(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】リクライニング装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/22 20060101AFI20240723BHJP
A47C 1/024 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B60N2/22
A47C1/024
(21)【出願番号】P 2021066474
(22)【出願日】2021-04-09
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼永 昇馬
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-514527(JP,A)
【文献】特表2007-521894(JP,A)
【文献】特開2011-207253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-90
A47C 1/02-027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックを支持するシートバックフレームと、
シートクッションを支持するシートクッションフレームと、
前記シートバックフレームまたは前記シートクッションフレームのいずれか一方に取り付けられた駆動源と、
前記駆動源からの動力によって前記シートクッションフレームに対して前記シートバックフレームの角度調整を実行するリクライニング機構と、
を備え、
前記リクライニング機構は、
前記シートバックフレームまたは前記シートクッションフレームの一方側に接続される、内歯を備える第一の歯車と、
前記シートバックフレームまたは前記シートクッションフレームの他方側に接続される、前記内歯と噛合可能な外歯を備え、前記第一の歯車に対して偏心回転可能な第二の歯車と、
前記駆動源に接続され、前記第一の歯車または前記第二の歯車の一方に形成された第一の中心穴に一部が挿入され回転可能に支持される駆動ピンと、
内周側が前記駆動ピンを包囲し、外周側が前記第一の歯車または前記第二の歯車の他方に形成された第二の中心穴に接するように配置されるリング状の中間部材と、
前記駆動ピンと前記中間部材との間に配置され、前記中間部材の内周面に沿う離間方向に楔打ちが可能な形状の一対の楔部材と、
前記一対の楔部材を前記離間方向に付勢する付勢部材と、
を備え
、
前記付勢部材が前記一対の楔部材を離反方向に付勢した場合、前記一対の楔部材は、前記中間部材および前記駆動ピンを互いに離反する離反方向であって、前記第二の歯車の外径方向に押圧し、
前記中間部材は、
前記第二の歯車を外径方向の第一の方向に付勢し、
前記駆動ピンは、
前記第一の歯車を前記第一の方向とは逆方向の第二の方向に付勢する、
リクライニング装置。
【請求項2】
前記中間部材の内周面の周方向の少なくとも一部に第一の係合部が形成され、前記駆動ピンの外周面の周方向の少なくとも一部に前記第一の係合部と係合可能な第二の係合部が形成されている、請求項1に記載のリクライニング装置。
【請求項3】
前記駆動ピンには、径方向外側に突出するフランジ部が形成され、前記中間部材と前記一対の楔部材は、前記フランジ部によって前記駆動ピンの回転方向と直交する方向に支持されている、請求項1または請求項2に記載のリクライニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、リクライニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両(自動車等)に搭載される座席(シート)は、座面であるシートクッションと、背中支持面であるシートバック等で構成されている。車両用のシートの場合、利用者(例えば、搭乗者等)の体格や好み、利用状況等にしたがいシートの姿勢、つまり、シートクッションに対するシートバックの傾斜角度が調整できる調整機構、いわゆる、リクライニング装置を内蔵している場合が多い。例えば、車両運転時には、疲れ難いシートバックの角度を実現するために、角度の微調整ができるように構成されている。この場合、モータ等の動力源からの動力を用いて角度調整を行うようにしているものがある。例えば、歯数の異なる内歯歯車と外歯歯車で構成される偏心機構を用いて、微小な角度調整を実現しているものがある。具体的には、内歯歯車の歯数より歯数の少ない外歯歯車を準備し、内歯歯車の回転中心に対して外歯歯車の回転中心を偏心させておく。そして、外歯歯車を少しずつ偏心させながら回転させることにより、シートクッションに対してシートバックの角度を微調整するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような偏心機構を用いたリクライニング装置の場合、内歯歯車と外歯歯車とは、楔機構等を用いて内歯歯車に対して外歯歯車を付勢することで、噛合部分に必要以上の隙間が生じないようにして、がたつきを伴うことなくスムーズな偏心回転ができるようにしている。しかしながら、シートバックに大きな荷重が入力される場合がある。例えば、リクライニング装置をマニュアル操作する際に自動的に前方に起き上がらせるために付勢スプリングを備えた構成を採用する場合に、付勢スプリングの付勢力による荷重が入力されたり、例えば、体重の重い利用者がシートバックにもたれかかることにより荷重が入力されたりする場合がある。このような場合、入力される荷重により楔機構がスムーズに動作しない場合があり、内歯歯車と外歯歯車との噛合部分の付勢が不十分となり、歯面間に隙間が生じてしまう場合がある。そして、歯面間の隙間が原因となり、シートクッションに対してシートバックが固定(ロック)されている状態であるにも拘わらず、手等で押すことにより容易に動いてしまい(がたついてしまい、小角度で揺動してしまい)、リクライニング装置の品質を低下させてしまう場合があるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、シートバック(シートクッションフレーム)に大きな荷重が入力される場合でも、楔機構を十分に機能させ、噛合する歯車に隙間が生じないようにし、シートバックのがたつきを抑制することができるリクライニング機構を備えるリクライニング装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態にかかるリクライニング装置は、例えば、シートバックを支持するシートバックフレームと、シートクッションを支持するシートクッションフレームと、前記シートバックフレームまたは前記シートクッションフレームのいずれか一方に取り付けられた駆動源と、前記駆動源からの動力によって前記シートクッションフレームに対して前記シートバックフレームの角度調整を実行するリクライニング機構と、を備える。前記リクライニング機構は、前記シートバックフレームまたは前記シートクッションフレームの一方側に接続される、内歯を備える第一の歯車と、前記シートバックフレームまたは前記シートクッションフレームの他方側に接続される、前記内歯と噛合可能な外歯を備え、前記第一の歯車に対して偏心回転可能な第二の歯車と、前記駆動源に接続され、前記第一の歯車または前記第二の歯車の一方に形成された第一の中心穴に一部が挿入され回転可能に支持される駆動ピンと、内周側が前記駆動ピンを包囲し、外周側が前記第一の歯車または前記第二の歯車の他方に形成された第二の中心穴に接するように配置されるリング状の中間部材と、前記駆動ピンと前記中間部材との間に配置され、前記中間部材の内周面に沿う離間方向に楔打ちが可能な形状の一対の楔部材と、前記一対の楔部材を前記離間方向に付勢する付勢部材と、を備える。この構成によれば、例えば、楔部材は、第二の歯車の第二の中心穴に外周側が接する中間部材と、駆動ピンとの間に配置されるため、第一の歯車および第二の歯車と直接接触しない。その結果、第一の歯車または第二の歯車に荷重が入力された場合でも、その荷重が直接的に楔部材に影響することを回避可能となり、付勢部材により楔部材の楔打ち動作が妨げられることなく行われ、第一の歯車と第二の歯車に楔部材の楔打ち効果により付勢力を与え、噛合部分での隙間の発生の抑制、つまりは、シートバックフレーム(シートバック)のがたつきの抑制が図れる。
