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特許7524647材料送出装置、三次元造形装置、及び、射出成形装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】材料送出装置、三次元造形装置、及び、射出成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/42 20060101AFI20240723BHJP
   B29C 45/54 20060101ALI20240723BHJP
   B29C 48/47 20190101ALI20240723BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20240723BHJP
   B29C 64/205 20170101ALI20240723BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240723BHJP
【FI】
B29B7/42
B29C45/54
B29C48/47
B29C64/118
B29C64/205
B33Y30/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020124262
(22)【出願日】2020-07-21
(65)【公開番号】P2022020960
(43)【公開日】2022-02-02
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】丸山 英伸
(72)【発明者】
【氏名】宮下 大地
(72)【発明者】
【氏名】田中 泰幸
【審査官】隅川 佳星
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-259919(JP,A)
【文献】特開平06-031764(JP,A)
【文献】特開2010-241016(JP,A)
【文献】特開2020-075397(JP,A)
【文献】国際公開第2003/016021(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/210183(WO,A1)
【文献】中国実用新案第201023294(CN,Y)
【文献】中国実用新案第203831776(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第110315745(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/42
B29C 45/00 - 45/84
48/00 - 48/96
B29C 64/00 - 64/40
B33Y 10/00 - 99/00
G01L 7/00 - 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリューを有し、前記スクリューの回転によって材料を可塑化して可塑化材料を生成
する可塑化部と、
前記可塑化材料を外部に送出するノズルと、
前記ノズルに連通し、前記可塑化材料が流れる連通流路と、
前記連通流路に接続される第1シリンダー、前記第1シリンダー内に挿入されるロッド
、及び、前記ロッドを介して前記連通流路内の前記可塑化材料の圧力を検出する圧力セン
サーを有する圧力検出部と、を備え、
前記ロッドは、前記ロッドの長手方向において、前記連通流路に面する第1端面、及び
、前記第1端面と反対側の第2端面を有し、前記連通流路内の前記可塑化材料の圧力を前
記第1端面で受けて、前記第2端面を介して前記圧力センサーに前記圧力を伝達し、
前記ロッドの側面に設けられた第1係合部、及び、前記第1係合部に係合する第2係合
部を有し、前記第1係合部と前記第2係合部との係合によって、前記ロッドが前記ロッド
の長手方向に沿った中心軸を中心に回転することを規制する回転規制機構を更に備え、
前記第1端面は、前記連通流路の前記第1シリンダーが接続された内壁面に沿った形状
を有する、
材料送出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の材料送出装置であって、
前記連通流路は、前記連通流路に沿って見たときに円形状を有し、前記第1端面は、前
記連通流路に沿って見たときに前記連通流路の円周の一部と対応する円弧形状を有する、
材料送出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の材料送出装置であって、
前記第1端面に前記圧力がかかっていない状態において、前記第1端面と前記内壁面と
は同一面上に位置している、
材料送出装置。
【請求項4】
スクリューを有し、前記スクリューの回転によって材料を可塑化して可塑化材料を生成
する可塑化部と、
前記可塑化材料を外部に送出するノズルと、
前記ノズルに連通し、前記可塑化材料が流れる連通流路と、
前記連通流路に接続される第1シリンダー、前記第1シリンダー内に挿入されるロッド
、及び、前記ロッドを介して前記連通流路内の前記可塑化材料の圧力を検出する圧力セン
サーを有する圧力検出部と、を備え、
前記ロッドは、前記ロッドの長手方向において、前記連通流路に面する第1端面、及び
、前記第1端面と反対側の第2端面を有し、前記連通流路内の前記可塑化材料の圧力を前
記第1端面で受けて、前記第2端面を介して前記圧力センサーに前記圧力を伝達し、
前記ロッドの側面に設けられた第1係合部、及び、前記第1係合部に係合する第2係合
部を有し、前記第1係合部と前記第2係合部との係合によって、前記ロッドが前記ロッド
の長手方向に沿った中心軸を中心に回転することを規制する回転規制機構を更に備え、
前記スクリューは、溝が形成された溝形成面を有し、
前記可塑化部は、前記溝形成面に対向する対向面を有するバレルを有し、
前記バレルには、前記連通流路の少なくとも一部を形成する連通孔が設けられ、
前記第1シリンダーは、前記連通孔に接続されている、
材料送出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の材料送出装置であって、
前記可塑化部は、
前記溝形成面に沿った方向において、前記連通孔よりも前記バレルの外周部に近い領
域を冷却する冷却部と、
前記バレルと前記スクリューとの間に供給された材料を加熱する加熱部と、を有し、
前記圧力センサーは、前記加熱部よりも前記冷却部に近い位置に配置される、
材料送出装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の材料送出装置であって、
前記回転規制機構は、前記長手方向において、前記第2端面よりも前記第1端面に近い
位置に設けられている、
材料送出装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の材料送出装置であって、
前記第1係合部は、前記ロッドから前記長手方向と交差する方向に突出する凸部を有し

前記第2係合部は、前記長手方向において前記圧力センサーに向かって開口する凹部を
有し、
前記凸部が前記凹部に嵌合することによって、前記第1係合部と前記第2係合部とが係
合する、
材料送出装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の材料送出装置であって、
前記長手方向において、前記第1シリンダーと前記圧力センサーとの間に、前記ロッド
を支持する支持部を備え、
前記第2係合部は、前記支持部に設けられている、
材料送出装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の材料送出装置であって、
前記第2係合部は、前記第1シリンダーに設けられている、
材料送出装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の材料送出装置と、
前記ノズルから送出される前記可塑化材料を堆積するステージと、を備える、三次元造
形装置。
【請求項11】
スクリューを有し、前記スクリューの回転によって材料を可塑化して可塑化材料を生成
する可塑化部と、
前記可塑化材料を外部に送出するノズルと、
前記ノズルに連通し、前記可塑化材料が流れる連通流路と、
前記連通流路に接続される第1シリンダー、前記第1シリンダー内に挿入されるロッド
、及び、前記ロッドを介して前記連通流路内の前記可塑化材料の圧力を検出する圧力セン
サーを有する圧力検出部と、
前記連通流路に接続される第2シリンダー、及び、前記第2シリンダー内を移動するプ
ランジャーを有し、前記第2シリンダー内に前記可塑化材料を計量し、計量した前記可塑
化材料を前記ノズルに向かって送出する射出制御部と、を備え、
前記ロッドは、前記ロッドの長手方向において、前記連通流路に面する第1端面、及び
、前記第1端面と反対側の第2端面を有し、前記連通流路内の前記可塑化材料の圧力を前
