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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/12 20160101AFI20240723BHJP
   B60W 20/15 20160101ALI20240723BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20240723BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B60W20/12 ZHV
B60W20/15
B60W10/06 900
B60W10/26 900
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021120619
(22)【出願日】2021-07-21
(65)【公開番号】P2023016360
(43)【公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(72)【発明者】
【氏名】杉山 宏石
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-025898(JP,A)
【文献】特開2021-001815(JP,A)
【文献】特開2021-022169(JP,A)
【文献】特開2021-117529(JP,A)
【文献】特開2021-008852(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03085766(EP,A1)
【文献】特開2021-030945(JP,A)
【文献】特開2021-035229(JP,A)
【文献】特開2012-202773(JP,A)
【文献】特開2021-001579(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0167641(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20- 6/547
B60W 10/00-20/50
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
B60L 1/00- 3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンおよびモータを含む複数の動力源と、前記モータに対して電力の授受を行うバッテリとを備えたハイブリッド車両の前記エンジンから排出される二酸化炭素を回収するシステムであって、大気中から二酸化炭素を捕集して回収する定置式CO回収装置が設置されたCO回収道路を有するCO回収区域を走行する前記ハイブリッド車両から前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収システムにおいて、
前記ハイブリッド車両は、
少なくとも、前記バッテリの充電残量、および、前記ハイブリッド車両の位置情報をそれぞれ取得するとともに、前記エンジンの動作を制御するコントロールユニットと、
前記コントロールユニットが出力する情報を前記ハイブリッド車両の運転者に告知する告知機器と、
を備え、
前記コントロールユニットは、
前記ハイブリッド車両が前記CO回収区域内を走行する際に、前記充電残量が所定のSOC閾値以下になった場合、または、前記充電残量が前記SOC閾値以下になることを予測した場合に、前記告知機器を介して、前記ハイブリッド車両が前記CO回収道路を走行するように誘導する
ことを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項2】
エンジンおよびモータを含む複数の動力源と、前記モータに対して電力の授受を行うバッテリとを備えたハイブリッド車両の前記エンジンから排出される二酸化炭素を回収するシステムであって、大気中から二酸化炭素を捕集して回収する定置式CO回収装置が設置されたCO回収道路を有するCO回収区域を走行する前記ハイブリッド車両から前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収システムにおいて、
前記ハイブリッド車両は、
運転操作を自動制御して走行する自動運転走行が可能な自動運転車両であり、
少なくとも、前記バッテリの充電残量、および、前記ハイブリッド車両の位置情報をそれぞれ取得するとともに、前記運転操作、および、前記エンジンの動作をそれぞれ制御するコントロールユニットを備え、
前記コントロールユニットは、
前記ハイブリッド車両が前記自動運転走行で前記CO回収区域内を走行する際に、前記充電残量が所定のSOC閾値以下になった場合、または、前記充電残量が前記SOC閾値以下になることを予測した場合に、前記ハイブリッド車両が前記CO回収道路を走行するように制御する
ことを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の二酸化炭素回収システムにおいて、
前記コントロールユニットは、
前記ハイブリッド車両が前記CO回収道路を走行する際に、前記エンジンを稼働し、前記モータで発電を行って前記バッテリを充電する
ことを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システムにおいて、
前記コントロールユニットは、
前記充電残量がエンジン始動閾値以下になった場合に、前記エンジンを稼働し、前記モータで発電を行って前記バッテリを充電するとともに、
前記ハイブリッド車両が前記CO回収区域内を走行する際に、前記充電残量が前記SOC閾値以下になった後に、または、前記充電残量が前記SOC閾値以下になることを予測した後に、前記ハイブリッド車両が前記CO回収道路に向かって走行する場合に、前記エンジン始動閾値を一時的に小さくする
ことを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項5】
エンジンおよびモータを含む複数の動力源と、前記モータに対して電力の授受を行うバッテリとを備えたハイブリッド車両の前記エンジンから排出される二酸化炭素を回収するシステムであって、大気中から二酸化炭素を捕集して回収する定置式CO回収装置が設置されたCO回収道路を有するCO回収区域を走行する前記ハイブリッド車両から前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収システムにおいて、
前記ハイブリッド車両と前記ハイブリッド車両の運転者との間で情報および信号をやり取りするとともに、所定の情報を前記運転者に告知する告知部を有するHMI装置を備え、
前記HMI装置は、
少なくとも、前記バッテリの充電残量、および、前記ハイブリッド車両の位置情報を取得し、
前記ハイブリッド車両が前記CO回収区域内を走行する際に、前記充電残量が所定のSOC閾値以下になった場合、または、前記充電残量が前記SOC閾値以下になることを予測した場合に、前記ハイブリッド車両が前記CO回収道路を走行するように誘導する情報を、前記運転者に告知する
ことを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両から排出される二酸化炭素を捕集して回収する二酸化炭素回収システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両ごとに回収される二酸化炭素(CO)の回収量を正確に集計して管理することを目的とした情報管理システムに関する発明が記載されている。この特許文献1に記載された情報管理システムは、車両ごとに搭載され、情報の送受信が可能な複数の外部装置、および、それら複数の外部装置と互いに通信可能に構成されたサーバを備えている。外部装置は、CO回収装置を搭載した各車両によって回収された二酸化炭素の回収量を、それぞれ、サーバに送信する。サーバは、各外部装置から送信されてきた二酸化炭素の回収量を集計して管理するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-8852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載された情報管理システムで対象にする車両は、エンジン(内燃機関)を搭載した車両であり、なおかつ、CO回収装置が搭載されている。CO回収装置は、エンジンの排気管に接続されており、例えば、活性炭やゼオライトなどの固体吸着作用を利用して、エンジンの排ガス中から二酸化炭素を捕集して回収する。したがって、車両の走行中にエンジンから大気中に排出される二酸化炭素を削減することができる。そのようなCO回収装置が全ての車両に搭載されていれば、効果的に、大気中に排出される二酸化炭素の排出量を削減できる。しかしながら、現実的には、上記のようなCO回収装置を、既存の全ての車両に搭載することは困難である。そこで、車両の外部の道路や施設にCO回収装置を設置し、大気中に放出された排ガスから二酸化炭素を捕集して回収することが考えられる。例えば、道路トンネルやアンダーパスなど、排ガスが滞留しやすい場所にCO回収装置を設けることにより、効率よく、排ガス中の二酸化炭素を回収できる。そのような外部に設置されるCO回収装置によって、CO回収装置を搭載していない車両が排出する二酸化炭素も回収できる。
【0005】
ところで、エンジンと共にモータを搭載したハイブリッド車両は、エンジンを効率よく運転することができ、また、モータの回生制御によって、減速時や制動時の運動エネルギを回収して再利用することができる。そのため、ハイブリッド車両は、エンジンによる燃料消費を抑制でき、それに伴い、エンジンから排出される二酸化炭素の排出量も削減できる。そのような良好な燃費性能および環境負荷の低減効果が評価され、近年、ハイブリッド車両は広く普及している。但し、ハイブリッド車両であっても、エンジンが稼働する際には、エンジンの排ガスと共に二酸化炭素が排出される。ハイブリッド車両は、走行中、例えば、加速走行時や登坂走行時に大きな駆動力が必要になる場面、あるいは、バッテリの充電残量または充電状態[SOC;State Of Charge]が低くなった場合に、エンジンを稼働させる。しかしながら、ハイブリッド車両の走行中に、上記のようなエンジンが稼働する場所やタイミングを特定することは容易ではない。したがって、必ずしも、上記のようなCO回収装置が設置されている箇所でハイブリッド車両のエンジンが稼働されるとは限らない。上記のようなCO回収装置が設置されていない場所でハイブリッド車両のエンジンが稼働されると、エンジンの排ガスと共に二酸化炭素が大気中に放出されてしまう。
【0006】
このように、燃費性能や環境負荷の低減効果が良好なハイブリッド車両から排出される二酸化炭素を、より一層、効果的に削減するには、未だ改良の余地があった。
【0007】
