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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】電気光学装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20240723BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20240723BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20240723BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240723BHJP
   G09F 9/35 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1339
G02F1/1368
G09F9/30 320
G09F9/30 330
G09F9/35
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020163398
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055778
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】西田 雅一
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-026815(JP,A)
【文献】特開2014-115361(JP,A)
【文献】特開2014-206622(JP,A)
【文献】特開2014-145992(JP,A)
【文献】特開2013-025066(JP,A)
【文献】特開平10-325959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1343-1/1345
G02F 1/136-1/1368
G02F 1/1339
G09F 9/30-9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域を有する電気光学装置であって、
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置された電気光学層と、
前記表示領域の外側に配置され、前記第1基板と前記第2基板との間の距離を規定し、
絶縁性を有するスペーサーと、
前記表示領域の外側に配置され、前記電気光学層に存在するイオン性不純物をトラップ
するために互いに異なる電位が供給される第1電極及び第2電極と、を備え、
前記第1電極は、第1方向に沿って延びる第1基部と、前記第1基部から前記第1方向
と交差する第2方向に突出する第1歯部と、を有し、
前記第2電極は、前記第1基部に沿うように前記第1方向に沿って延びる第2基部と、
前記第2基部から前記第2方向とは反対方向に前記第1歯部に沿うように突出する第2歯
部と、を有し、
前記スペーサーは、平面視で前記第1歯部と前記第2歯部との間に配置されることを特
徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第1基板と前記第2基板との間に配置されたシール部材を備え、
前記第1電極及び前記第2電極は、それぞれ平面視で前記シール部材と前記表示領域と
の間に配置される請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
表示領域を有する電気光学装置であって、
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置された電気光学層と、
前記表示領域の外側に配置され、前記第1基板と前記第2基板との間の距離を規定し、
絶縁性を有するスペーサーと、
前記第2基板と前記電気光学層との間に配置される対向電極と、
前記第1基板と前記電気光学層との間において前記表示領域の外側に配置され、前記対
向電極との間に発生する電界によって前記電気光学層に存在するイオン性不純物をトラッ
プするための電極と、を備え、
前記電極は、前記第1基板と前記第2基板とが重なる方向と交差する方向に向かって窪
んだ凹部を有し、当該凹部内に、前記スペーサーが配置されることを特徴とする電気光学
装置。
【請求項4】
前記スペーサーは、第1スペーサーであり、
前記表示領域に配置され、前記第1基板と前記第2基板との間の距離を規定する第2ス
ペーサーをさらに有する請求項1からのいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載の電気光学装置と、
前記電気光学装置の動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター等の電子機器には、例えば、画素ごとに光学的特性を変更可能な液晶表示装置等の電気光学装置が用いられる。
【0003】
特許文献1に記載の液晶表示装置は、第1基板と、第2基板と、第1基板と第2基板との間に配置された液晶層とを備える。さらに、当該液晶装置は、表示領域に形成された画素電極と、当該画素電極の周辺に形成された周辺電極とを備える。当該周辺電極は、表示領域に存在するイオン性不純物を周辺領域へと移動させるために設けられる。液晶層中のイオン性不純物を移動させることで、表示ムラが抑制される。
【0004】
また、第1基板と第2基板との間の距離を規定するために、これらの間に絶縁性を有する柱状のスペーサーを配置することが知られている。特許文献2に記載の液晶表示パネルは、画素領域に配置されるスペーサーを有する。当該スペーサーは、画素電極上に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-292861号公報
