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特許7524882制御システム、制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】制御システム、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/697 20240101AFI20240723BHJP
   G05D 1/667 20240101ALI20240723BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240723BHJP
【FI】
G05D1/697
G05D1/667
G05D1/43
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021185428
(22)【出願日】2021-11-15
(65)【公開番号】P2023072780
(43)【公開日】2023-05-25
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】古村 博隆
【審査官】尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-62694(JP,A)
【文献】特表2019-531993(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0283229(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00- 1/87
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物が収納される台車の移動を制御する制御システムであって、
高さを変更することが可能な載置部を有し前記載置部に載せられた前記荷物を前記台車に収納する自律移動ロボットが前記載置部により前記荷物を所定の高さ以上に持ち上げたまま前記台車に向かって移動する予定があるか否かを判定する判定部と、
前記載置部により前記荷物を所定の高さ以上に持ち上げたまま前記台車に向かって前記自律移動ロボットが移動する予定があると判定された場合、前記台車が前記自律移動ロボットに向かって移動するよう制御する台車制御部と
を有する制御システム。
【請求項2】
前記判定部は、センサを用いて検出された、前記載置部の高さ又は前記載置部の上の前記荷物の高さを示す情報に基づいて判定を行う
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記自律移動ロボットから受信した、前記載置部の高さについての制御情報に基づいて判定を行う
請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記判定部は、前記台車における前記荷物の収納予定位置に基づいて判定を行う
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記荷物は、両サイドに水平方向に突出した突出部を有し、
前記台車は、開口した筐体を有し、
前記筐体は、内側に、前記突出部を支持する支持部を有し、
前記台車制御部は、前記筐体内に前記載置部が進入した状態になるように前記台車を移動させる
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項6】
荷物が収納される台車の移動を制御する制御方法であって、
高さを変更することが可能な載置部を有し前記載置部に載せられた前記荷物を前記台車に収納する自律移動ロボットが前記載置部により前記荷物を所定の高さ以上に持ち上げたまま前記台車に向かって移動する予定があるか否かを判定し、
前記載置部により前記荷物を所定の高さ以上に持ち上げたまま前記台車に向かって前記自律移動ロボットが移動する予定があると判定された場合、前記台車が前記自律移動ロボットに向かって移動するよう制御する
制御方法。
【請求項7】
荷物が収納される台車の移動を制御するコンピュータに、
高さを変更することが可能な載置部を有し前記載置部に載せられた前記荷物を前記台車に収納する自律移動ロボットが前記載置部により前記荷物を所定の高さ以上に持ち上げたまま前記台車に向かって移動する予定があるか否かを判定する判定ステップと、
前記載置部により前記荷物を所定の高さ以上に持ち上げたまま前記台車に向かって前記自律移動ロボットが移動する予定があると判定された場合、前記台車が前記自律移動ロボットに向かって移動するよう制御する台車制御ステップと
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は制御システム、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場や倉庫などにおいて、自律移動ロボットにより物を運搬するための技術が開発されている。例えば、特許文献1は、荷物が載置される載置部を有する自律移動ロボットを開示している。この自律移動ロボットは、載置部に荷物を載置した状態で移動することにより、当該荷物を運搬することができる。また、この自律移動ロボットでは、載置部の高さを変更することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-099724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高く上げられた載置部に荷物を載せた状態においては、そうでない状態よりも、自律移動ロボットの姿勢の安定性が低下する。このため、そのような状態で自律移動ロボットが移動した場合には、転倒などといった、姿勢の不安定さに起因するリスクが生じる。
【0005】
