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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/262 20210101AFI20240723BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20240723BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20240723BHJP
【FI】
H01M50/262 S
H01M50/242
H01M50/291
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021507354
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2020011623
(87)【国際公開番号】W WO2020189657
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2019050049
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】▲つる▼田 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】和田 彬
(72)【発明者】
【氏名】中畑 拓也
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206250254(CN,U)
【文献】国際公開第2016/084272(WO,A1)
【文献】特開2017-069004(JP,A)
【文献】特開2017-142942(JP,A)
【文献】中国実用新案第207967108(CN,U)
【文献】特開2015-225700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電素子を有する蓄電素子ユニットと、
前記蓄電素子ユニットの第一方向の側方に配置される部分を有するエンド部材とを備え、
前記エンド部材は、前記第一方向に重ねて配置された、内板材及び外板材を含み、前記内板材は、前記蓄電素子ユニットの前記第一方向側の側面である第一側面に当接し、かつ、前記蓄電素子ユニットと前記外板材との間に配置されており、
前記第一方向と交差する第二方向において、前記内板材の幅は、前記蓄電素子ユニットの前記第一側面の幅よりも小さく、
前記外板材の前記第二方向の幅は、前記内板材の前記第二方向の幅よりも大き
前記外板材は、前記蓄電素子ユニットの前記第一方向における両側のそれぞれに配置されており、
2つの前記外板材のうちの一方の前記外板材は、2つの前記外板材のうちの他方の外板材と連結される連結部を有する、
蓄電装置。
【請求項2】
前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向において、前記内板材の幅は、前記蓄電素子ユニットの前記第一側面の幅よりも小さく、
前記内板材は、前記第一方向から見た場合に、前記第一側面の外形の領域内に配置されている、
請求項1記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記複数の蓄電素子のそれぞれは、長側面を前記第一方向に向けた姿勢で、前記第一方向に並んで配置されている、
請求項1または2記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記複数の蓄電素子のそれぞれは、短側面を前記第一方向に向け、かつ、互いに隣り合う2つの蓄電素子の長側面が対向する姿勢で並んで配置されている、
請求項1または2記載の蓄電装置。
【請求項5】
複数の蓄電素子を有する蓄電素子ユニットと、
前記蓄電素子ユニットの第一方向の側方に配置される部分を有するエンド部材とを備え、
前記エンド部材は、前記第一方向に重ねて配置された、内板材及び外板材を含み、前記内板材は、前記蓄電素子ユニットの前記第一方向側の側面である第一側面に当接し、かつ、前記蓄電素子ユニットと前記外板材との間に配置されており、
前記第一方向と交差する第二方向において、前記内板材の幅は、前記蓄電素子ユニットの前記第一側面の幅よりも小さく、
前記外板材の前記第二方向の幅は、前記内板材の前記第二方向の幅よりも大きく、
前記エンド部材はさらに、前記内板材と前記外板材との間に配置された中間板材を有し、
