(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ポータブル充電器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240723BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240723BHJP
B60L 53/60 20190101ALI20240723BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20240723BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
B60L53/14
B60L53/60
B60L53/30
(21)【出願番号】P 2021014337
(22)【出願日】2021-02-01
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 大和
(72)【発明者】
【氏名】大野 友也
(72)【発明者】
【氏名】安藤 徹
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-207829(JP,A)
【文献】特開2009-194958(JP,A)
【文献】特開2020-043636(JP,A)
【文献】特開2016-005399(JP,A)
【文献】国際公開第2012/070432(WO,A1)
【文献】特開2014-241670(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0271075(US,A1)
【文献】特開2020-072496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 53/14
B60L 53/60
B60L 53/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電設備の出力部と接続可能に構成され、前記給電設備の前記出力部から交流電力が入力されるAC入力部と、
給電対象の受電部と接続可能に構成され、前記給電対象の前記受電部へ直流電力を出力するDC出力部と、
前記AC入力部から入力される交流電力を直流電力に変換して前記DC出力部へ出力する電力変換回路と、
前記電力変換回路を制御する制御装置とを備え、
前記DC出力部は、開始スイッチを有し、
前記開始スイッチは、ユーザによって操作されると、前記DC出力部が直流電力を出力するように前記電力変換回路を制御することを前記制御装置に指示し、
前記AC入力部と前記DC出力部との少なくとも一方が未接続であるときには、前記開始スイッチが無効化さ
れ、
前記AC入力部と前記DC出力部との両方が接続された状態で前記開始スイッチがユーザによって操作されると、第1提示を行ない、前記AC入力部と前記DC出力部との少なくとも一方が未接続である状態で前記開始スイッチがユーザによって操作されると、前記第1提示とは異なる第2提示を行なう提示装置をさらに備える、ポータブル充電器。
【請求項2】
前記開始スイッチは点灯可能に構成され、
前記提示装置は、前記第1提示と前記第2提示とで前記開始スイッチの点灯状態を変える、請求項
1に記載のポータブル充電器。
【請求項3】
ユーザによる前記開始スイッチの操作が規制されたロック状態と、ユーザによる前記開始スイッチの操作が許容されたアンロック状態とを切り替えるロック機構をさらに備え、
前記AC入力部と前記DC出力部との少なくとも一方が未接続であるときには、前記ロック機構が前記開始スイッチを前記ロック状態にすることによって前記開始スイッチを無効化する、請求項1
又は2に記載のポータブル充電器。
【請求項4】
ユーザからのタイマ充電の設定を受け付ける入力装置をさらに備え、
ユーザによって前記タイマ充電が設定された場合には、前記開始スイッチが無効化される、請求項1~
3のいずれか一項に記載のポータブル充電器。
【請求項5】
前記入力装置は、前記DC出力部に配置される、請求項
4に記載のポータブル充電器。
【請求項6】
前記給電対象は、蓄電装置を備える車両であり、
前記受電部は、前記車両の直流電力用インレットであり、
前記DC出力部は、前記直流電力用インレットに接続可能なDCコネクタである、請求項1~
5のいずれか一項に記載のポータブル充電器。
【請求項7】
前記給電設備は、コンセントを有する第1の車両用給電設備であり、
前記出力部は、前記第1の車両用給電設備の前記コンセントであり、
前記AC入力部は、前記コンセントに接続可能なACプラグである、請求項
6に記載のポータブル充電器。
【請求項8】
前記給電設備は、ケーブルを有する第2の車両用給電設備であり、
前記出力部は、前記第2の車両用給電設備の前記ケーブルのコネクタであり、
前記AC入力部は、前記ケーブルの前記コネクタが接続可能なACインレットである、請求項
6に記載のポータブル充電器。
【請求項9】
前記電力変換回路を内蔵し、第1ケーブルを介して前記AC入力部に接続されるとともに、第2ケーブルを介して前記DC出力部に接続される筐体をさらに備える、請求項1~
8のいずれか一項に記載のポータブル充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポータブル充電器に関し、特に、交流電力を受けて直流電力を出力するポータブル充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2020-043636号公報(特許文献1)には、交流電力を受けて直流電力を出力するポータブル充電器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されるポータブル充電器によれば、交流電力を供給するEVSE(Electric Vehicle Supply Equipment:車両用給電設備)を用いて、車両が備える蓄電装置を充電できる。ユーザは、ポータブル充電器をEVSE及び車両の両方に接続した後、EVSEに設けられた開始スイッチを操作することによって、充電を開始することができる。しかしながら、充電開始時の上記作業はユーザにとって煩わしく、こうした作業を充電開始時にユーザに求めることは、ユーザの利便性を低下させる。上記特許文献1に記載されるポータブル充電器は、ユーザの利便性について改善の余地が残されている。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、充電開始時の作業に関するユーザの利便性を高めたポータブル充電器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るポータブル充電器は、AC入力部と、DC出力部と、電力変換回路と、制御装置とを備える。AC入力部は、給電設備の出力部と接続可能に構成されるとともに、給電設備の出力部から交流電力が入力されるように構成される。DC出力部は、給電対象の受電部と接続可能に構成されるとともに、給電対象の受電部へ直流電力を出力するように構成される。電力変換回路は、AC入力部から入力される交流電力を直流電力に変換してDC出力部へ出力するように構成される。制御装置は、電力変換回路を制御するように構成される。DC出力部は、開始スイッチを有する。開始スイッチは、ユーザによって操作されると、DC出力部が直流電力を出力するように電力変換回路を制御することを制御装置に指示するように構成される。当該ポータブル充電器は、AC入力部とDC出力部との少なくとも一方が未接続であるときに開始スイッチが無効化されるように構成される。
