(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】生タイヤ成形装置
(51)【国際特許分類】
B29D 30/32 20060101AFI20240723BHJP
B29D 30/26 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B29D30/32
B29D30/26
(21)【出願番号】P 2020173407
(22)【出願日】2020-10-14
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】矢野 俊祐
(72)【発明者】
【氏名】中戸川 武
(72)【発明者】
【氏名】木谷 真一
(72)【発明者】
【氏名】石原 昇
(72)【発明者】
【氏名】鬼松 博幸
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-531344(JP,A)
【文献】特開2002-081404(JP,A)
【文献】特開2011-101971(JP,A)
【文献】特開2011-230414(JP,A)
【文献】特開2010-247332(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0104620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/32
B29D 30/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生タイヤ成形装置であって、
カーカスプライを含むタイヤ部材が巻き付けられる円筒状の成形ドラムと、
前記タイヤ部材に外挿された一対のビードコアの内周面を前記タイヤ部材を介して保持し得るように、前記成形ドラムのドラム軸方向の両外側に配された一対のビードコア保持装置と、
前記一対のビードコア保持装置の両外側に配され、前記ビードコアよりもドラム軸方向外側にはみ出した前記タイヤ部材の一対のはみ出し部をドラム半径方向外側に巻上げるための巻上装置と、
前記巻上装置をドラム軸方向に移動させるための一対の駆動装置とを含み、
前記巻上装置は、
膨張により前記一対のはみ出し部をドラム半径方向の外側に巻き上げる一対のブラダーと、前記駆動装置によってドラム軸方向の内方に駆動され、膨張した前記ブラダーをドラム軸方向の内方に押圧する押圧部材とを含む第1巻上装置、又は
前記駆動装置に駆動されてドラム軸方向に移動可能な一対のスライド部材と、前記スライド部材のドラム軸方向の移動に伴い前記一対のはみ出し部を巻上げる複数の巻上アームとを含む第2巻上装置が、
択一的に装着可能に構成されている、生タイヤ成形装置。
【請求項2】
前記スライド部材は、ラッチ機構を介して前記駆動装置と接続されている、請求項1に記載の生タイヤ成形装置。
【請求項3】
前記ラッチ機構は、ドラム軸方向の外方への前記駆動装置の駆動力が過大となったとき、前記スライド部材と前記駆動装置との接続を解く、請求項2に記載の生タイヤ成形装置。
【請求項4】
前記ラッチ機構は、前記駆動装置の側に装着され、前記スライド部材に吸着するマグネットを含む、請求項3に記載の生タイヤ成形装置。
【請求項5】
前記駆動装置には、ドラム軸方向の内方への押圧を緩衝する緩衝装置が設けられている、請求項2ないし4のいずれかに記載の生タイヤ成形装置。
【請求項6】
前記緩衝装置は、エアシリンダーを含む、請求項5に記載の生タイヤ成形装置。
【請求項7】
前記駆動装置には、前記駆動装置に対する前記ラッチ機構のドラム軸方向の位置を検出するためのセンサーが設けられている、請求項5又は6に記載の生タイヤ成形装置。
【請求項8】
前記駆動装置には、前記駆動装置に対する前記スライド部材のドラム軸方向の位置を検出するためのセンサーが設けられている、請求項5ないし7のいずれかに記載の生タイヤ成形装置。
【請求項9】
前記押圧部材は、連結部材を介して前記駆動装置に装着されている、請求項1ないし8のいずれかに記載の生タイヤ成形装置。
【請求項10】
前記巻上アームは、前記連結部材に干渉しない長さに設定されている、請求項9に記載の生タイヤ成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生タイヤ成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラダーを用いてタイヤ部材を巻上げるブラダー巻上機構を有する生タイヤ成形装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、巻上アームを用いてタイヤ部材を巻上げるメカニカル巻上機構を有する生タイヤ成形装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-101971号公報
