(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】電話制御装置およびリモート制御方法
(51)【国際特許分類】
H04M 3/42 20060101AFI20240723BHJP
H04Q 3/58 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H04M3/42 N
H04Q3/58 106
(21)【出願番号】P 2020050763
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】紺野 峻史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】上家 聖来
(72)【発明者】
【氏名】城下 貴史
(72)【発明者】
【氏名】霜田 綾
(72)【発明者】
【氏名】大金 英樹
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-234829(JP,A)
【文献】特開昭63-206059(JP,A)
【文献】特開平05-300251(JP,A)
【文献】特開2010-074208(JP,A)
【文献】特開2015-076844(JP,A)
【文献】特開2007-123971(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0469723(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04Q3/58-3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の内線電話端末を呼制御することにより電話網に交換接続する制御部と、
前記複数の内線電話端末間におけるリモート接続を示すリモート接続情報を記憶する記憶部とを備え、
前記制御部は、複数の内線電話端末に含まれる第1および第2の内線電話端末のうち、前記第2の内線電話端末での利用者操作により、前記第1の内線電話端末を接続先端末として指定した前記第2の内線電話端末から通知されたリモート接続要求に応じて、接続先端末が前記第1の内線電話端末であり接続元端末が前記第2の内線電話端末であるリモート接続を前記リモート接続情報に設定
するとともに、前記接続先端末と前記接続元端末とをリモート接続中状態とし、前記リモート接続情報に前記リモート接続が設定されている場合、
前記リモート接続を用いて前記接続元端末である前記第2の内線電話端末を前記接続先端末である前記第1の内線電話端末として呼制御する
ことを特徴とする電話制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電話制御装置において、
前記制御部は、前記接続先端末に対して前記リモート接続の可否を確認し、前記接続先端末からの接続許可に応じて、前記リモート接続を前記リモート接続情報に設定することを特徴とする電話制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電話制御装置において、
前記制御部は、前記リモート接続が設定されている場合、前記接続先端末を使用不可とすることを特徴とする電話制御装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の電話制御装置において、
前記制御部は、前記リモート接続が解除された際、リモート接続中に記録された前記接続元端末の使用履歴を、前記接続先端末の使用履歴として記録することを特徴とする電話制御装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載の電話制御装置において、
前記記憶部は、前記複数の内線電話端末のそれぞれについて、当該内線電話端末の動作を規定する設定内容を設定情報として記憶し、
前記制御部は、前記リモート接続が解除された際、リモート接続中に変更された前記接続元端末の設定情報を、前記接続先端末の設定情報として登録することを特徴とする電話制御装置。
【請求項6】
複数の内線電話端末を呼制御することにより電話網に交換接続する制御部と、前記複数の内線電話端末間におけるリモート接続を示すリモート接続情報を記憶する記憶部とを備える電話制御装置で用いられるリモート接続方法であって、
