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特許7524619画像形成装置、画像形成システム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240723BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240723BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240723BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20240723BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240723BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240723BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
G06F3/12 339
B41J29/38 201
B41J29/38 401
B41J29/38 701
B41J29/00 C
G03G21/14
G03G21/00 390
H04N1/00 127Z
G06F3/12 305
G06F3/12 331
G06F3/12 335
G06F1/16 312W
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020099272
(22)【出願日】2020-06-08
(65)【公開番号】P2021193487
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】田村 光
(72)【発明者】
【氏名】青木 宏隆
(72)【発明者】
【氏名】小泉 進吾
(72)【発明者】
【氏名】石部 陽雅
(72)【発明者】
【氏名】吉宗 秀晃
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-007873(JP,A)
【文献】特開2002-137501(JP,A)
【文献】特開2003-223523(JP,A)
【文献】特開2012-020492(JP,A)
【文献】特開2009-021735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/38
B41J 29/00
G03G 21/14
G03G 21/00
H04N 1/00
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信部と、
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部による画像の形成を許可する画像形成許可量を記憶する記憶媒体を装着可能な装着部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記記憶媒体が前記装着部に装着されていることを検出した場合、前記通信部を介して情報処理装置との間で通信の設定を実行する通信設定処理と、
前記記憶媒体に記憶された前記画像形成許可量に応じて、前記画像形成部による画像の形成を実行する画像形成処理と、
前記記憶媒体が前記装着部に初めて装着された場合、前記記憶媒体に記憶された前記画像形成許可量を所定量だけ増加させる増加処理と、
を実行する画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記記憶媒体が前記装着部に初めて装着された場合、前記画像形成部による画像の形成を実行するための準備処理である初期導入を、前記画像形成部に実行させる初期導入処理を実行する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
画像形成装置と、
情報処理装置と、
サーバと、
を備える画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
通信部と、
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部による画像の形成を許可する画像形成許可量を記憶する記憶媒体を装着可能な装着部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記記憶媒体が前記装着部に装着されていることを検出した場合、前記通信部を介して前記情報処理装置との間で通信の設定を実行する通信設定処理と、
前記記憶媒体に記憶された前記画像形成許可量に応じて、前記画像形成部による画像の形成を実行する画像形成処理と、
を実行し、
前記情報処理装置は、
前記サーバと通信可能に構成され、
前記制御部は、
前記通信設定処理により前記情報処理装置との間で通信の設定を実行した後、前記装着部に装着された前記記憶媒体を識別する記憶媒体識別情報と、前記画像形成装置を識別する装置識別情報を、前記情報処理装置を介して前記サーバへ通知する識別情報通知処理を実行し、
前記サーバは、
前記識別情報通知処理で取得した前記記憶媒体識別情報と、前記装置識別情報を関連付けて記憶する第1記憶処理を実行する、画像形成システム。
【請求項4】
前記サーバは、
前記記憶媒体識別情報に、アクティベーション情報を関連付けて記憶し、
前記アクティベーション情報は、
前記記憶媒体を装着された前記画像形成装置に対して、前記画像形成部による画像形成を許可するか、又は画像形成を禁止させるかを管理するための情報であり、
前記制御部は、
前記識別情報通知処理を実行した後、前記画像形成部による画像形成を許可することを示す前記アクティベーション情報を前記サーバから取得した場合、前記画像形成処理を実行する、請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記画像形成部は、
着色剤を用いてシートに印刷を実行する印刷部であり、
前記制御部は、
前記通信設定処理により前記情報処理装置との間で通信の設定を実行した後、前記記憶媒体に記憶された前記画像形成許可量と、前記印刷部の前記着色剤の残量である着色剤残量を、前記情報処理装置を介して前記サーバへ通知する現在量通知処理を実行する、請求項3又は請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記情報処理装置は、
操作入力を受け付ける操作部を備え、前記記憶媒体に記憶された前記画像形成許可量を追加量だけ増加させる指示を前記操作部により受け付けた場合、前記追加量を前記サーバへ通知する追加量通知処理を実行し、
前記サーバは、
前記現在量通知処理により取得した前記画像形成許可量に前記追加量を加えた量だけ前記印刷部で印刷した場合、前記現在量通知処理により取得した前記着色剤残量で足りるか否かを判断する着色剤残量判断処理と、
前記着色剤残量判断処理の結果、前記着色剤残量が足りないと判断した場合、前記着色剤残量が足りないことを前記情報処理装置へ通知する不足通知処理と、
を実行する請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、
操作入力を受け付ける操作部を備え、前記通信設定処理により前記画像形成装置との間で通信の設定を実行した後、ユーザ情報を前記操作部により受け付け、受け付けたユーザ情報を、前記サーバへ通知するユーザ情報通知処理を実行し、
前記サーバは、
前記ユーザ情報通知処理により取得した前記ユーザ情報を、前記記憶媒体識別情報に関連付けて記憶する第2記憶処理を実行する、請求項3から請求項6の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記情報処理装置は、
前記識別情報通知処理で取得した前記記憶媒体識別情報と同一の前記記憶媒体識別情報と、前記識別情報通知処理で取得した前記装置識別情報と異なる前記装置識別情報を、前記通信設定処理を実行した前記画像形成装置とは異なる画像形成装置から取得した場合、取得した前記装置識別情報に基づいて、前記サーバに記憶された前記記憶媒体識別情報に関連付けられた前記装置識別情報を更新する更新処理を実行する、請求項3から請求項7の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項9】
通信部と、
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部による画像の形成を許可する画像形成許可量を記憶する記憶媒体を装着可能な装着部と、
前記画像形成部が設けられた装置本体部と、
前記装置本体部と電源を接続し、前記電源から前記装置本体部へ電力を供給する電源ケーブルと、
前記記憶媒体を前記装着部に装着する装着孔を塞ぐ閉塞部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記記憶媒体が前記装着部に装着されていることを検出した場合、前記通信部を介して情報処理装置との間で通信の設定を実行する通信設定処理と、
前記記憶媒体に記憶された前記画像形成許可量に応じて、前記画像形成部による画像の形成を実行する画像形成処理と、
を実行し、
前記閉塞部は、
前記電源ケーブルを前記装置本体部に接続した状態では、前記装着孔を塞ぎ、前記電源ケーブルを前記装置本体部から取り外した状態では、前記装着孔を開放させる、画像形成装置。
【請求項10】
通信部と、
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部による画像の形成を許可する画像形成許可量を記憶する記憶媒体を装着可能な装着部と、
制御部と、
を備える画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記記憶媒体が前記装着部に装着されていることを検出した場合、前記通信部を介して情報処理装置との間で通信の設定を実行する通信設定処理と、
前記記憶媒体に記憶された前記画像形成許可量に応じて、前記画像形成部による画像の形成を実行する画像形成処理と、
前記記憶媒体が前記装着部に初めて装着された場合、前記画像形成部による画像の形成を実行するための準備処理である初期導入を、前記画像形成部に実行させる初期導入処理と、
を実行し、
前記画像形成装置の電源が投入されると、前記記憶媒体が前記装着部に初めて装着されたか否かを判断し、初めて装着されたと判断した場合、前記初期導入処理を実行する、画像形成装置。
【請求項11】
通信部と、画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部による画像の形成を許可する画像形成許可量を記憶する記憶媒体を装着可能な装着部と、を備える画像形成装置の制御をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記記憶媒体が前記装着部に装着されていることを検出した場合、前記通信部を介して情報処理装置との間で通信の設定を実行する通信設定処理と、
前記記憶媒体に記憶された前記画像形成許可量に応じて、前記画像形成部による画像の形成を実行する画像形成処理と、
前記記憶媒体が前記装着部に初めて装着された場合、前記記憶媒体に記憶された前記画像形成許可量を所定量だけ増加させる増加処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項12】
通信部と、画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部による画像の形成を許可する画像形成許可量を記憶する記憶媒体を装着可能な装着部と、を備える画像形成装置の制御をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記記憶媒体が前記装着部に装着されていることを検出した場合、前記通信部を介して情報処理装置との間で通信の設定を実行する通信設定処理と、
前記記憶媒体に記憶された前記画像形成許可量に応じて、前記画像形成部による画像の形成を実行する画像形成処理と、
前記通信設定処理により前記情報処理装置との間で通信の設定を実行した後、前記装着部に装着された前記記憶媒体を識別する記憶媒体識別情報と、前記画像形成装置を識別する装置識別情報を、前記情報処理装置を介してサーバへ通知する識別情報通知処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項13】
通信部と、画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部による画像の形成を許可する画像形成許可量を記憶する記憶媒体を装着可能な装着部と、を備える画像形成装置の制御をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記記憶媒体が前記装着部に装着されていることを検出した場合、前記通信部を介して情報処理装置との間で通信の設定を実行する通信設定処理と、
前記記憶媒体に記憶された前記画像形成許可量に応じて、前記画像形成部による画像の形成を実行する画像形成処理と、
前記記憶媒体が前記装着部に初めて装着された場合、前記画像形成部による画像の形成を実行するための準備処理である初期導入を、前記画像形成部に実行させる初期導入処理と、
を実行させ、
前記画像形成装置の電源が投入されると、前記記憶媒体が前記装着部に初めて装着されたか否かを判断し、初めて装着されたと判断した場合、前記初期導入処理を実行させるプログラム。
【請求項14】
画像形成装置と通信可能な情報処理装置の制御をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記画像形成装置は、
通信部と、
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部による画像の形成を許可する画像形成許可量を記憶する記憶媒体を装着可能な装着部と、
を備え、
前記画像形成装置は、
前記記憶媒体が前記装着部に装着されていることを検出した場合、前記記憶媒体を識別する記憶媒体識別情報と、前記画像形成装置を識別する装置識別情報とを、前記通信部を介して前記情報処理装置へ通知し、
前記コンピュータに、
前記画像形成装置から取得した前記記憶媒体識別情報及び前記装置識別情報を関連付けて記憶する装置側記憶処理と、
前記装置側記憶処理を実行した後に、前記装置側記憶処理で記憶した前記記憶媒体識別情報と同一の前記記憶媒体識別情報と、前記装置側記憶処理で記憶した前記装置識別情報と異なる前記装置識別情報を、前記装置側記憶処理を実行した前記画像形成装置とは異なる画像形成装置から取得した場合、取得した前記装置識別情報に基づいて、記憶済みの前記記憶媒体識別情報に関連付けられた前記装置識別情報を更新する装置更新処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項15】
前記画像形成部は、
着色剤を用いてシートに印刷を実行する印刷部であり、
前記情報処理装置は、
操作入力を受け付ける操作部を備え、
前記コンピュータに、
前記記憶媒体に記憶された前記画像形成許可量を追加量だけ増加させる指示を前記操作部により受け付けた場合、前記印刷部の前記着色剤の残量である着色剤残量を、前記画像形成装置から取得する着色剤残量取得処理と、
前記画像形成許可量に前記追加量を加えた量だけ前記印刷部で印刷した場合、前記着色剤残量取得処理により取得した前記着色剤残量で足りるか否かを判断する装置側着色剤残量判断処理と、
