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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20240723BHJP
   A61F 7/00 20060101ALN20240723BHJP
【FI】
A41D13/005
A61F7/00 310J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019141523
(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公開番号】P2021025139
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-02-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕也
(72)【発明者】
【氏名】段 彦昭
【審査官】西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-266604(JP,A)
【文献】特開2013-248293(JP,A)
【文献】特開2018-126481(JP,A)
【文献】特開2010-037682(JP,A)
【文献】登録実用新案第3168804(JP,U)
【文献】特開2010-255152(JP,A)
【文献】特開2006-183154(JP,A)
【文献】特開2002-048360(JP,A)
【文献】登録実用新案第3244176(JP,U)
【文献】国際公開第98/023235(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1414532(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/005
A41D 13/002
A61F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の首まわりに配置されて前記首まわりを冷却または加熱する温調部と、配線を介して前記温調部と接続された熱交換部と、前記温調部と前記熱交換部との間に熱媒体を流すためのホースを有するホース部と、を備える身体温調装置が着脱自在に備えられた衣服であって、
前記衣服の襟に設けられ、前記温調部が収容される第1収容部と、
前記熱交換部が収容される第2収容部と、を備え、
前記ホース及び前記配線は、前記衣服の背中側から前記第1収容部に導入され、前記第1収容部と前記第2収容部との間における前記背中側において、コネクタ部材を介して、前記ホースが2つに分離可能かつ前記配線が2つに分離可能に構成されている、衣服。
【請求項2】
前記第2収容部は、前記衣服の背中に設けられている、請求項1に記載の衣服。
【請求項3】
前記熱交換部を調節するために前記利用者によって操作される操作部が収容される第3収容部を更に備える、請求項1または2に記載の衣服。
【請求項4】
前記第2収容部には、前記熱交換部の収容空間における前記利用者側に板状部材が設けられている、請求項2に記載の衣服。
【請求項5】
前記板状部材は、断熱性を有する材料によって形成されている、請求項に記載の衣服。
【請求項6】
前記第2収容部は、前記熱交換部が有する送風ファンと前記第2収容部の外部とを連通させる通気口を有する、請求項2に記載の衣服。
【請求項7】
利用者の首まわりに配置されて前記首まわりを冷却または加熱する温調部と、配線を介して前記温調部と接続された熱交換部と、前記温調部と前記熱交換部との間に熱媒体を流すためのホースを有するホース部と、を備える身体温調装置が着脱自在に備えられた衣服であって、
前記衣服の襟に設けられ、前記温調部が収容される第1収容部と、
前記衣服の背中に設けられ、前記熱交換部が収容される第2収容部と、
前記第2収容部を前記利用者の身体に沿わせるための第1弾性部材を備え、
前記ホース及び前記配線は、前記衣服の背中側から前記第1収容部に導入され、
前記第1弾性部材は、前記第2収容部から前記衣服の肩及び腰まで延びている、衣服。
【請求項8】
利用者の首まわりに配置されて前記首まわりを冷却または加熱する温調部と、配線を介して前記温調部と接続された熱交換部と、前記温調部と前記熱交換部との間に熱媒体を流すためのホースを有するホース部と、を備える身体温調装置が着脱自在に備えられた衣服であって、
前記衣服の襟に設けられ、前記温調部が収容される第1収容部と、
前記熱交換部が収容される第2収容部と、
