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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】演奏レッスンシステム
(51)【国際特許分類】
   G09B 15/00 20060101AFI20240723BHJP
   G10G 3/04 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
G09B15/00 Z
G10G3/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020143795
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2022039020
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茨木 武
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-108198(JP,A)
【文献】特開2005-181585(JP,A)
【文献】特開2003-131674(JP,A)
【文献】松井 遼太,複数カメラのスイッチング半自動化機能をもつ遠隔ピアノレッスン支援システム,第25回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ [online],日本,日本ソフトウェア科学会インタラクティブシステムとソフトウェア研究会,2017年12月08日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 15/00
G10G 3/04
G09B 19/00
G09B 7/00
G10H 1/00
G06Q 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
教師及び生徒のうち一方の演奏者の演奏を複数の撮影部で撮影した複数の撮影データを取得し、複数の前記撮影データを送信する演奏側装置と、
前記演奏側装置から送信される複数の前記撮影データを受信し、受信した複数の前記撮影データを表示部に表示させる表示側装置と
を備え、
前記演奏側装置及び前記表示側装置の少なくとも一方は、前記演奏者が演奏する対象楽曲について設定される所定の切り替え箇所で前記表示部に表示する前記撮影データを切り替えるように制御する制御部を有し、
前記演奏側装置は、前記演奏者の演奏の音声を記録した音声データを取得し、
前記制御部は、予め設定された音階の変化のパターンと楽曲の曲名とを対応付けた楽曲データと、取得された前記音声データの音階の変化のパターンとを対応付けることで、対象楽曲を判別し、判別結果に基づいて前記対象楽曲の楽譜データを所定のデータベースから取得する
演奏レッスンシステム。
【請求項2】
前記切り替え箇所は、前記対象楽曲を演奏する前記演奏者ごとに予め設定される
請求項1に記載の演奏レッスンシステム。
【請求項3】
前記制御部は、前記対象楽曲の楽譜データに基づいて前記切り替え箇所の設定又は設定の変更を行う
請求項1又は請求項2に記載の演奏レッスンシステム。
【請求項4】
前記制御部は、前記演奏側装置が取得した複数の前記撮影データの中から前記切り替え箇所ごとに一の前記撮影データを選択して送信するように制御する
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の演奏レッスンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏レッスンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
生徒が楽器を演奏する様子をカメラで撮影し、得られた撮影データを教師に送信し、教師が撮影データを確認して生徒に必要な指導を行うオンラインレッスンについての技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-91291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなオンラインレッスンでは、生徒を撮影するカメラが1台の場合、生徒の指使い、目線、姿勢、ステップ等の各ポイントを教師側で隈なくチェックすることが難しい。また、複数のカメラで生徒を撮影する場合、複数のカメラで得られた撮影データを一度に表示すると、表示部のレイアウトが窮屈になり、教師が細部をチェックする際の視認性が低下する場合がある。