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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ダクテッドファン
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/58 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
F04D29/58 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020571864
(86)(22)【出願日】2020-08-19
(86)【国際出願番号】 JP2020031234
(87)【国際公開番号】W WO2021033707
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2019150849
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 大介
(72)【発明者】
【氏名】牧野 祐輔
【審査官】森 秀太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-109726(JP,A)
【文献】特開2014-117060(JP,A)
【文献】実開昭51-007709(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のハウジングと、前記ハウジングに収容されるリングモータと、前記リングモータの内周面から径方向内側へ延びる複数のファンブレードと、を備え、
前記ハウジングは、
前記リングモータの軸方向一方側を覆う第1ハウジングと、
前記リングモータの軸方向他方側を覆う第2ハウジングと、
を有し、
前記第2ハウジングは、前記リングモータよりも軸方向他方側の部位に、前記第2ハウジングを貫通する貫通孔を有し、
前記ハウジングは、前記第1ハウジングの外周部に位置する第1壁部と、前記第2ハウジングの外周部に位置する第2壁部とを含む外周壁を有し、
前記外周壁は、前記第1壁部と前記第2壁部との隙間からなる開口部を有し、
前記リングモータは、円環状のロータと円環状のステータとを有し、
前記ステータは、周方向に沿って配置される複数のコイルと、前記複数のコイルが装着されるステータコアとを有し、
前記ロータは、前記ステータコアと径方向に対向するロータマグネットと、前記ステータコアの径方向外側に位置し前記ロータマグネットを保持する外側円筒壁と、前記ステータコアの径方向内側に位置する内側円筒壁と、前記ステータコアの軸方向一方側に位置し、前記外側円筒壁と前記内側円筒壁とを径方向に連結する複数の連結部と、を有し、
前記複数の連結部は、軸方向に対して傾斜する翼形状を有する、ダクテッドファン。
【請求項2】
前記第1壁部と前記第2壁部は、前記開口部において径方向に対向する、
請求項1に記載のダクテッドファン。
【請求項3】
前記第1壁部は、前記第2壁部よりも径方向外側に位置する、
請求項2に記載のダクテッドファン。
【請求項4】
前記第1ハウジングは、前記第2ハウジングの軸方向一方側の端部を、軸方向一方側および径方向外側から覆う、
請求項3に記載のダクテッドファン。
【請求項5】
前記第2ハウジングは、前記リングモータよりも軸方向他方側に位置する前記第2ハウジングの内部空間を周方向に区画する複数の区画壁を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のダクテッドファン。
【請求項6】
前記リングモータは、円環状のステータを有し、
前記ステータは、ステータコアと、前記ステータコアを軸方向に貫通する流体流路とを有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のダクテッドファン。
【請求項7】
前記ハウジングの前記外周壁において、前記第1壁部と前記第2壁部とは、周方向に沿って並ぶ複数の連結部材を介して連結される、
請求項1からのいずれか1項に記載のダクテッドファン。
【請求項8】
前記連結部材は、前記第2壁部の外周面から径方向外側に突出し、軸方向に沿って延び
るリブである、
