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特許7524641作業特性取得装置、作業特性取得方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】作業特性取得装置、作業特性取得方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240723BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240723BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240723BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H04N1/00 127A
G06F3/01
G03G21/00 396
G03G21/00 386
B41J29/38
H04N1/00 C
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020118848
(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公開番号】P2022015778
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンクー ハーシュ
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-149624(JP,A)
【文献】特開2007-220072(JP,A)
【文献】特開2009-237600(JP,A)
【文献】特開2011-081431(JP,A)
【文献】特開2019-159274(JP,A)
【文献】特開2018-097473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G06F 3/01
G03G 21/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の動作履歴を取得する取得部と、
取得した前記動作履歴を解析して、所定の非効率動作の出現状況に係る作業特性データを生成する解析部と、
前記非効率動作の動作パターンを記憶する記憶部と、
を備え
前記記憶部は、前記動作パターンと、当該動作パターンに対応する非効率動作に係る結論とを対応付けて記憶し、
前記解析部は、前記動作履歴から前記動作パターンと一致するものを検出し、前記非効率動作の出現状況と前記結論とを対応付けて含めた前記作業特性データを生成する
ことを特徴とする作業特性取得装置。
【請求項2】
前記動作履歴には、前記画像形成装置への入力操作の内容が含まれ、
前記解析部は、前記入力操作の順番及び間隔に基づいて前記非効率動作を判断する
ことを特徴とする請求項1記載の作業特性取得装置。
【請求項3】
前記画像形成装置の動作設定には、表示画面に表示された選択ボタンの選択操作により表示され得る複数の受付画面内で更になされる操作に応じて行われるものが含まれ、
前記動作パターンには、最終的な選択に係る前記操作の前に当該操作の受付画面を所定回数以上開閉する第1動作パターンが含まれ、
前記記憶部は、当該第1動作パターンに対応する結論として、操作画面で対象を見つけるのが不得手である旨記憶している
ことを特徴とする請求項1又は2記載の作業特性取得装置。
【請求項4】
前記画像形成装置の動作設定には、表示画面に表示された選択ボタンの選択操作により表示され得る複数の受付画面内で更になされる操作に応じて行われるものが含まれ、
前記動作パターンには、最終的な選択に係る前記操作の前に当該操作の受付画面とは異なる受付画面を所定回数以上開閉する第2動作パターンが含まれ、
前記記憶部は、前記第2動作パターンに対する結論として、操作画面に係る知識が不足している旨記憶している
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の作業特性取得装置。
【請求項5】
前記動作履歴には、前記画像形成装置への入力操作の内容が含まれ、
前記入力操作の受付は、表示画面に重なって位置するタッチパネルにより行われるものを含み、
前記動作パターンには、最終的な選択に係る前記タッチパネルへの入力操作の前に、前記選択の受付範囲の所定の近傍範囲を複数回タッチする第3動作パターンが含まれ、
前記記憶部は、前記第3動作パターンに対応する結論として、前記表示画面の表示位置と前記タッチパネルの操作受付範囲との間での調整が不良である旨を記憶している
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の作業特性取得装置。
【請求項6】
前記動作パターンには、いずれかの操作の受付画面が開かれてから所定の時間内に当該受付画面を閉じる入力操作を行う第4動作パターンが含まれ、
前記記憶部は、前記第4動作パターンに対応する結論として、ユーザーの操作ミスである旨を記憶している
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の作業特性取得装置。
【請求項7】
前記動作パターンには、所定の設定パラメーターの値を一度変更させてからもとに戻す操作を行う第5動作パターンが含まれ、
前記記憶部は、前記第5動作パターンに対応する結論として、ユーザーが当該設定パラメーターの機能について理解不足である旨を記憶している
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の作業特性取得装置。
【請求項8】
前記解析部は、前記画像形成装置のシステム設定を行う第1の時間及びユーティリティ設定を行う第2の時間を算出し、前記第1の時間及び前記第2の時間を管理作業の多寡を示す指標とする
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の作業特性取得装置。
【請求項9】
画像形成装置の動作履歴を取得する取得部と、
取得した前記動作履歴を解析して、所定の非効率動作の出現状況に係る作業特性データを生成する解析部と、
を備え
前記解析部は、前記画像形成装置のシステム設定を行う第1の時間及びユーティリティ設定を行う第2の時間を算出し、前記第1の時間及び前記第2の時間を管理作業の多寡を示す指標とする
ことを特徴とする作業特性取得装置。
【請求項10】
前記動作履歴には、前記画像形成装置への入力操作の内容が含まれ、
前記解析部は、前記入力操作の順番及び間隔に基づいて前記非効率動作を判断する
ことを特徴とする請求項9記載の作業特性取得装置。
【請求項11】
前記動作履歴には、前記画像形成装置への入力操作の内容が含まれ、
前記解析部は、所定の構成に係る所定の基準時間内の作業が当該構成に係る入力操作の間に挟まれて行われる場合には、当該作業の時間及び前記入力操作の時間の合計を前記構成に係る作業時間として分類する
ことを特徴とする請求項8~10のいずれか一項に記載の作業特性取得装置。
【請求項12】
前記動作履歴には、前記画像形成装置への入力操作の内容が含まれ、
前記解析部は、所定の構成に係る入力操作の間に当該構成とは異なる分類の構成に係る作業がなされた場合には、当該作業の時間を前記所定の構成に係る操作の時間から除外する
