IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特許-車両用設定装置、及び車両用設定方法 図1
  • 特許-車両用設定装置、及び車両用設定方法 図2
  • 特許-車両用設定装置、及び車両用設定方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】車両用設定装置、及び車両用設定方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/037 20060101AFI20240723BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240723BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240723BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20240723BHJP
【FI】
B60R16/037
G08G1/09 F
G16Y10/40
G16Y20/40
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021127517
(22)【出願日】2021-08-03
(65)【公開番号】P2023022577
(43)【公開日】2023-02-15
【審査請求日】2023-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】川俣 貴也
(72)【発明者】
【氏名】平野 千尋
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-512005(JP,A)
【文献】特開2005-022599(JP,A)
【文献】実開昭63-069655(JP,U)
【文献】国際公開第2017/110543(WO,A1)
【文献】特表2016-527137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/037
G08G 1/00 - 99/00
G16Y 10/40 ;20/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの状態又は車両の状態を取得する状態取得部(11)と、
パーソナライズ項目の設定反映可否の判断条件を保持するデータ保持部(18)と、
前記状態取得部の取得結果及び前記設定反映可否の判断条件に基づいて前記パーソナライズ項目の設定反映の可否を判断する反映可否判断部(19)と、
前記反映可否判断部により設定反映を可と判断されれば前記パーソナライズ項目を設定反映する設定反映部(20)と、を備え
前記設定反映部は、前記パーソナライズ項目の設定反映に必要な所要時間に基づいて、少なくとも前記所要時間より長く前記設定反映可否の判断条件を満たしていることを条件として前記パーソナライズ項目を設定反映する車両用設定装置。
【請求項2】
ユーザの状態又は車両の状態を取得する状態取得部(11)と、
パーソナライズ項目の設定反映可否の判断条件を保持するデータ保持部(18)と、
前記状態取得部の取得結果及び前記設定反映可否の判断条件に基づいて前記パーソナライズ項目の設定反映の可否を判断する反映可否判断部(19)と、
前記反映可否判断部により設定反映を可と判断されれば前記パーソナライズ項目を設定反映する設定反映部(20)と
前記パーソナライズ項目の設定反映の許可をユーザに求める許可部(22)とを備え、
前記設定反映部は、前記ユーザに許可された場合にのみ前記パーソナライズ項目を設定反映する車両用設定装置。
【請求項3】
ユーザの状態又は車両の状態を取得する状態取得部(11)と、
パーソナライズ項目の設定反映可否の判断条件を保持するデータ保持部(18)と、
前記状態取得部の取得結果及び前記設定反映可否の判断条件に基づいて前記パーソナライズ項目の設定反映の可否を判断する反映可否判断部(19)と、
前記反映可否判断部により設定反映を可と判断されれば前記パーソナライズ項目を設定反映する設定反映部(20)と、を備え、
前記設定反映部が前記パーソナライズ項目を設定反映している最中に前記状態取得部により中断すべき状態を取得したときには前記設定反映を中断する車両用設定装置。
【請求項4】
前記状態取得部により中断すべき状態が取得され前記設定反映部が設定反映を中断した後、当該中断すべき状態が元の状態に復帰したことが検知された場合には、
前記設定反映部は、前記パーソナライズ項目の設定反映を再開又は開始前の状態に戻す請求項3記載の車両用設定装置。
【請求項5】
前記パーソナライズ項目の設定反映を完了したか否か、又は、前記パーソナライズ項目の設定反映のできない状態であること、を通知制御する通知制御部(21)を備える請求項1から4の何れか一項に記載の車両用設定装置。
【請求項6】
ユーザの状態又は車両の状態を取得する状態取得部(11)と、
パーソナライズ項目の設定反映可否の判断条件を保持するデータ保持部(18)と、
前記状態取得部の取得結果及び前記設定反映可否の判断条件に基づいて前記パーソナライズ項目の設定反映の可否を判断する反映可否判断部(19)と、
前記反映可否判断部により設定反映を可と判断されれば前記パーソナライズ項目を設定反映する設定反映部(20)と、を備え、
前記設定反映部が、前記パーソナライズ項目を設定反映するまで所定の時間待機する必要がある場合、前記パーソナライズ項目の前記設定反映を待機する旨、及び前記設定反映を待機する項目数を通知制御する通知制御部(21)を備える車両用設定装置。