【0007】
上記ポータブル充電器によれば、ユーザは、ポータブル充電器のAC入力部を給電設備の出力部に接続した後、ポータブル充電器のDC出力部を給電対象の受電部に接続し、さらに、DC出力部に設けられた開始スイッチを操作することで、給電対象に対する給電(直流電力の供給)を開始できる。ユーザは、DC出力部を手で持って受電部に接続すると考えられるため、DC出力部の接続後に上記開始スイッチを操作することは容易である。ユーザは、DC出力部の接続と、開始スイッチの操作とを、一連の作業として行なうことができる。このため、上記構成によれば、充電開始時の作業に関するユーザの利便性を高めることができる。
【0008】
上記ポータブル充電器では、DC出力部に開始スイッチが設けられているため、ユーザがDC出力部を手で持って受電部に接続するときに、誤って開始スイッチを操作してしまう可能性がある。DC出力部が受電部に接続されていない状態でDC出力部に直流電力が出力されることは、無駄な電力消費を生じさせたり、故障を招いたりすることがあり、好ましくない。そこで、上記ポータブル充電器は、AC入力部とDC出力部との少なくとも一方が未接続であるときには開始スイッチが無効化されるように構成される。これにより、DC出力部が受電部に接続されていない状態でDC出力部に直流電力が出力されることを抑制できる。
【0009】
上記のポータブル充電器は、以下に示す提示装置をさらに備えてもよい。提示装置は、AC入力部とDC出力部との両方が接続された状態で開始スイッチがユーザによって操作されると、第1提示を行ない、AC入力部とDC出力部との少なくとも一方が未接続である状態で開始スイッチがユーザによって操作されると、第1提示とは異なる第2提示を行なうように構成される。
【0010】
上記構成によれば、開始スイッチが操作されたときのAC入力部及びDC出力部の接続状態をユーザが把握しやすくなる。
【0011】
上記開始スイッチは点灯可能に構成されてもよい。上記提示装置は、第1提示と第2提示とで開始スイッチの点灯状態を変えてもよい。
【0012】
ユーザが開始スイッチを操作するときには開始スイッチを見ている可能性が高いため、上記構成によれば、ユーザが第1提示及び第2提示を確認しやすくなる。
【0013】
上記のポータブル充電器は、ユーザによる開始スイッチの操作が規制されたロック状態と、ユーザによる開始スイッチの操作が許容されたアンロック状態とを切り替えるロック機構をさらに備えてもよい。上記のポータブル充電器は、AC入力部とDC出力部との少なくとも一方が未接続であるときには、ロック機構が開始スイッチをロック状態にすることによって開始スイッチを無効化するように構成されてもよい。
【0014】
上記構成によれば、ユーザは、開始スイッチを通常どおりに操作できるか否かによって、開始スイッチが有効か無効かを認識することができる。
【0015】
上記のポータブル充電器は、ユーザからのタイマ充電の設定を受け付ける入力装置をさらに備えてもよい。上記のポータブル充電器は、ユーザによってタイマ充電が設定された場合に開始スイッチが無効化されるように構成されてもよい。
【0016】
タイマ充電は、予め設定されたスケジュールに従う充電である。タイマ充電では、予め設定された開始時刻に充電が開始される。上記構成によれば、開始スイッチの操作による充電開始と、タイマ充電の開始時刻到来による充電開始とを使い分けることができる。
【0017】
上記の入力装置は、DC出力部に配置されてもよい。
【0018】
ユーザは、DC出力部を手で持って受電部に接続すると考えられるため、DC出力部の接続後に上記入力装置を操作することは容易である。上記構成によれば、ユーザが、DC出力部の接続と、タイマ充電の設定とを、一連の作業として行なうことができる。
【0019】
上述したいずれかのポータブル充電器は、車両が備える蓄電装置の充電に適用されてもよい。より具体的には、上述したいずれかのポータブル充電器は、以下に示すような構成を有してもよい。
【0020】
上述したいずれかのポータブル充電器において、給電対象は、蓄電装置を備える車両であってもよい。受電部は、車両の直流電力用インレットであってもよい。DC出力部は、直流電力用インレットに接続可能なDCコネクタであってもよい。
【0021】
上記給電設備は、コンセントを有する第1の車両用給電設備であってもよい。出力部は、第1の車両用給電設備のコンセントであってもよい。AC入力部は、コンセントに接続可能なACプラグであってもよい。
【0022】
上記給電設備は、ケーブルを有する第2の車両用給電設備であってもよい。出力部は、第2の車両用給電設備のケーブルのコネクタであってもよい。AC入力部は、ケーブルのコネクタが接続可能なACインレットであってもよい。
【0023】
上述したいずれかのポータブル充電器は、電力変換回路を内蔵し、第1ケーブルを介してAC入力部に接続されるとともに、第2ケーブルを介してDC出力部に接続される筐体をさらに備えてもよい。
【0024】
AC入力部及びDC出力部のいずれかに電力変換回路を内蔵させてもよいが、電力変換回路を内蔵させるためには、電力変換回路を収容するためのスペースが必要になる。上記の構成では、AC入力部及びDC出力部の各々とケーブルを介して接続される筐体内に電力変換回路が設けられるため、AC入力部及びDC出力部の小型化が図られる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、充電開始時の作業に関するユーザの利便性を高めたポータブル充電器を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本開示の実施の形態に係るポータブル充電器の外観の一例を示す図である。
【
図2】本開示の実施の形態に係るポータブル充電器の筐体内の構成を示す図である。
【
図3】
図1に示したAC/DC変換回路の回路構成の一例を示す図である。
【
図4】
図1に示したDCコネクタが備えるロック機構について、ロック状態を示す図である。
【
図5】
図1に示したDCコネクタが備えるロック機構について、アンロック状態を示す図である。
【
