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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】降車支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021067293
(22)【出願日】2021-04-12
(65)【公開番号】P2022162438
(43)【公開日】2022-10-24
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 正穂
(72)【発明者】
【氏名】竹内 宏次
(72)【発明者】
【氏名】徳田 将則
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/082370(WO,A1)
【文献】特開平04-062283(JP,A)
【文献】特開2018-134887(JP,A)
【文献】特開2010-196377(JP,A)
【文献】特開2018-193031(JP,A)
【文献】特開2020-037813(JP,A)
【文献】米国特許第10086833(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0369016(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60J 5/00 - 5/14
G08B 23/00 - 31/00
G08B 19/00 - 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲に存在する物標を検出し、当該検出された物標に関する情報を物標情報として取得する物標情報取得装置と、
車内の乗員を撮像し、当該撮像された乗員に関する情報を撮像情報として取得する撮像装置と、
停車中に前記車両の乗員の安全な降車を阻害する可能性がある阻害物標が存在するか否かを前記物標情報に基づいて判定し、前記阻害物標が存在すると判定した場合に前記乗員の安全な降車を支援する降車支援制御を実行可能な制御ユニットと、
を備えた降車支援装置において、
前記制御ユニットは、
前記阻害物標が人であるか否かを判定し、
前記阻害物標が人であると判定した場合には前記降車支援制御を実行せず
前記阻害物標が人ではないと判定した場合、前記撮像情報に基づいて前記乗員に降車意図があるか否かを判定し、
前記阻害物標が存在すると判定された側のドアからの降車意図があると判定したときは、前記降車支援制御を実行し、
前記阻害物標が存在すると判定された側のドアからの降車意図がないと判定したときは、前記降車支援制御を実行しない、
ように構成された、
降車支援装置。
【請求項2】
車両の周囲に存在する物標を検出し、当該検出された物標に関する情報を物標情報として取得する物標情報取得装置と、
停車中に前記車両の乗員の安全な降車を阻害する可能性がある阻害物標が存在するか否かを前記物標情報に基づいて判定し、前記阻害物標が存在すると判定した場合に前記乗員の安全な降車を支援する降車支援制御を実行可能な制御ユニットと、
を備えた降車支援装置において、
前記制御ユニットは、
前記阻害物標が人であるか否かを判定し、
前記阻害物標が人であると判定した場合には前記降車支援制御を実行せず、
前記阻害物標が人ではないと判定した場合、前記車両が備える複数のドアのそれぞれが開状態にあるか否かを判定し、
前記阻害物標が存在すると判定された側のドアが開状態にあると判定したときは、前記降車支援制御を実行し、
前記阻害物標が存在すると判定された側のドアが閉状態にあると判定したときは、前記降車支援制御を実行しない、
ように構成された、
降車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、降車支援制御を実行可能な降車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、停車中に車両の乗員の安全な降車を阻害する可能性がある阻害物標が検出された場合に、乗員に警報したりドアの開放の度合いを制限したりする制御である降車支援制御を実行する降車支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-8576号公報
【発明の概要】
【0004】
降車支援制御が実行されることにより、ドア又は乗員が阻害物標と接触してしまう可能性を低減することができる。しかしながら、その一方で、降車支援制御が不要な場面にも関わらず当該制御が実行されると、乗員に煩わしさを与えたり乗員の安全な降車を却って妨げたりする可能性がある。ここで、「降車支援制御が不要な場面」とは、例えば、実際には阻害物標には該当しない物標が誤って阻害物標として検出されるような場面である。このため、降車支援制御の不要作動を抑制して当該制御の信頼性を向上させることが求められている。
【0005】
本発明は、上述した問題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、降車支援制御の不要作動を抑制することが可能な降車支援装置を提供することにある。
【0006】