【0007】
また、本発明の実施形態にかかるリクライニング装置は、例えば、前記中間部材の内周面の周方向の少なくとも一部に第一の係合部が形成され、前記駆動ピンの外周面の周方向の少なくとも一部に前記第一の係合部と係合可能な第二の係合部が形成されてもよい。この構成によれば、例えば、中間部材と駆動ピンとが一体的に回転するので、中間部材と駆動ピンとの間に配置する楔部材の相対位置を維持したまま、第一の歯車と第二の歯車の偏心回転を実現することができる。
【0008】
また、本発明の実施形態にかかるリクライニング装置の前記駆動ピンには、例えば、径方向外側に突出するフランジ部が形成され、前記中間部材と前記一対の楔部材は、前記フランジ部によって前記駆動ピンの回転方向と直交する方向に支持されていてもよい。この構成によれば、例えば、駆動ピンにより中間部材と一対の楔部材の支持が容易かつ安定的に実現可能となり、リクライニング機構の動作を安定化させることができる。
【0009】
また、本発明の実施形態にかかるリクライニング装置は、例えば、前記駆動ピンは前記第一の歯車に支持され、前記中間部材は前記第二の歯車に支持され、前記楔部材が楔打ち位置に付勢された場合、前記中間部材は、前記第二の歯車を外径方向の第一の方向に付勢し、前記駆動ピンは、前記第一の歯車を前記第一の方向とは逆方向の第二の方向に付勢するようにしてもよい。この構成によれば、例えば、第一の歯車と第二の歯車の噛合部分の隙間の発生の抑制をより確実に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態にかかるリクライニング装置(リクライニング機構)を適用可能な車両用のシート(座席)を示す例示的かつ模式的な側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかるリクライニング装置の例示的かつ模式的な分解斜視図であり、パワー駆動機構側に視点を置いた場合の図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかるリクライニング装置の例示的かつ模式的な分解斜視図であり、
図2の視点とは逆側のマニュアル駆動機構側に視点を置いた場合の図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかるリクライニング装置の組立図の例示的かつ模式的な側面図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかるリクライニング装置をパワー駆動機構側から見た場合の例示的かつ模式的な組立図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかるリクライニング装置をマニュアル駆動機構側から見た場合の例示的かつ模式的な組立図である。
【
図7】
図7は、実施形態にかかるリクライニング装置の第一の歯車と第二の歯車の噛合状態と、第一の歯車と第二の歯車に対する楔機構とを示す例示的かつ模式的な図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかるリクライニング装置のマニュアル駆動機構のロック機構を示す例示的かつ模式的な図である。
【
図9】
図9は、実施形態にかかるリクライニング装置の楔機構を構成する中間部材の形状を示す例示的かつ模式的な平面図である。
【
図10】
図10は、実施形態にかかるリクライニング装置の楔機構を構成する一対のウエッジ(第一の楔部材、第二の楔部材)の一方の第二の楔部材の形状を示す例示的かつ模式的な平面図である。
【
図11】
図11は、実施形態にかかるリクライニング装置のストライカピンの形状を示す例示的かつ模式的な平面図と、当該平面図のD-D断面図である。
【
図12】
図12は、
図7のC-C断面図であり、第一の歯車と第二の歯車に加え、中間部材、一対のウエッジ、ストライカピン、ウエッジスプリングとを組み付けた状態を示す例示的かつ模式的な断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態にかかるリクライニング装置の楔機構の動作を説明する例示的かつ模式的な説明な説明図であり、一対のウエッジにより生じる押圧力を説明する図である。
【
図14】
図14は、実施形態にかかるリクライニング装置の楔機構の動作を説明する例示的かつ模式的な説明な説明図であり、中間部材が第二の歯車を押し上げることを説明する図である。
【
図15】
図15は、実施形態にかかるリクライニング装置の楔機構の動作を説明する例示的かつ模式的な説明な説明図であり、ストライカピンが第一の歯車を押し下げることを説明する図である。
【
図16】
図16は、実施形態にかかるリクライニング装置の楔機構の動作を説明する例示的かつ模式的な説明な説明図であり、第一の歯車と第二の歯車との噛合部分でがたつきが抑制できることを説明する図である。
【
図17】
図17は、実施形態にかかるリクライニング装置の楔機構の動作を説明する例示的かつ模式的な説明な説明図であり、ストライカピンと中間部材と一対のウエッジが一体化して回転可能であることを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、及び効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0012】
図1は、実施形態にかかるリクライニング装置10(リクライニング機構)を適用可能な車両用のシート(座席)100を示す例示的かつ模式的な側面図である。
図1に示されるように、シート100は、利用者(搭乗者)が着座する座面となるシートクッション102を支持するシートクッションフレーム102aと、シートクッションフレーム102aに対して矢印A1または矢印A2方向に角度調整可能に接続された、シートバックフレーム104aに支持されて背中支持面となるシートバック104とで構成されている。シートクッション102は、車両の床面であるフロア106に固定されたレール108上を矢印B1または矢印B2方向に移動可能なシートスライダ装置110に固定されている。シートバック104は、車幅方向に延びる回動軸112を支点としてシートクッション102に対して、本実施形態のリクライニング装置10を介して角度調整可能である。リクライニング装置10は、シート100の内部、例えば、回動軸112と同軸に配置されている。
【0013】