前記制御部が、複数の内線電話端末に含まれる第1および第2の内線電話端末のうち、前記第2の内線電話端末での利用者操作により、前記第1の内線電話端末を接続先端末として指定した前記第2の内線電話端末から通知されたリモート接続要求に応じて、接続先端末が前記第1の内線電話端末であり接続元端末が前記第2の内線電話端末であるリモート接続を前記リモート接続情報に設定
するとともに、前記接続先端末と前記接続元端末とをリモート接続中状態とするステップと、
前記制御部が、前記リモート接続情報に前記リモート接続が設定されている場合、
前記リモート接続を用いて前記接続元端末である前記第2の内線電話端末を前記接続先端末である前記第1の内線電話端末として呼制御するステップと
を備えることを特徴とするリモート接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある内線電話端末を他の内線電話端末から操作するためのリモート制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビジネスホンシステムやPBXシステムなどの電話システムには、主装置やPBX装置などの電話制御装置が、配下に収容されている複数の内線電話端末を、いくつかのグループ(あるいはテナント)に分けて呼制御するものがある。このようなグループ分けを利用すれば、例えば、グループごとに予め設定されている代表電話番号に対して着信があった場合、そのグループに属する内線電話端末を一斉に呼び出す、いわゆるグループ着信を行うことができ、そのグループに属するいずれの内線電話端末でも着信応答することが可能となる。これにより、発信側が意図する利用者が在席していても電話に出られない場合、当該グループの他の利用者が代理で電話を取り次ぐことができる。
【0003】
一方、いずれかの内線電話端末に外線電話番号を割り当てておけば、電話網からその外線電話番号を指定した着信が通知された場合、対応する内線電話端末のみを個別に呼び出す、いわゆる個別着信を行うことができる。
個別着信の場合、対応する内線電話端末のみで着信表示されるため、その利用者が不在で応答できない場合、周囲の利用者がその内線電話端末まで出向いて応答操作することになり、周囲の利用者への負担が生じる。
【0004】
従来、このような負担を解消する技術として、個別着信時にその利用者が不在で応答できない場合、その内線電話端末で代理応答要求操作として、代理応答先となる内線番号を入力操作することにより、その内線番号と対応する他の内線電話端末で、個別着信に代理で応答できる技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来技術では、他の内線電話端末により個別着信に代理応答してもらう際、代理応答を依頼するごとに、その都度、代理応答先となる内線番号を入力操作する必要がある。このため、内線電話端末の利用者が不在で応答できない場合、依然として、周囲の利用者がその内線電話端末まで出向いて操作することになり、周囲の利用者への負担が生じるという問題点があった。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、周囲の利用者が出向かなくても、他の利用者の内線電話端末を操作できるリモート制御技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電話制御装置は、複数の内線電話端末を呼制御することにより電話網に交換接続する制御部と、前記複数の内線電話端末間におけるリモート接続を示すリモート接続情報を記憶する記憶部とを備え、前記制御部は、複数の内線電話端末に含まれる第1および第2の内線電話端末のうち、前記第2の内線電話端末での利用者操作により、前記第1の内線電話端末を接続先端末として指定した前記第2の内線電話端末から通知されたリモート接続要求に応じて、接続先端末が前記第1の内線電話端末であり接続元端末が前記第2の内線電話端末であるリモート接続を前記リモート接続情報に設定するとともに、前記接続先端末と前記接続元端末とをリモート接続中状態とし、前記リモート接続情報に前記リモート接続が設定されている場合、前記リモート接続を用いて前記接続元端末である前記第2の内線電話端末を前記接続先端末である前記第1の内線電話端末として呼制御するようにしたものである。
【0009】
また、本発明にかかる上記電話制御装置の一構成例は、前記制御部が、前記接続先端末に対して前記リモート接続の可否を確認し、前記接続先端末からの接続許可に応じて、前記リモート接続を前記リモート接続情報に設定するようにしたものである。
【0010】
