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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/43 20240101AFI20240723BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20240723BHJP
【FI】
G06Q50/43
G06Q10/20
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021058502
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022155149
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 禎
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-212100(JP,A)
【文献】特開2021-005291(JP,A)
【文献】特開2003-162665(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0109944(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2018-0008263(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第110706501(CN,A)
【文献】特開2020-194433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行に関する走行状態情報を受信することと、
前記走行状態情報に基づいて、前記車両の点検又は整備の予定日時を決定することと、
前記予定日時に前記車両の点検又は整備を実施可能な1又は複数の店舗を選択することと、
前記車両の配車を予約する配車予約情報であって、前記車両の乗車予定日時及び乗車場所を含む配車予約情報を取得することと、
前記点検又は整備の予定日時以降の所定時間内である前記乗車予定日時を含む前記配車予約情報に含まれる乗車場所として示される1又は複数の目的地を取得することと、
前記1又は複数の店舗のうちの一つである第1の店舗と、前記1又は複数の目的地のうちの一つである第1の目的地とのすべての組み合わせについて、前記車両の出発地点から前記第1の店舗への移動にかかる第1の時間長と、前記第1の店舗において点検又は整備にかかる第2の時間長と、前記第1の店舗から前記第1の目的地までの移動にかかる第3の時間長と、の合計時間長を算出することと、
を実行する制御部、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記走行状態情報は、少なくとも前記車両の位置情報及び前記車両の走行距離を含み、
前記制御部は、
前記走行状態情報に基づいて前記走行距離が所定の距離に達する場合に、前記車両の前記位置情報の履歴を含む走行履歴情報に基づいて、前記予定日時から所定時間前の時刻における前記車両の走行予測位置を取得することと、
前記車両の前記走行予測位置を前記出発地点とすることと、
をさらに実行する、
請求項記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記走行状態情報は、少なくとも前記車両の位置情報及び前記車両の部品の状態を示す情報を含み、
前記制御部は、
前記走行状態情報に基づいて前記車両の部品の状態を示す情報が、いずれかの部品の故障及びいずれかの部品の摩耗のうち少なくともいずれかを示す場合に、前記車両の現在位
置を前記出発地点とすることと、
をさらに実行する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記合計時間長が最も短くなる第1の店舗と第1の目的地との組み合わせについて、前記車両の点検又は整備を前記第1の店舗で行い、前記第1の店舗での点検又は整備後に前記第1の目的地へ移動することを含むスケジュール情報を作成することをさらに実行する、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記合計時間長と、前記出発地点から前記第1の店舗までの経路及び前記第1の店舗から前記第1の目的地までの経路に含まれる道路に関する道路情報と、に基づいて、前記スケジュール情報を作成する前記第1の店舗と前記第1の目的地との組み合わせを選択する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記合計時間長と、前記出発地点から前記第1の店舗までの経路上における乗客の乗車及び降車が発生する可能性と、に基づいて、前記スケジュール情報を作成する前記第1の店舗と前記第1の目的地との組み合わせを選択する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記スケジュール情報とは異なる行動を前記車両がしている場合に、前記合計時間が最も短くなる第1の店舗と第1の目的地との組み合わせを再度選択し直し、前記スケジュール情報を作成し直す、
請求項からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記スケジュール情報を作成した前記第1の店舗と前記第1の目的地との組み合わせに含まれる前記第1の店舗に、前記車両の点検又は整備を予約することをさらに実行する、請求項からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記車両が前記第1の店舗から前記第1の目的地に到着する予定の時刻が、前記第1の目的地において配車の需要が発生する時刻よりも第1の閾値時間長前の時刻から前記配車の需要が発生する時刻までの間の時刻となる、前記第1の店舗と前記第1の目的地との組み合わせを取得し、
前記取得した前記第1の店舗と前記第1の目的地との組み合わせについて、前記合計時間長を算出する、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記第1の時間長と前記第3の時間長との合計時間長が、前記出発地点から前記第1の目的地へ直接移動する場合の移動時間に第2の閾値時間長を加算した時間長未満となる、前記第1の店舗と前記第1の目的地との組み合わせを取得し、
前記取得した前記第1の店舗と前記第1の目的地との組み合わせについて、前記合計時間長を算出する、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
コンピュータが、
車両の走行に関する走行状態情報を受信することと、
前記走行状態情報に基づいて、前記車両の点検又は整備の予定日時を決定することと、
前記予定日時に前記車両の点検又は整備を実施可能な1又は複数の店舗を選択することと、
前記車両の配車を予約する配車予約情報であって、前記車両の乗車予定日時及び乗車場所を含む配車予約情報を取得することと、
前記点検又は整備の予定日時以降の所定時間内である前記乗車予定日時を含む前記配車予約情報に含まれる乗車場所として示される1又は複数の目的地を取得することと、
前記1又は複数の店舗のうちの一つである第1の店舗と、前記1又は複数の目的地のうちの一つである第1の目的地とのすべての組み合わせについて、前記車両の出発地点から前記第1の店舗への移動にかかる第1の時間長と、前記第1の店舗において点検又は整備にかかる第2時間長と、前記第1の店舗から前記第1の目的地までの移動にかかる第3の時間長と、の合計時間長を算出することと、
を含む情報処理方法。
【請求項12】
前記走行状態情報は、少なくとも前記車両の位置情報及び前記車両の走行距離を含み、
前記走行状態情報に基づいて前記走行距離が所定の距離に達する場合に、前記コンピュータが、前記車両の前記位置情報の履歴を含む走行履歴情報に基づいて、前記予定日時における前記車両の走行予測位置を取得することと、
前記車両の前記走行予測位置を前記出発地点とすることと、
をさらに含む、
請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記走行状態情報は、少なくとも前記車両の位置情報及び前記車両の部品の状態を示す情報を含み、
前記走行状態情報に基づいて前記車両の部品の状態を示す情報が、いずれかの部品の故障及びいずれかの部品の摩耗のうち少なくともいずれかを示す場合に、前記コンピュータが、前記車両の現在位置を前記出発地点とすることと、
をさらに実行する、
請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記コンピュータが、前記合計時間長が最も短くなる第1の店舗と第1の目的地との組み合わせについて、前記車両の点検又は整備を前記第1の店舗で行い、前記第1の店舗での点検又は整備後に前記第1の目的地へ移動することを含むスケジュール情報を作成することをさらに含む、