ことを特徴とする請求項8~11のいずれか一項に記載の作業特性取得装置。
【請求項13】
画像形成装置の動作履歴を取得する取得ステップ、
取得した前記動作履歴を解析して、所定の非効率動作の出現状況に係る作業特性データを生成する解析ステップ、
前記非効率動作の動作パターンを記憶する記憶ステップ、
を含み、
前記記憶ステップでは、前記動作パターンと、当該動作パターンに対応する非効率動作に係る結論とを対応付けて記憶し、
前記解析ステップでは、前記動作履歴から前記動作パターンと一致するものを検出し、前記非効率動作の出現状況と前記結論とを対応付けて含めた前記作業特性データを生成する
ことを特徴とする作業特性取得方法。
【請求項14】
画像形成装置の動作履歴を取得する取得ステップ、
取得した前記動作履歴を解析して、所定の非効率動作の出現状況に係る作業特性データを生成する解析ステップ、
を含み、
前記解析ステップでは、前記画像形成装置のシステム設定を行う第1の時間及びユーティリティ設定を行う第2の時間を算出し、前記第1の時間及び前記第2の時間を管理作業の多寡を示す指標とする
ことを特徴とする作業特性取得方法。
【請求項15】
コンピューターを、
画像形成装置の動作履歴を取得する取得手段、
取得した前記動作履歴を解析して、所定の非効率動作の出現状況に係る作業特性データを生成する解析手段、
前記非効率動作の動作パターンを記憶する記憶手段、
として機能させ
前記記憶手段は、前記動作パターンと、当該動作パターンに対応する非効率動作に係る結論とを対応付けて記憶し、
前記解析手段は、前記動作履歴から前記動作パターンと一致するものを検出し、前記非効率動作の出現状況と前記結論とを対応付けて含めた前記作業特性データを生成する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項16】
コンピューターを、
画像形成装置の動作履歴を取得する取得手段、
取得した前記動作履歴を解析して、所定の非効率動作の出現状況に係る作業特性データを生成する解析手段、
として機能させ
前記解析手段は、前記画像形成装置のシステム設定を行う第1の時間及びユーティリティ設定を行う第2の時間を算出し、前記第1の時間及び前記第2の時間を管理作業の多寡を示す指標とする
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業特性取得装置、作業特性取得方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年対象者の活動履歴などに基づいて、当該対象者の行動を統計化したり予測したりする技術の改良が進んでいる。特許文献1には、ユーザーが有するモーションセンサーの計測結果と現在位置の計測結果などに基づいて、ユーザーの行動パターンを推定する技術が開示されている。
【0003】
また、入力操作を受け付けて動作する各種装置では、ユーザーによる入力操作の所要時間や内容などについても履歴を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-81431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像形成装置を日常的に業務で使用するユーザーにとって、単にその動作履歴を取得しただけでは、作業の不具合や非効率の改善につなげる情報を得るのが容易ではないという課題がある。
【0006】
この発明の目的は、画像形成装置による作業に係る改善点をより容易に得ることのできる作業特性取得装置、作業特性取得方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
画像形成装置の動作履歴を取得する取得部と、
取得した前記動作履歴を解析して、所定の非効率動作の出現状況に係る作業特性データを生成する解析部と、
前記非効率動作の動作パターンを記憶する記憶部と、
を備え
前記記憶部は、前記動作パターンと、当該動作パターンに対応する非効率動作に係る結論とを対応付けて記憶し、
前記解析部は、前記動作履歴から前記動作パターンと一致するものを検出し、前記非効率動作の出現状況と前記結論とを対応付けて含めた前記作業特性データを生成する
ことを特徴とする作業特性取得装置である。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の作業特性取得装置において、
前記動作履歴には、前記画像形成装置への入力操作の内容が含まれ、
前記解析部は、前記入力操作の順番及び間隔に基づいて前記非効率動作を判断する
ことを特徴とする。
【0011】
また、請求項記載の発明は、請求項1又は2記載の作業特性取得装置において、
前記画像形成装置の動作設定には、表示画面に表示された選択ボタンの選択操作により表示され得る複数の受付画面内で更になされる操作に応じて行われるものが含まれ、
前記動作パターンには、最終的な選択に係る前記操作の前に当該操作の受付画面を所定回数以上開閉する第1動作パターンが含まれ、
前記記憶部は、当該第1動作パターンに対応する結論として、操作画面で対象を見つけるのが不得手である旨記憶している
ことを特徴とする。
【0012】
また、請求項記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の作業特性取得装置において、
前記画像形成装置の動作設定には、表示画面に表示された選択ボタンの選択操作により表示され得る複数の受付画面内で更になされる操作に応じて行われるものが含まれ、
前記動作パターンには、最終的な選択に係る前記操作の前に当該操作の受付画面とは異なる受付画面を所定回数以上開閉する第2動作パターンが含まれ、
前記記憶部は、前記第2動作パターンに対する結論として、操作画面に係る知識が不足している旨記憶している
ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の作業特性取得装置において、
前記動作履歴には、前記画像形成装置への入力操作の内容が含まれ、
前記入力操作の受付は、表示画面に重なって位置するタッチパネルにより行われるものを含み、
前記動作パターンには、最終的な選択に係る前記タッチパネルへの入力操作の前に、前記選択の受付範囲の所定の近傍範囲を複数回タッチする第3動作パターンが含まれ、
前記記憶部は、前記第3動作パターンに対応する結論として、前記表示画面の表示位置と前記タッチパネルの操作受付範囲との間での調整が不良である旨を記憶している
ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載の作業特性取得装置において、
前記動作パターンには、いずれかの操作の受付画面が開かれてから所定の時間内に当該受付画面を閉じる入力操作を行う第4動作パターンが含まれ、
前記記憶部は、前記第4動作パターンに対応する結論として、ユーザーの操作ミスである旨を記憶している
ことを特徴とする。
【0015】
また、請求項記載の発明は、請求項1~6のいずれか一項に記載の作業特性取得装置において、
前記動作パターンには、所定の設定パラメーターの値を一度変更させてからもとに戻す操作を行う第5動作パターンが含まれ、
前記記憶部は、前記第5動作パターンに対応する結論として、ユーザーが当該設定パラメーターの機能について理解不足である旨を記憶している
ことを特徴とする。
【0016】
