(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】箱選定装置、箱選定方法、及び箱選定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06N 3/02 20060101AFI20240723BHJP
B65G 57/03 20060101ALI20240723BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
G06N3/02
B65G57/03 G
B65G1/137 Z
(21)【出願番号】P 2020087272
(22)【出願日】2020-05-19
【審査請求日】2022-08-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】小出 幸和
(72)【発明者】
【氏名】加藤 紀彦
【審査官】渡辺 順哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-001846(JP,A)
【文献】特表2002-503191(JP,A)
【文献】特許第6677858(JP,B1)
【文献】渡部 和章,AIで通販用の梱包箱を自動選定、NTTロジスコが箱サイズ予測システムを4月提供へ,impress[online],2018年03月05日,[retrieved on 2019.08.15], Retrieved from the Internet: <URL: https://netshop.impress.co.jp/node/5206>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 59/00-65/08
B65G 1/137
B65G 57/00-57/32
B65G 60/00-61/00
G06N 3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め学習された学習情報に基づき、物品を梱包する箱を選定する箱選定装置であって、
前記箱選定装置の制御部は、
前記学習情報及び箱情報を記憶する記憶部と、
前記物品に関する入力情報を作成する入力情報受付部と、
前記入力情報を入力層に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された前記学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、前記箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算部と、
前記ニューラルネットワーク演算部の出力層から出力された前記評価値に基づいて前記箱を選定する選定部と、を有し、
前記出力層は、各ノードの値を、前記箱の各辺における寸法を前記評価値として出力する、箱選定装置。
【請求項2】
前記入力情報受付部は、複数の前記物品にそれぞれ紐付けられた識別情報を取得し、
前記入力情報は、予め定められた行及び列を有する第1の情報テーブルを有しており、
前記入力情報受付部は、前記第1の情報テーブルに前記識別情報を入力し、
前記ニューラルネットワーク演算部及び前記選定部は、前記第1の情報テーブルに基づいて、前記評価値の算出及び前記箱の選定をそれぞれ行う、
請求項1に記載の箱選定装置。
【請求項3】
予め学習された学習情報に基づき、物品を梱包する箱を選定する箱選定装置であって、
前記箱選定装置の制御部は、
前記学習情報及び箱情報を記憶する記憶部と、
前記物品に関する入力情報を作成する入力情報受付部と、
前記入力情報を入力層に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された前記学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、前記箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算部と、
前記ニューラルネットワーク演算部の出力層から出力された前記評価値に基づいて前記箱を選定する選定部と、を有し、
前記入力情報受付部は、複数の前記物品にそれぞれ紐付けられた識別情報を取得し、
前記入力情報は、予め定められた行及び列を有する第1の情報テーブルを有しており、
前記入力情報受付部は、前記第1の情報テーブルに前記識別情報を入力し、
前記ニューラルネットワーク演算部及び前記選定部は、前記第1の情報テーブルに基づいて、前記評価値の算出及び前記箱の選定をそれぞれ行い、
前記識別情報は各物品に対して所定文字数の文字列で管理されており、
前記入力情報受付部は、前記第1の情報テーブルに対して、
行及び列において文字の数を超過する場合は超過する分の文字を破棄し、
行及び列において文字が不足する場合は、当該不足箇所を所定文字で埋める、整合処理を行う、箱選定装置。
【請求項4】
前記入力情報受付部は、前記第1の情報テーブルに対する前記識別情報の入力順を、所定の法則に従って整理する、
請求項2又は3に記載の箱選定装置。
【請求項5】
予め学習された学習情報に基づき、物品を梱包する箱を選定する箱選定装置であって、
前記箱選定装置の制御部は、
前記学習情報及び箱情報を記憶する記憶部と、
前記物品に関する入力情報を作成する入力情報受付部と、
