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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 13/03 20060101AFI20240723BHJP
   B41J 11/02 20060101ALI20240723BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B41J13/03
B41J11/02
B41J2/01 305
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020090701
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2021186973
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉野 哲史
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 一夫
(72)【発明者】
【氏名】玉井 健介
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-176071(JP,A)
【文献】特開2004-154945(JP,A)
【文献】特開2003-104604(JP,A)
【文献】特開平10-071711(JP,A)
【文献】特開2004-299900(JP,A)
【文献】特開2016-160025(JP,A)
【文献】特開2016-135709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00-13/32
B41J 2/01
B65H 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体を支持する支持面を有する媒体支持部材と、
前記媒体支持部材と対向する位置で前記媒体に記録する記録ヘッドと、を備える記録装置であって、
前記搬送部は、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の上流側に設けられる搬送駆動ローラーと搬送従動ローラーからなる搬送ローラー対と、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側に設けられる排出駆動ローラーと排出従動ローラーからなる排出ローラー対と、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側かつ前記媒体の搬送経路に対して前記排出従動ローラーと同じ上側に前記排出従動ローラーとは別に設けられ、搬送中の前記媒体が接触することで従動回転する案内ローラーと、を有し、
前記排出駆動ローラーは、前記搬送方向と交差する幅方向に間隔をおいて複数配置され、
前記案内ローラーは、前記幅方向において前記排出駆動ローラーと異なる位置かつ前記搬送方向において前記排出ローラー対を挟む両側の位置に設けられるとともに、当該両側のうち少なくとも一方の前記案内ローラーの下端が、前記排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体を支持する支持面を有する媒体支持部材と、
前記媒体支持部材と対向する位置で前記媒体に記録する記録ヘッドと、を備える記録装置であって、
前記搬送部は、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の上流側に設けられる搬送駆動ローラーと搬送従動ローラーからなる搬送ローラー対と、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側に設けられる排出駆動ローラーと排出従動ローラーからなる排出ローラー対と、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側かつ前記媒体の搬送経路に対して前記排出従動ローラーと同じ上側に設けられ、搬送中の前記媒体が接触することで従動回転する案内ローラーと、を有し、
前記案内ローラーは、前記排出ローラー対を前記搬送方向に挟む両側に設けられ
前記搬送方向と交差する幅方向に複数の前記排出ローラー対が配置され、複数の前記排出ローラー対は前記媒体を複数のニップ位置で挟んで搬送し、
前記排出駆動ローラーの回転軸と平行な方向から見た側面視において、複数の前記排出ローラー対の全ての前記ニップ位置が、前記両側の前記案内ローラーの下端を結ぶ仮想線よりも上方に位置することを特徴とする記録装置。
【請求項3】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体を支持する支持面を有する媒体支持部材と、
前記媒体支持部材と対向する位置で前記媒体に記録する記録ヘッドと、を備える記録装置であって、
前記搬送部は、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の上流側に設けられる搬送駆動ローラーと搬送従動ローラーからなる搬送ローラー対と、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側に設けられる排出駆動ローラーと排出従動ローラーからなる排出ローラー対と、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側かつ前記媒体の搬送経路に対して前記排出従動ローラーと同じ上側に前記排出駆動ローラーとの間に前記媒体をニップしない位置に設けられ、搬送中の前記媒体が接触することで従動回転する案内ローラーと、を有し、
前記案内ローラーは、前記排出ローラー対よりも前記搬送方向の上流の位置に設けられる第1ローラーと、前記排出従動ローラーを前記搬送方向と交差する幅方向に挟む両側に設けられる第2ローラーとを含み、
前記第1ローラーの下端が、前記排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置し、
前記両側の前記第2ローラーのうち少なくとも一方の前記第2ローラーの下端が、前記排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置することを特徴とする記録装置。
【請求項4】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体を支持する支持面を有する媒体支持部材と、
前記媒体支持部材と対向する位置で前記媒体に記録する記録ヘッドと、を備える記録装置であって、
前記搬送部は、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の上流側に設けられる搬送駆動ローラーと搬送従動ローラーからなる搬送ローラー対と、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側に設けられる排出駆動ローラーと排出従動ローラーからなる排出ローラー対と、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側かつ前記媒体の搬送経路に対して前記排出従動ローラーと同じ上側に前記排出駆動ローラーとの間に前記媒体をニップしない位置に設けられ、搬送中の前記媒体が接触することで従動回転する案内ローラーと、を有し、
前記案内ローラーは、前記排出ローラー対を前記搬送方向に挟む両側に設けられるとともに、当該両側のうち少なくとも一方の前記案内ローラーの下端が、前記排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置し、
前記両側の前記案内ローラーは、前記搬送方向と交差する幅方向の位置が同じであることを特徴とする記録装置。
【請求項5】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体を支持する支持面を有する媒体支持部材と、
前記媒体支持部材と対向する位置で前記媒体に記録する記録ヘッドと、を備える記録装置であって、
前記搬送部は、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の上流側に設けられる搬送駆動ローラーと搬送従動ローラーからなる搬送ローラー対と、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側に設けられる排出駆動ローラーと排出従動ローラーからなる排出ローラー対と、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側かつ前記媒体の搬送経路に対して前記排出従動ローラーと同じ上側に前記排出駆動ローラーとの間に前記媒体をニップしない位置に設けられ、搬送中の前記媒体が接触することで従動回転する案内ローラーと、を有し、
前記案内ローラーは、前記排出ローラー対を前記搬送方向に挟む両側に設けられるとともに、当該両側のうち少なくとも一方の前記案内ローラーの下端が、前記排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置し、
前記両側の前記案内ローラーが上方へ変位可能な状態で下方へ付勢されるそれぞれの付勢力は、前記排出従動ローラーが上方へ変位可能な状態で前記排出駆動ローラーに向かって付勢される付勢力よりも小さいことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体を支持する支持面を有する媒体支持部材と、
前記媒体支持部材と対向する位置で前記媒体に記録する記録ヘッドと、を備える記録装置であって、
前記搬送部は、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の上流側に設けられる搬送駆動ローラーと搬送従動ローラーからなる搬送ローラー対と、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側に設けられる排出駆動ローラーと排出従動ローラーからなる排出ローラー対と、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側かつ前記媒体の搬送経路に対して前記排出従動ローラーと同じ上側に設けられ、搬送中の前記媒体が接触することで従動回転する案内ローラーと、を有し、
前記案内ローラーは、前記排出ローラー対に対して前記搬送方向の両側に設けられ、
前記排出ローラー対よりも前記搬送方向の上流側に設けられる第1ローラーと、
前記排出ローラー対よりも前記搬送方向の下流側に設けられる第2ローラーであり、
前記第2ローラーの下端が、前記排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置し、
前記第2ローラーと前記排出駆動ローラーの上端との間の前記搬送方向における第2距離は、前記第1ローラーと前記排出駆動ローラーの上端との間の前記搬送方向における第1距離よりも短いことを特徴とする記録装置。
【請求項7】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体を支持する支持面を有する媒体支持部材と、
前記媒体支持部材と対向する位置で前記媒体に記録する記録ヘッドと、を備える記録装置であって、
前記搬送部は、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の上流側に設けられる搬送駆動ローラーと搬送従動ローラーからなる搬送ローラー対と、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側に設けられる排出駆動ローラーと排出従動ローラーからなる排出ローラー対と、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側かつ前記媒体の搬送経路に対して前記排出従動ローラーと同じ上側に設けられ、搬送中の前記媒体が接触することで従動回転する案内ローラーと、を有し、
前記案内ローラーは、前記排出ローラー対に対して前記搬送方向の両側に設けられ、
前記排出ローラー対よりも前記搬送方向の上流側に設けられる第1ローラーと、
前記排出ローラー対よりも前記搬送方向の下流側に設けられる第2ローラーであり、
前記第2ローラーの下端が、前記排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置し、
前記媒体支持部材は、前記媒体を支持する前記支持面を有するリブと前記リブ以外の領域に形成された凹領域とを幅方向に交互に備え、