本発明による1つ目の降車支援装置(以下、「第1発明装置」と称する。)は、
車両の周囲に存在する物標を検出し、当該検出された物標に関する情報を物標情報として取得する物標情報取得装置(12)と、
車内の乗員を撮像し、当該撮像された乗員に関する情報を撮像情報として取得する撮像装置(114)と、
停車中に前記車両の乗員の安全な降車を阻害する可能性がある阻害物標が存在するか否かを前記物標情報に基づいて判定し、前記阻害物標が存在すると判定した場合に前記乗員の安全な降車を支援する降車支援制御を実行可能な制御ユニット(110)と、
を備える。
前記制御ユニット(110)は、
前記阻害物標が人であるか否かを判定し(ステップ330)、
前記阻害物標が人であると判定した場合(ステップ330:Yes)には前記降車支援制御を実行せず
前記阻害物標が人ではないと判定した場合(ステップ330:No)、前記撮像情報に基づいて前記乗員に降車意図があるか否かを判定し(ステップ640)、
前記阻害物標が存在すると判定された側のドアからの降車意図があると判定したとき(ステップ640:Yes)は、前記降車支援制御を実行し(ステップ650)、
前記阻害物標が存在すると判定された側のドアからの降車意図がないと判定したとき(ステップ640:No)は、前記降車支援制御を実行しない、
ように構成されている。
【0007】
一般に、人以外の物標(例えば、車両及び自転車)は、移動中に何らかの要因(例えば、車線変更又は障害物の回避)で進路を変更すると、その後は変更後の進路に沿って移動する傾向がある。これに対し、人は、移動中に何らかの要因で進路を変更しても、状況によっては、進路変更前に通過することになっていた進路に戻るように移動する傾向がある。例えば、人は、対向物標との衝突を回避するためにすれ違おうとして進路を変更した場合、すれ違い後は、進路変更前に通過することになっていた進路に戻るように移動する傾向がある。このため、物標が人である場合、当該人は実際には阻害物標には該当しないにも関わらず、一時的な進路変更に起因して阻害物標であると誤って判定されてしまうことがある。この場合、降車支援制御が不要作動することになり好ましくない。
【0008】
加えて、一般に、人の移動速度は比較的に小さい。このため、停車中の車両の乗員によりドアが開けられた場合、人は、立ち止まったり進路を変更したりしてドア又は乗員との接触を比較的に容易に回避することができる。即ち、そもそも、人が乗員の安全な降車を阻害する可能性は比較的に低い。更に、仮に人がドア又は乗員と接触したとしても、その衝撃の規模は、人以外の物標が接触したときの衝撃の規模と比較して格段に小さい。
【0009】
そこで、第1発明装置は、阻害物標が人であるか否かを判定し、阻害物標が人であると判定した場合には降車支援制御を実行しないように構成されている。この構成によれば、降車支援制御の不要作動を抑制でき、当該制御の信頼性を向上させることができる。別言すれば、第1発明装置は、乗員の安全な降車を阻害する可能性が比較的に低い物標(即ち、人)にまで降車支援制御を実行することよりも、当該制御の不要作動を抑制することを優先している。加えて、第1発明装置は、乗員の降車意図の有無を撮像情報に基づいて判定する。撮像情報を用いることにより降車意図の有無を正確に判定できる。このため、撮像情報に基づいて降車意図があると判定したときにのみ降車支援制御を実行することにより、降車支援制御の信頼性を向上させることができる。
【0014】
本発明による2つ目の降車支援装置(以下、「第2発明装置」と称する。)は、
車両の周囲に存在する物標を検出し、当該検出された物標に関する情報を物標情報として取得する物標情報取得装置(12)と、
停車中に前記車両の乗員の安全な降車を阻害する可能性がある阻害物標が存在するか否かを前記物標情報に基づいて判定し、前記阻害物標が存在すると判定した場合に前記乗員の安全な降車を支援する降車支援制御を実行可能な制御ユニット(110)と、
を備える。
前記制御ユニット(110)は、
前記阻害物標が人であるか否かを判定し(ステップ330)、
前記阻害物標が人であると判定した場合(ステップ330:Yes)には前記降車支援制御を実行せず、
前記阻害物標が人ではないと判定した場合、前記車両が備える複数のドアのそれぞれが開状態にあるか否かを判定し、
前記阻害物標が存在すると判定された側のドアが開状態にあると判定したときは、前記降車支援制御を実行し、
前記阻害物標が存在すると判定された側のドアが閉状態にあると判定したときは、前記降車支援制御を実行しない、
ように構成されている。
【0015】
第2発明装置は、阻害物標が人であるか否かを判定し、阻害物標が人であると判定した場合には降車支援制御を実行しないように構成されている。この構成によれば、降車支援制御の不要作動を抑制でき、当該制御の信頼性を向上させることができる。別言すれば、第2発明装置は、乗員の安全な降車を阻害する可能性が比較的に低い物標(即ち、人)にまで降車支援制御を実行することよりも、当該制御の不要作動を抑制することを優先している。加えて、第2発明装置は、乗員の降車意図の有無をドアの開閉状態に基づいて判定する。ドアが閉状態にあると判定した場合、少なくとも現時点では当該ドアは開けられていないため、降車行為は行われていないと考えられる。このため、ドアの開閉状態に基づいて降車意図があると判定したときにのみ降車支援制御を実行することにより、降車支援制御の信頼性を向上させることができる。