また、例えば教師が模範演奏を行う様子を撮影した撮影データを生徒側で確認する場合にも、同様の課題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、演奏者の演奏を撮影した撮影データを確認する際の視認性の低下を抑制することが可能な演奏レッスンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る演奏レッスンシステムは、教師及び生徒のうち一方の演奏者の演奏を複数の撮影部で撮影した複数の撮影データを取得し、複数の前記撮影データを送信する演奏側装置と、前記演奏側装置から送信される複数の前記撮影データを受信し、受信した複数の前記撮影データを表示部に表示させる表示側装置とを備え、前記演奏側装置及び前記表示側装置の少なくとも一方は、前記演奏者が演奏する対象楽曲について設定される所定の切り替え箇所で前記表示部に表示する前記撮影データを切り替えるように制御する制御部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、演奏者の演奏を撮影した撮影データを確認する際の視認性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る演奏レッスンシステムの一例を示す概略図である。
図2図2は、本実施形態に係る演奏レッスンシステムの一例を示すブロック図である。
図3図3は、映像切り替えデータの一例を示す図である。
図4図4は、切替制御部により撮影データを切り替える制御の一例を示すタイムチャートである。
図5図5は、表示側装置側の表示部に表示される映像の一例を示す図である。
図6図6は、表示側装置側の表示部に表示される映像の一例を示す図である。
図7図7は、表示側装置側の表示部に表示される映像の一例を示す図である。
図8図8は、本実施形態に係る演奏レッスン方法の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、本実施形態に係る演奏レッスン方法の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る演奏レッスンシステムの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
図1は、本実施形態に係る演奏レッスンシステムの一例を示す概略図である。図2は、本実施形態に係る演奏レッスンシステムの一例を示すブロック図である。図1及び図2に示すように、演奏レッスンシステム100は、ネットワークNWを介して通信可能な生徒側装置10及び教師側装置20を備える。演奏レッスンシステム100は、例えばピアノ等の楽器の演奏のレッスンをオンラインで行うシステムである。本実施形態において、生徒側装置10で生徒がピアノを演奏し、教師側装置20を教師が生徒の演奏を確認する場合を例に挙げて説明する。なお、演奏レッスンシステム100では、ピアノとは異なる他の楽器を演奏する場合にも適用可能である。このため、本実施形態では、生徒側装置10が演奏側装置として用いられ、教師側装置20が表示側装置として用いられる。
【0011】
生徒側装置10は、複数のカメラC1~C3、マイクM1、入力部I1、表示部P1、音声出力部S1及び視線検出部E1に接続される。
【0012】
複数のカメラC1~C3は、生徒(演奏者)の演奏を撮影し、撮影データD1~D3を生徒側装置10に入力する。例えば、カメラC1は、ピアノを演奏する生徒の全体を撮影し、撮影データD1を生成して生徒側装置10に入力する。撮影データD1により、例えば生徒の演奏時の全体の姿勢等を確認できる。また、カメラC2は、ピアノを演奏する生徒の手元を撮影し、撮影データD2を生成して生徒側装置10に入力する。撮影データD2により、例えば生徒の指使い等を確認できる。また、カメラC3は、ピアノを演奏する生徒の足元を撮影し、撮影データD3を生成して生徒側装置10に入力する。撮影データD3により、例えば生徒のペダル操作等を確認できる。なお、演奏者(生徒及び後述する教師)の演奏を撮影するカメラの台数は、3台に限定されず、2台又は4台以上であってもよい。
【0013】