また、本発明にかかる上記電話制御装置の一構成例は、前記制御部が、前記リモート接続が設定されている場合、前記接続先端末を使用不可とするようにしたものである。
【0011】
また、本発明にかかる上記電話制御装置の一構成例は、前記制御部が、前記リモート接続が解除された際、リモート接続中に記録された前記接続元端末の使用履歴を、前記接続先端末の使用履歴として記録するようにしたものである。
【0012】
また、本発明にかかる上記電話制御装置の一構成例は、前記記憶部が、前記複数の内線電話端末のそれぞれについて、当該内線電話端末の動作を規定する設定内容を設定情報として記憶し、前記制御部は、前記リモート接続が解除された際、リモート接続中に変更された前記接続元端末の設定情報を、前記接続先端末の設定情報として登録するようにしたものである。
【0013】
また、本発明にかかるリモート接続方法は、複数の内線電話端末を呼制御することにより電話網に交換接続する制御部と、前記複数の内線電話端末間におけるリモート接続を示すリモート接続情報を記憶する記憶部とを備える電話制御装置で用いられるリモート接続方法であって、前記制御部が、複数の内線電話端末に含まれる第1および第2の内線電話端末のうち、前記第2の内線電話端末での利用者操作により、前記第1の内線電話端末を接続先端末として指定した前記第2の内線電話端末から通知されたリモート接続要求に応じて、接続先端末が前記第1の内線電話端末であり接続元端末が前記第2の内線電話端末であるリモート接続を前記リモート接続情報に設定するとともに、前記接続先端末と前記接続元端末とをリモート接続中状態とするステップと、前記制御部が、前記リモート接続情報に前記リモート接続が設定されている場合、前記リモート接続を用いて前記接続元端末である前記第2の内線電話端末を前記接続先端末である前記第1の内線電話端末として呼制御するステップとを備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、周囲の利用者が出向かなくても、接続元端末での利用者操作によりリモート接続が設定されて、他の利用者の内線電話端末、すなわち接続先端末を、接続元端末である内線電話端末から操作することが可能となる。したがって、リモート接続中は、接続元端末が接続先端末に成りすまして動作することが可能となるため、代理応答を依頼するごとに、その都度必要となる操作を省くことができる。このため、接続先端末の利用者が不在で応答できない場合であっても、周囲の利用者が接続先端末まで出向いて操作する必要がなくなり、周囲の利用者への負担を大幅に削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】電話システムおよび電話制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】リモート接続情報の構成例を示す説明図である。
【
図4】リモート接続開始処理を示すシーケンス図である。
【
図5】リモート接続中処理を示すシーケンス図である。
【
図6】リモート接続終了処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[電話システム]
まず、
図1を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1の電話制御装置10について説明する。
図1は、電話システムおよび電話制御装置の構成を示すブロック図である。
この電話システム1は、全体としてビジネスホンやPBXシステムなどの電話システムからなり、複数の内線電話端末20と、これら内線電話端末20を電話網NWに対して交換接続する電話制御装置10とから構成されている。
【0017】
[電話制御装置]
電話制御装置10は、全体としてビジネスホンの主装置やPBXシステムのPBX装置などの電話制御装置からなり、主な処理部として、網I/F11、内線I/F12、音声処理部13、記憶部14、および制御部15を備えている。
【0018】
[網I/F11]
網I/F11は、通信回線L1を介して電話網NWとの間でデータ通信を行うことにより、呼制御メッセージや音声データをやり取りする機能を有している。
以下では、電話網NWがIP(Internet Protocol)電話網、ISDN(Integrated Services Digital Network)網、携帯電話網などのデジタル電話網からなる場合を例として説明する。電話網NWについてはPSTN(Public Switched Telephone Network)網などのアナログ電話網であってもよい。アナログ電話網の場合、網I/F11は、呼制御メッセージや音声データに代えて呼制御信号や音声信号をアナログ電話網との間でやり取りする。