【0016】
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成要件に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る降車支援装置(第1実施装置)の概略構成図である。
図2】第1実施装置が備えるレーダセンサの立体物検出範囲を示すとともに、歩行者Aと歩行者Bとが衝突を回避するためにすれ違おうとしている場面を示す図である。
図3】第1実施装置の降車支援ECUのCPUが実行するルーチンを示すフローチャートである。
図4】第1実施形態の変形例に係る降車支援装置が備えるレーダセンサの立体物検出範囲を示す図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る降車支援装置(第2実施装置)の概略構成図である。
図6】第2実施装置の降車支援ECUのCPUが実行するルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
(構成)
以下、本発明の第1実施形態に係る降車支援装置(以下、「第1実施装置」とも称する。)について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、第1実施装置は、降車支援ECU10、及び、これに接続された車速センサ11、レーダセンサ12、ドア開閉センサ13、サイドミラーインジケータ20、メーターパネル21、ブザー22、及び、スピーカ23を備える。降車支援ECU10は、マイクロコンピュータを主要部として備える。ECUは、Electronic Control Unitの略である。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM及びインターフェース(I/F)等を含み、CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。以下では、第1実施装置が搭載された車両を「自車両」と称する。
【0019】
降車支援ECU10は、上記センサ11乃至13が発生又は出力する信号を所定の時間が経過する毎に取得し、取得した信号に基づいて要素(装置)20乃至23を制御するように構成されている。以下では、降車支援ECU10を、単に「ECU10」とも称する。
【0020】
車速センサ11は、自車両の走行速度(以下、「車速」と称する。)に応じた信号を発生する。ECU10は、車速センサ11が発生した信号を取得し、当該信号に基づいて車速を演算する。車速がゼロの場合、ECU10は、自車両が停止状態にある(以下、「停車中にある」とも称する。)と判定する。
【0021】
レーダセンサ12(物標情報取得装置)は、自車両の周囲に存在する立体物(物標)に関する情報を取得する機能を有している。立体物は、移動物(歩行者、自転車、車両等)及び固定物(ガードレール、側壁、中央分離帯、街路樹等)を含む。なお、移動物は、移動可能な物体を意味しており、移動中の物体のみを意味するものではない。
【0022】
図2に示すように、レーダセンサ12は、自車両Vの左後方角部に設けられた左レーダセンサ12laと、自車両Vの右後方角部に設けられた右レーダセンサ12raと、を含む。レーダセンサ12は、ミリ波帯の電波を自車両の周囲に照射する。具体的には、左レーダセンサ12laは、自車両の後側方の左側領域Rlaを含む範囲に電波を照射し、右レーダセンサ12raは、自車両の後側方の右側領域Rraを含む範囲に電波を照射する。左側領域Rla及び右側領域Rraは、何れも自車両Vから後方に離間するにつれて車幅外側方向及び車幅内側方向に長くなる形状となっている。なお、図2では、説明の便宜上、領域Rla及びRraの自車両Vに対する比率等は変更して図示されている。
【0023】
レーダセンサ12は、立体物が電波の照射範囲内に存在する場合、その立体物からの反射波を受信する。レーダセンサ12は、電波の照射タイミングと受信タイミングと等に基づいて、立体物の有無、及び、自車両と立体物との相対関係(自車両から立体物までの距離、自車両に対する立体物の方位、及び、自車両に対する立体物の相対速度等)を演算する。別言すれば、レーダセンサ12は、自車両の周囲に存在する立体物を検出する。加えて、レーダセンサ12は、立体物が存在する場合、当該立体物からの電波の反射強度を取得する。レーダセンサ12は、領域Rla及びRraに存在する立体物に関するこれらの情報を物標情報としてECU10に出力する。
【0024】
なお、レーダセンサ12は、自車両の後側方だけでなく後方にも電波を照射してもよい。加えて、レーダセンサ12として、ブラインドスポットモニタ制御に使用されるセンサが使用されてもよい。ブラインドスポットモニタ制御は、後方から自車両に接近する車両(特に、サイドミラーでは確認し難い領域に存在する車両)を検出した場合に自車両の運転者に注意喚起する制御である。
【0025】