【請求項7】
ユーザの状態又は車両の状態を取得する状態取得部(11)と、
パーソナライズ項目の設定反映可否の判断条件を保持するデータ保持部(18)と、
前記状態取得部の取得結果及び前記設定反映可否の判断条件に基づいて前記パーソナライズ項目の設定反映の可否を判断する反映可否判断部(19)と、
前記反映可否判断部により設定反映を可と判断されれば前記パーソナライズ項目を設定反映する設定反映部(20)と、を備え、
前記設定反映部が、所定のユーザ操作により前記設定反映に適さない状態に変化する可能性がある前記パーソナライズ項目を設定反映するときには、前記所定のユーザ操作を停止するように通知制御する通知制御部(21)を備える車両用設定装置。
【請求項8】
ユーザの状態又は車両の状態を取得する状態取得部(11)と、
パーソナライズ項目の設定反映可否の判断条件を保持するデータ保持部(18)と、
前記状態取得部の取得結果及び前記設定反映可否の判断条件に基づいて前記パーソナライズ項目の設定反映の可否を判断する反映可否判断部(19)と、
前記反映可否判断部により設定反映を可と判断されれば前記パーソナライズ項目を設定反映する設定反映部(20)と、を備え、
前記設定反映部が、所定のユーザ操作により前記設定反映に適さない状態に変化する可能性がある前記パーソナライズ項目を設定反映するときには、前記所定のユーザ操作を強制的に不可にするように制御する車両用設定装置。
【請求項9】
ユーザの状態又は車両の状態を取得する状態取得部(11)と、
パーソナライズ項目の設定反映可否の判断条件を保持するデータ保持部(18)と、
前記状態取得部の取得結果及び前記設定反映可否の判断条件に基づいて前記パーソナライズ項目の設定反映の可否を判断する反映可否判断部(19)と、
前記反映可否判断部により設定反映を可と判断されれば前記パーソナライズ項目を設定反映する設定反映部(20)と、を備え、
前記パーソナライズ項目を設定反映する又は設定反映したことを通知するタイミングを調整して通知制御する通知制御部(21)を備える車両用設定装置。
【請求項10】
ユーザの状態又は車両の状態を取得する状態取得部(11)と、
パーソナライズ項目の設定反映可否の判断条件を保持するデータ保持部(18)と、
前記状態取得部の取得結果及び前記設定反映可否の判断条件に基づいて前記パーソナライズ項目の設定反映の可否を判断する反映可否判断部(19)と、
前記反映可否判断部により設定反映を可と判断されれば前記パーソナライズ項目を設定反映する設定反映部(20)と、を備え、
前記状態取得部は、前記車両の外部から情報を取得することで前記車両の状態を検知する車両用設定装置。
【請求項11】
ユーザの状態又は車両の状態を取得する状態取得部(11)と、
パーソナライズ項目の設定反映可否の判断条件を保持するデータ保持部(18)と、
前記状態取得部の取得結果及び前記設定反映可否の判断条件に基づいて前記パーソナライズ項目の設定反映の可否を判断する反映可否判断部(19)と、
前記反映可否判断部により設定反映を可と判断されれば前記パーソナライズ項目を設定反映する設定反映部(20)と、を備え、
前記設定反映部は、前記状態取得部による取得結果に基づいて前記パーソナライズ項目を設定反映するタイミングを決定して設定反映する車両用設定装置。
【請求項12】
状態取得部(11)がユーザの状態又は車両の状態を取得する過程と、
パーソナライズ項目の設定反映可否の判断条件を保持するデータ保持部(18)と、
反映可否判断部(19)が前記状態取得部の取得結果及び前記設定反映可否の判断条件に基づいて前記パーソナライズ項目の設定反映の可否を判断する過程と、
設定反映部(20)が前記反映可否判断部により設定反映を可と判断されれば前記パーソナライズ項目を設定反映する過程と、を備え、
前記設定反映部は、前記パーソナライズ項目の設定反映に必要な所要時間に基づいて、少なくとも前記所要時間より長く前記設定反映可否の判断条件を満たしていることを条件として前記パーソナライズ項目を設定反映する車両用設定方法。
【請求項13】
状態取得部(11)がユーザの状態又は車両の状態を取得する過程と、
パーソナライズ項目の設定反映可否の判断条件を保持するデータ保持部(18)と、
反映可否判断部(19)が前記状態取得部の取得結果及び前記設定反映可否の判断条件に基づいて前記パーソナライズ項目の設定反映の可否を判断する過程と、
設定反映部(20)が前記反映可否判断部により設定反映を可と判断されれば前記パーソナライズ項目を設定反映する過程と、を備え、
前記設定反映部が、所定のユーザ操作により前記設定反映に適さない状態に変化する可能性がある前記パーソナライズ項目を設定反映するときには、前記所定のユーザ操作を強制的に不可にするように制御する車両用設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用設定装置、及び車両用設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の種々の項目を設定するためのパーソナライズ機能はその対象項目が増加している。車両用設定装置は、パーソナライズ設定の反映タイミングを誤ると、ユーザによる車両操作に悪影響を及ぼす可能性もある。また、パーソナライズ項目を決定するための入力情報も多様になり、その取得及び更新タイミングも単純なタイミングではなくなってきている。
【0003】
