1)がキャンセルされ端末装置向け(移動通信システム向け)の信号S'mを含む下りリンクの信号を端末装置(UE)60に送信するサービスリンクの送信を行う(
図6(d)参照)。
【0074】
なお、
図5(a)~
図5(d)及び
図6(a)~
図6(d)の例では、制御用周波数領域Fkをシステム帯域Fsの低周波数側の端部(例えば第1サブキャリア及び第2サブキャリアの周波数領域)に設定しているが、制御用周波数領域Fkはシステム帯域Fsの任意の周波数領域(例えば、任意のサブキャリア)に設定することができる。例えば、制御用周波数領域Fkは、システム帯域Fsの高周波数側端部又は中央部の周波数領域に設定してもよいし、システム帯域Fsの複数の位置の周波数領域(例えば、システム帯域Fsの高周波数側及び低周波数側の両端部の周波数領域)に設定してもよい。
【0075】
また、
図5(a)~
図5(d)及び
図6(a)~
図6(d)の例では、MIMO通信を行うことができるように複数のアンテナポートに対応させた複数の独自既知信号Sk(0),Sk(1)を制御用周波数領域Fkに割り当てて送信しているが、単数の独自既知信号又は3以上の独自既知信号を制御用周波数領域Fkに割り当てて送信してもよい。
【0076】
また、
図5(a)~
図5(d)及び
図6(a)~
図6(d)の通信システムにおいて、基地局装置36は、上記独自既知信号に関する設定情報を動的に変更し、上記独自既知信号に関する設定情報を変更したとき、その変更の情報を、制御用回線などを介してGW局37及び無線中継装置10に通知してもよい。また、GW局37は、上記独自既知信号に関する設定情報を動的に変更し、上記独自既知信号に関する設定情報を変更したとき、その変更の情報を、制御用回線などを介して基地局35及び無線中継装置10に通知してもよい。また、無線中継装置10は、上記独自既知信号に関する設定情報を動的に変更し、上記独自既知信号に関する設定情報を変更したとき、その変更の情報を、制御用回線などを介して基地局装置36及びGW局37に通知してもよい。
【0077】
図7は、実施形態に係る通信システムにおける中央制御装置(中央制御サーバ)50を介した独自既知信号に関する設定情報の変更の一例を示す説明図。
図7において、中央制御サーバ50は、移動通信システム向け信号(端末装置向け信号)Smの無線リソース割当位置を決定するとともに、その無線リソース割当位置情報を地上基地局の基地局装置36に通知する。更に、中央制御サーバ50は、独自既知信号Skのレプリカ系列情報や、GW局(親機)37で多重される独自既知信号Skの送信電力と、独自既知信号Skと移動通信システム向け信号Smの電力比と、その割当位置情報を決定するとともに、それらの情報をGW局(親機)37及び中継局(子機)10へ通知する。通知方法はイーサネット経由でもよいし、子機向けには別途人工衛星等を用いた制御回線に多重する方法でもよい。
【0078】
地上基地局の基地局装置36から送信された移動通信システム向け信号(端末装置向け信号)Smは、GW局(親機)37の既知信号生成部371で生成された独自既知信号Skが多重された状態でフィーダリンク信号としてGW局(親機)37から送信される。
【0079】
フィーダリンク信号は中継局(子機)10で受信された後、既知信号同期部111にて、独自既知信号Skの受信信号の電力、タイミング、位相といった情報を例えば相関処理等で検出する。既知信号同期部111は得られた処理結果の情報に基づいて、キャンセル処理部112で独自既知信号Skをキャンセルするための位相情報と独自既知信号電力を算出し、キャンセル処理部112に通知する。
【0080】
キャンセル処理部112は通知された情報に基づいて独自既知信号Skをキャンセルする。また、既知信号同期部111で得られた独自既知信号Skの受信電力情報は、同様に後段の利得制御部113にも通知される。利得制御部113は、キャンセル処理部112を通過した後の信号電力を考慮した利得制御を実施する。
【0081】
既知信号同期部111では、独自既知信号Skの検出結果として、例えばSINR(Signal to Interference and Noise Ratio)のような指標を算出できる。既知信号同期部111は、この算出結果をフィードバック情報として中央制御サーバ50に通知可能である。
【0082】
中央制御サーバ50では、得られたフィードバック情報をもとに、例えば無線リソース及び既知信号割当位置の少なくとも一方を変更したり、独自既知信号Skの信号系列そのものを変更したり、独自既知信号Skの信号電力及び独自既知信号Skと移動通信システム向け信号Smとの電力比を変更したりすることができる。例えば、中央制御サーバ50は、既知信号同期部111からフィードバックされたSINRが所定の閾値を下回った場合に、上記変更を実施する。上記変更によって情報が更新された場合、中央制御サーバ50は、更新された情報を、随時、地上基地局の基地局装置36、GW局(親機)37及び中継局(子機)10に再度通知する。