前記第2ローラーは、前記幅方向の位置が前記凹領域と同じであることを特徴とする記録装置。
【請求項8】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体を支持する支持面を有する媒体支持部材と、
前記媒体支持部材と対向する位置で前記媒体に記録する記録ヘッドと、を備える記録装置であって、
前記搬送部は、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の上流側に設けられる搬送駆動ローラーと搬送従動ローラーからなる搬送ローラー対と、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側に設けられる排出駆動ローラーと排出従動ローラーからなる排出ローラー対と、
前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側かつ前記媒体の搬送経路に対して前記排出従動ローラーと同じ上側に設けられ、搬送中の前記媒体が接触することで従動回転する案内ローラーと、を有し、
前記案内ローラーは、前記排出ローラー対に対して前記搬送方向の両側に設けられ、
前記排出ローラー対よりも前記搬送方向の上流側に設けられる第1ローラーと、
前記排出ローラー対よりも前記搬送方向の下流側に設けられる第2ローラーであり、
前記第2ローラーの下端が、前記排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置し、
前記記録ヘッドの記録位置よりも前記搬送方向の上流の位置で、前記媒体を前記媒体支持部材の前記支持面よりも低い位置に押さえる押さえ部材を備え、
前記第2ローラーは、前記搬送方向と交差する幅方向の位置が前記押さえ部材と同じになる位置に配置されることを特徴とする記録装置。
【請求項9】
前記案内ローラーは、前記排出ローラー対に対して前記搬送方向の両側に設けられ、
前記排出ローラー対よりも前記搬送方向の上流側に設けられる第1ローラーと、
前記排出ローラー対よりも前記搬送方向の下流側に設けられる第2ローラーであり、
前記第2ローラーの下端が、前記排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4、請求項5のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記第1ローラーの下端は、前記排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置することを特徴とする請求項6~請求項9のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項11】
前記第1ローラーの下端と前記第2ローラーの下端との鉛直方向の寸法差は、前記第2ローラーと前記排出駆動ローラーとの鉛直方向のオーバーラップ量以下であることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の記録装置。
【請求項12】
前記第2ローラーは、前記搬送方向と交差する幅方向の位置が前記排出従動ローラーの間に相当する位置に配置されることを特徴とする請求項9~請求項11のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項13】
前記第1ローラーと前記第2ローラーは、前記搬送方向と交差する幅方向の位置が同じであることを特徴とする請求項6~請求項9のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項14】
前記第1ローラーは上方へ変位可能な状態で下方へ第1付勢力で付勢され、前記第2ローラーは上方へ変位可能な状態で下方へ第2付勢力で付勢され、
前記排出従動ローラーは、上方へ変位可能な状態で下方へ第3付勢力で前記排出駆動ローラーに向かって付勢され、
前記第1ローラーの前記第1付勢力と前記第2ローラーの前記第2付勢力とは、前記排出従動ローラーの前記第3付勢力よりも小さいことを特徴とする請求項6~請求項9のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項15】
前記第2ローラーと前記排出駆動ローラーの上端との間の前記搬送方向における第2距離は、前記第1ローラーと前記排出駆動ローラーの上端との間の前記搬送方向における第1距離よりも短いことを特徴とする請求項7~請求項9のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項16】
前記媒体支持部材は、前記媒体を支持する前記支持面を有するリブと前記リブ以外の領域に形成された凹領域とを前記搬送方向と交差する幅方向に交互に備え、
前記第2ローラーは、前記幅方向の位置が前記凹領域と同じであることを特徴とする請求項6、請求項8、請求項9のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項17】
前記記録ヘッドの記録位置よりも前記搬送方向の上流の位置で、前記媒体を前記媒体支持部材の前記支持面よりも低い位置に押さえる押さえ部材を備え、
前記第2ローラーは、前記搬送方向と交差する幅方向の位置が前記押さえ部材と同じになる位置に配置されることを特徴とする請求項6、請求項7、請求項9のいずれか一項に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を搬送する搬送部と、媒体を支持する媒体支持部材と、媒体支持部材に支持された媒体に記録する記録ヘッドとを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、搬送路に沿って媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、搬送される媒体に画像を記録する記録ヘッドを有する記録部と、搬送路において記録部と対向する位置で媒体を支持する媒体支持部材とを備える記録装置が開示されている。
【0003】
記録装置は、記録部よりも搬送方向の上流に配置された搬送ローラー対と、記録部よりも搬送方向の下流に配置された下流波形状付与機構とを備える。下流波形状付与機構は、媒体を搬送方向に搬送するとともに媒体支持部材上の媒体に幅方向に沿った波形状を付与する。下流波形状付与機構は、媒体を挟む複数の排出ローラーと複数の第1拍車からなる排出ローラー対と、複数の第2拍車とを備える。複数の第2拍車は、排出ローラー対によって搬送される媒体の上面に当接する。媒体支持部材が第1付勢部材の付勢力に抗して第1位置から第2位置へ移動することによって、媒体の剛性に応じた波形状が付与される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-160025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された記録装置では、媒体の後端が搬送ローラー対のニップ位置から抜け出るときに、媒体の後端が搬送ローラー対により蹴飛ばされる。この媒体の蹴飛ばしによって、媒体の搬送位置精度が低下するという課題がある。例えば、媒体の搬送位置精度の低下は、記録部が媒体に記録する記録位置の低下をもたらし、これが記録品質の低下の原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する記録装置は、記録装置は、媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記媒体を支持する支持面を有する媒体支持部材と、前記媒体支持部材と対向する位置で前記媒体に記録する記録ヘッドと、を備える記録装置であって、前記搬送部は、前記媒体支持部材の前記搬送方向の上流側に設けられる搬送駆動ローラーと搬送従動ローラーからなる搬送ローラー対と、前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側に設けられる排出駆動ローラーと排出従動ローラーからなる排出ローラー対と、前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側かつ前記媒体の搬送経路に対して前記排出従動ローラーと同じ上側に設けられ、搬送中の前記媒体が接触することで従動回転する案内ローラーと、を有し、前記案内ローラーは、前記排出ローラー対を前記搬送方向に挟む両側または前記排出従動ローラーを前記搬送方向と交差する幅方向に挟む両側に設けられるとともに、当該両側のうち少なくとも一方の前記案内ローラーの下端が、前記排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態における記録装置の斜視図。
図2】カバーを開けた状態にある記録装置を示す斜視図。
図3】筐体を取り外した状態にある記録装置を示す斜視図。
図4】筐体を取り外した状態にある記録装置の一部を示す斜視図。
図5】搬送部の一部を示す斜視図。
図6】搬送部および記録部の一部を示す側断面図。
図7】搬送部の一部を示す平面図。
図8】搬送部の一部を示す正断面図。
図9】押さえ部材の作用を説明する正断面図。
図10】媒体ガイド機構および押さえ部材を示す側断面図。
図11】媒体ガイド機構および押さえ部材を示す側断面図。
図12】搬送部および記録部の一部を示す側断面図。
図13】排出機構を示す側断面図。
図14】搬送部の一部を示す拡大平面図。
図15】搬送部の一部を示す正断面図。
図16】搬送部の一部を示す正断面図。
図17】変更例における搬送部を示す平面図。
図18】排出機構の一部を示す正断面図。
図19】変更例の排出機構を説明する側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、記録装置の一実施形態について図面を参照して説明する。図1では、記録装置11が水平面上に置かれているものとして、互いに直交する3つの仮想軸を、X軸、Y軸及びZ軸とする。X軸は後述する記録ヘッドの走査方向と平行な仮想軸であり、Y軸は記録時の媒体の搬送方向と平行な仮想軸である。記録ヘッドがX軸と平行な両方向に往復移動するこの両方向を指して走査方向Xという。また、Z軸は鉛直方向Z1と平行な仮想軸である。Y軸と平行な一方向が、記録ヘッドが媒体に記録する記録位置における媒体の搬送方向を指す。この方向を搬送方向Yともいう。記録ヘッド25が媒体に記録するときの媒体の搬送方向を第1搬送方向Y1とし、第1搬送方向Y1と反対の方向を第2搬送方向Y2とする。また、媒体Mが搬送される搬送方向は、媒体Mの搬送経路の全域においてY軸と平行である訳ではなく、搬送経路上の媒体Mの位置に応じて搬送方向Y0は変化する。また、媒体が搬送される搬送方向Y0と交差する方向を幅方向Xともいう。本実施形態では、幅方向Xと走査方向Xは同じ方向である。
【0009】
<記録装置の構成>
図1に示される記録装置11は、シリアル記録方式のインクジェットプリンターである。図1に示されるように、記録装置11は、装置本体12と、装置本体12の上部に開閉可能に設けられたカバー13とを備える。記録装置11は、全体として略直方体状をなしている。
【0010】
記録装置11は、前面に操作パネル15を備える。操作パネル15は、記録装置11に対する各種の指示を与えるときに操作される操作ボタンなどを含む操作部と、各種メニューおよび記録装置11の動作状況などを表示する表示部(いずれも図示略)とを有する。また、装置本体12の前面には、電源ボタン16が設けられている。なお、表示部をタッチパネルで構成し、タッチパネルの操作機能をもって操作部を構成してもよい。
【0011】
また、装置本体12の前部右側には、少なくとも1つ(本実施形態では6つ)の液体供給源17(図2参照)を収容する収容部18が設けられている。収容部18は、各液体供給源17と対応する少なくとも1つ(本実施形態では6つ)の窓部19を有する。窓部19は、透明もしくは半透明の樹脂製であり、ユーザーは窓部19を通じて液体供給源17に収容された液体の液面レベルを外部から視認可能である。
【0012】
また、記録装置11の後部上側には、給送カバー20が開閉可能に設けられている。給送カバー20は後端を中心に回動することで開閉される。装置本体12において図1に示される閉位置にある給送カバー20の内方には、給送部21が収容されている。給送部21は、用紙等の媒体Mを給送する。給送部21は、媒体Mを載置するための給送トレイ22(図2参照)を有する。ユーザーは、給送カバー20が開位置にあるときに露出する給送トレイ22(図2参照)に媒体Mを載置する。
【0013】
