(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】光受信装置及び光受信方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/60 20130101AFI20240723BHJP
H04B 10/079 20130101ALI20240723BHJP
H04B 10/61 20130101ALN20240723BHJP
【FI】
H04B10/60
H04B10/079 150
H04B10/61
(21)【出願番号】P 2020111761
(22)【出願日】2020-06-29
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 翔一
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】小牧 浩輔
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-154297(JP,A)
【文献】特開2019-009488(JP,A)
【文献】特開2018-088607(JP,A)
【文献】特開平06-311110(JP,A)
【文献】特開平02-027823(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0322876(US,A1)
【文献】国際公開第2015/004828(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/60 - 10/69
H04B 10/079
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力した信号光を減衰する減衰部と、
前記減衰部にて減衰した前記信号光を電気信号に変換する光電変換部と、
前記電気信号のゲインを調整する増幅部と、
前記増幅部の出力信号からターゲットチャネルのモニタ値を検出するモニタ部と、
前記モニタ部にて検出した前記モニタ値から前記ターゲットチャネルのパワー値を算出し、前記ターゲットチャネルの前記パワー値と目標パワー値との差分値を算出する差分算出部と、
前記差分算出部にて算出した前記差分値に前記減衰部に設定中の現在の減衰量を加算して設定減衰量を算出する減衰量算出部と、
前記設定減衰量が零未満の場合に前記ターゲットチャネルの前記差分値が最小になるように前記増幅部のゲインを調整すると共に、前記設定減衰量が零以上の場合に前記設定減衰量を前記減衰部に設定する制御部と
を有することを特徴とする光受信装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記設定減衰量が前記零未満となる前記減衰部がデッドロス状態の場合に前記ターゲットチャネルの前記差分値が最小になるように前記増幅部のゲインを調整することを特徴とする請求項1に記載の光受信装置。
【請求項3】
前記モニタ部は、
前記ターゲットチャネルの前記モニタ値として前記増幅部毎のゲイン値及びPI(Peak Indicator)値を検出し、
前記差分算出部は、
前記増幅部毎のゲイン値の平均値と、前記増幅部毎のPI値の平均値とに基づき、前記ターゲットチャネルの前記パワー値を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の光受信装置。
【請求項4】
前記モニタ部は、
前記ターゲットチャネルの前記モニタ値として前記増幅部毎のPI(Peak Indicator)値を検出し、
前記差分算出部は、
前記増幅部毎のPI値の平均値に基づき、前記ターゲットチャネルの前記パワー値を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の光受信装置。
【請求項5】
入力した信号光を減衰する減衰部と、
減衰した信号光に局発光を干渉して当該信号光から、ターゲットチャネルの異なる
偏波成分の信号光を抽出する抽出部と、
前記
偏波成分毎に備え、当該
偏波成分の信号光を電気信号に変換する光電変換部と、
前記光電変換部毎に備え、当該
偏波成分の電気信号のゲインを調整する増幅部と、
前記増幅部毎に備え、当該増幅部の出力信号に基づき、当該増幅部のゲインを自動制御する自動制御部と、
前記増幅部の出力信号から前記ターゲットチャネルの前記
偏波成分毎のモニタ値を検出するモニタ部と、
前記モニタ部にて検出した前記
偏波成分毎のモニタ値から前記ターゲットチャネルのパワー値を算出し、前記ターゲットチャネルの前記パワー値と目標パワー値との差分値を算出する差分算出部と、
前記差分算出部にて算出した前記差分値に前記減衰部に設定中の現在の減衰量を加算して設定減衰量を算出する減衰量算出部と、
前記設定減衰量が零未満の場合に前記ターゲットチャネルの前記差分値が最小になるように各増幅部のゲインを調整すると共に、前記設定減衰量が零以上の場合に前記設定減衰量を前記減衰部に設定する制御部と
を有することを特徴とする光受信装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記光電変換部で前記信号光が電気信号に変換する受信感度以上になるように前記減衰部の減衰量を設定することを特徴とする請求項5に記載の光受信装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記設定減衰量が前記零未満となる前記減衰部がデッドロス状態の場合に前記ターゲットチャネルの前記差分値が最小になるように各増幅部のゲインを調整することを特徴とする請求項5又は6に記載の光受信装置。
【請求項8】
前記モニタ部は、
前記ターゲットチャネルの前記
偏波成分毎の前記モニタ値として前記増幅部毎のゲイン値及びPI(Peak Indicator)値を検出し、
前記差分算出部は、
前記増幅部毎のゲイン値の平均値と、前記増幅部毎のPI値の平均値とに基づき、前記ターゲットチャネルの前記パワー値を算出することを特徴とする請求項5~7の何れか一つに記載の光受信装置。
【請求項9】
前記モニタ部は、
前記ターゲットチャネルの前記
偏波成分毎の前記モニタ値として前記増幅部毎のPI(Peak Indicator)値を検出し、
前記差分算出部は、
前記増幅部毎のPI値の平均値に基づき、前記ターゲットチャネルの前記パワー値を算出することを特徴とする請求項5~7の何れか一つに記載の光受信装置。
【請求項10】
入力した信号光を減衰する減衰部と、前記減衰部にて減衰した前記信号光を電気信号に変換する光電変換部と、前記電気信号のゲインを調整する増幅部とを有する光受信装置が、
前記増幅部の出力信号からターゲットチャネルのモニタ値を検出し、
検出した前記モニタ値から前記ターゲットチャネルのパワー値を算出し、前記ターゲットチャネルの前記パワー値と目標パワー値との差分値を算出し、
算出した前記差分値に前記減衰部に設定中の現在の減衰量を加算して設定減衰量を算出し、
前記設定減衰量が零未満の場合に前記ターゲットチャネルの前記差分値が最小になるように前記増幅部のゲインを調整すると共に、前記設定減衰量が零以上の場合に前記設定減衰量を前記減衰部に設定する
処理を実行することを特徴とする光受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光受信装置及び光受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、従来の光受信装置100の一例を示す説明図である。