更に、第1実施装置は、ECU10に接続されたカメラセンサ(図示省略)を備えていてもよい。カメラセンサは、領域Rla及びRraの風景を撮影し、撮影した画像データに基づいて、立体物の有無、自車両と立体物との相対関係、及び、立体物が人であるか否かを示す情報を演算し、当該情報を物標情報としてECU10に出力する。ECU10は、レーダセンサ12による物標情報とカメラセンサによる物標情報とを融合して後述する後方接近物標を検出してもよい。
【0026】
図1に戻って説明を続ける。ドア開閉センサ13は、自車両が有する複数のドア(より詳細には、サイドドア)のそれぞれに設けられている。ドア開閉センサ13は、ドアの開閉状態を検出する。ドア開閉センサ13は、ドアが開状態にあることを検出した場合、開状態が検出されている期間中、当該ドアが開状態にあることを示す開信号を発生する。ドア開閉センサ13は、ドアが閉状態にあることを検出した場合、閉状態が検出されている期間中、当該ドアが閉状態にあることを示す閉信号を発生する。ECU10は、これらのドア開閉センサ13のそれぞれが開信号及び閉信号の何れを発生しているかを検出し、その検出結果に基づいて、そのドア開閉センサ13に対応するドアが開状態であるのか閉状態であるのかを検出する。
【0027】
サイドミラーインジケータ20は、自車両の左右のサイドミラーのそれぞれの所定の位置に設けられており、互いに独立して点灯したり消灯したりすることができる。メーターパネル21は、自車両の運転席の正面(運転者が視認可能な位置)に設けられている。ブザー22は、メーターパネル21に内蔵されている。スピーカ23は、ナビゲーションシステム(図示省略)の構成要素であり、図示しないタッチパネルディスプレイの近傍に設けられている。
【0028】
(作動の詳細)
第1実施装置は、自車両の停車中に乗員の安全な降車を支援する降車支援制御を実行可能に構成されている。本実施形態では、降車支援制御として警報制御(後述)が実行される。以下、詳細に説明する。
【0029】
ECU10は、以下の条件1乃至条件3の全てが成立した場合、警報制御を実行する。
(条件1)自車両が停止状態にある。
(条件2)後方接近物標(後述)が検出されている。
(条件3)検出された後方接近物標が人以外の移動物である(後述)。
【0030】
まず、条件1について説明する。条件1の成立可否は、車速センサ11から取得される車速に基づいて判定され得る。
【0031】
次に、条件2について説明する。後方接近物標とは、自車両に後方から接近して乗員の安全な降車を阻害する可能性がある移動物を意味する。ECU10は、以下のようにして後方接近物標を検出する。即ち、ECU10は、レーダセンサ12から取得される物標情報に基づいて左側領域Rla又は右側領域Rraに立体物が存在すると判定した場合、当該立体物が自車両に衝突又は最接近するまでに要すると予測される時間である衝突予測時間(TTC: Time To Collision)を演算する。TTCは、立体物が仮想線Lに交差するまでの時間(別言すれば、立体物の速度ベクトルと仮想線Lとの交点に立体物が到達するまでの時間)として規定され、物標情報に基づいて演算され得る。より詳細には、図2に示すように、仮想線Lは、左側仮想線Llと、右側仮想線Lrと、を含む(破線参照)。左側仮想線Llは、自車両Vの左後方角部を通り車幅外側(左側)方向に延びており、その長さは、当該左後方角部における左側領域Rlaの車幅方向の長さに略等しい。右側仮想線Lrは、自車両Vの右後方角部を通り車幅外側(右側)方向に延びており、その長さは、当該右後方角部における右側領域Rraの車幅方向の長さに略等しい。或る立体物の速度ベクトルが仮想線Lと交差しない場合、TTCは演算され得ず、従って、当該立体物は後方接近物標としては検出されない(後方接近物標に該当しない。)。なお、後方接近物標は、「阻害物標」の一例に相当する。
【0032】
ECU10は、立体物が左側仮想線Llと交差するときのTTCが所定の時間閾値TTCth以下である場合、当該立体物は乗員が左側のドアから安全に降車することを阻害する可能性があると判定し、当該立体物を左側のドアに対する後方接近物標として検出する。一方、ECU10は、立体物が右側仮想線Llと交差するときのTTCが時間閾値TTCth以下である場合、当該立体物は乗員が右側のドアから安全に降車することを阻害する可能性があると判定し、当該立体物を右側のドアに対する後方接近物標として検出する。
【0033】
続いて、条件3について説明する。ECU10は、物標情報に基づいて、検出された後方接近物標が人であるか否かを判定する。具体的には、ECU10は、後述する速度条件及び反射強度条件が何れも成立した場合、後方接近物標が人であると判定し、これらの条件の少なくとも一方が成立しない場合、後方接近物標が人以外の移動物であると判定する。速度条件とは、物標情報に含まれる後方接近物標の速度が所定の速度閾値以下の場合に成立する条件である。反射強度条件とは、物標情報に含まれる後方接近物標の反射強度が所定の強度閾値以下であり、且つ、反射強度の経時的な推移にゆらぎが検出される場合に成立する条件である。この判定方法によれば、自転車(厳密には、自転車及びこれとともに移動している人)は人とは判定されない。なお、後方接近物標が人であるか否かの判定方法はこれに限られない。例えば、ECU10は、速度条件又は反射強度条件の何れか一方が成立した場合に後方接近物標が人であると判定するように構成されてもよい。
【0034】