マイクM1は、演奏による音声を記録し、音声データを生徒側装置10に入力する。マイクM1は、カメラC1~C3に内蔵された構成であってもよい。この場合、カメラC1~C3による撮影データは、音声データを含む。入力部I1は、例えばキーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置により構成される。入力部I1は、生徒側装置10に所定の情報を入力する。表示部P1は、生徒側装置10から出力される表示データに基づいて映像を表示する。音声出力部S1は、生徒側装置10から出力される音声データに基づいて音声を出力する。視線検出部E1は、生徒の視線を検出し、検出結果である視線データを生徒側装置10に入力する。本実施形態において、生徒側装置10側の表示部P1、音声出力部S1及び視線検出部E1は、設けられなくてもよい。
【0014】
生徒側装置10は、データ取得部11と、通信部12と、制御部13と、記憶部14と、出力部15とを有する。データ取得部11は、複数のカメラC1~C3からの複数の撮影データと、マイクM1からの音声データと、視線検出部E1からの視線データとを取得する。
【0015】
通信部12は、ネットワークNWを介して情報の送受信が可能である。例えば、通信部12は、教師側装置20との間で情報の送受信を行う。また、通信部12は、データベース30から楽譜データを受信する。データベース30は、各種の楽譜データを記憶する。データベース30としては、例えば楽譜データを保管する既存のデータベース等を用いることができる。
【0016】
制御部13は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等の記憶装置を有する。制御部13は、切替制御部16と、生徒側装置10を統括的に制御する。制御部13は、楽曲判別部17と、楽譜取得部18と、データ設定部19とを有する。
【0017】
切替制御部16は、生徒が演奏する対象楽曲について設定される所定の切り替え箇所で、教師側装置20の表示部P2に表示する撮影データを切り替えるように制御する。本実施形態において、切替制御部16は、複数のカメラC1~C3で撮影された複数の撮影データD1~D3の中から一の撮影データを切り替え箇所ごとに選択して送信するように制御する。つまり、切替制御部16は、切り替え箇所ごとに、通信部12から送信させる撮影データを切り替える。切り替え箇所を設定することにより、教師側装置20の表示部P2において、例えば生徒の全体を撮影した映像、生徒の手元を撮影した映像及び生徒の足元等を撮影した映像の中から最適な映像を切り替えて表示することができる。
【0018】
切り替え箇所は、対象楽曲を演奏する演奏者ごとに予め設定される。切り替え箇所は、対象楽曲のうち、例えば生徒が不得意とする箇所、演奏が難しい箇所等を設定することができる。切り替え箇所として設定する箇所については、上記に限定されず、対象楽曲の任意の箇所に設定することができる。
【0019】
楽曲判別部17は、データ取得部11で取得された音声データに基づいて、生徒が演奏する対象楽曲を判別する。例えば、音階の変化のパターンと楽曲の曲名とを対応付けた楽曲データを予め設定しておく。楽曲判別部17は、取得された音声データの音階の変化のパターンと楽曲データとを対応付けることで、対象楽曲を判別することができる。楽曲データは、例えば記憶部14に記憶させておいてもよいし、データベース30に記憶させておいてもよい。
【0020】
楽譜取得部18は、楽曲判別部17により判別された対象楽曲の楽譜データをデータベース30から取得する。楽譜取得部18は、通信部12によりネットワークNWを介してデータベース30から楽譜データを受信する。
【0021】
データ設定部19は、取得した楽譜データに基づいて、切り替え箇所の設定又は設定変更を行う。データ設定部19は、楽譜データの内容に基づいて、演奏が難しい箇所、演奏に注意を要する箇所等の特定箇所を検出し、検出結果に基づいて切り替え箇所の設定又は設定変更を行う。例えば、単位時間当たりの音階の変化の度合いが大きい箇所、演奏する速度が速くなる箇所、演奏中の姿勢が崩れやすい箇所、ピアノ等においては足元のペダル操作に注意を要する箇所等のパターンを予め抽出しておき、抽出結果を記憶部14等に記憶させておく。データ設定部19は、取得した楽譜データと、予め抽出されたパターンとを比較し、比較結果に基づいて特定箇所を検出することができる。特定箇所の検出態様については、上記に限定されず、他の態様であってもよい。なお、切り替え箇所は、入力部I1から所定の入力を行うことにより設定又は設定変更が行われてもよい。
【0022】
記憶部14は、各種情報を記憶する。記憶部14は、例えばハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等のストレージを有している。なお、記憶部14として、リムーバブルディスク等の外部記憶媒体が用いられてもよい。記憶部14は、例えば映像切り替えデータを記憶する。