前記中間板材は、前記内板材に対向する第一中間板部と、前記蓄電素子ユニットの前記第一側面に隣接する第二側面に対向する第二中間板部とを有し、
前記外板材は、前記中間板材の前記第一中間板部に対向する第一外板部と、前記中間板材の前記第二中間板部に対向する第二外板部とを有する、
電装置。
【請求項6】
前記エンド部材は、前記蓄電素子ユニットの前記第一方向における両側のそれぞれに配置されており、
2つの前記エンド部材のうちの一方の前記外板材の前記第二外板部は、2つの前記エンド部材のうちの他方の前記外板材の前記第二外板部と連結される連結部を有する、
請求項5記載の蓄電装置。
【請求項7】
複数の蓄電素子を有する蓄電素子ユニットと、
前記蓄電素子ユニットの第一方向の側方に配置される部分を有するエンド部材と
前記蓄電素子ユニット及び前記エンド部材を収容する本体部を有する筐体と、を備え、
前記複数の蓄電素子は、長側面を前記第一方向に向けた姿勢で、第一方向に並んで配置されており、
前記エンド部材は、前記第一方向に重ねて配置された、内板材及び外板材を含み、前記内板材は、前記蓄電素子ユニットの前記第一方向側の側面である第一側面に当接し、かつ、前記蓄電素子ユニットと前記外板材との間に配置されており、
前記第一方向と交差し、かつ、前記長側面の長手方向である第二方向において、前記内板材の幅は、前記蓄電素子ユニットの前記第一側面の幅よりも小さく、
前記外板材の前記第二方向の幅は、前記内板材の前記第二方向の幅よりも大きく、
前記内板材は、金属製であり、
前記エンド部材は、前記第一方向において前記本体部と対向している、
蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電素子を備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蓄電池群を有する蓄電装置が開示されている。この蓄電装置では、蓄電池群の積層方向両端に、断熱機能及び絶縁機能を有するインシュレータプレートを介装して長方形状のエンドプレートが配置される。エンドプレート同士は、当該積層方向に延在する一対の連結バンドにより連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-236937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の蓄電素子からなる蓄電素子列における各蓄電素子の膨れの抑制は、各蓄電素子の容器の不具合、または、蓄電素子列を収容する外装体の不具合等を招き得る。そのため、蓄電素子列における各蓄電素子の膨れの抑制は、蓄電装置の安全性の向上の観点から重要である。この課題に対して、上記従来の蓄電装置のように、一対のエンドプレートで連結バンドによって蓄電素子列を拘束することで、各蓄電素子の膨れを抑制することは可能である。
【0005】
しかしながら、特許文献1の蓄電装置では、蓄電素子列の端面(インシュレータプレートの外側面)よりも大きなサイズのエンドプレートが、当該端面に当接する。そのため、仮に蓄電装置に、蓄電素子の並び方向の大きな外力が作用した場合、エンドプレートが当該端面の全域を押圧することになり、当該端面の角部が損傷するおそれがある。このような事象を防止するためには、エンドプレートを厚くすることでエンドプレートの変形を抑制することが考えられる。しかし、この対策は、蓄電装置のサイズまたは重量の増加を招くため、好ましい対策とは言えない。
【0006】
本発明は、複数の蓄電素子を備える蓄電装置であって、安全性が向上された蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、複数の蓄電素子を有する蓄電素子ユニットと、前記蓄電素子ユニットの第一方向の側方に配置される部分を有するエンド部材とを備え、前記エンド部材は、前記第一方向に重ねて配置された、内板材及び外板材を含み、前記内板材は、前記蓄電素子ユニットの前記第一方向側の側面である第一側面に当接し、かつ、前記蓄電素子ユニットと前記外板材との間に配置されており、前記第一方向と交差する第二方向において、前記内板材の幅は、前記蓄電素子ユニットの前記第一側面の幅よりも小さく、前記外板材の前記第二方向の幅は、前記内板材の前記第二方向の幅よりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の蓄電素子を備える蓄電装置であって、安全性が向上された蓄電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