シートクッション102の矢印B1方向または矢印B2方向の移動量、及びシートバック104の矢印A1方向または矢印A2方向の角度調整量は、例えば、調整スイッチSWの操作状態に従い駆動するモータ等の駆動源の動力により調整可能である。例えば、調整スイッチSWを矢印B1方向にスライド操作することで、シートクッション102を矢印B1方向の予め設定された位置または所望の位置に移動可能である。同様に、調整スイッチSWを矢印B2方向にスライド操作することで、シートクッション102を矢印B2方向の予め設定された位置または所望の位置に移動可能である。また、スライドレバーLSをロック解除操作することにより、シートクッション102のロック状態を解除し、シートクッション102をB1方向またはB2方向の位置に適宜移動可能である。シートクッション102の移動後、スライドレバーLSをロック操作、またはスライドレバーLSから手を離すことにより、シートクッション102を所望の位置で固定することができる。
【0014】
また、調整スイッチSWを矢印A1方向に回動操作することで、リクライニング装置10が動作し、シートバック104を矢印A1方向の予め設定された角度または所望の角度に調整可能である。同様に、調整スイッチSWを矢印A2方向に回動操作することで、リクライニング装置10が動作し、シートバック104を矢印A2方向の予め設定された角度または所望の角度に調整可能である。また、リクライニングロック解除レバーLRを所定方向に回動操作することにより、リクライニング装置10のリクライニングロックを解除し、シートクッション102に対してシートバック104を所望の角度にリクライニングさせることができる。なお、リクライニングロック解除レバーLRを所定方向に回動操作した場合、シートバック104は、矢印A1方向(前方)方向に自動的に最大角度で起き上がるようにしてもよい。この動作は、例えば、シートクッションフレーム102aとシートバックフレーム104aとの接続部分に設けられて、シートバックフレーム104aを前方(矢印A1方向)に付勢するスパイラルスプリングSSにより実現するができる。リクライニングロック解除レバーLRの操作によりシートバック104を最大角度で起き上がらせる動作は、例えば、2ドアタイプの車両で、後部座席の乗降を行う際に利用することがでる。このとき、スライドレバーLSのロック解除動作を自動で連動させ、シートクッション102をB1方向の最前部まで移動させるようにしてもよい。また、車両降車時に、運転席のシートバック104を最大角度で起き上がらせるとともに、シートクッション102を最前部まで移動させて、それぞれの位置をロックすることにより、運転席への着座を不能とする防犯対策を行うようにしてもよい。
【0015】
なお、調整スイッチSWの構成は、一例であり、シートクッション102の自動スライド調整とシートバック104の自動リクライニング調整とを別々のスイッチで行ってもよい。また、調整スイッチSWの配置は、適宜変更可能であり、例えば、ダッシュボードに設けてもよいし、ステアリングホイール等に設けてもよい。
図1は、例えば、右ハンドル車両の助手席のシートであり、運転席側のシートでは、調整スイッチSWやリクライニングロック解除レバーLR等は、シート100の逆側に配置されてもよい。
【0016】
図2、
図3は、本実施形態のリクライニング装置10におけるリクライニング機構の分解斜視図であり、
図2がパワー駆動機構D側から矢印X1方向を見た場合の図であり、
図3がマニュアル駆動機構M側がら矢印X2方向を見た場合の図である。また、
図4は、リクライニング装置10(リクライニング機構)の組立図の例示的かつ模式的な側面図である。
図5は、リクライニング装置10(リクライニング機構)をパワー駆動機構D側から見た場合の例示的かつ模式的な組立図である。また、
図6は、リクライニング装置10(リクライニング機構)をマニュアル駆動機構M側から見た場合の例示的かつ模式的な組立図である。
【0017】
リクライニング装置10は、シートクッション102に対するシートバック104の角度調整を駆動源(例えば、電動モータ)からの動力によって実行するパワー駆動機構D(動力駆動機構や調整機構と称する場合もある)と、シートバック104の角度調整を手動操作可能にするためにリクライニングロックの解除を行うマニュアル駆動機構M(手動駆動機構や係脱機構と称する場合もある)と、で構成されている。
【0018】
図2、
図3に示されるように、パワー駆動機構Dは、第一の歯車12、中間部材14R、ウエッジ14(14a,14b:楔部材)、ストライカピン16(駆動ピン)、第二の歯車18、ウエッジスプリング20(付勢部材)および電動モータ等の駆動軸であるパワー駆動軸DS等で構成されている。
【0019】
また、マニュアル駆動機構Mは、パワー駆動機構Dと共用する共通歯車としての第二の歯車18、カムプレート22、カムリング24(カム部材)、ロック部材26(ポールと称する場合もある)、ロアアーム28(ガイド部材)、外周リング30、ロックスプリング32およびリクライニングロック解除レバーLRに接続されたマニュアル操作軸MS等で構成されている。なお、マニュアル操作軸MSとパワー駆動軸DSは、リクライニング装置10の内部で離間して対向している。
【0020】
図2、
図3に示される中間部材14R、ウエッジ14(14a,14b)、ストライカピン16、第二の歯車18、ウエッジスプリング20、カムプレート22、カムリング24、ロック部材26等は、第一の歯車12とロアアーム28によって、回転中心軸Oに沿って挟まれて組み立てられる。そして、
図4に示されるように、外周リング30は、ロアアーム28の周縁部と第一の歯車12の外縁部を囲むように配置される。外周リング30が第一の歯車12の外縁部と溶接等の接合手段によって一体化されることにより、リクライニング装置10(リクライニング機構)の組立状態を維持することができる。
【0021】
図3に示されるように、第一の歯車12は、一方の面である第一の面12Aに、例えば、プレス加工等により回転中心軸Oに直交する径方向に径の異なる2段の第1内歯38aおよび第2内歯38bを備える。
図3の場合、第1内歯38aが第2内歯38bより外径側に形成されている。すなわち、第1内歯38aの径は、前記第2内歯38bの径より大径である。また、
図4に示されるように、第一の歯車12の第一の面12Aの裏側である第二の面12Bには、プレス加工によって第1内歯38aおよび第2内歯38bを形成した結果として突出した径の異なる2段の外歯を備える。そして、
図4、
図5に示されるように、第一の歯車12の第二の面12Bに形成された2段の外歯のうち、例えば外周側の歯部が係合用外歯36として利用可能となり、当該係合用外歯36が外周リング30より矢印X2方向のパワー駆動軸DS側に突出し、例えば、シートバック104を支持するシートバックフレーム104a等に接続できるように構成されている。また、
図4、
図6に示されるように、外周リング30に形成された開口部30aからロアアーム28の周縁部より内側の部分が、矢印X1方向のマニュアル操作軸MS側に突出し、例えば、シートクッション102を支持するクッションフレーム等に接続できるように構成されている。なお、ロアアーム28の外面には、ロックスプリング32が配置され、一端部32aがロアアーム28の外面に形成された係合用凸部28bに係止され、他端部32bが、マニュアル操作軸MSに係止されている。ロックスプリング32は、マニュアル操作軸MSを所定の方向(例えば、