【0023】
出力部15は、表示部P1及び音声出力部S1に対して映像データ及び音声データを出力する。
【0024】
教師側装置20は、生徒側装置10と同様の構成を有する。教師側装置20は、複数のカメラC4~C6、マイクM2、入力部I2、表示部P2、音声出力部S2及び視線検出部E2に接続される。複数のカメラC4~C6は、教師(演奏者)の演奏を撮影し、撮影データD4~D6を生成して教師側装置20に入力する。例えば、カメラC4は、ピアノを演奏する教師の全体を撮影した撮影データD4を生成して教師側装置20に入力する。また、カメラC5は、ピアノを演奏する教師の手元を撮影した撮影データD5を生成して教師側装置20に入力する。また、カメラC6は、ピアノを演奏する教師の足元を撮影した撮影データD6を生成して教師側装置20に入力する。マイクM2は、演奏による音声を記録し、音声データを生成して教師側装置20に入力する。入力部I2は、例えばキーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置により構成される。入力部I2は、教師側装置20に所定の情報を入力する。表示部P2は、教師側装置20から出力される表示データに基づいて映像を表示する。音声出力部S2は、教師側装置20から出力される音声データに基づいて音声を出力する。視線検出部E2は、教師の視線を検出し、検出結果である視線データを教師側装置20に入力する。本実施形態において、教師側装置20側のカメラC4~C6及びマイクM2は、設けられなくてもよい。
【0025】
教師側装置20は、データ取得部21と、通信部22と、制御部23と、記憶部24と、出力部25とを有する。各部の構成は、生徒側装置10のデータ取得部11、通信部12、制御部13、記憶部14及び出力部15と同様である。制御部23は、CPU等の処理装置と、RAM又はROM等の記憶装置を有する。制御部23は、教師側装置20を統括的に制御する。制御部23は、生徒側装置10の制御部13と同様、切替制御部26と、楽曲判別部27と、楽譜取得部28と、データ設定部29とを有する。各部の構成は、生徒側装置10と同様である。なお、本実施形態のように生徒側装置10において撮影データの切り替え等の処理を行う場合、制御部23は、切替制御部26、楽曲判別部27、楽譜取得部28及びデータ設定部29を有しない構成であってもよい。
【0026】
記憶部24は、各種情報を記憶する。記憶部24は、例えばハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等のストレージを有している。なお、記憶部24として、リムーバブルディスク等の外部記憶媒体が用いられてもよい。記憶部24は、例えば映像切り替えデータを記憶する。
【0027】
出力部25は、表示部P2及び音声出力部S2に対して映像データ及び音声データを出力する。
【0028】
次に、上記のように構成された演奏レッスンシステム100の動作の一例を説明する。以下、生徒側装置10側において生徒がピアノを演奏し、生徒の演奏をカメラC1~C3で撮影し、撮影データD1~D3を生徒側装置10の通信部12から教師側装置20に送信し、教師が教師側装置20側において表示部P2で撮影データを確認する場合を例に挙げて説明する。
【0029】
まず、対象楽曲における切り替え箇所を設定する。切り替え箇所は、例えば生徒側装置10側の入力部I1及び教師側装置20側の入力部I2等により入力することで生成可能である。つまり、生徒側から入力してもよいし、教師側から入力してもよい。また、生徒が演奏する対象楽曲の楽譜データが取得されている場合、データ設定部19は、楽譜データに基づいて切り替え箇所の設定又は設定の変更を行うことができる。
【0030】
図3は、切り替え箇所の一例を示す図である。図3に示すように、切り替え箇所を含む映像切り替えデータDCは、楽譜データDSに対応して作成することができる。映像切り替えデータDCは、楽譜データDSに基づいて、演奏区間ごとに使用する撮影データD1~D3を設定する。図3に示す例において、映像切り替えデータDCは、演奏開始箇所t0から第1箇所t1までの期間はカメラC1で撮影された撮影データD1を送信し、第1箇所t1から第2箇所t2までの期間はカメラC2で撮影された撮影データD2を送信し、第2箇所t2から第3箇所t3までの期間はカメラC1で撮影された撮影データD1を送信し、第3箇所t3から第4箇所t4までの期間はカメラC3で撮影された撮影データD3を送信し、第4箇所t4以降はカメラC1で撮影された撮影データD1を送信するように設定されている。以下、第1箇所t1~第4箇所t4を、切り替え箇所t1~t4と表記する場合がある。
