(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/387 20060101AFI20240723BHJP
G06F 40/186 20200101ALI20240723BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H04N1/387
H04N1/387 110
G06F40/186
B41J21/00 Z
(21)【出願番号】P 2020103209
(22)【出願日】2020-06-15
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】ロメル・ディアノン ジュニア
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-323305(JP,A)
【文献】特開平04-260263(JP,A)
【文献】特開2004-078375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/387
G06F 40/186
B41J 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雛形原稿の画像と名簿原稿の画像とをそれぞれ読み取る画像読取部と、
ユーザーから操作指示が入力される操作部と、
前記画像読取部による前記雛形原稿の読み取りで得られた雛形原稿画像の領域上においてオブジェクトが合成されるオブジェクト合成領域の指定を、前記操作部に入力される指示に基づいて受け付ける合成領域受付部と、
前記画像読取部による前記名簿原稿の読み取りで得られた名簿原稿画像からテキストを抽出するテキスト抽出部と、
前記テキスト抽出部が抽出したテキストから、前記オブジェクト合成領域に合成するオブジェクトを複数取得するオブジェクト取得部と、
前記オブジェクト取得部に取得されたオブジェクトを示すオブジェクト画像を、前記雛形原稿画像における、前記合成領域受付部により指定が受け付けられているオブジェクト合成領域に合成して、前記オブジェクト画像が合成された出力用合成画像を、前記複数のオブジェクトのそれぞれについて作成する画像作成部と、
記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、
前記出力用合成画像を前記画像形成部に画像形成させる制御部と、
前記オブジェクト合成領域に合成される前記オブジェクト画像の表示形式の指定を、前記操作部に入力される指示に基づいて受け付ける表示形式受付部とを備え、
前記画像作成部は、前記オブジェクト取得部に取得されたオブジェクトを前記表示形式受付部により指定が受け付けられている表示形式で示した形式変更後のオブジェクト画像を作成し、前記形式変更後のオブジェクト画像を前記雛形原稿画像における前記オブジェクト合成領域に合成して、前記形式変更後のオブジェクト画像が合成された出力用合成画像を、前記複数のオブジェクトのそれぞれについて作成し、
前記名簿原稿には、ファーストネームが記載される第1記載欄、ミドルネームが記載される第2記載欄、及びラストネームが記載される第3記載欄を有するネーム欄が複数記載され、
前記テキスト抽出部は、前記画像読取部による前記名簿原稿の読み取りで得られた名簿原稿画像について、前記第1記載欄からファーストネームのテキストを抽出し、前記第2記載欄からミドルネームのテキストを抽出し、前記第3記載欄からラストネームのテキストを抽出することを、前記ネーム欄毎に行い、
前記オブジェクト取得部は、前記テキスト抽出部が抽出したテキストのうちで、ファーストネームのテキスト、ミドルネームのテキスト及びラストネームのテキストの少なくとも1つを含む複数のネームテキストから、前記オブジェクト合成領域に合成するオブジェクトを複数取得し、
前記表示形式受付部は、前記オブジェクト合成領域に合成される前記オブジェクト画像の表示形式の指定として、ファーストネームとラストネームとの順に表記する第1名前表示形式、又は、ラストネームとファーストネームとの順に表記する第2名前表示形式の指定を、前記操作部に入力される指示に基づいて受け付け、
前記画像作成部は、前記表示形式受付部により前記第1名前表示形式の指定が受け付けられている場合には、前記オブジェクト取得部に取得されたオブジェクトを当該第1名前表示形式で示した形式変更後のオブジェクト画像を作成し、前記表示形式受付部により前記第2名前表示形式の指定が受け付けられている場合には、前記オブジェクト取得部に取得されたオブジェクトを当該第2名前表示形式で示した形式変更後のオブジェクト画像を作成し、前記形式変更後のオブジェクト画像を前記雛形原稿画像における前記オブジェクト合成領域に合成して、前記形式変更後のオブジェクト画像が合成された出力用合成画像
を、前記複数のオブジェクトのそれぞれについて作成する、画像形成装置。
【請求項2】
前記表示形式受付部は、前記オブジェクト合成領域に合成される前記オブジェクト画像の表示形式の指定として、ラストネームと
ファーストネームと
ミドルネームとの順に表記する第3名前表示形式と、ファーストネームとミドルネームとラストネームとの順に表記する第4名前表示形式と、ファーストネームのみを表記する第5名前表示形式と、ラストネームのみを表記する第6名前表示形式の指定を、前記操作部に入力される指示に基づいて受け付け、
前記画像作成部は、前記表示形式受付部により前記第3名前表示形式の指定が受け付けられている場合には、前記オブジェクト取得部に取得されたオブジェクトを当該第3名前表示形式で示した形式変更後のオブジェクト画像を作成し、前記表示形式受付部により前記第4名前表示形式の指定が受け付けられている場合には、前記オブジェクト取得部に取得されたオブジェクトを当該第4名前表示形式で示した形式変更後のオブジェクト画像を作成し、前記表示形式受付部により前記第5名前表示形式の指定が受け付けられている場合には、前記オブジェクト取得部に取得されたオブジェクトを当該第5名前表示形式で示した形式変更後のオブジェクト画像を作成し、前記表示形式受付部により前記第6名前表示形式の指定が受け付けられている場合には、前記オブジェクト取得部に取得されたオブジェクトを当該第6名前表示形式で示した形式変更後のオブジェクト画像を作成し、前記形式変更後のオブジェクト画像を前記雛形原稿画像における前記オブジェクト合成領域に合成して、前記形式変更後のオブジェクト画像が合成された出力用合成画像を、前記複数のオブジェクトのそれぞれについて作成する、請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記表示形式受付部は、前記オブジェクト合成領域に合成される前記オブジェクト画像の表示形式の指定として、フォントタイプの指定、及び、フォントサイズの指定の少なくとも1つを、前記操作部に入力される指示に基づいて受け付け、