【0019】
[内線I/F12]
内線I/F12は、内線回線L2を介して内線電話端末20との間でデータ通信を行うことにより、内線電話端末20で利用者が操作した内容を示す操作データ、内線電話端末20を制御するための制御コマンド、通話のための音声データ、さらには内線電話端末20のリモート接続を行うための各種情報をやり取りする機能を有している。
【0020】
[音声処理部]
音声処理部13は、網I/F11を介して電話網NWとやり取りする通話などの音声データと、内線I/F12を介して内線電話端末20とやり取りする通話などの音声データとを相互に変換する機能と、着信音などの各種の信号音を示す音声データを網I/F11や内線I/F12へ出力する機能とを有している。なお、音声処理部13については、制御部15の処理部により実現してもよい。
【0021】
[記憶部]
記憶部14は、半導体メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、電話制御装置10の処理動作に用いる各種の処理データやプログラム14Pを記憶する機能を有している。
プログラム14Pは、制御部15のCPUと協働することにより、制御部15での呼制御処理やリモート制御処理を実行するための各種処理部を実現するプログラムである。プログラム14Pは、電話制御装置10に接続された外部装置や記録媒体(ともに図示せず)から、予め読み込まれて記憶部14に保存される。
記憶部14で記憶する主な処理データとして、設定情報14A、使用履歴情報14B、およびリモート接続情報14Cがある。
【0022】
[設定情報]
設定情報14Aは、各内線電話端末20に関する動作を規定する設定内容を示すデータである。内線電話端末20ごとに、短縮ダイヤル、ワンタッチダイヤル、機能キー割り当てなどの各種設定データが登録されている。以下では、設定情報14Aを電話制御装置10の記憶部14で記憶する場合を例として説明するが、これに限定されるものではなく、その一部または全部を、それぞれの内線電話端末20の記憶部(図示せず)で記憶してもよい。
【0023】
[使用履歴情報]
使用履歴情報14Bは、各内線電話端末20に関する使用履歴を示すデータである。
図2は、使用履歴情報の構成例を示す説明図である。
図2に示すように、使用履歴情報14Bには、内線電話端末20を識別するための内線番号ごとに、当該内線電話端末20を使用した内容を示す使用履歴が登録されている。
図2には、内線番号「1001」の内線電話端末20の使用履歴として「外線着信,2020/02/17,10:00,042-772-xxxx,S事業所」という着信履歴が記録されている。これは日時「2020/02/17,10:00」に、電話番号「043-772-xxxx」の「S事業所」から「外線着信」があったことを示している。
【0024】
使用履歴情報14Bは、内線電話端末20での閲覧操作に応じて、内線電話端末20の表示画面に表示される。これにより、利用者は発信、着信、通話に関する相手先や日時を確認でき、選択した履歴を用いた発信を行うこともできる。以下では、使用履歴情報14Bを電話制御装置10の記憶部14で記憶する場合を例として説明するが、これに限定されるものではなく、それぞれの内線電話端末20の記憶部(図示せず)で記憶してもよい。
【0025】
[リモート接続情報]
リモート接続情報14Cは、電話制御装置10の配下に接続されている内線電話端末20間におけるリモート接続を示すデータである。
図3は、リモート接続情報の構成例を示す説明図である。
図3に示すように、リモート接続情報14Cには、リモート接続を識別するためのリモート接続IDごとに、リモート接続先を示す接続先内線番号と、リモート接続元を示す接続元内線番号との組が登録されている。
【0026】
本発明では、リモート接続先すなわちリモート制御の被制御側となる内線電話端末20(第1の内線電話端末)を接続先端末と呼び、リモート接続元すなわちリモート制御の制御側となる内線電話端末20(第2の内線電話端末)を接続元端末と呼ぶ。
図3の例では、リモート接続ID「01」のリモート接続として、接続先端末が内線番号「1001」の内線電話端末20であり、接続元端末が内線番号「1002」の内線電話端末20であるリモート接続が登録されている。
【0027】
[制御部]
