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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】表示装置、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20240723BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240723BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240723BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240723BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 624B
G09G3/20 641F
G09G3/20 621A
G09G3/20 622G
G09G3/20 623D
G09G3/20 623Q
G09G3/20 642K
G09F9/30 365
H10K59/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020165798
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057506
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】腰原 健
(72)【発明者】
【氏名】太田 人嗣
(72)【発明者】
【氏名】児玉 拓海
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-163371(JP,A)
【文献】特開2016-001290(JP,A)
【文献】特開2006-065274(JP,A)
【文献】特開2004-070358(JP,A)
【文献】特開2007-017615(JP,A)
【文献】特表2016-508231(JP,A)
【文献】特開2006-018223(JP,A)
【文献】特開2006-146166(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0259095(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108399895(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00-3/38
G09F 9/00-9/46
H10K 59/00-59/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ線と、
前記データ線に対して設けられた第1画素回路と、
前記データ線に対して設けられた第2画素回路と、
第1発光素子を中心としてマトリクス状に配列された第1乃至第9発光素子と、
少なくとも前記第1発光素子、前記第2発光素子、及び前記第3発光素子の何れか選択し、前記第1画素回路に供給された電位に応じた電流を当該選択した発光素子に供給するための第1セレクターと、
少なくとも前記第2発光素子を選択し、前記第2画素回路に供給された電位に応じた電流を当該選択した発光素子に供給するための第2セレクターと、
を備え、
一のサブフレームにおいて、
前記第1セレクターは、前記第1発光素子、及び前記第3発光素子を選択し、
前記第2セレクターは、前記第2発光素子を選択し、
前記一のサブフレームとは異なるサブフレームにおいて、
前記第1セレクターは、前記第1発光素子及び前記第2発光素子を選択する、
表示装置。
【請求項2】
前記データ線に沿って前記第2発光素子の上方に配列された第10発光素子及び第11発光素子を備え、
前記第2セレクターは、前記第2発光素子、前記第10発光素子及び前記第11発光素子を選択し、
前記一のサブフレームにおいて、
前記第2セレクターは、前記第2発光素子及び前記第10発光素子を選択し、
前記異なるサブフレームにおいて、
前記第2セレクターは、前記第10発光素子及び前記第11発光素子を選択する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1セレクターは、
前記第1画素回路と前記第1発光素子とを電気的に接続する第1トランジスターと、
前記第1画素回路と前記第2発光素子とを電気的に接続する第2トランジスターと、
前記第1画素回路と前記第3発光素子とを電気的に接続する第3トランジスターと、
を含み、
前記第2セレクターは、
前記第2画素回路と前記第10発光素子とを電気的に接続する第10トランジスターと、
前記第2画素回路と前記第11発光素子とを電気的に接続する第11トランジスターと、
前記第2画素回路と前記第2発光素子とを電気的に接続する第12トランジスターと、
を含む、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1セレクターは、少なくとも前記第1発光素子、前記第2発光素子、前記第3発光素子、前記第5発光素子、前記第6発光素子、前記第7発光素子、及び前記第8発光素子の何れかを選択し、
前記第2セレクターは、少なくとも前記第2発光素子、及び前記第9発光素子の何れかを選択し、
前記一のサブフレームにおいて、
前記第1セレクターは、前記第1発光素子、前記第3発光素子、前記第7発光素子及び前記第8発光素子を選択し、
前記第2セレクターは、少なくとも前記第2発光素子及び前記第9発光素子を選択し、
前記異なるサブフレームにおいて、
前記第1セレクターは、前記第1発光素子、前記第2発光素子、前記第5発光素子及び前記第6発光素子を選択する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記一のサブフレームと前記異なるサブフレームとは交互に現れる
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1セレクターは、
前記第1画素回路と前記第1発光素子とを電気的に接続する第1トランジスターと、
前記第1画素回路と前記第2発光素子とを電気的に接続する第2トランジスターと、
前記第1画素回路と前記第3発光素子とを電気的に接続する第3トランジスターと、
前記第1画素回路と前記第5発光素子とを電気的に接続する第5トランジスターと、
前記第1画素回路と前記第6発光素子とを電気的に接続する第6トランジスターと、
前記第1画素回路と前記第7発光素子とを電気的に接続する第7トランジスターと、
前記第1画素回路と前記第8発光素子とを電気的に接続する第8トランジスターと、
を含み、
前記第2セレクターは、
前記第2画素回路と前記第2発光素子とを電気的に接続する第12トランジスターと、
前記第2画素回路と前記第9発光素子とを電気的に接続する第13トランジスターと、
を含む、
請求項4又は請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1セレクターは、前記第1発光素子、前記第2発光素子、前記第3発光素子、前記第4発光素子、前記第5発光素子、前記第6発光素子、前記第7発光素子、前記第8発光素子及び前記第9発光素子の何れかを選択し、
前記第2セレクターは、前記第2発光素子、前記第6発光素子及び前記第9発光素子の何れかを選択する、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項8】
前記一のサブフレームは、第1サブフレームであり、
前記異なるサブフレームは、第3サブフレームであり、
前記第1サブフレームの次の第2サブフレームにおいて、
前記第1セレクターは、前記第1発光素子、前記第3発光素子、前記第4発光素子及び前記第5発光素子を選択し、
前記第2セレクターは前記第2発光素子及び前記第6発光素子を選択し、
前記第3サブフレームの次の第4サブフレームにおいて、
前記第1セレクターは、前記第1発光素子、前記第2発光素子、前記第8発光素子及び前記第9発光素子を選択する、
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1セレクターは、
前記第1画素回路と前記第1発光素子とを電気的に接続する第1トランジスターと、
前記第1画素回路と前記第2発光素子とを電気的に接続する第2トランジスターと、
前記第1画素回路と前記第3発光素子とを電気的に接続する第3トランジスターと、
前記第1画素回路と前記第4発光素子とを電気的に接続する第4トランジスターと、
前記第1画素回路と前記第5発光素子とを電気的に接続する第5トランジスターと、
前記第1画素回路と前記第6発光素子とを電気的に接続する第6トランジスターと、
前記第1画素回路と前記第7発光素子とを電気的に接続する第7トランジスターと、
前記第1画素回路と前記第8発光素子とを電気的に接続する第8トランジスターと、
前記第1画素回路と前記第9発光素子とを電気的に接続する第9トランジスターと、
を含み、
前記第2セレクターは、
前記第2画素回路と前記第2発光素子とを電気的に接続する第12トランジスターと、
前記第2画素回路と前記第9発光素子とを電気的に接続する第13トランジスターと、
前記第2画素回路と前記第6発光素子とを電気的に接続する第14トランジスターと、
を含む、
請求項7又は請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちの何れか1項に記載の表示装置を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の発光素子をマトリクス状に配列した表示パネルを有する表示装置において、データ線からデータ信号を取得し、取得したデータ信号を発光素子に出力して発光させる画素回路に対して複数の発光素子を接続する構成が提案されている。例えば、特許文献1には、1つの画素回路に複数の発光素子を接続し、サブフレーム毎に複数の発光素子のうちの1つの発光素子を発光させる表示装置が開示されている。特許文献1に開示の表示装置によれば、表示パネルに形成される配線等を少なくでき、表示装置の開口率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-65274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駆動トランジスターを増やさずに表示パネルを高精細化する手法として、特許文献1のように1つの画素回路に対して複数の発光素子を接続し、夫々の発光素子を時分割で発光させる手法が考えられる。しかし、この手法では、サブフレーム毎に画素回路に接続される発光素子が切り替わるので、1フレームの間に発光素子に電流を流し続けることができず、高輝度化に向かない、という問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本開示の表示装置の一態様は、データ線と、前記データ線に対して設けられた第1画素回路と、前記データ線に対して設けられた第2画素回路と、第1発光素子を中心としてマトリクス状に配列された第1乃至第9発光素子と、少なくとも前記第1発光素子、前記第2発光素子、及び前記第3発光素子の何れか選択し、前記第1画素回路に供給された電位に応じた電流を当該選択した発光素子に供給するための第1セレクターと、少なくとも前記第2発光素子選択し、前記第2画素回路に供給された電位に応じた電流を当該選択した発光素子に供給するための第2セレクターと、を備え、一のサブフレームにおいて、前記第1セレクターは、前記第1発光素子、及び前記第3発光素子を選択し、前記第2セレクターは、前記第2発光素子を選択し、前記一のサブフレームとは異なるサブフレームにおいて、前記第1セレクターは、前記第1発光素子及び前記第2発光素子を選択する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態のプロジェクターの構成を示すブロック図である。
