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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】車載用ワイヤレス充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/90 20160101AFI20240723BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240723BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240723BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J50/10
H02J7/00 301D
H02J7/00 301B
H01M10/46
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021002959
(22)【出願日】2021-01-12
(65)【公開番号】P2022108106
(43)【公開日】2022-07-25
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠啓
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0085607(KR,A)
【文献】特開2012-174727(JP,A)
【文献】特開2013-118719(JP,A)
【文献】特開2013-121281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 -50/90
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 -10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に搭載されて、受電コイルが内蔵された携帯機器に非接触にて給電する、車載用ワイヤレス充電装置であって、
前記携帯機器が載置される長方形状の平面であって、所定方向に傾斜しており、縁部から側壁が立設するように設けられた、傾斜載置面と、
前記傾斜載置面に載置されて前記傾斜載置面の傾斜方向に沿って、前記傾斜載置面における最も低い位置である最下位置にある前記携帯機器の前記受電コイルに対向する位置に配置された送電コイルと、
前記側壁に加え、さらに、前記最下位置にある前記携帯機器の位置ずれを抑止する位置ずれ抑止機構と、
を備え
前記位置ずれ抑止機構は、
前記傾斜載置面における前記最下位置の近傍に設けられて前記傾斜載置面の傾斜方向の下方側に向かう場合の摩擦係数よりも前記傾斜方向の上方側に向かう場合の摩擦係数のほうが大きい逆方向移動抑止部材を備えている、
車載用ワイヤレス充電装置。
【請求項2】
車両内に搭載されて、受電コイルが内蔵された携帯機器に非接触にて給電する、車載用ワイヤレス充電装置であって、
前記携帯機器が載置される長方形状の平面であって、所定方向に傾斜しており、縁部から側壁が立設するように設けられた、傾斜載置面と、
前記傾斜載置面に載置されて前記傾斜載置面の傾斜方向に沿って、前記傾斜載置面における最も低い位置である最下位置にある前記携帯機器の前記受電コイルに対向する位置に配置された送電コイルと、
前記側壁に加え、さらに、前記最下位置にある前記携帯機器の位置ずれを抑止する位置ずれ抑止機構と、
を備え、
前記位置ずれ抑止機構は、
前記傾斜載置面における前記最下位置の近傍に設けられた摩擦部材と、
前記傾斜載置面を振動させる振動発生装置と、を備えており、
前記摩擦部材は、
前記摩擦部材を除く前記傾斜載置面の摩擦係数よりも大きな摩擦係数を有する、
車載用ワイヤレス充電装置。
【請求項3】
請求項に記載の車載用ワイヤレス充電装置であって、
前記傾斜載置面に載置された前記携帯機器が前記最下位置に達したことを検出する最下位置検出装置を有し、
前記最下位置検出装置にて、前記傾斜載置面に載置された前記携帯機器が前記最下位置に達していないと検出されている場合は、前記振動発生装置を駆動させ、
前記最下位置検出装置にて、前記傾斜載置面に載置された前記携帯機器が前記最下位置に達したと検出された場合は、前記振動発生装置の駆動を停止させる、
車載用ワイヤレス充電装置。
【請求項4】
車両内に搭載されて、受電コイルが内蔵された携帯機器に非接触にて給電する、車載用ワイヤレス充電装置であって、
前記携帯機器が載置される長方形状の平面であって、所定方向に傾斜しており、縁部から側壁が立設するように設けられた、傾斜載置面と、
前記傾斜載置面に載置されて前記傾斜載置面の傾斜方向に沿って、前記傾斜載置面における最も低い位置である最下位置にある前記携帯機器の前記受電コイルに対向する位置に配置された送電コイルと、
前記側壁に加え、さらに、前記最下位置にある前記携帯機器の位置ずれを抑止する位置ずれ抑止機構と、
を備え、
前記傾斜載置面は、前記車両における運転席の側方に配設され、
前記最下位置は、長方形状の前記傾斜載置面における、前記車両における後方側且つ前記運転席側にある1つの角に設定されている、
車載用ワイヤレス充電装置。
【請求項5】
請求項1または4に記載の車載用ワイヤレス充電装置であって、
前記位置ずれ抑止機構は、
前記傾斜載置面における前記最下位置の近傍に設けられた摩擦部材を備えており、
前記摩擦部材は、
前記摩擦部材を除く前記傾斜載置面の摩擦係数よりも大きな摩擦係数を有する、
車載用ワイヤレス充電装置。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の車載用ワイヤレス充電装置であって、