前記衣服の腰または胸に設けられ、前記熱交換部を調節するために前記利用者によって操作される操作部が収容される第3収容部と、
前記第3収容部を前記利用者の身体に沿わせるための第2弾性部材を備え、
前記ホース及び前記配線は、前記衣服の背中側から前記第1収容部に導入され、
前記第2弾性部材は、前記第3収容部から前記衣服の左右に沿って設けられている、衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
ペルチェ素子を用いて利用者の頸動脈を流れる血液を冷却または加熱することにより、利用者の体温を調節する体温調節装置が知られている。体温調節装置としては、ペルチェ素子を有し、利用者の首まわりに配置されて首まわりを加熱または冷却する温調部と、熱交換部と、温調部と熱交換部との間で水を循環させるホース部と、を備えるものがある(特許文献1、2)。また、身体の温度を調節する技術としては、ペルチェ素子と、放熱部材及び電動ファンを有する熱交換部とが一体化された熱電変換ユニットが衣服部に組み込まれた電子冷暖房服が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-83498号公報
【文献】特開2015-100489号公報
【文献】特開2008-25052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
温調部と熱交換部がホース部を介して連結された身体温調装置を使用する場合、温調部と熱交換部とが分離しているので、温調部と熱交換部とをそれぞれ身体に装着する必要がある。さらに、温調部を利用者における頸動脈付近に安定的に配置することが難しい。
【0005】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、身体温調装置を利用者の身体の所定位置に容易に装着することを可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の開示する衣服の一態様は、利用者の首まわりに配置されて首まわりを冷却または加熱する温調部と、配線を介して温調部と接続された熱交換部と、温調部と熱交換部との間に熱媒体を流すためのホースを有するホース部と、を備える身体温調装置が着脱自在に備えられた衣服であって、衣服の襟に設けられ、温調部が収容される第1収容部と、熱交換部が収容される第2収容部と、を備える。ホース及び配線は、衣服の背中側から第1収容部に導入され、第1収容部と第2収容部との間における背中側において、コネクタ部材を介して、ホースが2つに分離可能かつ配線が2つに分離可能に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する衣服の一態様によれば、身体温調装置を利用者の身体の所定位置に容易に装着することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例の衣服を正面側から示す斜視図である。
図2図2は、実施例の衣服を背面側から示す斜視図である。
図3図3は、実施例の衣服に取り付けられる身体温調装置を説明するための模式図である。
図4図4は、実施例の衣服に取り付けられる身体温調装置の温調部の一例を示す斜視図である。
図5図5は、実施例の衣服を模式的に示す正面図である。
図6図6は、実施例の衣服を模式的に示す背面図である。
図7図7は、実施例の衣服に第1収容部が取付けられた状態を正面側から示す斜視図である。
図8図8は、実施例の衣服から第1収容部が取り外された状態を背面側から示す斜視図である。
図9図9は、実施例の衣服における第1収容部を示す斜視図である。
図10図10は、実施例の衣服における第2収容部を模式的に示す斜視図である。
図11図11は、実施例の衣服における第3収容部の変形例を示す透視図である。
図12図12は、実施例の衣服における第3収容部の変形例を説明するための透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する衣服の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する衣服が限定されるものではない。
【実施例
【0010】
図1は、実施例の衣服を正面側から示す斜視図である。図2は、実施例の衣服を背面側から示す斜視図である。図1及び図2に示すように、実施例の衣服1は、例えば、作業着等の上着として着用されるものであり、利用者の体温を調節する身体温調装置2が着脱自在に取り付けられる。実施例の衣服1は、上着に限定されるものではなく、いわゆるつなぎ服に適用されてもよい。
