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  • 特許-検査装置、及びそれを備えた塗布装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】検査装置、及びそれを備えた塗布装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20240723BHJP
   B05C 1/02 20060101ALI20240723BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
G01N21/892 Z
B05C1/02 101
B05C11/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021110027
(22)【出願日】2021-07-01
(65)【公開番号】P2023007049
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】大江 正浩
(72)【発明者】
【氏名】瀬野 秀英
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-085760(JP,A)
【文献】特開2000-002832(JP,A)
【文献】特開2004-045266(JP,A)
【文献】特開2018-017639(JP,A)
【文献】特開2008-268236(JP,A)
【文献】特開平06-201605(JP,A)
【文献】特開昭56-160645(JP,A)
【文献】特表2016-534329(JP,A)
【文献】再公表特許第2011/071035(JP,A1)
【文献】再公表特許第2017/169242(JP,A1)
【文献】特許第3741287(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/00-G01N21/958
G01B 9/00-G01B11/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸を有する対象面に塗布された塗布剤の状態を検査する検査装置であって、
前記対象面における規定の検査対象領域を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像可能な光を前記検査対象領域に向けて照射する照明装置と、を備え、
前記照明装置は、前記検査対象領域の全体に拡散光を照射する第1光源と、当該第1光源の拡散光の照射により前記凹凸に起因して生じる影に直接光を照射する第2光源と、を備え
前記第2光源は、前記対象面における前記影が生じている領域に対して直交する方向において、前記第1光源を挟んで前記対象面とは反対側に配置されている、検査装置。
【請求項2】
前記第2光源により照射される直接光の照度である直接光照度は、前記凹凸に応じて設定され、
前記第1光源により照射される拡散光の照度は、前記直接光照度に応じて設定される、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記第2光源は、直接光の照射方向を変更可能に構成されている、請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記撮像装置及び前記照明装置に対する相対位置が固定された状態で、前記撮像装置及び前記照明装置を収容するハウジングを更に備え、
前記ハウジングは、当該ハウジングを貫通するように形成された開口部を備え、
前記撮像装置は、前記開口部を通して前記検査対象領域を撮像するように配置され、
前記第1光源は、前記開口部の少なくとも一部を覆うように配置され、
前記第2光源は、前記開口部を通して前記検査対象領域に直接光を照射するように配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記第2光源は、列状に配置された複数の第2発光部を備え、
前記第1光源は、透光性を有する平板状の導光板と、前記導光板に向けて光を照射するように前記導光板の周囲に配置された複数の第1発光部と、を備え、
前記導光板は、複数の前記第1発光部からの光を前記検査対象領域に向けて拡散させるように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記第2光源は、複数の前記第2発光部からの光を、前記導光板を通して前記検査対象領域に照射するように配置され、
前記撮像装置は、前記導光板を通して前記検査対象領域を撮像するように配置されている、請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の検査装置を備えた塗布装置であって、
前記対象面に前記塗布剤を塗布する塗布部と、
前記塗布部を移動させる駆動部と、を備え、
前記駆動部は、前記検査装置を前記塗布部と共に移動させるように構成され、