請求項に記載のダクテッドファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクテッドファンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば日本国公開公報特開2017-109726号公報に開示されるように、リングモータにより駆動されるプロペラを備えるダクテッドファンが知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国公開公報:特開2017-109726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リングモータは、ダクトを構成する環状のケーシングに収容される。高出力のダクテッドファンでは、リングモータの発熱量が多くなるため、リングモータの冷却が課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様によれば、円筒状のハウジングと、前記ハウジングに収容されるリングモータと、前記リングモータの内周面から径方向内側へ延びる複数のファンブレードと、を備えるダクテッドファンが提供される。前記ハウジングは、前記リングモータの軸方向一方側を覆う第1ハウジングと、前記リングモータの軸方向他方側を覆う第2ハウジングと、を有する。前記第2ハウジングは、前記リングモータよりも軸方向他方側の部位に、前記第2ハウジングを貫通する貫通孔を有する。前記ハウジングは、前記第1ハウジングの外周部に位置する第1壁部と、前記第2ハウジングの外周部に位置する第2壁部とを含む外周壁を有する。前記外周壁は、前記第1壁部と前記第2壁部との隙間からなる開口部を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の1つの態様によれば、冷却性能に優れるダクテッドファンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態のダクテッドファンを上側から見た斜視図。
図2図2は、実施形態のダクテッドファンを下側から見た斜視図。
図3図3は、実施形態のダクテッドファンの断面図。
図4図4は、実施形態のリングモータの断面図。
図5図5は、ステータの部分平面図。
図6図6は、実施形態のダクテッドファンの部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下で参照する各図面に示すZ軸方向は、正の側を「上側」とし、負の側を「下側」とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸Jは、Z軸方向と平行であり、上下方向に延びる仮想線である。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向、すなわち上下方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0009】
以下の実施形態において上側は、軸方向一方側に相当し、下側は、軸方向他方側に相当する。なお、上下方向、上側および下側とは、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0010】
本実施形態のダクテッドファン1は、図1から図3に示すように、円筒状のハウジング10と、ハウジング10に収容されるリングモータ20と、リングモータ20の内周面から径方向内側へ延びる複数のファンブレード50と、を備える。
【0011】
ハウジング10は、リングモータ20の軸方向一方側を覆う第1ハウジング11と、リングモータ20の軸方向他方側を覆う第2ハウジング12と、を有する。ハウジング10は、軸方向に見て円環状である。ハウジング10は、内周側に、リングモータ20が露出する環状の開口部14を有する。
【0012】
第1ハウジング11は、ハウジング10の上部に位置する。第1ハウジング11は、軸方向に見て円環状である。第1ハウジング11は、下向きに開口する半円筒部材である。 第2ハウジング12は、ハウジング10の下部および外周部に位置する。第2ハウジング12は、リングモータ20を支持する支持筒部120と、支持筒部120の径方向外側に位置する外周ハウジング12Aと、支持筒部120の径方向内側に位置する内周ハウジング12Bとを有する。外周ハウジング12Aは、支持筒部120の下端から径方向外側に広がり、リングモータ20の下側に位置する円環部12aと、円環部12aの外周端から上側へ延びる円筒部12bと、を有する。内周ハウジング12Bは、円環部12aの径方向内側に位置する。内周ハウジング12Bは、軸方向から見て円環状である。
【0013】