請求項11から13のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記スケジュール情報とは異なる行動を前記車両がしている場合に、前記コンピュータが、前記合計時間が最も短くなる第1の店舗と第1の目的地との組み合わせを再度選択し直し、前記スケジュール情報を作成し直す、
請求項14に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記コンピュータは、前記スケジュール情報を作成した前記第1の店舗と前記第1の目的地との組み合わせに含まれる前記第1の店舗に、前記車両の点検又は整備を予約することをさらに含む、
請求項14又は15に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記コンピュータは、前記車両が前記第1の店舗から前記第1の目的地に到着する予定の時刻が、前記第1の目的地において配車の需要が発生する時刻よりも第1の閾値時間長前の時刻から前記配車の需要が発生する時刻までの間の時刻となる、前記第1の目的地と店舗との組み合わせを取得し、
前記取得した前記第1の店舗と前記第1の目的地との組み合わせについて、前記合計時間長を算出する、
請求項11から16のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項18】
前記コンピュータは、前記第1の時間長と前記第3の時間長との合計時間長が、前記出発地点から前記第1の目的地へ直接移動する場合の移動時間に第2の閾値時間長を加算した時間長未満となる、前記第1の店舗と前記第1の目的地との組み合わせを取得し、
前記取得した前記第1の店舗と前記第1の目的地との組み合わせについて、前記合計時間長を算出する、
請求項11から17のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、及び、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の点検或いは整備時に、当該車両における点検整備時の走行距離等を含む車両情報を受け付け、車両情報と、点検整備を実施するまでの走行距離や時間数等とから、点検整備実施予定日を算出して、ユーザに通知して入庫を促す技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-187011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開示の態様の一つは、車両の点検又は整備を行う店舗を、点検等により車両を使用できなくなる時間に基づいて選択することを可能にする情報処理装置、及び、情報処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様の一つは、
車両の点検又は整備を実施可能な1又は複数の店舗を選択することと、
1又は複数の目的地を取得することと、
前記1又は複数の店舗のうちの一つである第1の店舗と、前記1又は複数の目的地のうちの一つである第1の目的地とのすべての組み合わせについて、前記車両の出発地点から前記第1の店舗への移動にかかる第1の時間長と、前記第1の店舗において点検又は整備にかかる第2時間長と、前記第1の店舗から前記第1の目的地までの移動にかかる第3の時間長と、の合計時間長を算出することと、
を実行する制御部、
を備える情報処理装置である。
【0006】
本開示の他の態様の一つは、
車両の点検又は整備を実施可能な1又は複数の店舗を選択することと、
1又は複数の目的地を取得することと、
前記1又は複数の店舗のうちの一つである第1の店舗と、前記1又は複数の目的地のうちの一つである第1の目的地とのすべての組み合わせについて、前記車両の出発地点から前記第1の店舗への移動にかかる第1の時間長と、前記第1の店舗において点検又は整備にかかる第2時間長と、前記第1の店舗から前記第1の目的地までの移動にかかる第3の時間長と、の合計時間長を算出することと、
を含む情報処理方法である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、車両の点検又は整備を行う店舗を、点検等により車両を使用できなくなる時間に基づいて選択することを可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係るメンテナンススケジューリングシステムのシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、センタサーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、センタサーバ及び配車制御サーバの機能構成の一例を示す図である。
図4図4は、車両情報データベースに保持される情報の一例である。
図5図5は、店舗情報データベースに保持されている情報の一例である。
図6図6は、メンテナンスメニューテーブルの一例である。
図7図7は、配車予約情報データベースに保持される情報の一例である。
図8図8は、メンテナンススケジュール情報データベースに保持される情報の一例である。
図9図9は、センタサーバのメンテナンススケジュール作成処理のフローチャートの一例である。
図10図10は、センタサーバの店舗と目的地の組み合わせの絞り込み処理のフローチャートの一例である。
図11図11は、センタサーバの実施状況監視処理のフローチャートの一例である。
図12図12は、第2実施形態に係るメンテナンススケジューリングシステムのシステム構成の一例を示す図である。
図13図13は、第3実施形態に係るメンテナンススケジューリングシステムのシステム構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
タクシー及びライドシェア等の配車サービスに用いられる車両は、例えば、点検又は整備等によって車両の稼働時間が削られると、その分、営業機会を損失することになる。一方、車両の点検及び整備は、安全な走行のために必要なものである。ここで、車両の点検及び整備等によって営業機会が損失される時間は、点検又は整備に要する時間に限られず、点検又は整備前のための移動時間も含まれる。すなわち、車両の点検及び整備等によって営業機会が損失される時間は、最後に乗客を降ろしてから点検又は整備を終えて次に乗客を乗せるまでの時間である。営業機会が損失される時間を、以降、トータルダウンタイム、と称する。
【0010】
点検又は整備にかかるトータルダウンタイムがどのくらいであるかを知りたいという需要がある。しかしながら、店舗における点検又は整備にかかる時間は予測できても、当該店舗まで又は当該店舗からの移動時間を含めたトータルダウンタイムを知ることは困難であった。
【0011】
本開示の態様の一つは、情報処理装置である。当該情報処理装置は、車両の点検又は整備を実施可能な1又は複数の店舗を選択することと、1又は複数の目的地を取得することと、1又は複数の店舗のうちの一つである第1の店舗と、1又は複数の目的地のうちの一つである第1の目的地とのすべての組み合わせについて、車両の出発地点から第1の店舗への移動にかかる第1の時間長と、第1の店舗において点検又は整備にかかる第2時間長と、第1の店舗から第1の目的地までの移動にかかる第3の時間長と、の合計時間長を算出することと、を実行する制御部を備える。
【0012】
情報処理装置は、例えば、車両の走行状態を監視するサーバである。目的地は、例えば、車両が配車サービスに用いられる車両である場合には、配車予約の乗客の乗車場所、人が集まるイベントの開催地、悪天候及び事故等が発生している駅等である。目的地は、例えば、車両が配車サービスに用いられる車両以外の車両である場合には、運転手のスケジュールが設定されている場所であってもよい。
【0013】
本開示によれば、車両の点検又は整備を行う店舗と目的地との組み合わせごとに、当該店舗への移動時間(第1の時間長)、当該店舗における店舗又は整備にかかる時間(第2の時間長)、及び、当該店舗から当該目的地までの移動時間(第3の時間長)の合計時間長が算出される。トータルダウンタイムは、当該合計時間長の一例である。すなわち、本開示の態様の一つによって、車両の点検又は整備を行う店舗の候補の中から、トータルダウンタイムに基づいて、車両の点検又は整備を行う店舗を選択することができる。また、本開示の態様の一つでは、車両の点検又は整備を行う店舗から目的地までの移動時間(第3の時間長)もトータルダウンタイムに含まれているので、より精度の高いトータルダウンタイムを提示することができる。
【0014】