図2】表示装置の構成を示す斜視図である。
図3】表示装置の電気的な構成例を示すブロック図である。
図4】表示装置における表示領域における画素電極の配置を示す図である。
図5】表示領域における画素回路の配置を示す図である。
図6】表示装置の電気的な構成例の詳細を示す図である。
図7】表示領域の動作を示す図である。
図8】表示領域の動作を示す図である。
図9】第2実施形態のプロジェクターの構成を示すブロック図である。
図10】表示画素の配列とパネル画素の配列との関係等を示す図である。
図11】画素回路と画素電極との接続を示す図である。
図12】表示領域の構成を示す回路図である。
図13】表示領域の構成を示す回路図である。
図14】表示領域の動作を示す図である。
図15】表示領域の動作を示す図である。
図16】表示領域におけるパネル画素のシフトを示す図である。
図17】表示領域におけるパネル画素のシフトを示す図である。
図18】表示領域におけるパネル画素のシフトを示す図である。
図19】表示領域におけるパネル画素のシフトを示す図である。
図20】表示装置の表示例を示す図である。
図21】画素回路と画素電極との接続を示す図である。
図22】表示領域の構成を示す回路図である。
図23】表示領域の構成を示す回路図である。
図24】表示領域の動作を示す図である。
図25】表示領域の動作を示す図である。
図26】表示領域におけるパネル画素のシフトを示す図である。
図27】表示領域におけるパネル画素のシフトを示す図である。
図28】第1変形例に係る表示装置の電気的な構成例を示すブロック図である。
図29】第2変形例に係る表示装置の電気的な構成例を示すブロック図である。
図30】第3変形例に係る画素電極の配列を示す図である。
図31】第4変形例に係る画素電極の配列を示す図である。
図32】第5変形例に係る画素電極の配列を示す図である。
図33】第6変形例に係る画素回路と画素電極との接続を示す図である。
図34】第6変形例に係る表示装置の動作を示す図である。
図35】第7変形例に係る画素回路と画素電極との接続を示す図である。
図36】第7変形例に係る表示装置の動作を示す図である。
図37】第8変形例に係る表示装置の動作を示す図である。
図38】第8変形例に係る表示装置の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態の表示装置について図面を参照して説明する。なお、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施形態は、好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0008】
1.第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る表示装置を適用したプロジェクター20Aの構成例を示すブロック図である。電子機器の一例であるプロジェクター20Aは、第1実施形態に係る表示装置11Aと、処理回路25と、を備える。表示装置11Aは、自発発光型、且つ赤、緑、及び青の各色を表示するRGBパネルである。
【0009】
処理回路25には、図示省略されたホスト装置などの上位装置から、映像データVinが同期信号Syncに同期して供給される。映像データVinは、表示すべき画像における画素の階調レベルを、例えばRGB毎に8ビットで指定する。同期信号Syncには、映像データVinの垂直走査開始を指示する垂直同期信号や、水平走査開始を指示する水平同期信号、及び映像データVinにおいて1つの表示画素が供給されるタイミングを示すクロック信号が含まれる。
【0010】
処理回路25は、上位装置からの映像データVdataを、1又は複数フレーム期間分を記憶する。処理回路25は、蓄積した映像データVdataを表示装置11Aに供給する。
【0011】
処理回路25は、表示装置11Aを制御するための制御信号Ctrを、同期信号Syncに基づいて生成し、制御信号Ctrを表示装置11Aに供給する。
【0012】
映像データVdataにより階調レベルが指定される画像の画素を表示画素と呼び、表示装置11Aで表現される画像の画素をパネル画素と呼ぶことにする。
【0013】
表示装置11Aは、処理回路25が出力する映像データVdataの示す画像を表示する。表示装置11Aでは、画像を表示するための発光素子としてOLEDが用いられている。なお、OLEDは、Organic Light Emitting Diodeの略である。
【0014】
図2は、表示装置11Aの構成を示す斜視図である。表示装置11Aは、表示領域で開口する枠状のケース192に収納される。表示装置11Aには、FPC基板194の一端が接続される。なお、FPCは、Flexible Printed Circuitsの略である。FPC基板194の他端には、処理回路25に接続するための複数の端子196が設けられる。表示装置11Aには、処理回路25から映像データVdata及び制御信号Ctrが、複数の端子196及びFPC基板194を介して供給される。
【0015】
図3は、表示装置11Aの電気的な構成例を示すブロック図である。表示装置11Aは、表示領域100、走査線駆動回路120、及びデータ信号出力回路140に大別される。表示領域100では、q行の走査線12が図において左右のX軸に沿って設けられ、p列のデータ線14が、上下のY軸に沿って、かつ、各走査線12と互いに電気的に絶縁を保つように設けられる。なお、p、qは、2以上の整数である。表示領域100には、画素回路16が、図に示されるように、q行の走査線12と、p列のデータ線14との交差に対応して設けられる。
【0016】
走査線駆動回路120は、制御信号Ctrに従って、1、2、…、(q-1)、q行目の走査線12に、走査信号Gwrt(1)、Gwrt(2)、…、Gwrt(q-1)、Gwrt(q)を供給する。一般的には、n行目の走査線12に供給される走査信号がGwrt(n)と表記される。なお、走査線駆動回路120は、各サブフレームにおいて、1~q行目の走査線12を順番に1行ずつ選択し、選択した走査線12への走査信号をLレベルとし、他の走査線12への走査信号をHレベルとする。また、走査線駆動回路120は、走査信号Gwrt(1)~Gwrt(q)の他に、当該走査信号に同期した制御信号Sel(1)_1~Sel(1)_9からSel(q)_1~Sel(q)_9までを各行に対応して生成して表示領域100に供給する。図3では、制御信号Sel(1)_1~Sel(1)_9からSel(q)_1~Sel(q)_9の図示は省略されている。
【0017】
データ信号出力回路140は、処理回路25から出力される映像データVdataをアナログに変換して、制御信号Ctrに従って1、2、…、(p-1)、p列目のデータ線14に、この順でデータ信号Data(1)、Data(2)、…、Data(p-1)、Data(p)として供給する。一般的には、m列目のデータ線14に供給されるデータ信号がData(m)と表記される。なお、具体的には、走査信号Gwrt(n)がLレベルになっている場合に、データ信号出力回路140は、m列目のデータ線14に、n行m列の画素回路16に対応するデータ信号Data(m)を出力する。また、映像データVdataのアナログへの変換は、データ信号出力回路140に限られず、別途のDA変換器で行ってもよいし、上位装置で実行してもよい。
【0018】
図4及び図5は、表示領域100における画素回路16と発光素子との位置関係について説明するための図である。なお、図4では、画素電極が太い実線枠で示され、画素回路16の領域が細い二点鎖線枠で示される。画素電極とは、図における発光素子18のアノード電極のことである。反対に、図5では、画素電極が細い二点鎖線枠で示され、画素回路16の領域が太い実線枠で示される。
【0019】
本実施形態において、画素電極の形状は例えば略正方形であり、画素電極の一辺がX軸に沿って、かつ、当該画素電極のうち、当該一辺に隣り合う辺がY軸に沿って、マトリクス状に配列する。また、画素回路16が設けられる領域は、画素電極が2×2で配列する領域の大きさとほぼ等しい。なお、画素回路16が設けられる領域の四隅は、3×3で配列する画素電極のうち、図4において上左端、上右端、下左端及び下右端の画素電極の対角中心にほぼ位置する。図4及び図5において黒点が画素電極の対角中心である。
【0020】
便宜的に、3×3で配列する画素電極のうち、画素回路16が設けられる領域に含まれる画素電極の符号をP5とし、他の画素電極の符号として、図4に示されるようにP1~P4、P6~P9とする。本実施形態における発光素子18は、周知のように画素電極P1~P9の何れかとコモン電極とで有機発光材料を挟持した素子である。コモン電極は低電位電源電圧Vssを供給する電源線に接続されている。以下では、画素電極P5の直下に位置する画素回路16を着目画素回路16と呼ぶ場合がある。画素電極P1~P9の各々に対応する発光素子18は、本開示における第1乃至第9発光素子の一例である。なお、画素電極P1~P4の符号、及び画素電極P6~P9の符号は、ある画素回路16について着目した場合の便宜的なものである。例えば、着目画素回路16からみた画素電極P2は、当該着目画素回路16に対して上方で隣り合う画素回路16からみれば画素電極P8である。また、着目画素回路16からみた画素電極P1は、当該着目画素回路16に対して上方で隣り合う画素回路16からみれば画素電極P7であり、左斜め上方で隣り合う画素回路16からみれば画素電極P9であり、左方で隣り合う画素回路16からみれば画素電極P3である。
【0021】
図6には、表示領域100においてq行p列に配列するq×p個の画素回路のうち、m列における(n-1)行目に位置する画素回路16(n-1)、n行目に位置する画素回路16(n)、及び(n+1)行目に位置する画素回路16(n+1)に関する部分のみが図示されている。本実施形態において、nは3以上の整数である。
【0022】
画素回路16(n-1)、画素回路16(n)、及び画素回路16(n+1)の各々の構成は同一である。以下では、画素回路16(n-1)、画素回路16(n)、及び画素回路16(n+1)の各々を区別する必要がない場合には、画素回路16と表記する。
画素回路16は、例えばpチャンネル型のトランジスターであるトランジスター160及びトランジスター162と、容量164とを有する。トランジスター160において、ドレインノードがデータ線14に接続され、ゲートノードが走査線12に接続され、ソースノードがトランジスター162のゲートノードに接続されている。トランジスター160は、データ線14から供給されるデータ信号を、走査線12から与えられる走査信号に応じて取得するためのスイッチング素子である。トランジスター162において、ドレインノードは、高電位電源電圧Vccを供給する電源線に接続され、ソースノードが画素回路16の出力ノードNdとなっている。トランジスター162は、データ信号の電位に応じた電流を出力ノードNdに出力することで、当該出力ノードに接続されている発光素子を駆動する駆動トランジスターである。容量164は、高電位電源電圧Vccを供給する電源線とトランジスター162のゲートノードとの間に介挿されている。