リングモータ20は、第2ハウジング12の支持筒部120に支持される。支持筒部120は、中心軸Jを中心とし、上下方向に延びる円筒状である。リングモータ20は、支持筒部120の外周面に支持される円環状のステータ30と、支持筒部120の内周側に上側ベアリング21および下側ベアリング22を介して支持される円環状のロータ40と、を有する。
【0014】
ステータ30は、図3から図5に示すように、支持筒部120の外周面に固定されるステータコア31と、ステータコア31に装着される複数のコイル32とを備える。複数のコイル32は、周方向に沿って配置される。ステータコア31は、図5に示すように、周方向に延びる円環状のコアバック31aと、コアバック31aの外周端から径方向外側に延びる複数のティース31bとを有する。
【0015】
ステータコア31は、コアバック31aの内周部に、コアバック31aの内周面から径方向外側へ凹む凹部31cを有する。ステータコア31は、凹部31cを複数有する。各々の凹部31cは、ティース31bの径方向内側に位置する。凹部31cは、支持筒部120の外周面との間に、ステータコア31を軸方向に貫通する流体流路30Aを構成する。すなわち、ステータ30は、流体流路30Aを有する。この構成によれば、流体流路30Aに空気を流通させることができるので、コイル32からティース31bを通じてコアバック31aに伝わる熱を、流体流路30Aに流れる空気へ効率よく放散させることができる。
【0016】
凹部31cは、本実施形態では、軸方向から見て半円状である。凹部31cの形状は、半円状に限定されず、軸方向から見て、三角形状、四角形状などの多角形状であってもよく、半楕円状などの曲線形状であってもよい。凹部31cの形状は、軸方向から見て、径方向外側に向かうに従って先細りの形状であることが好ましい。このような形状とすることで、コアバック31aを経由してティース31b間に延びる磁力線が阻害されにくくなる。流体流路30Aは、ステータコア31を軸方向に貫通する貫通孔によって構成されていてもよい。流体流路30Aは、空気以外の液体または気体の冷媒が流通する流路であってもよい。
【0017】
ロータ40は、ステータコア31と径方向に対向するロータマグネット41と、ステータコア31の径方向外側に位置しロータマグネット41を保持する外側円筒壁42と、ステータコア31の径方向内側に位置する内側円筒壁43と、ステータコア31の上側(軸方向一方側)に位置し外側円筒壁42と内側円筒壁43とを径方向に連結する複数の連結部44と、を有する。
【0018】
ロータマグネット41は、ステータコア31を囲む円環状である。ロータマグネット41は、単一の永久磁石であってもよく、周方向に並ぶ複数の永久磁石を含む構成であってもよい。ロータマグネット41は、外側円筒壁42の内周面に、例えば接着により固定される。ロータマグネット41の固定方法としては、固定枠などの固定部材を用いる方法であってもよい。
【0019】
内側円筒壁43は、上側ベアリング21および下側ベアリング22を介して、支持筒部120に回転可能に支持される。内側円筒壁43は、第1ハウジング11の内周端と第2ハウジング12の内周端との間に開口する開口部14に位置する。内側円筒壁43は、ハウジング10の内周側に露出する。内側円筒壁43の内周面に複数のファンブレード50が接続される。
【0020】
複数のファンブレード50は、内側円筒壁43の内周面から径方向内側に延びる。複数のファンブレード50は、軸方向に対して傾斜する翼形状を有する。複数のファンブレード50は、周方向に沿って等間隔に配置される。本実施形態の場合、ファンブレード50同士は連結されていないが、リングモータ20の中心位置において複数のファンブレードが互いに接続されていてもよい。
【0021】
連結部44は、ステータ30の上側に位置する。連結部44は、外側円筒壁42の上端部と、内側円筒壁43の上端部とを、径方向に接続する。ロータ40は、複数の連結部44を有する。複数の連結部44は、周方向に等間隔に配置される。複数の連結部44は、互いに周方向に間隔を空けて配置される。複数の連結部44は、軸方向に対して傾斜する翼形状を有する。この構成によれば、ロータ40の回転に伴って、翼形状の連結部44によって下向きまたは上向きの風が発生する。これにより、ステータ30に対して軸方向に空気が流通し、ステータ30が冷却される。
【0022】
ハウジング10は、第1ハウジング11と第2ハウジング12とによりリングモータ20を上下から挟み、リングモータ20を内部に収容する。 第1ハウジング11は、ロータ40の上側に位置する。第1ハウジング11は、開口部をロータ40側に向けて配置される。第1ハウジング11の下端の軸方向位置は、ロータ40の上端部の軸方向位置と概ね一致する。第1ハウジング11の内部空間は、ロータ40の連結部44の上方に位置する。第1ハウジング11の内周側における下端面は、ロータ40の内側円筒壁43の上面と軸方向に対向する。
