(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ステータとその製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 3/04 20060101AFI20240723BHJP
H02K 15/06 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H02K3/04 E
H02K15/06
(21)【出願番号】P 2021093206
(22)【出願日】2021-06-02
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 航平
(72)【発明者】
【氏名】松本 雅志
(72)【発明者】
【氏名】川村 葉月
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-048277(JP,A)
【文献】特開2015-109718(JP,A)
【文献】特開2001-078404(JP,A)
【文献】国際公開第2011/102150(WO,A1)
【文献】特開2004-048890(JP,A)
【文献】特開2020-205690(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0040859(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/04
H02K 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータであって、
円筒形状を有するステータコアと、
前記ステータコアに固定されたコイル、
を有し、
前記ステータコアが、前記ステータコアの軸方向の両側に配置された第1端面及び第2端面を有し、
前記ステータコアの内周面に、第1スロット、第2スロット、第3スロット、及び、第4スロットが設けられており、
前記第1スロット、前記第2スロット、前記第3スロット、及び、前記第4スロットのそれぞれが、前記軸方向に沿って前記第1端面から前記第2端面まで伸びており、
前記コイルが、第1セグメント導体、第2セグメント導体、及び、第3セグメント導体、を有し、
前記第1セグメント導体、前記第2セグメント導体、及び、前記第3セグメント導体のそれぞれが、第1線状部、第2線状部、及び、前記第1線状部と前記第2線状部とを連結する連結部を有するU字形状を備えており、
前記第1セグメント導体の前記連結部が、前記第1端面に対向する位置に配置されており、
前記第1セグメント導体の前記第1線状部が、前記第1スロット内に挿入されており、
前記第1セグメント導体の前記第2線状部が、前記第2スロット内に挿入されており、
前記第2セグメント導体の前記連結部が、前記第2端面に対向する位置に配置されており、
前記第2セグメント導体の前記第1線状部が、前記第2スロット内に挿入されており、
前記第2セグメント導体の前記第2線状部が、前記第3スロット内に挿入されており、
前記第3セグメント導体の前記連結部が、前記第1端面に対向する位置に配置されており、
前記第3セグメント導体の前記第1線状部が、前記第3スロット内に挿入されており、
前記第3セグメント導体の前記第2線状部が、前記第4スロット内に挿入されており、
前記第1セグメント導体の前記第2線状部の先端部と前記第2セグメント導体の前記第1線状部の先端部とが、前記第2スロット内で前記ステータコアの周方向に重なった状態で互いに電気的に接続されており、
前記第2セグメント導体の前記第2線状部の先端部と前記第3セグメント導体の前記第1線状部の先端部とが、前記第3スロット内で前記ステータコアの周方向に重なった状態で互いに電気的に接続されて
おり、
前記軸方向に直交する断面において、前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部と前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部との接触面が、前記ステータコアの径方向に対して傾斜しており、
前記第2スロットの側面に凸部が設けられており、
前記第2スロット内において、前記第1セグメント導体と前記第2セグメント導体によって構成されるコイル線材を含む複数のコイル線材が前記径方向に積層されており、
前記第2スロットの前記凸部と前記第2スロットの底面の間で前記複数のコイル線材が前記径方向に圧縮された状態で固定されている、
ステータ。
【請求項2】
前記ステータコアの内周面に、
前記第1スロット、
前記第2スロット、
前記第3スロット、及び、
前記第4スロットが、この順序で前記ステータコアの周方向に間隔を開けて設けられている、請求項1
に記載のステータ。
【請求項3】
前記第2スロット内において、前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部が、前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部よりも前記第3スロットに近い側に配置されており、
前記第3スロット内において、前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部が、前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部よりも前記第2スロットに近い側に配置されており、
前記第1セグメント導体の前記連結部が前記第1セグメント導体の前記第1線状部と前記第1セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が拡大する方向に弾性変形した状態で前記第1セグメント導体が前記ステータコアに固定されており、
前記第2セグメント導体の前記連結部が前記第2セグメント導体の前記第1線状部と前記第2セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が拡大する方向に弾性変形した状態で前記第2セグメント導体が前記ステータコアに固定されており、
前記第3セグメント導体の前記連結部が前記第3セグメント導体の前記第1線状部と前記第3セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が拡大する方向に弾性変形した状態で前記第3セグメント導体が前記ステータコアに固定されている、
請求項2に記載のステータ。
【請求項4】
前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部の前記第1スロット側の側面に凹部が形成されており、
前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部の前記第3スロット側の側面に凹部が形成されており、
前記第2スロット内において、前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記凹部と前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記凹部とが接触しており、
前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部の前記第2スロット側の側面に凹部が形成されており、
前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部の前記第4スロット側の側面に凹部が形成されており、
前記第3スロット内において、前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記凹部と前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記凹部とが接触している、
請求項3に記載のステータ。
【請求項5】
前記第2スロット内において、前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部が、前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部よりも前記第1スロットに近い側に配置されており、
前記第3スロット内において、前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部が、前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部よりも前記第4スロットに近い側に配置されており、
前記第1セグメント導体の前記連結部が前記第1セグメント導体の前記第1線状部と前記第1セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が縮小する方向に弾性変形した状態で前記第1セグメント導体が前記ステータコアに固定されており、
前記第2セグメント導体の前記連結部が前記第2セグメント導体の前記第1線状部と前記第2セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が縮小する方向に弾性変形した状態で前記第2セグメント導体が前記ステータコアに固定されており、