【文献】特開2001-5006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の周辺領域に、特許文献2に記載のスペーサーを配置する場合、スペーサーの配置によっては、その配置した箇所で所望の電界が形成されないおそれがある。この結果、イオン性不純物を周辺電極によってトラップする機能が低下してしまい、表示ムラ等による表示品質が低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置の一態様は、表示領域を有する電気光学装置であって、第1基板
と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置された電気光学層と、前記表
示領域の外側に配置され、前記第1基板と前記第2基板との間の距離を規定し、絶縁性を
有するスペーサーと、前記表示領域の外側に配置され、前記電気光学層に存在するイオン
性不純物をトラップするために互いに異なる電位が供給される第1電極及び第2電極と、
を備え、前記第1電極は、第1方向に沿って延びる第1基部と、前記第1基部から前記第
1方向と交差する第2方向に突出する第1歯部と、を有し、前記第2電極は、前記第1基
部に沿うように前記第1方向に沿って延びる第2基部と、前記第2基部から前記第2方向
とは反対方向に前記第1歯部に沿うように突出する第2歯部と、を有し、前記スペーサー
は、平面視で前記第1歯部と前記第2歯部との間に配置される
【0008】
本発明の電子機器の一態様は、前述の電気光学装置と、前記電気光学装置の動作を制御する制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る電気光学装置の平面図である。
図2図1に示す電気光学装置のA-A線における断面図である。
図3図1の素子基板の電気的な構成を示す等価回路図である。
図4図1に示す電気光学装置の一部を拡大した断面図である。
図5図4に示す電気光学装置の平面図である。
図6】第2実施形態に係る電気光学装置の一部を拡大した平面図である。
図7】第3実施形態に係る電気光学装置の一部を拡大した平面図である。
図8】変形例の第1スペーサーおよび第2スペーサーを示す断面図である。
図9】他の変形例の第1スペーサーおよび第2スペーサーを示す断面図である。
図10】電子機器の一例であるパーソナルコンピューターを示す斜視図である。
図11】電子機器の一例であるスマートフォンを示す平面図である。
図12】電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法または縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0011】
1.電気光学装置
1A.第1実施形態
1Aa.基本構成
図1は、第1実施形態に係る電気光学装置100の平面図である。図2は、図1に示す電気光学装置100のA-A線における断面図である。なお、図1では、対向基板3の図示を省略する。また、以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜用いて説明する。また、X軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向とは反対の方向をX2方向と表記する。同様に、Y軸に沿う一方向をY1方向と表記し、Y1方向とは反対の方向をY2方向と表記する。Z軸に沿う一方向をZ1方向と表記し、Z1方向とは反対の方向をZ2方向と表記する。また、以下では、Z1方向またはZ2方向に見ることを「平面視」とし、Z軸を含む断面に対して垂直方向からを見ることを「断面視」とする。また、Z1方向またはZ2方向は、後述の第1基板20と第2基板30とが重なる方向である。
【0012】
図1および図2に示す電気光学装置100は、アクティブマトリクス駆動方式の透過型の液晶装置である。図2に示すように、電気光学装置100は、透光性を有する素子基板2と、透光性を有する対向基板3と、枠状のシール部材4と、液晶層5とを有する。なお、「透光性」とは、可視光に対する透過性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%以上であることをいう。素子基板2、液晶層5および対向基板3は、この順にZ1方向に並ぶ。また、図1および図2では図示しないが、電気光学装置100は、液晶層5の厚みを規定する複数の第1スペーサー61および複数の第2スペーサー62を有する。また、図1に示す電気光学装置100の平面視での形状は四角形であるが、例えば円形であってもよい。
【0013】
図2に示す素子基板2は、後述の複数のTFT(Thin Film Transistor)を有する基板である。素子基板2は、第1基板20と複数の画素電極23と複数のダミー画素電極23dと第1配向膜26とを有する。なお、ダミー画素電極23dは省略されてもよい。第1基板20は、第1基材21と絶縁層22とを有する。第1基材21、絶縁層22、複数の画素電極23および第1配向膜26は、この順に液晶層5に向かって並ぶ。また、複数のダミー画素電極23dは、複数の画素電極23と同一平面上に配置され、平面視で複数の画素電極23を囲む。なお、図1および図2では図示しないが、素子基板2は、イオン性不純物のトラップ用の周辺電極25を有する。周辺電極25については、後で詳述する。
【0014】
