(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】車両用監視装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240723BHJP
A61M 21/00 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
G08G1/16 F
A61M21/00 B
(21)【出願番号】P 2020000810
(22)【出願日】2020-01-07
【審査請求日】2022-04-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(72)【発明者】
【氏名】小西 翔吾
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-079096(JP,A)
【文献】特開2017-059043(JP,A)
【文献】特開2007-233479(JP,A)
【文献】特開平09-091569(JP,A)
【文献】特開平09-123790(JP,A)
【文献】特開2001-225666(JP,A)
【文献】特開2000-016115(JP,A)
【文献】特開2000-118260(JP,A)
【文献】特開2000-142164(JP,A)
【文献】特開2019-215669(JP,A)
【文献】特開2019-159711(JP,A)
【文献】国際公開第2014/010568(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
A61M 21/00 - 21/02
B60K 28/00 - 28/16
G08B 19/00 - 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバの覚醒度を検出する検出手段と、
前記検出された覚醒度が低下した場合に、複数種類の覚醒刺激のうち、前記検出された覚醒度により示される前記ドライバの覚醒度の低下の度合いに応じて決定される少なくとも一つの覚醒刺激を前記ドライバに加える刺激発生手段と、
を備え、
前記複数種類の覚醒刺激は、前記ドライバへの光による刺激、前記ドライバが体感する直接的な刺激、及び、前記ドライバの自発的な行動を促す刺激を含み、
前記ドライバへの働きかけの程度は、前記光による刺激、前記直接的な刺激、前記自発的な行動を促す刺激の順に強くなり、
前記刺激発生手段は、前記ドライバの覚醒度の低下の度合いと、前記覚醒度の低下の度合いと覚醒刺激の種類との関係を規定するテーブルと、に応じて前記少なくとも一つの覚醒刺激を決定し、
前記刺激発生手段は、前記少なくとも一つの覚醒刺激を前記ドライバに加えた後の、前記検出された覚醒度に基づく前記ドライバの覚醒度の回復の持続時間に応じて、
前記テーブルを変更することによって、前記ドライバに加える覚醒刺激の種類を変更し、
前記刺激発生手段は、前記ドライバの覚醒度の低下の度合いが比較的小さい場合は、前記ドライバの覚醒度の低下の度合いが比較的大きい場合に比べて、前記ドライバへの働きかけの程度が弱い刺激を、前記少なくとも一つの覚醒刺激として、前記ドライバに加え、
前記刺激発生手段は、前記ドライバの覚醒度の低下の度合いが大きくなるにつれて、前記ドライバへの働きかけの程度が段階的に強くなるように、前記複数種類の覚醒刺激のうち少なくとも一つの覚醒刺激を前記ドライバに加え、
前記刺激発生手段は、前記ドライバが乗車する車両のパワースイッチがオフ若しくはオンにされた際、又は、前記ドライバから、前記ドライバとは異なる他のドライバへの交代が検出された際に、
前記テーブルを初期状態に戻すことによって、前記変更された覚醒刺激の種類を初期状態に戻す
ことを特徴とする車両用監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転時におけるドライバの覚醒度を監視する車両用監視装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば、ドライバの覚醒度を監視して、覚醒度が低下している場合に、自発行動を誘導する刺激としての対話を、ドライバに与える装置が提案されている(特許文献1参照)。また、ドライバの眠気の度合いを検知して、覚醒刺激の刺激強度をドライバに選択させるための選択肢を提示する装置が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-187810号公報