従来、車両の走行中にユーザの意図しないタイミングで表示等が切り替わることでユーザの誤操作や混乱を招くことを避けるため、低電力動作状態からのウェイクアップを含む車両システムの起動タイミングにおいて、パーソナライズ項目をできる限り素早く設定反映している。
【0004】
なお、本願の実施形態にて説明するHCUに関連する文献として特許文献1を挙げることができる。HCUは、Human Machine Interface Control Unitの略である。特許文献1記載によれば、ドライバの運転行動の遷移が高い頻度で実施される傾向にある高負荷地点を通過する通過時刻を推定し、これらの遷移時刻と通過時刻との重複が抑制されるように情報提示のタイミングを設定している文献である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-21259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
様々な事情から、ユーザによる車両の運転操作開始までにパーソナライズ項目の設定反映が間に合わないケースがある。このようなケースに遭遇した場合、安全性を考慮してパーソナライズ項目を設定反映するタイミングを次回の車両システムの起動時とすることが考えられる。しかし、これではユーザの利便性を低下させてしまう。
【0007】
本発明の目的は、安全性に配慮しつつユーザの利便性も考慮してパーソナライズ項目を適切に設定反映できるようにした車両用設定装置、及び車両用設定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、状態取得部がユーザの状態又は車両の状態を取得すると、反映可否判断部が、状態取得部の取得結果、及び、データ保持部に保持された設定反映可否の判断条件に基づいてパーソナライズ項目の設定反映の可否を判断する。また設定反映部は、反映可否判断部により設定反映を可と判断されればパーソナライズ項目を設定反映する。反映可否判断部が、状態取得部の取得結果及び設定反映可否の判断条件に基づいてパーソナライズ項目の設定可否を判断している。設定反映部は、パーソナライズ項目の設定反映に必要な所要時間に基づいて、少なくとも所要時間より長く設定反映可否の判断条件を満たしていることを条件としてパーソナライズ項目を設定反映する。このため、設定反映部は、安全性に配慮しつつユーザの利便性も考慮してパーソナライズ項目を適切に設定反映できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態における車両システムの電気的構成図
図2】パーソナライズ項目と判断条件の対応テーブルの一例
図3】処理を概略的に説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、車両用設定装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示す車両システム1は、各種のECU2~5、携帯端末6、及び車外サーバ7により構成される。ECU2~5は、Electronics Control Unitの略であり電子制御装置を表す。
【0011】
ECU2~5は、車両に搭載されたディスプレイにメータや警告表示を行う報知系ECU、車両の周辺を監視するための周辺監視系ECU、又は、車両の移動及び停止又は車両内設備の車両制御についてアクチュエータを用いて実行する車両制御系ECUなどに分類され、これらのECU2~5は何れも車両に関する制御を実行する。本形態では、ECU2~5として、個人認証用センサECU2、HCU3、それ以外の状態取得用ECU4及び車載外部ECU5と名称を付して制御内容を例示する。
【0012】
HCU3は、Human Machine Interface Control Unitの略であり車両用設定装置、情報提示制御装置に相当する。HCU3は、車両内部に設置されたセンタインフォメーションディスプレイ(以下、CID)や電子ミラー等の車載表示器に表示制御すると共に、車内に設置されたスピーカに音声出力あるいはマイクから音声入力する処理を実行する報知系のECUである。
【0013】
ECU2~5は、それぞれプロセッサ、メモリ、I/O、及び通信回路を備えたマイクロコンピュータにより構成され独立して動作する。メモリにはROM、RAM、又はフラッシュメモリなどを用いることができ、非遷移的実体的記録媒体(non transitory tangible storage medium)としての構成も含んでいる。ECU2~5は、それぞれプロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することで各種の機能を実現する。各ECU2~5は、CAN、LINなどの車内ネットワークを介して接続されており、各種の情報を相互に通信できる。
【0014】
個人認証用センサECU2は、検出部4aを接続して構成され、車両に搭乗した個人を識別する個人識別部2aとしての機能を備える。個人認証用センサECU2は、車両に搭乗した人の個々人を識別するために設けられる。
【0015】
状態取得用ECU4もまた検出部4aに接続されている。ここでは、説明の簡略化のため、状態取得用ECU4として1つだけ代表して図示しているが、前述のように分類されたECUのうち複数のECUを用いて構成しても良いし、その機能の一部をHCU3に一体化して構成しても良い。検出部4aは、車両の内外の状態を検出したり、車両に搭乗するユーザの状態を検出する。検出部4aは、様々なセンサ又はスイッチを用いて構成されるもので、センサの検出状態、又はスイッチ状態をパラメータとして、車両の状態又はユーザの状態を検出する。以下、検出部4aを構成するセンサの種類、スイッチの種類を例示するが、これに限られるものではない。