本開示は、上記した事情を背景としてなされたものであり、高さを変更することが可能な載置部を有する自律移動ロボットの姿勢の安定性が低下することによるリスクを低減することができる制御システム、制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本開示の一態様は、荷物が収納される台車の移動を制御する制御システムであって、高さを変更することが可能な載置部を有し前記載置部に載せられた前記荷物を前記台車に収納する自律移動ロボットが前記載置部により前記荷物を所定の高さ以上に持ち上げたまま前記台車に向かって移動する予定があるか否かを判定する判定部と、前記載置部により前記荷物を所定の高さ以上に持ち上げたまま前記台車に向かって前記自律移動ロボットが移動する予定があると判定された場合、前記台車が前記自律移動ロボットに向かって移動するよう制御する台車制御部とを有する制御システムである。
この制御システムによれば、台車が自律移動ロボットに向かって移動するため、自律移動ロボットが台車に向かって移動する距離を減らすことができる。このため、高く上げられた載置部に荷物を載せた状態、すなわち不安定な状態で自律移動ロボットが移動する距離を短くすることができる。このため、自律移動ロボットの姿勢の安定性が低下することによるリスクが低減される。
【0007】
上記の一態様において、前記判定部は、センサを用いて検出された、前記載置部の高さ又は前記載置部の上の前記荷物の高さを示す情報に基づいて判定を行ってもよい。
このような構成によれば、載置部により荷物を所定の高さ以上に持ち上げたまま台車に向かって自律移動ロボットが移動する予定であるか否かを容易に判定することができる。
【0008】
上記の一態様において、前記判定部は、前記自律移動ロボットから受信した、前記載置部の高さについての制御情報に基づいて判定を行ってもよい。
このような構成によれば、載置部により荷物を所定の高さ以上に持ち上げたまま台車に向かって自律移動ロボットが移動する予定であるか否かを容易に判定することができる。
【0009】
上記の一態様において、前記判定部は、前記台車における前記荷物の収納予定位置に基づいて判定を行ってもよい。
このような構成によれば、載置部が既に高く上げられているか否かにかかわらず、載置部により荷物を所定の高さ以上に持ち上げたまま台車に向かって自律移動ロボットが移動する予定であるか否かを容易に判定することができる。
【0010】
上記の一態様において、前記荷物は、両サイドに水平方向に突出した突出部を有し、前記台車は、開口した筐体を有し、前記筐体は、内側に、前記突出部を支持する支持部を有し、前記台車制御部は、前記筐体内に前記載置部が進入した状態になるように前記台車を移動させてもよい。
このような構成によれば、台車への荷物の収納が、自律移動ロボットの移動ではなく、台車の移動によって実現される。このため、自律移動ロボットが荷物を台車に収納するための移動に起因するリスクを低減することができる。
【0011】
上記目的を達成するための本開示の他の一態様は、荷物が収納される台車の移動を制御する制御方法であって、高さを変更することが可能な載置部を有し前記載置部に載せられた前記荷物を前記台車に収納する自律移動ロボットが前記載置部により前記荷物を所定の高さ以上に持ち上げたまま前記台車に向かって移動する予定があるか否かを判定し、前記載置部により前記荷物を所定の高さ以上に持ち上げたまま前記台車に向かって前記自律移動ロボットが移動する予定があると判定された場合、前記台車が前記自律移動ロボットに向かって移動するよう制御する制御方法である。
この制御方法によれば、台車が自律移動ロボットに向かって移動するため、自律移動ロボットが台車に向かって移動する距離を減らすことができる。このため、高く上げられた載置部に荷物を載せた状態、すなわち不安定な状態で自律移動ロボットが移動する距離を短くすることができる。このため、自律移動ロボットの姿勢の安定性が低下することによるリスクが低減される。
【0012】
上記目的を達成するための本開示の他の一態様は、荷物が収納される台車の移動を制御するコンピュータに、高さを変更することが可能な載置部を有し前記載置部に載せられた前記荷物を前記台車に収納する自律移動ロボットが前記載置部により前記荷物を所定の高さ以上に持ち上げたまま前記台車に向かって移動する予定があるか否かを判定する判定ステップと、前記載置部により前記荷物を所定の高さ以上に持ち上げたまま前記台車に向かって前記自律移動ロボットが移動する予定があると判定された場合、前記台車が前記自律移動ロボットに向かって移動するよう制御する台車制御ステップとを実行させるプログラムである。
このプログラムによれば、台車が自律移動ロボットに向かって移動するため、自律移動ロボットが台車に向かって移動する距離を減らすことができる。このため、高く上げられた載置部に荷物を載せた状態、すなわち不安定な状態で自律移動ロボットが移動する距離を短くすることができる。このため、自律移動ロボットの姿勢の安定性が低下することによるリスクが低減される。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、高さを変更することが可能な載置部を有する自律移動ロボットの姿勢の安定性が低下することによるリスクを低減することができる制御システム、制御方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1にかかる自律移動ロボットの一例を示す模式的側面図である。
図2】実施の形態1にかかる自律移動ロボットの概略的なシステム構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1にかかる台車の一例を示す模式的斜視図である。
図4】実施の形態1にかかる台車の概略的なシステム構成を示すブロック図である。
図5】台車に収納される荷物の一例を示す斜視図である。