前記入力情報を入力層に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された前記学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、前記箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算部と、
前記ニューラルネットワーク演算部の出力層から出力された前記評価値に基づいて前記箱を選定する選定部と、を有し、
前記入力情報は、梱包の対象となる物品の種類数に対応する行又は列を有する第2の情報テーブルを有しており、
前記入力情報受付部は、前記第2の情報テーブルにそれぞれの前記物品の個数を入力し、
前記ニューラルネットワーク演算部及び前記選定部は、前記第2の情報テーブルに基づいて、前記評価値の算出及び前記箱の選定をそれぞれ行う、箱選定装置。
【請求項6】
予め学習された学習情報に基づき、物品を梱包する箱を選定する箱選定方法であって、
前記学習情報及び箱情報を記憶する記憶ステップと、
前記物品に関する入力情報を作成する入力情報受付ステップと、
前記入力情報を入力層に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された前記学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、前記箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算ステップと、
前記ニューラルネットワーク演算ステップにおいて出力層から出力された前記評価値に基づいて前記箱を選定する選定ステップと、を有し、
前記ニューラルネットワーク演算ステップでは、ソフトマックス関数を利用して前記評価値を算出し、
前記出力層は、前記記憶ステップで記憶された前記箱情報の中の複数の箱のそれぞれに対する前記評価値を出力
し、
前記出力層は、各ノードの値を、前記箱の各辺における寸法を前記評価値として出力する、箱選定方法。
【請求項7】
予め学習された学習情報に基づき、物品を梱包する箱を選定する箱選定プログラムであって、
前記学習情報及び箱情報を記憶する記憶ステップと、
前記物品に関する入力情報を作成する入力情報受付ステップと、
前記入力情報を入力層に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された前記学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、前記箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算ステップと、
前記ニューラルネットワーク演算ステップにおいて出力層から出力された前記評価値に基づいて前記箱を選定する選定ステップと、をコンピュータシステムに実行させ、
前記ニューラルネットワーク演算ステップでは、ソフトマックス関数を利用して前記評価値を算出し、
前記出力層は、前記記憶ステップで記憶された前記箱情報の中の複数の箱のそれぞれに対する前記評価値を出力
し、
前記出力層は、各ノードの値を、前記箱の各辺における寸法を前記評価値として出力する、箱選定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱選定装置、箱選定方法、及び箱選定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されるような箱選定装置が知られている。箱選定装置は、対象となる積荷の容積などのデータに基づいて、積荷とコンテナの組み合わせを選んでいる。この箱選定装置は、コンテナの総容量が積荷の総容積以上となるようなコンテナの組み合わせを全て選んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような箱選定装置は、条件を満たすようなコンテナ(箱)の組み合わせを全て選んでいる。しかし、このような方法を採用した場合、箱の種類数が増えると組合せの数が急増し、組合せの全てに対して、全物品が積載可能かどうかを毎回計算する必要が生じる。この場合、当該方法を採用することが、計算コストなどの観点から困難になるという問題がある。更に、このような計算コストは、物品の種類数の増加に対しても増加する。すなわち、物品の種類数が多かったり、箱の選択肢が多いような現場に対しては、上述のような箱選定装置を適用することが困難になるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、物品を梱包する箱を選定する場合において、適した箱を容易且つ適切に選定できる箱選定装置、箱選定方法、及び箱選定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る箱選定装置は、予め学習された学習情報に基づき、物品を梱包する箱を選定する箱選定装置であって、箱選定装置の制御部は、学習情報及び箱情報を記憶する記憶部と、物品に関する入力情報を作成する入力情報受付部と、入力情報を入力層に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算部と、ニューラルネットワーク演算部の出力層から出力された評価値に基づいて箱を選定する選定部と、を有する。
【0007】