前記側壁は、
長方形状の前記傾斜載置面における前記最下位置の少なくとも一部を含む辺のみに設けられている、
車載用ワイヤレス充電装置。
【請求項7】
請求項に記載の車載用ワイヤレス充電装置であって、
前記最下位置の少なくとも一部を含む辺のみに設けられた前記側壁の少なくとも1つには、前記最下位置に達した前記携帯機器が、前記側壁に沿って上方に飛び出すことを防止するように前記最下位置にある前記携帯機器の一部を覆う飛び出し防止部材が設けられている、
車載用ワイヤレス充電装置。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の車載用ワイヤレス充電装置であって、
前記傾斜載置面には、前記傾斜載置面に載置された前記携帯機器の取り出しを容易にする凹み部が設けられている、
車載用ワイヤレス充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載用ワイヤレス充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレット型端末等の携帯機器の充電に用いる車載用ワイヤレス充電装置では、携帯機器を車載用ワイヤレス充電装置に載置するだけで、携帯機器に非接触にて給電することができる。ここで、車載用ワイヤレス充電装置は、送電するための送電コイルが携帯機器の載置面の下に設けられている。また、携帯機器は受電するための受電コイルを内蔵している。そして、携帯機器を効率よく充電できるためには、車載用ワイヤレス充電装置から携帯機器に効率よく送電できるよう、車載用ワイヤレス充電装置の載置面に対する携帯機器の位置が、携帯機器の受電コイルと、車載用ワイヤレス充電装置の送電コイルとが近い位置で対向するような位置にある必要がある。これに対して、車載用ワイヤレス充電装置は、車両に搭載されているので、搭載されている車両の振動等によって、車載用ワイヤレス充電装置の載置面に載置された携帯機器が、効率よく充電できる位置から、効率よく充電できない位置に移動するおそれがある。そこで、携帯機器が、車載用ワイヤレス充電装置の載置面上で移動することを抑制する技術が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の無接点充電用充電台(車載用ワイヤレス充電装置)は、携帯機器が載置される傾斜面であるガイド部と、ガイド部の縁部から立設し、ガイド部の周囲を囲う側壁である押さえ部と、を有している。ここで、傾斜面であるガイド部に載置された携帯機器は、角部が最下位置となり、携帯機器の角部に隣接する携帯機器の長辺縁部および短辺縁部とが、側壁である押さえ部に接触するよう、ガイド部および押さえ部が形成されている。また、押さえ部は上に向かうにつれて内側(携帯機器側)に傾斜しており、押さえ部は載置された携帯機器の長辺縁部および短辺縁部の上側を覆っている。その結果、自動車の走行中でも、携帯機器が移動することがなく、効率的な充電が行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-106428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
家庭内にて用いられる一般的なワイヤレス充電装置では、振動等を考慮する必要が無いので、ほぼ水平な載置面に設定された充電エリア(効率良く充電できるエリア)に、ユーザが携帯機器を載置すればよい。振動等が発生しない家庭内では、充電エリアに載置された携帯機器が充電エリアから外れることは無い。
【0006】
しかし、車両に搭載された車載用ワイヤレス充電装置では、車両の振動や道路の傾斜(登坂路、降坂路など)を考慮する必要がある。さらに、振動や道路の傾斜に加えて、車両の加速時や減速時、右旋回時や左旋回時など、加速度に応じた力がかかり、車載用ワイヤレス充電装置に載置した携帯機器には、振動に加えて、車両の加速度に応じた種々の方向の力がかかる。
【0007】
特許文献1に記載の無接点充電用充電台は、傾斜したガイド部(載置面)にて、載置された携帯機器を充電エリアに誘導し、携帯機器の側に傾斜した面を有する押さえ部にて、誘導した携帯機器を位置決めしている。しかし、押さえ部だけでは、充電エリアに誘導されて位置決めされた携帯機器が、上記の振動や加速度に応じた力によって充電エリアから外れることを適切に抑止することができない可能性がある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、載置された携帯機器を充電エリア(送電コイルに対向する位置)に誘導するとともに、充電エリアに誘導した携帯機器が、車両の振動や加速度に応じた力によって充電エリアから外れることを適切に抑止することができる、車載用ワイヤレス充電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の発明は、車両内に搭載されて、受電コイルが内蔵された携帯機器に非接触にて給電する、車載用ワイヤレス充電装置であって、前記携帯機器が載置される長方形状の平面であって、所定方向に傾斜しており、縁部から側壁が立設するように設けられた、傾斜載置面と、前記傾斜載置面に載置されて前記傾斜載置面の傾斜方向に沿って、前記傾斜載置面における最も低い位置である最下位置にある前記携帯機器の前記受電コイルに対向する位置に配置された送電コイルと、前記側壁に加え、さらに、前記最下位置にある前記携帯機器の位置ずれを抑止する位置ずれ抑止機構と、を備えた、車載用ワイヤレス充電装置である。
【0010】