図6】台車の筐体内に自律移動ロボットが入った状態を示す模式図である。
図7】実施の形態1にかかる台車の制御装置の機能構成の一例を示したブロック図である。
図8A】台車制御部の制御による台車の移動について示す模式図である。
図8B】台車制御部の制御による台車の移動について示す模式図である。
図9】実施の形態1にかかる台車の制御装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】実施の形態1にかかる判定部の処理の流れを示すフローチャートである。
図11】実施の形態2にかかる判定部の処理の流れを示すフローチャートである。
図12】実施の形態3にかかる判定部の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
<実施の形態1>
実施の形態1にかかる運搬システムについて説明する。この運搬システムは、自律移動ロボット10と、台車20とを有する。なお、運搬システムは、複数の自律移動ロボット10を含んでもよいし、複数の台車20を含んでもよい。
【0016】
図1は、本実施の形態にかかる自律移動ロボット10の一例を示す模式的側面図である。また、図2は、本実施の形態にかかる自律移動ロボット10の概略的なシステム構成を示すブロック図である。また、図3は、本実施の形態にかかる台車20の一例を示す模式的斜視図であり、具体的には、台車20の正面を示す斜視図である。なお、図3には、台車20に加え、台車20に収納された状態の荷物90も示されている。また、図4は、本実施の形態にかかる台車20の概略的なシステム構成を示すブロック図である。
【0017】
まず、自律移動ロボット10について説明する。自律移動ロボット10は、例えば、住宅、施設、倉庫、工場、屋外などの移動環境内を自律的に移動するロボットである。なお、本実施の形態では、自律移動ロボット10は後述する制御装置100によって制御されるが、制御機能の一部又は全てがサーバなどの自律移動ロボット10以外の装置において実現されてもよい。
【0018】
自律移動ロボット10は、自律移動ロボット10を移動させる移動装置111を備えた筐体110と、上下方向へ伸縮する伸縮部120と、載置された荷物を支持するための載置部130と、移動装置111及び伸縮部120の制御を含む、自律移動ロボット10の制御を行う制御装置100と、無線通信部140とを備えている。
【0019】
筐体110に設けられた移動装置111は、筐体110に回転可能に設けられた左右一対の駆動車輪112及び前後一対の従動車輪113、駆動車輪112を回転駆動する一対のモータ114と、を有している。モータ114は減速機などを介して、駆動車輪112を回転させる。モータ114は、制御装置100からの制御信号に応じて、駆動車輪112を回転させることで、自律移動ロボット10の前進移動、後進移動、及び回転を可能にする。これにより、自律移動ロボット10は、任意の位置に移動することができる。なお、上記移動装置111の構成は一例であり、これに限定されない。例えば、移動装置111の駆動車輪112及び従動車輪113の数は任意でよく、自律移動ロボット10を任意の位置に移動させることができれば任意の構成が適用可能である。
【0020】
伸縮部120は、上下方向へ伸縮する伸縮機構であり、筐体110の上部で載置部130を支持する支柱である。伸縮部120は、テレスコピック型の伸縮機構として構成されていてもよい。伸縮部120の上端部には、載置部130が設けられており、伸縮部120の動作により、載置部130が上昇又は下降する。伸縮部120は、モータなどの駆動装置121を備えており、駆動装置121の駆動により伸縮する。すなわち、駆動装置121の駆動により、載置部130が上昇又は下降する。駆動装置121は、制御装置100からの制御信号に応じて駆動する。なお、自律移動ロボット10において、伸縮機構の代わりに、筐体110の上側に設けられた載置部130の高さを制御する公知の任意の機構が用いられてもよい。
【0021】
載置部130は、伸縮部120の上部(先端)に設けられている。すなわち、載置部130は、自律移動ロボット10の筐体110の上方に、伸縮部120を介して設けられている。載置部130は、モータなどの駆動装置121により昇降し、本実施の形態では、載置部130は、自律移動ロボット10により運搬される荷物を載せたり、当該荷物を支持して持ち上げたりするために使用される。運搬のため、自律移動ロボット10は、荷物を載置部130で支持したまま、荷物とともに移動する。これにより、自律移動ロボット10は、荷物を運搬する。
【0022】
載置部130は、例えば、板材で構成されている。本実施の形態では、この板材の形状、すなわち、載置部130の形状は、例えば平らな円盤状であるが、他の任意の形状であってもよい。このように、載置部130は、駆動装置121(アクチュエータ)によって高さが変更されるプレートと説明することもできる。
【0023】
無線通信部140は、必要に応じて台車20又はサーバなどと通信するために、無線通信する回路であり、例えば、無線送受信回路及びアンテナを含む。なお、自律移動ロボット10が他の機器と通信を行わない場合には、無線通信部140が省略されてもよい。
【0024】
制御装置100は、自律移動ロボット10を制御する装置であり、プロセッサ101、メモリ102、及びインタフェース103を備える。プロセッサ101、メモリ102、及びインタフェース103は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0025】
インタフェース103は、移動装置111、伸縮部120、無線通信部140などの他の装置と通信するために使用される入出力回路である。
【0026】