画素回路16(n)は、走査信号Gwrt(n)がLレベルになると、m列目のデータ線14から供給されるデータ信号Data(m)を取得し、取得したデータ信号Data(m)の電位に応じた電流を出力ノードNdに出力する。画素回路16(n-1)及び画素回路16(n+1)についても同様である。
【0023】
図6に示すように、画素回路16(n-1)の出力ノードNdにはセレクター30(n-1)が接続される。セレクター30(n-1)には、表示領域100において(nー3)行m列目に位置する発光素子18(n-3)、(n-2)行m列目に位置する発光素子18(n-2)、及び(nー1)行m列目に位置する発光素子18(n-1)が接続される。図6に示すように、セレクター30(n-1)は、トランジスターSw11、Sw12,及びSw13を有する。トランジスターSw11、Sw12、及びSw13の各々は例えばpチャンネル型のトランジスターである。
【0024】
トランジスターSw11は、画素回路16(n-1)の出力ノードNdと発光素子18(n-3)との間に設けられ、制御信号Sel(11)によりオン/オフが切り換えられる。トランジスターSw11がオンになると、画素回路16(n-1)の出力ノードNdと発光素子18(n-3)とが電気的に接続される。トランジスターSw12は、画素回路16(n-1)の出力ノードNdと発光素子18(n-2)との間に設けられ、制御信号Sel(12)によりオン/オフが切り換えられる。トランジスターSw12がオンになると、画素回路16(n-1)の出力ノードNdと発光素子18(n-2)とが電気的に接続される。トランジスターSw13は、画素回路16(n-1)の出力ノードNdと発光素子18(n-1)との間に設けられ、制御信号Sel(13)によりオン/オフが切り換えられる。トランジスターSw13がオンになると、画素回路16(n-1)の出力ノードNdと発光素子18(n-1)とが電気的に接続される。セレクター30(n-1)は、発光素子18(n-3)、発光素子18(n-2)及び発光素子18(n-1)を選択可能であり、画素回路16(n-1)から出力される電流を、選択した発光素子へ供給する。
【0025】
画素回路16(n)の出力ノードNdにはセレクター30(n)が接続される。セレクター30(n)には、表示領域100において(nー1)行m列目に位置する発光素子18(n-1)、n行m列目に位置する発光素子18(n)、及び(n+1)行m列目に位置する発光素子18(n+1)が接続される。図6に示すように、セレクター30(n)は、トランジスターSw14、Sw15、及びSw16を有する。トランジスターSw14、Sw15、及びSw16は、pチャンネル型のトランジスターである。トランジスターSw14、Sw15、及びSw16は、制御信号Sel(14)、Sel(15)、及びSel(16)により各々オン/オフが切り換えられる。
【0026】
トランジスターSw14は、画素回路16(n)の出力ノードNdと発光素子18(n-1)との間に設けられる。トランジスターSw14がオンになると、画素回路16(n)の出力ノードNdと発光素子18(n-1)とが電気的に接続される。トランジスターSw15は、画素回路16(n)の出力ノードNdと発光素子18(n)との間に設けられる。トランジスターSw15がオンになると、画素回路16(n)の出力ノードNdと発光素子18(n)とが電気的に接続される。トランジスターSw16は、画素回路16(n)の出力ノードNdと発光素子18(n+1)との間に設けられる。トランジスターSw16がオンになると、画素回路16(n)の出力ノードNdと発光素子18(n+1)とが電気的に接続される。
【0027】
セレクター30(n)は、発光素子18(n-1)、発光素子18(n)及び発光素子18(n+1)を選択可能であり、画素回路16(n)から出力される電流を、選択した発光素子へ供給する。画素回路16(n)は本開示における第1画素回路の一例であり、セレクター30(n)は本開示における第1セレクターの一例である。トランジスターSw15は、本開示における第1トランジスターの一例である。トランジスターSw14は、本開示における第2トランジスターの一例である。トランジスターSw16は、本開示における第3トランジスターの一例である。画素回路16(n)から見たときの画素電極P5に対応する発光素子18、即ち発光素子18(n)は本開示における第1発光素子の一例である。画素回路16(n)から見たときの画素電極P2に対応する発光素子18、即ち発光素子18(n-1)は本開示における第2発光素子の一例である。画素回路16(n)から見たときの画素電極P8に対応する発光素子18、即ち発光素子18(n+1)は本開示における第3発光素子の一例である。また、画素回路16(n-1)は本開示における第2画素回路の一例であり、セレクター30(n-1)は本開示における第2セレクターの一例である。発光素子18(n-3)は本開示における第11発光素子の一例であり、発光素子18(n-2)は本開示における第10発光素子の一例である。トランジスターSw11は本開示における第11トランジスターの一例である。トランジスターSw12は本開示における第10トランジスターの一例である。トランジスターSw13は本開示における第12トランジスターの一例である。
【0028】
画素回路16(n+1)の出力ノードNdにはセレクター30(n+1)が接続される。セレクター30(n+1)には、表示領域100において(n+1)行m列目に位置する発光素子18(n+1)、及び(n+2)行m列目に位置する発光素子18(n+2)が接続される。図6では図示を省略したが、セレクター30(n+1)には、(n+3)行m列目に位置する発光素子も接続される。図6に示すように、セレクター30(n+1)は、トランジスターSw17、Sw18、及びSw19を有する。トランジスターSw17、Sw18,及びSw19は、pチャンネル型トランジスターである。
【0029】
トランジスターSw17は、画素回路16(n+1)の出力ノードNdと発光素子18(n+1)との間に設けられる。トランジスターSw17は、制御信号Sel(17)によりオン/オフが切り換えられる。トランジスターSw18は、画素回路16(n+1)の出力ノードNdと発光素子18(n+2)との間に設けられる。トランジスターSw18は、制御信号Sel(18)によりオン/オフが切り換えられる。図6では図示を省略したが、トランジスターSw19は、画素回路16(n+1)の出力ノードNdと(n+3)行m列目に位置する発光素子との間に設けられる。トランジスターSw19は、制御信号Sel(19)によりオン/オフが切り換えられる。つまり、セレクター30(n+1)は、発光素子18(n+1)、発光素子18(n+2)、及び(n+3)行m列目に位置する発光素子を選択可能であり、画素回路16(n)から出力される電流を、選択した発光素子へ供給する。
【0030】
図7は、(n-1)行目、n行目、(n+1)行目の連続する3行の動作を説明するための図である。より具体的には、図7は、走査信号Gwrt(n-1)、Gwrt(n)、及びGwrt(n+1)と、(n-1)行目に対応する制御信号Sel(11)~Sel(13)と、n行目に対応する制御信号Sel(14)~Sel(16)と、(n+1)行目に対応する制御信号Sel(17)~Sel(19)との一例を示すタイミングチャートである。
【0031】
本実施形態では、1フレームの期間はAサブフレームの期間とBサブフレームの期間とに区分けされる。1フレームの期間とは、映像データVinで指定される映像の1コマを表示するのに要する期間をいう。本実施形態のAサブフレームは本開示における一のサブフレームの一例であり、Bサブフレームは当該一のサブフレームと異なるサブフレームの一例である。図7に示すように、Aサブフレーム及びBサブフレームの各サブフレームにおいて、走査信号Gwrt(n-1)、Gwrt(n)、Gwrt(n+1)が、この順番で排他的にLレベルとなる。なお、便宜上、以降の説明では、走査信号Gwrt及び制御信号SelのLレベルを「オン信号」、Hレベルを「オフ信号」と呼び、タイミングチャートの高位側を「オン信号」、低位側を「オフ信号」として説明する。
【0032】
まず、Aサブフレームの動作について説明する。
Aサブフレームでは、走査信号Gwrt(n)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移する。走査信号Gwrt(n)がオン信号になると、画素回路16(n)におけるトランジスター160がオンする。トランジスター160がオンすると、データ線14に与えられるデータ信号Data(m)と高電位電源電圧Vccとの差に応じた電圧が画素回路16(n)の容量164に書き込まれる。容量164に書き込まれた電圧は、走査信号Gwrt(n)がオン信号からオフ信号に遷移した後も、次に走査信号Gwrt(n)が再度オン信号となるまで保持される。このため、画素回路16(n)のトランジスター162のゲート・ソース間電圧も、走査信号Gwrt(n)が再度オン信号となるまで、データ信号Data(m)に応じた電圧、具体的にはデータ信号Data(m)と高電位電源電圧Vccとの差に応じた電圧に維持される。
Aサブフレームでは、走査信号Gwrt(n)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移した後、制御信号Sel(14)及びSel(15)がオン信号となるので、トランジスターSw14及びSw15がオンとなる。その結果、画素回路16(n)から発光素子18(n-1)及び発光素子18(n)へデータ信号Data(m)の電位に応じた電流が供給され、発光素子18(n-1)及び発光素子18(n)が発光する。
【0033】
Aサブフレームにおいて走査信号Gwrt(n)がオン信号になる前に、走査信号Gwrt(n-1)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移した後、制御信号Sel(11)及びSel(12)がオン信号となるので、トランジスターSw11及びSw12がオンとなる。このため、画素回路16(n-1)から発光素子18(n-3)及び発光素子18(n-2)へデータ信号Data(m)の電位に応じた電流が供給され、発光素子18(n-3)及び発光素子18(n-2)が発光する。Aサブフレームにおいて走査信号Gwrt(n)がオン信号になった後に、走査信号Gwrt(n+1)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移した後、制御信号Sel(17)及びSel(18)がオン信号となるので、トランジスターSw17及びSw18がオンとなる。このため、画素回路16(n+1)から発光素子18(n+1)及び発光素子18(n+2)へデータ信号Data(m)の電位に応じた電流が供給され、発光素子18(n+1)及び発光素子18(n+2)が発光する。
【0034】
次いで、Bサブフレームの動作について説明する。
Bサブフレームにおいて走査信号Gwrt(n)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移した後、制御信号Sel(15)及びSel(16)がオン信号となるので、トランジスターSw15及びSw16がオンとなる。その結果、画素回路16(n)から発光素子18(n)及び発光素子18(n+1)へデータ信号Data(m)の電位に応じた電流が供給され、発光素子18(n)及び発光素子18(n+1)が発光する。
【0035】
