(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】配車支援システム及び配車支援方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240723BHJP
G06Q 30/0645 20230101ALI20240723BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240723BHJP
【FI】
G08G1/00 Z
G06Q30/0645
G06Q50/40
(21)【出願番号】P 2021009722
(22)【出願日】2021-01-25
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 晴規
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-174978(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179154(WO,A1)
【文献】特開2019-200606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G06Q 30/0645
G06Q 50/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が過去に乗車した車両である比較車両の運転感度に関する情報である比較車両感度情報及び複数の候補車両の運転感度に関する情報である候補車両感度情報が記録された記録部と、
前記比較車両感度情報が表す前記運転感度と前記候補車両感度情報が表す前記運転感度との差である感度差を演算する感度差演算部と、
前記感度差に基づく情報である感度差関連情報を表示する表示部と、
を有し、
前記感度差演算部が、前記比較車両及び前記候補車両のアクセル開度と加速度との相関関係を表す加速感度の差である前記感度差を演算し、
前記感度差演算部が、互いに重複しない複数のアクセル開度範囲毎に設定された重みづけ係数を用いて、前記感度差を演算する配車支援システム。
【請求項2】
前記感度差演算部が、前記比較車両及び前記候補車両のブレーキ踏力と減速度との相関関係を表す減速感度の差である前記感度差を演算する請求項1に記載の配車支援システム。
【請求項3】
前記感度差演算部が、互いに重複しない複数のブレーキ踏力範囲毎に設定された重みづけ係数を用いて、前記感度差を演算する請求項2に記載の配車支援システム。
【請求項4】
前記感度差演算部が、前記比較車両感度情報が表す前記運転感度と複数の前記候補車両感度情報が表す前記運転感度とに基づいて複数の前記感度差を演算し、
前記表示部が、演算された前記複数の感度差に基づいて生成された、前記利用者にいずれの前記候補車両を推薦するかを表す推薦情報を、前記感度差関連情報として表示する請求項1~3の何れか1項に記載の配車支援システム。
【請求項5】
前記利用者による前記比較車両に対する評価が、所定レベル以上の評価である場合、
前記感度差が小さくなるほど、前記候補車両は前記利用者に推薦され易くなる請求項4に記載の配車支援システム。
【請求項6】
コンピュータを用いて、
利用者が過去に乗車した車両である比較車両の運転感度と、複数の車両である候補車両の運転感度との差である感度差を演算
する処理、及び、
前記感度差に基づく情報である感度差関連情報を表示
する処理を実行する配車支援方法であって、
前記感度差が、前記比較車両及び前記候補車両のアクセル開度と加速度との相関関係を表す加速感度の差であり、
前記感度差が、互いに重複しない複数のアクセル開度範囲毎に設定された重みづけ係数を用いて演算される配車支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車支援システム及び配車支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、利用者が情報端末を利用して、車両を借りるための処理を実行可能なシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のシステムでは、利用者が借りようとしている車両の運転感度が利用者に適しているか否かが考慮されていない。そのため、この点において上記特許文献1のシステムには改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、利用者が自身に適した運転感度の車両を選択できるようにした配車支援システム及び配車支援方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の配車支援システムは、利用者が過去に乗車した車両である比較車両の運転感度に関する情報である比較車両感度情報及び複数の候補車両の運転感度に関する情報である候補車両感度情報が記録された記録部と、前記比較車両感度情報が表す前記運転感度と前記候補車両感度情報が表す前記運転感度との差である感度差を演算する感度差演算部と、前記感度差に基づく情報である感度差関連情報を表示する表示部と、を有し、前記感度差演算部が、前記比較車両及び前記候補車両のアクセル開度と加速度との相関関係を表す加速感度の差である前記感度差を演算し、前記感度差演算部が、互いに重複しない複数のアクセル開度範囲毎に設定された重みづけ係数を用いて、前記感度差を演算する。
【0007】
請求項1に記載の配車支援システムの感度差演算部は、記録部に記録された比較車両感度情報が表す運転感度と候補車両感度情報が表す運転感度との差である感度差を演算する。さらに表示部が、感度差に基づく情報である感度差関連情報を表示する。そのため、表示部を見た利用者は、自分が過去に乗車した車両である比較車両の運転感度に基づいて自身に適していると考えられる運転感度の車両を候補車両の中から選ぶことが可能である。