記第1端面で受けて、前記第2端面を介して前記圧力センサーに前記圧力を伝達し、
前記ロッドの側面に設けられた第1係合部、及び、前記第1係合部に係合する第2係合
部を有し、前記第1係合部と前記第2係合部との係合によって、前記ロッドが前記ロッド
の長手方向に沿った中心軸を中心に回転することを規制する回転規制機構を更に備える、
射出成形装置。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載の材料送出装置と、
前記ノズルから前記可塑化材料が送出される成形型の開閉を行う型締め装置と、を備え
る、
射出成形装置。
【請求項13】
請求項11に記載の射出成形装置であって、
前記第2シリンダーは、前記連通流路において、前記連通流路と前記第1シリンダーと
の接続部よりも上流に接続されている、
射出成形装置。
【請求項14】
請求項11に記載の射出成形装置であって、
前記第2シリンダーは、前記連通流路において、前記連通流路と前記第1シリンダーと
の接続部よりも下流に接続されている、
射出成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、材料送出装置、三次元造形装置、及び、射出成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形装置に関して、特許文献1には、プランジャーによって金型に注入される注入樹脂の圧力を圧力検出手段によって検出し、検出した圧力に基づいてプランジャーの位置をフィードバック制御することで、注入樹脂の圧力を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平06-198689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、装置の流路等における樹脂の圧力に基づいて、プランジャー等の機構を制御することで、樹脂の注入不足等による成形不良を抑制できる。ここで、例えば、圧力の検出位置の近くに熱源が設けられている場合等に、検出位置から離れた位置に圧力センサーを配置し、検出位置と圧力センサーとの間に配置されたロッドを介して、樹脂の圧力を測定する場合がある。しかしながら、この場合、圧力検出中に、ロッドが長手方向の軸を中心に回転し、ロッドの先端の形状によっては、検出位置における樹脂の流れを阻害する可能性があった。このような課題は、射出成形装置に限らず、上述したような圧力センサーを備える材料送出装置や、三次元造形装置等にも共通する課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、材料送出装置が提供される。この材料送出装置は、スクリューを有し、前記スクリューの回転によって材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、前記可塑化材料を外部に送出するノズルと、前記スクリューと前記ノズルとの間に設けられ、前記可塑化材料が流れる連通流路と、前記連通流路に接続される第1シリンダー、前記第1シリンダー内に挿入されるロッド、及び、前記連通流路から前記ロッドを隔てて配置される圧力センサーを有する圧力検出部と、を備え、前記ロッドは、前記ロッドの長手方向において、前記連通流路に面する第1端面、及び、前記第1端面と反対側の第2端面を有し、前記連通流路内の前記可塑化材料の圧力を前記第1端面で受けて、前記第2端面を介して前記圧力センサーに前記圧力を伝達し、前記ロッドの側面に設けられた第1係合部、及び、前記第1係合部に係合する第2係合部を有し、前記第1係合部と前記第2係合部との係合によって、前記ロッドが前記ロッドの長手方向に沿った中心軸を中心に回転することを規制する回転規制機構を更に備える。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、三次元造形装置が提供される。この三次元造形装置は、上記第1の形態の材料送出装置と、前記ノズルから送出される前記可塑化材料を堆積するステージと、を備える。
【0007】
本開示の第3の形態によれば、射出成形装置が提供される。この射出成形装置は、上記第1の形態の材料送出装置と、前記連通流路に接続される第2シリンダー、及び、前記第2シリンダー内を移動するプランジャーを有し、前記第2シリンダー内に前記可塑化材料を計量し、計量した前記可塑化材料を前記ノズルに向かって送出する射出制御部と、前記ノズルから前記可塑化材料を送出される成形型と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の射出成形装置の概略構成を示す図である。
図2】第1実施形態の射出成形装置の概略構成を示す断面図である。
図3】スクリューの溝形成面側の構成を示す斜視図である。
図4】バレルの対向面側の構成を示す説明図である。
図5】第1実施形態における圧力検出部の概略構成を示す図である。
図6】第1実施形態における回転規制機構の構成を示す斜視図である。
図7】連通孔の平面図である。
図8】ロッドの回転を説明する図である。
図9】第2実施形態における圧力検出部の概略構成を示す図である。
図10】第2実施形態における回転規制機構の構成を示す斜視図である。
図11】第3実施形態における圧力検出部の概略構成を示す図である。
図12】第4実施形態における圧力検出部の概略構成を示す図である。
図13】第5実施形態としての三次元造形装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1は、本実施形態における射出成形装置100の概略構成を示す図である。図1には、互いに直交するX,Y,Z方向に沿った矢印が表されている。X,Y,Z方向は、互いに直交する3つの空間軸であるX軸、Y軸、Z軸に沿った方向であり、それぞれ、X軸、Y軸、Z軸に沿う一方側の方向と、その反対方向とを両方含む。X軸およびY軸は、水平面に沿った軸であり、Z軸は、鉛直線に沿った軸である。他の図においても、X,Y,Z方向に沿った矢印が、適宜、表されている。図1におけるX,Y,Z方向と、他の図におけるX,Y,Z方向とは、同じ方向を表している。
【0010】
射出成形装置100は、射出ユニット105と、材料供給部110と、型部260と、型締装置270と、制御部500とを備えている。射出成形装置100は、射出ユニット105によって、材料供給部110から供給される材料を可塑化して可塑化材料を生成し、可塑化材料を型部260へと射出して成形品を成形する。
【0011】
図2は、射出成形装置100の概略構成を示す断面図である。図2には、射出成形装置100の、射出ユニット105と、型部260と、型締装置270と、制御部500とが、示されている。射出ユニット105は、材料送出装置115と、射出制御部250とを備えている。材料送出装置115は、可塑化部120と、ノズル156と、圧力検出部200とを備えている。
【0012】
図1に示した材料供給部110は、図2に示した可塑化部120に連通している。材料供給部110は、材料送出装置115の可塑化部120に材料を供給する。本実施形態では、材料供給部110は、ホッパーによって構成されている。材料供給部110には、ペレットや粉末等の状態の材料が収容される。本実施形態では、材料供給部110には、材料として、ペレット状に形成されたABS樹脂が貯留されている。
【0013】
図2に示すように、可塑化部120は、スクリューケース121と、駆動モーター122と、スクリュー130と、バレル140と、逆止弁149と、冷却部160と、加熱部170とを備えている。可塑化部120は、材料供給部110から供給された材料の少なくとも一部を可塑化し、流動性を有するペースト状の可塑化材料を生成して射出制御部250へと導く。「可塑化」とは、熱可塑性を有する材料が、ガラス転移点以上の温度に加熱されることにより軟化し、流動性を発現することを意味する。「溶融」とは、熱可塑性を有する材料が融点以上の温度に加熱されて液状になることのみならず、熱可塑性を有する材料が可塑化することをも意味する。なお、本実施形態のスクリュー130のことを、「フラットスクリュー」や「スクロール」と呼ぶこともある。
【0014】
スクリュー130は、そのスクリュー中心軸AXに沿った方向の寸法が直径よりも小さい略円柱形状を有している。スクリュー130は、スクリューケース121とバレル140とによって囲まれた空間に収容されている。スクリュー130は、バレル140に対向する面に、溝部135が設けられた溝形成面132を有している。具体的には、スクリュー130の溝形成面132は、バレル140の対向面142と対向する。溝形成面132には、曲線状の凸条部136が形成されている。なお、スクリュー中心軸AXを、スクリュー130の回転軸と呼ぶこともある。図2において、スクリュー中心軸AXは一点鎖線で示されている。
【0015】