【0031】
映像切り替えデータを作成した後、生徒の演奏を開始し、撮影データD1~D3及び音声データの送信を開始する。切替制御部16は、作成された映像切り替えデータに基づいて、複数の撮影データD1~D3の中から1つの撮影データを切り替えて通信部12から送信するように制御する。
【0032】
図4は、切替制御部16により撮影データを切り替える制御の一例を示すタイムチャートである。図4に示すように、切替制御部16は、演奏開始箇所t0から第1箇所t1までの期間は撮影データD1を選択して送信し、第1箇所t1から第2箇所t2までの期間は撮影データD2を選択して送信し、第2箇所t2から第3箇所t3までの期間は撮影データD1を選択して送信し、第3箇所t3から第4箇所t4までの期間は撮影データD3を選択して送信し、第4箇所t4以降は撮影データD1を選択して送信するように制御する。この制御により、教師側装置20側の表示部P2で表示用データが表示される際、第1箇所t1、第2箇所t2、第3箇所t3及び第4箇所t4で映像が切り替わるように表示される。
【0033】
教師側装置20は、生徒側装置10から送信される撮影データ及び音声データを通信部22により受信する。出力部25は、受信した撮影データ及び音声データを表示部P2及び音声出力部S2に出力する。教師は、表示部P2に表示された撮影データ及び音声出力部S2から出力された音声データを確認することができる。
【0034】
図5から図7は、教師側装置20側の表示部P2に表示される映像の一例を示す図である。演奏開始箇所t0から第1箇所t1までの期間には、図5に示すように、撮影データD1が表示部P2に表示される。この期間において、教師は、撮影データD1に基づいて、生徒の全身の姿勢等を確認できる。
【0035】
第1箇所t1では、表示部P2の表示が撮影データD1から撮影データD2に切り替わる。第1箇所t1から第2箇所t2までの期間には、図6に示すように、撮影データD2が表示部P2に表示される。この期間において、教師は、撮影データD2に基づいて、生徒の指の使い方を重点的に確認することができる。
【0036】
第2箇所t2では、表示部P2の表示が撮影データD2から再び撮影データD1に切り替わる。第2箇所t2から第3箇所t3までの期間には、図5に示すように、撮影データD1が表示部P2に表示される。
【0037】
第3箇所t3では、表示部P2の表示が撮影データD1から撮影データD3に切り替わる。第3箇所t3から第4箇所t4までの期間には、図7に示すように、撮影データD3が表示部P2に表示される。この期間において、教師は、生徒のペダルの使い方を重点的に確認できる。
【0038】
第4箇所t4では、表示部P2の表示が撮影データD3から再び撮影データD1に切り替わる。第4箇所t4以降は、撮影データD1が表示部P2に表示される。
【0039】
なお、教師が表示部P2を見る際、視線検出部E2により教師の視線を検出し、検出結果を通信部22から生徒側装置10側に送信してもよい。この場合、生徒側装置10において、切替制御部16は、教師の視線に基づいて撮影データを切り替えるようにしてもよい。例えば、表示部P2に撮影データD1(生徒の全身を撮影したデータ)が表示されている際に、教師が生徒の手元を注視していることが視線検出部E2で検出された場合、切替制御部16は、通信部12から送信する撮影データを撮影データD2(生徒の手元を撮影したデータ)に切り替えるようにしてもよい。同様に、表示部P2に撮影データD1が表示されている際に、教師が生徒の足元を注視していることが視線検出部E2で検出された場合、切替制御部16は、通信部12から送信する撮影データを撮影データD3(生徒の足元を撮影したデータ)に切り替えるようにしてもよい。
【0040】
また、教師が入力部I2を介して撮影データを切り替えることが可能な構成であってもよい。具体的には、教師側装置20において入力部I2に撮影データを切り替える旨の入力が行われた場合、当該入力内容を通信部22から生徒側装置10に送信する。生徒側装置10において、切替制御部16は、入力内容に基づいて、通信部12から送信する撮影データを切り替えるようにする。例えば、撮影データD1から撮影データD2又はD3に切り替える旨の入力が入力部I2に行われ、入力内容が生徒側装置10に送信された場合、切替制御部16は、入力内容に基づいて、通信部12から送信する撮影データを撮影データD1から撮影データD2又はD3に切り替える。この構成により、例えば教師が表示部P2を確認しているときに演奏についての気になる点を発見した場合等において、表示部P2の表示を切り替えることで、教師が気になる点を重点的に確認できる。
