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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】光源装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240723BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240723BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240723BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240723BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20240723BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240723BHJP
【FI】
G03B21/14 A
F21S2/00 311
G03B21/00 D
G03B21/00 E
H04N5/74 A
H04N5/74 Z
H04N9/31 500
F21Y115:30
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021030928
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022131795
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】秋山 光一
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-160236(JP,A)
【文献】特開2019-028085(JP,A)
【文献】特開2005-031446(JP,A)
【文献】特開2020-126089(JP,A)
【文献】特開2019-045550(JP,A)
【文献】特開2018-146806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K9/00-9/90
F21S2/00-45/70
G03B21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
H04N5/66-5/74
9/12-9/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長帯を有する第1光と、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光と、前記第1波長帯および前記第2波長帯とは異なる第3波長帯を有する第3光と、を射出する光源ユニットと、
前記光源ユニットから第1方向に沿って入射される前記第1光、前記第2光、および前記第3光のうち、第1偏光方向を有する前記第1光および前記第2光を前記第1方向に透過し、前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向を有する前記第3光を前記第1方向と交差する第2方向に反射する第1偏光分離素子と、
前記第1偏光分離素子に対して前記第1方向に配置され、前記第1偏光分離素子から前記第1方向に沿って入射される前記第1光および前記第2光のうち、前記第1光を前記第1方向に透過し、前記第2光を前記第2方向に反射する第2偏光分離素子と、
前記第1偏光分離素子と前記第2偏光分離素子との間に設けられ、前記第2波長帯の光に対して位相差を付与する第1位相差素子と、
前記第1偏光分離素子に対して前記第2方向に配置され、前記第1偏光分離素子から前記第2方向に沿って入射される前記第3光を拡散させて前記第2方向とは反対方向である第3方向に射出する第1拡散素子と、
前記第2偏光分離素子に対して前記第2方向に配置され、前記第2偏光分離素子から前記第2方向に沿って入射される前記第2光を拡散させて前記第3方向に射出する第2拡散素子と、
前記第2偏光分離素子に対して前記第1方向に配置され、前記第2偏光分離素子から前記第1方向に沿って入射される前記第1光を拡散させて前記第1方向とは反対方向である第4方向に射出する第3拡散素子と、
を備え、
前記第2偏光分離素子は、前記第3拡散素子から前記第4方向に沿って入射される前記第1光を前記第3方向に反射し、前記第2拡散素子から前記第3方向に沿って入射される前記第2光のうち、前記第1偏光方向を有する前記第2光の一部を前記第3方向に透過し、前記第1偏光方向を有する前記第2光の他の一部を前記第4方向に反射し、
前記第1位相差素子は、前記第1偏光分離素子から前記第1方向に沿って入射される前記第1偏光方向を有する前記第2光を、前記第2偏光方向を有する前記第2光に変換し、前記第2偏光分離素子から前記第4方向に沿って入射される前記第1偏光方向を有する前記第2光の他の一部を、前記第2偏光方向を有する前記第2光に変換し、
前記第1偏光分離素子は、前記第1拡散素子から前記第3方向に沿って入射される前記第3光を透過し、前記第1位相差素子から前記第4方向に沿って入射される前記第2偏光方向を有する前記第2光を反射する、光源装置。
【請求項2】
前記第1偏光分離素子と前記第1拡散素子との間に設けられ、前記第1偏光分離素子から前記第2偏光方向を有する前記第3光が入射される第2位相差素子をさらに備える、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記第2偏光分離素子と前記第2拡散素子との間に設けられ、前記第2偏光分離素子から前記第2偏光方向を有する前記第2光が入射される第3位相差素子をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記第2偏光分離素子と前記第3拡散素子との間に設けられ、前記第2偏光分離素子から前記第1偏光方向を有する前記第1光が入射される第4位相差素子をさらに備える、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記光源ユニットは、
支持部材と、
前記支持部材に設けられ、前記第1光を射出する第1発光素子と、
前記支持部材に設けられ、前記第2光を射出する第2発光素子と、
前記支持部材に設けられ、前記第3光を射出する第3発光素子と、
を有する、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記第1発光素子から射出される前記第1光は、前記第1偏光方向を有する赤色光であり、
前記第2発光素子から射出される前記第2光は、前記第2偏光方向を有する緑色光であり、
前記第3発光素子から射出される前記第3光は、前記第2偏光方向を有する青色光であり、
前記第2発光素子と前記第1偏光分離素子との間に設けられ、前記第2発光素子から射出される前記第2偏光方向を有する緑色光を、前記第1偏光方向を有する前記緑色光に変換する第5位相差素子をさらに備える、請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記第1発光素子から射出される前記第1光は、前記第1偏光方向を有する青色光であり、
前記第2発光素子から射出される前記第2光は、前記第1偏光方向を有する緑色光であり、
前記第3発光素子から射出される前記第3光は、前記第2偏光方向を有する赤色光である、請求項5に記載の光源装置。
【請求項8】
第1面を有する第1基板と、
前記第1面に交差する第1回転軸を中心として前記第1基板を回転させる第1回転装置と、
をさらに備え、
前記第1拡散素子は、前記第1基板の前記第1面において前記第1回転軸を中心として環状に設けられ、
前記第2拡散素子は、前記第1基板の前記第1面において前記第1回転軸を中心として環状に設けられ、
前記第1回転軸から前記第1拡散素子までの距離と、前記第1回転軸から前記第2拡散素子までの距離とは、互いに異なる、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
第2面を有する第2基板と、
前記第2面に交差する第2回転軸を中心として前記第2基板を回転させる第2回転装置と、
をさらに備え、
前記第3拡散素子は、前記第2基板の前記第2面において前記第2回転軸を中心として環状に設けられる、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記第1偏光分離素子に対して前記第3方向に配置され、前記第1偏光分離素子から射出される光を、前記第3波長帯を有する第3光と、前記第2波長帯を有する第2光と、に分離する第1色分離素子と、
前記第2偏光分離素子に対して前記第3方向に配置され、前記第2偏光分離素子から射出される光を、前記第1波長帯を有する第1光と、前記第2波長帯を有する第2光と、に分離する第2色分離素子と、
をさらに備える、請求項6に記載の光源装置。
【請求項11】
請求項10に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置と、
を備える、プロジェクター。
【請求項12】
前記光源装置と前記光変調装置との間に設けられる均一化装置をさらに備え、
前記均一化装置は、
前記光源装置から入射される光を複数の部分光束に分割する2つのマルチレンズと、
前記2つのマルチレンズから入射される前記複数の部分光束を前記光変調装置に重畳させる重畳レンズと、を有する、請求項11に記載のプロジェクター。
【請求項13】
前記光変調装置は、複数の画素を有する液晶パネルと、前記液晶パネルに対して光入射側に設けられ、前記複数の画素に対応する複数のマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイと、を有し、
前記複数の画素のそれぞれは、第1サブ画素、第2サブ画素、第3サブ画素、および第4サブ画素を有し、
前記マイクロレンズは、前記第2光を前記第1サブ画素に入射させ、前記第3光を前記第2サブ画素に入射させ、前記第1光を前記第3サブ画素に入射させ、前記第2光を前記第4サブ画素に入射させる、請求項12に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
光源から射出された光を変調して画像情報に基づく画像光を生成し、生成された画像光を投写するプロジェクターが知られている。下記の特許文献1に、光源装置と、1つの液晶パネルからなる光変調装置と、を備えるプロジェクターが開示されている。このプロジェクターにおいては、偏光方向が互いに揃った青色光、赤色光、および2つの緑色光が光源装置から射出される。青色光、赤色光、および2つの緑色光は、液晶パネルの入射側に設けられたマイクロレンズアレイによって空間的に分離された状態で、液晶パネルの青色サブ画素、赤色サブ画素、および2つの緑色サブ画素にそれぞれ入射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-160236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