図6】本開示の実施の形態に係る充電制御において、充電開始に係る処理を示すフローチャートである。
【
図7】本開示の実施の形態に係るポータブル充電器において、接続前のDCコネクタを示す図である。
【
図8】
図7に示したDCコネクタがDCインレットに接続された状態を示す図である。
【
図9】開始ボタンを無効化する手段の変形例を示す図である。
【
図10】タイマ充電の設定画面の一例を示す図である。
【
図11】
図6に示した処理の第1変形例を示すフローチャートである。
【
図12】
図6に示した処理の第2変形例を示すフローチャートである。
【
図15】
図2に示したポータブル充電器の変形例を示す図である。
【
図16】
図1に示したポータブル充電器の変形例を示す図である。
【
図17】
図16に示したポータブル充電器の内部構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0028】
図1は、この実施の形態に係るポータブル充電器の外観の一例を示す図である。
図1を参照して、充電器10Aは、筐体100AとACプラグ201とDCコネクタ203とを備えるポータブル充電器である。筐体100Aは、ケーブル201aを介してACプラグ201に接続されるとともに、ケーブル203aを介してDCコネクタ203に接続される。また、筐体100Aは、ACプラグ201で受電した交流電力が入力されるACポート101Aと、DCコネクタ203へ直流電力を出力するDCポート103Aとを備える。ケーブル201a及び203aの各々は、電線を含む。ケーブル201a内の第1電線、及びケーブル203a内の第2電線は、それぞれACポート101A及びDCポート103Aを通って、筐体100Aの内側の回路につながっている。この実施の形態では、ACプラグ201、DCコネクタ203が、それぞれ本開示に係る「AC入力部」、「DC出力部」の一例に相当する。ケーブル201a、ケーブル203aは、それぞれ本開示に係る「第1ケーブル」、「第2ケーブル」の一例に相当する。
【0029】
この実施の形態に係る充電器10Aでは、DCコネクタ203が、開始ボタン203bと、検出器203cと、操作パネル203dと、ディスプレイ203eとを有する。開始ボタン203bは点灯可能に構成される。開始ボタン203bは、発光体210(たとえば、発光ダイオード)を含む。この実施の形態では、開始ボタン203bが、本開示に係る「開始スイッチ」の一例に相当する。また、DCコネクタ203の内部には、ロック機構220が設けられている。DCコネクタ203の構成の詳細については後述する。
【0030】
図2は、この実施の形態に係る充電器10Aの構成を示す図である。
図2には充電器10Aを拡大して示しているが、充電器10Aは、車両303に対して積み降ろし可能なポータブル充電器である。
【0031】
図1及び
図2を参照して、充電器10Aは、筐体100Aを備える。充電器10Aは、筐体100A内に、AC/DC変換回路110と、電圧センサ121と、検出回路122と、制御装置150とを備える。充電器10Aは、筐体100A外に、ACプラグ201と、DCコネクタ203とを備える。ACプラグ201とACポート101Aとはケーブル201aを介してつながっている。DCコネクタ203とDCポート103Aとはケーブル203aを介してつながっている。
【0032】
車両303は、DCインレット(直流電力用インレット)303aと、蓄電装置303bとを備える。車両303は、たとえば蓄電装置303bに蓄えられた電力を用いて走行する電気自動車である。蓄電装置303bは、たとえば車両303の走行用モータ(図示せず)に電力を供給する二次電池である。蓄電装置303bは、複数のリチウムイオン二次電池を含む組電池であってもよい。DCコネクタ203は、充電器10Aを蓄電装置303bと電気的に接続するために用いられる。DCコネクタ203は、車両303のDCインレット303aに接続可能に構成される。この実施の形態では、車両303、DCインレット303aが、それぞれ本開示に係る「給電対象」、「受電部」の一例に相当する。
【0033】
EVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)301は、蓄電装置303bを充電するための交流電力を供給する。EVSE301は、ACコンセント(交流電力用コンセント)301aを備える。ACプラグ201は、EVSE301のACコンセント301aに接続可能に構成される。接続状態においては、ACコンセント301aから出力される交流電力がACプラグ201に入力される。EVSE301は、特定のユーザのみが使用可能な非公共のEVSE(たとえば、家庭用のEVSE)であってもよい。この実施の形態では、EVSE301、ACコンセント301aが、それぞれ本開示に係る「給電設備」、「出力部」の一例に相当する。EVSE301は、本開示に係る「第1の車両用給電設備」の一例に相当する。
【0034】
制御装置150は、AC/DC変換回路110を制御するように構成される。AC/DC変換回路110は、ACポート101Aから入力される交流電力を直流電力に変換してDCポート103Aへ出力するように構成される。この実施の形態に係るAC/DC変換回路110は、本開示に係る「電力変換回路」の一例に相当する。以下、筐体100A内の回路構成について詳述する。
【0035】
AC/DC変換回路110の第1端には電力線PL1a,PL1bが接続され、AC/DC変換回路110の第2端には電力線PL2a,PL2bが接続される。充電時においては、AC/DC変換回路110の第1端に交流電力が入力され、AC/DC変換回路110の第2端から直流電力が出力される。
【0036】
図3は、AC/DC変換回路110の回路構成の一例を示す図である。
図2とともに
図3を参照して、AC/DC変換回路110は、力率改善(PFC:Power Factor Correction)回路111、絶縁回路112、及び整流回路113を含んで構成される。
【0037】
PFC回路111は、整流回路111a及びインバータ111bを含んで構成される。整流回路111aは、入力される交流電力を整流するとともに昇圧するように構成される。より具体的には、整流回路111aは、2つの上下アームと、2つのリアクトルと、1つの平滑コンデンサとを含んで構成される。各上下アームにおいて、上アームはダイオードを含み、下アームはスイッチング素子を含む。下アームのスイッチング素子は、制御装置150によって制御される。整流回路111aに含まれる各スイッチング素子が制御装置150によって制御されることで、整流回路111aが昇圧チョッパ回路として機能する。
【0038】
インバータ111bは、4つのスイッチング素子を含むフルブリッジ回路である。各スイッチング素子は、制御装置150によって制御される。インバータ111bに含まれる各スイッチング素子が制御装置150によって制御されることで、整流回路111aからインバータ111bに入力される直流電力が高周波の交流電力に変換される。