図8に示す光受信装置100は、例えば、60Gボーレートの光信号を受信するデジタルコヒーレント受信装置である。光受信装置100は、入力端111と、低速応答VOA(Variable Optical Attenuator)112と、PBS(Polarization Beam Splitter)113と、BS(Beam Splitter)114と、局発光源115とを有する。光受信装置100は、第1のハイブリッド回路116Aと、第2のハイブリッド回路116Bと、第1~第4のPD(Photo Diode)117A~117Dと、第1~第4のTIA(Trans Impedance Amplifier)118A~118Dとを有する。光受信装置100は、第1~第4のAGC(Automatic Gain Control)119A~119Dと、DSP(Digital Signal Processor)120と、FPGA(Field Programmable Gate Array)130とを有する。
【0003】
入力端111は、受信光を入力するポートである。低速応答VOA112は、受信光を減衰することで低速のパワー変動を吸収する減衰器である。PBS113は、低速応答VOA112で減衰後の受信光をX偏波成分及びY偏波成分に分離する。PBS113は、受信光のX偏波成分を第1のハイブリッド回路116Aに出力すると共に、受信光のY偏波成分を第2のハイブリッド回路116Bに出力する。局発光源115は、局発光を発光するLD(Laser Diode)である。BS114は、局発光源115からの局発光をX偏波成分及びY偏波成分に分離する。BS114は、X偏波成分の局発光を第1のハイブリッド回路116Aに出力すると共に、Y偏波成分の局発光を第2のハイブリッド回路116Bに出力する。
【0004】
第1のハイブリッド回路116Aは、受信光のX偏波成分に局発光のX偏波成分を干渉させてX偏波成分からI(Inphase)成分及びQ(Quadrature)成分の光信号を取得する。尚、I成分は同相軸成分、Q成分は直交軸成分である。第1のハイブリッド回路116Aは、X偏波成分の内、I成分の光信号を第1のPD117Aに出力する。第1のハイブリッド回路116Aは、X偏波成分の内、Q成分の光信号を第2のPD117Bに出力する。
【0005】
第2のハイブリッド回路116Bは、受信光のY偏波成分に局発光のY偏波成分を干渉させてY偏波成分からI成分及びQ成分の光信号を取得する。第2のハイブリッド回路116Bは、Y偏波成分の内、I成分の光信号を第3のPD117Cに出力する。第2のハイブリッド回路116Bは、Y偏波成分の内、Q成分の光信号を第4のPD117Dに出力する。
【0006】
図9は、トランジェント発生時による従来の光受信装置100の一例を示す説明図である。第1のPD117Aは、第1のハイブリッド回路116AからのX偏波成分のI成分の光信号を電気変換する。第1のTIA118Aは、第1のPD117AのX偏波成分のI成分の電気信号をゲイン調整し、ゲイン調整後の電気信号をDSP120に出力する。第1のAGC119Aは、第1のTIA118Aのゲイン調整後の電気信号の出力レベルに基づき、第1のTIA118Aのゲインを調整する。第1のTIA118Aは、
図9に示すように、X偏波成分のI成分の電気信号のトランジュントによる高速パワー変動を吸収する。
【0007】
第2のPD117Bは、第1のハイブリッド回路116AからのX偏波成分のQ成分の光信号を電気変換する。第2のTIA118Bは、第2のPD117BのX偏波成分のQ成分の電気信号をゲイン調整し、ゲイン調整後の電気信号をDSP120に出力する。第2のAGC119Bは、第2のTIA118Bのゲイン調整後の電気信号の出力レベルに基づき、第2のTIA118Bのゲインを調整する。第2のTIA118Bは、X偏波成分のQ成分の電気信号のトランジュントによる高速パワー変動を吸収する。
【0008】
第3のPD117Cは、第2のハイブリッド回路116BからのY偏波成分のI成分の光信号を電気変換する。第3のTIA118Cは、第3のPD117CのY偏波成分のI成分の電気信号をゲイン調整し、ゲイン調整後の電気信号をDSP120に出力する。第3のAGC119Cは、第3のTIA118Cのゲイン調整後の電気信号の出力レベルに基づき、第3のTIA118Cの利得を調整する。第3のTIA118Cは、Y偏波成分のI成分の電気信号のトランジュントによる高速パワー変動を吸収する。
【0009】
第4のPD117Dは、第2のハイブリッド回路116BからのY偏波成分のQ成分の光信号を電気変換する。第4のTIA118Dは、第4のPD117DのY偏波成分のQ成分の電気信号を利得調整し、利得調整後の電気信号をDSP120に出力する。第4のAGC119Dは、第4のTIA118Dの利得調整後の電気信号の出力レベルに基づき、第4のTIA118Dの利得を調整する。第4のTIA118Dは、Y偏波成分のQ成分の電気信号のトランジュントによる高速パワー変動を吸収する。
【0010】
DSP120は、第1~第4のADC(Analog Digital Convertor)121A~121Dと、信号処理部122と、クライアントIF(Interface)123とを有する。第1のADC121Aは、第1のTIA118Aでゲイン調整後のX偏波成分のI成分の電気信号をデジタル変換し、デジタル変換後のX偏波成分のI成分のデータを信号処理部122に入力する。第2のADC121Bは、第2のTIA118Bでゲイン調整後のX偏波成分のQ成分の電気信号をデジタル変換し、デジタル変換後のX偏波成分のQ成分のデータを信号処理部122に入力する。
【0011】
第3のADC121Cは、第3のTIA118Cでゲイン調整後のY偏波成分のI成分の電気信号をデジタル変換し、デジタル変換後のY偏波成分のI成分のデータを信号処理部122に入力する。第4のADC121Dは、第4のTIA118Dでゲイン調整後のY偏波成分のQ成分の電気信号をデジタル変換し、デジタル変換後のY偏波成分のQ成分のデータを信号処理部122に入力する。
【0012】
信号処理部122は、X偏波成分のI成分及びQ成分のデータと、Y偏波成分のI成分及びQ成分のデータとを含む受信データに歪訂正や誤り訂正等の信号処理を施す。信号処理部122は、信号処理後の受信データをクライアントIF123に入力する。クライアントIF123は、受信データをクライアント側の端末に出力するIFである。
【0013】
FPGA130は、パワー算出部131と、VOA制御部132とを有する。パワー算出部131は、第1のAGC119Aで検出した第1のTIA118Aのゲイン値及びPI(Peak Indicator)値と、第2のAGC119Bで検出した第2のTIA118Bのゲイン値及びPI値とを取得する。PI値はTIAの出力電圧に相当する。また、パワー算出部131は、第3のAGC119Cで検出した第3のTIA118Cのゲイン値及びPI値と、第4のAGC119Dで検出した第4のTIA118Dのゲイン値及びPI値とを取得する。
【0014】
パワー算出部131はターゲットチャネルのパワー値を算出する。4個のPI値の平均値から4個のゲイン値の平均値を引き算して、PDの受光感度を加味して、PDに入力されるターゲットチャネルの現在パワー値を算出する。VOA制御部132は、ターゲットチャネルの現在パワー値と目標パワー値との差分を算出し、差分が最小になるように低速応答VOA112のATT値(減衰量)を算出する。そして、VOA制御部132は、算出したATT値に基づき、低速応答VOA112のATT値を調整する。
