(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】自立性包装材
(51)【国際特許分類】
B65D 77/06 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
B65D77/06 A
(21)【出願番号】P 2020147605
(22)【出願日】2020-09-02
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】苑田 孝之
(72)【発明者】
【氏名】古川 智子
(72)【発明者】
【氏名】武田 充広
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-241447(JP,A)
【文献】実開昭61-178339(JP,U)
【文献】特開2015-202876(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01964785(EP,A2)
【文献】登録実用新案第3176014(JP,U)
【文献】米国特許第03003678(US,A)
【文献】米国特許第6637645(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒部と底部と蓋部とを備え、
筒部は、筒部貼着板と前面板と後面板とからなり、前面板の左端に折り目を介して連接した筒部貼着板の外面が、前面板の右端に折り目を介して連接した後面板の内面に貼着されることで形成され、
底部は、筒部貼着板の下端と、前面板の下端の中心より左側に、それぞれ折り目を介して連接した第1底板部と、前面板の下端の中心より右側と、後面板の下端の中心より左側に、それぞれ折り目を介して連接した第2底板部とを有し、第1底板部と第2底板部とに設けられた係合部同士を係合させることにより、菱形形状の底部が形成され、
蓋部は、前面板の上端に折り目を介して連接され、先端に差し込み片を有し、
後面板はその差し込み片を差し込み可能なスリットを有し、
前面板の上端中央部から蓋部の略中央部にかけて連なるように孔が設けられている、ことを特徴とする自立性包装材。
【請求項2】
前面板と後面板の下部同士を相互に近接させる方向に外力が加えられることにより、第1底板部と第2底板部とに設けられた係合部同士の係合が解除されて、第1底板部と第2底板部とが筒部の内側に折り畳まれ、
その第1底板部と第2底板部とが筒部の内側に折り畳まれた状態で、前面板の左端と右端の折り目の下部同士を相互に近接させる方向に外力が加えられることにより、第1底板部と第2底板部とに設けられた係合部同士
が係合されて、菱形形状の底部が形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の自立性包装材。
【請求項3】
第1底板部は、筒部貼着板の下端に折り目を介して連接した第1フラップと、前面板の下端の中心より左側に折り目を介して連接した第2フラップとからなり、
第2底板部は、前面板の下端の中心より右側に折り目を介して連接した第3フラップと、後面板の下端の中心より左側に折り目を介して連接した第4フラップとからなり、
第2フラップは、第4フラップとの係合部と、第1フラップの外面に貼着される貼着板とを備え、
第4フラップは、第2フラップとの係合部と、第3フラップの外面に貼着される貼着板とを備え、
第1フラップが貼着された第2フラップの貼着板が、第3フラップが貼着された第4フラップの外面側にくるように、第2フラップと第4フラップの係合部同士を係合させることにより、菱形形状の底部が形成され、
第2フラップの貼着板および第4フラップの貼着板は、それぞれ筒部の内側に屈曲可能に備えられている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の自立性包装材。
【請求項4】
前面板および後面板の下部中央に、前面板および後面板の下端に対して略垂直な上下折り目線が設けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか
一項に記載の自立性包装材。
【請求項5】
スリットの両端から下方に向けて弱め線が設けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか
一項に記載の自立性包装材。
【請求項6】
差し込み片の左右両端を突出してなるフックが設けられていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか
一項に記載の自立性包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立性がない包装体を収納する自立性包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、酒類、飲料、調味料、液体洗剤などが収容された、注出口付きで軟包材からなるパウチなどの包装体がある。これらの包装体は、底にガゼットなどがない場合は自立性がなく、また、底にガゼットのあるスタンディングパウチのように自立性があっても、内容量が減ると自立性がなくなるという問題がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1のように、注出口を露出させるための孔を設けた直方体状の紙箱などに上記自立性がない包装体を収納することで、収納された包装体の自立性を持たせる方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自立性がない包装体で注出口付きの包装体の自立性を持たせるために、上記のような直方体状の紙箱を使用した場合、収納した包装体の自立性を持たせることはできても、その紙箱によりかさばるという問題がある。自立性がないパウチなどの包装体は、かさばらないという利点があるが、その利点が活かされなくなってしまう。また、内容物を注ぐ際に掴みにくいという問題もある。
【0006】
そこで、本発明は、自立性がないパウチなどの包装体のかさばらないという利点を活かしつつ、掴みやすく、収納する包装体の自立性を持たせることができる自立性包装材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、筒部と底部と蓋部とを備え、筒部は、筒部貼着板と前面板と後面板とからなり、前面板の左端に折り目を介して連接した筒部貼着板の外面が、前面板の右端に折り目を介して連接した後面板の内面に貼着されることで形成され、底部は、筒部貼着板の下端と、前面板の下端の中心より左側に、それぞれ折り目を介して連接した第1底板部と、前面板の下端の中心より右側と、後面板の下端の中心より左側に、それぞれ折り目を介して連接した第2底板部とを有し、第1底板部と第2底板部とに設けられた係合部同士を係合させることにより、菱形形状の底部が形成され、蓋部は、前面板の上端に折り目を介して連接され、先端に差し込み片を有し、後面板はその差し込み片を差し込み可能なスリットを有し、前面板の上端中央部から蓋部の略中央部にかけて連なるように孔が設けられている、ことを特徴とする自立性包装材である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前面板と後面板の下部同士を相互に近接させる方向に外力が加えられることにより、第1底板部と第2底板部とに設けられた係合部同士の係合が解除されて、第1底板部と第2底板部とが筒部の内側に折り畳まれ、その第1底板部と第2底板部とが筒部の内側に折り畳まれた状態で、前面板の左端と右端の折り目の下部同士を相互に近接させる方向に外力が加えられることにより、第1底板部と第2底板部とに設けられた係合部同士が瞬時に係合されて、菱形形状の底部が形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の自立性包装材である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、第1底板部は、筒部貼着板の下端に折り目を介して連接した第1フラップと、前面板の下端の中心より左側に折り目を介して連接した第2フラップとからなり、第2底板部は、前面板の下端の中心より右側に折り目を介して連接した第3フラップと、後面板の下端の中心より左側に折り目を介して連接した第4フラップとからなり、第2フラップは、第4フラップとの係合部と、第1フラップの外面に貼着される貼着板とを備え、第4フラップは、第2フラップとの係合部と、第3フラップの外面に貼着される貼着板とを備え、第1フラップが貼着された第2フラップの貼着板が、第3フラップが貼着された第4フラップの外面側にくるように、第2フラップと第4フラップの係合部同士を係合させることにより、菱形形状の底部が形成され、第2フラップの貼着板および第4フラップの貼着板は、それぞれ筒部の内側に屈曲可能に備えられている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の自立性包装材である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前面板および後面板の下部中央に、前面板および後面板の下端に対して略垂直な上下折り目線が設けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の自立性包装材である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、スリットの両端から下方に向けて弱め線が設けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の自立性包装材である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、差し込み片の左右両端を突出してなるフックが設けられていることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の自立性包装材である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の自立性包装材は、前面板の上端中央部から蓋部の略中央部にかけて連なるように設けられた孔から、自立性がない包装体の注出口を露出させ、蓋部の差し込み片を後面板のスリットに差し込み、自立性がない包装体を収納させたまま、内容物を注ぎ出すことが可能となるものであるが、筒部貼着板を介して前面板と後面板とにより筒部が形成され、側面板が存在しない。