図6において時計回り方向)に付勢している。つまり、リクライニングロック解除レバーLRに接続されたマニュアル操作軸MSが手動によりロックスプリング32の付勢力に抗して反時計回り方向に回転されると、手動によるロック解除状態を実現される。また、リクライニングロック解除レバーLRから手を離した場合、ロックスプリング32の付勢力によりマニュアル操作軸MSが時計回り方向に回転しロック状態に復帰させる。
【0022】
上述のように構成されるリクライニング装置10の詳細を、まずパワー駆動機構Dについて説明する。
【0023】
第一の歯車12は、板状部材(例えば、鋼板)にプレス加工や切削加工を施して中央部に段部分を形成した、強度を向上させた円盤状の部材である。第一の歯車12は、
図2、
図3に示されるように、段部分に打抜き加工や穴開け加工により、筒状部12a(第一の中心穴)が形成されるとともに、上述したように、第一の面12A側から歯車形状のプレス型を用いたプレス加工を施すことにより、矢印X2方向に凹んだ第1内歯38aと、この第1内歯38aと径が異なる第2内歯38bを容易に形成することができる。また、同時に第二の面12B側に第1内歯38aおよび第2内歯38bと同径の外歯を形成することができる。上述したように、このとき形成される外歯のうち、例えば、第1内歯38aに対応する外歯が、係合用外歯36となる。この係合用外歯36はスプラインとして利用可能で、シートバックフレーム104a等に形成されたスプライン溝と噛合させることにより、第一の歯車12(リクライニング装置10)をシートバックフレーム104a等に容易かつ強固に接続することができる。
【0024】
同様に、第二の歯車18もまた、例えば、板状部材(例えば、鋼板)にプレス加工や切削加工を施して中央部に段部分を形成した、強度を向上させた円盤状の部材である。第二の歯車18は、
図2、
図3に示されるように、段部分に打抜き加工や穴開け加工により、筒状部18a(第二の中心穴)が形成されるとともに、第一の面18A側から歯車形状のプレス型を用いたプレス加工を施すことにより、第二の面18B側(矢印X2方向)に突出した第1外歯40aと、この第1外歯40aと径が異なる第2外歯40bが形成される。そして、
図7に示されるように、第二の歯車18の第1外歯40aは第一の歯車12の第1内歯38aと噛合可能であり、第2外歯40bは第2内歯38bと噛合可能である。
【0025】
なお、
図7は、マニュアル駆動機構M側から楔機構を含む第二の歯車18を見た場合の例示的かつ模式的な説明図である。なお、
図7において、第一の歯車12の第1内歯38aと第二の歯車18の第1外歯40aの噛合状態が破線で示されている。また、後述するが、破線で示される第一の歯車12の第2内歯38bと第二の歯車18の第2外歯40bは、偏心回転時において定常時は、噛合していない。
【0026】
リクライニング装置10の場合、第一の歯車12の第1内歯38aの第1歯数は例えば31枚で、第二の歯車18の第1外歯40aの第2歯数は、第1内歯38aの第1歯数より少ない、例えば30枚である。そして、第一の歯車12の回転中心に対して第二の歯車18の回転中心を偏心させておき、第二の歯車18を少しずつ偏心させながら回転させることにより、
図1で説明したように、シートクッション102(シートクッションフレーム102a)に対してシートバック104(シートバックフレーム104a)の角度を微調整できるように構成している。第二の歯車18の偏心回転の詳細は後述する。
【0027】
ところで、前述したように、第一の歯車12は、シートバック104側に接続される。したがって、例えば、シートバック104に過大な衝撃や荷重がかかった場合、その衝撃や荷重は第一の歯車12と第二の歯車18の噛合部分(接続部分)に作用する。つまり、第一の歯車12と第二の歯車18との結合強度を十分に確保しておくことで歯車部分の破壊を回避することができる。そこで、本実施形態のリクライニング装置10は、第1外歯40aと第1内歯38aとの噛合に加え、必要に応じて第2外歯40bと第2内歯38bとを噛合させることにより、第一の歯車12と第二の歯車18の結合部分に作用する負荷(荷重)を分散させ破壊に至ることを回避する構造を実現している。つまり、2段噛合によりリクライニング装置10の強度を増大できる構造を実現している。
【0028】
本実施形態のリクライニング装置10の場合、
図7に示されるように、定常時(車両が通常使用されている状態)のリクライニング動作(角度の微調整)を実現するために第二の歯車18が偏心回転する場合、例えば、第一の歯車12の外径側の第1内歯38aと第二の歯車18の外径側の第1外歯40aとが部分的に噛合しながら回転する。ことのとき、第一の歯車12の内径側の第2内歯38bと第二の歯車18の内径側の第2外歯40bとは、いずれの位置においても相互の歯面が僅かな隙間を介して非接触の状態となるように第一の歯車12と第二の歯車18の形状および組付け関係が設定されている。つまり、定常時は、第一の歯車12と第二の歯車18とは、第1内歯38aと第1外歯40aのみを用いて偏心回転している。
【0029】
このような第1内歯38aと第1外歯40aとによる噛合関係において、シートバック104に大きな衝撃や荷重がかかった場合、その衝撃や荷重が第1内歯38aと第1外歯40aとが接触している歯面にかかり、少なくとも一方の歯面の形状が変形する場合がある。第1内歯38aや第1外歯40aの変形により、第2内歯38bと第2外歯40bとの間に設けられていた僅かな隙間が詰まり、第2内歯38bと第2外歯40bとが噛合するようになる。つまり、第1内歯38aと第2外歯40bとの噛合に加え、第2内歯38bと第2外歯40bとの噛合が実現され、第一の歯車12と第二の歯車18との噛合強度を増加させる。
【0030】
この場合、第一の歯車12の第1内歯38aおよび第2内歯38bは第一の歯車12を構成する同一の板状部材上に径を変えてプレス加工によって形成されている。同様に、第二の歯車18の第1外歯40aおよび第2外歯40bも第二の歯車18を構成する同一の板状部材上に径を変えてプレス加工によって形成されている。つまり、第一の歯車12や第二の歯車18を構成する板状部材に2段の歯車を形成しているだけとなる。その結果、定常時に「主」として機能する第1内歯38aと第1外歯40aの噛合構造に、過大な衝撃や荷重がかかった場合に「副」として機能する第2内歯38bと第2外歯40bの噛合構造を追加する場合でも噛合機構の総重量に変化はない。つまり、リクライニング装置10の重量増加を回避しつつ、強度増大を実現することができる。なお、第1内歯38aと第1外歯40aの噛合および第2内歯38bと第2外歯40bの噛合を同時に実行しようとする場合、各歯面の形状を高精度に維持する必要がある。一方、本実施形態のように、第1内歯38aと第1外歯40aの噛合を「主」として利用し、第2内歯38bと第2外歯40bの噛合を「副」として利用することにより、定常時に利用する第1内歯38aおよび第1外歯40aのみを高精度に加工すればよい。一方、補助的に利用する第2内歯38bおよび第2外歯40bの加工精度は第1内歯38aおよび第1外歯40aに比べて低くても実用上問題は生じない。その結果、加工コストの軽減や品質管理の簡略化に寄与することができる。
【0031】