また、反射強度条件の成立可否は、ECU10の代わりにレーダセンサ12により判定されてもよい。
【0035】
次いで、警報制御について説明する。警報制御は、通常警報制御と、軽度警報制御と、を含む。ECU10は、通常警報制御として以下の処理1乃至処理4を行い、軽度警報制御として処理1のみを行う。即ち、軽度警報制御は、通常警報制御よりも軽度の警報を行う(別言すれば、軽度警報制御は、通常警報制御よりも支援の程度が軽度である。)。
(処理1)後方接近物標が検出された側のサイドミラーインジケータ20を点灯させる。
(処理2)メーターパネル21に所定のマーク(例えば、後方接近物標が左後方又は右後方の何れの方向から接近しているのかを明示するマーク)を表示させる。
(処理3)ブザー22を鳴動させる。
(処理4)スピーカ23に所定のメッセージ(例えば、「接近車両にご注意下さい」とのメッセージ)を発話させる。
【0036】
ECU10は、条件1乃至条件3が全て成立した場合において後方接近物標が検出された側のドアが開状態のとき、警報制御として通常警報制御を実行する。一方、ECU10は、条件1乃至条件3が全て成立した場合において後方接近物標が検出された側のドアが閉状態のとき、警報制御として軽度警報制御を実行する。通常警報制御は、「通常降車支援制御」の一例に相当し、軽度警報制御は、「軽度降車支援制御」の一例に相当する。なお、軽度警報制御として行われる処理は処理1に限られない。軽度警報制御は、乗員に直接的な煩わしさ(例えば、音)を与える可能性が低い処理であればその内容は問わない(例えば、処理2が行われてもよい。)。
【0037】
後方接近物標が検出された側のドアが開状態の場合、乗員は当該ドアから降車しようとする可能性が高いと考えられる。このため、当該ドアが開状態の場合は通常警報制御を実行することにより乗員に後方接近物標の存在を適切に報知することが可能となり、結果として、乗員が安全に降車できる可能性が高くなる。一方、後方接近物標が検出された側のドアが閉状態の場合、乗員が当該ドアから降車しようとしているか否かを判別できない。別言すれば、乗員に降車意図はあるものの現時点では当該ドアを開けていないだけという可能性、及び、乗員に降車意図はなく当該ドアは引き続き閉状態に維持されるという可能性、の両方が考えられる。このため、当該ドアが閉状態の場合は軽度警報制御を実行することにより、「降車意図がある乗員には前もって後方接近物標の存在を報知しておくこと」と、「降車意図がない乗員には通常警報制御が実行されることに起因した煩わしさを与えないこと」と、を両立させることができる。
【0038】
これに対し、ECU10は、条件1乃至条件3の少なくとも1つが成立しない場合、警報制御を実行しない。条件1が成立しない場合とは、自車両が走行状態にある場合である。この場合、乗員が降車行為を行わないことは明白であるため、警報制御は実行されない。条件2が成立しない場合とは、後方接近物標が検出されていない場合である。この場合、警報制御の対象が存在しないため、警報制御は実行されない。条件3が成立しない場合とは、後方接近物標が人である場合である。この場合に警報制御が実行されない理由について図2を参照して具体的に説明する。
【0039】
図2は、y軸方向に歩行していた歩行者Aと-y軸方向に歩行していた歩行者Bとが衝突を回避するためにすれ違おうとしている場面を例示した図である。歩行者A及びBは、相手歩行者とすれ違うために何れも進行方向に対して右側に進路を変更している(矢印参照)。一般に、歩行者同士がすれ違う場合、このように一旦進路を変更して互いに相手歩行者を避けた後、再度x軸方向におけるすれ違い前の位置まで戻りつつ元の進行方向に進路を戻す。このため、歩行者Aは歩行者Bとすれ違った後は、再度x軸方向におけるすれ違い前の位置まで戻りつつy軸方向に進路を戻すと考えられる。なお、±x軸方向は、車幅方向又は右左方向に相当し、±y軸方向は、自車両Vの前後方向に相当する。また、すれ違いに伴う歩行者の振る舞いは、相手が歩行者の場合に限られず、その他の立体物の場合においても同様である。
【0040】
ここで、図2に示す歩行者Aと仮想線L(特に、左側仮想線Ll)の位置関係から明らかなように、歩行者Aは、たとえ左側領域Rlaにおいて検出されても、y軸方向に歩行している限り後方接近物標として検出されることはない。歩行者Aの速度ベクトルが仮想線Lと交差することはないからである。しかしながら、歩行者Aが歩行者Bとすれ違うために一時的に進路を変更してその速度ベクトルが仮想線L(この例では、左側仮想線Ll)と交差すると、歩行者AはTTCの演算対象となり、当該TTCがTTCth以下の場合、後方接近物標として検出されて警報制御が実行されることになる。この警報制御は、歩行者Aが元の進行方向に進路を戻し始めてその速度ベクトルが仮想線Lと交差しなくなるまで継続する。なお、歩行者Bは仮想線Lから離間する方向に歩行しているため、左側領域Rlaにて検出されてもTTCの演算対象外である。
【0041】
即ち、上記の例によれば、歩行者Aのように実際には後方接近物標に該当しない移動物であっても、すれ違い等で一時的に進路を変更することに起因して後方接近物標として誤って検出され、不要な警報制御が作動する可能性がある。不要な警報制御は乗員を困惑させたり煩わしさを与えたりするため、好ましくない。
【0042】