スクリュー130の、溝形成面132とは反対側の面には、駆動モーター122が接続されている。スクリュー130は、駆動モーター122が発生させるトルクによって、回転軸であるスクリュー中心軸AXを中心に回転する。駆動モーター122は、制御部500の制御下で駆動される。なお、駆動モーター122は、直接、スクリュー130と接続されていなくてもよい。例えば、スクリュー130と駆動モーター122とは、減速機を介して接続されていてもよい。この場合、例えば、遊星歯車機構を有する減速機の遊星ギアに駆動モーター122が接続され、太陽ギアにスクリュー130が接続されていてもよい。
【0016】
図3は、スクリュー130の溝形成面132側の構成を示す斜視図である。図3には、スクリュー130のスクリュー中心軸AXの位置が一点鎖線で示されている。上述したように、溝形成面132には、溝部135が設けられている。
【0017】
スクリュー130の溝部135は、いわゆるスクロール溝を構成する。溝部135は、中央部137から、スクリュー130の外周に向かって弧を描くように渦状に延びている。溝部135は、インボリュート曲線状や、螺旋状に延びるように構成されてもよい。溝形成面132には、溝部135の側壁部を構成し、各溝部135に沿って延びている凸条部136が設けられている。溝部135は、スクリュー130のスクリュー側面133に設けられた材料導入口134まで連続している。この材料導入口134は、溝部135に材料を受け入れる部分である。材料供給部110から供給された材料は、材料導入口134を介して、スクリュー130とバレル140との間に供給される。
【0018】
スクリュー130の溝形成面132の中央部137は、溝部135の一端が接続されている窪みとして構成されている。中央部137は、図2に示すように、後述する、バレル140の対向面142に設けられた連通孔146に対向する。中央部137は、スクリュー中心軸AXと交差する。
【0019】
本実施形態のスクリュー130は、中央部137に、連通孔146に向けて突出する滞留抑制部138を備えている。本実施形態では、滞留抑制部138は、略円錐状の形状を有しており、滞留抑制部138の中心軸は、スクリュー130のスクリュー中心軸AXと略一致する。滞留抑制部138の先端は、対向面142の連通孔146の開口端よりも、連通孔146の内部に配置されている。滞留抑制部138によって中央部137内の可塑化材料は、効率よく連通孔146へと導かれるため、中央部137における可塑化材料の滞留が防止される。
【0020】
図3には、3つの溝部135と、3つの凸条部136と、を有するスクリュー130の例が示されている。スクリュー130に設けられる溝部135や凸条部136の数は、3つには限定されない。スクリュー130には、1つの溝部135のみが設けられていてもよいし、2以上の複数の溝部135が設けられていてもよい。また、溝部135の数に合わせて任意の数の凸条部136が設けられてもよい。
【0021】
図3には、材料導入口134が3箇所に形成されているスクリュー130の例が図示されている。スクリュー130に設けられる材料導入口134の数は、3箇所に限定されない。スクリュー130には、材料導入口134が1箇所にのみ設けられていてもよいし、2箇所以上の複数の箇所に設けられていてもよい。
【0022】
図4は、バレル140の対向面142側の構成を示す説明図である。上述したように、対向面142は、スクリュー130の溝形成面132に対向する面である。対向面142の中央には、図2に示したノズル156に連通する連通孔146が設けられている。連通孔146は、連通流路180の少なくとも一部を形成する。連通流路180は、スクリュー130とノズル156との間に設けられる流路である。連通流路180はノズル156と連通する。可塑化部120によって生成された可塑化材料は、連通流路180内を流れ、ノズル156へと供給される。なお、本実施形態では、連通孔146は、連通流路180の全部を形成している。
【0023】
対向面142における連通孔146の周りには、複数の案内溝144が設けられている。それぞれの案内溝144は、一端が連通孔146に接続され、連通孔146から渦状に延びている。それぞれの案内溝144は、可塑化材料を連通孔146に導く機能を有している。なお、バレル140に案内溝144が形成されていなくてもよい。
【0024】
加熱部170は、スクリュー130とバレル140との間に供給された材料を加熱する。加熱部170は、バレル140に設けられている。本実施形態では、加熱部170は、バレル140に埋設され、X方向を長手方向として配置された2本の棒状のヒーターによって構成されている。加熱部170の出力は、制御部500によって制御される。なお、他の実施形態では、加熱部170は、例えば、バレル140に埋設されることなくバレル140に接して設けられていてもよいし、スクリュー130に設けられていてもよい。
【0025】
図2に示すように、冷却部160は、溝形成面に沿ったX方向およびZ方向において、可塑化部120の、連通孔146よりもバレル140の外周部に近い領域を冷却する。本実施形態の冷却部160は、流路溝129と冷却板165とによって画定される冷媒流路によって構成されている。流路溝129は、スクリュー130の円周方向に沿って、スクリューケース121の+Y方向の面に開口して設けられた溝である。冷却板165は、スクリューケース121とバレル140との間に配置される平板状の部材である。具体的には、冷却板165は、流路溝129を+Y方向から封止するように、ボルトによって、スクリューケース121に固定されている。冷却部160は、例えば、図示しないポンプ等によって、冷媒流路内に水等の冷媒を流通させ、可塑化部120を冷却する。なお、冷却部160は、冷媒を冷却するための冷凍機や、冷媒を冷媒流路内で循環させるための循環装置等を備えていてもよい。また、他の実施形態では、冷却部160は、例えば、スクリュー130やバレル140内に設けられた冷媒流路等として形成されていてもよい。冷却部160における冷媒の流通は制御部500によって制御される。制御部500は、例えば、上述したポンプや、冷凍機、循環装置等の駆動を制御することによって、冷却部160における冷媒の流通を制御する。
【0026】
可塑化部120は、上述したスクリュー130、バレル140および加熱部170によって、スクリュー130とバレル140との間に供給された材料を連通孔146に向かって搬送しながら加熱して可塑化材料を生成し、生成した可塑化材料を、連通孔146を介してノズル156へと供給する。具体的には、可塑化部120によって可塑化された可塑化材料は、射出制御部250によって計量され、ノズル156へと供給される。
【0027】
逆止弁149は、連通孔146内に設けられている。逆止弁149は、連通孔146からスクリュー130の中央部137や溝部135への、可塑化材料の逆流を抑制する。
【0028】
圧力検出部200は、第1シリンダー210と、ロッド201と、センサー部220と、センサーケース225と、支持部230とを備えている。第1シリンダー210は、連通流路180に接続されている。すなわち、本実施形態では、第1シリンダー210は、連通孔146に接続されている。ロッド201は、第1シリンダー210内に挿入されている。圧力検出部200は、ロッド201を介して、センサー部220によって、連通流路180内の可塑化材料の圧力を検出する。なお、センサー部220によって検出された圧力は、図示しない配線を介して、電気信号として制御部500へと送られる。圧力検出部200の構成の詳細については、後述する。
【0029】
射出制御部250は、第2シリンダー251と、プランジャー252と、プランジャー駆動部253とを、備えている。第2シリンダー251は、連通流路180に接続されている。すなわち、本実施形態では、第2シリンダー251は、連通孔146に接続されている。本実施形態の第2シリンダー251は、連通流路180において、連通流路180と第1シリンダー210との接続部よりも上流に接続されている。従って、本実施形態では、第1シリンダー210およびロッド201は、連通流路180において、連通流路180と第2シリンダー251との接続部よりも下流に位置している。プランジャー252は、第2シリンダー251の内部を移動する。プランジャー252は、モーターやギア等によって構成されたプランジャー駆動部253により駆動される。プランジャー駆動部253は、制御部500によって制御される。
【0030】
射出制御部250は、制御部500の制御下で、プランジャー252を第2シリンダー251内で摺動させることによって、計量操作と射出操作とを実行する。計量操作とは、連通流路180から離れる-X方向にプランジャー252を移動させることによって、連通流路180内の可塑化材料を第2シリンダー251内へと導いて、第2シリンダー251内に可塑化材料を計量する操作を指す。射出操作とは、連通流路180へ近付く+X方向にプランジャー252を移動させることによって、第2シリンダー251内の可塑化材料を、ノズル156を介して成形型に射出する操作を指す。なお、連通流路180から離れる方向にプランジャー252が移動することを、「プランジャー252の後退」と呼ぶこともある。また、連通流路180へ近付く方向にプランジャー252が移動することを、「プランジャー252の前進」と呼ぶこともある。