第1基材21は、透光性および絶縁性を有する平板で構成される。第1基材21の材料は、例えば、ガラスまたは石英である。絶縁層22は、透光性および絶縁性を有する複数の絶縁膜の積層体である。各絶縁膜の材料は、例えば、酸化ケイ素および酸窒化ケイ素等のケイ素を含む無機材料である。絶縁層22には、後述の複数のトランジスター24および各種配線が配置される。また、画素電極23およびダミー画素電極23dのそれぞれは、透光性を有する。画素電極23およびダミー画素電極23dの各材料は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)またはIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明導電材料である。画素電極23は、表示に寄与する電極である。ダミー画素電極23dは、画素電極23と同様な構成を有するが表示に寄与しない電極である。複数のダミー画素電極23dは、平面視で、複数の画素電極23の外側に位置し、複数の画素電極23を囲む。また、第1配向膜26は、透光性を有し、素子基板2において最も液晶層5側に位置する。第1配向膜26は、液晶層5の液晶分子を配向させる。第1配向膜26は、斜方蒸着により成膜された斜方蒸着膜である。第1配向膜26の材料は、例えば、酸化ケイ素である。
【0015】
対向基板3は、素子基板2に対向して配置される基板である。対向基板3は、第2基板30と共通電極33と第2配向膜34とを有する。第2基板30は、第2基材31と絶縁膜32とを有する。第2基材31、絶縁膜32、共通電極33および第2配向膜34は、この順に液晶層5に向かって並ぶ。絶縁膜32、共通電極33および第2配向膜34のそれぞれは、平面視で第2基材31のほぼ全域と重なる。
【0016】
第2基材31は、透光性および絶縁性を有する平板で構成される。第2基材31の材料は、例えば、ガラスまたは石英である。絶縁膜32の材料は、例えば、酸化ケイ素等の透光性および絶縁性を有するケイ素系の無機材料である。絶縁膜32内には、図示はしないが、枠状の見切部が配置される。「遮光性」とは、可視光に対する遮光性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%未満であることをいい、より好ましくは10%以下であることをいう。また、共通電極33は、複数の画素電極23に対して液晶層5を介して配置される対向電極である。共通電極33は、第2基板30と液晶層5との間に配置される。共通電極33は、図示しない導通用電極を介して素子基板2に電気的に接続される。共通電極33には、例えば固定電位が印加される。共通電極33の材料は、例えば、ITOまたはIZO等の透明導電材料である。また、第2配向膜34は、透光性を有し、対向基板3において最も液晶層5側に位置する。第2配向膜34は、液晶層5の液晶分子を配向させる。第2配向膜34は、斜方蒸着により成膜された斜方蒸着膜である。第2配向膜34の材料は、例えば、酸化ケイ素である。
【0017】
シール部材4は、素子基板2と対向基板3との間に配置される。シール部材4は、例えばエポキシ樹脂等の各種硬化性樹脂を含む接着剤等を用いて形成される。シール部材4は、ガラス等の無機材料で構成されるギャップ材を含んでもよいし、含まなくてもよい。ギャップ材が第1基板20と第2基板30との間の距離を制御することも可能であるが、複数の第1スペーサー61および複数の第2スペーサー62、第1基板20と第2基板30との間の距離を広い範囲で精度よく制御することができる。
【0018】
液晶層5は、素子基板2、対向基板3およびシール部材4によって囲まれる領域内に配置される。液晶層5は、第1基板20と第2基板30との間に配置され、画素電極23および共通電極33との間に発生する電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層である。液晶層5は、正または負の誘電異方性を有する液晶分子を含む。液晶分子の配向は、液晶層5に印加される電圧に応じて変化する。
【0019】
図1に示すように、素子基板2には、複数の走査線駆動回路11と信号線駆動回路12と複数の外部端子13とが配置される。複数の外部端子13の一部は、図示しないが、走査線駆動回路11または信号線駆動回路12から引き回される配線に接続される。また、複数の外部端子13は、共通電位が印加させる端子を含む。当該端子は、図示しない配線および導通材を介して、対向基板3の共通電極33に電極的に接続される。
【0020】
かかる電気光学装置100は、画像を表示する表示領域A10と、平面視で表示領域A10の周辺に位置する周辺領域A20と、ダミー画素領域A11とを有する。表示領域A10には、行列状に配列される複数の画素Pが設けられる。複数の画素Pに対して複数の画素電極23が1対1で配置される。なお、前述の共通電極33は、複数の画素Pで共通に設けられる。また、周辺領域A20には、走査線駆動回路11および信号線駆動回路12が配置される。後述するが、周辺領域A20には、イオン性不純物のトラップ用の周辺電極25が配置される。また、ダミー画素領域A11は、表示領域A10と周辺領域A20との間に位置する。ダミー画素領域A11には、複数の画素Pを囲む複数のダミー画素PDが設けられる。ダミー画素領域A11は、複数のダミー画素電極23dが配置される。
【0021】
本実施形態では、電気光学装置100は透過型である。本実施形態では、対向基板3に入射した光が素子基板2から出射される間に変調することにより、画像が表示される。なお、素子基板2に入射した光が対向基板3ら出射される間に変調することにより、画像が表示されてもよい。また、電気光学装置100は、反射型であってもよい。この場合、例えば、共通電極33が透光性を有し、かつ画素電極23が反射性を有する。反射型の場合、対向基板3に入射した光が画素電極23で反射し、再び対向基板3から出射される間で変調されることにより、画像が表示される。反射型の場合、素子基板2は透光性を有しなくてよく、例えば、素子等を作り込めることが可能なシリコン基板であってもよい。
【0022】