メモリ102は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ102は、プロセッサ101により実行される、1以上の命令を含むソフトウェア(コンピュータプログラム)、及び自律移動ロボット10の各種処理に用いるデータなどを格納するために使用される。
【0027】
プロセッサ101は、メモリ102からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、制御装置100の処理を行う。
【0028】
プロセッサ101は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)などであってもよい。プロセッサ101は、複数のプロセッサを含んでもよい。
このように、制御装置100は、コンピュータとして機能する装置である。
【0029】
プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明される1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0030】
なお、プログラムについての上記説明は、台車20などの他の装置において実行されるプログラムについても同様である。
【0031】
次に、制御装置100の処理について説明する。
制御装置100は、自律移動ロボット10の動作を制御する。すなわち、制御装置100は、移動装置111、及び伸縮部120の動作を制御する。制御装置100は、移動装置111のモータ114に制御信号を送信することで、駆動車輪112の回転を制御し、自律移動ロボット10を任意の位置に移動させることができる。また、制御装置100は、伸縮部120の駆動装置121に対して制御信号を送信することで、載置部130の高さを制御することができる。
【0032】
制御装置100は、駆動車輪112に設けられた回転センサにより検出された駆動車輪112の回転情報などに基づいて、フィードバック制御、ロバスト制御等の周知の制御を行うことで、自律移動ロボット10の移動を制御してもよい。また、制御装置100は、自律移動ロボット10に設けられたカメラなどのセンサにより検出された環境情報、メモリ102に記憶された移動環境の地図情報などの情報に基づいて、移動装置111を制御することで、自律移動ロボット10を自律的に移動させてもよい。
【0033】
特に、制御装置100は、載置部130上に載った荷物を台車20へ運搬するよう制御する。このため、制御装置100は、荷物を台車20へ運搬するために、この台車20の位置へ自律移動ロボット10を移動させる。なお、台車20の位置は、他の装置(例えば、サーバ又は台車20)から自律移動ロボット10に通知されてもよいし、自律移動ロボット10が備えるセンサにより検知される環境情報に基づいて特定されてもよい。また、制御装置100は、台車20への荷物の収納に先だって、載置部130の高さが、台車20における収納位置の高さに対応する高さとなるよう制御を行う。
【0034】
次に、台車20について説明する。台車20も、例えば、住宅、施設、倉庫、工場、屋外などの移動環境内を自律的に移動するロボットであり、制御システムにより動作が制御される。なお、本実施の形態では、台車20の後述する制御装置200が制御システムとして機能するが、制御システムの一部又は全ての機能がサーバなどの台車20以外の装置において実現されてもよい。また、台車20と自律移動ロボット10の移動区間は異なってもよい。例えば、自律移動ロボット10は、局所エリア内を移動し、台車20は、複数の局所エリア間を移動してもよい。
【0035】
台車20は、台車20を移動させる移動装置211を備えた筐体210と、移動装置211の制御を含む台車20の制御を行う制御装置200と、センサ220と、無線通信部230とを備えている。
【0036】
筐体210に設けられた移動装置211は、例えば、筐体210に回転可能に設けられた4つの駆動車輪212と、駆動車輪212を回転駆動するモータ213とを有している。モータ213は減速機などを介して、駆動車輪212を回転させる。モータ213は、制御装置200からの制御信号に応じて、駆動車輪212を回転させることで、台車20の前進移動、後進移動、及び回転を可能にする。これにより、台車20は、任意の位置に移動することができる。なお、上記移動装置211の構成は一例であり、これに限定されず、台車20を任意の位置に移動させることができれば任意の構成が適用可能である。
【0037】
筐体210は、台車20の車体を構成する。そして、筐体210は、内部に空間を有する。図3に示した例では、筐体210は、直方体の形状であるが、正面が逆U字型となっており、正面が開口している。すなわち、筐体210は、鉛直面での断面が、U字を逆にした形状となっている。このため、この開口部から、筐体210内の収納空間に荷物90を入れたり、筐体210内の収納空間から荷物90を出したりすることが可能である。ここで、収納空間とは、荷物90が収納される筐体210内の空間をいう。特に、開口部は、台車20の走行面まで開口しているため、載置部130に荷物90を載せた自律移動ロボット10が筐体210の内側に進入することが可能である。換言すると、台車20が、自律移動ロボット10を筐体210内に受け入れるように移動することが可能である。このように、筐体210は、自律移動ロボット10が載置部130の上の荷物90とともに筐体210内に進入可能なように開口している。なお、ここでは、筐体210の上面及び下面を除く外面のうち開口している面を正面と称すこととする。筐体210の背面も正面と同様に開口していてもよい。
【0038】
筐体210には、荷物90が収納される。図3に示した例では、筐体210に、荷物90を鉛直方向に並んで複数収納することができる。図3に示した例では、筐体210は、1列の収納空間を備えるが、筐体210内で鉛直面に平行な仕切板を設けることにより複数列の収納空間を備えてもよい。
