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特許7524532平角線成形装置、平角線成形方法、及び平角線成形システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】平角線成形装置、平角線成形方法、及び平角線成形システム
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/061 20160101AFI20240723BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20240723BHJP
   B21F 1/00 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H01F41/061
H02K15/04 F
B21F1/00 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019216425
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021086973
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】池田 道治
(72)【発明者】
【氏名】清水 悠希
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-030850(JP,A)
【文献】国際公開第2016/024554(WO,A1)
【文献】特開2005-093852(JP,A)
【文献】特開昭54-007153(JP,A)
【文献】特開2019-048330(JP,A)
【文献】特開昭49-102560(JP,A)
【文献】特開昭50-080956(JP,A)
【文献】国際公開第2016/199788(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/017125(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/061
H02K 15/04
B21F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が矩形状の平角線を所定形状へと曲げ成形するための平角線成形システムであって、
第1作業位置と第1退避位置との間で移動可能であり、前記第1作業位置に位置するときに前記平角線の断面長辺側の面を曲げることができる第1平角線成形装置と、
第2作業位置と第2退避位置との間で移動可能であり、前記第2作業位置に位置するときに、前記平角線の断面短辺側の面を曲げることができる第2平角線成形装置とを備え、
前記第2平角線成形装置は、前記第1平角線成形装置が前記第1作業位置に位置する際に、前記第2退避位置に位置するように移動可能であり、かつ、前記第1平角線成形装置は、前記第2平角線成形装置が前記第2作業位置に位置する際に、前記第1退避位置に位置するように移動可能であり、
前記第1平角線成形装置は、前記平角線の断面長辺方向の側部が嵌る第1溝部をそれぞれ有する2本の第1成形用部材であって、前記平角線の断面長辺方向の両側の側部を前記第1溝部内に嵌めつつ前記平角線を両側から挟持可能でありかつ互いに平行に延在する2本の第1成形用部材を有し、
前記第2平角線成形装置は、前記平角線の短辺方向の側部が嵌る第2溝部をそれぞれ有する2本の第2成形用部材であって、前記平角線の断面短辺方向の両側の側部を前記第2溝部内に嵌めつつ前記平角線を両側から挟持可能でありかつ互いに平行に延在する2本の第2成形用部材を有し、
前記2本の第1成形用部材は、前記平角線を挟持した状態で、一方の第1成形用部材が他方の第1成形用部材を回転中心として回転する第1成形動作と、前記他方の第1成形用部材が前記一方の第1成形用部材を回転中心として回転する第2成形動作とを、選択的に実現可能であり、
前記2本の第2成形用部材は、前記平角線を挟持した状態で、一方の第2成形用部材が他方の第2成形用部材を回転中心として回転する第3成形動作と、前記他方の第2成形用部材が前記一方の第2成形用部材を回転中心として回転する第4成形動作とを、選択的に実現可能であり、
前記第1平角線成形装置及び前記第2平角線成形装置の組を、2組以上有し、
前記2組以上の前記第1平角線成形装置及び前記第2平角線成形装置は、前記平角線の一端を成形する第1組の前記第1平角線成形装置及び前記第2平角線成形装置と、前記平角線の他端を成形する第2組の前記第1平角線成形装置及び前記第2平角線成形装置とを含む、平角線成形システム。
【請求項2】
前記2本の第1成形用部材の延在方向は、前記2本の第2成形用部材の延在方向に対して垂直である、請求項に記載の平角線成形システム。
【請求項3】
前記第1組の前記第1平角線成形装置及び前記第2平角線成形装置を支持し、昇降可能な第1テーブルと、
前記第2組の前記第1平角線成形装置及び前記第2平角線成形装置を支持し、昇降可能な第2テーブルとを更に備える、請求項1又は2に記載の平角線成形システム。
【請求項4】
前記第1溝部は、前記第1成形用部材の延在方向に垂直な断面視で、全周にわたって設けられ、
前記第2溝部は、前記第2成形用部材の延在方向に垂直な断面視で、全周にわたって設けられる、請求項からのうちのいずれか1項に記載の平角線成形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、平角線成形装置、平角線成形方法、及び平角線成形システムに関する。
【背景技術】
【0002】
断面が矩形状の平角線を、4方向からチャックにより挟持し、挟持した平角線をフォーマ(成形用部材)により所定形状へと成形する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際特許公開第2014/050409号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術では、平角線における成形される部分周辺に、比較的広いスペースが必要となったり、成形動作の範囲に制約が生じたりするおそれがある。フォーマを含む成形装置の可動部が、その成形動作に関連した動きによって、成形装置の他の部位や周辺物(平角線における成形される部分以外の他の部分等を含む)と干渉することは、望ましくないためである。この結果、上記のような従来技術では、成形可能な平角線の形態に対する制約が比較的大きくなりやすい。
【0005】
そこで、1つの側面では、本発明は、成形可能な平角線の形態に対する制約を比較的小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、断面が矩形状の平角線を所定形状へと曲げ成形する平角線成形装置であって、
前記平角線の対向する2つの面を両側から挟持可能であり、かつ、互いに平行に延在する2本の成形用部材を有し、
前記2本の成形用部材は、前記平角線の対向する2つの面を両側から挟持した状態で、一方が他方を回転中心として回転する成形動作と、前記他方が前記一方を回転中心として回転する成形動作とを、選択的に実現可能である、平角線成形装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、本発明によれば、成形可能な平角線の形態に対する制約を比較的小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ステータの斜視図である。
図2A】組み付け状態の複数の同芯巻きコイルの一部を取り出した斜視図である。
図2B】組み付け状態の複数の同芯巻きコイルの一部を取り出した斜視図である。
図3】組み付け状態の4つの同芯巻きコイルだけを取り出した斜視図である。
図4】同芯巻きコイルの単品状態を示す斜視図である。
図5A】同芯巻きコイルの単品状態を示す図である。
図5B】同芯巻きコイルの単品状態を示す図である。
図6】本実施例による平角線成形システムにより成形される前の同芯巻きコイルの単品状態を示す斜視図である。
図7A】エッジワイズ成形機が作業位置に位置するときの、本実施例による平角線成形システムの一例を概略的に示す上面図である。
図7B】フラットワイズ成形機が作業位置に位置するときの、本実施例による平角線成形システムの一例を概略的に示す上面図である。
図8】第1成形ユニットにおける昇降テーブル上の構成を示す上面図である。
図9】エッジワイズ成形機の斜視図である。
図10】エッジワイズ成形機の分解斜視図である。
図11】回転機構の斜視図である。
図12】回転機構の正面図である。
図13】回転機構の分解斜視図である。
図14】分解された状態の回転機構の正面図である。
図15図9のP1部の拡大図である。
図16図15の上面図である。
図17】エッジワイズ成形機を用いた平角線成形方法の流れに沿った説明図(その1)である。
図18】エッジワイズ成形機を用いた平角線成形方法の流れに沿った説明図(その2)である。
図19A】本実施例による平角線成形方法の効果の説明図である。
図19B】比較例による平角線成形方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。なお、以下の説明において、用語「所定」は、「あらかじめ規定された」という意味で使用される、
なお、以下では、図1から図5Bを主に参照して、本実施例による巻線形成方法及び巻線形成装置を用いて製造されるステータコイルを利用して好適に製造可能なモータ等の構成を概説してから、図7A以降を主に参照して、本実施例による巻線形成方法及び巻線形成装置について詳説する。
【0010】
図1は、一実施例によるステータ12の斜視図である。図1には、ロータの図示が省略されている。以下では、円環状のステータコア14を基準として軸方向、径方向及び周方向を定義する。また、ステータコア14の軸方向中心から離れる側を軸方向外側と定義する。
【0011】
ステータ12は、複数の同芯巻きコイル10と、ステータコア14と、を備えている。複数の同芯巻きコイル10は、後述するように、接合されてステータコイルを形成する。ステータ12は、例えば三相交流モータなどの回転電機に用いられる固定子である。ステータ12は、回転子であるロータ(図示せず)に対して径方向外側に所定のエアギャップを介して配置された、通電によってロータを回転させる磁界を発生する部材である。
