(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】クロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造およびキャピラリの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01N 30/74 20060101AFI20240723BHJP
G01N 21/05 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
G01N30/74 E
G01N21/05
(21)【出願番号】P 2020196806
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】藤次 陽平
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0076491(US,A1)
【文献】特開2014-041024(JP,A)
【文献】国際公開第2020/217356(WO,A1)
【文献】特表2018-535420(JP,A)
【文献】特開平08-129003(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0091693(US,A1)
【文献】特開2011-169904(JP,A)
【文献】特許第3657900(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00-30/96
B01J 20/281-20/292
G06Q 20/00
G01N 21/03-21/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料のクロマトグラムの生成に用いられるクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造であって、
一方向に延びるキャピラリと、
前記キャピラリの少なくとも一部が収容されるハウジングと、
前記キャピラリを前記ハウジングに保持するフェルールとを備え、
前記キャピラリは、
水の屈折率よりも低い屈折率を有する材料により形成される内管と、
前記内管の材料よりも高い強度を有する材料により形成され、5mm以下の外径を有する外管とを含み、
前記内管の外周面と前記外管の内周面とは密着し、前記内管の内部に試料を含む移動相が流れる流路が形成される、クロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造。
【請求項2】
前記一方向における前記キャピラリの長さは10mmよりも大きい、請求項1記載のクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造。
【請求項3】
前記一方向における前記キャピラリの長さは30mm以上である、請求項2記載のクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造。
【請求項4】
前記内管は、フッ素樹脂により形成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造。
【請求項5】
前記外管は、ステンレスにより形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造。
【請求項6】
前記外管は、前記キャピラリの全長にわたって一定の外径を有し、
前記キャピラリの全長にわたって前記内管の外周面の全面と前記外管の内周面の全面とは密着している、請求項1~5のいずれか一項に記載のクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造。
【請求項7】
試料のクロマトグラムの生成に用いられるクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリのキャピラリの製造方法であって、
水の屈折率よりも低い屈折率を有する材料により形成されかつ一方向に延びる内管を準備するステップと、
前記内管の材料よりも高い強度を有する材料により形成され、前記一方向に延びかつ前記内管の周囲を取り囲むように配置された外管を準備するステップと、
前記外管にスウェージング加工を行うことにより、前記内管の外周面と前記外管の内周面とを密着させるステップとを含み、
前記内管の内部に試料を含む移動相が流れる流路が形成される、キャピラリの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造およびキャピラリの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試料に含まれる物質を異なる成分ごとに分離する装置として、液体クロマトグラフが知られている。例えば、特許文献1に記載されたHPLC(高性能液体クロマトグラフィ)システムにおいては、溶媒と試料とがカラムに供給される。カラムを通過した試料は、試料成分ごとに分離され、検出器のフローセルの光路に導入される。
【0003】
また、フローセルの光路に沿って光ファイバから光が出射されることにより、光路を流れる試料に光が照射される。試料を通過した光が検出アセンブリにより検出されることにより、検出強度に応じた出力信号が生成される。出力信号に所定の処理が行われることにより、液体クロマトグラムが生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、ベールの法則に従って、フローセルの光路長を長くすることにより検出器の感度を向上させることが可能であることが記載されている。また、近年、液体クロマトグラフの分離性能を向上させるため、フローセルの光路の径は小さくされる傾向にある。しかしながら、特許文献1の検出器では、加工性の問題からフローセルの光路の径を小さくしつつ光路長を十分に長くすることは困難である。そのため、検出器の感度を十分に向上させることができない。