【0009】
請求項1に記載の発明では、感度差演算部が、比較車両及び候補車両のアクセル開度と加速度との相関関係を表す加速感度の差である感度差を演算する。そのため、表示部を見た利用者は、比較車両の加速感度に基づいて自身に適していると考えられる加速感度の車両を候補車両の中から選ぶことが可能である。
【0011】
請求項1に記載の発明では、感度差演算部が、複数のアクセル開度範囲毎に設定された重みづけ係数を用いて感度差を演算する。従って、重みづけ係数を適切な値に設定することにより、感度差演算部が演算した感度差が利用者にとってより有用になる。そのため、表示部を見た利用者が、自身に適していると考えられる加速感度の車両を候補車両の中から選ぶ可能性が高くなる。
【0012】
請求項2に記載の発明に係る配車支援システムは、請求項1に記載の発明において、前記感度差演算部が、前記比較車両及び前記候補車両のブレーキ踏力と減速度との相関関係を表す減速感度の差である前記感度差を演算する。
【0013】
請求項2に記載の発明では、感度差演算部が、比較車両及び候補車両のブレーキ踏力と減速度との相関関係を表す減速感度の差である感度差を演算する。そのため、表示部を見た利用者は、比較車両の減速感度に基づいて自身に適していると考えられる減速感度の車両を候補車両の中から選ぶことが可能である。
【0014】
請求項3に記載の発明に係る配車支援システムは、請求項2記載の発明において、前記感度差演算部が、互いに重複しない複数のブレーキ踏力範囲毎に設定された重みづけ係数を用いて、前記感度差を演算する。
【0015】
請求項3に記載の発明では、感度差演算部が、複数のブレーキ踏力範囲毎に設定された重みづけ係数を用いて感度差を演算する。従って、重みづけ係数を適切な値に設定することにより、感度差演算部が演算した感度差が利用者にとってより有用になる。そのため、表示部を見た利用者が、自身に適していると考えられる減速感度の車両を候補車両の中から選ぶ可能性が高くなる。
【0016】
請求項4に記載の発明に係る配車支援システムは、請求項1~3の何れか1項に記載の発明において、前記感度差演算部が、前記比較車両感度情報が表す前記運転感度と複数の前記候補車両感度情報が表す前記運転感度とに基づいて複数の前記感度差を演算し、前記表示部が、演算された前記複数の感度差に基づいて生成された、前記利用者にいずれの前記候補車両を推薦するかを表す推薦情報を、前記感度差関連情報として表示する。
【0017】
請求項4に記載の発明では、表示部が、利用者にいずれの候補車両を推薦するかを表す推薦情報を表示する。この推薦情報は、感度差演算部によって演算された複数の感度差に基づく感度差関連情報である。そのため、利用者は、表示部を見ることにより、自身に適した運転感度の車両を認識できる。
【0018】
請求項5に記載の発明に係る配車支援システムは、請求項4記載の発明において、前記利用者による前記比較車両に対する評価が、所定レベル以上の評価である場合、前記感度差が小さくなるほど、前記候補車両は前記利用者に推薦され易くなる。
【0019】
請求項5に記載の発明では、利用者による比較車両に対する評価が所定レベル以上の評価である場合に、感度差が小さくなるほど候補車両は利用者に推薦され易くなる。そのため、利用者は、過去に自身が高い評価を与えた比較車両と類似した運転感度の車両を候補車両の中から選ぶ可能性が高い。
【0020】
請求項6に記載の配車支援方法は、コンピュータを用いて、利用者が過去に乗車した車両である比較車両の運転感度と、複数の車両である候補車両の運転感度との差である感度差を演算する処理、及び、前記感度差に基づく情報である感度差関連情報を表示する処理を実行する配車支援方法であって、前記感度差が、前記比較車両及び前記候補車両のアクセル開度と加速度との相関関係を表す加速感度の差であり、前記感度差が、互いに重複しない複数のアクセル開度範囲毎に設定された重みづけ係数を用いて演算される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明に係る配車支援システム及び配車支援方法は、利用者が自身に適した運転感度の車両を選択できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態に係る配車支援システムの全体図である。
【
図2】
図1に示される配車支援システムの管理サーバの制御ブロック図である。
【
図3】
図2に示される管理サーバの機能ブロック図である。
【
図4】
図2に示される管理サーバに記録された会員履歴データを示す図である。
【
図5】
図1に示される配車支援システムの操作端末の機能ブロック図である。
【
図6】
図1に示される配車支援システムにおいて利用される車両を示す図である。
【
図7】
図1に示される管理サーバが実行する処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図1に示される管理サーバが実行する処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図1に示される管理サーバが実行する処理を示すフローチャートである。
【
図11】操作端末及び携帯端末が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図12】操作端末及び携帯端末に表示された利用可能車両リストを示す図である。
【
図13】操作端末及び携帯端末に表示された利用可能車両リストを示す図である。
【