前記第3セグメント導体の前記連結部が前記第3セグメント導体の前記第1線状部と前記第3セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が縮小する方向に弾性変形した状態で前記第3セグメント導体が前記ステータコアに固定されている、
請求項2に記載のステータ。
【請求項6】
前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部の前記第3スロット側の側面に凹部が形成されており、
前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部の前記第1スロット側の側面に凹部が形成されており、
前記第2スロット内において、前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記凹部と前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記凹部とが接触しており、
前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部の前記第4スロット側の側面に凹部が形成されており、
前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部の前記第2スロット側の側面に凹部が形成されており、
前記第3スロット内において、前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記凹部と前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記凹部とが接触している、
請求項5に記載のステータ。
【請求項7】
ステータの製造方法であって、
円筒形状を有するステータコアにコイルを固定する工程を有し、
前記ステータコアが、前記ステータコアの軸方向の両側に配置された第1端面及び第2端面を有し、
前記ステータコアの内周面に、第1スロット、第2スロット、第3スロット、及び、第4スロットが設けられており、
前記第1スロット、前記第2スロット、前記第3スロット、及び、前記第4スロットのそれぞれが、前記軸方向に沿って前記第1端面から前記第2端面まで伸びており、
前記コイルが、第1セグメント導体、第2セグメント導体、及び、第3セグメント導体、を有し、
前記第1セグメント導体、前記第2セグメント導体、及び、前記第3セグメント導体のそれぞれが、第1線状部、第2線状部、及び、前記第1線状部の端部と前記第2線状部の端部とを連結する連結部を有するU字形状を備えており、
前記ステータコアに前記コイルを固定する工程は、
前記第1セグメント導体の前記連結部が前記第1端面に対向する位置に配置され、前記第1セグメント導体の前記第1線状部が前記第1スロット内に挿入され、前記第1セグメント導体の前記第2線状部が前記第2スロット内に挿入されるように前記第1セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける工程と、
前記第2セグメント導体の前記連結部が前記第2端面に対向する位置に配置され、前記第2セグメント導体の前記第1線状部が前記第2スロット内に挿入され、前記第2セグメント導体の前記第2線状部が前記第3スロット内に挿入されるように前記第2セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける工程と、
前記第3セグメント導体の前記連結部が前記第1端面に対向する位置に配置され、前記第3セグメント導体の前記第1線状部が前記第3スロット内に挿入され、前記第3セグメント導体の前記第2線状部が前記第4スロット内に挿入されるように前記第3セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける工程、
を有し、
前記ステータコアに前記コイルを固定する前記工程が、前記第1セグメント導体の前記第2線状部の先端部と前記第2セグメント導体の前記第1線状部の先端部とが前記第2スロット内で前記ステータコアの周方向に重なった状態で互いに電気的に接続され、前記第2セグメント導体の前記第2線状部の先端部と前記第3セグメント導体の前記第1線状部の先端部とが前記第3スロット内で前記ステータコアの周方向に重なった状態で互いに電気的に接続されるように実施され、
前記ステータコアに前記第1セグメント導体と前記第2セグメント導体が取り付けられた状態において、前記軸方向に直交する断面において、前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部と前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部との接触面が、前記ステータコアの径方向に対して傾斜しており、
前記第2スロットの側面に凸部が設けられており、
前記ステータコアに前記コイルを固定する前記工程では、前記第1セグメント導体と前記第2セグメント導体によって構成されるコイル線材を含む複数のコイル線材を前記第2スロット内で前記径方向に積層し、積層された前記複数のコイル線材を前記第2スロットの前記凸部と前記第2スロットの底面の間で前記径方向に圧縮した状態で固定する、
製造方法。
【請求項8】
前記ステータコアの内周面に、
前記第1スロット、
前記第2スロット、
前記第3スロット、及び、
前記第4スロットが、この順序で前記ステータコアの周方向に間隔を開けて設けられている、請求項
7に記載の
製造方法。
【請求項9】
前記ステータコアに前記コイルを固定する前記工程が、前記第2スロット内において前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部が前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部よりも前記第3スロットに近い側に配置され、前記第3スロット内において前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部が前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部よりも前記第2スロットに近い側に配置されるように実施され、
前記第1セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける前記工程では、前記第1セグメント導体の前記連結部が前記第1セグメント導体の前記第1線状部と前記第1セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が拡大する方向に弾性変形した状態で前記第1セグメント導体を前記ステータコアに取り付け、
前記第2セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける前記工程では、前記第2セグメント導体の前記連結部が前記第2セグメント導体の前記第1線状部と前記第2セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が拡大する方向に弾性変形した状態で前記第2セグメント導体を前記ステータコアに取り付け、
前記第3セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける前記工程では、前記第3セグメント導体の前記連結部が前記第3セグメント導体の前記第1線状部と前記第3セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が拡大する方向に弾性変形した状態で前記第3セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部の内側側面に凹部が形成されており、
前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部の内側側面に凹部が形成されており、
前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部の内側側面に凹部が形成されており、
前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部の内側側面に凹部が形成されており、
前記ステータコアに前記コイルを固定する前記工程が、前記第2スロット内において前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記凹部と前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記凹部とが接触し、前記第3スロット内において前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記凹部と前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記凹部とが接触するように実施される、