【0015】
従来の光受信装置100では、低速応答VOA112で低速のパワー変動を吸収し、第1~第4のTIA118A~118Dでトランジェントによる高速のパワー変動を吸収できる。
【0016】
しかしながら、従来の光受信装置100では、広い光入力パワーレンジの要求と広いパワーのトランジエント耐力の要求が求められている。
図10は、従来の光受信装置100での光入力パワーレンジ及びトランジェント耐力の一例を示す説明図である。光受信装置100の光入力パワーレンジは、
図10に示すように、-22dBm~+1dBm(レンジ23dB)、光受信装置100のトランジェント耐力は、入力レベルに対して±7dBmの高速変動に耐え得ることが求められている。
【0017】
光受信装置100では、例えば、経年劣化による低速のパワー変動を低速応答VOA112で吸収し、トランジェントによる高速のパワー変動を第1~第4のTIA118A~118Dのゲイン調整で吸収することになるが、TIAのゲイン変動が発生してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】特開2010-123698号
【文献】特開2016-154297号
【文献】国際公開第2015/004828号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、従来の光受信装置100では、第1~第4のTIA118A~118Dのゲイン変動によって、TIAの周波数応答の変動や入力換算雑音(IRN:Input Referred Noise)の変動等が発生する。その結果、TIAの周波数応答の変動や入力換算雑音の変動によって、信号品質が劣化する。
【0020】
図11は、従来の光受信装置100でのTIAゲイン変動によるTIAの周波数応答変化の一例を示す説明図である。TIAは、
図11に示すように、入力パワーに応じて周波数応答が異なる。従って、DSP120は、固定イコライザを持ち、出荷時に特定の光入力パワー時(=-9dBm)の周波数応答を補償する設定が適用される。しかしながら、TIAのゲイン変動が発生すると、固定イコライザの補償特性とTIAの周波数応答に差が生じ、信号品質を劣化させる歪が残留することになる。
【0021】
図12は、従来の光受信装置100でのTIAゲイン変動によるTIAの入力換算雑音変化の一例を示す説明図である。TIAは、
図12に示すようにIRN特性を有し、入力パワーの変動発生時にTIAがAGCで動作している場合、TIAの出力レベルが一定になるよう、TIAのゲインが自動調整されるが、TIAのゲイン変動に応じてIRNが変動する。その結果、IRN増加は信号品質を劣化させることになるため、IRNの小さい可能な限り高ゲイン領域で使用、かつゲイン変動を発生させないことが望ましい。
【0022】
しかも、伝送性能の高ボーレート化、例えば、60Gボーレートから130Gボーレートに増加した場合、TIAの周波数応答の変動とIRNの変動による信号品質への影響が大きくなるため、伝送性能が劣化してしまう。その結果、高ボーレート化による伝送容量の増加と伝送性能の向上のためには、TIAのゲインを変動させない仕組みが必要となる。
【0023】
図13は、60Gボーレートの光受信装置と130Gボーレートの光受信装置とのOSNR耐力の比較例を示す説明図である。60GボーレートのOSNR耐力は、理想条件の場合は約26dB、周波数応答変動有りの場合は(26dB+A1)、TIAのIRN変動の場合は(26dB+A1+A2)となる。
【0024】
これに対して、130GボーレートのOSNR耐力は、理想条件の場合は約32dB、周波数応答変動有りの場合は(32dB+A3)、TIAのIRN変動の場合は(32dB+A3+A4)となる。この際、OSNRの変動量はA1<A3、A2<A4であるため、ボーレート増加に応じて周波数応答変動やIRN変動に対するOSNR耐力の影響も大きくなる。
【0025】
従って、光受信装置では、ボーレート増加に応じて周波数応答変動やIRN変動に対するOSNR耐力への影響が大きくなるため、信号品質の劣化が大きくなる。そこで、従来の光受信装置では、TIAのゲインを変動させない仕組みが求められているのが実情である。
【0026】
一つの側面では、パワー変動を吸収しながら、TIAのゲインの変動の抑制を図る光受信装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
一つの態様の光受信装置は、減衰部と、光電変換部と、増幅部と、モニタ部と、差分算出部と、減衰量算出部と、制御部とを有する。減衰部は、入力した信号光を減衰する。光電変換部は、前記減衰部にて減衰した前記信号光を電気信号に変換する。増幅部は、前記電気信号のゲインを調整する。モニタ部は、前記増幅部の出力信号からターゲットチャネルのモニタ値を検出する。差分算出部は、前記モニタ部にて検出した前記モニタ値から前記ターゲットチャネルのパワー値を算出し、前記ターゲットチャネルの前記パワー値と目標パワー値との差分値を算出する。減衰量算出部は、前記差分算出部にて算出した前記差分値に前記減衰部に設定中の現在の減衰量を加算して設定減衰量を算出する。制御部は、前記設定減衰量が零未満の場合に前記ターゲットチャネルの前記差分値が最小になるように前記増幅部のゲインを調整すると共に、前記設定減衰量が零以上の場合に前記設定減衰量を前記減衰部に設定する。
【発明の効果】
【0028】
一つの側面によれば、パワー変動を吸収しながら、増幅部のゲインの変動の抑制を図る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、実施例1の光受信装置の一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施例1のFPGAの機能構成の一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、第1のパワー変動吸収処理に関わるFPGAの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1~第4のTIAのパワー変動吸収に関わる処理動作の一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、高速応答VOAのデッドロス条件での第1~第4のTIAのパワー変動吸収に関わる処理動作の一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、実施例2のFPGAの機能構成の一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、第2のパワー変動吸収処理に関わるFPGAの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、従来の光受信装置の一例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、トランジェント発生時による従来の光受信装置の一例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、従来の光受信装置での光入力パワーレンジ及びトランジェント耐力の一例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、従来の光受信装置でのTIAゲイン変動によるTIAの周波数応答変化の一例を示す説明図である。