【0016】
検出部4aは、スマートキーなどからドアロック施錠/解除指示やリモートエンジン始動を受け付けるリモートセンサ、ドアロックを施錠/解除するドアロックスイッチ、車内からドアロックスイッチを操作するドアロックセンサ、車両ドアの開閉状態を検出するドアセンサ、車載シートにユーザが着座しているか否かを検出する着座センサ、ユーザがシートベルトを装着しているか否かを検出するシートベルトセンサ、車載シートの前後位置を検知するシートポジションセンサ、シフトレンジを検出するシフトポジションセンサ、ドアミラーの角度調整用スイッチ、コンライト又はオートライト用のセンサ及びスイッチ、ユーザによりステアリングホイールが操舵されているか否かを検出するステアリングセンサを挙げることができる。スマートキーは、近距離無線通信技術によりHCU3などの車両内の装置と通信接続できる。
【0017】
また検出部4aは、エンジンの始動/停止又は電気系統を制御するイグニッションスイッチ又はパワースイッチ、車両の速度を検出する車速センサ、エアコンの車室内温度設定や送風環境を指示するエアコンスイッチ、パーキングブレーキの状態を検出するパーキングブレーキセンサ、アクセルペダルの踏込検出用のセンサ又は電子スロットルセンサ、ブレーキペダルのペダルストロークセンサ又はブレーキペダルポジションセンサ、CIDの表面に搭載されインフォテインメント系アプリの操作を可能にするタッチパネル、フロントビューカメラ、サイドビューカメラ、コーナービューカメラ、バックビューカメラ、電子ミラー、LiDaRによるレーザレーダ、ミリ波レーダによる車両の周辺を監視する周辺監視用センサ、なども挙げることができる。状態取得用ECU4は、検出部4aを用いることで車両の内外の状態を検出できる。
【0018】
また検出部4aは、乗員モニタを用いることでユーザの状態を検知することもできる。乗員モニタは、車両内に搭乗した乗員の状態又は各種の操作機器の操作状態を検知する。乗員モニタは、ドライバ席、助手席又は後部座席の乗員の状態を画像センサにより撮影することで、当該乗員の状態を検知して撮像信号を出力するカメラを含んで構成される。ドライバの乗員状態モニタはDSMと称されている。DSMは、Driver Status Monitorの略である。
【0019】
検出部4aは、乗員モニタを用いることで、ドライバの運転姿勢、ドライバを含むユーザの顔又は首の向き、視線方向、開眼/閉眼状態、覚醒/酩酊状態、さらに心電、血圧、脈拍、体温等の生体情報を検知したり、ステアリングホイールを握っているか否か、またステアリングホイールを握る手は片手であるか両手であるか、シフトレバーを把持しているか否か、などユーザの状態を様々な観点から検知できる。検出部4aの構成は、これらのセンサ、スイッチ類を全て含む必要はなく一部のみで構成しても良いし、ここに挙げていない様々な車両内のセンサ、スイッチを含んでいても良い。
【0020】
HCU3は、状態取得部11、個人識別結果取得部12、外部ECU通信部13、携帯端末通信部14、車外サーバ通信部15、パーソナライズ設定入力部16、パーソナライズ対象項目選択部17、データ保持部18、反映可否判断部19、設定反映部20、及び、通知制御部21としての機能構成を備える。
【0021】
状態取得部11は、状態取得用ECU4及び検出部4aにより自身の車両の外部から情報を取得できる。このとき、状態取得部11は、自車両の周囲における道路の混雑状況、道路幅、自車両が走行中の車線、その対向車線又は周辺道路の車線数、障害物や歩行者の有無などの車両の外の状態を取得できる。また、状態取得部11は、自車両の状態が現在いかなる状況に置かれているか、例えば信号待ち、渋滞中、などの車両の置かれている状態も取得できる。
【0022】
状態取得用ECU4及び状態取得部11が、前述した様々なセンサ又はスイッチの状態により車両の状態を取得すると、下記のタイミングを取得でき、HCU4は、当該タイミングをトリガとして、その前又は後の運転シーンにて車両に関する制御を様々切り替えることができる。また状態取得用ECU4及び状態取得部11は、下記の運転シーンの変化によりユーザの状態も取得できる。
【0023】
以下、タイミングを例示する。ユーザが所持したスマートキーの操作によりリモート状態でイグニッションスイッチ又はパワースイッチをオンしてエンジンスタートするタイミング。ユーザがスマートキーを所持して車両の周辺に近づき近距離無線通信可能になるタイミング。ユーザが車両のドアロックを解除したことをドアロックセンサにより検知するタイミング。ユーザが車両のドアを開状態とし、またその後に閉状態とすることをドアセンサにより検知するタイミング。ユーザが車両に乗車したことを乗員センサ又は着座センサにより検知するタイミング。
【0024】
ドライバなどのユーザがシートベルトを締めたことをシートベルトセンサにより検知するタイミング。ドライバがドアミラーの角度を調整したことを角度調整用スイッチにより検知するタイミング。ドライバがシート位置を調整することをシートポジションセンサにより検知するタイミング。パワースイッチオンまたはイグニッションスイッチオンにされることで車両システム1が起動開始するタイミング。
【0025】