【0012】
ステータコア14は、中空円筒状に形成された部材である。ステータコア14の内径側には、ロータを収容するための空間(内径側空間)18が形成されている。なお、ステータコア14は、絶縁コーティングされた複数の電磁鋼板を軸方向に積層して形成されていてもよい。また、ステータコア14の径方向外側端面には、絶縁コーティングされた軟磁性体粉末を圧縮成型した材料で形成された円筒状のヨークが取り付けられていてもよい。
【0013】
ステータコア14は、円環状に形成されるバックヨーク20と、バックヨーク20の径方向内側端面から径方向内側(軸中心側)へ向けて延びるティース22と、を有している。ティース22は、バックヨーク20に対して周方向に複数(例えば、48個)設けられており、周方向に沿って等間隔で設けられている。周方向に隣接する2つのティース22の間には、同芯巻きコイル10が保持されるスロット24が形成されている。各スロット24は、径方向内側に開口しており、径方向外側に向けて延びている。各スロット24は、周方向幅が径方向外側ほど大きくなるように形成されている。ステータコア14は、複数のスロット24が軸中心から放射状に延びるように構成されている。
【0014】
同芯巻きコイル10は、断面が矩形状(具体的には、長方形)に形成された平角線により形成される。この平角線は、導電性の高い例えば銅やアルミニウム等の金属により構成されている。なお、この平角線の断面角部は、R加工されていてもよい。同芯巻きコイル10は、ステータコア14に対して周方向に複数(例えば、48個)配設される。なお、以下で、「エッジワイズ曲げ」とは、平角線の断面短辺側の面を曲げることを指し、「フラットワイズ曲げ」とは、平角線の断面長辺側の面を曲げることを指す。
【0015】
各同芯巻きコイル10は、平角線の断面短辺方向に複数本の平角線が積層されるように構成されていると共に、平角線が積層される積層方向に隣り合う平角線間に所定の隙間が形成されるように構成されている。例えば、各同芯巻きコイル10の組み付け状態では、ある任意の一のスロット24では、ある一の同芯巻きコイル10のスロット収容部30の各平角線間に、他の一の同芯巻きコイル10のスロット収容部32の各平角線が1本ずつ径方向に挟まれる状態となる。
【0016】
図2A及び図2Bは、組み付け状態の複数の同芯巻きコイル10の一部を取り出した斜視図であり、図2Aは、径方向内側且つ軸方向外側から視た図であり、図2Bは、径方向外側且つ軸方向内側から視た図である。図3は、組み付け状態の4つの同芯巻きコイル10だけを取り出した斜視図である。図4は、同芯巻きコイル10の単品状態を示す斜視図である。図5A及び図5Bは、同芯巻きコイル10の単品状態を示す図であり、図5Aは、軸方向に視た上面図であり、図5Bは正面図である。
【0017】
各同芯巻きコイル10はそれぞれ、所定巻回数(例えば4周)で巻回された平角線が曲げ加工されることにより成形されるカセットコイルである。
【0018】
各同芯巻きコイル10はそれぞれ、図4に示すように、スロット収容部30、32と、コイルエンド部34、36と、径方向内側端部40と、径方向外側端部50とを有している。なお、スロット収容部30、32及びコイルエンド部34、36は、同芯巻きコイル10の本体部(略六角形状の閉ループ部101(図6参照))を形成する。
【0019】
スロット収容部30、32はそれぞれ、ステータコア14のスロット24内に挿入(収容)される、そのスロット24を軸方向に貫くように略直線状に延びる部位である。同一の同芯巻きコイル10において、スロット収容部30とスロット収容部32とは、ステータコア14の周方向に所定距離離れた互いに異なるスロット24に収容される。
【0020】
コイルエンド部34、36はそれぞれ、スロット収容部30、32に接続すると共に、ステータコア14の軸方向端面から軸方向外側に向けて突出した、周方向に離れた2つのスロット収容部30、32同士を繋ぐ部位である。
【0021】
コイルエンド部36(径方向内側端部40及び径方向外側端部50が形成される側のコイルエンド部)は、図5Bに示すように、頂部361と、斜行部362、363とを含む。斜行部362、363は、頂部361の周方向両側からそれぞれ形成され、スロット収容部30及び32に向かって軸方向内側に傾斜する態様でそれぞれ延在する。
【0022】
径方向内側端部40及び径方向外側端部50は、周方向に離れた2つの同芯巻きコイル10のスロット収容部30、32同士を繋ぐ。図3に示す例では、周方向に90度ずつ離れた4つの同芯巻きコイル10が、一の同芯巻きコイル10の径方向内側端部40が、当該一の同芯巻きコイル10に隣接する他の一の同芯巻きコイル10の径方向外側端部50に接合する関係で、互いに接続される。
【0023】
径方向内側端部40は、図4に示すように、複数の曲げ加工を介して成形される。具体的には、径方向内側端部40は、第1斜行部402と、第1エッジワイズ曲げ部404と、第1直線部406と、第1フラットワイズ曲げ部408と、第2直線部410と、第2エッジワイズ曲げ部412と、第3直線部414と、第3エッジワイズ曲げ部416と、第4直線部418とを含む。なお、第1斜行部402は、スロット収容部30の端部302から形成される。スロット収容部30の端部302は、スロット収容部30の軸方向外側に延在する部位を周方向外側に向けてエッジワイズ曲げして形成される。図4に示す例では、第1斜行部402は、直線的に延在する直線部であるが、エッジワイズ曲げ部を含む階段状の形態で全体として斜め方向に延在してもよい。なお、スロット収容部30の端部302は、径方向内側端部40の一部とみなすこともできる。
【0024】
径方向外側端部50は、図4に示すように、複数の曲げ加工を介して成形される。具体的には、径方向外側端部50は、第2斜行部502と、第4エッジワイズ曲げ部504と、第5直線部506と、第2フラットワイズ曲げ部508と、第6直線部510とを含む。なお、第2斜行部502は、スロット収容部32の端部322から形成される。スロット収容部32の端部322は、スロット収容部32の軸方向外側に延在する部位を周方向外側に向けてエッジワイズ曲げして形成される。図4に示す例では、第2斜行部502は、直線的に延在する直線部であるが、エッジワイズ曲げ部を含む階段状の形態で全体として斜め方向に延在してもよい。なお、スロット収容部32の端部322は、径方向外側端部50の一部とみなすこともできる。
【0025】
このようにして、径方向内側端部40及び径方向外側端部50は、各種の曲げ部(第1エッジワイズ曲げ部404等)を有する。なお、ここでは、同芯巻きコイル10の特定の構成について説明したが、同芯巻きコイル10の詳細な構成については、任意である。例えば、径方向内側端部40及び径方向外側端部50の形状等は任意である。
【0026】
次に、図6以降を参照して、一実施例による平角線成形装置、平角線成形方法、及び平角線成形システムについて詳説する。
【0027】
図6は、本実施例による平角線成形システム60により成形される前の同芯巻きコイル10の単品状態を示す斜視図である。
【0028】
なお、上述した各同芯巻きコイル10はそれぞれ、一本の直線状の平角線から形成される。具体的には、一本の直線状の平角線は、巻線形成装置(図示せず)により略六角形状等に成形されつつ複数周巻回され、その後、同芯巻きコイル10のコイルエンド部34、36が、成形装置(図示せず)により最終的な所定形状(図4参照)へと成形される。そして、その後、同芯巻きコイル10の径方向内側端部40及び径方向外側端部50は、それぞれの接合部の被覆が被覆剥離装置(図示せず)により剥離された後、以下で詳説する平角線成形システム60により最終的な所定形状(図4参照)へと曲げ成形される。
【0029】
従って、以下の平角線成形システム60に関する説明において、同芯巻きコイル10は、特に言及しない限り、図6に示すように、径方向内側端部40及び径方向外側端部50が真っ直ぐの成形前の状態であるものとする。すなわち、本実施例による平角線成形システム60により成形される前の同芯巻きコイル10は、閉ループ部101と、閉ループ部から外側へと延在する2つの直線状部位102、103とを有する。なお、直線状部位102は、平角線成形システム60により、径方向内側端部40の形状へと成形され、直線状部位103は、平角線成形システム60により、径方向外側端部50の形状へと成形される。
【0030】
図7A及び図7Bは、本実施例による平角線成形システム60の一例を概略的に示す上面図である。図7Aは、後述するエッジワイズ成形機612及びエッジワイズ成形機622が作業位置にある状態を示し、図7Bは、後述するフラットワイズ成形機611及びフラットワイズ成形機621が作業位置にある状態を示す。図7A及び図7Bには、平角線成形システム60で処理される一の同芯巻きコイル10(以下、単に「同芯巻きコイル10」とも称する)が併せて示されている。なお、図7A以降で示される場合がある同芯巻きコイル10は、都合上、巻回数が図6以前に示す同芯巻きコイル10とは異なるが、上述のように巻回数は任意であってよく、かかる相違点は、平角線成形システム60の構成に実質的に影響しない。
【0031】
平角線成形システム60は、図7A及び図7Bに示すように、第1成形ユニット61と、第2成形ユニット62と、コイル保持ユニット63と、制御ユニット64とを含む。
【0032】
第1成形ユニット61は、同芯巻きコイル10の直線状部位102、103のうちの、直線状部位102を処理する。第1成形ユニット61は、直線状部位102を径方向内側端部40の形状へと成形する。
【0033】
第1成形ユニット61は、昇降テーブル610(第1テーブルの一例)と、フラットワイズ曲げ用の成形機611(以下、「フラットワイズ成形機611」とも称する)(平角線成形装置又は第1平角線成形装置の一例)と、エッジワイズ曲げ用の成形機612(以下、「エッジワイズ成形機612」とも称する)(平角線成形装置又は第2平角線成形装置の一例)とを含む。
【0034】
昇降テーブル610は、水平面を画成する設置面を有し、当該設置面上に、エッジワイズ成形機612及びフラットワイズ成形機611の各基部(図9の基部93参照)が固定される。昇降テーブル610は、図示しない昇降機構を介して上下方向(紙面に垂直な方向)に移動可能である。また、昇降テーブル610は、更に、水平面内で並進移動が可能であってもよいし、及び/又は、水平面に垂直な軸まわりに回転が可能であってもよい。