前記装置側着色剤残量判断処理の結果、前記着色剤残量が足りないと判断した場合、前記着色剤残量が足りないことを報知する報知処理と、
を実行させる請求項14に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、記憶媒体を装着可能な画像形成装置、画像形成システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記憶媒体を装着可能な画像形成装置が種々提案されている。例えば、下記の特許文献1には、メモリカードを装着可能なカードインターフェース手段を備えるプリンタに係る技術が記載されている。特許文献1に記載されたプリンタは、メモリカードに書き込まれた印刷可能枚数だけ、ユーザによる印刷を許可している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-137501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1のプリンタでは、メモリカードによって印刷可能枚数を管理している。このような構成のプリンタでは、新規にプリンタを購入した場合や、使用中のプリンタを交換した場合、新しいプリンタにメモリカードを装着して認識させる必要がある。
【0005】
一方で、近年では、スマートフォンのような情報処理装置を使用して、例えば、プリンタに対する設定や印刷指示が行われている。このため、メモリカードなどの記憶媒体で印刷可能枚数を管理する場合、プリンタへの記憶媒体の装着に応じた設定処理を、プリンタや情報処理装置で実行する必要がある。
【0006】
そこで、本願は、記憶媒体を装着可能な画像形成装置において、記憶媒体の装着に応じた設定処理を実行できる画像形成装置、画像形成システム、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される画像形成装置は、通信部と、画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部による画像の形成を許可する画像形成許可量を記憶する記憶媒体を装着可能な装着部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記記憶媒体が前記装着部に装着されていることを検出した場合、前記通信部を介して情報処理装置との間で通信の設定を実行する通信設定処理と、前記記憶媒体に記憶された前記画像形成許可量に応じて、前記画像形成部による画像の形成を許可する画像形成処理と、を実行する。
【0008】
また、本明細書によって開示される内容は、画像形成装置としての実施だけでなく、画像形成装置を備える画像形成システム、画像形成装置の制御をコンピュータに実行させるプログラム、画像形成装置と通信可能な情報処理装置の制御をコンピュータに実行させるプログラムとしての実施も可能である。
【発明の効果】
【0009】
上記した画像形成装置、画像形成システム、及びプログラムによれば、記憶媒体の装着に応じた設定処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る印刷システムの構成図である。
図2】カード情報の説明図である。
図3】プリンタの模式図である。
図4】装置本体部のケーブル接続部を示す図である。
図5】電源ケーブルの先端部を示す図である。
図6】別例の装置本体部のケーブル接続部を示す図である。
図7】別例の電源ケーブルの先端部を示す図である。
図8】管理DBの説明図である。
図9】初回セットアップの流れを示すシーケンス図である。
図10】印刷処理の流れを示すシーケンス図である。
図11】チャージ処理の流れを示すシーケンス図である。
図12】携帯端末装置のディスプレイに表示されるチャージ画面である。
図13】別例のチャージ処理の流れを示すシーケンス図である。
図14】交換依頼処理の流れを示すシーケンス図である。
図15】交換処理の流れを示すシーケンス図である。
図16】交換前のプリンタに装着されたICカードのカード情報と、交換後の交換用プリンタに装着されたICカードのカード情報を示す図である。
図17】管理DBに登録された情報であって、交換前のプリンタの情報と、交換後の交換用プリンタの情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(印刷システム1の構成)
以下、本願の画像形成システムを具体化した一実施形態に係る印刷システムについて説明する。図1は、印刷システム1の構成図である。図1に示すように、印刷システム1は、携帯端末装置10、プリンタ20及びサーバ30を備えている。印刷システム1は、印刷サービスをユーザに提供するものである。ここでいう印刷サービスとは、例えば、プリンタ20の購入料金や、プリンタ20によって印刷可能なシート(用紙やOHPなど)の枚数である印刷可能枚数に対する料金をユーザが支払うことにより、ユーザが望む印刷枚数だけ印刷を可能とするサービスである。
【0012】
例えば、プリンタ20のベンダは、ユーザからプリンタ20の購入の申し込みを受け付けると、プリンタ20と後述するICカード41とをユーザに発送する。このICカード41には、印刷可能枚数が記憶される。ユーザは、プリンタ20にICカード41を装着させることでプリンタ20を使用することができる。ICカード41には、例えば、購入時点では、印刷可能枚数として0(ゼロ)枚が記憶されている。プリンタ20は、初めてICカード41を装着された状態で起動すると、所定の印刷可能枚数(例えば2000枚)をICカード41に記憶する。尚、以下の説明では、ICカード41の印刷可能枚数を増加させることをチャージと言う場合がある。
【0013】
本実施形態のプリンタ20は、例えば、インクジェット方式によりカラー印刷を実行するインクジェットプリンタである。尚、プリンタ20は、モノクロ印刷を実行するインクジェットプリンタでも良い。また、プリンタ20は、本願の画像形成装置の一例である。本願における画像形成装置は、インクジェットプリンタに限らず、例えば、電子写真方式により印刷を実行するレーザープリンタや、熱転写方式により印刷を実行するサーマルプリンタでも良い。また、本願における画像形成装置は、印刷機能に加えて又は替えてFAX機能を備えても良い。この場合、画像形成装置は、ICカード41に記憶された許可枚数に応じてFAXの送信枚数や受信枚数を制限しても良い。
【0014】
ベンダからユーザに送付されるプリンタ20のインク収容部23A(図1参照)には、購入時に付与される所定の印刷可能枚数(例えば、2000枚)以上の印刷が可能なインク量(例えば、一万枚分のインク量)が充填されている。このため、本印刷サービスでは、ユーザは、プリンタ20を購入した後、ICカード41を装着することにより付与された印刷可能枚数の印刷を行うまでの間に、プリンタ20にインクを充填したり、インク収容部23Aを交換したりする手間が不要となる。これにより、本実施形態の印刷システム1では、プリンタ20へのインクの補充作業が不要となり、ユーザにとって利便性の高いサービスを提供することができる。
【0015】
また、ユーザは、プリンタ20の使用を続け、ICカード41の装着時に付与された所定の印刷可能枚数(例えば、2000枚)で不足した場合、追加料金を支払うことで、追加の印刷可能枚数を購入しICカード41に記憶された印刷可能枚数を増やすことができる。そして、追加の印刷可能枚数をチャージすることにより、ユーザは、プリンタ20を継続して利用することができる。
【0016】
また、ユーザは、追加の印刷可能枚数のチャージを繰り返し行った結果、プリンタ20のインク残量が少なくなった、あるいはなくなった場合、プリンタ20の交換を申請することができる。ベンダは、ユーザからの交換の申請に応じて交換用のプリンタ20を発送する。ユーザは、古いプリンタ20から新しいプリンタ20へICカード41を差し替えることで、印刷サービスを継続して利用することができる。
【0017】
(ネットワークの構成)
図1に示すように、携帯端末装置10とプリンタ20とは、ルータ2を介して相互に通信可能に接続されている。ユーザは、携帯端末装置10を操作することにより、プリンタ20への印刷指示などを行うことができる。尚、携帯端末装置10とプリンタ20とを接続する通信は、Wi-Fi(登録商標)などの通信規格に応じた無線通信でも良く、LANなどの有線通信でも良い。また、携帯端末装置10とプリンタ20とを、ルータ2を介さずに接続しても良い。例えば、携帯端末装置10とプリンタ20を、Bluetooth(登録商標)などの無線通信規格に準じた近距離無線通信で接続しても良く、USBケーブルを用いた有線通信で接続しても良い。
【0018】
また、携帯端末装置10とサーバ30とは、ルータ2及び広域ネットワーク3を介して相互に通信可能に接続されている。広域ネットワーク3は、例えば、インターネットである。サーバ30は、例えば、プリンタ20のベンダが使用するサーバである。ユーザは、携帯端末装置10を操作することで、印刷可能枚数の購入やプリンタ20の交換をサーバ30へ申請することができる。
【0019】
(携帯端末装置10の構成)
携帯端末装置10は、ユーザによって操作される情報処理装置であり、例えば、スマートフォンである。尚、携帯端末装置10は、スマートフォンに限らず、タブレット端末、PCなどの他の情報処理装置でも良い。携帯端末装置10は、ユーザによる操作を受け付けて、シートに対する画像の印刷をプリンタ20に指示することができる。携帯端末装置10は、端末CPU11、端末記憶部12、近距離通信部13、ディスプレイ14、端末操作部15、カメラ16、及び、外部通信部17を備えている。これらの構成要素は、バス18を介して互いに通信可能とされている。
【0020】
端末記憶部12は、RAM(Random Access Memoryの略)、ROM(Read Only Memoryの略)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Driveの略)、バッファなどが組み合わされて構成されている。端末記憶部12には、端末プログラム12A、アプリケーションプログラム(以下、アプリケーションという場合がある)12Bが記憶されている。端末プログラム12Aは、携帯端末装置10を統括的に制御するプログラムであり、アプリケーション12Bに基本的な機能やサービスを提供する。端末プログラム12Aは、例えば、Android(登録商標)OSやiOS(登録商標)である。また、携帯端末装置10が例えばPCである場合、端末プログラム12Aは、Windows(登録商標)OSなどである。アプリケーション12Bは、例えば、プリンタ20のベンダから提供されるプログラムであり、端末プログラム12Aの機能等を利用して、プリンタ20に対する設定処理や印刷指示、サーバ30に対する通知処理等の各種処理を実行するプログラムである。端末CPU11は、端末プログラム12Aやアプリケーション12Bを実行し、携帯端末装置10の制御やサーバ30への通知処理等を実行する。
【0021】
尚、以下の説明では、端末プログラム12Aやアプリケーション12Bを実行する端末CPU11のことを、単に装置名で記載する場合がある。例えば、「端末CPU11は」という記載は、「端末プログラム12Aやアプリケーション12Bを実行する端末CPU11は」ということを意味する場合がある。また、後述するプリンタプログラム27Aを実行するプリンタCPU26や、サーバプログラム33Aを実行するサーバCPU32についても同様である。
【0022】
また、端末記憶部12は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。また、後述するプリンタ20のプリンタ記憶部27やサーバ30のサーバ記憶部33についても同様である。
【0023】
また、端末記憶部12には、印刷データ12C、プリンタ情報12Dが記憶される。印刷データ12Cは、印刷処理の対象となる画像データである。プリンタ情報12Dは、後述する図9の初回セットアップや、図15の交換処理を実行したプリンタ20の情報である。
【0024】
近距離通信部13は、プリンタ20と近距離の無線通信をするものである。近距離通信部13は、例えば、Bluetooth(登録商標)やNFC(Near Field Communicationの略)などの通信規格に準じた近距離無線通信を実行する。ディスプレイ14は、各種画面を表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Displayの略)、有機EL(Electro Luminescenceの略)ディスプレイ等である。端末操作部15は、例えば、タッチパネルであり、ディスプレイ14に表示したアイコン等を介してユーザの操作入力を受け付ける。尚、携帯端末装置10は、近距離通信部13を備えなくとも良い。また、端末操作部15は、本願の操作部の一例である。本願の操作部は、タッチパネルに限らず、例えば、操作ボタン、スライドスイッチ、キーボード、マウス等でもよい。
【0025】
カメラ16は、CCD(Charge Coupled Deviceの略)などの撮像素子を備え、端末操作部15に対する操作入力に応じて撮像を実行する。端末CPU11は、例えば、カメラ16で撮像した撮像画像を端末記憶部12に記憶し、印刷データ12Cとして処理する。尚、印刷データ12Cは、カメラ16で撮像した撮像画像に限らない。例えば、印刷データ12Cは、携帯端末装置10で作成したテキストデータでも良い。また、携帯端末装置10は、外部の装置(サーバやメモリカードなど)から印刷データ12Cを取得してもよい。また、本願における取得とは、他の装置へ通知を行なって能動的に情報を取りに行く処理だけでなく、他の装置から通知を受信したことに基づいて情報を受け取る受動的な処理を含む概念である。
【0026】
外部通信部17は、例えば、Wi-Fi(登録商標)の通信規格に準じた無線通信により、ルータ2との間でデータを送受信する。携帯端末装置10は、外部通信部17を介してプリンタ20やサーバ30と通信を実行する。尚、携帯端末装置10は、近距離通信部13を介してプリンタ20と通信を実行しても良い。
【0027】
(プリンタ20の構成)
プリンタ20は、近距離通信部21、外部通信部22、印刷部23、プリンタ操作部24、プリンタCPU26、プリンタ記憶部27、及び装着部28を備えている。近距離通信部21は、例えば、Bluetooth(登録商標)の通信規格に準じた近距離無線通信により、携帯端末装置10の近距離通信部13との間でデータの送受信を実行する。外部通信部22は、例えば、Wi-Fi(登録商標)の通信規格に準じた無線通信により、ルータ2との間でデータを送受信する。
【0028】
印刷部23は、インク収容部23A、インクジェットヘッド23C等を備え、インクジェット方式によりカラー印刷を実行する。インク収容部23Aは、例えば、複数の種類(マゼンタ、シアン、イエロー及びブラックなど)のインクを貯留する。本実施形態のインク収容部23Aには、ベンダからユーザに送付される時点において、例えば、一万枚分の印刷が可能なインク量が充填されている。一万枚分の印刷が可能なインク量は、例えば、プリンタ20で最も使用されるシートサイズ、そのシートサイズの1枚あたりの平均的なインクの使用量等に基づいて設定される。
【0029】