【文献】特開2009-154471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブラダー巻上機構とメカニカル巻上機構とは構成が大きく異なることから、1つの成形装置で両立させることが困難であった。
【0006】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ブラダー巻上機構とメカニカル巻上機構とを1つの成形装置で両立できる生タイヤ成形装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、生タイヤ成形装置であって、カーカスプライを含むタイヤ部材が巻き付けられる円筒状の成形ドラムと、前記タイヤ部材に外挿された一対のビードコアの内周面を前記タイヤ部材を介して保持し得るように、前記成形ドラムのドラム軸方向の両外側に配された一対のビードコア保持装置と、前記一対のビードコア保持装置の両外側に配され、前記ビードコアよりもドラム軸方向外側にはみ出した前記タイヤ部材の一対のはみ出し部をドラム半径方向外側に巻上げるための巻上装置と、前記巻上装置をドラム軸方向に移動させるための一対の駆動装置とを含み、前記巻上装置は、膨張により前記一対のはみ出し部をドラム半径方向の外側に巻き上げる一対のブラダーと、前記駆動装置によってドラム軸方向の内方に駆動され、膨張した前記ブラダーをドラム軸方向の内方に押圧する押圧部材とを含む第1巻上装置、又は前記駆動装置に駆動されてドラム軸方向に移動可能な一対のスライド部材と、前記スライド部材のドラム軸方向の移動に伴い前記一対のはみ出し部を巻上げる複数の巻上アームとを含む第2巻上装置が、択一的に装着可能に構成されている。
【0008】
本発明に係る前記生タイヤ成形装置において、前記スライド部材は、ラッチ機構を介して前記駆動装置と接続されている、ことが望ましい。
【0009】
本発明に係る前記生タイヤ成形装置において、前記ラッチ機構は、ドラム軸方向の外方への前記駆動装置の駆動力が過大となったとき、前記スライド部材と前記駆動装置との接続を解く、ことが望ましい。
【0010】
本発明に係る前記生タイヤ成形装置において、前記ラッチ機構は、前記駆動装置の側に装着され、前記スライド部材に吸着するマグネットを含む、ことが望ましい。
【0011】
本発明に係る前記生タイヤ成形装置において、前記駆動装置には、ドラム軸方向の内方への押圧を緩衝する緩衝装置が設けられている、ことが望ましい。
【0012】
本発明に係る前記生タイヤ成形装置において、前記緩衝装置は、エアシリンダーを含む、ことが望ましい。
【0013】
本発明に係る前記生タイヤ成形装置において、前記駆動装置には、前記駆動装置に対する前記ラッチ機構のドラム軸方向の位置を検出するためのセンサーが設けられている、ことが望ましい。
【0014】
本発明に係る前記生タイヤ成形装置において、前記駆動装置には、前記駆動装置に対する前記スライド部材のドラム軸方向の位置を検出するためのセンサーが設けられている、ことが望ましい。
【0015】
本発明に係る前記生タイヤ成形装置において、前記押圧部材は、連結部材を介して前記駆動装置に装着されている、ことが望ましい。
【0016】
本発明に係る前記生タイヤ成形装置において、前記巻上アームは、前記連結部材に干渉しない長さに設定されている、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の前記生タイヤ成形装置においては、前記巻上装置は、前記ブラダーを含む前記第1巻上装置、又は前記巻上アームを含む前記第2巻上装置が、択一的に装着可能に構成されている。これにより、ブラダー巻上機構とメカニカル巻上機構とを1つの成形装置で両立できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の生タイヤ成形装置の一実施形態の概略を示す正面図である。
【
図2】第1巻上装置が装着された巻上げ前の状態の生タイヤ成形装置を示す正面図である。
【
図3】第1巻上装置が装着された巻上げ中の状態の生タイヤ成形装置を示す正面図である。
【
図4】第2巻上装置が装着された巻上げ前の状態の生タイヤ成形装置を示す正面図である。
【
図5】第2巻上装置が装着された巻上げ中の状態の生タイヤ成形装置を示す正面図である。
【
図7】第2巻上装置及び駆動装置を示す別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の生タイヤ成形装置1の正面図である。