【0035】
フラットワイズ成形機611は、直線状部位102に対してフラットワイズ曲げを行う。例えば図4に示す径方向内側端部40の場合、フラットワイズ成形機611は、第1フラットワイズ曲げ部408を形成する。
【0036】
フラットワイズ成形機611は、2本の成形用部材6111、6112(第1成形用部材の一例)を有し、2本の成形用部材6111、6112によりフラットワイズ曲げを実現する。2本の成形用部材6111、6112は、互いに平行な直線状の部材(ピンの形態の部材)であり、それぞれの中心軸が水平面内に延在する。なお、成形用部材6111の中心軸とは、例えば、成形用部材6111の断面の中心(例えば円形断面の中心)を通る軸である。これは、成形用部材6112や後述する同様の成形用部材(成形用部材6121、6122、6211、6212、6221、6222)についても同様である。
【0037】
成形用部材6111、6112は、互いの間隔が広がる開位置(開放位置)と、互いの間隔が狭まる閉位置との間で開閉動作が可能である。成形用部材6111、6112は、閉位置では、互いの間に直線状部位102を挟持(クランプ)する。この場合、成形用部材6111、6112は、閉位置では、直線状部位102の断面長辺側の面を、その両側(断面長辺方向の両側)から挟持する。他方、成形用部材6111、6112は、開位置では、直線状部位102を挟持できず、成形用部材6111、6112から直線状部位102を開放できる。
【0038】
成形用部材6111、6112は、直線状部位102の断面長辺側の面を両側から挟持した状態で、一方が他方を回転中心として回転する第1フラットワイズ成形動作(第1成形動作の一例)と、他方が一方を回転中心として回転する第2フラットワイズ成形動作(第2成形動作の一例)とを、選択的に実現可能である。このような第1フラットワイズ成形動作及び第2フラットワイズ成形動作が可能であることで、成形用部材6111、6112により2種類のフラットワイズ曲げを効率的に実現できる。2種類のフラットワイズ曲げとは、断面長辺側の2面のうちの、一方側の面が伸び側となるフラットワイズ曲げと、他方側の面が伸び側となるフラットワイズ曲げを指す。すなわち、第1フラットワイズ成形動作は、断面長辺側の2面のうちの、一方側の面が伸び側となるフラットワイズ曲げを実現するための動作であり、第2フラットワイズ成形動作は、他方側の面が伸び側となるフラットワイズ曲げを実現するための動作である。このような第1フラットワイズ成形動作及び第2フラットワイズ成形動作の詳細については、2本の成形用部材6121、6122の同様の成形動作(後述の第1エッジワイズ成形動作及び第2エッジワイズ成形動作)とともに、後で説明する。
【0039】
フラットワイズ成形機611は、作業位置(図7B参照)(第1作業位置の一例)と退避位置(図7A参照)(第1退避位置の一例)との間で移動可能である。フラットワイズ成形機611は、コイル保持ユニット63に対する昇降テーブル610の移動によって作業位置(図7B参照)と退避位置(図7A参照)との間の移動を実現してもよいし、及び/又は、昇降テーブル610に対する自身の移動によって作業位置(図7B参照)と退避位置(図7A参照)との間の移動を実現してもよい。
【0040】
フラットワイズ成形機611は、その作業位置に位置するとき、コイル保持ユニット63により保持されている同芯巻きコイル10の直線状部位102に対して成形用部材6111、6112によりフラットワイズ曲げを行うことができる。
【0041】
他方、フラットワイズ成形機611は、その退避位置に位置するときは、コイル保持ユニット63により保持されている同芯巻きコイル10の直線状部位102から離反する(例えば、水平面内で離反する)。この場合、退避位置にあるフラットワイズ成形機611に代えて、エッジワイズ成形機612がその作業位置に至ることができる。すなわち、フラットワイズ成形機611がその退避位置にあるときは、エッジワイズ成形機612がその作業位置に至ることができる。
【0042】
エッジワイズ成形機612は、直線状部位102に対してエッジワイズ曲げを行う。例えば図4に示す径方向内側端部40の場合、エッジワイズ成形機612は、端部302と、第1エッジワイズ曲げ部404と、第2エッジワイズ曲げ部412と、第3エッジワイズ曲げ部416とを形成する。
【0043】
エッジワイズ成形機612は、2本の成形用部材6121、6122(第2成形用部材の一例)を有し、2本の成形用部材6121、6122によりエッジワイズ曲げを実現する。2本の成形用部材6121、6122は、互いに平行な直線状の部材(ピンの形態の部材)であり、それぞれの中心軸が水平面内に延在する。
【0044】
成形用部材6121、6122は、互いの間隔が広がる開位置(開放位置)と、互いの間隔が狭まる閉位置との間で開閉動作が可能である。成形用部材6121、6122は、閉位置では、互いの間に直線状部位102を挟持する。この場合、成形用部材6121、6122は、閉位置では、直線状部位102の断面短辺側の面を、その両側(断面短辺方向の両側)から挟持する。他方、成形用部材6121、6122は、開位置では、直線状部位102を挟持できず、成形用部材6121、6122から直線状部位102を開放できる。
【0045】
成形用部材6121、6122は、直線状部位102の断面短辺側の面を両側から挟持した状態で、一方が他方を回転中心として回転する第1エッジワイズ成形動作(第3成形動作の一例)と、他方が一方を回転中心として回転する第2エッジワイズ成形動作(第4成形動作の一例)とを、選択的に実現可能である。このような第1エッジワイズ成形動作及び第2エッジワイズ成形動作が可能であることで、成形用部材6121、6122により2種類のエッジワイズ曲げを効率的に実現できる。2種類のエッジワイズ曲げとは、断面短辺側の2面のうちの、一方側の面が伸び側となるエッジワイズ曲げと、他方側の面が伸び側となるエッジワイズ曲げを指す。すなわち、第1エッジワイズ成形動作は、断面短辺側の2面のうちの、一方側の面が伸び側となるエッジワイズ曲げを実現するための動作であり、第2エッジワイズ成形動作は、他方側の面が伸び側となるエッジワイズ曲げを実現するための動作である。このような第1エッジワイズ成形動作及び第2エッジワイズ成形動作については、後に詳説する。
【0046】
エッジワイズ成形機612は、作業位置(図7A参照)(第2作業位置の一例)と退避位置(図7B参照)(第2退避位置の一例)との間で移動可能である。エッジワイズ成形機612は、コイル保持ユニット63に対する昇降テーブル610の移動によって作業位置(図7A参照)と退避位置(図7B参照)との間の移動を実現してもよいし、及び/又は、昇降テーブル610に対する自身の移動によって作業位置(図7A参照)と退避位置(図7B参照)との間の移動を実現してもよい。
【0047】
エッジワイズ成形機612は、その作業位置に位置するとき、コイル保持ユニット63により保持されている同芯巻きコイル10の直線状部位102に対して成形用部材6121、6122によりエッジワイズ曲げを行うことができる。
【0048】
他方、エッジワイズ成形機612は、その退避位置に位置するとき、コイル保持ユニット63により保持されている同芯巻きコイル10の直線状部位102から離反する(例えば、水平面内で離反する)。この場合、退避位置にあるエッジワイズ成形機612に代えて、フラットワイズ成形機611がその作業位置に至ることができる。すなわち、エッジワイズ成形機612がその退避位置にあるときは、フラットワイズ成形機611がその作業位置に至ることができる。
【0049】
なお、エッジワイズ成形機612の構成の更なる詳細は、後述する。
【0050】
フラットワイズ成形機611とエッジワイズ成形機612は、フラットワイズ成形機611の2本の成形用部材6111、6112の中心軸(延在方向)とエッジワイズ成形機612の2本の成形用部材6121、6122の中心軸(延在方向)とが90度をなすように、互いに対して配置される。これにより、フラットワイズ曲げを行う際とエッジワイズ曲げを行う際との間で同芯巻きコイル10の回転等させる必要がなくなり、フラットワイズ成形機611とエッジワイズ成形機612とによる効率的な成形方法を実現できる。また、2本の成形用部材6111、6112の回転動作の際に、2本の成形用部材6121、6122との干渉が生じ難く、また、2本の成形用部材6121、6122の回転動作の際に、2本の成形用部材6111、6112との干渉が生じ難くなる。これにより、2本の成形用部材6111、6112や2本の成形用部材6121、6122の回転ストロークを拡大することも可能であり、この結果、フラットワイズ成形機611とエッジワイズ成形機612とにより成形可能な同芯巻きコイル10の形状(すなわち所定形状)に対する制約を比較的小さくすることができる。
【0051】
第2成形ユニット62は、昇降テーブル620(第2テーブルの一例)と、フラットワイズ曲げ用の成形機621(以下、「フラットワイズ成形機621」とも称する)(平角線成形装置又は第1平角線成形装置の一例)と、エッジワイズ曲げ用の成形機622(以下、「エッジワイズ成形機622」とも称する)(平角線成形装置又は第2平角線成形装置の一例)とを含む。
【0052】
昇降テーブル620は、水平面を画成する設置面を有し、当該設置面上に、フラットワイズ成形機621及びエッジワイズ成形機622の各基部が固定される。昇降テーブル620は、図示しない昇降機構を介して上下方向(紙面に垂直な方向)に移動可能である。また、昇降テーブル620は、更に、水平面内で並進移動が可能であってもよいし、及び/又は、水平面に垂直な軸まわりに回転が可能であってもよい。
【0053】
フラットワイズ成形機621は、直線状部位103に対してフラットワイズ曲げを行う。例えば図4に示す径方向外側端部50の場合、フラットワイズ成形機621は、第2フラットワイズ曲げ部508を形成する。
【0054】
フラットワイズ成形機621の構成は、上述したフラットワイズ成形機611の構成と実質的に同一である。すなわち、フラットワイズ成形機621は、上述した成形用部材6111、6112と同様の2本の成形用部材6211、6212(第1成形用部材の一例)を有し、2本の成形用部材6211、6212によりフラットワイズ曲げを実現する。2本の成形用部材6211、6212は、互いに平行な直線状の部材(ピンの形態の部材)であり、それぞれの中心軸が水平面内に延在する。また、フラットワイズ成形機621は、作業位置(図7B参照)(第1作業位置の一例)と退避位置(図7A参照)(第1退避位置の一例)との間で移動可能である。