この発明は、上記のような技術的課題に着目して考え出されたものであり、ハイブリッド車両から大気中に排出される二酸化炭素を、効果的に削減することが可能な二酸化炭素回収システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明は、エンジン(内燃機関)およびモータを含む複数の動力源と、前記モータに対して電力の授受を行うバッテリとを備えたハイブリッド車両の前記エンジンから排出される二酸化炭素を回収するシステムであって、大気中から二酸化炭素を捕集して回収する定置式CO回収装置が設置されたCO回収道路を有するCO回収区域を走行する前記ハイブリッド車両から前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収システムにおいて、前記ハイブリッド車両は、少なくとも、前記バッテリの充電残量(または、充電状態を表す数値)、および、前記ハイブリッド車両の位置情報をそれぞれ取得するとともに、前記エンジンの動作を制御するコントロールユニットと、前記コントロールユニットが出力する情報を前記ハイブリッド車両の運転者に告知する告知機器と、を備え、前記コントロールユニットは、前記ハイブリッド車両が前記CO回収区域内を走行する際に、前記充電残量が所定のSOC閾値以下になった場合、または、前記充電残量が前記SOC閾値以下になることを予測した場合に、前記告知機器を介して、前記ハイブリッド車両が前記CO回収道路を走行するように誘導することを特徴とするものである。
【0009】
また、この発明は、エンジン(内燃機関)およびモータを含む複数の動力源と、前記モータに対して電力の授受を行うバッテリとを備えたハイブリッド車両の前記エンジンから排出される二酸化炭素を回収するシステムであって、大気中から二酸化炭素を捕集して回収する定置式CO回収装置が設置されたCO回収道路を有するCO回収区域を走行する前記ハイブリッド車両から前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収システムにおいて、前記ハイブリッド車両は、例えば所定の走行計画に基づき、運転操作を自動制御して走行する自動運転走行が可能な自動運転車両であり、少なくとも、前記バッテリの充電残量(または、充電状態を表す数値)、および、前記ハイブリッド車両の位置情報をそれぞれ取得するとともに、前記運転操作、および、前記エンジンの動作をそれぞれ制御するコントロールユニットを備え、前記コントロールユニットは、前記ハイブリッド車両が前記自動運転走行で前記CO回収区域内を走行する際に、前記充電残量が所定のSOC閾値以下になった場合、または、前記充電残量が前記SOC閾値以下になることを予測した場合に、前記ハイブリッド車両が前記CO回収道路を走行するように制御する(例えば、前記CO回収道路を走行するように走行計画を設定または変更する)ことを特徴とするものである。
【0010】
また、この発明における前記コントロールユニットは、前記ハイブリッド車両が前記CO回収道路を走行する際に、前記エンジンを稼働し、前記モータで発電を行って前記バッテリを充電するように構成されてもよい。
【0011】
また、この発明における前記コントロールユニットは、前記充電残量がエンジン始動閾値以下になった場合に、前記エンジンを稼働し、前記モータで発電を行って前記バッテリを充電するとともに、前記ハイブリッド車両が前記CO回収区域内を走行する際に、前記充電残量が前記SOC閾値以下になった後に、または、前記充電残量が前記SOC閾値以下になることを予測した後に、前記ハイブリッド車両が前記CO回収道路に向かって走行する場合に、前記ハイブリッド車両が前記CO回収道路に到達するまで、前記エンジン始動閾値を一時的に小さくするように構成されてもよい。
【0012】
そして、この発明は、エンジン(内燃機関)およびモータを含む複数の動力源と、前記モータに対して電力の授受を行うバッテリとを備えたハイブリッド車両の前記エンジンから排出される二酸化炭素を回収するシステムであって、大気中から二酸化炭素を捕集して回収する定置式CO回収装置が設置されたCO回収道路を有するCO回収区域を走行する前記ハイブリッド車両から前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収システムにおいて、前記ハイブリッド車両と前記ハイブリッド車両の運転者との間で情報および信号をやり取りするとともに、所定の情報を前記運転者に告知する(あるいは、認識させる)告知部を有するHMI装置を備え、前記HMI装置は、少なくとも、前記バッテリの充電残量(または、充電状態を表す数値)、および、前記ハイブリッド車両の位置情報を取得し、前記ハイブリッド車両が前記CO回収区域内を走行する際に、前記充電残量が所定のSOC閾値以下になった場合、または、前記充電残量が前記SOC閾値以下になることを予測した場合に、前記ハイブリッド車両が前記CO回収道路を走行するように誘導する情報を、前記運転者に告知することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明の二酸化炭素回収システムは、CO回収区域内を走行するハイブリッド車両から排出される二酸化炭素を回収する。CO回収区域には、定置式CO回収装置を備えたCO回収道路が敷設されており、ハイブリッド車両がCO回収道路を走行する際に、ハイブリッド車両のエンジンから排出される二酸化炭素を、定置式CO回収装置で捕集して回収する。一般に、ハイブリッド車両は、エンジンを停止し、モータの出力トルクによって駆動力を発生して走行する状態では、二酸化炭素を排出しない。それに対して、ハイブリッド車両は、バッテリの充電残量が少なくなると、エンジンを稼働し、モータで発電を行ってバッテリを充電する。その際に、エンジンの排ガスと共に二酸化炭素が排出される。そこで、この発明の二酸化炭素回収システムでは、バッテリの充電残量を監視し、その充電残量が、所定のSOC閾値以下になった場合、または、バッテリの充電残量が、所定のSOC閾値以下になることを予測した場合に、ハイブリッド車両がCO回収道路に向かって走行するように制御する。すなわち、バッテリの充電残量が少なくなり、バッテリを充電するためにエンジンを稼働する必要性が生じた場合に、事前に(実際にエンジンを稼働する前に)、ハイブリッド車両をCO回収道路に向かわせることができる。
【0014】
例えば、この発明の二酸化炭素回収システムは、CO回収区域内を走行中のハイブリッド車両におけるバッテリの充電残量が、SOC閾値以下になった場合、または、そのバッテリの充電残量が、SOC閾値以下になることを予測した場合に、告知機器を介して、ハイブリッド車両の乗員(運転者)に、CO回収道路を走行するように促す情報や指示を告知する。それにより、ハイブリッド車両がCO回収道路を走行するように誘導する。したがって、この発明の二酸化炭素回収システムによれば、バッテリの充電残量が少なくなり、エンジンを稼働する必要があるハイブリッド車両に対して、事前に、ハイブリッド車両がCO回収道路を走行するように誘導することができる。そのため、ハイブリッド車両がCO回収道路を走行する際にエンジンを稼働することができ、その際にエンジンから排出される二酸化炭素を、CO回収道路上で、効率よく、回収することができる。
【0015】
あるいは、この発明の二酸化炭素回収システムは、ハイブリッド車両が、例えば、走行計画(走行予定経路)に基づいて自動運転される自動運転車両である場合に、その自動運転のハイブリッド車両がCO回収道路に向かって走行するように制御する。具体的には、CO回収区域内を走行中のハイブリッド車両(自動運転車両)おけるバッテリの充電残量が、SOC閾値以下になった場合、または、そのバッテリの充電残量が、SOC閾値以下になることを予測した場合に、自動運転のハイブリッド車両がCO回収道路を走行するように制御する。例えば、自動運転の走行計画を設定する。もしくは、自動運転の走行計画を変更する。したがって、この発明の二酸化炭素回収システムによれば、バッテリの充電残量が少なくなり、エンジンを稼働する必要がある自動運転のハイブリッド車両に対して、事前に、自動運転のハイブリッド車両がCO回収道路を走行するように、自動運転の走行計画を設定または変更することができる。そのため、自動運転のハイブリッド車両がCO回収道路を走行する際にエンジンを稼働することができ、その際にエンジンから排出される二酸化炭素を、CO回収道路上で、効率よく、回収することができる。
【0016】
また、この発明の二酸化炭素回収システムは、CO回収道路に向かって走行したハイブリッド車両(自動運転のハイブリッド車両も含む)が、CO回収道路に到達すると、エンジンを始動してバッテリの充電を開始する(すなわち、後述するSOC回復制御を実行する)。その際に、エンジンを稼働することによって排出される二酸化炭素は、CO回収道路に設置されている定置式CO回収装置に捕集されて回収される。したがって、この発明の二酸化炭素回収システムによれば、ハイブリッド車両から大気中に排出される二酸化炭素を、効果的に削減することができる。
【0017】
また、この発明の二酸化炭素回収システムは、ハイブリッド車両(自動運転のハイブリッド車両も含む)が、CO回収区域内を走行する際に、バッテリの充電残量がSOC閾値以下になった後に、または、バッテリの充電残量が前記SOC閾値以下になることを予測した後に、そのハイブリッド車両がCO回収道路に向かって走行する場合、一時的に(すなわち、ハイブリッド車両がCO回収道路に到達するまで)、エンジン始動閾値を小さくする。エンジン始動閾値は、通常時に、バッテリの過放電を防止し、バッテリを保護するために設定される閾値である。そのエンジン始動閾値を一時的に小さくすることにより、バッテリの充電残量が低下した場合に、エンジンを始動する時期が遅らされる。そのため、CO回収区域内を走行するハイブリッド車両のバッテリの充電残量が少なくなり、ハイブリッド車両がCO回収道路に向かって走行する場合に、エンジンが始動される時期を遅らせることができ、ハイブリッド車両がCO回収道路に到達する前にエンジンが始動されてしまうことを抑制できる。それにより、ハイブリッド車両がCO回収道路を走行する際にエンジンが稼働される頻度や割合を高めることができる。したがって、この発明の二酸化炭素回収システムによれば、ハイブリッド車両から大気中に排出される二酸化炭素を、より一層、効果的に削減することができる。
【0018】
そして、この発明の二酸化炭素回収システムは、車両と車両の運転者との間で情報および信号をやり取りするHMI装置を備えている。HMI装置は、例えば、ディスプレイ(または、モニタ)やタッチパネル、あるいは、スピーカなど、所定の情報を車両の運転者に告知する告知部を有している。例えば、モニタに画像や映像を表示して、所定の情報を運転者に認識させる。あるいは、スピーカから音声案内を再生して、所定の情報を運転者に認識させる。そして、HMI装置は、車両のバッテリの充電残量、および、車両の位置情報をそれぞれ取得するとともに、車両がCO回収区域内を走行する際に、バッテリの充電残量が所定のSOC閾値以下になった場合、または、バッテリの充電残量がSOC閾値以下になることを予測した場合に、車両がCO回収道路を走行するように促す情報や指示を、車両の運転者に告知する。したがって、この発明の二酸化炭素回収システムにおけるHMI装置をハイブリッド車両に搭載することにより、容易に、バッテリの充電残量が少なくなり、エンジンを稼働する必要が生じるハイブリッド車両に対して、事前に(実際にエンジンを稼働する前に)、ハイブリッド車両がCO回収道路を走行するように誘導することができる。そのため、ハイブリッド車両がCO回収道路を走行する際にエンジンを稼働することができ、その際に排出される二酸化炭素を、CO回収道路上で、効率よく、回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の二酸化炭素回収システムを運用してハイブリッド車両から二酸化炭素を回収する例を説明するための図であって、CO回収区域内を走行するハイブリッド車両を、定置式CO回収装置が設置されたCO回収道路に誘導する制御のイメージを示す図である。
図2】この発明の二酸化炭素回収システムを運用してハイブリッド車両から二酸化炭素を回収する例を説明するための図であって、ハイブリッド車両が、定置式CO回収装置が設置されたCO回収道路上でエンジンを稼働してバッテリを充電する制御(SOC回復制御)のイメージを示す図である。