【0039】
絶縁回路112は、コイル112a及び112bを含む絶縁トランスである。整流回路113は電線を介してコイル112aに接続されており、PFC回路111は電線を介してコイル112bに接続されている。コイル112aとコイル112bとは互いに電気的に絶縁されている。絶縁回路112は、コイル112bに印加される交流電圧を昇圧してコイル112aに出力する。
【0040】
整流回路113は、4つのダイオードを含むダイオードブリッジ回路である。整流回路113は、絶縁回路112のコイル112aから供給される交流電力を直流電力に変換するように構成される。
【0041】
上記のような構成によって、AC/DC変換回路110は、充電時にACプラグ201(
図2参照)から電力線PL1a,PL1bに入力される交流電力にAC/DC変換(交流から直流への変換)を行なって電力線PL2a,PL2bに直流電力を出力する。より具体的には、整流回路111aが、電力線PL1a,PL1bに入力される交流電力を整流及び昇圧してインバータ111bへ出力し、インバータ111bは、整流回路111aから受ける直流電力を高周波の交流電力に変換する。絶縁回路112は、インバータ111bの出力(交流電力)を整流回路113に伝達し、整流回路113は、絶縁回路112から受ける交流電力を整流して電力線PL2a,PL2bへ出力する。
【0042】
なお、AC/DC変換回路110の構成は、
図3に示した構成に限定されない。たとえば、AC/DC変換回路110は、絶縁回路を含まない整流回路であってもよい。また、制御装置150が制御で用いる情報を取得するために、
図3に示す回路の適当な位置に各種センサ(たとえば、電流センサ及び電圧センサ)が設けられてもよい。
【0043】
再び
図2を参照して、電圧センサ121は、電力線PL1aと電力線PL1bとの間の電圧を検出するように構成される。電力線PL1aと電力線PL1bとの間の電圧は、AC/DC変換回路110の入力電圧に相当する。電圧センサ121の検出結果は、制御装置150へ出力される。制御装置150は、電圧センサ121の出力に基づいて、ACプラグ201の接続/非接続を判断する。制御装置150は、AC/DC変換回路110に交流電力が入力されたときに、ACプラグ201がACコンセント301aに接続されたと判断する。ただし、ACプラグ201の接続/非接続の検出方法は、電圧センサ121に限られない。
【0044】
検出回路122は、DCコネクタ203がDCインレット303aに接続されたときの電気抵抗の変化に基づいて、DCコネクタ203の接続/非接続を検出するように構成される。検出回路122の検出結果は、制御装置150へ出力される。なお、DCコネクタ203の接続/非接続の検出方法は、検出回路122に限られない。DCコネクタ203の接続/非接続は、DCコネクタ203がDCインレット303aに接続されたときに車両303から制御装置150へ送信される信号によって検出されてもよい。また、DCコネクタ203に設けられた接続センサ(図示せず)によってDCコネクタ203の接続/非接続が検出されてもよい。
【0045】
ACポート101A及びDCポート103Aの各々は、配線孔を有する。電力線PL1a,PL1bは、筐体100A内のAC/DC変換回路110からACポート101A(配線孔)及びケーブル201aの内部を通って筐体100A外のACプラグ201につながっている。電力線PL2a,PL2bは、筐体100A内のAC/DC変換回路110からDCポート103A(配線孔)及びケーブル203aの内部を通って筐体100A外のDCコネクタ203につながっている。また、制御装置150と車両303との間の信号線(図示せず)もDCポート103A(配線孔)を通る。
【0046】
制御装置150は、プロセッサ151、RAM(Random Access Memory)152、記憶装置153、及び通信I/F(インターフェース)154を含んで構成される。プロセッサ151は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。RAM152は、プロセッサ151によって処理されるデータを一時的に記憶する作業用メモリとして機能する。記憶装置153は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置153は、たとえばROM(Read Only Memory)及び書き換え可能な不揮発性メモリを含む。通信I/F154は、制御装置150が車両303と通信するための各種通信I/Fを含む。記憶装置153には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、及び各種パラメータ)が記憶されている。この実施の形態では、記憶装置153に記憶されているプログラムをプロセッサ151が実行することで、制御装置150における各種制御が実行される。
【0047】
図2では省略されているが、筐体100A内には、制御装置150の電源回路が設けられている。制御装置150の電源回路は、所定の電源から供給される電力を用いて制御装置150の駆動電力(すなわち、制御装置150を作動させるための電力)を生成し、生成された駆動電力を制御装置150に供給するように構成される。制御装置150の電源回路は、筐体100A内の電源(たとえば、キャパシタ又は二次電池)を用いて制御装置150の駆動電力を生成してもよい。また、制御装置150の電源回路は、ACポート101Aに供給される交流電力を利用して制御装置150の駆動電力を生成してもよい。制御装置150の電源回路は、電力線PL1a,PL1bに接続されてもよい。
【0048】
図1及び
図2を参照して、DCコネクタ203が備える開始ボタン203bの発光体210は、制御装置150によって制御される。開始ボタン203bは、ユーザによって押されると、DCコネクタ203が直流電力を出力するようにAC/DC変換回路110を制御することを制御装置150に指示するように構成される。検出器203cは、開始ボタン203bの操作/非操作を検出するように構成される。開始ボタン203bが押されると、検出器203cから制御装置150へ充電開始信号が送信される。充電開始信号が、制御装置150に対する上記指示に相当する。制御装置150は、充電開始信号を受信すると、指示どおりAC/DC変換回路110を制御して、DCコネクタ203に直流電力を出力させる。操作パネル203dは、ユーザによって操作される。操作パネル203dは、充電条件を設定可能に構成されてもよい。ディスプレイ203eは、充電に関する情報(たとえば、充電電力及び充電時間)を表示するように構成される。
【0049】