【
図12】
図12は、従来の光受信装置でのTIAゲイン変動によるTIAの入力換算雑音変化の一例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、60Gボーレートの光受信装置と130Gボーレートの光受信装置とのOSNR耐力の比較例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に基づいて、本願の開示する光受信装置等の実施例を詳細に説明する。尚、各実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例1】
【0031】
図1は、実施例1の光受信装置1の一例を示す説明図である。
図1に示す光受信装置1は、例えば、130Gボーレートのデジタルコヒーレント受信装置である。光受信装置1は、入力端11と、EDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)12と、高速応答VOA(Variable Optical Attenuator)13と、PBS(Polarization Beam Splitter)14と、BS(Beam Splitter)15と、局発光源16とを有する。光受信装置1は、第1のハイブリッド回路17Aと、第2のハイブリッド回路17Bと、第1~第4のPD(Photo Diode)18A~18Dと、第1~第4のTIA(Trans Impedance Amplifier)19A~19Dとを有する。光受信装置1は、第1~第4のAGC(Automatic Gain Control)20A~20Dと、DSP(Digital Signal Processor)30と、FPGA(Field Programmable Gate Array)40とを有する。
【0032】
入力端11は、受信光を入力するポートである。EDFA12は、高速応答VOA13に入力する際の受信光を増幅する入力段増幅部である。EDFA12は、受信光を増幅することで、高速応答VOA13の入力レンジを広くできる。高速応答VOA13は、EDFA12で増幅した受信光を減衰することでパワー変動を吸収する減衰部である。PBS14は、高速応答VOA13で減衰後の受信光をX偏波成分及びY偏波成分に分離する。PBS14は、受信光のX偏波成分を第1のハイブリッド回路17Aに出力すると共に、受信光のY偏波成分を第2のハイブリッド回路17Bに出力する。局発光源16は、局発光を発光するLD(Laser Diode)である。BS15は、局発光源16からの局発光をX偏波成分及びY偏波成分に分離する。BS15は、局発光のX偏波成分を第1のハイブリッド回路17Aに出力すると共に、局発光のY偏波生成分を第2のハイブリッド回路17Bに出力する。
【0033】
第1のハイブリッド回路17Aは、受信光のX偏波成分に局発光のX偏波成分を干渉させてX偏波成分の受信光からI成分及びQ成分の光信号を抽出する抽出部である。尚、I成分は同相軸成分、Q成分は直交軸成分である。第1のハイブリッド回路17Aは、受信光のX偏波成分の内、I成分の光信号を第1のPD18Aに出力する。第1のハイブリッド回路17Aは、受信光のX偏波成分の内、Q成分の光信号を第2のPD18Bに出力する。
【0034】
第2のハイブリッド回路17Bは、受信光のY偏波成分に局発光のY偏波成分を干渉させてY偏波成分の受信光からI成分及びQ成分の光信号を抽出する抽出部である。第2のハイブリッド回路17Bは、受信光のY偏波成分の内、I成分の光信号を第3のPD18Cに出力する。第2のハイブリッド回路17Bは、受信光のY偏波成分の内、Q成分の光信号を第4のPD18Dに出力する。
【0035】
第1のPD18Aは、第1のハイブリッド回路17AからのX偏波成分のI成分の光信号を電気変換する光電変換部である。第1のTIA19Aは、第1のPD18AのX偏波成分のI成分の電気信号をゲイン調整し、ゲイン調整後の電気信号をDSP30に出力する増幅部である。第1のAGC20Aは、第1のTIA19Aのゲイン調整後の電気信号の出力レベルに基づき、第1のTIA19Aのゲインを調整する自動調整部である。第1のTIA19Aは、X偏波成分のI成分の電気信号のトランジュントによる高速パワー変動を吸収することになる。
【0036】
第2のPD18Bは、第1のハイブリッド回路17AからのX偏波成分のQ成分の光信号を電気変換する光電変換部である。第2のTIA19Bは、第2のPD18BのX偏波成分のQ成分の電気信号をゲイン調整し、ゲイン調整後の電気信号をDSP30に出力する増幅部である。第2のAGC20Bは、第2のTIA19Bのゲイン調整後の電気信号の出力レベルに基づき、第2のTIA19Bのゲインを調整する自動調整部である。第2のTIA19Bは、X偏波成分のQ成分の電気信号のトランジュントによる高速パワー変動を吸収する。
【0037】
第3のPD18Cは、第2のハイブリッド回路17BからのY偏波成分のI成分の光信号を電気変換する光電変換部である。第3のTIA19Cは、第3のPD18CのY偏波成分のI成分の電気信号をゲイン調整し、ゲイン調整後の電気信号をDSP30に出力する増幅部である。第3のAGC20Cは、第3のTIA19Cのゲイン調整後の電気信号の出力レベルに基づき、第3のTIA19Cのゲインを調整する自動調整部である。第3のTIA19Cは、Y偏波成分のI成分の電気信号のトランジュントによる高速パワー変動を吸収する。
【0038】
第4のPD18Dは、第2のハイブリッド回路17BからのY偏波成分のQ成分の光信号を電気変換する光電変換部である。第4のTIA19Dは、第4のPD18DのY偏波成分のQ成分の電気信号をゲイン調整し、ゲイン調整後の電気信号をDSP30に出力する増幅部である。第4のAGC20Dは、第4のTIA19Dのゲイン調整後の電気信号の出力レベルに基づき、第4のTIA19Dのゲインを調整する自動調整部である。第4のTIA19Dは、Y偏波成分のQ成分の電気信号のトランジュントによる高速パワー変動を吸収する。第5のAGC19Eは、EDFA12で増幅した受信光の出力レベルに基づき、EDFA12のゲインを調整する。
【0039】
DSP30は、第1~第4のADC(Analog Digital Convertor)31A~31Dと、信号処理部32と、クライアントIF(Interface)33とを有する。第1のADC31Aは、第1のTIA19Aでゲイン調整後のX偏波成分のI成分の電気信号をデジタル変換し、デジタル変換後のX偏波成分のI成分のデータを信号処理部32に入力する。第2のADC31Bは、第2のTIA19Bでゲイン調整後のX偏波成分のQ成分の電気信号をデジタル変換し、デジタル変換後のX偏波成分のQ成分のデータを信号処理部32に入力する。
【0040】
第3のADC31Cは、第3のTIA19Cでゲイン調整後のY偏波成分のI成分の電気信号をデジタル変換し、デジタル変換後のY偏波成分のI成分のデータを信号処理部32に入力する。第4のADC31Dは、第4のTIA19Dでゲイン調整後のY偏波成分のQ成分の電気信号をデジタル変換し、デジタル変換後のY偏波成分のQ成分のデータを信号処理部32に入力する。
【0041】
信号処理部32は、X偏波成分のI成分及びQ成分のデータと、Y偏波成分のI成分及びQ成分のデータとを有する受信データに歪訂正や誤り訂正等の信号処理を施す処理部である。信号処理部32は、信号処理後の受信データをクライアントIF33に入力する。クライアントIF33は、受信データをクライアント側の端末に出力するIFである。