【0055】
エッジワイズ成形機622は、直線状部位103に対してエッジワイズ曲げを行う。例えば図4に示す径方向外側端部50の場合、エッジワイズ成形機622は、端部322と、第4エッジワイズ曲げ部504とを形成する。
【0056】
エッジワイズ成形機622の構成は、上述したエッジワイズ成形機612の構成と実質的に同一である。すなわち、エッジワイズ成形機622は、上述した成形用部材6121、6122と同様の2本の成形用部材6221、6222(第2成形用部材の一例)を有し、2本の成形用部材6221、6222によりエッジワイズ曲げを実現する。2本の成形用部材6221、6222は、互いに平行な直線状の部材(ピンの形態の部材)であり、それぞれの中心軸が水平面内に延在する。また、上述したエッジワイズ成形機612と同様、エッジワイズ成形機622は、作業位置(図7A参照)(第2作業位置の一例)と退避位置(図7B参照)(第2退避位置の一例)との間で移動可能である。
【0057】
フラットワイズ成形機621とエッジワイズ成形機622は、フラットワイズ成形機621の2本の成形用部材6211、6212の中心軸(延在方向)とエッジワイズ成形機622の2本の成形用部材6221、6222の中心軸(延在方向)とが90度をなすように、互いに対して配置される。
【0058】
コイル保持ユニット63は、同芯巻きコイル10を保持する。すなわち、コイル保持ユニット63は、第1成形ユニット61及び第2成形ユニット62により各種の曲げ成形に必要な力が同芯巻きコイル10に作用するように、同芯巻きコイル10を保持する。コイル保持ユニット63は、好ましくは、図7A及び図7Bに示すように、第1成形ユニット61と第2成形ユニット62との間に配置される。この場合、コイル保持ユニット63により保持される同芯巻きコイル10に対して、第1成形ユニット61と第2成形ユニット62とにより同時に又は比較的短い時間差で、それぞれの処理を行うことが可能となる。
【0059】
制御ユニット64は、コンピュータ等により形成される。制御ユニット64は、複数のコンピュータにより形成されてもよい。制御ユニット64は、第1成形ユニット61及び第2成形ユニット62の近傍に設けられてもよいし、遠隔位置に設けられてもよい。制御ユニット64は、第1成形ユニット61、第2成形ユニット62、及びコイル保持ユニット63の各種動作を制御する。
【0060】
例えば、制御ユニット64は、昇降テーブル610の昇降機構を制御して、エッジワイズ成形機612やフラットワイズ成形機611に対して、コイル保持ユニット63により保持される同芯巻きコイル10を適切な高さに位置付ける。同様に、制御ユニット64は、昇降テーブル620の昇降機構を制御して、エッジワイズ成形機622やフラットワイズ成形機621に対して、コイル保持ユニット63により保持される同芯巻きコイル10を適切な高さに位置付ける。なお、昇降テーブル610及び昇降テーブル620は、好ましくは、互いに独立に制御可能である。この場合、コイル保持ユニット63により保持される同芯巻きコイル10に対して、第1成形ユニット61と第2成形ユニット62とにより同時に又は比較的短い時間差で、それぞれの処理を行うことが可能となる。
【0061】
また、制御ユニット64は、フラットワイズ成形機611、エッジワイズ成形機612、フラットワイズ成形機621、及びエッジワイズ成形機622の各種成形動作を制御する。なお、本実施例では、一例として、直線状部位102、103に対する各種の曲げ成形は、直線状部位102、103のそれぞれの先端側から順に実行される。例えば、直線状部位102の場合、第3エッジワイズ曲げ部416、第2エッジワイズ曲げ部412、第1フラットワイズ曲げ部408、第1エッジワイズ曲げ部404、及び端部302の順に成形される。
【0062】
また、制御ユニット64は、フラットワイズ成形機611、エッジワイズ成形機612、フラットワイズ成形機621、及びエッジワイズ成形機622の移動(それぞれの退避位置と作業位置との間の移動)を制御する。
【0063】
本実施例では、制御ユニット64は、フラットワイズ成形機611がその作業位置に位置するときは、エッジワイズ成形機612がその退避位置に位置するように、かつ、エッジワイズ成形機612がその作業位置に位置するときは、フラットワイズ成形機611がその退避位置に位置するように、フラットワイズ成形機611及びエッジワイズ成形機612の各移動を制御する。この場合、エッジワイズ成形機612の作業位置から退避位置への移動(図7Aの矢印R71参照)は、フラットワイズ成形機611の退避位置から作業位置への移動(図7Aの矢印R72参照)と連動してもよく、同様に、エッジワイズ成形機612の退避位置から作業位置への移動は、フラットワイズ成形機611の作業位置から退避位置への移動と連動してもよい。このような各種の移動(連動を含む)は、任意の機構及び駆動源により実現されてもよい。
【0064】
同様に、本実施例では、制御ユニット64は、フラットワイズ成形機621がその作業位置に位置するときは、エッジワイズ成形機622がその退避位置に位置するように、かつ、エッジワイズ成形機622がその作業位置に位置するときは、フラットワイズ成形機621がその退避位置に位置するように、フラットワイズ成形機621及びエッジワイズ成形機622の各移動を制御する。この場合、エッジワイズ成形機622の作業位置から退避位置への移動(図7Aの矢印R73参照)は、フラットワイズ成形機621の退避位置から作業位置への移動(図7Aの矢印R74参照)と連動してもよく、同様に、エッジワイズ成形機622の退避位置から作業位置への移動は、フラットワイズ成形機621の作業位置から退避位置への移動と連動してもよい。このような各種の移動(連動を含む)は、任意の機構及び駆動源により実現されてもよい。
【0065】
このような本実施例の平角線成形システム60によれば、フラットワイズ成形機611及びエッジワイズ成形機612は、一方がその作業位置に位置するときに他方がその退避位置に位置する関係で、それぞれの退避位置と作業位置との間を移動する。これにより、フラットワイズ成形機611の成形動作の際にフラットワイズ成形機611の可動部(例えば成形用部材6111、6112)がエッジワイズ成形機612と干渉する可能性を、無くすことができる。換言すると、フラットワイズ成形機611の可動部の可動範囲を拡大することが可能となり、その分だけ、フラットワイズ成形機611により成形可能な形状(例えばフラットワイズ曲げ部の曲げ角度)の自由度を高めることができる。同様に、エッジワイズ成形機612の成形動作の際にエッジワイズ成形機612の可動部(例えば成形用部材6121、6122)が、フラットワイズ成形機611に干渉する可能性を、無くすことができる。換言すると、エッジワイズ成形機612の可動部の可動範囲を拡大することが可能となり、その分だけ、エッジワイズ成形機612により成形可能な形状(例えばエッジワイズ曲げ部の曲げ角度)の自由度を高めることができる。この結果、フラットワイズ成形機611とエッジワイズ成形機612とにより成形可能な同芯巻きコイル10の形状(すなわち所定形状)に対する制約を比較的小さくすることができる。
【0066】
また、本実施例の平角線成形システム60によれば、フラットワイズ成形機611及びエッジワイズ成形機612は、一方がその作業位置に位置するときに他方がその退避位置に位置する関係で、それぞれの退避位置と作業位置との間を移動しながら、同芯巻きコイル10の直線状部位102を、比較的短時間で曲げ成形できる。これは、フラットワイズ成形機621及びエッジワイズ成形機622についても同様である。このようにして、本実施例の平角線成形システム60によれば、同芯巻きコイル10の直線状部位102、103を、最終的な所定形状(図4に示す形状参照)へと効率的に成形できる。
【0067】
また、本実施例の平角線成形システム60によれば、2組のフラットワイズ成形機及びエッジワイズ成形機(すなわち、フラットワイズ成形機611及びエッジワイズ成形機612からなる第1組と、フラットワイズ成形機621及びエッジワイズ成形機622からなる第2組)を有することで、同芯巻きコイル10の直線状部位102、103を、比較的短時間で曲げ成形できる。このようにして、本実施例の平角線成形システム60によれば、同芯巻きコイル10の直線状部位102、103を、最終的な所定形状(図4に示す形状参照)へと効率的に成形できる。
【0068】
例えば、本実施例の平角線成形システム60によれば、フラットワイズ成形機611及びエッジワイズ成形機612からなる第1組と、フラットワイズ成形機621及びエッジワイズ成形機622からなる第2組とが、同時に成形動作を実現できる。なお、図7Aは、第1組のエッジワイズ成形機612と第2組のエッジワイズ成形機622が同時に成形動作を実現できる状態を示す。また、図7Bは、第1組のフラットワイズ成形機611と第2組のフラットワイズ成形機621が同時に成形動作を実現できる状態を示す。ただし、第1組のエッジワイズ成形機612と第2組のフラットワイズ成形機621が同時に成形動作を実現することや、第1組のフラットワイズ成形機611と第2組のエッジワイズ成形機622が同時に成形動作を実現することも可能である。
【0069】
ところで、本実施例では、一例として、同芯巻きコイル10の直線状部位102、103から形成される径方向内側端部40及び径方向外側端部50は、図4に示したように、ともに、フラットワイズ曲げ部とエッジワイズ曲げ部とを有する。このような場合、平角線成形システム60においては、フラットワイズ成形機611、エッジワイズ成形機612、フラットワイズ成形機621、及びエッジワイズ成形機622のそれぞれが機能することになる。
【0070】
しかしながら、同芯巻きコイルの構成によっては、径方向内側端部40及び径方向外側端部50のような径方向内側端部及び径方向外側端部のうちの少なくともいずれか一方が、フラットワイズ曲げ部とエッジワイズ曲げ部のうちの一方だけしか備えない場合もありうる。この場合、フラットワイズ成形機611、エッジワイズ成形機612、フラットワイズ成形機621、及びエッジワイズ成形機622のうちの、対応する成形機が機能しないことになる。換言すると、本実施例の平角線成形システム60は、多様な構成の同芯巻きコイルの成形に好適に利用でき、汎用性の高いシステムを実現できる。