請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記ステータコアに前記コイルを固定する前記工程が、前記第2スロット内において前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部が前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部よりも前記第1スロットに近い側に配置され、前記第3スロット内において前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部が前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部よりも前記第4スロットに近い側に配置されるように実施され、
前記第1セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける前記工程では、前記第1セグメント導体の前記連結部が前記第1セグメント導体の前記第1線状部と前記第1セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が縮小する方向に弾性変形した状態で前記第1セグメント導体が前記ステータコアに取り付けられ、
前記第2セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける前記工程では、前記第2セグメント導体の前記連結部が前記第2セグメント導体の前記第1線状部と前記第2セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が縮小する方向に弾性変形した状態で前記第2セグメント導体が前記ステータコアに取り付けられ、
前記第3セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける前記工程では、前記第3セグメント導体の前記連結部が前記第3セグメント導体の前記第1線状部と前記第3セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が縮小する方向に弾性変形した状態で前記第3セグメント導体が前記ステータコアに取り付けられる、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項12】
前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部の外側側面に凹部が形成されており、
前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部の外側側面に凹部が形成されており、
前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部の外側側面に凹部が形成されており、
前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部の外側側面に凹部が形成されており、
前記ステータコアに前記コイルを固定する前記工程が、前記第2スロット内において前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記凹部と前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記凹部とが接触し、前記第3スロット内において前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記凹部と前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記凹部とが接触するように実施される、
請求項11に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、ステータとその製造方法に関する。
【0002】
特許文献1には、モータのステータが開示されている。ステータは、円筒形状のステータコアを有する。ステータコアの内周面に、複数のスロットが周方向に間隔を開けて設けられている。ステータコアには、コイルが固定されている。コイルは、U字形状を有する複数のセグメント導体によって構成されている。一部のセグメント導体は、ステータの一方の端部(以下、第1端部という)から対応するスロットに挿入されている。残りのセグメント導体は、ステータの他方の端部(以下、第2端部という)から対応するスロットに挿入されている。各スロット内において、第1端部からスロットに挿入されているセグメント導体の先端部と、第2端部からスロットに挿入されているセグメント導体の先端部とが、ステータコアの径方向に重なった状態で電気的に接続されている。このように、互いに電気的に接続されたセグメント導体によって、コイルが構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、特許文献1のステータでは、各スロット内において、セグメント導体の先端部どうしがステータコアの径方向に重なった状態で接続されている。したがって、ステータの製造工程において、各スロット内においてセグメント導体の先端部をステータコアの径方向に積層し、その積層部をステータコアの径方向に加圧することで、セグメント導体の先端部どうしを接続する必要がある。このため、セグメント導体の先端部の積層部を加圧するための治具や部材が必要であった。本明細書では、各スロット内においてセグメント導体の先端部どうしを容易に接続することが可能なステータを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示するステータは、円筒形状を有するステータコアと、前記ステータコアに固定されたコイルを有する。前記ステータコアが、前記ステータコアの軸方向の両側に配置された第1端面及び第2端面を有する。前記ステータコアの内周面に、第1スロット、第2スロット、第3スロット、及び、第4スロットが設けられている。前記第1スロット、前記第2スロット、前記第3スロット、及び、前記第4スロットのそれぞれが、前記軸方向に沿って前記第1端面から前記第2端面まで伸びている。前記コイルが、第1セグメント導体、第2セグメント導体、及び、第3セグメント導体を有する。前記第1セグメント導体、前記第2セグメント導体、及び、前記第3セグメント導体のそれぞれが、第1線状部、第2線状部、及び、前記第1線状部と前記第2線状部とを連結する連結部を有するU字形状を備えている。前記第1セグメント導体の前記連結部が、前記第1端面に対向する位置に配置されている。前記第1セグメント導体の前記第1線状部が、前記第1スロット内に挿入されている。前記第1セグメント導体の前記第2線状部が、前記第2スロット内に挿入されている。前記第2セグメント導体の前記連結部が、前記第2端面に対向する位置に配置されている。前記第2セグメント導体の前記第1線状部が、前記第2スロット内に挿入されている。前記第2セグメント導体の前記第2線状部が、前記第3スロット内に挿入されている。前記第3セグメント導体の前記連結部が、前記第1端面に対向する位置に配置されている。前記第3セグメント導体の前記第1線状部が、前記第3スロット内に挿入されている。前記第3セグメント導体の前記第2線状部が、前記第4スロット内に挿入されている。前記第1セグメント導体の前記第2線状部の先端部と前記第2セグメント導体の前記第1線状部の先端部とが、前記第2スロット内で前記ステータコアの周方向に重なった状態で互いに電気的に接続されている。前記第2セグメント導体の前記第2線状部の先端部と前記第3セグメント導体の前記第1線状部の先端部とが、前記第3スロット内で前記ステータコアの周方向に重なった状態で互いに電気的に接続されている。
【0006】
このステータでは、各スロット内において、各セグメント導体の先端部どうしが、ステータコアの周方向に重なった状態で互いに電気的に接続されている。したがって、各スロット内においてセグメント導体の先端部どうしを容易に接続することができる。
【0007】
また、本明細書は、ステータの製造方法を開示する。この製造方法は、円筒形状を有するステータコアにコイルを固定する工程を有する。前記ステータコアが、前記ステータコアの軸方向の両側に配置された第1端面及び第2端面を有する。前記ステータコアの内周面に、第1スロット、第2スロット、第3スロット、及び、第4スロットが設けられている。前記第1スロット、前記第2スロット、前記第3スロット、及び、前記第4スロットのそれぞれが、前記軸方向に沿って前記第1端面から前記第2端面まで伸びている。前記コイルが、第1セグメント導体、第2セグメント導体、及び、第3セグメント導体、を有する。前記第1セグメント導体、前記第2セグメント導体、及び、前記第3セグメント導体のそれぞれが、第1線状部、第2線状部、及び、前記第1線状部の端部と前記第2線状部の端部とを連結する連結部を有するU字形状を備えている。前記ステータコアに前記コイルを固定する工程は、第1~第3工程を有する。前記第1工程では、前記第1セグメント導体の前記連結部が前記第1端面に対向する位置に配置され、前記第1セグメント導体の前記第1線状部が前記第1スロット内に挿入され、前記第1セグメント導体の前記第2線状部が前記第2スロット内に挿入されるように前記第1セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける。前記第2工程では、前記第2セグメント導体の前記連結部が前記第2端面に対向する位置に配置され、前記第2セグメント導体の前記第1線状部が前記第2スロット内に挿入され、前記第2セグメント導体の前記第2線状部が前記第3スロット内に挿入されるように前記第2セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける。前記第3工程では、前記第3セグメント導体の前記連結部が前記第1端面に対向する位置に配置され、前記第3セグメント導体の前記第1線状部が前記第3スロット内に挿入され、前記第3セグメント導体の前記第2線状部が前記第4スロット内に挿入されるように前記第3セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける。前記ステータコアに前記コイルを固定する前記工程が、前記第1セグメント導体の前記第2線状部の先端部と前記第2セグメント導体の前記第1線状部の先端部とが前記第2スロット内で前記ステータコアの周方向に重なった状態で互いに電気的に接続され、前記第2セグメント導体の前記第2線状部の先端部と前記第3セグメント導体の前記第1線状部の先端部とが前記第3スロット内で前記ステータコアの周方向に重なった状態で互いに電気的に接続されるように実施される。
