(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】検査装置、画像形成装置、及び検査プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/30 20170101AFI20240723BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
G06T7/30
G01N21/88 J
(21)【出願番号】P 2020198467
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 里奈
(72)【発明者】
【氏名】浜 大悟
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-186562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/88
G06T 7/30- 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
正解画像及び検査対象の対象画像の各々の画像情報を取得し、
取得した前記画像情報を用いて前記正解画像及び前記対象画像の各々の画像をブロックに分割してブロック毎に位置合わせを行い、
位置合わせの移動量を含めた領域をブロックとして、前記正解画像と前記対象画像とをブロック毎に照合して欠陥を検出する処理を行う検査装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、ブロック毎に位置合わせを行う前に、画像全体の位置合わせを更に行う請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記正解画像及び前記対象画像の各々のエッジ情報を更に抽出し、抽出した前記正解画像及び前記対象画像の各々のエッジ情報を照合することにより欠陥を検出する処理を行う請求項1又は請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記エッジ情報を用いて欠陥を検出するための閾値を変更し、欠陥を検出する処理を行う請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記正解画像のオブジェクト情報を更に用いて前記閾値を変更する請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記正解画像及び前記対象画像の各々の画像をブロックに分割してブロック毎に位置合わせを行って位置合わせの移動量を含めた領域をブロックとして設定する処理と、前記エッジ情報を抽出する処理とを並列に行う請求項3~5の何れか1項に記載の検査装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記正解画像のオブジェクト情報を用いて前記エッジ情報を抽出する際の抽出閾値を変更して前記エッジ情報を抽出する請求項3~6の何れか1項に記載の検査装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、オブジェクトの種類毎に予め定めた値の前記抽出閾値に変更する請求項7に記載の検査装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の検査装置と、
予め生成した前記正解画像の画像情報を用いて記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成された前記記録媒体を読み取って前記対象画像の画像情報を生成する読取部と、
を含む画像形成装置。
【請求項10】
コンピュータに、
正解画像及び検査対象の対象画像の各々の画像情報を取得し、
取得した前記画像情報を用いて前記正解画像及び前記対象画像の各々の画像をブロックに分割してブロック毎に位置合わせを行い、
位置合わせの移動量を含めた領域をブロックとして、前記正解画像と前記対象画像とをブロック毎に照合して欠陥を検出する処理を実行させるための検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置、画像形成装置、及び検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置によって紙面上に画像形成出力された画像を読み取った読み取り画像である検査対象画像を元のマスター画像と照合することで検査を行う画像検査装置が提案されている。詳細には、画像全体を複数のブロックに分割して、画像周辺部の複数の領域で第1の位置合わせを行い、その結果に基づいて検査対象画像の各ブロック位置ずれ量を算出し、そのずれ量に応じてずらした検査対象画像のブロックと、マスター画像のブロック同士とをさらに微小にずらしながら位置合わせを行い、比較照合する検査比較手段を備えている。