図2図2は、実施の形態に係る蓄電装置の内部構成を示す分解斜視図である。
図3図3は、実施の形態に係る蓄電装置の詳細な内部構成を示す分解斜視図である。
図4図4は、実施の形態に係るエンド部材を蓄電素子ユニットから離して図示する斜視図である。
図5図5は、実施の形態に係るエンド部材及び蓄電素子ユニットのそれぞれを分解して示す分解斜視図である。
図6図6は、実施の形態に係るエンド部材の構成要素及びユニット端面の横幅の大小関係を示す斜視図である。
図7図7は、実施の形態に係るエンド部材の構成要素及びユニット端面の縦幅の大小関係を示す正面図である。
図8図8は、実施の形態に係るエンド部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、複数の蓄電素子を有する蓄電素子ユニットと、前記蓄電素子ユニットの第一方向の側方に配置される部分を有するエンド部材とを備え、前記エンド部材は、前記第一方向に重ねて配置された、内板材及び外板材を含み、前記内板材は、前記蓄電素子ユニットの前記第一方向側の側面である第一側面に当接し、かつ、前記蓄電素子ユニットと前記外板材との間に配置されており、前記第一方向と交差する第二方向において、前記内板材の幅は、前記蓄電素子ユニットの前記第一側面の幅よりも小さく、前記外板材の前記第二方向の幅は、前記内板材の前記第二方向の幅よりも大きい。
【0011】
本態様の蓄電装置によれば、エンド部材により少なくとも蓄電素子ユニットの第一側面側が保護される。エンド部材は、少なくとも2つの板材が重ねられる部分を有することで、保護に必要な強度を得ることができる。さらに、内板材の幅が蓄電素子ユニットの第一側面の幅よりも小さく、かつ、外板材の幅が内板材の幅よりも大きいため、外板材の内側への変形を容易にさせる空間が存在する。そのため、外板材に、蓄電素子ユニット向きの大きな外力が作用した場合、外板材が変形することにより外力を吸収できる。これにより、蓄電素子ユニットが損傷する可能性が低減される。つまり、本態様に係るエンド部材は、複数の板材が重ねられることで所定の強度を有し、かつ、外板材の幅が内板材の幅よりも大きいことで、衝撃吸収が可能な変形能も有している。従って、本態様に係る蓄電装置は、安全性が向上された蓄電装置である。
【0012】
前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向において、前記内板材の幅は、前記蓄電素子ユニットの前記第一側面の幅よりも小さく、前記内板材は、前記第一方向から見た場合に、前記第一側面の外形の領域内に配置されてもよい。
【0013】
この構成によれば、内板材は、第一方向から見た場合に、蓄電素子ユニットの第一側面の外形よりも小さいサイズに形成され、かつ、第一側面の外形の領域内に配置される。従って、外板材の内側への変形が容易な空間が増えるため、外板材による外力の吸収効果が向上され、その結果、蓄電装置の安全性が向上する。
【0014】
前記複数の蓄電素子のそれぞれは、長側面を前記第一方向に向けた姿勢で、前記第一方向に並んで配置されてもよい。
【0015】
この構成によれば、第一方向の端部に位置する蓄電素子の長側面の外側にエンド部材が配置される。これにより、蓄電素子の変形しやすい部分である長側面が保護され、長側面の膨張が効率よく抑制される。その結果、蓄電装置の安全性が向上する。
【0016】
前記複数の蓄電素子のそれぞれは、短側面を前記第一方向に向け、かつ、互いに隣り合う2つの蓄電素子の長側面が対向する姿勢で並んで配置されてもよい。
【0017】
この構成によれば、複数の蓄電素子の短側面の外側にエンド部材が配置される。これにより、蓄電素子の内部において短側面の近くに集電体が配置されている場合、短側面がエンド部材に保護されていることで、蓄電装置に衝撃が与えられた場合において、集電体が電極体を損傷する可能性が低減される。その結果、蓄電装置の安全性が向上する。
【0018】
前記エンド部材はさらに、前記内板材と前記外板材との間に配置された中間板材を有し、前記中間板材は、前記内板材に対向する第一中間板部と、前記蓄電素子ユニットの前記第一側面に隣接する第二側面に対向する第二中間板部とを有し、前記外板材は、前記中間板材の前記第一中間板部に対向する第一外板部と、前記中間板材の前記第二中間板部に対向する第二外板部とを有してもよい。
【0019】
この構成によれば、エンド部材により、蓄電素子ユニットの第一側面及び第二側面の両方が保護される。そのため、蓄電装置の安全性がより向上される。