前記画像作成部は、前記表示形式受付部により前記フォントタイプの指定が受け付けられている場合には、前記オブジェクト取得部に取得されたオブジェクトを当該フォントタイプの指定で示した形式変更後のオブジェクト画像を作成し、前記表示形式受付部により前記フォントサイズの指定が受け付けられている場合には、前記オブジェクト取得部に取得されたオブジェクトを当該フォントサイズの指定で示した形式変更後のオブジェクト画像を作成し、前記形式変更後のオブジェクト画像を前記雛形原稿画像における前記オブジェクト合成領域に合成して、前記形式変更後のオブジェクト画像が合成された出力用合成画像を、前記複数のオブジェクトのそれぞれについて作成する、請求項
1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記表示形式受付部は、前記オブジェクト合成領域の高さ及び幅の指定を、前記操作部に入力される指示に基づいて受け付け、
前記画像作成部は、前記表示形式受付部により前記オブジェクト合成領域の高さ及び幅の指定が受け付けられている場合には、当該オブジェクト合成領域を当該指定の高さ及び幅に変更し、前記形式変更後のオブジェクト画像を前記雛形原稿画像における当該変更後のオブジェクト合成領域に合成して、前記形式変更後のオブジェクト画像が合成された出力用合成画像を、前記複数のオブジェクトのそれぞれについて作成する、請求項
1乃至請求項
3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記名簿原稿には、複数の前記出力用合成画像において共通して使用される文字が記載される共通記載欄が記載され、
前記テキスト抽出部は、前記画像読取部による前記名簿原稿の読み取りで得られた名簿原稿画像の前記共通記載欄に記載されたテキストを共通テキストとして抽出し、
前記合成領域受付部は、前記雛形原稿画像の領域上において前記オブジェクト合成領域以外の領域であって、共通オブジェクトが合成される共通オブジェクト合成領域の指定を、前記操作部に入力される指示に基づいて受け付け、
前記オブジェクト取得部は、前記テキスト抽出部が抽出した前記共通テキストから、前記共通オブジェクト合成領域に合成する共通オブジェクトを取得し、
前記画像作成部は、前記オブジェクト取得部に取得された共通オブジェクトを示す共通オブジェクト画像を、前記雛形原稿画像における、前記合成領域受付部により指定が受け付けられている前記共通オブジェクト合成領域に合成して、前記共通オブジェクト画像が合成された出力用合成画像を、前記複数のオブジェクトのそれぞれについて作成する、請求項
1乃至請求項
4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、元原稿の画像から、これを加工した新たな原稿画像を作成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、各種の届出用紙や証明書、表彰状のように、名前部分等の記載が異なり、他の記載部分が共通する複数の印刷物を作成したい場合がある。この場合、当該他の記載部分の画像を有する共通のフォーマットを用いて、作成したい印刷データ毎に、名前等を示すテキストや画像を挿入する作業を行うことにより、名前部分等を異ならせた複数枚の印刷物を名前等毎に作成している。ここで、下記特許文献1には、スキャナーによって読み込まれたフォーマットと印字データとを合成して出力する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-264393号公報
【文献】特開2018-038007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、名前部分等のみの記載が異なり、他の記載部分が共通する複数枚の印刷物を作成する場合、作成する印刷物毎に、名前等を示すテキストや画像を挿入する作業が必要なので、印刷物の作成に手間と時間を要していた。また、特許文献1に記載されているシステムでは、上記フォーマットと印字データとを合成することはできるが、名前部分等のみの記載が異なり他の記載部分が共通する複数の印刷物を作成する場合における上記手間及び時間を軽減できるものではない。
【0005】
特許文献2に記載されているシステムでは、名前部分等のみの記載が異なり他の記載部分が共通する複数の印刷物を作成するに際して、ユーザーが複数の印刷データに対して名前部分(オブジェクト)をそれぞれ入力する必要があるので、上記手間及び時間を改善する余地がある。また、特許文献2に記載されているシステムでは、一部分のみが異なり他部分が共通する複数の印刷データにおける名前部分(オブジェクト)の表示形式を一括して編集することができない。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、一部分のみが異なり他部分が共通する印刷物を複数作成する場合における作業負担と所要時間を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面にかかる画像形成装置は、雛形原稿の画像と名簿原稿の画像とをそれぞれ読み取る画像読取部と、ユーザーから操作指示が入力される操作部と、前記画像読取部による前記雛形原稿の読み取りで得られた雛形原稿画像の領域上においてオブジェクトが合成されるオブジェクト合成領域の指定を、前記操作部に入力される指示に基づいて受け付ける合成領域受付部と、前記画像読取部による前記名簿原稿の読み取りで得られた名簿原稿画像からテキストを抽出するテキスト抽出部と、前記テキスト抽出部が抽出したテキストから、前記オブジェクト合成領域に合成するオブジェクトを複数取得するオブジェクト取得部と、前記オブジェクト取得部に取得されたオブジェクトを示すオブジェクト画像を、前記雛形原稿画像における、前記合成領域受付部により指定が受け付けられているオブジェクト合成領域に合成して、前記オブジェクト画像が合成された出力用合成画像を、前記複数のオブジェクトのそれぞれについて作成する画像作成部と、記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、前記出力用合成画像を前記画像形成部に画像形成させる制御部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一部分のみが異なり他部分が共通する印刷物を複数作成する場合における作業負担と所要時間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態にかかる画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態にかかる画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】雛形原稿及び名簿原稿を画像読取部に読み取らせ、一部分のみが異なり他部分が共通する印刷物を複数作成することを概念的に示す図である。