Bサブフレームにおいて走査信号Gwrt(n)がオン信号になる前に、走査信号Gwrt(n-1)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移した後、制御信号Sel(12)及びSel(13)がオン信号となるので、トランジスターSw12及びSw13がオンとなる。このため、画素回路16(n-1)から発光素子18(n-2)及び発光素子18(n-1)へデータ信号Data(m)の電位に応じた電流が供給され、発光素子18(n-2)及び発光素子18(n-1)が発光する。Bサブフレームにおいて走査信号Gwrt(n)がオン信号になった後に、走査信号Gwrt(n+1)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移した後、制御信号Sel(18)及びSel(19)がオン信号となるので、トランジスターSw18及びSw19がオンとなる。このため、画素回路16(n+1)から発光素子18(n+2)、及び(n+3)行m列目の発光素子18へデータ信号Data(m)の電位に応じた電流が供給され、これら発光素子が発光する。
【0036】
図8は、表示装置11AにおいてAサブフレームにて発光する発光素子18と、当該発光素子18へ電流を供給する画素回路16との関係を示す図である。図8では、画素回路16(n-1)から電流の供給を受ける発光素子18が斜め線のハッチングで、画素回路16(n)から電流の供給を受ける発光素子18が縦線のハッチングで、画素回路16(n+1)から電流の供給を受ける発光素子18が横線のハッチングで示されている。なお、図8では、Bサブフレームにおける発光素子18(n-3)の発光状態が明示されてはいないが、Bサブフレームにおいて発光素子18(n-3)は、図6では不図示のセレクター30(n-2)により選択され、同じく不図示の画素回路16(n-2)から供給される電流により発光する。つまり、表示装置11Aでは、AサブフレームとBサブフレームの何れにおいても、全ての発光素子18が何れかのセレクターにより選択され発光するので、高輝度化を実現できる。
【0037】
本実施形態の表示装置11Aによれば、発光素子に対して一対一に画素回路を設ける態様に比較して、トランジスターの増加を抑えつつ、解像度感の向上、及び高輝度化を実現できる。
【0038】
2.第2実施形態
図9は、第2実施形態に係る表示装置を適用したプロジェクター20Bの構成例を示すブロック図である。プロジェクター20Bは、自発発光型、且つ単色表示の表示装置を、赤、緑、及び青の色毎に1つずつ用いた3板式である。プロジェクター20Bは、赤色の画像を表示する表示装置10Rと、緑色の画像を表示する表示装置10Gと、青色の画像を表示する表示装置10Bと、処理回路25と、を有する。プロジェクター20Bでは、表示装置10Rが表示する赤色の画像と、表示装置10Gが表示する緑色の画像と、表示装置10Bが表示する青色の画像とが、図示せぬ光学系によって合成され、スクリーン等に投写される。
【0039】
処理回路25は、上位装置からの映像データVinを、1又は複数フレーム期間分を記憶する。本実施形態では、処理回路25は、蓄積した映像データVinのうち、表示装置10Rには赤成分の映像データVdata(R)を、表示装置10Gには緑成分の映像データVdata(G)を、表示装置10Bには青成分の映像データVdata(B)を、夫々供給する。また、処理回路25は、同期信号Syncに基づいて生成した制御信号Ctrを表示装置10R、10G及び10Bに供給する。表示装置10R、10G及び10Bについては、表示する画像の色を除いて構造上の相違はない。そこで、表示装置10R、10G及び10Bについて、色を特定しないで一般的に説明する場合には、表示装置10と表記する。また、第1実施形態と同様に、処理回路25が出力する映像データVdata(R)、Vdata(G)及びVdata(B)について、色を特定しないで一般的に説明する場合には、映像データVdataと表記する。
【0040】
本実施形態では、映像データVdataの示す映像の1コマがAからDまでの4つのサブフレームを使って表現される。従って、等倍速であれば、1フレームの期間長は4サブフレームの期間長となる。このため、同期信号Syncに含まれる垂直同期信号の周波数が例えば60Hzであって、表示装置10における表示が垂直同期信号と等倍速であれば、映像データVdataの1コマ分が供給される期間は、60Hzの逆数である16.7ミリ秒となる。このため、1サブフレームの期間長は、16.7ミリ秒の1/4である4.2ミリ秒である。
【0041】
図10は、本実施形態における表示画素の配列とパネル画素の配列との関係等を説明するための図である。なお、図における表示画素の配列は、映像データVdataで指定される画像のうち、一部だけが抜き出されている。同様に、パネル画素の配列は、表示装置10のうち、一部だけが抜き出されている。図において左欄の表示画素については2×2に区切られて、A、B、C、Dの符号が便宜的に付与される。また、図の右欄において細線の四角枠は表示装置10における画素電極を示す。画素電極を示す四角枠は表示装置10における表示の最小単位であり、当該四角枠に対応する発光素子がパネル画素となる。
【0042】
表示装置10では、Aサブフレームにおいて表示画素Aが太線の四角枠で示される2×2の4つのパネル画素で表現される。表示装置10では、Aサブフレームに続くBサブフレームにおいて表示画素BがAサブフレームにおける4つのパネル画素から1つのパネル画素分だけ図において右方向にシフトした2×2の4つのパネル画素で表現される。なお、ここでいうシフトとは、パネル画素が物理的又は光学的に移動するのではなく、表現に用いる4つのパネル画素の組み合わせが移動する、という意味である。
【0043】
表示装置10では、Bサブフレームに続くCサブフレームにおいて表示画素CがBサブフレームにおける4つのパネル画素から1つのパネル画素分だけ下方向にシフトした2×2のパネル画素で表現される。表示装置10では、Cサブフレームに続くDサブフレームにおいて表示画素DがCサブフレームにおける4つのパネル画素から1つのパネル画素分だけ左方向にシフトした2×2のパネル画素で表現される。なお、表示装置10では、Dサブフレームの後、再びAサブフレームにおいて表示画素AがDサブフレームにおける4つのパネル画素から1つのパネル画素分だけ上方向にシフトした2×2のパネル画素で表現される。
【0044】
2×2の表示画素を1単位とし、当該1単位がn行m列で配列する場合、表示装置10では、画素回路16がn行m列で配列し、画素電極が2n行2m列で配列する。ここで、n行m列の画素回路16に対応するデータ信号Data(m)とは、Aサブフレームであれば、映像データVdataで指定されるn行m列の2×2表示画素のうち、表示画素Aに対応するデータを、アナログに変換した信号である。また、データ信号Data(m)とは、Bサブフレームであれば、同2×2表示画素のうち、表示画素Bに対応するデータを、アナログに変換した信号である。同様に、Cサブフレームであれば、同2×2表示画素のうち、表示画素Cに対応するデータを、アナログに変換した信号であり、Dサブフレームであれば、同2×2表示画素のうち、表示画素Dに対応するデータを、アナログに変換した信号である。
【0045】
本実施形態では、画素電極P1~P9は、着目画素回路16の出力ノードに対して次のように分類される。
第1に、3×3の配列の四隅に位置する画素電極P1、P3、P7、P9は、着目画素回路16の出力ノード、又は、他の3つの画素回路16の何れかの出力ノードに接続可能となっている。
例えば、画素電極P1は、着目画素回路16の出力ノード、当該着目画素回路16に対して上方で隣り合う画素回路16の出力ノード、当該着目画素回路16に対して左斜め上方で隣り合う画素回路16の出力ノード、又は、当該着目画素回路16に対して左方で隣り合う画素回路16の出力ノード、の何れかに接続可能となっている。
画素電極P3は、着目画素回路16の出力ノード、当該着目画素回路16に対して右方で隣り合う画素回路16の出力ノード、当該着目画素回路16に対して右斜め上方で隣り合う画素回路16の出力ノード、又は、当該着目画素回路16に対して上方で隣り合う画素回路16の出力ノード、の何れかに接続可能となっている。
画素電極P7は、着目画素回路16の出力ノード、当該着目画素回路16に対して左方で隣り合う画素回路16の出力ノード、当該着目画素回路16に対して左斜め下方で隣り合う画素回路16の出力ノード、又は、当該着目画素回路16に対して下方で隣り合う画素回路16の出力ノード、の何れかに接続可能となっている。
画素電極P9は、着目画素回路16の出力ノード、当該着目画素回路16に対して下方で隣り合う画素回路16の出力ノード、当該着目画素回路16に対して右斜め下方で隣り合う画素回路16の出力ノード、又は、当該着目画素回路16に対して右方で隣り合う画素回路16の出力ノード、の何れかに接続可能となっている。
【0046】
第2に、3×3の配列のうち、画素電極P2、P4、P6、P8は、着目画素回路16の出力ノード、又は、当該着目画素回路16の上、左、右又は下方に隣り合う画素回路16の出力ノードの何れかに接続可能となっている。
例えば、画素電極P2は、着目画素回路16の出力ノード、又は、当該着目画素回路16に対して上方で隣り合う画素回路16の出力ノード、の何れかに接続可能となっている。
画素電極P4は、着目画素回路16の出力ノード、又は、当該着目画素回路16に対して左方で隣り合う画素回路16の出力ノード、の何れかに接続可能となっている。
画素電極P6は、着目画素回路16の出力ノード、又は、当該着目画素回路16に対して右方で隣り合う画素回路16の出力ノード、の何れかに接続可能となっている。
画素電極P8は、着目画素回路16の出力ノード、又は、当該着目画素回路16に対して下方で隣り合う画素回路16の出力ノード、の何れかに接続可能となっている。
【0047】
第3に、3×3の配列の中心に位置する画素電極P5は、着目画素回路16の出力ノードのみに接続可能となっている。
第1実施形態と同様に、画素電極P1~P4の符号、及び画素電極P6~P9の符号は、ある画素回路16について着目した場合の便宜的なものである。例えば、着目画素回路16からみた画素電極P2は、当該着目画素回路16に対して上方で隣り合う画素回路16からみれば画素電極P8である。また、着目画素回路16からみた画素電極P1は、当該着目画素回路16に対して上方で隣り合う画素回路16からみれば画素電極P7であり、左斜め上方で隣り合う画素回路16からみれば画素電極P9であり、左方で隣り合う画素回路16からみれば画素電極P3である。
【0048】
図11は、画素回路16と発光素子との接続の関係を示す図である。図において、画素回路16の出力ノードを起点とする矢印は、当該画素回路16の出力ノードに接続可能な発光素子を示している。本実施形態では、上述したように、画素回路16の出力ノードは、当該画素回路16が設けられる領域に対応する画素電極P1~P9の何れかと接続可能となっている。なお、画素回路16の出力ノードと発光素子の画素電極とを接続するのは、次に説明するセレクターである。
【0049】
図12は、n行目の走査線12とm列目のデータ線14との交差に対応して設けられる画素回路16と、当該画素回路16を着目画素回路16とした場合の画素電極P1~P9と、及びこれらの周辺を含めて示す回路図である。
【0050】
セレクターの領域は、図面の複雑化を避けるために示されていないが、トランジスターSw1~Sw9を含む。トランジスターSw1は画素電極P1に対応して設けられる。同様に、トランジスターSw2、Sw3、Sw4、Sw5、Sw6、Sw7、Sw8、Sw9は、夫々順番に画素電極P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9に対応して設けられる。トランジスターSw1~Sw9の各々はpチャンネル型トランジスターである。トランジスターSw1~Sw9の各一端は、出力ノードNdに共通接続される。トランジスターSw1~Sw9の各他端は、夫々順番に対応する画素電極P1~P9に接続される。