【0023】
第2ハウジング12の外周ハウジング12Aは、ロータ40の外側円筒壁42と、ステータ30とを内側に収容する。外側円筒壁42の径方向外側を向く面と、外周ハウジング12Aの円筒部12bとは、径方向に対向する。本実施形態の場合、円筒部12bの上端の軸方向位置は、外側円筒壁42の上端部の軸方向位置と概ね一致する。
【0024】
第2ハウジング12は、外周ハウジング12A内の下側部分に、周方向に並ぶ複数の区画壁12dを有する。複数の区画壁12dは、周方向に等間隔に配置される。区画壁12dは、径方向に広がる板状である。複数の区画壁12dの下端は、外周ハウジング12Aの底面に達する。複数の区画壁12dは、外周ハウジング12Aの内部空間のうち、リングモータ20よりも下側に位置する内部空間を、周方向に複数の領域に区画する。
【0025】
この構成によれば、区画壁12dによって、外周ハウジング12A内の下部領域に、周方向への空気の流れが形成されるのを抑制できる。これにより、ステータ30を通過して暖められた空気が、ハウジング10内に滞留するのを抑制でき、冷却効率が向上する。
【0026】
第2ハウジング12は、外周ハウジング12Aの下端に、外周ハウジング12Aを軸方向に貫通する貫通孔12eを有する。すなわち、第2ハウジング12は、リングモータ20よりも軸方向他方側(下側)の部位に、第2ハウジング12を貫通する貫通孔12eを有する。貫通孔12eは、ハウジング10における排気口である。ステータ30を通過して下側へ流れる空気は、貫通孔12eを通ってハウジング10の下側へ排出される。
【0027】
内周ハウジング12Bは、支持筒部120の下端から径方向内側に向かうに従って上側へ延びるテーパー状の筒部である。内周ハウジング12Bの上端面は、ロータ40の内側円筒壁43の下端面と軸方向に対向する。内周ハウジング12Bは、ダクテッドファン1の排気口を構成する。
【0028】
ハウジング10は、径方向外側を向く外周面を有する外周壁10Aを有する。外周壁10Aは、図3に示すように、第1ハウジング11の外周部に位置する第1壁部10aと、第2ハウジング12の外周部に位置する第2壁部10bとを有する。第1壁部10aは、第1ハウジング11のうち、径方向外側を向く外面を有する部分により構成される。第2壁部10bは、円環部12aの径方向外側を向く面を有する部分と、円筒部12bとにより構成される。
【0029】
第2ハウジング12は、図1および図2に示すように、円筒部12bの外周面
から径方向外側に突出する複数のリブ12fを有する。複数のリブ12fは、それぞれ軸方向に沿って延びる。リブ12fの上端は、第1ハウジング11の外周側の下端に固定される。すなわち、リブ12fは、第1ハウジング11と第2ハウジング12とを連結する連結部材である。
【0030】
リブ12fは、円筒部12bから径方向外側へ突出しているため、リブ12fの上端に接続される第1ハウジング11の外周端は、円筒部12bの外周面よりも径方向外側に位置する。この構成により、ハウジング10の外周壁10Aは、第1壁部10aと第2壁部10bとの隙間からなる開口部10Bを有する。
【0031】
本実施形態では、第1壁部10aと第2壁部10bとは、開口部10Bにおいて径方向に対向し、かつ第1壁部10aは第2壁部10bよりも径方向外側に位置する。この構成により、開口部10Bは、外周壁10Aの上部において下向きに開口する。 また本実施形態では、第1ハウジング11は、第2ハウジング12の軸方向一方側の端部を、軸方向一方側および径方向外側から覆う。この構成によれば、上側から見て、開口部10Bが第1ハウジング11に覆われるため、上側から飛来する水および物体が開口部10Bからハウジング10の内部に入り込むのを抑制できる。
【0032】
ダクテッドファン1において、リングモータ20を動作させてファンブレード50を回転させると、図3に示すように、ダクテッドファン1の内周に、上側から下側に向かう風が発生する。この送風動作時に、ダクテッドファン1の周囲では、ダクテッドファン1の吸気口である上側の開口部に向かう空気の流れと、ダクテッドファン1の送風方向である下側に向かう空気の流れが形成される。すなわち、外周壁10Aの上側部分では、下側から上側に向かって空気が流れ、外周壁10Aの下側部分では、上側から下側に向かって空気が流れる。
【0033】