そして、検査比較手段は、画像の中で所定のブロックを選択し、選択したブロックの位置ずれ量を再計算することにより第2の位置合わせを行い、その結果に基づいて検査対象画像の各ブロックの位置ずれ量を補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブロック毎に正解画像と検査対象の対象画像とを照合する際に、対象画像のブロックを移動して正解画像に合わせて照合すると、取り残されるブロックにある画像が原因で、欠陥の検査精度が低下する場合があった。そこで、本発明は、ブロック毎に正解画像と対象画像とを照合する際に、対象画像のブロックを移動して単に正解画像に合わせて照合する場合に比べて、欠陥の検査精度の低下を抑制可能な検査装置、画像形成装置、及び検査プログラムを提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1態様に係る検査装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、正解画像及び検査対象の対象画像の各々の画像情報を取得し、取得した前記画像情報を用いて前記正解画像及び前記対象画像の各々の画像をブロックに分割してブロック毎に位置合わせを行い、位置合わせの移動量を含めた領域をブロックとして、前記正解画像と前記対象画像とをブロック毎に照合して欠陥を検出する処理を行う。
【0006】
また、第2態様に係る検査装置は、第1態様に係る検査装置において、前記プロセッサは、ブロック毎に位置合わせを行う前に、画像全体の位置合わせを更に行う。
【0007】
また、第3態様に係る検査装置は、第1態様又は第2態様に係る検査装置において、前記プロセッサは、前記正解画像及び前記対象画像の各々のエッジ情報を更に抽出し、抽出した前記正解画像及び前記対象画像の各々のエッジ情報を照合することにより欠陥を検出する処理を行う。
【0008】
また、第4態様に係る検査装置は、第3態様に係る検査装置において、前記プロセッサは、前記エッジ情報を用いて欠陥を検出するための閾値を変更し、欠陥を検出する処理を行う。
【0009】
また、第5態様に係る検査装置は、第4態様に係る検査装置において、前記プロセッサは、前記正解画像のオブジェクト情報を更に用いて前記閾値を変更する。
【0010】
また、第6態様に係る検査装置は、第3態様~第5態様の何れか1の態様に係る検査装置において、前記プロセッサは、前記正解画像及び前記対象画像の各々の画像をブロックに分割してブロック毎に位置合わせを行って位置合わせの移動量を含めた領域をブロックとして設定する処理と、前記エッジ情報を抽出する処理とを並列に行う。
【0011】
また、第7態様に係る検査装置は、第3態様~第6態様の何れか1の態様に係る検査装置において、前記プロセッサは、前記正解画像のオブジェクト情報を用いて前記エッジ情報を抽出する際の抽出閾値を変更して前記エッジ情報を抽出する。
【0012】
また、第8態様に係る検査装置は、第7態様に係る検査装置において、前記プロセッサは、オブジェクトの種類毎に予め定めた値の前記抽出閾値に変更する。
【0013】
また、第9態様に係る画像形成装置は、第1態様~第8態様の何れか1の態様に係る検査装置と、予め生成した前記正解画像の画像情報を用いて記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部によって画像が形成された前記記録媒体を読み取って前記対象画像の画像情報を生成する読取部と、を含む。
【0014】
また、第10態様に係る検査プログラムは、 コンピュータに、正解画像及び検査対象の対象画像の各々の画像情報を取得し、取得した前記画像情報を用いて前記正解画像及び前記対象画像の各々の画像をブロックに分割してブロック毎に位置合わせを行い、位置合わせの移動量を含めた領域をブロックとして、前記正解画像と前記対象画像とをブロック毎に照合して欠陥を検出する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
第1態様によれば、ブロック毎に正解画像と対象画像とを照合する際に、対象画像のブロックを移動して単に正解画像に合わせて照合する場合に比べて、欠陥の検査精度の低下を抑制可能な検査装置を提供できる。
【0016】
第2態様によれば、ブロック毎の位置合わせのみを行う場合よりも、ブロック毎の位置合わせ量を小さくすることが可能となる。
【0017】
第3態様によれば、正解画像と対象画像を単に照合して欠陥を検出するよりも、欠陥を検出する処理負荷を軽減することが可能となる。
【0018】
第4態様によれば、エッジ部分と他の部分の欠陥の検出閾値が同一の場合に比べて、エッジ部分の欠陥の誤検出が低減可能となる。
【0019】
第5態様によれば、エッジ情報のみを用いて閾値を変更する場合よりも欠陥の検出精度を向上することが可能となる。
【0020】
第6態様によれば、正解画像及び対象画像の各々の画像をブロックに分割してブロック毎に位置合わせを行って位置合わせの移動量を含めた領域をブロックとして設定する処理と、エッジ情報を抽出する処理を順番に行う場合に比べて、処理時間を短縮することが可能となる。
【0021】
第7態様によれば、正解画像のオブジェクトに合わせたエッジ情報の抽出が可能となる。