また、電気光学装置100は、例えば、後述するパーソナルコンピューターおよびスマートフォン等のカラー表示を行う表示装置に適用される。当該表示装置に適用される場合、電気光学装置100に対してカラーフィルターが適宜用いられる。また、電気光学装置100は、例えば、後述する投射型のプロジェクターに適用される。この場合、電気光学装置100は、ライトバルブとして機能する。なお、この場合、電気光学装置100に対してカラーフィルターが省略される。
【0023】
1Ab.素子基板2の電気的な構成
図3は、図1の素子基板2の電気的な構成を示す等価回路図である。図3に示すように、素子基板2は、複数のトランジスター24とn本の走査線241とm本の信号線242とn本の容量線243とを有する。nおよびmはそれぞれ2以上の整数である。n本の走査線241とm本の信号線242との各交差に対応してトランジスター24が配置される。各トランジスター24は、例えばスイッチング素子として機能するTFTである。各トランジスター24は、ゲート、ソースおよびドレインを含む。
【0024】
n本の走査線241のそれぞれはX1方向に延在し、n本の走査線241はY2方向に等間隔で並ぶ。n本の走査線241のそれぞれは、対応する複数のトランジスター24のゲートに電気的に接続される。n本の走査線241は、図1に示す走査線駆動回路11に電気的に接続される。1~n本の走査線241には、走査線駆動回路11から走査信号G1、G2、…、およびGnが線順次で供給される。
【0025】
図3に示すm本の信号線242のそれぞれはY2方向に延在し、m本の信号線242はX1方向に等間隔で並ぶ。m本の信号線242のそれぞれは、対応する複数のトランジスター24のソースに電気的に接続される。m本の信号線242は、図1に示す信号線駆動回路12に電気的に接続される。1~m本の信号線242には、信号線駆動回路12から画像信号S1、S2、…、およびSmが並行に供給される。
【0026】
図3に示すn本の走査線241とm本の信号線242とは、互いに電気的に絶縁されており、平面視で格子状に配置される。隣り合う2つの走査線241と隣り合う2つの信号線242とで囲まれる領域が画素Pに対応する。各画素電極23は、対応するトランジスター24のドレインに電気的に接続される。
【0027】
n本の容量線243のそれぞれはX1方向に延在し、n本の容量線243はY2方向に等間隔で並ぶ。また、n本の容量線243は、m本の信号線242およびn本の走査線241に対して電気的に絶縁されており、これらに対して間隔をもって配置される。各容量線243には、グランド電位等の固定電位が印加される。n本の容量線243のそれぞれは、対応する複数の蓄積容量244に電気的に接続される。各蓄積容量244は、画素電極23の電位を保持するための容量素子である。なお、複数の蓄積容量244は、複数の画素電極23に1対1で電気的に接続される。複数の蓄積容量244は、複数のトランジスター24のドレインに1対1で電気的に接続される。
【0028】
走査信号G1、G2、…、およびGnが順次アクティブとなり、n本の走査線241が順次選択されると、選択される走査線241に接続されるトランジスター24がオン状態となる。すると、m本の信号線242を介して表示すべき階調に応じた大きさの画像信号S1、S2、…、およびSmが、選択される走査線241に対応する画素Pに取り込まれ、画素電極23に印加される。これにより、画素電極23と図2に共通電極33との間に形成される液晶容量に、表示すべき階調に応じた電圧が印加され、印加される電圧に応じて液晶分子の配向が変化する。また、蓄積容量244によって、印加される電圧が保持される。このような液晶分子の配向の変化によって光が変調され階調表示が可能となる。
【0029】
1A-3.周辺電極25
図4は、図1に示す電気光学装置100の一部を拡大した断面図である。前述のように、素子基板2は、周辺電極25を有する。図4に示す周辺電極25は、複数の画素電極23の外側に位置し、複数の画素電極23に対して離間する。本実施形態では、周辺電極25は、ダミー画素電極23dの外側に位置する。また、周辺電極25は、シール部材4の内側に位置する。周辺電極25は、液晶層5中のイオン性不純物をトラップするイオントラップ部として機能する。なお、図4には、第1スペーサー61および第2スペーサー62が示されるが、これらについては、後述する。
【0030】
液晶層5に強い光が入射すると、光化学反応が促進されイオン性不純物が発生する。例えば、液晶層5の紫外線劣化により、液晶材料から離脱したフッ素等のイオン性不純物が液晶層5中に拡散する。表示領域A10において当該イオン性不純物が凝集すると、例えば、凝集物が局在化することにより電気光学装置100の表示においてシミが発生するおそれがある。この結果、電気光学装置100の表示品質の劣化を招く。したがって、イオン性物質が表示領域A10に存在することは、表示品質の劣化を招くため好ましくない。
【0031】
表示領域A10で発生するイオン性不純物は、例えば、液晶層5の温度差による熱拡散により周辺領域A20に移動する。当該温度差は、例えば電気光学装置100の駆動により生じる。さらに、周辺領域A20にトラップ用の周辺電極25が配置されることで、周辺電極25で発生する電界によってイオン性不純物を周辺領域A20でトラップすることができる。この結果、表示領域A10にイオン性物質が留まることが抑制される。
【0032】
周辺電極25は、第1電極251と第2電極252と有する。第1電極251と第2電極252とは互いに離間する。第2電極252は、第1電極251に対して離間する。第2電極252には、第1電極251の電位と異なる電位が供給される。第1電極251と第2電極252との間に発生する電界によってイオン性不純物をトラップする。
【0033】