次に、第2の発明は、上記第1の発明に係る車載用ワイヤレス充電装置であって、前記位置ずれ抑止機構は、前記傾斜載置面における前記最下位置の近傍に設けられた摩擦部材を備えており、前記摩擦部材は、前記摩擦部材を除く前記傾斜載置面の摩擦係数よりも大きな摩擦係数を有する、車載用ワイヤレス充電装置である。
【0011】
次に、第3の発明は、上記第1の発明に係る車載用ワイヤレス充電装置であって、前記位置ずれ抑止機構は、前記傾斜載置面における前記最下位置の近傍に設けられて前記傾斜載置面の傾斜方向の下方側に向かう場合の摩擦係数よりも前記傾斜方向の上方側に向かう場合の摩擦係数のほうが大きい逆方向移動抑止部材を備えている、車載用ワイヤレス充電装置である。
【0012】
次に、第4の発明は、上記第2の発明または第3の発明に係る車載用ワイヤレス充電装置であって、前記位置ずれ抑止機構は、前記傾斜載置面を振動させる振動発生装置を備えている、車載用ワイヤレス充電装置である。
【0013】
次に、第5の発明は、上記第4の発明に係る車車載用ワイヤレス充電装置であって、前記傾斜載置面に載置された前記携帯機器が前記最下位置に達したことを検出する最下位置検出装置を有し、前記最下位置検出装置にて、前記傾斜載置面に載置された前記携帯機器が前記最下位置に達していないと検出されている場合は、前記振動発生装置を駆動させ、前記最下位置検出装置にて、前記傾斜載置面に載置された前記携帯機器が前記最下位置に達したと検出された場合は、前記振動発生装置の駆動を停止させる、車載用ワイヤレス充電装置である。
【0014】
次に、第6の発明は、上記第1の発明から第5の発明のいずれか1つに係る車載用ワイヤレス充電装置であって、前記最下位置は、長方形状の前記傾斜載置面における1つの辺、または1つ角に設定されている、車載用ワイヤレス充電装置である。前記傾斜載置面は、前記車両における運転席の側方に配設されても良い。この場合、前記最下位置は、長方形状の前記傾斜載置面における、前記車両における後方側且つ前記運転席側にある1つの角に設定されていても良い。
【0015】
次に、第7の発明は、上記第1の発明から第6の発明のいずれか1つに係る車載用ワイヤレス充電装置であって、前記側壁は、長方形状の前記傾斜載置面における前記最下位置の少なくとも一部を含む辺のみに設けられている、車載用ワイヤレス充電装置である。
【0016】
次に、第8の発明は、上記第7の発明に係る車載用ワイヤレス充電装置であって、前記最下位置の少なくとも一部を含む辺のみに設けられた前記側壁の少なくとも1つには、前記最下位置に達した前記携帯機器が、前記側壁に沿って上方に飛び出すことを防止するように前記最下位置にある前記携帯機器の一部を覆う飛び出し防止部材が設けられている、車載用ワイヤレス充電装置である。
【0017】
次に、第9の発明は、上記第1の発明から第8の発明のいずれか1つに係る車載用ワイヤレス充電装置であって、前記傾斜載置面には、前記傾斜載置面に載置された前記携帯機器の取り出しを容易にする凹み部が設けられている、車載用ワイヤレス充電装置である。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明によれば、車載用ワイヤレス充電装置は、傾斜載置面の傾斜により携帯機器を最下位置まで誘導でき、かつ、位置ずれ抑止機構により最下位置にある携帯機器の位置ずれを抑止できる。従って、車載用ワイヤレス充電装置は、載置された携帯機器を充電エリア(送電コイルに対向する位置)に誘導するとともに、充電エリアに誘導した携帯機器が、車両の振動や加速度に応じた力によって充電エリアから外れることを適切に抑止することができる。
【0019】
第2の発明によれば、摩擦部材により、携帯機器と、傾斜載置面および摩擦部材との間の最大静止摩擦力がより一層大きくなっており、最下位置で静止している携帯機器が、より一層移動しにくくなっている。従って、摩擦部材を設けることで、携帯機器は良好に充電可能な最下位置からの位置ずれをより確実に抑止できる。
【0020】
第3の発明によれば、逆方向移動抑止部材の上にある携帯機器は、傾斜載置面の傾斜方向下方側の最下位置の方へ移動しやすく、最下位置から遠ざかりにくい。これにより、携帯機器の位置を、より確実に充電エリア内にとどめ得る。また、最下位置で静止している携帯機器が、より一層移動しにくくなっている。従って、逆方向移動抑止部材を設けることで、携帯機器は良好に充電可能な最下位置からの位置ずれが、より確実に抑止される。
【0021】
第4の発明によれば、振動発生装置が振動を発生させて、携帯機器を効率よく充電可能な最下位置まで滑りやすくできる。これより、傾斜載置面に載置された携帯機器を充電エリア(送電コイルに対向する位置)により確実に誘導できる。
【0022】
第5の発明によれば、最下位置検出装置にて、傾斜載置面に載置された携帯機器が最下位置に達していないと検出されている場合には、制御装置は、振動発生装置を駆動させて、傾斜載置面を振動させる。これにより、充電エリアの外にある携帯機器を、充電エリア(送電コイルに対向する位置)により確実に誘導できる。一方、最下位置検出装置にて、傾斜載置面に載置された携帯機器が最下位置に達したと検出された場合には、制御装置は、振動発生装置の駆動を停止させる。
【0023】
これにより、傾斜載置面に載置された携帯機器が充電エリア(送電コイルに対向する位置)から外れている場合、携帯機器を充電エリアへとより確実に誘導できる。ひいては、携帯機器を充電可能な最下位置に保持することができる。従って、最下位置検出装置によって、傾斜載置面に載置された携帯機器を充電エリア(送電コイルに対向する位置)により確実に誘導できるとともに、車両の振動や加速度に応じた力によって充電エリアから外れることを適切に抑止することができる。