【0022】
第8態様によれば、オブジェクトの種類に適したエッジ情報の抽出閾値に変更することが可能となる。
【0023】
第9態様によれば、ブロック毎に正解画像と対象画像とを照合する際に、対象画像のブロックを移動して単に正解画像に合わせて照合する場合に比べて、欠陥の検査精度の低下を抑制可能な画像形成装置を提供できる。
【0024】
第10態様によれば、ブロック毎に正解画像と対象画像とを照合する際に、対象画像のブロックを移動して単に正解画像に合わせて照合する場合に比べて、欠陥の検査精度の低下を抑制可能な検査プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施形態に係る検査装置の概略構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る検査装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】正解画像と対象画像を単にブロック分割して照合する従来技術において、ごみの検出が見逃されてしまう例を説明するための図である。
【
図4】第1実施形態に係る検査装置において、位置合わせの移動量の3画素を含む領域をブロックとして設定することにより、取り残される領域がなくなる例を説明するための図である。
【
図5】2方向にずれている場合に、2方向の対象画像の移動量を含むブロックとして、ブロックを再設定する例を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る検査装置で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態に係る検査装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】正解画像に対して対象画像のブロックが-3画素ずれている場合に、右端のブロックから3画素分の領域が取り残され、この取り残された領域に、エッジ画像の枠端部などの画像があると、枠端部の画像が消滅してしまう例を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る検査装置で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】第2実施形態に係る検査装置の変形例の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図11】印刷装置及び読取装置の機能を備えた画像形成装置に本実施形態に係る検査装置を含む場合の画像形成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る検査装置の概略構成を示す図である。
【0027】
本実施形態に係る検査装置10は、正解画像と検査対象の画像とを比較して画像の欠陥を検査する処理を行う。なお、以降の説明では、検査対象の画像は対象画像と称する。
【0028】
本実施形態における画像の欠陥の一例としては、対象画像の正解画像に対する画像の抜けや、ゴミなどによる画像の付与、画像のゆがみ等がある。また、正解画像は、本実施形態では、画像形成の基となるデジタルの画像情報(例えば、PDL(page description language)ファイルをラスターイメージに変換/生成したもの)を正解画像とし、検査の対象画像は、正解画像の画像情報に基づく画像形成を行って用紙等の記録媒体を読み取ることによって得られる画像情報とする検査を行う検査装置10を一例として説明する。なお、対象画像の欠陥のうち、正解画像にない画像が対象画像にある欠陥を付与と称し、正解画像にあって対象画像にない画像の欠陥を抜けと称する。
【0029】
検査装置10は、プロセッサの一例としてのCPU(Central Processing Unit)10A、ROM(Read Only Memory)10B、RAM(Random Access Memory)10C、ストレージ10D、操作部10E、表示部10F、及び通信回線I/F(インタフェース)部10Gを備えている。CPU10Aは、検査装置10の全体の動作を司る。ROM10Bは、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。RAM10Cは、CPU10Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。ストレージ10Dは、各種のデータやアプリケーション・プログラム等が記憶される。操作部10Eは各種の情報を入力するために用いられる。表示部10Fは、各種の情報を表示するために用いられる。通信回線I/F部10Gは、外部の機器に接続可能とされ、外部の機器と各種データの送受信を行う。以上の検査装置10の各部はシステムバス10Hにより電気的に相互に接続されている。なお、本実施の形態に係る検査装置10では、ストレージ10Dを記憶部として適用しているが、これに限らず、ハードディスクやフラッシュメモリ等の他の不揮発性の記憶部を適用してもよい。
【0030】