【0083】
なお、上記実施形態において、無線中継装置(中継局)10は、システム帯域Fsにおける時間軸上の観測電力に基づいて電力増幅器の利得を制御する第1の利得制御(第1AGC)を実行することにより、電力増幅器に一定以上の入力電力が生じた場合に第1AGCによって規定値まで電力を減衰させ、その第1の利得制御の後、前記独自既知信号Skの受信結果(例えば、受信電力)に基づいて電力増幅器の利得を制御する第2の利得制御(第2AGC)を実行してもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、制御用周波数領域の独自既知信号Skをキャンセルしているが、制御用周波数領域の独自既知信号Skを抑圧してもよい。これにより、独自既知信号SkのサービスリンクSL側への再放射を低減することができる。
【0085】
以上、本実施形態によれば、非再生型の無線中継装置(中継局)10における独自既知信号Skを用いた電力増幅器の利得などの高速制御(例えば数ミリ秒以下のオーダーの制御)が可能であり、しかも、基地局35(基地局装置36及びGW局37)から受信されて無線中継装置10の制御に用いられた独自既知信号SkがサービスリンクSL側へ再放射されることによるサービスリンクSLへの干渉を軽減することができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、システム帯域Fsの一部に設定した制御用周波数領域Fkにて基地局35から無線中継装置(中継局)10に独自既知信号Skを連続的に送信することができるため、無線中継装置(中継局)10は独自既知信号Skを復調して1ミリ秒以下の間隔で位相情報を取得することができる。よって、特に上空PFとしての無線中継装置(中継局)10で位相情報を用いた高度な制御(MIMO中継機能)を実施する場合に、1ミリ秒以下の間隔で位相情報を取得することで、より高品質な通信が実現できる。
【0087】
また、本発明は、非再生型の無線中継装置(非再生中継局)10を用いた安定した高高度プラットフォーム局(HAPS)を構築できるため、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【0088】
なお、本明細書で説明された処理工程並びに通信システム、移動通信システム、基地局、基地局装置、無線中継装置及び端末装置(ユーザ装置、移動局)の構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0089】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、Node B、端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0090】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0091】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0092】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0093】
10 :無線中継装置
15 :飛行体(又は、浮揚体)
30 :コアネットワーク
35 :基地局
36 :基地局装置
37 :GW局(ゲートウェイ装置)
50 :中央制御サーバ
60 :端末装置(UE)
101 :SLアンテナ装置
102 :FLアンテナ装置
【要約】
【課題】非再生型の無線中継装置における既知信号を用いた高速制御が可能であり、しかも、基地局から受信されて無線中継装置の制御に用いられた既知信号によるサービスリンクへの干渉を軽減することができる通信システムを提供する。
【解決手段】通信システムは、基地局と非再生型の無線中継装置とを備える。基地局は、システム帯域の任意の周波数領域に、無線中継装置の制御に利用可能な既知信号を割り当てるための制御用周波数領域を設定し、制御用周波数領域に割り当てた既知信号と、制御用周波数領域とは異なる通信用周波数領域に割り当てた端末装置向けの信号とを多重し、無線中継装置に対するフィーダリンクの送信を行う。無線中継装置は、制御用周波数領域の既知信号を無線中継装置内でキャンセル又は抑圧して端末装置に対するサービスリンクの送信を行う。
【選択図】
図1