【0071】
なお、本実施例では、平角線成形システム60は、2組のフラットワイズ成形機及びエッジワイズ成形機(すなわち、フラットワイズ成形機611及びエッジワイズ成形機612からなる第1組と、フラットワイズ成形機621及びエッジワイズ成形機622からなる第2組)を有するが、これに限られない。例えば、1組のフラットワイズ成形機及びエッジワイズ成形機のみが設けられてもよいし、3組以上のフラットワイズ成形機及びエッジワイズ成形機が設けられてもよい。例えば、エッジワイズ曲げ部だけしか存在しない端部を成形するだけの平角線成形システムの場合は、エッジワイズ成形機612のようなエッジワイズ成形機のみが設けられてもよい。
【0072】
次に、図8以降を参照して、第1成形ユニット61の更なる詳細について説明する。なお、ここでは、第1成形ユニット61について説明するが、第2成形ユニット62についても実質的に同様であってよい。
【0073】
図8は、第1成形ユニット61における昇降テーブル610上の構成(各種の駆動源等)を示す上面図である。図8には、図7Aと同様、同芯巻きコイル10が併せて示されている。
【0074】
図8には、フラットワイズ成形機611の成形用部材6111、6112を回転駆動するための駆動源6113と、成形用部材6111、6112を開閉駆動する駆動源6114とが図示されている。また、図8には、エッジワイズ成形機612の成形用部材6121、6122を回転駆動するための駆動源6123と、成形用部材6121、6122を開閉駆動する駆動源6124とが図示されている。なお、これらの駆動源6113、6114、6123、6124は、動力シリンダの形態であってよい。
【0075】
また、図8には、エッジワイズ成形機612を、作業位置側(Y1側)又は退避位置側(Y2側)にY方向に沿って並進移動させるための駆動源6128が図示されている。駆動源6128は、動力シリンダの形態であってよい。駆動源6128は、フラットワイズ成形機611を作業位置側(X1側)と退避位置側(X2側)にX方向に沿って並進移動させる駆動源としても機能する。この場合、図示しない連動機構によって、作業位置側(Y1側)へのエッジワイズ成形機612の移動に連動して、フラットワイズ成形機611の退避位置側(X2側)への移動が実現され、かつ、退避位置側(Y2側)へのエッジワイズ成形機612の移動に連動して、フラットワイズ成形機611の作業位置側(X1側)への移動が実現される。なお、変形例では、フラットワイズ成形機611の移動と、エッジワイズ成形機612の移動とは、独立して実現されてもよい。
【0076】
また、図8には、昇降テーブル610をY方向に沿って並進移動させるための駆動源駆動源6101が図示されている。駆動源6101は、動力シリンダの形態であってよい。
【0077】
このように、昇降テーブル610には、第1成形ユニット61による各種動作を実現するための駆動源が設けられてよい。
【0078】
図9から図14は、エッジワイズ成形機612の構成の一例を示す図である。図9から図14には、成形用部材6121、6122が閉位置にあるときのエッジワイズ成形機612が示されている。図9は、エッジワイズ成形機612の斜視図である。図10は、図9のエッジワイズ成形機612の分解斜視図である。図11は、回転機構90の斜視図であり、図12は、図11の回転機構90の正面図(Y方向Y1側から視た正面図)であり、図13は、回転機構90の分解斜視図であり、図14は、図13の分解された回転機構90の正面図(Y方向Y1側から視た正面図)である。
【0079】
なお、ここでは、エッジワイズ成形機612について説明するが、フラットワイズ成形機611についても実質的に同様であってよい。
【0080】
エッジワイズ成形機612は、図9に示すように、回転機構90と、昇降テーブル610に固定される基部93とを有し、基部93に、回転機構90が支持される。
【0081】
回転機構90は、図10に示すように、成形用部材6121を回転駆動するための第1回転機構91と、成形用部材6122を回転駆動するための第2回転機構92とを含む。図10に示す例では、第1回転機構91は、基部93の支持部931を介して基部93に支持され、第2回転機構92は、基部93の支持部932を介して基部93に支持されている。支持部931、932は、X方向に延在する。第1回転機構91及び/又は第2回転機構92は、成形用部材6121、6122の開閉動作が可能となるように、X方向の変位可能に支持されてよい。なお、基部93に対する回転機構90の支持方法は、図示の態様に限られず、任意である。
【0082】
第1回転機構91は、図11から図14に示すように、駆動源910と、出力ギア部911と、カウンタギア部912とを含む。
【0083】
駆動源910は、例えば電動モータであり、出力ギア部911を回転させる。出力ギア部911の外周部に形成されるギアには、カウンタギア部912の外周部に形成されるギアが噛み合う。なお、カウンタギア部912の外周部には、周方向の一部の区間にのみギアが形成されている。
【0084】
カウンタギア部912には、成形用部材6121が設けられる。成形用部材6121の延在方向(中心軸)は、カウンタギア部912の回転軸に対して偏心する。従って、出力ギア部911の回転に伴いカウンタギア部912が回転すると、成形用部材6121は、カウンタギア部912の回転軸まわりを周回する態様で、カウンタギア部912の回転軸まわりを回転する。
【0085】
第2回転機構92は、図11から図14に示すように、駆動源920と、出力ギア部921と、カウンタギア部922とを含む。
【0086】
駆動源920は、例えば電動モータであり、出力ギア部921を回転させる。なお、駆動源920は、上述した駆動源910とともに、上述した駆動源6123(図8参照)を形成する。出力ギア部921の外周部に形成されるギアには、カウンタギア部922の外周部に形成されるギアが噛み合う。なお、カウンタギア部922の外周部には、周方向の一部の区間にのみギアが形成されている。
【0087】
カウンタギア部922には、成形用部材6122が設けられる。成形用部材6122の延在方向(中心軸)は、カウンタギア部922の回転軸に対して偏心する。従って、出力ギア部921の回転に伴いカウンタギア部922が回転すると、成形用部材6122は、カウンタギア部922の回転軸まわりを周回する態様で、カウンタギア部922の回転軸まわりを回転する。
【0088】
ここで、本実施例では、第1回転機構91及び第2回転機構92は、成形用部材6121、6122が閉位置にあるときに第1回転機構91のカウンタギア部912の回転軸が成形用部材6122の延在方向(中心軸)と一致するように、互いに対して配置される。これにより、出力ギア部911の回転に伴いカウンタギア部912が回転すると、成形用部材6121は、成形用部材6122の中心軸まわりを周回する態様で、成形用部材6122の中心軸まわりを回転する。なお、この間、成形用部材6121、6122のそれぞれの中心軸間の距離は変化しないので(すなわち閉位置が維持されるので)、成形用部材6121、6122が直線状部位102を挟持した状態(図15及び図16参照)は維持される。このようにして、上述した第1エッジワイズ成形動作が実現可能となる。
【0089】
また、第1回転機構91及び第2回転機構92は、成形用部材6121、6122が閉位置にあるときに第2回転機構92のカウンタギア部922の回転軸が成形用部材6121の延在方向(中心軸)と一致するように、互いに対して配置される。これにより、出力ギア部921の回転に伴いカウンタギア部922が回転すると、成形用部材6122は、成形用部材6121の中心軸まわりを周回する態様で、成形用部材6121の中心軸まわりを回転する。なお、この間、成形用部材6121、6122のそれぞれの中心軸間の距離は変化しないので(すなわち閉位置が維持されるので)、成形用部材6121、6122が直線状部位102を挟持した状態(図15及び図16参照)は維持される。このようにして、上述した第2エッジワイズ成形動作が実現可能となる。
【0090】
なお、図11から図14に示す例では、カウンタギア部922は、Y方向に貫通する挿通孔9220を有する。そして、カウンタギア部912は、挿通孔9220に成形用部材6121が挿通される態様で、カウンタギア部922よりもY2側からY方向に隣接して配置される。挿通孔9220は、成形用部材6121の回転を可能とするガイド面9221を有してよい。また、挿通孔9220は、成形用部材6121、6122の開閉動作が可能となるように、外周側の形状が形成されてよい。
【0091】
また、図11から図14に示す例では、挿通孔9220は、成形用部材6121、6122のそれぞれの回転ストロークが約90度になるように形成されているが、成形用部材6121、6122のそれぞれの回転ストロークは適宜設定されてよい。本実施例では、成形用部材6121、6122は、同芯巻きコイル10を挟持する先端部分がピンの形態であるので、回転ストロークを比較的大きくしても、他の部材等に干渉する可能性が低い。従って、挿通孔9220は、例えば90度を有意に超えるようなエッジワイズ曲げ部を成形できるように構成されてもよい。
【0092】
図11から図14に示す例によれば、上述のように、出力ギア部911の回転に伴いカウンタギア部912が回転すると、成形用部材6121が成形用部材6122の中心軸まわりを回転するので、上述した第1エッジワイズ成形動作を実現できる。また、出力ギア部921の回転に伴いカウンタギア部922が回転すると、成形用部材6122が成形用部材6121の中心軸まわりを回転するので、上述した第2エッジワイズ成形動作を実現できる。
【0093】
また、図11から図14に示す例によれば、出力ギア部911や出力ギア部921等に係る噛合関係を変化することなく、駆動する対象を駆動源910、920間で切り換えるだけで、上述した第1エッジワイズ成形動作と第2エッジワイズ成形動作との間の切り換えを実現できる。
【0094】