互いに異なる色光を変調する複数のサブ画素からなる画素を有する1枚の液晶パネルを備えたプロジェクター、いわゆる単板方式のプロジェクターを実現する場合、特許文献1の光源装置を用いることができる。ところが、特許文献1の光源装置を用いる場合、プロジェクターの小型化が難しいおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様の光源装置は、第1波長帯を有する第1光と、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光と、前記第1波長帯および前記第2波長帯とは異なる第3波長帯を有する第3光と、を射出する光源ユニットと、前記光源ユニットから第1方向に沿って入射される前記第1光、前記第2光、および前記第3光のうち、第1偏光方向を有する前記第1光および前記第2光を前記第1方向に透過し、前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向を有する前記第3光を前記第1方向と交差する第2方向に反射する第1偏光分離素子と、前記第1偏光分離素子に対して前記第1方向に配置され、前記第1偏光分離素子から前記第1方向に沿って入射される前記第1光および前記第2光のうち、前記第1光を前記第1方向に透過し、前記第2光を前記第2方向に反射する第2偏光分離素子と、前記第1偏光分離素子と前記第2偏光分離素子との間に設けられ、前記第2波長帯の光に対して位相差を付与する第1位相差素子と、前記第1偏光分離素子に対して前記第2方向に配置され、前記第1偏光分離素子から前記第2方向に沿って入射される前記第3光を拡散させて前記第2方向とは反対方向である第3方向に射出する第1拡散素子と、前記第2偏光分離素子に対して前記第2方向に配置され、前記第2偏光分離素子から前記第2方向に沿って入射される前記第2光を拡散させて前記第3方向に射出する第2拡散素子と、前記第2偏光分離素子に対して前記第1方向に配置され、前記第2偏光分離素子から前記第1方向に沿って入射される前記第1光を拡散させて前記第1方向とは反対方向である第4方向に射出する第3拡散素子と、を備える。前記第2偏光分離素子は、前記第3拡散素子から前記第4方向に沿って入射される前記第1光を前記第3方向に反射し、前記第2拡散素子から前記第3方向に沿って入射される前記第2光のうち、前記第1偏光方向を有する前記第2光の一部を前記第3方向に透過し、前記第1偏光方向を有する前記第2光の他の一部を前記第4方向に反射する。前記第1位相差素子は、前記第1偏光分離素子から前記第1方向に沿って入射される前記第1偏光方向を有する前記第2光を、前記第2偏光方向を有する前記第2光に変換し、前記第2偏光分離素子から前記第4方向に沿って入射される前記第1偏光方向を有する前記第2光の他の一部を、前記第2偏光方向を有する前記第2光に変換する。前記第1偏光分離素子は、前記第1拡散素子から前記第3方向に沿って入射される前記第3光を透過し、前記第1位相差素子から前記第4方向に沿って入射される前記第2偏光方向を有する前記第2光を反射する。
【0006】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の光源装置と、前記光源装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
図2】第1実施形態の光源装置の斜視図である。
図3】+Y方向から見た光源装置の平面図である。
図4】光源ユニットの斜視図である。
図5】+Z方向から見た第1拡散装置の正面図である。
図6】-X方向から見た光源装置の側面図である。
図7】+X方向から見た光源装置の側面図である。
図8】マルチレンズ上の各色光の入射位置を示す模式図である。
図9】光変調装置の拡大図である。
図10】+Y方向から見た第2実施形態の光源装置の平面図である。
図11】光源ユニットの斜視図である。
図12】変形例の光源ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1図9を用いて説明する。
図1は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成図である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0009】
本実施形態に係るプロジェクター1は、光源装置2から射出された光を変調して画像情報に応じた画像を形成し、形成された画像をスクリーン等の被投写面上に拡大して投写する。換言すると、プロジェクター1は、光源装置2から射出された光を1つの液晶パネル61を含む1つの光変調装置6により変調して画像を形成し、形成された画像を投写する。プロジェクター1は、いわゆる、単板方式のプロジェクターである。
【0010】
図1に示すように、プロジェクター1は、光源装置2と、均一化装置4と、フィールドレンズ5と、光変調装置6と、投写光学装置7と、を備える。光源装置2、均一化装置4、フィールドレンズ5、光変調装置6、および投写光学装置7は、照明光軸Axに沿う所定の位置に配置されている。照明光軸Axは、光源装置2から射出される光Lの主光線の進行方向に沿う軸と定義する。
【0011】
光源装置2および均一化装置4の構成については、後で詳しく説明する。
フィールドレンズ5は、均一化装置4と光変調装置6との間に配置されている。フィールドレンズ5は、均一化装置4から射出される光Lを平行化し、光変調装置6に導く。
【0012】
投写光学装置7は、光変調装置6によって変調された光、すなわち、画像を形成する光をスクリーンなどの被投写面(図示略)上に投写する。投写光学装置7は、単数または複数の投写レンズを有する。
【0013】
以下の説明においては、照明光軸Axに沿って光源装置2から射出される光の進行方向に平行な軸をZ軸とし、光の進行方向を+Z方向とする。また、Z軸にそれぞれ直交し、かつ、互いに直交する2つの軸をX軸およびY軸とする。これらの軸に沿う方向のうち、プロジェクター1を設置した空間における鉛直方向上方を+Y方向とする。また、+Y方向が鉛直方向上方を向くように、+Z方向に沿って光が入射される対象物を見た場合の水平方向右方を+X方向とする。図示を省略するが、+X方向の反対方向を-X方向とし、+Y方向の反対方向を-Y方向とし、+Z方向の反対方向を-Z方向とする。
本実施形態の+X方向は特許請求の範囲の第1方向に対応し、本実施形態の-Z方向は特許請求の範囲の第2方向に対応する。また、本実施形態の+Z方向は特許請求の範囲の第3方向に対応し、本実施形態の-X方向は特許請求の範囲の第4方向に対応する。
【0014】
[光源装置の構成]
図2は、本実施形態の光源装置2の斜視図である。図3は、+Y方向から見た光源装置2の平面図である。
図2および図3に示すように、光源装置2は、光変調装置6を照明する光Lを、照明光軸Axに平行な方向、すなわち+Z方向に射出する。光源装置2が射出する光Lは、偏光方向が揃った直線偏光であり、空間的に分離された複数の色光を含む。本実施形態では、光源装置2が射出する光Lは、それぞれがP偏光からなる4本の光束で構成される。4本の光束は、緑色光GLp1、青色光BLp、赤色光RLp1、および緑色光GLp2である。
【0015】
光源装置2は、光源ユニット21と、第5位相差素子28と、第1光学部材22と、第1位相差素子31と、第2光学部材23と、第2位相差素子24と、第1集光素子25と、第3位相差素子37と、第2集光素子35と、第1拡散装置26と、第4位相差素子34と、第3集光素子27と、第2拡散装置36と、第1色分離素子29と、第2色分離素子33と、第6位相差素子30と、第7位相差素子32と、を備える。
【0016】
なお、本実施形態のP偏光は特許請求の範囲の第1偏光方向を有する光に相当し、S偏光は特許請求の範囲の第2偏光方向を有する光に相当する。また、後述するように、第1光学部材22および第2光学部材23と、第1色分離素子29および第2色分離素子33とでは、互いに異なる偏光または色光を分離する膜の向きが異なっている。したがって、P偏光およびS偏光という表記は、第1光学部材22および第2光学部材23に対する偏光方向で表しており、第1色分離素子29および第2色分離素子33に対する偏光方向としては逆になる。すなわち、第1光学部材22および第2光学部材23に対するP偏光は、第1色分離素子29および第2色分離素子33に対するS偏光であり、第1光学部材22および第2光学部材23に対するS偏光は、第1色分離素子29および第2色分離素子33に対するP偏光である。ただし、説明を混乱させないため、以下では、P偏光およびS偏光を、第1光学部材22および第2光学部材23に対する偏光方向として表記する。
【0017】
[光源ユニットの構成]
図4は、光源ユニット21の斜視図である。なお、図4においては、図面を見易くするため、コリメーターレンズの図示を省略する。
図2および図4に示すように、光源ユニット21は、支持部材210と、複数の第1発光素子211と、複数の第2発光素子212と、複数の第3発光素子213と、複数のコリメーターレンズ214と、を有する。支持部材210は、基板216と、複数のサブマウント218と、を有する。光源ユニット21は、赤色光RLpと、緑色光GLsと、青色光BLsと、を射出する。
【0018】
基板216は、第1面216aと、第1面216aとは異なる第2面216bと、を有する。基板216は、例えば銅、アルミニウム等の熱伝導率の高い金属で構成されている。基板216の第1面216aには、複数のサブマウント218がZ軸に沿って互いに間隔をおいて設けられている。本実施形態の場合、複数のサブマウント218は、第1サブマウント218Aと、第2サブマウント218Bと、第3サブマウント218Cと、を有する。サブマウント218は、例えば窒化アルミニウム、アルミナ等のセラミック材料で構成されている。サブマウント218は、基板216と各発光素子211,212,213との間に介在し、基板216と各発光素子211,212,213との線膨張係数の違いにより生じる熱応力を緩和する。サブマウント218は、銀ロウ、金-スズはんだ等の接合材により基板216に接合されている。
【0019】
1つのサブマウント218には、同じ色の光を射出する複数の発光素子211,212,213がY軸に沿って互いに間隔をおいて設けられている。具体的には、第1サブマウント218Aには、赤色光RLpを射出する複数の第1発光素子211がY軸に沿って互いに間隔をおいて設けられている。第2サブマウント218Bには、緑色光GLsを射出する複数の第2発光素子212がY軸に沿って互いに間隔をおいて設けられている。第3サブマウント218Cには、青色光BLsを射出する複数の第3発光素子213がY軸に沿って互いに間隔をおいて設けられている。
【0020】
なお、1つのサブマウント218に設けられる発光素子211,212,213の数は、4個に限らず、適宜変更が可能である。すなわち、本実施形態の光源ユニット21は、赤色光RLp、緑色光GLs、および青色光BLsをそれぞれ射出する複数の発光素子211,212,213を1つの支持部材210上に実装したマルチチップパッケージ構造を有する。
【0021】
第1発光素子211は、赤色光RLpを射出する半導体レーザーで構成されている。赤色光RLpは、例えば610~750nmの赤色波長帯を有するレーザー光である。第2発光素子212は、緑色光GLsを射出する半導体レーザーで構成されている。緑色光GLsは、例えば500~560nmの緑色波長帯を有するレーザー光である。第3発光素子213は、青色光BLsを射出する半導体レーザーで構成されている。青色光BLsは、例えば440~490nmの青色波長帯を有するレーザー光である。なお、各発光素子211,212,213は、半導体レーザーに代えて、LED(Light Emitting Diode)等の他の固体光源から構成されていてもよい。
本実施形態の赤色光は、特許請求の範囲の第1波長帯を有する第1光に対応する。本実施形態の緑色光は、特許請求の範囲の第2波長帯を有する第2光に対応する。本実施形態の青色光は、特許請求の範囲の第3波長帯を有する第3光に対応する。
【0022】
現在のプロジェクター用の高出力半導体レーザーにおいては、例えば青色半導体レーザーとしてAlInGaN系の半導体レーザーが用いられ、赤色半導体レーザーとしてAlGaInP系の半導体レーザーが用いられることが一般的である。このように、青色半導体レーザーの構成材料と赤色半導体レーザーの構成材料とが互いに異なり、結晶構造が互いに異なることに起因して、青色半導体レーザーから射出される青色光の偏光方向と、赤色半導体レーザーから射出される赤色光の偏光方向と、は互いに異なる。これに対して、青色半導体レーザーの構成材料と緑色半導体レーザーの構成材料とは異なるが、青色半導体レーザーから射出される青色光の偏光方向と、緑色半導体レーザーから射出される緑色光の偏光方向とは、互いに一致する。