図3】この発明の二酸化炭素回収システムで制御の対象とするハイブリッド車両の概略構成を示す図である。
図4】この発明の二酸化炭素回収システムの構成を説明するための図であって、ハイブリッド車両に搭載される車載コントローラと、ハイブリッド車両の外部のサーバとから構成されるコントロールユニット、および、そのコントロールユニットに関係する制御系統および通信系統等を示すブロック図である。
図5】この発明の二酸化炭素回収システムの構成を説明するための図であって、ハイブリッド車両に搭載される車載コントローラ(第1ECU、および、第2ECU)から構成されるコントロールユニット、および、そのコントロールユニットに関係する制御系統および通信系統等を示すブロック図である。
図6】この発明の二酸化炭素回収システムによって実行される制御の一例を説明するための図であって、特に、ハイブリッド車両の位置情報およびバッテリのSOC情報を、サーバ等に送信する制御の内容を示すフローチャートである。
図7】この発明の二酸化炭素回収システムによって実行される制御の一例を説明するための図であって、特に、取得したハイブリッド車両の位置情報およびバッテリのSOC情報等に基づいて、CO回収道路3を通る走行ルートを設定する制御の内容を示すフローチャートである。
図8】この発明の二酸化炭素回収システムによって実行される制御の一例を説明するための図であって、特に、設定されたCO回収道路3を通る走行ルートを、ハイブリッド車両の運転者に告知(提示)する制御の内容を示すフローチャートである。
図9】この発明の二酸化炭素回収システムによって実行される制御の一例を説明するための図であって、特に、CO回収区域内を走行するハイブリッド車両が定置式CO回収装置が設置されたCO回収道路に向かう際に、ハイブリッド車両がCO回収道路3に到達するまで、一時的に、エンジン始動閾値を低下させ、エンジンの始動開始時期を遅らせる制御の内容を示すフローチャートである。
図10】この発明の二酸化炭素回収システムを運用してハイブリッド車両から二酸化炭素を回収する例を説明するための図であって、CO回収区域内を走行するハイブリッド車両が定置式CO回収装置が設置されたCO回収道路に向かう際に、一時的に、エンジン始動閾値を低下させる制御のイメージを示す図である。
図11】この発明の二酸化炭素回収システムによって実行される制御の一例を説明するための図であって、特に、CO回収道路に誘導されたハイブリッド車両がCO回収道路3に到達した際に、エンジンを始動してSOC回復制御を実行する制御の内容を示すフローチャートである。
図12】この発明の二酸化炭素回収システムによって実行される制御の一例を説明するための図であって、特に、告知したCO回収道路3を通る走行ルートを走行し、CO回収道路上でエンジンから排出される二酸化炭素の回収が行われた際に、ハイブリッド車両の乗員(運転者)に、インセンティブを付与する制御の内容を示すフローチャートである。
図13】この発明の二酸化炭素回収システムの構成を説明するための図であって、自動運転走行が可能なハイブリッド車両に搭載される車載コントローラ(第1ECU、および、第2ECU)から構成されるコントロールユニット、および、そのコントロールユニットに関係する制御系統および通信系統等を示すブロック図である。
図14】この発明の二酸化炭素回収システムによって実行される制御の一例を説明するための図であって、特に、設定されたCO回収道路3を通る走行ルートで、ハイブリッド車両を自動運転走行させる制御の内容を示すフローチャートである。
図15】この発明の二酸化炭素回収システムの構成を説明するための図であって、ハイブリッド車両に搭載されるHMI装置、および、そのHMI装置に関係する制御系統および通信系統等を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、この発明を具体化した場合の一例に過ぎず、この発明を限定するものではない。
【0021】
この発明の実施形態における二酸化炭素回収システムは、図1に示すように、CO回収区域1内を走行するハイブリッド車両HEVから排出される二酸化炭素を捕集して回収する。CO回収区域1には、定置式CO回収装置2を備えたCO回収道路3が敷設されており、図2に示すように、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行する際に、後述するハイブリッド車両HEVのエンジン11から排出される二酸化炭素を、定置式CO回収装置2で回収する。
【0022】
CO回収区域1は、CO回収道路3を有する区域または領域、もしくは、範囲であり、CO回収道路3の敷設場所および敷設数に応じて設定される。例えば、CO回収道路3が敷設されている場所から所定距離の範囲内(圏内)の区域が、CO回収区域1として、予め設定されている。
【0023】
定置式CO回収装置2は、大気中、特に、大気中に放出された排ガスから二酸化炭素を捕集して回収する。この発明の実施形態における定置式CO回収装置2は、主として、エンジンを搭載した車両の排ガス中の二酸化炭素を回収または収集する。そのため、定置式CO回収装置2は、例えば、道路トンネルやアンダーパス、あるいは、登坂路の開始地点付近など、車両の排ガスが滞留しやすい場所に定置される。そのような場所に定置式CO回収装置2を設けることにより、車両から排出される排ガス中の二酸化炭素を効率よく回収できる。
【0024】
なお、定置式CO回収装置2における二酸化炭素の回収は、例えば、特開2021-8852号公報に記載されているような「物理吸着法」、「物理吸収法」、「化学吸収法」、および、「深冷分離法」など、周知の、種々の方法・技術を適用して行うことができる。「物理吸着法」では、例えば、活性炭やゼオライトなどの固体吸着剤と排ガスとを接触させることによって二酸化炭素を固体吸着剤に吸着させ、二酸化炭素が吸着した固体吸着剤を加熱または減圧することにより、固体吸着剤から二酸化炭素を脱離させて回収する。「物理吸収法」では、例えば、メタノールやエタノールなど、二酸化炭素を溶解させることが可能な吸収液と排ガスとを接触させて高圧・低温の下で物理的に二酸化炭素を吸収液に吸収させ、二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱または減圧することにより、吸収液から二酸化炭素を回収する。「化学吸収法」では、例えば、アミンのように、二酸化炭素を選択的に溶解させることが可能な吸収液と排ガスとを接触させ、その際に生じる化学反応によって二酸化炭素を吸収液に吸収させ、二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱することにより、吸収液から二酸化炭素を解離させて回収する。「深冷分離法」では、排ガスを圧縮および冷却することによって二酸化炭素を液化させ、液化させたCOを選択的に蒸留させることにより、二酸化炭素を回収する。
【0025】
CO回収道路3は、上記の定置式CO回収装置が設置された道路であり、例えば、定置式CO回収装置2が設置されたトンネル内の道路、あるいは、定置式CO回収装置2が設置されたアンダーパスを形成している道路である。上述のとおり、CO回収道路3は、CO回収区域1の中に敷設されている。言い換えると、定置式CO回収装置2を設置したCO回収道路3の周囲に、所定の距離範囲内でCO回収区域1が設定されている。なお、一つのCO回収区域1ごとに、一箇所のCO回収道路3が敷設されていてもよい。あるいは、一つのCO回収区域1の中に、複数のCO回収道路3が敷設されていてもよい。
【0026】
この発明の実施形態で制御の対象にするハイブリッド車両HEVは、エンジン(内燃機関)およびモータを含む複数の動力源と、その動力源のモータに対して電力の授受を行うバッテリとを備えている。そのハイブリッド車両HEVのエンジンは、少なくとも走行または発電のための動力を発生する内燃機関であり、燃料を燃焼させて稼働する際に、二酸化炭素を含む排ガスを放出する。図3に、この発明の実施形態で制御の対象にするハイブリッド車両HEVの構成(駆動系統および制御系統)の一例を示してある。
【0027】
図3に示すハイブリッド車両HEVは、動力源として、エンジン(ENG)11、および、モータ(MG)12を備えている。また、ハイブリッド車両HEVは、その他の主要な構成要素として、駆動輪13、バッテリ(BAT)14、告知機器15、検出部16、および、車載コントローラ(ECU)17を備えている。なお、この発明の実施形態におけるハイブリッド車両HEVは、動力源として、モータ12の他に、一基または複数のモータを備えていてもよい。また、エンジン11およびモータ12と共に動力分割機構(図示せず)や変速機構(図示せず)などを備えたいわゆるハイブリッド駆動ユニットであってもよい。更に、この発明の実施形態におけるハイブリッド車両HEVは、動力源のモータ12とは別に、発電機(図示せず)を搭載するとともに、エンジン11に替えて、発電機を駆動する専用のエンジン(図示せず)を備えた、いわゆるレンジエクステンダー(あるいは、シリーズ方式のハイブリッド車両)であってもよい。
【0028】
エンジン11は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなど、液体燃料を用いる内燃機関である。エンジン11は、後述する車載コントローラ17により、出力の調整、ならびに、始動および停止などの作動状態が電気的に制御されるように構成されている。ガソリンエンジンであれば、スロットルバルブの開度、燃料の供給量または噴射量、点火の実行および停止、ならびに、点火時期などが電気的に制御される。ディーゼルエンジンであれば、燃料の噴射量、燃料の噴射時期などが電気的に制御される。図3に示す実施形態では、エンジン11は、ハイブリッド車両HEVの動力源として、モータ12と共に、ハイブリッド車両HEVの走行のための動力を発生する。
【0029】
モータ12は、例えば、永久磁石式の同期モータ、あるいは、誘導モータなどによって構成されている。モータ12は、少なくとも、電力が供給されることにより駆動されてトルクを出力する原動機としての機能を有している。また、モータ12は、外部からトルクを受けて駆動されることによって電力を発生する発電機としての機能も有している。すなわち、モータ12は、原動機としての機能と発電機としての機能とを兼ね備えた、いわゆるモータ・ジェネレータである。モータ12には、インバータ(図示せず)を介して、後述するバッテリ14が接続されている。したがって、バッテリ14に蓄えられている電力をモータ12に供給し、モータ12を原動機として機能させて、駆動トルクを出力することができる。また、駆動輪13から伝達されるトルクによってモータ12を発電機として機能させて、その際に発生する回生電力をバッテリ14に蓄えることもできる。モータ12は、後述する車載コントローラ17により、出力回転数や出力トルクが電気的に制御される。また、上記のような原動機としての機能と発電機としての機能との切り替えなどが電気的に制御される。
【0030】
駆動輪13は、動力源が出力する駆動トルクが伝達されることにより、ハイブリッド車両HEVの駆動力を発生する。図3に示す実施形態では、駆動輪13は、変速機構18、デファレンシャルギヤ19、および、ドライブシャフト20などを介して、動力源、すなわち、エンジン11およびモータ12に連結されている。なお、この発明の実施形態におけるハイブリッド車両HEVは、図3に示す実施形態のように、駆動トルクを前輪に伝達し、前輪で駆動力を発生させる前輪駆動車であってもよい。あるいは、ハイブリッド車両HEVは、駆動トルクを、例えばプロペラシャフト(図示せず)等を介して後輪に伝達し、後輪で駆動力を発生させる後輪駆動車であってもよい。あるいは、ハイブリッド車両HEVは、トランスファ機構(図示せず)を設けて、駆動トルクを前輪および後輪の両方に伝達し、前輪および後輪の両方で駆動力を発生させる四輪駆動車であってもよい。