【0011】
(身体温調装置の構成)
図3は、実施例の衣服1に取り付けられる身体温調装置2を説明するための模式図である。図4は、実施例の衣服1に取り付けられる身体温調装置2の温調部の一例を示す斜視図である。図3に示すように、衣服1に着脱自在に取り付けられる身体温調装置2は、利用者の首まわりに配置されて利用者に冷感または温感を与え、利用者の首まわりを冷却または加熱する温調部3と、熱交換部4と、温調部3と熱交換部4との間に熱媒体を流すためのホース部5と、を備える。図4に示すように、温調部3は、利用者の正面側が開くようなC字状に形成されており、利用者の首部を冷却または加熱するためのペルチェ素子(図示せず)が利用者の首まわりに沿うように設けられている。ペルチェ素子は、板状に形成されており、利用者と熱的に接する面(一側面)と、熱媒体と熱的に接する面(他側面)と、を有する(図示せず)。
【0012】
図3に示すように、熱交換部4は、いわゆる空冷型ラジエータが用いられており、例えば、熱媒体としての冷却液を送るポンプ(図示せず)と、冷却液を冷却するための送風ファン4aと、空気の吸込み口4b及び吹き出し口4cと、を有する(図10参照)。ホース部5は、温調部3の背面側から下方に向かって延びている。ホース部5は、冷却液を熱交換部4から温調部3へ流すホース5aと、冷却液を温調部3から熱交換部4へ流すホース5bと、を有する。例えば、利用者に冷感を与える場合は、ペルチェ素子の一側面が吸熱面となり、他側面が放熱面となる。冷却液は、他側面から熱を奪うことで、ペルチェ素子の熱交換効率を高めることができる。なお、利用者に温感を与える場合は、一側面が放熱面となり、他側面が吸熱面となる。熱交換部4は、配線5cを介して温調部3のペルチェ素子と接続されており、配線5cがホース部5のホース5a、5bと共にまとめて設けられている。
【0013】
また、身体温調装置2は、熱交換部4を操作するための操作部6と、操作部6と電気的に接続された電源部7と、熱交換部4と操作部6とを接続する配線部8と、を備える。操作部6は、温調部3の温度を調節するためのコントローラであり、ダイヤルつまみ6aを含む複数の操作手段を有する。操作部6を操作することにより、例えば、熱交換部4のポンプの流量、送風ファン4aの回転数、温調部3のペルチェ素子の電圧等が調節される。電源部7は、例えば、充電型バッテリであり、接続コード9を介して操作部6と接続される。配線部8は、電力及び制御信号を送る複数の配線を有しており、帯状に形成されている。
【0014】
また、身体温調装置2における温調部3、熱交換部4、操作部6、電源部7の各部は、コネクタ10を介してホース部5、配線部8、接続コード9が相互に接続されており、衣服1に対して身体温調装置2を着脱する際に、各部を個々に分離可能に構成されており、衣服1への着脱性が高められている。
【0015】
なお、本実施例の身体温調装置2は、例えば、利用者の首部を冷却するために用いられるが、熱交換部4のヒータによって熱媒体を加熱することで利用者の首部を加熱して体温を上げるために用いられてもよい。
【0016】
(衣服の構成)
図5は、実施例の衣服1を模式的に示す正面図であり、衣服1の襟1aが襟元1b(図1参照)に固定された状態を示している。図6は、実施例の衣服1を模式的に示す背面図であり、身体温調装置2を透視して示している。図1図2及び図5及び図6に示すように、実施例の衣服1は、温調部3が収容される第1収容部11と、熱交換部4が収容される第2収容部12と、操作部6が収容される第3収容部13と、を備える。また、衣服1は、ホース部5を通して収容するホース通し部16と、操作部6と熱交換部4とを接続する配線部8を通して収容する配線通し部17と、を備える。図5図6では、第2収容部12及び配線通し部17を模式的に示している。
【0017】
図5及び図6に示すように、第1収容部11は、衣服1の襟1aの内側に襟1aに沿って袋状に設けられている。これにより、温調部3が第1収容部11に収容されることで、温調部3を利用者の首まわりに沿って容易かつ安定的に配置することが可能となる。第2収容部12は、衣服1の背中Bの中央に設けられており、上方が開口するポケットとして形成されている。これにより、熱交換部4が第2収容部12に収容されることで、利用者の作業を妨げるおそれがある構造体が利用者の正面側に位置することが抑えられる。特に熱交換部4が送風ファン4aを有する場合であっても、送風ファン4aによる空気の流れによって利用者の作業が妨げられることを避けられる。また、衣服1の背中Bに配置される第2収容部12は、例えば、利用者の上半身の重心に重なるように配置されることで、第2収容部12に収容される熱交換部4の重量の感覚を軽減することが可能となる。なお、第1収容部11及び第2収容部12の詳細については後述する。