本開示の態様の一つにおいて、制御部は、車両の走行に関する走行状態情報を受信することと、走行状態情報に基づいて、車両の点検又は整備の予定日時を決定することと、をさらに実行してもよい。この場合に、制御部は、予定日時に車両の点検又は整備を実施可能な1又は複数の店舗を選択し、予定日時の周辺に当該車両を向かわせる需要のある1又は複数の目的地を取得するようにしてもよい。これによって、車両の点検又は整備の予定日時とトータルダウンタイムとを認識可能にすることができる。
【0015】
本開示の態様の一つにおいて、走行状態情報は、少なくとも車両の位置情報を含み、制御部は、走行状態情報に基づいて第1の条件が満たされる場合に、車両の位置情報の履歴を含む走行履歴情報に基づいて、予定日時から所定時間前に時刻における車両の走行予測位置を取得することと、車両の走行予測位置を出発地点とすることと、をさらに実行してもよい。第1の条件は、例えば、車両の定期点検を行う条件である。車両の定期点検を行う条件は、例えば、走行距離等に基づいて、定義される。車両の定期点検は、予め実施のタイミングを予測可能であり、時間的に余裕をもって定期点検のスケジュールを立てることができる。その一方で、定期点検の前に車両が走行している位置は未定である。そこで、車両の出発地点を当該車両の走行履歴情報から予測することで、より正確にトータルダウンタイムを算出することができる。
【0016】
本開示の態様の一つにおいて、走行状態情報は、少なくとも車両の位置情報を含み、制御部は、走行状態情報に基づいて第2の条件が満たされる場合に、車両の現在位置を出発地点とすることと、をさらに実行するようにしてもよい。第2の条件は、例えば、車両の異常を検出するための条件である。車両の異常を検出するための条件は、例えば、車両の部品の状態等に基づいて定義される。すなわち、第2の条件が満たされる場合には、車両の点検又は整備の緊急性が高いことが示される。本開示の態様の一つによれば、車両の点検又は整備の緊急性が高い場合には、車両の現在位置を出発地点として、点検又は整備の候補の店舗と目的地ごとにトータルダウンタイムが算出される。これによって、すぐに車両の点検及び整備を行える店舗と、それぞれの店舗を選択した場合のトータルダウンタイムと、を提示することができる。
【0017】
本開示の態様の一つでは、合計時間長が最も短くなる第1の店舗と第1の目的地との組み合わせについて、車両の点検又は整備を第1の店舗で行い、第1の店舗での点検又は整備後に第1の目的地へ移動することを含むスケジュール情報を作成することをさらに実行してもよい。これによって、車両の点検又は整備にかかるトータルダウンタイムが最も短い店舗と目的地の組み合わせについて、車両のメンテナンスのスケジュール情報を作成することができる。
【0018】
また、本開示の態様の一つでは、制御部は、合計時間長と、出発地点から店舗までの経路及び店舗から目的地までの経路に含まれる道路に関する道路情報と、に基づいて、スケジュール情報を作成する第1の店舗と第1の目的地との組み合わせを選択するようにしてもよい。道路情報には、例えば、工事に関する情報、渋滞に関する情報等が含まれる。工
事や渋滞は、移動時間の増大に影響するので、これらの情報を考慮することによって、トータルダウンタイムが最も短くなる店舗と目的地との組み合わせより精度よく選択することができる。
【0019】
また、本開示の態様の一つでは、制御部は、合計時間長と、出発地点から店舗までの経路上における乗客の乗車及び降車が発生する可能性と、に基づいて、スケジュール情報を作成する第1の店舗と第1の目的地との組み合わせを選択するようにしてもよい。出発地点から店舗へ移動するまでに配車サービスを実行することができれば、営業機会の損失を軽減することができ、トータルダウンタイムを短くすることができる。したがって、本開示の態様の一つによれば、トータルダウンタイムがより短くなるような、車両を点検又は整備する店舗と目的地との組み合わせを選択することができる。
【0020】
本開示の態様の一つでは、制御部は、スケジュール情報とは異なる行動を車両がしている場合に、合計時間が最も短くなる第1の店舗と第1の目的地との組み合わせを再度選択し直し、スケジュール情報を作成し直してもよい。これによって、車両がスケジュール情報とは異なる走行をした場合でも、柔軟にトータルダウンタイムがより短くなる店舗と目的地との組み合わせで、メンテナンスのスケジュール情報を作成し直すことができる。
【0021】
本開示の態様の一つでは、制御部は、スケジュール情報を作成した第1の店舗と第1の目的地との組み合わせに含まれる第1の店舗に、車両の点検又は整備を予約することをさらに実行してもよい。これによって、車両の管理者の負担を軽減することができる。
【0022】
本開示の態様の一つでは、制御部は、車両が第1の店舗から第1の目的地に到着する予定の時刻が、第1の目的地において配車の需要が発生する時刻よりも第1の閾値時間長前の時刻から配車の需要が発生する時刻までの間の時刻となる、第1の店舗と第1の目的地との組み合わせを取得し、取得した第1の店舗と第1の目的地との組み合わせについて、合計時間長を算出するようにしてもよい。車両の目的地への到着が早すぎる場合には、車両の待機時間が長くなり、トータルダウンタイムが長くなる可能性がある。本開示の態様の一つによれば、そのような目的地と店舗との組み合わせを予め除外することができる。
【0023】
本開示の態様の一つでは、制御部は、第1の時間長と第3の時間長との合計時間長が、出発地点から第1の目的地へ直接移動する場合の移動時間に第2の閾値時間長を加算した時間長未満となる、第1の目的地と第1の店舗との組み合わせを取得し、取得した第1の店舗と第1の目的地との組み合わせについて、合計時間長を算出するようにしてもよい。これによって、出発地点から目的地へ向かう場合に遠回りをするような位置にある店舗と目的地との組み合わせを予め除外することができる。
【0024】
本開示の他の態様の一つとして、上記情報処理装置が上記処理を実行する情報処理方法として特定することも可能である。すなわち、当該情報処理方法は、車両の点検又は整備を実施可能な1又は複数の店舗を選択することと、1又は複数の目的地を取得することと、1又は複数の店舗のうちの一つである第1の店舗と、1又は複数の目的地のうちの一つである第1の目的地とのすべての組み合わせについて、車両の出発地点から第1の店舗への移動にかかる第1の時間長と、第1の店舗において点検又は整備にかかる第2時間長と、第1の店舗から第1の目的地までの移動にかかる第3の時間長と、の合計時間長を算出することと、を含む。
【0025】
また、本開示の他の態様として、コンピュータに上述の情報処理方法の処理を実行させるためのプログラム、及び、当該プログラムを記憶した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体としても特定することができる。
【0026】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0027】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るメンテナンススケジューリングシステム100のシステム構成の一例を示す図である。メンテナンススケジューリングシステム100は、車両の点検又は整備のスケジューリングを行うシステムである。第1実施形態では、メンテナンススケジューリングシステム100は、配車サービスに利用されている車両を対象としてサービスを提供するものとする。
【0028】
メンテナンススケジューリングシステム100は、センタサーバ1、配車制御サーバ2、店舗サーバ3、及び、車載器5を含む。店舗サーバ3及び車載器5は、複数含まれるが、図1では、それぞれ1台ずつ抽出されて示されている。配車制御サーバ2も複数含まれてもよいが、第1実施形態では、1台のみ含まれるものとする。センタサーバ1、配車制御サーバ2、店舗サーバ3、及び、車載器5は、ネットワークN1に接続しており、ネットワークN1を通じて互いに通信可能である。
【0029】
センタサーバ1は、例えば、車両50の製造業者のサーバであり、車両50に搭載されている車載器5から車両50の走行状態を示す情報を定期的に受信することで、車両50の走行状態を監視している。車両の走行状態を示す情報を、以下、走行状態情報と称する。走行状態情報には、例えば、車両50の、識別情報、位置情報、走行距離、及び、各部品の状態を示す情報等が含まれている。部品の状態を示す情報は、例えば、部品の摩耗の程度を示す情報、及び、故障しているか否かを示す情報等が含まれる。
【0030】
店舗サーバ3は、車両50の製造業者のディーラ、又は、製造業者と業務提携している自動車点検整備業者等の店舗のサーバである。以下、店舗と称する場合には、車両の点検又は整備を行う店舗を示すこととする。
【0031】
センタサーバ1は、各店舗に設置されている店舗サーバ3と通信を行い、各店舗における設備及び点検又は整備のスケジュール情報を把握している。配車制御サーバ2は、配車サービスを提供する業者のサーバである。配車制御サーバ2は、配車サービスの運転手として登録しているユーザのユーザ端末4と通信を行い、配車の要求が発生した場合に当該ユーザ端末4へ指定された乗客の乗車場所への移動指示を送信する。