【0023】
図4に示すように、各発光素子211,212,213は、当該発光素子から射出される光の主光線に沿う方向から見て、短辺と長辺とを有する長方形状の光射出面211a,212a,213aを有する。各発光素子211,212,213から射出される光は、光射出面211a,212a,213aの短手方向における発散角度が、光射出面211a,212a,213aの長手方向における発散角度よりも大きい。その結果、光の主光線に直交する断面は、光射出面211a,212a,213aの短手方向に沿う長軸と、光射出面211a,212a,213aの長手方向に沿う短軸と、を有する楕円形状となる。
【0024】
互いに色が異なる3つの色光のうち、青色光BLsの偏光方向Dsは、光射出面213aの長手方向、すなわち、断面形状である楕円の短軸方向に一致する。同様に、緑色光GLsの偏光方向Dsは、光射出面212aの長手方向、すなわち、断面形状である楕円の短軸方向に一致する。これに対し、上述した構成材料の違いに起因して、赤色光RLpの偏光方向Dpは、光射出面211aの短手方向、すなわち、断面形状である楕円の長軸方向に一致する。
【0025】
本実施形態の場合、第1発光素子211、第2発光素子212、および第3発光素子213のそれぞれは、光射出面211a,212a,213aの短手方向がZ軸方向を向き、光射出面211a,212a,213aの長手方向がY軸方向を向くように配置されている。したがって、青色光BLsおよび緑色光GLsの偏光方向Dsと、赤色光RLpの偏光方向Dpとは、YZ平面上で互いに直交する。
【0026】
図3に示すように、複数のコリメーターレンズ214は、複数の発光素子211,212,213から射出される光の光路上に設けられている。1つのコリメーターレンズ214は、1つの発光素子211,212,213に対応して設けられている。コリメーターレンズ214は、当該コリメーターレンズ214に対応する発光素子211,212,213から射出される光を平行化する。
【0027】
なお、光源ユニット21は、上記の構成に加えて、複数の発光素子211,212,213を囲むフレームを有していてもよいし、フレームの開口を覆うカバーガラスを有していてもよい。光源ユニット21がカバーガラスを有する場合、コリメーターレンズ214はカバーガラスと一体に設けられていてもよい。
【0028】
[第5位相差素子の構成]
図2および図3に示すように、第5位相差素子28は、Y軸に沿って並ぶ4つの第2発光素子212から射出される4つの緑色光GLpの光路上に設けられている。第5位相差素子28は、緑色波長帯の光に対する1/2波長板から構成される。第2発光素子212から射出される緑色光GLpは、第5位相差素子28を透過することによって、偏光方向がYZ平面内で90°回転し、P偏光の緑色光GLpに変換される。これにより、緑色光GLpの偏光方向と、赤色光RLpの偏光方向とは、互いに一致する。緑色光GLpの偏光方向と、青色光BLsの偏光方向とは、YZ平面上で互いに直交する。具体的には、緑色光GLpの偏光方向および赤色光RLpの偏光方向は、第1光学部材22に対するP偏光となる。青色光BLsの偏光方向は、第1光学部材22に対するS偏光となる。
【0029】
[第1光学部材の構成]
第1光学部材22には、光源ユニット21から射出される、P偏光の赤色光RLp、P偏光の緑色光GLp、およびS偏光の青色光BLsが、+X方向に沿って入射される。第1光学部材22は、プレート型の偏光分離素子で構成されている。
本実施形態の第1光学部材22は、特許請求の範囲の第1偏光分離素子に対応する。
【0030】
第1光学部材22は、第1透明基板220と、第1光学層221と、第2光学層222と、を有する。第1透明基板220は、互いに逆方向を向く第1面220aおよび第2面220bを有する。第1透明基板220は、一般的な光学ガラス板から構成されている。
【0031】
第1透明基板220は、X軸およびZ軸に対して45°傾斜して配置されている。言い換えると、第1透明基板220は、XY平面およびYZ平面に対して45°傾斜している。第1透明基板220は、第1面220aを光源ユニット21側に向けるように配置されている。第1光学層221は、第1透明基板220の第1面220aに形成されている。したがって、第1光学層221は、光源ユニット21に対向して配置されるとともに、XY平面およびYZ平面に対して45°傾斜している。第2光学層222は、第1透明基板220の第2面220bに形成されている。すなわち、第2光学層222は、第1光学層221に対して+X方向に配置され、XY平面およびYZ平面に対して45°傾斜している。
【0032】
第1光学層221は、第1光学層221に入射される光のうち、青色波長帯の光に対して、P偏光を透過し、S偏光を反射する偏光分離特性を有する。このため、第1光学層221は、+X方向に沿って入射されるS偏光の青色光BLsを-Z方向に反射する。また、第1光学層221は、後述する第1拡散素子261で反射し、+Z方向に沿って入射されるP偏光の青色光BLpを+Z方向に透過する。
【0033】
さらに、第1光学層221は、赤色波長帯の光および緑色波長帯の光を透過させる特性を有する。このため、第1光学層221は、+X方向に沿って入射されるP偏光の赤色光RLpおよびP偏光の緑色光GLpを+X方向に沿って透過させる。第1光学層221は、例えば誘電体多層膜から構成されている。
【0034】
第2光学層222は、第2光学層222に入射される光のうち、緑色波長帯の光に対して、P偏光を透過し、S偏光を反射する偏光分離特性を有する。このため、第2光学層222は、+X方向に沿って入射されるP偏光の緑色光GLpを+X方向に透過する。また、第2光学層222は、後述する第1位相差素子31を透過し、-X方向に沿って入射されるS偏光の緑色光GLsを+Z方向に反射する。
【0035】
さらに、第2光学層222は、赤色波長帯の光および青色波長帯の光を透過させる特性を有する。このため、第2光学層222は、+X方向に沿って入射されるP偏光の赤色光RLpを透過させ、後述する第1拡散素子261で反射し、+Z方向に沿って入射されるP偏光の青色光BLpを+Z方向に透過させる。第2光学層222は、例えば誘電体多層膜から構成されている。
【0036】
したがって、上記構成の第1光学部材22は、光源ユニット21から+X方向に沿って入射されるP偏光の赤色光RLpを+X方向に透過し、P偏光の緑色光GLpを+X方向に透過し、S偏光の青色光BLsを-Z方向に反射する。
【0037】
本実施形態の第1光学部材22は、プレート型の偏光分離素子であるため、第1透明基板220の第1面220aに形成する第1光学層221の機能と、第1透明基板220の第2面220bに形成する第2光学層222の機能と、を独立して設計することができる。これにより、第1光学層221および第2光学層222の膜設計を比較的容易に行うことができる。
【0038】
[第1位相差素子の構成]
第1位相差素子31は、第1光学部材22と第2光学部材23との間に設けられている。第1位相差素子31には、第1光学部材22を透過した緑色光GLpおよび赤色光RLpが入射する。第1位相差素子31は、緑色光に対して緑色波長帯の1/2の位相差を付与し、緑色波長帯以外の波長帯を有する光、例えば赤色光に対しては位相差を付与しない。このように、第1位相差素子31は、波長選択性位相差素子から構成されている。波長選択性位相差素子として、具体的にはカラーセレクト(商品名、カラーリンク社製)を用いることができる。
【0039】
[第2光学部材の構成]
第2光学部材23は、第1光学部材22に対して+X方向に配置されている。すなわち、第2光学部材23は、第1光学部材22の第2光学層222に対して+X方向に配置されている。第2光学部材23には、第1光学部材22を透過したP偏光の緑色光GLpおよび赤色光RLpが入射される。第2光学部材23は、第1光学部材22と同様、プレート型の偏光分離素子で構成されている。
本実施形態の第2光学部材23は、特許請求の範囲の第2偏光分離素子に対応する。
【0040】
第2光学部材23は、第2透明基板230と、第3光学層231と、第4光学層232と、を有する。第2透明基板230は、互いに逆方向を向く第3面230aおよび第4面230bを有する。第2透明基板230は、一般的な光学ガラス板から構成されている。
【0041】
第2透明基板230は、X軸およびZ軸に対して45°傾斜するように配置されている。言い換えると、第2透明基板230は、XY平面およびYZ平面に対して45°傾斜している。第2透明基板230は、第3面230aを第1光学部材22側に向けるように配置されている。すなわち、第2透明基板230の第3面230aと、第1透明基板220の第2面220bとは、互いに対向している。第3光学層231は、第2透明基板230の第3面230aに形成されている。したがって、第3光学層231は、第1光学部材22に対向して配置されるとともに、XY平面およびYZ平面に対して45°傾斜している。第4光学層232は、第2透明基板230の第4面230bに形成されている。すなわち、第4光学層232は、第3光学層231に対して+X方向に配置され、XY平面およびYZ平面に対して45°傾斜している。
【0042】
第3光学層231は、第3光学層231に入射する光のうち、緑色波長帯の光に対して、P偏光の一部を透過し、P偏光の他の一部を反射し、S偏光を反射する特性を有する。具体的には、第3光学層231は、P偏光の緑色光GLpの50%を透過し、P偏光の緑色光GLpの50%を反射する。したがって、第3光学層231は、第1位相差素子31から+X方向に沿って入射されるS偏光の緑色光GLsを-Z方向に反射する。
【0043】
また、第3光学層231は、赤色波長帯の光のうち、P偏光を透過する光学特性を有する。このため、第3光学層231は、第1光学部材22から+X方向に入射するP偏光の赤色光RLpを+X方向に透過する。なお、第3光学層231は、青色波長帯の光に対する光学特性については不問である。第3光学層231は、例えば誘電体多層膜から構成されている。第3光学層231は、緑色波長帯の光に対して、一般には反射させにくいP偏光を反射させる必要があるが、100%反射させる必要がないため、誘電体多層膜の設計は容易である。
【0044】
第4光学層232は、緑色波長帯の光のうち、P偏光を透過する光学特性を有する。また、第4光学層232は、赤色波長帯の光に対して、P偏光を透過し、S偏光を反射する偏光分離特性を有する。第4光学層232は、例えば誘電体多層膜から構成されている。なお、第3光学層231として、S偏光の赤色光を反射する光学特性を有する膜を用いた場合、第4光学層232は単なるARコート膜で構成することができる。
【0045】
上記の構成によれば、第2光学部材23は、第1光学部材22から+X方向に沿って入射するS偏光の緑色光GLsを-Z方向に反射し、第1光学部材22から+X方向に沿って入射するP偏光の赤色光RLpを+X方向に透過することが可能である。また、第2光学部材23は、後述する第2拡散素子262から射出されるP偏光の緑色光GLpのうち、50%の緑色光GLpを+Z方向に透過し、50%の緑色光GLpを-X方向に反射し、後述する第3拡散素子363から射出されるS偏光の赤色光RLsを+Z方向に反射することができる。
【0046】
本実施形態の第2光学部材23は、プレート型の偏光分離素子であるため、第2透明基板230の第3面230aに形成する第3光学層231の機能と、第2透明基板230の第4面230bに形成する第4光学層232の機能と、を独立して設計することができる。そのため、第3光学層231および第4光学層232の膜設計を比較的容易に行うことができる。