図14】第2実施形態に係る配車支援システムにおいて利用される複数の車両の減速感度を表すグラフである。
【
図15】第2実施形態に係る配車支援システムの管理サーバが実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〈第1実施形態〉
以下、本発明に係る配車支援システム10(以下、単にシステム10と称する)及び配車支援方法の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、実施形態のシステム10の全体構成を示している。システム10は、管理サーバ12、操作端末14及び携帯端末16を備える。管理サーバ12及び操作端末14は、例えば、複数の車両20を保有するレンタカー会社の店舗に設置される。携帯端末16は、例えば、スマートフォン又はタブレット型コンピュータである。
【0025】
図2に示されるように管理サーバ12は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)12A、ROM(Read Only Memory)12B、RAM(Random Access Memory)12C、ストレージ(記録部)12D、通信I/F(Inter Face)12E及び入出力I/F12Fを含んで構成されている。CPU12A、ROM12B、RAM12C、ストレージ12D、通信I/F12E及び入出力I/F12Fは、バス12Zを介して相互に通信可能に接続されている。管理サーバ12は、タイマー(図示省略)から日時に関する情報を取得可能である。
【0026】
CPU12Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU12Aは、ROM12B又はストレージ12Dからプログラムを読み出し、RAM12Cを作業領域としてプログラムを実行する。CPU12Aは、ROM12B又はストレージ12Dに記録されているプログラムに従って、各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0027】
ROM12Bは、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM12Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ12Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により構成され、各種プログラム及び各種データを格納する。通信I/F12Eは、管理サーバ12が他の機器と通信するためのインタフェースである。入出力I/F12Fは、様々な装置と通信するためのインタフェースである。例えば、入出力I/F12Fには、管理サーバ12に設けられた無線通信装置13が接続されている。
【0028】
操作端末14は、CPU、ROM、RAM、ストレージ、通信I/F及び入出力I/Fを含んで構成されている。操作端末14のCPU、ROM、RAM、ストレージ、通信I/F及び入出力I/Fは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。操作端末14は、タイマー(図示省略)から日時に関する情報を取得可能である。操作端末14にはタッチパネルを有する表示部15が設けられている。表示部15は操作端末14の入出力I/Fに接続されている。
【0029】
管理サーバ12の通信I/F12Eと操作端末14の通信I/Fには、LAN(Local Area Network)が接続されている。
【0030】
図3には、管理サーバ12の機能構成の一例がブロック図で示されている。管理サーバ12は、機能構成として、送受信部121、感度演算部122、感度差演算部123、無線制御部124、待ち時間演算部125及び判定部126を有する。送受信部121、感度差演算部123、無線制御部124、待ち時間演算部125及び判定部126は、CPU12AがROM12Bに記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0031】
送受信部121は、LANを介して操作端末14(送受信部141)との間で情報を送受信する。
【0032】
感度演算部122は、後述する車両情報に基づいて、後述する車両感度情報(比較車両感度情報及び候補車両感度情報)を生成する。
【0033】
感度差演算部123は、ストレージ12Dに記録された車両感度情報に基づいて、後述する感度差を演算する。
【0034】
無線制御部124は無線通信装置13を制御する。即ち、無線制御部124が無線通信装置13を制御することにより、無線通信装置13が携帯端末16との間で無線通信を実行する。
【0035】
待ち時間演算部125及び判定部126の機能については後述する。
【0036】
上記レンタカー会社が所有する全ての車両20には、それぞれ車両IDが付与されている。さらにレンタカー会社に登録された全ての会員(利用者)には会員IDがそれぞれ付与されている。管理サーバ12のストレージ12Dには、各会員ID毎に作成された会員履歴データ18が記録されている(
図4参照)。会員履歴データ18は、各会員が現在までに利用した車両20の車両ID、各車両に乗車した回数、各車両の最新乗車日及び会員による各車両に対する評価が記録されている。評価は1~5の5段階であり、数字が小さくなるほど高い評価となる。これらの評価の中で、所定レベル以上の評価が「ポジティブ評価」である。本実施形態では、評価1、2が「ポジティブ評価」であり、評価3~5が「ネガティブ評価」である。会員は、操作端末14の表示部15(タッチパネル)又は携帯端末16の後述する表示部17(タッチパネル)を利用して、車両20に対する評価に関する情報を管理サーバ12の送受信部121へ送信する。評価に関する情報を受信した管理サーバ12は、当該情報を当該会員の会員IDに対応する会員履歴データ18に記録する。