【0032】
点検又は整備のために車両が店舗へ入ることは、入庫、と称される。入庫には、例えば、所定のタイミングで実施される定期入庫と、異常の発生に応じて実施される緊急入庫とがある。第1実施形態では、センタサーバ1は、車載器5からの走行状態情報に基づいて、車両50の定期入庫又は緊急入庫の実施を判定する。以降、点検及び整備をまとめて、メンテナンスと称する。
【0033】
センタサーバ1は、車両50の定期入庫又は緊急入庫の実施を判定すると、メンテナンス予定日時を走行状態情報に基づいて取得する。また、センタサーバ1は、メンテナンスに向かう車両50の出発地点を決定する。定期入庫の場合には、センタサーバ1は、メンテナンス予定日時から所定時間前の時刻において車両50が走行していると推定される位置を出発地点とする。走行する推定位置が取得される時刻は、例えば、メンテナンス予定日時の1時間前からメンテナンス予定日時までの間の任意の時刻である。緊急入庫の場合には、センタサーバ1は、車両50の現在位置を出発地点とする。
【0034】
センタサーバ1は、出発地点から所定範囲内に存在する店舗の中から、車両50のメンテナンスを実施可能な店舗を抽出する。店舗の抽出範囲は、例えば、出発地点から所定の
距離の範囲、又は、予め定義されたエリアのうちの出発地点と同じエリア等である。また、メンテナンスを実施可能な店舗とは、車両50の設備及び性能に応じたメンテナンスの設備や整備士を備えており、且つ、メンテナンス予定日時にスケジュールが空いている店舗である。
【0035】
次に、センタサーバ1は、車両50のメンテナンス予定日時以降に、車両50の出発地点から所定範囲内に存在する配車の需要のある地点を目的地として取得する。目的地の抽出範囲は、例えば、店舗の抽出範囲と同じであってもよいし、店舗の抽出範囲よりも広い範囲に設定されてもよい。配車の需要には、例えば、配車サービスの予約があること、集客して行われるイベントがあること、又は、悪天候や工事等がある。配車の需要のある地点には、例えば、配車サービスの予約の乗客の乗車場所、イベントの開催場所、又は、公共交通機関の駅等がある。
【0036】
センタサーバ1は、抽出した店舗xと目的地yとの組み合わせごとに、出発地点から店舗xまでの移動時間Ta、店舗xにおける作業時間Tb、及び、店舗xから目的地yまでの移動時間Tcの合計時間長を算出する。第1実施形態では、Ta、Tb、及び、Tcの合計時間長をトータルダウンタイムと定義する。第1実施形態では、センタサーバ1は、トータルダウンタイムが最も小さくなる店舗xと目的地yとの組み合わせについて、当該店舗xへ車両50のメンテナンスを予約し、当該車両50についてメンテナンスのスケジュールを作成し、配車制御サーバ2を通じて車両50の運転手のユーザ端末4へ当該スケジュールを通知する。
【0037】
第1実施形態によれば、センタサーバ1は、車両50のメンテナンスについて、トータルダウンタイムが最も短くなる店舗と目的地とを含むスケジュールを作成することができる。これによって、配車サービスに利用される車両50のメンテナンスによる営業機会の損失を低減することができる。
【0038】
図2は、センタサーバ1のハードウェア構成の一例を示す図である。センタサーバ1は、例えば、サーバ等の専用のコンピュータ、又は、PC(Personal Computer)等の汎用のコンピュータである。センタサーバ1は、ハードウェア構成として、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、外部記憶装置103、入力部104、出力部
105、及び、通信部106を有する。メモリ102および外部記憶装置103は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体である。
【0039】
外部記憶装置103は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してCPU 101が使用するデータを格納する。外部記憶装置103は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)やハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)である。外部記憶装置103に保持されるプログラムには、例えば、オペレーティングシステム(OS)、メンテナンススケジューリングシステム100の制御プログラム、その他様々なアプリケーションプログラムを保持する。
【0040】
メモリ102は、CPU 101に、外部記憶装置103に格納されているプログラムをロードする記憶領域および作業領域を提供したり、バッファとして用いられたりする記憶装置である。メモリ102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random
Access Memory)のような半導体メモリを含む。
【0041】
CPU 101は、外部記憶装置103に保持されたOSや様々なアプリケーションプログラムをメモリ102にロードして実行することによって、様々な処理を実行する。CPU 101は、1つに限られず、複数備えられてもよい。CPU 101は、「制御部」の一例である。
【0042】
入力部104は、例えば、キーボード、又は、マウス等のポインティングデバイス等の入力装置である。入力部104から入力された信号は、CPU 101へ出力される。出力部105は、ディスプレイ、及び、プリンタ等の出力装置である。出力部105は、CPU 101からの信号の入力に応じて情報を出力する。なお、入力部104及び出力部105は、それぞれ、音声の入力装置及び出力装置であってもよい。
【0043】
通信部106は、ネットワークとの情報の入出力を行うインタフェースである。通信部106は、有線のネットワークと接続するインタフェースであってもよいし、無線のネットワークと接続するインタフェースであってもよい。通信部106は、例えば、NIC(Network Interface Card)や無線回路等である。なお、センタサーバ1のハードウェア構成は、図2に示されるものに限定されない。なお、配車制御サーバ2もセンタサーバ1と同様に、CPU、メモリ、外部記憶装置、入力部、出力部、及び、通信部を備えたハードウェア構成である。
【0044】
図3は、センタサーバ1及び配車制御サーバ2の機能構成の一例を示す図である。センタサーバ1は、機能構成要素として、制御部11、位置推定部12、車両通信部13、サーバ通信部14、車両情報データベース(DB)15、店舗情報DB 16、配車予約情報DB 17、及び、メンテナンススケジュール情報DB 18を備える。これらの機能構成要素は、例えば、センタサーバ1のCPU 101がメンテナンススケジューリングシステム100の制御プログラムを実行することによって達成される。
【0045】
車両通信部13は、車載器5との通信のインタフェースである。車両通信部13は、例えば、車載器5から、所定の周期で、車両50の走行状態情報を受信する。走行状態情報には、例えば、車両50の、識別情報、位置情報、走行距離、及び、各部品の状態を示す情報等が含まれている。車両通信部13は、受信した走行状態情報を制御部11へ出力する。
【0046】
サーバ通信部14は、配車制御サーバ2及び店舗サーバ3との通信のインタフェースである。サーバ通信部14は、例えば、配車制御サーバ2から配車予約情報を受信し、制御部11へ出力する。配車予約情報には、例えば、配車予約の乗車予定日時及び乗車場所の情報が含まれている。サーバ通信部14は、例えば、店舗サーバ3から、スケジュール情報を受信し、制御部11へ出力する。店舗サーバ3からのスケジュール情報には、例えば、メンテナンスのメニュー、メンテナンスの開始予定日時及び終了予定日時、及び、使用設備等の情報が含まれている。サーバ通信部14は、例えば、制御部11からの指示にしたがって、配信制御サーバ2へ、車両50のメンテナンスのスケジュール情報を送信する。
【0047】
位置推定部12は、制御部11からの指示に従って、制御部11によって指定された日時における車両50の走行位置の推定値を取得する。車両50の走行位置の推定値は、例えば、車両50の走行履歴情報に基づいて取得されてもよいし、学習済みモデル等を用いて取得されてもよい。車両50の走行履歴情報は、例えば、車両50から受信される走行状態情報に含まれる位置情報の蓄積である。車両50の推定走行位置は、制御部11へ出力される。
【0048】
制御部11は、車両50のメンテナンスのスケジュールの作成を行う。具体的には、制御部11は、車両50の走行状態情報に基づいて、定期入庫又は緊急入庫の実施を判定する。定期入庫及び緊急入庫は、それぞれ、定期入庫条件及び緊急入庫条件が満たされた場合に、実施が判定される。定期入庫条件は、例えば、走行距離によって定義される。定期入庫条件は、例えば、走行距離が1万キロメートル、2万キロメートル、...等の所定