【0024】
第6の発明によれば、最下位置は、長方形状の傾斜載置面における1つの辺、または1つ角に設定されている、これにより、最下位置にて携帯機器は、側壁によって支持されるため、携帯機器の最下位置からの位置ずれをより確実に抑止することができる。そして、最下位置に達した携帯機器を適切な姿勢で保持することができる。
【0025】
第7の発明によれば、傾斜載置面における最下位置を含まない辺には側壁が無いため、携帯機器を傾斜載置面からはみ出して、傾斜載置面に載置することができる。これにより、車載用ワイヤレス充電装置は、傾斜載置面のサイズよりも大きな携帯機器(例えば、タブレット型端末)を、傾斜載置面に載置して充電できる。
【0026】
第8の発明によれば、飛び出し防止部材は、最下位置に達した携帯機器が、側壁に沿って上方に飛び出すことを防止するように最下位置に達した携帯機器の一部を覆う。これにより、携帯機器は、側壁から飛び出すことが抑止される。従って、飛び出し防止部材は、携帯機器をより安定して傾斜載置面に載置することができる。
【0027】
第9の発明によれば、利用者は凹み部の上から携帯機器を指で押圧することで、携帯機器の凹み部とは反対側の端部を浮き上がらせて、傾斜載置面に載置された携帯機器を、容易に取り出すことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1の実施形態に係る車載用ワイヤレス充電装置を搭載した車両の車室内の概略斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る車載用ワイヤレス充電装置の概略斜視図である。
図3】第1の実施形態に係る車載用ワイヤレス充電装置の概略斜視図である。
図4図2のIV-IV断面図である。
図5図2のV-V断面図である。
図6図1の車載用ワイヤレス充電装置の傾斜載置面の上面図である。
図7】携帯機器が、傾斜載置面の上を滑る場合に、携帯機器の動摩擦を説明する図である。
図8】携帯機器が、最下位置にある場合に、携帯機器の静止摩擦を説明する図である。
図9】凹み部の効果を説明する図である。
図10】第2の実施形態に係る車載用ワイヤレス充電装置において、携帯機器が載置された逆方向移動抑止部材の概略断面図である。
図11】第3の実施形態に係る車載用ワイヤレス充電装置の概略斜視図である。
図12図11のXII-XII断面図である。
図13図11のXIII-XIII断面図である。
図14図11の車載用ワイヤレス充電装置の傾斜載置面の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る第1の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20A~第3の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20Cについて、図面を用いて説明する。図1には、第1の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20Aを搭載した車両1の車室内の概要斜視図を示した。図1に示すように、車両1の車内には、給電部11(給電端子等)や、ハンドル12や、運転者の左方のコンソールボックス13等が設けられている。車載用ワイヤレス充電装置20Aは、コンソールボックス13等に取り付けられている。また、車載用ワイヤレス充電装置20Aは、給電部11に接続されており、給電部11から給電される。
【0030】
以下に説明するように、車載用ワイヤレス充電装置20Aは車両1内に搭載されており、受電コイル510(図2参照)が内蔵された、スマートフォンやタブレット型端末等の携帯機器500(図2参照)に非接触にて給電する。以下の説明では、携帯機器500を車載用ワイヤレス充電装置20Aに載置するのは、運転者とするが、運転者以外でもよい。なお、図中および以下の説明において、前後方向、左右方向、上下方向が記載されている場合、これらの方向は、第1の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20A~第3の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20Cを搭載した車両の方向を示している。
【0031】
[第1の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20Aの構成(図2図5)]
図2及び図3は、車載用ワイヤレス充電装置20Aの概略斜視図である。図1を用いて上述したように、車載用ワイヤレス充電装置20Aは、車両1内に搭載されている。図2に示すように、車載用ワイヤレス充電装置20Aは、傾斜載置面31、側壁32および飛び出し防止部材33を有するケース30と、送電コイル40と、位置ずれ抑止機構50と、最下位置検出装置60(図3参照)と、制御装置70と、充電スイッチ80とを有している。
【0032】
ケース30は、図2に示すように、傾斜載置面31と、傾斜載置面31の縁部から立設する側壁32と、側壁32の上側に設けられた飛び出し防止部材33とを有している。ケース30は、例えば樹脂で形成されている。
【0033】