【0047】
[第2位相差素子の構成]
第2位相差素子24は、第1光学部材22に対して-Z方向に配置されている。すなわち、第2位相差素子24は、Z軸上において第1光学部材22と第1拡散装置26との間に配置されている。第2位相差素子24には、第1光学部材22の第1光学層221によって-Z方向に反射されたS偏光の青色光BLsが入射する。第2位相差素子24は、青色光BLsの青色波長帯に対する1/4波長板で構成されている。したがって、第1光学部材22で反射したS偏光の青色光BLsは、第2位相差素子24によって、例えば右回りの円偏光の青色光BLc1に変換された後、第1集光素子25に向けて射出される。すなわち、第2位相差素子24は、第2位相差素子24に入射する青色光BLsの偏光状態を変換する。
【0048】
[第1集光素子の構成]
第1集光素子25は、第2位相差素子24に対して-Z方向に配置されている。すなわち、第1集光素子25は、Z軸上において第2位相差素子24と第1拡散装置26との間に配置されている。第1集光素子25は、第2位相差素子24から入射する青色光BLc1を第1拡散装置26の第1拡散素子261上に集束させる。また、第1集光素子25は、第1拡散素子261から入射する、後述する青色光BLc2を平行化する。図3の例では、第1集光素子25は、第1レンズ251と、第2レンズ252と、から構成されている。なお、第1集光素子25を構成するレンズの数は限定されない。
【0049】
[第3位相差素子の構成]
第3位相差素子37は、第2光学部材23に対して-Z方向に配置されている。すなわち、第3位相差素子37は、Z軸上において第2光学部材23と第1拡散装置26との間に配置されている。第3位相差素子37には、第2光学部材23の第3光学層231によって-Z方向に反射されたS偏光の緑色光GLsが入射する。第3位相差素子37は、緑色光GLsの緑色波長帯に対する1/4波長板で構成されている。したがって、第2光学部材23で反射したS偏光の緑色光GLsは、第3位相差素子37によって、例えば右回りの円偏光の緑色光GLc1に変換された後、第2集光素子35に向けて射出される。すなわち、第3位相差素子37は、第3位相差素子37に入射する緑色光GLsの偏光状態を変換する。
【0050】
[第2集光素子の構成]
第2集光素子35は、第2光学部材23に対して-Z方向に配置されている。すなわち、第2集光素子35は、Z軸上において第2光学部材23と第1拡散装置26との間に配置されている。第2集光素子35は、第3位相差素子37から射出される緑色光GLc1を第1拡散装置26の第2拡散素子262上に集束させる。また、第2集光素子35は、第2拡散素子262から射出される、後述する緑色光GLc2を平行化し、第2光学部材23に向けて射出する。図3の例では、第2集光素子35は、第1レンズ351と、第2レンズ352と、から構成されている。なお、第2集光素子35を構成するレンズの数は限定されない。
【0051】
[第1拡散装置の構成]
第1拡散装置26は、第1基板260と、第1拡散素子261と、第2拡散素子262と、第1回転装置263と、を有する。第1拡散装置26は、第1集光素子25および第2集光素子35に対して-Z方向に配置されている。すなわち、第1拡散装置26は、第1光学部材22および第2光学部材23に対して-Z方向に配置されている。
【0052】
第1基板260は、第1集光素子25および第2集光素子35に対向する第1面260aを有する。第1拡散素子261と第2拡散素子262とは、第1基板260の第1面260aに設けられている。第1拡散装置26は、第1集光素子25から-Z方向に沿って入射される青色光BLc1を第1拡散素子261によって拡散させつつ+Z方向に反射する。また、第1拡散装置26は、第2集光素子35から-Z方向に沿って入射される緑色光GLc1を第2拡散素子262によって拡散させつつ+Z方向に反射する。
【0053】
第1回転装置263は、モーター等から構成されている。第1回転装置263は、第1拡散素子261と第2拡散素子262とが設けられた第1基板260を、第1面260aに直交する第1回転軸R1を中心として回転させる。
【0054】
図5は、+Z方向から見た第1拡散装置26の正面図である。
図5に示すように、第1拡散素子261は、第1基板260の第1面260aにおいて、第1回転軸R1を中心として環状に設けられている。第2拡散素子262は、第1基板260の第1面260aにおいて、第1回転軸R1を中心として環状に設けられている。このように、第1拡散素子261と第2拡散素子262とは、同心円状に設けられている。第1回転軸R1から第1拡散素子261までの距離と、第1回転軸R1から第2拡散素子262までの距離とは、互いに異なる。本実施形態の場合、第1回転軸R1から第1拡散素子261までの距離は、第1回転軸R1から第2拡散素子262までの距離よりも短い。すなわち、第1拡散素子261は、第2拡散素子262よりも第1基板260の内周側に設けられている。
【0055】
第1拡散素子261は、第1拡散素子261に入射した青色光BLc1を広角に反射する。第2拡散素子262は、第2拡散素子262に入射した緑色光GLc1を広角に反射する。第1拡散素子261の拡散特性と第2拡散素子262の拡散特性とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。第1拡散素子261の拡散特性と第2拡散素子262の拡散特性とを互いに異ならせる場合、これらの拡散特性は、入射光の波長帯に応じて最適化されることが望ましい。
【0056】
第1拡散素子261に入射した青色光BLc1は、第1拡散素子261で反射することにより、回転方向が反対方向の円偏光である青色光BLc2に変換される。すなわち、右回りの円偏光の青色光BLc1は、第1拡散素子261によって左回りの円偏光の青色光BLc2に変換される。第1拡散装置26から射出された青色光BLc2は、第1集光素子25を+Z方向に通過した後、第2位相差素子24に再び入射する。このとき、第1集光素子25から第2位相差素子24に入射される青色光BLc2は、第2位相差素子24によって、P偏光の青色光BLpに変換される。
【0057】
青色光BLpは、第1光学部材22に入射する。このとき、第1光学層221は、第1拡散素子261から+Z方向に沿って射出されて入射する青色光BLpを+Z方向に透過させる。また、第2光学層222は、第1光学層221から+Z方向に沿って射出され、第1透明基板220を透過して入射する青色光BLpを+Z方向に透過させる。このようにして、青色光BLpは、第1光学部材22から+Z方向に射出される。
【0058】
同様に、第2拡散素子262に入射した緑色光GLc1は、第2拡散素子262で反射することにより、回転方向が反対方向の円偏光である緑色光GLc2に変換される。すなわち、右回りの円偏光の緑色光GLc1は、第2拡散素子262によって左回りの円偏光の緑色光GLc2に変換される。第1拡散装置26から射出された緑色光GLc2は、第2集光素子35を+Z方向に通過した後、第3位相差素子37に再び入射する。このとき、第2集光素子35から第3位相差素子37に入射する緑色光GLc2は、第3位相差素子37によって、P偏光の緑色光GLpに変換される。
【0059】
緑色光GLpは、第2光学部材23に入射する。このとき、第3光学層231は、第2拡散素子から+Z方向に沿って射出されて入射する緑色光GLpのうち、50%の緑色光GLp1を+Z方向に透過させ、50%の緑色光GLp2を-X方向に反射させる。また、第4光学層232は、第3光学層231から+Z方向に沿って射出され、第2透明基板230を透過して入射する50%の緑色光GLp1を+Z方向に透過させる。このようにして、緑色光GLp1は、第2光学部材23から+Z方向に射出され、緑色光GLp2は、第2光学部材23から-X方向に射出される。
【0060】
第2光学部材23から-X方向に射出されたP偏光の緑色光GLp2は、第1位相差素子31によって、S偏光の緑色光GLs2に変換される。緑色光GLs2は、第1光学部材22に入射する。このとき、第2光学層222は、第1位相差素子31から-X方向に沿って入射する緑色光GLs2を+Z方向に反射させる。このようにして、緑色光GLs2は、第1光学部材22から+Z方向に射出される。
【0061】
[第4位相差素子の構成]
第4位相差素子34は、第2光学部材23に対して+X方向に配置されている。すなわち、第4位相差素子34は、X軸上において第2光学部材23と第2拡散装置36との間に配置されている。第4位相差素子34には、第2光学部材23から+X方向に沿って入射するP偏光の赤色光RLpが入射する。第4位相差素子34は、赤色波長帯の光に対する1/4波長板で構成されている。第2光学部材23を透過したP偏光の赤色光RLpは、第4位相差素子34によって例えば右回りの円偏光の赤色光RLc1に変換された後、第3集光素子27に向けて射出される。すなわち、第4位相差素子34は、第4位相差素子34に入射する赤色光RLpの偏光状態を変換する。
【0062】
[第3集光素子の構成]
第3集光素子27は、第4位相差素子34に対して+X方向に配置されている。すなわち、第3集光素子27は、X軸上において第4位相差素子34と第2拡散装置36との間に配置されている。第3集光素子27は、第4位相差素子34から入射する赤色光RLc1を第2拡散装置36の第3拡散素子363上に集束させる。また、第3集光素子27は、第2拡散装置36から入射される、後述する赤色光RLc2を平行化する。図3の例では、第3集光素子27は、第1レンズ271と、第2レンズ272と、から構成されている。なお、第3集光素子27を構成するレンズの数は限定されない。
【0063】
[第2拡散装置の構成]
第2拡散装置36は、第2基板361と、第3拡散素子363と、第2回転装置362と、を有する。第2拡散装置36は、第3集光素子27に対して+X方向に配置されている。すなわち、第2拡散装置36は、第2光学部材23に対して+X方向に配置されている。
【0064】
第2基板361は、第3集光素子27に対向する第2面361aを有する。第3拡散素子363は、第2基板361の第2面361aに設けられている。第2拡散装置36は、第3集光素子27から+X方向に沿って入射する赤色光RLc1を第3拡散素子363によって拡散させつつ-X方向に反射する。
【0065】
第2回転装置362は、モーター等から構成されている。第2回転装置362は、第3拡散素子363が設けられた第2基板361を、第2面361aに直交する第2回転軸R2を中心として回転させる。
【0066】
第2拡散装置36に入射した赤色光RLc1は、第3拡散素子363で反射することにより、回転方向が反対方向の円偏光である赤色光RLc2に変換される。すなわち、左回りの円偏光の赤色光RLc1は、第3拡散素子363によって右回りの円偏光の赤色光RLc2に変換される。第2拡散装置36から射出された赤色光RLc2は、第3集光素子27を-X方向に通過した後、第4位相差素子34に再び入射する。このとき、第3集光素子27から第4位相差素子34に入射される赤色光RLc2は、第4位相差素子34によって、S偏光の赤色光RLsに変換される。変換された赤色光RLsは、第2光学部材23に入射する。このとき、第4光学層232は、第2拡散装置36から-X方向に沿って入射する赤色光RLsを+Z方向に反射させる。このようにして、赤色光RLsは、第2光学部材23から+Z方向に射出される。
【0067】
[第1色分離素子の構成]
図6は、-X方向から見た光源装置2の側面図である。すなわち、図6は、第1色分離素子29および第6位相差素子30等を-X方向から見た状態を示している。図6においては、図面を見やすくするため、第2位相差素子24、第1集光素子25、および第1拡散装置26等の図示を省略している。