箱選定装置において、ニューラルネットワーク演算部は、物品に関する入力情報を入力層に入力し、学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、箱に関する評価値の算出を行う。そして、選定部は、ニューラルネットワーク演算部の出力層から出力された評価値に基づいて、梱包の対象となる物品に適した箱を選定することができる。ここで、学習情報は、梱包実績に基づいて予め学習されたものである。すなわち、ニューラルネットワーク演算部は、例えば物品の形状、梱包先の環境情報などの複雑な条件を考慮することを省略し、過去の梱包実績に基づく学習を行うだけで、梱包する物品に適した箱を選定するための評価値を出力することができる。そのため、箱選定装置は、計算コストを低減した状態で、容易に箱を選定することができる。また、梱包する物品に適した箱を選定する作業は、作業者にとって、熟練を要する作業である。これに対し、箱選定装置は、過去の梱包実績に基づいた学習を行った上で箱の選定を行うことができるため、作業者の熟練度に左右されることなく、箱を適切に選定することができる。以上より、箱選定装置は、物品を梱包する箱を選定する場合において、適した箱を容易且つ適切に選定できる。
【0008】
入力情報受付部は、複数の物品にそれぞれ紐付けられた識別情報を取得し、入力情報は、予め定められた行及び列を有する第1の情報テーブルを有しており、入力情報受付部は、第1の情報テーブルに識別情報を入力し、ニューラルネットワーク演算部及び選定部は、第1の情報テーブルに基づいて、評価値の算出及び箱の選定をそれぞれ行ってよい。この場合、物品の識別情報(例えば品番など)に規則性がある場合、ニューラルネットワーク演算部に対する識別情報の入力を行い易くなる。
【0009】
識別情報は各物品に対して所定文字数の文字列で管理されており、入力情報受付部は、第1の情報テーブルに対して、行及び列において文字の数を超過する場合は超過する分の文字を破棄し、行及び列において文字が不足する場合は、当該不足箇所を所定文字で埋める、整合処理を行ってよい。この場合、一部の物品の文字列が不規則なものであった場合であっても、入力情報受付部は、第1の情報テーブルに対して整合された状態にて、物品の識別情報をニューラルネットワーク演算部に入力することができる。
【0010】
入力情報受付部は、第1の情報テーブルに対する識別情報の入力順を、所定の法則に従って整理してよい。この場合、入力情報受付部は、整理された状態にて識別情報をニューラルネットワーク演算部に入力することができる。
【0011】
入力情報は、梱包の対象となる物品の種類数に対応する行又は列を有する第2の情報テーブルを有しており、入力情報受付部は、第2の情報テーブルにそれぞれの物品の個数を入力し、ニューラルネットワーク演算部及び選定部は、第2の情報テーブルに基づいて、評価値の算出及び箱の選定をそれぞれ行ってよい。この場合、物品の識別情報の規則性が低い場合などに、入力情報受付部は、物品の識別情報をニューラルネットワーク演算部にスムーズに入力することができる。
【0012】
出力層は、記憶部に記憶された箱情報の中の複数の箱のそれぞれに対する評価値を出力してよい。この場合、選定部は、評価値に基づいて、記憶部に記憶された箱の何れかを速やかに選定することができる。
【0013】
出力層は、箱の各辺における寸法を評価値として出力してよい。この場合、選定部は、評価値の寸法に近い箱を選定することができる。選定部は、適切な箱の寸法を連続値として取得できるため、記憶部に記憶された以外の箱を選定する場合などに有効である。
【0014】
ニューラルネットワーク演算部は、例えば、ソフトマックス関数を利用して評価値を算出してよい。この場合、ニューラルネットワーク演算部は、評価値を適切に算出することができる。
【0015】
ニューラルネットワーク演算部は、比例関数を利用して評価値を算出してよい。この場合、ニューラルネットワーク演算部は、評価値を適切に算出することができる。
【0016】
本発明の一態様に係る箱選定方法は、予め学習された学習情報に基づき、物品を梱包する箱を選定する箱選定方法であって、学習情報及び箱情報を記憶する記憶ステップと、物品に関する入力情報を作成する入力情報受付ステップと、入力情報を入力層に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算ステップと、ニューラルネットワーク演算ステップにおいて出力層から出力された評価値に基づいて箱を選定する選定ステップと、を有する。
【0017】
本発明の一態様に係る箱選定プログラムは、予め学習された学習情報に基づき、物品を梱包する箱を選定する箱選定プログラムであって、学習情報及び箱情報を記憶する記憶ステップと、物品に関する入力情報を作成する入力情報受付ステップと、入力情報を入力層に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算ステップと、ニューラルネットワーク演算ステップにおいて出力層から出力された評価値に基づいて箱を選定する選定ステップと、をコンピュータシステムに実行させる。
【0018】
これらの箱選定方法、及び箱選定プログラムによれば、上述の箱選定装置と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、物品を梱包する箱を選定する場合において、適した箱を容易且つ適切に選定できる箱選定装置、箱選定方法、及び箱選定プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る箱選定装置を示す概略構成図である。
【
図2】箱選定装置がニューラルネットワークを用いて輸送箱の選定を行う場合の処理イメージを示す模式図である。
【
図3】箱選定装置のニューラルネットワーク演算部が過去の梱包実績を教師データとして学習を行う場合の処理イメージを示す模式図である。