制御部15は、CPUとその周辺処理部を有し、CPUと記憶部14のプログラム14Pとを協働させることにより、呼制御処理やリモート制御処理を実行するための各種処理部を実現する機能を有している。制御部15で実現する主な処理部として呼制御部15Aとリモート制御部15Bがある。
【0028】
呼制御部15Aは、網I/F11および通信回線L1を介して電話網NWとの間で呼制御メッセージや音声データをやり取りするとともに、内線I/F12および内線回線L2を介して内線電話端末20との間で制御データや音声データをやり取りすることにより、電話網NWを用いた、発信・着信・保留・転送などの一般的な各種の電話サービスを内線電話端末20に提供する機能と、内線電話端末20での設定変更操作に応じて、記憶部14の設定情報14Aのうち、当該内線電話端末20に関する設定情報を変更する機能とを有している。
【0029】
また、呼制御部15Aは、内線電話端末20に関する使用履歴を記憶部14の使用履歴情報14Bに保存する機能と、記憶部14のリモート接続情報14Cにリモート接続が設定されている場合、接続元端末を接続先端末として呼制御する機能と、リモート接続が設定されている場合、例えば接続先端末での操作を無効とすることにより、接続先端末を使用不可とする機能と、リモート接続が解除された際、リモート接続中に記録された接続元端末の使用履歴を、接続先端末の使用履歴として記録する機能と、リモート接続が解除された際、リモート接続中に変更された接続元端末の設定情報を、接続先端末の設定情報として登録する機能とを有している。
【0030】
リモート制御部15Bは、接続元端末(第2の内線電話端末)での利用者操作により、接続元端末から通知されたリモート接続要求に応じて、リモート接続要求で指定された接続先端末と接続元端末との間のリモート接続を記憶部14のリモート接続情報14Cに設定する機能と、リモート接続を設定する際、接続先端末に対してリモート接続の可否を確認し、接続先端末からの接続許可に応じて、リモート接続をリモート接続情報14Cに設定する機能と、接続元端末からのリモート接続解除要求に応じて、リモート接続情報14Cから接続元端末に関するリモート接続を消去することにより、リモート接続を解除する機能とを有している。
【0031】
[本実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかる電話システム1および電話制御装置10のリモート接続方法について説明する。以下では、接続先端末が内線電話端末#1(20)であり、接続元端末が内線電話端末#2(20)である場合を例として説明する。
【0032】
[リモート接続開始動作]
まず、
図4を参照して、本実施の形態にかかるリモート接続方法におけるリモート接続開始処理について説明する。
図4は、リモート接続開始処理を示すシーケンス図である。
接続元端末(#2)において、利用者がリモート接続要求操作を行った場合(ステップS100)、接続元端末(#2)から内線回線L2を介して電話制御装置10へ、リモート接続要求操作で入力された接続先端末(#1)を指定したリモート接続要求が通知される(ステップS101)。
【0033】
電話制御装置10において、接続元端末(#2)からのリモート接続要求を内線I/F12で受信した場合、制御部15のリモート制御部15Bは、リモート接続要求の内容を確認し(ステップS102)、内線I/F12および内線回線L2を介して、リモート接続要求で指定された接続先端末(#1)にリモート接続の接続可否確認要求を通知する(ステップS103)。これにより、接続先端末(#1)から接続許可/接続不可を示す接続可否確認応答が返送される(ステップS104)。この際、接続先端末(#1)では、動作状態(ステータス)の正常/異常を接続許可/接続不可として返送してもよく、接続先端末(#1)での利用者操作に応じて接続許可/接続不可を返送してもよい。
【0034】
リモート制御部15Bは、接続先端末(#1)から返送された接続可否確認応答が接続許可を示す場合、接続先端末(#1)と接続元端末(#2)の内線番号の組からなる新たなリモート接続を、記憶部14のリモート接続情報14Cに登録し(ステップS105)、接続元端末(#2)に対してリモート接続成功を示すリモート接続要求応答を返送する(ステップS106)。
なお、接続可否確認応答が接続不可を示す場合、リモート制御部15Bは、接続元端末(#2)からのリモート接続要求を無効とし、接続元端末(#2)に対してリモート接続失敗を示すリモート接続要求応答を返送する。