【0008】
この製造方法では、各スロット内において、各セグメント導体の先端部どうしが、ステータコアの周方向に重なった状態で互いに電気的に接続される。したがって、各スロット内においてセグメント導体の先端部どうしを容易に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】軸Z1に対して直交する平面におけるステータコアの断面図。
【
図6】実施例1のセグメント導体のステータコアに対する取付構造を示す図。
【
図7】実施例1のスロット及びコイル線材の軸Z1に対して直交する平面における断面図。
【
図8】実施例2のスロット及びコイル線材の軸Z1に対して直交する平面における断面図。
【
図11】実施例3のセグメント導体のステータコアに対する取付構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書が開示する一例のステータおいては、前記ステータコアの内周面に、第1スロット、第2スロット、第3スロット、及び、第4スロットが、この順序で前記ステータコアの周方向に間隔を開けて設けられていてもよい。
【0011】
この構成によれば、各セグメント導体によって波型のコイルを構成することができる。
【0012】
本明細書が開示する一例のステータは、以下の構成を有していてもよい。すなわち、前記第2スロット内において、前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部が、前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部よりも前記第3スロットに近い側に配置されていてもよい。前記第3スロット内において、前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部が、前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部よりも前記第2スロットに近い側に配置されていてもよい。前記第1セグメント導体の前記連結部が前記第1セグメント導体の前記第1線状部と前記第1セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が拡大する方向に弾性変形した状態で前記第1セグメント導体が前記ステータコアに固定されていてもよい。前記第2セグメント導体の前記連結部が前記第2セグメント導体の前記第1線状部と前記第2セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が拡大する方向に弾性変形した状態で前記第2セグメント導体が前記ステータコアに固定されていてもよい。前記第3セグメント導体の前記連結部が前記第3セグメント導体の前記第1線状部と前記第3セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が拡大する方向に弾性変形した状態で前記第3セグメント導体が前記ステータコアに固定されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、各セグメント導体の弾性変形による反力によって、各セグメント導体の先端部どうしの接続面が加圧される。したがって、各セグメント導体の先端部どうしを好適に接続することができる。
【0014】
本明細書が開示する一例のステータは、以下の構成を有していてもよい。すなわち、前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部の前記第1スロット側の側面に凹部が形成されていてもよい。前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部の前記第3スロット側の側面に凹部が形成されていてもよい。前記第2スロット内において、前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記凹部と前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記凹部とが接触していてもよい。前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部の前記第2スロット側の側面に凹部が形成されていてもよい。前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部の前記第4スロット側の側面に凹部が形成されていてもよい。前記第3スロット内において、前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記凹部と前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記凹部とが接触していてもよい。
【0015】
本明細書が開示する一例のステータは、以下の構成を有していてもよい。すなわち、前記第2スロット内において、前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部が、前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部よりも前記第1スロットに近い側に配置されていてもよい。前記第3スロット内において、前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部が、前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部よりも前記第4スロットに近い側に配置されていてもよい。前記第1セグメント導体の前記連結部が前記第1セグメント導体の前記第1線状部と前記第1セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が縮小する方向に弾性変形した状態で前記第1セグメント導体が前記ステータコアに固定されていてもよい。前記第2セグメント導体の前記連結部が前記第2セグメント導体の前記第1線状部と前記第2セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が縮小する方向に弾性変形した状態で前記第2セグメント導体が前記ステータコアに固定されていてもよい。前記第3セグメント導体の前記連結部が前記第3セグメント導体の前記第1線状部と前記第3セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が縮小する方向に弾性変形した状態で前記第3セグメント導体が前記ステータコアに固定されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、各セグメント導体の弾性変形による反力によって、各セグメント導体の先端部どうしの接続面が加圧される。したがって、各セグメント導体の先端部どうしを好適に接続することができる。
【0017】
本明細書が開示する一例のステータは、以下の構成を有していてもよい。前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部の前記第3スロット側の側面に凹部が形成されていてもよい。前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部の前記第1スロット側の側面に凹部が形成されていてもよい。前記第2スロット内において、前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記凹部と前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記凹部とが接触していてもよい。前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部の前記第4スロット側の側面に凹部が形成されていてもよい。前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部の前記第2スロット側の側面に凹部が形成されていてもよい。前記第3スロット内において、前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記凹部と前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記凹部とが接触していてもよい。