傾斜載置面31は、図2に示すように、側壁32に囲まれている面であり、携帯機器500が載置される長方形状の平面である。傾斜載置面31の上端には、前に向かうにつれて下に傾斜した凹み部31Dが設けられている。傾斜載置面31は、図2図4及び図5に示すように、後方右側(所定方向)に傾斜している。これにより、傾斜載置面31に載置された携帯機器500は、傾斜載置面31の後方右側の最下位置Lへ誘導される。ここで、最下位置Lは、傾斜載置面31における最も低い位置であり、傾斜載置面31における後方右側の角31RB(1つの角)である。なお、車載用ワイヤレス充電装置20Aでは、傾斜載置面31と摩擦部材51(ゴムシート等)が面一とされており、摩擦部材51は傾斜載置面31の一部とされている。また、傾斜載置面31が後方右側に傾斜していることで、傾斜載置面31に載置された携帯機器500の上面が運転者の方へ向いており、運転者が携帯機器500の画面を見やすくなっている。
【0034】
図2のIV-IV断面図である図4に示すように、傾斜載置面31の左右の傾斜角度θaは、傾斜載置面31に載置された携帯機器500が傾斜載置面31の上を滑りやすい角度に設定されている。また、図2のV-V断面図である図5に示すように、傾斜載置面31の前後の傾斜角度θbも、傾斜載置面31に載置された携帯機器500が傾斜載置面31の上を滑りやすい角度に設定されている。傾斜角度θaおよび傾斜角度θbは、例えば、30°~60°に設定され、30°や、45°に設定されている。
【0035】
側壁32は、傾斜載置面31の縁部から立設されて、傾斜載置面31の周囲を囲い、前側の前側壁32Fと、後側の後側壁32Bと、右側の右側壁32Rと、左側の左側壁32Lとを有している。側壁32の傾斜載置面31からの高さは、携帯機器500の厚みよりも大きく設定されている。また、図4に示すように、傾斜載置面31と左側壁32Lとの角度θ1は90°に設定されており、傾斜載置面31と前側壁32Fとの角度θ2も90°に設定されている。この様に角度θ1及び角度θ2が、鋭角よりも大きい90°となっていることで、利用者の指が、傾斜載置面31と左側壁32Lとの境界近傍や、傾斜載置面31と右側壁32Rとの境界近傍に届きやすくなっている。また、図5に示すように、傾斜載置面31と後側壁32Bとの角度θ3、および傾斜載置面31と前側壁32Fとの角度θ4の両方とも90°に設定されており、鋭角よりも大きい90°となっているため、利用者の指が、傾斜載置面31と後側壁32Bとの境界近傍や、傾斜載置面31と前側壁32Fとの境界近傍に届きやすくなっている。以上で説明した傾斜載置面31と側壁32(左側壁32L、右側壁32R、後側壁32B、前側壁32F)との角度θ1~θ4は、携帯機器500を傾斜載置面31から取り外すときに利用者の指が届きやすいように、例えば、120°、135°に設定してもよい。
【0036】
飛び出し防止部材33は、図2に示すように、最下位置Lの少なくとも一部を含む辺に設けられた側壁32の少なくとも1つである右側壁32Rから傾斜載置面31側に突出している。
【0037】
送電コイル40は、傾斜載置面31の下に設けられている。送電コイル40は、傾斜載置面31の傾斜方向に沿って配置され、傾斜載置面31における最も低い位置である最下位置Lにある携帯機器500の受電コイル510に対向する位置に配置されている。送電コイル40は、制御装置70に接続されており、制御装置70から給電される。また、制御装置70は、送電コイル40の給電を制御することが出来る。なお、送電コイル40は、電磁誘導方式や電界結合型に用いるコイルであってもよい。また、固定式の送電コイル40の代わりに、移動式の送電コイルを用いてもよいし、複数の送電コイルを図6に示す充電エリアRc(傾斜載置面31において、載置された携帯機器500を効率良く充電できるエリア)に敷き詰めたタイプとしてもよい。
【0038】
位置ずれ抑止機構50は、図2に示すように、摩擦部材51と、振動発生装置55にて構成されている。位置ずれ抑止機構50は、側壁32に加え、さらに(側壁32とは別体であり)、後述する様に、最下位置Lにある携帯機器500の位置ずれを抑止できる。図6に示すように、摩擦部材51は、傾斜載置面31における最下位置Lの近傍に設けられている。摩擦部材51は、摩擦部材51を除く傾斜載置面31の摩擦係数よりも大きな摩擦係数を有する。ここで、摩擦係数は、傾斜載置面31や摩擦部材51の携帯機器500に対する摩擦係数である。摩擦部材51は、例えばゴムで形成されている。上述したが、摩擦部材51は、傾斜載置面31と面一とされており、摩擦部材51は傾斜載置面31の一部とされている。
【0039】
振動発生装置55は、例えば圧電素子や偏心おもりを取り付けた小型モータである。振動発生装置55は、傾斜載置面31の上側に傾斜載置面31と面一に設けられている。また、振動発生装置55は、制御装置70に接続されており、制御装置70に制御されて傾斜載置面31に振動を発生させることができる。
【0040】
最下位置検出装置60は、図3に示すように、最下位置Lである傾斜載置面31の後方右側の角31RBを含む後側壁32Bおよび右側壁32R、それぞれに対して面一に設けられている。これら2つのうち、一方を省いてもよい。最下位置検出装置60は、例えば感圧センサであり、制御装置70に接続されている。最下位置検出装置60は、傾斜載置面31に載置された携帯機器500が最下位置Lに達したことを検出し、制御装置70は最下位置検出装置60を用いて携帯機器500が最下位置Lにあるか否かを検出することができる。なお、2つの最下位置検出装置60のうち、一方をレーザーなどの光を発光する発光部とし、他方を発光部が発する光を受光する受光部としてもよい。この場合、発光部からの光を受光部が受光していないときには、受光部と発光部との間に携帯機器500があると考えられるため、携帯機器500が最下位置Lにあると制御装置70が検出してもよい。そして、発光部からの光を受光部が受光しているときには、受光部と発光部との間に携帯機器500がないと考えられるため、携帯機器500が最下位置Lにないと制御装置70が検出してもよい。