ドライバなどのユーザがタッチパネルを操作することでインフォテインメント系アプリを開始するタイミング。ドライバなどのユーザがエアコンスイッチによりエアコンの操作を開始することを検知するタイミング。ドライバがシフトレンジをパーキングレンジ以外に変更することをシフトポジションセンサにより検知するタイミング。ドライバがパーキングブレーキを解除することをパーキングブレーキセンサにより検知するタイミング。
【0026】
車両の速度がゼロ以外になり走行開始とみなされるタイミング。車両が電波の届かない場所に到達することで車外サーバ通信部15が車外サーバ7との間で通信不可となるタイミング。逆に車両が電波の届く場所に到達することで車外サーバ通信部15が車外サーバ7と通信可能になるタイミング。これは車両の起動後ずっと通信不可だった場合も含む。
【0027】
シフトレンジがパーキングポジション以外のまま車両の速度がゼロになることを車速センサにより検知するタイミング。車両の速度がゼロ且つユーザがブレーキを踏むことをペダルストロークセンサ又はブレーキペダルポジションセンサにより検知するタイミング。車両の速度がゼロ且つパーキングブレーキがオンになるタイミングパーキングブレーキセンサにより検知するタイミング。シフトレンジがパーキングポジションになることをパーキングブレーキセンサにより検知するタイミング。
【0028】
エンジンがオフ、ドライバがパワースイッチ又はイグニッションスイッチをオフにすることで車両システム1を終了させるタイミング。ドライバなどのユーザが降車するタイミングを着座センサ又はドアセンサにより検知するタイミング。車両のスマートキーを用いてドアロックしたことをリモートセンサにより検知するタイミング。
【0029】
上述のタイミングをトリガとして運転シーンが変化することになり、HCU3は、状態取得部11により車両の状態を取得しつつ上述のタイミングをトリガとして車両の状態の変化を検出し、これらのトリガの前又は後において制御内容を変更できる。また、特許文献1に記載されているように、状態取得部11により取得される車両の状態に基づいて、近い将来に生じる可能性の高い運転シーンを予測、推定すると共に、次運転シーンへの遷移時刻を推定し、その前又は後で制御内容を変更しても良い。
【0030】
個人識別結果取得部12は、個人認証用センサECU2の個人識別部2aによる個人識別結果を取得し、データ保持部18に蓄積されるパーソナライズ項目を選択するための識別情報として用いる。このとき、個人識別結果取得部12は、車両に乗車しているドライバ、助手席に乗車した乗員、及び、後部座席に乗車した乗員を識別できる。
【0031】
車両に内蔵された車両用機器のパーソナライズ項目がユーザによりカスタマイズ設定されると、車載外部ECU5は、そのパーソナライズ項目をパーソナライズ用パラメータとしてデータベース5aに格納して随時更新する。外部ECU通信部13は、車載外部ECU5のデータベース5aからパーソナライズ項目を取得し、データ保持部18に記憶させる。
【0032】
携帯端末6は、ユーザにより所持され車室内に持ち込み可能な端末である。携帯端末6は、所謂スマートフォン、タブレット、又は、ノートパソコンなどによる端末を示しており、プロセッサ及びメモリを備えたマイクロコンピュータを主として構成される。
【0033】
携帯端末6は、携帯端末通信部14と無線通信するよう構成されている。携帯端末通信部14は、WiFi(登録商標)などの無線LAN、又は、ブルートゥース(登録商標)などの近距離通信技術により携帯端末6との間で無線通信する。
【0034】
ここでは、HCU14に携帯端末通信部14を設けた形態を説明するが、他のECU、例えばDCM又はTCUと称される通信用ECUに携帯端末通信部14を設け、HCU4はこの通信用ECUを介して携帯端末6と通信するようにしても良い。DCMは、Data Comunication Moduleの略であり、TCUは、Telematics Control Unitの略である。
【0035】
携帯端末6のメモリ内には車両用アプリケーションプログラム(以下、車両用アプリ)がインストールされており、携帯端末6が車両用アプリを実行することで、ユーザから車両に関する制御指令をしたり、車両側のECU2~5から車両に関する情報を取得したりすることができる。このとき、ユーザは携帯端末6を操作することで車両用機器に関するパーソナライズ項目を設定できる。
【0036】
携帯端末6のメモリにはデータベース6aが構築されている。携帯端末6には操作入力用のインタフェースが備えられている。車両用機器に関するパーソナライズ項目がユーザにより携帯端末6にカスタマイズ設定入力されると、車両用アプリからデータベース6aに記憶させると共に、携帯端末通信部14を通じてデータ保持部18のデータベース18aに記憶させる。
【0037】
車外サーバ通信部15は、車両の外部に設けられた車外サーバ7と無線通信網及び有線通信網を通じて通信する。車外サーバ7は、クラウドサーバなどにより構成される。
車外サーバ7は、プロセッサ、メモリを備えるコンピュータにより構成されており、メモリには車両用アプリケーションプログラム(以下、車両用アプリ)がインストールされている。車外サーバ7は、車両用アプリを実行することで車両のECU(例えば、HCU3)から要求されるサービスを提供する。
【0038】