以上の構成により、本実施の形態に係る検査装置10は、CPU10Aにより、ROM10B、RAM10C、及びストレージ10Dに対するアクセス、操作部10Eを介した各種データの取得、表示部10Fに対する各種情報の表示を各々実行する。また、検査装置10は、CPU10Aにより、通信回線I/F部10Gを介した各種データの送受信の制御を実行する。
【0031】
(第1実施形態)
ここで、第1実施形態に係る検査装置10のCPU10AがROM10Bに記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能構成について説明する。
図2は、第1実施形態に係る検査装置10の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0032】
検査装置10は、
図2に示すように、正解画像取得部12、対象画像取得部14、ブロック分割部16、位置合わせ部18、ブロック設定部20、及びブロック照合部22の機能を有する。
【0033】
正解画像取得部12は、対象画像に対する基準となる正解画像を取得する。正解画像は、本実施形態では、予め生成した正解画像の画像情報を取得する。
【0034】
対象画像取得部14は、検査の対象となる対象画像を取得する。対象画像は、予め生成した正解画像の画像情報に基づいて、画像形成した用紙等の記録媒体を読み取ることによって得られる対象画像を表す画像情報を取得する。なお、以降の説明では、正解画像を表す画像情報を正解画像、対象画像を表す画像情報を対象画像と省略して称する場合がある。
【0035】
ブロック分割部16は、正解画像及び対象画像の各々の画像を予め定めた大きさのブロックに分割する処理を行う。
【0036】
位置合わせ部18は、ブロック分割部16によって分割されたブロック毎に、正解画像と対象画像の位置合わせを行う。
【0037】
ブロック設定部20は、位置合わせ部18の位置合わせ結果に基づいて、位置合わせの移動量を含めた領域をブロックとして再設定する。
【0038】
ブロック照合部22は、ブロック設定部20によって設定されたブロック毎に、正解画像と対象画像を照合して欠陥を検出する処理を行う。
【0039】
ところで、従来技術のように、正解画像と対象画像を単にブロック分割して照合した場合、対象画像の位置ずれ分を移動して正解画像と照合するため、残されたブロックにごみなどがあると、ごみの検出が見逃されてしまう。例えば、
図3の1段目に示す正解画像及び対象画像が、
図3の2、3段目に示すように、正解画像に対して対象画像のブロックが-3画素(
図3の左側方向に3画素)ずれている場合、
図3の左側から順にブロック毎に位置合わせを行って照合していくと、
図3の3段目に示すように、右端のブロックから3画素分の領域が取り残される。この取り残された領域にごみなどの画像があると、
図3の4、5段目に示すように、欠陥の見逃しが発生してしまう。
【0040】
そこで、本実施形態では、ブロック設定部20が、位置合わせ部18の各ブロックの位置合わせ結果に基づいて、位置合わせの移動量の3画素を含む領域をブロックとして設定することにより、取り残される領域をなくしている。例えば、
図4の1段目に示す正解画像及び対象画像が、上記同様、
図4の2段目に示すように、左方向に3画素ずれている場合、
図4の3、4段目に示すように、移動量に相当する3画素を含むブロックとして、ブロック設定部20がブロックの再設定を行って正解画像と対象画像の照合を行う。これにより、
図4の5段目に示すように、取り残される領域がなくなり、右端のブロックにごみ等の欠陥が含まれた状態で正解画像と対象画像の照合が行われ、画像の欠陥が検出される。
【0041】
また、位置合わせは、一方向に限るものではなく、平面の2方向に対して行われてもよい。そのため、
図5の1段目に示す正解画像及び対象画像が、
図5の2段目に示すように、
図5の左右方向に加えて上下方向にずれている場合には、ブロック設定部20が、
図5の3、4段目に示すように、上下方向の対象画像の移動量を含むブロックとして、ブロックを再設定することにより、上記と同様に、
図5の5段目に示すように、取り残される領域がなくなり、欠陥の見落としが防止される。
【0042】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る検査装置10で行われる具体的な処理について説明する。
図6は、本実施形態に係る検査装置10で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図6の処理は、例えば、操作部10E等の操作により、検査開始が指示された場合に開始する。
【0043】
ステップ100では、CPU10Aが、正解画像を取得してステップ102へ移行する。すなわち、正解画像取得部12が、予め生成した正解画像の画像情報を取得する。
【0044】
ステップ102では、CPU10Aが、対象画像を取得してステップ104へ移行する。すなわち、対象画像取得部14が、予め生成した正解画像の画像情報に基づいて画像形成した用紙等の記録媒体を読み取ることによって得られる対象画像を表す画像情報を取得する。なお、ステップ100とステップ102は逆の順序でもよい。