【0018】
第3収容部13は、衣服1の腰Wの左右にそれぞれ設けられており、いわゆるサイドポケット(以下、サイドポケットと称する。)として形成されている。操作部6は、衣服1の左右に設けられた2つの第3収容部13のうち、いずれか一方の第3収容部13に選択的に収容される。これにより、操作部6は、利用者の利き腕側に配置された第3収容部13に収容することが可能とされている。また、第3収容部13は、衣服1の胸Cの左右にそれぞれ設けられ、いわゆる胸ポケットとして形成されてもよい。このように熱交換部4と独立して設けられた操作部6が第3収容部13に収容されることで、操作部6を操作して身体温調装置2を容易に制御することが可能となる。また、第3収容部13は、衣服1の腰Wや胸Cに設けられることで、利用者が操作部6を容易に操作することが可能となる。なお、本実施例における衣服1のサイドポケットは、利用者の腰の左右に対応するように設けられるが、実施例に限定されない。例えば、衣服1の丈が短い場合には、サイドポケットを利用者の脇腹周辺に対応するように配置してもよい。
【0019】
また、第3収容部13は、操作部6に電気的に接続された電源部7を操作部6と共に収容可能な大きさに形成されている。これにより、サイドポケットや胸ポケットとして形成された第3収容部13に対して、利用者が電源部7を容易に出し入れすることが可能となり、電力を消耗した電源部7の充電や交換を容易に行うことが可能となる。
【0020】
また、衣服1の腰Wに設けられた第3収容部13の外側には、利用者が作業時に携帯する必要がある物品が収容される第4収容部14が、第3収容部13に重ねて設けられている。言い換えると、第4収容部14は、上方が開口する第2のサイドポケットとして形成されており、第4収容部14の内側に第3収容部13が設けられた二重ポケットである。これにより、第3収容部13内に操作部6が収容された状態であっても、第3収容部13と独立した第4収容部14を第2のサイドポケットとして使用することが可能となり、作業時の利用者の利便性が高められる。
【0021】
ホース通し部16は、衣服1の襟1aの後方から、背中Bの中央まで延びており、両端が開口する管状に形成されている。ホース通し部16には、温調部3から延ばされたホース部5が、利用者の背中に沿って通される。配線通し部17は、衣服1の背中Bから脇Sの下を通り、腰Wまたは胸Cまで延びており、両端が開口する管状に形成されている。熱交換部4から延ばされた配線部8が配線通し部17に沿って通されることで、配線部8が利用者の身体に沿うように配置される。ホース部5がホース通し部16に沿って収容されることで、衣服1の所定位置にホース部5が安定して保持される。また、ホース部5は、ホース通し部16に収容されているので、作業時に利用者がホース部5を利用者の周囲のものに引っ掛けてしまうことを防ぐことができ、ホース部5の破損を抑えることができる。
【0022】
配線通し部17は、衣服1の左右に設けられた各第3収容部13にそれぞれ向かって延びており、上述したように、2つの配線通し部17のうち、利用者の利き腕に応じて操作部6が収容された第3収容部13側に向かう配線通し部17に配線部8が選択的に通される。なお、本実施例では、第3収容部13及び配線通し部17が衣服1の左右にそれぞれ設けられたが、例えば、衣服1の右側のみに1つずつ設けられてもよい。配線部8が配線通し部17に沿って収容されることで、衣服1の所定位置に配線部8が安定して保持されるので、配線部8の配線の断線等の破損や絡まりを抑えることができる。また、配線通し部17は、衣服1の背中Bから脇Sの下を通り、腰Wまたは胸Cまで延びている。これにより、配線部8が身体の動きが少ない位置に配置されて、配線部8によって利用者の動作が妨げられることが抑えられる。
【0023】
なお、第2収容部12、第3収容部13及び第4収容部14は、上方が開口するポケットとして形成されたが、収容部の形態が限定されるものではなく、例えば、蓋付きポケットや、ボタン、線ファスナー、面ファスナー等の留め具付きポケット等として形成されてもよい。
【0024】
(第1収容部の構成)
図7は、実施例の衣服1に第1収容部11が取付けられた状態を正面側から示す斜視図である。図8は、実施例の衣服1から第1収容部11が取り外された状態を背面側から示す斜視図である。図9は、実施例の衣服1における第1収容部11を示す斜視図である。