図1に示されるように、記録装置11は、搬送された媒体Mに記録を行う記録部23を備える。記録部23は、媒体Mに記録する記録ヘッド25を備える。本例の記録部23は、例えば、シリアル記録方式である。シリアル記録方式の記録部23は、走査方向Xに往復移動可能なキャリッジ24と、キャリッジ24の下部に保持された記録ヘッド25とを備える。記録ヘッド25が、搬送経路に沿って搬送される媒体Mと対向する面が、複数のノズル(図示略)が開口するノズル面(図6参照)となっている。液体供給源17と記録部23とは液体供給チューブ(図示略)を通じて接続されており、液体供給源17から液体供給チューブを通じて記録ヘッド25へ液体が供給される。記録ヘッド25は、キャリッジ24と共に移動しながら複数のノズルから媒体Mに向かって液体を吐出する。
【0014】
また、記録装置11の前面下部には、排出カバー26が開閉可能に設けられている。排出カバー26は下端を中心に回動する。装置本体12において図1に示す閉位置にある排出カバー26の奥には、記録後の媒体Mを受けるために使用されるスタッカー27(図4参照)が収納されている。排出カバー26を開位置に開けた状態では、スタッカー27を搬送方向Yにスライドさせて媒体Mを受ける受け位置に延出させることが可能である。
【0015】
記録装置11は、各種の制御を司る制御部100を備える。制御部100は、キャリッジ24および記録ヘッド25の制御や、媒体Mの搬送制御、操作パネル15の表示制御、電源制御などを司る。
【0016】
次に、図2図3を参照して記録装置11の内部の詳細な構成について説明する。
図2に示されるように、装置本体12内には、メインフレーム30が幅方向Xに延設されている。メインフレーム30は、キャリッジ24を案内する一対のガイドレール30A(図3も参照)を有する。一対のガイドレール30Aは、走査方向Xに沿って互いに平行に延びている。キャリッジ24は、一対のガイドレール30Aにより鉛直方向Z1に2箇所で走査方向(幅方向X)に移動可能に支持される。キャリッジ24は、一対のガイドレール30Aに案内されることで走査方向Xに往復移動する。メインフレーム30とキャリッジ24との間には、キャリッジ24を走査方向Xに移動させる移動機構31(図2参照)が設けられている。移動機構31は、例えばベルト駆動方式であり、キャリッジ24の駆動源であるキャリッジモーター32と、走査方向Xに沿って張られた無端状のタイミングベルト33とを備える。キャリッジ24はタイミングベルト33の一部に固定されている。キャリッジモーター32が正逆回転することでタイミングベルト33を介してキャリッジ24は走査方向Xに往復移動する。
【0017】
また、メインフレーム30には、走査方向Xに沿って延びるリニアエンコーダー34が設けられている。リニアエンコーダー34は、走査方向に沿って延びるリニアスケールと、キャリッジ24に取着されたセンサー(図示略)とを備える。センサーはリニアスケールを検出し、キャリッジ24の移動量と比例する数のパルスを含むパルス信号を出力する。
【0018】
収容部18には、その上部を開閉する供給カバー18aが設けられている。ユーザーは、窓部19を通じて残量が少なくなった液体供給源17があると、カバー13および供給カバー18aを開け、液体ボトルから液体供給源17の注入口(図示略)に液体を注入する。
【0019】
図3に示されるように、媒体Mが載置される給送トレイ22には、一対のエッジガイド22Aが設けられている。給送トレイ22に載置された媒体Mは、一対のエッジガイド22Aで挟むことで、幅方向Xに位置決めされる。給送部21は、駆動源として給送モーター35を備える。給送部21は、給送トレイ22に載置された媒体Mを搬送経路に沿って搬送方向Y0に給送する。
【0020】
図3に示されるように、記録装置11は、給送部21から給送された媒体Mを搬送方向Y0に搬送する搬送部40を備える。また、記録装置11は、媒体Mを支持する媒体支持部材50を備える。媒体支持部材50は、幅方向Xに延びる長尺状の部材であり、最大幅の媒体Mの幅方向全域を支持可能な長さを有する。記録部23は、搬送された媒体Mのうち媒体支持部材50に支持された部分に記録を行う。
【0021】
記録装置11は、キャリッジ24が1回移動して記録ヘッド25が1パス分の記録を行う記録動作と、媒体Mを次の記録位置まで搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、媒体Mに文字または画像が記録される。ここで、搬送部40が媒体を搬送して次の記録位置に停止させる搬送位置精度が高ければ、高い記録品質が確保される。なお、記録部23は、ライン記録方式でもよい。ライン記録方式の記録部23は、最大幅の媒体Mの幅全域に一斉に液体を吐出可能な複数のノズルを有するラインヘッドよりなる記録ヘッド25を備える。一定速度で搬送される媒体Mに対して媒体Mの幅全域を吐出対象としてラインヘッドよりなる記録ヘッド25のノズルから液体を吐出するため、画像等の高速な記録が実現される。
【0022】
記録装置11は、記録部23と媒体支持部材50との間のギャップを調整するギャップ調整機構37を備える。ギャップ調整機構37は、記録ヘッド25の高さ位置を変化させることによってギャップを調整する機構である。制御部100は、ギャップ調整機構37を制御し、媒体Mの種類に応じた値のギャップに調整する。媒体Mが例えば用紙である場合、媒体Mの種類には、普通紙(薄紙、厚紙)、写真紙、封筒、CDR(CD-Recordable)等のディスクなどがある。なお、普通紙等の媒体Mは、剛性の小さい第1媒体であり、写真紙等の媒体Mは、第1媒体よりも剛性の大きい第2媒体である。
【0023】
図3に二点鎖線で示すキャリッジ24は、記録が行われないときの待機位置であるホーム位置HPに位置する。媒体支持部材50に対して幅方向Xの隣の位置には、ホーム位置HPにあるキャリッジ24と対向する下方位置に、記録ヘッド25のメンテナンスを行うメンテナンス装置60が配置されている。メンテナンス装置60は、キャリッジ24がホーム位置HPにあるときの記録ヘッド25をキャッピングするキャップ61と、記録ヘッド25のノズル面25A(図6参照)を払拭するワイパー62とを備える。記録ヘッド25がキャップ61によりキャッピングされることで、記録ヘッド25のノズル内のインク等の液体の増粘や乾燥が抑制される。ノズル内の液体が増粘したり、ノズル内の液体に気泡があったり、ノズルが紙粉等の異物により塞がれたりした場合、ノズルの目詰まりによってノズルから液体を正常に吐出できない吐出不良が発生する。
【0024】
メンテナンス装置60は、この種の吐出不良を解消または予防するために、記録ヘッド25のノズルをクリーニングする。メンテナンス装置60は、キャップ61と不図示のチューブを通じて連通する吸引ポンプ63を備える。メンテナンス装置60は、キャップ61が記録ヘッド25のノズル面25Aにノズルを囲む状態で接触するキャッピング状態の下で、吸引ポンプ63を駆動する。吸引ポンプ63が駆動されると、ノズル面25Aとキャップ61との間にノズルと連通する状態に形成される閉空間に負圧が導入されることにより、ノズルから液体が強制的に吸引排出される。ノズルから増粘した液体、気泡、紙粉等の異物が強制的に吸引排出されることで、ノズルは吐出不良から回復する。
【0025】
また、記録部は、媒体Mに記録する記録動作の途中に定期的または不定期にホーム位置HPに移動し、全てのノズルからキャップ61に向かって記録とは関係のない液滴を吐出する空吐出(「フラッシング」ともいう。)を行うことで、記録中の吐出不良を予防する。クリーニングおよび空吐出によってノズルから排出された液体(廃液)は、吸引ポンプ63の駆動により廃液チューブ64を通じて廃液タンク65に送られる。
【0026】
図4図6に示されるように、搬送部40は、搬送方向Y0に媒体支持部材50を挟む両側のうち上流側の位置に配置された搬送ローラー対41と、下流側の位置に配置された排出ローラー対42とを備える。図5図6に示されるように、搬送ローラー対41は、搬送駆動ローラー410と搬送従動ローラー43との対で構成される。詳しくは、搬送ローラー対41は、1本の搬送駆動ローラー410と、搬送駆動ローラー410と当接する複数の搬送従動ローラー43とにより構成される。排出ローラー対42は、複数の排出駆動ローラー420(図6参照)と、複数の排出従動ローラー44との対よりなる。排出従動ローラー44は、例えば、その外周に沿って複数の歯を有するスターホイールである。
【0027】
図4図5に示されるように、搬送部40は、給送された媒体Mの裏面を支持する板状の媒体ガイド部材45と、媒体ガイド部材45に対して媒体Mの搬送経路を挟んで上方に配置される媒体ガイド機構46とを備える。図5に示されるように、媒体ガイド機構46は、搬送経路に沿って媒体Mを案内する回動可能なガイド部材47と、搬送方向Y0においてガイド部材47の下流端部に支持される複数の搬送従動ローラー43と、搬送従動ローラー43が搬送駆動ローラー410に近づく方向にガイド部材47を付勢する付勢部材46Sとを有する。
【0028】
図4に示されるように、記録装置11は、搬送部40の駆動源である搬送モーター71と、搬送モーター71の動力を駆動ローラー410,420(図6参照)に伝達する動力伝達機構72とを備える。動力伝達機構72は、搬送モーター71の動力を搬送駆動ローラー410に伝達する歯車列と、搬送駆動ローラー410の回転を排出駆動ローラー420に伝達するタイミングベルト等を含む。記録装置11には、搬送駆動ローラー410の回転を検出するロータリーエンコーダー74が設けられている。ロータリーエンコーダー74は、搬送駆動ローラー410の回転軸の端部に固定された回転スケール741と、回転スケール741の回転を検出する光学センサー742とを備える。ロータリーエンコーダー74は、搬送駆動ローラー410の回転量と比例する数のパルスを含むパルス信号を出力する。
【0029】
図4に示されるように、スタッカー27は、四角板状の載置部271を有する。スタッカー27は、図4に示される退避位置と、退避位置から搬送方向Y0の下流へスライドした受け位置との間で移動する。スタッカー27の上方に排出口75が開口しており、記録後の媒体Mは排出口75から排出される。排出口75から排出された記録済みの媒体Mは、受け位置にあるスタッカー27上に載置される。スタッカー27は、電動モーターの動力で駆動される電動式でもよいし、ユーザーが手動でスライドさせる手動式でもよい。
【0030】
本実施形態の記録装置11は、CDR等のディスクのレーベル面に記録するレーベル記録機能を有する。ディスクを媒体Mとし、そのレーベル面に記録するレーベル記録を行うとき、ユーザーはディスクを板状の専用トレイ(図示略)にセットし、その専用トレイを排出口75から挿入する。専用トレイは搬送ローラー対41および排出ローラー対42にニップされる。これにより、ディスクは記録部23による記録が可能な記録位置に搬送される。記録部23はディスクのレーベル面に画像等を記録する。
【0031】
図5図6に示されるように、媒体支持部材50は、搬送方向Y0の上流端部に位置する第1支持部51と、第1支持部51よりも搬送方向Y0の下流に位置するメインの第2支持部52と、第2支持部52よりも搬送方向Y0の下流に位置する第3支持部53とを備える。第1支持部51は、搬送ローラー対41から送り出された直後の部分の媒体Mを支持する。第2支持部52は、記録ヘッド25の移動領域と対向する領域に配置されている。第2支持部52は、記録ヘッド25がノズルから吐出される液体が着弾する記録領域の媒体Mを支持する。第1支持部51は、記録領域よりも搬送方向Y0の上流に位置する領域の媒体Mを支持する。第3支持部53は、記録が済んだ部分の媒体Mを支持する。第1支持部51、第2支持部52および第3支持部53は、最大幅の媒体Mが搬送される幅領域よりも幅方向Xに少し広い領域に亘って延在している。
【0032】
第1支持部51は、幅方向Xに間隔をおいて配列された状態で上方に突出する複数の第1リブ54を備える。第2支持部52は、幅方向Xに間隔をおいて配列された状態で上方に突出する複数の第2リブ55を備える。第3支持部53は、幅方向Xに間隔をおいて配列された状態で上方に突出する複数の第3リブ56を備える。第1リブ54と第2リブ55と第3リブ56は、幅方向Xに同じ位置に配置されている。このため、第1リブ54に対して搬送方向Y0の下流位置には第2リブ55が位置し、第3リブ56に対して搬送方向Y0の上流位置には第2リブ55が位置する。第2リブ55は、第1リブ54が配列される範囲よりも外方となる両側に1つずつ余分に設けられている。このため、第2リブ55の数は、第1リブ54の数よりも2つ多い。なお、各リブ54~56の幅方向Xにおける位置は、規定サイズの媒体Mを支持するときに、その媒体Mの幅方向Xの両端部を支持可能に、媒体Mの幅サイズに応じて設定されている。このため、規定サイズの媒体Mはどのサイズであっても幅方向Xの両端部が、それぞれの幅寸法に対応して位置するリブ54~56によって支持される。