【0041】
制御装置70は、図1を用いて上述したように、給電部11に接続されており、給電部11から給電される。また、図2を用いて上述したように、制御装置70は、送電コイル40、振動発生装置55、及び最下位置検出装置60に接続されており、これらを制御する。制御装置70は、最下位置検出装置60にて、傾斜載置面31に載置された携帯機器500が最下位置Lに達していないと検出されている場合には、振動発生装置55を駆動させて、傾斜載置面31を振動させる。一方、制御装置70は、最下位置検出装置60にて、傾斜載置面31に載置された携帯機器500が最下位置Lに達したと検出された場合には、振動発生装置55の駆動を停止させる。以上の様に、最下位置検出装置60によって、傾斜載置面31に載置された携帯機器500を充電エリアRc(図6参照、送電コイルに対向する位置)により確実に誘導できるとともに、車両1の振動や加速度に応じた力によって充電エリアRcから外れても、適切に充電エリアRcへ誘導することができる。
【0042】
充電スイッチ80は、例えば、側壁32の前側壁32Fの左側に設けられており、制御装置70に接続されている。充電スイッチ80は、給電部11から制御装置70への通電のON,OFFを切り替えることができる。充電スイッチ80がONになると、制御装置70が給電部11から給電される。
【0043】
[第1の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20Aの作用効果について(図2図9)]
利用者は、携帯機器500を、傾斜載置面31に載置する。図2図4及び図5を用いて上述したように、傾斜載置面31は、後方右側(所定方向)に向かって傾斜している。これにより、傾斜載置面31に載置された携帯機器500は傾斜載置面31を滑って、最下位置Lである傾斜載置面31の後方右側の角31RBに誘導される。
【0044】
次に、利用者(例えば、運転者)は、車載用ワイヤレス充電装置20A(図2参照)の充電スイッチ80をONにして、制御装置70に通電する。そして、制御装置70は、最下位置検出装置60により、携帯機器500が最下位置Lに達していないと検出すると、振動発生装置55を用いて傾斜載置面31を振動させる。これにより、後述する様に、携帯機器500は最下位置Lに向かって誘導される。
【0045】
図6に示すように、送電コイル40は、最下位置Lにある携帯機器500(位置β)の受電コイル510に対向する位置に配置されている。これにより、最下位置Lにある携帯機器500に対して、送電コイル40から受電コイル510に効率よく送電でき、ひいては携帯機器500を効率よく充電することができる。また、携帯機器500が最下位置Lからわずかに離れた位置にあっても、送電コイル40から受電コイル510に送電して携帯機器500を充電できる。ここで、傾斜載置面31に載置された携帯機器500を効率良く充電できるエリアを充電エリアRc(図6参照)とする。すなわち、携帯機器500が充電エリアRc内にありさえすれば携帯機器500を効率良く充電できる
【0046】
図6に示すように、携帯機器500が充電エリアRcから離れた位置αにあるとき、上述したように、携帯機器500は傾斜載置面31上を滑って、充電エリアRc内にある位置βに移動する。ここで、携帯機器500は、傾斜載置面31が傾斜面を有することにより、位置αから位置βへと誘導される。
【0047】
また、図7に示すように、携帯機器500が、摩擦部材51や傾斜載置面31の上を滑り落ちる場合には、携帯機器500と、傾斜載置面31および摩擦部材51と、の間で、携帯機器500が滑り落ちることへの抵抗力となる動摩擦力Fmが働く。一方、図8に示すように、携帯機器500が最下位置Lで静止している場合には、携帯機器500と、傾斜載置面31および摩擦部材51と、の間で、携帯機器500が動きだすことへの抵抗力となる静止摩擦力Fsが働く。ここで、最下位置Lにある携帯機器500に対して、外部から最大静止摩擦力よりも小さい力が働いた場合には、携帯機器500は最下位置Lから動くことはない。そして一般的に、最大静止摩擦力は動摩擦力Fmよりも大きい(動摩擦力Fm<最大静止摩擦力)。
【0048】
このため、携帯機器500は、最下位置Lまで比較的滑り落ちやすくなっており、最下位置Lに達した後は、最下位置Lから比較的動きにくくなっている。以上の結果、車載用ワイヤレス充電装置20Aは、傾斜載置面31の傾斜により携帯機器500を最下位置Lまで誘導でき、かつ、摩擦部材51(位置ずれ抑止機構50)により最下位置Lにある携帯機器500の位置ずれを抑止できる。従って、車載用ワイヤレス充電装置20Aは、載置された携帯機器500を充電エリアRc(送電コイルに対向する位置)に誘導するとともに、充電エリアRcに誘導した携帯機器500が、車両1の振動や加速度に応じた力によって充電エリアRcから外れることを適切に抑止することができる。
【0049】
最下位置Lは、長方形状の傾斜載置面31における後方右側の角31RB(図2図3図6参照、本実施形態では、1つ角)に設定されている。これにより、最下位置Lにて携帯機器500は、後側壁32Bおよび右側壁32R(側壁32)によって支持されるため、最下位置Lからの位置ずれが抑止される。そして、後側壁32Bおよび右側壁32Rは、最下位置Lに達した携帯機器500を適切な姿勢で保持する。
【0050】