また、インク収容部23Aは、プリンタ20を使用するユーザによって交換やインクの充填ができない構造となっている。例えば、インク収容部23Aは、通常のユーザ操作では触れることができない位置に配置されている。また、インク収容部23Aは、ユーザがプリンタ20に着脱できないよう、プリンタ20に固定されている。尚、インク収容部23Aは、ユーザによって交換可能な構成でも良い。
【0030】
インクジェットヘッド23Cは、シートに対してインクを吐出する複数のノズルを備えている。印刷部23は、インク収容部23Aに貯留されたインクを、インクジェットヘッド23Cからシートに吐出させて、シートに印刷を実行する。
【0031】
プリンタ操作部24は、プリンタ20に対するユーザの操作入力を受け付けるタッチパネルやスイッチである。尚、プリンタ操作部24は、タッチパネルなどの出力装置を備えず、スイッチやボタンなどの入力装置だけの構成でも良い。プリンタCPU26は、プリンタ20を統括制御するものである。プリンタ記憶部27は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、HDD、バッファなどが組み合わされて構成されている。プリンタ記憶部27には、プリンタプログラム27Aが記憶されている。プリンタCPU26は、プリンタプログラム27Aを実行することで、プリンタ20の各部を制御する。例えば、プリンタCPU26は、プリンタプログラム27Aを実行することで、携帯端末装置10から取得した印刷データ12Cを印刷部23により印刷する。
【0032】
また、プリンタCPU26は、印刷部23のインク収容部23Aに貯留されたインクの残量であるインク残量を検出可能となっている。インク残量を検出する方法は、特に限定されない。プリンタCPU26は、例えば、印刷を実行する際に、各色のインク収容部23Aからインクを吐出させた回数(ドット数など)に基づいて、インク残量を検出しても良い。あるいは、プリンタCPU26は、各色のインク収容部23Aに貯留されたインクの液面の高さを、インク収容部23Aにそれぞれ設けられた光学センサ等の検出信号により検出し、インク残量を検出しても良い。プリンタCPU26は、各色のインク収容部23Aのインク残量27Bをプリンタ記憶部27に記憶し、各色のインク残量27Bを個別に管理する。尚、プリンタCPU26は、インク収容部23Aの少なくとも1色のインク残量27Bだけ管理しても良い。また、インク残量27Bの検出や記憶処理を、プリンタCPU26以外の装置、例えば、インク収容部23Aが実行しても良い。
【0033】
また、プリンタ記憶部27には、プリンタ20を識別可能な装置識別情報27Cが記憶されている。装置識別情報27Cは、例えば、プリンタ20のベンダによって設定されたシリアル番号であり、任意のプリンタ20を他のプリンタ20と識別できる固有の情報である。尚、装置識別情報27Cは、シリアル番号に限らず、例えば、近距離通信部21や外部通信部22の有線のMACアドレス、無線のMACアドレスでも良い。
【0034】
装着部28は、ICカード41からのデータの読み取りや、ICカード41へのデータの書き込みが可能なインターフェースである。ICカード41は、例えば、接触式の読み取りや書き込みを行なうICカードである。ICカード41は、本願の記憶媒体の一例である。尚、本願の記憶媒体は、接触式のICカードに限らず、非接触式のICカードや、SDカード等のメモリカードでも良い。
【0035】
図2は、ICカード41に記憶されたカード情報41Aの一例を示している。図2に示すように、カード情報41Aには、カードID、印刷可能枚数、アクティベーション情報が含まれている。カードIDは、ICカード41を個別に識別可能な情報である。カードIDは、図2では一例として「CID1」の値が記憶されている。印刷可能枚数は、上記したように、プリンタ20による印刷を許可するシートの枚数を示す情報である。印刷可能枚数は、図2では一例として「pr1」の値が記憶されている。プリンタCPU26は、印刷部23による印刷を実行するごとに印刷可能枚数を減算する。プリンタCPU26は、印刷可能枚数がゼロになると、印刷部23による印刷を禁止する。印刷可能枚数は、本願における画像形成許可量の一例である。尚、本願における画像形成許可量は、枚数に限らない。例えば、画像形成許可量は、印刷する画像のデータ量(FAX機能であれば、送受信するデータ量)でも良く、印刷に使用するインク量でも良い。
【0036】
アクティベーション情報は、印刷などの各機能の実行を許可されているか否かを示す情報である。アクティベーション情報は、例えば、オン状態に設定された場合に印刷部23の印刷動作が許容され、オフ状態に設定された場合に印刷部23の印刷動作が規制されることを示すものである。ICカード41は、例えば、ベンダからユーザに発送された時点では、オフ状態のアクティベーション情報が記憶されている。アクティベーション情報がオフ状態である場合、仮に、印刷可能枚数が1枚以上あっても、印刷動作が禁止される。本実施形態の印刷システム1では、例えば、1つのICカード41(カードID)に対して、アクティベーション情報がオン状態となるプリンタ20が1台となるように、アクティベーション情報が設定される。この場合、1つのカードIDで同時に印刷できるプリンタ20が複数台存在しないように、排他的にアクティベーション情報が設定される。
【0037】
尚、1つのカードIDで複数のプリンタ20を印刷可能な状態にしても良い。例えば、同一のカードIDのICカード41を複数枚発行し、印刷システム1は、各ICカード41を装着したプリンタ20のそれぞれで同時に印刷できるサービスを提供しても良い。また、図2に示す「〇」はオン状態に設定されていることを示し、「×」は、オフ状態に設定されていることを示している。また、図2に示すカード情報41Aは、一例である。例えば、ICカード41は、カード情報41Aとして、プリンタCPU26で検出したインク残量27Bを記憶しても良い。
【0038】
ここで接触式のICカード41では、SDカードなどのメモリカードに比べてセキュリティを高めることが可能であり、印刷可能枚数の書き換えなどのユーザによる不正行為の発生を抑制することができる。一方で、プリンタ20の電源を投入した状態や、ICカード41への通電を行った状態のまま、接触式のICカード41を着脱すると、データの消失や故障等が発生する可能性がある。そこで、本実施形態のプリンタ20では、電源を投入等したままICカード41を装着部28から着脱できない構造となっている。
【0039】
具体的には、図3は、プリンタ20を平面視した状態を模式的に示している。図3に示すように、プリンタ20は、装置本体部20A、電源ケーブル20Bを備えている。装置本体部20Aには、上記した印刷部23、プリンタ操作部24、装着部28等が取り付けられている。装着部28は、プリンタ20の背面側に取り付けられている。また、電源ケーブル20Bは、例えば、商用電源のコンセントに接続され、交流電力を装置本体部20Aへ供給する。電源ケーブル20Bは、装着部28と同様に、プリンタ20の背面側に接続される。尚、図3に示す装着部28や電源ケーブル20Bの取り付け位置は、一例である。例えば、装着部28及び電源ケーブル20Bを、プリンタ20の側面に取り付けても良い。また、装着部28と、電源ケーブル20Bとを別々の位置に取り付けても良い。例えば、電源ケーブル20Bを背面に設け、装着部28を側面に設けても良い。この場合、装着部28は、後述する閉塞部28Bを備えなくとも良い。
【0040】
図4は、電源ケーブル20Bを接続する装置本体部20Aのケーブル接続部20Cを示している。図5は、電源ケーブル20Bの先端部20Dを示している。図4及び図5に示すように、プリンタ20の背面20Eには、ケーブル接続部20Cが設けられている。ケーブル接続部20Cは、例えば、電源ケーブル20Bの先端部20Dの一部を挿入する凹部を有し、その凹部内に電源端子を備えている。
【0041】
また、装着部28は、挿入部28A、閉塞部28Bを備えている。挿入部28Aは、例えば、ケーブル接続部20Cの下面に取り付けられ、ICカード41を挿入可能な装着孔28Cを備えている。挿入部28Aは、装着孔28Cから挿入されたICカード41と接触する端子を装着孔28C内に備え、端子を介してICカード41へのデータの書き込みやICカード41からのデータの読み出しを実行する。
【0042】
また、閉塞部28Bは、電源ケーブル20Bの先端部20Dの下面に取り付けられている。閉塞部28Bは、例えば、先端部20Dの下面から下方に突出する板状に形成されている。閉塞部28Bは、例えば、難燃性や絶縁性の高い部材で形成されることが好ましい。また、閉塞部28Bは、例えば、電源ケーブル20Bに対して着脱可能に構成され、別の電源ケーブル20Bの先端部20Dに取り付け可能となっている。尚、閉塞部28Bは、電源ケーブル20Bに固定された部材でも良い。
【0043】
図4の破線は、ケーブル接続部20Cに電源ケーブル20Bを取り付けた際の先端部20Dの位置や閉塞部28Bの位置を示している。図4に示すように、ケーブル接続部20Cに電源ケーブル20Bを取り付けた状態では、挿入部28Aの装着孔28Cは、閉塞部28Bによって閉塞されている。閉塞部28Bは、例えば、プリンタ20の後方側から装着孔28Cに平面を接触させて塞ぐ状態となる。装着孔28Cは、ICカード41を挿入できない状態となる。また、閉塞部28Bは、電源ケーブル20Bをケーブル接続部20Cから取り外すと、電源ケーブル20Bとともに取り外され、装着孔28Cから離れた状態となる。装着孔28Cは、開放され、ICカード41を挿入可能な状態となる。換言すれば、閉塞部28Bは、電源ケーブル20Bを装置本体部20Aに接続した状態では、装着孔28Cを塞ぎ、電源ケーブル20Bを装置本体部20Aから取り外した状態では、装着孔28Cを開放させる。これにより、電源を投入した状態では、ICカード41を装着部28から取り外しできないようにし、ICカード41の故障等の発生を抑制することができる。
【0044】
尚、装着部28の構成は、上記した構成に限らない。図6及び図7は、別例の装着部28を示している。図4及び図5に示す例では、装置本体部20A側に挿入部28Aを設け、電源ケーブル20B側に閉塞部28Bを設けたが、これに限らない。図6及び図7に示すように、装置本体部20A側に閉塞部28Bを設け、電源ケーブル20Bの先端部20Dに挿入部28Aを設けても良い。図7に示すように、別例の挿入部28Aには、装着孔28Cに挿入したICカード41と電気的に接続される端子から延長した延長端子28Dが設けられている。複数の延長端子28Dのそれぞれは、挿入部28Aの先端面から装置本体部20A側(プリンタ20側)に突出している。また、図6に示すように、別例の閉塞部28Bには、延長端子28Dと接触して電気的に接続される接点28Eが設けられている。
【0045】
延長端子28D及び接点28Eは、電源ケーブル20Bを装置本体部20Aに装着した際に、互いに電気的に接続され、ICカード41へ書き込むデータやICカード41から読み出したデータの信号を伝送する。これにより、プリンタ20は、延長端子28D及び接点28Eを介してICカード41への書き込み等を実行できる。また、閉塞部28Bは、電源ケーブル20Bを装置本体部20Aに接続した状態では、電源ケーブル20B側の装着孔28Cを塞ぎ、電源ケーブル20Bを装置本体部20Aから取り外した状態では、装着孔28Cを開放させる。従って、別例の構成であっても、電源を投入した状態では、ICカード41を装着部28から取り外しできないようにし、ICカード41の故障等の発生を抑制することができる。
【0046】
(サーバ30の構成)
次に、サーバ30の構成について説明する。図1に示すように、サーバ30は、外部通信部31、サーバCPU32、サーバ記憶部33を備えている。サーバ30は、例えば、プリンタ20のベンダによって管理されるサーバである。外部通信部31は、広域ネットワーク3を介してルータ2に接続され、ルータ2との間でデータを送受信する。サーバCPU32は、サーバ30を統括制御するものである。サーバ記憶部33は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、HDD、及び、バッファなどが組み合わされて構成されている。サーバ記憶部33には、サーバプログラム33A、管理DB33Bが記憶されている。サーバCPU32は、サーバ記憶部33のサーバプログラム33Aを実行することで、管理DB33Bの更新処理や、ルータ2を介した携帯端末装置10との通信処理等を実行する。
【0047】
また、管理DB33Bは、印刷サービスを利用するプリンタ20の情報等が記憶されている。図8に示すように、管理DB33Bには、装置識別情報27C、カードID、アクティベーション情報、インク残量27B、印刷可能枚数、ユーザ情報が関連付けられて記憶されている。装置識別情報27Cは、上記したプリンタ20の識別情報である。装置識別情報27Cは、図8では一例として「dv1、dv2、dv3、・・・」の値が記憶されている。カードIDは、装置識別情報27Cで特定されるプリンタ20に装着されているICカード41のカードIDである。カードIDは、図8では一例として「CID1、CID2、・・・」の値が記憶されている。同様に、アクティベーション情報、インク残量27Bは、装置識別情報27Cで特定されるプリンタ20のアクティベーション情報やインク残量27Bである。インク残量27Bは、図8では一例として「ink1、ink2、ink3、・・・」の値が記憶されている。また、印刷可能枚数は、プリンタ20に装着されているICカード41に記憶された印刷可能枚数である。印刷可能枚数は、図8では一例として「pr1、pr2、pr3、・・・」の値が記憶されている。ユーザ情報は、後述するように、プリンタ20の使用開始時などに登録されるプリンタ20の使用者の情報である。ユーザ情報は、図8では一例として「User1、User2、・・・」の値が記憶されている。
【0048】
(初回セットアップ)
次に、プリンタ20の初回セットアップにおけるユーザの作業、各装置の処理の内容について説明する。ユーザは、プリンタ20を初めて購入し、ベンダからプリンタ20が到着すると、図9に示すセットアップの作業を行う。携帯端末装置10、プリンタ20、サーバ30の各装置は、ユーザの作業に応じて各処理を実行する。尚、図9以降のシーケンス図では、ユーザ(人)による作業は、斜め左下向きの矢印で示している。また、図9以降に示す処理、作業の内容や順番は、一例である。
【0049】
まず、図9のステップ(以下、単にSと記載する)11において、ユーザは、ベンダから送付されたプリンタ20の装着部28に、ICカード41を装着する。上記したように、本実施形態のプリンタ20は、図4及び図5に示すように、電源ケーブル20Bを装置本体部20Aから取り外した状態でなければICカード41を装着部28に装着できない構造となっている。このため、ユーザは、ICカード41を装着部28に装着してICカード41を装着した後、電源ケーブル20Bを装置本体部20Aに接続することとなる。
【0050】
ユーザは、電源ケーブル20Bを接続した後、プリンタ操作部24の電源ボタンを操作して、プリンタ20の電源を投入する(S13)。プリンタ20のプリンタCPU26は、プリンタ20の電源が投入され電力を供給されると、プリンタプログラム27Aを実行し、プリンタ20のシステムを起動する。プリンタCPU26は、装着部28にICカード41が装着されたか否かを判断する(S15)。プリンタCPU26は、例えば、装着部28の端子を介して通電される信号の内容に基づいて、ICカード41が装着部28に正しく装着されたか否かを判断する。ここでいう正しく装着されるとは、例えば、ICカード41が正しい向きで装着部28に装着され、ICカード41に対する読み込み及び書き込み処理が実行でき、且つICカード41に必要なカード情報41Aが書き込まれていることが確認された状態をいう。