【0035】
次に、リモート制御部15Bは、接続元端末(#2)に対して認証要求を通知する(ステップS110)。これに応じて、接続元端末(#2)で認証画面が画面表示され、利用者操作により予め設定されているリモート接続のためのパスワードが入力されて(ステップS111)、接続元端末(#2)から電話制御装置10へパスワードを含む認証情報が返送される(ステップS112)。リモート制御部15Bは、接続元端末(#2)からの認証情報に含まれるパスワードに基づいて接続元端末(#2)の利用者に関する認証確認を行う(ステップS113)。
【0036】
この際、接続元端末(#2)の利用者に関する正当性が確認できなかった場合、接続元端末(#2)からのリモート接続要求を無効とし、接続元端末(#2)に対して認証失敗を返送する。なお、ステップS110~ステップS113における認証処理については、電話システム1の運用形態に応じて省略してもよい。
【0037】
接続元端末(#2)の利用者に関する正当性が確認でき、認証に成功した場合、リモート制御部15Bは、接続先端末(#1)に対してリモート接続開始要求を通知する(ステップS120)。これに応じて、接続先端末(#1)は、リモート接続中画面の画面表示を開始し(ステップS121)、リモート接続開始応答を返送し(ステップS122)、使用不可とする端末ロック状態を開始する(ステップS123)。端末ロック状態とは、例えば、接続先端末(#1)での操作を無効として使用不可とする状態であり、操作の無効処理については接続先端末(#1)側で実施してもよく、呼制御部15Aで実施してもよい。
【0038】
次に、リモート制御部15Bは、設定情報14Aに含まれる接続元端末(#2)に関する設定情報と、使用履歴情報14Bに含まれる接続元端末(#2)に関する使用履歴情報を、記憶部14の空き領域に退避(バックアップ)した後(ステップS124)、設定情報14Aに含まれる接続先端末(#1)に関する設定情報で、接続元端末(#2)に関する設定情報を書き換えるとともに、使用履歴情報14Bに含まれる接続先端末(#1)に関する使用履歴情報で、接続元端末(#2)に関する使用履歴情報を書き換える(ステップS125)。
【0039】
この後、リモート制御部15Bは、接続元端末(#2)に対してリモート接続開始指示を通知する(ステップS126)。これに応じて、接続元端末(#2)は、リモート制御用のリモート画面を画面表示する(ステップS127)。これにより、電話制御装置10を介して接続先端末(#1)と接続元端末(#2)とがリモート接続中状態となり(ステップS130)、これ以降、呼制御部15Aは、接続元端末(#2)を接続先端末(#1)として呼制御することになり、接続元端末(#2)が接続先端末(#1)として成りすまして動作することになる。
【0040】
[リモート接続中動作]
次に、
図5を参照して、リモート接続中の動作について説明する。
図5は、リモート接続中処理を示すシーケンス図である。ここでは、リモート接続中に、電話網NWからの着信に応じた通知を行った場合と、接続元端末(#2)で設定変更が行われた場合を例として説明する。
【0041】
前述した
図4のリモート接続開始処理に基づいて、電話制御装置10を介して接続先端末(#1)と接続元端末(#2)とがリモート接続中状態であるものとする(ステップS130)。
リモート接続中状態において、電話網NWから通信回線L1を介して接続先端末(#1)への個別着信が通知された場合(ステップS140)、制御部15の呼制御部15Aは、網I/F11で受信した個別着信の着信先電話番号と対応する接続先内線番号を特定し、記憶部14のリモート接続情報14Cを確認する(ステップS141)。
【0042】
ここで、接続先内線番号が接続先端末(#1)となるリモート接続がリモート接続情報14Cに登録されている場合、呼制御部15Aは、接続先内線番号に対応する接続先内線番号の接続元端末(#2)に対してリモート着信を通知する(ステップS142)。これにより、接続元端末(#2)でリモート着信表示が開始される(ステップS143)。
接続元端末(#2)でリモート着信に対する応答操作が行われた場合(ステップS150)、接続元端末(#2)から電話制御装置10に対してリモート着信応答を示す応答操作情報が通知される(ステップS151)。
【0043】
呼制御部15Aは、接続元端末(#2)からのリモート着信応答に応じて、網I/F11から通信回線L1を介して電話網NWへ応答を返送するとともに(ステップS152)、接続元端末(#2)に対して通話開始を指示する(ステップS153)。