【0006】
本発明の目的は、検出器の感度を向上させることが可能なクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造およびキャピラリの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、試料のクロマトグラムの生成に用いられるクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造であって、一方向に延びるキャピラリと、前記キャピラリの少なくとも一部が収容されるハウジングと、前記キャピラリを前記ハウジングに保持するフェルールとを備え、前記キャピラリは、水の屈折率よりも低い屈折率を有する材料により形成される内管と、前記内管の材料よりも高い強度を有する材料により形成され、5mm以下の外径を有する外管とを含み、前記内管の外周面と前記外管の内周面とは密着し、前記内管の内部に試料を含む移動相が流れる流路が形成される、クロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造に関する。
【0008】
本発明の他の態様は、試料のクロマトグラムの生成に用いられるクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリのキャピラリの製造方法であって、水の屈折率よりも低い屈折率を有する材料により形成されかつ一方向に延びる内管を準備するステップと、前記内管の材料よりも高い強度を有する材料により形成され、前記一方向に延びかつ前記内管の周囲を取り囲むように配置された外管を準備するステップと、前記外管にスウェージング加工を行うことにより、前記内管の外周面と前記外管の内周面とを密着させるステップとを含み、前記内管の内部に試料を含む移動相が流れる流路が形成されるキャピラリの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検出器の感度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリを含むクロマトグラフの構成を示す図である。
【
図3】
図2のフローセルアセンブリの構造を示す模式的部分断面図である。
【
図4】キャピラリの製造工程を示す模式的工程断面図である。
【
図5】キャピラリの製造工程を示す模式的工程断面図である。
【
図6】キャピラリの製造工程を示す模式的工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)クロマトグラフの構成
以下、本発明の実施の形態に係るクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造およびキャピラリの製造方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造を含むクロマトグラフの構成を示す図である。本実施の形態においては、クロマトグラフ100は、液体クロマトグラフである。
【0012】
図1に示すように、クロマトグラフ100は、移動相容器20、移動相供給部30、試料供給部40、分離カラム50、検出器60および処理装置70を備える。移動相容器20は、水溶液または有機溶媒を移動相として貯留する。移動相供給部30は、例えば送液ポンプであり、移動相容器20に貯留された移動相を圧送する。
【0013】
試料供給部40は、例えばインジェクタであり、分析対象の試料を移動相供給部30により供給された移動相とともに分離カラム50に導入する。分離カラム50は、図示しないカラム恒温槽の内部に収容され、所定の一定温度に調整される。分離カラム50は、導入された試料を化学的性質または組成の違いにより成分ごとに分離する。検出器60は、例えば吸光度検出器であり、分離カラム50により分離された試料の成分を検出する。検出器60の詳細については後述する。
【0014】
処理装置70は、CPU(中央演算処理装置)およびメモリ、またはマイクロコンピュータ等を含み、移動相供給部30、試料供給部40、分離カラム50(カラム恒温槽)および検出器60の各々の動作を制御する。また、処理装置70は、検出器60による検出結果に基づいて、例えば各成分の保持時間と検出強度との関係を示すクロマトグラムを生成する。
【0015】
図2は、検出器60の構成を示す模式図である。
図2に示すように、検出器60は、クロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリ10(以下、フローセルアセンブリ10と略記する。)、投光部61、集光レンズ62、分光部63および受光部64を含む。フローセルアセンブリ10は、一方向に延びる流路15を有する。
図1の分離カラム50を通過した試料を含む移動相は、フローセルアセンブリ10の流路15に導入される。フローセルアセンブリ10の詳細については後述する。
【0016】
投光部61は、広帯域の光を出射する光源であり、本例では紫外光を出射する重水素ランプを含む。投光部61は、タングステンランプまたはLED(発光ダイオード)等の他の光源を含んでもよいし、異なる波長の光を出射する複数の光源を含んでもよい。集光レンズ62は、投光部61により出射された光を集光し、フローセルアセンブリ10の一端部から流路15を流れる移動相中の試料に照射する。
【0017】
試料に照射された光は、試料を透過することにより試料と相互作用した後、フローセルアセンブリ10の他端部から分光部63に入射される。分光部63は、例えば反射型の回折格子であり、入射された光を波長ごとに異なる角度で反射するように分光する。受光部64は、例えば複数のフォトダイオードが一次元状に配列されたフォトダイオードアレイである。受光部64は、分光部63により分光された各波長の光を受光し、受光量を示す信号を検出結果として
図1の処理装置70に出力する。
【0018】
(2)フローセルアセンブリの構成