図1に示されるように、生タイヤ成形装置1は、円筒状の成形ドラム2と、成形ドラム2のドラム軸方向の両外側に配された一対のビードコア保持装置3と、一対のビードコア保持装置3の両外側に配された巻上装置4と、巻上装置4を駆動する駆動装置7とを含んでいる。
【0020】
成形ドラム2には、カーカスプライを含むタイヤ部材100が巻き付けられる。タイヤ部材100は、上記カーカスプライの他、例えば、インナーライナーゴム、クリンチゴム、サイドウォールゴム等によって構成されている。
【0021】
タイヤ部材100には、一対のビードコア110が外挿される。ビードコア110は、タイヤ部材100のドラム軸方向の両側に1つずつ配される。
【0022】
ビードコア保持装置3は、ビードコア110の内周面をタイヤ部材100を介して保持し得るように、構成されている。ビードコア保持装置3は、タイヤ部材100のドラム軸方向の中心すなわち赤道Cに対して対称に配される。ビードコア保持装置3は、ドラム半径方向外側に移動して、タイヤ部材100をドラム半径方向外側に拡張させ、ビードコア110の内周面を保持する。ビードコア保持装置3は、ビードコア110を保持した状態で、ドラム軸方向に移動可能に構成されている。
【0023】
ビードコア110は、タイヤ部材100のドラム軸方向の外端よりも内側に配される。従って、タイヤ部材100は、ビードコア110よりもドラム軸方向外側にはみ出した一対のはみ出し部102を有する。はみ出し部102には、例えば、サイドウォールゴムが含まれる。
【0024】
巻上装置4は、タイヤ部材100の一対のはみ出し部102をドラム半径方向外側に巻上げる。はみ出し部102が巻上装置4によって巻上げられることにより、カーカスプライのドラム軸方向の外側にサイドウォールゴムが配される。
【0025】
駆動装置7は、巻上装置4をドラム軸方向に移動させる。駆動装置7は、径方向に分割されていてもよい。駆動装置7のドラム軸方向の位置は、例えば、エンコーダー(図示せず)によって検知される。エンコーダーの出力信号は、生タイヤ成形装置1の制御部に入力される。制御部は、エンコーダーの出力信号に基づいて、駆動装置7を制御する。そして、巻上装置4は、駆動装置7によってドラム軸方向内側に駆動されることにより、はみ出し部102を巻上げる。
【0026】
本実施形態の生タイヤ成形装置1では、巻上装置4として、第1巻上装置5、又は、第2巻上装置6が、択一的に装着可能に構成されている。
【0027】
図2、3は、第1巻上装置5が装着された状態の生タイヤ成形装置1を示している。このうち、
図2は巻上げ前の生タイヤ成形装置1を示し、
図3は巻上げ中の生タイヤ成形装置1を示している。
【0028】
第1巻上装置5は、一対のブラダー51と、ブラダー51をドラム軸方向の内方に押圧する押圧部材52とを含んでいる。ブラダー51の一端部51aは、ビードコア保持装置3よりもドラム軸方向の内側で、成形ドラム2に固着されている。ブラダー51の他端部51bは、ビードコア保持装置3よりもドラム軸方向の外側で、一対のベース部材53を介して成形ドラム2に装着されている。ブラダー51の他端部51bは、ブラダー51の膨張の際に、ベース部材53に対してドラム軸方向に移動可能である。
【0029】
ブラダー51は、タイヤ部材100の一対のはみ出し部102のドラム半径方向の内側に配されている。一対のブラダー51は、その内部に充填された空気圧により膨張し、一対のはみ出し部102をドラム半径方向の外側に巻き上げる。
【0030】
図3に示されるように、ブラダー51の膨張の際には、ビードコア保持装置3がドラム軸方向に移動し、一対のビードコア110に挟まれたタイヤ部材100の本体部101の内側には、空気が充填される。これにより、タイヤ部材100の本体部101がドラム半径方向の外側に膨張する。そして、タイヤ部材100の本体部101とはみ出し部102とが固着され、生タイヤのビード部からサイドウォール部が形成される。
【0031】
押圧部材52は、駆動装置7によってドラム軸方向の内方に駆動されてビードコア保持装置3に接近し、膨張したブラダー51をドラム軸方向の内方に押圧する。これにより、はみ出し部102の両端部が本体部101に密着される。
【0032】
はみ出し部102が巻上げられた後、駆動装置7は、ドラム軸方向の外方に移動する。これに伴い、ブラダー51及び押圧部材52は、
図2に示される初期状態に復帰する。
【0033】
生タイヤ成形装置1への第1巻上装置5の装着は、以下の要領でなされる。すなわち、ブラダー51の一端部51aとベース部材53とが成形ドラム2に固着され、押圧部材52が駆動装置7に固着される。ブラダー51の他端部51bは予めベース部材53に固着されている。