ユーザは、充電器10AのACプラグ201をEVSE301のACコンセント301aに接続した後、充電器10AのDCコネクタ203を車両303のDCインレット303aに接続し、さらに、DCコネクタ203に設けられた開始ボタン203bを押すことで、車両303に対する給電(直流電力の供給)を開始できる。ユーザは、DCコネクタ203を手で持ってDCインレット303aに接続すると考えられるため、DCコネクタ203の接続後に開始ボタン203bを押すことは容易である。ユーザは、DCコネクタ203の接続と、開始ボタン203bの操作とを、一連の作業として行なうことができる。このため、上記構成を有する充電器10Aによれば、充電開始時の作業に関するユーザの利便性を高めることができる。
【0050】
ところで、充電器10Aでは、DCコネクタ203に開始ボタン203bが設けられているため、ユーザがDCコネクタ203を手で持って車両303のDCインレット303aに接続するときに、誤って開始ボタン203bを操作してしまう可能性がある。DCコネクタ203がDCインレット303aに接続されていない状態でDCコネクタ203に直流電力が出力されることは、無駄な電力消費を生じさせたり、故障を招いたりすることがあり、好ましくない。そこで、この実施の形態に係る充電器10Aは、ACプラグ201とDCコネクタ203との少なくとも一方が未接続であるときに開始ボタン203bが無効化されるように構成される。
【0051】
DCコネクタ203の内部に設けられたロック機構220は、ユーザによる開始ボタン203bの操作が規制されたロック状態と、ユーザによる開始ボタン203bの操作が許容されたアンロック状態とを切り替えるように構成される。ロック機構220は、制御装置150によって制御される。ロック機構220は、制御装置150からの指示がない状態(たとえば、非通電状態)では開始ボタン203bをロック状態にする。ACプラグ201とDCコネクタ203との少なくとも一方が未接続であるときには、ロック機構220が開始ボタン203bをロック状態にすることによって開始ボタン203bを無効化する。
【0052】
以下、
図4及び
図5を用いて、ロック機構220の一例について説明する。
【0053】
図4は、ロック状態のロック機構220を示す図である。
図4を参照して、ロック機構220は、規制部材221と、規制部材221を駆動する電磁式のアクチュエータ222とを備える。アクチュエータ222は、制御装置150によって制御される。制御装置150は、アクチュエータ222を制御して、開始ボタン203bのスライド動作を規制する位置に規制部材221を動かすことで、開始ボタン203bをロック状態にする。ACプラグ201とDCコネクタ203との少なくとも一方が未接続であるときには、制御装置150が開始ボタン203bをロック状態にする。開始ボタン203bは、ロック状態になると、押し込む方向の動きが規制部材221によって規制される。このため、ユーザはロック状態の開始ボタン203bを押すことができない。開始ボタン203bがロック状態であるときには、検出器203cが開始ボタン203bの操作を検出しないため、検出器203cから制御装置150へ充電開始信号が送信されない。開始ボタン203bがロック状態であるときには、制御装置150が発光体210を制御して開始ボタン203bを消灯状態にする。
【0054】
図5は、アンロック状態のロック機構220を示す図である。
図5を参照して、制御装置150は、アクチュエータ222を制御して、開始ボタン203bのスライド動作を妨げない位置に規制部材221を動かすことで、開始ボタン203bをアンロック状態にする。ACプラグ201及びDCコネクタ203の両方が接続されると、制御装置150が開始ボタン203bをアンロック状態にする。ユーザがアンロック状態の開始ボタン203bを押すと、開始ボタン203bの操作が検出器203cによって検出され、検出器203cから制御装置150へ充電開始信号が送信される。開始ボタン203bがアンロック状態であるときには、制御装置150が発光体210を制御して開始ボタン203bを点灯状態にする。
【0055】
図6は、充電開始に係る処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、たとえば制御装置150が起動したときに開始される。制御装置150は、ACプラグ201がACコンセント301aに接続されたときに起動してもよい。また、制御装置150は、充電器10Aの電源スイッチ(図示せず)がオンされたときに起動してもよい。充電器10Aの電源スイッチは、筐体100Aに設けられてもよいし、操作パネル203dに含まれてもよい。
図6に示す一連の処理が開始されるときには、開始ボタン203bはロック状態(すなわち、押されることが規制された状態)になっている(
図4参照)。
【0056】
図1及び
図2とともに
図6を参照して、ステップ(以下、単に「S」と表記する)11では、ACプラグ201及びDCコネクタ203の両方が接続されるまで充電器10Aが待機する。充電器10Aは、S11において、ACプラグ201及びDCコネクタ203の両方が接続されたか否かを判断する。ACプラグ201がACコンセント301aに接続され、かつ、DCコネクタ203がDCインレット303aに接続されると、S11においてYESと判断される。
【0057】
S11においてYESと判断されると、制御装置150は、S12において、ロック機構220を制御して開始ボタン203bをアンロック状態にする(
図5参照)。さらに、制御装置150は、S13において、発光体210を制御して開始ボタン203bを点灯状態にする。
【0058】
図7は、接続前のDCコネクタ203を示す図である。
図7を参照して、接続前のDCコネクタ203においては、開始ボタン203bが消灯状態になっている。なお、
図7には示していないが、ACプラグ201はACコンセント301aに接続されている。
図8は、
図7に示したDCコネクタ203がDCインレット303aに接続された状態を示す図である。
図8を参照して、DCコネクタ203がDCインレット303aに接続されると、開始ボタン203bが点灯状態になる。DCコネクタ203がDCインレット303aに接続されたときに、DCインレット303aに設けられたランプ303cが点灯してもよい。ただし、ランプ303cは車両303のECU(Electrical Control Unit)によって制御されるため、開始ボタン203b(発光体210)と比べて応答性が遅い傾向がある。
【0059】
再び
図1及び
図2とともに
図6を参照して、S14では、ユーザによって開始ボタン203bが押されたか否かを、制御装置150が判断する。制御装置150は、充電開始信号の有無に基づいて、S14の判断を行なう。制御装置150が検出器203cから充電開始信号を受信したことは、ユーザによって開始ボタン203bが押されたこと(S14にてYES)を意味する。制御装置150が充電開始信号を受信しないことは、開始ボタン203bが押されていないこと(S14にてNO)を意味する。S14においてNOと判断されている期間においては、S11~S14が繰り返される。