なお、図11から図14では、特定の構成の回転機構90が図示されているが、回転機構90は、同様の機能を実現する他の機構により実現されてもよい。例えば、回転機構90は、ロボットにより実現されてもよい。この場合、ロボットは、成形用部材6121又はその基部等を掴んで、成形用部材6122を回転中心として回転させることで、上述した第1エッジワイズ成形動作を実現できる。また、ロボットは、成形用部材6122又はその基部等を掴んで、成形用部材6121を回転中心として回転させることで、上述した第2エッジワイズ成形動作を実現できる。なお、この場合、第1エッジワイズ成形動作を実現する際の回転軸(成形用部材6122の中心軸)と、第2エッジワイズ成形動作を実現する際の回転軸(成形用部材6121の中心軸)は、それぞれ既知の値としてロボットに予め教示されてよい。
【0095】
図15は、図9のP1部の拡大図であり、図16は、図15の上面図である。図15及び図16は、閉位置にある成形用部材6121、6122とともに、当該成形用部材6121、6122に挟持された同芯巻きコイル10の直線状部位102が併せて示されている。
【0096】
図15及び図16に示す例では、成形用部材6121、6122は、直線状部位102の断面短辺方向の側部が嵌入される周溝61211、61221を有する。これにより、成形用部材6121、6122が閉位置に位置するときに、直線状部位102を確実に挟持できる。この結果、上述した第1エッジワイズ成形動作及び第2エッジワイズ成形動作のいずれも、直線状部位102の断面短辺方向の側部が周溝61211、61221に嵌入された状態で実現できるので、良好な成形性を確保できる。
【0097】
なお、成形用部材6121、6122は、エッジワイズ曲げ用の部材であるので、フラットワイズ用の成形用部材6111、6112や成形用部材6211、6212は、他の形状を有してもよい。成形用部材6111、6112や成形用部材6211、6212は、周溝61211、61221のような溝を有さなくてもよく、また、成形用部材6111、6112のうちの一方及び成形用部材6211、6212のうちの一方は、断面が矩形であってもよい。
【0098】
次に、図17及び図18を参照して、主にエッジワイズ成形機612の動作例に基づいて、平角線成形方法の一例について説明する。なお、ここでは、エッジワイズ成形機612(成形用部材6121、6122)の動きを主に図示するが、フラットワイズ成形機611の動きについても、成形用部材が異なるだけで実質的に同様である。
【0099】
図17及び図18は、エッジワイズ成形機612を用いた平角線成形方法の流れに沿った説明図であり、S171からS177は、それぞれ、図15に対応するビューで、作業位置に位置するエッジワイズ成形機612における成形用部材6121、6122の状態を模式的に示す。
【0100】
平角線成形方法は、まず、作業位置に位置するエッジワイズ成形機612において、成形用部材6121、6122を閉動作させて(矢印R171参照)、S171の状態を形成することを含む。S171の状態は、成形用部材6121と成形用部材6122との間に、一の同芯巻きコイル10の直線状部位102(成形前の直線状部位102)が挟持された状態に対応する。すなわち、S171の状態は、直線状部位102は、断面短辺側の面が、その両側(断面短辺方向の両側)から挟持された状態である。また、S171の状態は、成形用部材6121の中心軸と成形用部材6122の中心軸とを含む平面が、水平面内に位置する状態である。以下では、成形用部材6121の中心軸と成形用部材6122の中心軸とを含む平面が、水平面内に位置する状態を、「ノミナル状態」とも称する。なお、S171の状態での挟持位置(成形用部材6121、6122による同芯巻きコイル10の挟持位置であって、同芯巻きコイル10の長さ方向に沿った位置)は、次のS172で成形されるエッジワイズ曲げ部(図4に示す例では、第3エッジワイズ曲げ部416)の位置に応じて決まる。
【0101】
なお、S171の状態は、作業位置に位置するエッジワイズ成形機612において、成形用部材6121、6122を閉動作させてから、成形用部材6121、6122により同芯巻きコイル10を挟持した状態で、挟持位置(成形用部材6121、6122による同芯巻きコイル10の挟持位置)を変化させることで実現されてもよい。すなわち、次のS172での成形用の挟持位置は、成形用部材6121、6122の閉動作後に調整されてもよい。
【0102】
次いで、平角線成形方法は、S172の状態を形成することを含む。S172の状態は、成形用部材6121、6122により同芯巻きコイル10を挟持した状態(成形用部材6121による挟持位置はS171から変化せず)で、成形用部材6122を、成形用部材6121を回転中心I1として回転させること(矢印R172参照)で実現された状態に対応する。なお、図17において、円形の点線6122Aは、回転前の成形用部材6122の位置を模式的に表す。
【0103】
このようにして成形用部材6122が成形用部材6121を回転中心として回転させられると、同芯巻きコイル10の断面短辺側の2つ面のうちの成形用部材6122側が伸び側となる態様の曲げ成形(第1の曲げ成形の一例)が実現される。すなわち、上述した第2エッジワイズ成形動作による成形工程(第2成形工程の一例)が実現される。これにより、例えば図4に示す例では、第3エッジワイズ曲げ部416が形成される。
【0104】
なお、本実施例では、成形用部材6121の回転中心I1まわりでの成形用部材6122の回転方向は、図17に示すように、ノミナル状態から成形用部材6122が同芯巻きコイル10の先端に向かう方向に対応する。本実施例では、ノミナル状態からの成形用部材6122の回転可能な方向は、成形用部材6122が同芯巻きコイル10の先端に向かう側の方向に限定される。この場合、同芯巻きコイル10は、成形時に、ノミナル状態での挟持位置よりも先端側だけが変位する。
【0105】
次いで、平角線成形方法は、作業位置に位置するエッジワイズ成形機612において、S173の状態を形成することを含む。S173の状態は、成形用部材6121、6122により同芯巻きコイル10を挟持した状態(成形用部材6121による挟持位置はS172から変化せず)で、成形用部材6122を、成形用部材6121を回転中心として回転させること(矢印R173参照)で実現された状態に対応する。この回転の回転方向(矢印R173参照)は、直前のS172の回転方向(矢印R172参照)と逆であり、回転角度の大きさは同じである。従って、S173の状態は、S171の状態(ノミナル状態)と同じである。
【0106】
次いで、平角線成形方法は、作業位置に位置するエッジワイズ成形機612において、S174の状態を形成することを含む。S174の状態は、成形用部材6121、6122による同芯巻きコイル10の挟持位置を、S171の状態(=S173の状態)での挟持位置から変化させることで実現された状態に対応する。なお、S174の状態での挟持位置は、次のS175で成形されるエッジワイズ曲げ部(図4に示す例では、第2エッジワイズ曲げ部412)の位置に応じて決まる。このような挟持位置の変化は、好ましくは、成形用部材6121、6122により同芯巻きコイル10を挟持した状態を維持したまま、同芯巻きコイル10を成形用部材6121、6122に対して摺動させること(矢印R174参照)で実現される。なお、本実施例では、一例として、成形用部材6121、6122による同芯巻きコイル10の挟持位置の変化は、昇降テーブル610の昇降動作により実現できる。ただし、変形例では、昇降テーブル610に対して成形用部材6121、6122を昇降させてもよいし、同芯巻きコイル10を成形用部材6121、6122に対して昇降させてもよい。なお、本実施例のような昇降テーブル610、620を備える構成は、2組のフラットワイズ成形機及びエッジワイズ成形機(すなわち、フラットワイズ成形機611及びエッジワイズ成形機612からなる第1組と、フラットワイズ成形機621及びエッジワイズ成形機622からなる第2組)の各組による同時の作業(曲げ成形用の作業)が可能となる点で有利である。これは、コイル保持ユニット63に保持された同芯巻きコイル10に対して、第1組と第2組のそれぞれの高さを互いに独立して調整できるためである。
【0107】
次いで、平角線成形方法は、作業位置に位置するエッジワイズ成形機612において、S175の状態を形成することを含む。S175の状態は、成形用部材6121、6122により同芯巻きコイル10を挟持した状態(成形用部材6122による挟持位置はS174から変化せず)で、成形用部材6121を、成形用部材6122を回転中心I2として回転させること(矢印R175参照)で実現された状態に対応する。なお、図18において、円形の点線6121Aは、回転前の成形用部材6121の位置を模式的に表す。
【0108】
このようにして成形用部材6121が成形用部材6122を回転中心として回転させられると、同芯巻きコイル10の断面短辺側の2つ面のうちの成形用部材6121側が伸び側となる態様の曲げ成形(第2の曲げ成形の一例)が実現される。すなわち、上述した第1エッジワイズ成形動作による成形工程(第2成形工程の一例)が実現される。これにより、例えば図4に示す例では、第2エッジワイズ曲げ部412が形成される。
【0109】
なお、本実施例では、成形用部材6122の回転中心I2まわりでの成形用部材6121の回転方向は、図18に示すように、ノミナル状態から成形用部材6121が同芯巻きコイル10の先端に向かう方向に対応する。本実施例では、ノミナル状態からの成形用部材6121の回転可能な方向は、成形用部材6121が同芯巻きコイル10の先端に向かう側の方向に限定される。この場合、同芯巻きコイル10は、成形時に、ノミナル状態での挟持位置よりも先端側だけが変位する。
【0110】
このようにして、本実施例では、成形用部材6122の回転中心I2まわりでの成形用部材6121の回転方向(矢印R175参照)と、成形用部材6121の回転中心I1まわりでの成形用部材6122の回転方向(図17の矢印R172参照)とは、互いに逆方向(対向する方向)であり、かつ、ともに同芯巻きコイル10の先端に向かう側の方向に対応する。すなわち、ある一の曲げ成形の際に、成形用部材6121、6122のうちの、回転する方は、常に、当該一の曲げ成形時に同芯巻きコイル10の断面短辺側の2面のうちの伸び側となる方の面に作用する成形用部材である。これにより、同芯巻きコイル10のうちの、ノミナル状態での挟持位置よりも閉ループ部101に近い側の部位を、各種の成形動作中に変位させることなく、各種の成形動作を行うことができる。このため、同芯巻きコイル10のうちの、ノミナル状態での挟持位置よりも閉ループ部101に近い側の部位は、例えばチャック機構等によりチャックされてもよい。