図3は、
図2のフローセルアセンブリ10の構造を示す模式的部分断面図である。
図3に示すように、フローセルアセンブリ10は、キャピラリ11、一対のハウジング12、一対のフェルール13および一対の窓部材14を含む。キャピラリ11は、一方向に延びるように形成される。キャピラリ11の内部に流路15が形成される。以下、キャピラリ11が延びる方向を軸方向と呼ぶ。また、軸方向において移動相が流れる方向を下流と呼ぶ、その反対方向を上流と呼ぶ。軸方向におけるキャピラリ11の長さは、10mmよりも大きくてもよく、例えば30mm以上であってもよいが、30mm未満であってもよい。
【0019】
キャピラリ11は、内管11aおよび外管11bを含む。本例では、内管11aはポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂(具体的にはテフロン(登録商標)AF)により形成される。この場合、内管11aの屈折率を水の屈折率よりも容易に低くすることができる。内管11aは、水の屈折率よりも低い屈折率を有しかつ耐薬品性を有する他の材料により形成されてもよい。内管11aは、軸方向に延び、円筒形状または楕円筒形状を有する。内管11aの内径は、例えば0.1mm以下であるが、例えば0.3mm以下であってもよいし、0.3mmよりも大きくてもよい。内管11aの内部の空間が流路15となる。
【0020】
外管11bは、軸方向に延び、円筒形状または楕円筒形状を有する。内管11aの外周面と、外管11bの内周面とは密着する。本例では、外管11bはステンレスにより形成される。この場合、外管11bの外径を小型化しつつ、内管11aの変形を容易に防止することができる。外管11bは、内管11aよりも高い強度を有しかつ耐薬品性を有する他の材料により形成されてもよい。外管11bの外径は、5mm以下である。
【0021】
以下の説明では、一対のハウジング12を区別する場合は、一方および他方のハウジング12をそれぞれハウジング12A,12Bと呼ぶ。同様に、一対のフェルール13を区別する場合は、一方および他方のフェルール13をそれぞれフェルール13A,13Bと呼ぶ。一対の窓部材14を区別する場合は、一方および他方の窓部材14をそれぞれ窓部材14A,14Bと呼ぶ。
【0022】
各ハウジング12は、例えばステンレス等の耐薬品性を有する金属により形成される。各ハウジング12には、軸方向に貫通する開口部12aが形成される。軸方向におけるキャピラリ11の一端部および他端部は、ハウジング12A,12Bの開口部12a内にそれぞれ挿入される。また、各ハウジング12には、外周面から開口部12aに貫通する孔部12bが形成される。ハウジング12Aの孔部12bは、キャピラリ11の一端部よりも上流に位置する。ハウジング12Bの孔部12bは、キャピラリ11の他端部よりも下流に位置する。
【0023】
各フェルール13は、例えばETFE(Ethylene Tetra Fluoro Ethylene)等の耐薬品性を有する樹脂により形成される。各フェルール13は、円環状を有する。フェルール13Aは、キャピラリ11の一端部を取り囲みつつハウジング12Aの開口部12a内でキャピラリ11の一端部をハウジング12Aに保持する。これにより、キャピラリ11の一端部の外周面とハウジング12Aの内周面との間がシールされる。フェルール13Bは、キャピラリ11の他端部を取り囲みつつハウジング12Bの開口部12a内でキャピラリ11の他端部をハウジング12Bに保持する。これにより、キャピラリ11の他端部の外周面とハウジング12Bの内周面との間がシールされる。
【0024】
各窓部材14は、例えば石英等の耐薬品性を有しかつ透光性を有する材料により形成される。窓部材14Aは、ハウジング12Aの開口部12aの上流端を閉塞するようにハウジング12Aの開口部12a内に設けられる。窓部材14Bは、ハウジング12Bの開口部12aの下流端を閉塞するようにハウジング12Bの開口部12a内に設けられる。
【0025】
分離カラム50(
図1)を通過した試料を含む移動相は、ハウジング12Aの孔部12bからキャピラリ11内の流路15に導入される。移動相は、流路15を下流方向に流れ、流路15から導出された後、ハウジング12Bの孔部12bからハウジング12の外部に排出される。
【0026】
また、投光部61(
図2)から出射された光は、窓部材14Aからキャピラリ11内の流路15に入射する。ここで、キャピラリ11の内管11aの屈折率は、水の屈折率よりも低い。そのため、水、または水の屈折率よりも高い屈折率を有する有機溶媒が移動相として使用される場合には、流路15に入射した光は、内管11aの内壁面で全反射を繰り返しながら流路15を伝搬する。流路15を伝搬した光は、移動相中の試料と相互作用した後、窓部材14Bを通過して受光部64(
図2)により受光される。
【0027】
(3)キャピラリの製造方法
図3のキャピラリ11の製造方法について説明する。
図4、
図5および
図6は、キャピラリ11の製造工程を示す模式的工程断面図である。
図7は、
図6のキャピラリ11のA-A線断面図である。まず、
図4に示すように、内管11aと、内管11aの周囲を取り囲む外管11bとを準備する。
【0028】
次に、
図5に示すように、複数のスウェージングダイス2を有する工具1を用いて外管11bにスウェージング加工を行う。具体的には、
図5に矢印Aで示すように、各スウェージングダイス2を外管11bの周囲で回転させつつ、
図5に矢印Bで示すように、各スウェージングダイス2を外管11bの径方向に振動させることにより外管11bの外周面を繰り返し叩く。この状態で、
図5に矢印Cで示すように、工具1を外管11bの一端部から他端部に向けて移動させる。
【0029】
これにより、
図6に示すように、内管11aと外管11bとからなるキャピラリ11が完成する。この製造方法によれば、外管11bの外径を小型化しつつ、
図7に示すように、内管11aの外周面と外管11bの内周面とを密着させることができる。
【0030】