【0051】
1行目からq行目までに対応して、制御信号Sel(1)_1~Sel(1)_9から制御信号Sel(q)_1~Sel(q)_9までが走査線駆動回路120から供給される。ここで、一般にn行目に対応して供給される制御信号がSel(n)_1~Sel(n)_9と表記される。n行目に対応して設けられるトランジスターSw1は、制御信号Sel(n)_1がLレベルであればオンし、Hレベルであればオフする。同様に、n行目に対応して設けられるトランジスターSw2、Sw3、Sw4、Sw5、Sw6、Sw7、Sw8、Sw9は、夫々順番に制御信号Sel(n)_2、Sel(n)_3、Sel(n)_4、Sel(n)_5、Sel(n)_6、Sel(n)_7、Sel(n)_8、Sel(n)_9に応じてオン又はオフする。
【0052】
上述したように、n行m列の画素回路16からみた画素電極P2は、上方で隣り合う(n-1)行m列の画素回路16からみれば画素電極P8である。このため、n行m列の画素回路16からみた画素電極P2は、(n-1)行m列の画素回路16に対応するセレクターに含まれるトランジスターSw8を介して、当該(n-1)行m列の画素回路16に接続される。また、n行m列の画素回路16からみた画素電極P1は、(n-1)行m列の画素回路16からみれば画素電極P7であり、左斜め上方で隣り合う(n-1)行(m-1)列の画素回路16からみれば画素電極P9であり、左方で隣り合うn行(m-1)列の画素回路16からみれば画素電極P3である。このため、n行m列の画素回路16からみた画素電極P1は、(n-1)行m列の画素回路16に対応するセレクターに含まれるトランジスターSw7を介して、当該(n-1)行m列の画素回路16の出力ノードに接続される。また、n行m列の画素回路16からみた画素電極P1は、(n-1)行(m-1)列の画素回路16に対応するセレクターに含まれるトランジスターSw9を介して、当該(n-1)行(m-1)列の画素回路16の出力ノードに接続される。また、n行m列の画素回路16からみた画素電極P1は、n行(m-1)列の画素回路16に対応するセレクターに含まれるトランジスターSw3を介して、当該n行(m-1)列の画素回路16の出力ノードに接続される。
【0053】
なお、図13は、図12のうち、n行m列の画素回路16と、n行m列の画素回路16に対応するセレクターに含まれるトランジスターSw1~Sw9と、当該画素回路16からみた画素電極P1~P9とのみに着目して示し、他の要素を省略して示す図である。
【0054】
次に、本実施形態に係る表示装置10の動作をついて説明する。
図14は、走査線駆動回路120から出力される走査信号Gwrt(1)~Gwrt(q)の一例を示すタイミングチャートである。この図に示されるように、Aサブフレーム、Bサブフレーム、Cサブフレーム及びDサブフレームの各サブフレームにおいて、走査信号Gwrt(1)、Gwrt(2)、…、Gwrt(n)、…、Gwrt(q-1)、Gwrt(q)が、この順番で排他的にオン信号となる。
【0055】
図15は、(n-1)行目、n行目、(n+1)行目の連続する3行の動作を説明するための図である。詳細には、(n-1)行目に対応する制御信号Sel(n-1)_1~Sel(n-1)_9と、n行目に対応する制御信号Sel(n)_1~Sel(n)_9と、(n+1)行目に対応する制御信号Sel(n+1)_1~Sel(n+1)_9との一例を示すタイミングチャートである。
【0056】
まず、Aサブフレームの動作について説明する。
走査信号Gwrt(n)がオン信号になると、n行目の画素回路16におけるトランジスター160がオンする。トランジスター160がオンすると、データ線14に与えられるデータ信号Data(m)と高電位電源電圧Vccとの差に応じた電圧が容量164に書き込まれる。容量164に書き込まれた電圧は、走査信号Gwrt(n)がオン信号からオフ信号に遷移した後も、次に走査信号Gwrt(n)が再度オン信号となるまで保持される。このため、トランジスター162のゲート・ソース間電圧も、走査信号Gwrt(n)が再度オン信号となるまで、データ信号Data(m)に応じた電圧、具体的には、データ信号Data(m)と高電位電源電圧Vccとの差に応じた電圧に維持される。
【0057】
Aサブフレームにおいて走査信号Gwrt(n)は、第1の所定時間にわたってオン信号に維持された後、オフ信号へ遷移する。第1の所定時間については、容量164への書き込みが完了するまでの時間に応じて設定される。走査信号Gwrt(n)がオフ信号へ遷移すると、制御信号Sel(n)_1、Sel(n)_2、Sel(n)_4及びSel(n)_5がオン信号となり、第2の所定時間にわたってその状態が維持される。制御信号Sel(n)_1、Sel(n)_2、Sel(n)_4及びSel(n)_5がオン信号になると、n行目のトランジスターSw1、Sw2、Sw4及びSw5がオンする。n行目のトランジスターSw1、Sw2、Sw4、及びSw5がオンすると、n行目の画素回路16から、当該画素回路16から見た画素電極P1、P2、P4及びP5へ、データ信号Data(m)の電位に応じた電流が供給される。
【0058】
n行m列で代表させて説明すれば、当該n行m列の画素回路16から見た画素電極P1、P2、P4及びP5には、m列目のデータ線14に供給されたデータ信号Data(m)の電位に応じた電流が供給される。このときのデータ信号Data(m)は、映像データVdataで指定されるn行m列の2×2表示画素のうち、表示画素Aに対応するデータを、アナログに変換した信号である。このため、画素電極P1、P2、P4及びP5に各々対応する4つの発光素子18に、表示画素Aの階調に応じた電流が供給される。その結果、画素電極P1、P2、P4及びP5の各々に対応する4つの発光素子18は、表示画素Aの階調に応じた輝度で発光する。
【0059】
図16は、Aサブフレームにおける表示装置10の表示例を示す図である。当該n行m列の画素回路16が、図において太い二点鎖線で示される場合、当該n行m列の画素回路16から見た画素電極P1、P2、P4及びP5に、データ信号Data(m)の電位に応じた電流が供給される。なお、n行目であって、m列とは異なるk列目の画素回路16についても、当該画素回路16から見た画素電極P1、P2、P4及びP5に表示画素Aの階調に応じた電流が供給される。
【0060】
Aサブフレームにおいて走査信号Gwrt(n)がオン信号になる前に、走査信号Gwrt(n-1)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移した後、制御信号Sel(n-1)_1、Sel(n-1)_2、Sel(n-1)_4及びSel(n-1)_5がオン信号となるので、当該(n-1)行目のトランジスターSw1、Sw2、Sw4及びSw5がオンする。このため、(n-1)行目の画素回路16についても、対応する画素電極P1、P2、P4及びP5に、データ信号の電位に応じた電流が供給される。また、Aサブフレームにおいて走査信号Gwrt(n)がオフ信号に戻った後に、走査信号Gwrt(n+1)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移した後、制御信号Sel(n+1)_1、Sel(n+1)_2、Sel(n+1)_4及びSel(n+1)_5がオン信号となるので、当該(n+1)行目のトランジスターSw1、Sw2、Sw4及びSw5がオンする。このため、(n+1)行目の画素回路16に対応する画素電極P1、P2、P4及びP5に対しても、データ線14に与えられたデータ信号の電位に応じた電流が供給される。ここでは(n-1)行目、n行目、(n+1)行目の連続する3行について説明したが、1~q行目についても同様である。このようにAサブフレームにおいて、各行の画素回路16から、対応する画素電極P1、P2、P4及びP5へ表示画素Aの階調に応じた電流が供給される。
【0061】
次に、Bサブフレームの動作について説明する。
Bサブフレームにおいて走査信号Gwrt(n)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移した後、制御信号Sel(n)_2、Sel(n)_3、Sel(n)_5及びSel(n)_6がオン信号となるので、n行目のトランジスターSw2、Sw3、Sw5及びSw6がオンする。n行m列でいえば、当該n行m列の画素回路16に対応する画素電極P2、P3、P5及びP6に、データ信号Data(m)の電位に応じた電流が供給される。このときのデータ信号Data(m)は、映像データVdataで指定されるn行m列の2×2表示画素のうち、表示画素Bに対応するデータを、アナログに変換した信号である。このため、n行m列の画素回路16から見た画素電極P2、P3、P5及びP6の各々に対応する4つの発光素子18は、表示画素Bの階調に応じた輝度で発光する。
【0062】
図17は、Bサブフレームにおける表示装置10の表示例を示す図である。
n行m列でいえば、当該n行m列の画素回路16から見た画素電極P2、P3、P5及びP6にデータ信号Data(m)の電位に応じた電流が供給され、画素電極P2、P3、P5及びP6に対応する4つの発光素子18は表示画素Bの階調に応じた輝度で発光する。なお、n行目であって、m列目以外のk列目の画素回路16についても、当該画素回路16から見た画素電極P2、P3、P5及びP6にデータ信号Data(k)の電位に応じた電流が供給され、画素電極P2、P3、P5及びP6に対応する4つの発光素子18は当該電流に応じた輝度で発光する。Bサブフレームにおいて走査信号Gwrt(n-1)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移した後、制御信号Sel(n-1)_2、Sel(n)_3(n-1)、Sel(n-1)_5及びSel(n-1)_6がオン信号となる。また、走査信号Gwrt(n+1)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移した後、制御信号Sel(n+1)_2、Sel(n+1)_3、Sel(n+1)_5及びSel(n+1)_6がオン信号となる。また、(n-1)行目、n行目、(n+1)行目に限らず、1~q行目についても同様である。このため、Bサブフレームにおいて、各行においてトランジスターSw2、Sw3、Sw5及びSw6がオンするので、各行の画素回路16から、対応する画素電極P2、P3、P5及びP6へ表示画素Bの階調に応じた電流が供給される。
【0063】
Bサブフレームにおいて、映像データVdataで指定されるn行m列の2×2表示画素のうち、表示画素Bに対応する電流を供給される画素電極P2、P3、P5及びP6は、Aサブフレームにおいて、表示画素Aに対応する電流を供給されていた画素電極P1、P2、P4及びP5に対して、画素電極の1つ分、右方向にシフトすることになる。
【0064】
続いて、Cサブフレームの動作について説明する。
Cサブフレームにおいて走査信号Gwrt(n)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移した後、制御信号Sel(n)_5、Sel(n)_6、Sel(n)_8及びSel(n)_9がオン信号となるので、n行目のトランジスターSw5、Sw6、Sw8及びSw9がオンする。n行m列でいえば、当該n行m列の画素回路16から見たる画素電極P5、P6、P8及びP9に、m列目のデータ線14に供給されたデータ信号Data(m)の電位に応じた電流が供給される。このときのデータ信号Data(m)は、映像データVinで指定されるn行m列の2×2表示画素のうち、表示画素Cに対応するデータを、アナログに変換した信号である。このため、n行m列の画素回路16から見た画素電極P5、P6、P8及びP9の各々に対応する4つの発光素子18は、表示画素Cに対応した輝度で発光する。