【
図6】名簿原稿画像から取得されたオブジェクトが記憶部に記憶されることを示す図である。
【
図7】出力用合成画像の作成に用いる雛形原稿画像を生成する処理を示すフローチャートである。
【
図8】読み取った雛形原稿画像が表示部に表示された表示画面の一例を示す図である。
【
図9】雛形原稿画像にオブジェクト合成領域を設定するときの表示画面の一例を示す図である。
【
図10】オブジェクト画像の表示形式を設定するときの表示画面の一例を示す図である。
【
図11】雛形原稿画像に共通オブジェクト合成領域を設定するときの表示画面の一例を示す図である。
【
図12】雛形原稿画像に他の共通オブジェクト合成領域を設定するときの表示画面の一例を示す図である。
【
図13】名簿原稿画像からオブジェクトを取得する処理を示すフローチャートである。
【
図14】セミナーの参加証明書であって、名前の記載のみを異ならせた当該証明書を複数枚印刷する場合の処理を示すフローチャートである。
【
図15】雛形原稿画像を選択するときの選択画面の一例を示す図である。
【
図16】生成された出力用合成画像を示す表示画面の一例を示す図である。
【
図17】出力用合成画像にオブジェクト画像を割り付ける様子を概念的に示す図である。
【
図18】出力用合成画像の印刷物の一例を示す図である。
【
図19】オブジェクト画像の表示形式を変更するときの表示画面の一例を示す図である。
【
図20】表示形式が一括変更された各出力用合成画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る画像形成装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる画像形成装置の外観を示す斜視図である。
図2は、本実施形態にかかる画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0011】
画像形成装置10は、制御ユニット11と、表示部12と、操作部14と、タッチパネル15と、通信部16と、画像読取部17と、画像形成部18と、データ記憶部19とを備えている。これらの構成要素は、互いにバスを通じてデータ又は信号の送受信が可能とされている。
【0012】
画像読取部17は、例えば、原稿を光学的に読み取るスキャナーとしてのCCDであり、この原稿の画像を示す画像データを生成する。画像読取部17は、自動原稿送り装置により搬送される原稿やフラットベッド上に載置された原稿を読み取る一般的な読取機構である。
【0013】
画像形成部18は、感光体ドラムの表面を均一帯電させ、感光体ドラムの表面を露光して、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成し、感光体ドラムの表面の静電潜像をトナー像に現像して、感光体ドラムの表面のトナー像(画像)を記録紙に転写して定着させる。例えば、画像読取部17による原稿の読取で得られた原稿画像を記録紙に印刷する。
【0014】
表示部12は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイなどの表示装置である。表示部12は、表示画面の前面側に配置されたタッチパネル15を備えている。
【0015】
操作部14は、ユーザーからの操作指示の入力を受け付けるものであり、メニューを呼び出すメニューキー、メニューを構成するGUIにおけるフォーカスを移動させる矢印キー、メニューを構成するGUIに対して確定操作を行う決定キー、スタートキーなどのハードキーを備えている。また、操作部14は、表示部12及びタッチパネル15を備えているので、表示部12の表示画面に対するユーザーによるタッチ操作を受け付ける。
【0016】
通信部16は、通信モジュールを備える通信インターフェイスであり、LANや公衆回線などからなるネットワークNを通じて、パーソナルコンピュータなどの外部装置(図示省略)との間でデータ送受信を行う。
【0017】
データ記憶部19は、HDD(Hard Disk Drive)などの大容量の記憶装置である。データ記憶部19は、画像読取部17による原稿読取で得られた雛形原稿画像を、後述する出力用合成画像の作成に用いる雛形として、当該雛形原稿画像について合成領域受付部22により指定が受け付けられたオブジェクト合成領域と対応付けて記憶する。
【0018】
制御ユニット11は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)などから構成される。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU、ASICである。この制御ユニット11は、上記データ記憶部19に記憶された制御プログラムが上記のプロセッサーで実行されることにより、制御部21、合成領域受付部22、テキスト抽出部23、オブジェクト取得部24、画像作成部25、及び表示形式受付部26として機能する。なお、制御ユニット11の上記各構成は、上記制御プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されてもよい。
【0019】
制御部21は、画像形成装置10の全体的な動作制御を司る。
【0020】
図3は、雛形原稿及び名簿原稿を画像読取部に読み取らせ、一部分のみが異なり他部分が共通する印刷物を複数作成することを概念的に示す図である。本実施形態の画像形成装置10では、
図3に示すように、雛形原稿G1及び名簿原稿L1を画像読取部17に読み取らせ、一部分のみが異なり、他部分が共通する印刷物を複数作成することが可能である。例えば、3人の受講者の名前部分のみが異なり、他部分は同一内容のセミナー参加証明書である印刷物DC1~DC3が各1部ずつ、合計で3部作成することが可能である。
【0021】
図4は、雛形原稿の一例を示す図である。雛形原稿G1は、必要項目が記入される予め定められた様式の原稿(例えば、各種届出用紙や証明書、表彰状等)であって、当該必要項目が未記入である原稿である。本実施形態の画像形成装置10では、雛形原稿G1を画像読取部17により読み取り、この読取で得られた雛形原稿画像を、出力用合成画像の生成に用いる雛形としてデータ記憶部19が記憶する。すなわち、当該雛形原稿G1は、3人の受講者の名前部分の記載のみが異なり、他の記載部分は共通する複数の印刷物を作成するために用いられる原稿である。この雛形書類について説明する。
【0022】
本実施形態では、雛形原稿G1は、セミナーの参加証明書を例として用いている。