【文献】特開2019-016160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、刺激としての対話の効果がないドライバについては、他に取り得る刺激の選択肢がないため、覚醒度の回復が見込めない可能性がある。特許文献2に記載の技術では、ドライバ自らが行動を起こす必要があり、例えばドライバが煩わしさを覚えたり、ドライバを覚醒させる効果が得られなかったりする可能性がある。このように、上述した背景技術には改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ドライバに効果的な覚醒刺激を加えることができる車両用監視装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車両用監視装置は、ドライバの覚醒度を検出する検出手段と、前記検出された覚醒度が低下した場合に、複数種類の覚醒刺激のうち、前記検出された覚醒度により示される前記ドライバの覚醒度の低下の度合いに応じて決定される少なくとも一つの覚醒刺激を前記ドライバに加える刺激発生手段と、を備え、前記複数種類の覚醒刺激は、前記ドライバへの光による刺激、前記ドライバが体感する直接的な刺激、及び、前記ドライバの自発的な行動を促す刺激を含み、前記ドライバへの働きかけの程度は、前記光による刺激、前記直接的な刺激、前記自発的な行動を促す刺激の順に強くなり、前記刺激発生手段は、前記ドライバの覚醒度の低下の度合いと、前記覚醒度の低下の度合いと覚醒刺激の種類との関係を規定するテーブルと、に応じて前記少なくとも一つの覚醒刺激を決定し、前記刺激発生手段は、前記少なくとも一つの覚醒刺激を前記ドライバに加えた後の、前記検出された覚醒度に基づく前記ドライバの覚醒度の回復の持続時間に応じて、前記テーブルを変更することによって、前記ドライバに加える覚醒刺激の種類を変更し、前記刺激発生手段は、前記ドライバの覚醒度の低下の度合いが比較的小さい場合は、前記ドライバの覚醒度の低下の度合いが比較的大きい場合に比べて、前記ドライバへの働きかけの程度が弱い刺激を、前記少なくとも一つの覚醒刺激として、前記ドライバに加え、前記刺激発生手段は、前記ドライバの覚醒度の低下の度合いが大きくなるにつれて、前記ドライバへの働きかけの程度が段階的に強くなるように、前記複数種類の覚醒刺激のうち少なくとも一つの覚醒刺激を前記ドライバに加え、前記刺激発生手段は、前記ドライバが乗車する車両のパワースイッチがオフ若しくはオンにされた際、又は、前記ドライバから、前記ドライバとは異なる他のドライバへの交代が検出された際に、前記テーブルを初期状態に戻すことによって、前記変更された覚醒刺激の種類を初期状態に戻すというものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る車両の構成を示すブロック図である。
【
図2】ドライバの覚醒度の時間変化の一例を示す図である。
【
図3】ドライバの覚醒度の低下の度合いと、ドライバに加える覚醒刺激との関係を規定するテーブルの一例である。
【
図4】実施形態に係る支援系ECUの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
車両用監視装置に係る実施形態について説明する。実施形態に係る車両用監視装置は、ドライバの覚醒度を検出する検出手段を備える。覚醒度の検出方法には、例えばドライバの心拍数から検出する方法等の既存の各種態様を適用可能であるので、その詳細についての説明は省略する。
【0009】
車両用監視装置は、ドライバの覚醒度が低下した場合に、複数種類の覚醒刺激のうち少なくとも一つの覚醒刺激をドライバに加える刺激発生手段を備える。覚醒刺激としては、例えば、光による刺激(光の点滅等)、音による刺激(音声、音楽、警告音等)、物理的な刺激(振動等)、等が挙げられる。
【0010】