また、請求項記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載の作業特性取得装置において、
前記解析部は、前記画像形成装置のシステム設定を行う第1の時間及びユーティリティ
設定を行う第2の時間を算出し、前記第1の時間及び前記第2の時間を管理作業の多寡を示す指標とする
ことを特徴とする。
また、請求項9記載の発明は、
画像形成装置の動作履歴を取得する取得部と、
取得した前記動作履歴を解析して、所定の非効率動作の出現状況に係る作業特性データを生成する解析部と、
を備え、
前記解析部は、前記画像形成装置のシステム設定を行う第1の時間及びユーティリティ設定を行う第2の時間を算出し、前記第1の時間及び前記第2の時間を管理作業の多寡を示す指標とする
ことを特徴とする。
また、請求項10記載の発明は、請求項9記載の作業特性取得装置において、
前記動作履歴には、前記画像形成装置への入力操作の内容が含まれ、
前記解析部は、前記入力操作の順番及び間隔に基づいて前記非効率動作を判断する
ことを特徴とする。
【0017】
また、請求項11記載の発明は、請求項8~10のいずれか一項に記載の作業特性取得装置において、
前記動作履歴には、前記画像形成装置への入力操作の内容が含まれ、
前記解析部は、所定の構成に係る所定の基準時間内の作業が当該構成に係る入力操作の間に挟まれて行われる場合には、当該作業の時間及び前記入力操作の時間の合計を前記構成に係る作業時間として分類する
ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項12記載の発明は、請求項8~11のいずれか一項に記載の作業特性取得装置において、
前記動作履歴には、前記画像形成装置への入力操作の内容が含まれ、
前記解析部は、所定の構成に係る入力操作の間に当該構成とは異なる分類の構成に係る作業がなされた場合には、当該作業の時間を前記所定の構成に係る操作の時間から除外する
ことを特徴とする。
【0019】
また、請求項13記載の発明は、
画像形成装置の動作履歴を取得する取得ステップ、
取得した前記動作履歴を解析して、所定の非効率動作の出現状況に係る作業特性データを生成する解析ステップ、
前記非効率動作の動作パターンを記憶する記憶ステップ、
を含み、
前記記憶ステップでは、前記動作パターンと、当該動作パターンに対応する非効率動作に係る結論とを対応付けて記憶し、
前記解析ステップでは、前記動作履歴から前記動作パターンと一致するものを検出し、前記非効
ことを特徴とする作業特性取得方法である。
また、請求項14記載の発明は、
画像形成装置の動作履歴を取得する取得ステップ、
取得した前記動作履歴を解析して、所定の非効率動作の出現状況に係る作業特性データを生成する解析ステップ、
を含み、
前記解析ステップでは、前記画像形成装置のシステム設定を行う第1の時間及びユーティリティ設定を行う第2の時間を算出し、前記第1の時間及び前記第2の時間を管理作業の多寡を示す指標とする
ことを特徴とする作業特性取得方法である。
【0020】
また、請求項15記載の発明は、
コンピューターを、
画像形成装置の動作履歴を取得する取得手段、
取得した前記動作履歴を解析して、所定の非効率動作の出現状況に係る作業特性データを生成する解析手段、
前記非効率動作の動作パターンを記憶する記憶手段、
として機能させ
前記記憶手段は、前記動作パターンと、当該動作パターンに対応する非効率動作に係る結論とを対応付けて記憶し、
前記解析手段は、前記動作履歴から前記動作パターンと一致するものを検出し、前記非効率動作の出現状況と前記結論とを対応付けて含めた前記作業特性データを生成する
ことを特徴とするプログラムである。
また、請求項16記載の発明は、
コンピューターを、
画像形成装置の動作履歴を取得する取得手段、
取得した前記動作履歴を解析して、所定の非効率動作の出現状況に係る作業特性データを生成する解析手段、
として機能させ、
前記解析手段は、前記画像形成装置のシステム設定を行う第1の時間及びユーティリティ設定を行う第2の時間を算出し、前記第1の時間及び前記第2の時間を管理作業の多寡を示す指標とする
ことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明に従うと、画像形成装置による作業に係る改善点をより容易に得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】サーバー装置と画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
図2】操作受付部が検出した入力操作に応じた動作履歴の例である。
図3】特定動作パターンデータの内容の例を示す図表である。
図4】動作履歴解析処理の制御手順を示すフローチャートである。
図5】出力データの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の作業特性取得装置であるサーバー装置100と画像形成装置400の機能構成を示すブロック図である。
【0024】
サーバー装置100は、画像形成装置400から動作履歴データを取得して解析を行い、結果を出力する装置であり、通常のコンピューター(PC)などであってもよい。サーバー装置100は、制御部110(解析部)と、記憶部120と、通信部130などを備える。
【0025】
制御部110は、サーバー装置100の全体動作を統括制御する。制御部110は、CPU111(Central Processing Unit)と、RAM112(Random Access Memory)などを備える。CPU111は、各種演算処理を行うハードウェアプロセッサーである。CPU111は、プログラム121を読み出して実行することができる。RAM112は、CPU111に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。
【0026】
記憶部120は、フラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーやHDD(Hard Disk Drive)などであり、プログラム121、動作履歴データ122、動作解析データ123及び特定動作パターンデータ124などを記憶する。
【0027】
プログラム121には、動作履歴データ122を解析して動作解析データ123を出力するプログラムが含まれる。動作履歴データ122は、画像形成装置400から取得された当該画像形成装置400の動作に係る履歴データである。動作の履歴には、操作受付部452が受け付けた各種入力操作(無効なものを含む)の内容が含まれる。なお、サーバー装置100は、複数の画像形成装置400から各々動作履歴データ122を取得して解析することができるが、本実施形態では、各動作履歴データ122は画像形成装置400ごとに個別に取り扱われ、統合されない。
【0028】
動作解析データ123は、動作履歴データ122の解析により得られた解析結果に係るデータである。動作解析データ123は、上述のように、画像形成装置400における動作(主に入力操作)の特性を示すものである。
【0029】
特定動作パターンデータ124は、動作履歴において出現しやすい特定の非効率な動作パターンの例を予め記憶したリストデータである。各動作パターンには、その出現の原因などを示す結論情報がそれぞれ対応付けられている。特定動作パターンデータ124の内容については後述する。