本実施形態のダクテッドファン1では、外周壁10Aに、下側に向かって開口する開口部10Bが配置されている。この構成により、ダクテッドファン1の動作に伴って外周壁10A近傍を下側から上側にへ流れる空気を、開口部10Bからハウジング10の内部に効率よく流入させることができる。
【0034】
また、ダクテッドファン1では、第1ハウジング11は、第2ハウジング12の軸方向一方側の端部を、軸方向一方側および径方向外側から覆う。この構成により、開口部10Bからハウジング10内に流入した空気は、第1ハウジング11の内周面に沿って流れる。すなわち、開口部10Bから流入した空気は、第1ハウジング11の内周面の外周側部分に沿って、上側かつ径方向内側へ流れ、第1ハウジング11の内周面の頂部を通過した後は、第1ハウジング11の径方向内側に位置する内周面に沿って下側へ流れる。
【0035】
本実施形態では、ロータ40が翼形状の連結部44を有していることで、リングモータ20の回転動作に伴い、連結部44によって上側から下側に向かう風が発生する。これにより、第1ハウジング11内の空気は、複数の連結部44の隙間を通じて下側に送られ、ステータ30に上側から吹き付けられる。本実施形態の場合、翼形状の連結部44は、送風によって第1ハウジング11側の圧力を低下させるため、開口部10Bからの空気の流入を促進し、冷却性能の向上に寄与する。
【0036】
ステータ30に吹き付けられた空気は、隣り合うコイル32同士の隙間、およびステータコア31の流体流路30Aを上側から下側へ流れる。これにより、コイル32およびステータコア31が、軸方向に流通する空気により冷却される。ステータ30の下側に抜けた空気は、図6に示すように、周方向に隣り合う区画壁12dの間を通り、第2ハウジング12下端の貫通孔12eを通ってハウジング10の下側へ排出される。
【0037】
以上の構成を備える本実施形態のダクテッドファン1によれば、リングモータ20の上下に、ハウジング10の開口部10Bおよび貫通孔12eがそれぞれ配置されるため、開口部10Bからリングモータ20を経由して貫通孔12eへ冷却空気を流通させることができる。したがって、ダクテッドファン1によれば、ハウジング10内のリングモータ20を効率よく冷却可能である。
【0038】
ダクテッドファン1において、開口部10Bは、第1壁部10aと第2壁部10bとの隙間であるため、第1ハウジング11と第2ハウジング12とを間隔を空けて配置するだけで容易に配置できる。したがって、本実施形態によれば、第1ハウジング11または第2ハウジング12の形状が複雑化することがなく、良好な製造性が得られる。
【0039】
また本実施形態では、周方向に沿って並ぶ連結部材であるリブ12fを介して、第1壁部10aと第2壁部10bとが連結される。この構成によれば、簡素な構造の複数のリブ12fによって、第1ハウジング11を安定に支持することができる。複数のリブ12fは、周方向に間隔を空けて配置されるため、第1ハウジング11と第2ハウジング12との間に、吸気口となる開口部10Bを容易に配置できる。さらに、リブ12fが軸方向に沿って延びていることで、ハウジング10の外周面において空気を軸方向に案内しやすくなり、開口部10Bへ空気を流入させやすくなる。
【0040】
本発明は上述の実施形態に限られず、以下の構成を採用することもできる。 上記実施形態では、開口部10Bが下側に向かって開口する構成としたが、この構成に限定されない。例えば、開口部10Bが外周壁10Aの下側部分に位置する場合には、開口部10Bは上側に向かって開口している方が、ハウジング10の内部へ空気を取り込みやすくなる。また、開口部10Bの開口方向を、ダクテッドファン1の送風方向に応じて、空気を取り込みやすい方向に設定してもよい。開口部10Bが上向きに開口する場合、第1壁部10aは、第2壁部10bよりも径方向内側に位置する構成となる。 さらに、開口部10Bは、径方向外側に向かって開口していてもよい。この場合、第1壁部10aと第2壁部10bとは、径方向から見て重ならず、軸方向に互いに離れて配置される。
【0041】
上記実施形態では、連結部44が翼形状を有する構成としたが、連結部44は翼形状を有しない棒状または板状であってもよい。この構成においても、下側に開口する開口部10Bから流入する空気は、第1ハウジング11の内周面によって下向きに案内されるため、外周ハウジング12A内には、上側から下側へ向かう空気の流れが形成される。これにより、ステータ30を効率よく冷却できる。
【0042】
なお、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6