よって、自立性がないパウチなどの包装体が収納された場合に、そのパウチなどの包装体に近い体積を保持でき、そのパウチなどの包装体のかさばらないという利点を活かすことができる。また、側面板が存在しない分掴みやすい。よって内容物を注ぎやすい。
さらに、本発明の自立性包装材は、筒部貼着板の下端と、前面板の下端の中心より左側に、それぞれ折り目を介して連接した第1底板部と、前面板の下端の中心より右側と、後面板の下端の中心より左側に、それぞれ折り目を介して連接した第2底板部とを係合させることにより、菱形形状の底部が形成されている。菱形形状の底部により、自立性がない包装体が収納された場合にその包装体に自立性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る自立性包装材の展開図である。
【
図2】一実施形態に係る自立性包装材の正面図である。
【
図3】一実施形態に係る自立性包装材の背面図である。
【
図4】(a)一実施形態に係る自立性包装材の右側面図である。(b)一実施形態に係る自立性包装材の左側面図である。
【
図5】一実施形態に係る自立性包装材の底面図である。
【
図6】一実施形態に係る自立性包装材の蓋部を開けて机上に立たせた状態を示す斜視図である。
【
図7】一実施形態に係る自立性包装材に自立性がない包装体が収納された状態で机上に立たせた状態を示す斜視図である。
【
図8】一実施形態に係る自立性包装材に自立性がない包装体が収納された状態で、内容物を注ぎ出す状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、必要に応じて図面を参照して、本発明の実施形態の例について説明する。
【0016】
(自立性包装材の展開図について)
図1は、一実施形態に係る自立性包装材100の展開図であり、自立性包装材100の展開図の外面を上に向けた状態の展開図である。
図1に示されるように、自立性包装材100は、筒部10と底部30と蓋部80とを備える。ここで、外面とは、自立性包装材100に組み立てた際の外側の面のことである。
【0017】
筒部10は、筒部貼着板11と前面板12と後面板13とからなり、前面板12の左端に折り目12aを介して筒部貼着板11が連接され、前面板12の右端に折り目12bを介して後面板13が連接されている。自立性包装材100に組み立てる際、筒部貼着板11を介して前面板12と後面板13とにより筒部10が形成される。前面板12の形状は例えば略縦長長方形である。筒部貼着板11は例えば略縦長長方形から左上の一部分を切り取った切り欠け部分を有する形状である。この切り欠け部分により、筒部貼着板11の外面を後面板13の内面に貼着して筒部10を形成する際に、筒部貼着板11が後面板13の後述するスリット14や弱め線15a、15bに被さらない。後面板13は例えば略縦長長方形で上部中央に、収納される自立性がない包装体の露出した注出口を支える突起部16を有する。上記筒部貼着板11と前面板12と後面板13の各下端は、自立性を考慮して直線状であることが好ましい。ここで、内面とは、自立性包装材100に組み立てた際の内側の面のことである。
【0018】
前面板12および後面板13の下部中央には、前面板12および後面板13の直線状の下端に対して略垂直な上下折り目線17、18が設けられている。この上下折り目線17、18により、自立性包装材100に組立てた際に、より自立性を高め、デザイン性を高めることができる。また、この前面板12および後面板13の下部中央における上下折り目線17、18の上端から、さらに左右斜め上に延びる斜め折り目線も設けられていることで、自立性包装材100に組立てた際に、上下折り目線17、18の長さ以上に折れ曲がることを防ぎ、上記デザイン性を確保することが可能となる。
【0019】
また、前面板12および後面板13の上部中央には、前面板12および後面板13の直線状の下端に対して略垂直な上下折り目線19、20も設けられている。この上下折り目線19、20により、後述する孔84が広がりやすくなり、その孔84から自立性がない包装体の注出口を露出しやすくなるとともに、自立性包装材を自立させた際のデザイン性をより高めることが可能となる。
【0020】
後面板13は、後述する蓋部80の先端に有する差し込み片81を差し込み可能なスリット14を有する。また、このスリット14の上部中央には、スリット14に接するように略逆半円状の孔14aが設けられている。このスリット14の上部の孔14aにより、差し込み片81をスリット14により差し込みやすくなる。