【0031】
ノズル156は、上述したように、連通流路180と連通している。材料送出装置115は、ノズル156を介して、可塑化部120によって可塑化された可塑化材料を、材料送出装置115外へと送出する。本実施形態では、上述した射出制御部250による計量操作と射出操作とが実行されることで、第2シリンダー251内で計量された可塑化材料が、射出制御部250から連通孔146を介してノズル156へと送られ、ノズル156から型部260へと射出される。
【0032】
型部260は、成形型261を有している。ノズル156へと送られた可塑化材料は、ノズル156から成形型261のキャビティーCvへと射出される。具体的には、成形型261は、互いに対面する可動型262および固定型263を有し、両者の間にキャビティーCvを有している。キャビティーCvは、成形品の形状に相当する空間である。本実施形態では、可動型262および固定型263は、金属材料によって形成されている。尚、可動型262および固定型263は、セラミックス材料や樹脂材料によって形成されてもよい。
【0033】
型締装置270は、型駆動部271と、ボールネジ部272とを備えている。型駆動部271は、モーターやギア等によって構成され、ボールネジ部272を介して可動型262に接続されている。型駆動部271の駆動は、制御部500によって制御される。ボールネジ部272は、型駆動部271の駆動による動力を可動型262に伝達する。型締装置270は、制御部500の制御下で、型駆動部271およびボールネジ部272によって可動型262を移動させることによって、型部260の開閉を行う。
【0034】
制御部500は、射出ユニット105や型締装置270の制御を行う装置である。制御部500は、例えば、1以上のプロセッサーと主記憶装置と入出力インターフェースとを備えるコンピューターや、複数の回路の組み合わせによって構成される。
【0035】
制御部500は、上述した射出ユニット105と、型締装置270とを、制御することによって、成形品を成形するための射出成形処理を実行する。制御部500は、射出成形処理において、上述した圧力検出部200によって検出された連通流路180内の可塑化材料の圧力に基づいて、射出制御部250や型締装置270等を制御できる。連通流路180内の可塑化材料の圧力は、例えば、可塑化部120によって生成される可塑化材料の量や状態の変化によって変化する。また、型部260のキャビティーCvの形状によって変化する場合もある。例えば、型部260へ射出された可塑化材料がキャビティーCvの小さい流路断面積を有する部分を通る場合、可塑化材料がキャビティーCvの大きい流路断面積を有する部分を通る場合と比べ、連通流路180内の可塑化材料の圧力は大きくなる。
【0036】
制御部500は、例えば、射出成形処理において計量操作を行う際、連通流路180内の可塑化材料の圧力に応じて、プランジャー252を後退させる速さを調整することで、第2シリンダー251に過剰な可塑化材料が引き込まれることや、第2シリンダー251内の可塑化材料に空気が混入することを抑制できる。また、制御部500は、例えば、射出成形処理において射出操作を行う際、連通流路180内の可塑化材料の圧力に応じて、プランジャー252を前進させる速さを調整することで、型部260に射出する可塑化材料の射出量の不足や、可塑化材料が過剰な圧力で型部260に射出されることによる残留応力の発生を抑制できる。更に、制御部500は、例えば、圧力検出部200によって検出された圧力に応じて、可塑化部120の駆動モーター122の回転数や、冷却部160の出力、加熱部170の出力等を調整してもよいし、型締装置270を駆動させる速さや時間等を調整してもよい。このように、圧力検出部200によって検出された圧力に応じて射出ユニット105や型締装置270を制御することで、連通流路180内の可塑化材料の圧力が変化する場合であっても、成形品の強度や品質を高めることができる。なお、制御部500は、圧力検出部200によって検出された圧力そのものに応じて射出ユニット105等を制御する他、例えば、圧力検出部200によって検出された圧力に統計処理等を施すことによって算出した圧力に基づいて、射出ユニット105等を制御してもよい。
【0037】
図5は、圧力検出部200の概略構成を示す図である。本実施形態の第1シリンダー210は、X方向に沿ってバレル140に設けられ、バレル140の側面と連通孔146の内壁とに開口を有する孔である。第1シリンダー210のX方向に垂直な断面は、円形状を有している。なお、他の実施形態では、第1シリンダー210は、例えば、バレル140の側面と連通孔146の内壁とに開口を有する筒状の部材によって構成されていてもよい。
【0038】
ロッド201は、第1シリンダー210内に挿入される軸状の部材である。ロッド201は、第1シリンダー210に沿って、X方向を長手方向として配置されている。ロッド201は、X方向において、第1端面203と、第1端面203と反対側の第2端面204とを有している。第1端面203は、ロッド201の連通流路180、すなわち、連通孔146に面する端面である。なお、ロッド201が第1シリンダー210に挿入されることによって、ロッド201と第1シリンダー210との間は、少なくとも第1シリンダー210を介して可塑化材料が外部に漏出しない程度に液密に保たれる。
【0039】
センサー部220は、連通流路180から、X方向にロッド201を隔てて配置されている。本実施形態のセンサー部220は、ロッド201の-X方向に、ロッド201との間に隙間を有することなく、ロッド201と隣り合って配置されている。具体的には、センサー部220は、センサーケース225内の空間であるセンサー保持部226に支持されている。センサーケース225は、射出成形装置100の側面部101に、ボルトを介して固定されている。センサーケース225およびセンサー部220と、バレル140との間には、空隙Gp1と空隙Gp2とが形成されている。空隙Gp1は、バレル140と側面部101との間に形成された空隙であり、空隙Gp2は、側面部101とセンサーケース225およびセンサー部220との間に形成された空間である。これらの空隙によって、加熱部170による加熱の熱的影響がセンサー部220に及ぶことが抑制され、熱的影響によってセンサー部220の圧力検出精度が低下することが抑制される。なお、本実施形態では、空隙Gp1と空隙Gp2とが形成されているため、例えば、バレル140とセンサーケース225およびセンサー部220との間にいずれか一方のみの空隙が形成されている場合と比較して、センサー部220への熱的影響が、より抑制される。
【0040】
本実施形態のセンサー部220は、上述した加熱部170よりも、冷却部160に近い位置に配置されている。具体的には、センサー部220と加熱部170との間の最短距離よりも、センサー部220と冷却部160との間の最短距離の方が小さい。これによって、センサー部220が冷却部160よりも加熱部170に近い位置に配置されている場合と比較して、加熱部170による熱がセンサー部220へ伝達されにくくなり、かつ、冷却部160によってセンサー部220が冷却されやすくなるため、加熱部170によるセンサー部220への熱的影響が更に抑制される。なお、可塑化部120が複数の冷却部160や複数の加熱部170を備えている場合、センサー部220に最も近い冷却部160とセンサー部220との間の最短距離が、センサー部220に最も近い加熱部170とセンサー部220との間の最短距離よりも小さければよい。
【0041】
本実施形態のセンサー部220は、水晶を有する圧力センサーによって構成されている。センサー部220は、水晶の圧電効果を利用して、センサー部220が受けた圧力を電気信号として検出する。センサー部220は、例えば、他の圧電素子を有する圧力センサーによって構成されていてもよいし、静電容量式の圧力センサー等によって構成されていてもよい。
【0042】
ロッド201は、その第1端面203で、連通流路180内の可塑化材料の圧力を受けることで、長手方向に沿ってセンサー部220に向かって付勢される。これによって、ロッド201の第2端面204がセンサー部220に押しつけられ、ロッド201が第1端面203において受けた圧力が、第2端面204を介してセンサー部220へと伝達される。そして、センサー部220は、ロッド201を介して伝達された圧力を検出する。このようにして、圧力検出部200は、ロッド201を介して、センサー部220によって、連通流路180内の可塑化材料の圧力を検出する。
【0043】