【0060】
S14においてYESと判断されると、制御装置150は、S15において、AC/DC変換回路110を制御して、DCコネクタ203に直流電力を出力させる。これにより、車両303の蓄電装置303bの充電が開始される。より具体的には、AC/DC変換回路110は、EVSE301からACプラグ201に入力される交流電力を直流電力に変換してDCコネクタ203へ出力する。そして、DCコネクタ203から車両303のDCインレット303aに直流電力が供給されることによって、蓄電装置303bが充電される。
【0061】
S15の処理により充電が開始されることにより、
図6に示す一連の処理は終了する。充電制御の詳細については割愛するが、ACプラグ201から供給される交流電力がAC/DC変換回路110で直流電力に変換され、DCコネクタ203から直流電力が出力されることによって、蓄電装置303bが充電される。制御装置150は、AC/DC変換回路110を制御することにより、DCコネクタ203の出力電力(ひいては、蓄電装置303bの充電電力)を制御する。制御装置150は、車両303からの要求に応じて充電電力を制御してもよい。蓄電装置303bの充電は、所定の終了条件が成立するまで継続される。そして、終了条件が成立すると、充電が停止される。たとえば、終了条件は、蓄電装置303bが満充電になったときに成立してもよい。終了条件は、充電中にEVSE301と車両303とが非接続になったときに成立してもよい。終了条件は、充電中に車両303又はEVSE301に異常が生じたときに成立してもよい。
【0062】
以上説明したように、この実施の形態に係る充電器10Aは、ACプラグ201とDCコネクタ203との少なくとも一方が未接続であるときに開始ボタン203bが無効化されるように構成される。より具体的には、ACプラグ201とDCコネクタ203との少なくとも一方が未接続であるときには、開始ボタン203bの操作の有無にかかわらず、DCコネクタ203に直流電力が出力されないように制御装置150がAC/DC変換回路110を制御する(
図6参照)。ACプラグ201とDCコネクタ203との少なくとも一方が未接続であるときには、AC/DC変換回路110によって電力が遮断されることで、開始ボタン203bが無効化される。また、ロック機構220が開始ボタン203bをロック状態にすることによっても、開始ボタン203bは無効化される(
図4参照)。上記のような構成により、DCコネクタ203がDCインレット303aに接続されていない状態でDCコネクタ203に直流電力が出力されることは抑制される。
【0063】
開始ボタン203bの構造は、
図1、
図4、及び
図5に示した構造に限られない。開始ボタン203bは、ACプラグ201とDCコネクタ203との少なくとも一方が未接続であるときには、押せない状態でロックされ、ACプラグ201及びDCコネクタ203の両方が接続されたときにポップアップして押せるようになってもよい。
【0064】
上記実施の形態では、制御装置150のソフトウェアと機械的なロック機構220との両方で開始ボタン203bを無効化している。しかしこれに限られず、開始ボタン203bを無効化する手段は、これらのいずれか一方のみでもよい。また、他の手段によって開始ボタン203bを無効化してもよい。
【0065】
図9は、開始ボタン203bを無効化する手段の変形例を示す図である。
図9を参照して、この回路は、互いに直列に接続されたスイッチ231及び232を含む。スイッチ231及び232は充電開始信号の信号線に設けられ、スイッチ231及び232の両方が閉状態であるときに充電開始信号が制御装置150に入力される。スイッチ231は、開始ボタン203bと連動して動作する。開始ボタン203bが押されていないときには、スイッチ231は開状態(OFF状態)であり、開始ボタン203bが押されると、スイッチ231は閉状態(ON状態)になる。スイッチ232は、ノーマリオフスイッチであり、非通電時には開状態になっている。スイッチ232は、制御装置150によって制御される。ACプラグ201とDCコネクタ203との少なくとも一方が未接続であるときには、制御装置150はスイッチ232を開状態(OFF状態)にする。ACプラグ201及びDCコネクタ203の両方が接続されると、制御装置150はスイッチ232を閉状態(ON状態)にする。スイッチ232が開状態であるときには、開始ボタン203bの操作の有無にかかわらず、充電開始信号が制御装置150に入力されない。このため、スイッチ232が開状態であるときには、開始ボタン203bが無効化される。
【0066】
操作パネル203dは、ユーザからのタイマ充電の設定を受け付けるように構成されてもよい。そして、充電器10A(ポータブル充電器)は、ユーザによってタイマ充電が設定された場合に開始ボタン203bが無効化されるように構成されてもよい。
【0067】
図10は、タイマ充電の設定画面の一例を示す図である。
図1及び
図2とともに
図10を参照して、ユーザが操作パネル203dを操作すると、ディスプレイ203eに表示される画面が切り替わる。ユーザは、たとえばホーム画面(図示せず)から、
図10に示すタイマ充電の設定画面に切り替えることができる。
【0068】
タイマ充電の設定画面は、標題M11と、充電スケジュールM12と、現在時刻M13とを表示する。操作パネル203dは、ホームボタンM20と、カーソルキーM31,M32と、決定ボタンM41と、取消しボタンM42とを含む。操作パネル203dに含まれる各ボタンは、物理的なボタンであってもよいし、タッチパネルディスプレイに表示された仮想的なボタンであってもよい。
【0069】
カーソルキーM31,M32は、充電スケジュールM12の入力に用いられる。決定ボタンM41は、充電スケジュールM12の決定に用いられる。取消しボタンM42は、決定の取消しに用いられる。ユーザは、カーソルキーM31によって入力位置を選択し、カーソルキーM32によって入力内容(充電スケジュールM12)を変更し、決定ボタンM41によって入力内容を決定することができる。決定ボタンM41が押されると、充電スケジュールM12(すなわち、ユーザによって入力された開始時刻及び終了時刻)に従うタイマ充電が制御装置150に設定される。その後、取消しボタンM42が押されると、設定されたタイマ充電がキャンセルされる。また、ホームボタンM20が押されると、ディスプレイ203eに表示される画面がホーム画面に切り替わり、タイマ充電の設定が終了する。
【0070】
図10に示す例では、タイマ充電の開始時刻及び終了時刻が設定されているが、タイマ充電の設定方法は上記に限られない。たとえば、ACプラグ201及びDCコネクタ203が接続されてからタイマ充電が開始されるまでの時間が設定されてもよい。タイマ充電は、蓄電装置303bのSOC(State Of Charge)が所定SOC値(たとえば、満充電を示すSOC値)になったときに終了してもよい。操作パネル203dは、筐体100Aに設けられてもよい。