【0042】
FPGA40は、光受信装置1全体を制御する制御回路である。
図2は、実施例1のFPGA40の機能構成の一例を示す説明図である。
図2に示すFPGA40は、第11のADC41Aと、第12のADC41Bと、モニタ部42と、差分算出部43と、減衰量算出部44と、制御部49と、第1のDAC47Aと、第2のDAC47Bとを有する。
【0043】
第11のADC41Aは、第1~第4のAGC20A~20Dから第1~第4のTIA19A~19Dの電気信号の電気振幅値であるターゲットチャネルの4個のPI(Peak Indicator)値をデジタル変換する。そして、第11のADC41Aは、第1~第4のTIA19A~19Dの出力信号の4個のPI値のデータをモニタ部42に入力する。尚、ターゲットチャネルの4個のPI値は、第1のTIA19AのPI値と、第2のTIA19BのPI値と、第3のTIA19CのPI値と、第4のTIA19DのPI値とを有する。
【0044】
第12のADC41Bは、第1~第4のAGC20A~20Dから第1~第4のTIA19A~19Dのターゲットチャネルの4個のゲイン値をデジタル変換し、第1~第4のTIA19A~19Dの4個のゲイン値のデータをモニタ部42に入力する。尚、ターゲットチャネルの4個のゲイン値は、第1のTIA19Aのゲイン値と、第2のTIA19Bのゲイン値と、第3のTIA19Cのゲイン値と、第4のTIA19Dのゲイン値とを有する。
【0045】
モニタ部42は、第1~第4のTIA19A~19Dのターゲットチャネルの4個のPI値及び4個のゲイン値を検出する。差分算出部43は、第1~第4のTIA19A~19DのターゲットチャネルのPI値及びゲイン値に基づき、ターゲットチャネルの現在のパワー値を算出する。尚、ターゲットチャネルの現在のパワー値は、第1~第4のPD18A~18Dで受信する1波長分のターゲットチャネルの光パワー値である。差分算出部43は、第1~第4のTIA19A~19Dの4個のPI値の平均値から第1~第4のTIA19A~19Dの4個のゲイン値の平均値を引き算して、PDの受光感度を加味して、PDに入力されるターゲットチャネルの現在パワー値を算出する。更に、差分算出部43は、ターゲットチャネルの現在のパワー値と、ターゲットチャネルの目標パワー値との差分で第1の差分値を算出する。例えば、現在のパワー値が+5dBm、目標パワー値が0dBmの場合、第1の差分値は、(5dBm-0dBm)のため、5dBとなる。
【0046】
減衰量算出部44は、現在のATT値と、第1の差分値とを加算することで、高速応答VOA13に設定する設定ATT値(設定減衰量)を算出する。例えば、現在のATT値(減衰量)が1dB、第1の差分値が5dBの場合、設定ATT値は、(1dB+5dB)のため、6dBとなる。従って、高速応答VOA13は、現在のATT値を1dBから6dBに変更することで、ターゲットチャネルのパワー値を0dBmに変更することになる。
【0047】
制御部49は、設定ATT値が零未満の場合にターゲットチャネルの第1の差分値が最小になるように第1~第4のTIA19A~19Dのゲインを調整する。制御部49は、設定ATT値が零以上の場合に設定ATT値を設定するように高速応答VOA13に制御する。
【0048】
制御部49は、判定部45と、TIA制御部46と、VOA制御部48とを有する。判定部45は、減衰量算出部44にて算出した設定ATT値が零(0dB)以上である否かを判定する。VOA制御部48は、設定ATT値が0dB以上の場合、高速応答VOA13に設定ATT値を設定する。つまり、設定ATT値が0dB以上の場合、第1~第4のTIA19A~19Dのゲイン調整を使用することなく、高速応答VOA13でターゲットチャネルのパワー変動を吸収する。
【0049】
VOA制御部48は、設定ATT値を第1のDAC47Aに入力する。第1のDAC47Aは、設定ATT値をアナログ変換し、アナログ変換後の設定ATT値を高速応答VOA13に設定する。その結果、高速応答VOA13は、設定ATT値に応じてEDFA12から入力した受信光を減衰することで、受信光の変動パワーを吸収する。
【0050】
また、TIA制御部46は、設定ATT値が0dB未満の場合、現在、高速応答VOA13に設定中のATT値を保持したまま、第1~第4のTIA19A~19Dのゲイン調整でターゲットチャネルのパワー変動を吸収する。
【0051】
TIA制御部46は、ターゲットチャネルの現在のパワー値と目標パワー値との差分である第1の差分値分のTIAゲイン設定値を算出する。例えば、現在のパワー値が-4dBm、目標パワー値が0dBm、現在のTIAゲイン設定値が0dBの場合、-(現在のパワー値-目標パワー値)=-(-4dBm-(0dBm))=4dBを現在のTIAゲイン値に加算してTIAゲイン設定値を算出する。
【0052】
TIA制御部46は、第1の差分値分増加するTIAゲイン設定値を第2のDAC47Bに入力する。第2のDAC47Bは、TIA制御部46で算出したTIAゲイン設定値をアナログ変換し、アナログ変換後のTIAゲイン設定値を第1~第4のAGC20A~20Dに入力する。第1~第4のAGC20A~20Dは、TIA制御部46で算出したTIAゲイン設定値に基づき、ターゲットチャネルの第1の差分値が最小になるように第1~第4のTIA19A~19Dのゲインを調整する。その結果、第1のTIA19Aは、TIAゲイン設定値に応じて、ターゲットチャネルのX偏波成分のI成分の電気信号のゲインを調整する。第2のTIA19Bは、TIAゲイン設定値に応じてターゲットチャネルのX偏波成分のQ成分の電気信号のゲインを調整する。第3のTIA19Cは、TIAゲイン設定値に応じてターゲットチャネルのY偏波成分のI成分の電気信号のゲインを調整する。更に、第4のTIA19Dは、TIAゲイン設定値に応じてターゲットチャネルのY偏波成分のQ成分の電気信号のゲインを調整する。その結果、ターゲットチャネルのパワー変動を吸収できる。
【0053】
図3は、第1のパワー変動吸収処理に関わるFPGA40の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図3においてFPGA40内のモニタ部42は、第1~第4のAGC20A~20Dから第1~第4のTIA19A~19Dのターゲットチャネルの4個のゲイン値及び4個のPI値を取得する(ステップS11)。FPGA40内の差分算出部43は、ターゲットチャネルの4個のゲイン値及び4個のPI値に基づき、ターゲットチャネルの現在のパワー値を算出する(ステップS12)。
【0054】
差分算出部43は、高速応答VOA13に設定中の現在のATT値を取得する(ステップS13)。差分算出部43は、ターゲットチャネルの(現在のパワー値-目標パワー値)に基づき、第1の差分値を算出する(ステップS14)。
【0055】
FPGA40内の減衰量算出部44は、(第1の差分値+現在のATT値)に基づき、設定ATT値を算出する(ステップS15)。FPGA40内の判定部45は、設定ATT値が0dB以上であるか否かを判定する(ステップS16)。FPGA40内の制御部49内のVOA制御部48は、設定ATT値が0dB以上の場合(ステップS16:Yes)、高速応答VOA13に設定ATT値を設定し(ステップS17)、現在のターゲットチャネルの4個のゲイン値及び4個のPI値を取得すべく、ステップS11に移行する。その結果、光受信装置1は、第1~第4のTIA19A~19Dのゲイン変動を行うことなく、高速応答VOA13の減衰制御でパワー変動を吸収できるため、周波数応答変動やIRNの変動による信号品質の劣化を抑制できる。