【0039】
筐体210の内側、すなわち収納空間には、両サイドに、対のレール215aとレール215bが設けられている。以下、対のレール215aとレール215bを単にレール215と称すこととする。より詳細には、レール215は、上下方向に並んで複数セット設けられている。レール215aとレール215bは、同じ高さに、筐体210の正面から背面にわたって平行に設けられている。図3に示した台車20では、複数セットのレール215は、一定の間隔で、上下方向に設けられているが、間隔は一定でなくてもよい。レール215で荷物90の両サイドを支持することにより、荷物90が台車20に収納される。より詳細には、荷物90の後述する突出部91がレール215により支持される。なお、レール215は、荷物90の突出部91を支持する支持部の一例である。レール215の代わりに、筐体210の正面から背面にわたって平行に設けられた溝が、支持部として用いられてもよい。すなわち、筐体210は、荷物90の両サイドを支持する任意の支持部材を備えていればよい。
【0040】
本実施の形態では、台車20に収納される荷物90は、矩形の箱であり、その中に物品を収納することができる。図5は、台車20に収納される荷物90の一例を示す斜視図である。より詳細には、図5は、荷物90の正面、底面、及び側面を示す斜視図である。荷物90の両サイドには、水平方向に突出した突出部91(つば)が設けられている。突出部91は、荷物90の両サイドに正面から背面にわたって設けられている。左右の突出部91が、台車20に設けられたレール215に下から支持されることにより、筐体210内において荷物90が収納される。例えば、自律移動ロボット10の載置部130上の荷物90の突出部91の位置がレール215の位置よりも高い状態で筐体210内に自律移動ロボット10が入った後(図6参照)、自律移動ロボット10が載置部130を降下させることで、突出部91がレール215に引っ掛かり、荷物90が台車20に収納されることとなる。
【0041】
図4に戻り、台車20の構成の説明を続ける。
センサ220は、台車20の任意の位置に設置されており、自律移動ロボット10に関する外観的な情報を検出するセンサである。例えば、センサ220は、カメラであるが、ライダー(LiDAR:light detection and ranging)センサなどの物体の外観的な情報を検出する任意のセンサであってもよい。センサ220の出力は、制御装置200に入力される。本実施の形態では、センサ220は、自律移動ロボット10の載置部130の高さ又は載置部130の上の荷物90の高さを特定するために用いられる。なお、載置部130の高さとは、載置部130が存在する位置と、地面又は床面との鉛直方向の距離を言う。同様に、載置部130の上の荷物90の高さとは、荷物90が存在する位置と、地面又は床面との鉛直方向の距離を言う。
【0042】
無線通信部230は、必要に応じて自律移動ロボット10又はサーバなどと通信するために、無線通信する回路であり、例えば、無線送受信回路及びアンテナを含む。なお、台車20が他の機器と通信を行わない場合には、無線通信部230が省略されてもよい。
【0043】
制御装置200は、台車20を制御する装置であり、プロセッサ201、メモリ202、及びインタフェース203を備える。プロセッサ201、メモリ202、及びインタフェース203は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0044】
インタフェース203は、移動装置211、センサ220、無線通信部230などの他の装置と通信するために使用される入出力回路である。
【0045】
メモリ202は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ202は、プロセッサ201により実行される、1以上の命令を含むソフトウェア(コンピュータプログラム)、及び台車20の各種処理に用いるデータなどを格納するために使用される。
【0046】
プロセッサ201は、メモリ202からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、制御装置200の処理を行う。
【0047】
プロセッサ201は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU、又はCPUなどであってもよい。プロセッサ201は、複数のプロセッサを含んでもよい。
このように、制御装置200は、コンピュータとして機能する装置である。
【0048】
図7は、台車20の制御装置200の機能構成の一例を示したブロック図である。図7に示すように、制御装置200は、判定部240及び台車制御部241を含む。
【0049】
判定部240は、自律移動ロボット10が載置部130により荷物90を所定の高さ以上に持ち上げたまま台車20に向かって移動する予定があるか否かを判定する。そのような移動は、自律移動ロボット10の姿勢の安定性が低下した状態での移動であるため、以下、不安定移動と称すこととする。
【0050】
判定部240は、載置部130に載せられた荷物90を台車20に収納する自律移動ロボット10であることが検知された自律移動ロボット10について、不安定移動の予定があるか否かを判定する。なお、載置部130に載せられた荷物90を台車20に収納する自律移動ロボット10であることの検知は、任意の方法により行うことが可能である。例えば、載置部130に載せられた荷物90を台車20に収納する自律移動ロボット10からの通知に基づいてそのような自律移動ロボット10が検知されてもよいし、台車20から所定の距離以内のエリアに存在する自律移動ロボット10がそのような自律移動ロボット10として検知されてもよい。
【0051】