これにより、電話制御装置10の音声処理部13を介して電話網NW側の通話路と接続元端末(#2)側の通話路とが相互に接続されて、電話網NWを用いた接続元端末(#2)の音声通話が開始される(ステップS154)。
【0044】
この後、接続元端末(#2)で終話操作が行われた場合(ステップS160)、接続元端末(#2)から電話制御装置10に対して終話操作情報が通知される(ステップS161)。
呼制御部15Aは、接続元端末(#2)からの終話要求に応じて、網I/F11から通信回線L1を介して電話網NWへ切断を通知するとともに(ステップS162)、接続元端末(#2)に対して終話応答を返送する(ステップS163)。これにより、電話網NWを用いた接続元端末(#2)の音声通話が終了し、呼制御部15Aは、接続元端末(#2)における個別着信および音声通話に関する使用履歴を記憶部14の使用履歴情報14Bに記録する(ステップS164)。
【0045】
また、リモート接続中状態において、接続元端末(#2)で設定変更操作が行われた場合(ステップS170)、接続元端末(#2)から電話制御装置10に対して設定変更の内容を示す設定変更情報が通知される(ステップS171)。
呼制御部15Aは、接続元端末(#2)からの設定変更情報に応じて、記憶部14の設定情報14Aのうち、接続元端末(#2)に関する設定情報を変更登録する(ステップS172)。
【0046】
[リモート接続終了動作]
次に、
図6を参照して、リモート接続終了時の動作について説明する。
図6は、リモート接続終了処理を示すシーケンス図である。
前述した
図4のリモート接続開始処理に基づいて、電話制御装置10を介して接続先端末(#1)と接続元端末(#2)とがリモート接続中状態であるものとする(ステップS130)。
【0047】
リモート接続中状態において、接続元端末(#2)で利用者がリモート接続解除操作を行った場合(ステップS180)、接続元端末(#2)から内線回線L2を介して電話制御装置10へ、リモート接続解除要求が通知される(ステップS181)。
電話制御装置10において、接続元端末(#2)からのリモート接続解除要求を内線I/F12で受信した場合、制御部15のリモート制御部15Bは、接続元端末(#2)の内線番号に基づいて、記憶部14のリモート接続情報14Cを確認する。
【0048】
ここで、接続元端末(#2)の内線番号が接続元端末(#2)となるリモート接続がリモート接続情報14Cに登録されている場合、リモート制御部15Bは、記憶部14の設定情報14Aに含まれる接続元端末(#2)に関する設定情報で、接続先端末(#1)に関する設定情報を書き換えるとともに(ステップS182)、使用履歴情報14Bに含まれる接続元端末(#2)に関する使用履歴情報で、接続先端末(#1)に関する使用履歴情報を書き換える(ステップS183)。これにより、接続先端末(#1)の設定情報と使用履歴情報は、リモート接続中の情報を含む情報に更新される。
【0049】
一方、接続元端末(#2)について、リモート制御部15Bは、記憶部14の空き領域に退避(バックアップ)しておいた接続元端末(#2)に関する設定情報で、設定情報14Aの接続元端末(#2)に関する設定情報を書き換えるとともに(ステップS184)、同じく退避しておいた接続元端末(#2)に関する使用履歴情報で、使用履歴情報14Bの接続元端末(#2)に関する使用履歴情報を書き換える(ステップS185)。これにより、接続元端末(#2)の設定情報と使用履歴情報は、リモート接続開始前の情報に戻される。
【0050】
この後、リモート制御部15Bは、書き換え後の接続元端末(#2)に関する使用履歴情報を、接続元端末(#2)へ通知し(ステップS190)、リモート接続解除応答を接続元端末(#2)へ返送する(ステップS191)。これにより、接続元端末(#2)は、電話制御装置10から通知された、リモート接続開始直前における使用履歴情報を、新たな使用履歴情報として自己の記憶部(図示せず)に登録するとともに、リモート制御用のリモート画面の画面表示を終了する(ステップS192)。
【0051】
また、リモート制御部15Bは、更新後の接続先端末(#1)に関する使用履歴情報を、接続先端末(#1)へ通知し(ステップS193)、リモート接続終了指示を接続先端末(#1)へ通知する(ステップS194)。これにより、接続先端末(#1)は、電話制御装置10から通知された、リモート接続開始後に更新された使用履歴情報を、新たな使用履歴情報として自己の記憶部(図示せず)に登録するとともに、リモート接続中画面の画面表示を終了し(ステップS195)、端末ロック状態を終了する(ステップS196)。これ以降、呼制御部15Aは、接続元端末(#2)および接続先端末(#1)を、それぞれ元の内線電話端末20として呼制御することになる。