【0033】
図5図7に示されるように、第2支持部52は、1つまたは2つの第2リブ55が突出する基板部57と、基板部57を囲むように配置された液体吸収体58とを備える。液体吸収体58は、多孔質の合成樹脂材料により形成されており、インク等の液体を吸収する。液体吸収体58は、規定サイズの媒体Mが第2リブ55に支持されたときに、記録ヘッド25のノズルから、媒体Mの幅方向Xの両端部から外側にはみ出して吐出された液体を吸収可能に、媒体Mの幅サイズに応じた位置に配置されている。このため、記録装置11が規定サイズの媒体Mに周縁部に余白を作らず記録する縁無し記録を行うとき、媒体Mの幅方向Xの両端から外側へはみ出して液体が吐出される位置には液体吸収体58が配置され、媒体Mの幅方向Xの外側の位置に吐出された液体は液体吸収体58によって吸収される。縁無し記録時に媒体Mの外側にはみ出して吐出された液体が第2リブ55に付着することが回避される。このため、第2リブ55に付着した液体が搬送中の媒体Mの裏面に転写されて媒体Mの裏面を液体で汚すことが回避される。
【0034】
図5図7に示されるように、ガイド部材47には、幅方向Xの中央部に媒体Mを検知する媒体検出器76が取り付けられている。媒体検出器76は、搬送ローラー対41よりも搬送方向Y0の上流位置で媒体Mの有無を検知する。なお、ガイド部材47は媒体Mの搬送経路と対向する下面が、媒体Mを案内するガイド面47C(図6参照)となっている。
【0035】
図6図7に示されるように、記録部23の走査領域と排出ローラー対42との間には、搬送経路の上方となる位置に、媒体Mが接触すると従動回転する第1ローラー48が設けられている。第1ローラー48は、幅方向Xに複数設けられている。複数の第1ローラー48のうち幅方向Xに最も外側に位置する2つの第1ローラー48はその他の第1ローラー48よりも若干搬送方向Y0の下流に位置している。
【0036】
図5図7に示されるように、媒体ガイド機構46には、搬送中の媒体Mを媒体支持部材50に向かって押さえる複数の押さえ部材81が、幅方向Xに間隔をおいた複数箇所に設けられている。図6に示されるように、押さえ部材81は、その先端部に押さえ対象である媒体Mの表面と当接する当接部815と、当接部815よりも搬送方向Y0の上流に位置する回動支点である支軸471とを備える。押さえ部材81は、媒体ガイド機構46を構成するガイド部材47の支軸471が孔814に挿通された状態で後端部が支持され、支軸471を中心に所定角度範囲で回動可能に設けられる。押さえ部材81は、支持面50A(図10参照)と交差する方向に移動可能に設けられる。押さえ部材81は、付勢機構82を構成する弾性部材83(図9図10参照)によって、その先端部の当接部815が搬送中の媒体Mの表面を押さえることが可能な押さえ方向に付勢されている。
【0037】
図6に示されるように、本例の押さえ部材81が媒体Mを押さえる押さえ方向PDは、支軸471を中心として当接部815が下方へ移動する方向であり、かつ当接部815が媒体Mを媒体支持部材50の支持面50Aに押さえ付けることが可能な方向である。図6において、押さえ部材81は、その下端部である当接部815が媒体Mを、搬送ローラー対41のニップ位置N1および支持面50Aよりも下方の位置に押さえ付ける(図10参照)。なお、押さえ方向PDは、搬送中の媒体Mを支持面50Aに押し付けられる方向であればよい。
【0038】
図6に示されるように、当接部815は、搬送方向Y0に記録ヘッド25よりも上流かつ搬送ローラー対41のニップ位置N1よりも下流となる範囲内に位置する。すなわち、押さえ部材81は、搬送ローラー対41のニップ位置N1よりも搬送方向Y0の下流の位置かつ記録ヘッド25による記録が行われる前の部分で媒体Mの表面を押さえる。この理由の1つは、押さえ部材81の当接部815が記録後の媒体Mの表面である記録面を押さえると、記録面から当接部815に転写されたインクが他の媒体Mに付着して他の媒体Mを汚すことを防止するためである。また、理由の他の1つは、媒体Mの先端部が記録ヘッド25の下方に位置するときに、媒体Mを図9に示す波形状に変形させて媒体Mの先端部分に搬送方向Y0に延びる張力を付与することで先端部分の剛性を高め、媒体Mの先端部の浮き上がりによる媒体Mのノズル面25Aへの接触を抑制するためである。
【0039】
図7図8に示されるように、押さえ部材81は、媒体支持部材50の幅方向Xにおいてリブ54間の凹領域59に、当接部815が対向する位置に配置されている。つまり、押さえ部材81は、幅方向Xに凹凸形状を有する媒体支持部材50の凸部であるリブ54以外の凹領域59に対して上方から当接部815が対向する位置に配置されている。このため、幅方向Xにおいて、隣合う2つの当接部815の間にリブ54が位置する。複数の押さえ部材81は、当接部815が幅方向Xにリブ54を挟む両側の位置で媒体Mの表面を押さえることで、搬送中の媒体Mを図8に示す幅方向Xに山部と谷部とが交互に繰り返す波形状に湾曲させる。
【0040】
ここで、媒体Mを波形状に湾曲させるために必要な力は、媒体Mの自由端となる幅方向Xの側端部に近い部分では小さく済む。一方、媒体Mの自由端から離れた幅方向Xの中央部は、押さえ部材81で媒体Mを湾曲させることが困難な位置である。また、図5図7に示されるように、ガイド部材47の幅方向Xの中央部には媒体検出器76が配設されている。媒体検出器76は媒体Mの搬送方向Y0における端部を検知する。媒体検出器76の周辺領域は他の部品の配置スペースを確保しにくいため、複数の押さえ部材81は、媒体ガイド機構46の幅方向Xの中央部を除く領域に配置されている。
【0041】
図7に示されるように、複数の押さえ部材81のうち幅方向Xに最も外側に位置する一対の押さえ部材81は、同図に二点鎖線で示す最大幅の媒体Mの幅方向Xの両端部を押さえる。つまり、図9に示されるように、幅方向Xに最も外側に位置する両側一対の押さえ部材81は、幅方向Xにおいて最も外側に位置するリブ54と、最大幅の媒体Mの側端Msとの間に位置する。
【0042】
また、媒体支持部材50よりも搬送方向Y0の下流の位置には、媒体Mのうち記録後の部分を搬送する排出機構70が設けられている。排出機構70は、排出ローラー対42を含む。排出機構70は、排出ローラー対42よりも搬送方向Y0の上流に位置する第1ローラー48と、排出ローラー対42よりも搬送方向Y0の下流に位置する第2ローラー49とを有する。また、排出機構70よりも搬送方向Y0の下流の位置には、CDRやDVD等のディスクのレーベル面に記録するレーベル記録時にディスクが載置されたトレイを搬送する搬送機構90が支持部材38に組み付けられている。搬送機構90は、ディスクが載置されたトレイを記録装置11の前側から記録ヘッド25の記録領域に向かって搬送し、レーベル記録が終わると、トレイを記録装置11の前側へ排出する。この搬送機構90を構成する複数の搬送部材90Aが支持部材38に組み付けられている。
【0043】
図9に示されるように、押圧ヘッド812は、アーム811の先端部に幅方向Xの両側に突設されたハンマーヘッド形状を有する。押圧ヘッド812の下端部は、媒体Mの表面に当接して媒体Mを下方へ押さえる当接部815となる。押さえ部材81は、アーム811の先端部の当接部815が媒体Mに当接することで媒体Mを下方へ押さえる。当接部815は、押圧ヘッド812の下端部であることから、媒体Mの表面に幅方向Xに幅広な領域で媒体Mに接触する。
【0044】
図10に示されるように、押さえ部材81は、支軸471を中心に回動可能に支持されている。押さえ部材81のアーム811は、不図示のストッパー部により、押圧ヘッド812が待機位置(図6参照)よりも押さえ方向PDへ移動しないように、ストッパー部818が規制部472に当接することでそれ以上の回動が規制される。記録装置11は、両面記録を行うとき、媒体Mの第1面に記録される過程で媒体Mは第1搬送方向Y1に搬送され、第1面への記録が終わると、媒体Mは第2搬送方向Y2に搬送される。第2搬送方向Y2に搬送された媒体Mは不図示の反転機構で反転した後、記録ヘッド25が記録を行う記録領域に向かって再給送される。
【0045】
図10に示されるように、押さえ部材81は、第1搬送方向Y1に搬送される媒体Mの先端Maを当接部815へ誘導する第1誘導面816と、第2搬送方向Y2に向かって逆搬送される媒体Mの後端Mbを当接部815へ誘導する第2誘導面817とを有する。
【0046】
第1誘導面816は、媒体Mの先端が第1誘導面816に当たったときに第1誘導面816が媒体Mから受ける力により押さえ部材81を上向きに回動させるように、第1搬送方向Y1に対して鋭角な角度をなす斜面となっている。また、第2誘導面817は、媒体Mの後端Mbが第2誘導面817に当たったときに第2誘導面817が媒体Mから受ける力により押さえ部材81を上向きに回動させるように、第2搬送方向Y2に対して鋭角な角度をなす斜面となっている。
【0047】
図6に示されるように、押さえ部材81が待機位置にあるとき、当接部815は、リブ54の支持面50Aよりも下方に位置する。このため、例えば、普通紙など比較的剛性の低い媒体Mは、押さえ部材81によって下方へ押さえられる。この結果、図9に示されるように、媒体Mは幅方向Xに波形状に湾曲する。この波形状によって媒体Mに搬送方向Y0の張りが付与される。この張りによって媒体Mは搬送方向Y0に湾曲しにくくなる。つまり、媒体Mの先端部および後端部の浮き上がりが抑制される。
【0048】
媒体Mは、記録開始から記録終了までの搬送過程で、搬送ローラー対41と排出ローラー対42とのうち、媒体Mが搬送ローラー対41のみにニップされる第1搬送過程と、媒体Mが搬送ローラー対41と排出ローラー対42との両方にニップされる第2搬送過程と、媒体Mが排出ローラー対42のみにニップされる第3搬送過程とをとる。
【0049】
媒体Mが押さえ部材81により下方へ押さえられている状態では、媒体Mは、所定の接触圧で媒体Mの表面に接触する押さえ部材81との接触部分から摩擦力を受ける。この摩擦力は、媒体Mの搬送位置が搬送方向Y0のマイナス側にずれる原因となるブレーキ力となる。そのため、このブレーキ力が考慮されて媒体Mが目標位置に停止できるように媒体Mは搬送制御される。
【0050】
図10に示されるように、第2搬送過程から第3搬送過程へ移行する過程で、媒体Mの後端Mbが搬送ローラー対41のニップ位置N1を離れるときに、搬送駆動ローラー410が媒体Mの後端Mbを、それまでの搬送速度よりも高速に押し出す蹴飛ばし現象が発生する。このときの蹴飛ばし力は、媒体Mの搬送位置がプラス側にずれる原因となる。
【0051】
さらに、図11に示されるように、押さえ部材81により、媒体Mの搬送位置精度の乱れの原因になりうる外力が媒体Mに加わる。すなわち、媒体Mの後端Mbが押さえ部材81の当接部815を離れるときに、押さえ部材81の第2誘導面817が媒体Mの後端Mbを押し出す蹴飛ばし現象が発生する。押さえ部材81の当接部815は、媒体Mを下方に押さえ付けている間は弾性部材83の付勢力に抗して媒体Mから受ける反力により待機位置から上方へ変位している。その後、媒体Mの後端Mbが当接部815から抜けた瞬間に、押さえ部材81の当接部815は弾性部材83の付勢力により待機位置に向かって下方へ変位する。この下方に変位する第2誘導面817が媒体Mの後端Mbを搬送方向Y0へ本来の搬送速度よりも高速に押し出す蹴飛ばし現象が発生する。
【0052】
さらに、媒体Mは押さえ部材81の当接部815により下方へ押さえ付けられているときに湾曲しており、媒体Mの後端Mbが当接部815を離れる瞬間にその湾曲が復元するときに媒体Mの後端Mbが第2誘導面817を押すことでその反作用として媒体Mが搬送方向Y0へ押し出され、これが蹴飛ばし力の一部となる。この蹴飛ばし力は、媒体Mの搬送位置がプラス側にずれる原因となる。このように、記録中の媒体Mは、第2搬送過程から第3搬送過程へ移行するとき、媒体Mの後端Mbが搬送ローラー対41のニップ状態から外れるときと、媒体Mの後端Mbが押さえ部材81から外れるときとの2回蹴飛ばされる。
【0053】