なお、第2内歯38bより大径の第1内歯38aは、第2内歯38bより大きな衝撃や荷重に耐得る強度を備える。したがって、定常時に第2内歯38bの径より大径の第1内歯38aを利用することにより、リクライニング装置10の定常時の衝撃や荷重の許容値を向上し、品質向上に寄与することができる。また、歯面を加工する場合に大径の方が高精度を得やすく、第1内歯38aと第1外歯40aとを噛合した場合の滑らかさの向上や接触音の発生の軽減に寄与することができる。
【0032】
次に、マニュアル駆動機構Mについて、
図2、
図3及び
図8を用いて説明する。なお,
図8は、ロアアーム28を透過させ、マニュアル操作軸MS側から矢印X1方向にロック部材26側が見えている状態の図である。
【0033】
前述したように、マニュアル駆動機構Mでも利用される第二の歯車18において、パワー駆動機構Dで利用する第1外歯40aおよび第2外歯40bを形成する場合に、歯車形状のプレス型によりマニュアル駆動機構M側に凹んだ内歯が形成される。この内歯は、ロック部材26と係合するロック用内歯42aと、適宜配置可能でシートバック104のロック角度を設定調整可能なロック調整プレート(不図示)と係合する係合用内歯42bである。つまり、第二の歯車18の第1外歯40aとロック用内歯42aおよび第2外歯40bと係合用内歯42bとは、それぞれ同径で同じ回転中心軸Oを有し、軸方向に対して表裏面に成形され配置されることになる。その結果、第二の歯車18を形成する場合の製造工程の簡略化、効率化、コスト低減に寄与できる。また、第二の歯車18の表裏に、パワー駆動機構Dで利用可能な第1外歯40aおよび第2外歯40bと、マニュアル駆動機構Mで利用可能なロック用内歯42aおよび係合用内歯42bが配置されることにより、複数の歯車を配置する場合の省スペース化が可能となり、第二の歯車18の小型化(小径化)が可能になる。
【0034】
図8は、マニュアル駆動機構Mのロック部材26と第二の歯車18のロック用内歯42aとの噛合状態を説明する例示的かつ模式的な図である。
【0035】
マニュアル駆動機構Mは、手動でシートバック104の角度調整を行う場合に、シートバック104がシートクッション102に対して自由に傾くことができるように、シートクッション102に対するシートバック104のロックを解除状態にする機構である。また、マニュアル駆動機構Mは、パワー駆動機構Dによりシートバック104の角度調整を自動で行う場合、及びシートクッション102に対するシートバック104の調整角度状態を維持する場合に第二の歯車18をロック状態にする機構である。
【0036】
本実施形態のリクライニング装置10(リクライニング機構)の場合、第二の歯車18のロック用内歯42aとロック部材26を噛合させることによりロック状態を形成し、非噛合させることでロック解除状態を形成する。
【0037】
ロック部材26は、
図2、
図3、
図8に示されるように、第二の歯車18のロック用内歯42aより内周側に、例えば等間隔で、外径方向および内径方向に移動可能に配置されている。本実施形態の場合、90°間隔で4個のロック部材26が配置されているが、実際に第二の歯車18の回転をロックしているのは、対向配置された2個のロック部材26である。シートクッション102に対するシートバック104のロック状態が維持できる強度が確保できれば、ロック部材26の数は適宜変更可能である。
【0038】
ロック部材26は、略直方体形状のブロック形状の部材で、リクライニング装置10の場合、定常時にロック動作を行うメインロック部材26Aと、高荷重がかかったときに補助的にロック動作を行うサブロック部材26Bが周方向に交互に配置されている。なお、メインロック部材26Aは、略六角形状のカムチップ26Cを備える構造である。
【0039】
各ロック部材26は、リクライニング装置10が組み立てられた状態で、ロアアーム28において、パワー駆動機構D側に突出したガイド部48の一部で、径方向に延びるガイド壁48aによって径方向に摺動可能に支持(ガイド)されている。ロアアーム28は、中央部にマニュアル操作軸MSが挿通可能な開口部28aが形成され、その周囲に等間隔(例えば、90°間隔)で、ガイド部48が形成されている。したがって、各ロック部材26は、隣接するガイド部48のガイド壁48aによって挟まれる状態で摺動する。なお、メインロック部材26Aとカムチップ26Cとは別部品で構成され、
図8に示されるように、ガイド壁48aの間に遊嵌状態で配置される。
【0040】
各ロック部材26は、カムプレート22のカム溝44に挿入されるダボ47aと、カムリング24の山部46と当接する脚部47bと、第二の歯車18のロック用内歯42aと係合するロック歯47cとを備える。
【0041】
カムプレート22は、カム溝44を備えるリング状の部品で、中央部に開口部22aが形成され、当該開口部22aの外周側に、ロック部材26の数に対応する数のカム溝44が打ち抜き形成されている。カム溝44は、
図3や
図8に示されるように、カムプレート22の略周方向に延びる溝で、当該溝の外周側のカム面が内径側に盛り上がった傾斜部44aを形成している。
【0042】
カムプレート22には、連結孔22bが例えば2つ形成され、カムリング24の開口部24aの外周側で、連結孔22bに対応する位置に形成された連結突起24bが挿入されることで、カムプレート22とカムリング24とが一体化される。カムリング24の開口部24aには、マニュアル操作軸MSが挿入固定されている。したがって、リクライニングロック解除レバーLRが操作されマニュアル操作軸MSが回動した場合、カムリング24と共にカムプレート22が一体的に回転するように構成されている。カムリング24は、外周部にロック部材26の脚部47bと当接可能な複数の山部46を備えるとともに、隣接する山部46の間に、脚部47bとカムチップ26Cを受け入れ可能な谷部46aを備える。
【0043】
なお、リクライニング装置10の内部で、第二の歯車18の筒状部18aを貫通しているストライカピン16のフランジを含む一部は、パワー駆動軸DS(マニュアル操作軸MS)の軸方向において、カムプレート22と離間して対向している。この時、ストライカピン16とカムプレート22の軸方向の離間距離を、カムリング24の連結突起24bの軸方向の長さより短くすることで、カムプレート22がカムリング24から軸方向に離脱する力が働いても、ストライカピン16によってカムプレート22がカムリング24から離脱(脱落)してしまうことを抑制できる。
【0044】
このように構成されるマニュアル駆動機構Mにおいて、リクライニングロック解除レバーLRが操作されていない場合、つまり、マニュアル操作軸MSがロックスプリング32の付勢力によりロック姿勢に復帰している場合である。この場合、
図8に示されるように、カムリング24の山部46がメインロック部材26Aの脚部47bとは接触せず、カムチップ26Cの脚部26Caに接触し、カムチップ26Cをガイド壁48aに接触させる。そして、メインロック部材26Aおよびカムチップ26Cを外径方向に摺動させる。その結果、メインロック部材26Aは、カムチップ26Cによる楔効果により、ガイド壁48aの間でがたつくことなく、スムーズにロック位置に移動する。つまり、メインロック部材26Aのロック歯47cが第二の歯車18のロック用内歯42aと噛合し、ロック状態が確立する。なお、本実施形態の場合、第二の歯車18のロック用内歯42aの歯数は、30枚なので、12°ごとにシートバック104の角度をロックすることができる。
【0045】