【0030】
通信部130は、画像形成装置400を含む外部機器との間で行う通信を制御する。通信部130は、所定の通信規格に従って、例えば、LAN(Local Area Network)などによりデータの送受信を行うネットワークカードなどを有する。本実施形態では、画像形成装置400の動作履歴データは、取得部としての通信部130を介して取得される。
【0031】
画像形成装置400は、媒体に出力対象画像データに応じた画像を形成して出力する。画像形成装置400は、制御部410と、記憶部420と、通信部430と、インターフェイス440(I/O)並びにこれに接続される表示部451及び操作受付部452と、形成動作部460と、画像読取部470などを備える。
【0032】
制御部410は、画像形成装置400の全体動作を統括制御する。制御部410は、CPU411とRAM412などを備える。CPU411は、各種演算、制御処理を行うハードウェアプロセッサーである。RAM412は、CPU411に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。
【0033】
記憶部420は、各種プログラム421、設定データや画像形成動作に係るジョブデータ422などを記憶する。プログラム421は、ジョブデータ422に基づいて形成動作部460に画像形成動作を行わせる処理や、各所の動作や操作受付部452の検出した入力操作などを日時情報と対応付けて動作履歴データ423として保持するプログラムなどが含まれる。プログラム421や設定データは、フラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーやHDDなどに記憶される。
【0034】
ジョブデータ422は、通信部430などを介して外部から受け付けられた画像形成命令に係るデータである。ジョブデータ422には、形成対象の画像データ及び画像形成に係る各種設定の情報、例えば、媒体の向き、サイズ、マージン、片面/両面印刷などが含まれる。ジョブデータ422は、画像形成処理が終了した後、所定の期間保持されてもよいし、随時消去されてもよい。消去される場合には、ジョブデータ422の一部又は全部がDRAMなどの揮発性メモリーに記憶されてもよい。
【0035】
記憶部120に送信されるデータには、動作履歴データ423が含まれる。上記のように、動作履歴データ423は、画像形成装置400の動作(特に、操作受付部452が検出された操作)を日時情報と対応付けた履歴データである。動作履歴データ423は、例えば、1日単位でファイル生成されてもよい。
【0036】
通信部430は、サーバー装置100や、ジョブデータを送信するプリントサーバーなどの外部機器との間で行われる通信を制御する。通信部430は、所定の通信規格に従って、例えば、LAN(Local Area Network)などによりデータの送受信を行うネットワークカードなどを有する。
【0037】
インターフェイス440は、周辺機器などを接続する端子及びドライバーなどを有する。ここでは、インターフェイス440には、表示部451及び操作受付部452が接続されている。これらの接続は、例えば、USB(Universal Serial Bus)などの汎用規格に応じたものであってもよい。
【0038】
表示部451は、制御部410の制御に基づいて各種ステータスや選択メニューなどの表示を行う表示画面を有する。表示部451は、例えば、液晶ディスプレイであるが、これに限られない。また、表示部451は、LEDランプ(Light Emitting Diode)などを有し、ステータスに応じて点灯/消灯を切り替え、又は点滅させてもよい。
【0039】
操作受付部452は、ユーザーなどの外部からの入力操作を受け付けて入力信号として制御部410へ出力する。操作受付部452は、例えば、タッチパネルを有し、表示画面に重なって位置している。操作受付部452は、これに加えて押しボタンスイッチなどの各種スイッチやテンキーなどを有していてもよい。画像形成装置400では、制御部410の制御により、例えば、表示画面にメインメニューを表示させて、メニュー内に表示された選択ボタンなどの選択操作に応じて記録媒体への記録命令、媒体からの読み取り命令や複写命令などを受け付ける。また、このメインメニュー内に各種設定を行うためのサブウィンドウ(受付画面。多くの場合は複数)の表示選択ボタンを表示させ、いずれかの表示選択ボタンが選択操作されることでサブウィンドウが開かれる。サブウィンドウ内で更に設定の変更などに係る受付ボタン、タブ、スライドなどやその確定ボタンが操作されることで、設定が変更されて記憶保持される。
【0040】
形成動作部460は、供給される媒体上に色材を付与して画像を形成する。形成動作部460は、特には限られないが、例えば、感光体上の露光パターンに応じてトナーを付与して媒体に転写、定着させる電子写真方式であってもよい。
【0041】
画像読取部470は、対象の媒体の所定の読み取り面を撮像して読み取り、読み取り画像データを生成する。画像読取部470は、例えば、ラインセンサーを備え、読取り面を走査させて二次元の読み取り画像データを生成する。
【0042】
次に、本実施形態の動作履歴の取得及び解析について説明する。
画像形成装置400では、制御部410による制御動作(画像形成や読み取りを含む)、通信部430によるデータの送受信、及び操作受付部452による入力操作の検出を、それぞれ日時情報と対応付けて取得し、動作履歴データ423として保持する。画像形成装置400では、例えば、所定の日数ずつ動作履歴データ423を保持し、当該日数が経過したデータを随時削除してもよい。また、動作履歴データ423は、定期的に、例えば、毎日電力供給の開始時に前日のデータがサーバー装置100へ送信されてもよい。
なお、日時情報との対応付けではなく、前の動作からの経過時間(間隔)と対応付けられてもよい。
【0043】
この動作履歴データ423では、操作受付部452への入力操作が無効のものも全て含めて記憶される。すなわち、最終的に必要な操作が行われ、選択されて画像形成装置400が何らかの処理、設定を行う場合だけではなく、誤って入力されて撤回された入力操作の内容や、そもそも動作に該当しない入力操作も、検知されて制御部410に送られたものが全て含まれる。
【0044】
なお、動作履歴としては、入力操作の内容に応じた動作が記憶されればよいが、上記のように動作に該当しなかった場合には、例えば、表示中の画面(ウィンドウ)の種別とタッチ位置の座標データなどとともに、無動作であったことを記憶すればよい。また、複数段階で設定が切り替え可能な場合、確定した設定変更だけでなく、段階の切り替え操作各々が記憶されてよい。変更された設定が確定された場合には、実際の「設定データの変更」として動作履歴に記憶される。
【0045】
図2は、操作受付部452が検出した入力操作に応じた動作履歴の例である。
左側に受け付けられた操作が示されており、右側の破線内が各々対応する動作を含む動作履歴である。
【0046】