図4に示された会員履歴データ18に対応する会員IDの会員は、過去に車両IDが100の車両20に乗車している。以下、車両IDが100の車両20を車両X20(比較車両)と称する場合がある。
【0037】
ストレージ12Dには、上記レンタカー会社が所有する全ての車両20の現在の利用状況に関する情報(以下、利用状況情報と称する)が記録されている。利用状況情報には、各車両20が現時点において会員に利用されているか否かに関する情報及び会員が利用中の車両20が非利用状態(待機状態)になるまでの待ち時間に関する情報が含まれる。利用状況情報は、各車両20の現在状況に応じてリアルタイムで更新される。
【0038】
図1に示される携帯端末16は、システム10の会員によって所有される。携帯端末16は、タッチパネルを有する表示部17を備える。携帯端末16は、CPU、ROM、RAM、ストレージ、通信I/F及び入出力I/Fを含んで構成されている。これらCPU、ROM、RAM、ストレージ、通信I/F及び入出力I/Fは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。携帯端末16は、タイマー(図示省略)から日時に関する情報を取得可能である。携帯端末16は、無線通信装置13と無線通信可能である。さらに、上記レンタカー会社が作成したソフトウェアであるレンタカー予約アプリケーションが携帯端末16にインストールされている。
【0039】
図5には、操作端末14及び携帯端末16の機能構成の一例がブロック図で示されている。操作端末14は、機能構成として、送受信部141、表示部制御部142及び時間判定部143を有する。同様に、携帯端末16は、機能構成として、送受信部161、表示部制御部162、時間判定部163を有する。送受信部141、161、表示部制御部142、162及び時間判定部143、163は、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0040】
送受信部141は、LANを介して、管理サーバ12の送受信部121と情報を送受信する。送受信部161は、管理サーバ12の送受信部121と無線通信を行う。
【0041】
表示部制御部142は表示部15を制御する。即ち、表示部制御部142は、例えば、送受信部141が送受信部121から受信した情報及びタッチパネルを介して入力された情報を表示部15に表示させる。さらに表示部制御部142は、表示部15のタッチパネルによって入力された情報を送受信部141へ送り、送受信部141に当該情報を送受信部121へ送信させる。
【0042】
表示部制御部162は表示部17を制御する。即ち、表示部制御部162は、例えば送受信部161が送受信部121から受信した情報及び携帯端末16のタッチパネルを介して入力された情報を表示部17に表示させる。さらに表示部制御部162は、タッチパネルによって入力された情報を送受信部161へ送り、送受信部161に当該情報を送受信部121へ送信させる。
【0043】
時間判定部143、163の機能については後述する。
【0044】
図6は、上記レンタカー会社が保有する車両20を示す。車両20は、ECU(Electronic Control Unit)21、車輪速センサ22、アクセル開度センサ23、踏力センサ24及び無線通信装置25を有する。車輪速センサ22、アクセル開度センサ23、踏力センサ24及び無線通信装置25はECU21に接続されている。ECU21は、CPU、ROM、RAM、ストレージ、通信I/F及び入出力I/Fを含んで構成されている。ECU21のCPU、ROM、RAM、ストレージ、通信I/F及び入出力I/Fは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0045】
複数の車輪速センサ22は、車両20の各車輪の車輪速をそれぞれ検出し、検出信号をECU21へ出力する。ECU21は所定時間が経過する毎に、各車輪速センサ22から受信した信号に基づいて、車両20の加速度Ac及び減速度Dcを演算する。
【0046】
アクセル開度センサ23は、車両20の運転者がアクセルペダル(図示省略)を踏み込むことにより変化するアクセル開度Oacに応じた信号を、所定時間が経過する毎にECU21へ出力する。
【0047】
踏力センサ24は、車両20の運転者がブレーキペダル(図示省略)に入力したブレーキ踏力Fbを表す検出信号を、所定時間が経過する毎にECU21へ出力する。
【0048】
上記レンタカー会社が所有する全ての車両20の無線通信装置25は、加速度Ac、減速度Dc、アクセル開度Oac及びブレーキ踏力Fbを表す情報を、車両20を運転する会員の会員ID、車両ID及び日時と関連付けながら、無線通信により無線通信装置13へ送信する。以下、加速度Ac、減速度Dc、アクセル開度Oac及びブレーキ踏力Fbを表す情報を「車両情報」と総称することがある。無線通信装置13が受信した車両情報はストレージ12Dに記録される。例えば、車両20のイグニッションスイッチの位置がON位置からOFF位置に切り替えられたときに、車両20の無線通信装置25は、イグニッションスイッチがON位置に位置する間に取得された全ての車両情報を無線通信装置13へ送信する。また、車両20のイグニッションスイッチの位置がON位置に位置する間、無線通信装置25は、車両情報を所定時間が経過する毎に無線通信装置13へ送信してもよい。また、記録装置(例えばUSBメモリ)に車両20の車両情報を記録し、この記録装置に記録された車両情報をストレージ12Dに記録してもよい。