例えば、車外サーバ7は、車両側から音声認識要求を受け付けたときに音声認識結果を返したり、多数の車両からプローブ情報を収集した上でプローブ情報に基づいて生成された情報(例えば、渋滞情報)を配信したりする。車外サーバ7のメモリにはデータベース7aが構築されている。車外サーバ7は、操作入力用のインタフェースを備えている。車両用機器に関するパーソナライズ項目のパラメータが車外サーバ7にカスタマイズ設定入力されると、車両用アプリからデータベース7aにパラメータとして記憶させる。
【0039】
パーソナライズ設定入力部16は、車内でパーソナライズ項目を設定入力するためのインタフェースを示しており、CIDの上に構成されたタッチパネルなどを用いて構成されている。パーソナライズ設定入力部16は、ユーザにより操作されることで車両用機器のパーソナライズ項目を入力できる。このパーソナライズ項目は、データ保持部18のデータベース18aに記憶されたり、また、車載外部ECU5のデータベース5a、携帯端末6のデータベース6a、及び、車外サーバ7のデータベース7aに記憶される。
【0040】
データ保持部18には、データベース18aが構築されている。データベース18aには前述したパーソナライズ項目が個人識別情報と共に蓄積される。また、データベース18aには、パーソナライズ項目又はその変化に基づくパーソナライズ項目の設定反映可否の判断条件が保持されている。データ保持部18には、多数のパーソナライズ項目とその設定反映可否の判断条件とが、図2に示すようにテーブルに記憶されている。判断条件は、検出部4aによる個々のセンサ又はスイッチ検出状態、これらを組合せた車両の状態、さらに前述したユーザの状態、又は、その他の条件などを示している。パーソナライズ項目は、判断条件を全て満たされることを条件として設定反映可能な状態となる。スイッチは1又は複数段階のオン又はオフの状態を判断条件とし、センサは1又は複数段階のオン又はオフの状態、もしくは、ある閾値を境界としてそれ以上又はそれ以下の値となることを判断条件とすることもある。また、車両の状態又はユーザ状態は、その状態値を数値として表すと共に閾値を境界としてそれ以上又はそれ以下の値とすることを判断条件とすることもある。
【0041】
パーソナライズ項目は、車両を使用するユーザが当該車両に関してカスタマイズ設定する項目を示しており、個々のユーザの嗜好に基づいてユーザが個別に決定できる項目を示す。パーソナライズ項目は、例えば、コンライトのカスタマイズ、パワーウィンドウのロック/アンロック、車速感応式ドアロックのオン/オフ、ワイヤレスドアロック、スマートエントリー及びスマートスタート、エアコン設定温度及び送風環境、ドアミラーの角度、座席の車載シートの前後位置などである。
【0042】
パーソナライズ対象項目選択部17は、個人識別結果取得部12の識別結果によりデータ保持部18からパーソナライズ項目及び判断条件を選択して読出し、反映可否判断部19に読出結果を渡す。反映可否判断部19は、状態取得部11の取得結果及びパーソナライズ対象項目選択部17を通じてパーソナライズ項目及び判断条件を取得し、設定反映可否の判断条件に基づいてパーソナライズの設定反映の可否を判断し、判断結果を設定反映部20に渡す。
【0043】
設定反映部20は、反映可否判断部19により設定反映を可と判断されればパーソナライズ反映先デバイス30にパーソナライズ項目を設定反映する。パーソナライズ反映先デバイス30は、パーソナライズ項目を反映させるためのデバイス、車両用機器であり、対象は、前述のエアコン、コンライト、パワーウィンドウ、ドアロック、ヘッドライト、エンジン、及びドアミラーなどである。
【0044】
また通知制御部21は、反映可否判断部19の判断結果に基づいてパーソナライズ項目を反映させるか否か、設定反映を完了したか否かの結果を通知デバイス31に通知制御する。通知デバイス31としては、車内に設置されたCIDを挙げることができるが、ユーザが処理する携帯端末6に通知するようにしても良い。通知制御部21は、パーソナライズ項目を反映したか否かの反映結果を通知する。通知デバイス31はユーザの所持する携帯端末6を対象としても良い。
【0045】
上述についてパーソナライズ項目を反映させるときの動作について説明する。HCU3は、図3に示す処理について、パーソナライズ項目を反映させる所定のタイミングにて実行する。例えば、車両システム1を起動した直後に実行することが望ましい。
【0046】
ユーザがイグニッションスイッチ又はパワースイッチをオンすると、車両システム1が起動しECU2~5が起動する。HCU3のパーソナライズ対象項目選択部17は、S1において個人毎の全てのパーソナライズ項目を取得し、S2に変数mを初期値に設定する。そして、HCU3は、状態取得部11によりS3においてユーザの状態を取得すると共にS4において車両の状態を取得する。次に、パーソナライズ対象項目選択部17が、データ保持部18からパーソナライズ項目の変数m番目について全ての判断条件(ここでは1~N)を取得する。
【0047】
そして、反映可否判断部19は、全ての判断条件を全てクリアした場合にはS6にてYESと判定し、設定反映部20が、S7において変数m番目のパーソナライズ項目をパーソナライズ反映先デバイス30に設定反映させる。逆に、判断条件を一部でもクリアしていない場合には、m番目のパーソナライズ項目を設定反映しない。HCU3は、S8、S9において変数mをインクリメントしながらS3~S7の処理をM回繰り返すことで反映待ちのパーソナライズ項目について全て判定処理を実行する。HCU3は、S8においてM回繰り返したか否かを判定し、反映待ちのパーソナライズ項目について全て判定処理すると終了する。
【0048】