周辺電極25の材料は、例えば、ITOまたはIZO等の透明導電材料である。本実施形態では、周辺電極25は、透光性を有し、周辺電極25の材料が画素電極23の材料と同じである。このため、周辺電極25と画素電極23とを同一工程で簡単に形成することができる。また、画素電極23およびダミー画素電極23dと同一平面上に位置する。したがって、本実施形態では、周辺電極25のZ1方向での位置は、画素電極23のZ1方向での位置と同じである。なお、周辺電極25は、透光性を有してなくてもよく、周辺電極25の材料が画素電極23の材料とは異なっていてもよい。また、周辺電極25のZ1方向での位置は、画素電極23のZ1方向での位置と異なってもよい。
【0034】
図5は、図4に示す電気光学装置100の平面図である。なお、図5では、便宜上、ダミー画素電極23dをドットパターで示している。図5では、第1配向膜26の図示が省略される。また、図5は、対向基板3から素子基板2に向かって平面視した図であり、図4中のC-C線に相当する。
【0035】
図5に示す周辺電極25は、平面視で複数の画素電極23を囲む枠状に配置される。図5では、枠状に配置される周辺電極25の一部が図示される。周辺電極25が有する第1電極251および第2電極252の各平面視での形状は、櫛歯状である。第1電極251および第2電極252のそれぞれは、Y1方向に延びる基部と、当該基部からX1またはX2方向に突出する複数の歯部と、を有する。当該複数の歯部は互いに離間する。第1電極251の歯部と第2電極252の歯部とが互いに並設するよう、第1電極251および第2電極252は配置される。
【0036】
1A-4.第1スペーサー61および第2スペーサー62
図4に示すように、第1スペーサー61および第2スペーサー62のそれぞれは、第1基板20と第2基板30との間に配置される。また、第1スペーサー61および第2スペーサー62のそれぞれは、液晶層5内に配置される。なお、第1スペーサー61は「スペーサー」の例示である。
【0037】
本実施形態では、第1スペーサー61および第2スペーサー62のそれぞれは、素子基板2に設けられる。具体的には、第1スペーサー61および第2スペーサー62のそれぞれは、絶縁層22と第1配向膜26との間でこれらに接触している。第1スペーサー61および第2スペーサー62のそれぞれは、第1配向膜26を介して対向基板3に接続される。なお、第1スペーサー61および第2スペーサー62のそれぞれは、第1配向膜26で覆われるが、これらの上面には、第1配向膜26が配置されていなくてもよい。この場合、第1スペーサー61および第2スペーサー62は、対向基板3に直接的に接続されてもよい。なお、第1配向膜26が配置されていない領域の配向不良を低減するために、複数蒸着により第1スペーサー61上および第2スペーサー62上に第1配向膜26を形成してもよい。
【0038】
第1スペーサー61および第2スペーサー62のそれぞれは、柱状の部材である。第1スペーサー61および第2スペーサー62のそれぞれは、第1基板20と第2基板30との間の距離を規定する。すなわち、第1スペーサー61および第2スペーサー62のそれぞれは、液晶層5の厚さを規定している。第1スペーサー61および第2スペーサー62を有することで、有さない場合に比べ、第1基板20と第2基板30との間の距離の経時的な変化を抑制することができる。
【0039】
なお、第1スペーサー61および第2スペーサー62の各形状は、柱状であるが、当該形状は、例えば壁状であってもよい。
【0040】
第1スペーサー61および第2スペーサー62の各断面視での形状は、四角形状である。第1スペーサー61および第2スペーサー62のそれぞれは柱状であり、底面に対応する第1基板20側の面と、上面に対応する第2基板30側の面と、当該2つの面を接続する側面とを有する。本実施形態では、当該側面は、Z1方向に平行である。第1基板20側の面および第2基板30側の面の各幅は、ほぼ等しい。当該幅は、X-Y平面における長さである。
【0041】
また、第1スペーサー61および第2スペーサー62のそれぞれの数は、複数であるが、1個でもよい。ただし、複数の第1スペーサー61および複数の第2スペーサー62を有することで、電気光学装置100の全域において第1基板20と第2基板30との間の距離の均一化を図ることができる。
【0042】
また、第1スペーサー61および第2スペーサー62は、絶縁性および透光性を有する。なお、本実施形態では、第1スペーサー61および第2スペーサー62は、透光性を有するが、透光性を有していなくてもよい。第1スペーサー61および第2スペーサー62の各材料は、例えば、酸化ケイ素および酸窒化ケイ素等のケイ素を含む無機材料、または樹脂材料が挙げられる。特に、第1スペーサー61および第2スペーサー62の材料は、好ましくは無機材料である。これにより、液晶層5中に樹脂成分が侵入するおそれが回避される。このため、有機汚染による誤作動等の不具合の発生を防ぐことができる。また、第1スペーサー61および第2スペーサー62の各材料が無機材料であることで、有機材料である場合に比べ、第1スペーサー61および第2スペーサー62の寸法精度を高めることができ、かつ経時的な寸法変化を生じ難くすることができる。よって、長期にわたって、素子基板2と対向基板3との間の距離の安定化を図ることができる。
【0043】
図5に示すように、第1スペーサー61および第2スペーサー62の平面視での形状は、円形であるが、当該形状は円形に限定されない。例えば、当該形状は、例えば、四角形、ひし形および六角形等の多角形であってもよい。
【0044】
第1スペーサー61は、周辺領域A20に配置される。第2スペーサー62は、表示領域A10に配置される。なお、本実施形態では、第2スペーサー62は、ダミー画素領域A11にも配置される。複数の第1スペーサー61は、互いに離間して配置される。複数の第2スペーサー62は、互いに離間して配置される。
【0045】