【0049】
(作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0050】
まず本実施形態の管理サーバ12が行う処理の流れについて、
図7、
図8及び
図10のフローチャートを用いて説明する。
【0051】
管理サーバ12は、所定時間が経過する毎に、
図7のフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0052】
まずステップS10において管理サーバ12の送受信部121は、車両情報を受信したか否かを判定する。
【0053】
ステップS10においてYesと判定したとき、管理サーバ12はステップS11へ進み、受信した車両情報をストレージ12Dに記録させる。
【0054】
管理サーバ12は、ステップS11の処理を終えたとき、又は、ステップS10でNoと判定したとき、
図7のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0055】
管理サーバ12は、所定時間が経過する毎に、
図8のフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0056】
まずステップS20において管理サーバ12の感度演算部122は、少なくとも一つの車両IDに関する車両情報が、ストレージ12Dに新たに記録されたか否かを判定する。
【0057】
ステップS20においてYesと判定したとき、管理サーバ12はステップS21へ進み、更新された車両情報に基づいて、感度演算部122が当該車両IDに関する車両感度情報を生成(更新)する。本実施形態の車両感度情報は加速感度情報である。
【0058】
図9は、3台の車両20(ID:100、ID:200、ID:300)の加速感度を表すグラフ(関数)を示す。以下、車両IDが200の車両20を車両A(候補車両)20と称し、車両IDが300の車両20を車両B(候補車両)20と称する場合がある。なお、ID:200、300の車両20は、システム10にアクセスした会員(以下、アクセス会員と称する場合がある)が乗車したことがない車両である。加速感度は、アクセル開度Oac(横軸)と加速度Ac(縦軸)との相関関係を表す。例えば、感度演算部122は、ストレージ12Dに記録された各車両20の全てのアクセル開度Oac及び加速度Acをプロットし、さらに最小二乗法を用いて、プロットされた全ての点から
図9に示された関数(近似式)を求める。
図9中のF
100A(x)は、車両X20の加速感度を表す関数である。同様に、F
200A(x)は、車両A20の加速感度を表す関数であり、F
300A(x)は、車両B20の加速感度を表す関数である。さらに、感度演算部122は、各車両20の車速を3つの領域(低速領域、中速領域、高速領域)に分類し、各領域毎に加速感度を表すグラフ(関数)を求める。
【0059】
ステップS21の処理を終えた管理サーバ12はステップS22へ進み、
図9に示された加速感度に関する情報である加速感度情報をストレージ12Dに記録させる(更新する)。
【0060】
管理サーバ12は、ステップS22の処理を終えたとき、又は、ステップS20でNoと判定したとき、
図8のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0061】
管理サーバ12は、所定時間が経過する毎に、
図10のフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0062】
まずステップS30において管理サーバ12の感度差演算部123は、会員が操作端末14の表示部15(タッチパネル)又はレンタカー予約アプリケーションが起動された携帯端末16を用いてシステム10にアクセスしたか否かを判定する。以下、操作端末14及び携帯端末16の少なくとも一方を、端末14、16と称する場合がある。
【0063】
ステップS30においてYesと判定したとき、管理サーバ12はステップS31へ進み、更新された加速感度情報に基づいて、感度差演算部123が、アクセス会員が過去に乗車した記録がある車両X20及びその他の車両A、B20に関する加速感度差を、上記3つの領域毎に演算する。即ち、
図9に示されるように、数式1、2を用いて、車両X20と車両A20の加速感度差DaA(X)及び車両X20と車両B20の加速感度差DaB(X)を演算する。演算された加速感度差DaA(X)及び加速感度差DaB(X)はストレージ12Dに記録される。
【0064】
【0065】
【0066】
感度差演算部123は、DaA(x)=F200A(x)-F100A(x)を積分して加速感度差DaA(X)を演算する。さらに、感度差演算部123が、DaB(x)=F100A(x)-F300A(x)を積分して加速感度差DaB(X)を演算する。
【0067】
図9に示されるアクセル開度Oacの範囲(0~100)に、互いに重複しない3つのアクセル開度範囲が設定されている。3つのアクセル開度範囲の中で、「0」から所定値である「L(Low)」までのアクセル開度範囲を「低開度範囲AL」と定義し、所定値である「H(High)」から「100」までのアクセル開度範囲を「高開度範囲AH」と定義する。そして数式1、2に示されるように、低開度範囲ALの積分値に重みづけ係数「2」を掛け、且つ、高開度範囲AHの積分値に重みづけ係数「1.5」を掛ける。低開度範囲AL及び高開度範囲AHとは異なるアクセル開度範囲の積分値に掛けられる重みづけ係数は「1」である。
【0068】