【0025】
図6図7及び図8に示すように、第1収容部11は、利用者から見て襟1aの左右の両側に設けられた一対のポケット(右ポケット11a及び左ポケット11b)を有する。C字状の温調部3における長手方向(首まわり方向)の両端を右ポケット11a及び左ポケット11bにそれぞれ挿入することで、第1収容部11内に温調部3が容易に収容される。このように温調部3を、襟1aに沿って設けられた第1収容部11に収容することで、温調部3を利用者の首まわりの所定位置に容易かつ安定的に配置することが可能となる。また、温調部3が第1収容部11内に収容されることで、温調部3が襟1aを介して首に接するので、温調部3の温度による刺激が利用者に直接伝わることが抑えられる。なお、第1収容部11は、温調部3全体を覆う袋状に形成されてもよい。
【0026】
図8及び図9に示すように、衣服1の襟1aは、利用者の首の周方向に延びる第1部分21と、第1部分21から衣服1の背中B側に延びる第2部分22と、を有する略T字状に形成されている。例えば、襟1aは、第2部分22のみが、衣服1の襟元1bに着脱可能に連結されている。これにより、襟1aは、利用者の首の動きに対して第2部分22を中心として追従することが可能となる。このため、温調部3が首まわりの所定位置から大きくずれることを抑えて温調部3の位置の安定性が更に高められると共に、温調部3が第1収容部11に収容された襟1aによって利用者の首の動きが制限されることが抑えられる。また、襟1aが襟元1bから着脱可能に設けられたことにより、第1収容部11に対する温調部3の着脱性が高められると共に、衣服1において汚れやすい襟1aを取り外して洗濯することが可能となる。本実施例では、襟1aが襟元1bから取り外せるように設けられたが、襟1aが衣服1から取り外せないように設けられてもよい。
【0027】
実施例における第2部分22は、通し穴22aを形成するように襟1aに設けられており、襟1aの後方から衣服1の背中B側へ延びている。襟元1bの後方には、第2部分22に連結される帯状の連結部23が設けられており、襟1a側へ延びている。環状の第2部分22に通された連結部23を折り返して、連結部23が固定部材24で固定されることによって、襟1aが襟元1bに連結されている。固定部材24としては、例えば、スナップボタン、ホック、面ファスナー等が用いられる。なお、第2部分22と襟元1bとを連結する形態は、連結部23を有するものに限定されない。図示しないが、例えば、第2部分22は、帯状に形成されて、襟元1bに設けられた面ファスナーを介して連結されてもよい。
【0028】
第1収容部11は、温調部の首まわりに対する長さよりも、第1部分21の長手方向、すなわち襟1aまわりに対する長さが大きく形成されており、第1収容部11内に収容された温調部3を襟1aまわりに沿って移動可能に支持する。これにより、第1収容部11内において温調部3の移動が規制されることが抑えられ、利用者の首の動きの自由度が更に高められる。
【0029】
また、第1収容部11及び襟1aは、伸縮性を有する布等の材料、例えば、ストレッチ生地(織物)によって形成されている。このため、第1収容部11を伸縮させることにより、温調部3を第1収容部11内の適正な位置に容易に収容すると共に温調部3を第1収容部11内から容易に取り外すことができる。
【0030】
また、衣服1は、襟1aの第1部分21を襟元1bに固定するための固定部材25を備える。固定部材25は、図1及び図7に示すように、利用者から見て襟1aの第1部分21の左右及び襟元1bの左右にそれぞれ設けられており、例えば、図5に示すように、温調部3の非使用時に襟1aを襟元1bに一時的に固定することができる。固定部材25としては、固定部材24と同様に、例えば、スナップボタン、ホック、面ファスナー等が用いられる。
【0031】
(第2収容部の構成)
図10は、実施例の衣服1における第2収容部12を模式的に示す斜視図である。図10に示すように、第2収容部12には、熱交換部4が収容される収容空間の変形を規制する規制部材26が設けられている。規制部材26は、例えば、樹脂材料によって、剛性を有する平板として形成されており、第2収容部12の左右の側面に沿って設けられている。規制部材26によって、ポケットとしてのマチ部分を広げて第2収容部12の収容空間が維持されるので、熱交換部4の収容状態の安定性を高めると共に、第2収容部12に対する熱交換部4の着脱性が高められる。なお、規制部材26は、例えば、フレーム構造として直方体をなす枠状に形成されてもよい。
【0032】