刺激発生手段は、上記少なくとも一つの覚醒刺激をドライバに加えた後のドライバの覚醒度の回復の持続時間に応じて、ドライバに加える覚醒刺激の種類を変更する。ここで、「覚醒度の回復の持続時間」は、覚醒刺激が加えられた後の覚醒度が、覚醒刺激を加える前の覚醒度よりも高い状態である期間を意味する。回復の持続時間が比較的短ければ、加えた覚醒刺激のドライバへの効果は見られたものの、その効果は限定的なものであったと推定できる。回復の持続時間が比較的長ければ、加えた覚醒刺激は、ドライバに効果的なものであったと推定できる。
【0011】
回復の持続時間が比較的短い場合に、同一種類の覚醒刺激をドライバに再度加えたとしても、ドライバが覚醒刺激に慣れ、ドライバを覚醒させる効果が得られない可能性がある。そこで、刺激発生手段は、回復の持続時間に応じて、覚醒刺激の種類を変更するのである。以前に加えられた覚醒刺激とは種類の異なる覚醒刺激をドライバに加えることで、覚醒刺激に対するドライバの慣れを防止しつつ、ドライバを覚醒させることが期待できる。つまり、当該車両用監視装置によれば、ドライバに効果的な覚醒刺激を加えることができる。
【0012】
実施形態に係る車両用監視装置の一具体例としての支援系ECU(Electronic Control Unit)10について
図1乃至
図4を参照して説明する。
図1において、支援系ECU10は車両1に搭載されている。
【0013】
車両1は、支援系ECU10に加えて、ドライバモニタ21、地図情報を含むナビゲーション装置22、車両センサ23、全周囲センサ24、スイッチ類及び操作系装置25、エンジンECU31、ブレーキECU32、ステアリングECU33、灯火類34、セカンダリアビリティ35、並びに、HMI(Human Machene Interface)類36を備える。
【0014】
尚、セカンダリアビリティは、例えばエアコンディショナ、オーディオ装置等の車両1の走行に関連しない装置を意味する。本実施形態では、セカンダリアビリティ35には、HUD(Head-UP Display)、振動発生器及びスピーカが含まれているものとする。振動発生器は、ドライバが着用するシートベルトを振動可能に構成されている。
【0015】
ドライバモニタ21には、例えば、車両1の車室内を撮像するカメラ、ドライバの心拍数等のバイタルサインを測定する生体モニタ、等が含まれていてよい。支援系ECU10は、ドライバモニタ21の出力に基づいて、ドライバの覚醒度を検出するとともに、ドライバの覚醒度が低下している場合に、ドライバに覚醒刺激を加えるように、セカンダリアビリティ35に含まれるHUDや振動発生器等を制御する。つまり、支援系ECU10は、所謂居眠り運転防止装置として機能する。
【0016】
尚、ドライバモニタ21、ナビゲーション装置22、車両センサ23、全周囲センサ24、スイッチ類及び操作系装置25、エンジンECU31、ブレーキECU32、ステアリングECU33、灯火類34、セカンダリアビリティ35、並びに、HMI類36には、既存の各種態様を適用可能であるので、その詳細についての説明は省略する。
【0017】
支援系ECU10は、上述した機能を実現するために、その内部に論理的に実現される処理ブロックとして又は物理的に実現される処理回路として、覚醒度検出部11及び刺激発生部12を備えている。尚、「覚醒度検出部11」及び「刺激発生部12」は、夫々、上述した「検出手段」及び「刺激発生手段」の一例に相当する。
【0018】
覚醒度検出部11は、ドライバモニタ21の出力に基づいて、ドライバの覚醒度を検出する。覚醒度の検出方法には、既存の各種態様を適用可能であるので、その詳細についての説明は省略する。ドライバの覚醒度は、例えば
図2(a)に示すように、時間の経過とともに低下する。刺激発生部12は、ドライバの覚醒度が所定のレベルまで低下したときに、ドライバに覚醒刺激を加えるように、HUDや振動発生器等を制御する。
【0019】
覚醒刺激について、
図2に加えて、
図3を参照して説明を加える。
図3(a)~(c)は、ドライバの覚醒度の低下の度合い(即ち、“覚醒低下レベル”)と、ドライバに加える覚醒刺激との関係を規定するテーブルの一例である。覚醒低下レベルの“1”、“2”及び“3”は、夫々、
図2(a)の“L1”、“L2”及び“L3”に対応しているものとする。
【0020】
ドライバの覚醒度が、
図2(a)の“L1”まで低下した場合、刺激発生部12は、例えば