例えば、停車状態にある車両20が発車する場合又は低速で走行中の車両20が駐車状態に移行する場合に、アクセル開度Oacが低開度範囲ALになる可能性が高い。これらの場合に、運転者にとって適さない加速感度を有する車両20のアクセル開度Oacが低開度範囲ALになると、会員が良好な操作感を得られないおそれが強い。即ち、これらの場合に低開度範囲ALのアクセル開度Oacは、車両20の加速感度に大きな影響を与える。そのため、低開度範囲ALの積分値に重みづけ係数「2」が掛けられる。なお、低開度範囲ALの積分値に掛けられる重みづけ係数は「2」以外の数値であってもよい。
【0069】
例えば、車両が左側通行を行う国において交差点で停車している車両20が右折するために発進する場合又は一般道路を走行中の車両20が高速道路に入る場合に、アクセル開度Oacが高開度範囲AHになる可能性が高い。これらの場合に、運転者にとって適さない加速感度を有する車両20のアクセル開度Oacが高開度範囲AHになると、会員が良好な操作感を得られないおそれが強い。即ち、これらの場合に高開度範囲AHのアクセル開度Oacは、車両20の加速感度に大きな影響を与える。そのため、高開度範囲AHの積分値に重みづけ係数「1.5」が掛けられる。なお、高開度範囲AHの積分値に掛けられる重みづけ係数は「1.5」以外の数値であってもよい。
【0070】
本実施形態においては、上記3つの領域の加速感度差DaA(X)の合計値が、3つの領域の加速感度差DaB(X)の合計値より小さい。即ち、車両A20の加速感度は、車両B20の加速感度よりも、車両X20の加速感度に近い。
【0071】
管理サーバ12は、ステップS31の処理を終えたとき、又は、ステップS30でNoと判定したとき、
図10のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0072】
会員が表示部15又は表示部17を用いてシステム10にアクセスすると、所定時間が経過する毎に、端末14、16が
図11のフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0073】
まずステップS40において、操作端末14の送受信部141及び携帯端末16の送受信部161の少なくとも一方は、アクセス会員の会員IDに対応する利用可能車両リスト19A、19B(
図12、13参照)に関するデータの送信を送受信部121へ要求する。利用可能車両リスト19A、19Bに記載された車両IDの車両(候補車両)は、現時点において他の会員が乗車していない車両又は待ち時間(利用可能になる時間までの時間)が所定時間以下の車両である。なお、会員が過去に乗車した車両が、利用可能車両リスト19A、19Bに候補車両として記載される場合がある。
【0074】
この場合、管理サーバ12の送受信部121は、ストレージ12Dに記録された当該会員の会員IDに対応する会員履歴データ18の評価の有無及び種類によって、送信する利用可能車両リスト19A、19Bを選択する。即ち、会員履歴データ18に「ポジティブ評価」がある場合又は評価がない場合は、送受信部121は
図12に示される利用可能車両リスト19Aを送信する。一方、会員履歴データ18に「ネガティブ評価」がある場合、送受信部121は
図13に示される利用可能車両リスト19Bを送信する。
【0075】
例えば、
図4に示されるように当該会員が過去に乗車した車両X20に対して「1」の評価(ポジティブ評価)を与えた場合は、ステップS41において、利用可能車両リスト19Aに関するデータを端末14、16の送受信部141、161が受信する。そして、表示部制御部142、162が表示部15、17に利用可能車両リスト19Aを表示させる。利用可能車両リスト19Aには、現在利用が可能な車両20の「車両ID」、「車両挙動近似度」、「待ち時間」、「おすすめ度」及び「選択ボタン」が含まれる。
【0076】
感度差関連情報の一つである「車両挙動近似度」は、当該会員が過去に乗車した車両X20と車両A20、20Bとの感度差を表す。感度差が小さい程、近似度が高くなる。例えば、ステップS31で演算された上記3つの領域の加速感度差DaA(X)の合計値が3つの領域の加速感度差DaB(X)の合計値より小さい。そのため利用可能車両リスト19Aでは、車両A20の「車両挙動近似度」が「似ている」と表示され、車両B20の「車両挙動近似度」が「似ていない」と表示される。
【0077】
「待ち時間」は、待ち時間演算部125が、利用状況情報に基づいて演算する。
【0078】
感度差関連情報の一つである「おすすめ度(推薦情報)」は、判定部126が、「車両挙動近似度」及び「待ち時間」に基づいて生成する。車両X20(比較車両)にポジティブ評価が付与されている場合は、「車両挙動近似度」が高い程、「おすすめ度」は高くなり、「待ち時間」が短い程、「おすすめ度」は高くなる。車両X20(比較車両)にネガティブ評価が付与されている場合は、「車両挙動近似度」が低い程、「おすすめ度」は高くなり、「待ち時間」が短い程、「おすすめ度」は高くなる。
【0079】
この場合は、当該会員がポジティブ評価を与えている車両X20の加速感度と車両A20の加速感度が似ており、且つ、車両X20の加速感度と車両B20の加速感度が似ていない。そのため、車両A20の待ち時間が車両B20の待ち時間より長いものの、車両A20のおすすめ度(1)が車両B20のおすすめ度(2)より高い。
【0080】
一方、例えば、当該会員が車両X20に対してネガティブ評価を与えている場合を想定する。この場合は、ステップS41において、利用可能車両リスト19Bに関するデータを端末14、16の送受信部141、161が受信する。そして、表示部制御部142、162が表示部15、17に利用可能車両リスト19Bを表示させる。
【0081】