【0051】
プリンタCPU26は、ICカード41が装着部28に正しく装着されていない場合(S15:NO)、警告を報知する。プリンタCPU26は、例えば、装置本体部20Aに設けられたエラーランプを点灯させる、プリンタ操作部24のタッチパネルにエラーの文字を表示するなどの警告を実行する。尚、プリンタCPU26は、ICカード41が正しく装着されていない場合に、警告を報知しなくとも良い。また、プリンタCPU26は、ICカード41が装着部28に正しく装着されていない場合(S15:NO)、後述するS17以降の処理を実行しない。これにより、プリンタCPU26は、ICカード41が装着されていない場合、印刷可能枚数のチャージ、初期導入、携帯端末装置10との通信等を実行しない。即ち、プリンタ20は、正常に使用できない状態となる。
【0052】
一方、プリンタCPU26は、ICカード41が装着部28に正しく装着された場合(S15:YES)、初装着であるか否かを判断する(S17)。ここでいう、初装着とは、例えば、ベンダからユーザにプリンタ20が送付され、最初にICカード41が正しく装着されて電源が投入された状態である。初装着か否かの判断方法は、特に限定されない。例えば、初装着か否かを示すレジストリ値をプリンタ記憶部27に記憶しても良い。そして、プリンタCPU26は、例えば、ICカード41が正しく装着されたことを検出するまでの間、レジストリ値をゼロに設定し、正しく装着されたことを検出するとレジストリ値を1に設定することで、初装着を判断しても良い。
【0053】
プリンタCPU26は、初装着であると判断すると(S17:YES)、所定の印刷可能枚数(例えば2000枚)をチャージする(S19)。これにより、初めてICカード41やプリンタ20を使用するユーザに印刷可能枚数をサービスとして提供し、プリンタ20の積極的な利用を促すことができる。プリンタCPU26は、装着部28を介してICカード41へ所定の印刷可能枚数を書き込む(S19)。ベンダから発送された時点でICカード41の印刷可能枚数がゼロ枚である場合、この時点では、印刷可能枚数(図2の印刷可能枚数pr1)として2000枚が記憶される。また、プリンタCPU26は、S17において初装着でないと判断した場合(S17:NO)、S19を実行せず、印刷可能枚数をチャージしない。このため、同じICカード41が複数回に亘って装着されても、初回の装着時にのみ、所定の印刷可能枚数がチャージされる。ICカード41の不正利用を抑制できる。尚、プリンタCPU26は、プリンタ20にICカード41が初めて装着された場合に限らず、例えば、任意のICカード41がプリンタ20に初めて装着された場合に、印刷可能枚数をチャージしても良い。プリンタCPU26は、例えば、プリンタ記憶部27に過去に装着されたICカード41の履歴情報を管理する。そして、プリンタCPU26は、履歴情報に基づいて、過去に装着されていないICカード41がプリンタ20に初めて装着された場合に、所定の印刷可能枚数をチャージしても良い。
【0054】
プリンタCPU26は、S19を実行した後、初期導入を実行する(S21)。プリンタCPU26は、例えば、S17で肯定判断した場合(S17:YES)、即ち、初装着の場合、初期導入を実行する(S21)。ここでいう、初期導入とは、例えば、印刷部23による印刷を実行するための準備処理である。より具体的には、初期導入とは、例えば、インク収容部23Aからインクジェットヘッド23Cへのインクの充填処理、インクジェットヘッド23Cのノズルの詰まりのチェック処理などである。また、印刷部23が電子写真方式で印刷する構成である場合、初期導入は、例えば、トナー収容部内のトナー攪拌部材を一定時間回転させる動作、所謂、トナーカートリッジのガラ回しを実行してトナーを攪拌してトナーを現像ローラに供給する処理である。尚、プリンタCPU26は、S17で初装着でないと判断した場合(S17:NO)、初期導入を実行しない。これにより、例えば、一回装着されたICカード41がもう一回装着されて電源を投入された場合や、同じICカード41を装着したまま再度電源が投入された場合、初期導入が実行されない。これにより、過剰に初期導入が繰り返し実行されることを抑制できる。尚、プリンタCPU26は、初装着であるか否かに係わらず、電源の投入時にS21の初期導入を常に実行しても良く、定期的に実行しても良い。
【0055】
また、S21において、プリンタCPU26は、例えば、初期導入が完了すると、インク収容部23Aのインク残量27Bを検出し、プリンタ記憶部27に記憶する。この時点では、インク残量27Bは、ほぼ満タンの残量(例えば、1万枚の印刷可能な残量)となる。
【0056】
プリンタCPU26は、S21を実行した後、プリンタ20を通信可能状態へ遷移させる(S23)。プリンタCPU26は、例えば、S17の判断で初装着であるか否かに係わらず、装着部28にICカード41が正しく装着された場合(S15:YES)、S23を実行する。これにより、プリンタ20は、ICカード41が正しく装着された場合のみ通信可能な状態となる。後述するように、交換前のプリンタ20と交換後のプリンタ20とが混在する場合、ICカード41を取り外された交換前のプリンタ20が通信不能な状態となり、ICカード41を装着された交換後のプリンタ20のみを携帯端末装置10と通信可能な状態にできる。尚、プリンタCPU26は、ICカード41の装着の有無に係わらず、電源の投入に応じてS23を実行し、プリンタ20を通信可能な状態へ遷移させても良い。
【0057】
プリンタCPU26は、例えば、S13で電源を投入されてからS23を実行するまでの間、近距離通信部21、外部通信部22への電源供給を停止させる。そして、プリンタCPU26は、S23において、近距離通信部21や外部通信部22へ電力を供給し、プリンタ20を外部装置と通信可能な状態にする。これにより、携帯端末装置10は、プリンタ20との間で通信設定を行うことができる。プリンタCPU26は、S23を実行した後、通信設定を受け付ける処理を実行する(S25)。
【0058】
一方、携帯端末装置10の端末CPU11は、例えば、携帯端末装置10の電源を投入されると、端末プログラム12Aを実行してシステムを起動する。端末CPU11は、システムを起動した後、端末操作部15に対する操作入力等に応じてアプリケーション12Bを実行し、アプリケーションプログラムを起動する(S27)。そして、プリンタ20と携帯端末装置10は、通信設定処理を実行し(S29)、互いに通信可能な状態となる。
【0059】
例えば、Wi-Fi(登録商標)の通信規格に応じた無線通信でプリンタ20と携帯端末装置10を接続する場合、プリンタCPU26は、例えば、プリンタ操作部24のタッチパネルでルータ2のSSIDや暗号化キーの入力を受け付ける(S25)。プリンタCPU26は、受け付けたSSIDや暗号化キーに基づいて、ルータ2との間で、無線通信で接続を行う。同様に、端末CPU11は、端末操作部15に対する操作入力に基づいて、ルータ2と無線通信で接続する。そして、端末CPU11は、アプリケーション12Bの起動や、起動後の所定の操作入力に基づいて(S27)、LAN上のプリンタ20(外部通信部22のMACアドレスなど)を検出し、Wi-Fi(登録商標)の通信規格に応じた無線通信でプリンタ20と通信可能な状態にする(S29)。
【0060】
尚、プリンタ20と携帯端末装置10とを接続する方法は、上記した方法に限らない。例えば、Bluetooth(登録商標)の通信規格に準じた近距離無線通信で接続する場合、プリンタCPU26は、プリンタ操作部24の特定のボタン操作(任意のボタンの長押し操作など)に基づいて、近距離通信部21によりペアリングを実行するペアリングモードへ移行する(S25)。また、端末CPU11は、例えば、端末操作部15に対する所定の操作入力に基づいて、端末プログラム12AのOSの機能に利用し、近距離通信部13により近距離無線通信でプリンタ20と接続を実行する(S29)。ここでいう所定の操作入力とは、例えば、Bluetooth(登録商標)の通信により検索したプリンタ20を選択される操作である。このように、外部通信部17によるルータ2を介した通信に限らず、近距離通信部13を介した近距離無線通信により携帯端末装置10をプリンタ20と接続しても良い。
【0061】
あるいは、端末CPU11は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信の接続に応じて、Wi-Fi(登録商標)の無線通信の接続に必要なルータ2のSSIDや暗号化キーをプリンタ20との間で近距離無線通信により交換し、ルータ2を介してプリンタ20と携帯端末装置10を接続しても良い。
【0062】
プリンタCPU26は、S29を実行し携帯端末装置10と通信可能な状態になると、ICカード41のカード情報41A(カードID、印刷可能枚数)と、プリンタ記憶部27の情報(インク残量27B、装置識別情報27C)を携帯端末装置10へ送信する(S31)。また、端末CPU11は、S31において、新規のカードIDのカード情報41Aをプリンタ20から取得した場合、端末操作部15を介してユーザ情報を受け付ける(S33)。このユーザ情報は、例えば、プリンタ20を使用するユーザに関する情報であり、ユーザの氏名、住所、年齢、性別、職業、連絡先のメールアドレス、料金の支払い方法等である。尚、ユーザ情報を受け付ける処理は、初回セットアップ時に限らない。例えば、ユーザ情報の登録は、後述するチャージ処理や交換処理を初めて実行する際に行っても良い。また、携帯端末装置10は、S33のユーザ情報の受け付け処理において、ユーザ情報の入力を省略(スキップ)する操作を受け付けても良い。これにより、ユーザは、初回セットアップ時には、ユーザ情報の登録をせずに、後述するチャージ処理や交換処理の際に必要に応じて後から登録することができる。
【0063】
端末CPU11は、S33でユーザ情報を受け付けると、受け付けたユーザ情報をサーバ30へ送信する(S35)。サーバ30のサーバCPU32は、携帯端末装置10からユーザ情報を取得すると、取得したユーザ情報を管理DB33Bに記憶する(S37、図8参照)。これにより、プリンタ20を使用するユーザの情報がサーバ30に登録される。
【0064】
端末CPU11は、S31において、新規のカードIDをプリンタ20から取得した場合、ユーザ情報を受け付けて(S33)、サーバ30に登録する(S35)。後述するS55において、端末CPU11は、初回セットアップが完了したプリンタ20の装置識別情報27Cと、そのプリンタ20に装着されたICカード41のカードIDとを関連付けてプリンタ情報12Dとして端末記憶部12へ記憶する。端末CPU11は、例えば、S31において、プリンタ情報12Dに記憶されていない、即ち、サーバ30に登録していないカードIDを取得すると、S33のユーザ情報の受け付けを実行する。これにより、端末CPU11は、後述するように、1つのカードIDに対して一人のユーザ情報を関連付けてサーバ30へ登録できる。また、後述するように、端末CPU11は、プリンタ情報12Dに記憶されているカードID、即ち、過去にサーバ30へ登録したカードIDをS31で取得すると、図15のS161の交換の確認処理を実行する。この場合、端末CPU11は、ユーザ情報の受け付けやサーバ30への登録を省略する。同じICカード41を使用する場合、ユーザ情報の再登録が不要となるためである。
【0065】
あるいは、端末CPU11は、例えば、アプリケーション12Bが携帯端末装置10にインストールされた後に初めて起動された場合、ユーザ情報を受け付けても良い。この場合、端末CPU11は、S33を実行せずに、S35以降のユーザ情報の登録において、インストール時に予め受け付けたユーザ情報を用いても良い。この場合、同一のアプリケーション12Bを使用するユーザを、同一ユーザとして取り扱い、サーバ30に登録することができる。
【0066】
サーバ30のサーバCPU32は、S37でユーザ情報を登録すると、登録の完了を携帯端末装置10へ通知する(S39)。端末CPU11は、登録の完了通知を取得すると(S39)、S31で取得したカード情報41A(カードID、印刷可能枚数)、インク残量27B及び装置識別情報27Cをサーバ30へ送信する(S41)。サーバCPU32は、携帯端末装置10からカード情報41A等を取得すると、取得した情報を、S37で登録したユーザ情報と関連付けて管理DB33Bに登録する(S43)。これにより、図8に示す装置識別情報27C、カードID、インク残量27B、印刷可能枚数、ユーザ情報が、互いに関連付けられて管理DB33Bに登録される。
【0067】
サーバCPU32は、カード情報41A等を登録すると(S43)、アクティベーション情報の判断処理を実行する(S45)。ここで、上記したように、本実施形態の印刷システム1では、1つのICカード41(カードID)に対して、アクティベーション情報がオン状態となるプリンタ20が1台となるように、アクティベーション情報が設定される。サーバCPU32は、S45において、S43で登録した装置識別情報27Cとは異なる装置識別情報27Cで、同一のカードIDで、且つアクティベーション情報がオン状態(図8の「○」)となっている登録情報があるか否かを判断する。即ち、サーバCPU32は、S43で登録したカードIDのICカード41でアクティベーション情報がオン状態となっている他のプリンタ20が存在するか判断する。
【0068】
サーバCPU32は、S43で登録したICカード41でアクティベーション情報がオン状態となっている登録情報がない場合、S45で肯定判断し(S45:YES)、S43で登録した装置識別情報27Cに関連付けられたアクティベーション情報をオン状態にする。サーバCPU32は、アクティベーション情報をオン状態にしても良い旨の情報を携帯端末装置10へ通知する(S47)。尚、サーバCPU32は、S43で登録したICカード41でアクティベーション情報がオン状態となっている登録情報が存在した場合(S45:NO)、例えば、携帯端末装置10へエラーを通知しても良い。サーバCPU32は、例えば、「プリンタに装着したICカードが他のプリンタで既に使用されています」などのエラーを通知する。これによりICカード41の不正利用をユーザに通知することができる。
【0069】
端末CPU11は、S47でアクティベーション情報をサーバ30から取得すると、アクティベーション情報をオン状態にしても良い旨の情報をプリンタ20へ通知する(S49)。上記したように、ICカード41は、例えば、ベンダからユーザに発送された時点では、オフ状態のアクティベーション情報が記憶されている。プリンタCPU26は、S49で通知を取得すると、ICカード41のアクティベーション情報をオフ状態かオン状態に変更しアクティベートする。これにより、プリンタ20は、印刷部23による印刷動作が許容された状態となる。
【0070】
プリンタCPU26は、ICカード41のアクティベーション情報をオン状態にすると(S51)、印刷準備が完了した旨を携帯端末装置10へ通知する(S53)。これにより、プリンタ20の初回セットアップが完了し、携帯端末装置10からプリンタ20へ印刷を指示し、印刷を実行させることができる。
【0071】