図3(a)に示すテーブルに従って、HUDにより表示されている画像が点滅するようにHUDを制御する。このとき、刺激発生部12は、ドライバの眼球のサッカード(即ち、眼球運動)が引き起こされように、HUDを制御してよい。
【0021】
ドライバの覚醒度が、
図2(a)の“L2”まで低下した場合、刺激発生部12は、例えば
図3(a)に示すテーブルに従って、ドライバが着用しているシートベルトを振動するように振動発生器を制御する。このとき、刺激発生部12は、シートベルトを振動させることに加えて、シートベルトによる締め付け圧力を高めてもよい。
【0022】
ドライバの覚醒度が、
図2(a)の“L3”まで低下した場合、刺激発生部12は、例えば
図3(a)に示すテーブルに従って、ドライバに呼びかけるような音声が発せられるようにスピーカを制御する。このとき、刺激発生部12は、ドライバに疑問を投げかける音声(言い換えれば、ドライバの行動を引き起こすような音声)が発せられるようにスピーカを制御してよい。
【0023】
本実施形態では、ドライバの覚醒度の低下の度合いに応じて、覚醒刺激の種類が変化する。つまり、覚醒度の低下の度合いが比較的小さい“L1”では、間接的な刺激である、例えば“HUD点滅”が選択される。覚醒度の低下の度合いが中程度である“L2”では、ドライバが体感する直接的な刺激である、例えば“シートベルト振動”が選択される。覚醒度の低下の度合いが比較的大きい“L3”では、ドライバの自発的な行動を促す刺激である、例えば“対話”が選択される。このように、ドライバの覚醒度の低下の度合いに応じた複数種類の覚醒刺激を用意することにより、覚醒刺激に起因してドライバが煩わしさを覚えることを抑制することができる。
【0024】
例えば
図2(a)~(c)各々の時刻T1に、ドライバの覚醒度が“L1”まで低下したことに起因して、刺激発生部12により、
図3(a)に示すテーブルに従ってドライバに覚醒刺激が加えられたとする。
【0025】
図2(a)では、時刻T1の前後で、ドライバの覚醒度に特別な変化は見られない。つまり、この場合、ドライバに加えられた覚醒刺激は、ドライバの覚醒度の回復には寄与しなかったと言える(即ち、覚醒刺激の効果はなかった)。この場合、刺激発生部12は、例えば
図3(b)に示すように、覚醒低下レベル“1”のHUDの点滅に係る刺激の強度を“強”に変更する。
【0026】
図2(b)では、時刻T1の後、ドライバの覚醒度が一時的に向上している。つまり、この場合、ドライバに加えられた覚醒刺激は、ドライバの覚醒度の回復に寄与したが、その効果は限定的なものであったと言える。この場合、刺激発生部12は、例えば
図3(c)に示すように、覚醒低下レベル“1”の刺激の種類を“HUD点滅”から“シートベルト振動”に変更する。
【0027】
図2(c)では、時刻T1の後、ドライバの覚醒度は、“L1”より高い状態を比較的長く維持している。つまり、この場合、ドライバに加えられた覚醒刺激は、ドライバの覚醒度の回復に十分寄与したと言える。この場合、刺激発生部12は、例えば
図3(a)に示すテーブルを維持する(即ち、テーブルに変更を加えない)。
【0028】
尚、刺激発生部12は、車両1のパワースイッチがオフにされた際、若しくは、パワースイッチがオンにされた際に、変更が加えられたテーブル(例えば
図3(b)、(c)参照)を初期状態に戻してよい。或いは、刺激発生部12は、ドライバモニタ21の出力に基づいて、ドライバが交代したことを検出した際に、変更が加えられたテーブルを初期状態に戻してよい。刺激発生部12は、ドライバに、複数種類の覚醒刺激を同時に加えてもよい。
【0029】
次に、上述の如く構成された支援系ECU10の動作について
図4のフローチャートを参照して説明を加える。
【0030】
図4において、支援系ECU10の覚醒度検出部11は、ドライバモニタ21の出力に基づいて、ドライバの覚醒度を検出する。支援系ECU10の刺激発生部12は、検出された覚醒度に基づいて、覚醒度の度合いを判定する(ステップS101)。
【0031】
刺激発生部12は、ドライバの覚醒度が所定のレベル(例えば、
図2(a)の“L1”、“L2”、“L3”のいずれか)まで低下したか否かを判定する(ステップS102)。ステップS102の処理において、ドライバの覚醒度が所定のレベルまで低下していないと判定された場合(ステップS102:No)、