【0018】
本明細書が開示する一例のステータは、以下の構成を有していてもよい。すなわち、前記軸方向に直交する断面において、前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部と前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部との接触面が、前記ステータコアの径方向に対して傾斜していてもよい。前記第2スロットの側面に凸部が設けられていてもよい。前記第2スロット内において、前記第1セグメント導体と前記第2セグメント導体によって構成されるコイル線材を含む複数のコイル線材が前記径方向に積層されていてもよい。前記第2スロットの前記凸部と前記第2スロットの底面の間で前記複数のコイル線材が前記径方向に圧縮された状態で固定されていてもよい。
【0019】
この構成によれば、複数のコイル線材を径方向に圧縮する力が、第1セグメント導体の第2線状部の先端部と第2セグメント導体の第1線状部の先端部との接触面に加わる。したがって、第1セグメント導体の第2線状部の先端部と第2セグメント導体の第1線状部の先端部とをより確実に接続することができる。
【0020】
本明細書が開示する一例のステータの製造方法は、以下の構成を有していてもよい。すなわち、前記ステータコアに前記コイルを固定する前記工程が、前記第2スロット内において前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部が前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部よりも前記第3スロットに近い側に配置され、前記第3スロット内において前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部が前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部よりも前記第2スロットに近い側に配置されるように実施されてもよい。前記ステータコアに前記コイルを固定する前記工程が、前記第1セグメント導体の前記連結部が前記第1セグメント導体の前記第1線状部と前記第1セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が拡大する方向に弾性変形した状態で前記第1セグメント導体を前記ステータコアに取り付けてもよい。前記第2セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける前記工程では、前記第2セグメント導体の前記連結部が前記第2セグメント導体の前記第1線状部と前記第2セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が拡大する方向に弾性変形した状態で前記第2セグメント導体を前記ステータコアに取り付けてもよい。前記第3セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける前記工程では、前記第3セグメント導体の前記連結部が前記第3セグメント導体の前記第1線状部と前記第3セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が拡大する方向に弾性変形した状態で前記第3セグメント導体を前記ステータコアに取り付けてもよい。
【0021】
この構成によれば、各セグメント導体の弾性変形による反力によって、各セグメント導体の先端部どうしの接続面が加圧される。したがって、各セグメント導体の先端部どうしを好適に接続することができる。
【0022】
本明細書が開示する一例のステータの製造方法においては、前記ステータコアの内周面に、第1スロット、第2スロット、第3スロット、及び、第4スロットが、この順序で前記ステータコアの周方向に間隔を開けて設けられていてもよい。
【0023】
この構成によれば、各セグメント導体によって波型のコイルを構成することができる。
【0024】
本明細書が開示する一例のステータの製造方法は、以下の構成を有していてもよい。すなわち、前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部の内側側面に凹部が形成されていてもよい。前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部の内側側面に凹部が形成されていてもよい。前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部の内側側面に凹部が形成されていてもよい。前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部の内側側面に凹部が形成されていてもよい。前記ステータコアに前記コイルを固定する前記工程が、前記第2スロット内において前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記凹部と前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記凹部とが接触し、前記第3スロット内において前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記凹部と前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記凹部とが接触するように実施されてもよい。
【0025】
本明細書が開示する一例のステータの製造方法は、以下の構成を有していてもよい。すなわち、前記ステータコアに前記コイルを固定する前記工程が、前記第2スロット内において前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部が前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部よりも前記第1スロットに近い側に配置され、前記第3スロット内において前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部が前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部よりも前記第4スロットに近い側に配置されるように実施されてもよい。前記第1セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける前記工程では、前記第1セグメント導体の前記連結部が前記第1セグメント導体の前記第1線状部と前記第1セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が縮小する方向に弾性変形した状態で前記第1セグメント導体が前記ステータコアに取り付けられてもよい。前記第2セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける前記工程では、前記第2セグメント導体の前記連結部が前記第2セグメント導体の前記第1線状部と前記第2セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が縮小する方向に弾性変形した状態で前記第2セグメント導体が前記ステータコアに取り付けられてもよい。前記第3セグメント導体を前記ステータコアに取り付ける前記工程では、前記第3セグメント導体の前記連結部が前記第3セグメント導体の前記第1線状部と前記第3セグメント導体の前記第2線状部の間の間隔が縮小する方向に弾性変形した状態で前記第3セグメント導体が前記ステータコアに取り付けられてもよい。
【0026】
この構成によれば、各セグメント導体の弾性変形による反力によって、各セグメント導体の先端部どうしの接続面が加圧される。したがって、各セグメント導体の先端部どうしを好適に接続することができる。
【0027】
本明細書が開示する一例のステータの製造方法は、以下の構成を有していてもよい。すなわち、前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部の外側側面に凹部が形成されていてもよい。前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部の外側側面に凹部が形成されていてもよい。前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部の外側側面に凹部が形成されていてもよい。前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部の外側側面に凹部が形成されていてもよい。前記ステータコアに前記コイルを固定する前記工程が、前記第2スロット内において前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記凹部と前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記凹部とが接触し、前記第3スロット内において前記第2セグメント導体の前記第2線状部の前記凹部と前記第3セグメント導体の前記第1線状部の前記凹部とが接触するように実施されてもよい。