前記撮像装置は、前記対象面における前記塗布部により前記塗布剤が塗布された領域が前記検査対象領域に含まれるように配置されている、塗布装置。
【請求項8】
前記駆動部を制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記撮像装置が前記検査対象領域を撮像することによって取得した情報に基づいて、前記対象面に対する前記塗布部の相対位置を補正する位置補正制御を行う、請求項7に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸を有する対象面に塗布された塗布剤の状態を検査する検査装置、及びそれを備えた塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような技術の一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1には、塗布部(20)により対象面(91)に塗布剤を塗布し、対象面(91)に塗布された塗布剤を撮像装置(40)により撮像し、当該撮像により取得された撮像画像に基づいて塗布剤の状態を検査する技術が開示されている。
【0004】
このような検査においては、照明装置を用いて、対象面(91)に塗布された塗布剤に向けて光を照射した状態で、撮像装置(40)による撮像を行う。そして、撮像画像に基づいて、塗布剤の表面に影が生じていることが検出された場合には、塗布剤の表面が平坦ではなく、対象面(91)に塗布剤が適切に塗布されていないと判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-189354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、溶接部分や部品同士の継ぎ目等の凹凸が対象面に存在していると、当該凹凸に起因して塗布剤の表面に影が生じる場合がある。そのため、上記のような技術では、対象面に塗布剤が適切に塗布されているにも関わらず、塗布剤の塗布不良が生じていると誤って判断される場合があった。
【0007】
そこで、対象面に凹凸が存在している場合であっても、対象面に塗布された塗布剤の状態を適切に検査できる技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記に鑑みた検査装置の特徴構成は、
凹凸を有する対象面に塗布された塗布剤の状態を検査する検査装置であって、
前記対象面における規定の検査対象領域を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像可能な光を前記検査対象領域に向けて照射する照明装置と、を備え、
前記照明装置は、前記検査対象領域の全体に拡散光を照射する第1光源と、当該第1光源の拡散光の照射により前記凹凸に起因して生じる影に直接光を照射する第2光源と、を備え
前記第2光源は、前記対象面における前記影が生じている領域に対して直交する方向において、前記第1光源を挟んで前記対象面とは反対側に配置されている点にある。
【0009】
この特徴構成によれば、塗布剤が塗布された対象面における検査対象領域の全体に対して、第1光源が拡散光を照射する。そして、当該拡散光の照射により対象面の凹凸に起因して生じる影に対して、第2光源が直接光を照射する。これにより、第1光源の拡散光の照射による対象面の凹凸に起因した影の発生を低減することができる。そのため、対象面に塗布剤が適切に塗布されているにも関わらず、塗布剤の塗布不良が生じていると誤って判断される可能性を低減することができる。したがって、対象面に凹凸が存在している場合であっても、対象面に塗布された塗布剤の状態を適切に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る検査装置、及びそれを備えた塗布装置を示す斜視図
図2】実施形態に係る検査装置、及びそれを備えた塗布装置の要部を示す断面図
図3】実施形態に係る塗布装置の制御ブロック図
図4】対象面の凹凸が含まれる検査対象領域に対して、第1光源が拡散光を照射した状態での撮像画像と、第1光源が拡散光を照射すると共に第2光源が直接光を照射した状態での撮像画像とを示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、実施形態に係る塗布装置100について、図面を参照して説明する。図1に示すように、塗布装置100は、塗布部1と、駆動部2と、検査装置3と、を備えている。
【0012】
図2に示すように、塗布部1は、対象面Sに塗布剤Pを塗布するように構成されている。本実施形態では、塗布部1は、対象面Sに塗布剤Pを塗るための刷毛1aを備えている。本例では、対象面Sは、自動車の車体におけるガラスが取り付けられる面である。そして、塗布剤Pは、接着剤を用いて自動車の車体にガラスを接着する場合に、車体及びガラスと接着剤との間に介在させるプライマである。
【0013】