【0068】
図6に示すように、第1色分離素子29は、第1光学部材22に対して+Z方向に配置されている。第1色分離素子29は、ダイクロイックプリズム291と、反射プリズム292と、を有する。ダイクロイックプリズム291と反射プリズム292とは、Y軸に沿って並んで配置されている。第1色分離素子29は、第1光学部材22から+Z方向に射出された光を、青色光BLpと緑色光GLs2とに分離する。
【0069】
ダイクロイックプリズム291には、第1光学部材22から射出された青色光BLpと緑色光GLs2とを含む光が入射される。ダイクロイックプリズム291は、略直角二等辺三角柱状の2つの基材を組み合わせて略直方体形状に形成されたプリズム型の色分離素子から構成されている。2つの基材の界面には、色分離層2911が設けられている。色分離層2911は、Y軸およびZ軸に対して45°傾斜している。換言すると、色分離層2911は、XY平面およびYZ平面に対して45°傾斜している。
【0070】
色分離層2911は、入射される光のうち、青色光を反射させ、青色波長帯よりも大きい波長帯を有する色光、すなわち、緑色光を透過するダイクロイックミラーとして機能する。このため、第1光学部材22からダイクロイックプリズム291に入射した光のうち、緑色光GLs2は、色分離層2911を+Z方向に透過して、ダイクロイックプリズム291の外部に射出される。
【0071】
一方、第1光学部材22からダイクロイックプリズム291に入射した光のうち、青色光BLpは、色分離層2911によって-Y方向に反射される。本実施形態の場合、青色光BLpはダイクロイックプリズム291の色分離層2911に対するS偏光であり、緑色光GLs2はダイクロイックプリズム291の色分離層2911に対するP偏光である。すなわち、本実施形態の色分離層2911は、S偏光として入射する青色光BLpを反射し、P偏光として入射する緑色光GLs2を透過させる。一般的な光学膜において、S偏光は反射し易く、P偏光は透過し易い。本実施形態の色分離層2911は、上述のようにP偏光を透過、S偏光を反射するように設計すればよいため、色分離層2911の膜設計は容易である。
【0072】
なお、ダイクロイックプリズム291に代えて、色分離層2911を有するダイクロイックミラーを採用してもよい。また、第1色分離素子29は、偏光分離層を有する偏光分離素子と、反射プリズム292とを有する構成であってもよい。ダイクロイックプリズム291に代えて、例えば入射した青色光BLpを+Z方向に透過させ、緑色光GLs2を反射プリズム292に向けて-Y方向に反射させる偏光分離素子を第1色分離素子29に採用したとしても、ダイクロイックプリズム291を有する第1色分離素子29と同様に、青色光BLpと緑色光GLs2とを分離することができる。
【0073】
反射プリズム292は、ダイクロイックプリズム291に対して-Y方向に配置されている。反射プリズム292には、色分離層2911で反射された青色光BLpが入射される。反射プリズム292は、略直角二等辺三角柱状の2つの基材を組み合わせて略直方体形状に形成されたプリズム型の反射素子である。2つの基材の界面には、反射層2921が設けられている。反射層2921は、+Y方向および+Z方向に対して45°傾斜している。換言すると、反射層2921は、XY平面およびYZ平面に対して45°傾斜している。すなわち、反射層2921と色分離層2911とは、平行に配置されている。
【0074】
反射層2921は、ダイクロイックプリズム291から-Y方向に入射される青色光BLpを+Z方向に反射する。反射層2921によって反射された青色光BLp1は、反射プリズム292から+Z方向に射出される。なお、反射プリズム292に代えて、反射層2921を有する反射ミラーを採用してもよい。
【0075】
[第6位相差素子の構成]
第6位相差素子30は、ダイクロイックプリズム291に対する+Z方向に配置されている。換言すると、第6位相差素子30は、ダイクロイックプリズム291から射出される緑色光GLs2の光路上に配置されている。第6位相差素子30は、緑色波長帯の光に対する1/2波長板で構成されている。第6位相差素子30は、ダイクロイックプリズム291から入射する緑色光GLs2を、P偏光の緑色光GLp2に変換する。第6位相差素子30によってP偏光に変換された緑色光GLp2は、光源装置2から+Z方向に射出されて、図1に示す均一化装置4に入射する。なお、第6位相差素子30は、ダイクロイックプリズム291の緑色光GLs2が射出される面に接して設けられていてもよい。
【0076】
緑色光GLp2は、青色光BLpとは空間的に分離され、光源装置2における青色光BLpの射出位置とは異なる射出位置から射出され、均一化装置4に入射する。詳述すると、緑色光GLp2は、光源装置2における青色光BLpの射出位置から+Y方向に離れた射出位置から射出され、均一化装置4に入射する。
【0077】
[第2色分離素子の構成]
図7は、+X方向から見た光源装置2の側面図である。換言すると、図7は、+X方向から見た第7位相差素子32および第2色分離素子33を示している。なお、図7においては、第2拡散装置36、第2集光素子35、および第1拡散装置26等の図示を省略する。
【0078】
図7に示すように、第2色分離素子33は、第2光学部材23に対して+Z方向に配置されている。第2色分離素子33は、ダイクロイックプリズム331と、反射プリズム332と、を有する。ダイクロイックプリズム331と反射プリズム332とは、Y軸に沿って並んで配置されている。第2色分離素子33は、第2光学部材23から+Z方向に射出された光を、緑色光GLp1と赤色光RLsとに分離する。
【0079】
ダイクロイックプリズム331は、ダイクロイックプリズム291と同様、プリズム型の色分離素子で構成されている。2つの基材の界面には、色分離層3311が設けられている。色分離層3311は、+Y方向および+Z方向に対して45°傾斜している。換言すると、色分離層3311は、XY平面およびYZ平面に対して45°傾斜している。色分離層3311と反射層3321とは、平行に配置されている。
【0080】
色分離層3311は、入射される光のうち、緑色光を反射させ、赤色光を透過させるダイクロイックミラーとして機能する。このため、第2光学部材23からダイクロイックプリズム331に入射した光のうち、赤色光RLsは、色分離層3311を+Z方向に透過して、ダイクロイックプリズム331の外部に射出される。
【0081】
一方、第2光学部材23からダイクロイックプリズム331に入射した光のうち、緑色光GLp1は、色分離層3311によって-Y方向に反射される。本実施形態の場合、緑色光GLp1はダイクロイックプリズム331の色分離層3311に対するS偏光であり、赤色光RLsはダイクロイックプリズム331の色分離層3311に対するP偏光である。すなわち、本実施形態の色分離層3311は、S偏光として入射する緑色光GLp1を反射し、P偏光として入射する赤色光RLsを透過させる。一般的な光学膜において、S偏光は反射し易く、P偏光は透過し易いため、上述のようにP偏光を透過、S偏光を反射するように設計する本実施形態の色分離層3311の膜設計は容易である。
【0082】
なお、ダイクロイックプリズム331に代えて、色分離層3311を有するダイクロイックミラーが用いられてもよい。
【0083】
反射プリズム332は、ダイクロイックプリズム331に対して-Y方向に配置されている。反射プリズム332は、反射プリズム292と同様の構成を有する。すなわち、反射プリズム332は、色分離層3311、および反射層2921と平行な反射層3321を有する。
【0084】
反射層3321は、色分離層3311で反射されて入射する緑色光GLpを+Z方向に反射する。反射層3321で反射された緑色光GLpは、反射プリズム332の外部に射出される。なお、反射プリズム332に代えて、反射層3321を有する反射ミラーを採用してもよい。
【0085】
[第7位相差素子の構成]
第7位相差素子32は、ダイクロイックプリズム331に対して+Z方向に配置されている。換言すると、第7位相差素子32は、ダイクロイックプリズム331から射出される赤色光RLsの光路上に配置されている。第7位相差素子32は、赤色波長帯の光に対する1/2波長板で構成されている。第7位相差素子32は、ダイクロイックプリズム331から入射される赤色光RLsを、P偏光の赤色光RLp1に変換する。第7位相差素子32によってP偏光に変換された赤色光RLp1は、光源装置2から+Z方向に射出されて、図1に示す均一化装置4に入射する。なお、第7位相差素子32は、ダイクロイックプリズム331の赤色光RLsが射出される面に接して設けられていてもよい。
【0086】
赤色光RLp1は、緑色光GLp1とは空間的に分離され、光源装置2における緑色光GLp1の射出位置とは異なる射出位置から射出され、均一化装置4に入射する。すなわち、赤色光RLp1は、青色光BLp、緑色光GLp1、および緑色光GLpとは空間的に分離され、青色光BLp、緑色光GLp1、および緑色光GLp2とは異なる位置から射出され、均一化装置4に入射される。換言すると、赤色光RLp1は、光源装置2における緑色光GLp1の射出位置から+Y方向に離れ、緑色光GLp2の射出位置から+X方向に離れた射出位置から射出され、均一化装置4に入射される。
【0087】
[均一化装置の構成]
図1に示すように、均一化装置4は、光源装置2から射出された光が照射される光変調装置6の画像形成領域における照度を均一化する。均一化装置4は、第1マルチレンズ41と、第2マルチレンズ42と、重畳レンズ43と、を有する。
【0088】
第1マルチレンズ41は、光源装置2から入射される光Lの中心軸、すなわち、照明光軸Axに直交する面内にマトリクス状に配列された複数のレンズ411を有する。第1マルチレンズ41は、複数のレンズ411によって光源装置2から入射される光を複数の部分光束に分割する。
【0089】
図8は、-Z方向から見た第1マルチレンズ41における各色光の入射位置を示す模式図である。
図8に示すように、光源装置2から射出された緑色光GLp2、青色光BLp、赤色光RLp1、および緑色光GLp1は、第1マルチレンズ41に入射される。光源装置2における-X方向で+Y方向の位置から射出された緑色光GLp2は、第1マルチレンズ41における-X方向で+Y方向の領域A1に含まれる複数のレンズ411に入射される。また、光源装置2における-X方向で-Y方向の位置から射出された青色光BLpは、第1マルチレンズ41における-X方向で-Y方向の領域A2に含まれる複数のレンズ411に入射される。
【0090】
光源装置2における+X方向で+Y方向の位置から射出された赤色光RLp1は、第1マルチレンズ41における+X方向で+Y方向の領域A3に含まれる複数のレンズ411に入射される。光源装置2における+X方向で-Y方向の位置から射出された緑色光GLp1は、第1マルチレンズ41における+X方向で-Y方向の領域A4に含まれる複数のレンズ411に入射される。各レンズ411に入射された各色光は、複数の部分光束となって、第2マルチレンズ42においてレンズ411に対応するレンズ421に入射する。
【0091】
図1に示すように、第2マルチレンズ42は、照明光軸Axに直交する面内にマトリクス状に配列されるとともに、第1マルチレンズ41の複数のレンズ411に対応した複数のレンズ421を有する。各レンズ421には、当該レンズ421に対応するレンズ411から射出された複数の部分光束が入射される。各レンズ421は、入射された部分光束を重畳レンズ43に入射させる。
【0092】