さらに、車載用ワイヤレス充電装置20Aは、位置ずれ抑止機構50として、傾斜載置面31における最下位置Lの近傍に設けられた摩擦部材51を備えており、摩擦部材51は、摩擦部材51を除く傾斜載置面31の摩擦係数よりも大きな摩擦係数を有する。これにより、携帯機器500と、傾斜載置面31および摩擦部材51との間の最大静止摩擦力がより一層大きくなっており、最下位置Lで静止している携帯機器500が、より一層移動しにくくなっている。従って、摩擦部材51を設けることで、携帯機器500が良好に充電可能な最下位置Lから位置ずれすることをより確実に抑止できる。
【0051】
また、図7に示すように、振動発生装置55は、振動を発生させて、携帯機器500を効率よく充電可能な最下位置Lまで滑りやすくする。すなわち、傾斜載置面31に載置された携帯機器500が充電エリアRc(図6参照、送電コイルに対向する位置)から外れている場合、携帯機器500を充電エリアRcへとより確実に誘導できる。
【0052】
また、飛び出し防止部材33(図2及び図6参照)は、最下位置Lに達した携帯機器500(図6の位置β)が、右側壁32R(側壁32)に沿って上方に飛び出すことを防止するように最下位置Lに達した携帯機器500の一部を覆う。これにより、携帯機器500は、右側壁32R(側壁32)から飛び出すことが抑止され、携帯機器500をより安定して傾斜載置面31に保持することができる。
【0053】
また、図9に示すように、利用者は、携帯機器500を凹み部31Dの上に移動させ、さらに凹み部31Dの上から携帯機器500を指で押圧することで、携帯機器500の凹み部31Dとは反対側の端部を浮き上がらせ、端部が浮き上がった携帯機器500を容易に把持して取り外すことができる。従って、凹み部31Dは、傾斜載置面31に載置された携帯機器500の取り出しを容易にし得る。
【0054】
[第2の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20Bについて(図10)]
次に図10を用いて、第2の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20Bの詳細を説明する。第2の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20Bは、第1の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20Aの摩擦部材51の代わりに、逆方向移動抑止部材52を備えている。以下の第2の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20Bの説明において、第1の実施形態との相違点について主に説明し、同様の点については説明を省略する。
【0055】
図10は、携帯機器500が載置された逆方向移動抑止部材52の概略断面図である。図10に示すように、逆方向移動抑止部材52は、最下位置Lの近傍に設けられ、最下位置Lに向かう先端部52Aを多数有している。逆方向移動抑止部材52は、例えば繊維や樹脂で形成されている。逆方向移動抑止部材52の先端部52Aが、携帯機器500の下面に引っかかることで、携帯機器500が、傾斜載置面31の傾斜方向の下方側に向かう(最下位置Lに向かう)場合の摩擦係数よりも傾斜方向の上方側に向かう(最下位置Lの反対側に向かう)場合の摩擦係数のほうが大きくなる。
【0056】
従って、逆方向移動抑止部材52の上にある携帯機器500は、傾斜載置面31の傾斜方向下方側の最下位置Lの方へ移動しやすく、最下位置Lから遠ざかりにくい。これにより、携帯機器500の位置を、より確実に充電エリアRc内(図6参照)にとどめ得る。また、最下位置Lで静止している携帯機器500が、より一層移動しにくくなっている。従って、逆方向移動抑止部材52を設けることで、携帯機器500が良好に充電可能な最下位置Lから位置ずれすることをより確実に抑止できる。
【0057】
[第3の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20Cについて(図11図14
次に図11図14を用いて、第3の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20Cの詳細を説明する。第1の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20A(図2参照)と、第3の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20C(図11参照)との主な相違点は、傾斜載置面31の向きと、送電コイル40の形状と、飛び出し防止部材33の位置にある。以下の第3の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20Cの説明において、第1の実施形態との相違点について主に説明し、同様の点については説明を省略する。なお、摩擦部材51が傾斜載置面31の一部であることは、第1の実施形態と同様である。
【0058】
第1の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20A(図2参照)では、傾斜載置面31の最下位置Lは、長方形状の傾斜載置面31における後方右側の角31RB(1つの角)に設定されている。これに対して、図11に示すように、第3の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20Cでは、傾斜載置面31の最下位置Lが、長方形状の傾斜載置面31における後方の辺31SB(1つの辺)に設定されている。図12に示すように、傾斜載置面31の左右方向には傾斜はない。一方、図13に示すように、傾斜載置面31は前後に傾斜しており、傾斜載置面31に載置された携帯機器500は、後方の最下位置Lに向けて滑りやすくなっている。図13に示すように、車載用ワイヤレス充電装置20Cの縦断面において、傾斜載置面31の傾斜角度θcは、傾斜載置面31に載置された携帯機器500が傾斜載置面31の上を滑りやすい角度に設定されており、例えば、15°~60°の範囲に設定され、30°や、45°に設定されている。