の距離に達すること、又は、それらの距離-αの距離に達することである。緊急入庫条件は、例えば、走行状態情報に含まれる、部品の状態を示す情報が、いずれかの部品の故障をしていることを示すこと、いずれかの部品の摩耗を示すこと、等である。なお、定期入庫条件及び緊急入庫条件は、これらに限定されない。定期入庫条件は、「第1の条件」の一例である。緊急入庫条件は、「第2の条件」の一例である。
【0049】
車両50について、定期入庫条件又は緊急入庫条件が満たされた場合には、制御部11は、まず、メンテナンス予定日時を決定する。定期入庫の場合には、メンテナンス予定日時は、例えば、1週間後から2週間後等の所定日数後の所定の時刻に決定される。この他、定期入庫の場合のメンテナンス予定日時は、例えば、車両50の走行履歴情報等に基づいて、車両50の稼働が少ない曜日又は時間帯等に設定されてもよい。緊急入庫の場合には、走行状態情報に基づいて、車両50の状態が判定され、車両50の状態に応じて、メンテナンス予定日時が決定されてもよい。例えば、緊急性が高い場合には、メンテナンス予定日時は、現在時刻又は現在時刻から所定時間後に決定されてもよい。緊急入庫の場合には、例えば、メンテナンスのメニューと、どの程度後にメンテナンス予定日時を設定するかを示す時間長と、の対応付けが予め設定されていてもよい。
【0050】
次に、制御部11は、メンテナンスのスケジュールの出発地点を決定する。定期入庫の場合には、メンテナンスのスケジュールの出発地点は、例えば、メンテナンス予定日時の所定時間前の時刻における車両50の推定走行位置に設定される。車両50の走行位置が推定されるのは、例えば、メンテナンス予定日時の1時間程度前の時刻である。車両50の推定走行位置は、位置推定部12から取得される。緊急入庫の場合には、メンテナンスのスケジュールの出発地点は、車両50の現在位置に設定される。車両50の現在位置は、車載器5から受信された最新の走行状態情報に含まれる位置情報として取得される。
【0051】
次に、制御部11は、メンテナンス予定日時に車両50が入庫可能な店舗を抽出する。車両50が入庫可能な店舗とは、メンテナンス予定日時の周辺のスケジュールが空いており、メンテナンスのメニューを実施可能な設備を備えており、且つ、メンテナンス予定日時の周辺に車両50が出発地点から到着可能な店舗である。メンテナンス予定日時の周辺とは、例えば、メンテナンス予定日時±βに含まれる日時である。βは、例えば、5分から1時間の間の任意の時間長である。なお、車両50が入店可能な店舗の判定条件は、上記に限定されず、例えば、車両50の出発地点から所定の距離の範囲に位置する店舗、又は、車両50の出発地点と同じエリア内に位置する店舗等の条件が含まれてもよい。
【0052】
次に、制御部11は、車両50のメンテナンスのスケジュールの目的地を取得する。車両50のメンテナンスのスケジュールの目的地は、例えば、車両50の出発地点から所定の距離の範囲内において、メンテナンス予定日時以降の所定時間内に配車サービスの需要の発生が予測される場所である。配車サービスの需要の発生が予測される場所には、例えば、配車サービスの予約の乗客の乗車場所、集客のあるイベントの開催地、悪天候が予測される場合の鉄道の駅等である。配車サービスの予約情報は、サーバ通信部14を通じて、配車制御サーバ2から取得される。イベントや天候等の情報は、ウェブ上から取得される。
【0053】
例えば、車両50の運転手を指名する配車サービスの予約の乗客の乗車場所>運転手の指名のない配車サービスの予約の乗客の乗車場所>集客のあるイベントの開催地>悪天候が予測される場合の鉄道の駅の順で優先度が付けられる。スケジュールの目的地の候補となる場所が複数ある場合には、制御部11は、上記の優先度の順で上位から所定数の場所をスケジュールの目的地として選択する。
【0054】
次に、制御部11は、店舗と目的地との組み合わせごとに、トータルダウンタイムを算
出する。例えば、車両50が入庫可能な店舗が3つ、目的地が3つある場合には、9通りの組み合わせがあり、9通りの組み合わせごとにトータルダウンタイムが取得される。
【0055】
制御部11は、算出したトータルダウンタイムのうち、最もトータルダウンタイムが短くなる店舗と目的地との組み合わせを選択し、当該店舗でメンテナンスを行い、当該店舗から当該目的地へ向かう、車両50のメンテナンスのスケジュール情報を作成する。作成されたスケジュール情報を、以下、メンテナンススケジュール情報と称する。また、制御部11は、選択した店舗へ車両50のメンテナンスを予約する。また、制御部11は、作成したメンテナンススケジュール情報を、サーバ通信部14を通じて配車制御サーバ2へ送信し、配車制御サーバ2から車両50の運転手のユーザ端末4へ通知してもらう。また、作成したメンテナンススケジュール情報は、メンテナンススケジュール情報DB 18に登録される。
【0056】
なお、目的地への到着が、当該目的地における配車需要の時刻よりも第1の閾値時間長以上前の時刻となる店舗と目的地との組み合わせは、トータルダウンタイムを算出する対象から除外してもよい。これは、目的地においての車両50の待機時間が第1の閾値時間長以上となる可能性があるためである。
【0057】
また、出発地点から目的地まで直接移動する場合の移動時間よりも、出発地点から店舗への移動時間Taと店舗から目的地までの移動時間Tcの合計時間が第2の閾値時間長以上長い場合にも、当該店舗と当該目的地との組み合わせは、トータルダウンタイムを算出する対象から除外してもよい。これは、入庫するための時間ロスが長くなることを抑制するためである。なお、第1の閾値時間長と第2の閾値時間長とは、同じであっても異なっていてもよい。
【0058】
また、トータルダウンタイムが同じ場合には、移動経路上の道路の道路情報に応じて、店舗とも目的地との組み合わせに優先度を付けて、最も優先度の高い組合せについて、メンテナンススケジュール情報を作成するようにしてもよい。道路情報は、例えば、渋滞情報や工事情報である。渋滞情報及び工事情報は、所定の機関から取得することができる。例えば、将来の渋滞が予測される道路を通る経路よりも渋滞が予測される道路を通らない経路を含む、店舗及び目的地の組み合わせの優先度が高く設定される。
【0059】
また、トータルダウンタイムが同じ場合には、出発地点から店舗までの経路上で配車サービスの実施可能性が高い方の店舗と目的地との組み合わせの優先度を高く設定してもよい。配車サービスの実施可能性は、例えば、配車制御サーバ2から配車予約情報を取得することで取得できる。
【0060】
また、制御部11は、作成したメンテナンススケジュール情報について、スケジュール通りに実施されているかを監視し、実施されていない場合には、再度メンテナンススケジュール情報を作成し直す。
【0061】
車両情報DB 15、店舗情報DB 16、配車予約情報DB 17、及び、メンテナンススケジュール情報DB 18は、センタサーバ1の外部記憶装置103に作成される。車両情報DB 15は、車両に関する車両情報を保持する。店舗情報DB 16は、店舗に関する店舗情報を保持する。配車予約情報DB 17は、配車制御サーバ2から取得される配車予約情報を保持する。メンテナンススケジュール情報DB 18は、制御部11が作成したメンテナンススケジュール情報を保持する。これらのデータベースそれぞれが保持する情報の詳細については後述される。
【0062】
配車制御サーバ2は、配車予約情報DB 21とユーザ情報DB 22とを備える。配
車予約情報DB 21とユーザ情報DB 22は、配車制御サーバ2の外部記憶装置の記憶領域に作成されている。配車予約情報DB 21は、配車予約情報を保持する。ユーザ情報DB 22は、配車サービスに登録するユーザに関するユーザ情報が保持されている。ユーザ情報には、ユーザの識別情報、運転手としての登録か否かを示す情報、ユーザが運転手としての登録である場合には使用される車両50に関する情報等が含まれている。使用される車両50に関する情報には、車両の50の識別情報、車種、車体色、及び、乗車可能人数等の情報が含まれている。車両50の識別情報は、例えば、ナンバープレートに記載されている情報、又は、車載器5の端末識別情報等であってもよい。
【0063】
なお、センタサーバ1及び配車制御サーバ2の機能構成は、それぞれ、1台の情報処理装置によって達成されることに限定されず、複数台の情報処理装置の共同作業によって達成されてもよい。または、1台の情報処理装置がセンタサーバ1及び配車制御サーバ2の処理を実行してもよい。
【0064】
図4は、車両情報DB 15に保持される情報の一例である。車両情報DB 15には、センタサーバ1が管理する車両に関する情報が保持される。車両情報DB 15の1レコードには、例えば、車両ID、車種、型式、配車サービス、位置情報、及び、走行距離等のフィールドが含まれている。