この場合、サブロック部材26Bも同様に脚部47bがカムリング24の山部46によって外径方向に押圧され、ロック位置に移動するが、カムリング24とサブロック部材26Bとの間には隙間が設けられている。したがってサブロック部材26Bは、自由状態でロック位置に移動する。このように、サブロック部材26Bを自由移動できる構成にすることで、カムチップ26Cによるメインロック部材26Aのがたつき防止を良好に実現するとともに、スムーズにロック位置に移動させることができる。具体的には、カムリング24の山部46は、まず、対角位置に存在するメインロック部材26Aの脚部47bを押圧し、次に、カムチップ26Cの脚部26Caを押圧して、メインロック部材26Aをロック位置に移動させる。最後に、カムリング24の山部46は、メインロック部材26Aの脚部47bから離間し、カムチップ26Cの脚部26Caを押圧して、ロック状態を完成させる。その結果、
図8に示されるように、メインロック部材26Aを偏り無く、ロック位置にスムーズに移動させることができる。なお、サブロック部材26Bは、シートバック104に衝撃や荷重がかかったときに、補助的にロック用内歯42aと噛合して、荷重を受けることができる。
【0046】
一方、リクライニングロック解除レバーLRが操作された場合、つまり、マニュアル操作軸MSがロックスプリング32の付勢力に抗してロック解除姿勢に操作された場合である。この場合、カムリング24の山部46はメインロック部材26Aの脚部47bとの対向関係から外れ、当該脚部47bは谷部46aに納まる。また、隣接する山部46はカムチップ26Cの脚部26Caから外れ、当該脚部26Caは谷部46aに納まる。また、このとき、カムリング24とともにカムプレート22が回転するため、メインロック部材26Aのダボ47aに対してカム溝44が移動してダボ47aが傾斜部44aを登り始める。その結果、メインロック部材26Aは、内径方向に引き上げられロック解除位置に移動する。つまり、メインロック部材26Aのロック歯47cがロック用内歯42aから外れ、ロック解除状態が確立する。
【0047】
なお、この場合もサブロック部材26Bのダボ47aもカムプレート22の回転に伴いカム溝44の傾斜部44aを登る。その結果、サブロック部材26Bもロック解除位置に移動する。
【0048】
このように、リクライニングロック解除レバーLRの操作によってロック部材26がロック解除位置に移動することにより、第二の歯車18は自由に回転可能となる。つまり、第1外歯40aと第1内歯38aを介して第二の歯車18に結合している第一の歯車12がロアアーム28に対して自由に回転可能となる。その結果、第一の歯車12に接続されたシートバックフレーム104a(シートバック104)は、ロアアーム28に接続されたシートクッションフレーム102a(シートクッション102)に対して自由に揺動(リクライニング)することができる。例えば、シートバック104を手で押すことにより自由にリクライニングさせることができる。また、リクライニングロック解除レバーLRから手を離せば、各ロック部材26がカムリング24の山部46に押圧され、
図8に示すロック位置に移動するため、第二の歯車18の回転が規制され、第一の歯車12の回転も規制される。その結果、シートクッション102に対してシートバック104の角度が固定される。
【0049】
続いて、本実施形態のリクライニング装置10(リクライニング機構)において、シートクッション102(シートクッションフレーム102a)に対して、シートバック104(シートバックフレーム104a)のがたつきを抑制する構造について説明する。
【0050】
前述したように、本実施形態のリクライニング装置10は、第二の歯車18と第一の歯車12とが互いに偏心回転することで、シートバックフレーム104a(シートバック104)が、駆動源の駆動によるパワー駆動を実現している。また、回転が規制された状態の第二の歯車18に対して第一の歯車12が自由に偏心回転することでマニュアル駆動が実現される。そのため、互いに偏心回転する第一の歯車12の歯面と第二の歯車18の歯面において、順次噛合する噛合部分は互いに余分ながた(隙間)を生じることなく噛合することが好ましい。本実施形態のリクライニング装置10(リクライニング機構)は、パワー駆動時およびマニュアル駆動時に第一の歯車12と第二の歯車18との間で、がた(隙間)を生じることなく安定した偏心回転を実現するために、楔機構を利用している。リクライニング装置10(リクライニング機構)は、第一の歯車12と第二の歯車18に加え、中間部材14R(第三の楔部材)、ウエッジ14a(第一の楔部材)、ウエッジ14b(第二の楔部材)、ストライカピン16(駆動ピン)、第二の歯車18、ウエッジスプリング20により、楔機構を実現している。
【0051】
続いて、
図2、
図3、
図7、および
図9~
図17を用いて、リクライニング装置10の楔機構を用いた偏心回転構造およびシートバックフレーム104a(シートバック104)に対して負荷(荷重)の入力の有無に拘わらず安定した偏心回転が実現できることを説明する。なお、
図12は、
図7のC-C断面図であり、第一の歯車12と第二の歯車18に加え、中間部材14R、ウエッジ14a、ウエッジ14b、ストライカピン16、ウエッジスプリング20とを組み付けた状態を示す例示的かつ模式的な断面図である。
【0052】
図9は、中間部材14Rの形状を示す例示的かつ模式的な平面図である。
【0053】
中間部材14Rは、
図9において、y方向の長さy1に対してx方向の長さx1が僅かに長い略楕円形状のリング形状の板状部材であり、内周側にウエッジ14(ウエッジ14a,14b)およびストライカピン16を内包可能な形状を有する。また、中間部材14Rは、リング内周部14Raの周方向の少なくとも一部に第一の係合部50を備える。第一の係合部50は、例えば、中間部材14Rの半径方向内側に突出した長片凸部50aと、短片凸部50bとを含む。
図9の場合、長片凸部50aと短片凸部50bは、例えば、180°離れた対向位置に形成される、また、長片凸部50aは、短片凸部50bより、例えば、y方向の長さy2が長さy3より長く、x方向の幅x2が幅x3より短い。また、リング内周部14Raにおいて、長片凸部50aを挟んで周方向の左右には、ウエッジ14aおよびウエッジ14bを収容可能な楔案内部52a,52bが形成されている。楔案内部52a,52bは、例えば、中間部材14Rの半径方向内側が開口した略円弧状の切欠きであり、ウエッジ14aおよびウエッジ14bの形状より僅かに大きな形状になっている。中間部材14Rは、
図12に示されるように、第二の歯車18の筒状部18aに外周面14Rbの一部が接触可能な状態で収容される。
【0054】
図10は、リクライニング装置10の楔機構を構成する一対のウエッジ14の一方(ウエッジ14b)の形状を示す例示的かつ模式的な平面図である。なお、一対のウエッジ14のうち他方である、ウエッジ14aの形状は、
図10に示すウエッジ14bと左右対象形状であるため、代表してウエッジ14bについて説明し、ウエッジ14aの説明は省略する。
【0055】
ウエッジ14b(ウエッジ14a)は、略円弧形状の板状の部品で、円弧状の内周辺部54aが、
図7、
図12に示されるように、ストライカピン16の第1筒状部16aの外周面に接触可能であり、円弧状の外周辺部54bが中間部材14Rの楔案内部52b(52a)に接触可能となっている。また、内周辺部54aと外周辺部54bとによって挟まれた外周辺である端部54cおよび端部54dのうち端部54cの一部には、