本実施形態では、対象面Sは、平面状に形成されている。そして、対象面Sには、当該対象面Sの一部が盛り上がるように突起部Saが形成されている。これに伴い、対象面Sに塗布された塗布剤Pにおける突起部Sa上に位置する部分も盛り上がっている。突起部Saは、対象面Sの「凹凸」に相当する。
【0014】
図1に示すように、駆動部2は、塗布部1を移動させるように構成されている。更に、駆動部2は、検査装置3を塗布部1と共に移動させるように構成されている。本例では、駆動部2は、ロボットアームである。
【0015】
本実施形態では、駆動部2は、支持部材9を、第1方向X、第2方向Y、及び第3方向Zに移動させる。第1方向X、第2方向Y、及び第3方向Zは、互いに直交する方向である。本実施形態では、第1方向X及び第2方向Yは、対象面Sに沿う方向である。そして、第3方向Zは、対象面Sに対して接近又は離間する方向である。
【0016】
検査装置3は、対象面Sに塗布された塗布剤Pの状態を検査する装置である。検査装置3は、撮像装置4と、照明装置5と、を備えている。本実施形態では、検査装置3は、距離測定装置6と、ハウジング7と、を更に備えている。
【0017】
撮像装置4は、対象面Sにおける規定の検査対象領域Aを撮像する装置である。本実施形態では、撮像装置4は、対象面Sにおける塗布部1により塗布剤Pが塗布された領域が検査対象領域Aに含まれるように配置されている。本例では、撮像装置4は、検査対象領域Aを撮像して撮像画像IM(図4参照)を取得するカメラである。撮像画像IMは、撮像装置4が検査対象領域Aを撮像することによって取得した「情報」に相当する。
【0018】
照明装置5は、撮像装置4により撮像可能な光を検査対象領域Aに向けて照射する装置である。ここで、「撮像装置4により撮像可能な光」は、可視光線に限らず、赤外線、紫外線等も含む
【0019】
図1に示すように、距離測定装置6は、対象面Sまでの距離を測定する装置である。本例では、距離測定装置6は、レーザ距離計である。
【0020】
ハウジング7は、撮像装置4及び照明装置5に対する相対位置が固定された状態で、撮像装置4及び照明装置5を収容するように構成されている。ハウジング7は、当該ハウジング7を貫通するように形成された開口部7aを備えている。本実施形態では、開口部7aは、ハウジング7における対象面Sに対向する面を第3方向Zに貫通するように形成されている。
【0021】
本実施形態では、ハウジング7は、距離測定装置6及び塗布部1に対する相対位置が固定された状態で、距離測定装置6及び塗布部1を収容するように構成されている。なお、塗布部1は、刷毛1aが開口部7aからハウジング7の外部に露出した状態で、ハウジング7に収容されている。
【0022】
本実施形態では、塗布部1及び検査装置3は、互いの相対位置が固定された状態で支持部材9により支持されている。そして、駆動部2は、支持部材9を移動させることによって、塗布部1と検査装置3とを一体的に移動させる。
【0023】
本実施形態では、支持部材9は、撮像装置4を支持する第1支持部91と、照明装置5を支持する第2支持部92と、塗布部1を支持する第3支持部93と、距離測定装置6を支持する第4支持部94と、駆動部2に連結された連結部95と、を備えている。
【0024】
第1支持部91は、連結部95から対象面Sに向けて、第3方向Zに沿って延在している。そして、第1支持部91における第1方向Xを向く面に、撮像装置4が取り付けられている。第2支持部92は、第1支持部91から第1方向Xに沿って延在し、更に対象面Sに向けて第3方向Zに沿って延在している。そして、第2支持部92の先端部(対象面S側の端部)に、照明装置5が取り付けられている。第3支持部93は、第2支持部92に対して第1方向Xに離間するように、第1支持部91から対象面Sに向けて第3方向Zに沿って延在している。そして、第3支持部93の先端部(対象面S側の端部)に、塗布部1が取り付けられている。
【0025】
本実施形態では、図3に示すように、塗布装置100は、制御装置10を更に備えている。制御装置10は、駆動部2を制御する。本実施形態では、制御装置10は、検査装置3の撮像装置4、照明装置5、及び距離測定装置6を更に制御する。
【0026】
本実施形態では、制御装置10は、撮像装置4が取得した撮像画像IMに基づいて、対象面Sに塗布剤Pが適切に塗布されているか否かを判定する。本例では、制御装置10は、撮像画像IMをグレースケール化して濃淡画像を作成し、当該濃淡画像において濃淡の変化率が規定の閾値以上である場合に、塗布剤Pの塗布不良に起因する影が生じていると判定する。
【0027】
また、本実施形態では、制御装置10は、撮像装置4が取得した撮像画像IMに基づいて、対象面Sに対する塗布部1の相対位置を補正する位置補正制御を行う。本例では、制御装置10は、撮像画像IMに基づいて、現在の対象面Sに対する検査装置3の相対位置を算出する。ここで、予めティーチング(教示)等により駆動部2の移動軌跡が設定され、対象面Sに対する検査装置3の適切な相対位置が設定されている。そのため、本例では、制御装置10は、位置補正制御において、現在の対象面Sに対する検査装置3の相対位置が予め設定された相対位置となるように駆動部2を制御する。なお、位置補正制御は、撮像画像IMに加えて、距離測定装置6により測定された対象面Sまでの距離に基づいて行うと好適である。これにより、位置補正制御をより精度良く行うことができる。