(4)効果
本実施の形態に係るフローセルアセンブリ10の構造においては、内管11aと外管11bとを含みかつ軸方向に延びるキャピラリ11の両端部がハウジング12A,12Bに収容される。キャピラリ11の両端部は、フェルール13A,13Bによりハウジング12A,12Bに保持される。内管11aは、水の屈折率よりも低い屈折率を有する材料により形成される。外管11bは、内管11aの材料よりも高い強度を有する材料により形成される。内管11aの外周面と外管11bの内周面とは密着する。外管11bの外径は5mm以下であり、内管11aの内部に試料を含む移動相が流れる流路15が形成される。
【0031】
この構成によれば、内管11aの変形を防止しつつ、軸方向においてキャピラリ11の長さを容易に大きくすることができる。そのため、流路15の径が小さい場合でも、流路15を容易に長くすることができる。具体的には、軸方向におけるキャピラリ11の長さは10mmよりも大きくてもよく、30mm以上であってもよい。この場合、流路15が長いため、検出器60の感度を向上させることができる。
【0032】
(5)他の実施の形態
上記実施の形態において、検出器60は吸光度検出器であるが、実施の形態はこれに限定されない。検出器60は他の分光光度計であってもよい。
【0033】
また、上記実施の形態において、ハウジング12はキャピラリ11の一部を収容するが、実施の形態はこれに限定されない。ハウジング12はキャピラリ11の全体を収容してもよい。
【0034】
(6)態様
上記の複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0035】
(第1項)一態様に係るクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造は、
試料のクロマトグラムの生成に用いられるクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造であって、
一方向に延びるキャピラリと、
前記キャピラリの少なくとも一部が収容されるハウジングと、
前記キャピラリを前記ハウジングに保持するフェルールとを備え、
前記キャピラリは、
水の屈折率よりも低い屈折率を有する材料により形成される内管と、
前記内管の材料よりも高い強度を有する材料により形成され、5mm以下の外径を有する外管とを含み、
前記内管の外周面と前記外管の内周面とは密着し、前記内管の内部に試料を含む移動相が流れる流路が形成されてもよい。
【0036】
このクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造においては、内管の変形を防止しつつ、一方向においてキャピラリの長さを容易に大きくすることができる。そのため、流路の径が小さい場合でも、流路を容易に長くすることができる。これにより、クロマトグラフィ検出器の感度を向上させることができる。
【0037】
(第2項)第1項に記載のクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造において、
前記一方向における前記キャピラリの長さは10mmよりも大きくてもよい。
【0038】
この場合、流路が長いため、クロマトグラフィ検出器の感度が向上する。
【0039】
(第3項)第2項に記載のクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造において、
前記一方向における前記キャピラリの長さは30mm以上であってもよい。
【0040】
この場合、流路が十分に長いため、クロマトグラフィ検出器の感度が十分に向上する。
【0041】
(第4項)第1項~第3項のいずれか一項に記載のクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造において、
前記内管は、フッ素樹脂により形成されてもよい。
【0042】
この場合、内管の屈折率を水の屈折率よりも容易に低くすることができる。
【0043】
(第5項)第1項~第4項のいずれか一項に記載のクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリの構造において、
前記外管は、ステンレスにより形成されてもよい。
【0044】
この場合、外管の外径を小型化しつつ、内管の変形を容易に防止することができる。
【0045】
(第6項)他の態様に係るキャピラリの製造方法は、
試料のクロマトグラムの生成に用いられるクロマトグラフィ検出器用フローセルアセンブリのキャピラリの製造方法であって、
水の屈折率よりも低い屈折率を有する材料により形成されかつ一方向に延びる内管を準備するステップと、
前記内管の材料よりも高い強度を有する材料により形成され、前記一方向に延びかつ前記内管の周囲を取り囲むように配置された外管を準備するステップと、
前記外管にスウェージング加工を行うことにより、前記内管の外周面と前記外管の内周面とを密着させるステップとを含み、
前記内管の内部に試料を含む移動相が流れる流路が形成されてもよい。
【0046】
このキャピラリの製造方法によれば、内管の変形を防止しつつ、一方向においてキャピラリの長さを容易に大きくすることができる。そのため、流路の径が小さい場合でも、流路を容易に長くすることができる。これにより、クロマトグラフィ検出器の感度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0047】
1…工具,2…スウェージングダイス,10…フローセルアセンブリ,11…キャピラリ,11a…内管,11b…外管,12,12A,12B…ハウジング,12a…開口部,12b…孔部,13,13A,13B…フェルール,14,14A,14B…窓部材,15…流路,20…移動相容器,30…移動相供給部,40…試料供給部,50…分離カラム,60…検出器,61…投光部,62…集光レンズ,63…分光部,64…受光部,70…処理装置,100…クロマトグラフ