【0020】
前記エンド部材は、前記蓄電素子ユニットの前記第一方向における両側のそれぞれに配置されており、2つの前記エンド部材のうちの一方の前記外板材の前記第二外板部は、2つの前記エンド部材のうちの他方の前記外板材の前記第二外板部と連結される連結部を有してもよい。
【0021】
この構成によれば、一対のエンド部材により、蓄電素子ユニットの第一方向の両方の第一側面、及び、これら第一側面を接続する第二側面が保護される。
一対のエンド部材は、2つの第二外板部が連結されることで、互いに機械的に接続される。そのため、一方のエンド部材が他方のエンド部材を補強する部材として機能する。従って、蓄電装置の安全性がより向上される。
【0022】
本発明は、複数の蓄電素子を含む蓄電素子ユニットに対して配置されるエンド部材として実現することもできる。
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明する。以下で説明する実施の形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0024】
以下の説明及び図面中において、筐体の長手方向(筐体の短側面の対向方向)、または、1つの蓄電素子における短側面の対向方向をX軸方向と定義する。筐体の短手方向(筐体の長側面の対向方向)、または、1つの蓄電素子における長側面の対向方向をY軸方向と定義する。筐体における本体部と固定壁部との並び方向、または、蓄電素子の短側面の長手方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。本実施の形態では、Z軸方向を上下方向とし、かつ、Z軸方向プラス側を「上」として説明を行うが、このことは、実際の蓄電装置の使用時における姿勢を限定しない。各図面については、本発明を示すために、適宜強調、省略、または比率の調整を行うことで、実際の形状、位置関係、及び比率とは異なる場合がある。
【0025】
X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、数%程度の差異を含むことも意味する。
【0026】
(実施の形態)
[1.蓄電装置の全般的な説明]
まず、図1図3を用いて、実施の形態に係る蓄電装置10の全般的な説明を行う。図1は、実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。図2は、実施の形態に係る蓄電装置10の内部構成を示す分解斜視図である。図3は、実施の形態に係る蓄電装置10の詳細な内部構成を示す分解斜視図である。図2及び図3では、蓄電装置10と外部機器とを接続する電力ケーブル20及び電線30の図示は省略されている。
【0027】
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電できる装置である。蓄電装置10は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュールである。具体的には、蓄電装置10は、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械等の移動体の駆動用、エンジン始動用若しくはバックアップ用、または、家庭用若しくは発電機用に使用される定置用として用いられる。
【0028】
図1図3に示すように、蓄電装置10は、複数の蓄電素子210を有する蓄電素子ユニット200と、蓄電素子ユニット200を収容する筐体100とを備える。本実施の形態では、蓄電素子ユニット200は4個の蓄電素子210を有している。蓄電素子ユニット200が有する蓄電素子210の数は4には限定されない。蓄電素子ユニット200は複数の蓄電素子210を備えていればよい。
【0029】
筐体100は、蓄電装置10を他の部材500に固定するための固定部145が設けられた固定壁部140と、固定壁部140との間に蓄電素子ユニット200等を収容する空間を形成する箱型の本体部105とを有する。図3に示すように、固定壁部140には、蓄電素子ユニット200の固定のためのねじ穴146が複数設けられている。後述するエンド部材300を貫通する複数のボルト50のそれぞれが、ねじ穴146に螺合することで、エンド部材300及び蓄電素子ユニット200が固定壁部140の上面に固定される。さらに、エンド部材300及び蓄電素子ユニット200を囲むように本体部105が配置される。
【0030】