図4に示すように、雛形原稿G1には、受講者の氏、名、又は氏名が記入される記入欄EF1が設けられている。雛形原稿G1には、記入欄EF2~EF6が更に設けられている。記入欄EF2は、セミナーの名称が記入される欄である。記入欄EF3、EF4、EF5は、セミナーの開催日、月、年がそれぞれ記入される欄である。記入欄EF6は、セミナーの講話者の氏名が記入される欄である。
【0023】
合成領域受付部22は、画像読取部17による原稿読取で得られた雛形原稿G1を示す雛形原稿画像におけるオブジェクト合成領域の指定を、操作部14に入力される指示に基づいて受け付ける。オブジェクト合成領域とは、後述するオブジェクトを示すオブジェクト画像が合成される領域である。ユーザーが、タッチパネル15(特許請求の範囲における操作部の一例)の機能を用いて、雛形原稿画像上においてオブジェクト画像を合成したい位置に所望の大きさの領域を指定すると(詳細は後述)、合成領域受付部22に、当該位置及び指定された領域がオブジェクト合成領域として受け付けられる。
【0024】
次に、名簿原稿L1について
図5を用いて説明する。
図5は、名簿原稿の一例を示す図である。名簿原稿L1には、5人分のネーム欄NFと、複数の出力用合成画像において共通して使用される文字が記載される共通記載欄CF1~CF3が記載されている。
図5に示すように、ネーム欄NFは、ファーストネームが記載される第1記載欄NF1、ミドルネームが記載される第2記載欄NF2、及び、ラストネームが記載される第3記載欄NF3を有する。ここでは、3人分のネーム欄NFに名前が記載されている。例えば、共通記載欄CF1には、「Workshop」の内容を示す「How to Draw an Event.」が記載され、共通記載欄CF2には、「Speaker」つまり講話者を示す「Roiyen Diaxxae Jr.」が記載され、共通記載欄CF3には、「Day」、「Month」、「Year」を示す「12」、「02」、「2020」が記載されている。
【0025】
テキスト抽出部23は、画像読取部17が読み取った名簿原稿L1が示す名簿原稿画像を、既知のOCR(optical character recognition)処理を行うことにより解析して、名簿原稿画像に含まれるテキストとそのテキストの位置情報とを関連付けて抽出してデータ記憶部19に記憶する。
【0026】
具体的には、テキスト抽出部23は、画像読取部17による名簿原稿の読み取りで得られた名簿原稿画像について、第1記載欄NF1からファーストネームのテキストを抽出し、第2記載欄NF2からミドルネームのテキストを抽出し、第3記載欄NF3からラストネームのテキストを抽出することを、3人分のネーム欄NF毎に行う。すなわち、テキスト抽出部23は、
図5に示すように、キーワードのテキストである「Last Name」、「First Name」、「Middle Initial」と、「Oazon」、「Haoozol」、「L.」の一人目のテキストと、「Cabieeas」、「Diinoles」、「M.」の二人目のテキストと、「Goey」、「Keearenu」、「G.」の三人目のテキストとをそれぞれ対応付けて抽出する。
【0027】
オブジェクト取得部24は、テキスト抽出部23が抽出したテキストから、オブジェクト合成領域に合成するオブジェクトを複数取得する。例えば、オブジェクト取得部24は、テキスト抽出部23が抽出したテキストのうちで、ファーストネームのテキスト、ミドルネームのテキスト及びラストネームのテキストの少なくとも1つを含む複数のネームテキストから、オブジェクト合成領域に合成するオブジェクトを複数取得する。例えば、オブジェクト取得部24は、
図5に示すように、キーワードのテキストである「Last Name」、「First Name」、「Middle Initial」に対応する「Oazon」、「Haoozol」、「L.」の一人目のテキストと、「Cabieeas」、「Diinoles」、「M.」の二人目のテキストと、「Goey」、「Keearenu」、「G.」の三人目のテキストとを、それぞれオブジェクトとして取得する。
【0028】
テキスト抽出部23は、画像読取部17による名簿原稿L1の読み取りで得られた名簿原稿画像の共通記載欄CF1~CF3に記載された各テキストを共通テキストとしてそれぞれ抽出する。例えば、テキスト抽出部23は、
図5に示すキーワードのテキストである「Workshop」、「Speaker」、「Day」、「Month」、「Year」と、共通テキストである「How to Draw an Event.」、「Roiyen Diaxxae Jr.」、「12」、「02」、「2020」とを、それぞれ対応付けて抽出する。
【0029】
なお、合成領域受付部22は、雛形原稿画像の領域上においてオブジェクト合成領域SA1以外の領域であって、共通オブジェクトが合成される共通オブジェクト合成領域CA1、CA21、CA22、CA23及びCA3(後述する
図11、
図12参照)の指定を、操作部14に入力される指示に基づいて受け付ける。
【0030】
オブジェクト取得部24は、テキスト抽出部23が抽出した共通テキストから、共通オブジェクト合成領域CA1、CA21、CA22、CA23及びCA3に合成する共通オブジェクトをそれぞれ取得する。具体的には、オブジェクト取得部24は、テキスト抽出部23が抽出した共通テキストである「How to Draw an Event.」、「Roiyen Diaxxae Jr.」、「12」、「02」、「2020」を、それぞれ共通オブジェクトとして取得する。制御部21は、
図6に示すように、オブジェクト取得部24にて取得されたオブジェクト及び共通オブジェクトをデータ記憶部19に記憶する。
図6は、名簿原稿画像から取得されたオブジェクトが記憶部に記憶されることを示す図である。
【0031】
画像作成部25は、データ記憶部19が記憶しているオブジェクトからオブジェクト画像を生成し、このオブジェクト画像を、上記雛形原稿画像における、合成領域受付部22により指定が受け付けられたオブジェクト合成領域SA1に合成して、オブジェクト画像が合成された出力用合成画像を、複数のオブジェクト(3人分のオブジェクト)のそれぞれについて作成する。
【0032】
また、画像作成部25は、データ記憶部19が記憶している共通オブジェクトを示す共通オブジェクト画像を、雛形原稿画像における、合成領域受付部22により指定が受け付けられている共通オブジェクト合成領域CA1、CA21、CA22、CA23及びCA3に合成して、共通オブジェクト画像が合成された出力用合成画像を、前記複数のオブジェクト(3人分のオブジェクト)のそれぞれについて作成する。
【0033】
表示形式受付部26は、オブジェクト合成領域SA1に合成されるオブジェクト画像の表示形式の指定を、操作部14に入力される指示に基づいて受け付ける。