重畳レンズ43は、第2マルチレンズ42から入射される複数の部分光束を光変調装置6の画像形成領域において重畳する。詳述すると、それぞれが複数の部分光束に分割された緑色光GLp1、青色光BLp、赤色光RLp1および緑色光GLpは、第2マルチレンズ42と重畳レンズ43とによって、フィールドレンズ5を介して、光変調装置6の後述するマイクロレンズアレイ62を構成する複数のマイクロレンズ621のそれぞれに異なる角度で入射する。
【0093】
[光変調装置の構成]
図1に示すように、光変調装置6は、光源装置2から射出された光を変調する。詳述すると、光変調装置6は、光源装置2から射出されて均一化装置4およびフィールドレンズ5を介して入射される各色光を画像情報に応じてそれぞれ変調し、画像情報に応じた画像光を形成する。光変調装置6は、1つの液晶パネル61と、1つのマイクロレンズアレイ62と、を備える。
【0094】
[液晶パネルの構成]
図9は、-Z方向から見た光変調装置6の一部を拡大視した模式図である。換言すると、図9は、液晶パネル61が有する画素PXと、マイクロレンズアレイ62が有するマイクロレンズ621と、の対応関係を示している。
図9に示すように、液晶パネル61は、照明光軸Axに直交する面内にマトリクス状に配列された複数の画素PXを有する。
【0095】
1つの画素PXは、互いに異なる色の色光を変調する複数のサブ画素SXを有する。本実施形態では、1つの画素PXは、4つのサブ画素SX(SX1~SX4)を有する。具体的に、1つの画素PX内において、-X方向で+Y方向の位置に、第1サブ画素SX1が配置されている。-X方向で-Y方向の位置に、第2サブ画素SX2が配置されている。+X方向で+Y方向の位置に、第3サブ画素SX3が配置されている。+X方向で-Y方向の位置に、第4サブ画素SX4が配置されている。
【0096】
[マイクロレンズアレイの構成]
図1に示すように、マイクロレンズアレイ62は、液晶パネル61に対して光入射側である-Z方向に設けられている。マイクロレンズアレイ62は、マイクロレンズアレイ62に入射される色光を個々の画素PXに導く。マイクロレンズアレイ62は、複数の画素PXに対応する複数のマイクロレンズ621を有する。
【0097】
図9に示すように、複数のマイクロレンズ621は、照明光軸Axに直交する面内にマトリクス状に配列されている。換言すると、複数のマイクロレンズ621は、フィールドレンズ5から入射される光の中心軸に対する直交面内にマトリクス状に配列されている。本実施形態では、1つのマイクロレンズ621は、+X方向に配列された2つのサブ画素と、+Y方向に配列された2つのサブ画素と、に対応して設けられている。すなわち、1つのマイクロレンズ621は、XY平面内に2行2列に配列された4つのサブ画素SX1~SX4に対応して設けられている。
【0098】
マイクロレンズ621には、均一化装置4によって重畳された緑色光GLp2、青色光BLp、赤色光RLp1、および緑色光GLp1がそれぞれ異なる角度で入射される。マイクロレンズ621は、マイクロレンズ621に入射される色光を、当該色光に対応するサブ画素SXに入射させる。具体的には、マイクロレンズ621は、対応する画素PXのサブ画素SXのうち、第1サブ画素SX1に緑色光GLp2を入射させ、第2サブ画素SX2に青色光BLpを入射させ、第3サブ画素SX3に赤色光RLp1を入射させ、第4サブ画素SX4に緑色光GLp1を入射させる。これにより、各サブ画素SX1~SX4に、当該サブ画素SX1~SX4に対応する色光が入射され、各サブ画素SX1~SX4によって対応する色光がそれぞれ変調される。このように、液晶パネル61によって変調された画像光は、投写光学装置7によって図示しない被投写面上に投写される。
【0099】
[第1実施形態の効果]
従来のプロジェクターにおいて、ランプからなる光源を備えるプロジェクターが知られている。ランプから射出される光は偏光方向が揃っていないため、光変調装置として液晶パネルを用いるためには、偏光方向を揃えるための偏光変換手段が必要となる。プロジェクターには、マルチレンズアレイと偏光分離素子(PBS)アレイとを備える偏光変換手段が一般的に用いられている。ところが、プロジェクターを小型化するためには、ピッチが狭いマルチレンズアレイとPBSアレイとが必要となるが、ピッチが狭いPBSアレイの作製は非常に困難である。
【0100】
この問題に対して、本実施形態においては、偏光方向が揃った複数の色光、すなわち、P偏光成分の緑色光GLp2、P偏光成分の青色光BLp、P偏光成分の赤色光RLp1、およびP偏光成分の緑色光GLp1が光源装置2から射出される。この構成によれば、上記のようなピッチが狭い偏光変換素子を用いることなく、空間的に分離され、偏光方向が揃えられた複数の光を射出可能な光源装置2を実現することができる。これにより、光源装置2の小型化が可能となり、プロジェクター1の小型化を図ることができる。
【0101】
また、本実施形態の光源装置2は、赤色光RLpと緑色光GLsと青色光BLsとを射出する光源ユニット21と、光源ユニット21から+X方向に沿って入射される赤色光、緑色光、および青色光のうち、P偏光の赤色光RLpおよび緑色光GLpを+X方向に透過し、S偏光方向の青色光BLsを-Z方向に反射する第1光学部材22と、第1光学部材22に対して+X方向に配置され、第1光学部材22から+X方向に沿って入射される赤色光および緑色光のうち、赤色光RLpを+X方向に透過し、緑色光GLsを-Z方向に反射する第2光学部材23と、第1光学部材22と第2光学部材23との間に設けられ、緑色波長帯の光に対して位相差を付与する第1位相差素子31と、第1光学部材22に対して-Z方向に配置され、第1光学部材22から-Z方向に沿って入射される青色光BLc1を拡散させて+Z方向に射出する第1拡散素子261と、第2光学部材23に対して-Z方向に配置され、第2光学部材23から-Z方向に沿って入射される緑色光GLc1を拡散させて+Z方向に射出する第2拡散素子262と、第2光学部材23に対して+X方向に配置され、第2光学部材23から+X方向に沿って入射される赤色光RLc1を拡散させて-X方向に射出する第3拡散素子363と、を備える。第2光学部材23は、第3拡散素子363から-X方向に沿って入射される赤色光RLsを+Z方向に反射し、第2拡散素子262から+Z方向に沿って入射される緑色光GLpのうち、P偏光の緑色光GLpの一部を+Z方向に透過し、P偏光の緑色光GLpの他の一部を-X方向に反射する。第1位相差素子31は、第1光学部材22から+X方向に沿って入射されるP偏光の緑色光GLpをS偏光の緑色光GLsに変換し、第2光学部材23から-X方向に沿って入射されるP偏光の緑色光GLpの他の一部を、S偏光の緑色光GLs2に変換する。第1光学部材22は、第1拡散素子261から+Z方向に沿って入射される青色光BLpを透過し、第1位相差素子31から-X方向に沿って入射されるS偏光の緑色光GLs2を反射する。
【0102】
特許文献1の光源装置においては、拡散装置とは別個に波長変換素子が必要であるのに対し、本実施形態の光源装置2においては、波長変換素子を用いることなく、光源ユニット21を用いるだけで、赤色光RLp、緑色光GLp1、GLp2と、青色光BLpと、を射出することができる。これにより、本実施形態の構成によれば、特許文献1に比べて、光源装置2の小型化を図ることができる。
【0103】
本実施形態の光源装置2は、第1光学部材22と第1拡散素子261との間に設けられ、第1光学部材22からS偏光の青色光BLsが入射される第2位相差素子24をさらに備える。
【0104】
この構成によれば、第1光学部材22と第1拡散素子との間に第2位相差素子24が設けられているため、第1拡散素子261から射出された円偏光の青色光BLc2をP偏光の青色光BLpに変換し、第1光学部材22を透過させることができる。これにより、第1拡散素子261から射出される青色光BLc2の利用効率を高めることができる。
【0105】
本実施形態の光源装置2は、第2光学部材23と第2拡散素子262との間に設けられ、第2光学部材23からS偏光の緑色光GLsが入射される第3位相差素子37をさらに備える。
【0106】
この構成によれば、第3位相差素子37によって、第2拡散素子262から射出された円偏光の緑色光GLc2をP偏光の緑色光GLpに変換し、第2光学部材23において一部を透過、他の一部を反射させることができる。これにより、第2拡散素子262から射出される緑色光GLc2の利用効率を高めることができる。
【0107】
本実施形態の光源装置2は、第2光学部材23と第3拡散素子363との間に設けられ、第2光学部材23からP偏光の赤色光RLpが入射される第4位相差素子34をさらに備える。
【0108】
この構成によれば、第4位相差素子34によって、第3拡散素子363から射出された円偏光の赤色光RLc2をS偏光の赤色光RLsに変換し、第2光学部材23において反射させることができる。これにより、第3拡散素子363から射出される赤色光RLc2の利用効率を高めることができる。
【0109】
本実施形態の光源装置2において、光源ユニット21は、支持部材210と、支持部材210に設けられ、赤色光RLpを射出する第1発光素子211と、支持部材210に設けられ、緑色光GLsを射出する第2発光素子212と、支持部材210に設けられ、青色光BLsを射出する第3発光素子213と、を有する。
【0110】
この構成によれば、互いに異なる3色の色光を射出する第1発光素子211、第2発光素子212、および第3発光素子213が共通の支持部材210に設けられる。これにより、例えば光源ユニット21の冷却が容易になり、小型の光源ユニット21を実現できる。そのため、光源装置2の小型化を図ることができる。特に各発光素子211,212,213として半導体レーザーを用いた場合、色域が広く、エテンデューが小さい光源装置2を実現することができる。
【0111】
本実施形態の光源装置2において、第1発光素子211から射出される第1光は、P偏光の赤色光RLpであり、第2発光素子212から射出される第2光は、S偏光の緑色光GLsであり、第3発光素子213から射出される第3光は、S偏光の青色光BLsである。また、本実施形態の光源装置2は、第2発光素子212と第1光学部材22との間に設けられ、第2発光素子212から射出されるS偏光の緑色光GLsをP偏光の緑色光GLpに変換する第5位相差素子28をさらに備える。
【0112】
この構成によれば、上述したように、各発光素子として半導体レーザーを用いた場合、構成材料の違いにより、青色光BLsおよび緑色光GLsの偏光方向と、赤色光RLpの偏光方向とが互いに直交するため、光源ユニット21において、各色の半導体レーザーを全て同じ向きに配置するだけで、上記の偏光方向を実現することができる。また、第5位相差素子28が緑色光GLsの偏光方向をP偏光に変換するため、第1光学部材22によって緑色光GLpおよび赤色光RLpと、青色光BLsと、を分離することができる。
【0113】
本実施形態の光源装置2は、第1面260aを有する第1基板260と、第1面260aに交差する第1回転軸R1を中心として第1基板260を回転させる第1回転装置263と、をさらに備える。第1拡散素子261は、第1基板260の第1面260aにおいて第1回転軸R1を中心として環状に設けられ、第2拡散素子262は、第1基板260の第1面260aにおいて第1回転軸R1を中心として環状に設けられ、第1回転軸R1から第1拡散素子261までの距離と、第1回転軸R1から第2拡散素子262までの距離とは、互いに異なる。
【0114】
この構成によれば、第1基板260の回転によって、第1拡散素子261および第2拡散素子262のそれぞれにおける光の入射位置が時間的に変化する。そのため、例えば各発光素子として半導体レーザーを用いた場合、レーザー光において発生しやすいスペックルを効果的に抑制することができる。また、第1拡散素子261と第2拡散素子262とが共通の第1基板260上に同心円状に設けられているため、各拡散素子261,262を個別の基板に設ける場合に比べて、光源装置2の構成が簡易になり、光源装置2の小型化を図ることができる。