【0045】
ステップ104では、CPU10Aが、正解画像及び対象画像をブロック分割してステップ106へ移行する。すなわち、ブロック分割部16が、正解画像及び対象画像の各々の画像を予め定めた大きさのブロックに分割する処理を行う。
【0046】
ステップ106では、CPU10Aが、正解画像と対象画像のブロックの位置合わせを行ってステップ108へ移行する。すなわち、位置合わせ部18が、ブロック分割部16によって分割されたブロック毎に正解画像と対象画像の位置合わせを行う。
【0047】
ステップ108では、CPU10Aが、位置合わせによるブロックの移動量を含む領域をブロックとして設定してステップ110へ移行する。すなわち、ブロック設定部20が、位置合わせ部18の位置合わせ結果に基づいて、位置合わせの移動量を含めた領域をブロックとして再設定する。
【0048】
ステップ110では、CPU10Aが、正解画像及び対象画像の各々対応する1ブロックに注目してステップ112へ移行する。
【0049】
ステップ112では、CPU10Aが、正解画像のブロックと対象画像のブロックを照合してステップ114へ移行する。すなわち、ブロック照合部22が、ブロック設定部20によって設定されたブロック毎に、正解画像と対象画像を照合して欠陥を検出する処理を行う。
【0050】
ステップ114では、CPU10Aが、正解画像及び対象画像の全ブロックの照合が終了したか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ110に戻って、次のブロックに対して上述の処理を繰り返し、判定が肯定された場合にはステップ116へ移行する。
【0051】
ステップ116では、CPU10Aが、欠陥の検出結果を出力して一連の検査装置10の処理を終了する。
【0052】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に係る検査装置10のCPU10AがROM10Bに記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能構成について説明する。
図7は、第2実施形態に係る検査装置10の機能構成を示す機能ブロック図である。なお、第2実施形態に係る検査装置の概略構成は、
図1の上記実施形態と同様のため、詳細な説明を省略する。また、
図2と共通の構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0053】
本実施形態に係る検査装置10は、
図7に示すように、第1実施形態に対して、エッジ抽出部21の機能を有する。
【0054】
エッジ抽出部21は、正解画像及び対象画像の各々の画像情報に基づいて、正解画像及び対象画像の各々のエッジを抽出する処理を行ってエッジ情報を生成する。なお、正解画像及び対象画像の各々のエッジを抽出する際に、オブジェクト情報を用いてエッジを抽出する際の抽出閾値を変更してもよい。例えば、オブジェクトの種類毎に予め定めた値の抽出閾値に変更する。具体的には、オブジェクト情報がテキスト及びグラフィックの場合はエッジの抽出閾値を、イメージに比べて高めの閾値に設定し、イメージの場合はテキスト及びグラフィックよりも低めの閾値に設定する。これにより、オブジェクトの特性に合わせたエッジ抽出が行われる。
【0055】
ブロック照合部22は、本実施形態では、エッジ抽出された画像に対して正解画像及び対象画像の照合を行ことにより、欠陥を検出する処理を行う。
【0056】
なお、エッジ抽出部21によるエッジ抽出は、位置合わせ部18によるブロック毎の位置合わせ前でもよいし、ブロック設定部20によるブロックの再設定前でもよい。
【0057】
また、ブロック照合部22において、エッジ抽出された画像に対して正解画像及び対象画像の照合を行う際に、エッジ情報を用いて欠陥を検出する閾値を変更してもよい。例えば、エッジの度合いに応じて閾値を変更してもよい。或いは、エッジの有無によって異なる閾値で欠陥を検出してもよい。また、欠陥を検出する閾値の変更は、オブジェクト情報を更に用いて変更してもよい。例えば、テキスト、グラフィック、イメージなどのオブジェクトの種類毎に予め定めた閾値を設定してもよい。具体的には、テキスト、グラフィックは、イメージに比べてエッジ部で欠陥の誤検出が発生しやすいので、イメージに比べて閾値を高くして欠陥を検出し難くしてもよい。
【0058】
本実施形態のようにエッジ抽出を行う場合、従来技術のように、正解画像と対象画像を単にブロック分割して照合した場合、対象画像の位置ずれ分を移動して正解画像と照合するため、残されたブロックにエッジ画像の枠端部等があると、エッジ画像の枠端部の画像が消滅してしまう。例えば、
図8に示すように、正解画像に対して対象画像のブロックが-3画素(
図8の左側方向に3画素)ずれている場合、
図8の左側から順にブロック毎に位置合わせを行って照合していくと、右端のブロックから3画素分の領域が取り残される。この取り残された領域に、エッジ画像の枠端部などの画像があると、枠端部の画像が消滅してしまう。