【0065】
図18は、Cサブフレームにおける表示装置10の表示例を示す図である。
n行m列でいえば、当該n行m列の画素回路16から見た画素電極P5、P6、P8及びP9の各々に対応する4つの発光素子18に、データ信号Data(m)の電位に応じた電流が供給される。Cサブフレームにおいて走査信号Gwrt(n-1)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移した後、制御信号Sel(n-1)_5、Sel(n-1)_6、Sel(n-1)_8及びSel(n-1)_9がオン信号となる。走査信号Gwrt(n+1)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移した後、制御信号Sel(n+1)_5、Sel(n+1)_6、Sel(n+1)_8及びSel(n+1)_9がオン信号となる。また、(n-1)行目、n行目、(n+1)行目に限らず、1~q行目についても同様である。このため、Cサブフレームにおいて、各行においてトランジスターSw5、Sw6、Sw8及びSw9がオンするので、各行の画素回路16からから見た画素電極P5、P6、P8及びP9に表示画素Cの階調に応じた電流が供給される。
【0066】
Cサブフレームにおいて、映像データVinで指定されるn行m列の2×2表示画素のうち、表示画素Cに対応する電流を供給される画素電極P5、P6、P8及びP9は、Bサブフレームにおいて、表示画素Bに対応する電流を供給されていた画素電極P2、P3、P5及びP6に対して、画素電極の1つ分、下方向にシフトすることになる。
【0067】
Dサブフレームの動作について説明する。
Dサブフレームにおいて走査信号Gwrt(n)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移した後、制御信号Sel(n)_4、Sel(n)_5、Sel(n)_7及びSel(n)_8がオン信号となるので、n行目のトランジスターSw4、Sw5、Sw7及びSw8がオンする。n行m列でいえば、当該n行m列の画素回路16に対応する画素電極P4、P5、P7及びP8に各々対応する4つの発光素子18に、m列目のデータ線14に供給されたデータ信号Data(m)の電位に応じた電流が供給される。このときのデータ信号Data(m)は、映像データVinで指定されるn行m列の2×2表示画素のうち、D表示画素に対応するデータを、アナログに変換した信号である。このため、n行m列の画素回路16に対応する画素電極P4、P5、P7及びP8に各々対応する4つの発光素子18は、D表示画素に対応した輝度で発光する。
【0068】
図19は、Dサブフレームにおける表示装置10の表示例を示す図である。
n行m列でいえば、当該n行m列の画素回路16から見た画素電極P4、P5、P7及びP8に、データ信号Data(m)の電位に応じた電流が供給される。Dサブフレームにおいて走査信号Gwrt(n-1)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移した後、制御信号Sel(n-1)_4、Sel(n-1)_5、Sel(n-1)_7及びSel(n-1)_8がオン信号となる。また、走査信号Gwrt(n+1)がオフ信号からオン信号に遷移し、第1の所定時間の経過後にオフ信号に遷移した後、制御信号Sel(n+1)_4、Sel(n+1)_5、Sel(n+1)_7及びSel(n+1)_8がオン信号となる。また、(n-1)行目、n行目、(n+1)行目に限らず、1~q行目についても同様である。このため、Dサブフレームにおいて、各行においてトランジスターSw4、Sw5、Sw7及びSw8がオンするので、各行の画素回路16から見た画素電極P4、P5、P7及びP8の各々に、データ信号Data(m)の電位に応じた電流が供給される。
【0069】
Dサブフレームにおいて、映像データVdataで指定されるn行m列の2×2表示画素のうち、表示画素Dに対応するデータ信号が供給される画素電極P4、P5、P7及びP8は、Cサブフレームにおいて、表示画素Cに対応するデータ信号が供給されていた画素電極P5、P6、P8及びP9に対して、画素電極の1つ分、左方向にシフトすることになる。なお、Dサブフレームの後、Aサブフレームに戻る。Aサブフレームにおいて、表示画素Aに対応する電流が供給される画素電極P1、P2、P4及びP5は、Dサブフレームにおいて、表示画素Dに対応する電流が供給されていた画素電極P4、P5、P7及びP8に対して、画素電極の1つ分、上方向にシフトすることになる。
【0070】
図20は、映像データVdataで指定される表示画素と、表示装置10によって表示されたパネル画素によって、どのように視認されるかを説明するための図である。映像データVdataで示される画像が、例えば図に示されるように白背景とした黒の斜め線の静止画である場合、詳細には、一部の2×2の表示画素のうち、表示画素A及び表示画素Cが黒であり、表示画素B及び表示画素Dが白であり、背景である他の2×2の表示画素が、すべて白である場合について検討する。
【0071】
この場合、Aサブフレームにおいて、表示装置10において、一部の2×2の表示画素に対応する4つの画素電極に相当する領域で黒表示となり、背景となる4つの画素電極に相当する領域で白表示となる。なお、図では、表示装置における4つの画素電極に相当する領域が太線の黒枠で示される。
【0072】
Bサブフレームにおいて、表示画素に対応する2×2の4つの画素電極が右方向に1つの画素電極に相当する分、シフトする。なお、Bサブフレームでは、すべて白表示となる。ここでは4つの画素電極について着目しているが、表示装置10においては2×2の画素電極の組み合わせが表示領域100において全体移動する。
Cサブフレームにおいて、表示画素に対応する4つの画素電極が下方向に1つの画素電極に相当する分、シフトする。表示装置10では、一部の2×2の表示画素に対応する4つの画素電極に相当する領域で黒表示となり、背景となる4つの画素電極に相当する領域で白表示となる。
Dサブフレームにおいて、表示画素に対応する4つの画素電極が左方向に1つの画素電極に相当する分、シフトするが、すべて白表示となる。
なお、Dサブフレームの後、Aサブフレームに戻り、4つの画素電極が上方向に1つの画素電極に相当する分、シフトする。
【0073】
以上説明したように本実施形態では、AサブフレームからDサブフレームまでの4つのサブフレームの何れにおいても、表現に用いる4つのパネル画素は常に互いに隣り合い、これら4つのパネル画素の組み合わせがサブフレーム毎にシフトする。表示装置10において表現される表示は、AサブフレームからDサブフレームまでの4つのサブフレームを単位期間とした場合、図に示されるような合成画像として視認される。このように本実施形態では、画素回路16が、表示画素に対して縦半分及び横半分で配列しても、4つのサブフレームを単位期間として視認される合成画像を、映像データVdataで指定される画像とほぼ同解像度にすることが可能となる。つまり、本実施形態によれば、画素回路16を発光素子に対して一対一に設ける態様に比較して、画素回路16を構成するトランジスターの分だけトランジスター数を減らしつつ、ユーザーの感じる解像度感を向上させることができる。
【0074】
本実施形態では、表示画素を表現するための4つの画素電極の組み合わせを移動させることで、パネル画素をシフトさせて視認させる。このようなパネル画素のシフトは、表示装置10からの出射光の光軸を、光学素子でシフトさせることによっても実現することができる。しかしながら、光学素子でのシフトは、表示装置のパネル画素に一斉に、換言すればパネル画素に対して一律に、作用する。このため、1行目からq行目までの順次走査線12が選択される構成において、例えば最終のq行目の選択後から次のサブフレームにおいて1行目が選択されるまでの帰線期間において光学素子によりシフトさせると、次のような問題が生じる。具体的には、このような構成において、先頭1行目のパネル画素は光学素子でシフトされる前の状態がほぼ視認されるのに対し、最終q行目のパネル画素は光学素子でシフトされた後の状態がほぼ視認され、差が生じる。すなわち、光学素子によるシフトの状態が行毎に異なって視認される。
【0075】
これに対して本実施形態に係る表示装置10では、画素回路16で取得されたデータ信号を、供給する画素電極をトランジスターSw1~Sw9で切り換えることで、パネル画素がシフトする。すなわち、表示装置10では、画素電極にデータ信号を供給した時点でパネル画素がシフトするので、シフトの状態が行毎に異なって視認されるという不都合が原理的に発生しない。
【0076】
加えて、本実施形態によれば、AサブフレームからDサブフレームまでの4つのサブフレームにおいて、全ての発光素子18は何れかのセレクターにより選択されて発光するので、高輝度化を実現できる。なお、本実施形態においてn行m列目に位置する画素回路16は本開示における第1画素回路の一例であり、(n-1)行m列目に位置する画素回路16は本開示における第2画素回路の一例である。
また、n行m列目に位置する画素回路16から見たときの画素電極P1~P9の各々に対応する発光素子18は、本開示における第1乃至第9発光素子の一例である。
画素電極P1に対応する発光素子18は、本開示における第6発光素子の一例である。
画素電極P2に対応する発光素子18は、本開示における第2発光素子の一例である。
画素電極P3に対応する発光素子18は、本開示における第9発光素子の一例である。
画素電極P4に対応する発光素子18は、本開示における第5発光素子の一例である。
画素電極P5に対応する発光素子18は、本開示における第1発光素子の一例である。
画素電極P6に対応する発光素子18は、本開示における第8発光素子の一例である。
画素電極P7に対応する発光素子18は、本開示における第4発光素子の一例である。
画素電極P8に対応する発光素子18は、本開示における第3発光素子の一例である。
画素電極P9に対応する発光素子18は、本開示における第7発光素子の一例である。
また、n行m列目に位置する画素回路16に対応するトランジスターSw1~Sw9は本開示における第1乃至第9トランジスターの一例である。
トランジスターSw1は、本開示における第6トランジスターの一例である。
トランジスターSw2は、本開示における第2トランジスターの一例である。
トランジスターSw3は、本開示における第9トランジスターの一例である。
トランジスターSw4は、本開示における第5トランジスターの一例である。
トランジスターSw5は、本開示における第1トランジスターの一例である。
トランジスターSw6は、本開示における第8トランジスターの一例である。
トランジスターSw7は、本開示における第4トランジスターの一例である。
トランジスターSw8は、本開示における第3トランジスターの一例である。
トランジスターSw9は、本開示における第7トランジスターの一例である。
n行m列目に位置する画素回路16に対応するトランジスターSw1~Sw9、即ち図13におけるトランジスターSw1~Sw9により本開示における第1セレクターが形成される。