【0041】
また、生徒が演奏する際、例えば楽曲判別部17により音声データに基づいて対象楽曲を判別し、判別した対象楽曲の楽譜データを楽譜取得部18がデータベース30等から取得することができる。楽譜取得部18等により楽譜データが取得された場合、切替制御部16は、例えば生徒の演奏の音声データに基づいて譜面を作成し、生徒の演奏の譜面と楽譜データにおける譜面とを比較して、両者が異なる場合、つまり生徒が間違えた場合に撮影データを切り替えることが可能な構成であってもよい。例えば、比較結果により生徒が音階を間違えたことが判別された場合、切替制御部16は、生徒の手元を撮影する撮影データD2に切り替えることができる。また、比較結果により生徒がペダル操作を間違えたことが判別された場合、切替制御部16は、生徒の足元を撮影する撮影データD3に切り替えることができる。この構成により、生徒の間違いを速やかに検出することができ、間違えた箇所を確認することができる。また、楽譜データが取得された場合、データ設定部19は、楽譜データの内容に基づいて、演奏が難しい箇所、演奏に注意を要する箇所等の特定箇所を検出し、検出結果に基づいて切り替え箇所t1~t4の設定又は設定変更を行ってもよい。
【0042】
図8は、本実施形態に係る演奏レッスン方法の一例を示すフローチャートである。図8に示すように、まず、生徒側装置10側において、複数のカメラC1~C3で生徒の演奏を撮影した撮影データD1~D3と、マイクM1で生徒の演奏を録音した音声データとを取得する(ステップS101)。次に、切替制御部16は、映像切り替えデータDCにおいて複数の撮影データD1~D3の中から演奏開始箇所t0について設定される1つの撮影データを選択し、音声データと共に通信部12から送信開始する(ステップS102)。
【0043】
教師側装置20側において、通信部22が撮影データ及び音声データを受信する。制御部23は、受信した撮影データ及び音声データを出力部25から表示部P2及び音声出力部S2に出力させる(ステップS201)。
【0044】
生徒側装置10側において、撮影データを送信開始後、切替制御部16は、生徒の演奏が切り替え箇所t1~t4が到達したか否かを判定する(ステップS103)。ステップS103において切り替え箇所t1~t4が到達したと判断した場合(ステップS103のYes)、切替制御部16は、映像切り替えデータの設定に基づいて、通信部12から送信する撮影データを切り替える(ステップS104)。
【0045】
ステップS104が行われた場合、教師側装置20側においては、受信される撮影データに応じて、表示部P2に表示される撮影データが切り替わる(ステップS202)。
【0046】
一方、生徒側装置10側において、ステップS103において切り替え箇所t1~t4が到達していないと判断した場合(ステップS103のNo)、切替制御部16は、ステップS104の処理を飛ばすようにする。
【0047】
ステップS104の後、又はステップS103のNoの場合、切替制御部16は、撮影データの送信が完了したか否かを判定する(ステップS105)。ステップS105において撮影データの送信が完了したと判定した場合(ステップS105のYes)、切替制御部16は、処理を終了する。一方、ステップS105において撮影データの送信が完了していないと判定した場合(ステップS105のNo)、切替制御部16は、ステップS103以降の処理を繰り返し行う。
【0048】
また、教師側装置20側において、制御部23は、撮影データの受信が完了したか否かを判定する(ステップS203)。ステップS203において受信完了したと判定した場合(ステップS203のYes)、処理を終了する。一方、ステップS203において受信完了していないと判定した場合(ステップS203のNo)、制御部23は、ステップS202以降の動作を繰り返し行う。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る演奏レッスンシステム100は、演奏者の演奏を複数の撮影部C1~C3で撮影した複数の撮影データD1~D3を取得し、複数の撮影データD1~D3を送信する演奏側装置10と、演奏側装置10から送信される複数の撮影データD1~D3を受信し、受信した複数の撮影データD1~D3を表示部P2に表示させる表示側装置20とを備え、演奏側装置10は、演奏者が演奏する対象楽曲について設定される所定の切り替え箇所t1~t4で表示部P2に表示する撮影データを切り替えるように制御する制御部12を有する。