【0065】
車両IDのフィールドには、車両の識別情報が格納されている。車種のフィールドには、車両の車種を示す情報が格納されている。車種とは、例えば、車両のブランド名、又は、シリーズ名等であってもよいし、セダン、ワゴン等の車両の種類を示す情報であってもよい。型式のフィールドには、車両の自動車検査証に記されている型式を示す識別情報である。車両ID、車種、及び、型式のフィールドの値は、予め設定されている。
【0066】
配車サービスのフィールドには、配車サービスに用いられる車両であるか否かを示す情報が格納される。配車サービスに用いられる車両であるか否かを示す情報は、例えば、フラグ又はコードである。車両が配車サービスに用いられるか否かは、例えば、配車制御サーバ2から取得することができる。第1実施形態では、配車サービスに用いられる車両が車両50となる。
【0067】
位置情報のフィールドには、車両の位置情報が格納される。位置情報は、例えば、緯度及び経度である。走行距離のフィールドには、車両の走行距離が格納される。位置情報及び走行距離のフィールドの値は、車両から定期的に受信される走行状態情報から取得される。車両から走行状態情報が受信されると、走行状態情報に含まれる値によって、該当する車両の位置情報及び走行距離のフィールドが制御部11によって更新される。
【0068】
なお、車両情報DB 15に格納される情報は図4に示される情報に限定されない。車両に関する情報として、車両の識別情報、車種、及び、型式以外の情報が車両情報DB 15に格納されてもよい。また、車両の走行状態情報として、位置情報及び走行距離以外の情報が車両情報DB 15に格納されてもよい。
【0069】
図5は、店舗情報DB 16に保持されている情報の一例である。店舗情報DB 16には、店舗に関する情報が保持されている。店舗情報DB 16の1レコードには、例えば、店舗ID、位置、設備、メニューID、スケジュール情報、及び、メンテナンス履歴情報のフィールドが含まれている。
【0070】
店舗IDのフィールドには、店舗の識別情報が格納されている。位置のフィールドには、店舗の位置情報が格納されている。位置のフィールドに格納される店舗の位置情報は、例えば、緯度及び経度、又は、住所である。設備のフィールドには、店舗に備えられてい
るメンテナンスの設備を示す情報が格納される。メニューIDのフィールドには、店舗で実施可能なメンテナンスのメニューの識別情報が格納される。
【0071】
スケジュール情報のフィールドには、店舗に予約されているメンテナンスのスケジュール情報が格納されている。スケジュール情報には、メンテナンス対象の車両の識別情報、実施予定のメンテナンスのメニューの識別情報、担当整備士の識別情報、実施予定日時、及び、使用予定の設備を示す情報がスケジュールごとに含まれている。実施予定日時には、例えば、開始予定時刻と終了予定時刻とが含まれている。
【0072】
メンテナンス履歴情報のフィールドには、店舗で実施されたメンテナンスの履歴情報が格納されている。メンテナンス履歴情報には、例えば、メンテナンス対象の車両の識別情報、実施されたメンテナンスのメニューの識別情報、担当整備士の識別情報、実施日時、及び、使用の設備を示す情報がスケジュールごとに含まれている。
【0073】
設備、スケジュール情報、及び、メンテナンス履歴情報のフィールドには、例えば、それぞれ、メンテナンスの設備を示す情報、スケジュール情報、及び、メンテナンス履歴情報が格納されている記憶領域のアドレスが格納されてもよい。
【0074】
また、例えば、制御部11は、各店舗サーバ3から、スケジュール情報、及び、メンテナンス履歴情報を、所定のタイミングで定期的に受信し、店舗情報DB 16のスケジュール情報、及び、メンテナンス履歴情報のフィールドを更新する。スケジュール情報、及び、メンテナンス履歴情報が各店舗サーバ3から送信されるタイミングは、例えば、1日1回の所定の時刻、又は、メンテナンスのスケジュールが実施完了したタイミング、等である。なお、店舗情報DB 16に格納される情報は図5に示される情報に限定されない。
【0075】
図6は、メンテナンスメニューテーブルの一例である。メンテナンスメニューテーブルは、メンテナンスの各メニューに関する情報を保持するテーブルである。メンテナンスメニューテーブルは、例えば、店舗情報DB 16に保持されている。
【0076】
メンテナンスメニューテーブルには、メニューID、内容、及び、所要時間のフィールドが含まれている。メニューIDのフィールドには、メンテナンスのメニューの識別情報が格納されている。内容のフィールドには、該当メニューのメンテナンスの内容を示す情報が格納されている。所要時間のフィールドには、該当のメニューのメンテナンスに要する目安時間が格納されている。
【0077】
メンテナンスメニューテーブルは、予め準備されている。実際のメンテナンスは、例えば、車両の状態に応じて、メンテナンスメニューを組み合わせて行われる。なお、図6に示されるメンテナンスメニューテーブルは一例であって、これに限定されない。
【0078】
図7は、配車予約情報DB 17に保持される情報の一例である。配車予約情報DB 17には、配車予約情報が保持されている。配車予約情報DB 17の1レコードは、1回の配車サービスに該当する。配車予約情報DB 17の1レコードには、予約ID、乗車予定日時、乗車場所、到着予定日時、降車場所、指名有無、及び、車両IDのフィールドが含まれている。
【0079】
予約IDのフィールドには、配車予約の識別情報が格納されている。乗車予定日時及び到着予定日時のフィールドには、それぞれ、乗客を乗車及び降車させる予定日時が格納されている。乗車場所及び降車場所には、それぞれ、乗客によって指定された乗車場所及び降車場所を示す情報が格納されている。乗車場所及び降車場所を示す情報は、例えば、経
度及び緯度、住所、又は、建物名等である。乗車場所が、車両50のメンテナンススケジュールの目的地の一つとなる。
【0080】
指名有無のフィールドには、乗客から運転手の指名があるか否かを示す情報が格納される。運転手の指名があるか否かを示す情報は、例えば、フラグである。車両IDのフィールドには、乗客から指名された運転手が使用する車両の識別情報が格納される。指定有無のフィールドの値が乗客から運転手の指名があることを示す場合に、車両IDのフィールドには値が格納される。指名有無のフィールドの値が乗客から運転手の指名がないことを示す場合には、車両IDのフィールドは空である。
【0081】
配車予約情報は、制御部11によって、例えば、配車制御サーバ2から所定のタイミングで取得され、更新される。配車予約情報が取得されるタイミングは、例えば、所定の周期、及び、車両のメンテナンススケジュール情報を作成するときである。なお、配車予約情報DB 17に格納される情報は図7に示される情報に限定されない。
【0082】
図8は、メンテナンススケジュール情報DB 18に保持される情報の一例である。メンテナンススケジュール情報DB 18は、車両50のメンテナンススケジュール情報が保持されている。メンテナンススケジュール情報DB 18の1レコードは、制御部11によって作成された、1回の車両50のメンテナンスのスケジュールに該当する。メンテナンススケジュール情報DB 18の1レコードには、スケジュールID、車両ID、店舗ID、出発地点、目的地、Ta経路情報、Tbメンテナンス情報、及び、Tc経路情報のフィールドが含まれている。
【0083】
スケジュールIDのフィールドには、スケジュールの識別情報が格納されている。車両IDのフィールドには、メンテナンス対象の車両50の識別情報が格納されている。店舗IDのフィールドには、車両50のメンテナンスが予約されている店舗の識別情報が格納されている。出発地点及び目的地のフィールドには、それぞれ、当該スケジュールの出発地点及び目的地を示す情報が格納されている。スケジュールの出発地点及び目的地を示す情報は、例えば、緯度及び経度、住所、又は、建物名等である。
【0084】
Ta経路情報のフィールドには、出発地点から店舗までの経路情報が格納されている。Tc経路情報のフィールドには、店舗から目的地までの経路情報が格納されている。経路情報には、例えば、当該経路の出発地、出発予定日時、目的地、到着予定日時、所要予定時間、及び、道順等が含まれる。なお、Ta経路情報の出発地及び目的地は、それぞれ、スケジュールの出発地及びメンテナンスの実施予定店舗である。Tc経路情報の出発地及び目的地は、それぞれ、メンテナンスの実施予定店舗及びスケジュールの目的地である。
【0085】
Tbメンテナンス情報のフィールドには、車両50のメンテナンスに関する情報が格納されている。車両50のメンテナンスに関する情報には、例えば、入庫予定日時、出庫予定日時、及び、メンテナンスのメニュー内容等が含まれている。
【0086】