【0034】
また、画像作成部25は、データ記憶部19が記憶しているオブジェクトを表示形式受付部26により指定が受け付けられている表示形式で示した形式変更後のオブジェクト画像を作成し、形式変更後のオブジェクト画像を雛形原稿画像におけるオブジェクト合成領域SA1に合成して、形式変更後のオブジェクト画像が合成された出力用合成画像を、複数のオブジェクト(3人分のオブジェクト)のそれぞれについて作成する。
【0035】
また、画像作成部25は、表示形式受付部26により第1~第6名前表示形式のうちの何れか1つの指定が受け付けられている場合には、オブジェクト取得部24に取得されたオブジェクトを、表示形式受付部26にて指定が受け付けられている名前表示形式で示した形式変更後のオブジェクト画像を作成する。
【0036】
また、画像作成部25は、表示形式受付部26によりフォントタイプ又は/及びフォントサイズの指定が受け付けられている場合には、オブジェクト取得部24に取得されたオブジェクトを、表示形式受付部26にて指定が受け付けられているフォントタイプ又は/及びフォントサイズの指定で示した形式変更後のオブジェクト画像を作成する。
【0037】
また、画像作成部25は、表示形式受付部26によりオブジェクト合成領域SA1の高さ及び幅の指定が受け付けられている場合には、当該オブジェクト合成領域SA1を当該指定の高さ及び幅に変更し、形式変更後のオブジェクト画像を雛形原稿画像における当該変更後のオブジェクト合成領域SA1に合成して、形式変更後のオブジェクト画像が合成された出力用合成画像を、複数のオブジェクトのそれぞれについて作成する。
【0038】
続いて、画像形成装置10による、出力用合成画像(後述)の作成に用いる雛形を生成する処理について説明する。
図7は、出力用合成画像の作成に用いる雛形原稿画像を生成する処理を示すフローチャートである。
【0039】
例えば、ユーザーが画像読取部17に雛形原稿G1をセットし、ユーザーによる操作部14の操作で、上記雛形としての原稿画像の作成を開始する指示が入力され、この状態で、操作部14に画像読取の実行指示が入力されると(S1でYES)、制御部21は、画像読取部17に雛形原稿G1を読み取らせる(S2)。
【0040】
画像読取部17による読取で雛形原稿G1の雛形原稿画像が生成されると、制御部21は、当該雛形原稿画像を
図8に示すように、表示部12に表示させる(S3)。
図8は、読み取った雛形原稿画像が表示部に表示された表示画面の一例を示す図である。制御部21は、この表示時に、合成領域の追加指示の有無を判定する(S4)。ユーザーが、合成領域の追加を示す領域追加ボタンd11のタッチ操作を行うと、制御部21は、合成領域の追加指示ありと判定し(S4でYES)、表示部12に、
図9に示す表示画面を表示させる。なお、制御部21は、領域追加ボタンd11のタッチ操作が無い場合(S4でNO)、領域追加ボタンd11のタッチ操作があるまで待機する。
【0041】
図9は、雛形原稿画像にオブジェクト合成領域を設定するときの表示画面の一例を示す図である。制御部21は、表示部12に、
図9に示すような表示画面を表示させる。
図9に示す表示画面には、読み取った雛形原稿G1を示す雛形原稿画像が表示されている。
【0042】
ユーザーにより、
図9に示すような表示部12の表示画面の雛形原稿画像上における2点P1,P2へのタッチ操作があると、タッチパネル15は、表示画面における当該2点の座標位置を検出する(S5)。
【0043】
合成領域受付部22は、当該2点P1,P2を対角線とする矩形領域及びその位置を、オブジェクト合成領域SA1として受け付ける(S6)。ここでは、ユーザーによる上記操作により、雛形原稿G1における記入欄EF1(
図4参照)に対応する雛形原稿画像の領域に、オブジェクト合成領域SA1が設定されたとする。
【0044】
また、
図9に示す表示画面には、入力領域名を示す入力欄d12、入力領域種類を示す入力欄d13、オブジェクトの高さを示す入力欄d14、オブジェクトの幅を示す入力欄d15、オブジェクトのフォントタイプを示す入力欄d16、オブジェクトのフォントサイズを示す入力欄d17、入力領域タイプが一意であることを示す選択項目d18、入力領域タイプが共通であることを示す選択項目d19、領域追加ボタンd21、及び、終了ボタンd22が表示されている。
【0045】
表示形式受付部26は、オブジェクト合成領域SA1に合成されるオブジェクト画像の表示形式の指定を、操作部14に入力される指示に基づいて受け付ける(S7)。
図10に示すように、表示形式受付部26は、ユーザーが入力欄d12をタッチ操作することに基づいて、入力領域名として「Name」を入力欄d12に設定する。
図10は、オブジェクト画像の表示形式を設定するときの表示画面の一例を示す図である。
【0046】
表示形式受付部26は、ユーザーが入力欄d13をタッチ操作することに基づいて、TEXT、NAMEなどのうちからNAMEを選択し、オブジェクト合成領域SA1に合成されるオブジェクト画像の表示形式の指定として、第1~第6名前表示形式の中から1つの表示形式を設定する。具体的には、表示形式受付部26は、ファーストネームとラストネームとの順に表記する第1名前表示形式(FL)、又は、ラストネームとファーストネームとの順に表記する第2名前表示形式(LF)、ラストネームとファーストネームとミドルネームとの順に表記する第3名前表示形式(LFMI)と、ファーストネームとミドルネームとラストネームとの順に表記する第4名前表示形式(FMIL)と、ファーストネームのみを表記する第5名前表示形式(F)と、ラストネームのみを表記する第6名前表示形式(L)の指定を、操作部14に入力される指示に基づいて受け付ける。ここでは、ハッチングで示すように第3名前表示形式(LFMI)がユーザーにより指定されているとする。
【0047】
表示形式受付部26は、オブジェクト合成領域SA1の高さ及び幅の指定を、操作部14に入力される指示に基づいて受け付ける。ここでは、前述したように、ユーザーによる2点P1,P2へのタッチ操作で設定されたオブジェクト合成領域SA1の高さ及び幅が「10mm」及び「60mm」であったとする。表示形式受付部26は、オブジェクト合成領域SA1に合成されるオブジェクト画像の表示形式の指定として、ユーザーが各入力欄d16、d17をタッチ操作することに基づいて、フォントタイプの指定と、フォントサイズの指定とを、操作部14に入力される指示に基づいて受け付ける。ここでは、フォントタイプとして「MS Gothic」が指定され、フォントサイズとして「16」ポイントがユーザーにより指定されているとする。
【0048】