【0111】
次いで、平角線成形方法は、作業位置に位置するエッジワイズ成形機612において、S176の状態を形成することを含む。S176の状態は、成形用部材6121、6122により同芯巻きコイル10を挟持した状態(成形用部材6122による挟持位置はS175から変化せず)で、成形用部材6121を、成形用部材6122を回転中心として回転させること(矢印R176参照)で実現された状態に対応する。この回転の回転方向(矢印R176参照)は、直前のS175の回転方向(矢印R175参照)と逆であり、回転角度の大きさは同じである。従って、S176の状態は、S174の状態と同じである。
【0112】
次いで、平角線成形方法は、作業位置に位置するエッジワイズ成形機612において、S177の状態を形成することを含む。S177の状態は、成形用部材6121、6122による同芯巻きコイル10の挟持位置を、S174の状態(=S176の状態)での挟持位置から変化させること(図18の矢印R177参照)で実現された状態に対応する。S177の状態での挟持位置は、次に成形される曲げ部(図4に示す例では、第1フラットワイズ曲げ部408)の位置に応じて決まる。
【0113】
次いで、平角線成形方法は、図示しないが、成形用部材6121、6122を開動作させて、成形用部材6121、6122による同芯巻きコイル10の挟持状態が解除される。なお、成形用部材6121、6122の開動作は、S176の状態で実現されてもよい。S177の状態は、後述の成形用部材6111、6112の閉動作後に、成形用部材6121、6122に代えて、成形用部材6111、6112により実現されてもよい。
【0114】
次いで、平角線成形方法は、図示しないが、エッジワイズ成形機612を退避位置に移動させるとともに、フラットワイズ成形機611を作業位置に移動させる。
【0115】
次いで、平角線成形方法は、図示しないが、作業位置に位置するフラットワイズ成形機611において、成形用部材6111、6112を閉動作させて、成形用部材6111、6112により同芯巻きコイル10が挟持された状態が実現される。この状態では、直線状部位102は、断面長辺側の面が、その両側(断面長辺方向の両側)から挟持された状態となる。
【0116】
次いで、平角線成形方法は、図示しないが、成形用部材6111、6112により同芯巻きコイル10を挟持した状態で、成形用部材6111を、成形用部材6112を回転中心として回転させる。このようにして成形用部材6111が、成形用部材6112を回転中心として回転させられると、上述した第1フラットワイズ成形動作による成形工程(第1成形工程の一例)が実現される。これにより、例えば図4に示す例では、第1フラットワイズ曲げ部408が形成される。
【0117】
以下、同様にして、例えば図4に示す例では、エッジワイズ成形機612を作業位置に移動させるとともにフラットワイズ成形機611を退避位置に移動させた後、第1エッジワイズ曲げ部404がエッジワイズ成形機612により成形され、次いで、端部302がエッジワイズ成形機612により成形される。
【0118】
このようにして、図17及び図18に示す平角線成形方法によれば、成形用部材6121、6122を上述したように適切に回転させることで、エッジワイズ曲げ部(例えば、第3エッジワイズ曲げ部416と第2エッジワイズ曲げ部412)を効率的に成形できる。特に、成形用部材6121、6122は、同芯巻きコイル10を挟持する先端部分がピンの形態であるので、同芯巻きコイル10における挟持される部位周辺に、比較的狭いスペースしかない場合でも、同芯巻きコイル10を挟持することが可能となる。すなわち、同芯巻きコイル10における挟持される部位周辺に、比較的広いスペースを必要としない。この結果、成形可能な同芯巻きコイル10の形態(例えば直線状部位102、103の長さや位置)に対する制約を比較的小さくすることができる。
【0119】
また、図17及び図18に示す平角線成形方法によれば、エッジワイズ成形機612(成形用部材6121、6122)を用いて、曲げ方向(伸び側)が異なるエッジワイズ曲げ部(例えば、第3エッジワイズ曲げ部416と第2エッジワイズ曲げ部412)を効率的に成形できる。特に、図17及び図18に示す平角線成形方法によれば、成形用部材6121、6122が閉位置を維持したまま、曲げ方向(伸び側)が異なるエッジワイズ曲げ部(例えば、第3エッジワイズ曲げ部416と第2エッジワイズ曲げ部412)を成形できるので、曲げ方向が変化するごとに、成形用部材6121、6122の開閉動作を行う場合に比べて、開閉動作が少ない効率的な成形方法を実現できる。これは、フラットワイズ成形機611についても同様である。
【0120】
なお、一般的に、曲げ方向(伸び側)が同じエッジワイズ曲げ部(フラットワイズ曲げ部の場合も同様)が連続する場合は少ないが、かかる構成を有する同芯巻きコイルの場合も、同様に、成形用部材6121、6122は閉位置を維持したまま、当該連続するエッジワイズ曲げ部を成形できる。
【0121】
次に、図19A及び図19Bを参照して、比較例との対比で、図17及び図18に示す平角線成形方法による効果を更に説明する。
【0122】
図19Aは、図17及び図18に示す平角線成形方法の一部を模式的に示す説明図であり、図19Bは、比較例による平角線成形方法の一部を模式的に示す説明図である。なお、図19A及び図19Bでは、成形用部材190A、190B等の成形用部材が先端側だけが概略的に示されている。また、図19Aでは、図17及び図18と同様の動き等を示す矢印R172が示されている。
【0123】
比較例では、成形用部材190A、190Bのうちの、成形用部材190Bだけが、成形用部材190Aを回転中心として回転可能である。従って、比較例では、成形用部材190Bを回転させる(矢印R191参照)ことで1つ目のエッジワイズ曲げ部を成形した後、次の2つ目のエッジワイズ曲げ部を成形するために、成形用部材190A、190Bによる同芯巻きコイル10の挟持状態が解除される。すなわち、成形用部材190A、190Bは、退避位置へと移動される(矢印R192参照)。次いで、成形用部材190A、190Bは、互いの位置関係を反転してから(矢印R193参照)、再び、同芯巻きコイル10の挟持状態へと復帰する(矢印R194参照)。そして、成形用部材190Bを回転させる(矢印R195参照)ことで2つ目のエッジワイズ曲げ部を成形する。
【0124】
このように、比較例では、成形用部材190A、190Bのうちの、成形用部材190Bだけが、成形用部材190Aを回転中心として回転可能である構成であるので、曲げ方向(伸び側)が異なるエッジワイズ曲げ部を連続して成形する際に、退避位置への移動(矢印R192参照)、成形用部材190A、190Bの配置の切り換え(反転)(矢印R193参照)等が必要となる。
【0125】
これに対して、本実施例によれば、図17及び図18を参照して上述しかつ図19Aに模式的に示すように、曲げ方向(伸び側)が異なるエッジワイズ曲げ部を連続して成形する際に、成形用部材6121、6122の退避位置への移動等が不要であり、効率的な成形方法を実現できる。
【0126】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【0127】
例えば、上述した実施例では、平角線成形システム60は、同芯巻きコイル10の径方向内側端部40や径方向外側端部50を成形するが、平角線成形システム60の一部又は全部を利用したシステムが、同芯巻きコイル10の他の部分(例えばコイルエンド部34、36)の成形のために利用されてもよい。特に、本実施例では、上述したように、成形用部材6121、6122等の成形用部材は、先端部分がピンの形態であり、成形動作に関連した動きによって周辺物と干渉しないようにするためのスペースは、比較的狭くて済む。すなわち、同芯巻きコイル10における挟持される部位周辺に、比較的広いスペースを必要としない。従って、例えば、同芯巻きコイル10のコイルエンド部34、36の各平角線間に、挿入できるように成形用部材6121、6122等の成形用部材の先端部を形状付けることも可能であり、この場合、コイルエンド部34、36の成形についても、かかる成形用部材によって実現することが可能である。
【0128】
<付記>
以上の実施例に関し、更に以下を開示する。なお、以下で記載する効果のうちの、一の形態に対する追加的な各形態に係る効果は、当該追加的な各形態に起因した付加的な効果である。
【0129】
(1)一の形態は、断面が矩形状の平角線(10)を所定形状へと曲げ成形する平角線成形装置(611、621、612、622)であって、
前記平角線の対向する2つの面を両側から挟持可能であり、かつ、互いに平行に延在する2本の成形用部材(6111、6112;6211、6212;6121、6122;6221、6222)を有し、
前記2本の成形用部材は、前記平角線の対向する2つの面を両側から挟持した状態で、一方が他方を回転中心として回転する成形動作と、前記他方が前記一方を回転中心として回転する成形動作とを、選択的に実現可能である、平角線成形装置である。なお、「選択的に」とは、複数のうちから、いずれかを適宜選択できる態様を表す。
【0130】
本形態によれば、2本の成形用部材が2種類の成形動作を実現できるので、これらの成形動作を組み合わせて、断面が矩形状の平角線を多様な所定形状へと成形できる。これにより、所定形状(成形可能な平角線の形態の一例)に対する制約を比較的小さくすることができる。また、本形態によれば、2本の成形用部材を利用するので、2本の成形用部材を適切に形状付けることで、多様な形態の平角線についても挟持することが可能となる。例えば、直線部分が比較的に短い平角線についても、当該直線部分を挟持して成形することが可能となりうる。また、例えば、比較的小さい隙間で積層された平角線についても、例えば当該隙間に2本の成形用部材を挿入して、成形を実現することが可能となりうる。このようにして、本形態によれば、成形の際の平角線の形態(成形可能な平角線の形態の一例)に対する制約を比較的小さくすることができる。
【0131】
(2)他の一の形態は、断面が矩形状の平角線(10)を所定形状へと曲げ成形するための平角線成形システム(60)であって、
第1作業位置と第1退避位置との間で移動可能であり、前記第1作業位置に位置するときに前記平角線の断面長辺側の面を曲げることができる第1平角線成形装置(611、621)と、