端末CPU11は、プリンタ20からS53の通知を取得すると、初回セットアップが終了したプリンタ20の情報を、プリンタ情報12Dとして端末記憶部12に記憶する(S55)。端末CPU11は、例えば、図9の処理により初回セットアップが完了したプリンタ20の装置識別情報27Cと、そのプリンタ20に装着されたICカード41のカード情報41Aとを関連付けてプリンタ情報12Dとして端末記憶部12に記憶する(S55)。
【0072】
(印刷処理)
次に、プリンタ20による印刷処理の内容について説明する。ユーザは、図9に示す初回セットアップを完了させた後、携帯端末装置10を操作して印刷データ12Cの印刷をプリンタ20に実行させることができる。図10は、印刷処理の流れを示すシーケンス図である。
【0073】
まず、図10のS61において、携帯端末装置10の端末CPU11は、印刷指示の受け付けを実行する。例えば、端末CPU11は、アプリケーション12Bを実行してアプリケーションプログラムを起動した後、端末操作部15に対する所定の操作入力により、アプリケーション12Bで印刷指示を受け付ける(S61)。端末CPU11は、印刷データ12Cの指定、シートサイズ、印刷枚数、色調、印刷倍率などの印刷設定を受け付けた後、印刷の実行指示を受け付ける。
【0074】
端末CPU11は、S61で印刷の実行指示を受け付けると、印刷可能枚数及びアクティベーション情報をプリンタ20へ要求する(S63)。プリンタ20のプリンタCPU26は、携帯端末装置10から要求を取得すると、ICカード41に記憶された印刷可能枚数及びアクティベーション情報を携帯端末装置10へ送信する(S65)。
【0075】
端末CPU11は、S65で印刷可能枚数等を取得すると、サーバ30の管理DB33Bの情報を取得する(S67)。端末CPU11は、S61で印刷の実行指示を受け付けたプリンタ20の装置識別情報27Cに関連付けられた印刷可能枚数及びアクティベーション情報を管理DB33Bから取得する。端末CPU11は、S67を実行すると、印刷の可否判断を実行する(S69)。
【0076】
ここで、例えば、プリンタ20のICカード41に記憶された印刷可能枚数が、サーバ30に記憶された印刷可能枚数よりも多い場合、ICカード41の印刷可能枚数が不正に書き換えられた可能性がある。このため、端末CPU11は、S69において、ICカード41の印刷可能枚数が、サーバ30の印刷可能枚数よりも多い場合、印刷の実行を禁止しエラーを報知する(S69:NO)。
【0077】
また、例えば、ICカード41のアクティベーション情報がオン状態であるにも係わらず、管理DB33Bのアクティベーション情報がオフ状態である場合、後述する交換処理によって管理DB33Bのアクティベーション情報がオフ状態にされた古い(交換前の)プリンタ20にICカード41が再度装着された可能性がある。この場合、端末CPU11は、S69において、例えば、「印刷が許可されていないプリンタ20で印刷を実行しようとしています」、「古いプリンタ20にICカード41を装着しましたか?」などのエラーを報知する(S69:NO)。端末CPU11は、印刷の実行を禁止しても良く、印刷の可否についてユーザの選択を受け付けても良い。
【0078】
また、例えば、ICカード41のアクティベーション情報がオン状態であるにも係わらず、管理DB33Bのアクティベーション情報がオフ状態である場合、ICカード41のアクティベーション情報が不正に書き換えられた可能性がある。この場合にも、携帯端末装置10は、印刷の実行を禁止しエラーを報知しても良い(S69:NO)。
【0079】
また、例えば、S61で受け付けた印刷枚数が、ICカード41の印刷可能枚数よりも多い場合、受け付けた印刷枚数を全て印刷できない状態となる。このため、端末CPU11は、S61で受け付けた印刷枚数が、ICカード41の印刷可能枚数よりも多い場合、印刷の実行を中断して、印刷可能な枚数を表示する処理、印刷の実行の有無をユーザに確認する処理等を実行しても良い(S69:NO)。これにより、印刷枚数を減らす、印刷可能枚数をチャージするなどの適切な対応をユーザに促すことができる。あるいは、端末CPU11は、残された印刷可能枚数だけ、即ち、印刷可能な枚数だけ印刷を実行する指示をプリンタ20に行なっても良い。従って、端末CPU11は、S69において、S61、S65、S67で取得した情報に基づいて、何らかの不具合を検出した場合、印刷の実行を禁止する。
【0080】
一方、端末CPU11は、例えば、プリンタ20のICカード41から取得した印刷可能枚数及びアクティベーション情報が管理DB33Bの情報と一致し、且つ、S61で受け付けた印刷枚数が、ICカード41の印刷可能枚数よりも少ない場合、印刷の実行を許可する(S69:YES)。端末CPU11は、S69で印刷の実行を許可した場合(S69:YES)、S61で受け付けたシートサイズ、印刷枚数などの印刷設定で、指定された印刷データ12Cを印刷する指示をプリンタ20へ通知する(S71)。
【0081】
尚、端末CPU11は、S69の印刷の可否判断を実行しなくとも良い。例えば、端末CPU11は、S61で印刷指示を受け付けると、印刷の可否を判断せずに、S71の印刷指示を直ぐに実行しても良い。この場合、端末CPU11は、S63、S65、S67、S69の処理を実行しなくとも良い。また、プリンタ20が、ICカード41やサーバ30の情報に基づいて印刷の可否判断を実行しても良い。例えば、プリンタCPU26は、携帯端末装置10から取得した印刷指示の印刷枚数がICカード41の印刷可能枚数より多い場合、残っている印刷可能枚数だけ印刷を実行し、その後印刷処理を停止してエラーを報知しても良い。
【0082】
プリンタ20のプリンタCPU26は、携帯端末装置10から印刷指示を取得すると(S71)、取得した指示内容の印刷を実行する(S73)。これにより、ユーザは、携帯端末装置10を操作してプリンタ20に対して印刷を実行させることができる。プリンタCPU26は、印刷を完了させると、ICカード41の印刷可能枚数、プリンタ記憶部27のインク残量27Bの情報を更新する(S75)。例えば、プリンタCPU26は、ICカード41に記憶された印刷可能枚数からS73で印刷した枚数を減算して、減算した結果を新たな印刷可能枚数としてICカード41に記憶する(S75)。また、プリンタCPU26は、インク収容部23Aの各色のインク残量を検出し、プリンタ記憶部27のインク残量27Bの情報を更新する(S75)。
【0083】
プリンタCPU26は、印刷可能枚数等の情報を更新すると、更新後の印刷可能枚数及びインク残量27Bの情報を携帯端末装置10へ通知する(S77)。端末CPU11は、プリンタ20から取得した更新後の印刷可能枚数等をサーバ30へ通知する(S79)。サーバCPU32は、携帯端末装置10から取得した印刷可能枚数及びインク残量27Bに基づいて、管理DB33Bの情報を更新する(S81)。サーバCPU32は、管理DB33Bを更新すると、登録が完了した旨を携帯端末装置10へ通知する(S83)。これにより、印刷の実行に応じて、プリンタ20側とサーバ30側の情報を更新することができる。
【0084】
尚、携帯端末装置10の端末CPU11は、印刷を実行するごとに管理DB33Bの情報を更新しなくとも良い。例えば、端末CPU11は、所定の時間が経過するまでの間に複数の印刷指示を受け付けた場合、全ての印刷指示の実行が完了した後に、管理DB33Bの更新を実行しても良い。また、端末CPU11は、連続する印刷指示において、2回目以降の印刷指示を受け付けた場合、サーバ30の情報を確認せずに、印刷する枚数と、印刷可能枚数との大小のみを判断して、印刷の可否を判断しても良い。即ち、複数の印刷を連続して実行する場合、端末CPU11は、印刷可能枚数が足りている間は、サーバ30の情報の確認や更新を実行しなくとも良い。
【0085】
(チャージ処理)
次に、印刷可能枚数をチャージするチャージ処理について図11に示すフローチャートを用いて説明する。チャージ処理は、後述するチャージ画面によって印刷可能枚数の追加を受け付けたことに応じて、印刷可能枚数を加算する処理である。
【0086】
まず、図11のS91において、携帯端末装置10の端末CPU11は、チャージ画面を表示させる指示を受け付ける。端末CPU11は、例えば、アプリケーション12Bを実行した後、端末操作部15に対する所定の操作入力を受け付けると、チャージ画面を表示させる指示を受け付ける(S91)。
【0087】
端末CPU11は、S91でチャージ画面を表示させる指示を受け付けると、管理DB33Bに記憶された印刷可能枚数をサーバ30へ要求する(S93)。サーバ30のサーバCPU32は、S93の要求を取得すると、対応する印刷可能枚数をプリンタ20へ送信する(S95)。ここでいう対応する印刷可能枚数とは、S91で受け付けた印刷可能枚数のチャージを実行する予定のICカード41に記憶された印刷可能枚数である。
【0088】
対応する印刷可能枚数を特定する方法は、特に限定されない。例えば、端末CPU11は、S91でチャージ画面を表示させる指示を受け付ける際に、どのプリンタ20のチャージを実行するのか、ユーザによる選択を受け付けても良い。そして、携帯端末装置10は、受け付けたプリンタ20に装着されたICカード41のカードIDをS93で通知して、対応する印刷可能枚数を要求しても良い。この場合、ユーザは、1つの携帯端末装置10で複数のプリンタ20を個別に選択してチャージすることができる。
【0089】
あるいは、アプリケーション12Bや携帯端末装置10の識別情報を管理DB33Bのユーザ情報に登録しておき、サーバ30は、S93の要求を通知してきた携帯端末装置10やアプリケーション12Bの識別情報(ユーザ情報)に関連付けられた印刷可能枚数をS95で送信しても良い。即ち、ICカード41と携帯端末装置10(アプリケーション12B)を一対一で対応付けて管理DB33Bで管理し、1つの携帯端末装置10からは1つのICカード41のみにしかチャージ出来ないようにしても良い。
【0090】
端末CPU11は、S95で印刷可能枚数を取得すると、チャージ画面をディスプレイ14に表示する(S97)。図12は、携帯端末装置10のディスプレイ14に表示するチャージ画面51の一例を示している。図12に示すように、端末CPU11は、印刷可能枚数表示部53及びチャージ枚数表示部55を、チャージ画面51に表示する。印刷可能枚数表示部53は、チャージ画面51の上側に配置され、印刷可能枚数(残りの枚数)を表示する表示欄である。端末CPU11は、S95で取得した印刷可能枚数を印刷可能枚数表示部53に表示する。尚、印刷可能枚数表示部53に表示する印刷可能枚数は、プリンタ20のICカード41から取得した情報でも良く、携帯端末装置10の端末記憶部12に記憶された情報でも良い。この場合、端末CPU11は、印刷可能枚数をサーバ30へ問い合わせなくとも良い。
【0091】
また、チャージ枚数表示部55は、チャージ画面51の下側に配置され、複数のチャージアイコン57を表示する表示欄である。各チャージアイコン57には、チャージする印刷可能枚数(以下、チャージ枚数という場合がある)と、その印刷可能枚数をチャージした場合の料金が表示されている。
【0092】
端末CPU11は、S97でチャージ画面51を表示すると、チャージ枚数の受け付けを実行する(S99)。端末CPU11は、チャージ画面51に表示した複数のチャージアイコン57の何れかを選択する操作を端末操作部15で受け付けると(S99)、選択されたチャージアイコン57のチャージ枚数をサーバ30へ通知する(S101)。
【0093】
サーバCPU32は、携帯端末装置10からチャージ枚数を取得すると、インク残量27Bの判断処理を実行する(S103)。ここで、上記したように、本実施形態のプリンタ20は、ユーザによるメンテナンス作業の負荷を軽減するため、インク収容部23Aの交換をユーザができない構成となっている。このため、印刷可能枚数がチャージされた場合に、現在のインク残量27Bで印刷可能な枚数以上の印刷可能枚数までチャージされると、全ての印刷可能枚数を使用する前にインク不足が発生する可能性がある。後述するように、インク不足となれば、プリンタ20の交換は可能であるが、ユーザによっては、プリンタ20を交換せずに、今のプリンタ20で印刷サービスの使用を辞めることを望む可能性もある。
【0094】
上記したように、サーバCPU32は、図9のS43や図10のS81を実行することで、管理DB33Bの印刷可能枚数をICカード41の印刷可能枚数(その時点の印刷可能枚数)と一致させている。そこで、サーバCPU32は、S103において、管理DB33Bに記憶された現在の印刷可能枚数に、図11のS101で取得したチャージ枚数を加えた合計枚数だけ印刷を実行した場合に、現在のインク残量27Bで足りるか否かを判断する。サーバCPU32は、例えば、予め設定された1枚当たりのインクの消費量に合計枚数を乗算して予想される消費インク量を演算する。そして、サーバCPU32は、演算した消費インク量がインク残量27Bより多い場合、インク残量27Bが足りないと判断し(S103:NO)、チャージするとインク残量27Bが足りなくなることを携帯端末装置10へ通知する(S105)。サーバCPU32は、例えば、複数の色(マゼンタなど)のうち、少なくとも1つのインク残量27Bが不足する場合、S105の通知を実行する。
【0095】
尚、インク残量27Bを判断する方法は、上記した予め設定されたインクの消費量を用いる方法に限らない。例えば、サーバCPU32は、プリンタ20の使用実績に基づいて、平均的なインク消費量を演算しても良い。サーバCPU32は、例えば、印刷の実行に応じてプリンタ20から通知される印刷可能枚数の減った量(印刷枚数)と、インク残量27Bの低減量に基づいて、平均的なインク消費量を演算し、演算したインク消費量に基づいて消費インク量を演算しても良い。
【0096】
端末CPU11は、S105の不足通知を取得した場合、例えば、「選択した枚数のチャージを実行した場合、全ての印刷が完了する前にインク不足が発生する可能性がありますがチャージしますか?」というメッセージをディスプレイ14に表示する。これにより、ユーザは、今後もプリンタ20を交換して印刷サービスの使用を継続する場合は、チャージを実行し、プリンタ20の交換を望まない場合はチャージ枚数を減らすなどの適切な対応を実行できる。あるいは、サーバCPU32は、インク残量27Bが足りない場合、現在のインク残量27Bで印刷可能な最大のチャージ枚数を演算して携帯端末装置10へ通知しても良い。これにより、ユーザは、最大のチャージ枚数を参考にして、適切なチャージ枚数を選択することができる。
【0097】
一方、S103において、サーバCPU32は、演算した消費インク量がインク残量27Bより少ない場合、インクが足りると判断し(S103:YES)、料金の支払いの要求を携帯端末装置10へ通知する(S107)。尚、上記したように、S103の判断結果に応じて、S105又はS107が実行されるため、図11では、S105を破線で示している。また、S109以降の処理は、S107が実行された場合に実行される。
【0098】
端末CPU11は、S107の通知を取得すると、料金の支払いをユーザに確認する(S109)。端末CPU11は、例えば、「1000円の追加料金を支払いますがよろしいですか?」などのユーザの意思を最終確認するメッセージをディスプレイ14に表示する。端末CPU11は、料金を支払う指示を示す操作を端末操作部15で受け付けると、料金の支払いをサーバ30へ通知する(S111)。
【0099】