【0021】
このスリット14の両端から下方に向けて弱め線15a、15bが設けられている。この弱め線15a、15bは、自立性包装材100の使用後に、収納した自立性がない包装体と当自立性包装材100を分別廃棄するために、自立性包装材100から自立性がない包装体を取り出す際に、差し込み片81をスリット14から抜き出しやすくするためのものである。弱め線15a、15bは、
図1では、例えばジッパー構造であり、上下方向斜めに伸びる主線と、その上端に連続して形成された傾斜線とを備える。2本の弱め線15a、15bは、下方にすぼまるように、左右対称に相反する側に斜めに伸びているが、後面板13の直線状の下端に対して上下略垂直線としてもよい。また、この弱め線15a、15bは、ジッパー構造に限られず、スリット14の両端から容易に切り離すことができれば、ミシン目やハーフカットなどでもよい。
【0022】
後面板13の下部には
図1で示されるように、後面板13の一部をくり抜くことで形成された窓部21を設けてもよい。窓部21により、自立性がない包装体に収容された内容物の種類や量などを確認することが可能となる。
【0023】
底部30は、筒部貼着板11の下端と、前面板12の下端の中心より左側に、それぞれ折り目40a、50aを介して連接した第1底板部31と、前面板12の下端の中心より右側と、後面板13の下端の中心より左側に、それぞれ折り目60a、70aを介して連接した第2底板部32とを有する。第1底板部31は、筒部貼着板11の下端に折り目40aを介して連接した第1フラップ40と、前面板12の下端の中心より左側に折り目50aを介して連接した第2フラップ50とからなり、第2底板部32は、前面板12の下端の中心より右側に折り目60aを介して連接した第3フラップ60と、後面板13の下端の中心より左側に折り目70aを介して連接した第4フラップ70とからなる。第1フラップ40と筒部貼着板11の間の折り目40a、第2フラップ50と前面板12の間の折り目50a、第3フラップ60と前面板12の間の折り目60a、および第4フラップ70と後面板13の間の折り目70aの長さは、略同じ長さである。
【0024】
第2フラップ50は、第4フラップ70との係合部51と、第1フラップ40の外面に貼着される貼着板52とを有し、第4フラップ70は、第2フラップ50との係合部71と、第3フラップ60の外面に貼着される貼着板72とを有する。また、第2フラップ50の貼着板52および第4フラップ70の貼着板72は、筒部10の内側に屈曲可能に備えられている。
図1においては、第2フラップ50の貼着板52および第4フラップ70の貼着板72は、それぞれ折り目53、73を介して、筒部10の内側に屈曲可能に備えられている。
【0025】
第1底板部31と第2底板部32は、自立性包装材100に組立てる際に、これらの底板部に設けられた係合部同士を係合させることにより、底部30が菱形形状となるように形成されている。また、第1底板部31を構成する第1フラップ40および第2フラップ50、第2底板部32を構成する第3フラップ60および第4フラップ70は、自立性包装材100に組立てる際に、第1フラップ40が貼着された第2フラップ50の貼着板52が、第3フラップ60が貼着された第4フラップ70の外面側にくるように、第2フラップ50と第4フラップ70の係合部同士を係合させることにより、底部30が菱形形状となるように形成されている。
【0026】
第1フラップ40、第2フラップ50、第3フラップ60、および第4フラップ70における、筒部10と連接される折り目40a、50a、60a、70aには、それぞれ、自立性をより高めるための脚板22、23、24、25が設けられている。
【0027】
蓋部80は、前面板12の上端に折り目80aを介して連接され、先端に差し込み片81を有する。この差し込み片81には、その左右両端を突出してなるフック82a、82bが設けられている。このフック82a、82bを有する差し込み片81をスリット14に差し込んだ後に、スリット14から抜き出そうとすると、フック82a、82bがスリット14の両端に引っ掛かるため、内容物を不正に取り替えるなどの改ざんを防止する効果および開封防止効果を発揮することができる。フック82a、82bの形状は、
図1に示される形状に限られないが、上記改ざん防止効果や開封防止効果をより発揮させるため、差し込み片81を上方に引き上げた際に、よりスリット14に引っ掛かる形状とすることが好ましい。また、蓋部80には、後述する孔84の差し込み片81側の端を通るように円弧状の左右折り目線83が設けられている。自立性がない包装体の注出口を孔84から露出させると蓋部80が浮いて差し込み片81がスリット14に差し込みにくくなるが、この左右折り目線83を山折りすることにより、差し込み片81をスリット14に近づけて差し込みやすくなる。
【0028】