【0031】
バッテリ14は、モータ12に電力を供給すると共に、モータ12で発電した電力を蓄える二次電池であり、インバータ(図示せず)を介し、モータ12に対して電力の授受が可能なように、電気的に接続されている。したがって、エンジン11の出力トルクによってモータ12を発電機として駆動し、その際に発生するモータ12の発電電力でバッテリ14を充電することができる。
【0032】
告知機器15は、後述するこの発明の実施形態におけるコントロールユニット100が出力する情報を、ハイブリッド車両HEVの運転者に告知ための機器または装置である。例えば、コントロールユニット100から送信される画像・映像情報を、液晶ディスプレイ、タッチパネル、ヘッドアップディスプレイ、または、表示ランプ(いずれも、図示せず)などに表示して、ハイブリッド車両HEVの運転者に認識させる。あるいは、コントロールユニット100から送信される音声情報や音声案内等を、スピーカ(図示せず)から再生して、ハイブリッド車両HEVの運転者に認識させる。
【0033】
検出部16は、ハイブリッド車両HEVを制御する際に必要な各種のデータや情報を取得するための機器あるいは装置であり、例えば、電源部、マイクロコンピュータ、センサ、および、入出力インターフェース等(いずれも、図示せず)を含む。特に、この発明の実施形態における検出部16は、バッテリ14の充電残量または充電状態、および、ハイブリッド車両HEVの位置情報等に関連して、エンジン11の動作を制御するためのデータを検出する。具体的には、検出部16は、車速を検出する車速センサ(または、車輪速センサ)16a、エンジン11の回転数を検出するエンジン回転数センサ16b、モータ12の回転数を検出するモータ回転数センサ(または、レゾルバ)16c、バッテリ14の充電残量(充電状態を表す数値)を検出するSOCセンサ16d、データや情報を送受信したタイミングおよび経過時間を検出するタイマー16e、ハイブリッド車両HEVの位置情報を取得するGPS[Global Positioning System]受信器16f、ならびに、ハイブリッド車両HEVの外部状況に関する撮像情報を取得する車載カメラ16gなどの各種センサ・機器を有している。そして、検出部16は、後述する車載コントローラ17と電気的に接続されており、上記のような各種センサや機器・装置等の検出値または算出値に応じた電気信号を検出データとして車載コントローラ17に出力する。
【0034】
車載コントローラ17は、後述するこの発明の実施形態におけるコントロールユニット100を構成している。後述の図4に示す実施形態では、車載コントローラ17は、ハイブリッド車両HEVの外部に設けられたサーバ21と共に、コントロールユニット100を構成している。車載コントローラ17は、例えば、マイクロコンピュータを主体にして構成される電子制御装置であり、特に、この発明の実施形態における車載コントローラ17は、エンジン11の動作を制御する。具体的には、バッテリ14の充電残量、および、ハイブリッド車両HEVの位置情報等に基づいて、エンジン11を始動する。車載コントローラ17は、車載コントローラ17には、上記の検出部16で検出または算出された各種データが入力される。車載コントローラ17は、入力された各種データおよび予め記憶させられているデータや計算式等を使用して演算を行う。そして、車載コントローラ17は、その演算結果を制御指令信号として出力し、上記のような、エンジン11の動作を制御するように構成されている。なお、図3では、一つの車載コントローラ17が設けられたイメージを示しているが、車載コントローラ17は、制御する装置や機器毎に、あるいは制御内容毎に、複数設けられていてもよい。
【0035】
この発明の実施形態における二酸化炭素回収システムは、例えば、図4に示すように、ハイブリッド車両HEVを総合的に制御するコントロールユニット100を備えている。コントロールユニット100は、CO回収区域1内を走行するハイブリッド車両HEVのエンジン11を稼働する場合に、または、CO回収区域1内を走行するハイブリッド車両HEVのエンジン11を稼働することが予測される場合に、ハイブリッド車両HEVをCO回収道路3に誘導する。ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行するように促す情報や指示を、ハイブリッド車両HEVの運転者に告知する。
【0036】
図4に示す実施形態では、コントロールユニット100は、上記の車載コントローラ17、および、ハイブリッド車両HEVの外部に設けられたサーバ21から構成されている。コントロールユニット100は、車載コントローラ17とサーバ21との間でデータを送受信し、互いに共働して、ハイブリッド車両HEVを制御する。例えば、コントロールユニット100では、上記の検出部16で検出または算出された所定のデータを、車載コントローラ17からサーバ21に送信する。それとともに、車載コントローラ17は、サーバ21で演算した結果を受信する。そして、車載コントローラ17は、その演算結果に基づいて、ハイブリッド車両HEVを制御する。
【0037】
具体的には、コントロールユニット100は、主として、SOC監視部101、エンジン制御部102、および、告知情報出力部103、ならびに、データ格納部104、走行ルート作成部105、および、データ送受信部106を有している。この図4に示す実施形態では、SOC監視部101、エンジン制御部102、および、告知情報出力部103は、それぞれ、ハイブリッド車両HEVの車載コントローラ17に設けられている。一方、データ格納部104、走行ルート作成部105、および、データ送受信部106は、それぞれ、外部のサーバ21に設けられている。
【0038】
SOC監視部101は、バッテリ14の充電残量を監視する。具体的には、SOCセンサ16dで検出したバッテリ14の充電残量または充電状態を表す数値(SOC)を取得し、後述するSOC閾値Tやエンジン始動閾値T,Tなどの所定の閾値と比較する。
【0039】
エンジン制御部102は、エンジン11の動作を制御する。特に、この発明の実施形態におけるエンジン制御部102は、バッテリ14の充電残量、および、ハイブリッド車両HEVの位置情報に基づいて、エンジン11を始動する。例えば、後述するようにバッテリ14の充電残量がSOC閾値T以下になった後に、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3に到着した際に、エンジン11を始動する。
【0040】
告知情報出力部103は、後述するサーバ21の走行ルート作成部105で作成した走行ルートに関する情報を基に、告知機器15を介してハイブリッド車両HEVの運転者に認識させるための情報信号を生成して出力する。例えば、告知機器15のディスプレイに表示するための情報信号を出力する。あるいは、告知機器15のスピーカで再生するための情報信号を出力する。
【0041】
データ格納部104は、車載コントローラ17から受信した各種データや情報、および、サーバ21で演算処理した各種データや情報、ならびに、予め用意した地図情報等を、データベースとして記憶媒体(図示せず)に記憶する。例えば、定置式CO回収装置2の設置場所、および、その定置式CO回収装置2が設置されたCO回収道路3周辺の地図情報、すなわち、CO回収区域1に関する地図情報等が、データ格納部104に記憶されている。
【0042】
走行ルート作成部105は、車載コントローラ17から受信した各種データや情報、および、データ格納部104に記憶された地図情報等を基に、ハイブリッド車両HEVの走行ルートに関する情報を作成する。具体的には、車載コントローラ17から受信したバッテリ14の充電残量または充電状態に関するデータ(SOC情報)、および、ハイブリッド車両HEVの位置情報(現在位置)等に基づいて、ハイブリッド車両HEVの走行ルートに関する情報を作成する。バッテリ14の充電残量が少なく、エンジン11を稼働してバッテリ14を充電する必要がある場合には、ハイブリッド車両HEVを最寄りのCO回収道路3へ誘導するように、ハイブリッド車両HEVの走行ルートを作成する。
【0043】
データ送受信部106は、後述する通信モジュール107を介して、車載コントローラ17とサーバ21との間で情報およびデータを送受信する。例えば、車載コントローラ17側の通信モジュール107からサーバ21に送信される、ハイブリッド車両HEVの位置情報、バッテリ14のSOC情報、および、ハイブリッド車両HEVの目的地情報(ナビゲーションシステム等で目的地が設定されている場合)等を受信する。また、サーバ21から車載コントローラ17側の通信モジュール107に、走行ルート作成部105で作成したハイブリッド車両HEVの走行ルートに関する情報を送信する。
【0044】
図4に示す実施形態では、ハイブリッド車両HEVに、ハイブリッド車両HEVの車載コントローラ17と外部のサーバ21との間で情報およびデータの送受信を行うための通信モジュール(DCM)107が設けられている。
【0045】
通信モジュール107は、車載コントローラ17とサーバ21との間で無線通信を行う。通信モジュール107は、例えば、DCM[Data Communication Module]と称される専用通信システム(図示せず)をハイブリッド車両HEVに搭載し、車載コントローラ17とサーバ21のデータ送受信部106との間で、専用の通信回線を利用して、各種データを送受信する。汎用の通信機器(図示せず)を用い、一般の移動通信回線を利用して、データの送受信を行ってもよい。特に、この発明の実施形態では、通信モジュール107は、車載コントローラ17で取得したハイブリッド車両HEVの位置情報、バッテリ14のSOC情報、および、ハイブリッド車両HEVの目的地情報(ナビゲーションシステム等で目的地が設定されている場合)等を、サーバ21に送信する。また、通信モジュール107は、サーバ21の走行ルート作成部105で作成したハイブリッド車両HEVの走行ルートに関する情報を、車載コントローラ17に送信する。
【0046】
この発明の実施形態における二酸化炭素回収システムは、外部のサーバを用いずに、バッテリの充電残量、および、ハイブリッド車両HEVの位置情報をそれぞれ取得するとともに、エンジン11の動作を制御するコントロールユニットを構成してもよい。例えば、図5に示すコントロールユニット200は、上述の車載コントローラ17として、いずれも、ハイブリッド車両HEVに搭載された、第1ECU201、および、第2ECU202から構成されている。それら第1ECU201と第2ECU202とは、相互に情報およびデータのやり取りが可能なように、互いに接続されている。
【0047】
なお、この図5に示すコントロールユニット200において、前述の図4で示したコントロールユニット100と機能や制御内容等が同じ要素については、図4と同じ参照符号を付けてある。したがって、この図5に示す実施形態では、コントロールユニット200の第1ECU201は、前述の図4で示したコントロールユニット100の車載コントローラ17と同様に機能し、コントロールユニット200の第2ECU202は、前述の図4で示したコントロールユニット100のサーバ21と同様に機能する。