チャージ枚数の料金を支払う方法は、特に限定されない。例えば、アプリケーション12Bに登録したクレジットカードの情報、電子マネーの情報などを用いて携帯端末装置10とサーバ30との間で料金の支払い処理を実行しても良い。あるいは、コンビニエンスストアや銀行の窓口で振り込む方法によって料金を支払っても良い。
【0100】
サーバCPU32は、S111の料金の支払いを確認すると、チャージの指示を携帯端末装置10へ通知する(S113)。端末CPU11は、S113の指示を取得すると、S99で受け付けたチャージ枚数のチャージをプリンタ20へ指示する(S115)。プリンタCPU26は、端末CPU11から指示されたチャージ枚数を、ICカード41の印刷可能枚数に加算する(S117)。これにより、料金の支払いに応じたチャージ枚数がICカード41の印刷可能枚数にチャージされる。
【0101】
プリンタCPU26は、チャージが完了したことを、携帯端末装置10を介してサーバ30へ通知する(S119、S121)。サーバCPU32は、チャージの完了通知を取得すると、管理DB33Bの印刷可能枚数にチャージ枚数を加算して印刷可能枚数の情報を更新する(S123)。サーバCPU32は、管理DB33Bの更新が完了すると、完了した旨を携帯端末装置10へ通知する(S125)。これにより、ICカード41のチャージに応じて、サーバ30の管理DB33Bを更新することができる。
【0102】
(別例のチャージ処理)
上記した図11のチャージ処理では、サーバ30が、S103におけるインク残量27Bが不足するか否かの判断を実行したが、S103の判断処理を他の装置が実行しても良い。図13は、別例のチャージ処理の内容を示している。図13の別例では、携帯端末装置10によって、インク残量27Bを判断する。尚、以下の図13の説明では、上記した図11の説明と同様の内容については、適宜省略する。
【0103】
図13に示すように、端末CPU11は、S91でチャージ画面の表示要求を付け付けると、プリンタ20へ印刷可能枚数、インク残量27Bの情報を要求する(S131)。プリンタCPU26は、ICカード41に記憶された印刷可能枚数とプリンタ記憶部27のインク残量27Bの情報を、携帯端末装置10へ送信する(S132)。端末CPU11は、プリンタ20から印刷可能枚数等を取得すると、チャージ画面51を表示して、チャージ枚数を受け付ける(S97、S99)。
【0104】
そして、端末CPU11は、プリンタ20から取得した印刷可能枚数と、S99で受け付けたチャージ枚数とに基づいて、図11のS103と同様に、S132で取得したインク残量27Bでインク不足が発生するか否かを判断する(S135)。従って、図13に示す別例では、携帯端末装置10が、プリンタ20から印刷可能枚数とインク残量27Bを取得して、インク残量27Bを判断する、即ち、サーバ30に接続せずに、ローカルのネットワーク内でインク残量27Bの判断を実行する。
【0105】
端末CPU11は、インク残量27Bが足らないと判断した場合(S135:NO)、ディスプレイ14によるインク不足の警告表示等を実行する(S137)。また、端末CPU11は、インク残量27Bが足りると判断すると(S135:YES)、料金の支払いをユーザに確認し(S109)、図11と同様に、料金の支払いや印刷可能枚数のチャージ等を実行する(S111~S125)。図13に示す構成でも、インク残量27Bの不足が予想される場合に、ユーザへ警告を実行することができる。尚、図11のS103や図13のS135におけるインク残量27Bの判断処理は、プリンタ20が実行しても良い。
【0106】
(交換依頼処理)
次に、プリンタ20の交換をベンダに依頼する交換依頼処理について図14を用いて説明する。交換依頼処理では、プリンタ20のインク残量27Bの低下に応じてプリンタ20の交換をユーザに通知し、ユーザの操作に基づいてプリンタ20の交換を受け付ける処理である。プリンタCPU26は、例えば、プリンタ20の電源投入時や印刷の終了時において、図14の交換依頼処理を実行する。これにより、プリンタCPU26は、インク残量27Bを定期的に判断することができる。
【0107】
まず、図14のS141において、プリンタ20のプリンタCPU26は、インク残量27Bを判定する処理を実行する。ここで、上記したように、本実施形態のプリンタ20は、ユーザによってインク収容部23Aの交換が困難となっている。このため、インクが少なくなってきたことに応じてプリンタ20の交換が必要となる。プリンタCPU26は、S141において、例えば、プリンタ記憶部27に記憶されたインク残量27Bが所定残量以下となったか否かを判定する。プリンタCPU26は、S141において、複数のインク(マゼンタなど)のうち、少なくとも一つのインクが所定残量以下になると(S141:YES)、インク残量27Bが不足した旨の情報を携帯端末装置10へ通知する(S143)。S141の所定残量は、例えば、ベンダからプリンタ20が送付された際に充填されているインク残量の20%である。
【0108】
携帯端末装置10の端末CPU11は、S143のインク残量27Bの不足通知を取得すると、プリンタ20の交換が申請済みであるか否かを判断する(S145)。端末CPU11は、例えば、プリンタ20ごとの交換の申請を実行したか否かを示すフラグ値を端末記憶部12へ記憶する。端末CPU11は、後述する交換の申請をサーバ30へ通知し、申請の完了通知を受信すると、交換を申請したプリンタ20に対応するフラグ値を、申請済みであることを示す値に変更する。端末CPU11は、このフラグ値を用いることで、S145の判断処理を実行できる。尚、プリンタ20の交換が申請済みであるか否かを判断する方法は、上記したフラグ値を用いる方法に限らない。例えば、端末CPU11は、交換が申請済みであるか否かをサーバ30へ問い合わせても良い。あるいは、後述するように、端末CPU11は、交換の申請が完了したことをプリンタ20へ通知する。プリンタCPU26は、交換の申請が完了した情報を取得した場合、それ以降において、図14の交換依頼処理を実行しなくとも良い。この場合、申請済みであるか否かを判断する必要がなくなる。
【0109】
端末CPU11は、S145において、交換が申請済みである場合(S145:YES)、図14に示す処理を終了する。一方、端末CPU11は、交換が未申請である場合(S145:NO)、交換を促す情報を報知する(S147)。端末CPU11は、S147において、例えば、「インク残量が減ってきたため、プリンタ20の交換が必要となります。交換を申請しますか?」というメッセージと、YES/NOを選択するアイコンをディスプレイ14に表示する。端末CPU11は、NOのアイコンが選択された操作入力を端末操作部15で受け付けると(S147:NO)、サーバ30への交換の申請を実行せずに、図14の処理を終了する。この場合、端末CPU11は、定期的に交換の申請をユーザに確認しても良い。また、端末CPU11は、端末操作部15に対する所定の操作入力に応じて、ユーザが望むタイミングで交換の申請を受け付けても良い。
【0110】
一方、端末CPU11は、YESのアイコンが選択されると(S147:YES)、交換の申請をサーバ30へ通知する(S149)。端末CPU11は、例えば、新しいプリンタの送付先等の申請情報を端末操作部15で受け付けて、受け付けた情報を装置識別情報27C等とともにサーバ30へ通知する。尚、端末CPU11は、例えば、自動申請の設定がされた場合、S147の処理を実行せずに、即ち、交換に対するユーザの意思を確認せずに、S149の交換の申請を実行しても良い。
【0111】
サーバCPU32は、S149の交換の申請を携帯端末装置10から取得すると、申請が完了した旨の情報を応答する(S151)。また、サーバCPU32は、管理DB33Bにおいて、交換申請があったプリンタ20の情報に、申請済みである旨の情報を関連付けて記憶しても良い。ベンダの作業者は、交換申請を確認すると、受け付けた送付先へ新しいプリンタ20を発送する作業を行う。
【0112】
端末CPU11は、申請の完了通知をサーバ30から取得すると(S151)、完了通知をプリンタ20へ送信する(S153)。また、端末CPU11は、申請が完了したことを端末記憶部12に記憶して管理しても良い。また、プリンタCPU26は、自装置の交換申請が完了したことをプリンタ記憶部27に記憶して管理しても良い。そして、プリンタCPU26は、以降の処理において、起動時や印刷完了時に図14の処理を実行しなくとも良い。また、プリンタCPU26は、インク残量27Bの検出や情報の更新を実行しなくとも良い。このようにして、インク残量27Bの低下に応じて、プリンタ20の交換をベンダに申請することができる。
【0113】
また、サーバ30は、プリンタ20の交換の申請を取得した場合に、ユーザ情報の登録を受け付けても良い。上記したように、図9の初回セットアップのS33において、携帯端末装置10は、ユーザ情報の入力を省略(スキップ)する操作を受け付けても良い。例えば、ユーザは、プリンタ20を導入した時点では継続して使用するか不明であるためユーザ情報を登録したくない可能性がある。一方で、チャージやプリンタ20の交換を行なってプリンタ20を継続して使用する場合、ユーザ情報を登録することで、サービスの向上などユーザビリティを向上できる。また、例えば、初回セットアップ時にユーザ情報を登録した場合でも、引っ越しなどで住所(ユーザ情報)が変更される可能性がある。
【0114】
そこで、サーバ30は、例えば、図14の交換依頼処理において、ユーザ情報の登録や確認処理を実行する。詳述すると、図14に示すように、サーバCPU32は、S151において、申請が完了した旨の情報を応答した後(S151)、交換の申請があったプリンタ20についてユーザ情報の登録の有無を判断する(S154)。サーバCPU32は、交換の申請があったプリンタ20のユーザ情報を管理DB33Bで検索し、例えば、有効な情報が登録されていなかった場合、登録がないと判断する(S154:NO)。また、サーバCPU32は、例えば、複数の登録可能なユーザ情報(氏名、住所など)のうち、少なくとも1つのユーザ情報が登録されていた場合、登録があると判断する(S154:YES)。尚、登録の有無の判断基準は、上記した基準に限らない。サーバCPU32は、例えば、住所など特定のユーザ情報が登録されている場合、登録があると判断しても良い。
【0115】
図14の実線で示すように、仮に、ユーザ情報が登録されていなかった場合(S154:NO)、サーバCPU32は、ユーザ情報の入力を求める通知を携帯端末装置10へ送信する(S155)。端末CPU11は、S155の通知を取得すると、例えば、ユーザ情報の登録を促す画面をディスプレイ14に表示し、端末操作部15を介してユーザ情報の入力を受け付ける(S156)。
【0116】
端末CPU11は、S156でユーザ情報を受け付けると、図9のS35と同様に、受け付けたユーザ情報をサーバ30へ送信し登録を行なう(S157)。サーバCPU32は、携帯端末装置10からユーザ情報を取得すると、取得したユーザ情報を管理DB33Bに記憶する(図示略)。これにより、プリンタ20を使用するユーザの情報がサーバ30に登録される。
【0117】
一方、図14の破線で示すように、仮に、ユーザ情報が登録されていた場合(S154:YES)、サーバCPU32は、ユーザ情報の確認を求める通知を携帯端末装置10へ送信する(S158)。サーバCPU32は、例えば、既に登録済みのユーザ情報を携帯端末装置10へ送信する。端末CPU11は、S158の通知を受けると、取得したユーザ情報と、確認を求めるメッセージをディスプレイ14に表示する(S159)。これにより、プリンタ20の交換時に引っ越し等でユーザ情報が変更されていた場合、最新のユーザ情報の登録を受け付けることができる。尚、サーバCPU32は、ユーザ情報を携帯端末装置10へ送信する場合、ユーザ認証を行なってから送信しても良い。また、サーバCPU32は、上記したユーザ情報の登録や確認処理を、図11のチャージ処理の際に実行しても良い。また、サーバCPU32は、図11のチャージ処理や図14の交換依頼処理の際に、ユーザ情報の登録や確認を実行しなくとも良い。
【0118】
(交換処理)
次に、交換の申請によって新たなプリンタ20を受け取った後の交換処理について図15を用いて説明する。ユーザは、上記した初回セットアップと同様に、交換用のプリンタ20をベンダから受け取ると、図15に示す作業を行う。尚、以下の説明では、上記した図9に示す初回セットアップと同様の内容については同一符号を付し、その説明を適宜省略する。また、交換用の新しいプリンタ20を、交換前のプリンタ20と区別するため、交換用プリンタ200と称して説明する。
【0119】
まず、図15に示すように、ユーザは、ベンダから新しい交換用プリンタ200を受け取ると、古いプリンタ20から取り外したICカード41を交換用プリンタ200に装着する(S11)。この場合にも、上記したように、本実施形態のプリンタ20は、図4及び図5に示すように、電源ケーブル20Bを装置本体部20Aから取り外した状態でなければICカード41を装着部28に装着できない構成となっている。このため、交換作業において、ICカード41の故障やカード情報41Aの消失の発生を抑制できる。
【0120】
また、上記したように、本実施形態のプリンタ20は、ICカード41を装着しなければ、通信可能な状態へ遷移しない(図9のS23参照)。このため、ICカード41を取り外された古いプリンタ20は、近距離通信部21及び外部通信部22を介して外部装置と通信できない状態となる。これにより、携帯端末装置10側において、後述するように、古いプリンタ20との通信が確立できず、交換用プリンタ200との通信が確立できることで、ICカード41が交換用プリンタ200に装着されたことを検出できる。
【0121】
ユーザは、S11でICカード41を装着した後、交換用プリンタ200の電源を投入する(S13)。交換用プリンタ200のプリンタCPU26は、初回セットアップ時と同様に、装着部28にICカード41が正しく装着されたと判断すると(S15:YES)、初装着であるか否かを判断する(S17)。プリンタCPU26は、初装着であると判断すると(S17:YES)、所定の印刷可能枚数(例えば、2000枚)をチャージする(S19)。
【0122】
図16は、交換前のプリンタ20に装着されたICカード41のカード情報41Aと、交換後の交換用プリンタ200に装着されたICカード41のカード情報41Aを示している。図16に示すように、交換前と交換後では、ICカード41のカードIDは、同一のカードID(例えば、CID1)となる。交換前のプリンタ20から取り外されたICカード41には、印刷可能枚数pr1が記憶されている。この印刷可能枚数pr1は、プリンタ20で使用できなかった残枚数である。
【0123】
プリンタCPU26は、S19において、例えば、ICカード41に記憶された印刷可能枚数pr1(残枚数)に、2000枚を加算する。交換用プリンタ200に装着されたICカード41には、印刷可能枚数pr2として、例えば、残枚数+2000枚の枚数が記憶される。これにより、プリンタ20を交換するユーザ、即ち、印刷サービスを継続して使用してもらえるユーザに、印刷可能枚数をサービスとして提供し、プリンタ20の積極的な利用を促すことができる。尚、ICカード41の装着が、交換用プリンタ200に対する初装着ではない場合(S17:NO)、プリンタCPU26は、所定の印刷可能枚数をチャージしない。このため、同じICカード41が複数回に亘って装着されても、初回の装着時にのみ、所定の印刷可能枚数がチャージされる。ICカード41の不正利用を抑制できる。また、プリンタCPU26は、S19において、印刷可能枚数pr1に2000枚を加算せずに、印刷可能枚数pr2として2000枚をチャージしても良い。即ち、残枚数(印刷可能枚数pr1)の量に係わらず、一定の枚数(2000枚)まで印刷可能枚数pr2をチャージしても良い。