また、前面板12の上端中央部から蓋部80の略中央部にかけて連なるように孔84が設けられている。この孔84は、収納された自立性がない包装体の注出口を露出させるための孔84で、注出口を支持する。
【0029】
自立性包装材100の材料は、組み立てた際に自立性を維持でき、かつ容易に折り畳むことができるものであれば特に限定されず、例えば、板紙、合成樹脂シート、紙と合成樹脂シートの積層シートなどが挙げられる。
【0030】
(自立性包装材の組み立て方法について)
次に、上記展開図から自立性包装材100を組み立てる方法の一例を記す。
図2は、一実施形態に係る自立性包装材100の正面図である。
図3は、一実施形態に係る自立性包装材100の背面図である。
図4(a)は、一実施形態に係る自立性包装材100の右側面図である。
図4(b)は、一実施形態に係る自立性包装材100の左側面図である。
図5は、一実施形態に係る自立性包装材100の底面図である。
【0031】
図2~5は、
図1に示される展開図から自立性包装材100を組み立て、蓋部80を後面板13の外面側に折り曲げた状態を示す。通常この段階では、既に筒部10の内側に、自立性がない包装体で注出口付きの包装体が収納され、孔84から注出口を露出させている状態であるが、
図2~5においては、この自立性がない包装体で注出口付きの包装体は省略し、自立性包装材100のみを示している。
【0032】
例えば、第1フラップ40を筒部貼着板11に対して折り目40aに沿って山折りし、第2フラップ50を前面板12に対して折り目50aに沿って山折りする。第2フラップ50の貼着板52の内面に接着剤を塗布した上で、筒部貼着板11と前面板12を折り目12aに沿って山折りし、第1フラップ40の外面に第2フラップ50の内面を接合し、第1フラップ40と第2フラップ50を貼着することで第1底板部31を形成させる。
図1において、第2フラップ50の貼着板52のd部分が第1フラップ40と筒部貼着板11の間の折り目40aに配置され、第1フラップ40のe部分が第2フラップ50との貼着部分となる。第1フラップ40のf部分は、e部分と共に第2フラップ50と接合されるものの、貼着はされない。
【0033】
第3フラップ60を前面板12に対して折り目60aに沿って山折りし、第4フラップ70を後面板13に対して折り目70aに沿って山折りする。第4フラップ70の貼着板72の内面に接着剤を塗布した上で、前面板12と後面板13を折り目12bに沿って山折りし、第3フラップ60の外面に第4フラップ70の内面を接合し、第3フラップ60と第4フラップ70を貼着することで第2底板部32を形成させる。
図1において、第4フラップ70の貼着板72のg部分が第3フラップ60と前面板12の間の折り目60aに配置され、第3フラップ60のh部分が第4フラップ70との貼着部分となる。第3フラップ60のi部分は、h部分と共に第4フラップ70と接合されるものの、貼着はされない。
【0034】
第1底板部31と第2底板部32とに設けられた係合部同士を係合させることにより、
図5に示されるように、菱形形状の底部30が形成される。具体的には、第1フラップ40が貼着された第2フラップ50の貼着板52が、第3フラップ60が貼着された第4フラップ70の外面側にくるように、第2フラップ50と第4フラップ70の係合部同士を係合させることにより、菱形形状の底部30が形成される。このとき、第2フラップ50と第4フラップ70の係合部同士は、底部30の略中心で係合される。
【0035】
図4に示されるように、側面板がないため側面部が面状ではなく線状であるにもかかわらず、菱形形状の底部30により、自立性がない包装体が収納された場合にその包装体に自立性を持たせることができる。また、
図2や
図3に示されるように、菱形形状の底部30の角が正面中央または背面中央にくることで、包装材100を自立させたときに正面視および背面視がそれぞれ左右対称となり、デザイン性が良好となる。さらに、前面板12が前に張り出した状態となるため、前面板に商標や商品名またはデザインなどが印刷された場合、その部分が前に張り出した状態となり、店頭などに並べた際にその商標や商品名またはデザインなどが目立ちやすい。
【0036】
一度底部30を形成させると、係合部同士の係合を解除したとしても底部30を破らない限り開封できないため、内容物を不正に取り替えるなどの改ざんを防止する効果および開封防止効果も有する。
【0037】
次に、筒部貼着板11の外面を、後面板13の右側内面に貼着する。こうすることで、筒部10が形成される。筒部貼着板11を介して前面板12と後面板13とにより筒部10が形成され、側面板が存在しない。よって、自立性がないパウチなどの包装体が収納された場合に、そのパウチなどの包装体に近い体積を保持でき、そのパウチなどの包装体のかさばらないという利点を活かすことができる。また、側面板が存在しない分、前面板12と後面板13のみで自立性包装材100を掴むことができ、掴みやすい。
【0038】
また、
図2や