【0059】
そこで、第1実施形態と同様に、ブロック設定部20が、位置合わせ部18の各ブロックの位置合わせ結果に基づいて、位置合わせの移動量の3画素を含む領域をブロックとして設定して照合することにより、取り残される領域をなくし、画像の消滅を防止する。
【0060】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る検査装置10で行われる具体的な処理について説明する。
図9は、本実施形態に係る検査装置10で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図9の処理は、例えば、操作部10E等の操作により、検査開始が指示された場合に開始する。また、
図6と同一処理については、同一符号を付して説明する。
【0061】
ステップ100では、CPU10Aが、正解画像を取得してステップ102へ移行する。すなわち、正解画像取得部12が、予め生成した正解画像の画像情報を取得する。
【0062】
ステップ102では、CPU10Aが、対象画像を取得してステップ104へ移行する。すなわち、対象画像取得部14が、予め生成した正解画像の画像情報に基づいて画像形成した用紙等の記録媒体を読み取ることによって得られる対象画像を表す画像情報を取得する。なお、ステップ100とステップ102は逆の順序でもよい。
【0063】
ステップ104では、CPU10Aが、正解画像及び対象画像をブロック分割してステップ106へ移行する。すなわち、ブロック分割部16が、正解画像及び対象画像の各々の画像を予め定めた大きさのブロックに分割する処理を行う。
【0064】
ステップ106では、CPU10Aが、正解画像と対象画像のブロックの位置合わせを行ってステップ108へ移行する。すなわち、位置合わせ部18が、ブロック分割部16によって分割されたブロック毎に正解画像と対象画像の位置合わせを行う。
【0065】
ステップ108では、CPU10Aが、位置合わせによるブロックの移動量を含む領域をブロックとして設定してステップ109へ移行する。すなわち、ブロック設定部20が、位置合わせ部18の位置合わせ結果に基づいて、位置合わせの移動量を含めた領域をブロックとして再設定する。
【0066】
ステップ109では、CPU10Aが、正解画像及び対象画像の各々のエッジ抽出処理を行ってステップ110へ移行する。
【0067】
ステップ110では、CPU10Aが、正解画像及び対象画像の各々対応する1ブロックに注目してステップ112へ移行する。
【0068】
ステップ112では、CPU10Aが、正解画像のブロックと対象画像のブロックを照合してステップ114へ移行する。すなわち、ブロック照合部22が、ブロック設定部20によって設定されたブロック毎に、正解画像と対象画像を照合して欠陥を検出する処理を行う。本実施形態では、エッジ抽出された正解画像のブロックとエッジ抽出された対象画像のブロックの照合が行われることによって画像の欠陥が検出される。
【0069】
ステップ114では、CPU10Aが、正解画像及び対象画像の全ブロックの照合が終了したか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ110に戻って、次のブロックに対して上述の処理を繰り返し、判定が肯定された場合にはステップ116へ移行する。
【0070】
ステップ116では、CPU10Aが、欠陥の検出結果を出力して一連の検査装置10の処理を終了する。
【0071】
なお、第2実施形態において、CPUが複数のプロセッサコアを有する場合、エッジ抽出部21によるエッジ抽出処理は、
図10に示すように、位置合わせ部18及びブロック設定部20の各々の処理と並列処理としてもよい。なお、
図10は、第2実施形態に係る検査装置10の変形例の機能構成を示す機能ブロック図である。
図10において、
図2と共通の構成については同一符号を付している。
【0072】
図10に示すように、エッジ抽出部21によるエッジ抽出処理と、位置合わせ部18及びブロック設定部20の各々の処理とを並列で行うことで、処理時間が短縮される。
【0073】
また、上記の各実施形態に係る検査装置10は、印刷装置及び読取装置の機能を備えた画像形成装置に含む形態としてもよい。或いは、印刷装置または読取装置の機能を備えた画像形成装置に検査装置10を含む形態としてもよい。
【0074】
ここで、印刷装置及び読取装置の機能を備えた画像形成装置50に検査装置10を含む場合の画像形成装置の構成について説明する。
図11は、印刷装置及び読取装置の機能を備えた画像形成装置50に本実施形態に係る検査装置10を含む場合の画像形成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0075】
図11に示すように、画像形成装置50は、表示操作部52、制御部54、画像生成部56、形成部58、及び排出部60を含んでいる。
【0076】