【0034】
一方、生タイヤ成形装置1からの第1巻上装置5の取り外しは、逆の要領でなされる。すなわち、ブラダー51の一端部51aとベース部材53とが成形ドラム2から取り外され、押圧部材52が駆動装置7から取り外される。生タイヤ成形装置1から第1巻上装置5が取り外されることにより、生タイヤ成形装置1に第2巻上装置6が装着可能となる。
【0035】
図4、5は、第2巻上装置6が装着された状態の生タイヤ成形装置1を示している。このうち、
図4は巻上げ前の生タイヤ成形装置1を示し、
図5は巻上げ中の生タイヤ成形装置1を示している。
【0036】
第2巻上装置6は、一対のスライド部材61と、一対のはみ出し部102を巻上げる巻上アーム62とを含んでいる。
【0037】
スライド部材61は、一対のベース部材63を介して成形ドラム2に装着されている。スライド部材61は、ベース部材63によってドラム軸方向に移動可能に支持される。スライド部材61は、駆動装置7によってドラム軸方向の内方に駆動されてビードコア保持装置3に接近する。スライド部材61には、巻上アーム62の回転軸64が設けられている。巻上アーム62は、ドラム軸方向外側の端部で回転軸64を中心として回転可能に軸支されている。
【0038】
巻上アーム62は、ドラム周方向に複数設けられている。巻上アーム62のドラム軸方向内側の先端部は、タイヤ部材100の一対のはみ出し部102のドラム半径方向の内側に配されている。
【0039】
図5に示されるように、スライド部材61のドラム軸方向内側への移動に伴い、巻上アーム62はその先端部がドラム半径方向の外側に移動するように回転し、はみ出し部102を巻上げる。
【0040】
巻上アーム62の回転の際には、ビードコア保持装置3がドラム軸方向に移動し、一対のビードコア110に挟まれたタイヤ部材100の本体部101の内側には、空気が充填される。これにより、タイヤ部材100の本体部101がドラム半径方向の外側に膨張する。そして、タイヤ部材100の本体部101とはみ出し部102とが固着され、生タイヤのビード部からサイドウォール部が形成される。
【0041】
巻上アーム62の先端部には、ローラー65が設けられているのが望ましい。ローラー65は、巻上アーム62の動作時に回転する。これにより、はみ出し部102が円滑に巻上げられる。
【0042】
はみ出し部102が巻上げられた後、駆動装置7は、ドラム軸方向の外方に移動する。これに伴い、スライド部材61及び巻上アーム62は、
図4に示される初期状態に復帰する。
【0043】
生タイヤ成形装置1への第2巻上装置6の装着は、ベース部材63が成形ドラム2に固着されることによりなされる。巻上アーム62支持しているスライド部材61は、予めベース部材63に固着されている。
【0044】
逆に、生タイヤ成形装置1からの第2巻上装置6の取り外しは、ベース部材63が成形ドラム2から取り外されることによりなされる。これにより、生タイヤ成形装置1に第1巻上装置5が装着可能となる。
【0045】
本生タイヤ成形装置1において、巻上装置4は、ブラダー51を含む第1巻上装置5、又は巻上アーム62を含む第2巻上装置6が、択一的に装着可能に構成されている。これにより、ブラダー巻上機構とメカニカル巻上機構とを1つの成形装置で両立できるようになる。
【0046】
従って、単一の生タイヤ成形装置にて成形できる生タイヤのバリエーションが増加する。そして、多種多様な生タイヤの製造を小さい設備専有面積で実現可能となる。
【0047】
図6は、第2巻上装置6及び駆動装置7を示している。生タイヤ成形装置1は、ラッチ機構8を有している。ラッチ機構8は、駆動装置7のプッシャーリング71とスライド部材61とを接続する。
【0048】
ラッチ機構8は、ドラム軸方向の外方への駆動装置7の駆動力が過大となったとき、スライド部材61と駆動装置7との接続を解く。これにより、駆動装置7がドラム軸方向の外方へ移動する際に、第2巻上装置6が損傷を受ける虞が抑制される。
【0049】
本実施形態のラッチ機構8は、爪部材81を含んでいる。爪部材81は、例えば、駆動装置7のプッシャーリング71に取り付けられている。爪部材81の先端部は、スライド部材61と接触し、駆動装置7のドラム軸方向の内側への駆動力をスライド部材61に伝達する。
【0050】
爪部材81には、マグネット73が設けられるのが望ましい。マグネット73は、スライド部材61のドラム軸方向の外端部に吸着する。これにより、駆動装置7のドラム軸方向の外側への駆動力がスライド部材61に伝達される。駆動装置7のドラム軸方向の外側への駆動力が過大となったとき、マグネット73がスライド部材61から離れる。これにより、第2巻上装置6は、駆動装置7の駆動力から解放される。