【0048】
また、図5では、第1ECU201および第2ECU202の二つの車載コントローラ17から構成されるコントロールユニット200のイメージを示しているが、この発明の実施形態におけるコントロールユニットは、例えば、上記のような第1ECU201と第2ECU202とが一体に統合されていてもよい。あるいは、例えば、制御内容や制御対象ごとに、三つ以上の車載コントローラ17から、コントロールユニットが構成されてもよい。
【0049】
前述したように、この発明の実施形態における二酸化炭素回収システムは、ハイブリッド車両HEVから大気中に排出される二酸化炭素を、効果的に削減することを主な目的にしている。そのために、この発明の実施形態における二酸化炭素回収システムは、以下の図6図7図8図9図11、および、図12の各フローチャートに示す制御をそれぞれ実行するように構成されている。
【0050】
図6のフローチャートに示す制御は、上述の図4で示した実施形態では、コントロールユニット100における車載コントローラ17で実行される。また、上述の図5で示した実施形態では、コントロールユニット200、すなわち、車載コントローラ17の第1ECU201で実行される。なお、この図6のフローチャートに示す制御は、後述する図13に示す実施形態では、コントローラ300、すなわち、車載コントローラ17の第1ECU301で実行される。また、後述する図15に示す実施形態では、HMI装置400の第1ECU401で実行される。
【0051】
図6に示すフローチャートにおいて、ステップS11では、前回、車載コントローラ17からサーバ21に、または、第1ECU201から第2ECU202に、ハイブリッド車両HEVの位置情報、および、バッテリ14のSOC情報、具体的には、バッテリ14の充電残量、または、充電状態を表す数値(SOC)を送信したタイミングから所定時間が経過したか否かが判断される。
【0052】
前回、ハイブリッド車両HEVの位置情報、および、バッテリ14のSOC情報を送信したタイミングから、未だ、所定時間が経過していないことにより、このステップS11で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、この図6のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
【0053】
それに対して、前回、ハイブリッド車両HEVの位置情報、および、バッテリ14のSOC情報を送信したタイミングから、所定時間が経過したことにより、ステップS11で肯定的に判断された場合には、ステップS12へ進む。なお、制御の開始当初(初回のルーチン)では、次のステップS12で初回の情報およびデータを送信するために、このステップS11で肯定的に判断され、ステップS12へ進む。
【0054】
ステップS12では、ハイブリッド車両HEVの位置情報、および、バッテリ14のSOC情報が、車載コントローラ17からサーバ21に送信される。または、第1ECU201から第2ECU202に送信される。
【0055】
このステップS12で、ハイブリッド車両HEVの位置情報、および、バッテリ14のSOC情報が送信されると、その後、この図6のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
【0056】
上記の図6のフローチャートに示す制御で、ハイブリッド車両HEVの位置情報、および、バッテリ14のSOC情報が送信されると、それらの情報およびデータを受信する側で、次の図7のフローチャートに示す制御が実行される。すなわち、この図7のフローチャートに示す制御は、上述の図4で示した実施形態では、コントロールユニット100におけるサーバ21で実行される。また、上述の図5で示した実施形態では、コントロールユニット200、すなわち、車載コントローラ17の第2ECU202で実行される。なお、この図7のフローチャートに示す制御は、後述する図13に示す実施形態では、コントローラ300、すなわち、車載コントローラ17の第2ECU302で実行される。また、後述する図15に示す実施形態では、HMI装置400の第2ECU402で実行される。
【0057】
図7に示すフローチャートにおいて、ステップS21では、コントロールユニット100におけるサーバ21で、または、コントロールユニット200における第2ECU202で、ハイブリッド車両HEVの位置情報、および、バッテリ14のSOC情報を受信したか否かが判断される。
【0058】
未だ、ハイブリッド車両HEVの位置情報、および、バッテリ14のSOC情報を受信していないことにより、このステップS21で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、この図7のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
【0059】
それに対して、ハイブリッド車両HEVの位置情報、および、バッテリ14のSOC情報を受信したことにより、ステップS21で肯定的に判断された場合には、ステップS22へ進む。
【0060】
ステップS22では、取得したSOC情報から、バッテリ14のSOC(または、充電残量)が、所定のSOC閾値T以下であるか否か、または、バッテリ14のSOCが、所定のSOC閾値T以下になることが予測されるか否か、が判断される。SOC閾値Tは、比較的近い将来に、例えば、数十分から数時間の所定時間後に、あるいは、数kmから数十kmの走行後に、バッテリ14のSOCが、後述するようなエンジン始動閾値Tを下回り、エンジン11が始動されること、または、エンジン11の始動が予測されること、を判定するための閾値である。SOC閾値は、ハイブリッド車両HEVの特性や性能などに応じて、また、実車による走行実験やシミュレーション等の結果に基づいて、予め設定されている。また、この場合の“予測”は、例えば、“バッテリ14のSOCが、所定時間後に、SOC閾値T以下になることの予測”、あるいは、“バッテリ14のSOCが、所定距離走行後に、SOC閾値T以下になることの予測”である。したがって、言い換えると、このステップS22では、ハイブリッド車両HEVがこのまま走行を継続すると、バッテリ14の充電残量が低下することによって、エンジン11が始動されてしまうか否かが判断される。
【0061】
バッテリ14のSOCがSOC閾値Tよりも大きく、ハイブリッド車両HEVがこのまま走行を継続しても、当面、バッテリ14の充電残量が低下することに起因するエンジン11の始動はないこと、または、バッテリ14の充電残量が低下することに起因するエンジン11の始動はないと予測されることにより、このステップS22で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、この図7のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
【0062】
それに対して、バッテリ14のSOCがSOC閾値T以下となり、ハイブリッド車両HEVがこのまま走行を継続すると、バッテリ14の充電残量が低下することに起因してエンジン11が始動されること、または、バッテリ14の充電残量が低下することに起因するエンジン11の始動が予測されることにより、ステップS22で肯定的に判断された場合には、ステップS23へ進む。
【0063】
ステップS23では、取得したハイブリッド車両HEVの位置情報(現在位置)、および、定置式CO回収装置2の設置場所に関する情報(定置式CO回収装置2が設置されたCO回収道路3周辺の地図情報、CO回収区域1に関する地図情報等)、ならびに、ハイブリッド車両HEVの目的地情報(ナビゲーションシステム等で目的地が設定されている場合)から、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を通る走行ルートを設定できるか否か判断される。
【0064】
例えば、所定時間後または所定距離走行後の予測される走行地点の周辺(所定範囲内)に、CO回収道路3が存在していないこと、あるいは、設定されている目的地と最寄りのCO回収道路3との距離の乖離が所定距離よりも大きいことに起因して、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を通る走行ルートを設定できないことにより、このステップS23で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、この図7のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
【0065】
それに対して、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を通る走行ルートを設定できることにより、ステップS23で肯定的に判断された場合には、ステップS24へ進む。
【0066】
ステップS24では、ハイブリッド車両HEVの運転者に告知するために、この後、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を通る走行ルートが設定される。ナビゲーションシステム等で目的地が設定されている場合は、その目的地に対して現在設定されている既設の走行ルートが、CO回収道路3を通る新しい走行ルートに変更される。既設の走行ルート上にCO回収道路3が含まれていれば、その既設の走行ルートが、そのまま、CO回収道路3を通る新しい走行ルートとして更新される。また、ナビゲーションシステム等で目的地が設定されていない場合には、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行するように誘導するために、あるいは、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行することを運転者に促すために、CO回収道路3を通る走行ルートが新たに設定される。それとともに、上記のようにして設定したCO回収道路3を通る走行ルートに関する情報およびデータが、サーバ21から車載コントローラ17に送信される。または、第2ECU202から第1ECU201に送信される。
【0067】
このステップS24で、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を通る走行ルートが設定され、その走行ルートに関する情報およびデータが送信されると、その後、この図7のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
【0068】
上記の図7のフローチャートに示す制御で、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を通る走行ルートに関する情報およびデータが送信されると、それらの情報およびデータを受信する側で、次の図8のフローチャートに示す制御が実行される。すなわち、この図8のフローチャートに示す制御は、上述の図4で示した実施形態では、コントロールユニット100における車載コントローラ17で実行される。また、上述の図5で示した実施形態では、コントロールユニット200、すなわち、車載コントローラ17の第1ECU201で実行される。なお、この図8のフローチャートに示す制御は、後述する図15に示す実施形態では、HMI装置400の第1ECU401で実行される。
【0069】