表示形式受付部26は、各選択項目d18、d19については、オブジェクト合成領域SA1に合成されるオブジェクト画像が3人の受講者ごとに異なるため、ユーザーがタッチ操作することに基づいて、入力領域タイプが一意(「Unique」)であることを示す選択項目d18を受け付ける。制御部21は、選択項目d18が選択されていることを示すチェックマークCKを表示させる。
【0049】
図7に戻って、制御部21は、他の合成領域の追加指示の有無を判定する(S8)。ユーザーが、合成領域の追加を示す領域追加ボタンd21のタッチ操作を行うと、制御部21は、合成領域の追加指示ありと判定し(S8でYES)、前述したS5の処理に進む。ここでは、
図11に示すように表示部12の表示画面の雛形原稿画像上における2点P3,P4へのタッチ操作があり、タッチパネル15は、表示画面における当該2点の座標位置を検出したとする(S5)。
【0050】
合成領域受付部22は、当該2点を対角線とする矩形領域及びその位置を、共通オブジェクト合成領域CA1として受け付ける(S6)。ここでは、ユーザーは、雛形原稿G1における記入欄EF2(
図4参照)に相当する位置に、上記操作により共通オブジェクト合成領域CA1を設定したとする。そして、共通オブジェクト合成領域CA1については、
図11に示すように各入力欄d12~d17が入力されている。表示形式受付部26は、各選択項目d18、d19については、共通オブジェクト合成領域CA1に合成される共通オブジェクト画像が3人の受講者において同じ(共通)であるため、ユーザーがタッチ操作することに基づいて、入力領域タイプが共通(「Common」)であることを示す選択項目d19を受け付けているとする。制御部21は、選択項目d19が選択されていることを示すチェックマークCKを表示させる。
【0051】
表示形式受付部26は、
図11に示すように、共通オブジェクト合成領域CA1に合成されるオブジェクト画像の表示形式の指定を、操作部14に入力される指示に基づいて受け付ける(S7)。
【0052】
なお、
図11に示す共通オブジェクト合成領域CA21~CA23についても、上記と同様に、制御部21が合成領域の追加指示ありと判定し(S8でYES)、2点の座標位置がタッチパネル15にて検出される(S5)。そして、合成領域受付部22は、当該2点を対角線とする矩形領域及びその位置を、共通オブジェクト合成領域CA21~CA23としてそれぞれ受け付ける(S6)。そして、表示形式受付部26は、
図11に示すように、共通オブジェクト合成領域CA21~CA23に合成されるオブジェクト画像の表示形式の指定を、操作部14に入力される指示に基づいて受け付ける(S7)。
【0053】
更に、
図12に示す共通オブジェクト合成領域CA3についても、上記と同様に、制御部21が合成領域の追加指示ありと判定し(S8でYES)、2点P11、P12の座標位置がタッチパネル15にて検出される(S5)。そして、合成領域受付部22は、当該2点P11、P12を対角線とする矩形領域及びその位置を、共通オブジェクト合成領域CA3として受け付ける(S6)。そして、表示形式受付部26は、
図12に示すように、共通オブジェクト合成領域CA3に合成されるオブジェクト画像の表示形式の指定を、操作部14に入力される指示に基づいて受け付ける(S7)。
【0054】
そして、
図7に示すS8において、制御部21は、
図12に示す終了ボタンd22のユーザーによるタッチ操作があると、合成領域の追加指示なしと判定し(S8でNO)、雛形原稿G1の画像(雛形原稿画像)を、出力用合成画像の作成に用いる雛形として、データ記憶部19に記憶する(S9)。
【0055】
そして、制御部21は、当該雛形原稿画像において、S6で指定が受け付けられたオブジェクト合成領域SA1及び共通オブジェクト合成領域CA1、CA21~CA23、CA3を示す合成領域情報と、表示形式受付部26が受け付けたオブジェクト合成領域SA1及び共通オブジェクト合成領域CA1、CA21~CA23、CA3の表示形式を示す表示形式情報とを、当該雛形原稿画像に対応付けてデータ記憶部19に記憶する(S10)。
【0056】
次に、画像形成装置10において名簿原稿画像からオブジェクトを取得する処理を説明する。
図13は、名簿原稿画像からオブジェクトを取得する処理を示すフローチャートである。
【0057】
ユーザーが画像読取部17に名簿原稿L1をセットし、ユーザーによる操作部14の操作で、名簿原稿L1の読取指示があると(S21でYES)、制御部21は、画像読取部17に名簿原稿L1を読み取らせる(S22)。
【0058】
テキスト抽出部23は、画像読取部17が読み取った名簿原稿L1が示す名簿原稿画像を、既知のOCR処理を行うことにより解析して、名簿原稿画像に含まれるテキストとそのテキストの位置情報とを関連付けて抽出する(S23)。
【0059】
具体的には、テキスト抽出部23は、
図5に示す名簿原稿L1の画像を示す名簿原稿画像のネーム欄NFの箇所から、「Oazon」、「Haoozol」、「L.」の一人目のテキストと、「Cabieeas」、「Diinoles」、「M.」の二人目のテキストと、「Goey」、「Keearenu」、「G.」の三人目のテキストとを抽出する。また、テキスト抽出部23は、名簿原稿画像の共通記載欄CF1~CF3に記載された各テキストを共通テキストとしてそれぞれ抽出する。すなわち、
図5に示す「How to Draw an Event.」、「Roiyen Diaxxae Jr.」、「12」、「02」、「2020」を、それぞれ共通テキストとして抽出する。
【0060】
オブジェクト取得部24は、データ記憶部19に記憶された3人分の氏名のテキスト、つまり、「Oazon」、「Haoozol」、「L.」の一人目のテキストと、「Cabieeas」、「Diinoles」、「M.」の二人目のテキストと、「Goey」、「Keearenu」、「G.」の三人目のテキストとを、それぞれオブジェクトとして取得する(S24)。また、オブジェクト取得部24は、データ記憶部19に記憶された共通テキストである「How to Draw an Event.」、「Roiyen Diaxxae Jr.」、「12」、「02」、「2020」を、それぞれ共通オブジェクトとして取得する(S24)。
【0061】
制御部21は、
図6に示すように、オブジェクト取得部24にて取得されたオブジェクト及び共通オブジェクトを、記憶済みの雛形原稿画像に対応付けてオブジェクト情報として、データ記憶部19に記憶する(S25)。
【0062】
次に、画像形成装置10において、名前の記載のみを異ならせたセミナーの参加証明書を複数枚印刷する場合の処理を説明する。
図14は、セミナーの参加証明書であって、名前の記載のみを異ならせた当該証明書を複数枚印刷する場合の処理を示すフローチャートである。
【0063】
画像形成装置10において、ユーザーによる操作部14の操作により、出力用合成画像を作成する処理の実行指示が入力されると(S31でYES)、制御部21は、表示部12に、