第2作業位置と第2退避位置との間で移動可能であり、前記第2作業位置に位置するときに、前記平角線の断面短辺側の面を曲げることができる第2平角線成形装置(612、622)とを備え、
前記第2平角線成形装置は、前記第1平角線成形装置が前記第1作業位置に位置する際に、前記第2退避位置に位置するように移動可能であり、かつ、前記第1平角線成形装置は、前記第2平角線成形装置が前記第2作業位置に位置する際に、前記第1退避位置に位置するように移動可能である、平角線成形システムである。
【0132】
本形態によれば、第1平角線成形装置と第2平角線成形装置とを備えることで、平角線の4つの面(断面長辺側の2つの面と、断面短辺側の2つの面)のうちの伸び側となる面が異なる少なくとも2種類の成形動作を選択的に実現できるので、断面が矩形状の平角線を多様な所定形状へと成形できる。これにより、所定形状(成形可能な平角線の形態の一例)に対する制約を比較的小さくすることができる。また、第2平角線成形装置は、第1平角線成形装置が第1作業位置に位置する際に、第2退避位置に位置するように移動可能であるので、第1平角線成形装置の成形動作の際に、第1平角線成形装置の可動部が第2平角線成形装置と干渉する可能性を、無くすことができる。このため、第1平角線成形装置の成形動作の際の可動範囲を拡大することも可能であり、この結果、所定形状(成形可能な平角線の形態の一例)に対する制約を比較的小さくすることができる。同様に、第1平角線成形装置は、第2平角線成形装置が第2作業位置に位置する際に、第1退避位置に位置するように移動可能であるので、第2平角線成形装置の成形動作の際に、第2平角線成形装置の可動部が第1平角線成形装置と干渉する可能性を、無くすことができる。このため、第2平角線成形装置の成形動作の際の可動範囲を拡大することも可能であり、この結果、所定形状(成形可能な平角線の形態の一例)に対する制約を比較的小さくすることができる。
【0133】
(3)また、本形態においては、好ましくは、前記第1平角線成形装置は、前記平角線の断面長辺側の2つの面を両側から挟持可能でありかつ互いに平行に延在する2本の第1成形用部材(6111、6112;6211、6212)を有し、
前記第2平角線成形装置は、前記平角線の断面短辺側の2つの面を両側から挟持可能でありかつ互いに平行に延在する2本の第2成形用部材(6121、6122;6221、6222)を有し、
前記2本の第1成形用部材は、前記平角線を挟持した状態で、一方の第1成形用部材が他方の第1成形用部材を回転中心として回転する第1成形動作と、前記他方の第1成形用部材が前記一方の第1成形用部材を回転中心として回転する第2成形動作とを、選択的に実現可能であり、
前記2本の第2成形用部材は、前記平角線を挟持した状態で、一方の第2成形用部材が他方の第2成形用部材を回転中心として回転する第3成形動作と、前記他方の第2成形用部材が前記一方の第2成形用部材を回転中心として回転する第4成形動作とを、選択的に実現可能である。
【0134】
この場合、平角線の4つの面(断面長辺側の2つの面と、断面短辺側の2つの面)のいずれかが伸び側となる合計4種類の成形動作(第1成形動作から第4成形動作)を選択的に実現できるので、断面が矩形状の平角線を多様な所定形状へと成形できる。すなわち、4種類の成形動作を選択的に実現できるので、多様な所定形状への成形が可能となり、平角線成形システムの汎用性が向上する。また、第1平角線成形装置及び第2平角線成形装置は、それぞれの2本の成形用部材を適切に形状付けることで、多様な形態の平角線についても挟持することが可能となる。この結果、成形の際の平角線の形態(成形可能な平角線の形態の一例)に対する制約を比較的小さくすることができる。
【0135】
(4)また、本形態においては、好ましくは、前記2本の第1成形用部材の延在方向は、前記2本の第2成形用部材の延在方向に対して垂直である。
【0136】
この場合、4種類の成形動作(第1成形動作から第4成形動作)を選択的にかつ効率的に実現できる態様で第1平角線成形装置及び第2平角線成形装置を配置できる。また、2本の第1成形用部材の回転動作の際に、2本の第2成形用部材との干渉が生じ難く、また、2本の第2成形用部材の回転動作の際に、2本の第1成形用部材との干渉が生じ難くなる。これにより、2本の第1成形用部材や2本の第2成形用部材の回転ストロークを拡大することも可能であり、この結果、所定形状(成形可能な平角線の形態の一例)に対する制約を比較的小さくすることができる。
【0137】
(5)また、本形態においては、好ましくは、前記第1平角線成形装置及び前記第2平角線成形装置の組を、2組以上有し、
前記2組以上の前記第1平角線成形装置及び前記第2平角線成形装置は、前記平角線の一端を成形する第1組の前記第1平角線成形装置(611)及び前記第2平角線成形装置(612)と、前記平角線の他端を成形する第2組の前記第1平角線成形装置(621)及び前記第2平角線成形装置(622)とを含む。
【0138】
この場合、第1平角線成形装置及び第2平角線成形装置の第1組と第2組とが、平角線のそれぞれの端部に対して同時又は比較的小さい時間差で成形動作を行うことが可能となるので、断面が矩形状の平角線を所定形状へと効率的に成形できる。
【0139】
(6)また、本形態においては、好ましくは、前記第1組の前記第1平角線成形装置及び前記第2平角線成形装置を支持し、昇降可能な第1テーブル(610)と、
前記第2組の前記第1平角線成形装置及び前記第2平角線成形装置を支持し、昇降可能な第2テーブル(620)とを更に備える。
【0140】
この場合、第1平角線成形装置及び第2平角線成形装置の第1組と第2組とが、平角線に対してそれぞれ独立して高さを調整できるので、平角線自体が昇降する場合に比べて、効率的な成形方法を実現できる。すなわち、第1平角線成形装置及び第2平角線成形装置の第1組と第2組とが、平角線のそれぞれの端部に対して同時に成形動作を行うことが可能となる。
【0141】
(7)他の一の形態は、断面が矩形状の平角線(10)を所定形状へと曲げ成形する平角線成形方法であって、
前記平角線の対向する2つの面を、互いに平行な2本の成形用部材(6111、6112;6211、6212;6121、6122;6221、6222)により両側から挟持し、
前記2本の成形用部材により前記平角線を挟持した状態で、前記2本の成形用部材のうちの一方を他方を回転中心として回転させることで、前記平角線の第1の曲げ成形を実現し、
前記第1の曲げ成形を実現した後、前記2本の成形用部材により前記平角線を挟持した状態を維持したまま、前記平角線を前記2本の成形用部材に対して摺動させて、前記2本の成形用部材による前記平角線の挟持位置を変化させ、
前記挟持位置を変化させた後、前記2本の成形用部材により前記平角線を挟持した状態で、前記2本の成形用部材のうちの前記他方を前記一方を回転中心として回転させることで、前記平角線の第2の曲げ成形を実現することを含む、平角線成形方法である。
【0142】
本形態によれば、2本の成形用部材が2種類の曲げ成形を選択的に実現できるので、これらの曲げ成形を組み合わせて、断面が矩形状の平角線を多様な所定形状へと成形できる。これにより、所定形状(成形可能な平角線の形態の一例)に対する制約を比較的小さくすることができる。また、2本の成形用部材により平角線を挟持した状態を維持したまま、把持位置を変化させることができるので、挟持状態を解除してから挟持位置を変化させる場合に比べて、効率的な成形方法を実現できる。
【0143】
(8)他の一の形態は、2つ以上の平角線成形装置(611、621、612、622)を用いて断面が矩形状の平角線(10)を所定形状へと曲げ成形する平角線成形方法であって、
前記2つ以上の平角線成形装置は、第1作業位置と第1退避位置との間で移動可能である第1平角線成形装置(611、621)と、第2作業位置と第2退避位置との間で移動可能である第2平角線成形装置(612、622)と、を含み、
当該平角線成形方法は、
前記第1平角線成形装置を前記第1作業位置に位置させ、かつ、前記第2平角線成形装置を前記第2退避位置に位置させた状態で、前記第1平角線成形装置により平角線の断面長辺側の面を曲げる第1成形工程を実行し、
前記第2平角線成形装置を前記第2作業位置に位置させ、かつ、前記第1平角線成形装置を前記第1退避位置に位置させた状態で、前記第2平角線成形装置により前記平角線の断面短辺側の面を曲げる第2成形工程を実行することを含む、平角線成形方法である。
【0144】
本形態によれば、平角線の4つの面(断面長辺側の2つの面と、断面短辺側の2つの面)のうちの伸び側となる面が異なる少なくとも2種類の成形動作を選択的に実現できるので、断面が矩形状の平角線を多様な所定形状へと成形できる。これにより、所定形状(成形可能な平角線の形態の一例)に対する制約を比較的小さくすることができる。また、第1平角線成形装置と第2平角線成形装置とを位置移動に関して連携させることで、効率的な成形方法を実現できる。
【符号の説明】
【0145】
10 同芯巻きコイル
101 閉ループ部
102 直線状部位
103 直線状部位
12 ステータ
14 ステータコア
24 スロット
30、32 スロット収容部
302 端部
322 端部
34、36 コイルエンド部
40 径方向内側端部
402 第1斜行部
404 第1エッジワイズ曲げ部
406 第1直線部
408 第1フラットワイズ曲げ部
410 第2直線部
412 第2エッジワイズ曲げ部
414 第3直線部
416 第3エッジワイズ曲げ部
418 第4直線部
50 径方向外側端部
502 第2斜行部
504 第4エッジワイズ曲げ部
506 第5直線部
508 第2フラットワイズ曲げ部
510 第6直線部
60 平角線成形システム
61 第1成形ユニット
610 昇降テーブル
611 フラットワイズ成形機
6111 成形用部材
6112 成形用部材
612 エッジワイズ成形機
6121 成形用部材
6122 成形用部材
62 第2成形ユニット
620 昇降テーブル
621 フラットワイズ成形機
6211 成形用部材
6212 成形用部材
622 エッジワイズ成形機
6221 成形用部材
6222 成形用部材
63 コイル保持ユニット
64 制御ユニット
90 回転機構
91 第1回転機構
92 第2回転機構
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B