支持部230は、X方向において、第1シリンダー210とセンサー部220との間に設けられている。支持部230は、直方体形状を有しており、バレル140の+Y方向から、ボルトを介してバレル140に固定されている。支持部230には、支持部230をX方向に沿って貫通し、ロッド201が挿通される貫通孔231が形成されている。本実施形態の支持部230は、貫通孔231に挿通されたロッド201を、貫通孔231に対して摺動可能に支持する。
【0044】
図5に示すように、材料送出装置115は、回転規制機構240を備えている。回転規制機構240は、ロッド201の側面に設けられた第1係合部241と、第1係合部241とロッド201の周方向に係合する第2係合部242とを有している。回転規制機構240は、第1係合部241と第2係合部242との係合によって、ロッド201が中心軸RXを中心に回転することを規制する。中心軸RXは、ロッド201の長手方向に沿った中心軸である。本実施形態では、第2係合部242は、上述した支持部230に設けられている。
【0045】
図6は、本実施形態の回転規制機構240の構成を示す斜視図である。図5および図6に示すように、本実施形態の第1係合部241は、ロッド201からロッド201の長手方向と交差する方向に突出する凸部を有している。具体的には、第1係合部241は、ロッド201の長手方向における途中部分に、ロッド201からロッド201の長手方向と垂直な全方向に突出する部分として形成されている。すなわち、本実施形態の第1係合部241は、ロッド201のX方向における途中に形成された鍔状の部分である。第1係合部241は、X方向に沿って見たときに、アルファベットのD字形状を有している。すなわち、第1係合部241の外縁は、円弧形状と、円弧形状の両端を結ぶ直線形状と、によって構成されている。本実施形態では、例えば、第1係合部241を、円形状の断面を有する鍔部を形成した後に、鍔部がD字形状となるように鍔部の一部を直線的にカットすることで、容易に形成できる。
【0046】
本実施形態の第2係合部242は、第1係合部241の凸部とロッド201の周方向に係合し、X方向においてセンサー部220に向かって開口する凹部を有している。具体的には、第2係合部242は、支持部230に設けられた貫通孔231の-X方向の端部に、-X方向に向かって開口するように形成された、第1係合部241が嵌合可能な窪みである。第2係合部242は、第1係合部241に対応する形状と寸法とを有している。従って、第2係合部242の外縁は、第1係合部241と同様に、X方向に沿って見たときに、D字形状を有している。
【0047】
図5および図6に示すように、ロッド201が支持部230の貫通孔231に挿通され、第1シリンダー210に挿入されることによって、第1係合部241が第2係合部242と-X方向から嵌合する。これによって、第2係合部242が、第1係合部241とロッド201の周方向に係合し、ロッド201が中心軸RXを中心に回転することが規制される。本実施形態では、第1係合部241および第2係合部242が、X方向に沿って見たときにD字形状を有しており、X方向に沿って見たときに両者が円弧状に形成されている部分において、両者間の摩擦が低減されるため、ロッド201による圧力の伝達性が良好に保たれ、かつ、ロッド201の回転が規制される。また、第1係合部241が第2係合部242と-X方向から嵌合することによって、ロッド201の+X方向への移動が規制されるため、ロッド201が連通流路180に突出することが抑制される。
【0048】
図7は、連通孔146を+Y方向から見たときの平面図である。なお、図7では、構成の理解を容易にするため、ノズル156等、バレル140よりも+Y方向に位置する部材は省略されている。また、図7では、ロッド201および第1シリンダー210が太線によって示され、ロッド201および第1シリンダー210のうち、バレル140と重なって視認できない部分の一部が破線によって示されている。更に、図7では、連通孔146が形成されている部分に網点模様のハッチングが付されている。図7に示すように、ロッド201の第1端面203は、連通流路180の第1シリンダー210が接続された内壁面181に沿った形状を有している。具体的には、内壁面181は円柱形状を有する連通流路180の側面の一部を形成する曲面形状を有しており、第1端面203は内壁面181に沿って、円柱形状の側面の一部を形成する曲面形状を有している。従って、連通流路180に沿って、すなわち、Y方向に沿って見たときに、連通流路180は円形状を有し、第1端面203は連通流路180の円周の一部と対応する円弧形状を有している。また、本実施形態では、第1端面203と内壁面181とは、同一面上に位置している。
【0049】
図8は、ロッド201の回転を説明する図である。図8は、図7と同様に、連通孔146を+Y方向から見たときの平面図である。図8には、図7に示した状態から、ロッド201が中心軸RXを中心に90°回転したときの様子が示されている。図8に示した状態では、図7に示した状態と異なり、ロッド201が連通流路180に突出した突出部分Prや、ロッド201が内壁面181に対して-X方向に後退した後退部分Rcが形成されている。従って、図8に示した状態では、突出部分Prが連通流路180内の可塑化材料の流れを阻害する可能性や、後退部分Rcにおいて可塑化材料が滞留する可能性が高まる。図8に示したようなロッド201の回転は、例えば、回転規制機構240が設けられていない場合に、第1端面203が、連通流路180内を流れる可塑化材料から、第1端面203と交差する方向の力を受けることによって生じる。本実施形態では、回転規制機構240が設けられているため、このようなロッド201の回転が抑制される。なお、回転規制機構240は、例えば、材料送出装置115や射出成形装置100が製造される際に、図8に示すようにロッド201が予め回転した状態で配置されることをも、抑制できる。
【0050】
以上で説明した本実施形態の材料送出装置115によれば、ロッド201の側面に設けられた第1係合部241と、第1係合部241に係合する第2係合部242との係合によって、ロッド201が中心軸RXを中心に回転することを規制する回転規制機構240を有する。これによって、回転規制機構240によってロッド201の回転が規制される。そのため、ロッド201によって、連通流路180内における可塑化材料の流通が阻害される可能性が低減する。
【0051】
また、本実施形態では、第1係合部241はX方向と交差する方向に突出する凸部を有し、第2係合部242は-X方向に開口する凹部を有し、第1係合部241の凸部が第2係合部242の凹部に嵌合することによって、第1係合部241と第2係合部242とが係合する。そのため、簡易な構成によって、ロッド201の回転を規制し、かつ、ロッド201を介して連通流路180内の可塑化材料の圧力をセンサー部220へと伝達できる。
【0052】
また、本実施形態では、第2係合部242は、支持部230に設けられている。そのため、支持部230によってロッド201が軸方向の途中で支持されつつ、ロッド201に設けられた第1係合部241と、支持部230に設けられた第2係合部242との係合によって、ロッド201の回転が規制される。
【0053】
また、本実施形態では、第1端面203は、連通流路180の第1シリンダー210が接続された内壁面181に沿った形状を有している。これによって、第1端面203が内壁面181に沿った形状ではなく、例えば、Y方向およびZ方向に平行な面である場合と比較して、ロッド201の一部が連通流路180に突出して可塑化材料の流れを阻害する可能性や、ロッド201が内壁面181に対して-X方向に後退した部分に可塑化材料が滞留する可能性が低減する。そのため、ノズル156から送出される可塑化材料の量や質が安定する。
【0054】
また、本実施形態では、連通流路180は、連通流路180に沿って見たときに円形状を有し、第1端面203は、連通流路180に沿って見たときに連通流路180の円周の一部と対応する円弧形状を有している。そのため、連通流路180内における可塑化材料の流れが円滑になりやすい。
【0055】
また、本実施形態では、第1端面203と内壁面181とは同一面上に位置している。そのため、ロッド201の一部が連通流路180に突出して可塑化材料の流れを阻害する可能性や、ロッド201が内壁面181に対して-X方向に後退した部分に可塑化材料が滞留する可能性が更に低減する。
【0056】
また、本実施形態では、スクリュー130は溝が形成された溝形成面132を有し、可塑化部120は、連通流路180の少なくとも一部を形成する連通孔146が設けられたバレル140を有し、第1シリンダー210は、連通孔146に接続されている。そのため、可塑化部120を小型化でき、かつ、第1シリンダー210をバレル140内に配置できるため、材料送出装置115全体を小型化できる。
【0057】