図4に示す動作は一旦終了される。その後、所定期間(例えば数十ミリ秒から数百ミリ秒)が経過した後に、ステップS101の処理が行われる。つまり、
図4に示す動作は、所定期間に応じた周期で、繰り返し行われる。
【0032】
ステップS102の処理において、ドライバの覚醒度が所定のレベルまで低下したと判定された場合(ステップS102:Yes)、刺激発生部12は、例えば
図3に示すテーブルに従って、ドライバの覚醒度に応じた覚醒刺激をドライバに加える(ステップS103)。その後、刺激発生部12は、覚醒度検出部11により検出された覚醒度に基づいて、覚醒度の度合いを判定する(ステップS104)。
【0033】
刺激発生部12は、ドライバの覚醒度が回復したか否かを判定する(ステップS105)。刺激発生部12は、例えば、ドライバに覚醒刺激が加えられる前の覚醒度に比べて、所定値以上覚醒度が大きくなっている場合に、覚醒度が回復したと判定してよい。
【0034】
ステップS105の処理において、覚醒度が回復していないと判定された場合(ステップS105:No)、刺激発生部12は、ステップS103の処理においてドライバに加えられた覚醒刺激の強度が大きくなるように変更する(ステップS107)。その後、所定期間が経過した後に、ステップS101の処理が行われる。
【0035】
ステップS105の処理において、覚醒度が回復したと判定された場合(ステップS105:Yes)、刺激発生部12は、ドライバの覚醒度の回復が維持されているか否かを判定する(ステップS106)。刺激発生部12は、例えば、上述した回復の持続時間が所定時間以上になると推定できる場合に、覚醒度の回復が維持されていると判定してよい。
【0036】
ステップS106の処理において、覚醒度の回復が維持されていないと判定された場合(ステップS106:No)、刺激発生部12は、ステップS103の処理においてドライバに加えられた覚醒刺激を、該覚醒刺激とは異なる種類の覚醒刺激に変更する(ステップS108)。その後、所定期間が経過した後に、ステップS101の処理が行われる。
【0037】
ステップS106の処理において、覚醒度の回復が維持されていると判定された場合(ステップS106:Yes)、
図4に示す動作は一旦終了される。その後、所定期間が経過した後に、ステップS101の処理が行われる。
【0038】
(技術的効果)
支援系ECU10では、例えば
図3(a)に示すように、ドライバの覚醒度が低下するにつれて、ドライバに対してより強く働きかける覚醒刺激が選択される。また、覚醒刺激によりドライバの覚醒度が一時的にしか向上しない場合、覚醒度の向上を引き起こした覚醒刺激が、異なる種類の覚醒刺激に変更される。このため、ドライバにとって効果のない覚醒刺激が繰り返し行われることをなくすことができるとともに、ドライバに効果的に覚醒刺激を加えることができる。
【0039】
加えて、ドライバの覚醒度の低下の度合いが比較的小さいときは、覚醒刺激として間接的な刺激が選択され、低下の度合いが大きくなるにつれて、段階的に、直接的な刺激や、ドライバの自発的な行動を促す刺激が覚醒刺激として選択される。このように構成することにより、ドライバの覚醒度を維持するような覚醒刺激を加えつつ、必要以上に強い覚醒刺激がドライバに加わることを抑制することができる。この結果、覚醒刺激に起因してドライバが煩わしさを覚えることを抑制することができる。
【0040】
以上に説明した実施形態から導き出される発明の各種態様を以下に説明する。
【0041】
発明の一態様に係る車両用監視装置は、ドライバの覚醒度を検出する検出手段と、前記検出された覚醒度が低下した場合に、複数種類の覚醒刺激のうち少なくとも一つの覚醒刺激を前記ドライバに加える刺激発生手段と、を備え、前記刺激発生手段は、前記少なくとも一つの覚醒刺激を前記ドライバに加えた後の、前記検出された覚醒度に基づく前記ドライバの覚醒度の回復の持続時間に応じて、前記ドライバに加える覚醒刺激の種類を変更するというものである。
【0042】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両用監視装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0043】
1…車両、10…支援系ECU、11…覚醒度検出部、12…刺激発生部