【0052】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、電話制御装置10の制御部15において、リモート制御部15Bが、複数の内線電話端末20に含まれる第1および第2の内線電話端末のうち、第2の内線電話端末での利用者操作により、第1の内線電話端末を接続先端末として指定した第2の内線電話端末から通知されたリモート接続要求に応じて、接続先端末が第1の内線電話端末であり接続元端末が第2の内線電話端末であるリモート接続を記憶部14のリモート接続情報14Cに設定し、呼制御部15Aが、リモート接続情報14Cにリモート接続が設定されている場合、接続元端末である第2の内線電話端末を接続先端末である第1の内線電話端末として呼制御するようにしたものである。
【0053】
これにより、周囲の利用者が出向かなくても、接続元端末での利用者操作によりリモート接続が設定されて、他の利用者の内線電話端末、すなわち接続先端末を、接続元端末である内線電話端末から操作することが可能となる。したがって、リモート接続中は、接続元端末が接続先端末に成りすまして動作することが可能となるため、代理応答を依頼するごとに、その都度必要となる操作を省くことができる。このため、接続先端末の利用者が不在で応答できない場合であっても、周囲の利用者が接続先端末まで出向いて操作する必要がなくなり、周囲の利用者への負担を大幅に削減することが可能となる。
【0054】
また、本実施の形態において、リモート制御部15Bが、接続先端末に対してリモート接続の可否を確認し、接続先端末からの接続許可に応じて、リモート接続をリモート接続情報14Cに設定するようにしてもよい。これにより、接続先端末の不用意状態におけるリモート接続を回避することができる。
【0055】
また、本実施の形態において、リモート制御部15Bが、接続元端末での利用者操作により接続元端末から通知されたリモート接続解除要求に応じて、リモート接続情報から接続元端末に関するリモート接続を消去することにより、リモート接続を解除するようにしてもよい。これにより、接続元端末での簡単な操作により、リモート接続を容易に終了することができる。
【0056】
また、本実施の形態において、呼制御部15Aが、リモート接続が設定されている場合、接続先端末での操作を無効とすることにより接続先端末を使用不可とするようにしてもよい。これにより、リモート接続中に誤って接続先端末を操作しても無効となり、接続先端末と接続元端末との競合を回避することができる。
【0057】
また、本実施の形態において、リモート制御部15Bが、リモート接続が解除された際、リモート接続中に記録された接続元端末の使用履歴を、接続先端末の使用履歴として記録するようにしてもよい。これにより、リモート接続中に記録された接続元端末の使用履歴が、リモート接続解除時に接続先端末の使用履歴として反映されるため、接続先端末の利用者がそれまでの使用履歴を確認することができる。
【0058】
また、本実施の形態において、記憶部14が、各内線電話端末20のそれぞれについて、当該内線電話端末20の動作を規定する設定内容を設定情報14Aとして記憶し、リモート制御部15Bが、リモート接続が解除された際、リモート接続中に変更された接続元端末の設定情報を、接続先端末の設定情報として登録するようにしてもよい。これにより、リモート接続中に行われた設定変更が、リモート接続解除時に接続先端末の設定内容として反映されるため、接続先端末の利用者が新たな設定内容を利用することができる。
【0059】
[実施の形態の拡張]
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成は、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0060】
1…電話システム、10…電話制御装置、11…網I/F、12…内線I/F、13…音声処理部、14…記憶部、14A…設定情報、14B…使用履歴情報、14C…リモート接続情報、14P…プログラム、15…制御部、15A…呼制御部、15B…リモート制御部、20…内線電話端末、L1…通信回線、L2…内線回線、NW…電話網。