【0028】
本明細書が開示する一例のステータの製造方法は、以下の構成を有していてもよい。すなわち、前記ステータコアに前記第1セグメント導体と前記第2セグメント導体が取り付けられた状態において、前記軸方向に直交する断面において、前記第1セグメント導体の前記第2線状部の前記先端部と前記第2セグメント導体の前記第1線状部の前記先端部との接触面が、前記ステータコアの径方向に対して傾斜していてもよい。前記第2スロットの側面に凸部が設けられていてもよい。前記ステータコアに前記コイルを固定する前記工程では、前記第1セグメント導体と前記第2セグメント導体によって構成されるコイル線材を含む複数のコイル線材を前記第2スロット内で前記径方向に積層し、積層された前記複数のコイル線材を前記第2スロットの前記凸部と前記第2スロットの底面の間で前記径方向に圧縮した状態で固定してもよい。
【0029】
この構成によれば、複数のコイル線材を径方向に圧縮する力が、第1セグメント導体の第2線状部の先端部と第2セグメント導体の第1線状部の先端部との接触面に加わる。したがって、第1セグメント導体の第2線状部の先端部と第2セグメント導体の第1線状部の先端部とをより確実に接続することができる。
【実施例1】
【0030】
図1に示す実施例1のステータ10は、モータに使用される。ステータ10は、ステータコア20とコイル40を有している。コイル40は、ステータコア20に固定されている。
【0031】
図2に示すように、ステータコア20は、軸Z1を中心軸とする円筒形状を有している。ステータコア20は、軸Z1に沿う方向(以下、軸方向という)の両側に端面21と端面22を有している。ステータコア20の内周面24に複数のスロット30が設けられている。各スロット30は、内周面24に設けられた溝である。各スロット30は、軸方向に沿って端面21から端面22まで伸びている。
図3に示すように、軸Z1に垂直な断面において、各スロット30は、ステータコア20の径方向に沿って伸びている。軸Z1に垂直な断面において、各スロット30は、底面32と2つの側面34を有している。各側面34には、スロット30の内周側の端部の位置に凸部36が設けられている。
【0032】
図1に示すように、コイル40は、ステータコア20の各スロット30内を通るようにステータコア20に固定されている。コイル40は、複数のコイル線材42によって構成されている。
図4は、1つのコイル線材42を示している。
図4に示すように、コイル線材42は、波形状を有している。より詳細には、コイル線材42は、軸方向に波打ちながら周方向に沿って伸びている。コイル線材42は、
図5に示すセグメント導体50が複数個接続されることによって構成されている。セグメント導体50は、U字形状を有している。すなわち、セグメント導体50は、線状部51、線状部52と、連結部54を有している。線状部51と線状部52は、略直線状に伸びている。連結部54は、線状部51と線状部52とを連結している。線状部51と線状部52は、線状部51の先端部51a及び線状部52の先端部52aに近い位置ほど線状部51と線状部52の間の間隔が狭くなるように伸びている。線状部51の先端部51aには、凹部51bが形成されている。凹部51bは、線状部51の内側(線状部52に近い側)の側面に形成されている。線状部52の先端部52aには、凹部52bが形成されている。凹部52bは、線状部52の内側(線状部51に近い側)の側面に形成されている。図示していないが、セグメント導体50の表面は、凹部51b、52bを除いて、絶縁被膜によって覆われている。
図5において破線で示すように、セグメント導体50に外部から力を加えることで、先端部51aと先端部52aの間の間隔が拡大するように連結部54を弾性変形させることができる。このように連結部54を弾性変形させることによって、線状部51と線状部52を略平行とすることができる。
図4に示すように、U字形状の複数のセグメント導体50が互いに接続されることで、波形状のコイル線材42が構成されている。
【0033】
図6は、ステータコア20に固定された状態の1つのコイル線材42aを、ステータコア20の中心側から見た平面図である。
図6の左右方向はステータコア20の周方向であり、
図6の上下方向はステータコア20の軸方向である。
図6に示すように、コイル線材42aは、複数のスロット30のうちのスロット30a、30b、30c、30dに挿通されている。スロット30a、30b、30c、30dは、この順序でステータコア20の周方向に間隔を開けて配置されている。スロット30aとスロット30bの間には、複数の他のスロット30が存在している。スロット30bとスロット30cの間には、複数の他のスロット30が存在している。スロット30cとスロット30dの間には、複数の他のスロット30が存在している。上述したように、コイル線材42aは、複数のセグメント導体50によって構成されている。
図6に示す範囲内において、コイル線材42aは、セグメント導体50a、50b、50cを有している。セグメント導体50aは、端面21側からスロット30aとスロット30b内に挿入されている。すなわち、セグメント導体50aの連結部54は、端面21に対向する位置に配置されている。セグメント導体50aの線状部51は、端面21側からスロット30a内に挿入されている。セグメント導体50aの線状部52は、端面21側からスロット30b内に挿入されている。セグメント導体50aは、線状部51と線状部52が略平行となるように弾性変形した状態(すなわち、
図5において破線で示す状態)で、スロット30a、30b内に挿入されている。したがって、ステータコア20に取り付けられた状態のセグメント導体50aでは、連結部54で生じる反力Faが、線状部51と線状部52の間の間隔を狭くする方向に作用している。セグメント導体50bは、端面22側からスロット30bとスロット30c内に挿入されている。すなわち、セグメント導体50bの連結部54は、端面22に対向する位置に配置されている。セグメント導体50bの線状部51は、端面22側からスロット30b内に挿入されている。セグメント導体50bの線状部52は、端面22側からスロット30c内に挿入されている。セグメント導体50bは、線状部51と線状部52が略平行となるように弾性変形した状態(すなわち、
図5において破線で示す状態)で、スロット30b、30c内に挿入されている。したがって、ステータコア20に取り付けられた状態のセグメント導体50bでは、連結部54で生じる反力Fbが、線状部51と線状部52の間の間隔を狭くする方向に作用している。セグメント導体50cは、端面21側からスロット30cとスロット30d内に挿入されている。すなわち、セグメント導体50cの連結部54は、端面21に対向する位置に配置されている。セグメント導体50cの線状部51は、端面21側からスロット30c内に挿入されている。セグメント導体50cの線状部52は、端面21側からスロット30d内に挿入されている。セグメント導体50cは、線状部51と線状部52が略平行となるように弾性変形した状態(すなわち、
図5において破線で示す状態)で、スロット30c、30d内に挿入されている。したがって、ステータコア20に取り付けられた状態のセグメント導体50cでは、連結部54で生じる反力Fcが、線状部51と線状部52の間の間隔を狭くする方向に作用している。
【0034】
スロット30b内では、セグメント導体50aの線状部52の先端部52aとセグメント導体50bの線状部51の先端部51aとが、ステータコア20の周方向に重なっている。セグメント導体50aの先端部52aは、セグメント導体50bの先端部51aよりもスロット30cに近い位置に配置されている。セグメント導体50aの先端部52aのスロット30a側の側面に凹部52bが設けられており、セグメント導体50bの先端部51aのスロット30c側の側面に凹部51bが設けられているので、セグメント導体50aの凹部52bとセグメント導体50bの凹部51bとが互いに接している。セグメント導体50aの先端部52aにセグメント導体50bの先端部51aに向かって反力Faが作用しており、セグメント導体50bの先端部51aにセグメント導体50aの先端部52aに向かって反力Fbが作用している。反力Fa、Fbがセグメント導体50aの先端部52aとセグメント導体50bの先端部51aとの接触界面58aに加わることで、セグメント導体50aとセグメント導体50bが互いに固定されている。また、反力Fa、Fbによって接触界面58aに圧力が加わることで、接触界面58aにおいてセグメント導体50aとセグメント導体50bが電気的に接続されている。
【0035】
スロット30c内では、セグメント導体50bの線状部52の先端部52aとセグメント導体50cの線状部51の先端部51aとが、ステータコア20の周方向に重なっている。セグメント導体50bの先端部52aは、セグメント導体50cの先端部51aよりもスロット30dに近い位置に配置されている。セグメント導体50bの先端部52aのスロット30b側の側面に凹部52bが設けられており、セグメント導体50cの先端部51aのスロット30d側の側面に凹部51bが設けられているので、セグメント導体50bの凹部52bとセグメント導体50cの凹部51bとが互いに接している。セグメント導体50bの先端部52aにセグメント導体50cの先端部51aに向かって反力Fbが作用しており、セグメント導体50cの先端部51aにセグメント導体50bの先端部52aに向かって反力Fcが作用している。反力Fb、Fcがセグメント導体50bの先端部52aとセグメント導体50cの先端部51aとの接触界面58bに加わることで、セグメント導体50bとセグメント導体50cが互いに固定されている。また、反力Fb、Fcによって接触界面58bに圧力が加わることで、接触界面58bにおいてセグメント導体50bとセグメント導体50cが電気的に接続されている。