【0056】
制御部49内のTIA制御部46は、設定ATT値が0dB以上でない、すなわち0dB未満の場合(ステップS16:No)、(-(第1の差分値)+現在のTIAゲイン値)に基づき、TIAゲイン設定値を算出する(ステップS18)。
【0057】
TIA制御部46は、算出したTIAゲイン設定値を第1~第4のTIA19A~19Dに設定する(ステップS19)。更に、TIA制御部46は、現在のターゲットチャネルの4個のゲイン値及び4個のPI値を取得すべく、ステップS11に移行する。その結果、光受信装置1は、高速応答VOA13が信号を減衰できなくなる、すなわち減衰器として機能できなくなるデッドロスになる場合にのみゲインを設定するため、TIAのゲイン変動の発生量を抑制できる。
【0058】
図4は、第1~第4のTIA19A~19Dのパワー変動吸収に関わる処理動作の一例を示す説明図である。光受信装置1は、トランジェントによって受信光に高速パワー変動が発生した場合でも、設定ATT値が0dB以上の場合、ターゲットチャネルの受信光のパワー値が0dBmになるように高速応答VOA13のATT値を設定する。その結果、高速応答VOA13は、高速応答VOA13のデッドロス状態になるまでトランジェントによる高速パワー変動を吸収できる。
【0059】
図5は、高速応答VOA13のデッドロス条件での第1~第4のTIA19A~19Dのパワー変動吸収に関わる処理動作の一例を示す説明図である。光受信装置1は、高速応答VOA13がデッドロス状態でトランジェントによって受信光に高速パワー変動が発生した場合、デッドロス状態であるため、設定ATT値が0dB未満となる。高速応答VOA13は、現在のATT値を維持する。
【0060】
そして、光受信装置1は、ターゲットチャネルの(現在のパワー値-目標パワー値)に基づき、第1の差分値を算出し、(第1の差分値+現在のATT値)に基づき、TIAゲイン設定値を算出する。光受信装置1は、TIAゲイン設定値を第1~第4のTIA19A~19Dに設定することで、第1~第4のTIA19A~19Dの各電気信号のパワー変動が0dBmになる。その結果、第1~第4のTIA19A~19Dは、高速パワー変動を吸収することになる。
【0061】
実施例1の光受信装置1は、設定ATT値が零未満の場合にターゲットチャネルの第1の差分値が最小になるように第1~第4のTIA19A~19Dのゲインを調整する。その結果、高速応答VOA13がデッドロス状態の場合にのみ、第1~第4のTIA19A~19Dのゲイン調整でパワー変動を吸収できる。従って、TIAのゲイン変動を最小限に抑制するため、TIAの周波数応答変動やIRN変動による信号品質の劣化を抑制できる。
【0062】
光受信装置1は、設定ATT値が零以上の場合に設定ATT値を高速応答VOA13に設定する。その結果、高速応答VOA13で減衰できるまで、TIAのゲイン調整を使用することなく、パワー変動を吸収できる。従って、TIAのゲイン変動を最小限に抑制することで、TIAの周波数応答変動やIRN変動による信号品質の劣化を抑制できる。
【0063】
高速応答VOA13は、第1~第4のPD18A~18Dで信号光が電気信号に変換する受信感度以上になるようにATT値を設定する。その結果、パワー変動を吸収できる。
【0064】
光受信装置1は、ターゲットチャネルのX偏波成分及びY偏波成分のI成分及びQ成分の4個のゲイン値及び4個のPI値を取得し、4個のゲイン値の平均値と4個のPI値の平均値とに基づき第1~第4のPD18A~18Dの電気信号のパワー値を算出する。その結果、光受信装置1は、第1~第4のTIA19A~19Dのゲイン値及びPI値に基づき、第1~第4のPD18A~18Dのパワー値を算出できる。
【0065】
尚、実施例1の光受信装置1内のモニタ部42では、第1~第4のAGC20A~20Dから第1~第4のTIA19A~19Dのターゲットチャネルの4個のゲイン値及び4個のPI値を取得する。そして、差分算出部43は、4個のゲイン値及び4個のPI値に基づき、第1~第4のPD18A~18Dの現在のパワー値を算出する場合を例示した。しかしながら、ターゲットチャネルの現在のパワー値としてターゲットチャネルの4個のPI値に基づき、現在のパワー値を算出しても良く、その実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。尚、実施例1の光受信装置1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【実施例2】
【0066】
図6は、実施例2のFPGA40Aの機能構成の一例を示す説明図である。
図6に示すFPGA40Aが、FPGA40と異なるところは、第1~第4のTIA19A~19Dのターゲットチャネルのゲイン値及びPI値の内、PI値を取得し、PI値から現在のパワー値を算出する点にある。
図6に示すFPGA40Aは、第11のADC41Aと、モニタ部42Aと、差分算出部43Aと、減衰量算出部44Aと、制御部49Aと、第1のDAC47Aと、第2のDAC47Bとを有する。
【0067】
第11のADC41Aは、第1~第4のAGC20A~20Dから第1~第4のTIA19A~19Dの電気信号の振幅値である4個のPI値をデジタル変換し、第1~第4のTIA19A~19Dの出力信号の4個のPI値のデータをモニタ部42Aに入力する。尚、ターゲットチャネル内の4個のPI値は、第1のTIA19AのPI値と、第2のTIA19BのPI値と、第3のTIA19CのPI値と、第4のTIA19DのPI値とを有する。
【0068】
モニタ部42Aは、第1~第4のTIA19A~19Dのターゲットチャネルの4個のPI値を取得する。差分算出部43Aは、第1~第4のTIA19A~19DのターゲットチャネルのPI値に基づき、ターゲットチャネルの現在のパワー値を算出する。ここでいうターゲットチャネルの現在のパワー値はTIA出力でのパワー値である。尚、ターゲットチャネルの現在のパワー値は、第1~第4のTIA19A~19Dの各PIのパワー平均値である。
【0069】
差分算出部43Aは、第1~第4のTIA19A~19Dのターゲットチャネルの4個のPI値の平均値でターゲットチャネルの現在のパワー値を算出する。更に、差分算出部43Aは、ターゲットチャネルの現在のパワー値と、ターゲットチャネルの目標パワー値との差分で第2の差分値を算出する。
【0070】
減衰量算出部44Aは、現在のATT値と、第2の差分値とを加算することで、高速応答VOA13に設定する設定ATT値を算出する。制御部49Aは、判定部45Aと、VOA制御部48と、TIA制御部46Aとを有する。判定部45Aは、減衰量算出部44Aにて算出した設定ATT値が0dB以上である否かを判定する。VOA制御部48Aは、設定ATT値が0dB以上の場合、高速応答VOA13に設定ATT値を設定する。つまり、設定ATT値が0dB以上の場合、第1~第4のTIA19A~19Dのゲイン調整を使用することなく、高速応答VOA13でターゲットチャネルのパワー変動を吸収する。
【0071】
VOA制御部48Aは、設定ATT値を第1のDAC47Aに入力する。第1のDAC47Aは、設定ATT値をアナログ変換し、アナログ変換後の設定ATT値を高速応答VOA13に設定する。その結果、高速応答VOA13は、設定ATT値に応じてEDFA12から入力した受信光を減衰することで、ターゲットチャネルのパワー変動を吸収する。