また、第2収容部12には、熱交換部4の収容空間における利用者側に板状部材27が設けられている。板状部材27は、例えば、樹脂材料によって、四角形の平板として形成されている。上述した規制部材26と同様に、板状部材27によって、第2収容部12内の収容空間が維持されるので、熱交換部4の収容状態の安定性を高めると共に、第2収容部12に対する熱交換部4の着脱性が高められる。また、板状部材27は、利用者と第2収容部12との間で緩衝材としても機能し、利用者に熱交換部4の感触が伝わることが抑えられる。さらに、板状部材27は、例えば、ウレタン等の断熱性を有する材料によって形成されることで、熱交換部4のポンプ等が発生する熱が利用者に伝わることを抑えることができる。
【0033】
また、第2収容部12は、熱交換部4が有する送風ファン4aと第2収容部12の外部とを連通させる通気口28を有する。通気口28として、第2収容部12は、第2収容部12に収容された熱交換部4の吸込み口4bに対向して設けられた複数の吸気孔28aと、第2収容部12に収容された熱交換部4の吹き出し口4cに対向して設けられたスリット状の排気孔28bと、を有する。第2収容部12は、吸気孔28a及び排気孔28bを有することにより、熱交換部4への通気性が適正に確保されている。また、吸気孔28a及び排気孔28bが設けられる代わりに、熱交換部4への通気性を確保するため、第2収容部12は、例えば、メッシュ構造の布によって形成されてもよい。
【0034】
(第3収容部の変形例)
図11は、実施例の衣服1における第3収容部13の変形例を示す透視図である。図12は、実施例の衣服1における第3収容部13の変形例を説明するための透視図である。図11に示すように、変形例では、電源部7が一体に設けられた操作部6が、第3収容部13に収容される場合を一例として示す。
【0035】
図11及び図12に示すように、第3収容部13は、第3収容部13に収容された操作部6のダイヤルつまみ6aを、第3収容部13から露出させて第3収容部13の外側から操作するための切欠き13aを有する。これにより、第3収容部13内に操作部6が収容された状態で、ダイヤルつまみ6aを回転操作することが可能となるので、操作部6の操作性が高められる。また、第3収容部13が第4収容部14内に配置されることで、第3収容部13が切欠き13aを有する構造であっても、ダイヤルつまみ6aが衣服1の外側に露出されないので、ダイヤルつまみ6aを保護することができる。なお、第3収容部13は、上方が開口するポケットとして形成された場合、第3収容部13内に収容された操作部6の上端面に配置された操作部材を、開口を通して操作することも可能である。
【0036】
本実施例では、第3収容部13が衣服1の腰Wや胸Cに設けられたが、例えば、衣服1の袖に設けられてもよい。図示しないが、衣服1の袖には、操作部6と接続された表示部が収容される他の収容部が設けられてもよい。
【0037】
また、衣服1は、図2及び図6に示すように、第2収容部12を利用者の身体に沿わせるための複数の第1弾性部材31と、第3収容部13を利用者の身体に沿わせるための第2弾性部材32と、を有する。第1弾性部材31は、例えば、ゴムバンド等によって帯状に形成されており、第2収容部12から衣服1の左右の肩及び左右の腰Wまでそれぞれ放射状に延びている。これにより、第2収容部12内に収容された熱交換部4を利用者の背中に安定的に沿わせることが可能となり、熱交換部4の重さの感覚を軽減すると共に、作業時等の熱交換部4の位置の安定性が高められる。なお、第1弾性部材31が延びる向きが限定されるものではなく、第1弾性部材31の個数が限定されるものではない。また、第1弾性部材31は、第2収容部12と衣服1の肩との間、及び第2収容部12と衣服1の腰Wとの間に配置されていればよく、第1弾性部材31の一端が第2収容部12に連結されている構造に限定されない。
【0038】
第2弾性部材32は、例えば、ゴムバンド等によって帯状に形成されており、衣服1の腰Wに設けられた第3収容部13から衣服1の左右に沿って設けられている。すなわち、第2弾性部材32は、第3収容部13から衣服1の腰Wまわり(胴まわり)に沿って設けられている。これにより、第3収容部13内に収容された操作部6や電源部7を利用者の腰に安定的に沿わせることが可能となり、作業時等の操作部6等の位置の安定性が高められる。なお、第3収容部13が衣服1の胸Cに配置された場合には、第2弾性部材32は、第3収容部13から、衣服1の胸Cまわりに沿って設けられる。
【0039】
(身体温調装置の着脱)