【0115】
本実施形態の光源装置2は、第2面361aを有する第2基板361と、第2面361aに交差する第2回転軸R2を中心として第2基板361を回転させる第2回転装置362と、をさらに備える。第3拡散素子363は、第2基板361の第2面361aにおいて第2回転軸R2を中心として環状に設けられている。
【0116】
この構成によれば、第2基板361の回転によって、第3拡散素子363における光の入射位置が時間的に変化する。そのため、例えば発光素子として半導体レーザーを用いた場合、レーザー光に発生しやすいスペックルを効果的に抑制することができる。3つの色光のうち、赤色光は、特にスペックルが発生しやすい。この観点から、この構成によれば、赤色光RLc1を拡散させる第3拡散素子363を設けた第2基板361が、他の色光を拡散させる拡散素子261,262を設けた第1基板260とは個別に設けられているため、例えば第2基板361の回転速度を調整するなどして、赤色光のスペックルをより効果的に抑制することができる。
【0117】
本実施形態の光源装置2は、第1光学部材22に対して+Z方向に配置され、第1光学部材22から射出される光を青色光BLpと緑色光GLs2とに分離する第1色分離素子29と、第2光学部材23に対して+Z方向に配置され、第2光学部材23から射出される光を赤色光RLsと緑色光GLp1とに分離する第2色分離素子33と、をさらに備える。
【0118】
この構成によれば、青色光BLp、緑色光GLp2、赤色光RLp1、および緑色光GLp1の4つの光を分離して光源装置2から射出させることができる。
【0119】
本実施形態のプロジェクター1は、本実施形態の光源装置2と、光源装置2からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置6と、光変調装置6により変調された光を投写する投写光学装置7と、を備える。
【0120】
この構成によれば、いわゆる単板方式のプロジェクター1を構成することができ、小型で高効率のプロジェクター1を実現することができる。
【0121】
本実施形態のプロジェクター1は、光源装置2と光変調装置6との間に設けられる均一化装置4をさらに備える。均一化装置4は、光源装置2から入射される光Lを複数の部分光束に分割する第1マルチレンズ41および第2マルチレンズ42と、第1マルチレンズ41および第2マルチレンズ42から入射される前記複数の部分光束を光変調装置6に重畳させる重畳レンズ43と、を有する。
【0122】
この構成によれば、光源装置2から射出される青色光BLp、緑色光GLp2、赤色光RLp1および緑色光GLp1によって光変調装置6を略均一に照明することができる。これにより、投写画像の色むらおよび輝度むらを抑制することができる。
【0123】
本実施形態のプロジェクター1において、光変調装置6は、複数の画素PXを有する液晶パネル61と、液晶パネル61に対して光入射側に設けられ、複数の画素PXに対応する複数のマイクロレンズ621を有するマイクロレンズアレイ62と、を有する。複数の画素PXのそれぞれは、第1サブ画素SX1、第2サブ画素SX2、第3サブ画素SX3および第4サブ画素SX4を有し、マイクロレンズ621は、緑色光GLp2を第1サブ画素SX1に入射させ、青色光BLpを第2サブ画素SX2に入射させ、赤色光RLp1を第3サブ画素SX3に入射させ、緑色光GLp1を第4サブ画素SX4に入射させる。
【0124】
この構成によれば、光源装置2から射出される各色光を各サブ画素SX1,SX2,SX3,SX4に効率良く入射させることができ、各色光の利用効率を高めることができる。
【0125】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図10および図11を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターの構成は第1実施形態と同様であり、光源装置の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターの全体構成の説明は省略する。
図10は、+Y方向から見た第2実施形態の光源装置12の平面図である。図11は、光源ユニット51の斜視図である。
図10および図11において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0126】
図10に示すように、光源装置12は、光源ユニット51と、第1光学部材52と、第1位相差素子31と、第2光学部材53と、第2位相差素子24と、第1集光素子25と、第3位相差素子37と、第2集光素子35と、第1拡散装置26と、第4位相差素子34と、第3集光素子27と、第2拡散装置36と、第1色分離素子55と、第2色分離素子56と、第6位相差素子30と、第7位相差素子32と、を備える。
【0127】
[光源ユニットの構成]
図11に示すように、本実施形態の光源ユニット51は、第1実施形態の光源ユニット21を光の射出方向であるX軸を中心として90°回転させた配置を有する。すなわち、第1サブマウント218Aには、赤色光RLsを射出する複数の第1発光素子211がZ軸に沿って互いに間隔をおいて設けられている。第2サブマウント218Bには、緑色光GLpを射出する複数の第2発光素子212がZ軸に沿って互いに間隔をおいて設けられている。第3サブマウント218Cには、青色光BLpを射出する複数の第3発光素子213がZ軸に沿って互いに間隔をおいて設けられている。第1サブマウント218A、第2サブマウント218B、および第3サブマウント218Cは、Y軸に沿って互いに間隔をおいて設けられている。
【0128】
本実施形態の場合、第1発光素子211、第2発光素子212、および第3発光素子213のそれぞれは、光射出面211a,212a,213aの短手方向がY軸方向を向き、光射出面211a,212a,213aの長手方向がZ軸方向を向くように配置されている。そのため、青色光BLpおよび緑色光GLpの偏光方向DpはZ軸に一致し、赤色光RLsの偏光方向DsはY軸に一致する。本実施形態の場合、第1実施形態とは異なり、青色光BLpおよび緑色光GLpの偏光方向Dpは、第1光学部材52および第2光学部材53に対してP偏光となる。赤色光RLsの偏光方向Dsは、第1光学部材52および第2光学部材53に対してS偏光となる。このように、青色光BLpおよび緑色光GLpの偏光方向Dpと、赤色光RLsの偏光方向Dsとは、YZ平面上で互いに直交する。
本実施形態の青色光BLpは、特許請求の範囲の第1波長帯を有する第1光に対応する。本実施形態の緑色光GLpは、特許請求の範囲の第2波長帯を有する第2光に対応する。本実施形態の赤色光RLsは、特許請求の範囲の第3波長帯を有する第3光に対応する。
【0129】
図10に示すように、本実施形態では、第1実施形態とは異なり、光源ユニット51と第1光学部材52との間に第5位相差素子28が設けられていない。そのため、光源ユニット51から射出される各色光は、偏光方向を変えることなく、第1光学部材52に入射する。
【0130】
以下、各光学素子の構成は第1実施形態と略同様であるため、説明を省略し、第1実施形態とは異なる各光学素子の作用についてのみ説明する。
【0131】
[第1光学部材]
第1光学部材52は、光源ユニット51から+X方向に沿って入射されるS偏光の赤色光RLsを-Z方向に反射し、P偏光の緑色光GLpを+X方向に透過し、P偏光の青色光BLpを+X方向に透過する。また、第1光学部材52は、第1拡散素子261から+Z方向に沿って入射される赤色光RLpを+Z方向に透過し、第2光学部材53から-X方向に沿って入射される緑色光GLs2を+Z方向に反射する。
【0132】
[第2光学部材]
第2光学部材53は、第1光学部材52から+X方向に沿って入射されるS偏光の緑色光GLsを-Z方向に反射し、P偏光の青色光BLpを+X方向に透過する。また、第2光学部材53は、第2拡散素子262から+Z方向に沿って入射される緑色光GLpのうち、50%の緑色光GLp1を+Z方向に透過し、50%の緑色光GLp2を-X方向に反射する。また、第2光学部材53は、第3拡散素子363から-X方向に沿って入射される青色光BLsを+Z方向に反射する。
【0133】
[第1拡散装置]
第1拡散素子261は、第1光学部材52から-Z方向に沿って入射される赤色光RLc1を拡散させて+Z方向に射出する。第2拡散素子262は、第2光学部材53から-Z方向に沿って入射される緑色光GLc1を拡散させて+Z方向に射出する。第1拡散素子261と第2拡散素子262とは、共通の第1基板260上に設けられている。
【0134】
[第2拡散装置]
第3拡散素子363は、第2光学部材53から+X方向に沿って入射される青色光BLc1を拡散させて-X方向に射出する。第3拡散素子363は、第2基板361上に設けられている。
【0135】
[第1色分離素子]
第1色分離素子55は、第1光学部材52から+Z方向に沿って入射される光を、緑色光GLs2と赤色光RLpとに分離する。これにより、緑色光GLs2と赤色光RLpとは、光源装置12におけるY軸方向に互いに離れた位置から射出される。
【0136】
[第2色分離素子]
第2色分離素子56は、第2光学部材53から+Z方向に沿って入射される光を、青色光BLsと緑色光GLp1とに分離する。これにより、青色光BLsと緑色光GLp1とは、光源装置12におけるY軸方向に互いに離れた位置から射出される。
光源装置12のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0137】
[第2実施形態の効果]
本実施形態の光源装置12においても、小型で高効率の光源装置12を実現することができる、発光素子として半導体レーザーを用いた場合であってもスペックルを効果的に抑制することができる、小型で高効率のプロジェクターを実現することができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0138】
また、本実施形態の光源装置12において、第1発光素子211から射出される第1光は、P偏光の青色光BLpであり、第2発光素子212から射出される第2光は、P偏光の緑色光GLpであり、第3発光素子213から射出される第3光は、S偏光の赤色光RLsである。
【0139】
この構成によれば、光源ユニット51から射出される各色光の偏光状態を変えることなく、第1光学部材52によって、青色光BLpおよび緑色光GLpと、赤色光RLsと、を分離することができる。そのため、光源ユニット51と第1光学部材52との間に第5位相差素子28を設ける必要がなく、光源装置12の簡略化を図ることができる。
【0140】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記第1実施形態の光源ユニットにおいては、各サブマウントに同一の色光を射出する複数の発光素子が設けられていたが、1つのサブマウントに互いに異なる色光を射出する発光素子が混在していてもよい。
【0141】
[光源ユニットの変形例]
図12は、変形例の光源ユニット71の斜視図である。なお、図12において、第1実施形態の図4と共通の構成要素には同一の符号を付す。
図12に示すように、変形例の光源ユニット71においては、第3サブマウント218Cに設けられた4個の発光素子のうち、1個の発光素子が青色光BLsを射出する第3発光素子213で構成され、残りの3個の発光素子が緑色光GLsを射出する第2発光素子212で構成されている。そのため、光源ユニット71は、赤色光RLpを射出する4個の第1発光素子211と、緑色光GLsを射出する7個の第2発光素子212と、青色光BLsを射出する1個の第3発光素子213と、を有する。なお、各発光素子211,212,213の数は、上記の例に限らず、適宜変更が可能である。