【0028】
図2に示すように、照明装置5は、第1光源51と、第2光源52と、を備えている。
【0029】
第1光源51は、検査対象領域Aの全体に拡散光を照射するように構成されている。本実施形態では、突起部Saが含まれる検査対象領域Aに対して第1光源51が拡散光を照射することにより、突起部Saに起因して影が生じる(図4の左側図における破線で囲まれた部分参照)。本実施形態では、第1光源51は、導光板511と、複数の第1発光部512と、を備えている。
【0030】
導光板511は、透光性を有する素材により構成されている。導光板511は、平板状に形成されている。本実施形態では、導光板511は、第3方向Zにおける対象面Sの側を向く照射面511aと、第3方向Zにおける照射面511aの側とは反対側を向く拡散面511bと、第1方向Xの両側を向く一対の第1入射面511cと、第2方向Yの両側を向く一対の第2入射面511dと、を備えている。本実施形態では、照射面511a及び拡散面511bのそれぞれは、第1方向Xに沿う一対の辺と第2方向Yに沿う一対の辺とを備えた矩形状に形成されている。そして、一対の第1入射面511cは、照射面511aにおける第2方向Yに沿う一対の辺と、拡散面511bにおける第2方向Yに沿う一対の辺とを接続するように形成されている。また、一対の第2入射面511dは、照射面511aにおける第1方向Xに沿う一対の辺と、拡散面511bにおける第1方向Xに沿う一対の辺とを接続するように形成されている。
【0031】
複数の第1発光部512は、導光板511に向けて光を照射するように、導光板511の周囲に配置されている。図示は省略するが、本実施形態では、複数の第1発光部512は、導光板511の一対の第1入射面511cに対向するように第2方向Yに並んで配置されていると共に、導光板511の一対の第2入射面511dに対向するように第1方向Xに並んで配置されている。そして、本実施形態では、複数の第1発光部512は、導光板511の一対の第1入射面511c及び一対の第2入射面511dに向けて光を照射する。本例では、複数の第1発光部512のそれぞれは、基板513に実装された発光ダイオードである。
【0032】
導光板511は、複数の第1発光部512からの光を検査対象領域Aに向けて拡散させるように構成されている。本実施形態では、導光板511の拡散面511bには、突起部や溝部等の複数の拡散要素(図示を省略)が形成されている。これらの複数の拡散要素は、一対の第1入射面511c及び一対の第2入射面511dから入射した複数の第1発光部512の光を拡散させて、照射面511aから照射させるように構成されている。
【0033】
本実施形態では、導光板511は、第3方向Zに沿う方向視で、塗布部1の刷毛1aと重複するように配置されている。本例では、塗布部1の刷毛1aが第3方向Zに沿う方向視で導光板511と重複するように、塗布部1が第3方向Zに対して傾斜されている。ここで、2つの要素の配置に関して、特定の「方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線と直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの要素の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを指す。
【0034】
本実施形態では、導光板511及び複数の第1発光部512は、フレーム部材514に支持されている。フレーム部材514は、複数の第1発光部512を収容するように形成されている。本実施形態では、フレーム部材514は、導光板511における照射面511a及び拡散面511bの外縁を覆うように形成されている。そして、フレーム部材514は、発光ダイオードとしての第1発光部512が実装された基板513を保持するように形成されている。また、本実施形態では、フレーム部材514は、支持部材9の第2支持部92と第3支持部93との第1方向Xの間に位置するように(図1参照)、第2支持部92に固定されている。
【0035】
第2光源52は、第1光源51の拡散光の照射により対象面Sの凹凸に起因して生じる影に直接光を照射するように構成されている。図4に示すように、第1光源51の拡散光の照射により対象面Sの凹凸に起因して生じる影(図4の左側図における破線で囲まれた部分参照)に対して第2光源52が直接光を照射することにより、当該影の発生が低減される(図4の右側図における破線で囲まれた部分参照)。図4に示す例では、互いに隣接するように並んで配置された2つの部材の境界部分に、凹凸として段差部が形成されている。なお、第1光源51の拡散光の照射により対象面Sの凹凸(例えば、突起部Sa、図4に示す段差部)に起因して生じる影の位置や向きは、例えば、駆動部2の移動軌跡等を設定するティーチング(教示)や実験等により予め把握可能である。