図5に示すように、第1スペーサー61は、平面視で周辺電極25と重ならない。このため、第1スペーサー61が平面視で周辺電極25に重なることにより、周辺電極25への電位の供給が遮られることが回避される。この結果、第1電極251と第2電極252との間で電界が形成されないおそれが抑制される。よって、絶縁性の第1スペーサー61の存在により、周辺電極25によるイオン性不純物をトラップする機能の大幅な低下が抑制される。したがって、第1スペーサー61による第1基板20と第2基板30との間の距離を規定する機能と、周辺電極25によるイオン性不純物をトラップする機能との両方を効果的に発揮することができる。この結果、表示ムラ等による表示品質の低下を抑制することができる。
【0046】
各第1スペーサー61は、第1電極251と第2電極252との間に配置される。具体的には、各第1スペーサー61は、第1電極251の歯部と第2電極252の歯部との間に位置する。第1電極251と第2電極252との間を有効利用することで、第1スペーサー61を効率良く配置することができる。
【0047】
また、複数の第1スペーサー61は、島状に配置される。なお、複数の第1スペーサー61は、等間隔で並んでいてもよいし、等間隔で並んでいなくてもよい。
【0048】
また、複数の第1スペーサー61に加え、複数の第2スペーサー62を有する。このため、第2スペーサー62を有さない場合に比べ、第1基板20と第2基板30との間の距離のバラつきを長期にわたって抑制することができる。
【0049】
第2スペーサー62は、画素Pピッチごとに設けられる。図示はしないが、第2スペーサー62は、平面視でトランジスター24と重なる。また、各第2スペーサー62は、平面視で複数の画素電極23の間の領域に位置する。第2スペーサー62は、平面視で画素電極23と重ならない。第2スペーサー62が平面視で画素電極23と重ならないことで、第2スペーサー62が存在することによる開口率の低下を抑制することができる。
【0050】
なお、各第2スペーサー62は、画素電極23に重なる部分を有してもよい。この場合、開口率の低下を防ぐため、第2スペーサー62の画素電極23と重なる部分の割合は、好ましくは、第2スペーサー62の画素電極23と重ならない部分の割合よりも小さい。
【0051】
また、本実施形態では、複数の第2スペーサー62は、複数の画素Pに対して1対1で配置される。ただし、第2スペーサー62は、画素Pピッチごとに配置されなくてもよい。ただし、画素Pピッチごとに配置されることで、画素Pごとに第1基板20と第2基板30との間の距離のバラつきを抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、第1スペーサー61および第2スペーサー62は、素子基板2に設けられる。このため、第1スペーサー61および第2スペーサー62が対向基板3に設けられる場合に比べ、第1スペーサー61および第2スペーサー62と、周辺電極25、画素電極23およびダミー画素電極23dと、の位置ずれを低減し易い。
【0053】
以上の電気光学装置100によれば、周辺電極25と第1スペーサー61とを周辺領域に設け、スペーサーによる距離を規定する機能と、周辺電極によってイオン性不純物をトラップする機能との両方を効果的に発揮させことができ、表示品質の低下が抑制される。
【0054】
なお、前述の素子基板2および対向基板3の少なくとも一方は、複数のレンズを有するレンズ層を備えてもよい。当該レンズは、複数の画素電極23ごとに設けられる。かかるレンズ層を有することで、光の利用効率を高めることができ、よって、明るく、かつ表示品質に優れる電気光学装置100を実現することができる。
【0055】
1B.第2実施形態
第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0056】
図6は、第2実施形態に係る電気光学装置100の一部を拡大した平面図であり、第1実施形態の図5に対応する。本実施形態の電気光学装置100は、主に、周辺電極25Aが第1実施形態の周辺電極25と異なる。以下では、周辺電極25Aについて、第1実施形態の周辺電極25と異なる事項を説明し、同様の事項の説明は適宜省略する。
【0057】
図6に示す周辺電極25Aの平面視での形状は、四角形の枠状である。本実施形態の電気光学装置100は、周辺電極25Aと対向配置される共通電極33との間に発生する電界によってイオン性不純物をトラップする。かかる周辺電極25Aは、平面視で、複数の第1スペーサー61と重ならない。このため、絶縁性の第1スペーサー61の存在により、周辺電極25Aへの電位の供給が遮られることが回避される。この結果、周辺電極25Aによるイオン性不純物をトラップする機能の大幅な低下が抑制される。したがって、第1スペーサー61による第1基板20と第2基板30との間の距離を規定する機能と、周辺電極25Aによるイオン性不純物をトラップする機能との両方を効果的に発揮することができる。この結果、表示品質の低下を抑制することができる。
【0058】
本実施形態の周辺電極25Aおよび第1実施形態の周辺電極25は、例えば、トラップしたいイオン性不純物の種類等に応じて選択される。
【0059】
また、周辺電極25Aは、複数の凹部250を有する。各凹部250は、Z1方向と交差する方向であるX-Y平面に含まれる方向に向かって窪んでいる。複数の凹部250は、複数の第1スペーサー61に対して1対1で配置される。凹部250内には、第1スペーサー61が配置される。このため、凹部250を有さない場合に比べ、電気光学装置100の平面視での面積が大きくなることが抑制される。
【0060】
また、図示の例では、周辺電極25Aの外側に複数の第1スペーサー61が配置される。このため、周辺電極25の内側に複数の第1スペーサー61が配置される場合に比べ、第1基板20と第2基板30との間の距離の経時的な変化をより抑制することができる。なお、第1スペーサー61は、周辺電極25の内側に位置してもよい。
【0061】
1C.第3実施形態