終了する際には、通知制御部21は、パーソナライズ項目の設定反映を完了したか否かを通知制御する。また、通知制御部21は、設定反映していないパーソナライズ項目がある場合には、パーソナライズ項目の設定反映のできない状態であること、を通知制御する。
【0049】
さらに、設定反映部20が、パーソナライズ項目の設定反映するまで所定の時間だけ待機する必要がある場合、通知制御部21は、パーソナライズ項目の設定反映を待機する旨を通知デバイス31に通知制御したり、設定反映を待機する項目数を通知デバイス31に通知制御しても良い。
【0050】
この図3に示す内容に基づいて処理を説明したが、この流れは基本的な処理の流れを示している。例外的に処理を追加しても良いし削除しても良い。例えば、パーソナライズ項目の設定反映に必要な所要時間をHCU3のメモリに予め記憶しておき、設定反映部20が、所要時間より長く判断条件を満たしていることを条件としてパーソナライズ項目を設定反映すると良い。
【0051】
例えば、HCU3が、座席シート位置を取得する状態取得用ECU4と通信することで検出部4aから座席シート位置を取得すると共にパーソナライズ項目をデータ保持部18から読出した場合について説明する。この場合、HCU3は、座席シートの前後位置の設定反映に所定の3秒必要と判定した場合、HCU3の設定反映部20は、センサの状態及びスイッチの状態など車両状態が全ての判断条件を3秒以上満たすことが確実であることを条件として、座席シートの前後位置を調整するように他の車両制御用の車載外部ECU5に通信指示すると良い。
【0052】
逆に、判断条件に必要な車両状態の状態値、具体的にはセンサ及びスイッチ状態が、前述の3秒未満で変化し判断条件を満たさないことが確定している場合、HCU3は、座席シートの前後位置を調整することなくパーソナライズ項目の設定反映を行わない。これにより、ユーザの安全性を確保できる。
【0053】
また設定反映部20が、パーソナライズ項目を設定反映している最中に、状態取得部11により中断すべき状態を検知したときには、パーソナライズ項目の設定反映の処理を中断するようにしても良い。またこの後、当該中断すべき状態が元の状態に復帰したことが状態取得部11を通じて検知された場合、設定反映部20は、パーソナライズ項目の設定反映を再開又は開始前に戻しても良い。
【0054】
例えば、HCU3が、他のECUから異常通知を受信した場合、また、パーソナライズ項目を設定反映するため、他の車両制御系のECUに要求したが当該ECUからの通信応答がない場合などには設定反映の処理を中断すると良い。また、他のECUから応答があれば再開、または、反映前に戻すようにしても良い。
【0055】
また、HCU3に許可部22を設け、許可部22によりパーソナライズの設定反映の許可をユーザに求め、設定反映部20は、ユーザに許可された場合にのみパーソナライズ項目を設定反映すると良い。ユーザはこのパーソナライズ項目の設定を意識するため、パーソナライズ項目を設定反映したとしても問題を生じる可能性を低くできる。
【0056】
設定反映部20が、所定のユーザ操作により設定反映に適さない状態に変化する可能性があるパーソナライズ項目を設定反映するときには、所定のユーザ操作を停止するように通知制御するか、又は、所定のユーザ操作を強制的に不可にするように制御する。このとき、両者の制御を行うことが望ましい。
【0057】
例えば、設定反映部20が、ドアミラーの角度を設定反映している最中、シフトレンジをパーキングレンジからドライブレンジに変更しないようにユーザに通知デバイス31を通じてユーザに通知制御したり、又は、強制的にシフトレンジを操作不可とするようにシフト機構を制御すると良い。これにより、パーソナライズ項目を設定反映したとしても問題を生じる可能性を低くできる。
【0058】
設定反映部20は、状態取得部11による取得結果に基づいてパーソナライズ項目を設定反映するタイミングを決定して設定反映することが望ましい。タイミングは、いつでも設定反映可能である場合や、所定の条件を満たせば可能、又は、シフトレンジがパーキングレンジであり駐車中のみ可能、などのように条件付きで可能な場合もある。このため、検出部4aによりセンサやスイッチ、さらにユーザの状態、車両の状態を検出した結果に基づいて所定の判断条件を満たすタイミングを待機した上でパーソナライズ項目を設定反映することが望ましい。
【0059】
<パーソナライズ項目の設定反映の通知タイミングについて>
通知制御部21は、パーソナライズ項目を設定反映する又は設定反映したことを通知するタイミングも調整することが望ましい。誕生日や個人の嗜好内容、HCU3からユーザに対し変更内容を提示する場合には、比較的安全性に対し関連性が低い項目であると判定し、ユーザ状態や車両状態に基づいて安全性が所定より高いと判断したタイミングでパーソナライズ項目の設定反映を通知すると良い。
【0060】
車載表示器の画面レイアウトの設定、スピーカから出力される音量の情報、エアコンの空調操作情報などについてのパーソナライズ項目の変更内容は、ユーザへ五感を通じて即座に感覚的に伝わる可能性もある。しかし、パーソナライズ項目を設定反映する又は設定反映した旨をメッセージとして明確に通知デバイス31に報知することで伝えても良い。これらの変更内容は運転操作には直接影響無い機能であり比較的安全性に対し関連性が低い項目である。このため、ユーザ状態や車両状態に基づいて安全性が所定より高いと判断したタイミングで設定反映を通知すると良い。
【0061】