【0036】
図2に示すように、本実施形態では、第2光源52は、複数の第2発光部521を備えている。複数の第2発光部521は、検査対象領域Aに向けて光を照射する。複数の第2発光部521は、列状に配置されている。本実施形態では、複数の第2発光部521は、第1方向Xに並んで配置されている。本例では、複数の第2発光部521のそれぞれは、発光ダイオードである。
【0037】
本実施形態では、第2光源52は、直接光の照射方向を変更可能に構成されている。より詳しくは、第2光源52は、直接光の照射方向を、撮像装置4の撮像方向に対して変更可能に構成されている。本例では、第2光源52を保持する保持体53が、第1方向Xに沿う軸心Axを中心として回動するように、支持部材9の第2支持部92に支持されている。なお、本例では、保持体53の回動は、制御装置10により制御されている。ここで、第2光源52による直接光の照射方向は、対象面Sにおける第1光源51の拡散光の照射により影が生じている領域に対して直交する方向或いはそれに近い方向に沿うように設定されると好適である。影が生じている領域が曲面である場合には、第2光源52による直接光の照射方向は、影の中心領域に対して直交する方向或いはそれに近い方向に沿うように設定されると好適である。制御装置10は、第2光源52による直接光の照射方向が、第1光源51の拡散光の照射により影が生じている領域に対して直交する方向にできるだけ近くなるように、保持体53の角度を制御する。
【0038】
本実施形態では、第2光源52により照射される直接光の照度である直接光照度は、対象面Sの凹凸(例えば、突起部Sa、図4に示す段差部)に応じて設定されている。また、第1光源51により照射される拡散光の照度である拡散光照度は、直接光照度に応じて設定されている。直接光照度は、例えば、突起部Saの高さ(第3方向Zの寸法)や幅(第1方向X及び第2方向Yの寸法)等に基づいて設定される。また、拡散光照度は、例えば、直接光照度よりも小さい値に設定されている。なお、本例では、直接光照度及び拡散光照度は、制御装置10により変更される。なお、直接光照度及び拡散光照度は、撮像装置4においてレンズフレアが生じない範囲内に設定される。
【0039】
本実施形態では、第2光源52は、複数の第2発光部521からの光を、導光板511を通して検査対象領域Aに照射するように配置されている。そのため、複数の第2発光部521からの光は、拡散面511bから導光板511に入射し、導光板511を通って照射面511aから検査対象領域Aに照射される。
【0040】
また、本実施形態では、撮像装置4は、導光板511を通して検査対象領域Aを撮像するように配置されている。本例では、撮像装置4は、導光板511の拡散面511bに対して第3方向Zに対向するように配置されている。つまり、撮像装置4は、第3方向Zに沿う方向視で、導光板511と重複するように配置されている。
【0041】
本実施形態では、第1光源51は、ハウジング7の開口部7aの少なくとも一部を覆うように配置されている。本例では、第1光源51の導光板511が、ハウジング7の開口部7aの一部を覆うように配置されている。
【0042】
上述したように、本実施形態では、撮像装置4は、導光板511を通して検査対象領域Aを撮像するように配置されている。そして、第1光源51は、ハウジング7の開口部7aの少なくとも一部を覆うように配置されている。そのため、本実施形態では、撮像装置4は、ハウジング7の開口部7aを通して検査対象領域Aを撮像するように配置されている。また、上述したように、本実施形態では、第2光源52は、複数の第2発光部521からの光を、導光板511を通して検査対象領域Aに照射するように配置されている。そのため、本実施形態では、第2光源52は、ハウジング7の開口部7aを通して検査対象領域Aに直接光を照射するように配置されている。
【0043】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、対象面Sの凹凸として、対象面Sの一部が盛り上がるように突起部Saが対象面Sに形成された構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、対象面Sの凹凸は、対象面Sの一部が窪むように形成された凹部であっても良いし、このような凹部と凸部とが複合した凹凸形状であっても良い。
【0044】
(2)上記の実施形態では、第2光源52により照射される直接光の照度である直接光照度が、対象面Sの凹凸(例えば、突起部Sa、図4に示す段差部)に応じて設定される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、直接光照度が、対象面Sの色彩に応じて設定される構成としても良い。この構成では、例えば、対象面Sの明度が低い場合には直接光照度を高くし、対象面Sの明度が高い場合には直接光照度を低くすると好適である。