また、一般に、人の移動速度は比較的に小さい。このため、停車中の車両の乗員によりドアが開けられた場合、人は、立ち止まったり進路を変更したりしてドア又は乗員との接触を比較的に容易に回避することができる。即ち、そもそも、人が乗員の安全な降車を阻害する可能性は比較的に低い。更に、仮に人がドア又は乗員と接触したとしても、その衝撃の規模は、人以外の移動物(典型的には、車両)が接触したときの衝撃の規模と比較して格段に小さい。
【0043】
そこで、ECU10は、後方接近物標が人である場合(条件3が成立しない場合)、警報制御を実行しないように構成されている。この構成によれば、不要な警報制御が実行される頻度を大幅に低減することができ、警報制御の信頼性を向上させることができる。
【0044】
(具体的作動)
続いて、ECU10の具体的作動について説明する。ECU10のCPUは、ECU10に電源が供給されている期間中(後述)、所定時間が経過する毎に図3にフローチャートにより示したルーチンを繰り返し実行するように構成されている。
【0045】
所定のタイミングになると、CPUは、図3のステップ300から処理を開始してステップ310に進み、車速センサ11から取得した車速に基づいて自車両が停止状態にあるか否かを判定する(条件1)。自車両が走行状態にある場合、CPUは、ステップ310にて「No」と判定し(即ち、条件1が成立しないと判定し)、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。即ち、警報制御を実行しない。一方、自車両が停止状態にある場合、CPUは、ステップ310にて「Yes」と判定し(即ち、条件1が成立すると判定し)、ステップ320に進む。
【0046】
ステップ320では、CPUは、レーダセンサ12から取得した物標情報に基づいて後方接近物標が検出されたか否かを判定する(条件2)。後方接近物標が検出されていない場合、CPUは、ステップ320にて「No」と判定し(即ち、条件2が成立しないと判定し)、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。即ち、警報制御を実行しない。一方、後方接近物標が検出された場合、CPUは、ステップ320にて「Yes」と判定し(即ち、条件2が成立すると判定し)、ステップ330に進む。
【0047】
ステップ330では、CPUは、物標情報に基づいて、検出された後方接近物標が人であるか否かを判定する(条件3)。後方接近物標が人以外の移動物である場合、CPUは、ステップ330にて「No」と判定し(即ち、条件3が成立すると判定し)、ステップ340に進む。
【0048】
ステップ340では、CPUは、ドア開閉センサ13から取得した信号に基づいて、後方接近物標が検出された側のドアが開状態であるか否かを判定する。当該ドアが開状態である場合、CPUは、ステップ340にて「Yes」と判定し、ステップ350にて通常警報制御(処理1乃至処理4)を実行する。その後、CPUは、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。一方、当該ドアが閉状態である場合、CPUは、ステップ340にて「No」と判定し、ステップ360にて軽度警報制御(処理1)を実行する。その後、CPUは、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0049】
これに対し、後方接近物標が人である場合、CPUは、ステップ330にて「Yes」と判定し(即ち、条件3が成立しないと判定し)、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。即ち、警報制御を実行しない。
【0050】
ECU10への電源供給は、イグニッションスイッチがオフされた後も所定の条件が成立するまで継続される。この条件は、例えば、ドアがロックされた時点で成立するように構成されてもよいし、自車両が停止してから所定の停車時間が経過した時点で成立するように構成されてもよい。この構成によれば、降車支援制御が必要な場面で当該制御が実行されないという可能性を低減でき、降車支援制御をより適切に実行できる。
【0051】
以上説明したように、第1実施装置によれば、警報制御の不要作動を抑制でき、当該制御の信頼性を向上させることができる。別言すれば、第1実施装置は、乗員の安全な降車を阻害する可能性が比較的に低い後方接近物標(即ち、人)にまで警報制御を実行することよりも、当該制御の不要作動を抑制することを優先している。
【0052】
なお、軽度警報制御を実行するか否かは、乗員(典型的には、運転者)によって切り替え可能(カスタマイズ可能)に構成されてもよい。これは、例えば、乗員がタッチパネルディスプレイ(ナビゲーションシステムの構成要素)上で軽度警報制御の実行を希望するか否かを選択することにより実現され得る。
【0053】
(変形例)
次に、図4を参照して第1実施形態の変形例に係る降車支援装置(以下、「第1変形装置」とも称する。)について説明する。以下では、第1実施装置との相違点について主に説明する(第2実施形態及びその変形例においても同様である。)。第1変形装置は、阻害物標として、後方接近物標だけではなく側方物標をも検出するように構成されている点で第1実施装置と相違している。