【0071】
図11は、
図6に示した処理の第1変形例を示すフローチャートである。
図11に示す処理では、
図6に示した処理に対してS21及びS22が追加されている。以下、S21及びS22について説明する。
【0072】
図1及び
図2とともに
図11を参照して、S21はS11とS12との間に設けられる。S21においては、ユーザによってタイマ充電が設定されているか否かを、制御装置150が判断する。タイマ充電が設定されていない場合(S21にてNO)には、処理はS12に進む。タイマ充電が設定されている場合(S21にてYES)には、制御装置150は、S22において、タイマ充電の開始時刻が到来したか否かを判断する。タイマ充電の開始時刻が到来していない場合(S22にてNO)は、処理がS11に戻り、開始時刻が到来するまでS11,S21,S22が繰り返される。そして、タイマ充電の開始時刻が到来すると(S22にてYES)、制御装置150は、S15において、AC/DC変換回路110を制御して、DCコネクタ203に直流電力を出力させる。これにより、車両303の蓄電装置303bの充電が開始される。
【0073】
上記第1変形例に係るポータブル充電器(
図11参照)では、制御装置150にタイマ充電が設定されているときに、ACプラグ201及びDCコネクタ203の両方が接続された状態でタイマ充電の開始時刻が到来すると、開始ボタン203bの操作の有無にかかわらず、充電が開始される。他方、制御装置150にタイマ充電が設定されていないときには、ACプラグ201及びDCコネクタ203の両方が接続された状態で開始ボタン203bが押されると、充電が開始される。こうしたポータブル充電器によれば、開始ボタン203bの操作による充電開始と、タイマ充電の開始時刻到来による充電開始とを使い分けることができる。また、操作パネル203dがDCコネクタ203に配置されているため、ユーザは、DCコネクタ203の接続と、タイマ充電の設定とを、一連の作業として行なうことができる。上記第1変形例では、操作パネル203dが、本開示に係る「入力装置」の一例に相当する。
【0074】
図12は、
図6に示した処理の第2変形例を示すフローチャートである。第2変形例に係るポータブル充電器も、基本的には
図2に示した構成を有する。ただし、第2変形例に係るポータブル充電器では、ロック機構220が割愛され、制御装置150のソフトウェアのみによって開始ボタン203bが無効化される。
図12に示す処理では、
図6に示した処理に対して、S31~S33が追加され、S12,S13(
図6)が割愛されている。以下、S31~S33について説明する。
【0075】
図1及び
図2とともに
図12を参照して、S31はS14とS15との間に設けられる。S31においては、制御装置150が、第1提示のための制御を行なう。制御装置150は、たとえば発光体210を制御して開始ボタン203bを点灯状態にする。第2変形例では、開始ボタン203b(発光体210を含む)が点灯することが、第1提示に相当する。
【0076】
ACプラグ201とDCコネクタ203との少なくとも一方が未接続である場合(S11にてNO)に、処理がS32に進む。S32においては、S14と同様、ユーザによって開始ボタン203bが押されたか否かを、制御装置150が判断する。S32においてNOと判断されている期間においては、S11,S32が繰り返される。
【0077】
S32においてYESと判断されると、制御装置150は、S33において、第2提示のための制御を行なう。制御装置150は、たとえば開始ボタン203bが消灯状態を維持するように発光体210を制御する。第2変形例では、開始ボタン203b(発光体210を含む)が消灯状態を維持することが、第2提示に相当する。
【0078】
上記第2変形例に係るポータブル充電器(
図12参照)では、ACプラグ201とDCコネクタ203との両方が接続された状態で開始ボタン203bがユーザによって操作されると、開始ボタン203bが第1提示を行ない、ACプラグ201とDCコネクタ203との少なくとも一方が未接続である状態で開始ボタン203bがユーザによって操作されると、開始ボタン203bが、第1提示とは異なる第2提示を行なう。上記第2変形例では、制御装置150が、第1提示と第2提示とで開始ボタン203bの点灯状態を変える。こうしたポータブル充電器によれば、開始ボタン203bがユーザによって操作されたときのACプラグ201及びDCコネクタ203の接続状態を、ユーザが把握しやすくなる。上記第2変形例では、制御装置150及び開始ボタン203b(発光体210を含む)が、本開示に係る「提示装置」の一例に相当する。
【0079】
上記
図12の処理における第1提示(S31)及び第2提示(S33)は、上述した開始ボタン203bの点灯及び消灯に限られない。たとえば、第1提示では開始ボタン203bが点灯し、第2提示では開始ボタン203bが点滅してもよい。また、制御装置150は、第1提示と第2提示とで開始ボタン203bを異なる色で点灯させてもよい。第1提示では開始ボタン203bが緑色に点灯し、第2提示では開始ボタン203bが赤色に点灯してもよい。
【0080】
制御装置150は、第1提示と第2提示とでディスプレイ203eに異なるメッセージを表示させてもよい。こうした構成では、制御装置150及びディスプレイ203eが、本開示に係る「提示装置」の一例に相当する。なお、ディスプレイ203eは、筐体100Aに設けられてもよい。
【0081】
図13は、第1提示の変形例を示す図である。
図13を参照して、第1提示(
図12のS31)において、制御装置150は、ディスプレイ203eに充電開始画面を表示させてもよい。
図13に示される充電開始画面は、標題M11Aと、メッセージM12Aと、現在時刻M13Aとを表示する。メッセージM12Aは、充電が開始されることを知らせる。
【0082】
図14は、第2提示の変形例を示す図である。
図14を参照して、第2提示(
図12のS33)において、制御装置150は、ディスプレイ203eに接続エラー画面を表示させてもよい。
図14に示される接続エラー画面は、標題M11Bと、メッセージM12Bと、現在時刻M13Bとを表示する。メッセージM12Bは、ポータブル充電器(充電ケーブル)の接続を促す。
【0083】
制御装置150は、スピーカ(図示せず)を制御して第1提示と第2提示とで異なる音(音声を含む)を発するようにしてもよい。第1提示ではスピーカが音を発さず、第2提示ではスピーカがエラー音(異常ありを知らせる音)を発してもよい。第1提示ではスピーカが第1の音を発し、第2提示ではスピーカが第1の音とは異なる第2の音を発してもよい。第1提示ではスピーカが「充電を開始します」のような音声メッセージを発し、第2提示ではスピーカが「ケーブルを接続してください」のような音声メッセージを発してもよい。これらの構成では、制御装置150及びスピーカ(図示せず)が、本開示に係る「提示装置」の一例に相当する。