【
図4】箱選定装置の処理内容の具体例を示す模式図である。
【
図5】入力情報受付部が、第1の情報テーブルに識別情報を入力する際の処理内容を示す図である。
【
図6】箱選定装置の制御部による制御処理の内容を示すフローチャートである。
【
図7】変形例に係る箱選定装置の処理内容の具体例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る箱選定装置100を示す概略構成図である。箱選定装置100は、倉庫などの物流現場において、複数の物品を箱に梱包する際に、どの箱に梱包すべきかを選定する装置である。なお、箱を選定した後、当該箱に物品をどのような位置、順序で梱包するかについては、他の方法によって自動的に決定がなされる。なお、本実施形態では、梱包対象となる物品として部品を例示しており、箱として輸送箱を例示している。ただし、物品及び箱の種類は特に限定されるものではない。
【0023】
図1に示すように、箱選定装置100は、情報入力部2と、情報出力部3と、制御部10と、を備える。箱選定装置100は、予め学習された学習情報に基づき、部品を梱包する輸送箱を選定する装置である。なお、箱選定装置100の各構成要素を説明するために、
図2及び
図3を参照する場合がある。
図2は、箱選定装置100がニューラルネットワークを用いて輸送箱の選定を行う場合の処理イメージを示す模式図である。
図3は、箱選定装置100のニューラルネットワーク演算部12が過去の梱包実績を教師データとして学習を行う場合の処理イメージを示す模式図である。
【0024】
情報入力部2は、各種情報を入力するインターフェースである。例えば、情報入力部2は、キーボード、マウス、タッチパネルなどによって構成される。あるいは、情報入力部2は、記憶媒体や通信を介して情報を入力されてもよい。情報出力部3は、各種情報を出力するインターフェースである。例えば、情報出力部3は、モニタ、スピーカーなどによって情報を出力してよい。あるいは、情報出力部3は、記憶媒体や通信を介して情報を出力してもよい。
【0025】
制御部10は、CPU、RAM、ROM等により構成されている。制御部10は、入力情報受付部11と、ニューラルネットワーク演算部12と、選定部13と、記憶部14と、を有している。制御部10は、プログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、それらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサはCPU、並びにRAM及びROM等のメモリを有する。メモリには、情報の処理を行うための種々のプログラムが記憶され、CPUは各種プログラムの読み出し、による演算を行う。
【0026】
入力情報受付部11は、部品に関する入力情報を作成する。入力情報受付部11は、情報入力部2にて入力された情報を取得し、当該情報を用いて入力情報を作成する。入力情報受付部11は、複数の部品にそれぞれ紐付けられた識別情報、及び部品の個数などに関する情報を取得する。入力情報は、部品に関する情報をニューラルネットワーク演算を行い易い態様に調整された情報である。
図2に示すように、入力情報受付部11は、梱包作業の前段階において、梱包する部品の部品リスト、すなわち、どの部品が何個、梱包対象となっているかを示すリストを取得する。また、
図3に示すように、入力情報受付部11は、学習時において、実際に梱包された部品の部品リスト、及びどの輸送箱が梱包に用いられたかの情報を取得する。なお、部品に紐付けられた識別情報の具体的な内容、及び入力情報の具体的な内容については後述する。
【0027】
ニューラルネットワーク演算部12は、梱包実績に基づいて予め学習された学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、輸送箱に関する評価値の算出を行う。ニューラルネットワーク演算部12は、過去の梱包実績に基づく教師データを用いて学習を行うことで学習情報を取得する(
図3参照)。また、ニューラルネットワーク演算部12は、当該学習情報を用いて実際の作業現場において梱包する部品リストに適した輸送箱として、どの輸送箱がよいかを選定するための評価値を演算する(
図2参照)。
【0028】
ニューラルネットワーク演算部12は、学習部16を有する。学習部16は、機械学習のモデルを学習情報として生成する。学習段階(
図3参照)において、学習部16は、最も予測精度が高いと推定される最良のニューラルネットワークをモデルとして生成する。学習部16は、教師データ(過去の梱包実績のサンプル)を記憶部14などから読み出し、学習をさせるニューラルネットワークに個々のサンプルを逐次入力しながら機械学習を実行する。なお、このようなニューラルネットワークは、例えば、ニューロンのモデルを模した演算部や記憶部等によって構成できる。例えば、学習部16は、多層ニューラルネットワークを用いる深層学習を実行することでモデルを生成してもよい。機械学習の種類は深層学習に限定されず、学習部16は他の手法を用いてモデルを生成してもよい。なお、ニューラルネットワーク演算部12の具体的な構成、及び処理内容については後述する。
【0029】
選定部13は、ニューラルネットワーク演算部12の出力層から出力された評価値に基づいて輸送箱を選定する。選定部13は、評価値を取得して、当該評価値を用いて、部品を梱包する上で、最も適した輸送箱を選定する。選定部13は、予め記憶部14に記憶された輸送箱リスト(箱情報)の中から、最も適した輸送箱を選定する。なお、選定部13の具体的な処理内容については、後述する。