図2、
図7に示す略C字形状のウエッジスプリング20の端部に形成されたフック20aが係合可能な、例えば、円弧状のスプリング係合部54eが形成されている。対称形状のウエッジ14aにも同様なスプリング係合部54eが形成されている。ウエッジスプリング20は、ウエッジ14bを矢印+WS方向に付勢し、ウエッジ14aを逆矢印WS方向に付勢する。つまり、ウエッジ14bは楔案内部52bに沿って、ウエッジ14aは楔案内部52aに沿って、ウエッジスプリング20によって互いに離間する方向に付勢される。ここで、ウエッジ14bの端部54dの幅W1は、対向位置の端部54cの幅W2より狭く設定され、ウエッジ14bがウエッジスプリング20によって矢印+WS方向に付勢されることによって、ウエッジ14bは楔案内部52bの接触面とストライカピン16の第1筒状部16aとの間に押し込まれる楔として機能する。同様に、ウエッジ14aもウエッジスプリング20によって逆矢印WS方向に付勢されることによって、ウエッジ14aは楔案内部52aの接触面とストライカピン16の第1筒状部16aとの間に押し込まれる楔として機能する。
【0056】
図11は、ストライカピン16の形状を示す例示的かつ模式的な図であり、上段がパワー駆動軸DS側から見た平面図であり、下段が平面図のD-D断面図である。
【0057】
ストライカピン16は、
図11の上段の平面図および下段の断面図に示されるように、第1筒状部16a、第2筒状部16bおよび突出した一対のフランジ部16cを備える筒状部材である。第1筒状部16aには、第2筒状部16bより大径であり、
図7、
図12に示されるように、ウエッジ14aおよびウエッジ14bの内周辺部54aが接触可能である。また、第2筒状部16bは、当該第2筒状部16bの外周面が第一の歯車12の筒状部12a(第一の中心穴)の内周面に接触状態で挿入可能であり、第一の歯車12に対してスムーズかつ安定的に回転できるように支持される。
【0058】
筒状のストライカピン16の中心部には、挿入されるパワー駆動軸DSの形状に対応した例えば六角形状の孔部16dが形成されている。この孔部16dは、矢印X1、X2方向に沿って延びるスプラインとして機能し、自動でリクライニング調整行う際に電動モータ等の駆動源の駆動軸である断面が六角形状のパワー駆動軸DSが挿入された際に強固なスプライン嵌め合いを実現する。つまり、パワー駆動軸DSとストライカピン16は、一体的に回転可能である。
【0059】
また、ストライカピン16の外周面には、中間部材14Rに形成された、第一の係合部50(長片凸部50aおよび短片凸部50b)と係合可能な第二の係合部56(長片凹部56a、短片凹部56b)が形成されている。
図11の場合、長片凹部56a、短片凹部56bは、長片凸部50aおよび短片凸部50bに対応して対向位置(180°離れた位置)に形成されている。長片凹部56aの幅x4および短片凹部56bの幅x5は、対応する長片凸部50aの幅x2のおよび短片凸部50bの幅x3と同様または僅かに広く形成されている。つまり、ストライカピン16と中間部材14Rとは、
図7に示されるように係合し、一体的に回転可能である。
【0060】
ストライカピン16の外周面に形成された径方向外側に突出するフランジ部16cは、
図7、
図12に示されるように、中間部材14Rと一対のウエッジ14a,14bをストライカピン16の回転方向と直交する方向(
図11の紙面表裏方向、X2方向)に支持する。つまり、中間部材14Rおよびウエッジ14a,14bが矢印X1方向に脱落することを抑制し、楔動作が安定的に行えるようにしている。
【0061】
このように構成される楔機構の動作を
図13~
図17を参照して説明する。
【0062】
まず、偏心関係にある第一の歯車12と第二の歯車18とが、楔機構による楔効果(楔打ち)により、がたつくことなく(必要以上の隙間が形成されることなく)スムーズに偏心回転可能な状態に維持されることを説明する。
【0063】
前述したように、ウエッジ14aおよびウエッジ14bは、ウエッジスプリング20(
図7参照、
図13では図示を一部省略)によって離反方向(矢印+WS方向、-WS方向)に付勢されている。つまり、ウエッジ14a,14bの外周辺部54bは接触する中間部材14Rの楔案内部52a(52b)を矢印E1(E2)方向に押圧する。その結果、中間部材14Rを矢印Y1方向に押し上げる。したがって、
図14に示されるように、第二の歯車18の筒状部18aに配置された中間部材14R(外周面14Rb)が第二の歯車18(筒状部18aの内面)を矢印Y1方向に付勢し押し上げる。
【0064】
同様に、ウエッジ14a,14bの内周辺部54aは、
図13に示されるように、接触するストライカピン16の第1筒状部16aを矢印F1,F2方向に押圧する。その結果、ストライカピン16を矢印Y2方向に押し下げる。したがって、
図15に示されるように、第一の歯車12の筒状部12aに配置されたストライカピン16(第2筒状部16b)が第一の歯車12(筒状部12a)を矢印Y2方向に付勢する。
【0065】
その結果、
図16に示されるように、第一の歯車12が、Y1方向に付勢されている第二の歯車18に対して矢印Y2方向に付勢され、第一の歯車12の第1内歯38aと第二の歯車18の第1外歯40aとが、例えば、範囲G1-G2の間で隙間を生じることなく(がたつくことなく)噛合状態を維持することができる。
【0066】
このように構成されるリクライニング装置10の楔機構において、シートバック104に大きな荷重が入力される場合を考える。例えば、リクライニング装置10をマニュアル操作する際に自動的にシートバック104を前方に起き上がらせるためのスパイラルスプリングSS(
図1参照)による荷重が楔機構に入力されている場合である。
【0067】
まず、比較例として、仮に、中間部材14Rを介さず、第一の歯車12と一体的に動作するストライカピン16と第二の歯車18との間にウエッジ14a,14bが存在している場合を考える。この場合、スパイラルスプリングSSの付勢力により第一の歯車12が付勢方向に基づく方向に押し上げられ軸ずれを起こす場合がある。その結果、第一の歯車12が第二の歯車18から離間方向に移動し、噛合部分に隙間(がた)が生じてしまう場合がある。また、第一の歯車12およびストライカピン16がウエッジ14a,14bを介して、第二の歯車18を付勢してしまう。その結果、例えば、スパイラルスプリングSSの付勢力が付与されている場合に、第一の歯車12とともにストライカピン16が回動しようとした場合、ウエッジ14bの内周面側と接触しているストライカピン16との間の摩擦力およびウエッジ14bの外周側と接触している第二の歯車18との間の摩擦力が増加し、ウエッジ14bが動けなくなる場合がある。その結果、ウエッジスプリング20の付勢力で、ウエッジ14aとウエッジ14bとの間を離間させて、例えば、ウエッジ14bを時計回り方向に押し込み楔効果を発揮できなくなる。この場合、ストライカピン16が回転してもウエッジ14aとウエッジ14bとの間隔が詰まるのみとなる。このように、スパイラルスプリングSSの付勢力により、ウエッジ14bによる楔効果が発生し難い状況が生じるため、第一の歯車12と第二の歯車18との噛合部分に隙間が生じ易く、第二の歯車18(シートクッション102)側に第一の歯車12(シートバック104)側とがしっかりとロックされない。つまり、第一の歯車12と第二の歯車18の噛合部分で、がたつきが生じてしまう可能性がある。そのため、例えば、シートバック104に手を添えて押した場合に、第一の歯車12と第二の歯車18によってロックされている(十分に噛合している)はずであるにも拘わらず、容易にシートバック104が第一の歯車12と第二の歯車18の噛合部分のがた量に対応する角度で揺動してしまうことがある。