【0036】
このように、セグメント導体50a、50b、50cは、反力Fa、Fb、Fcによって互いに接続されている。したがって、セグメント導体50aとセグメント導体50bとの接触界面58a、及び、セグメント導体50bとセグメント導体50cとの接触界面58bには、接合材が設けられていない。すなわち、接触界面58a、58bは、接合材なしで物理的及び電気的に接続されている。同様の構成によって、コイル線材42aを構成するすべてのセグメント導体50が互いに接続されている。また、他のコイル線材42も、コイル線材42aと同様に構成されている。
図7に示すように、1つのスロット30内に複数のコイル線材42が挿入されている。1つのスロット30内では、複数のコイル線材42がステータコア20の径方向に積層されている。
【0037】
次に、ステータ10の製造方法について説明する。ステータ10の製造方法は、ステータコア20にコイル40を固定する工程を有する。この工程では、各セグメント導体50を弾性変形した状態でステータコア20に取り付けることによってコイル線材42を形成する。複数のコイル線材42を形成することで、コイル40が形成される。以下に、セグメント導体50の取付工程について詳細に説明する。
【0038】
セグメント導体50aをステータコア20に取り付ける工程では、
図6に示すように、端面21側から線状部51、52をスロット30a、30bに挿入する。ここでは、
図5の破線に示すように連結部54を弾性変形させた状態で線状部51、52をスロット30a、30bに挿入する。セグメント導体50bをステータコア20に取り付ける工程では、
図6に示すように、端面22側から線状部51、52をスロット30b、30cに挿入する。ここでは、
図5の破線に示すように連結部54を弾性変形させた状態で線状部51、52をスロット30b、30cに挿入する。ここでは、スロット30b内において、セグメント導体50bの先端部51aをセグメント導体50aの先端部52aよりもスロット30a側に位置させる。セグメント導体50cをステータコア20に取り付ける工程では、
図6に示すように、端面21側から線状部51、52をスロット30c、30dに挿入する。ここでは、
図5の破線に示すように連結部54を弾性変形させた状態で線状部51、52をスロット30c、30dに挿入する。ここでは、スロット30c内において、セグメント導体50cの先端部51aをセグメント導体50bの先端部52aよりもスロット30b側に位置させる。
【0039】
このように、セグメント導体50a、50b、50cを含む複数のセグメント導体50(すなわち、コイル線材42aを構成する複数のセグメント導体50)を、対応するスロット30に挿入する。次に、各セグメント導体50を弾性変形さている外力を解放する。すると、各セグメント導体50が反力を解放するように変形し、各セグメント導体50どうしの接触界面が加圧される。その結果、各セグメント導体50どうしが電気的及び物理的に接続される。例えば、反力Fa、Fbによって接触界面58aが加圧されて、セグメント導体50aとセグメント導体50bが接触界面58aにおいて物理的及び電気的に接続される。また、反力Fb、Fcによって接触界面58bが加圧されて、セグメント導体50bとセグメント導体50cが接触界面58bにおいて物理的及び電気的に接続される。このように各セグメント導体50が接続されることで、コイル線材42aが形成されるとともにコイル線材42aがステータコア20に固定される。同様にして、各コイル線材42をステータコア20に固定することで、コイル40が形成されるとともにコイル40がステータコア20に固定される。
【0040】
このように、この製造方法では、各セグメント導体50を弾性変形した状態で各スロット30に挿入し、その後、各セグメント導体50の反力を解放することで各セグメント導体50を互いに接続する。したがって、各セグメント導体50を容易に接続することができ、ステータコア20にコイル40を容易に固定することができる。また、各スロット30内で各セグメント導体50を治具によって加圧する必要がないため、加圧用治具が不要である。したがって、ステータコア20の形状が異なる複数種類のステータを製造する場合であっても、加圧用治具の変更が不要であり、効率的に複数種類のステータを製造することができる。また、この製造方法では、反力によって各セグメント導体50を互いに接続するので、各セグメント導体50の接触界面に接合材が不要である。したがって、ステータ10をより効率的に製造できる。また、このように各セグメント導体50をスロット30内で接続することで、スロット30の外部の各セグメント導体の接続部を無くすことができる。これによって、コイル40を小型化、軽量化できるとともに、コイル40で生じる銅損を低減できる。なお、他の実施形態においては、各セグメント導体の接触界面に接合材が設けられていてもよい。
【実施例2】
【0041】
実施例2のステータは、実施例1のステータにおいて、セグメント導体50どうしの接触界面58の形状を異ならせたものである。
図8に示すように、実施例2では、先端部51aと先端部52aの接触界面58が、ステータコア20の径方向に対して傾斜している。また、実施例2では、スロット30の底面32と凸部36の間において、複数のコイル線材42が径方向に圧縮された状態で固定されている。すなわち、ステータの製造工程において、スロット30に最後のセグメント導体50を挿入するときに、最後のセグメント導体50がスロット30内に圧入される。このため、スロット30内の各コイル線材42には、矢印に示すように、ステータコア20の径方向に沿って圧縮力Frが加わっている。各接触界面58が径方向に対して傾斜しているので、各コイル線材42に加わる圧縮力Frが各接触界面58に加わる。このように、実施例2では、各接触界面58により高い圧力が加わるので、セグメント導体50どうしをより強固に接続することができるとともに、セグメント導体50どうしをより低い接触抵抗で電気的に接続することができる。なお、
図9に示すように、セグメント導体50以外の部材60をスロット30内に圧入することで、各コイル線材42に径方向に圧力を加えてもよい。
【実施例3】
【0042】
実施例3のステータでは、各セグメント導体50の形状が実施例1とは異なる。実施例3のステータのその他の構成は、実施例1のステータ10と等しい。
【0043】
図10は、実施例3のセグメント導体50を示している。実施例3のセグメント導体50では、線状部51と線状部52が、先端部51a及び先端部52aに近い位置ほど線状部51と線状部52の間の間隔が広くなるように伸びている。また、実施例3のセグメント導体50では、凹部51bが、線状部51の外側(線状部52から遠い側)の側面に形成されている。また、実施例3のセグメント導体50では、凹部52bが、線状部52の外側(線状部51から遠い側)の側面に形成されている。
図10において破線で示すように、セグメント導体50に外部から力を加えることで、先端部51aと先端部52aの間の間隔が縮小するように連結部54を弾性変形させることができる。このように連結部54を弾性変形させることによって、線状部51と線状部52を略平行とすることができる。実施例3のセグメント導体50のその他の構成は、実施例1のセグメント導体50と等しい。
【0044】
図11は、実施例3のステータにおいて、各セグメント導体50のステータコア20に対する取付構造を示している。
図11に示すように、実施例3でも、実施例1と同様に、セグメント導体50aが端面21側からスロット30a、30bに挿入されており、セグメント導体50bが端面21側からスロット30b、30cに挿入されており、セグメント導体50cが端面21側からスロット30c、30dに挿入されている。セグメント導体50aは、線状部51と線状部52が略平行となるように弾性変形した状態(すなわち、
図10において破線で示す状態)で、スロット30a、30b内に挿入されている。したがって、ステータコア20に取り付けられた状態のセグメント導体50aでは、連結部54で生じる反力Faが、線状部51と線状部52の間の間隔を広くする方向に作用している。セグメント導体50bは、線状部51と線状部52が略平行となるように弾性変形した状態(すなわち、
図10において破線で示す状態)で、スロット30b、30c内に挿入されている。したがって、ステータコア20に取り付けられた状態のセグメント導体50bでは、連結部54で生じる反力Fbが、線状部51と線状部52の間の間隔を広くする方向に作用している。セグメント導体50cは、線状部51と線状部52が略平行となるように弾性変形した状態(すなわち、