逆に、変更内容が、走行制御、シート位置、ドアミラー角度などのような運転操作や安全性に関わる操作に影響のあるパーソナライズ項目の場合には、通知制御部21は、できる限り設定反映するタイミングで即座に通知デバイス31に通知制御すると良い。ユーザは、この点を意識できるためである。
【0062】
<パーソナライズ項目の更新タイミングの変形例>
なお、パーソナライズ項目の更新は、車両システム1の起動時、その他、車両システム1の起動後の所定時間経過後など、どのようなタイミングであっても実行できる。しかし、実際には、車両システム1の起動から設定反映するまでの時間が所定より短い場合には、車両システム1の起動直後に図3に示した処理を行うことなく、パーソナライズ項目を設定反映しても、ユーザの状態及び車両の状態に悪影響を及ぼす前に設定反映を完了できることがある。このような条件を満たすパーソナライズ項目を、車両システム1の起動直後に設定反映させることで、処理の効率化、高速化に繋がる。
【0063】
このため、HCU3は、図3に示す設定反映の可否の判定の必要があると仕分けられた場合にのみ、図3に示した処理を実行すると良い。例えば、自身のECU、本形態の場合、HCU3が自身の内部のメモリから情報を参照しパーソナライズ項目を設定反映できる場合には、情報源が自身のHCU3のみであるため、メモリに対するアクセス速度が比較的速くなりやすい。この場合、図3に示した処理を実行することなく、HCU3が起動した直後に個人認証できれば、この個人認証結果に基づいてパーソナライズ項目を素早く設定反映すると良い。これにより、処理を効率化、高速化できる。
【0064】
他方、車両システム1の起動後には、ユーザが乗車すれば、個人認証用センサECU2により個人認証を実行しパーソナライズ項目用の設定入力データを更新するが、個人認証及びパーソナライズ項目の設定反映がユーザの車両操作開始までに間に合わないことがある。このようなパーソナライズ項目を設定反映する場合には、車両システム1の起動直後のタイミングで即座に設定反映することなく、図3の処理を実行しつつパーソナライズ項目を設定反映すると良い。
【0065】
例えば、自身のECU、本形態の場合には、HCU3が、パーソナライズ項目を設定反映する際に、他の車載外部ECU5などとの間で通信しなければならない場合、当該他の車載外部ECU5の初期化速度と、自身のHCU3の初期化速度との間で速度の差異を生じると起動後のタイムラグを生じる。この場合、HCU3の起動直後に素早くパーソナライズ項目を設定反映完了できるとは限らない。このようなパーソナライズ項目を設定反映する場合には、車両起動直後のタイミングで即座に設定反映することなく、図3の処理を実行しつつパーソナライズ項目を設定反映すると良い。
【0066】
また、HCU3は、無線通信を介して車外サーバ7からデータを受信した上で設定反映するパーソナライズ項目の場合、電波環境の不安定さを考慮することが望ましい。このようなパーソナライズ項目の場合、車両システム1の起動直後にデータを受信できるとは限らず、車両が走行開始した後にデータを受信できることもある。このようなパーソナライズ項目を設定反映する場合には、車両起動直後のタイミングで即座に設定反映することなく、図3の処理を実行しつつパーソナライズ項目を設定反映すると良い。
【0067】
これにより、パーソナライズ項目を適切なタイミングで設定反映できる。特に、ドライバの車両操作に混乱を与えたり悪影響を及ぼしたりしない範囲で、出来るだけ素早く最新のパーソナライズ項目を設定反映できるようになり、ユーザビリティを向上できる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態によれば、ユーザの状態又は車両の状態を取得した取得結果及び設定反映可否の判断条件に基づいてパーソナライズの設定反映の可否を判断し、設定反映を可と判断されればパーソナライズ項目を設定反映するようにした。これにより、設定反映部20は、安全性に配慮しつつユーザの利便性も考慮してパーソナライズ項目を適切に設定反映できる。
【0069】
(他の実施形態)
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができ、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
前述実施形態では、車両用設定装置としてHCU3に適用した形態を示したが、他のECUに適用しても良い。
【0070】
本開示に記載のHCU3又は他のECUによる手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載のHCU3及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御装置及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【0071】
本発明は、前述した実施形態に準拠して記述したが、本発明は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本発明は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本発明の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0072】
図面中、3はHCU(車両用設定装置)、11は状態取得部、18はデータ保持部、19は反映可否判断部、20は設定反映部、21は通知制御部、22は許可部、を示す。
図1
図2
図3