つまり、全体として平板状の固定壁部140の上面に蓄電素子ユニット200等の各要素が配置されており、これら、蓄電素子ユニット200等を上方及び側方から覆うように本体部105が配置される。固定壁部140の固定部145には固定用開口部145aが設けられており、本体部105の端部には、固定用開口部106が設けられている。固定用開口部106及び固定用開口部145aに挿通されたボルト40が、他の部材500のねじ穴(またはナット)に螺合する。つまり、本体部105と固定壁部140とは、ボルト40によって他の部材500に共締めされる。本実施の形態では、このような、筐体100の固定箇所が4つ設けられており、これら4つの固定箇所によって、他の部材500に蓄電装置10が固定される。
【0031】
図1に示すように、本体部105の一つの壁部(X軸方向プラス側の壁部)には、排気管190及び排気管190よりも上方に配置された外部接続部195が設けられている。排気管190は、筐体100内の1以上の蓄電素子210のガス排出弁からガスが排出された場合、そのガスを筐体100の外部に導くための部材である。外部接続部195は、蓄電素子ユニット200の正極及び負極に接続された一対の電力ケーブル20と、後述するBMU(Battery Management Unit)400に接続された複数の電線30とを保持する部材である。図1では、一対の電力ケーブル20及び複数の電線30は外部接続部195から外部に延設されているが、一対の電力ケーブル20及び複数の電線30のそれぞれは、外部接続部195の位置に、外部機器と接続するためのコネクタを有してもよい。
【0032】
筐体100は、鉄等の金属で形成されており、かつ、箱型の本体部105を有しているため、蓄電装置10は、比較的に小型でかつ外殻(つまり筐体100)の強度が高いという特性を有している。そのため、蓄電装置10は、自動車に搭載された電気機器の動作のためのバッテリー、または、当該動作を保証するバックアップ用のバッテリーとして自動車に搭載される。従って、蓄電装置10が固定される他の部材500としては、自動車の車体が例示される。図1及び図2では、他の部材500は、簡易的に矩形の板状部材として表しているが、他の部材500は、蓄電装置10を固定できる部分を有していれば、サイズ及び形状に特に限定はない。
【0033】
筐体100は、固定壁部140以外の複数の壁部のうちの1つである支持壁部110を有しており、支持壁部110は、被支持部材を取り付けるための取付部120を有している。取付部120には、被支持部材の側から見た場合に、支持壁部110よりも大きな被支持部材を取り付けることができる。取付部120は、被支持部材を取り付けるためのボルト等と螺合する取付穴120aを有している。蓄電装置10が自動車に搭載される場合、蓄電装置10は比較的に小型であることから、運転席と助手席との間に配置できる。この場合、本実施の形態において支持壁部110に4つ配置された取付部120に、ドリンクホルダ等を含むコンソールボックスを取り付けることができる。つまり、蓄電装置10を、コンソールボックスを支持する支持部材として機能させることができる。
【0034】
本実施の形態では、筐体100の内部にはさらに、蓄電素子ユニット200の充放電を制御するBMU(Battery Management Unit)400が収容されている。BMU400は、複数のボルトで固定壁部140の上面に固定される。蓄電装置10がBMU400を内蔵することは必須ではなく、蓄電素子ユニット200の充放電の制御は外部の機器によって行われてもよい。
【0035】
蓄電素子ユニット200は、図2及び図3に示すように、蓄電素子210の並び方向(Y軸方向)で対向するエンド部材300に挟まれた状態で保持されている。蓄電素子ユニット200の電極端子の側(Z軸方向プラス側)には、複数の蓄電素子210を電気的及び機械的に接続する複数のバスバー250と、複数のバスバー250を保持するバスバーフレーム255とが配置される。バスバーフレーム255には、バスバー用開口部256が複数設けられており、複数のバスバー250のそれぞれは、複数のバスバー用開口部256のいずれかに配置され、その下方の1つまたは2つの蓄電素子210に接合される。
【0036】
本実施の形態では、蓄電素子ユニット200の上方にはさらにカバー部材280が配置されており、蓄電素子ユニット200とカバー部材280との間にバスバー250が配置されている。つまり、蓄電素子ユニット200とカバー部材280との間にバスバーフレーム255が配置されている。
【0037】
[2.蓄電素子ユニット及びその周辺の構成]