メインウィンドウの表示状態において、ウィンドウAを選択するボタンの選択操作(タッチ、タップ、クリック)がなされると、制御部410の制御により表示部451にウィンドウAが選択表示される。動作履歴としては、ウィンドウAの選択表示が追加記憶される。次いで、ウィンドウAを閉じる選択ボタンが選択操作されると、制御部410の制御により表示部451に表示されているウィンドウAが消去されて、メインウィンドウの表示に戻される。このとき、ここでは、前の動作がなされてから今回の動作がなされるまでの時間間隔が併せて記憶される。ここでは、1秒が示されており、すなわち、ウィンドウAが表示されてから1秒以上2秒未満の間にウィンドウAが閉じられている。なお、時間間隔は、ミリ秒などであってもよいし、システムクロックの周波数に応じた値などであってもよい。
【0047】
それから、ウィンドウBの選択ボタンが選択操作されたのに応じて、ウィンドウBが表示部451に表示される。ウィンドウAが閉じられてからウィンドウBが表示されるまでの時間は4秒である。
【0048】
ウィンドウBにおいて、設定値uを1段階上昇させる操作が入力されると、この操作が確定していなくても、設定値uを1段階上昇させる操作があったことが動作履歴に記憶される。その後、表示画面(ウィンドウB)においていずれの動作命令にも対応しない位置である座標(X、Y)がタッチ操作されると、(X,Y)がタッチされた結果として、なにも動作が行われなかった(無動作操作)ことが記憶される。ここで、座標(X、Y)は、例えば、設定値uを1段階上昇させる操作範囲から所定の近傍距離内(例えば、2cm以内など)であることが判別されて記憶されてもよい。同様に設定値uの1段階上昇操作、及び1段階低下操作に応じた動作履歴が追加記憶される。
【0049】
設定値u変更確定操作が入力されると、設定値uの変更設定操作が動作履歴に追加される。ウィンドウBを閉じる選択操作に応じてウィンドウBが消去されてメインウィンドウの表示に戻る。メインウィンドウにおいて画像形成枚数の変更操作(例えばN枚)に応じて画像形成枚数が設定された後、画像形成開始ボタンの選択操作により、形成動作部460によるN枚の画像形成動作が行われる。
【0050】
なお、画像形成装置400のユーザーが複数である場合には、各操作に係るアカウント情報などに基づいて、どのユーザーによる操作であるかを特定して併せて記憶されてもよいし、ユーザーを特定せずに一括管理されてもよい。
【0051】
これらの操作のうち、枠O1で示されているウィンドウAを表示させて何もせずに閉じる操作と、枠O2で示されている無動作操作は、通常では意味のない無駄な操作である。枠O1のような操作は、一般的に、ユーザーが所望の操作ボタンがどのウィンドウにあるかを正確に認識していない場合になされた、すなわち、UI(User Interface)に関する知識不足に起因する動作パターンか、又は単純にユーザーが誤った操作を行ったかであると推測される。内容の確認をするような時間をかけずに短時間で速やかに開かれたウィンドウが閉じられた場合、特に、次の操作では正確なウィンドウ(ここでは、ウィンドウB)が開かれている場合には、単なる操作ミスの可能性が高い。反対に、本来開きたいウィンドウB以外を複数回開閉する操作が続くような場合には、ユーザーのUIに関する知識不足の可能性が高い。
【0052】
枠O2のような操作は、単純にユーザーが正確に操作を行っていないか、又は表示範囲と操作受付範囲との対応関係がずれているかであると考えられる。後者の場合は、複数の操作の検出範囲に対して各々特定の側に偏って複数回入力操作がなされやすいと考えられ、前者の場合には、概ねランダムにずれると考えられる。
【0053】
これらのように、ユーザーの問題や画像形成装置400のトラブルなどに応じて非効率的な動作が増えると、その分だけ画像形成に必要以上の時間を要していることが分かる。また、動作履歴における非効率的な動作の出現パターン(動作パターン)、特に入力操作の順番や間隔などにより、どのような原因で時間を浪費しているのかが推定される。サーバー装置100では、動作履歴データを取得、解析して、非効率動作の出現状況を作業特性データとして生成し、出力する。ここでは、予め出現しやすい非効率的な動作パターンを特定動作パターンデータ124として記憶しておき、動作履歴データにおけるこの特定動作パターンと一致する動作を検出することで、非効率動作の出現状況を解析する。
【0054】
図3は、非効率的な動作パターンのリストである特定動作パターンデータ124の内容の例を示す図表である。
例えば、No.1(第1動作パターン)に示すように、サブウィンドウなどで所望の(最終的な選択に係る)操作がなされる前に、当該操作と同一のウィンドウを所定の複数回(所定回数)以上開いたり閉じたりする動作(操作)は、UIの認識不足と推測される。このユーザーは、所望の選択操作を行うためのウィンドウについては概ね理解又は認識しているが、ウィンドウ内でどこに所望の選択ボタンが位置しているかをきちんと把握していない状況及び/又はウィンドウ内に並ぶボタンから所望のものを探すのが不得手である(注意力不足など)との結論が得られる。すなわち、特定動作パターンデータ124では、単に非効率な動作パターンを記憶するだけではなく、そのような動作パターンが生じる原因や状況などを結論データとして対応付けて保持している。
【0055】
一方、No.2(第2動作パターン)に示すように、ある(最終的な選択に係る)操作がなされる前に、異なる複数のウィンドウを所定の複数回以上開いたり閉じたりする動作(操作)は、UIの(操作画面に係る)知識不足と推測される。このユーザーは、所望の選択操作を行うためのウィンドウも正確に把握していない状況であるとの結論が得られる。
【0056】
また、No.3(第3動作パターン)のように、選択操作がなされる前に、当該選択操作に係る操作ボタンの操作受付範囲の周囲、特に特定の方向(所定の近傍範囲)を複数回タッチする操作は、タッチパネルにおける操作設定範囲と表示画面の表示範囲とが正確に一致していない場合が推測され、タッチパネルの表示画面に対する調整不良と結論される。
【0057】
No.4(第4動作パターン)のように、一度選択して開かれたサブウィンドウ(受付画面)を所定時間内に閉じる操作は、単なるユーザーの操作ミスと推測、結論される。所定時間は、特には限られないが、例えば、1秒などとされてもよい。また、ユーザーの平均的な操作入力間隔が得られている場合には、この間隔に応じて動的に調整されてもよい。
【0058】
No.5(第5動作パターン)のように、設定値(所定の設定パラメーター)を一度変更した後に元へ戻す操作は、設定値の機能をきちんと(適正に)理解しておらず、とりあえず変えてみた、というような場合であると推測される。したがって、このユーザーは、設定値の機能について理解不足であると結論される。なお、上記図2の例のように設定値の変更が多少行き過ぎて変更量を小さく設定しなおすような動作は、ここでは、必ずしも理解不足とはみなさない。設定値uを更に2段階戻して元の値に戻したのちに確定動作があった場合には、このNo.5の動作パターンに該当することになる。
【0059】
これらNo.1~No.5のように、ユーザーの問題による動作パターンに加えて、個々の操作には問題がない一般的な作業(操作)の特性を統計的に特定することもできる。No.6に示すように、ユーザーがどのウィンドウを開いてどのような操作を行っているのかを統計的に把握することで、ユーザーが画像形成に直接関係するジョブ処理操作以外の操作、例えば、システム設定画面におけるシステム設定操作やユーティリティ設定画面におけるユーティリティ設定操作にどの程度の時間をかけているかが明らかになる。