図15に示す選択画面を表示させる(S32)。
【0064】
図15は、雛形原稿画像を選択するときの選択画面の一例を示す図である。
図15に示す選択画面は、ユーザーから、出力用合成画像の作成に用いる雛形原稿画像の選択を受け付けるための画面であり、例えば「複数の印刷物を作成します」等、これから行う処理を案内するメッセージと、データ記憶部19に雛形として記憶されている雛形原稿画像を示す画像DOC1と、OKボタンd71とを有している。
【0065】
制御部21は、
図15に示す選択画面の表示時に、ユーザーが、画像DOC1にタッチ操作を行って、更にOKボタンd71にタッチ操作を行うと、雛形原稿画像の指定ありと判定し(S33でYES)、タッチパネル15により、当該タッチ操作がされた位置に表示されている画像に対応付けられている雛形原稿画像が、出力用合成画像の作成に用いる雛形としての指定を受け付ける(S34)。
【0066】
制御部21は、上記受け付けた雛形原稿画像をデータ記憶部19から読み出すと共に、当該雛形原稿画像に対応付けて記憶されているオブジェクト情報、合成領域情報及び表示形式情報を、データ記憶部19から読み出す(S35)。
【0067】
画像作成部25は、データ記憶部19が記憶しているオブジェクトを表示形式受付部26により指定が受け付けられている表示形式で示したオブジェクト画像を作成する(S36)。
【0068】
画像作成部25は、オブジェクト合成領域に合成されるオブジェクト画像の表示形式の変更指定を表示形式受付部26が受け付けていなければ(S37でNO)、表示形式受付部26により指定が受け付けられている表示形式で示したオブジェクト画像を、雛形原稿画像におけるオブジェクト合成領域に合成して、オブジェクト画像が合成された出力用合成画像を、複数のオブジェクト(3人分のオブジェクト)のそれぞれについて作成する(S39)。例えば、
図17及び
図18に示すように、当該オブジェクト情報が示すオブジェクトの内容が、「Oazon, Haoozol L.」、「Cabieeas, Diinoles M.」、「Goey, Keearenu G.」の3つであるとき、画像作成部25は、「Oazon, Haoozol L.」、「Cabieeas, Diinoles M.」、「Goey, Keearenu G.」を示すオブジェクト画像をそれぞれについて生成する。
【0069】
この例では、オブジェクトが「Oazon, Haoozol L.」、「Cabieeas, Diinoles M.」、「Goey, Keearenu G.」の3つであるので、
図17に示すように、画像作成部25は、上記読み出した雛形原稿画像のオブジェクト合成領域に「Oazon, Haoozol L.」を示すオブジェクト画像を合成した出力用合成画像im1と、上記読み出した雛形原稿画像のオブジェクト合成領域に「Cabieeas, Diinoles M.」を示すオブジェクト画像を合成した出力用合成画像im2と、上記読み出した雛形原稿画像のオブジェクト合成領域に「Goey, Keearenu G.」を示すオブジェクト画像を合成した出力用合成画像im3とを、それぞれ作成する。
【0070】
制御部21は、当該作成された各出力用合成画像im1~im3をデータ記憶部19に記憶させ、
図16に示すように、出力用合成画像im1を表示部12に表示させる。
【0071】
更に、制御部21は、印刷指示があれば(S40でYES)、
図16に示すボタンd36のタッチ操作があれば、全ての印刷と判定し(S41で「全て」)、上記作成された各出力用合成画像をそれぞれ、画像形成部18に画像形成させる(S42)。これにより、
図18に例を示すような、名前部分のみが異なり他部分は同一内容のセミナー参加証明書である印刷物が各1部ずつ、合計で3部得られる。
【0072】
一方、S41において、制御部21は、
図16に示すボタンd37のタッチ操作があれば、1枚の印刷と判定し(S41で「1つ」)、
図16に表示されている1つの出力用合成画像im1を、画像形成部18に画像形成させる(S43)。
【0073】
ところで、S37において、表示形式受付部26が、オブジェクト合成領域に合成されるオブジェクト画像の表示形式の変更指定を受け付けると(S37でYES)、制御部21は、
図19に示すように、オブジェクト画像の表示形式を変更するときの表示画面を表示部12に表示させる。
【0074】
ここでは、
図19に示すように、表示形式受付部26は、ユーザーが入力欄d13をタッチ操作することに基づいて、TEXT、NAMEなどのうちからNAMEを選択し、オブジェクト合成領域SA1に合成されるオブジェクト画像の表示形式の指定として、第3名前表示形式(LFMI)から第5名前表示形式(F)への変更を受け付けたとする。画像作成部25は、
図19に示す終了ボタンd22のユーザーによるタッチ操作を受け付けると、データ記憶部19が記憶しているオブジェクトを、表示形式受付部26により変更指定を受け付けられている第5名前表示形式(F)で示したオブジェクト画像を作成する(S38)。例えば、画像作成部25は、当該オブジェクト情報が示すオブジェクトの内容が、「Oazon, Haoozol L.」、「Cabieeas, Diinoles M.」、「Goey, Keearenu G.」の3つであり、
図17に示すように第3名前表示形式(LFMI)で示されているとき、
図20に示すように、第5名前表示形式(F)に変更した「Haoozol」、「Diinoles」、「Keearenu」を示すオブジェクト画像をそれぞれについて生成し(S38)、当該形式変更後のオブジェクト画像を合成した各出力用合成画像im1~im3を、それぞれ作成する(S39)。
【0075】
このように、上記実施形態によれば、画像読取部17は、雛形原稿G1の画像と名簿原稿L1の画像とをそれぞれ読み取る。合成領域受付部22は、画像読取部17による雛形原稿G1の読み取りで得られた雛形原稿画像の領域上においてオブジェクトが合成されるオブジェクト合成領域SA1の指定を操作部14に入力される指示に基づいて受け付ける。テキスト抽出部23は、画像読取部17による名簿原稿L1の読み取りで得られた名簿原稿画像からテキストを抽出する。オブジェクト取得部24は、テキスト抽出部23が抽出したテキストから、オブジェクト合成領域SA1に合成するオブジェクトを複数取得する。画像作成部25は、オブジェクト取得部24に取得されたオブジェクトを示すオブジェクト画像を、雛形原稿画像における、合成領域受付部22により指定が受け付けられているオブジェクト合成領域SA1に合成して、オブジェクト画像が合成された出力用合成画像を、複数のオブジェクトのそれぞれについて作成する。このため、オブジェクト(例えば名前部分等)のみの記載が異なり他の記載部分が共通する複数の印刷物を作成するに際して、ユーザーが複数の印刷データに対してオブジェクト(例えば名前部分等)をそれぞれ入力する必要がない。これにより、一部分のみが異なり他部分が共通する印刷物を複数作成する場合における作業負担と所要時間を低減することができる。