【0124】
プリンタCPU26は、S19を実行した後、例えば、初装着である場合(S17:YES)、初期導入を実行する(S21)。これにより、印刷部23による印刷を実行するための準備処理が完了する。また、S21において、プリンタCPU26は、例えば、初期導入が完了すると、インク収容部23Aのインク残量27Bを検出し、プリンタ記憶部27に記憶する。この時点では、インク残量27Bは、ほぼ満タンの残量(例えば、1万枚の印刷可能な残量)となる。
【0125】
プリンタCPU26は、S21を実行した後、交換用プリンタ200を通信可能状態へ遷移させる(S23)。プリンタCPU26は、例えば、装着部28にICカード41が正しく到着された場合(S15:YES)、近距離通信部21や外部通信部22へ電力を供給し外部装置と通信可能な状態とする(S23)。
【0126】
一方、携帯端末装置10の端末CPU11は、アプリケーション12Bを実行し(S27)、プリンタ20との間で通信設定処理を実行し(S29)、互いに通信可能な状態となる。プリンタCPU26は、S29を実行し携帯端末装置10と通信可能な状態になると、ICカード41のカード情報41A(カードID、印刷可能枚数)と、プリンタ記憶部27の情報(インク残量27B、装置識別情報27C)を携帯端末装置10へ送信する(S31)。
【0127】
端末CPU11は、カード情報41A等を交換用プリンタ200から取得すると、交換の確認処理を実行する(S161)。ここで、プリンタ20の交換が実行された場合、端末CPU11は、同一のカードIDで、且つ異なる装置識別情報27Cの組み合わせをS31で取得する。上記したように、プリンタCPU26は、S11~S31まで、図9に示す初回セットアップと同様の処理を実行する。また、端末CPU11は、上記したように、図9に示す初回セットアップのS55において、初回セットアップが完了したプリンタ20の装置識別情報27Cと、そのプリンタ20に装着されたICカード41のカードIDを関連付けてプリンタ情報12Dとして端末記憶部12に記憶する。
【0128】
図9及び図15のS31において、端末CPU11は、プリンタ情報12Dに記憶されていない、即ち、過去に初回セットアップを実行していないカードIDを取得すると、図9のS33のユーザ情報の受け付けを実行する。この場合、端末CPU11は、図9のS33以降の処理を実行する。一方、端末CPU11は、S31において、プリンタ情報12Dに記憶されているカードID、即ち、過去にサーバ30へ登録したカードIDをS31で取得すると、図15のS161の交換の確認処理を実行する。この場合、端末CPU11は、図9のS33のユーザ情報の受け付け処理や、サーバ30への登録処理を省略する。
【0129】
図15のS31では、端末CPU11は、プリンタ情報12Dに記憶されたカードIDと、そのカードIDに関連付けられた装置識別情報27Cとは異なる装置識別情報27C(ここでは、交換用プリンタ200の装置識別情報27C)を取得する。このため、端末CPU11は、S161の確認処理を実行する。これにより、プリンタ20の交換に合わせて、交換の有無をユーザに確認することができる。
【0130】
上記したように、ICカード41を取り外された古いプリンタ20は、通信できない状態となる。このため、端末CPU11は、S161において、プリンタ情報12Dに記憶された装置識別情報27Cのプリンタ20との間で、Wi-Fi(登録商標)の通信規格に準じた無線通信を確立できていないことを確認しても良い。これにより、古いプリンタ20が通信可能状態へ遷移していない、即ち、古いプリンタ20のICカード41が取り外され通信不能な状態となっていることを確認できる。
【0131】
端末CPU11は、例えば、S161において、「ICカードを装着するプリンタを交換しましたか?」などのメッセージと、YES/NOを選択するアイコンをディスプレイ14に表示する。この際、端末CPU11は、プリンタ名を参考情報としてディスプレイ14に表示しても良い。例えば、端末CPU11は、古いプリンタ20のプリンタ名をグレーアウト表示し、交換用プリンタ200のプリンタ名を通常表示し、新旧のプリンタ20が識別可能な状態でディスプレイ14に表示しても良い。端末CPU11は、YESのアイコンの選択を端末操作部15で受け付けると、S41を実行する。端末CPU11は、S41以降を実行することで、カード情報41Aや交換用プリンタ200の装置識別情報27C等をサーバ30へ登録する。
【0132】
また、端末CPU11は、NOを選択された場合、「ICカード41を装着しているプリンタを確認して下さい。」などのエラーメッセージを表示する。この場合、ユーザの意図していない交換作業が行われた可能性があるため、プリンタ20やICカード41の確認をユーザに促すことが好ましい。
【0133】
尚、プリンタ20の交換時にユーザの意思を確認しなくとも良い。例えば、端末CPU11は、交換用プリンタ200の装置識別情報27C(シリアル番号など)を、端末操作部15で予め受け付ける。端末CPU11は、S31で予め受け付けた装置識別情報27Cと、プリンタ情報12Dに登録されたカードIDとを交換用プリンタ200から取得すると、S41以降の処理を実行しても良い。即ち、予め交換用プリンタ200の装置識別情報27Cの情報を受け付けておき、S161の交換の確認処理を省略して、交換用プリンタ200のセットアップを完了させても良い。
【0134】
端末CPU11は、図15のS41において、S31で取得したカード情報41A(カードID、印刷可能枚数)、インク残量27B及び装置識別情報27Cをサーバ30へ送信する。図17は、サーバ30の管理DB33Bに登録された情報であって、交換前のプリンタ20の情報と、交換後の交換用プリンタ200の情報を示す図である。図17に示すように、管理DB33Bには、交換前のプリンタ20の情報が既に登録されている。サーバCPU32は、S41において、既に登録済みのカードIDと同一のカードID(例えば、CD1)で、且つ登録済みのプリンタ20の装置識別情報27C(図17のdv1)と異なる交換用プリンタ200の装置識別情報27C(図17のdv2)を取得する。この場合、サーバCPU32は、古いプリンタ20のアクティベーション情報をオン状態からオフ状態へ変更し、交換用プリンタ200のアクティベーション情報をオン状態に設定する(S43)。これにより、古いプリンタ20のアクティベーション情報がオフ状態にされることで、図10に示す印刷処理において、仮に、古いプリンタ20へ印刷指示が行なわれても、その印刷は、禁止される(S69:NO)。
【0135】
サーバCPU32は、新たな交換用プリンタ200の装置識別情報27C(図17のdv2)、カードID(同図のCD1)、インク残量27B(同図のink2)、印刷可能枚数(同図のpr2)、アクティベーション情報(オン状態)に、古いプリンタ20のユーザ情報(同図のUser1)を関連付けて管理DB33Bに登録する(S43)。これにより、登録済みのユーザ情報に、交換後の交換用プリンタ200の装置識別情報27C等を関連付けて管理DB33Bに登録できる。
【0136】
サーバCPU32は、カード情報41A等を登録すると(S43)、アクティベーション情報の判断処理を実行する(S163)。ここで、本実施形態の印刷システム1では、1つのICカード41(カードID)に対して、アクティベーション情報がオン状態となるプリンタ20が1台となるように、アクティベーション情報が設定される。このため、交換用プリンタ200以外のプリンタ20で、同一のカードIDで且つアクティベーション情報がオン状態のプリンタ20の存在を禁止する必要がある。そこで、S163において、サーバCPU32は、S43で登録した交換用プリンタ200の装置識別情報27Cとは異なる装置識別情報27Cで、同一のカードIDで、且つアクティベーション情報がオン状態となっている登録情報があるか否かを判断する。
【0137】
サーバCPU32は、交換用プリンタ200以外のプリンタ20で、同一のICカード41で、且つアクティベーション情報がオン状態となっている登録情報がない場合(S163:YES)、交換用プリンタ200の装置識別情報27Cに関連付けられたアクティベーション情報のオン状態を維持する。サーバCPU32は、アクティベーション情報をオン状態としても良い旨の情報を携帯端末装置10へ通知する(S47)。尚、サーバCPU32は、交換用プリンタ200以外のプリンタ20で、同一のICカード41で、且つアクティベーション情報がオン状態となっている登録情報がある場合(S163:NO)、例えば、携帯端末装置10へエラーを通知しても良い。そして、携帯端末装置10は、交換用プリンタ200に装着されたICカード41のアクティベーション情報をオフ状態にしても良い。また、サーバCPU32は、S47を実行した後、古いプリンタ20の情報を管理DB33Bから消去しても良い。
【0138】
端末CPU11は、S47の通知をサーバ30から取得すると、アクティベーション情報をオン状態としても良い旨の情報を交換用プリンタ200へ通知する(S49)。プリンタCPU26は、S49で通知を取得すると、ICカード41のアクティベーション情報のオン状態を維持する(S165)。尚、プリンタ20の交換時には、ICカード41のアクティベーション情報は、予めオン状態となっている。このため、端末CPU11は、S47の通知をサーバ30から受信した場合、S49を実行しなくとも良い。交換用プリンタ200のICカード41のアクティベーション情報をアクティベートする必要がないためである。あるいは、プリンタCPU26は、アクティベーション情報がオン状態のICカード41が初めてプリンタ20や交換用プリンタ200に装着された場合(S17:YES)、ICカード41のアクティベーション情報をオフ状態にしても良い。即ち、プリンタ20や交換用プリンタ200に新しいICカード41が装着された場合、そのICカード41のアクティベーション情報をオフ状態に初期化しても良い。この場合、S165において、プリンタCPU26は、S17でオフ状態に初期化したICカード41のアクティベーション情報をオン状態に変更する。
【0139】
プリンタCPU26は、S165を実行すると、印刷準備が完了した旨を携帯端末装置10へ通知する(S53)。これにより、交換後の交換用プリンタ200の初回セットアップが完了し、携帯端末装置10から交換用プリンタ200へ印刷を指示し、印刷を実行させることができる。また、プリンタCPU26は、S55において、S31で取得した交換用プリンタ200の装置識別情報27Cに基づいて、プリンタ情報12Dに記憶済みのカードIDに関連付けられた装置識別情報27C(プリンタ20の情報)を更新する(S55)。これにより、プリンタ情報12Dを交換後の交換用プリンタ200の情報に更新できる。
【0140】
因みに、上記実施形態において、印刷システム1は、本願の画像形成システムの一例である。携帯端末装置10は、情報処理装置の一例である。アプリケーション12B、プリンタプログラム27Aは、プログラムの一例である。端末操作部15は、操作部の一例である。プリンタ20、交換用プリンタ200は、画像形成装置の一例である。近距離通信部21、外部通信部22は、通信部の一例である。印刷部23は、画像形成部の一例である。プリンタCPU26は、制御部の一例である。インク残量27Bは、着色剤残量の一例である。ICカード41は、記憶媒体の一例である。カードIDは、媒体識別情報の一例である。S19の処理は、増加処理の一例である。S21の処理は、初期導入処理の一例である。S29の処理は、通信設定処理の一例である。S31、S41の処理は、識別情報通知処理の一例である。S31、S41、S77、S79の処理は、現在量通知処理の一例である。S35の処理は、ユーザ情報通知処理の一例である。S37の処理は、第2記憶処理の一例である。図15のS41は、更新処理の一例である。S43の処理は、第1記憶処理の一例である。S55は、装置側記憶処理の一例である。図15のS55は、装置更新処理の一例である。S71の処理は、画像形成処理の一例である。S101の処理は、追加量通知処理の一例である。S103の処理は、着色剤残量判断処理の一例である。S105の処理は、不足通知処理の一例である。S132の処理は、着色剤残量取得処理の一例である。S135の処理は、装置側着色剤残量判断処理の一例である。S137の処理は、報知処理の一例である。
【0141】
(効果)以上、上記した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態のプリンタ20は、外部通信部22と、印刷部23と、印刷部23による印刷を許可する印刷可能枚数を記憶するICカード41を装着可能な装着部28と、を備える。プリンタCPU26は、ICカード41が装着部28に装着されていることを検出した場合(S15:YES)、外部通信部22を介して携帯端末装置10との間で通信の設定を実行する(S29)と、ICカード41に記憶された印刷可能枚数に応じて、印刷部23による印刷を実行する(S71)。
【0142】
これによれば、プリンタCPU26は、装着部28にICカード41が装着されたことを検出すると、外部通信部22を介した携帯端末装置10との間の通信の設定を実行する。そして、プリンタCPU26は、ICカード41に記憶された印刷可能枚数に応じて、印刷を実行する。これにより、プリンタCPU26は、ICカード41を装着されたことをトリガとして、携帯端末装置10とプリンタ20の通信設定を行なうことができる。従って、新規にプリンタ20を導入した場合や、交換用プリンタ200に交換した場合など、ICカード41をプリンタ20や交換用プリンタ200に装着して、ICカード41をプリンタ20等に認識させる作業と、携帯端末装置10との間の通信設定を効率的に行なうことができる。その結果、ICカード41の装着に応じた設定処理を適切に実行できる。
【0143】
(2)また、プリンタCPU26は、ICカード41が装着部28に初めて装着された場合(S17:YES)、印刷部23による印刷を実行するための準備処理である初期導入を、印刷部23に実行させる(S21)。
【0144】
これによれば、プリンタCPU26は、ICカード41が装着部28に初めて装着されると、初期導入を印刷部23に実行させる。これにより、新規にプリンタ20を導入した場合や、交換用プリンタ200に交換した場合など、ICカード41をプリンタ20等に装着することで、印刷部23による印刷を実行するための準備処理をプリンタ20等に実行させることができる。
【0145】
(3)また、プリンタCPU26は、ICカード41が装着部28に初めて装着された場合(S17:YES)、ICカード41に記憶された印刷可能枚数を所定枚数だけ増加させる(S19)。
【0146】
これによれば、プリンタCPU26は、ICカード41が装着部28に初めて装着されると、ICカード41に記憶された印刷可能枚数を所定枚数だけチャージする。これにより、プリンタ20を新規に導入した場合など、ICカード41を装着するだけで、印刷可能枚数をチャージすることができ、プリンタ20を直ぐに使用できる状態にできる。
【0147】