【0060】
ここでは、単純にシステム設定時間y(第1の時間)とユーティリティ設定時間z(第2の時間)を単純加算した合計値により、管理設定操作の時間が得られている。管理設定操作自体は必ずしも生産的な操作ではないが状況や立場によっては不可欠なものであり、その時間が長い場合には、必要以上の管理設定を行っている、要領が悪い、あるいは多くの管理設定に係る作業を行わざるを得ない状況に現場又は画像形成装置400がなっていると推測される。すなわち、この管理設定操作の時間が管理作業の多寡の指標として利用される。なお、単純にシステム設定時間yとユーティリティ設定時間zの和だけではなく、通常のジョブ処理時間xとの比などに基づいて推測がなされてもよい。また、各画面において操作入力のない待機時間が所定時間以上となった場合には、ユーザーが表示画面(タッチパネル)から離れている場合もあるので、各処理時間に含めずに待機時間としてよい。また、管理設定操作の途中で上記No.1~5に対応する動作パターンがあった場合には、その部分はNo.1~5に該当する時間として分類される。
【0061】
また、タッチパネルの操作だけでなく、画像形成装置400の筐体内部のメンテナンス、例えば、記録媒体の補充、色材や現像剤の交換、詰まり(ジャム)の除去などがなされる場合もある。これらは実施者が特定可能な内容ではないが、画像形成装置400では、安全上、筐体の扉の開放状態や、トレイ又はトナーカートリッジなど着脱可能な各部の取り外し状態などは検出される。したがって、例えば、No.7などのように、タッチパネル上で所定の部品や消耗品(構成)に係る入力操作を行っている間に、基準時間の範囲内で当該構成自体を操作(作業)している時間が挟まれている場合には、タッチパネル上の操作時間と構成自体に係る作業時間とをまとめてこの構成の作業時間としてまとめて判断することができる。すなわち、このユーザーは、当該ハードウェアの取り扱いを行う(行うことのできる)者であることが認識され得る。
なお、あるトレイの操作をする際に、隣の他の記録媒体のトレイの操作を行うことなどは通常でもあり得るので、タッチパネル操作での対象とされたハードウェアと、実際に操作されるハードウェアとは、完全な1対1の対応関係である必要はない。関連するハードウェアに対して複数の構成が対応付けられて、これらの構成のいずれか(所定の構成)が直接操作される時間は、いずれも同グループ内の処理であるとみなしてもよい。
【0062】
一方で、No.8に示すように、タッチパネル上で行われているいずれかの構成に係る設定、作業が途中で中断している間に、当該構成とは関係のない他の異なる分類の構成に係る直接的な操作(作業)が行われた場合には、当該構成に係る操作はタッチパネル操作とは関係のないものとして別個に取り扱って(タッチパネルの操作時間から分離、除外して)よい。
【0063】
なお、特定動作パターンデータ124において、同一の結論に対して複数の動作パターンが対応付けられていてもよい。反対に、動作パターンが複数の推測に対応するものであってもよい。
【0064】
図4は、本実施形態のサーバー装置100で実行される動作履歴解析処理の制御部110による制御手順を示すフローチャートである。本実施形態の作業特性取得方法を含むこの処理は、プログラム121に含まれ、例えば、毎日一回所定のタイミングで起動される。なお、動作履歴データは、上記のように画像形成装置400から定期的に送られて受信、記憶されており(取得ステップ、取得手段)、この動作履歴解析処理の前に予め保持されていてよい。
【0065】
動作履歴解析処理が開始されると、制御部110(CPU111)は、解析対象の動作履歴データ122を記憶部120から選択して取得する(ステップS11;この部分も本実施形態の取得ステップ、取得手段に含まれてもよい)。制御部110は、記憶部120から特定動作パターンデータ124を読み込む(ステップS12)。
【0066】
制御部110は、動作履歴データ122を順番に読み込んでゆき、特定動作パターンと一致する部分を検出する(ステップS13)。このとき、制御部110は、通常のジョブ処理、ユーティリティ設定、システム設定及び待機状態(画像形成動作中も含む)も判別してよい。制御部110は、検出された特定動作パターンごとに頻度及び合計時間を算出する(ステップS14)。制御部110は、併せてジョブ処理時間、ユーティリティ設定時間、システム設定時間及び待機時間も算出する。なお、画像形成動作など(例えば、図2において画像形成動作の命令が取得された以降に、制御部410が制御する各部の動作など)、制御部410の制御に基づいて順次実行される処理自体は、作業効率には影響がないので、内容を細かく分類する必要はなく、上記のように待機時間に含めるだけか、あるいは単純に解析対象から除外してもよい。
【0067】
制御部110は、結論及び動作種別ごとに合計時間を取得して、出力データを生成する(ステップS15)。そして、制御部110は、動作履歴解析処理を終了する。
ステップS13~S15の処理が本実施形態の解析ステップ、解析手段を構成する。
【0068】
図5は、出力データの表示例を示す図である。作業特性に係る出力データは、数値データとしても出力可能であるが、制御部110は、所定のフォーマットで画像化してHTMLブラウザー又は専用のソフト(アプリ)などにより表示可能なデータとして出力してもよい。
【0069】
ここでは、ある一日の合計動作時間を種別や結論ごとに柱状グラフで表示させている。このうち、下方のジョブ処理、ユーティリティ設定及びシステム設定は、正常に行われた有効作業(操作)時間である。なお、上述のように、基準時間に比してユーティリティ設定及びシステム設定の処理(操作時間)が長い場合には、その旨の結論が得られる。
【0070】
有効作業に含まれない部分については、ここでは、結論ごとに検出時間が表示されている。扉の開放など、必ずしも浪費時間とは限らない部分も含まれる。ここでは、設定値の機能認識不足による経過時間が比較的長いことが示されている。また、扉の開放や構成の取り外し時間も長い。後者については、扉やトレイなどを更に分離して示してもよく、その結果に応じて、記録媒体の補充に係る時間の長短や、ジャムなどのトラブルの発生頻度などが推測され得る。ユーザーや管理者は、これらの出力を視認することで、現在の作業の問題点を把握することができる。なお、複数の結論に跨る時間などについては、その旨分かるように別途表示してもよいし、当該複数の結論に係る表示の中間に表示して、両側に含めるように表示させてもよい。
【0071】
このような出力は、画像形成装置400で取得されて表示可能とされるだけでなく、サーバー装置100にネットワークを介して接続可能な(接続する権限を有している)コンピューター(PCなど)から取得可能であってよい。画像形成装置400の管理者などが、ユーザーごとに出力結果を取得、比較しながら各ユーザーの作業に係る課題などを知得して、フィードバックさせてもよい。
【0072】