図10において破線で示す状態)で、スロット30c、30d内に挿入されている。したがって、ステータコア20に取り付けられた状態のセグメント導体50cでは、連結部54で生じる反力Fcが、線状部51と線状部52の間の間隔を広くする方向に作用している。
【0045】
スロット30b内では、セグメント導体50aの線状部52の先端部52aとセグメント導体50bの線状部51の先端部51aとが、ステータコア20の周方向に重なっている。セグメント導体50aの先端部52aは、セグメント導体50bの先端部51aよりもスロット30aに近い位置に配置されている。セグメント導体50aの先端部52aのスロット30c側の側面に凹部52bが設けられており、セグメント導体50bの先端部51aのスロット30a側の側面に凹部51bが設けられているので、セグメント導体50aの凹部52bとセグメント導体50bの凹部51bとが互いに接している。セグメント導体50aの先端部52aにセグメント導体50bの先端部51aに向かって反力Faが作用しており、セグメント導体50bの先端部51aにセグメント導体50aの先端部52aに向かって反力Fbが作用している。反力Fa、Fbがセグメント導体50aの先端部52aとセグメント導体50bの先端部51aとの接触界面58aに加わることで、セグメント導体50aとセグメント導体50bが互いに固定されている。また、反力Fa、Fbによって接触界面58aに圧力が加わることで、接触界面58aにおいてセグメント導体50aとセグメント導体50bが電気的に接続されている。
【0046】
スロット30c内では、セグメント導体50bの線状部52の先端部52aとセグメント導体50cの線状部51の先端部51aとが、ステータコア20の周方向に重なっている。セグメント導体50bの先端部52aは、セグメント導体50cの先端部51aよりもスロット30bに近い位置に配置されている。セグメント導体50bの先端部52aのスロット30d側の側面に凹部52bが設けられており、セグメント導体50cの先端部51aのスロット30b側の側面に凹部51bが設けられているので、セグメント導体50bの凹部52bとセグメント導体50cの凹部51bとが互いに接している。セグメント導体50bの先端部52aにセグメント導体50cの先端部51aに向かって反力Fbが作用しており、セグメント導体50cの先端部51aにセグメント導体50bの先端部52aに向かって反力Fcが作用している。反力Fb、Fcがセグメント導体50bの先端部52aとセグメント導体50cの先端部51aとの接触界面58bに加わることで、セグメント導体50bとセグメント導体50cが互いに固定されている。また、反力Fb、Fcによって接触界面58bに圧力が加わることで、接触界面58bにおいてセグメント導体50bとセグメント導体50cが電気的に接続されている。
【0047】
このように、実施例3でも、セグメント導体50a、50b、50cは、反力Fa、Fb、Fcによって互いに接続されている。したがって、セグメント導体50aとセグメント導体50bとの接触界面58a、及び、セグメント導体50bとセグメント導体50cとの接触界面58bには、接合材が設けられていない。すなわち、接触界面58a、58bは、接合材なしで物理的及び電気的に接続されている。
【0048】
次に、実施例3のセグメント導体50の取付工程について説明する。
【0049】
セグメント導体50aをステータコア20に取り付ける工程では、
図10の破線に示すように連結部54を弾性変形させた状態で、線状部51、52を端面21側からスロット30a、30bに挿入する。セグメント導体50bをステータコア20に取り付ける工程では、
図10の破線に示すように連結部54を弾性変形させた状態で、線状部51、52を端面22側からスロット30b、30cに挿入する。ここでは、スロット30b内において、セグメント導体50bの先端部51aをセグメント導体50aの先端部52aよりもスロット30c側に位置させる。セグメント導体50cをステータコア20に取り付ける工程では、
図10の破線に示すように連結部54を弾性変形させた状態で、線状部51、52を端面21側からスロット30c、30dに挿入する。ここでは、スロット30c内において、セグメント導体50cの先端部51aをセグメント導体50bの先端部52aよりもスロット30d側に位置させる。
【0050】
このように、セグメント導体50a、50b、50cを含む複数のセグメント導体50(すなわち、コイル線材42aを構成する複数のセグメント導体50)を、対応するスロット30に挿入する。次に、各セグメント導体50を弾性変形させている外力を解放する。すると、各セグメント導体50が反力を解放するように変形し、各セグメント導体50どうしの接触界面が加圧される。その結果、各セグメント導体50どうしが電気的及び物理的に接続される。例えば、反力Fa、Fbによって接触界面58aが加圧されて、セグメント導体50aとセグメント導体50bが接触界面58aにおいて物理的及び電気的に接続される。また、反力Fb、Fcによって接触界面58bが加圧されて、セグメント導体50bとセグメント導体50cが接触界面58bにおいて物理的及び電気的に接続される。このように各セグメント導体50が接続されることで、コイル線材42aが形成されるとともにコイル線材42aがステータコア20に固定される。同様にして、各コイル線材42をステータコア20に固定することで、コイル40が形成されるとともにコイル40がステータコア20に固定される。
【0051】
このように、実施例3の製造方法でも、各セグメント導体50を容易に接続することができ、ステータコア20にコイル40を容易に固定することができる。なお、他の実施形態においては、各セグメント導体の接触界面に接合材が設けられていてもよい。
【0052】
なお、実施例3においても、実施例2(すなわち、
図8、9)と同様に、各接触界面58をステータコア20の径方向に対して傾斜させてもよい。この場合、スロット30内の各コイル線材42に対してステータコア20の径方向に圧力が加わるように、コイル線材42または他の部材60をスロット30内に挿入してもよい。このように実施例3を変形させることで、各接触界面58により高い圧力が加わるようになる。したがって、セグメント導体50どうしをより強固に接続することができるとともに、セグメント導体50どうしをより低い接触抵抗で電気的に接続することができる。
【0053】
なお、上述した実施例1~3では、接触界面58が平坦であったが、接触界面58が凹凸を有していてもよい。すなわち、凹凸を有する表面どうしが係合することで接触界面58が構成されていてもよい。
【0054】
また、上述した実施例1~3では、間隔を開けて配置されたスロット30a、30b、30c、30dにコイル30が挿通されていたが、隣接するスロット30にコイル30が挿通されていてもよい。
【0055】
実施例1~3の端面21は、第1端面の一例である。実施例1~3の端面22は、第2端面の一例である。実施例1~3のスロット30aは、第1スロットの一例である。
実施例1~3のスロット30bは、第2スロットの一例である。実施例1~3のスロット30cは、第3スロットの一例である。実施例1~3のスロット30dは、第4スロットの一例である。実施例1~3のセグメント導体50aは、第1セグメント導体一例である。実施例1~3のセグメント導体50bは、第2セグメント導体一例である。実施例1~3のセグメント導体50cは、第3セグメント導体一例である。実施例1~3の線状部51は、第1線状部の一例である。実施例1~3の線状部52は、第2線状部の一例である。
【0056】
なお、上述した実施例1~3では、コイル40が波型のコイルであった。しかしながら、コイル40が重ね巻き型であってもよい。
図12、13は、重ね巻き型のコイル40bを示している。コイル40bは、スロット30e、30fに複数回挿通されるように巻回されている。
図14に示すように、コイル40bにおいては、端面20aから挿入されているセグメント導体50aが
図10と同様に外側に反力が作用するセグメント導体50であり、端面20bから挿入されているセグメント導体50bが
図5と同様に内側に反力が作用するセグメント導体50である。セグメント導体50a、50bの線状部51がスロット30e内に挿入されており、セグメント導体50a、50bの線状部52がスロット30f内に挿入されている。
図12に示すように、各セグメント導体50の両端が異なるセグメント導体50に接続されていることで、渦巻き状に伸びるコイル40bが構成されている。この構成でも、セグメント導体50a、50bの反力によって、セグメント導体50a、50bが互いに接続されている。この構成においては、スロット30eは第1スロットと第3スロットの一例である。すなわち、この構成では、第1スロットと第3スロットが共通のスロット30eによって構成されている。また、この構成においては、スロット30fは第2スロットと第4スロットの一例である。すなわち、この構成では、第2スロットと第4スロットが共通のスロット30fによって構成されている。
【0057】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0058】
10 :ステータ
20 :ステータコア
21 :端面
22 :端面
24 :内周面
30 :スロット
30a~30d :スロット
40 :コイル
42 :コイル線材
50 :セグメント導体
51 :線状部
52 :線状部
54 :連結部