【0054】
具体的には、図4に示すように、第1変形装置は、レーダセンサ12として、左右のレーダセンサ12la及び12raに加え、左レーダセンサ12lb及び右レーダセンサ12rbを更に備える。左レーダセンサ12lbは、自車両Vの左側のヘッドランプ(図示省略)の下方に設けられ、右レーダセンサ12rbは、自車両Vの右側のヘッドランプ(図示省略)の下方に設けられている。左右のレーダセンサ12lb及び12rbの構成は左右のレーダセンサ12la及び12raと略同一であるため、それらの詳細な説明は省略する。左レーダセンサ12lbは、自車両の側方の左側領域Rlbを含む範囲に電波を照射し、右レーダセンサ12rbは、自車両の側方の右側領域Rrbを含む範囲に電波を照射する。左側領域Rlb及び右側領域Rrbは、何れも略矩形状となっている。なお、図4では、説明の便宜上、領域Rlb及びRrbの自車両Vに対する比率等は変更して図示されている。
【0055】
レーダセンサ12は、領域Rla、Rra、Rlb及びRrbに存在する立体物に関する情報を物標情報としてECU10に出力する。本変形例では、ECU10は、警報制御を実行するか否かを判定するに際し、条件2及び条件3に代えて、以下の条件2-2及び条件3-2の成立可否をそれぞれ判定する。
(条件2-2)後方接近物標又は側方物標(後述)が検出されている。
(条件3-2)検出された後方接近物標又は側方物標が人以外の立体物である(後述)。
【0056】
まず、条件2-2の側方物標について説明する。側方物標とは、自車両の側方に存在することにより乗員の安全な降車を阻害する可能性がある立体物を意味する。ECU10は、以下のようにして側方物標を検出する。即ち、ECU10は、レーダセンサ12から取得される物標情報に基づいて左側領域Rlbに立体物が存在すると判定した場合、その立体物は自車両の左側方に存在することにより乗員の安全な降車を阻害する可能性があると判定し、当該立体物を側方物標として検出する。同様に、ECU10は、右側領域Rrbに立体物が存在すると判定した場合、その立体物は自車両の右側方に存在することにより乗員の安全な降車を阻害する可能性があると判定し、当該立体物を側方物標として検出する。上記の説明から明らかなように、ECU10は、領域Rlb又はRrbにて検出された立体物についてはTTCを演算せず、直ちに「乗員の安全な降車を阻害する可能性がある立体物」であると判定する。なお、後方接近物標及び側方物標は、「阻害物標」の一例に相当する。
【0057】
次に、条件3-2の側方物標について説明する。ECU10は、物標情報に基づいて、検出された側方物標が人であるか否かを同様の手順で判定する。即ち、ECU10は、速度条件及び反射強度条件が何れも成立した場合、側方物標が人であると判定し、これらの条件の少なくとも一方が成立しない場合、側方物標が人以外の立体物であると判定する。
【0058】
なお、ECU10は、警報制御を実行する際は、処理1、処理2及び処理4に代えて、以下の処理1-2、処理2-2及び処理4-2を実行する。
(処理1-2)後方接近物標及び/又は側方物標が検出された側のサイドミラーインジケータ20を点灯させる。
(処理2-2)メーターパネル21に所定のマーク(例えば、後方接近物標が左後方又は右後方の何れの方向から接近しているのかを明示するマーク、及び/又は、側方物標が左側方又は右側方の何れに存在しているのかを明示するマーク)を表示させる。
(処理4-2)スピーカ23に所定のメッセージ(例えば、「接近車両にご注意下さい」及び/又は「周囲にご注意ください」とのメッセージ)を発話させる。
【0059】
この構成によっても、第1実施装置と同様の作用効果を奏することができる。加えて、後方接近物標だけではなく側方物標も警報制御の対象とすることにより、降車支援制御の信頼性が向上する。
【0060】
なお、本変形例の構成は、第1実施形態に対してだけではなく、第2実施形態及びその変形例に対しても適用され得る。
【0061】
(第2実施形態)
続いて、図5及び図6を参照して本発明の第2実施形態に係る降車支援装置(以下、「第2実施装置」とも称する。)について説明する。第2実施装置は、以下の点で第1実施装置と相違している。
・自車両の乗員を撮像可能なカメラセンサを更に備える。
・降車意図の有無を判定する。
・警報制御として通常警報制御のみを実行する。
以下、具体的に説明する。
【0062】
図5に示すように、第2実施装置は、降車支援ECU110を備える(以下、単に「ECU110」とも称する。)。ECU110は、カメラセンサ114を備える点でECU10と相違している。カメラセンサ114は、車内に設置されており、全ての乗員を撮像可能に構成されている。カメラセンサ114は、所定の時間が経過する毎に、撮像された乗員に関する情報を撮像情報としてECU110に出力する。
【0063】
ECU110は、条件1乃至条件3が全て成立した場合、撮像情報に基づいて、乗員のそれぞれについて、後方接近物標が検出された側のドアからの降車意図の有無を判定する。本実施形態では、ECU110は、乗員がドアを開けようとする行為を行っていると推定される場合に当該乗員には降車意図があると判定し、乗員がそのような行為を行っているとは推定されない場合に当該乗員には降車意図がないと判定する。なお、「ドアを開けようとする行為」とは、例えば、乗員がドアを開けるためのドア操作部(典型的には、インナーレバー又はスイッチ)を操作する行為である。