【0076】
すなわち、名前部分等のみの記載が異なり、他の記載部分が共通する複数枚の印刷物を作成する場合に、作成する印刷物毎に、名前等を示すテキストや画像を挿入する作業は不要である。このため、
図18に示すような、名称部分のみが異なる複数のセミナー参加証明書である印刷物DC1,DC2,DC3を印刷する場合における作業負担と所要時間が低減される。
【0077】
また、表示形式受付部26は、オブジェクト合成領域SA1に合成されるオブジェクト画像の表示形式の指定を、操作部14に入力される指示に基づいて受け付ける。画像作成部25は、オブジェクト取得部24に取得されたオブジェクトを表示形式受付部26により指定が受け付けられている表示形式で示した形式変更後のオブジェクト画像を作成し、形式変更後のオブジェクト画像を雛形原稿画像におけるオブジェクト合成領域SA1に合成して、形式変更後のオブジェクト画像が合成された出力用合成画像を、複数のオブジェクトのそれぞれについて作成する。このため、ユーザーは、オブジェクト合成領域SA1に合成されるオブジェクト画像の表示形式の指定を、操作部14に対して1回入力するだけでよく、オブジェクトの表示形式の変更の指示を複数の印刷データ毎に複数回に亘って入力する必要がない。これにより、一部分のみが異なり他部分が共通する複数の印刷データにおける各オブジェクトの表示形式を、一括して編集することができる。すなわち、オブジェクト画像の表示形式を、迅速かつ容易に編集することができる。
【0078】
また、ユーザーが操作部14に対して第1~第6名前表示形式の何れかの指定を1回行うだけで、オブジェクト合成領域SA1に合成されるオブジェクト画像を、第1~第6名前表示形式のうちで指定された表示形式とすることが、複数のオブジェクトのそれぞれについて行われる。したがって、オブジェクトの名前表示形式の変更の指示を複数の印刷データ毎に複数回に亘って入力する必要がない。これにより、一部分のみが異なり他部分が共通する複数の印刷データにおける各オブジェクトの名前表示形式を、一括して編集することができる。
【0079】
また、ユーザーが操作部14に対して、フォントタイプ及びフォントサイズのうちの少なくとも1つの指定を1回行うだけで、オブジェクト合成領域SA1に合成されるオブジェクト画像を、フォントタイプ及びフォントサイズのうちで指定された表示形式とすることが、複数のオブジェクトのそれぞれについて行われる。したがって、オブジェクトのフォントタイプ及びフォントサイズの変更の指示を複数の印刷データ毎に複数回に亘って入力する必要がない。これにより、一部分のみが異なり他部分が共通する複数の印刷データにおける各オブジェクトのフォントタイプ又はフォントサイズを、一括して編集することができる。
【0080】
また、ユーザーが操作部14に対して、オブジェクト合成領域SA1の高さ及び幅の指定を1回行うだけで、オブジェクト合成領域SA1の高さ及び幅の変更が、複数のオブジェクトのそれぞれについて行われる。したがって、オブジェクト合成領域SA1の高さ及び幅の変更の指示を複数の印刷データ毎に複数回に亘って入力する必要がない。これにより、一部分のみが異なり他部分が共通する複数の印刷データにおける各オブジェクトの領域の高さ及び幅を、一括して編集することができる。
【0081】
また、名簿原稿L1には、複数の出力用合成画像において共通して使用される文字が記載される共通記載欄CF1~CF3が記載されている。テキスト抽出部23は、画像読取部17による名簿原稿L1の読み取りで得られた名簿原稿画像の共通記載欄CF1~CF3に記載されたテキストを共通テキストとして抽出する。合成領域受付部22は、雛形原稿画像の領域上においてオブジェクト合成領域SA1以外の領域であって、共通オブジェクトが合成される共通オブジェクト合成領域CA1、CA21、CA22、CA23及びCA3の指定を、操作部14に入力される指示に基づいて受け付ける。オブジェクト取得部24は、テキスト抽出部23が抽出した共通テキストから、共通オブジェクト合成領域CA1、CA21、CA22、CA23及びCA3に合成する共通オブジェクトを取得する。画像作成部25は、オブジェクト取得部24に取得された共通オブジェクトを示す共通オブジェクト画像を、雛形原稿画像における、合成領域受付部22により指定が受け付けられている共通オブジェクト合成領域CA1、CA21、CA22、CA23及びCA3に合成して、共通オブジェクト画像が合成された出力用合成画像を、複数のオブジェクトのそれぞれについて作成する。このため、オブジェクト(例えば名前部分等)のみの記載が異なり他の記載部分が共通する複数の印刷物を作成するに際して、ユーザーが複数の印刷データに対して共通オブジェクト(例えば共通する文字)をそれぞれ入力する必要がない。これにより、一部分のみが異なり他部分が共通する印刷物を複数作成する場合における作業負担と所要時間を低減することができる。
【0082】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。
【0083】
上記実施形態では、雛形原稿G1は、必要項目を記入させるための予め定められた様式の書類であって、必要項目が未記入の原稿としているが、これに限定されない。例えば、必要項目が記入済みの原稿を雛形原稿として使用してもよい。この場合には、画像作成部25は、雛形原稿画像における、合成領域受付部22により指定が受け付けられているオブジェクト合成領域SA1が、必要項目が記入済みである場合に、オブジェクト合成領域SA1に対して、雛形原稿画像の下地色の矩形状画像を重複させることにより、オブジェクト合成領域SA1を未記入の状態にすることができる。このため、必要項目が記入済みの原稿を雛形原稿として使用することができる。
【0084】
上記実施形態では、画像作成部25は、データ記憶部19が記憶しているオブジェクトからオブジェクト画像を生成しているが、通信部16に受信されたオブジェクト情報からオブジェクト画像を生成してもよい。
【0085】
なお、
図1乃至
図20を用いて説明した上記実施形態の構成及び処理は、本発明の一例に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0086】
10 画像形成装置
14 操作部
15 タッチパネル(操作部)
17 画像読取部
18 画像形成部
19 データ記憶部
21 制御部
22 合成領域受付部
23 テキスト抽出部
24 オブジェクト取得部
25 画像作成部
26 表示形式受付部