【0045】
(3)上記の実施形態では、第2光源52が直接光の照射方向を変更可能な構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、直接光の照射方向が固定された構成としても良い。例えば、上記の実施形態の構成において、第2光源52の直接光の照射方向が、撮像装置4の撮像方向に対して固定されていても良い。
【0046】
(4)上記の実施形態では、ハウジング7を備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、ハウジング7を備えていない構成としても良い。
【0047】
(5)上記の実施形態では、第1光源51が、透光性を有する平板状の導光板511と、当該導光板511に向けて光を照射するように導光板511の周囲に配置された複数の第1発光部512と、を備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1光源51が、ドーム状のケースと、当該ケースの内面に向けて光を照射するようにケースの内側に配置された複数の発光部と、を備えた、所謂ドーム照明であっても良い。
【0048】
(6)上記の実施形態では、第2光源52が、列状に配置された複数の第2発光部521を備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、複数の第2発光部521が環状に配置された構成としても良い。或いは、第2光源52が、1つのみの第2発光部521を備えた構成としても良い。
【0049】
(7)上記の実施形態では、第2光源52が、複数の第2発光部521からの光を、導光板511を通して検査対象領域Aに照射するように配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第2光源52が、複数の第2発光部521からの光を、導光板511を通さずに検査対象領域Aに照射するように配置されていても良い。
【0050】
(8)上記の実施形態では、撮像装置4が、導光板511を通して検査対象領域Aを撮像するように配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、撮像装置4が、導光板511を通さずに検査対象領域Aを撮像するように配置されていても良い。
【0051】
(9)上記の実施形態では、制御装置10が、撮像装置4が取得した撮像画像IMに基づいて、対象面Sに対する塗布部1の相対位置を補正する位置補正制御を行う構成を例として説明した。位置補正制御は、塗布部1により塗布剤Pを塗布する工程を実施する前に1度だけ行っても良いし、当該工程中に複数回行っても良い。また、制御装置10が位置補正制御を行わない構成としても良い。
【0052】
(10)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0053】
〔上記実施形態の概要〕
以下では、上記において説明した、検査装置及び塗布装置の概要について説明する。
【0054】
検査装置は、
凹凸を有する対象面に塗布された塗布剤の状態を検査する検査装置であって、
前記対象面における規定の検査対象領域を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像可能な光を前記検査対象領域に向けて照射する照明装置と、を備え、
前記照明装置は、前記検査対象領域の全体に拡散光を照射する第1光源と、当該第1光源の拡散光の照射により前記凹凸に起因して生じる影に直接光を照射する第2光源と、を備えている。
【0055】
この構成によれば、塗布剤が塗布された対象面における検査対象領域の全体に対して、第1光源が拡散光を照射する。そして、当該拡散光の照射により対象面の凹凸に起因して生じる影に対して、第2光源が直接光を照射する。これにより、第1光源の拡散光の照射による対象面の凹凸に起因した影の発生を低減することができる。そのため、対象面に塗布剤が適切に塗布されているにも関わらず、塗布剤の塗布不良が生じていると誤って判断される可能性を低減することができる。したがって、対象面に凹凸が存在している場合であっても、対象面に塗布された塗布剤の状態を適切に検査することができる。
【0056】
ここで、前記第2光源により照射される直接光の照度である直接光照度は、前記凹凸に応じて設定され、
前記第1光源により照射される拡散光の照度は、前記直接光照度に応じて設定されると好適である。
【0057】
この構成によれば、検査対象領域を撮像装置による撮像に適した明るさとすることができる。したがって、対象面に塗布された塗布剤の状態を精度良く検査することができる。
【0058】
また、前記第2光源は、直接光の照射方向を変更可能に構成されていると好適である。
【0059】
この構成によれば、第1光源の拡散光の照射により対象面の凹凸に起因して生じる影の向きに応じて、適切に第2光源の直接光の照射を行うことができる。したがって、拡散光の照射によって対象面の凹凸に起因して生じる影の向きによらず、当該影の発生を適切に低減することができる。