第3実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0062】
図7は、第3実施形態に係る電気光学装置100の一部を拡大した平面図であり、第1実施形態の図5に対応する。本実施形態の電気光学装置100は、主に、周辺電極25Bが第1実施形態の周辺電極25と異なる。以下では、周辺電極25Bについて、第1実施形態の周辺電極25と異なる事項を説明し、同様の事項の説明は適宜省略する。
【0063】
図6に示す周辺電極25Bは、複数の電極253を有する。複数の電極253は、平面視で複数の画素電極23を囲む枠状に配置される。複数の電極253は、互いに離間する。各電極253の平面視での形状は、画素電極23の平面視での形状に対応している。具体的には、各電極253の平面視での形状は、画素電極23の平面視での形状の同一の四角形である。また、各電極253の平面視での形状は、ダミー画素電極23dの平面視での形状の同一の四角形である。複数の電極253は、複数の画素電極23および複数のダミー画素電極23dとともに行列状に配置される。
【0064】
本実施形態の電気光学装置100は、周辺電極25Bと共通電極33との間に発生する電界によってイオン性不純物をトラップする。かかる周辺電極25Bは、平面視で、複数の第1スペーサー61と重ならない。このため、絶縁性の第1スペーサー61の存在により、周辺電極25Bへの電位の供給が遮られることが回避される。この結果、周辺電極25Bによるイオン性不純物をトラップする機能の大幅な低下が抑制される。したがって、第1スペーサー61による第1基板20と第2基板30との間の距離を規定する機能と、周辺電極25Bによるイオン性不純物をトラップする機能との両方を効果的に発揮することができる。この結果、表示品質の低下を抑制することができる。
【0065】
本実施形態の周辺電極25B、第2実施形態の周辺電極25Aおよび第1実施形態の周辺電極25は、例えば、トラップしたいイオン性不純物の種類等に応じて選択される。
【0066】
また、各電極253の平面視での形状が画素電極23およびダミー画素電極23dの各平面視での形状に対応しているため、他の実施形態に比べ、電極253、画素電極23およびダミー画素電極23dを同一工程で簡単に形成することができる。
【0067】
また、各電極253の平面視での形状が画素電極23およびダミー画素電極23dの各平面視での形状に対応しているため、電極253、画素電極23およびダミー画素電極23dを行列状に配置し易い。このため、第1スペーサー61および第2スペーサー62と、電極253、画素電極23およびダミー画素電極23dと、の位置ずれを低減し易い。本実施形態の第1スペーサー61は、第2スペーサー62と同様に、平面視で複数の画素電極23の間の領域に位置する。電極253、画素電極23およびダミー画素電極23dを行列状に配置し易いことで、周辺電極25Bと平面視で重ならないように第1スペーサー61を配置することが容易である。
【0068】
2.変形例
以上に例示した実施形態は多様に変形され得る。前述の実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。以下の第1実施形態に関する変形例は、矛盾しない範囲で他の実施形態に適合され得る。
【0069】
前述の各実施形態では、第1スペーサー61および第2スペーサー62の各断面視での形状は、四角形であるが、台形でもよい。具体的には、第1スペーサー61および第2スペーサー62のそれぞれは、第1基板20または第2基板30の一方から他方に向かって幅が小さくなる形状でもよい。
【0070】
図8は、変形例の第1スペーサー61Cおよび第2スペーサー62Cを示す断面図である。図8に示すように、第1スペーサー61Cおよび第2スペーサー62Cの各断面視での形状は、台形でもよい。具体的には、第1スペーサー61Cおよび第2スペーサー62Cのそれぞれは、第1基板20から第2基板30に向かって幅が小さくなる形状である。第1スペーサー61Cの第1基板20側の面の幅は、第1スペーサー61Cの各第2基板30側の面の幅よりも大きい。第2スペーサー62Cの第1基板20側の面の幅は、第2スペーサー62Cの各第2基板30側の面の幅よりも大きい。
【0071】
また、前述の各実施形態では、素子基板2が第1スペーサー61および第2スペーサー62を有するが、対向基板3が第1スペーサー61および第2スペーサー62を有してもよい。
【0072】
図9は、他の変形例の第1スペーサー61Dおよび第2スペーサー62Dを示す断面図である。図9に示す例では、対向基板3が、第1スペーサー61Dおよび第2スペーサー62Dを有する。第1スペーサー61Dおよび第2スペーサー62Dは、共通電極33と第2配向膜34との間に配置され、これらに接触する。
【0073】
また、第1スペーサー61、61C、および第2スペーサー62、62Cは、周辺電極25、および画素電極23を形成された素子基板2上の無機材料または樹脂材料をパターニングすることにより、精度良く形成配置される。第1スペーサー61D、および第2スペーサー62Dは、共通電極33を形成された対向基板3上の無機材料または樹脂材料をパターニングすることにより形成配置される。
【0074】
前述の各実施形態では、トランジスター24は、TFTであったが、例えば、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)であってもよい。
【0075】
前述の各実施形態では、アクティブマトリクス方式の電気光学装置100が例示されるが、これに限定されず、電気光学装置100の駆動方式は、例えば、パッシブマトリクス方式等でもよい。
【0076】