【0050】
この構成によれば、所定の切り替え箇所t1~t4で表示部P2に表示される映像データが自動的に切り替わる。このため、切り替わった撮影データに基づいて教師が生徒の演奏を容易に確認することができる。これにより、表示部P2を確認する際の視認性の低下を抑制できる。
【0051】
本実施形態に係る演奏レッスンシステム100において、切り替え箇所t1~t4は、対象楽曲を演奏する演奏者ごとに予め設定される。例えば生徒が不得意とする箇所、対象楽曲において演奏が難しい箇所等に応じて予め切り替え箇所t1~t4を設定しておくことで、生徒及び対象楽曲に応じてより適切な確認を行うことができる。
【0052】
本実施形態に係る演奏レッスンシステム100において、制御部13は、対象楽曲の楽譜データに基づいて切り替え箇所t1~t4の設定又は設定の変更を行う。これにより、楽譜データに基づいた観点で切り替え箇所t1~t4を作成又は変更することができる。
【0053】
本実施形態に係る演奏レッスンシステム100において、生徒側装置10は、生徒の演奏の音声を記録した音声データを取得し、制御部13は、音声データに基づいて対象楽曲を判別し、判別結果に基づいて対象楽曲の楽譜データを所定のデータベース30から取得する。これにより、楽譜データを容易に取得できる。
【0054】
本実施形態に係る演奏レッスンシステム100において、制御部13は、生徒側装置10が取得した複数の撮影データD1~D3の中から一の撮影データを抽出して送信し、抽出する一の撮影データを切り替え箇所t1~t4で切り替えるように制御する。このように生徒側装置10において送信する撮影データを切り替えることで、生徒側装置10から教師側装置20に送信される撮影データの容量を抑制して良好な通信状態を保持しつつ、教師側装置20において表示部P2に表示される撮影データを切り替えることができる。
【0055】
次に、演奏レッスンシステム100の他の使用形態について説明する。上記実施形態では、生徒側装置10の制御部13において、複数の撮影データD1~D3のうち教師側装置20に送信する撮影データを切り替える態様を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、生徒側装置10から教師側装置20に対して複数の撮影データD1~D3をすべて送信し、教師側装置20の制御部23の切替制御部26が映像切り替えデータDCに基づいて表示部P2に出力する撮影データを切り替える態様であってもよい。
【0056】
この場合、データ設定部29において切り替え箇所t1~t4の設定又は設定の変更を行ってもよい。また、切替制御部26は、教師の視線を視線検出部E2で検出した結果に基づいて、撮影データを切り替えるようにしてもよい。例えば、表示部P2に撮影データD1(生徒の全身を撮影したデータ)が表示されている際に、教師が生徒の手元を注視していることが視線検出部E2で検出された場合、切替制御部26は、表示部P2の表示を撮影データD2(生徒の手元を撮影したデータ)に切り替えるようにしてもよい。同様に、表示部P2に撮影データD1が表示されている際に、教師が生徒の足元を注視していることが視線検出部E2で検出された場合、切替制御部26は、表示部P2の表示を撮影データD3(生徒の足元を撮影したデータ)に切り替えるようにしてもよい。
【0057】
図9は、本実施形態に係る演奏レッスン方法の他の例を示すフローチャートである。図9に示すように、上記実施形態と同様に、生徒側装置10側において、複数のカメラC1~C3で生徒の演奏を撮影した撮影データD1~D3と、マイクM1で生徒の演奏を録音した音声データとを取得する(ステップS111)。次に、制御部13は、取得した全ての撮影データD1~D3と音声データとを通信部12から送信開始させる(ステップS112)。
【0058】