【0051】
マグネットは、スライド部材61に設けられていてもよい。この場合、マグネットは、爪部材81の先端部に吸着する。
【0052】
本実施形態のプッシャーリング71は、第1リング75と第2リング76とに分割されるのが望ましい。第1リング75と第2リング76とは、緩衝装置77を介して接続されている。緩衝装置77は、ドラム軸方向の内方への押圧を緩衝する。駆動装置7のドラム軸方向の内側への駆動力が過大となったとき、緩衝装置77によって、第2巻上装置6が保護される。
【0053】
本実施形態の緩衝装置77は、エアシリンダー78を含んでいる。エアシリンダー78の本体部78aは、取り付け部材74を介して第1リング75と接続されている。エアシリンダー78のロッド部78bは、第2リング76と接続されている。
【0054】
エアシリンダー78は、第2リング76に対向するように第2リング76の周上に予め定められた間隔を隔てて複数配されるが望ましい。この場合、各エアシリンダー78の間に、第1リング75に対する第2リング76の移動をガイドするリニアブッシュ(図示せず)が設けられていてもよい。
【0055】
エアシリンダー78は、空気圧によって駆動され、ロッド部78bをドラム軸方向の内側に押圧する。これにより、爪部材81の先端部とスライド部材61との当接状態が維持される。
【0056】
駆動装置7の第1リング75には、センサー91が設けられている。センサー91は、L字状の取り付け具92を介して第1リング75に装着されている。一方、第2リングには、L字状の部材93が装着されている。部材93の先端は、予め定められた距離を隔ててセンサー91に対向する位置に配されている。
【0057】
センサー91は、部材93の近接(すなわち、駆動装置7に対するラッチ機構のドラム軸方向の位置)を検知する。センサー91の出力信号は、制御部に入力される。第2リング76は、エアシリンダー78を介して第1リング75と接続されているため、例えば、第2巻上装置6等に何らかの異常が生じた場合、第1リング75が第2リング76に対してドラム軸方向の内側に移動する。第1リング75が第2リング76に対して過度にドラム軸方向の内側に移動し、センサー91の検知範囲から部材93が外れた旨の信号が制御部に入力されたとき、制御部は駆動装置7を停止させる。これにより、第2巻上装置6が保護される。
【0058】
図7は、
図6とは異なる断面で、第2巻上装置6及び駆動装置7を示している。
【0059】
駆動装置7の第2リング76には、センサー96が設けられている。センサー96は、爪部材81が設けられていない部分に、取り付け具97を介して第2リング76に装着されている。センサー96は、第2リング76の内端部であってスライド部材61のドラム軸方向の外端部に対向する位置に、予め定められた距離を隔てて配されている。
【0060】
センサー96は、スライド部材61の近接を検知する。センサー96の出力信号は、制御部に入力される。センサー96の検知範囲からスライド部材61が外れた旨の信号が制御部に入力されたとき、制御部は駆動装置7を停止させる。これにより、第2巻上装置6が保護される。
【0061】
図2ないし5に示されるように、駆動装置7は、連結部材79を有している。連結部材79は、生タイヤ成形装置1に第1巻上装置5が装着されるとき、プッシャーリング71と、押圧部材52とを連結する。すなわち、押圧部材52は、連結部材79を介して駆動装置7に装着される。
【0062】
生タイヤ成形装置1に第2巻上装置6が装着されるとき、連結部材79から押圧部材52が取り外され、第2巻上装置6の巻上アーム62と押圧部材52の干渉が回避される。
【0063】
図4、5に示されるように、連結部材79のプッシャーリング71への装着は維持される。従って、巻上アーム62は、連結部材79に干渉しないように、設定されている。より具体的には、巻上アーム62の回転軸64がドラム軸方向の内側に配され、巻上アーム62の長さが短く設定されている。
【0064】
以上、本発明の生タイヤ成形装置1が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
【符号の説明】
【0065】
1 生タイヤ成形装置
2 成形ドラム
3 ビードコア保持装置
4 巻上装置
5 第1巻上装置
6 第2巻上装置
7 駆動装置
8 ラッチ機構
51 ブラダー
52 押圧部材
61 スライド部材
62 巻上アーム
73 マグネット
77 緩衝装置
78 エアシリンダー
79 連結部材
91 センサー
96 センサー
100 タイヤ部材
101 はみ出し部
110 ビードコア