【0030】
記憶部14は、箱選定装置100における各種情報を記憶する部分である。記憶部14は、少なくとも学習情報(ニューラルネットワークのモデル)、及び箱情報を記憶している。箱情報は、作業現場において用いられる複数の輸送箱に関する情報であり、箱選定作業の前段階で事前に記憶部14に記憶される。記憶部14は、複数の輸送箱のそれぞれの大きさや形状等の情報を含んだ輸送箱リスト(
図2参照)の形態で、箱情報を記憶する。
【0031】
次に、
図2及び
図3を参照して、ニューラルネットワーク演算部12の処理の具体例について説明する。まず、
図3を参照して、箱選定装置100のニューラルネットワーク演算部12が過去の梱包実績を教師データとして学習を行う場合について説明する。ここでは、梱包実績として、「部品aが2個」「部品bが1個」「部品cが2個」「部品dが1個」という部品リストの場合に、「輸送箱Z」が用いられたというデータが用いられる。なお、この場合の部品リストを「部品リストPL1」と称する場合がある。また、梱包に用いることができる輸送箱は、「輸送箱U,V,W,X,Y,Z」という6種類(
図2参照)の輸送箱が登録された輸送箱リストの中から、選定されるものとする。当該輸送箱リストを「輸送箱リストBL1」と称する場合がある。
【0032】
図3に示すように、ニューラルネットワーク演算部12は、梱包実績のデータから、梱包した部品リストPL1を抽出し、当該部品リストに対し、梱包した輸送箱として「輸送箱Z」が選定されたことを抽出する。ニューラルネットワーク演算部12の学習部16(
図1参照)は、当該部品リストPL1をニューラルネットワークのモデルMに入力したときに、輸送箱Zが選定されるような評価値が出力されるように、モデルMを適宜更新する。ニューラルネットワーク演算部12は、複数種類の部品リストと、当該部品リストに対して選定された輸送箱に関する多数の梱包実績に基づく教師データを用いて学習を行う。
【0033】
次に、
図2を参照して、箱選定装置100が輸送箱の選定を行う場合について説明する。
図2に示すように、箱選定装置100は、予め輸送箱リストBL1を取得しておく。そして、輸送箱の選定を行うときには、箱選定装置100は、梱包の対象となる部品を示す情報として、前述の部品リストPL1を取得する。ニューラルネットワーク演算部12は、
図3に示す学習によって更新したニューラルネットワークのモデルMを用いて輸送箱に関する評価値を算出する。ニューラルネットワーク演算部12は、学習の結果、輸送箱リストBL1のうち、輸送箱Zが最も選定され易くなるような評価値を出力する。従って、選定部13は、当該評価値に基づいて、輸送箱Zを選定する。箱選定装置100は、輸送箱Zを選定した旨を出力する。
【0034】
次に、
図4を参照して、ニューラルネットワーク演算部12の詳細な構成、及びその処理内容について説明する。
図4は、箱選定装置100の処理内容の具体例を示す模式図である。まず、入力情報受付部11が入力情報を作成する際の処理について説明する。本実施形態では、入力情報は、予め定められた行及び列を有する第1の情報テーブル50を有している。これにより、ニューラルネットワーク演算部12及び選定部13は、第1の情報テーブル50に基づいて、評価値の算出及び輸送箱の選定をそれぞれ行う。
【0035】
図4に示す第1の情報テーブル50は、「N行×M列」の格納部51を有している。一つあたりの格納部51には、文字が一つ格納される。第1の情報テーブル50の一行あたりの文字数はM個で固定されている。また、第1の情報テーブル50の行数はN行で固定されている。これに対し、各部品の識別情報は、品番などを示す文字列によって構成される。識別情報は各部品に対して所定文字数の文字列で管理される。ここでは、部品一つあたりの識別情報の文字数は、第1の情報テーブル50の一行あたりの文字数に合わせて、M個に設定されることが好ましい。
図4に示す例では、「部品a」の識別情報は、「111・・・1」という、M個の「1」という数字で構成されている。
【0036】
入力情報受付部11は、第1の情報テーブル50に識別情報を入力する。このように、第1の情報テーブル50の各格納部に各部品の識別情報に係る文字を格納することによって、入力情報が作成される。なお、一つの部品に対応する識別情報は、第1の情報テーブル50のいずれか一行分の格納部51に格納される。従って、部品リストの部品の数がN個である場合、全ての部品の識別情報を余りなく第1の情報テーブル50の全ての行に格納することができる。なお、識別情報を示す文字は、数字に限定されず、部品を識別できればよく、アルファベットなどであってもよく、記号のような特殊文字などでもよい。
【0037】
ここで、入力情報受付部11は、第1の情報テーブル50に対して、行及び列において文字の数を超過する場合は、整合処理として超過する分の文字を破棄する。また、入力情報受付部11は、第1の情報テーブル50に対して、行及び列において文字が不足する場合は、整合処理として当該不足箇所を所定文字で埋める。具体的には、