この場合は、当該会員がネガティブ評価を与えている車両X20の加速感度と車両A20の加速感度が似ており、且つ、車両X20の加速感度と車両B20の加速感度が似ていない。そのため、加速感度の観点からは、当該会員にとっては、車両B20の方が車両A20より適している。さらに、車両B20の待ち時間が車両A20の待ち時間より短い。そのため、利用可能車両リスト19Bにおいては、車両B20のおすすめ度(1)が車両A20のおすすめ度(2)より高い。
【0082】
ステップS41の処理を終えた端末14、16はステップS42へ進み、時間判定部143、163が、会員が選択ボタンを介して何れかの車両20を選択したか否かを判定する。ステップS42でNoと判定したとき、時間判定部143、163はステップS42の処理を再度行う。
【0083】
ステップS42でYesと判定したとき、時間判定部143、163はステップS43へ進む。ステップS43へ進んだ時間判定部143、163は、会員によって選択された車両20の待ち時間が経過したか否かを判定する。時間判定部143、163は、ステップS43でYesと判定するまで、ステップS43の処理を繰り返す。
【0084】
ステップS43においてYesと判定した端末14、16はステップS44へ進み、表示部15、17が、選択された車両20が利用可能となった旨表示する。
【0085】
端末14、16は、ステップS44の処理を終えたとき、
図11のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0086】
以上説明したように、本実施形態のシステム10及び配車支援方法においては、複数の車両20の加速感度の差である加速感度差を感度差演算部123が演算する。さらに端末14、16の表示部15、17が、加速感度差に基づく情報である車両挙動近似度(感度差関連情報)を表示する。そのため、車両X20(比較車両)に対してポジティブ評価が付与されている場合は、表示部15、17を見た会員は車両X20と加速感度が類似する車両を選択できる。また、車両X20に対してネガティブ評価が付与されている場合は、表示部15、17を見た会員は車両X20と加速感度が類似していない車両を選択できる。そのため会員は自身に適した加速感度の車両20を選択できる。
【0087】
さらに本実施形態のシステム10及び配車支援方法においては、アクセル開度Oacの大きさに応じて重みづけをしながら加速感度差が演算される。そのため、アクセル開度Oacが低開度範囲AL又は高開度範囲AHにあるときに、選択した車両20の加速感度が会員にとって適した加速感度になり易い。
【0088】
<第2実施形態>
次に、
図14及び
図15を参照しながら、本発明に係るシステム10及び配車支援方法の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0089】
本実施形態の管理サーバ12は
図8のステップS21において、更新された車両情報に基づいて車両感度情報を生成する。本実施形態の車両感度情報は減速感度情報である。
【0090】
図14は、3台の車両X、車両A、車両B20の減速感度を表すグラフ(関数)を示す。減速感度は、ブレーキ踏力Fb(横軸)と減速度Dc(縦軸)との相関関係を表す。例えば、感度演算部122は、ストレージ12Dに記録された各車両20の全てのブレーキ踏力Fbと減速度Dcをプロットし、さらに最小二乗法を用いて、プロットされた全ての点から
図14に示された関数(近似式)を求める。
図14中のF
100D(x)は車両X20の減速感度を表す関数である。同様に、F
200D(x)は車両A20の減速感度を表す関数であり、F
300D(x)は車両20Bの減速感度を表す関数である。さらに、感度演算部122は、各車両20の車速を3つの領域(低速領域、中速領域、高速領域)に分類し、各領域毎に減速感度を表すグラフ(関数)を求める。
【0091】
さらに本実施形態の管理サーバ12は、所定時間が経過する毎に、
図15のフローチャートの処理を実行する。
【0092】
まずステップS50の処理はステップS30と同一である。
【0093】
ステップS50においてYesと判定したとき、感度差演算部123はステップS51において、更新された減速感度情報に基づいて、車両X20及びその他の車両A、車両B20に関する減速感度差を、上記3つの領域毎に演算する。即ち、
図14に示されるように、数式3、4を用いて、車両X20と車両A20の減速感度差DdA(X)及び車両X20と車両B20の減速感度差DdB(X)が演算される。演算された減速感度差DdA(X)及び減速感度差DdB(X)はストレージ12Dに記録される。
【0094】
【0095】
【0096】
感度差演算部123は、DdA(x)=F200D(x)-F100D(x)を積分して減速感度差DdA(X)を演算する。さらに感度差演算部123が、DdB(x)=F100D(x)-F300D(x)を積分して減速感度差DdB(X)を演算する。
【0097】
図14に示されるブレーキ踏力Bfの「0」から所定値である「L(Low)」までのブレーキ踏力範囲を「低踏力範囲DL」と定義する。なお、横軸の所定値である「H(High)」は「L」より大きいブレーキ踏力を表す。数式3、4に示されるように、低踏力範囲DLの積分値に重みづけ係数「2」を掛ける。低踏力範囲DL以外のブレーキ踏力範囲の積分値に掛けられる重みづけ係数は「1」である。
【0098】
例えば、低速で走行中の車両20が停止する場合に、ブレーキ踏力Bfが低踏力範囲DLになる可能性が高い。この場合に運転者にとって適さない減速感度を有する車両20のブレーキ踏力Bfが低踏力範囲DLになると、会員が良好な操作感を得られないおそれが強い。即ち、会員が想定する距離よりも近い距離まで車両20が先行車に接近するおそれがある。また会員が想定する距離よりも近い距離まで、後続車が車両20に接近するおそれがある。そのため低踏力範囲DLの積分値に重みづけ係数「2」が掛けられる。なお低踏力範囲DLの積分値に掛けられる重みづけ係数は「2」以外の数値であってもよい。