図3に示されるように、前面板12および後面板13の下部中央および上部中央には、前面板12および後面板13の下端に対して略垂直な上下折り目線17、18、19、20が設けられているため、上記自立性およびデザイン性をより高めることが可能となる。また、この前面板12および後面板13の下部中央における上下折り目線17、18の上端から、さらに左右斜め上に延びる斜め折り目線も設けられていることで、上下折り目線17、18の長さ以上に折れ曲がることを防ぎ、上記デザイン性を確保することが可能となる。
【0039】
上記段階で筒部10の内側に、酒類や飲料などが充填された、自立性がないパウチなどの包装体で注出口付きの包装体を収納し、蓋部80を前面板12に対して折り目80aに沿って山折りして蓋部80を後面板13の外面側に折り曲げると共に、前面板12の上端中央部から蓋部80の略中央部にかけて連なるように設けられた孔84から注出口を露出させる。
図3に示されるように、蓋部80の左右折り目線83を山折りして差し込み片81を後面板13のスリット14に近づけ、差し込み片81をスリット14に差し込み、フック82a、82bをスリット14に引っ掛けて閉鎖することで、閉鎖状態を安定して支持することができる。このフック82a、82bを有する差し込み片81をスリット14から抜き出そうとすると、フック82a、82bがスリット14の両端に引っ掛かるため、内容物を不正に取り替えるなどの改ざんを防止する効果および開封防止効果を発揮させることができる。
【0040】
(自立性包装材の使用方法)
次に、自立性包装材100の使用方法について、底部30の折り畳みと底部30のワンタッチ形成などについての説明とともに記す。
図6は、一実施形態に係る自立性包装材100の蓋部80を開けて机90上に立たせた状態を示す斜視図である。
図7は、一実施形態に係る自立性包装材100に自立性がない包装体が収納された状態で机90上に立たせた状態を示す斜視図である。
図8は、一実施形態に係る自立性包装材100に自立性がない包装体が収納された状態で、内容物を注ぎ出す状態を示す斜視図である。
【0041】
上記のように構成された底部30は、第2フラップ50と第3フラップ60との間、第1フラップ40と第4フラップ70との間でフリーの状態となっているとともに、第2フラップ50の貼着板52および第4フラップ70の貼着板72は、筒部10の内側に屈曲可能に備えられている。一実施形態の自立性包装材100は、
図1や
図5に示されるように、第2フラップ50の貼着板52および第4フラップ70の貼着板72は、それぞれ折り目53、73を介して、筒部10の内側に屈曲可能に備えられている。
【0042】
よって、自立性がない包装体が収納される前の状態において、上記底部30の係合構造と筒部10の内側に屈曲可能な折り目53、73とによって、前面板12と後面板13の下部同士を相互に近接させる方向に外力が加えられることにより、第1底板部31と第2底板部32とに設けられた係合部同士の係合が解除されて、第1底板部31と第2底板部32とが筒部10の内側に折り畳まれる。
【0043】
第1底板部31と第2底板部32とが筒部10の内側に折り畳まれることで、底部30を形成したまま底部30を折り畳むことができ、自立性包装材100全体を扁平状にすることができる。
【0044】
また、第1底板部31と第2底板部32とが筒部10の内側に折り畳まれた状態で、前面板12の左端の折り目12aと右端の折り目12bの下部同士を相互に近接させる方向に外力が加えられることにより、第1底板部31と第2底板部32とに設けられた係合部同士が瞬時に係合されて、菱形形状の底部30が形成され、自立させることができる。
【0045】
よって、例えば、この自立性包装材100に収納される自立性がない包装体の内容物を製造する酒造メーカーや飲料メーカー、または、酒類や飲料を販売する小売店などに向けて、この扁平状の自立性包装材100を輸送することで、輸送時にもかさばらず、保管する際にもかさばらない。輸送後は、酒造メーカーや飲料メーカー、または小売店などは、
図6に示されるように、その扁平状の自立性包装材100の前面板12の左端の折り目12aと右端の折り目12bの下部同士を相互に近接させる方向に外力を加えることにより、ワンタッチで菱形形状の底部30を形成させ、
図7に示されるように、自立性がない包装体を収納し、その包装体を自立させることができる。第1フラップ40から第4フラップ70のそれぞれに設けられた脚板22、23、24、25により、自立性がより高められる。また、その菱形形状の底部30の角が正面中央にくることで、包装材100を自立させたときに正面視および背面視がそれぞれ左右対称となり、デザイン性が良好となる。さらに、前面板12が前に張り出した状態となるため、前面板に商標や商品名またはデザインなどが印刷された場合、その部分が前に張り出した状態となり、店頭などに並べた際にその商標や商品名またはデザインなどが目立ちやすい。
【0046】
また、本発明の自立性包装材100は、