また、排出ローラー対42は、搬送ローラー対41に比べニップ力が小さいので、蹴飛ばし力を受けた媒体Mは、排出ローラー対42のニップ位置で滑り易い。この点も、媒体Mの蹴飛ばしによる搬送位置精度が乱れる原因になっている。排出ローラー対42の排出従動ローラー44には、媒体Mの記録面との接触面積を小さくするため、ギザローラーが使われる。このため、排出ローラー対42が記録後の媒体Mをニップする力が強すぎると、媒体Mが排出従動ローラー44の歯により傷が付き易い。また、搬送ローラー対41が媒体Mを搬送する搬送量と、排出ローラー対42が媒体Mを搬送する搬送量とが異なると、ローラー対41,42のうちの一方で滑りが発生する。搬送ローラー対41での媒体Mの滑りは、媒体Mの搬送位置精度の乱れの原因となる。
【0054】
このため、搬送ローラー対41のニップ力は、排出ローラー対42のニップ力よりも強くしている。このとき、搬送ローラー対41の搬送量よりも排出ローラー対42の搬送量の方が多いと、排出ローラー対42が媒体Mを搬送方向Y0の下流側へ引っ張る力が発生し、これが媒体Mの搬送位置精度がプラス側に乱れる原因になる。このため、厳密には、搬送ローラー対41の搬送量よりも排出ローラー対42の搬送量を少なくして、排出ローラー対42のニップ箇所で媒体Mの滑りが発生するようにしている。このため、排出ローラー対42のニップ力を搬送ローラー対41のニップ力よりも弱くしている。なお、両ローラー対41,42の搬送量は、適宜に設定してよい。
【0055】
本実施形態の記録装置11は、上述の蹴飛ばし現象による媒体Mの搬送位置精度の乱れを抑制するため、図12に示される排出機構70を有する。排出機構70は、排出ローラー対42を含む。詳しくは、排出機構70は、排出ローラー対42と、排出ローラー対42よりも搬送方向Y0の上流に設けられる第1ローラー48と、排出ローラー対42よりも搬送方向Y0の下流に設けられる第2ローラー49とを有する。排出ローラー対42は、第1ローラー48よりも搬送方向Y0の下流に設けられる排出駆動ローラー420と排出従動ローラー44からなる。図12図15に示されるように、排出駆動ローラー420は回転軸421の軸方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。排出従動ローラー44は、各排出駆動ローラー420と対向する位置に複数設けられている。排出従動ローラー44は、例えば、外周上に一定ピッチで複数の尖った歯部を有するギザローラーである。
【0056】
排出機構70は、第1ローラー48、排出従動ローラー44および第2ローラー49を支持する支持部材38を備える。第1ローラー48、排出従動ローラー44および第2ローラー49は、支持部材38に対して付勢力に抗して上方へ変位可能な状態で回転可能に支持されている。第1ローラー48と第2ローラー49は、排出ローラー対42を搬送方向Y0に挟む両側に配置される。本実施形態では、第1ローラー48および第2ローラー49が、案内ローラーの一例を構成する。なお、第1ローラー48および第2ローラー49を、案内ローラー48,49ともいう。案内ローラー48,49は、媒体支持部材50の搬送方向Y0の下流側かつ媒体Mの搬送経路に対して排出従動ローラー44と同じ上側に設けられている。換言すれば、案内ローラー48,49は、記録ヘッド25よりも搬送方向Y0の下流側かつ媒体Mの搬送経路に対して排出従動ローラー44と同じ上側に設けられている。
【0057】
第1ローラー48は、搬送方向Y0において記録ヘッド25と排出ローラー対42との間の位置に設けられている。第1ローラー48は、記録ヘッド25が走査方向Xに移動する走査経路よりも搬送方向Y0の下流位置で媒体Mの搬送経路よりも上方に位置する。第1ローラー48は、搬送経路から記録ヘッド25に近づく方向である上方に浮き上がろうとする媒体Mの記録面と接触することで、媒体Mの浮き上がりを抑制する。第1ローラー48は、搬送中の媒体Mと接触することで、媒体Mの移動に従動して回転する案内ローラーである。そして、第1ローラー48は、媒体Mと接触し媒体Mを搬送経路から逸脱しないように媒体Mをガイドする。第1ローラー48は、例えば、外周上に一定ピッチで複数の尖った歯部を有するギザローラーである。このため、媒体Mの記録面と接触しても、インク擦れ等の不良が発生しにくい。なお、媒体支持部材50よりも搬送方向Y0の下流側の位置には、第1ローラー48と対向する位置よりも搬送方向Y0の下流側となる部分に、媒体Mを排出ローラー対42のニップ位置へ案内するガイド面50Bが配置されている。
【0058】
図13に示されるように、第2ローラー49の下端は、排出駆動ローラー420の上端TPより下方に位置する。つまり、第2ローラー49の下端は、排出駆動ローラー420の上端TPよりもオーバーラップ量Lzだけ下方に位置する。このため、第2ローラー49は、媒体Mを排出駆動ローラー420の外周面420Aに押さえ付ける機能を有する。つまり、第2ローラー49は、媒体Mが排出駆動ローラー420の外周面420Aに巻き付く巻付き量を多くする。この巻付き量が多くなると、排出駆動ローラー420と媒体Mとの接触面積が増大する。
【0059】
図13に示す側面視において、排出駆動ローラー420の外周面420A上の上端TPは、第1ローラー48の下端と第2ローラー49の下端とを真っ直ぐ結ぶ仮想線よりも、上方に位置する。このため、第1ローラー48と第2ローラー49とに案内される媒体Mは、排出駆動ローラーの外周面420A上の上端付近の領域に巻き付く。この媒体Mの巻付き量に応じて媒体Mと外周面420Aとの接触面積が増加する。この接触面積の増加は、媒体Mと外周面420Aとの接触摩擦抵抗を増大させる。そして、接触摩擦抵抗は、搬送方向Y0に搬送される媒体Mに対してブレーキ力として働く。第2ローラー49は、例えば、外周上に一定ピッチで複数の尖った歯部を有するギザローラーである。
【0060】
排出駆動ローラー420の上端TPから第1ローラー48の下端と第2ローラー49の下端までのそれぞれの距離が大きいほど、媒体Mは外周面420Aに対する巻付き量が多くなる。この巻付き量が多過ぎると、過大な接触摩擦抵抗によって、媒体Mが排出ローラー対42のニップ箇所で滑りにくくなり媒体Mの搬送位置精度が乱れる原因になる。媒体Mの搬送位置精度の乱れは、記録位置ずれ不良の原因となる。このため、外周面420Aに対する媒体Mの巻付き量が過度とならないように、第2ローラー49と排出駆動ローラー420とのオーバーラップ量Lzが調整されている。
【0061】
第2ローラー49の下端が排出駆動ローラー420の上端TPよりも下方へ媒体Mを押さえると、排出駆動ローラー420の上端TPを支点として媒体Mの上端TPよりも上流側の部分が持ち上げられるシーソー現象が発生する。特に、写真紙などの剛性の高い第2媒体Mでは、このシーソー現象による媒体Mの浮き上がり量が多くなる。この結果、媒体Mの浮き上がった部分が記録ヘッド25のノズル面25Aに接触する可能性が高まる。
【0062】
つまり、オーバーラップ量Lzを多くとり過ぎると、シーソー現象により、媒体Mにおける上端TPよりも上流側の部分が大きく持ち上げられ、ノズル面25Aと接触する可能性がある。媒体Mがノズル面25Aと接触すると、媒体Mの表面がインクで汚れたり、媒体Mの表面のインクがノズルのインクと混じり混色が発生したりする。また、記録ヘッド25は圧電素子等の精密電子部品が内蔵された衝撃に比較的弱い部品であるため、媒体Mがノズル面25Aに接触することで、記録ヘッド25が損傷する可能性がある。
【0063】
シーソー現象による媒体Mの浮き上がり量は、オーバーラップ量Lzが大きいほど大きくなる傾向にある。このため、オーバーラップ量Lzは、所定寸法以下に抑えられている。
【0064】
ところで、巻付き量を稼ぐためには、第1ローラー48の下端と第2ローラー49の下端とを真っ直ぐ結ぶ仮想線よりも排出駆動ローラー420が上方に位置する部分の鉛直方向Z1の寸法を大きくとればよい。そのためには、オーバーラップ量Lzを大きくとればよいが、前述のシーソー現象により浮き上がった媒体Mとノズル面25Aとの接触が心配されるため、オーバーラップ量Lzを小さく抑えたい要求がある。
【0065】
そのため、本実施形態では、第1ローラー48の下端を、排出駆動ローラー420の上端TP(図13参照)よりも下方に配置する。つまり、本実施形態では、第1ローラー48の下端と第2ローラー49の下端とを、共に排出駆動ローラー420の上端TPよりも下方に配置する。これにより、第1ローラー48の下端と第2ローラー49の下端とを真っ直ぐ結ぶ仮想線が水平に近づく。このため、オーバーラップ量Lzが小さい割に、仮想線に対して排出駆動ローラー420が上方に位置する部分の鉛直方向Z1の寸法を大きく確保することができる。この結果、オーバーラップ量Lzが小さい割に必要な巻付き量が確保される。
【0066】
一方、第1ローラー48の下端の位置を排出駆動ローラー420の上端TPよりも下方に下げ過ぎると、第1ローラー48が媒体Mを強く押さえることになる。これは、媒体Mの記録面を傷付ける原因となる。このため、第1ローラー48の下端を過度に下げることを避けるため、本実施形態では、第1ローラー48の下端と第2ローラー49の下端との鉛直方向Z1の寸法差を、オーバーラップ量Lz以下に設定している。特に、本例では、第1ローラー48の下端と第2ローラー49の下端は鉛直方向Z1で同じ高さ位置に配置されている。このため、少ないオーバーラップ量Lzで必要な巻付き量を確保できるとともに、第1ローラー48および第2ローラー49が媒体Mを過度な力で下方へ押さえることが抑制されるため、媒体Mの記録面が傷付きにくい。
【0067】
図7図14に示されるように、第1ローラー48は、幅方向Xの位置が隣合う排出従動ローラー44の間の位置に配置される。また、第2ローラー49も、幅方向Xの位置が隣合う排出従動ローラー44の間の位置に配置される。そして、第1ローラー48と第2ローラー49は、幅方向Xの位置が同じである。
【0068】
図7図9および図14に示されるように、媒体支持部材50は、媒体Mを支持する支持面50Aを有するリブ54とリブ54以外の領域である凹領域59とを幅方向Xに交互に備える。第2ローラー49は、幅方向Xの位置が凹領域59と同じである。
【0069】
また、図12に示されるように、記録部23の記録位置よりも搬送方向Y0の上流の位置で、媒体Mを媒体支持部材50の支持面50Aよりも低い位置に押さえる押さえ部材81を備える。図7図14に示されるように、第2ローラー49は、幅方向Xの位置が押さえ部材81と同じである。
【0070】
また、図13図14に示されるように、第1ローラー48は上方へ変位可能な状態で下方へ第1付勢力で付勢されている。また、第2ローラー49は上方へ変位可能な状態で下方へ第2付勢力で付勢されている。さらに、排出従動ローラー44は、上方へ変位可能な状態で排出駆動ローラー420に向かって第3付勢力で付勢されている。つまり、第1ローラー48、第2ローラー49および排出従動ローラー44は、それぞれ個別の付勢力に抗して上方へ変位可能に設けられている。
【0071】
ここで、第1ローラー48の第1付勢力をF1、第2ローラー49の第2付勢力をF2、排出従動ローラー44の第3付勢力をF3とする。第1ローラー48の第1付勢力F1と第2ローラー49の第2付勢力F2とは、排出従動ローラー44の第3付勢力F3よりも小さい。つまり、F1<F3、F2<F3の関係にある。第1ローラー48の第1付勢力F1と第2ローラー49の第2付勢力F2は、同じである(F1=F2)。なお、第1付勢力F1と第2付勢力F2は異なってもよい。
【0072】
図13図14に示されるように、第1ローラー48は棒ばね48Sを中心に回転可能に支持されている。また、第2ローラー49は棒ばね49Sを中心に回転可能に支持されている。さらに、排出従動ローラー44は、棒ばね44Sを中心に回転可能に支持されている。
【0073】
排出従動ローラー44が上方へ変位可能な状態で下方へ付勢される理由は、排出ローラー対42が厚みの異なる媒体Mをニップ可能とするためである。また、第1ローラー48が上方へ変位可能な状態で下方へ付勢される理由は、剛性の低い第1媒体Mを下方へ押さえることでその浮き上がりを抑制し、剛性が高く浮き上がりにくい第2媒体Mについては下方へあまり変位させず変形など媒体Mに不要な負担をかけないようにするためである。
【0074】
また、第2ローラー49が上方へ変位可能な状態で下方へ付勢される理由は、以下のとおりである。剛性の低い第1媒体Mを下方へ多めの必要な変位量だけ押さえることで排出駆動ローラー420との間に必要な接触摩擦力が得られる。一方、剛性が高い第2媒体Mについては下方への変位量が少なくても外周面420Aとの間に必要な接触摩擦力が得られる。そのため、剛性が高い第2媒体Mについては、少ない変位量で押さえることで媒体Mに不要な変形など負担をかけることなく、外周面420Aとの間に必要な接触摩擦力が得られるようにする。