教師側装置20側において、通信部22は、撮影データD1~D3及び音声データを受信する(ステップS211)。切替制御部26は、受信した複数の撮影データD1~D3の中から演奏開始箇所t0について設定される1つの撮影データを選択し、音声データと共に出力部25から表示部P2及び音声出力部S2に出力させる(ステップS212)。切替制御部26は、映像切り替えデータに基づいて、切り替え箇所t1~t4が到達したか否かを判定する(ステップS213)。ステップS213において切り替え箇所t1~t4が到達したと判断した場合(ステップS213のYes)、切替制御部26は、映像切り替えデータに基づいて、表示部P2に出力する撮影データを切り替える(ステップS214)。ステップS214が行われた場合、表示部P2に表示される撮影データが切り替わる。一方、ステップS213において切り替え箇所t1~t4が到達していないと判断した場合(ステップS213のNo)、切替制御部26は、ステップS214の処理を飛ばすようにする。
【0059】
生徒側装置10側において、制御部23は、撮影データ及び音声データの送信が完了したか否かを判定する(ステップS113)。ステップS113において送信完了したと判定した場合(ステップS113のYes)、処理を終了する。一方、ステップS113において送信完了していないと判定した場合(ステップS113のNo)、制御部13は、ステップS113の判定を繰り返し行う。
【0060】
教師側装置20側において、ステップS214の後、又はステップS213のNoの場合、切替制御部26は、撮影データの受信が完了したか否かを判定する(ステップS215)。ステップS215において撮影データの受信が完了したと判定した場合(ステップS215のYes)、切替制御部26は、処理を終了する。一方、ステップS215において撮影データの受信が完了していないと判定した場合(ステップS215のNo)、切替制御部26は、ステップS213以降の処理を繰り返し行う。
【0061】
以上のように、生徒側装置10から教師側装置20に対して複数の撮影データD1~D3をすべて送信し、教師側装置20の制御部23の切替制御部26が切り替え箇所t1~t4において表示部P2に出力する撮影データを切り替えるため、切り替わった撮影データに基づいて教師が容易に生徒の演奏を確認することができ、表示部P2を確認する際の視認性の低下を抑制できる。また、教師側装置20側に全ての撮影データD1~D3が送信されるため、例えば教師の視線に基づく場合等、教師側装置20側でトリガーが発生した場合に、表示部P2に表示される撮影データを臨機応変に切り替えることができる。
【0062】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記本実施形態では、生徒側装置10で生徒が演奏し、教師側装置20で教師が生徒の演奏を確認する態様を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
【0063】
例えば、教師側装置20で教師が模範演奏等の演奏を行い、生徒側装置10で生徒が教師の演奏を確認する態様であってもよい。この構成では、教師側装置20が演奏側装置として用いられ、生徒側装置10が表示側装置として用いられる。つまり、上記各実施形態において、生徒側装置10の各構成及び動作が教師側装置20の各構成及び動作により置き換えられ、教師側装置20の各構成及び動作が生徒側装置10の各構成及び動作に置き換えられた態様となる。
【0064】
一例として、教師側装置20側の複数のカメラC4~C6により教師の演奏を撮影し、撮影データD4~D6の少なくとも1つを教師側装置20から生徒側装置10に送信する。生徒側装置10では、受信した撮影データを表示部P1に表示させる。この場合、教師側装置20において生徒側装置10に送信する撮影データを切り替える制御を行ってもよいし、教師側装置20から生徒側装置10に複数の撮影データを送信し、生徒側装置10において表示部P1に表示させる撮影データを切り替える制御を行ってもよい。また、生徒が表示部P1を見る際、視線検出部E1により生徒の視線を検出し、検出結果に基づいて撮影データを切り替えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
C1~C3,C4~C6…カメラ、DC…映像切り替えデータ、DS…楽譜データ、D1~D3,D4~D6…撮影データ、E1,E2…視線検出部、I1,I2…入力部、M1,M2…マイク、NW…ネットワーク、P1,P2…表示部、S1,S2…音声出力部、10…演奏側装置、11,21…データ取得部、12,22…通信部、13,23…制御部、14,24…記憶部、15,25…出力部、16,26…切替制御部、17,27…楽曲判別部、18,28…楽譜取得部、19,29…データ設定部、20…表示側装置、30…データベース、100…演奏レッスンシステム
図1
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