図5(a)で示すように、第1の情報テーブル50の列の数、すなわち一行分の格納部51の数が6で固定されているものとする(M=6)。ここで、部品fの識別情報(品番)は、列の数よりも少ない4個の文字で構成されている。この場合、部品fに対応する行には、二つ分の格納部51の不足箇所53が形成される。このように、第1の情報テーブル50に対して列において文字が不足する場合、入力情報受付部11は、整合処理として当該不足箇所53を所定文字(ここでは「0」という数字)で埋める。一方、部品gの識別情報(品版)は、列の数よりも多い8個の文字で構成されている。この場合、部品gに対応する行には、二つ分の超過箇所54が発生する。このように、第1の情報テーブル50に対して列において所定文字数(ここでは6)を超過する場合、入力情報受付部11は、整合処理として超過する分の文字(超過箇所54の文字)を破棄する。
【0038】
また、
図5(b)で示すように、第1の情報テーブル50の行の数、すなわち一列分の格納部51の数が4で固定されているものとする(N=4)。ここで、部品リストの部品の数は、行の数よりも少ない3個である。この場合、4行目には、格納部51の不足箇所56が形成される。このように、第1の情報テーブル50に対して行において文字が不足する場合、入力情報受付部11は、整合処理として当該不足箇所56を所定文字(ここでは「0」という数字)で埋める。一方、
図5(c)においては、部品リストの部品の数が、行の数よりも多い5個である。この場合、5行目には、超過箇所57が発生する。このように、第1の情報テーブル50に対して行において文字の数(ここでは4)を超過する場合、入力情報受付部11は、整合処理として超過する分の文字(超過箇所57の文字)を破棄する。
【0039】
なお、入力情報受付部11は、第1の情報テーブル50に対する識別情報の入力順を、所定の法則に従って整理してよい。例えば、梱包する部品の品番等の入力順は、品番等の昇順・降順で整理されてよく、重量情報などがあれば重量順で整理されてもよい。例えば、
図5(c)では、部品e~iの品番が4~8の数字の羅列でそれぞれ構成されている。この場合、入力情報受付部11は、1行目から順に、品番の数字の小さい部品e~iの順で、第1の情報テーブル50に入力している。
【0040】
なお、同じ部品が複数存在していることを入力情報内で表現したい場合、入力情報受付部11は、同じ部品の個数分の行数に対し、同じ品番を連続で入力してよい。例えば、
図5(d)に示すように、部品gが3個ある場合、3~5行目に対して、部品gの品番を連続で入力することで、品番連続部58を形成している。
【0041】
図4に戻り、入力情報受付部11は、第1の情報テーブル50に各部品の識別情報(品番)を格納して入力情報を作成したら、各行に格納された文字の情報をニューラルネットワーク演算部12へ入力する。
【0042】
ニューラルネットワーク演算部12は、ニューラルネットワークのモデルとして、入力層21と、中間層22と、出力層23と、を有する。入力層21は、ニューラルネットワーク演算を行うためのパラメータを入力するための層である。中間層22は、入力されたパラメータに対して所定の演算を行う層である。出力層23は、評価値を出力する層である。各層21~23は、入力されるパラメータの数に応じたノードNDを有している。例えば、入力層21は、m個のパラメータを成分とする入力ベクトルx=(x
1,x
2,…x
m)をそのまま中間層22に出力する。中間層22は各層の重みと活性化関数により総入力を出力に変換してその出力を出力層23に渡す。出力層23も各層の重みと活性化関数により総入力を出力に変換する。この出力は、n個のパラメータを成分とするニューラルネットワークの出力ベクトルy=(y
1,y
2,…,y
n)である。この出力ベクトルyは評価値を示す。なお、学習時においては(
図3参照)一つの入力ベクトルxに対する出力ベクトルの正解をd=(d
1,d
2,…,d
n)とすると、その出力ベクトルyが正解dに近くなるように各層の重みwが更新される。これが学習という情報処理である。
【0043】
本実施形態においては、入力層21のノードNDの数は、第1の情報テーブル50の行の数(N)、すなわち入力情報に含まれる部品の数と同じに設定される。中間層22は、全結合、畳込み層、プーリング層などのニューラルネットワークにおける一般的な層によって構成され、作業現場に応じて適切に構成される。
【0044】
出力層23のノードNDの数は、選定可能な輸送箱の数、すなわち輸送箱リストBL1(
図2参照)中の輸送箱の数と同じに設定される。出力層23の各ノードNDには、各輸送箱が割り当てられ、対応するノードNDの出力値を各輸送箱の評価値とする。ここで、ニューラルネットワーク演算部12は、ソフトマックス関数を利用して評価値を算出する。具体的には、出力層23が、ソフトマックス関数を利用して評価値を算出する。ソフトマックス関数を以下の数式(1)に示す。なお、ソフトマックス関数は、全ノードNDの出力の総和が1となるように各ノードNDの出力を計算する。出力層23は、この出力値を各ノードNDに割り当てられた転送箱の評価値とする。これにより、出力層23は、記憶部14に記憶された箱情報の中の複数の輸送箱のそれぞれに対する評価値を出力することができる。なお、評価値が大きいほど、梱包する輸送箱として適していることを示す。
【数1】
【0045】
選定部13は、ニューラルネットワーク演算部12の出力値を各輸送箱の評価値とする。例えば、選定部13は、輸送箱Uに対する出力値を評価値y1とし、輸送箱Vに対する出力値を評価値y2とし、輸送箱Zに対する出力値を評価値ynとして取得する。そして、選定部13は、評価値が最大となる輸送箱を選定する。
【0046】
次に、
図6を参照して、本実施形態に係る箱選定方法について説明する。