メンテナンススケジュール情報は、例えば、制御部11によって作成され、メンテナンススケジュール情報DB 18に登録される。また、メンテナンスのスケジュールが実施され、完了すると、制御部11によって、メンテナンススケジュール情報DB 18から削除される。なお、メンテナンスのスケジュールの完了の通知は、例えば、店舗サーバ3から行われる。なお、メンテナンススケジュール情報DB 18に格納される情報は図8に示される情報に限定されない。
【0087】
<処理の流れ>
図9は、センタサーバ1のメンテナンススケジュール作成処理のフローチャートの一例
である。図9に示される処理は、所定の周期で繰り返し実行される。図9に示される処理の実行主体は、センタサーバ1のCPU 101であるが、便宜上、機能構成要素を主体として説明する。以下のフローチャートについても同様である。
【0088】
OP101では、制御部11は、車両通信部13を通じて、車両50から走行状態情報を受信したか否かを判定する。車両50から走行状態情報が受信された場合には(OP101:YES)、処理がOP102ヘ進む。車両50から走行状態情報が受信されていない場合には(OP101:NO)、図9に示される処理が終了する。
【0089】
OP102では、制御部11は、OP101で受信した車両50の走行状態情報に基づいて、定期入庫条件が満たされたか否かを判定する。定期入庫条件が満たされた場合には(OP102:YES)、処理がOP103へ進む。定期入庫条件が満たされていない場合には(OP102:NO)、処理がOP105へ進む。
【0090】
OP103では、制御部11は、定期入庫のメンテナンス予定日時を算出する。例えば、制御部11は、定期入庫のメンテナンス予定日時を、所定日数後の日の所定時刻に設定する。OP104では、制御部11は、メンテナンスのスケジュールの出発予定日時をメンテナンス予定日時から所定時間前の時刻に設定し、出発地点を車両50の走行予測位置に設定する。出発予定日時における車両50の走行位置は、位置推定部12から取得される。
【0091】
OP105では、制御部11は、OP101で受信した車両50の走行状態情報に基づいて、緊急入庫条件が満たされたか否かを判定する。緊急入庫条件が満たされた場合には(OP105:YES)、処理がOP106へ進む。緊急入庫条件が満たされていない場合には(OP105:NO)、図9に示される処理が終了する。
【0092】
OP106では、制御部11は、緊急入庫のメンテナンス予定日時を現在時刻から所定時間後の時刻に設定し、メンテナンスのスケジュールの出発予定日時を現在時刻に設定し、出発地点を車両50の現在位置に設定する。車両50の現在位置は、OP101で受信された走行状態情報に含まれる位置情報が示す位置である。
【0093】
OP107では、制御部11は、メンテナンス予定日時に車両50が入庫可能な店舗を所定数抽出する。車両50が入店可能な店舗の判定条件は、例えば、メンテナンス予定日時の周辺のスケジュールが空いており、メンテナンスのメニューを実施可能な設備を備えており、且つ、メンテナンス予定日時の周辺に車両50が出発地点から到着可能な店舗である。
【0094】
OP108では、制御部11は、メンテナンスのスケジュールの目的地を所定数取得する。OP108では、制御部11は、例えば、サーバ通信部14を通じて、配車制御サーバ2から配車予約情報を取得する。メンテナンスのスケジュールの目的地として、例えば、車両50の出発地点から所定の距離の範囲内において、メンテナンス予定日時以降の所定時間内に配車サービスの需要の発生が予測される、配車サービスの予約の乗客の乗車場所、集客のあるイベントの開催地、悪天候が予測される場合の鉄道の駅等が取得される。
【0095】
OP109では、店舗と目的地との組み合わせ作成処理が行われる。OP109の処理の詳細は後述される。
【0096】
OP110では、制御部11は、OP109で作成された店舗と目的地との組み合わせごとに、トータルダウンタイムを算出する。OP111では、制御部11は、トータルダウンタイムが最も短い店舗と目的地との組み合わせが1つであるか否かを判定する。トー
タルダウンタイムが最も短い店舗と目的地との組み合わせが1つである場合には(OP111:YES)、処理がOP112へ進む。OP112では、制御部11は、最もトータルダウンタイムが短くなる店舗と目的地との組み合わせを選択し、当該組み合わせで車両50のメンテナンススケジュール情報を作成し、当該組み合わせの店舗へ車両50のメンテナンスを予約する。
【0097】
トータルダウンタイムが最も短い店舗と目的地との組み合わせが複数ある場合には(OP11:NO)、処理がOP113へ進む。OP113では、制御部11は、トータルダウンタイムが最も短い店舗と目的地との複数の組み合わせそれぞれについて、優先度を求め、優先度の最も高い組合せの店舗へ車両50のメンテナンスを予約する。店舗と目的地との組み合わせの優先度は、例えば、移動経路上の道路の道路情報に基づいて取得されててもよいし、出発地点から店舗までの経路上で配車サービスの需要の発生の可能性に基づいて取得されてもよい。
【0098】
OP114では、制御部11は、サーバ通信部14を通じて、配車制御サーバ2へ作成したメンテナンススケジュール情報を送信し、作成したメンテナンススケジュール情報をメンテナンススケジュール情報DB 18に登録する。配車制御サーバ2は、センタサーバ1からメンテナンススケジュール情報を受信すると、該当の車両50の運転手のユーザ端末4へメンテナンススケジュール情報を通知する。その後、図9に示される処理が終了する。
【0099】
図10は、センタサーバ1の店舗と目的地の組み合わせの絞り込み処理のフローチャートの一例である。図10に示される処理は、図9のOP109において実行される処理に相当する。OP201からOP203の処理は、図9のOP108において取得された目的地の数だけ繰り返し実行される。
【0100】
OP201では、制御部11は、図9のOP107において抽出された候補の店舗の中から、車両50の対象の目的地への到着時刻が、対象の目的地における配車サービスに対する需要の発生時刻から第1の閾値時間長前の時刻から当該需要の発生時刻までの間の時刻となる店舗を抽出する。
【0101】
OP202では、制御部11は、OP201で抽出された店舗の中から、さらに、出発地点から店舗までの移動時間Taと店舗から対象の目的地までの移動時間Tcの合計時間が、出発地点から対象の目的地まで直接移動する場合の移動時間に第2の閾値時間長を加算した時間長以内となる店舗を抽出する。
【0102】
OP203では、制御部11は、OP202の処理の結果残った店舗と対象の目的地との組み合わせを作成する。その後、次の対象の目的地についてOP201から処理が行われる、又は、全ての目的地についてOP201からOP203の処理が終了した場合には、処理が図9のOP110へ進む。
【0103】
図11は、センタサーバ1の実施状況監視処理のフローチャートの一例である。実施状況監視処理は、センタサーバ1が生成した車両50のメンテナンスのスケジュールが実施されているかを監視する処理である。図11に示される処理は、所定の周期で繰り返し実行される。また、図11に示される処理は、メンテナンススケジュール情報DB 18に保持されているメンテナンススケジュール情報ごとに実行される。
【0104】
OP301では、制御部11は、所定のタイミングとなったか否かを判定する。OP301における所定のタイミングは、例えば、メンテナンススケジュール情報DB 18に保持されるメンテナンススケジュール情報の、出発地点からの出発予定時刻、メンテナン
スが予約されている店舗への到着予定時刻、及び、出発予定時刻から店舗への到着予定時刻までの間の所定の時刻になることである。すなわち、OP302以降の処理は、1台の車両50の1回のメンテナンススケジュール情報に対して、複数回実施されることとなる。
【0105】
所定のタイミングとなった場合には(OP301:YES)、処理がOP302へ進む。所定のタイミングでない場合には(OP301:NO)、図11に示される処理が終了する。
【0106】
OP302では、制御部11は、車両50が、メンテナンススケジュール情報において予定されている位置を現在走行しているか否かを判定する。例えば、現在時刻がメンテナンスのスケジュールの出発予定時刻である場合には、制御部11は、車両50が出発地点付近を走行しているか否かを判定する。例えば、現在時刻がメンテナンスのスケジュールの店舗への到着予定時刻である場合には、制御部11は、車両50が店舗付近を走行しているか否かを判定する。例えば、現在時刻がメンテナンスのスケジュールの出発予定時刻から店舗への到着予定時刻までの間の所定の時刻である場合には、制御部11は、車両50が出発地点から店舗までの経路上を走行しているか否かを判定する。
【0107】