【0075】
図13において、第1ローラー48の中心と排出駆動ローラー420の上端TPとの間の搬送方向Y0における距離を第1距離D1とする。また、第2ローラー49の中心と排出駆動ローラー420の上端TPとの間の搬送方向Y0における距離を第2距離D2とする。図13に示されるように、第2ローラー49と排出駆動ローラー420の上端TPとの間の搬送方向Y0における第2距離D2は、第1ローラー48と排出駆動ローラー420の上端TPとの間の搬送方向Y0における第1距離D1よりも短い(D1>D2)。
【0076】
第2距離D2が長くなるほど、必要な巻付き量を確保するために、オーバーラップ量Lzを大きくする必要がある。本実施形態では、第2距離D2を第1距離D1より短くしているので、第2距離D2が第1距離D1と等しい場合に比べ、オーバーラップ量Lzを小さくすることができる。例えば、剛性の高い第2媒体Mが第2ローラー49によって過度に押さえられることを回避できる。すなわち、第2ローラー49は棒ばね49Sの第2付勢力F2に抗して上方へ変位できるものの、その変位量には上限があり、上限まで上方へ変位しても第2媒体Mがまだ第2ローラー49に過度に押さえられている場合、媒体Mに負荷がかかる。本実施形態では、オーバーラップ量Lzを小さくすることで、このように剛性の高い第2媒体Mに負担がかかることを回避する。
【0077】
図1に示される制御部100は、記録装置11に対する記録制御を含む各種の制御を行う。制御部100は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサーを備える。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。制御部100は、ソフトウェア処理を行うものに限られない。例えば、制御部100は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。
【0078】
制御部100には、出力系として、給送モーター35、搬送モーター71、キャリッジモーター32、記録ヘッド25及びギャップ調整機構37が、電気的に接続されている。制御部100は、給送モーター35、搬送モーター71、キャリッジモーター32、記録ヘッド25及びギャップ調整機構37を制御する。また、制御部100には、入力系として、媒体検出器76、リニアエンコーダー34およびロータリーエンコーダー74が電気的に接続されている。
【0079】
制御部100は、給送部21により給送された媒体Mの先端が媒体検出器76により検知されたときの媒体Mの位置を原点位置とし、ロータリーエンコーダー74から入力する検出信号のパルスエッジの数を計数することで、媒体Mの先端又は後端の位置に相当する値を計数する。制御部100は、媒体Mの先端又は後端の計数された位置を基に搬送系のモーター35,71を制御し、媒体Mの給送、搬送および排出を制御する。記録がなされた媒体Mは、排出口75から排出され、スタッカー27に載置される。
【0080】
制御部100は、キャリッジ24がホーム位置HP側のエンド位置に接触して原点位置に達した時を原点とし、リニアエンコーダー34から入力する検出信号のパルスエッジの数を計数することで、キャリッジ24の原点位置を基準とする走査方向Xの位置であるキャリッジ位置を取得する。制御部100は、キャリッジ位置の計数値を基にキャリッジモーター32を制御することにより、キャリッジ24の速度制御および位置制御を行う。
【0081】
制御部100は、媒体種とギャップとの対応関係を示す参照データをメモリーに記憶する。制御部100は、記録データを受信すると、その記録データに含まれる媒体種情報を取得する。制御部100は、媒体種情報を基に参照データを参照することで、目標ギャップを取得する。制御部100は、キャリッジ24を制御し、キャリッジ24にギャップ切替制御を行わせることで、記録ヘッド25のノズル面25Aと、媒体支持部材50の支持面50Aとの間のギャップを目標ギャップに調整する。
【0082】
次に、記録装置11の作用について説明する。
例えば、媒体Mに記録が行われる場合、給送部21が給送した媒体Mは、図6に示されるように、搬送ローラー対41によって搬送方向Y0に搬送される。搬送ローラー対41を先端Maが通過した媒体Mは、押さえ部材81の当接部815により下方へ押さえられる。複数の押さえ部材81によって、媒体Mは、幅方向Xにリブ54間に相当する凹領域59と対応する位置で、媒体Mを幅方向Xに間隔をおいた複数の箇所で押さえる。
【0083】
図9に示されるように、例えば、普通紙等の剛性の小さい媒体Mは、押さえ部材81によって下方へ押さえられた部分が撓み、媒体Mは幅方向Xに波打つ波形状に湾曲する。特に、普通紙など剛性の低い第1媒体Mは、押さえ部材81によって下方へ押さえられることにより、図9に示されるように、幅方向Xに波打つ波形状に湾曲する。この幅方向Xに波打つ波形状は、媒体Mに搬送方向Y0の張りを付与する。この張りによって媒体Mは先端部または後端部が浮き上がる方向に湾曲しにくくなる。つまり、媒体Mの先端部または後端部の浮き上がりが抑制される。
【0084】
この結果、媒体Mの先端部または後端部が記録ヘッド25に接触することが回避される。媒体Mの先端部または後端部が記録ヘッド25のノズル面25Aに接触すると、媒体Mがインクで汚れたり、媒体Mのジャムが発生したりする。これに対して、本実施形態では、媒体Mの先端部または後端部の浮き上がりが抑制されるので、媒体Mの先端部または後端部が記録ヘッド25のノズル面25Aに接触することに起因する媒体Mの汚れおよびジャムを回避できる。
【0085】
また、例えば、写真紙など比較的剛性の大きな媒体Mは、その先端Maが第1誘導面816に当たることで押圧ヘッド812を弾性部材83の付勢力に抗して持ち上げる。この結果、剛性の高い写真紙等の媒体Mは変形しにくい。この結果、写真紙に高精細な画像が記録される。
【0086】
媒体Mは、記録開始から記録終了までの搬送過程で、搬送ローラー対41と排出ローラー対42とのうち、媒体Mが搬送ローラー対41のみにニップされる第1搬送過程と、媒体Mが搬送ローラー対41と排出ローラー対42との両方にニップされる第2搬送過程と、媒体Mが排出ローラー対42のみにニップされる第3搬送過程とをとる。
【0087】
図10に示されるように、第2搬送過程から第3搬送過程へ移行するとき、媒体Mの後端Mbが搬送ローラー対41のニップ位置N1から抜け出るときに媒体Mの後端Mbが蹴飛ばされる蹴飛ばし現象が発生する。
【0088】
さらに、図11に示されるように、媒体Mの後端Mbが押さえ部材81の当接部815を離れるときに、押さえ部材81の第2誘導面817が媒体Mの後端Mbを蹴飛ばす蹴飛ばし現象が発生する。このときの媒体Mが押さえ部材81から搬送方向Y0に本来の搬送速度よりも高速に押し出される蹴飛ばし力は、媒体Mの搬送位置がプラス側にずれる原因となる。
【0089】
第2搬送過程から第3搬送過程へ移行するとき、媒体Mのうち記録領域よりも下流の部分が、排出機構70を構成する排出ローラー対42にニップされている。第1ローラー48の下端と第2ローラー49の下端とが、排出駆動ローラー420の外周面420A上の上端TPよりも下方に位置する。このため、第1ローラー48の下端と第2ローラー49の下端とに接触して案内される媒体Mは、排出駆動ローラーの外周面420Aに押し付けられ、外周面420A上の上端付近の領域に巻き付く。この媒体Mの巻付き量に応じて媒体Mと外周面420Aとの接触面積が増加する。この接触面積の増加は、媒体Mと外周面420Aとの接触摩擦抵抗を増大させる。そして、接触摩擦抵抗は、搬送方向Y0に搬送される媒体Mに対してブレーキ力として働く。この結果、媒体Mの後端Mbが、搬送ローラー対41および押さえ部材81によって蹴飛ばされても、媒体Mの搬送位置精度の乱れが抑制される。
【0090】
また、第2搬送過程では、押さえ部材81と排出駆動ローラー420との幅方向Xの位置が同じなので、媒体Mの記録領域を挟む上流側の部分と下流側の部分とで、山部が形成される幅方向Xの位置が同じになる。また、第1ローラー48および第2ローラー49の幅方向Xの位置が同じであり、かつ両ローラー48,49の幅方向Xの位置が凹領域59と対応する位置にある。このため、媒体Mの記録領域を挟む上流側の部分と下流側の部分とで、媒体Mに形成される谷部の幅方向Xの位置が同じになる。
【0091】
さらに第3搬送過程では、図15に示されるように、媒体Mは、排出ローラー対42のニップ位置が山部となり、第1ローラー48が媒体Mを押さえる位置が谷部となる波形状に湾曲する。また、第1ローラー48および第2ローラー49の幅方向Xの位置が同じであるので、図16に示されるように、排出ローラー対42のニップ位置が山部となり、第2ローラー49が媒体Mを押さえる位置が谷部となる波形状に湾曲する。
【0092】
この幅方向Xに波打つ波形状は、媒体Mに搬送方向Y0の張りを付与する。この張りによって媒体Mは後端部の浮き上がりが抑制される。よって、第3搬送過程において、媒体Mの後端部が記録ヘッド25に接触することが回避される。この結果、第3搬送過程においても、媒体Mのインク汚れおよびジャムを回避できる。
【0093】
上記実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)記録装置11は、媒体Mを搬送方向Y0に搬送する搬送部40と、媒体Mを支持する支持面50Aを有する媒体支持部材50と、媒体支持部材50と対向する位置で媒体Mに記録する記録ヘッド25とを備える。搬送部40は、搬送ローラー対41と、排出ローラー対42とを備える。搬送ローラー対41は、媒体支持部材50の搬送方向Y0の上流側に設けられる搬送駆動ローラー410と搬送従動ローラー43からなる。排出ローラー対42は、媒体支持部材50の搬送方向Y0の下流側に設けられる排出駆動ローラー420と排出従動ローラー44からなる。さらに、搬送部40は、媒体支持部材50の搬送方向Y0の下流側かつ媒体Mの搬送経路に対して排出従動ローラー44と同じ上側に設けられ、搬送中の媒体Mが接触することで従動回転する案内ローラー48,49を有する。案内ローラー48,49は、排出ローラー対42を搬送方向Y0に挟む両側に設けられるとともに、両側の案内ローラー48,49のうち少なくとも一方の下端が、排出駆動ローラー420の上端TPよりも下方に位置する。よって、複数の案内ローラー48,49のうち少なくとも一方の下端が排出駆動ローラー420の上端TPよりも下方に位置することで、媒体Mは、排出駆動ローラー420の外周面420Aに強く押し付けられる。この結果、媒体Mが排出駆動ローラー420の外周面420Aの一部に巻き付く巻付き量が増えて外周面420Aとの接触面積が増大することで、外周面420Aとの接触摩擦抵抗が増大する。よって、媒体Mの後端Mbが搬送ローラー対41から抜け出る瞬間に蹴飛ばされても、媒体Mが排出駆動ローラー420に接触する部分が外周面420Aに押さえ付けられて高まる摩擦力(ブレーキ力)によって、媒体Mの搬送位置精度の乱れが抑制される。
【0094】
(2)案内ローラーは、排出ローラー対42に対して搬送方向Y0の両側に設けられ、排出ローラー対42よりも搬送方向Y0の上流側に設けられる第1ローラー48と、排出ローラー対42よりも搬送方向Y0の下流側に設けられる第2ローラー49であり、第2ローラー49の下端が、排出駆動ローラー420の上端TPよりも下方に位置する。よって、排出駆動ローラー420の搬送方向Y0の両側に位置する第1ローラー48と第2ローラー49のうち第2ローラー49の下端が排出駆動ローラー420の上端TPよりも下方に位置することで、排出ローラー対42に挟まれた部分の媒体Mは、排出駆動ローラー420の外周面420Aにより強く押し付けられる。よって、媒体Mの後端Mbが搬送ローラー対41から抜け出る際に搬送ローラー対41によって媒体Mの後端Mbが蹴飛ばされても、媒体Mが排出駆動ローラー420の外周面420Aに押さえ付けられて高まる摩擦力(ブレーキ力)によって、媒体Mの搬送位置精度の乱れが抑制される。
【0095】
(3)第1ローラー48の下端は、排出駆動ローラー420の上端TPよりも下方に位置する。よって、第1ローラー48の下端と第2ローラー49の下端とが共に排出駆動ローラー420の上端TPよりも下方に位置することで、媒体Mは排出駆動ローラー420の外周面420Aに一層強く押し付けられる。よって、媒体Mの後端Mbが搬送ローラー対41に蹴飛ばされても、媒体Mが排出駆動ローラー420の外周面420Aに押さえ付けられて高まる摩擦力(ブレーキ力)によって、媒体Mの搬送位置精度の乱れが抑制される。