【0060】
また、前記撮像装置及び前記照明装置に対する相対位置が固定された状態で、前記撮像装置及び前記照明装置を収容するハウジングを更に備え、
前記ハウジングは、当該ハウジングを貫通するように形成された開口部を備え、
前記撮像装置は、前記開口部を通して前記検査対象領域を撮像するように配置され、
前記第1光源は、前記開口部の少なくとも一部を覆うように配置され、
前記第2光源は、前記開口部を通して前記検査対象領域に直接光を照射するように配置されていると好適である。
【0061】
この構成によれば、撮像装置及び照明装置がハウジングに収容されている。これにより、撮像装置に対する外乱光の影響を低減することができる。また、撮像装置により検査対象領域を撮像する際に、検査対象領域がハウジングにより覆われる状態とすることが容易となる。これにより、検査対象領域に対する外乱光の影響を低減することができる。
また、本構成によれば、検査対象領域に拡散光を照射する第1光源を、検査対象領域に直接光を照射する第2光源よりも検査対象領域に近付けることが容易となる。これにより、検査対象領域を撮像装置による撮像に適した状態とすることが容易となる。
【0062】
また、前記第2光源は、列状に配置された複数の第2発光部を備え、
前記第1光源は、透光性を有する平板状の導光板と、前記導光板に向けて光を照射するように前記導光板の周囲に配置された複数の第1発光部と、を備え、
前記導光板は、複数の前記第1発光部からの光を前記検査対象領域に向けて拡散させるように構成されていると好適である。
【0063】
この構成によれば、第1光源が、平板状の導光板と、当該導光板の周囲に配置された複数の第1発光部と、を備えている。これにより、第1光源を全体として平板状に形成することができるため、第1光源の配置スペースを小さく抑えることができる。したがって、検査装置の小型化が容易となる。
また、本構成によれば、第2光源が、列状に配置された複数の第2発光部を備えている。これにより、第2光源による直接光の照射領域を広くすることが容易となる。したがって、対象面の凹凸に起因して生じる影が比較的大きい場合であっても、当該影に対して適切に直接光を照射することができる。
【0064】
また、前記第2光源は、複数の前記第2発光部からの光を、前記導光板を通して前記検査対象領域に照射するように配置され、
前記撮像装置は、前記導光板を通して前記検査対象領域を撮像するように配置されていると好適である。
【0065】
この構成によれば、複数の第2発光部からの光が導光板を通して検査対象領域に照射されると共に、複数の第1発光部からの光が導光板により検査対象領域に向けて拡散される。これにより、第1光源の拡散光と第2光源の直接光とを、適切に検査対象領域に照射することができる。
また、本構成によれば、撮像装置が導光板を通して検査対象領域を撮像する。これにより、撮像装置による撮像を検査対象領域に対して直交する方向から行い易い。したがって、検査対象領域を適切に撮像することができる。
【0066】
塗布装置は、
上記の検査装置を備えた塗布装置であって、
前記対象面に前記塗布剤を塗布する塗布部と、
前記塗布部を移動させる駆動部と、を備え、
前記駆動部は、前記検査装置を前記塗布部と共に移動させるように構成され、
前記撮像装置は、前記対象面における前記塗布部により前記塗布剤が塗布された領域が前記検査対象領域に含まれるように配置されている。
【0067】
この構成によれば、検査装置を塗布部に連動して移動させることが容易となる。これにより、塗布部により対象面に塗布剤を塗布した後、直ちに検査装置による塗布剤の状態の検査を開始することができる。したがって、塗布装置の作業時間を短縮することができる。
【0068】
ここで、前記駆動部を制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記撮像装置が前記検査対象領域を撮像することによって取得した情報に基づいて、前記対象面に対する前記塗布部の相対位置を補正する位置補正制御を行うと好適である。
【0069】
この構成によれば、検査装置の撮像装置を用いて、対象面に塗布された塗布剤の状態の検査に加えて、塗布部の位置補正も行うことができる。したがって、塗布部の位置補正用の撮像装置を別途備えた構成と比べて、塗布装置の構成の簡略化及び低コスト化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示に係る技術は、凹凸を有する対象面に塗布された塗布剤の状態を検査する検査装置、及びそれを備えた塗布装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
100 :塗布装置
1 :塗布部
2 :駆動部
3 :検査装置
4 :撮像装置
5 :照明装置
51 :第1光源
52 :第2光源
S :対象面
Sa :突起部(凹凸)
P :塗布剤
A :検査対象領域
図1
図2
図3
図4