「電気光学装置」の駆動方式は、縦電界方式に限定されず、横電界方式でもよい。第1実施形態では、素子基板2に画素電極23が設けられ、対向基板3に共通電極33が設けられているが、素子基板2または対向基板3のいずれか一方のみに、液晶層5に電界を印加するための電極が設けられてもよい。なお、横電界方式としては、例えばIPS(In Plane Switching)モードが挙げられる。また、縦電界方式としては、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Virtical Alignment)、PVAモードおよびOCB(Optically Compensated Bend)モードが挙げられる。
【0077】
3.電子機器
電気光学装置100は、各種電子機器に用いることができる。
【0078】
図10は、電子機器の一例であるパーソナルコンピューター2000を示す斜視図である。パーソナルコンピューター2000は、各種の画像を表示する電気光学装置100と、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設置される本体部2010と、制御部2003と、を有する。制御部2003は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0079】
図11は、電子機器の一例であるスマートフォン3000を示す平面図である。スマートフォン3000は、操作ボタン3001と、各種の画像を表示する電気光学装置100と、制御部3002と、を有する。操作ボタン3001の操作に応じて電気光学装置100に表示される画面内容が変更される。制御部3002は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0080】
図12は、電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。投射型表示装置4000は、例えば、3板式のプロジェクターである。電気光学装置1rは、赤色の表示色に対応する電気光学装置100であり、電気光学装置1gは、緑の表示色に対応する電気光学装置100であり、電気光学装置1bは、青色の表示色に対応する電気光学装置100である。すなわち、投射型表示装置4000は、赤、緑および青の表示色に各々対応する3個の電気光学装置1r、1g、1bを有する。制御部4005は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0081】
照明光学系4001は、光源である照明装置4002からの出射光のうち赤色成分rを電気光学装置1rに供給し、緑色成分gを電気光学装置1gに供給し、青色成分bを電気光学装置1bに供給する。各電気光学装置1r、1g、1bは、照明光学系4001から供給される各単色光を表示画像に応じて変調するライトバルブ等の光変調器として機能する。投射光学系4003は、各電気光学装置1r、1g、1bからの出射光を合成して投射面4004に投射する。
【0082】
以上の電子機器は、前述の電気光学装置100と、制御部2003、3002または4005と、を備える。電気光学装置100によれば、表示ムラ等による表示品質の低下を抑制することができる。したがって、電気光学装置100を備えることで、パーソナルコンピューター2000、スマートフォン3000または投射型表示装置4000の表示品質を高めることができる。
【0083】
なお、本発明の電気光学装置が適用される電子機器としては、例示した機器に限定されず、例えば、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、車載用の表示器、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、およびPOS(Point of sale)端末等が挙げられる。さらに、本発明が適用される電子機器としては、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、またはタッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【0084】
以上、好適な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態に限定されない。また、本発明の各部の構成は、前述の実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成に置換でき、また、任意の構成を付加できる。
【0085】
また、前述した説明では、本発明の電気光学装置の一例として液晶装置について説明したが、本発明の電気光学装置はこれに限定されない。例えば、本発明の電気光学装置は、イメージセンサー等にも適用することができる。また、例えば、有機EL(electro luminescence)、無機ELまたは発光ポリマー等の発光素子を用いた表示パネルに対しても前述の実施形態と同様に本発明が適用され得る。また、着色された液体と当該液体に分散された白色の粒子とを含むマイクロカプセルを用いた電気泳動表示パネルに対しても前述の実施形態と同様に本発明が適用され得る。
【符号の説明】
【0086】
2…素子基板、3…対向基板、4…シール部材、5…液晶層、11…走査線駆動回路、12…信号線駆動回路、13…外部端子、20…第1基板、21…第1基材、22…絶縁層、23…画素電極、23d…ダミー画素電極、24…トランジスター、25…周辺電極、25A…周辺電極、25B…周辺電極、26…第1配向膜、30…第2基板、31…第2基材、32…絶縁膜、33…共通電極、34…第2配向膜、61…第1スペーサー、62…第2スペーサー、100…電気光学装置、240…遮光部、241…走査線、242…信号線、243…容量線、244…蓄積容量、250…凹部、251…第1電極、252…第2電極、253…電極、A10…表示領域、A20…周辺領域、P…画素。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12