本実施の形態では、判定部240は、センサ220を用いて検出された、載置部130の高さ又は載置部130の上の荷物90の高さを示す情報に基づいて、不安定移動の予定があるか否かの判定を行う。例えば、判定部240は、センサ220の出力情報から特定される自律移動ロボット10の載置部130の高さが所定の閾値以上である場合、この自律移動ロボット10について不安定移動の予定があると判定する。また、判定部240は、センサ220の出力情報から特定される載置部130の上の荷物90の高さが所定の閾値以上である場合、この載置部130を有する自律移動ロボット10について不安定移動の予定があると判定する。
【0052】
台車制御部241は、台車20の移動を制御する。すなわち、台車制御部241は、移動装置211の動作を制御する。台車制御部241は、移動装置211のモータ213に制御信号を送信することで、駆動車輪212の回転を制御し、台車20を任意の位置に移動させることができる。
【0053】
台車制御部241は、駆動車輪212に設けられた回転センサにより検出された駆動車輪212の回転情報などに基づいて、フィードバック制御、ロバスト制御等の周知の制御を行うことで、台車20の移動を制御してもよい。また、台車制御部241は、台車20に設けられたカメラなどのセンサにより検出された環境情報、メモリ202に記憶された移動環境の地図情報などの情報に基づいて、移動装置211を制御することで、台車20を自律的に移動させてもよい。自律移動ロボット10の載置部130の高さ又は載置部130の上の荷物90の高さを特定するために用いられるセンサ220は、台車20の移動の際に移動環境をセンシングするために用いられるものであってもよい。
【0054】
特に、台車制御部241は、載置部130により荷物90を所定の高さ以上に持ち上げたまま台車20に向かって自律移動ロボット10が移動する予定があると判定された場合、台車20が自律移動ロボット10に向かって移動するよう制御する。すなわち、台車制御部241は、判定部240によって自律移動ロボット10の不安定移動の予定があると判定された場合、この自律移動ロボット10に向かって台車20が移動するよう制御する。このような制御によれば、台車20が自律移動ロボット10に向かって移動するため、自律移動ロボット10が台車20に向かって移動する距離を減らすことができる。このため、高く上げられた載置部130に荷物90を載せた状態、すなわち不安定な状態で自律移動ロボット10が移動する距離を短くすることができる。このため、自律移動ロボット10の姿勢の安定性が低下することによるリスクを低減することができる。
【0055】
また、台車制御部241は、判定部240によって自律移動ロボット10の不安定移動の予定があると判定された場合、台車20が自律移動ロボット10に向かって移動するような制御として、次のような制御を行ってもよい。すなわち、台車制御部241は、筐体210内に載置部130が進入した状態になるように台車20を移動させてもよい。ここで、載置部130が進入した状態とは、具体的には、例えば、載置部130上の荷物90が筐体210内の収納位置に到達した状態をいう。すなわち、載置部130が進入した状態とは、1対のレール215の真上に荷物90の両サイドの突出部91が位置する状態とも言える。なお、載置部130が進入した状態とは、載置部130の少なくとも一部が進入した状態であってもよい。このような制御について、図8A及び図8Bに示す。判定部240によって自律移動ロボット10の不安定移動の予定があると判定された場合、図8Aに示すように、台車制御部241は、台車20が自律移動ロボット10に向かって移動するよう制御する。なお、このとき、台車制御部241は、荷物90の両サイドの突出部91に対する1対のレール215の相対的な向きが、収納に必要とされる向きとなるよう、台車20の向きを調整してもよい。つまり、台車制御部241は、レール215の延在する方向と、突出部91が延在する方向とが一致するように、台車20の向きを調整してもよい。なお、自律移動ロボット10が向きを調整してもよい。言うまでもなく、荷物90の両サイドの突出部91に対する1対のレール215の相対的な向きが、収納に必要とされる向きに既に一致している場合には、台車20又は自律移動ロボット10の向きの調整は不要である。そして、台車制御部241は、図8Bに示すように、筐体210内に載置部130が進入した状態になるように台車20を移動させる。すなわち、台車制御部241は、自律移動ロボット10を筐体210内に受け入れるように台車20を移動させる。図8Bに示した状態において、自律移動ロボット10が載置部130を降下させると、荷物90の両サイドの突出部91がレール215に引っ掛かり、荷物90が収納される。そして、自律移動ロボット10は、台車20から抜け出るように移動する。台車20に荷物90が収納されると、例えば、台車制御部241は、荷物90を目的地に運搬するために、台車20を目的地へと移動させる。
【0056】
このような制御によれば、台車20への荷物90の収納が、自律移動ロボット10の移動ではなく、台車20の移動によって実現される。このため、自律移動ロボット10が荷物90を台車20に収納するための移動に起因するリスクを低減することができる。なお、荷物90の収納のために、台車20だけが移動するのではなく、自律移動ロボット10も移動してもよい。すなわち、台車20と自律移動ロボット10が互いに近づく方向に移動してもよい。
【0057】