以上のように、本実施形態のサーバー装置100は、画像形成装置400の動作履歴を取得する取得部(通信部130。制御部110を含めてもよい)と、取得した動作履歴を解析して、所定の非効率動作の出現状況に係る作業特性データを生成する解析部としての制御部110と、を備える。このように、画像形成装置400の操作履歴から非効率動作を検出することで、繰り返し各種設定がなされながら利用される画像形成装置400で表向き正常に動作しているとしても、実際には生じている非効率な動作についての情報を適切に得ることで、業務効率の改善などを図ることができる。画像形成装置による作業に係る改善点をより容易に得ることができ、これにより、業務効率の改善などを図ることができる。特に、サーバー装置100で画像形成装置400の作業特性を解析処理する際に、動作履歴データさえあればよいので、データのやり取りや処理が容易である。
【0073】
また、動作履歴には、画像形成装置400への入力操作の内容が含まれ、制御部110は、解析部として、入力操作の順番及び間隔に基づいて非効率動作を判断する。機械的な問題とは異なり、特にユーザーの操作に係る非効率の出現内容や度合は、各ユーザーの能力や個性などに応じて千差万別であるので、この評価を適切に得ることを可能とすることで、効果的に作業効率を改善しやすくなる。
【0074】
また、サーバー装置100は、非効率動作の動作パターンを特定動作パターンデータ124として記憶する記憶部120を備える。制御部110は、解析部として、動作履歴データ122から動作パターンと一致するものを検出する。
このように、通常生じる非効率な動作パターンはある程度限られているので、これらを予めリストデータとして記憶保持しておき単純に一致検索を行うことで、サーバー装置100では、容易な処理で非効率動作の出現度合とその出現状況を知得することができる。
【0075】
また、記憶部120は、特定動作パターンデータ124において、動作パターンと、当該動作パターンに対応する非効率動作に係る結論とを対応付けて記憶する。制御部110は、解析部として、非効率動作の出現状況と結論とを対応付けて含めた作業特性データを生成する。すなわち、ユーザーは、非効率動作の出現状況に応じた結論も併せて容易に得ることができるので、実際にどのような対処、努力をすることで効率が改善されるかを容易に知得することができる。
【0076】
また、画像形成装置400の動作設定には、表示画面に表示された選択ボタンの選択操作により表示され得る複数の受付画面内で更になされる操作に応じて行われるものが含まれ、動作パターンには、最終的な選択に係る操作の前に当該操作の受付画面を所定回数以上開閉する第1動作パターンが含まれる。記憶部120は、第1動作パターンに対応する結論として、操作画面で対象を見つけるのが不得手である旨記憶している。このように、目的とするサブウィンドウまでは到達するのに、目的とする操作がなかなか行われずにそのサブウィンドウの開閉が繰り返される場合には、ユーザーが概ね設定するサブウィンドウを認識しているにもかかわらず、見落としなどにより最終的な操作の受付位置にたどり着けていないことになる。これは、単にせっかちで見落としている場合、探し方にむらがある(例えば、行の頭と最後はよく見ているが、途中をよく見ていないなど)、などがあり得る。これらに対しては、初めから操作位置を完全に覚えてしまうか、より丁寧な探し方を心掛けるか、あるいは操作画面をカスタマイズして自身が探しやすいように調整するか、などの対処が考えられるので、ユーザーや職場の状況に応じて適切な対処がなされればよい。
【0077】
また、動作パターンには、最終的な選択に係る操作の前に当該操作の受付画面とは異なる受付画面を所定回数以上開閉する第2動作パターンが含まれ、記憶部120は、第2動作パターンに対する結論として、操作画面に係る知識が不足している旨記憶している。必要のないサブウィンドウを開閉するということは、各サブウィンドウの分類上の意味を理解しておらず、また、必要な操作の受付に係るサブウィンドウの位置を経験的にも覚えていないことになるので、根本的にUIに対する理解不足である。したがって、ユーザーは、必要な操作を行うためのサブウィンドウを暗記したり、各サブウィンドウの意味を理解して、少なくとも所望の内容に対応するサブウィンドウを選択可能としたりすることで、やみくもに不要なサブウィンドウを開いていくような手間を低減させることができる。
【0078】
また、入力操作の受付は、表示画面に重なって位置するタッチパネルにより行われるものを含み、動作パターンには、最終的な選択に係るタッチパネルへの入力操作の前に、選択の受付範囲の所定の近傍範囲を複数回タッチする第3動作パターンが含まれる。記憶部120は、第3動作パターンに対応する結論として、表示画面の表示位置とタッチパネルの操作受付範囲との間での調整が不良である旨を記憶している。
このように、明らかに不自然なタッチ操作が続けて受け入れられている場合には、ユーザーの問題よりはタッチパネルそのものの検出がおかしい可能性が高く、表示画面の表示とタッチパネルとの間の位置調整を促すことで、問題は解決される。なお、ユーザー固有の問題である場合もあり得るので(例えば、極端にタッチが粗く、タッチ位置に方向性がなく大きくぶれるなど)、タッチ位置間のむらや、複数のユーザー間での違いなどに応じて異なる動作パターン及び結論とされてもよい。
【0079】
また、動作パターンには、いずれかの操作のサブウィンドウが開かれてから所定の時間内に当該サブウィンドウを閉じる入力操作を行う第4動作パターンが含まれる。記憶部120は、第4動作パターンに対応する結論として、ユーザーの操作ミスである旨を記憶している。
このように、中身を十分に確認する間もなくサブウィンドウを閉じるということは、本来想定していたサブウィンドウとは異なるウィンドウが開かれたことが即座に判断されているということであり、すなわち、意図せず誤って異なるサブウィンドウを開いたことになるので、操作ミスとして結論される。このような操作ミスが多いということは、ユーザーによる入力操作のし方に問題があるか、きちんと画面を確認せずに入力操作を行う性格上の問題であると考えられるので、これらを指摘する結論とすることで、容易に業務効率の改善を図ることができる。
【0080】
また、動作パターンには、所定の設定パラメーターの値を一度変更させてからもとに戻す操作を行う第5動作パターンが含まれる。記憶部120は、第5動作パターンに対応する結論として、ユーザーが当該設定パラメーターの機能について理解不足である旨を記憶している。
このように設定を完全に元通りに戻す操作は、そもそも設定値の変更要否を認識せずに行っていることになるので、設定値の機能に関するユーザーの理解が不十分ということになる。したがって、その旨結論で示すことを可能とすることで、ユーザーに各機能のより正確な理解を促し、作業効率の改善だけでなく、より適切な画像出力を得ることを可能とすることもできる。
【0081】
また、制御部110は、解析部として、画像形成装置400のシステム設定を行う第1の時間(y)及びユーティリティ設定を行う第2の時間(z)を算出し、第1の時間(y)及び第2の時間(z)を管理作業の多寡を示す指標とする。管理作業のように、状況や立場によっては必須な作業に係る動作であっても、度合などによっては非効率さにつながるので、指標として出力することで、効率的な作業への改善につながり得る。
【0082】
また、制御部110は、解析部として、所定の構成に係る所定の基準時間内の作業が当該構成に係る入力操作の間に挟まれて行われる場合には、当該作業の時間及び前記入力操作の時間の合計を前記構成に係る作業時間として分類する。このように、タッチパネルなどへの操作と実際の構成の取り扱い作業とが一連のものである場合には、一括して取り扱うことで、適正に解析処理を行うことができる。特に、消耗品の交換や補充などに係る作業は、必要不可欠かつ専門性の低い業務なので、細かく分類せずにまとめた方が見やすい作業特性データを得ることができる。