(4)また、本実施形態の印刷システム1は、プリンタ20と、携帯端末装置10と、サーバ30と、を備えている。携帯端末装置10は、サーバ30と通信可能に構成されている。プリンタCPU26は、S29で携帯端末装置10との間で通信の設定を実行した後、装着部28に装着されたICカード41を識別するカードIDと、プリンタ20を識別する装置識別情報27Cを、携帯端末装置10を介してサーバ30へ通知する(S31、S41)。サーバCPU32は、S41で取得したカードIDと、装置識別情報27Cを関連付けて記憶する(S43)。
【0148】
これによれば、プリンタ20を新規に導入した場合など、プリンタCPU26は、装着されたICカード41のカードID、自装置の装置識別情報27Cをサーバ30に通知して記憶させることができる。サーバ30は、各プリンタ20をICカード41と関連付けて管理することができる。
【0149】
(5)また、サーバ30は、カードIDに、アクティベーション情報を関連付けて記憶する(図8参照)。このアクティベーション情報は、ICカード41を装着されたプリンタ20に対して、印刷部23による印刷を許可するか、又は印刷を禁止させるかを管理するための情報である。プリンタCPU26は、S31を実行した後、印刷部23による印刷を許可することを示すアクティベーション情報をサーバ30から取得した場合(S49)、印刷を実行する。
【0150】
プリンタ20を新規に導入した場合など、サーバ30によるアクティベーションが実行されるまでの間、プリンタ20や交換用プリンタ200は、印刷部23による印刷を禁止される。換言すれば、プリンタ20を新規に導入した場合などに、プリンタ20等は、ICカード41を装着されたことをトリガとして、携帯端末装置10を介してサーバ30との間でアクティベーションを実行し、印刷できる状態までの準備を実行する。ユーザによるプリンタ20等の準備作業の手間を減らすことができる。
【0151】
(6)また、プリンタCPU26は、S29の処理により携帯端末装置10との間で通信の設定を実行した後、ICカード41に記憶された印刷可能枚数と、印刷部23のインク残量27Bを、携帯端末装置10を介してサーバ30へ通知する(S31、S41、S77、S79)。
【0152】
これによれば、プリンタ20を新規に導入した場合など、プリンタCPU26は、装着されたICカード41の印刷可能枚数と、印刷部23のインク残量27Bをサーバ30に通知して記憶させることができる。サーバ30は、各プリンタ20がどのくらいの枚数だけ印刷を許可されているか、印刷に使えるインク残量27Bがどの程度であるかを管理することができる。
【0153】
(7)また、携帯端末装置10は、操作入力を受け付ける端末操作部15を備え、ICカード41に記憶された印刷可能枚数をチャージ枚数だけ増加させる指示を端末操作部15により受け付けた場合(S99)、チャージ枚数をサーバ30へ通知する(S101)。サーバCPU32は、図9のS41や図10のS79の処理により取得した印刷可能枚数に、S101で通知したチャージ枚数を加えた量だけ印刷部23で印刷した場合、S41やS79の処理により取得したインク残量27Bで足りるか否かを判断する(S103)。サーバCPU32は、インク残量27Bが足りないと判断した場合(S103:NO)、インク残量27Bが足りないことを携帯端末装置10へ通知する(S105)。
【0154】
これによれば、携帯端末装置10の端末操作部15を使用して印刷可能枚数の追加が行なわれた場合に、サーバCPU32は、追加した後の印刷可能枚数とインク残量27Bの判断を実行する。サーバCPU32は、追加後の印刷可能枚数を印刷するにはインク残量27Bが不足する場合、インク残量27Bが足りないことを通知する。これにより、携帯端末装置10を操作するユーザに、チャージ枚数を減らすなどの適切な対応を促すことができる。
【0155】
(8)また、端末CPU11は、S29の処理によりプリンタ20との間で通信の設定を実行した後、ユーザ情報を端末操作部15により受け付け(S33)、受け付けたユーザ情報をサーバ30へ通知する(S35)。サーバCPU32は、S35の処理により取得したユーザ情報を、カードIDに関連付けて記憶する(S37)。
【0156】
これによれば、プリンタ20や携帯端末装置10を使用するユーザのユーザ情報を、カードIDと関連付けてサーバ30で管理できる。プリンタ20のエラー発生時などに、ユーザ情報に基づいて問い合わせを行なうことができる。また、どのようなユーザがプリンタ20をどのように使用しているのかを、サーバ30側で分析することができる。分析結果に基づいて、印刷サービスの向上を図ることができる。
【0157】
(9)また、端末CPU11は、S31の処理で取得したカードIDと同一のカードIDと、S31の処理で取得した装置識別情報27Cと異なる装置識別情報27Cを、S29を実行したプリンタ20とは異なる交換用プリンタ200から取得した場合(図15のS31)、取得した装置識別情報27Cに基づいて、サーバ30に記憶されたカードIDに関連付けられた装置識別情報27Cを更新する(図15のS41)。
【0158】
これによれば、端末CPU11は、カードID及び装置識別情報27Cをサーバ30に通知した後、通知したカードIDが異なる装置識別情報27Cと組合わされて交換用プリンタ200から取得された場合、新しい装置識別情報27Cに基づいてサーバ30の装置識別情報27Cを更新する。これにより、交換後の交換用プリンタ200にICカード41を装着した場合、端末CPU11は、サーバ30に記憶された古い装置識別情報27Cを、交換後の新しい装置識別情報27Cに更新する。ユーザによる設置作業の負担を軽減することができる。
【0159】
(10)また、プリンタ20は、印刷部23が設けられた装置本体部20Aと、装置本体部20Aと電源を接続し、電源から装置本体部20Aへ電力を供給する電源ケーブル20Bと、ICカード41を装着部28に装着する装着孔28Cを塞ぐ閉塞部28Bと、を備えている(図3図4図5)。閉塞部28Bは、電源ケーブル20Bを装置本体部20Aに接続した状態では、装着孔28Cを塞ぎ、電源ケーブル20Bを装置本体部20Aから取り外した状態では、装着孔28Cを開放させる。
【0160】
ICカード41は、プリンタ20の電源を投入したまま着脱すると、データの消失や故障等が発生する可能性がある。そこで、本実施形態のプリンタ20では、ICカード41を装着部28に装着する装着孔28Cを塞ぐ閉塞部28Bを備える。そして、閉塞部28Bは、電源ケーブル20Bの装着時には、装着孔28Cを塞ぎ、取り外し時には、装着孔28Cを開放させる。これにより、電源を投入した状態では、ICカード41を装着部28から取り外しできないようにし、ICカード41の故障等の発生を抑制することができる。
【0161】
(11)また、プリンタCPU26は、プリンタ20の電源が投入されると、ICカード41が装着部28に初めて装着されか否かを判断し(S17)、初めて装着されたと判断した場合(S17:YES)、S21の初期導入を実行する。
【0162】
これによれば、プリンタCPU26は、ICカード41が装着部28に初めて装着され電源が投入されると、初期導入を実行する。これにより、プリンタ20に導入した場合など、初期導入をより迅速に開始することができる。
【0163】
(12)また、プリンタCPU26は、ICカード41が装着部28に装着されていることを検出した場合、ICカード41を識別するカードIDと、プリンタ20を識別する装置識別情報27Cとを、外部通信部22を介して携帯端末装置10へ通知する(S31)。端末CPU11は、アプリケーション12Bを実行し、プリンタ20から取得したカードID及び装置識別情報27Cを関連付けて記憶する(S55)。また、端末CPU11は、S55の処理で記憶したカードIDと同一のカードIDと、S55の処理で記憶した装置識別情報27Cと異なる装置識別情報27Cを、S55の処理を実行したプリンタ20とは異なる交換用プリンタ200から取得した場合(図15のS31)、取得した装置識別情報27Cに基づいて、記憶済みのカードIDに関連付けられた装置識別情報27Cを更新する(図15のS55)。
【0164】
これによれば、同一のICカード41を、別の交換用プリンタ200に装着した場合、新たに装着した交換用プリンタ200から装置識別情報27Cを取得して記憶済みの情報(プリンタ情報12D)を更新することができる。端末CPU11は、プリンタ20が交換されたことを検出することで、プリンタ20に対する初期設定(アクティベートなど)を行なうことができる。従って、ICカード41の装着に応じた設定処理を適切に実行できる。
【0165】
(13)また、端末CPU11は、ICカード41に記憶された印刷可能枚数をチャージ枚数だけ増加させる指示を端末操作部15により受け付けた場合、印刷部23のインク残量27Bを、プリンタ20から取得する(図13のS132)。端末CPU11は、印刷可能枚数にチャージ枚数を加えた枚数だけ印刷部23で印刷した場合、S132で取得したインク残量27Bで足りるか否かを判断する(S135)。端末CPU11は、インク残量27Bが足りないと判断した場合(S135:NO)、インク残量27Bが足りないことを報知する(S137)。
【0166】
これによれば、端末操作部15を使用して印刷可能枚数の追加が行なわれた場合に、端末CPU11は、追加した後の印刷可能枚数とインク残量27Bの判断を実行する。端末CPU11は、追加後の印刷可能枚数を印刷するにはインク残量27Bが不足する場合、インク残量27Bが足りないことを報知する。これにより、携帯端末装置10を操作するユーザに、チャージ枚数を減らすなどの適切な対応を促すことができる。
【0167】
(変形例)
本願の内容は、上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。
上記の実施形態において、本願の情報処理装置としてスマートフォンである携帯端末装置10を採用したが、これに限らない。本願の情報処理装置は、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC等の他の情報処理装置でも良い。
また、上記実施形態では、装着部28にICカード41が装着されたことをプリンタCPU26が検出したが、他の装置が検出しても良い。例えば、装着部28が、ICカード41の装着を検出し、プリンタCPU26へ通知しても良い。
本願における画像形成装置は、印刷装置に限らず、FAX装置でも良い。従って、印刷システム1は、ICカード41に記憶された許可枚数に応じてFAXの送信枚数や受信枚数を制限するFAXシステムでも良い。
【0168】
上記実施形態では、プリンタCPU26は、ICカード41がプリンタ20や交換用プリンタ200に初めて装着された場合に初期導入を実行したが、他のタイミング(所定起動回数ごとなど)に初期導入を実行しても良い。
また、プリンタCPU26は、ICカード41の装着時に初期導入を実行せず、初めて印刷指示を受け付けた場合に初期導入を実行しても良い。
また、本願における初期導入とは、画像形成の準備処理であり、例えば、FAX機能であれば、FAXの送信や受信を実施するための準備処理でも良い。
また、プリンタCPU26は、初装着の場合(S17:YES)、印刷可能枚数をチャージしたが(S19)、チャージしなくとも良い。
また、プリンタCPU26は、ICカード41の印刷可能枚数の残数に応じて、追加のチャージをユーザに確認しても良い。
【0169】
また、上記実施形態では、プリンタ20は、携帯端末装置10を介してサーバ30と各種処理(アクティベーション情報の送受信など)を実行したが、携帯端末装置10を介さずに、サーバ30と直接通信を実行して各種処理を実行しても良い。
また、プリンタCPU26は、インク残量27Bをサーバ30に通知しなくとも良い。例えば、図13に示す携帯端末装置10でインク残量27Bを判断する場合、サーバ30へのインク残量27Bの通知が不要となる。
また、サーバ30は、ユーザ情報の受け付けや、受け付けたユーザ情報の管理DB33Bへの登録等を実行しなくとも良い。
また、上記実施形態では、図15のS161において、端末CPU11は、交換用プリンタ200から取得した情報に基づいて、プリンタ20の交換を判断し、装置識別情報27Cをサーバ30へ通知し更新を実行した。しかしながら、例えば、端末CPU11は、ユーザの端末操作部15に対する操作入力に基づいて、交換用プリンタ200の装置識別情報27Cをサーバ30へ通知して更新を実行しても良い。
【0170】
上記実施形態において、プリンタ20の交換を、インク残量27Bに基づいて実行した。しかしながら、例えば、プリンタ20の交換を、プリンタ20の故障が発生した場合や、現在使用しているプリンタ20と異なるプリンタ20をユーザが所望した場合に実行してもよい。
上記実施形態において、ユーザは、ベンダから送付されるプリンタ20を入手したが、入手方法はこれに限らない。例えば、ユーザは、小売店等の実店舗や、広域ネットワーク3上に開設されたECサイト等の仮想店舗からプリンタ20を入手してもよい。
上記実施形態において、ユーザは、ディスプレイ14に表示されたチャージ画面51から所望のチャージアイコン57を選択することで、選択したチャージアイコン57に対応するチャージ枚数を印刷可能枚数にチャージ(加算)することができた。しかしながら、例えば、ユーザが所望のチャージ枚数を入力できるように構成して、ユーザによって入力されたチャージ枚数を印刷可能枚数にチャージし、入力されたチャージ枚数に応じた料金をベンダがユーザに請求するようにしても良い。また、シートをチャージする構成に限らず、ポイントをチャージしたり、インク量をチャージしたりするような印刷システム1としてもよい。この場合、例えば片面印刷か両面印刷か、あるいは印刷データで使用するインク量などに応じて、印刷1回あたりのポイントやインク量を算出し、チャージされたポイントやインク量からカウントするようにすればよい。
【0171】
また、プリンタ20は、電源ケーブル20Bを備えない構成でも良い。例えば、プリンタ20は、バッテリーによる駆動や、無線給電による駆動を実行する構成でも良い。
また、プリンタ20は、閉塞部28Bを備えなくとも良い。
また、プリンタCPU26は、プリンタ20の電源投入を条件としてS17の初装着の判断処理を実行したが、これに限らない。プリンタCPU26は、例えば、電源を投入され、システムを起動した後、ユーザのプリンタ操作部24に対する操作入力に基づいて、初装着の判断を実行しても良い。
また、端末CPU11は、プリンタ情報12Dを端末記憶部12に記憶しなくとも良い。この場合、端末CPU11は、S55の処理を実行しなくとも良い。
【0172】
また、本願で説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本願に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0173】
1 印刷システム(画像形成システム)、10 携帯端末装置(情報処理装置)、12B アプリケーション(プログラム)、15 端末操作部(操作部)、20 プリンタ(画像形成装置)、20A 装置本体部、20B 電源ケーブル、21 近距離通信部(通信部)、22 外部通信部(通信部)、23 印刷部(画像形成部)、26 プリンタCPU(制御部)、27A プリンタプログラム(プログラム)、27B インク残量(着色剤残量)、27C 装置識別情報、28 装着部、28C 装着孔、30 サーバ、41 ICカード(記憶媒体)、200 交換用プリンタ(画像形成装置)。
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