なお、台車20への荷物90の収納が、自律移動ロボット10の移動だけによって実現されてもよい。この場合、自律移動ロボット10の制御装置100は、センサなどにより台車20(筐体210)の開口部を検出して、この開口部から筐体210内へと自律移動ロボット10が移動するよう制御する。その際、制御装置100は、台車20の1対のレール215に対する荷物90の両サイドの突出部91の相対的な向きが、収納に必要とされる向きとなるよう、自律移動ロボット10の向きを調整する。なお、この場合、載置部130上の荷物90の突出部91の向きは、自律移動ロボット10にとって既知であるものとする。載置部130上の荷物90の突出部91の向きは、自律移動ロボット10が備えるセンサなどにより検出されてもよい。また、載置部130上の荷物90の向き(突出部91の向き)が一定となるように、運用上のルールが定められていてもよいし、物理的に制限されていてもよい。
【0058】
図9は、本実施の形態にかかる台車20の制御装置200の処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下、フローチャートを参照して、台車20の制御装置200の処理の流れについて説明する。
【0059】
ステップS10において、判定部240は、不安定移動の予定があるか否かを判定する。本実施の形態におけるステップS10の具体的な処理について、図10を参照して説明する。図10は、本実施の形態にかかる判定部240の処理の流れを示すフローチャートである。すなわち、図10は、本実施の形態にかかるステップS10の具体的な処理の流れを示すフローチャートである。
【0060】
まず、ステップS100において、判定部240は、センサ220を用いて検出された、載置部130の高さ(載置部130の上の荷物90の高さ)を示す情報を取得する。例えば、判定部240は、センサ220の出力情報から載置部130の位置(載置部130の上の荷物90の位置)を特定することで、載置部130の高さ(載置部130の上の荷物90の高さ)を取得する。なお、載置部130の高さ(載置部130の上の荷物90の高さ)の検出のために、台車20に設けられたセンサ220ではなく、移動環境に設けられたセンサが用いられてもよい。
【0061】
次に、ステップS101において、判定部240は、ステップS100で取得された高さが、所定の閾値以上であるか否かを判定する。ステップS100で取得された高さが所定の閾値以上である場合(ステップS101でYes)、ステップS102において、判定部240は、不安定移動の予定があると判定する。これに対し、ステップS100で取得された高さが所定の閾値未満である場合(ステップS101でNo)、ステップS103において、判定部240は、不安定移動の予定がないと判定する。
【0062】
図9に戻り、ステップS10の後の処理について説明する。ステップS10において不安定移動の予定があると判定された場合(ステップS20でYes)、ステップS30の処理が行われ、ステップS10において不安定移動の予定がないと判定された場合(ステップS20でNo)、ステップS30の処理は行われない。
【0063】
ステップS30では、台車制御部241は、荷物90を台車20に収納する自律移動ロボット10に向かって台車20が移動するよう制御する。なお、このとき、上述した通り、台車制御部241は、筐体210内に自律移動ロボット10の載置部130が進入した状態になるように台車20を移動させてもよい。
【0064】
以上、実施の形態1について説明した。本実施の形態によれば、上述した通り、自律移動ロボット10の不安定移動の予定がある場合、台車20が自律移動ロボット10に向かって移動するため、自律移動ロボット10の姿勢の安定性が低下することによるリスクが低減される。
【0065】
<実施の形態2>
本実施の形態は、不安定移動の予定があるか否かについての判定方法が異なる点で、上述した実施の形態と異なる。なお、本実施の形態は、制御装置200の判定部240の処理が異なるものの、他の処理及び構成については、実施の形態1と同様である。以下では、実施の形態1と異なる点について説明し、実施の形態1と重複する説明については省略する。
【0066】
本実施の形態では、判定部240は、荷物90を台車20に収納する自律移動ロボット10から受信した、載置部130の高さについての制御情報に基づいて、この自律移動ロボット10について不安定移動の予定があるか否かの判定を行う。載置部130の高さについての制御情報とは、自律移動ロボット10の制御装置100が用いる情報であって、具体的には例えば、載置部130の高さを変更するために駆動装置121に対して送信した制御信号であってもよいし、制御装置100が管理する、載置部130の現在の高さを示す情報であってもよい。本実施の形態では、自律移動ロボット10の制御装置100は、荷物90の収納先の台車20に、載置部130の高さについてのこのような制御情報を送信する。この制御情報を受信した台車20の判定部240は、受信された制御情報から載置部130の高さを特定する。なお、受信された情報が制御信号である場合には、判定部240は、例えば予め定められたルックアップテーブルを参照して、制御信号から載置部130の高さを特定してもよい。
【0067】
そして、判定部240は、特定した載置部130の高さが所定の閾値以上である場合、自律移動ロボット10について不安定移動の予定があると判定する。台車制御部241は、判定部240によって自律移動ロボット10の不安定移動の予定があると判定された場合、実施の形態1と同様の制御を行う。
【0068】
図11は、実施の形態2にかかる判定部240の処理の流れを示すフローチャートである。すなわち、図11は、実施の形態2にかかるステップS10(図9参照)の具体的な処理の流れを示すフローチャートである。本実施の形態では、ステップS10の具体的な処理としてステップS110からステップS113の処理が行われる。
【0069】
まず、ステップS110において、判定部240は、自律移動ロボット10の制御装置100が用いている、載置部130の高さについての制御情報を取得する。そして、判定部240は、取得した制御情報から載置部130の高さを特定する。
【0070】