【0059】
また、車載用ワイヤレス充電装置20Cの送電コイル40は、図11及び図14に示すように、左右方向に長い楕円形状となるように形成されており、車載用ワイヤレス充電装置20Aの送電コイル40(図2参照)よりも横長になっている。これにより、図14に示すように、第3の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20Cでは、充電エリアRcが、傾斜載置面31の左右にわたって広がっている。このため、携帯機器500が最下位置L(すなわち、傾斜載置面31上で最も低い位置)にありさえすれば、携帯機器500は充電エリアRc内にあり、良好に充電される。
【0060】
また、最下位置Lは、長方形状の傾斜載置面31における後方の辺31SB(この場合、1つの辺)に設定されている。これにより、携帯機器500は、最下位置Lの少なくとも一部を含む側壁32(後側壁32B、左側壁32L、右側壁32R)によって支持され、最下位置Lからの位置ずれが抑止される。そして、後側壁32B、左側壁32L、右側壁32Rは、最下位置Lに達した携帯機器500を適切な姿勢で保持する。
【0061】
[他の実施の形態]
本発明の車載用ワイヤレス充電装置は、上述した第1~3の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20A~20Cで説明した構成、形状、構造等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0062】
上述した第1~3の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20A~20Cのいずれにおいても、側壁32は、傾斜載置面31の周囲を一周するが、側壁32を、長方形状の傾斜載置面31における最下位置Lの少なくとも一部を含む辺のみに設けてもよい。例えば、第1~2の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20A~20Bにおいて、側壁32から前側壁32Fおよび左側壁32Lを省略し、側壁32が右側壁32Rおよび後側壁32Bのみを有する構成にしてもよい。また、例えば、第3の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20Cにおいて、側壁32から前側壁32Fを省略し、側壁32を後側壁32B、右側壁32R、及び左側壁32Lとする構成にしてもよい。これらにおいて、さらに凹み部31Dを省いてもよい。
【0063】
以上の様に側壁32を構成した場合、傾斜載置面31における最下位置Lの少なくとも一部を含まない辺には側壁32が無いため、携帯機器500を傾斜載置面31からはみ出して、傾斜載置面31に載置することができる。これにより、車載用ワイヤレス充電装置20Aは、傾斜載置面31のサイズよりも大きな携帯機器500(例えば、タブレット型端末)を、傾斜載置面31に載置して充電できる。
【0064】
上述した第1~3の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20A~20Cでは、側壁32に加えて、さらに位置ずれ抑止機構50として、摩擦部材51または逆方向移動抑止部材52を備えた例を説明した。しかし、位置ずれ抑止機構50は、最下位置Lにある携帯機器500の位置ずれを抑止するものであれば、摩擦部材51や逆方向移動抑止部材52でなくてもよい。
【0065】
上述した第1~3の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20A~20Cは、位置ずれ抑止機構50として、さらに、振動発生装置55および最下位置検出装置60を備えた例を説明したが、最下位置検出装置60を省いてもよい。また、上述した第1~3の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20A~20Cから、最下位置検出装置60及び振動発生装置55を省いてもよい。
【0066】
上述した第1~3の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20A~20Cは、飛び出し防止部材33を備えているが、飛び出し防止部材33を省いてもよい。
【0067】
上述した第1~3の実施形態の車載用ワイヤレス充電装置20A~20Cは、凹み部31Dを備えているが、凹み部31Dを省いてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 車両
11 給電部
12 ハンドル
13 コンソールボックス
20A、20B、20C 車載用ワイヤレス充電装置
30 ケース
31 傾斜載置面
31D 凹み部
31RB 角
31SB 辺
32 側壁
32F 前側壁
32B 後側壁
32R 右側壁
32L 左側壁
33 飛び出し防止部材
40 送電コイル
50 位置ずれ抑止機構
51 摩擦部材
52 逆方向移動抑止部材
52A 先端部
55 振動発生装置
60 最下位置検出装置
70 制御装置
80 充電スイッチ
500 携帯機器
510 受電コイル
α、β 位置
L 最下位置
Fm 動摩擦力
Fs 静止摩擦力
Rc 充電エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14