図7に示されるように、前面板12の上端中央部から蓋部80の略中央部にかけて連なるように設けられた孔84から、自立性がない包装体の注出口200を露出させ、蓋部80の差し込み片81を後面板13のスリット14に差し込むことで、
図8に示されるように、自立性がない包装体を収納させたまま、内容物を注ぎ出すことが可能である。よって、上記酒類や飲料を購入した消費者は、その内容物である酒類や飲料を注ぎ出す際は、本発明の自立性包装材100に自立性がない包装体を収納させたまま、内容物を注ぎ出すことが可能となる。
【0047】
側面板が存在しないため、内容物を注ぎ出す際は、前面板12と後面板13のみで自立性包装材100を掴むこととなり掴みやすく、内容物を注ぎやすい。また、消費者は、自立性がない包装体が収納された自立性包装材100を保管などする際に、上記のように側面板が存在しない分かさばらない上、自立性がない包装体に自立性を持たせることが可能となる。なお、第1フラップ40から第4フラップ70のそれぞれに設けられた脚板22、23、24、25により、自立性がより高められる。
【0048】
(自立性包装材の廃棄について)
次に、自立性包装材100の使用後の廃棄について説明する。
【0049】
自立性がない包装体がプラスチックパウチで、一方、本発明の自立性包装材100が紙製である場合、消費者などは、自立性包装材100の使用後にこれらを分別廃棄することが必要となる。
【0050】
例えば消費者は、内容物を消費後に、自立性がない包装体とそれが収納された自立性包装材100を分別廃棄する場合、まず自立性がない包装体を自立性包装材100の中から取り出すために差し込み片81をスリット14から抜き出す作業を要する。差し込み片81の左右両端にはフック82a、82bが設けられており、フック82a、82bがスリット14の両端に引っ掛かるため、そのままでは容易に差し込み片81を抜き出すことが困難である。よって、消費者は、差し込み片81が差し込まれたスリット14の両端から、そのスリット14の両端から下方に向けて設けられた弱め線15a、15bに沿って後面板13を一部切り開くことで差し込み片81をスリット14から容易に抜き出すことが可能となる。
【0051】
上記のように差し込み片81をスリット14から容易に抜き出すことで、自立性がない包装体を自立性包装材100から容易に取り出すことができるため、自立性がない包装体と自立性包装材100の分別廃棄作業を簡易化することができる。
【0052】
なお、自立性包装材100は、底部30を形成したまま底部30を折り畳み、自立性包装材100全体を扁平状にすることができるため、自立性包装材100自体の廃棄もしやすい。
【0053】
以上の通り、本発明の自立性包装材は、前面板の上端中央部から蓋部の略中央部にかけて連なるように設けられた孔から、自立性がない包装体の注出口を露出させ、蓋部の差し込み片を後面板のスリットに差し込み、自立性がない包装体を収納させたまま、内容物を注ぎ出すことが可能となるものであるが、筒部貼着板を介して前面板と後面板とにより筒部が形成され、側面板が存在しない。よって、自立性がないパウチなどの包装体が収納された場合に、そのパウチなどの包装体のかさばらないという利点を活かすことができる。また、側面板が存在しない分掴みやすく、内容物を注ぎやすい。
さらに、本発明の自立性包装材は、筒部貼着板の下端と、前面板の下端の中心より左側に、それぞれ折り目を介して連接した第1底板部と、前面板の下端の中心より右側と、後面板の下端の中心より左側に、それぞれ折り目を介して連接した第2底板部とを係合させることにより、菱形形状の底部が形成されている。菱形形状の底部により、自立性がない包装体が収納された場合にその包装体に自立性を持たせることができる。
【符号の説明】
【0054】
筒部 10
筒部貼着板 11
前面板 12
後面板 13
スリット 14
スリット上部の孔 14a
弱め線 15a、15b
突起部 16
前面板および後面板の下部中央の上下折り目線 17、18
前面板および後面板の上部中央の上下折り目線 19、20
窓部 21
脚板 22、23、24、25
底部 30
第1底板部 31
第2底板部 32
第1フラップ 40
第2フラップ 50
第4フラップとの係合部 51
第2フラップの貼着板 52
第3フラップ 60
第4フラップ 70
第2フラップとの係合部 71
第4フラップの貼着板 72
筒部の内側に屈曲可能な折り目 53、73
蓋部 80
差し込み片 81
フック 82a、82b
左右折り目線 83
孔 84
折り目 12a、12b、40a、50a、60a、70a、80a
机 90
自立性包装材 100
注出口 200
d 第2フラップにおける、第1フラップと筒部貼着板の間の折り目に配置される部分
e 第1フラップにおける、第2フラップとの貼着部分
f 第1フラップにおける、第2フラップと接合されるものの、貼着はされない部分
g 第4フラップにおける、第3フラップの前面板の間の折り目に配置される部分
h 第3フラップにおける、第4フラップとの貼着部分
i 第3フラップにおける、第4フラップと接合されるものの、貼着はされない部分