また、(n-1)行m列目に位置する画素回路16に対応するトランジスターSw1~Sw9により本開示における第2セレクターが形成される。(n-1)行m列目に位置する画素回路16に対応するトランジスターSw8は本開示における第12トランジスターの一例である。(n-1)行m列目に位置する画素回路16に対応するトランジスターSw9は本開示における第13トランジスターの一例である。(n-1)行m列目に位置する画素回路16に対応するトランジスターSw7は本開示における第14トランジスターの一例である。
また、本実施形態におけるCサブフレームは本開示における第1サブフレーム、即ち一のサブフレームの一例であり、本実施形態におけるAサブフレームは当該一のサブフレームと異なるサブフレームである第3サブフレームの一例である。Dサブフレームは本開示における第2サブフレームの一例であり、Bサブフレームは第4サブフレームの一例である。本実施形態では、Aサブフレーム→Bサブフレーム→Cサブフレーム→Dサブフレーム(→Aサブフレーム)という順序であったが、この順序とは逆に、Dサブフレーム→Cサブフレーム→Bサブフレーム→Aサブフレーム(→Dサブフレーム)という順序であってもよい。また、フレームの起点となるサブフレームは、Aサブフレーム、Bサブフレーム、Cサブフレーム又はDサブフレームの何れであってもよい。
【0077】
3.第3実施形態
第2実施形態では、4つの画素電極に相当するパネル画素をX軸及びY軸の2軸でシフトする構成であったが、X軸又はY軸に対して45度斜めの1軸でシフトする構成も可能である。そこで次に1軸でシフトさせる第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態に係る表示装置は、第2実施形態に係る表示装置において、例えばAサブフレームとCサブフレームとを交互に繰り返すことで簡易的に実現できる。
【0078】
逆にいえば、AサブフレームとCサブフレームとを交互に繰り返すのみの構成であれば、BサブフレームとDサブフレームとで表示を行うための要素が不要なる。そこで、第2実施形態に係る表示装置10からBサブフレームとDサブフレームとで表示を行うための要素を省略した第3実施形態について説明する。
【0079】
図21は、第3実施形態に係る表示装置10において、画素回路16と画素電極との接続の関係を示す図である。図における矢印の意味は、図11と同様である。第3実施形態では、画素回路16の出力ノードは、当該画素回路16が設けられる領域に対応する画素電極P1、P2、P4、P5、P6、P8及びP9の何れかと接続可能となっている。
【0080】
図22は、n行目の走査線12とm列目のデータ線14との交差に対応して設けられる画素回路16と、当該画素回路16を着目画素回路16とした場合の画素電極P1~P9と、及びこれらの周辺を含めて示す回路図である。
【0081】
第3実施形態では、画素回路16の出力ノードNdを画素電極P3及びP7に接続しなくてもよいので、図12に示される構成と比較して、トランジスターSw3及びSw7を有さない。このため、トランジスターSw3への制御信号Sel(1)_3~Sel(q)_3及びトランジスターSw7への制御信号Sel(1)_7~Sel(q)_7についても、走査線駆動回路120から供給されない。
【0082】
図23は、図22のうち、n行m列の画素回路16と、トランジスターSw1、Sw2、Sw4、Sw5、Sw6、Sw8及びSw9と、当該画素回路16から見た画素電極P1~P9とのみに着目して示し、他の要素を省略して示す図である。
【0083】
次に、第3実施形態に係る表示装置10の動作をついて説明する。図24は、走査線駆動回路120から出力される走査信号Gwrt(1)~Gwrt(q)の一例を示すタイミングチャートである。この図に示されるように、Aサブフレーム及びCサブフレームにおいて、走査信号Gwrt(1)、Gwrt(2)、…、Gwrt(n)、…、Gwrt(q-1)、Gwrt(q)が、この順番で排他的にオン信号となる。
【0084】
図25は、(n-1)行目、n行目、(n+1)行目の連続する3行の動作を説明するための図である。第3実施形態では、第2実施形態と比較して、トランジスターSw3及びSw7を有さず、制御信号Sel(1)_3~Sel(q)_3及びSel(1)_7~Sel(q)_7が不要であって、1フレームにおいてAサブフレームとCサブフレームとを交互に繰り返したものとなる。このため、第3実施形態における図15が、第2実施形態では、図25に示される通りとなる。
【0085】
図26は、第3実施形態に係る表示装置10についてAサブフレームの表示例を示す図である。Aサブフレームでは、n行m列の画素回路16から見た画素電極P1、P2、P4及びP5にデータ信号Data(m)の電位に応じた電流が供給され、画素電極P1、P2、P4及びP5の各々に対応する発光素子18が当該電流に応じた輝度で発光する。図27は、Cサブフレームの表示例を示す図である。Cサブフレームでは、n行m列の画素回路16に対応する画素電極P5、P6、P8及びP9の各々に対応する発光素子18が当該電流に応じた輝度で発光する。
【0086】
第3実施形態によれば、Aサブフレーム及びCサブフレームにおいて表示に用いる4つのパネル画素が45度斜めの1軸でシフトするので、表示装置10における解像度を擬似的に高めつつ、上位装置から供給される映像データVinで指定された映像を表示することができる。また、本実施形態においても、AサブフレームからCサブフレームの何れにおいても、全ての発光素子18が何れかのセレクターにより選択されて発光するので、高輝度化を実現できる。つまり、本実施形態によっても、画素回路16を発光素子に対して一対一に設ける態様に比較してトランジスター数を増加させることなく、高輝度化及び解像度の向上を実現できる。また、本実施形態においても、画素電極にデータ信号を供給した時点でパネル画素がシフトするので、シフトの状態が行毎に異なって視認されるという不都合は原理的に発生しない。
【0087】
4.変形例
上記各実施形態を以下のように変形してもよい。
(1)第1実施形態の表示装置11Aは、図28に示す第1変形例の表示装置11Bのように構成されてもよい。図28も、図6と同様に、q行p列に配列するq×p個の画素回路のうち、m列における(n-1)行目、n行目、及び(n+1)行目の画素回路に関する部分のみが図示されている。図28では、図6におけるものと同じ構成要素には同一の符号が付されている。図28図6とを対比すれば明らかなように、表示装置11Bの構成は、画素回路16(n-1)、画素回路16(n)及び画素回路16(n+1)の各々に代えて画素回路16B(n-1)、画素回路16B(n)及び画素回路16B(n+1)の各々を設けた点において表示装置11Aの構成と相違する。以下では、画素回路16B(n-1)、画素回路16B(n)及び画素回路16B(n+1)の各々を区別しない場合には、画素回路16Bと表記する。
【0088】
画素回路16Bの構成は、トランジスター162の閾値電圧を補償する際に使用するトランジスター166を有する点において画素回路16の構成と異なる。トランジスター166は、トランジスター162の閾値電圧の補償のみに使用され、画像表示の際にはオフ状態に維持される。このため、画像の表示に関する表示装置11Bの動作は表示装置11Aの動作と同一である。つまり、表示装置11Bによっても、発光素子に対して一対一に画素回路を設ける態様に比較して、トランジスターの増加を抑えつつ、解像度感の向上、及び高輝度化を実現できる。なお、トランジスター166は、トランジスター162の閾値電圧の補償ではなく、発光素子18のリセットに利用されてもよい。なお、第2及び第3実施形態における画素回路16を第1変形例の画素回路16Bに置き換えてもよい。
【0089】
(2)第1実施形態の表示装置11Aは、図29に示す第2変形例の表示装置11Cのように構成されてもよい。図29も、図28と同様に、q行p列に配列するq×p個の画素回路のうち、m列における(n-1)行目、n行目、及び(n+1)行目の画素回路に関する部分のみが図示されている。図29では、図28におけるものと同じ構成要素には同一の符号が付されている。図29図28とを対比すれば明らかなように、表示装置11Cの構成と表示装置11Bの構成との相違点は、発光素子18をリセットするためのトランジスター166が発光素子毎に設けられている点である。表示装置11Cによっても、発光素子に対して一対一に画素回路を設ける態様に比較して、トランジスターの増加を抑えつつ、解像度感の向上、及び高輝度化を実現できる。なお、第2及び第3実施形態の表示装置10についても同様に発光素子18をリセットするためのトランジスター166を発光素子18毎に設けてもよい。
【0090】
(3)第3実施形態では、Aサブフレーム及びCサブフレームを用いる際に、1フレームの開始をAサブフレームとしたが、1フレームの開始をCサブフレームとしてもよい。Cサブフレームを1フレームの開始とする第3変形例の場合、n行m列の画素回路16に対応する画素電極を、図30に示されるように付番すればよい。これにより、Cサブフレームを1フレームの開始とする場合、n行m列の画素回路16に開始のサブフレームにおいて画素電極P1、P2、P4及びP5にデータ信号Data(m)が供給され、画素電極P7、P8にデータ信号Data(m)とは異なるデータ信号が供給される点において、Aサブフレームを1フレームの開始とする場合と同様になる。
【0091】
また、Bサブフレーム及びDサブフレームを用いてもよい。すなわち、45度斜めの1軸の方向を、図26又は図27のシフト方向を時計回り、又は反時計回りに90度回転させた位置としてもよい。なお、Bサブフレーム及びDサブフレームを用いる際に、1フレームの開始をBサブフレームとする第4変形例とする場合、n行m列の画素回路16に対応する画素電極を、図31に示されるように付番すればよい。
【0092】
また、Bサブフレーム及びDサブフレームを用いる際に、1フレームの開始をDサブフレームとする第5変形例とする場合、n行m列の画素回路16に対応する画素電極を、図32に示されるように付番すればよい。何れの場合も、n行m列の画素回路16に開始のサブフレームにおいて画素電極P1、P2、P4及びP5にデータ信号Data(m)が供給され、画素電極P7、P8には、データ信号Data(m)とは異なるデータ信号が供給される点において、Aサブフレームを1フレームの開始とする場合と同様になる。
【0093】
(4)第2実施形態では単色パネルへの2軸シフトの適用例を説明し、第3実施形態では単色パネルへの1軸シフトの適用例を説明した。しかし、RGBパネルに1軸シフトを適用してもよく、RGBパネルに2軸シフトを適用してもよい。
【0094】
図33は、RGBパネルに1軸シフトを適用した第6変形例の表示装置における画素回路16と画素電極との接続関係の一例を示す図である。図33において点線の四角枠は画素電極を表し、実線の四角枠は画素回路を表す。図33における画素回路16R、16G、16B及び16Vの各々は、夫々赤色、緑色、青色、及び紫色を示すデータ信号を各々出力する。図33に示すように、画素回路16R、16G、16B及び16Vは2×2のマトリクス状に配列される。図33における矢印の先端は画素回路16側の接続点に対応し、黒点は画素電極側の接続点に対応する。図33では、画素電極P5についての接続関係の図示が省略されているが、第3実施形態における場合と同様に、画素電極P5は直下に位置する画素回路16Rのみに接続されている。
【0095】
図33に示す第6変形例では、画素回路16R、16G、16B及び16Vの各々は、第3実施形態と同様に7個の画素電極に接続される。画素電極P1~P4及びP6~P9も第3実施形態と同様に2個の画素回路に接続される画素電極と、4個の画素回路に接続される画素電極とに分類される。図33に示すように画素回路16と画素電極とが接続された表示装置では、第3実施形態と同様に、図25に示す動作を実行させることで、図34に示す1軸シフトが実現される。