表示操作部52は、液晶等の表示部と、画像形成に関する各種設定を行うための操作部と、を含んでいる。例えば、表示操作部52を操作することにより、画像形成の各種条件や画像形成する記録媒体の種類等の各種設定が行われる。
【0077】
制御部54は、画像形成装置50の各部を統括的に制御し、表示操作部52に設定された内容に従って画像形成装置50の各部を制御する。制御部54は、例えば、CPU、ROM、RAM、及び入出力部を備えたマイクロコンピュータで構成されている。ROMには画像形成するための動作を制御するためのプログラムが予め記憶され、該プログラムをRAMに展開してCPUが実行することによって画像形成装置50の各部の動作が制御される。
【0078】
画像生成部56は、原稿画像を読み取ることにより原稿画像を表す画像情報を生成する。或いは、外部のコンピュータから送信される画像情報を取得することにより、画像形成すべき原稿画像の画像情報を生成する。そして、画像生成部56により生成された画像情報を正解画像として検査装置10が取得する。
【0079】
形成部58は、給紙部62、搬送部64、画像処理部66、画像形成部68、定着部70、及び読取部としての画像読取部72を備えている。
【0080】
給紙部62は、記録媒体としての記録紙が収容され、記録紙を搬送部64に供給する。給紙部62には、例えば、ロール状に巻き取られた記録紙が収容され、記録紙が引き出されて搬送部に供給される。或いは、給紙部62は、異なる大きさや種類の用紙を収容するための複数の収容部を備え、主要部から用紙が引き出されて搬送部に供給される。この場合は、表示操作部52等で設定された用紙を各収容部から搬送部64へ供給する。また、外部から画像情報を取得する場合には、外部より指定された種類の用紙を各収容部から搬送部64へ供給する。
【0081】
搬送部64は、記録紙または用紙に画像を形成する位置へ給紙部62より供給された記録紙または用紙を搬送し、画像形成された記録紙または用紙を排出部60へ搬送する。
【0082】
画像処理部66は、画像生成部56によって生成、または画像生成部56が外部から受信した画像情報を受信して、画像形成部68が処理するための画像処理を行って、画像処理後の画像情報を画像形成部68へ出力する。
【0083】
画像形成部68は、画像処理部66から画像情報を受け取って、画像情報が表す画像を記録紙または用紙に形成する。例えば、画像形成部68は、電子写真方式を採用して画像を記録紙または用紙に転写するようにしてもよいし、インクジェット方式等を採用してインクを記録紙または用紙に吐出して画像を形成するようにしてもよい。
【0084】
定着部70は、画像を記録紙に定着させるための処理を行う。定着させるための処理としては、画像が形成された記録紙または用紙を加圧及び加熱の少なくとも一方の処理を施すことにより、画像を記録紙または用紙に定着させる。
【0085】
画像読取部72は、画像が形成された記録紙または用紙を読み取って、各種補正(例えば、位置ずれ補正、色補正等)を行うための画像情報を取得する。また、画像読取部72が読み取ることによって得られる画像情報を検査装置10が取得する。
【0086】
また、排出部60は、画像形成された記録紙をロール状に巻き取って収容する。或いは、画像形成された用紙を排出する。
【0087】
なお、上記の実施形態では、ブロック分割部16によって分割されたブロック毎に正解画像と対象画像の位置合わせを行う例を説明したが、これに限るものではない。例えば、アフィン変換等を行うことにより、正解画像と対象画像の全体の位置合わせを行った後に、ブロック毎の位置合わせを行ってもよい。
【0088】
また、上記の実施形態では、画像形成の基となるデジタルの画像情報を正解画像とし、検査の対象画像は、正解画像の画像情報に基づく画像形成を行って用紙等の記録媒体を読み取ることによって得られる画像情報とすることを一例として説明したが、デジタルの正解画像の代わりに、予め定めた基準の正解画像を読み取った画像情報を正解画像としたAA(アナログ-アナログ)検査を行う検査装置に適用してもよい。
【0089】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば CPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0090】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0091】
また、上記の各実施形態に係る検査装置10で行われる処理は、ソフトウエアで行われる処理としてもよいし、ハードウエアで行われる処理としてもよいし、双方を組み合わせた処理としてもよい。また、検査装置10の各部で行われる処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0092】
また、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0093】
10 検査装置
10A CPU
12 正解画像取得部
14 対象画像取得部
16 ブロック分割部
18 位置合わせ部
20 ブロック設定部
21 エッジ抽出部
22 ブロック照合部