また、本実施形態では、センサー部220は、加熱部170よりも冷却部160に近い位置に配置されている。これによって、加熱部170によるセンサー部220への熱的影響が抑制される。そのため、センサー部220による圧力の検出精度が向上する。
【0058】
また、本実施形態の射出成形装置100によれば、第2シリンダー251は、連通流路180において、連通流路180と第1シリンダー210との接続部よりも上流に接続されている。これによって、第1シリンダー210およびロッド201は、連通流路180において、連通流路180と第2シリンダー251との接続部よりも下流に位置するため、圧力検出部200は、連通流路180のうち、第2シリンダー251とノズル156との間の部分において、第2シリンダー251からノズル156へと供給される可塑化材料の圧力をより正確に検出できる。そのため、可塑化材料の射出精度が向上し、成形品の強度や品質が向上する。
【0059】
B.第2実施形態:
図9は、第2実施形態の材料送出装置115bにおける圧力検出部200bの概略構成を示す図である。本実施形態の回転規制機構240bの第2係合部242bは、第1実施形態と異なり、第1シリンダー210bに設けられている。また、圧力検出部200bは、支持部230を有していない。なお、第2実施形態の材料送出装置115bや射出成形装置100の構成のうち、特に説明しない点については、第1実施形態と同様である。
【0060】
本実施形態では、センサーケース225bは、バレル140の下面に配置され、図示しないボルトによって、バレル140に固定されている。センサーケース225bは、センサー部220を保持するセンサー保持部226bに加え、複数の脚部227を有している。脚部227は、センサー保持部226bとバレル140との間に設けられている。脚部227同士の間には空間が形成されており、センサーケース225bとバレル140とは、この脚部227同士の間に形成された空間を介して配置される。そのため、加熱部170によるセンサー部220への熱的影響が抑制される。
【0061】
図10は、回転規制機構240bの構成を示す斜視図である。第1係合部241bは、第1実施形態と同様に、ロッド201bのX方向における途中部分に形成された鍔状の部分である。第1係合部241bは、第1実施形態と異なり、X方向の寸法が小さい扁平な直方体形状を有している。従って、第1係合部241bは、X方向に沿って見たときに、四角形状を有している。
【0062】
本実施形態の第2係合部242bは、第1実施形態と同様に、第1係合部241bの凸部とロッド201bの周方向に係合し、X方向においてセンサー部220に向かって開口する凹部を有している。具体的には、第2係合部242bは、第1シリンダー210bの-X方向の端部に、-X方向に向かって開口するように形成された、第1係合部241bが係合可能な窪みである。第2係合部242bは、第1係合部241bに対応する形状と寸法とを有し、第1係合部241bが嵌合可能に形成されている。従って、第2係合部242bは、第1係合部241bと同様に、直方体形状に形成され、X方向に沿って見たときに、四角形状を有している。
【0063】
本実施形態では、ロッド201bが第1シリンダー210bに挿入されることによって、第1係合部241bが第2係合部242bと-X方向から嵌合する。ここで、上述したように、第1係合部241bおよび第2係合部242bが、X方向に沿って見たときに四角形状を有しているため、ロッド201bが中心軸RXを中心に回転することが規制される。また、第2係合部242bは、-X方向に開口しているため、第1実施形態と同様に、ロッド201bを介したセンサー部220への圧力の伝達が許容される。更に、第1係合部241bが第2係合部242bと-X方向から嵌合することによって、ロッド201bの+X方向への移動が規制されるため、第1実施形態と同様に、ロッド201bが連通流路180に突出することが抑制される。
【0064】
以上で説明した本実施形態の材料送出装置115bによっても、回転規制機構240bによってロッド201bの回転が規制され、ロッド201bが連通流路180内における可塑化材料の流通を阻害する可能性が低減する。特に、本実施形態では、第2係合部242bは、第1シリンダー210bに設けられている。そのため、ロッド201bおよび第1シリンダー210bとは別に、第1係合部241bと係合する部分を有する部材を設けない場合であっても、ロッド201bの回転を規制できる。
【0065】
C.第3実施形態:
図11は、第3実施形態の材料送出装置115cにおける圧力検出部200cの概略構成を示す図である。本実施形態の回転規制機構240cは、ロッド201cの長手方向であるX方向において、第2端面204よりも第1端面203に近い位置に設けられている。なお、第3実施形態の材料送出装置115cや射出成形装置100の構成のうち、特に説明しない点については、第2実施形態と同様である。
【0066】
本実施形態のセンサーケース225は、第1実施形態と同様に、側面部101に固定されている。また、第2係合部242cは、第2実施形態と同様に、第1シリンダー210cの-X方向の端部に設けられている。一方で、本実施形態の第1シリンダー210cは、第2実施形態の第1シリンダー210bと比較して、X方向の寸法が小さい。従って、第2係合部242cは、第2実施形態の第2係合部242bと比較して、より連通流路180に近い+X方向の位置に設けられている。また、ロッド201cに設けられた第1係合部241cもまた、第2係合部242cと対応して、第2実施形態の第1係合部241bと比較して、より連通流路180に近い+X方向の位置に設けられている。これによって、本実施形態の回転規制機構240cは、X方向において、第2端面204よりも第1端面203に近い位置に位置している。すなわち、回転規制機構240cと第1端面203との間の最短距離は、回転規制機構240cと第2端面204との間の最短距離よりも小さい。
【0067】
以上で説明した第3実施形態の材料送出装置115cによっても、回転規制機構240cによってロッド201cの回転が規制され、ロッド201cが連通流路180内における可塑化材料の流通を阻害する可能性が低減する。特に、本実施形態では、回転規制機構240cは、X方向において、センサー部220よりも連通流路180に近い位置に設けられている。そのため、回転規制機構240cが、X方向において第1端面203よりも第2端面204に近い位置に設けられている場合と比較して、ロッド201cの第1端面203と回転規制機構240cとの間の距離が小さくなる。そのため、第1端面203が連通流路180内を流れる可塑化材料から第1端面203と交差する方向の力を受けた際に、第1端面203と回転規制機構240cとの間において生じる、ロッド201cのねじれが抑制される。
【0068】
D.第4実施形態:
図12は、第4実施形態の射出成形装置100dにおける圧力検出部200dの概略構成を示す図である。本実施形態の射出制御部250dの第2シリンダー251dは、第1実施形態と異なり、連通流路180において、連通流路180と第1シリンダー210dの接続部よりも下流に接続されている。すなわち、第1シリンダー210dおよびロッド201は、連通流路180において、連通流路180と第2シリンダー251dとの接続部よりも上流に位置している。なお、第4実施形態の材料送出装置115dや射出成形装置100dの構成のうち、特に説明しない点については、第1実施形態と同様である。
【0069】
以上で説明した第4実施形態の射出成形装置100dによっても、回転規制機構240によってロッド201の回転が規制され、ロッド201が連通流路180内における可塑化材料の流通を阻害する可能性が低減する。特に、本実施形態では、第2シリンダー251dが、連通流路180において、連通流路180と第1シリンダー210dとの接続部よりも下流に接続されている。これによって、第1シリンダー210dおよびロッド201は、連通流路180において、連通流路180と第2シリンダー251dとの接続部よりも上流に位置するため、圧力検出部200dは、連通流路180のうち、第2シリンダー251dと可塑化部120との間の部分において、可塑化部120から第2シリンダー251dへと流入する可塑化材料の圧力をより正確に検出できる。そのため、可塑化材料の計量精度が向上し、成形品の強度や品質が向上する。
【0070】
E.第5実施形態:
図13は、第5実施形態としての三次元造形装置10の概略構成を示す図である。三次元造形装置10は、材料供給部110と、材料送出装置115eと、ステージ300と、移動機構400と、制御部500eとを備えている。材料送出装置115eは、可塑化部120と、ノズル156eと、圧力検出部200とを備えている。三次元造形装置10は、材料供給部110から供給された材料を、材料送出装置115eの可塑化部120によって可塑化して可塑化材料を生成し、生成した可塑化材料をノズル156eから材料送出装置115eの外部へと送出する。ノズル156eを介して送出された可塑化材料は、ステージ300上に堆積される。なお、ノズル156eを介して可塑化材料をステージ300に向かって送出することを、「可塑化材料を吐出する」と言うこともある。