次に、ステップS111において、判定部240は、ステップS110で特定された高さが、所定の閾値以上であるか否かを判定する。ステップS110で特定された高さが所定の閾値以上である場合(ステップS111でYes)、ステップS112において、判定部240は、不安定移動の予定があると判定する。これに対し、ステップS110で取得された高さが所定の閾値未満である場合(ステップS111でNo)、ステップS113において、判定部240は、不安定移動の予定がないと判定する。
【0071】
以上、実施の形態2について説明した。本実施の形態においても、自律移動ロボット10の不安定移動の予定がある場合、台車20が自律移動ロボット10に向かって移動するため、自律移動ロボット10の姿勢の安定性が低下することによるリスクが低減される。
【0072】
<実施の形態3>
本実施の形態も、不安定移動の予定があるか否かについての判定方法が異なる点で、上述した実施の形態と異なる。なお、本実施の形態も、制御装置200の判定部240の処理が異なるものの、他の処理及び構成については、実施の形態1と同様である。以下では、実施の形態1と異なる点について説明し、実施の形態1と重複する説明については省略する。
【0073】
本実施の形態では、判定部240は、台車20における荷物90の収納予定位置に基づいて、自律移動ロボット10について不安定移動の予定があるか否かの判定を行う。荷物90の収納予定位置が高い位置である場合、自律移動ロボット10は、この収納予定位置に荷物90を収納するために、載置部130を高く上げて移動することが予想される。このため、本実施の形態では、自律移動ロボット10について不安定移動の予定があるか否かが、収納予定位置によって判定される。台車20は、収納予定位置を、荷物90を台車20に収納する自律移動ロボット10から受信してもよいし、他のサーバから受信してもよい。また、筐体210内の収納可能な位置が管理されている場合には、収納可能な位置を示す情報から収納予定位置が特定されてもよい。この場合、例えば、判定部240は、収納可能な最も高い位置を収納予定位置として特定してもよい。
【0074】
そして、判定部240は、自律移動ロボット10による荷物90の収納予定位置の高さが所定の閾値以上である場合、自律移動ロボット10について不安定移動の予定があると判定する。台車制御部241は、判定部240によって自律移動ロボット10の不安定移動の予定があると判定された場合、実施の形態1と同様の制御を行う。
【0075】
図12は、実施の形態3にかかる判定部240の処理の流れを示すフローチャートである。すなわち、図12は、実施の形態3にかかるステップS10(図9参照)の具体的な処理の流れを示すフローチャートである。本実施の形態では、ステップS10の具体的な処理としてステップS120からステップS123の処理が行われる。
【0076】
まず、ステップS120において、判定部240は、自律移動ロボット10が載置部130に載せている荷物90の収納予定位置を取得する。
【0077】
次に、ステップS121において、判定部240は、ステップS120で取得された収納予定位置の高さが、所定の閾値以上であるか否かを判定する。収納予定位置の高さが所定の閾値以上である場合(ステップS121でYes)、ステップS122において、判定部240は、不安定移動の予定があると判定する。これに対し、収納予定位置の高さが所定の閾値未満である場合(ステップS121でNo)、ステップS123において、判定部240は、不安定移動の予定がないと判定する。
【0078】
以上、実施の形態3について説明した。本実施の形態においても、自律移動ロボット10の不安定移動の予定がある場合、台車20が自律移動ロボット10に向かって移動するため、自律移動ロボット10の姿勢の安定性が低下することによるリスクが低減される。特に、本実施の形態では、載置部130が既に高く上げられているか否かにかかわらず、載置部130により荷物を所定の高さ以上に持ち上げたまま台車20に向かって自律移動ロボット10が移動する予定であるか否かを容易に判定することができる。また、本実施の形態では、載置部130が高く上げられる前から、台車20は、リスク低減のための移動を開始することが可能である。
【0079】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、台車20又は自律移動ロボット10の制御処理の一部又は全てがサーバなどの装置において実現されてもよい。また、上述の実施の形態では、リスクの低減のために、台車20の筐体210内に自律移動ロボット10が位置した状態になるように台車20を移動させる制御を行うことを説明した。しかし、台車20の筐体210内に自律移動ロボット10が位置した状態が、台車20の移動により実現されなくてもよい。また、この場合、台車20の筐体210の外に自律移動ロボット10が位置した状態で、自律移動ロボット10が備えるマニピュレータなどにより、台車20への荷物90の収納が行われてもよい。また、判定部240は、実施の形態1から実施の形態3で説明された各判定方法を併用してもよい。
【符号の説明】
【0080】
10 自律移動ロボット
20 台車
90 荷物
91 突出部
100 制御装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 インタフェース
110 筐体
111 移動装置
112 駆動車輪
113 従動車輪
114 モータ
120 伸縮部
121 駆動装置
130 載置部
140 無線通信部
200 制御装置
201 プロセッサ
202 メモリ
203 インタフェース
210 筐体
211 移動装置
212 駆動車輪
213 モータ
215 レール
220 センサ
230 無線通信部
240 判定部
241 台車制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12