図6は、箱選定装置100の制御部10による制御処理の内容を示すフローチャートである。箱選定方法は、予め学習された学習情報に基づき、部品を梱包する輸送箱を選定する方法である。なお、各ステップにおける詳細な処理内容は、箱選定装置100の各構成要素の説明においてなされたものと同様であるため、説明を省略する。
【0047】
図6に示すように、記憶部14に学習情報及び輸送箱の箱情報を記憶させる記憶ステップS10が実行される。なお、記憶ステップS10は、
図6の処理が実行される前段階において予め実行されてよい。ここでは、
図3で説明したように、学習情報として、ニューラルネットワークのモデルが生成、または更新される。
【0048】
次に、入力情報受付部11は、部品に関する情報を取得すると共に、取得した情報に基づいて入力情報を作成する入力情報受付ステップS20を実行する。次に、ニューラルネットワーク演算部12は、入力情報受付ステップS20で作成された入力情報を入力層21に入力し、記憶部14に記憶された学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、輸送箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算ステップS30を実行する。次に、選定部13は、ニューラルネットワーク演算ステップS30において出力層23から出力された評価値に基づいて輸送箱を選定する選定ステップS40を実行する。以上により、
図6に示す制御処理が終了する。なお、別の部品リストに対する輸送箱の選定を行うときは、入力情報受付ステップS20から再び処理を繰り返してよい。
【0049】
次に、本実施形態に係る箱選定装置100の作用・効果について説明する。
【0050】
本実施形態に係る箱選定装置は、予め学習された学習情報に基づき、物品を梱包する箱を選定する箱選定装置100である。箱選定装置100の制御部10は、学習情報及び箱情報を記憶する記憶部14と、物品に関する入力情報を作成する入力情報受付部11と、入力情報を入力層21に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算部12と、ニューラルネットワーク演算部12の出力層23から出力された評価値に基づいて箱を選定する選定部13と、を有する。
【0051】
箱選定装置100において、ニューラルネットワーク演算部12は、物品に関する入力情報を入力層21に入力し、学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、箱に関する評価値の算出を行う。そして、選定部13は、ニューラルネットワーク演算部12の出力層23から出力された評価値に基づいて、梱包の対象となる物品に適した箱を選定することができる。ここで、学習情報は、梱包実績に基づいて予め学習されたものである。すなわち、ニューラルネットワーク演算部12は、例えば物品の形状、梱包先の環境情報などの複雑な条件を考慮することを省略し、過去の梱包実績に基づく学習を行うだけで、梱包する物品に適した箱を選定するための評価値を出力することができる。そのため、箱選定装置100は、計算コストを低減した状態で、容易に箱を選定することができる。また、梱包する物品に適した箱を選定する作業は、作業者にとって、熟練を要する作業である。これに対し、箱選定装置100は、過去の梱包実績に基づいた学習を行った上で箱の選定を行うことができるため、作業者の熟練度に左右されることなく、箱を適切に選定することができる。以上より、箱選定装置100は、物品を梱包する箱を選定する場合において、適した箱を容易且つ適切に選定できる。
【0052】
入力情報受付部11は、複数の物品にそれぞれ紐付けられた識別情報を取得し、入力情報は、予め定められた行及び列を有する第1の情報テーブル50を有しており、入力情報受付部11は、第1の情報テーブル50に識別情報を入力し、ニューラルネットワーク演算部12及び選定部13は、第1の情報テーブル50に基づいて、評価値の算出及び箱の選定をそれぞれ行ってよい。この場合、物品の識別情報(例えば品番など)に規則性がある場合、ニューラルネットワーク演算部12に対する識別情報の入力を行い易くなる。
【0053】
識別情報は各物品に対して所定文字数の文字列で管理されており、入力情報受付部11は、第1の情報テーブル50に対して、行及び列において文字の数を超過する場合は超過する分の文字を破棄し、行及び列において文字が不足する場合は、当該不足箇所を所定文字で埋める、整合処理を行ってよい。この場合、一部の物品の文字列が不規則なものであった場合であっても、入力情報受付部11は、第1の情報テーブル50に対して整合された状態にて、物品の識別情報をニューラルネットワーク演算部12に入力することができる。
【0054】
入力情報受付部11は、第1の情報テーブル50に対する識別情報の入力順を、所定の法則に従って整理してよい。この場合、入力情報受付部11は、整理された状態にて識別情報をニューラルネットワーク演算部12に入力することができ、入力情報の入力順による輸送箱の選定結果への影響が抑制され、選定精度が向上する。
【0055】
出力層23は、記憶部14に記憶された箱情報の中の複数の箱のそれぞれに対する評価値を出力してよい。この場合、選定部13は、評価値に基づいて、記憶部14に記憶された箱の何れかを速やかに選定することができる。
【0056】
ニューラルネットワーク演算部12は、ソフトマックス関数を利用して評価値を算出してよい。この場合、ニューラルネットワーク演算部12は、評価値を適切に算出することができる。
【0057】