【0096】
また、図35に示すように、画素回路16R、16G、16B及び16Vの各々と画素電極とが接続される第7変形例の表示装置であれば、図15に示す動作を実行させることで、図36に示すように2軸シフトが実現される。なお、画素電極及び画素回路16の形状は正方形には限定されず、長方形であってもよい。
また、画素回路16R、16G、16Bの各々から見た画素電極P1~P9は、X方向において互いに隣接していることも必須ではない。例えば、図37に示す第8変形例のように、画素回路16Rから見た画素電極P1と画素電極P2の間に、他の画素電極が位置してもよい。図37では、図33における場合と同様に、点線の四角枠は画素電極を表し、実線の四角枠は画素回路を表す。
【0097】
図37では詳細な図示を省略したが、画素電極P1の右隣りは、画素回路16Gから見た画素電極P1であり、更にその右隣りは画素回路16Bから見た画素電極P1である。
同様に、画素電極P2の右隣りは、画素回路16Gから見た画素電極P2であり、更にその右隣りは画素回路16Bから見た画素電極P2である。
画素電極P3の右隣りは、画素回路16Gから見た画素電極P3であり、更にその右隣りは画素回路16Bから見た画素電極P3である。
画素電極P4の右隣りは、画素回路16Gから見た画素電極P4であり、更にその右隣りは画素回路16Bから見た画素電極P4である。
画素電極P5の右隣りは、画素回路16Gから見た画素電極P5であり、更にその右隣りは画素回路16Bから見た画素電極P5である。
画素電極P6の右隣りは、画素回路16Gから見た画素電極P6であり、更にその右隣りは画素回路16Bから見た画素電極P6である。
画素電極P7の右隣りは、画素回路16Gから見た画素電極P7であり、更にその右隣りは画素回路16Bから見た画素電極P7である。
画素電極P8の右隣りは、画素回路16Gから見た画素電極P8であり、更にその右隣りは画素回路16Bから見た画素電極P8である。
画素電極P9の右隣りは、画素回路16Gから見た画素電極P9であり、更にその右隣りは画素回路16Bから見た画素電極P9である。
【0098】
図37に示すように画素電極と画素回路とが配置される表示装置であれば、図34に示すように、画素回路と当該画素回路から見た画素電極P1~P9とを接続し、図15に示す動作を実行させることで、図38に示すように2軸シフトが実現される。
【0099】
(5)第1実施形態における縦軸共有を単色パネルに適用してもよい。また、上記各実施形態における発光素子18は、OLEDであったが、μLED等の他の自発発光素子を発光素子18として用いてもよく、また、液晶を用いた反射型又は透過型の表示装置に本開示を適用してもよい。また、上記各実施形態では、プロジェクターへの本開示の適用例を説明したが、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スマートフォン、タブレット端末、又はノート型パーソナルコンピューター等、表示装置を有する電子機器であれば、本開示を適用可能である。
【0100】
5.実施形態及び各変形例の少なくとも1つから把握される態様
本開示は、上述した実施形態及び変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実現することができる。例えば、本開示は、以下の態様によっても実現可能である。以下に記載した各態様中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、或いは本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0101】
本開示の表示装置の一態様は、データ線と、第1画素回路と、第2画素回路と、第1乃至第9発光素子と、第1セレクターと、第2セレクターと、を有する。第1画素回路及び第2画素回路はデータ線に対して設けられる。第1乃至第9発光素子は、第1発光素子を中心としてマトリクス状に配列される。第1セレクターは、少なくとも第1発光素子、第2発光素子、及び第3発光素子の何れか選択し記第1画素回路に供給された電位に応じた電流を当該選択した発光素子に供給する。第2セレクターは、第2画素回路に供給された電位に応じた電流を当該選択した発光素子に供給する。本開示の表示装置では、一のサブフレームにおいて、第1セレクターは、第1発光素子、及び第3発光素子を選択し、第2セレクターは、第2発光素子を選択する。前記一のサブフレームとは異なるサブフレームにおいては、第1セレクターは、第1発光素子及び第2発光素子を選択する。本態様の表示装置によれば、一のサブフレームと当該一のサブフレームとは異なるサブフレームの何れにおいても第1発光素子と第2発光素子とを発光させることができるので、表示装置の高輝度化を実現できる。詳細については後述するが、本態様の表示装置によれば、発光素子に対して画素回路を一対一に設ける態様に比較してトランジスターの数を増やすことなく、縦軸共有、1軸シフト、又は2軸シフト等による解像度感の向上も実現できる。
【0102】
より好ましい態様の表示装置は、データ線に沿って第2発光素子の上方に配列される第10発光素子及び第11発光素子を含んでもよい。本態様の表示装置では、第2セレクターは、第10発光素子及び第11発光素子を選択可能である。第1セレクターは、一のサブフレームにおいては第2発光素子と第10発光素子とを選択する。第2セレクターは、一のサブフレームと異なるサブフレームにおいて第10発光素子及び第11発光素子を選択する。本態様の表示装置によれば、解像度感の向上を実現できる。また、本態様の表示装置では、第1発光素子、第2発光素子、及び第10発光素子は一のサブフレームと当該一のサブフレームとは異なるサブフレームとにおいて発光するので、高輝度化を実現できる。
【0103】
更に好ましい態様の表示装置における第1セレクターは、以下の第1トランジスター、第2トランジスター及び第3トランジスターを含んでもよい。また、第2セレクターは、以下の第9トランジスター、第10トランジスター及び第11トランジスターを含んでもよい。第1トランジスターは、第1画素回路と第1発光素子とを電気的に接続する。第2トランジスターは、第1画素回路と第2発光素子とを電気的に接続する。第3トランジスターは、第1画素回路と第3発光素子とを電気的に接続する。第9トランジスターは、第2画素回路と第2発光素子とを電気的に接続する。第10トランジスターは、第2画素回路と第10発光素子とを電気的に接続する。第11トランジスターは、第2画素回路と第11発光素子とを電気的に接続する。
【0104】
別の好ましい態様の表示装置においては、第1セレクターは、少なくとも第1発光素子、第2発光素子、第3発光素子、第5発光素子、第6発光素子、第7発光素子、及び第8発光素子の何れかを選択する。第2セレクターは、少なくとも第2発光素子、及び第9発光素子の何れかを選択する。本態様の表示装置では、一のサブフレームにおいて、第1セレクターは、第1発光素子、第3発光素子、第7発光素子及び第8発光素子を選択する。当該一のサブフレームにおいて、第2セレクターは、少なくとも第2発光素子及び第9発光素子を選択する。そして、異なるサブフレームにおいて、第1セレクターは、第1発光素子、第2発光素子、第5発光素子及び第6発光素子を選択する本態様の表示装置によれば、1軸又は2軸シフトによる解像度感の向上を実現できる。
【0105】
別の好ましい態様の表示装置では、一のサブフレームと当該一のサブフレームとは異なるサブフレームとが交互に現れてもよい。本態様によれば、1軸シフトによる解像度感の向上を実現できる。より好ましい態様の表示装置における第1セレクターは、以下の第1乃至第3トランジスター、及び第5乃至第8トランジスターを含んでもよい。第1トランジスターは、第1画素回路と第1発光素子とを電気的に接続する。第2トランジスターは、第1画素回路と第2発光素子とを電気的に接続する。第3トランジスターは、第1画素回路と第3発光素子とを電気的に接続する。第5トランジスターは、第1画素回路と第5発光素子とを電気的に接続する。第6トランジスターは、第1画素回路と第6発光素子とを電気的に接続する。第7トランジスターは、第1画素回路と第7発光素子とを電気的に接続する。第8トランジスターは、第1画素回路と第8発光素子とを電気的に接続する。また、第2セレクターは、以下の第12及び第13トランジスターを含んでもよい。第12トランジスターは、第2画素回路と第2発光素子とを電気的に接続する。第13トランジスターは、第2画素回路と第9発光素子とを電気的に接続する。
【0106】
更に好ましい態様の表示装置では、第1セレクターは、第4発光素子及び第9発光素子も選択可能であり、第2セレクターは、第6発光素子も選択可能であってもよい。更に好ましい態様の表示装置では、一のサブフレームは第1サブフレームであり、当該一のサブフレームとは異なるサブフレームは第3サブフレームである。本態の表示装置では、第1サブフレームの次の第2サブフレームにおいて、第1セレクターは、第1発光素子、第3発光素子、第4発光素子及び第5発光素子を選択し、第2セレクターは第2発光素子及び第6発光素子を選択する。第3サブフレームの次の第4サブフレームにおいて、第1セレクターは、第1発光素子、第2発光素子、第8発光素子及び第9発光素子を選択する。本態様の表示装置によれば、2軸シフトによる解像度感の向上を実現できる。
【0107】
更に好ましい態様の表示装置では、第1セレクターは、以下の第1乃至第9トランジスターを含んでもよい。第1トランジスターは、第1画素回路と第1発光素子とを電気的に接続する。第2トランジスターは、第1画素回路と第2発光素子とを電気的に接続する。第3トランジスターは、第1画素回路と第3発光素子とを電気的に接続する。第4トランジスターは、第1画素回路と第4発光素子とを電気的に接続する。第5トランジスターは、第1画素回路と第5発光素子とを電気的に接続する。第6トランジスターは、第1画素回路と第6発光素子とを電気的に接続する。第7トランジスターは、第1画素回路と第7発光素子とを電気的に接続する。第8トランジスターは、第1画素回路と第8発光素子とを電気的に接続する。第9トランジスターは、第1画素回路と第9発光素子とを電気的に接続する。また、第2セレクターは、以下の第12乃至第14トランジスターを含んでもよい。第12トランジスターは、第2画素回路と第2発光素子とを電気的に接続する。第13トランジスターは、第2画素回路と第9発光素子とを電気的に接続する。第14トランジスターは、第2画素回路と第6発光素子とを電気的に接続する。
【0108】
本開示の電子機器の一態様は、上記何れかの態様の表示装置を含む。本態様の電子機器によれば、一のサブフレームと当該一のサブフレームとは異なるサブフレームの何れにおいても第1発光素子と第2発光素子とを発光させることができるので、表示の高輝度化を実現できる。また、本態様の電子機器によれば、発光素子に対して画素回路を一対一に設ける態様に比較してトランジスターの数を増やすことなく、縦軸共有、1軸シフト、又は2軸シフト等による解像度感の向上も実現できる。
【符号の説明】
【0109】
10、10R、10G、10B、11A、11B、11C…表示装置、12…走査線、14…データ線、16…画素回路、18…発光素子、20A,20B…プロジェクター、100…表示領域、120…走査線駆動回路、140…データ信号出力回路、P1~P9…画素電極。
図1
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