図8に示すフローチャートにおいて、ステップS31では、コントロールユニット100における車載コントローラ17で、または、コントロールユニット200における第1ECU201で、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を通る走行ルートに関する情報およびデータを受信したか否かが判断される。
【0070】
未だ、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を通る走行ルートに関する情報およびデータを受信していないことにより、このステップS31で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、この図8のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
【0071】
それに対して、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を通る走行ルートに関する情報およびデータを受信したことにより、ステップS31で肯定的に判断された場合には、ステップS32へ進む。
【0072】
ステップS32では、CO回収道路3を通る走行ルートが、ハイブリッド車両HEVの運転者に告知する。例えば、告知機器15の液晶モニタあるいはヘッドアップディスプレイに、CO回収道路3を通る走行ルートに関する情報が表示される。また、ナビゲーションシステム上の走行ルートまたは行先案内として、ナビゲーションシステムのディスプレイ(図示せず)に、設定されたCO回収道路3を通る走行ルートが表示される。あるいは、告知機器15のスピーカで、CO回収道路3を通る走行ルートに関する情報が再生される。告知機器15のモニタやヘッドアップディスプレイ、および、スピーカの両方を用いて、CO回収道路3を通る走行ルートに関する情報をハイブリッド車両HEVの運転者に告知するようにしてもよい。
【0073】
なお、後述する図15に示す実施形態では、このステップS32では、例えば、後述するHMI装置400における告知部403の液晶モニタあるいはヘッドアップディスプレイに、CO回収道路3を通る走行ルートに関する情報が表示される。また、ナビゲーションシステム上の走行ルートまたは行先案内として、後述するHMI装置400に組み込まれたナビゲーションシステムのディスプレイ(図示せず)に、設定されたCO回収道路3を通る走行ルートが表示される。あるいは、後述するHMI装置400における告知部403のスピーカで、CO回収道路3を通る走行ルートに関する情報が再生される。後述するHMI装置400における告知部403のモニタやヘッドアップディスプレイ、および、スピーカの両方を用いて、CO回収道路3を通る走行ルートに関する情報をハイブリッド車両HEVの運転者に告知するようにしてもよい。
【0074】
このステップS32で、CO回収道路3を通る走行ルートがハイブリッド車両HEVの運転者に告知されると、その後、この図8のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
【0075】
上記の図8のフローチャートに示す制御で、CO回収道路3を通る走行ルートがハイブリッド車両HEVの運転者に告知されると、引き続き、その走行ルートの告知を行った側で、次の図9のフローチャートに示す制御が実行される。すなわち、この図9のフローチャートに示す制御は、上述の図4で示した実施形態では、コントロールユニット100における車載コントローラ17で実行される。また、上述の図5で示した実施形態では、コントロールユニット200、すなわち、車載コントローラ17の第1ECU201で実行される。なお、この図9のフローチャートに示す制御は、後述する図13に示す実施形態では、コントローラ300、すなわち、車載コントローラ17の第1ECU301で実行される。
【0076】
図9に示すフローチャートにおいて、ステップS41では、ハイブリッド車両HEVが、告知されたCO回収道路3を通る走行ルートを走行しようとしているか否かが判断される。すなわち、CO回収道路3を通る走行ルートを告知されたハイブリッド車両HEVの運転者が、その告知された走行ルートに沿って、定置式CO回収装置2の設置場所に向かってハイブリッド車両HEVを運転しているか否かが判断される。例えば、GPS受信器16fから取得したハイブリッド車両HEVの位置情報等に基づいて、この場合のハイブリッド車両HEVの走行の動向を判断することができる。
【0077】
ハイブリッド車両HEVが、告知されたCO回収道路3を通る走行ルートを走行していないことにより、このステップS41で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、この図9のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
【0078】
それに対して、ハイブリッド車両HEVが、告知されたCO回収道路3を通る走行ルートを走行しようとしている、または、走行していることにより、ステップS41で肯定的に判断された場合には、ステップS42へ進む。
【0079】
ステップS42では、エンジン11を始動するエンジン始動閾値Tが、一時的に、変更される。具体的には、図10に、バッテリ14のSOCのイメージとして示すように、エンジン始動閾値Tが、一時的に、通常のエンジン始動閾値Tよりも小さいエンジン始動閾値Tに設定される。エンジン始動閾値Tは、前述のSOC閾値Tと同様に、バッテリ14のSOC(または、充電残量)に対する閾値であり、通常時に、バッテリ14の過放電を防止し、バッテリ14を保護するために設定されている。したがって、ハイブリッド車両HEVは、エンジン11が停止している状態で、バッテリ14のSOCがエンジン始動閾値T以下になると、バッテリ14を保護するために、エンジン11が始動される。そして、エンジン11が稼働して、そのエンジン11によって駆動されるモータ12で発電することにより、バッテリ14が充電される。このエンジン始動閾値Tは、通常の走行状態を想定して、許容し得るバッテリ14のSOCの下限値に対して、所定の余裕分(あるいは、安全率等)を考慮して、SOCの下限値よりも所定の余裕分大きい値に設定されている。このステップS41では、その所定の余裕分の範囲で、エンジン始動閾値Tが、一時的に、すなわち、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3に到達するまで、エンジン始動閾値Tよりも小さいエンジン始動閾値Tまで低下される。
【0080】
上記のように、エンジン始動閾値Tを、一時的に、小さなエンジン始動閾値Tに設定することにより、バッテリ14のSOCが低下した場合に、エンジン11を始動する時期が遅らされる。そのため、CO回収区域1内を走行するハイブリッド車両HEVのバッテリ14のSOCが少なくなり、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3に向かって走行する場合に、エンジン11が始動される時期を遅らせることができる。その結果、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3に到達する前に、エンジン11が始動されてしまうことを抑制できる。それにより、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行する際にエンジン11が稼働される頻度や割合を高めることができる。したがって、ハイブリッド車両HEVから大気中に排出される二酸化炭素を、効果的に削減することができる。
【0081】
上記のステップS42で、エンジン始動閾値Tが、一時的に、エンジン始動閾値Tよりも小さいエンジン始動閾値Tに変更されると、その後、この図8のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。なお、例えば、ハイブリッド車両HEVの現在地と、告知された走行ルート上のCO回収道路3との間の距離が短く、バッテリ14のSOCが通常のエンジン始動閾値T以下になる前に、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3に到達することが明らかな場合には、上記のステップS42の制御をスキップしてもよい。
【0082】
上記の図9のフローチャートに示す制御で、エンジン始動閾値Tが、一時的に、エンジン始動閾値Tよりも小さいエンジン始動閾値Tに変更されると、引き続き、そのエンジン始動閾値Tの変更を行った側で、次の図11のフローチャートに示す制御が実行される。すなわち、この図11のフローチャートに示す制御は、上述の図4で示した実施形態では、コントロールユニット100における車載コントローラ17で実行される。また、上述の図5で示した実施形態では、コントロールユニット200、すなわち、車載コントローラ17の第1ECU201で実行される。なお、この図11のフローチャートに示す制御は、後述する図13に示す実施形態では、コントローラ300、すなわち、車載コントローラ17の第1ECU301で実行される。
【0083】
図11に示すフローチャートにおいて、ステップS51では、ハイブリッド車両HEVが、CO回収道路3に到達したか否かが判断される。すなわち、ハイブリッド車両HEVの運転者が、告知されたCO回収道路3を通る走行ルートに沿ってハイブリッド車両HEVを運転し、実際に、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3に到達したか否かが判断される。例えば、GPS受信器16fから取得したハイブリッド車両HEVの位置情報、あるいは、車載カメラ16gによって取得したハイブリッド車両HEVの外部状況等に基づいて、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3に到達したか否かの判断を行うことができる。
【0084】
未だ、ハイブリッド車両HEVが、CO回収道路3に到達していないことにより、このステップS51で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、この図11のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
【0085】
それに対して、ハイブリッド車両HEVが、CO回収道路3に到達したことにより、ステップS51で肯定的に判断された場合には、ステップS52へ進む。
【0086】
ステップS52では、ハイブリッド車両HEVのエンジン11が始動されて、SOC回復制御が実行される。SOC回復制御は、ハイブリッド車両HEVのバッテリ14のSOC(充電残量)が低下した場合に、バッテリ14の過放電を防止し、バッテリ14を保護するために、強制的に、エンジン11を始動して、バッテリ14を充電する制御である。エンジン11を稼働し、そのエンジン11によってモータ12を駆動して発電させた電力により、バッテリ14が充電される。この発明の実施形態では、上記のように、通常時に(例えば、ハイブリッド車両HEVが、CO回収区域1外を走行している際に)、バッテリ14のSOCがエンジン始動閾値T以下になった場合に、SOC回復制御が実行される。それとともに、ハイブリッド車両HEVが、CO回収区域1内を走行している際に、バッテリ14のSOCが、SOC閾値T以下になり、CO回収道路3に誘導され、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行する際に、SOC回復制御が実行される。
【0087】
上記のステップS52で、ハイブリッド車両HEVのエンジン11が始動され、SOC回復制御が実行されると、その後、この図11のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