本実施形態に係る箱選定方法は、予め学習された学習情報に基づき、物品を梱包する箱を選定する箱選定方法であって、学習情報及び箱情報を記憶する記憶ステップS10と、物品に関する入力情報を作成する入力情報受付ステップS20と、入力情報を入力層21に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算ステップS30と、ニューラルネットワーク演算ステップS30において出力層23から出力された評価値に基づいて箱を選定する選定ステップS40と、を有する。
【0058】
本実施形態に係る箱選定プログラムは、予め学習された学習情報に基づき、物品を梱包する箱を選定する箱選定プログラムであって、学習情報及び箱情報を記憶する記憶ステップS10と、物品に関する入力情報を作成する入力情報受付ステップS20と、入力情報を入力層21に入力し、梱包実績に基づいて予め学習された学習情報に基づくニューラルネットワーク演算によって、箱に関する評価値の算出を行うニューラルネットワーク演算ステップS30と、ニューラルネットワーク演算ステップS30において出力層23から出力された評価値に基づいて箱を選定する選定ステップS40と、をコンピュータシステムに実行させる。
【0059】
これらの箱選定方法、及び箱選定プログラムによれば、上述の箱選定装置100と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【0060】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0061】
例えば、箱選定装置100は、
図7に示すような処理を行ってもよい。
図7に示す変形例において、入力情報は、梱包の対象となる部品の種類数に対応する行(列でもよい)を有する第2の情報テーブル60を有する。すなわち、部品の種類がN種類であった場合、第2の情報テーブル60は、N行の格納部61を有する。なお、各行における格納部61は、1個だけである(すなわち1列)。入力情報受付部11は、第2の情報テーブル60にそれぞれの種類に係る部品の個数を入力する。例えば、
図7に示す例では、「部品aが0個、部品bが2個、部品cが0個、…部品zが1個」である。従って、第2の情報テーブル60の部品bに対応する2行目の格納部61には「2」が格納され、部品zに対応するN行目の格納部61には「1」が格納される。ニューラルネットワーク演算部12及び選定部13は、第2の情報テーブル60に基づいて、評価値の算出及び輸送箱の選定をそれぞれ行う。
【0062】
なお、新規部品のように詳細を把握できていない「未知部品」が存在している場合、入力情報受付部11は、次のような前処理を行ってよい。例えば、入力情報受付部11は、第2の情報テーブル60に「未知部品」を示す行を追加し、当該行に全ての未知部品の個数を入力してよい。そして、入力情報受付部11は、「未知部品」に対応する行を破棄してよい。
【0063】
図7に示す変形例においては、ニューラルネットワーク演算部12の入力層21のノードNDの数は、第2の情報テーブル60の行の数、すなわち全部品の種類数と同じになる。ニューラルネットワーク演算部12は、比例関数を利用して評価値を算出する。具体的には、出力層23が、比例関数を利用して評価値を算出する。比例関数を以下の数式(2)に示す。出力層23は、輸送箱の各辺における寸法を評価値として出力する。すなわち、出力層23の各ノードNDには、輸送箱の長辺、短辺、及び高さが割り当てられ、各辺の寸法が出力される。
yk=zk …(2)
yk:出力層のk番目のノードの出力
zk:出力層のk番目のノードの値
【0064】
選定部13は、出力層23から出力された評価値としての各辺の寸法を取得する。そして、選定部13は、選定可能な輸送箱(輸送箱リストBL1の中の輸送箱)の各辺の寸法と、評価値に係る寸法とを比較して誤差を演算する。そして、選定部13は、評価値に係る寸法との誤差が最小となる輸送箱を選定する。ここで、選定部13は、選定時の評価関数として、各辺の誤差の二乗和(以下の式(3)を参照)等を用いてよい。
【数2】
【0065】
図7に示す変形例のように、入力情報は、梱包の対象となる物品の種類数に対応する行又は列を有する第2の情報テーブル60を有しており、入力情報受付部11は、第2の情報テーブル60にそれぞれの物品の個数を入力し、ニューラルネットワーク演算部12及び選定部13は、第2の情報テーブル60に基づいて、評価値の算出及び箱の選定をそれぞれ行ってよい。この場合、物品の識別情報の規則性が低い場合などに、入力情報受付部11は、物品の識別情報をニューラルネットワーク演算部12にスムーズに入力することができる。
【0066】
ニューラルネットワーク演算部12は、比例関数を利用して評価値を算出してよい。この場合、ニューラルネットワーク演算部12は、評価値を適切に算出することができる。
【0067】
出力層23は、箱の各辺における寸法を評価値として出力してよい。この場合、選定部13は、評価値の寸法に近い箱を選定することができる。選定部13は、適切な箱の寸法を連続値として取得できるため、記憶部14に記憶された以外の箱を選定する場合などに有効である。
【0068】
なお、
図4に示す実施形態において説明した出力層23の処理と、
図7に示す変形例において説明した出力層23の処理とを互いに入れ替えてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10…制御部、11…入力情報受付部、12…ニューラルネットワーク演算部、13…選定部、14…記憶部、21…入力層、23…出力層、100…箱選定装置。