【0068】
一方、本実施形態のリクライニング装置10(リクライニング機構)の場合、上述したように、第一の歯車12と一体的に回動するストライカピン16と、当該ストライカピン16と一体的に回動可能な中間部材14Rとの間にウエッジ14aおよびウエッジ14bが配置されている。この構造の場合、スパイラルスプリングSSの付勢力が付与されている場合、第一の歯車12とともにストライカピン16が回動しようとし、ウエッジ14a(14b)の内周側とストライカピン16との接触部分の摩擦力が増加する。同様に、ウエッジ14a(14b)の外周側と中間部材14Rとの接触部分の摩擦力が増加する。しかしながら、ストライカピン16、中間部材14R、ウエッジ14a,14bとは、同時に回転可能であるので、ウエッジ14aとウエッジ14bとの間に隙間は維持される(相対位置関係が維持される)。つまり、楔機能が維持され、
図16で示したように、第一の歯車12と第二の歯車18との噛合状態(ロック状態)が維持されたままとなるので、シートバック104に手を添えて押した場合でもシートバック104が揺動することを抑制することができる。
【0069】
なお、駆動源を動作させたパワー駆動が実行された場合、駆動源の動作によりパワー駆動軸DSが回動するとともに、スプライン嵌合しているストライカピン16が回動する。パワー駆動軸DSが例えば時計回り方向に回動する場合、ストライカピン16がウエッジ14aを回転方向に引っぱるとともに、ウエッジ14aが中間部材14Rを回転方向に引っぱり回転させる。このとき、ウエッジ14aがウエッジスプリング20を押し、さらにウエッジ14bを押す。つまり、ストライカピン16と中間部材14Rとでウエッジ14bを動かし、楔機能を実現させる。この場合、ウエッジスプリング20の付勢力によるウエッジ14aとウエッジ14bとの間に間隔を維持した状態(第一の歯車12と第二の歯車18との噛合(ロック)状態を維持した状態)のままストライカピン16、中間部材14R、ウエッジ14a、ウエッジ14bが一体的に回動する。
【0070】
このとき、第一の歯車12の第1内歯38aの第1歯数と第1外歯40aの第2歯数が前述したように、例えば、一歯分ずれているため、ストライカピン16が一回転する間に第1内歯38aと第1外歯40aとのかみ合わせが一歯分ずれながら、第一の歯車12と第二の歯車18とが偏心回転を開始する。つまり、パワー駆動軸DSの正転駆動により、第一の歯車12を正転方向に偏心回転させて、シートバック104のリクライニング角度を調整が実行される。同様に、パワー駆動軸DSが逆転駆動(反時計回り方向に駆動)すると、第一の歯車12と第二の歯車18との噛合(ロック)状態を維持した状態でストライカピン16、中間部材14R、ウエッジ14a、ウエッジ14bが一体的に回動する。その結果、パワー駆動軸DSの逆転駆動により、第一の歯車12を逆転方向に偏心回転させて、シートバック104のリクライニング角度を逆方向に調整することができる。
【0071】
このように、ストライカピン16、中間部材14R、ウエッジ14a、ウエッジ14bが相対位置関係を維持したまま一体的に回動し、第一の歯車12と第二の歯車18との噛合(ロック)状態を維持した状態のままで、第一の歯車12は第二の歯車18に対して偏心回転するため、スムーズな角度調整が実行される。
【0072】
このように本実施形態のリクライニング装置10によれば、スパイラルスプリングSS等による付勢力による負荷(荷重)がシートバック104(シートバックフレーム104a)入力されている場合でも、楔機構を十分に機能させて、噛合する第一の歯車12と第二の歯車18との噛合部分に隙間が生じないようにすることができる。つまり、シートバック104のがたつきを抑制することができる。また、シートバック104(シートバックフレーム104a)にがたつきを生じさせることなくスムーズな角度調整を実現するができる。
【0073】
なお、上述した実施形態の場合、シートバック104(シートバックフレーム104a)に入力される負荷(荷重)の原因として、マニュアル動作時にシートバック104を前方に自動的に起き上がらせるための付勢力を発生するスパイラルスプリングSSである場合を示した。他の例では、例えば、体重の重い利用者がシートバック104にもたれかかり大きな負荷が入力される場合でもストライカピン16、中間部材14R、ウエッジ14a、ウエッジ14bが一体的に回動可能であり、スパイラルスプリングSSの付勢力が入力されている場合と同様に、第一の歯車12と第二の歯車18との噛合(ロック)状態を維持することが可能となり、同様の効果を得ることができる。
【0074】
なお、上述した実施形態では、第一の歯車12をシートバックフレーム104a(シートバック104)側に接続し、第二の歯車18をシートクッションフレーム102a(シートクッション102)側に接続する例を示した。別の実施形態では、第二の歯車18をシートバックフレーム104a(シートバック104)側に接続し、第一の歯車12をシートクッションフレーム102a(シートクッション102)側に接続してもよく、同様の効果を得ることができる。また、上述した実施形態では、ストライカピン16(駆動ピン)を第一の歯車12の筒状部12a(第一の中心穴)に挿入し、中間部材14Rを第二の歯車18の筒状部18a(第二の中心穴)に挿入する構造を説明した。別の実施形態では、ストライカピン16を第二の歯車18側に挿入し、中間部材14Rを第一の歯車12側に挿入する構造でもよく、同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、上述した実施形態では、車両用のリクライニング可能なシートに適用するリクライニング装置10を示したが、車両用のシートに限定されるものではない。例えば、飛行機用のシート、船舶用のシート、各種アトラクションで用いられるシート等、駆動源による動力を用いてリクライニングさせることができるシートであれば、本実施形態のリクライニング装置10が適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0076】
本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
10…リクライニング装置、12…第一の歯車、14,14a,14b…ウエッジ、14R…中間部材、16…ストライカピン(駆動ピン)、18…第二の歯車、18A…第一の面、18B…第二の面、22…カムプレート、24…カムリング(カム部材)、26…ロック部材、28…ロアアーム(ガイド部材)、30…外周リング、38a…第1内歯、38b…第2内歯、40a…第1外歯、40b…第2外歯、102…シートクッション、102a…シートクッションフレーム、104…シートバック、104a…シートバックフレーム、D…パワー駆動機構、DS…パワー駆動軸、LR…リクライニングロック解除レバー、M…マニュアル駆動機構、MS…マニュアル操作軸。