【0071】
移動機構400は、ノズル156eとステージ300との相対的な位置を変更可能に構成されている。本実施形態では、移動機構400は、ノズル156eを移動させることなく、ステージ300を移動させる。移動機構400は、3つのモーターの駆動力によって、ステージ300をX,Y,Z方向の3軸方向に移動させる3軸ポジショナーによって構成される。移動機構400は制御部500eによって制御される。なお、他の実施形態では、ステージ300を移動させることなく、ノズル156eを移動させることによって、ノズル156eとステージ300との相対的な位置を変更してもよい。また、移動機構400は、ノズル156eとステージ300との両方を移動させてもよい。
【0072】
制御部500eは、制御部500と同様に、コンピューター等によって構成される。制御部500eは、予め取得した造形データに従って移動機構400および可塑化部120を制御することにより、ノズル156eからステージ300上の任意の位置に、可塑化した材料を吐出させることで、三次元造形物を造形する。制御部500eによって実行される、三次元造形物を造形するための処理を、三次元造形処理と呼ぶこともある。
【0073】
可塑化部120は、駆動モーター122と、スクリュー130と、バレル140と、冷却部160eと、加熱部170と、を備えている。可塑化部120は、第1実施形態と同様に、スクリュー130の回転と、加熱部170による加熱によって、材料を連通孔146に向かって搬送しながら加熱して材料を可塑化し、連通孔146から排出する。連通孔146から排出された可塑化材料は、ノズル156eへと供給される。なお、連通孔146は、第1実施形態と同様に、連通流路180の全部を形成している。また、本実施形態の冷却部160eは、第1実施形態と異なり、スクリュー130の円周方向に沿って、バレル140の外周部内に形成された冷媒流路として設けられている。
【0074】
圧力検出部200の第1シリンダー210は、第1実施形態と同様に、連通孔146に接続されている。圧力検出部200は、第1実施形態と同様に、ロッド201を介して、センサー部220によって、連通流路180内の可塑化材料の圧力を検出する。制御部500eは、三次元造形処理において、圧力検出部200によって検出された連通流路180内の可塑化材料の圧力に基づいて、可塑化部120等を制御できる。例えば、制御部500eは、圧力検出部200によって検出された圧力に基づいて、駆動モーター122の回転数や、冷却部160の出力、加熱部170の出力等を調整することで、可塑化部120における可塑化材料の生成量を安定化できる。これによって、ノズル156eからステージ300に向けて吐出される可塑化材料の生成量が安定するため、造形材料の品質が向上する。また、制御部500は、例えば、圧力検出部200によって検出された圧力に基づいて移動機構400の駆動を調整することで、ステージ300上に堆積される可塑化材料の量を安定化させてもよい。
【0075】
以上で説明した第5実施形態の三次元造形装置10によれば、第1実施形態と同様に、回転規制機構240を有する材料送出装置115を備える。これによって、回転規制機構240によってロッド201の回転が規制される。そのため、ロッド201によって、連通流路180内における可塑化材料の流通が阻害される可能性が低減する。
【0076】
F.他の実施形態:
(F-1)上記実施形態では、第1係合部241はロッド201の鍔状の部分として形成され、第2係合部242は、第1係合部241と嵌合可能な窪みとして形成されている。これに対して、第1係合部241と第2係合部242とは、他の形状に形成されていてもよい。例えば、第1係合部241が、ロッド201からロッド201の長手方向と交差する一方向に突出する凸部として形成され、第2係合部が凸部と係合する凹部として形成されていてもよい。また、第1係合部241がロッド201の長手方向と交差する方向に凹んだ凹部として形成され、第2係合部が凹部と係合する凸部として形成されていてもよい。更に、第1係合部241が凹凸を組み合わせた形状として形成され、第2係合部242が第1係合部241の凹凸と係合する凹凸として形成されていてもよい。更に、第1係合部241は、ロッド201と一体に形成されていなくてもよく、例えば、接着剤を介した接着や溶接等によって、第2係合部242と係合する部材がロッド201に固定されることで、第1係合部241が形成されていてもよい。
【0077】
(F-2)上記実施形態では、連通流路180に沿って見たときに、連通流路180は円形状を有し、第1端面203は円弧形状を有している。これに対して、連通流路180に沿って見たときに、連通流路180と第1端面203とは他の形状を有していてもよい。また、第1端面203は、第1シリンダー210の内壁面181に沿った形状を有していなくてもよい。
【0078】
(F-3)上記実施形態では、第1端面203と内壁面181とは同一面上に位置している。これに対して、第1端面203に圧力がかかっていない状態において、第1端面203と内壁面181とは同一面上に位置していなくてもよい。例えば、第1端面203に圧力がかかっていない状態において、第1端面203と内壁面181とが同一面上に位置し、第1端面203に圧力がかかっている状態において、第1端面203と内壁面181とが同一面上に位置していなくてもよい。また、第1端面203に圧力がかかっている状態と第1端面203に圧力がかかっていない状態との両方の状態において、第1端面203と内壁面181とが同一面上に位置していなくてもよい。
【0079】
(F-4)上記実施形態では、ロッド201は、センサー部220との間に隙間を有することなく、センサー部220と隣り合って配置されている。これに対して、ロッド201は、第1端面203に圧力がかかっていない状態において、センサー部220と隣り合うことなく配置されていてもよい。この場合、例えば、ロッド201は、第1端面203に圧力がかかっていない状態において、センサー部220との間に隙間を介して配置されていてもよい。このような形態であっても、ロッド201は、第1端面203において連通流路180内の可塑化材料の圧力を受けた際、-X方向に付勢されて-X方向に移動し、センサー部220に接触することで、センサー部220に圧力を伝達できる。なお、この場合、第1係合部241や第2係合部242は、ロッド201の-X方向への移動によって、第1係合部241と第2係合部242との係合が解除されないように構成される。例えば、第2係合部242のX方向における寸法が、ロッド201とセンサー部220との間の距離よりも大きくなるように構成される。また、例えば、ロッド201の第2端面204に、ロッド201を連通流路180に向かって付勢するバネ等の弾性部材が設けられ、第2端面204とセンサー部220とが弾性部材を挟むように配置されていてもよい。この場合、第1端面203に圧力がかかっていない状態において、ロッド201を付勢する弾性部材の付勢力によって、第1端面203と内壁面181とが同一面上に位置するように構成されていてもよい。なお、このような形態であっても、ロッド201は、第2端面204と弾性部材とを介して、センサー部220に圧力を伝達できる。
【0080】
(F-5)上記実施形態では、スクリュー130は、フラットスクリューである。これに対して、スクリュー130はフラットスクリューでなく、他のスクリューであってもよい。例えば、スクリュー130は、モーターの駆動力によって回転するインラインスクリューであってもよい。この場合、可塑化部120は、バレル140を有していなくてもよい。
【0081】
(F-6)上記実施形態では、連通孔146は、連通流路180の全部を形成している。これに対して、連通孔146は、連通流路180の全部を形成していなくてもよい。連通流路180は、例えば、連通孔146と、連通孔146と連通する他の流路と、によって形成されていてもよい。この場合、第1シリンダー210や第2シリンダー251は、連通流路180のうち、連通孔146ではなく、他の流路と接続されていてもよい。また、例えば、可塑化部120がバレル140を有していない場合、連通流路180は、連通孔146によって形成されていなくてもよい。
【0082】
(F-7)上記実施形態では、センサー部220は、加熱部170より冷却部160に近い位置に配置されている。これに対して、センサー部220は、加熱部170より冷却部160に近い位置に配置されていなくてもよい。この場合、センサー部220と加熱部170との間の最短距離が、センサー部220と冷却部160との間の最短距離より小さくてもよいし、両者が等しくてもよい。また、可塑化部120は、冷却部160を備えていなくてもよい。
【0083】