【0072】
また、TIA制御部46Aは、設定ATT値が0dB未満の場合、現在、高速応答VOA13に設定中のATT値を保持したままとなる。つまり、設定ATT値が0dB未満の場合とは、高速応答VOA13が減衰できなくなるデッドロス状態である。そこで、高速応答VOA13の現在のATT値を維持したまま、第1~第4のTIA19A~19Dのゲイン調整でターゲットチャネルのパワー変動を吸収することになる。
【0073】
TIA制御部46Aは、ターゲットチャネルの現在のパワー値と目標パワー値との差分である第2の差分値分のTIAゲイン設定値を算出する。TIA制御部46Aは、(現在のパワー値-目標パワー値)を現在のTIAゲイン値に加算することでTIAゲイン設定値を算出する。TIA制御部46Aは、算出したTIAゲイン設定値を第2のDAC47Bに入力する。第2のDAC47Bは、算出したTIAゲイン設定値をアナログ変換し、アナログ変換後のTIAゲイン設定値を第1~第4のAGC20A~20Dに入力する。第1~第4のAGC20A~20Dは、TIA制御部46Aで算出したTIAゲイン設定値に基づき、第1~第4のTIA19A~19Dのゲインを調整する。その結果、第1のTIA19Aは、TIAゲイン設定値に応じて、ターゲットチャネルのX偏波成分のI成分の電気信号のゲインを調整する。第2のTIA19Bは、TIAゲイン設定値に応じてターゲットチャネルのX偏波成分のQ成分の電気信号のゲインを調整する。第3のTIA19Cは、TIAゲイン設定値に応じてターゲットチャネルのY偏波成分のI成分の電気信号のゲインを調整する。更に、第4のTIA19Dは、TIAゲイン設定値に応じてターゲットチャネルのY偏波成分のQ成分の電気信号のゲインを調整する。その結果、高速応答VOA13がデッドロス状態の場合に、第1~第4のTIA19A~19Dでターゲットチャネルのパワー変動を吸収できる。つまり、TIAのゲイン変動の機会を抑制することで、周波数応答変動やIRN変動による信号品質の劣化を抑制できる。
【0074】
図7は、第2のパワー変動吸収処理に関わるFPGA40Aの処理動作の一例を示すフローチャートである。
図7においてFPGA40A内のモニタ部42Aは、第1~第4のAGC20A~20Dから第1~第4のTIA19A~19Dのターゲットチャネルの4個のPI値を取得する(ステップS11A)。FPGA40A内の差分算出部43Aは、ターゲットチャネルの4個のPI値に基づき、ターゲットチャネルの現在のパワー値を算出する(ステップS12A)。
【0075】
差分算出部43Aは、高速応答VOA13に設定中の現在のATT値を取得する(ステップS13A)。差分算出部43Aは、ターゲットチャネルの(現在のパワー値-目標パワー値)に基づき、第2の差分値を算出する(ステップS14A)。
【0076】
FPGA40A内の減衰量算出部44Aは、(第2の差分値+現在のATT値)に基づき、設定ATT値を算出する(ステップS15A)。FPGA40A内の判定部45Aは、設定ATT値が0dB以上であるか否かを判定する(ステップS16A)。FPGA40A内の制御部49A内のVOA制御部48Aは、設定ATT値が0dB以上の場合(ステップS16A:Yes)、高速応答VOA13に設定ATT値を設定し(ステップS17A)、現在のターゲットチャネルの4個のPI値を取得すべく、ステップS11Aに移行する。その結果、光受信装置1は、第1~第4のTIA19A~19Dのゲイン変動を行うことなく、高速応答VOA13の減衰制御でパワー変動を吸収できるため、周波数応答変動やIRNの変動による信号品質の劣化を抑制できる。
【0077】
制御部49A内のTIA制御部46Aは、設定ATT値が0dB以上でない、すなわち0dB未満の場合(ステップS16A:No)、(第1の差分値+現在のATT値)に基づき、TIAゲイン設定値を算出する(ステップS18A)。
【0078】
TIA制御部46Aは、算出したTIAゲイン設定値を第1~第4のTIA19A~19Dに設定する(ステップS19A)。更に、TIA制御部46Aは、現在のターゲットチャネルの4個のPI値を取得すべく、ステップS11Aに移行する。その結果、光受信装置1は、高速応答VOA13が減衰できなくなるデッドロスになる場合にのみTIAのゲインを設定するため、TIAのゲイン変動の発生量を抑制できる。
【0079】
光受信装置1の入力端11では、経年劣化によって受信光に低速パワー変動が発生した場合でも、設定ATT値が0dB以上の場合、ターゲットチャネルの受信光のパワー値が0dBmになるように高速応答VOA13のATT値を設定する。その結果、高速応答VOA13で経年劣化による低速パワー変動を吸収できる。
【0080】
光受信装置1は、トランジェントによって受信光に高速パワー変動が発生した場合でも、設定ATT値が0dB以上の場合、ターゲットチャネルの受信光のパワー値が0dBmになるように高速応答VOA13のATT値を設定する。その結果、高速応答VOA13は、高速応答VOA13のデッドロス状態になるまでトランジェントによる高速パワー変動を吸収できる。
【0081】
光受信装置1は、高速応答VOA13がデッドロス状態でトランジェントによって受信光に高速パワー変動が発生した場合、デッドロス状態であるため、設定ATT値が0dB未満となる。従って、高速応答VOA13は、現在のATT値を維持する。
【0082】
そして、光受信装置1は、ターゲットチャネルの(現在のパワー値-目標パワー値)に基づき、第2の差分値を算出し、(-(第2の差分値)+現在のTIAのゲイン値)に基づき、TIAゲイン設定値を算出する。光受信装置1は、TIAゲイン設定値を第1~第4のTIA19A~19Dに設定することで、第1~第4のTIA19A~19Dの各電気信号のパワー変動が0dBmになる。その結果、第1~第4のTIA19A~19Dは、高速パワー変動を吸収することになる。
【0083】
実施例2の光受信装置1は、設定ATT値が零未満の場合にターゲットチャネルの第2の差分値が最小になるように第1~第4のTIA19A~19Dのゲインを調整する。その結果、高速応答VOA13がデッドロス状態の場合にのみ、第1~第4のTIA19A~19Dのゲイン調整でパワー変動を吸収できる。従って、TIAのゲイン変動を最小限に抑制するため、TIAの周波数応答変動やIRN変動による信号品質の劣化を抑制できる。
【0084】
光受信装置1は、設定ATT値が零以上の場合に設定ATT値を高速応答VOA13に設定する。その結果、高速応答VOA13で減衰できるまで、TIAのゲイン調整を使用することなく、パワー変動を吸収できる。従って、TIAのゲイン変動を最小限に抑制することで、TIAの周波数応答変動やIRN変動による信号品質の劣化を抑制できる。
【0085】
高速応答VOA13は、第1~第4のPD18A~18Dで信号光が電気信号に変換する受信感度以上になるようにATT値を設定する。その結果、パワー変動を吸収できる。
【0086】
光受信装置1は、ターゲットチャネルのX偏波成分及びY偏波成分のI成分及びQ成分の4個のPI値を取得し、4個のPI値の平均値で第1~第4のPD18A~18Dの電気信号のパワー値を算出する。その結果、光受信装置1は、第1~第4のTIA19A~19DのPI値に基づき、ターゲットチャネルのパワー値を算出できる。
【0087】