【0142】
変形例の光源ユニット71によれば、各発光素子211,212,213の数を自由に設定することができ、光源装置から射出される光の色バランスを適宜調整することができる。なお、変形例の光源ユニット71を第2実施形態の光源装置に適用することも可能である。
【0143】
また、上記各実施形態では、第1拡散素子と第2拡散素子とが1つの基板上に設けられているが、第1拡散素子および第2拡散素子のそれぞれが個別の基板上に設けられていてもよい。また、上記実施形態では、レーザー光のスペックルを抑制するため、各拡散素子を回転させる構成を有しているが、この構成に代えて、各拡散素子を揺動させてもよい。いずれの構成においても、拡散素子上の光の入射位置を時間的に変化させることにより、スペックルを効果的に抑制することができる。
【0144】
上記各実施形態では、プロジェクター1は、第1マルチレンズ41、第2マルチレンズ42、および重畳レンズ43を有する均一化装置4を備えている。この構成に代えて、他の構成を有する均一化装置が設けられてもよいし、均一化装置4は設けられていなくてもよい。
【0145】
第1実施形態の光源装置2は、P偏光に揃った緑色光GLp2、青色光BLp、緑色光GLp1、および赤色光RLpを射出する。この構成に代えて、光源装置が射出する各色光の偏光状態は、他の偏光状態であってもよい。例えば、光源装置は、S偏光に揃った緑色光GLs、青色光BLs、緑色光GLs、および赤色光RLsを射出する構成であってもよい。また、4つの色光の偏光方向は、必ずしも揃っていなくてもよい。
【0146】
その他、光源装置、およびプロジェクターの各構成要素の形状、数、配置、材料等の具体的な記載については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。また、上記実施形態では、本発明による光源装置を、液晶ライトバルブを用いたプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限られない。本発明による光源装置を光変調装置としてデジタルマイクロミラーデバイスを用いたプロジェクターに適用してもよい。また、上記実施形態では、本発明による光源装置をプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限らず、照明器具や自動車のヘッドライト等にも適用することができる。
【0147】
その他、投写光学装置およびプロジェクターを構成する各種構成要素の数、配置、形状および材料等の具体的な構成は、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
【0148】
本発明の一つの態様の光源装置は、以下の構成であってもよい。
本発明の一つの態様の光源装置は、第1波長帯を有する第1光と、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光と、前記第1波長帯および前記第2波長帯とは異なる第3波長帯を有する第3光と、を射出する光源ユニットと、前記光源ユニットから第1方向に沿って入射される前記第1光、前記第2光、および前記第3光のうち、第1偏光方向を有する前記第1光および前記第2光を前記第1方向に透過し、前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向を有する前記第3光を前記第1方向と交差する第2方向に反射する第1偏光分離素子と、前記第1偏光分離素子に対して前記第1方向に配置され、前記第1偏光分離素子から前記第1方向に沿って入射される前記第1光および前記第2光のうち、前記第1光を前記第1方向に透過し、前記第2光を前記第2方向に反射する第2偏光分離素子と、前記第1偏光分離素子と前記第2偏光分離素子との間に設けられ、前記第2波長帯の光に対して位相差を付与する第1位相差素子と、前記第1偏光分離素子に対して前記第2方向に配置され、前記第1偏光分離素子から前記第2方向に沿って入射される前記第3光を拡散させて前記第2方向とは反対方向である第3方向に射出する第1拡散素子と、前記第2偏光分離素子に対して前記第2方向に配置され、前記第2偏光分離素子から前記第2方向に沿って入射される前記第2光を拡散させて前記第3方向に射出する第2拡散素子と、前記第2偏光分離素子に対して前記第1方向に配置され、前記第2偏光分離素子から前記第1方向に沿って入射される前記第1光を拡散させて前記第1方向とは反対方向である第4方向に射出する第3拡散素子と、を備える。前記第2偏光分離素子は、前記第3拡散素子から前記第4方向に沿って入射される前記第1光を前記第3方向に反射し、前記第2拡散素子から前記第3方向に沿って入射される前記第2光のうち、前記第1偏光方向を有する前記第2光の一部を前記第3方向に透過し、前記第1偏光方向を有する前記第2光の他の一部を前記第4方向に反射する。前記第1位相差素子は、前記第1偏光分離素子から前記第1方向に沿って入射される前記第1偏光方向を有する前記第2光を、前記第2偏光方向を有する前記第2光に変換し、前記第2偏光分離素子から前記第4方向に沿って入射される前記第1偏光方向を有する前記第2光の他の一部を、前記第2偏光方向を有する前記第2光に変換する。前記第1偏光分離素子は、前記第1拡散素子から前記第3方向に沿って入射される前記第3光を透過し、前記第1位相差素子から前記第4方向に沿って入射される前記第2偏光方向を有する前記第2光を反射する。
【0149】
本発明の一つの態様の光源装置は、前記第1偏光分離素子と前記第1拡散素子との間に設けられ、前記第1偏光分離素子から前記第2偏光方向を有する前記第3光が入射される第2位相差素子をさらに備えてもよい。
【0150】
本発明の一つの態様の光源装置は、前記第2偏光分離素子と前記第2拡散素子との間に設けられ、前記第2偏光分離素子から前記第2偏光方向を有する前記第2光が入射される第3位相差素子をさらに備えてもよい。
【0151】
本発明の一つの態様の光源装置は、前記第2偏光分離素子と前記第3拡散素子との間に設けられ、前記第2偏光分離素子から前記第1偏光方向を有する前記第1光が入射される第4位相差素子をさらに備えてもよい。
【0152】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記光源ユニットは、支持部材と、前記支持部材に設けられ、前記第1光を射出する第1発光素子と、前記支持部材に設けられ、前記第2光を射出する第2発光素子と、前記支持部材に設けられ、前記第3光を射出する第3発光素子と、を有していてもよい。
【0153】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記第1発光素子から射出される前記第1光は、前記第1偏光方向を有する赤色光であり、前記第2発光素子から射出される前記第2光は、前記第2偏光方向を有する緑色光であり、前記第3発光素子から射出される前記第3光は、前記第2偏光方向を有する青色光であり、前記第2発光素子と前記第1偏光分離素子との間に設けられ、前記第2発光素子から射出される前記第2偏光方向を有する緑色光を、前記第1偏光方向を有する前記緑色光に変換する第5位相差素子をさらに備えていてもよい。
【0154】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記第1発光素子から射出される前記第1光は、前記第1偏光方向を有する青色光であり、前記第2発光素子から射出される前記第2光は、前記第1偏光方向を有する緑色光であり、前記第3発光素子から射出される前記第3光は、前記第2偏光方向を有する赤色光であってもよい。
【0155】
本発明の一つの態様の光源装置は、第1面を有する第1基板と、前記第1面に交差する第1回転軸を中心として前記第1基板を回転させる第1回転装置と、をさらに備え、前記第1拡散素子は、前記第1基板の前記第1面において前記第1回転軸を中心として環状に設けられ、前記第2拡散素子は、前記第1基板の前記第1面において前記第1回転軸を中心として環状に設けられ、前記第1回転軸から前記第1拡散素子までの距離と、前記第1回転軸から前記第2拡散素子までの距離とは、互いに異なっていてもよい。
【0156】
本発明の一つの態様の光源装置は、第2面を有する第2基板と、前記第2面に交差する第2回転軸を中心として前記第2基板を回転させる第2回転装置と、をさらに備え、前記第3拡散素子は、前記第2基板の前記第2面において前記第2回転軸を中心として環状に設けられていてもよい。
【0157】
本発明の一つの態様の光源装置は、前記第1偏光分離素子に対して前記第3方向に配置され、前記第1偏光分離素子から射出される光を、前記第3波長帯を有する第3光と、前記第2波長帯を有する第2光と、に分離する第1色分離素子と、前記第2偏光分離素子に対して前記第3方向に配置され、前記第2偏光分離素子から射出される光を、前記第1波長帯を有する第1光と、前記第2波長帯を有する第2光と、に分離する第2色分離素子と、をさらに備えていてもよい。
【0158】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の光源装置と、前記光源装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置と、を備える。
【0159】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、前記光源装置と前記光変調装置との間に設けられる均一化装置をさらに備え、前記均一化装置は、前記光源装置から入射される光を複数の部分光束に分割する2つのマルチレンズと、前記2つのマルチレンズから入射される前記複数の部分光束を前記光変調装置に重畳させる重畳レンズと、を有していてもよい。
【0160】
本発明の一つの態様のプロジェクターにおいて、前記光変調装置は、複数の画素を有する液晶パネルと、前記液晶パネルに対して光入射側に設けられ、前記複数の画素に対応する複数のマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイと、を有し、前記複数の画素のそれぞれは、第1サブ画素、第2サブ画素、第3サブ画素、および第4サブ画素を有し、前記マイクロレンズは、前記第2光を前記第1サブ画素に入射させ、前記第3光を前記第2サブ画素に入射させ、前記第1光を前記第3サブ画素に入射させ、前記第2光を前記第4サブ画素に入射させてもよい。
【符号の説明】
【0161】
1…プロジェクター、2,12…光源装置、4…均一化装置、6…光変調装置、7…投写光学装置、21,51,71…光源ユニット、22,52…第1光学部材(第1偏光分離素子)、23,53…第2光学部材(第2偏光分離素子)、24…第2位相差素子、28…第5位相差素子、29,55…第1色分離素子、31…第1位相差素子、33,56…第2色分離素子、34…第4位相差素子、37…第3位相差素子、41…第1マルチレンズ、42…第2マルチレンズ、43…重畳レンズ、61…液晶パネル、62…マイクロレンズアレイ、210…支持部材、211…第1発光素子、212…第2発光素子、213…第3発光素子、260…第1基板、260a…第1面、261…第1拡散素子、262…第2拡散素子、263…第1回転装置、361…第2基板、361a…第2面、362…第2回転装置、363…第3拡散素子、BLs,BLp,BLp1,BLc1,BLc2…青色光(第3光、第1光)、GLs,GLs2,GLp,GLp1,GLp2,GLc1,GLc2…緑色光(第2光)、RLs,RLp,RLp1,RLc1,RLc2…赤色光(第1光、第3光)、R1…第1回転軸、R2…第2回転軸、PX…画素、SX…サブ画素、SX1…第1サブ画素、SX2…第2サブ画素、SX3…第3サブ画素、SX4…第4サブ画素。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12