【0064】
ECU110は、或る乗員に後方接近物標が検出された側のドアからの降車意図があると判定した場合、通常警報制御を警報制御として実行する。一方、ECU110は、全ての乗員について後方接近物標が検出された側のドアからの降車意図がないと判定した場合、警報制御を実行しない。即ち、第2実施形態では、警報制御は軽度警報制御を含んでおらず、降車意図がある場合にのみ警報制御が実行されるようになっている。
【0065】
(具体的作動)
続いて、ECU110の具体的作動について説明する。ECU110のCPUは、ECU10に電源が供給されている期間中、所定時間が経過する毎に図6にフローチャートにより示したルーチンを繰り返し実行するように構成されている。図6のフローチャートは、ステップ340乃至ステップ360(図3参照)の代わりにステップ640及びステップ650が実行される点で図3のフローチャートと相違している。このため、以下では、主に相違点について説明する。
【0066】
CPUは、図6のステップ300から処理を開始する。自車両が停止状態にあり、後方接近物標が検出され、当該後方接近物標が人以外の移動物である場合、CPUは、ステップ310にて「Yes」と判定し、ステップ320にて「Yes」と判定し、ステップ330にて「No」と判定し(即ち、条件1乃至条件3が全て成立すると判定し)、ステップ640に進む。
【0067】
ステップ640では、CPUは、後方接近物標が検出された側のドアからの降車意図があるか否かを判定する。当該ドアからの降車意図がある場合、CPUは、ステップ640にて「Yes」と判定し、ステップ650にて警報制御(処理1乃至処理4)を実行する。その後、CPUは、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。一方、当該ドアからの降車意図がない場合、CPUは、ステップ640にて「No」と判定し、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。即ち、停車中に検出された後方接近物標が人以外の移動物であっても、後方接近物標が検出された側のドアからの降車意図がない場合、CPUは警報制御を実行しない。
【0068】
以上説明したように、第2実施装置は、乗員の降車意図の有無を撮像情報に基づいて判定する。撮像情報を用いることにより降車意図の有無を正確に判定できる。このため、撮像情報に基づいて降車意図があると判定したときにのみ警報制御を実行することにより、当該制御の信頼性を向上させることができる。
【0069】
(変形例)
次に、第2実施形態の変形例に係る降車支援装置(以下、「第2変形装置」とも称する。)について説明する。第2変形装置は、カメラセンサ114を備えていない点、及び、ドア開閉センサ13から取得した信号に基づいて降車意図の有無を判定する点で第2実施装置と相違している。
【0070】
具体的には、第2変形装置のECU110は、条件1乃至条件3が全て成立した場合、ドア開閉センサ13から取得した信号に基づいて、後方接近物標が検出された側のドアからの降車意図の有無を判定する。本変形例では、ECU110は、ドアが開状態の場合に当該ドアからの降車意図があると判定し、ドアが閉状態の場合に当該ドアからの降車意図はないと判定する。
【0071】
ECU110は、後方接近物標が検出された側のドアからの降車意図があると判定した場合、通常警報制御を警報制御として実行する。一方、ECU110は、後方接近物標が検出された側のドアからの降車意図がないと判定した場合、警報制御を実行しない。
【0072】
以上説明したように、第2変形装置は、乗員の降車意図の有無をドアの開閉状態に基づいて判定する。ドアが閉状態にあると判定した場合、少なくとも現時点では当該ドアは開けられていないため、降車行為は行われていないと考えられる。このため、ドアの開閉状態に基づいて降車意図があると判定したときにのみ警報制御を実行することにより、当該制御の信頼性を向上させることができる。
【0073】
以上、本実施形態に係る降車支援装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限り、種々の変更が可能である。
【0074】
例えば、上記実施形態及び変形例では降車支援制御として警報制御が実行されたが、これに限られず、例えば、ドアの開放の度合いを制限するドア開放制限制御、又は、ドアをロックするドアロック制御が降車支援制御として実行されてもよい。或いは、警報制御に加えてドア開放制限制御又はドアロック制御が実行されてもよい。この場合、例えば、通常降車支援制御として通常警報制御とドア開放制限制御(又はドアロック制御)が実行され、軽度降車支援制御として軽度警報制御が実行されるように構成され得る。
【符号の説明】
【0075】
10:降車支援ECU、11:車速センサ、12:レーダセンサ、13:ドア開閉センサ、20:サイドミラーインジケータ、21:メーターパネル、22:ブザー、23:スピーカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6