【0088】
この発明の実施形態における二酸化炭素回収システムでは、上記のように、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行した場合に、ハイブリッド車両の運転者(乗員)に、インセンティブを付与してもよい。具体的には、次の図12のフローチャートに示す制御が実行される。
【0089】
この図12のフローチャートに示す制御は、例えば、上述の図4で示した実施形態では、コントロールユニット100におけるサーバ21で実行される。また、上述の図5で示した実施形態では、コントロールユニット200、すなわち、車載コントローラ17の第2ECU202で実行される。なお、この図12のフローチャートに示す制御は、後述する図13に示す実施形態では、コントローラ300、すなわち、車載コントローラ17の第2ECU302で実行される。また、後述する図15に示す実施形態では、HMI装置400の第2ECU402で実行される。
【0090】
図12に示すフローチャートにおいて、ステップS61では、ハイブリッド車両HEVが新走行ルートでCO回収道路3を走行したか否かが判断される。具体的には、CO回収区域1内を走行しているハイブリッド車両HEVのバッテリ14のSOCが低下した際に、ハイブリッド車両HEVの運転者にCO回収道路3を通る走行ルート(新走行ルート)を告知して誘導したとおりに、ハイブリッド車両HEVが走行したか否かが判断される。例えば、GPS受信器16fから取得したハイブリッド車両HEVの位置情報、あるいは、車載カメラ16gによって取得したハイブリッド車両HEVの外部状況等に基づいて、ハイブリッド車両HEVが新走行ルートでCO回収道路3を走行したか否かの判断を行うことができる。
【0091】
未だ、ハイブリッド車両HEVが新走行ルートでCO回収道路3を走行していないことにより、このステップS61で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、この図12のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
【0092】
それに対して、ハイブリッド車両HEVが新走行ルートでCO回収道路3を走行したことにより、ステップS61で肯定的に判断された場合には、ステップS62へ進む。
【0093】
ステップS62では、ハイブリッド車両HEVの運転者(または、乗員、もしくは、所有者等)に、インセンティブが付与される。この場合のインセンティブは、例えば、報奨金または奨励金などの金銭に限らず、例えば、電子マネー、ポイント、商品券、割引券、賞品、もしくは、暗号通貨など、金銭に準ずるものであってもよい。
【0094】
上記のステップS62で、ハイブリッド車両HEVの運転者(または、乗員、もしくは、所有者等)に、インセンティブが付与されると、その後、この図12のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
【0095】
このように、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行した場合に、ハイブリッド車両の運転者(乗員)にインセンティブを付与するシステムを構築することにより、ハイブリッド車両の運転者(乗員)に、CO回収道路3を走行することに対するモチベーションを与えることができる。そのため、上記のようにCO回収区域1内を走行しているハイブリッド車両HEVのバッテリ14のSOCが低下した際に、ハイブリッド車両HEVの運転者にCO回収道路3を通る走行ルート(新走行ルート)を告知して誘導したとおりに、ハイブリッド車両HEVが走行することを促進することができる。それにより、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行する際にエンジン11が稼働される頻度や割合を高めることができる。したがって、ハイブリッド車両HEVから大気中に排出される二酸化炭素を、効果的に削減することができる。
【0096】
更に、この発明の実施形態における二酸化炭素回収システムは、自動運転走行が可能なハイブリッド車両HEVを制御の対象にすることができる。例えば、図13のブロック図に、自動運転走行が可能なハイブリッド車両HEVを対象にしたコントロールユニット300に関係する制御系統および通信系統等を示してある。
【0097】
コントロールユニット300は、運転操作を自動制御して走行する自動運転走行が可能なハイブリッド車両HEVを総合的に制御する。特に、この発明の実施形態におけるコントロールユニット300は、前述したような、CO回収区域1内を自動運転走行するハイブリッド車両HEVのエンジン11を稼働する場合に、または、CO回収区域1内を自動運転走行するハイブリッド車両HEVのエンジン11を稼働することが予測される場合に、ハイブリッド車両HEVをCO回収道路3に誘導する。具体的には、ハイブリッド車両HEVが自動運転走行でCO回収区域1内を走行する際に、バッテリ14の充電残量(SOC)がSOC閾値T以下になった場合、または、バッテリ14の充電残量(SOC)がSOC閾値T以下になることを予測した場合に、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行するように制御する。例えば、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行するように、自動運転の走行計画(予定走行経路)を設定または変更する。
【0098】
図13に示す実施形態では、コントロールユニット300は、前述した車載コントローラ17として、いずれも、ハイブリッド車両HEVに搭載された、第1ECU301、および、第2ECU302から構成されている。それら第1ECU301と第2ECU302とは、相互に情報およびデータのやり取りが可能なように、互いに接続されている。なお、この図13に示すコントロールユニット300において、前述の図4で示したコントロールユニット100、または、前述の図5で示したコントロールユニット200と機能や制御内容等が同じ要素については、図4または図5と同じ参照符号を付けてある。
【0099】
なお、図13では、第1ECU301および第2ECU302の二つの車載コントローラ17から構成されるコントロールユニット300のイメージを示しているが、この発明の実施形態におけるコントロールユニットは、例えば、上記のような第1ECU301と第2ECU302とが一体に統合されていてもよい。あるいは、例えば、制御内容や制御対象ごとに、三つ以上の車載コントローラ17から、コントロールユニットが構成されてもよい。
【0100】
コントロールユニット300は、前述のコントロールユニット100およびコントロールユニット200と同様に、SOC監視部101、および、エンジン制御部102、ならびに、データ格納部104、および、走行ルート作成部105を有している。また、コントロールユニット300は、自動運転制御部303を有している。この図13に示す実施形態では、SOC監視部101、エンジン制御部102、および、自動運転制御部303は、それぞれ、車載コントローラ17の第1ECU301に設けられている。一方、データ格納部104、および、走行ルート作成部105、それぞれ、車載コントローラ17の第2ECU302に設けられている。
【0101】
自動運転制御部303は、例えば、車載カメラ16gの撮像情報(外部状況)、いわゆる、RADAR[Radio Detection and Ranging](図示せず)、いわゆる、LIDAR[Laser Imaging Detection and Ranging](図示せず)、および、超音波センサ(図示せず)などの検出データ、ならびに、ナビゲーションシステム(図示せず)で演算された目標ルート、および、ハイブリッド車両HEVの位置情報(現在位置)等に基づいて、ハイブリッド車両HEVの進路(目標ルートに沿ってハイブリッド車両HEVが進行する走行経路)を生成する。また、自動運転制御部303は、目標ルート上で、安全に走行すること、法令を順守して走行すること、および、効率よく走行すること等の基準に沿って、ハイブリッド車両HEVが適切に走行することができるように、生成した進路に応じた走行計画を生成する。そして、生成した走行計画に基づいて、ハイブリッド車両HEVの走行を自動で制御する。すなわち、ハイブリッド車両HEVの運転操作を自動制御して、ハイブリッド車両HEVの自動運転走行を実現する。
【0102】
なお、上記のような走行計画に基づいてハイブリッド車両HEVを自動運転で走行させる制御に関しては、例えば、特開2016-99713号公報に記載されている。この発明の実施形態における、自動運転走行が可能なハイブリッド車両HEVは、一例として、前記の特開2016-99713号公報に記載されている内容や、その他の自動運転に関する制御技術を適用して、例えば、NHTSA[米国運輸省道路交通安全局]が策定した自動化レベルにおける「レベル4」、あるいは、米国のSAE[Society of Automotive Engineers]が策定した自動化レベルにおける「レベル4」および「レベル5」に該当する高度自動運転もしくは完全自動運転による走行が可能なように構成されている。
【0103】
この発明の実施形態における二酸化炭素回収システムでは、上記の図13に示す自動運転走行するハイブリッド車両HEVを制御の対象にして、前述した、図6図7図9図11、および、図12の各フローチャートで示した制御をそれぞれ実行することが可能である。そして、上記の図13に示す実施形態では、自動運転走行するハイブリッド車両HEVでは、前述した図8のフローチャートで示した制御に替えて、次の図14のフローチャートに示す制御を実行する。
【0104】
この図14のフローチャートに示す制御は、コントロールユニット300、すなわち、車載コントローラ17の第1ECU301で実行される。
【0105】
図14に示すフローチャートにおいて、ステップS71では、コントロールユニット300における第1ECU301で、自動運転走行するハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を通る走行ルートに関する情報およびデータを受信したか否かが判断される。
【0106】
未だ、自動運転走行するハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を通る走行ルートに関する情報およびデータを受信していないことにより、このステップS71で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、この図14のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
【0107】
それに対して、自動運転走行するハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を通る走行ルートに関する情報およびデータを受信したことにより、ステップS71で肯定的に判断された場合には、ステップS72へ進む。
【0108】
ステップS72では、自動運転走行するハイブリッド車両HEVが、CO回収道路3を通る走行ルート走行するように制御される。例えば、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行するように、自動運転の走行計画(予定走行経路)が設定または変更される。
【0109】