【0096】
(4)第1ローラー48の下端と第2ローラー49の下端との鉛直方向の寸法差は、第2ローラー49と排出駆動ローラー420との鉛直方向のオーバーラップ量以下である。よって、第1ローラー48の下端と第2ローラー49の下端とが媒体Mを排出駆動ローラー420の外周面420Aに強く押し付けることができることで必要な巻付き量が確保されるうえ、第1ローラー48と第2ローラー49とが媒体Mを下方に押さえ過ぎることによる不具合を抑制できる。例えば、第1ローラー48が下方に位置し過ぎると、媒体Mの記録面に傷や擦れが発生し易くなる。また、第2ローラー49が下方に位置し過ぎると、媒体Mの排出ローラー対42よりも上流側の部分が持ち上げられて媒体Mの後端部分が記録ヘッド25に接触する可能性が高まる。これに対して、この構成であれば、媒体Mの記録面に傷や擦れが発生すること、および媒体Mの後端部分が浮き上がって記録ヘッド25に接触することを抑制できる。よって、媒体Mの蹴飛ばし現象による媒体Mの搬送位置精度の乱れを抑制できるうえ、第1ローラー48と第2ローラー49とが媒体Mを下方に押さえ過ぎることによる不具合を抑制できる。
【0097】
(5)第2ローラー49は、幅方向Xの位置が排出従動ローラー44の間に相当する位置に配置される。よって、排出駆動ローラー420に載る部分が山部で、第2ローラー49により下方へ押さえられる部分が谷部となる波形状が媒体Mに形成される。よって、媒体Mの搬送方向Y0の上流側の端部である後端部が浮き上がって記録ヘッド25に接触することを抑制できる。
【0098】
(6)(方針案の5)第1ローラー48と第2ローラー49は、幅方向Xの位置が同じである。よって、排出駆動ローラー420に載る部分が山部で、第1ローラー48および第2ローラー49により下方へ押さえられる部分が谷部となるように媒体Mが波形状に形成される。よって、媒体Mの後端部が浮き上がって記録ヘッド25に接触することを抑制できる。
【0099】
(7)第1ローラー48は上方へ変位可能な状態で下方へ第1付勢力F1で付勢される。第2ローラー49は上方へ変位可能な状態で下方へ第2付勢力F2で付勢される。排出従動ローラー44は、上方へ変位可能な状態で下方へ第3付勢力F3で排出駆動ローラー420に向かって付勢される。第1ローラー48の第1付勢力F1と第2ローラー49の第2付勢力F2とは、排出従動ローラー44の第3付勢力F3よりも小さい。よって、第1ローラー48の第1付勢力F1と第2ローラー49の第2付勢力F2が、排出従動ローラー44の第3付勢力F3よりも小さいので、媒体Mが排出駆動ローラー420の外周面420Aに強く押し付けられることによる過大な摩擦力の発生を抑制できる。例えば、媒体Mの剛性に応じて第1ローラー48および第2ローラー49と排出駆動ローラー420とのオーバーラップ量が変化する。この結果、剛性の高い媒体Mが排出駆動ローラー420の外周面420Aに過度な量で巻き付くことを抑制できる。よって、媒体Mが搬送されるときに媒体Mと排出ローラー対42との過大な摩擦力によって却って媒体Mの搬送位置精度が乱れることを抑制できる。
【0100】
(8)第2ローラー49と排出駆動ローラー420の上端TPとの間の搬送方向Y0における第2距離は、第1ローラー48と排出駆動ローラー420の上端TPとの間の搬送方向Y0における第1距離よりも短い。よって、第2ローラー49が下方に位置し過ぎることを抑制できる。このため、第2ローラー49が媒体Mを押さえるときに媒体Mが排出駆動ローラー420の上端TPを支点として媒体Mの搬送方向Y0の上流側の部分が持ち上がる量を少なく抑えることができる。例えば、媒体Mの上流側の部分が持ち上がって記録ヘッド25に接触することを抑制できる。
【0101】
(9)媒体支持部材50は、媒体Mを支持する支持面50Aを有するリブ54,55とリブ54,55以外の領域に形成された凹領域59とを幅方向Xに交互に備える。第2ローラー49は、幅方向Xの位置が凹領域59と同じである。よって、媒体Mは、リブ54に支持された部分が山部で、凹領域59および第2ローラー49と対応する部分が谷部となる波形状に形成される。よって、媒体Mの後端部が浮き上がって記録ヘッド25に接触することを抑制できる。
【0102】
(10)記録部の記録位置よりも搬送方向Y0の上流の位置で、媒体Mを媒体M支持部材の支持面よりも低い位置に押さえる押さえ部材81を備える。第2ローラー49は、幅方向Xの位置が押さえ部材81と同じになる位置に配置される。よって、媒体Mのうち支持面および排出駆動ローラー420に支持される部分が山部になり、押さえ部材81および第2ローラー49に押さえられる部分が谷部となるように、媒体Mが幅方向Xに山部と谷部を繰り返す波形状に形成される。このため、媒体Mの剛性が高くなるので、媒体Mの先端部が浮き上がって記録ヘッド25に接触すること、および媒体Mの後端部が浮き上がって記録ヘッド25に接触することを抑制できる。
【0103】
(11)案内ローラーの一例としての第2ローラー49は、排出駆動ローラー420を幅方向Xに挟む両側に設けられ、案内ローラー48,49の下端は、排出駆動ローラー420の上端TPよりも下方に位置する。よって、排出駆動ローラー420の幅方向Xの両側に位置する案内ローラー48,49によって媒体Mを排出駆動ローラー420の外周面420Aに押さえ付けられる。このため、媒体Mの後端Mbが搬送ローラー対41に蹴飛ばされても、排出駆動ローラー420の外周面420Aに押し付けられた摩擦力(ブレーキ力)によって、搬送位置精度の乱れを抑制することができる。
【0104】
なお、上記実施形態は以下に示す変更例のような形態に変更することもできる。さらに、上記実施形態および以下に示す変更例を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできるし、以下に示す変更例同士を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできる。
【0105】
・案内ローラーは、排出従動ローラー44に対して搬送方向Y0の両側に設けられる構成に替え、排出従動ローラー44に対して搬送方向Y0と交差する幅方向Xの両側に設けられる構成でもよい。例えば、図17に示されるように、排出ローラー対42を構成する複数の排出従動ローラー44は、幅方向Xに間隔を空けて複数配列されている。複数の第2ローラー49は、排出従動ローラー44を間に挟む幅方向Xの両側となる位置に配置されている。図17に示される例では、排出従動ローラー44の幅方向Xの隣に第2ローラー49が位置しない空き領域も存在するが、この空き領域にも第2ローラー49を配置し、全ての排出従動ローラー44が幅方向Xに第2ローラー49に挟まれる配置としてもよい。
【0106】
図18に示されるように、第2ローラー49は、排出駆動ローラー420を幅方向Xに挟む両側に位置する。第2ローラー49の下端は、排出駆動ローラー420の上端TPよりも下方に位置する。排出駆動ローラー420を幅方向Xに挟む両側に位置する2つの第2ローラー49は、媒体Mのうち排出駆動ローラー420を幅方向Xに挟む両側の部分を上端TPよりも下方に押さえる。これにより、媒体Mは、排出駆動ローラー420の外周面420Aに押さえ付けられる。その結果、媒体Mが排出駆動ローラー420の外周面420Aに巻き付く巻付き量が増大する。よって、媒体Mの後端が搬送ローラー対41に蹴飛ばされても、媒体Mと排出駆動ローラー420の外周面420Aとの間で増えた接触面積による摩擦力がブレーキ力として働くため、媒体Mの搬送位置精度が乱れることを抑制できる。
【0107】
図17に示されるように、複数の第2ローラー49は、幅方向Xにおいて、基本的にリブ54と同じ位置に配置される。つまり、前記実施形態では、複数の第2ローラー49は、幅方向Xにおいて、基本的に押さえ部材81と同じ位置に配置されている。このため、媒体Mを下側から支持して山部を形成する部分が、記録ヘッド25が記録を行う記録領域を搬送方向Y0に挟む上流側と下流側においてほぼ同じ位置となるうえ、媒体Mを上側から押さえて谷部を形成する部分が、記録領域を搬送方向Y0に挟む上流側と下流側においてほぼ同じ位置となる。よって、上流側の山部と谷部と、下流側の山部と谷部とが、幅方向Xに同じ位置に形成されるので、媒体Mに山部と谷部とを有する波形状が形成され易くなる。
【0108】
なお、図7に示される構成では、レーベル記録時にディスクが載置されたトレイを搬送する搬送機構90を構成する搬送部材90Aを避けるために、幅方向Xにおいて第2ローラー49が配置されない箇所があった。これに対して、図17に示される構成では、搬送方向Y0において搬送部材90Aよりも上流側の位置に第2ローラー49が配置される。前記実施形態において搬送部材90Aを避けるためのスペースにもリブ54と対応する位置に第2ローラー49を配置することができる。つまり、幅方向Xの位置が押さえ部材81と同じ位置となる第2ローラー49の数を増やすことができる。この結果、媒体Mに谷部を形成する箇所が増えることで媒体Mが波形状に一層形成され易くなるので、媒体Mの後端部分が浮き上がってノズル面25Aに接触することを一層抑制できる。
【0109】
・排出ローラー対42に対して搬送方向Y0の両側に配置された案内ローラーの一例としての第1ローラー48および第2ローラー49のうち少なくとも一方の下端が、排出駆動ローラー420の上端TPよりも下方に位置すればよい。例えば、第1ローラー48および第2ローラー49のうち一方の下端が、排出駆動ローラー420の上端TPよりも上方に位置してもよい。例えば、図19に示される側面視において、第1ローラー48の下端は、同図に一点鎖線で示す接線L1よりも下方に位置すれば、排出駆動ローラー420の上端TPと同じ高さ位置または上端TPよりも上方に位置してもよい。ここで、接線L1は、第2ローラー49の下端を通り排出駆動ローラー420の外周面420Aに接する接線である。また、図19に示されるように、第2ローラー49の下端は、同図に二点鎖線で示す接線L2よりも下方に位置すれば、排出駆動ローラー420の上端TPと同じ高さ位置または上端TPよりも上方に位置してもよい。ここで、接線L2は、第1ローラー48の下端を通り排出駆動ローラー420の外周面420Aに接する接線である。これらの構成によっても、排出駆動ローラー420の外周面に対する媒体Mの巻付き量を多く確保することができる。よって、媒体Mと排出駆動ローラー420の外周面420Aとの接触面積が増えることによるブレーキ力により、蹴飛ばし現象発生時の媒体Mの蹴飛ばし量を抑制することができる。なお、前者の構成よりも後者の構成の方が、第1ローラー48が上端TPよりも低く位置するので、媒体Mがノズル面25Aに接触する浮き上がりを抑制できる。
【0110】
図7図14に示される案内ローラーの一例としての第1ローラー48と第2ローラー49とが搬送方向Y0に並ぶ機構と、図19に示される案内ローラーの一例としての第2ローラー49が幅方向Xに並ぶ機構とが混在する構成としてもよい。
【0111】
・第2距離D2が第1距離D1よりも長くてもよい。また、第2距離D2が第1距離D1と同じでもよい。
・制御部100が電動モーター等のアクチュエーターの動力で第2ローラー49を鉛直方向Z1に移動可能に設けてもよい。例えば、媒体が第1媒体Mのときは、第2ローラー49を第1位置に配置し、媒体が第2媒体Mのときは第2ローラー49を第1位置よりも下方の第2位置に配置する。この場合、第1位置と第2位置との両方で媒体Mを下方へ押さえてもよいが、第1位置を媒体Mと接触しない退避位置とし、第2位置で媒体Mを下方に押さえる構成としてもよい。
【0112】
・第1ローラー48はギザローラーでなくてもよい。また、第2ローラー49はギザローラーでなくてもよい。
・第2ローラー49は、リブ54と幅方向Xの位置が異なってもよい。第2ローラー49は、押さえ部材81と幅方向Xの位置が異なってもよい。
【0113】
・第2ローラー49は、幅方向Xに複数設けられることに限定されず、1つでもよい。例えば、1つの排出駆動ローラー420を搬送方向Y0に挟む両側に案内ローラーの一例として第1ローラー48と第2ローラー49とが1つずつ配置される構成でもよい。
【0114】
・全ての凹領域59と対向する位置に押さえ部材81を設けてもよい。
・押さえ部材81の当接部815にローラーを設けてもよい。
・押さえ部材81を制御部100により制御してもよい。例えば、制御部100が電動モーターを制御することで、押さえ部材81を退避位置と押さえ位置とに位置制御する。
【0115】
・押さえ部材81は変位不能に固定されていてもよい。例えば、押さえ部材81をフレームに支持してもよい。