以上のように構成された衣服1に対して、身体温調装置2を着脱する際の衣服1の取り扱いを説明する。身体温調装置2は、温調部3と、熱交換部4と、操作部6とが個々に分離された状態で衣服1に対して着脱される。例えば、衣服1の各第1収容部11、第2収容部12及び第3収容部13には、温調部3、熱交換部4、操作部6がそれぞれ収容された後、ホース部5がホース通し部16に沿って収容されると共に、配線部8が配線通し部17に沿って収容される。衣服1に身体温調装置2の各部がそれぞれ収容された後、身体温調装置2の各部がコネクタ10を介して接続されることにより、衣服1に身体温調装置2が取り付けられる。また、衣服1から身体温調装置2を取り外す際は、上述と同様に身体温調装置2が各部に分離されて、各部が衣服1からそれぞれ取り外される。
【0040】
(実施例の効果)
実施例の衣服1は、図2に示すように、温調部3と、熱交換部4と、ホース部5と、を備える身体温調装置2が着脱自在に取り付けられる衣服1であって、温調部3が収容される第1収容部11と、熱交換部4が収容される第2収容部12と、を備える。これにより、身体温調装置2を利用者の身体の所定位置に容易に装着することを可能とすると共に、身体温調装置2を衣服1から容易に取り外すことができる。したがって、衣服1と身体温調装置2とが分離されることで、衣服1を容易に洗濯することができる。
【0041】
また、実施例の衣服1が有する第1収容部11は、図1及び図2に示すように、衣服1の襟1aに設けられている。これにより、身体温調装置2の温調部3を第1収容部11に収容することで、温調部3を首まわりの所定位置に安定的に配置することが可能になる。温調部3が襟1aに保持されるので、温調部3を利用者の首まわりから大きくずれないように配置することができる。
【0042】
また、実施例の衣服1が有する第2収容部12は、図2に示すように、衣服1の背中Bに設けられている。これにより、第2収容部12に収容された熱交換部4によって利用者の正面側での作業が妨げられることを避けることができる。
【0043】
また、実施例の衣服1は、図1及び図5に示すように、熱交換部4を操作するための操作部6が収容される第3収容部13を備える。このように熱交換部4と独立して設けられた操作部6が第3収容部13に収容されることで、操作部6を操作して身体温調装置2を容易に制御することができる。
【0044】
また、実施例の衣服1が有する第3収容部13は、衣服1の腰Wまたは胸Cに設けられている。これにより、利用者が操作部6を容易に操作することが可能となり、操作部6の操作性を高めることができる。
【0045】
また、実施例の衣服1が有する第3収容部13は、図1に示すように、操作部6と電気的に接続された電源部7が収容可能に形成されている。これにより、利用者が第3収容部13に対して電源部7を容易に出し入れすることが可能となり、電力を消耗した電源部7の充電や交換を容易に行うことができる。
【0046】
また、実施例の衣服1は、図2及び図6に示すように、ホース部5を通して収容するホース通し部16を備える。これにより、ホース部5を利用者の身体に沿って安定して配置することが可能となり、ホース部5の破損を抑えることができる。
【0047】
また、実施例の衣服1は、図2及び図6に示すように、操作部6と熱交換部4とを接続する配線部8を通して収容する配線通し部17を備える。これにより、配線部8を利用者の身体に沿って安定して配置することが可能となり、配線部8の絡まりや破損を抑えることができる。
【0048】
また、実施例の衣服1の配線通し部17は、図1及び図2に示すように、衣服1の背中Bから脇Sの下を通り、腰Wまたは胸Cまで延びている。これにより、配線部8が身体の動きが少ない位置に配置されて、配線部8によって利用者の動作が妨げられることを抑えられる。
【0049】
また、実施例の衣服1は、図1及び図5に示すように、第3収容部13の外側に重ねて設けられて物品が収容される第4収容部14を備える。これにより、第3収容部13に操作部6が収容された状態であっても、第3収容部13と独立した第4収容部14を第2のサイドポケットとして使用することが可能となり、作業時の利用者の利便性を高めることができる。
【0050】
また、実施例の衣服1の襟1aは、図8及び図9に示すように、利用者の首の周方向に延びる第1部分21と、第1部分21から衣服1の背中B側に延びる第2部分22と、を有しており、第2部分22のみが、衣服1の襟元1bに着脱可能に連結されている。これにより、襟1aが利用者の首の動きに追従して第2部分22を中心として自由に移動することが可能となる。このため、利用者の首まわりに対する温調部3の位置の安定性が更に高められると共に、温調部3が第1収容部11に収容された襟1aによって利用者の首の動きが制限されることが抑えられる。また、襟1aが襟元1bから着脱可能に設けられたことにより、第1収容部11に対する温調部3の着脱性を高めると共に、衣服1から襟1aを取り外して洗濯することができる。