車両50が、メンテナンススケジュール情報において予定されている位置を現在走行している場合には(OP302:YES)、車両50はメンテナンスのスケジュールに従って走行していると判定され、図11に示される処理が終了する。
【0108】
車両50が、メンテナンススケジュール情報において予定されている位置とは異なる位置を現在走行している場合には(OP302:NO)、車両50はメンテナンスのスケジュールに従っていないと判定され、処理がOP104へ進む。
【0109】
OP104からOP113の処理は、図9のOP104とOP113と同じ処理である。すなわち、車両50が、メンテナンススケジュール情報において予定されている位置とは異なる位置を現在走行している場合には、現在走行している位置を出発地点として、再度当該車両50についてメンテナンススケジュールの作成が行われる。これによって、車両50がメンテナンスのスケジュールから外れた走行をしている場合でも、車両50のメンテナンスの実施を励行させることができる。
【0110】
なお、図9から図11に示されるそれぞれの処理は一例であって、実施の態様に応じて適宜、処理の追加、削除、及び、実行順の変更等が可能である。
【0111】
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態によれば、車両50のメンテナンスのスケジュールに、メンテナンス後の配送サービスに対する需要の発生の可能性のある場所を目的地として含めることで、車両50のトータルダウンタイムを短くするように、メンテナンスを実施する店舗を決定することができる。また、第1実施形態では、トータルダウンタイムが最も短くなる店舗と目的地との組み合わせで車両50のメンテナンスのスケジュールが作成されるので、営業機会の損失をより少なくすることができる。
【0112】
また、第1実施形態では、センタサーバ1が店舗へ車両50のメンテナンスの予約を行うので、配車制御サーバ2及び車両50の運転手の手間を省くことができ、メンテナンス実施の励行することができる。また、センタサーバ1は、車両50の走行を監視し、車両50がメンテナンスのスケジュールから外れた走行をしている場合には、再度メンテナンスのスケジュールを作成し直すので、車両50のメンテナンスの実施を励行させることができる。
【0113】
<第2実施形態>
第1実施形態では、車両50は車載器5を搭載する通信機能を備えた運転手による運転によって走行する車両であるが、第2実施形態では、車両50に代えて、自動運転車両について、メンテナンスのスケジューリングを行う。第2実施形態では、第1実施形態と同様の説明は諸略される。
【0114】
図12は、第2実施形態に係るメンテナンススケジューリングシステム100Bのシステム構成の一例を示す図である。メンテナンススケジューリングシステム100Bは、センタサーバ1、配車制御サーバ2、店舗サーバ3、及び、車両6を含む。車両6は、無人走行可能な自動運転車両であって、第1実施形態における車載器5と同様の処理を実行可能な制御装置を備えている。
【0115】
第2実施形態では、車両6が走行状態情報をセンタサーバ1へ送信する。また、第2実施形態では、車両6自体が配車制御サーバ2と通信を行い、配車制御サーバ2は、センタサーバ1が作成した車両6のメンテナンススケジュール情報を車両6へ送信する。センタサーバ1の処理は、第1実施形態と同様であって、車両6からの走行状態情報に基づいて、車両6の入庫を判定し、トータルダウンタイムが短くなるような、メンテナンスを実行する店舗とその後の目的地とを含むメンテナンスのスケジュールを作成する。したがって、第2実施形態によれば、自動運転車両のメンテナンスに対しても、トータルダウンタイムが短くなるようなメンテナンスのスケジュールの作成を行うことができる。
【0116】
<第3実施形態>
第3実施形態では、車載器5を搭載していない車両に対して、トータルダウンタイムが短くなるようなメンテナンスのスケジュールの作成が行われる。図13は、第3実施形態に係るメンテナンススケジューリングシステム100Cのシステム構成の一例を示す図である。
【0117】
メンテナンススケジューリングシステム100Cは、センタサーバ1、配車制御サーバ2、店舗サーバ3、及び、ユーザ端末4を含む。第3実施形態では、車両50Cの運転手がユーザ端末4に、例えば、車両50Cの走行距離等を入力し、ユーザ端末4がユーザ端末4の位置情報と車両50Cとの走行距離等を含む走行状態情報を配車制御サーバ2を通じて、センタサーバ1へ送信する。この点以外は、センタサーバ1の処理は第1実施形態と同様であって、ユーザ端末4からの走行状態情報に基づいて、車両50Cの入庫を判定し、トータルダウンタイムが短くなるような、メンテナンスを実行する店舗とその後の目的地とを含むメンテナンスのスケジュールを作成する。作成されたスケジュール情報は、センタサーバ1から配車制御サーバ2を通じてユーザ端末4へ通知される。したがって、第3実施形態によれば、通信機能を備えていない車両のメンテナンスに対しても、トータルダウンタイムが短くなるようなメンテナンスのスケジュールの作成を行うことができる。
【0118】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
【0119】
第1実施形態から第3実施形態では、センタサーバ1は、トータルダウンタイムが最も短くなる店舗と目的地との組み合わせを選択し、当該組み合わせで車両50のメンテナンスのスケジュールを作成した。変形例として、センタサーバ1は、車両50のメンテナンススケジュールの作成までは行わずに、メンテナンスを実施する候補の店舗と目的地との複数の組み合わせそれぞれのトータルダウンタイムを車両50の運転手に提示するように
してもよい。より具体的には、センタサーバ1は、図9のOP101からOP110までの処理を実行し、店舗と目的地との複数の組み合わせと、各組み合わせについてのトータルダウンタイムと、を配車制御サーバ2を通じて車両50の運転手のユーザ端末4へ送信する。これによって、車両50の運転手は、トータルダウンタイムと、候補の店舗及び目的地とを参照して、自身の都合に合わせて、メンテナンスを実施する店舗を選択することができる。
【0120】
第1実施形態から第3実施形態では、センタサーバ1は、車両50の入庫を判定した場合に、メンテナンス予定日時を設定するが、メンテナンス予定日時の設定を複数行ってもよい。この場合には、センタサーバ1は、メンテナンス予定日時の設定のそれぞれについて、店舗と目的地との組み合わせのトータルダウンタイムを算出し、全てのメンテナンス予定日時の設定のうち、最もトータルダウンタイムが短くなる組み合わせについてスケジュールを作成してもよい。または、センタサーバ1は、メンテナンス予定日時の設定のそれぞれについて、最もトータルダウンタイムが短くなる組み合わせについてスケジュールを作成し、複数のメンテナンススケジュール情報を車両50の運転手のユーザ端末4に通知してもよい。車両50の運転手は、メンテナンス予定日時が異なる複数のメンテナンススケジュール情報の中から、自身の都合に応じて適当なメンテナンススケジュール情報を選択し、センタサーバ1は選択されたメンテナンススケジュール情報の店舗についてメンテナンスの予約を行う。
【0121】
また、第1実施形態から第3実施形態では、配車サービスに用いられる車両を対象とするが、配車サービスに用いられる車両以外の車両にも、第1実施形態から第3実施形態の技術を適用可能である。配車サービスに用いられる車両以外の車両に適用する場合には、メンテナンスのスケジュールの目的地は、例えば、運転手のスケジュールの設定がある場所等に設定されればよい。
【0122】
本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0123】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0124】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0125】
1・・センタサーバ
2・・配車制御サーバ
3・・店舗サーバ
4・・ユーザ端末
5・・車載器
11・・制御部
12・・位置推定部
13・・車両通信部
14・・サーバ通信部
15・・車両情報データベース
16・・店舗情報データベース
17・・配車予約情報データベース
18・・メンテナンススケジュール情報データベース
21・・配車予約情報データベース
22・・ユーザ情報データベース
50・・車両
100・・メンテナンススケジューリングシステム
101・・CPU
102・・メモリ
103・・外部記憶装置
104・・入力部
105・・出力部
106・・通信部
図1
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図10
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図12
図13