尚、光受信装置1では、入力端11と高速応答VOA13との間にEDFA12を配置する場合を例示したが、EDFA12を設けることなく、入力端11と高速応答VOA13を直接接続しても良く、適宜変更可能である。
【0088】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0089】
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。
【0090】
以上、本実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0091】
(付記1)入力した信号光を減衰する減衰部と、
前記減衰部にて減衰した前記信号光を電気信号に変換する光電変換部と、
前記電気信号のゲインを調整する増幅部と、
前記増幅部の出力信号からターゲットチャネルのモニタ値を検出するモニタ部と、
前記モニタ部にて検出した前記モニタ値から前記ターゲットチャネルのパワー値を算出し、前記ターゲットチャネルの前記パワー値と目標パワー値との差分値を算出する差分算出部と、
前記差分算出部にて算出した前記差分値に前記減衰部に設定中の現在の減衰量を加算して設定減衰量を算出する減衰量算出部と、
前記設定減衰量が零未満の場合に前記ターゲットチャネルの前記差分値が最小になるように前記増幅部のゲインを調整すると共に、前記設定減衰量が零以上の場合に前記設定減衰量を前記減衰部に設定する制御部と
を有することを特徴とする光受信装置。
【0092】
(付記2)前記制御部は、
前記設定減衰量が前記零未満となる前記減衰部がデッドロス状態の場合に前記ターゲットチャネルの前記差分値が最小になるように前記増幅部のゲインを調整することを特徴とする付記1に記載の光受信装置。
【0093】
(付記3)前記モニタ部は、
前記ターゲットチャネルの前記モニタ値として前記増幅部毎のゲイン値及びPI(Peak Indicator)値を検出し、
前記差分算出部は、
前記増幅部毎のゲイン値の平均値と、前記増幅部毎のPI値の平均値とに基づき、前記ターゲットチャネルの前記パワー値を算出することを特徴とする付記1又は2に記載の光受信装置。
【0094】
(付記4)前記モニタ部は、
前記ターゲットチャネルの前記モニタ値として前記増幅部毎のPI(Peak Indicator)値を検出し、
前記差分算出部は、
前記増幅部毎のPI値の平均値に基づき、前記ターゲットチャネルの前記パワー値を算出することを特徴とする付記1又は2に記載の光受信装置。
【0095】
(付記5)入力した信号光を減衰する減衰部と、
減衰した信号光に局発光を干渉して当該信号光から、ターゲットチャネルの異なる偏重成分の信号光を抽出する抽出部と、
前記偏重成分毎に備え、当該偏重成分の信号光を電気信号に変換する光電変換部と、
前記光電変換部毎に備え、当該偏重成分の電気信号のゲインを調整する増幅部と、
前記増幅部毎に備え、当該増幅部の出力信号に基づき、当該増幅部のゲインを自動制御する自動制御部と、
前記増幅部の出力信号から前記ターゲットチャネルの前記偏重成分毎のモニタ値を検出するモニタ部と、
前記モニタ部にて検出した前記偏重成分毎のモニタ値から前記ターゲットチャネルのパワー値を算出し、前記ターゲットチャネルの前記パワー値と目標パワー値との差分値を算出する差分算出部と、
前記差分算出部にて算出した前記差分値に前記減衰部に設定中の現在の減衰量を加算して設定減衰量を算出する減衰量算出部と、
前記設定減衰量が零未満の場合に前記ターゲットチャネルの前記差分値が最小になるように各増幅部のゲインを調整すると共に、前記設定減衰量が零以上の場合に前記設定減衰量を前記減衰部に設定する制御部と
を有することを特徴とする光受信装置。
【0096】
(付記6)前記制御部は、
前記光電変換部で前記信号光が電気信号に変換する受信感度以上になるように前記減衰部の減衰量を設定することを特徴とする付記5に記載の光受信装置。
【0097】
(付記7)前記制御部は、
前記設定減衰量が前記零未満となる前記減衰部がデッドロス状態の場合に前記ターゲットチャネルの前記差分値が最小になるように各増幅部のゲインを調整することを特徴とする付記5又は6に記載の光受信装置。
【0098】
(付記8)前記モニタ部は、
前記ターゲットチャネルの前記偏重成分毎の前記モニタ値として前記増幅部毎のゲイン値及びPI(Peak Indicator)値を検出し、
前記差分算出部は、
前記増幅部毎のゲイン値の平均値と、前記増幅部毎のPI値の平均値とに基づき、前記ターゲットチャネルの前記パワー値を算出することを特徴とする付記5~7の何れか一つに記載の光受信装置。
【0099】
(付記9)前記モニタ部は、
前記ターゲットチャネルの前記偏重成分毎の前記モニタ値として前記増幅部毎のPI(Peak Indicator)値を検出し、
前記差分算出部は、
前記増幅部毎のPI値の平均値に基づき、前記ターゲットチャネルの前記パワー値を算出することを特徴とする付記5~7の何れか一つに記載の光受信装置。
【0100】
(付記10)前記減衰部の前段に備え、入力した信号光を増幅する入力段増幅部を有することを特徴とする付記5~8の何れか一つに記載の光受信装置。
【0101】
(付記11)前記抽出部は、
前記ターゲットチャネルの信号光のX偏波成分に局発光のX偏波成分を干渉して、前記減衰部で減衰した前記信号光から、前記ターゲットチャネルの信号光の偏重成分として、前記X偏波成分のI(Inphase)成分及びQ(Quadrature)成分を抽出する第1のハイブリッド回路と、
前記ターゲットチャネルの信号光のY偏波成分に局発光のY偏波成分を干渉して、前記減衰部で減衰した前記信号光から、前記ターゲットチャネルの信号光の偏重成分として、前記Y偏波成分のI成分及びQ成分を抽出する第2のハイブリッド回路とを有することを特徴とする付記5~8の何れか一つに記載の光受信装置。
【0102】
(付記12)入力した信号光を減衰する減衰部と、前記減衰部にて減衰した前記信号光を電気信号に変換する光電変換部と、前記電気信号のゲインを調整する増幅部とを有する光受信装置が、
前記増幅部の出力信号からターゲットチャネルのモニタ値を検出し、
検出した前記モニタ値から前記ターゲットチャネルのパワー値を算出し、前記ターゲットチャネルの前記パワー値と目標パワー値との差分値を算出し、
算出した前記差分値に前記減衰部に設定中の現在の減衰量を加算して設定減衰量を算出し、
前記設定減衰量が零未満の場合に前記ターゲットチャネルの前記差分値が最小になるように前記増幅部のゲインを調整すると共に、前記設定減衰量が零以上の場合に前記設定減衰量を前記減衰部に設定する
処理を実行することを特徴とする光受信方法。
【符号の説明】
【0103】
1 光受信装置
11 入力端
12 EDFA
13 高速応答VOA(減衰部)
17A 第1のハイブリッド回路(抽出部)
17B 第2のハイブリッド回路(抽出部)
18A 第1のPD(光電変換部)
18B 第2のPD(光電変換部)
18C 第3のPD(光電変換部)
18D 第4のPD(光電変換部)
19A 第1のTIA(増幅部)
19B 第2のTIA(増幅部)
19C 第3のTIA(増幅部)
19D 第4のTIA(増幅部)
20A 第1のAGC(自動制御部)
20B 第2のAGC(自動制御部)
20C 第3のAGC(自動制御部)
20D 第4のAGC(自動制御部)
40,40A FPGA
42,42A モニタ部
43,43A 差分算出部
44,44A 減衰量算出部
45,45A 判定部
46,46A TIA制御部
48,48A VOA制御部
49,49A 制御部