【0051】
また、実施例の衣服1は、図5及び図7に示すように、襟1aの第1部分21を襟元1bに固定するための固定部材25を備える。これにより、温調部3の非使用時に襟1aを襟元1bに一時的に固定することができる。
【0052】
また、実施例の衣服1が有する第1収容部11は、温調部3を第1部分21の長手方向に移動可能に支持する。これにより、第1収容部11内において温調部3の移動が規制されることが抑えられ、利用者の首の動きの自由度を更に高めることができる。
【0053】
また、実施例の衣服1が有する第1収容部11及び襟1aは、伸縮性を有する材料によって形成されている。これにより、温調部3を第1収容部11内の適正な位置に容易に収容すると共に温調部3を第1収容部11内から容易に取り外すことができる。
【0054】
また、実施例の衣服1が有する第2収容部12には、図10に示すように、熱交換部4の収容空間の変形を規制する規制部材26が設けられている。これにより、規制部材26によって第2収容部12内の収容空間が維持されるので、熱交換部4の収容状態の安定性を高めると共に、第2収容部12に対する熱交換部4の着脱性を高めることができる。
【0055】
また、実施例の衣服1が有する第2収容部12には、図10に示すように、熱交換部4の収容空間における利用者側に板状部材27が設けられている。これにより、板状部材27によって第2収容部12内の収容空間が維持されるので、熱交換部4の収容状態の安定性を高めると共に、第2収容部12に対する熱交換部4の着脱性を高めることができる。また、板状部材27は、利用者と第2収容部12との間で緩衝材としても機能し、利用者に熱交換部4の感触が伝わることを抑えられる。
【0056】
また、実施例の衣服1が有する板状部材27は、断熱性を有する材料によって形成されている。これにより、熱交換部4のポンプ等が発生する熱が利用者に伝わることを抑えることができる。
【0057】
また、実施例の衣服1が有する第2収容部12は、図10に示すように、熱交換部4が有する送風ファン4aと第2収容部12の外部とを連通させる通気口28を有する。これにより、熱交換部4への通気性が適正に確保されるので、熱交換部4の動作信頼性を確保することができる。
【0058】
また、実施例の衣服1が有する第3収容部13は、図11及び図12に示すように、第3収容部13内に収容された操作部6のダイヤルつまみ6aを、第3収容部13の外側から操作するための切欠き13aを有する。これにより、第3収容部13に操作部6が収容された状態で、ダイヤルつまみ6aを回転操作することが可能となるので、操作部6の操作性を高めることができる。
【0059】
また、実施例の衣服1は、図2及び図6に示すように、第2収容部12を利用者の身体に沿わせるための第1弾性部材31を備えており、第1弾性部材31が、第2収容部12から衣服1の肩及び腰Wまで延びている。これにより、第2収容部12内に収容された熱交換部4を利用者の背中に安定的に沿わせることが可能となり、熱交換部4の重さの感覚を軽減すると共に、作業時等の熱交換部4の位置の安定性を高めることができる。
【0060】
また、実施例の衣服1は、図1及び図5に示すように、第3収容部13を利用者の身体に沿わせるための第2弾性部材32を更に備えており、第2弾性部材32が、第3収容部13から衣服1の左右に沿って設けられている。これにより、第3収容部13内に収容された操作部6等を利用者の腰や胸に安定的に沿わせることが可能となり、作業時等の操作部6等の位置の安定性を高めることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 衣服
1a 襟
1b 襟元
2 身体温調装置
3 温調部
4 熱交換部
4a 送風ファン
4b 吸込み口
4c 吹き出し口
5 ホース部
6 操作部
7 電源部
8 配線部
11 第1収容部
12 第2収容部
13 第3収容部
13a 切欠き
14 第4収容部)
16 ホース通し部
17 配線通し部
21 第1部分
22 第2部分
25 固定部材
26 規制部材
27 板状部材
28 通気口
31 第1弾性部材
32 第2弾性部材
B 衣服の背中
C 衣服の胸
S 衣服の脇
W 衣服の腰
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12