【0083】
一方で、制御部110は、解析部として、所定の構成に係る入力操作の間に当該構成とは異なる分類の構成に係る作業がなされた場合には、当該作業の時間を前記所定の構成に係る操作の時間から除外する。このように、入力操作の間に行われる構成に係る作業であっても、入力操作と関連がない場合には、まとめると意味がないので、別の作業として取り扱う。すなわち、入力操作だけでなく、作業全般についても適切に分類して非効率動作に係る作業特性データを生成することができる。
【0084】
また、本実施形態の作業特性取得方法は、画像形成装置400の動作履歴を取得する取得ステップ、取得した動作履歴を解析して、所定の非効率動作の出現状況に係る作業特性データを生成する解析ステップ、を含む。このような作業特性取得方法により、画像形成装置400の使用に係る非効率動作の出現度合を適切に知得して作業効率の改善を図ることができる。
【0085】
また、本実施形態のプログラム121は、上記作業特性取得方法に係る処理をソフトウェア的にコンピューター(制御部110)に行わせることができる。よって、専用のハードウェアなどを必要とせずに容易に各画像形成装置400の作業に係る特性を取得することができる。また、外部機器(コンピューター)などでの複数の画像形成装置400の作業に係る特性の管理も容易となる。したがって、コストや手間の低減を図り、より効率的な作業への改善を図ることができる。
【0086】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、解析結果に係る作業特性データとともに結論を表示させることとしたが、上記のように適切に分類されていれば、この結論自体は必ずしも導くのが難しい内容ではないので、表示させないこととしてもよい。
【0087】
また、上記実施の形態では、管理設定操作を非効率動作になり得るものとして説明したが、管理設定操作については、非効率動作の検出対象から外してもよいし、反対に、管理設定操作は一律に非効率な動作であるものとみなしてもよい。
【0088】
また、上記実施の形態では、入力操作に限られず、構成(部品、消耗品)などに係る作業も含めて判定を行うこととしたが、入力操作にのみ限定して操作特性のデータを解析、取得することとしてもよい。
【0089】
また、上記実施の形態では、記憶部120に記憶された動作パターンと一致するものを非効率な動作パターンとして検出するものとして説明したが、この方法での検出に限られない。例えば、単純な一致不一致だけではなく、一致度合などに応じた定量評価により非効率の度合が示されてもよい。また、予め設定される動作パターンは、初期的なものに限られず、随時追加されてよい。追加の内容は、管理者などが適宜行ってもよいし、外部の専用サーバーから更新された特定動作パターンデータのファイルを定期的に取得するのであってもよい。また、動作履歴データ122の解析処理などにより所定の頻度以上で検出されるユーザーごとの癖のようなものがある場合には、これらを非効率動作の候補として管理者などに提案可能であってもよい。
【0090】
また、上記実施形態の図5で示したような出力画面はの例は、一例であり、このような出力に限られない。単純に数値などが表などで示されてもよいし、複数日分のデータ(値の変化)が折れ線グラフなどで示されてもよい。あるいは、複数のユーザーの作業特性が比較可能に配列されてもよい。
【0091】
また、上記実施の形態で示した非効率動作は、タッチパネルの複数の表示画面、特に、サブウィンドウを開いて行うものを前提として説明したが、これに限られない。入力操作はテンキーやキーボードなどで行われてもよく、この場合には、第3動作パターンなどは生じないが、特定動作パターンデータ124は変更されてもよいし、そのまま維持されても問題はない。また、上記ではサブウィンドウを表示させるものとして説明したが、サブウィンドウは、メインウィンドウの代わりに表示されるものであっても、メインウィンドウ上の一部を覆って表示されるものであってもよい。また、一時的に選択肢の表示がなされる形態であれば、プルダウンメニューなどが含まれてもよい。また、そもそも全ての設定受付内容が初めからメインウィンドウに表示されている場合には、第1、2動作パターンなどは生じない。第4動作パターンに係る操作ミスは、いずれにせよ生じ得るので、検出基準が変更されてもよい。その他、低効率な動作パターンは、入力可能な設定内容や操作受付方法などに応じて様々に生じ得るので、上記実施の形態に示したものに限られない。適宜追加されてよい。
【0092】
また、上記実施の形態では、サーバー装置100で複数の画像形成装置400に係る作業特性データの生成や出力が可能とされたが、これに限られない。画像形成装置400自体でこの処理が行われてもよいし、画像形成装置400ごとに各々別個のコンピューターでこの処理が行われてもよい。また、この処理は、1台のコンピューターでプログラム121により行われるものに限られない。複数台で分散処理されてもよいし、各コンピューターで行われた処理データが単一のサーバーなどに集約されてもよい。
【0093】
また、上記実施の形態では、画像形成装置400からサーバー装置100への動作履歴データの送信は、画像形成装置400の側の制御に基づいて行われるものとして説明したが、サーバー装置100から定期的に画像形成装置400へ動作履歴データを送信するように要求してもよい。
【0094】
また、画像形成装置400は、電子写真方式のものに限られない。インクジェット方式の画像形成装置など他のものであってもよい。
【0095】
また、以上の説明では、本発明の作業特性の取得制御に係るプログラム121を記憶するコンピューター読み取り可能な媒体としてHDDや、フラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーなどからなる記憶部120を例に挙げて説明したが、これらに限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、MRAMなどの他の不揮発性メモリーや、CD-ROM、DVDディスクなどの可搬型記憶媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、処理動作の内容及び手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載した発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0096】
100 サーバー装置
110 制御部
111 CPU
112 RAM
120 記憶部
121 プログラム
122 動作履歴データ
123 動作解析データ
124 特定動作パターンデータ
130 通信部
400 画像形成装置
410 制御部
411 CPU
412 RAM
420 記憶部
421 プログラム
422 ジョブデータ
423 動作履歴データ
430 通信部
440 インターフェイス
451 表示部
452 操作受付部
460 形成動作部
470 画像読取部
図1
図2
図3
図4
図5