【0084】
ポータブル充電器において、交流電力が入力されるAC入力部はACプラグに限られない。ポータブル充電器のAC入力部は、EVSEのACコネクタに接続可能なACインレットであってもよい。また、ポータブル充電器のAC入力部は、EVSEのACインレットに接続可能なACコネクタであってもよい。
【0085】
図15は、
図2に示したポータブル充電器の変形例を示す図である。
図15を参照して、充電器10B(ポータブル充電器)は、ACプラグ201、ケーブル201a、及びACポート101A(
図2)の代わりに、ACインレット202、ケーブル202a、及びACポート102Aを備える。ACインレット202とACポート102Aとはケーブル202aを介してつながっている。ケーブル202a内の電線は、ACポート102A(配線孔)を通って、筐体100Bの内側の回路につながっている。ACインレット202は、EVSE302のACケーブル302bのACコネクタ302aが接続可能に構成される。接続状態では、EVSE302からACインレット202に供給される交流電力が筐体100B内のAC/DC変換回路110に入力される。EVSE302は、制御回路302cを内蔵し、制御回路302cによってCPLT信号(コントロールパイロット信号)が生成される。制御装置150は、CPLT信号を受信可能に構成される。制御装置150は、電圧センサ121(
図2)の代わりにCPLT信号を用いて、ACインレット202の接続/非接続を判断する。EVSE302は、不特定多数のユーザが使用可能な公共のEVSEであってもよい。この変形例では、EVSE302、ACコネクタ302a、ACインレット202が、それぞれ本開示に係る「給電設備」、「出力部」、「AC入力部」の一例に相当する。EVSE302は、本開示に係る「第2の車両用給電設備」の一例に相当する。
【0086】
ACポート101A(
図2)は、筐体100Aに対してACプラグ201を着脱可能にするコネクタであってもよい。筐体100Aは、ACポート101A(コネクタ)を通じて、規格が異なる複数種のACプラグに接続可能に構成されてもよい。ACポート102A(
図15)は、筐体100Bに対してACインレット202を着脱可能にするコネクタであってもよい。筐体100Bは、ACポート102A(コネクタ)を通じて、規格が異なる複数種のACインレット(たとえば、Type1(単相/三相)、Type2(単相/三相)、及びGB/TのACインレット)に接続可能に構成されてもよい。
【0087】
DCポート103A(
図2及び
図15)は、筐体100A又は100Bに対してDCコネクタ203を着脱可能にするコネクタであってもよい。筐体100A,100Bは、DCポート103A(コネクタ)を通じて、規格が異なる複数種のDCコネクタ(たとえば、CHAdeMO、CCS(Combined Charging System)、GB/T、及びTeslaのDCコネクタ)に接続可能に構成されてもよい。
【0088】
ポータブル充電器において、AC/DC変換回路110(電力変換回路)は、DCコネクタ203の筐体に収容されてもよい。
図16は、
図1に示したポータブル充電器の変形例を示す図である。
図17は、
図16に示したポータブル充電器の内部構造を示す図である。
【0089】
図16を参照して、充電器10C(ポータブル充電器)は、ACプラグ201とDCコネクタ100Cとを備える。ACプラグ201につながるケーブル201aが、DCコネクタ100Cに直接接続されている。ACプラグ201とDCコネクタ100Cとの間に筐体100A(
図1)は存在しない。
【0090】
図17を参照して、ケーブル201aは、シース(外部被覆)SHを有する。ACプラグ201の電力線及びグランド線はシースSH内を通ってDCコネクタ100Cに接続されている。DCコネクタ100Cの筐体内には、AC/DC変換回路110と、電圧センサ121と、検出回路122と、電源回路130と、制御装置150とが収容されている。電源回路130は、ACプラグ201から供給される交流電力を利用して制御装置150の駆動電力を生成する。DCコネクタ100Cには、開始ボタン203bが設けられている。開始ボタン203bが押されると、その旨を示す信号が、開始ボタン203bから制御装置150へ送られる。
【0091】
制御装置150は、複数種の充電モードを切り替え可能に構成されてもよい。たとえば、制御装置150は、ケーブル接続状態(すなわち、給電設備と給電対象とが接続された状態)でDCコネクタの開始ボタン203bが押されると充電が開始される第1充電モードと、給電設備と給電対象とが接続されると即時に充電が開始される第2充電モードとを切り替え可能に構成されてもよい。制御装置150は、ユーザからの入力を受け付け、ユーザからの入力に応じて第1充電モードと第2充電モードとのいずれかを実行するように構成されてもよい。ユーザは、操作パネル203dを通じて、制御装置150に充電モードを入力してもよい。
【0092】
上記実施の形態及び変形例では、押しボタン式の開始スイッチを例示したが、開始スイッチの方式は適宜変更可能である。開始スイッチは、レバー式でもよいし、スライド式でもよい。また、ポータブル充電器の筐体内の回路構成は、
図2及び
図15に示した回路構成に限られない。必要に応じて、スイッチ及び/又はセンサを加えてもよい。
【0093】
蓄電装置を備える車両は、EV(電気自動車)に限られず、たとえばPHV(プラグインハイブリッド車両)であってもよい。また、給電対象(すなわち、給電設備からポータブル充電器を通じて給電される対象)は、車両以外の乗り物(船、飛行機等)であってもよいし、無人の移動体(無人搬送車(AGV)、農業機械、移動型ロボット、ドローン等)であってもよいし、携帯機器(スマートフォン、ウェアラブルデバイス等)であってもよいし、建物(住宅、工場等)であってもよい。
【0094】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
10A,10B,10C 充電器、100A,100B 筐体、100C,203 DCコネクタ、110 AC/DC変換回路、121 電圧センサ、122 検出回路、130 電源回路、150 制御装置、201 ACプラグ、202 ACインレット、203b 開始ボタン、203c 検出器、203d 操作パネル、203e ディスプレイ、210 発光体、220 ロック機構、221 規制部材、222 アクチュエータ、231,232 スイッチ、301,302 EVSE、301a ACコンセント、302a ACコネクタ、302b ACケーブル、302c 制御回路、303 車両、303a インレット、303b 蓄電装置。