【0099】
本実施形態においては、上記3つの領域の減速感度差DdA(X)の合計値が、3つの領域の減速感度差DdB(X)の合計値より小さい。即ち、車両A20の減速感度は、車両B20の減速感度よりも、車両X20の減速感度に近い。
【0100】
管理サーバ12は、ステップS51の処理を終えたとき、又は、ステップS50でNoと判定したとき、
図15のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0101】
本実施形態においても、会員がシステム10にアクセスすると、所定時間が経過する毎に、端末14、16が
図11のフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0102】
例えば、当該会員が過去に乗車した車両X20に対して「1」の評価(ポジティブ評価)を与えた場合は、ステップS41において利用可能車両リスト19Aに関するデータを端末14、16の送受信部141、161が受信する。
【0103】
この場合は、当該会員がポジティブ評価を与えている車両X20の減速感度と車両A20の減速感度が似ており、且つ、車両X20の減速感度と車両B20の減速感度が似ていない。そのため、車両A20の待ち時間が車両B20の待ち時間より長いものの、車両A20のおすすめ度(1)が車両B20のおすすめ度(2)より高い。
【0104】
一方、例えば、当該会員が車両X20に対してネガティブ評価を与えている場合を想定する。この場合は、ステップS41において、利用可能車両リスト19Bに関するデータを端末14、16の送受信部141、161が受信する。そして、表示部制御部142、162が表示部15、17に利用可能車両リスト19Bを表示させる。
【0105】
この場合は当該会員がネガティブ評価を与えている車両X20の減速感度と車両A20の減速感度が似ており、且つ、車両X20の減速感度と車両B20の減速感度が似ていない。そのため減速感度の観点からは、当該会員にとっては車両B20の方が車両A20より適している。さらに車両B20の待ち時間が車両A20の待ち時間より短い。そのため、利用可能車両リスト19Bにおいては、車両B20のおすすめ度(1)が車両A20のおすすめ度(2)より高い。
【0106】
以上説明したように、本実施形態のシステム10及び配車支援方法においては、複数の車両20の減速感度の差である減速感度差を感度差演算部123が演算する。さらに端末14、16の表示部15、17が、減速感度差に基づく情報である車両挙動近似度(感度差関連情報)を表示する。そのため、車両X20(比較車両)に対してポジティブ評価が付与されている場合は、表示部15、17を見た会員は車両X20と減速感度が類似する車両を選択できる。また、車両X20に対してネガティブ評価が付与されている場合は、表示部15、17を見た会員は車両X20と減速感度が類似していない車両を選択できる。そのため会員は自身に適した減速感度の車両20を選択できる。
【0107】
さらに本実施形態のシステム10及び配車支援方法においては、ブレーキ踏力Bfの大きさに応じて重みづけをしながら減速感度差が演算される。そのためブレーキ踏力Bfが低踏力範囲DLにあるときに、選択した車両20の減速感度が会員にとって適した減速感度になり易い。
【0108】
以上、第1及び第2実施形態に係るシステム10及び配車支援方法について説明したが、システム10及び配車支援方法は本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能である。
【0109】
例えば、車両の運転感度は、加速感度及び減速感度と異なる感度であってもよい。例えば、運転感度として車両のEPS(Electric Power Steering)のステアリング感度を用いてもよい。このステアリング感度を表す関数は、例えば、ステアリングの操舵トルク(横軸)と車両のヨーレート(縦軸)によって表される。
【0110】
上記配車支援方法を実行する主体は、例えば車両を保有せずに会員が所有する車両(マイカー)を他の会員に利用させるカーマッチングサービスを行う者(組織)であってもよい。この場合は、例えばカーマッチングサービスを行う会社の社屋に管理サーバ12が設置され、会員は携帯端末16を利用して管理サーバ12にアクセスする。この場合は、会員のマイカーが「比較車両」として会員履歴データ18に登録されてもよい。但し、この場合の比較車両(マイカー)は候補車両から除外される。
【0111】
数式1、2、3、4において重みづけが行われなくてもよい。
【0112】
複数種類の運転感度の感度差(加速感度差、減速感度差、ステアリング感度差)に基づいて、「車両挙動近似度」が求められてもよい。
【0113】
運転感度の感度差が、2つの車速領域(低速領域、高速領域)毎に演算されてもよい。また、各運転感度の感度差は、車速領域毎に演算されず、1種類のみ演算されてもよい。
【0114】
複数の比較車両の運転感度と、複数の候補車両の運転感度との差である感度差を求めてもよい。例えば、比較車両が2台であり、且つ、一方の車両に対する会員の評価が高い場合を想定する。この場合は、評価が低い車両との感度差が小さい候補車両より、評価が高い車両との感度差が小さい候補車両の方が、(待ち時間が同じであれば)「おすすめ度」が高くなる。
【符号の説明】
【0115】
10 配車支援システム(システム)
12D ストレージ(記録部)
123 感度差演算部
15 表示部
17 表示部
20 車両A(候補車両)、車両B(候補車両)、車両X(比較車両)