・押さえ部材81がなくてもよい。
【0116】
・記録装置11は、記録部23が走査方向Xに往復移動するシリアルプリンターに限定されず、記録部23が主走査方向と副走査方向との2方向に移動可能なラテラル式プリンターでもよいし、ラインプリンターでもよい。
【0117】
・記録装置11は、読取ユニットを搭載する複合機でもよい。
・媒体Mは、用紙に限らず、可撓性のプラスチックフィルムや、布帛、不織布などであってもよいし、ラミネートでもよい。
【0118】
・記録装置11は、用紙等の媒体に印刷する記録装置に限定されず、布に印刷する捺染機でもよい。
・記録装置11は、インクジェット方式に限定されず、ワイヤインパクト式の記録装置、熱転写式の記録装置であってもよい。これらの記録装置においても、支持面から浮き上がった媒体と記録ヘッドとの接触を低減できる。
【0119】
・記録装置は、印刷用のプリンターに限定されない。例えば、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体を吐出し、媒体の一例である基板に電気配線パターン、又は、液晶、EL(エレクトロルミネッセンス)及び面発光などの各種の方式のディスプレイの画素を製造するものでもよい。
【0120】
前記実施形態および変更例から把握される技術思想を、その作用効果と共に以下に記載する。
(A)記録装置は、媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記媒体を支持する支持面を有する媒体支持部材と、前記媒体支持部材と対向する位置で前記媒体に記録する記録ヘッドと、を備える記録装置であって、前記搬送部は、前記媒体支持部材の前記搬送方向の上流側に設けられる搬送駆動ローラーと搬送従動ローラーからなる搬送ローラー対と、前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側に設けられる排出駆動ローラーと排出従動ローラーからなる排出ローラー対と、前記媒体支持部材の前記搬送方向の下流側かつ前記媒体の搬送経路に対して前記排出従動ローラーと同じ上側に設けられ、搬送中の前記媒体が接触することで従動回転する案内ローラーと、を有し、前記案内ローラーは、前記排出ローラー対を前記搬送方向に挟む両側または前記排出従動ローラーを前記搬送方向と交差する幅方向に挟む両側に設けられるとともに、当該両側のうち少なくとも一方の前記案内ローラーの下端が、前記排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置する。
【0121】
この構成によれば、複数の案内ローラーのうち少なくとも一方の下端が排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置することで、媒体は、排出駆動ローラーの外周面に強く押し付けられる。この結果、媒体が排出駆動ローラーの外周面の一部に巻き付く巻付き量が増えて外周面との接触面積が増大することで、外周面との接触摩擦抵抗が増大する。よって、媒体の後端が搬送ローラー対から抜け出る瞬間に蹴飛ばされても、媒体が排出駆動ローラーに接触する部分が外周面に押さえ付けられて高まる摩擦力(ブレーキ力)によって、媒体の搬送位置精度の乱れが抑制される。
【0122】
(B)前記案内ローラーは、前記排出ローラー対に対して前記搬送方向の両側に設けられ、前記排出ローラー対よりも前記搬送方向の上流側に設けられる第1ローラーと、前記排出ローラー対よりも前記搬送方向の下流側に設けられる第2ローラーであり、前記第2ローラーの下端が、前記排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置してもよい。
【0123】
この構成によれば、排出駆動ローラーの搬送方向の両側に位置する第1ローラーと第2ローラーのうち第2ローラーの下端が排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置することで、排出ローラー対に挟まれた部分の媒体は、排出駆動ローラーの外周面により強く押し付けられる。よって、媒体の後端が搬送ローラー対から抜け出る際に搬送ローラー対によって媒体の後端が蹴飛ばされても、媒体が排出駆動ローラーの外周面に押さえ付けられて高まる摩擦力(ブレーキ力)によって、媒体の搬送位置精度の乱れが抑制される。
【0124】
(C)前記第1ローラーの下端は、前記排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置してもよい。
この構成によれば、第1ローラーの下端と第2ローラーの下端とが共に排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置することで、媒体は排出駆動ローラーの外周面に一層強く押し付けられる。よって、媒体の後端が搬送ローラー対に蹴飛ばされても、媒体が排出駆動ローラーの外周面に押さえ付けられて高まる摩擦力(ブレーキ力)によって、媒体の搬送位置精度の乱れが抑制される。
【0125】
(D)前記第1ローラーの下端と前記第2ローラーの下端との鉛直方向の寸法差は、前記第2ローラーと前記排出駆動ローラーとの鉛直方向のオーバーラップ量以下であってもよい。
【0126】
この構成によれば、第1ローラーの下端と第2ローラーの下端とが媒体を排出駆動ローラーの外周面に強く押し付けることができることで必要な巻付き量が確保されるうえ、第1ローラーと第2ローラーとが媒体を下方に押さえ過ぎることによる不具合を抑制できる。例えば、第1ローラーが下方に位置し過ぎると、媒体の記録面に傷や擦れが発生し易くなる。また、第2ローラーが下方に位置し過ぎると、媒体の排出ローラー対よりも上流側の部分が持ち上げられて媒体の後端部分が記録ヘッドに接触する可能性が高まる。これに対して、この構成であれば、媒体の記録面に傷や擦れが発生すること、および媒体の後端部分が浮き上がって記録ヘッドに接触することを抑制できる。よって、媒体の蹴飛ばし現象による媒体の搬送位置精度の乱れを抑制できるうえ、第1ローラーと第2ローラーとが媒体を下方に押さえ過ぎることによる不具合を抑制できる。
【0127】
(E)前記第2ローラーは、前記幅方向の位置が前記排出従動ローラーの間に相当する位置に配置されてもよい。
この構成によれば、排出駆動ローラーに載る部分が山部で、第2ローラーにより下方へ押さえられる部分が谷部となる波形状が媒体に形成される。よって、媒体の搬送方向の上流側の端部である後端部が浮き上がって記録ヘッドに接触することを抑制できる。
【0128】
(F)前記第1ローラーと前記第2ローラーは、前記幅方向の位置が同じであってもよい。
この構成によれば、排出駆動ローラーに載る部分が山部で、第1ローラーおよび第2ローラーにより下方へ押さえられる部分が谷部となるように媒体が波形状に形成される。よって、媒体の後端部が浮き上がって記録ヘッドに接触することを抑制できる。
【0129】
(G)前記第1ローラーは上方へ変位可能な状態で下方へ第1付勢力で付勢され、前記第2ローラーは上方へ変位可能な状態で下方へ第2付勢力で付勢され、前記排出従動ローラーは、上方へ変位可能な状態で下方へ第3付勢力で前記排出駆動ローラーに向かって付勢され、前記第1ローラーの前記第1付勢力と前記第2ローラーの前記第2付勢力とは、前記排出従動ローラーの前記第3付勢力よりも小さくてもよい。
【0130】
この構成によれば、第1ローラーの第1付勢力と第2ローラーの第2付勢力が、排出従動ローラーの第3付勢力よりも小さいので、媒体が排出駆動ローラーの外周面に強く押し付けられることによる過大な摩擦力の発生を抑制できる。例えば、媒体の剛性に応じて第1ローラーおよび第2ローラーと排出駆動ローラーとのオーバーラップ量が変化する。この結果、剛性の高い媒体が排出駆動ローラーの外周面に過度な量で巻き付くことを抑制できる。よって、媒体が搬送されるときに媒体と排出ローラー対との過大な摩擦力によって却って媒体の搬送位置精度が乱れることを抑制できる。
【0131】
(H)前記第2ローラーと前記排出駆動ローラーの上端との間の前記搬送方向における第2距離は、前記第1ローラーと前記排出駆動ローラーの上端との間の前記搬送方向における第1距離よりも短くてもよい。
【0132】
この構成によれば、第2ローラーが下方に位置し過ぎることを抑制できる。このため、第2ローラーが媒体を押さえるときに媒体が排出駆動ローラーの上端を支点として媒体の搬送方向の上流側の部分が持ち上がる量を少なく抑えることができる。例えば、媒体の上流側の部分が持ち上がって記録ヘッドに接触することを抑制できる。
【0133】
(I)前記媒体支持部材は、前記媒体を支持する前記支持面を有するリブと前記リブ以外の領域に形成された凹領域とを幅方向に交互に備え、前記第2ローラーは、前記幅方向の位置が前記凹領域と同じであってもよい。
【0134】
この構成によれば、媒体は、リブに支持された部分が山部で、凹領域および第2ローラーと対応する部分が谷部となる波形状に形成される。よって、媒体の後端部が浮き上がって記録ヘッドに接触することを抑制できる。
【0135】
(J)前記記録ヘッドの記録位置よりも前記搬送方向の上流の位置で、前記媒体を前記媒体支持部材の前記支持面よりも低い位置に押さえる押さえ部材を備え、前記第2ローラーは、前記幅方向の位置が前記押さえ部材と同じになる位置に配置されてもよい。
【0136】
この構成によれば、媒体のうち支持面および排出駆動ローラーに支持される部分が山部になり、押さえ部材および第2ローラーに押さえられる部分が谷部となるように、媒体が幅方向に山部と谷部を繰り返す波形状に形成される。このため、媒体の剛性が高くなるので、媒体の先端部が浮き上がって記録ヘッドに接触すること、および媒体の後端部が浮き上がって記録ヘッドに接触することを抑制できる。
【0137】
(K)前記案内ローラーは、前記排出駆動ローラーを前記幅方向に挟む両側に設けられ、前記案内ローラーの下端は、前記排出駆動ローラーの上端よりも下方に位置してもよい。
【0138】
この構成によれば、排出駆動ローラーの幅方向の両側に位置する案内ローラーによって媒体を排出駆動ローラーの外周面に押さえ付けられる。このため、媒体の後端が搬送ローラー対に蹴飛ばされても、排出駆動ローラーの外周面に押し付けられた摩擦力(ブレーキ力)によって、搬送位置精度の乱れを抑制することができる。
【符号の説明】
【0139】
11…記録装置、12…装置本体、13…カバー、15…操作パネル、16…電源ボタン、17…液体供給源、18…収容部、18a…供給カバー、19…窓部、20…給送カバー、21…給送部、22…給送トレイ、22A…エッジガイド、23…記録部、24…キャリッジ、25…記録ヘッド、26…排出カバー、27…スタッカー、30…メインフレーム、30A…ガイドレール、31…移動機構、32…キャリッジモーター、33…タイミングベルト、34…リニアエンコーダー、37…ギャップ調整機構、40…搬送部、41…搬送ローラー対、410…搬送駆動ローラー、42…排出ローラー対、420…排出駆動ローラー、420A…外周面、421…回転軸、43…搬送従動ローラー、44…排出従動ローラー、44S…棒ばね、45…媒体ガイド部材、46…媒体ガイド機構、46S…付勢部材、47…ガイド部材、471…支軸、48…案内ローラーの一例としての第1ローラー、48S…棒ばね、49…案内ローラーの一例としての第2ローラー、49S…棒ばね、50…媒体支持部材、50A…支持面、51…第1支持部、52…第2支持部、53…第3支持部、54…リブの一例としての第1リブ、55…リブの一例としての第2リブ、56…リブの一例としての第3リブ、57…基板部、58…液体吸収体、59…凹領域、60…メンテナンス装置、61…キャップ、62…ワイパー、63…吸引ポンプ、64…廃液チューブ、65…廃液ボックス、71…搬送モーター、72…動力伝達機構、74…ロータリーエンコーダー、741…回転スケール、742…光学センサー、75…排出口、76…媒体検出器、81…押さえ部材、811…アーム、812…押圧ヘッド、813…凹部、814…凹部、815…当接部、816…第1誘導面、817…第2誘導面、818…ストッパー部、82…付勢機構、83…弾性部材、100…制御部、M…媒体、HP…ホーム位置、X…幅方向(走査方向)、Y0…搬送方向、Y1…第1搬送方向、Y2…第2搬送方向、Z1…鉛直方向、PD…押さえ方向、N1…ニップ位置、TP…上端、Lz…オーバーラップ量、F1…第1付勢力、F2…第2付勢力、F3…第3付勢力、D1…第1距離、D2…第2距離、L1…接線、L2…接線。
図1
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