G.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0084】
(1)本開示の第1の形態によれば、材料送出装置が提供される。この材料送出装置は、スクリューを有し、前記スクリューの回転によって材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、前記可塑化材料を外部に送出するノズルと、前記スクリューと前記ノズルとの間に設けられ、前記可塑化材料が流れる連通流路と、前記連通流路に接続される第1シリンダー、前記第1シリンダー内に挿入されるロッド、及び、前記連通流路から前記ロッドを隔てて配置される圧力センサーを有する圧力検出部と、を備え、前記ロッドは、前記ロッドの長手方向において、前記連通流路に面する第1端面、及び、前記第1端面と反対側の第2端面を有し、前記連通流路内の前記可塑化材料の圧力を前記第1端面で受けて、前記第2端面を介して前記圧力センサーに前記圧力を伝達し、前記ロッドの側面に設けられた第1係合部、及び、前記第1係合部に係合する第2係合部を有し、前記第1係合部と前記第2係合部との係合によって、前記ロッドが前記ロッドの長手方向に沿った中心軸を中心に回転することを規制する回転規制機構を更に備える。
このような形態によれば、回転規制機構によってロッドの回転が規制される。そのため、ロッドによって、連通流路内における可塑化材料の流通が阻害される可能性が低減する。
【0085】
(2)上記形態の材料送出装置において、前記回転規制機構は、前記長手方向において、前記第2端面よりも前記第1端面に近い位置に設けられていてもよい。このような形態によれば、第1端面が連通流路内を流れる可塑化材料から第1端面と交差する方向の力を受けた際の、ロッドのねじれが抑制される。
【0086】
(3)上記形態の材料送出装置において、前記第1係合部は、前記ロッドから前記長手方向と交差する方向に突出する凸部を有し、前記第2係合部は、前記長手方向において前記圧力センサーに向かって開口する凹部を有し、前記凸部が前記凹部に嵌合することによって、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合してもよい。このような形態によれば、簡易な構成によって、ロッドの回転を規制し、かつ、ロッドを介して連通流路内の可塑化材料の圧力をセンサー部へと伝達できる。
【0087】
(4)上記形態の材料送出装置において、前記長手方向における前記第1シリンダーと前記圧力センサーとの間に、前記ロッドを支持する支持部を備え、前記第2係合部は、前記支持部に設けられていてもよい。このような形態によれば、支持部によってロッドが軸方向の途中で支持されつつ、ロッドに設けられた第1係合部と支持部に設けられた第2係合部との係合によって、ロッドの回転が規制される。
【0088】
(5)上記形態の材料送出装置において、前記第2係合部は、前記第1シリンダーに設けられていてもよい。このような形態によれば、ロッドおよび第1シリンダーとは別に、第1係合部と係合する部分を有する部材を設けない場合であっても、ロッドの回転を規制できる。
【0089】
(6)上記形態の材料送出装置において、前記第1端面は、前記連通流路の前記第1シリンダーが接続された内壁面に沿った形状を有していてもよい。このような形態によれば、ロッドの一部が連通流路に突出して可塑化材料の流れを阻害する可能性や、ロッドが内壁面に対して後退した部分に可塑化材料が滞留する可能性が低減する。そのため、ノズルから送出される可塑化材料の量や質が安定する。
【0090】
(7)上記形態の材料送出装置において、前記連通流路は、前記連通流路に沿って見たときに円形状を有し、前記第1端面は、前記連通流路に沿って見たときに前記連通流路の円周の一部と対応する円弧形状を有していてもよい。このような形態によれば、連通流路内における可塑化材料の流れが円滑になりやすい。
【0091】
(8)上記形態の材料送出装置において、前記第1端面に前記圧力がかかっていない状態において、前記第1端面と前記内壁面とは同一面上に位置していてもよい。このような形態によれば、ロッドの一部が連通流路に突出して可塑化材料の流れを阻害する可能性や、ロッドが内壁面に対して後退した部分に可塑化材料が滞留する可能性が更に低減する。
【0092】
(9)上記形態の材料送出装置において、前記スクリューは、溝が形成された溝形成面を有し、前記可塑化部は、前記溝形成面に対向する対向面を有するバレルを有し、前記バレルには、前記連通流路の少なくとも一部を形成する連通孔が設けられ、前記第1シリンダーは、前記連通孔に接続されていてもよい。このような形態によれば、可塑化部を小型化でき、かつ、第1シリンダーをバレル内に配置できるため、材料送出装置全体を小型化できる。
【0093】
(10)上記形態の材料送出装置において、前記可塑化部は、前記溝形成面に沿った方向において、前記可塑化部の、前記連通孔よりも前記バレルの外周部に近い領域を冷却する冷却部と、前記バレルと前記スクリューとの間に供給された材料を加熱する加熱部と、を有し、前記圧力センサーは、前記加熱部よりも前記冷却部に近い位置に配置されていてもよい。このような形態によれば、加熱部によるセンサー部への熱的影響が抑制される。そのため、センサー部による圧力の検出精度が向上する。
【0094】
(11)本開示の第2の形態によれば、三次元造形装置が提供される。この三次元造形装置は、上記第1の形態の材料送出装置と、前記ノズルから送出される前記可塑化材料を堆積するステージと、を備える。
このような形態によれば、回転規制機構によってロッドの回転が規制される。そのため、ロッドによって、連通流路内における可塑化材料の流通が阻害される可能性が低減する。
【0095】
(12)本開示の第3の形態によれば、射出成形装置が提供される。この射出成形装置は、上記第1の形態の材料送出装置と、前記連通流路に接続される第2シリンダー、及び、前記第2シリンダー内を移動するプランジャーを有し、前記第2シリンダー内に前記可塑化材料を計量し、計量した前記可塑化材料を前記ノズルに向かって送出する射出制御部と、前記ノズルから前記可塑化材料を送出される成形型と、を備える。
このような形態によれば、回転規制機構によってロッドの回転が規制される。そのため、ロッドによって、連通流路内における可塑化材料の流通が阻害される可能性が低減する。
【0096】
(13)上記形態の射出成形装置において、前記第2シリンダーは、前記連通流路において、前記連通流路と前記第1シリンダーとの接続部よりも上流に接続されていてもよい。このような形態によれば、圧力検出部は、連通流路のうち、第2シリンダーとノズルとの間の部分において、第2シリンダーからノズルへと供給される可塑化材料の圧力をより正確に検出できる。そのため、可塑化材料の射出精度が向上し、成形品の強度や品質が向上する。
【0097】
(14)上記形態の射出成形装置において、前記第2シリンダーは、前記連通流路において、前記連通流路と前記第1シリンダーとの接続部よりも下流に接続されていてもよい。このような形態によれば、圧力検出部は、連通流路のうち、第2シリンダーと可塑化部との間の部分において、可塑化部から第2シリンダーへと流入する可塑化材料の圧力をより正確に検出できる。そのため、可塑化材料の計量精度が向上し、成形品の強度や品質が向上する。
【符号の説明】
【0098】
10…三次元造形装置、100,100d…射出成形装置、101…側面部、105…射出ユニット、110…材料供給部、115,115b,115c,115d,115e…材料送出装置、120…可塑化部、121…スクリューケース、122…駆動モーター、129…流路溝、130…スクリュー、132…溝形成面、133…スクリュー側面、134…材料導入口、135…溝部、136…凸条部、137…中央部、138…滞留抑制部、140…バレル、142…対向面、144…案内溝、146…連通孔、149…逆止弁、156,156e…ノズル、160…冷却部、165…冷却板、170…加熱部、180…連通流路、181…内壁面、200,200b,200c,200d…圧力検出部、201,201b,201c…ロッド、203…第1端面、204…第2端面、210,210b,210c,210d…第1シリンダー、220…センサー部、225,225b…センサーケース、226,226b…センサー保持部、227…脚部、230…支持部、231…貫通孔、240,240b,240c…回転規制機構、241,241b,241c…第1係合部、242,242b,242c…第2係合部、250,250d…射出制御部、251,251d…第2シリンダー、252…プランジャー、253…プランジャー駆動部、260…型部、261…成形型、262…可動型、263…固定型、270…型締装置、271…型駆動部、272…ボールネジ部、300…ステージ、400…移動機構、500,500e…制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13