このステップS72で、自動運転走行するハイブリッド車両HEVが、CO回収道路3を通る走行ルート走行するように制御されると、その後、この図14のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
【0110】
このように、この発明の実施形態における二酸化炭素回収システムは、ハイブリッド車両HEVが、例えば、走行計画(走行予定経路)に基づいて自動運転される自動運転車両である場合に、その自動運転走行するハイブリッド車両HEVがCO回収道路3に向かって走行するように制御する。具体的には、CO回収区域1内を走行中のハイブリッド車両HEV(自動運転車両)おけるバッテリ14の充電残量(SOC)、SOC閾値T以下になった場合、または、そのバッテリの充電残量(SOC)が、SOC閾値T以下になることを予測した場合に、自動運転走行するハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行するように制御する。例えば、自動運転の走行計画を設定する。もしくは、自動運転の走行計画を変更する。
【0111】
したがって、この発明の実施形態における二酸化炭素回収システムによれば、バッテリ14の充電残量(SOC)が少なくなり、エンジン11を稼働する必要がある自動運転走行するハイブリッド車両HEVに対して、事前に、自動運転走行するハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行するように、自動運転の走行計画を設定または変更することができる。そのため、自動運転走行するハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行する際にエンジン11を稼働することができ、その際にエンジン11から排出される二酸化炭素を、CO回収道路3上で、効率よく、回収することができる。
【0112】
また、この発明の実施形態における二酸化炭素回収システムは、ハイブリッド車両HEVに搭載されるいわゆるHMI装置を備えている。そして、そのHMI装置を搭載したハイブリッド車両HEVを制御の対象にすることができる。例えば、図15のブロック図に、ハイブリッド車両HEVに搭載されるHMI装置400に関係する制御系統および通信系統等を示してある。
【0113】
HMI装置400は、ハイブリッド車両HEVを総合的に制御する。特に、この発明の実施形態におけるHMI装置400は、前述したような、CO回収区域1内を走行するハイブリッド車両HEVのエンジン11を稼働する場合に、または、CO回収区域1内を走行するハイブリッド車両HEVのエンジン11を稼働することが予測される場合に、ハイブリッド車両HEVをCO回収道路3に誘導する。具体的には、ハイブリッド車両HEVがCO回収区域1内を走行する際に、バッテリ14の充電残量(SOC)がSOC閾値T以下になった場合、または、バッテリ14の充電残量(SOC)がSOC閾値T以下になることを予測した場合に、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行するように誘導する。例えば、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行するように促す情報や指示を、ハイブリッド車両HEVの運転者に告知する。
【0114】
図15に示す実施形態では、HMI装置400は、例えば、二つに分けられた、第1ECU401、および、第2ECU402から構成されている。それら第1ECU401と第2ECU402とは、相互に情報およびデータのやり取りが可能なように、互いに接続されている。なお、この図15に示すHMI装置400において、前述の図4で示したコントロールユニット100、または、前述の図5で示したコントロールユニット200と機能や制御内容等が同じ要素については、図4または図5と同じ参照符号を付けてある。
【0115】
なお、図15では、第1ECU401および第2ECU402の二つのコントロールユニット(EUC)から構成されるHMI装置400のイメージを示しているが、この発明の実施形態におけるHMI装置400は、例えば、上記のような第1ECU401と第2ECU402とが一体に統合されていてもよい。あるいは、例えば、制御内容や制御対象ごとに、三つ以上のコントロールユニット(EUC)から、HMI装置400が構成されてもよい。
【0116】
HMI装置400は、前述のコントロールユニット100およびコントロールユニット200と同様に、SOC監視部101、および、告知情報出力部103、ならびに、データ格納部104、および、走行ルート作成部105を有している。また、HMI装置400は、告知部403を有している。この図15に示す実施形態では、SOC監視部101、および、告知情報出力部103は、それぞれ、第1ECU401に設けられている。また、告知部403は、第1ECU401に接続されている。一方、データ格納部104、および、走行ルート作成部105、それぞれ、第2ECU402に設けられている。
【0117】
告知部403は、例えば、ディスプレイ(または、モニタ)やタッチパネル、あるいは、スピーカなど、所定の情報をハイブリッド車両HEVの運転者に告知する装置または機器である。前述したハイブリッド車両HEVの告知機器15と兼用することもできる。あるいは、告知部403は、HMI装置400の専用の告知機器として設けられていてもよい。
【0118】
この発明の実施形態における二酸化炭素回収システムでは、上記の図15に示すHMI装置400を搭載したハイブリッド車両HEVを制御の対象にして、前述した、図6図7図8、および、図12の各フローチャートで示した制御をそれぞれ実行することが可能である。すなわち、図15に示すHMI装置400をハイブリッド車両HEVに搭載することにより、前述の図4または図5で示した実施形態のハイブリッド車両HEVと、ほぼ同様の制御を実行することが可能である。
【0119】
このように、この発明の実施形態における二酸化炭素回収システムは、ハイブリッド車両HEVと、ハイブリッド車両HEVの運転者との間で情報および信号をやり取りするHMI装置400を設けてもよい。HMI装置400は、例えば、ディスプレイ(または、モニタ)やタッチパネル、あるいは、スピーカなど、所定の情報を車両の運転者に告知する告知部403を有しており、例えば、モニタに画像や映像を表示して、所定の情報を運転者に認識させる。あるいは、スピーカから音声案内を再生して、所定の情報を運転者に認識させる。そして、HMI装置400は、ハイブリッド車両HEVのバッテリ14の充電残量(SOC)、および、ハイブリッド車両HEVの位置情報をそれぞれ取得するとともに、ハイブリッド車両HEVがCO回収区域1内を走行する際に、バッテリ14の充電残量(SOC)がSOC閾値T以下になった場合、または、バッテリ14の充電残量(SOC)がSOC閾値T以下になることを予測した場合に、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行するように促す情報や指示を、ハイブリッド車両HEVの運転者に告知する。したがって、この発明の実施形態における二酸化炭素回収システムにおけるHMI装置400をハイブリッド車両HEVに搭載することにより、バッテリ14の充電残量が少なくなり、エンジン11を稼働する必要が生じるハイブリッド車両HEVに対して、事前に、すなわち、実際にエンジン11を稼働する前に、かつ、容易に、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行するように誘導することができる。そのため、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行する際にエンジン11を稼働することができ、その際に排出される二酸化炭素を、CO回収道路3上で、効率よく、回収することができる。
【0120】
以上のように、この発明の実施形態における二酸化炭素回収システムは、CO回収区域1内を走行するハイブリッド車両HEVから排出される二酸化炭素を回収する。CO回収区域1には、定置式CO回収装置2を備えたCO回収道路3が敷設されており、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行する際に、ハイブリッド車両HEVのエンジン11から排出される二酸化炭素を、定置式CO回収装置2で捕集して回収する。例えば、この発明の実施形態における二酸化炭素回収システムは、CO回収区域1内を走行中のハイブリッド車両HEVにおけるバッテリ14の充電残量(SOC)が、SOC閾値T以下になった場合、または、そのバッテリ14の充電残量(SOC)が、SOC閾値T以下になることを予測した場合に、告知機器15(または、HMI装置400の告知部403)を介して、ハイブリッド車両HEVの運転者に、CO回収道路3を走行するように促す情報や指示を告知する。それにより、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行するように誘導する。したがって、この発明の実施形態における二酸化炭素回収システムによれば、バッテリ14の充電残量(SOC)が少なくなり、エンジン11を稼働する必要があるハイブリッド車両HEVに対して、事前に、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行するように誘導することができる。そのため、ハイブリッド車両HEVがCO回収道路3を走行する際にエンジン11を稼働することができ、その際にエンジン11から排出される二酸化炭素を、CO回収道路3上で、効率よく、回収することができる。したがって、ハイブリッド車両HEVから大気中に排出される二酸化炭素を、効果的に削減することができ、ひいては、地球温暖化の抑制に貢献することができる。
【符号の説明】
【0121】
1 CO回収区域
2 定置式CO回収装置
3 CO回収道路
11 エンジン(ENG;動力源)
12 モータ(MG;動力源)
13 駆動輪
14 バッテリ(BAT)
15 告知機器
16 検出部
16a(検出部の)車速センサ(または、車輪速センサ)
16b(検出部の)エンジン回転数センサ
16c(検出部の)モータ回転数センサ(または、レゾルバ)
16d(検出部の)SOCセンサ
16e(検出部の)タイマー
16f(検出部の)GPS受信器
16g(検出部の)車載カメラ
17 車載コントローラ(ECU;コントロールユニット)
18 変速機構
19 デファレンシャルギヤ
20 ドライブシャフト
21 サーバ(コントロールユニット)
100 コントロールユニット
101 (コントロールユニットの)SOC監視部
102 (コントロールユニットの)エンジン制御部
103 (コントロールユニットの)告知情報出力部
104 (コントロールユニットの)データ格納部
105 (コントロールユニットの)走行ルート作成部
106 (コントロールユニットの)データ送受信部
107 通信モジュール(DCM)
200 コントロールユニット
201 (コントロールユニットの)第1ECU
202 (コントロールユニットの)第2ECU
300 コントロールユニット
301 (コントロールユニットの)車両ECU
302 (コントロールユニットの)サーバ
303 (コントロールユニットの)自動運転制御部
400 HMI装置
401 (HMI装置の)第1ECU
402 (HMI装置の)第2ECU
403 (HMI装置の)告知部
HEV ハイブリッド車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15