次に、以上のように構成された蓄電装置10における、蓄電素子ユニット200及びその周辺の構成を、図4及び図5を用いて説明する。図4は、実施の形態に係るエンド部材300を蓄電素子ユニット200から離して図示する斜視図である。図5は、実施の形態に係るエンド部材300及び蓄電素子ユニット200のそれぞれを分解して示す分解斜視図である。
【0038】
図4に示すように、本実施の形態に係る蓄電装置10は、蓄電素子ユニット200のY軸方向の側方に配置される部分を有するエンド部材300を備えている。Y軸方向は第一方向の一例であり、本実施の形態では、蓄電素子ユニット200における複数の蓄電素子210の並び方向と一致する。図5に示すように複数の蓄電素子210は長側面211が、Y軸方向と直交する姿勢(言い換えると短側面212がY軸方向に平行な姿勢)でY軸方向に並べられている。
【0039】
蓄電素子ユニット200は、図5に示すように、複数の蓄電素子210と、隣り合う2つの蓄電素子210の間に配置されたスペーサ220と、複数の蓄電素子210の並び方向(Y軸方向)における両端に配置されたエンドスペーサ225とを有する。つまり、本実施の形態では、蓄電素子ユニット200のY軸方向の側面であるユニット端面201は、エンドスペーサ225の外側面により形成されている。ユニット端面201は、第一側面の一例である。本実施の形態では、ユニット端面201は単純な平面ではなく、図4に示すように、凹状または凸状の部分(凹凸部分)を有している。従って、「ユニット端面201に当接する」という場合、ユニット端面201の平坦な部分に当接することだけでなく、凹凸部分の表面に当接することも含む。
【0040】
エンド部材300は、ユニット端面201に当接して配置される。具体的には、エンド部材300は、ユニット端面201に当接する内板材310及びその外側に配置された板材で構成される。本実施では、内板材310の外側に中間板材320及び外板材330が配置される。中間板材320及び外板材330のそれぞれは、内板材310との関係において「外板材」の一例である。
【0041】
内板材310、中間板材320及び外板材330のそれぞれは、鉄等の金属の板材に対し、プレス加工等を行うことで作製される。さらに、エンド部材300は、これらの板材を溶接することで作製される。内板材310と中間板材320とは重ねられて溶接される。溶接により一体化された内板材310及び中間板材320のうちの中間板材320が、内板材310に設けられた複数の接合用開口部312(図5参照)を介して外板材330と溶接される。これにより、内板材310、中間板材320及び外板材330が積層された構造を有するエンド部材300が形成される。
【0042】
中間板材320は、図4及び図5に示すように、内板材310に対向する第一中間板部321と、ユニット側面202に対向する第二中間板部325とを有する。ユニット側面202は、ユニット端面201に隣接する側面である。本実施の形態において、ユニット側面202は、第二側面の一例であり、蓄電素子ユニット200のX軸方向の側面である。つまり、第一中間板部321と第二中間板部325とは互いに直交する姿勢で接続されている。第一中間板部321のX軸方向の両端に第二中間板部325が設けられている。このように構成された中間板材320は、エンド部材300の一部として、蓄電素子ユニット200のY軸方向の端部を三方向から囲む状態で蓄電素子ユニット200に対して配置される。
【0043】
外板材330は、図4及び図5に示すように、中間板材320の第一中間板部321に対向する第一外板部331と、中間板材320の第二中間板部325に対向する第二外板部335とを有する。つまり、第一外板部331と第二外板部335とは互いに直交する姿勢で接続されている。第一外板部331のX軸方向の両端に第二外板部335が設けられている。このように構成された外板材330は、エンド部材300の一部として、蓄電素子ユニット200のY軸方向の端部を三方向から囲む状態で蓄電素子ユニット200に対して配置される。
【0044】
中間板材320の第二中間板部325は、下端部の外側に開いた部分に貫通孔325aを有し、外板材330の第二外板部335は、下端部の外側に開いた部分に貫通孔335aを有する。中間板材320と外板材330とを組み合わせる際に、中間板材320の貫通孔325aの直上に外板材330の貫通孔335aが配置される。さらに、ボルト50が貫通孔335a及び貫通孔325aに挿し通されて、固定壁部140のねじ穴146に螺合する(図3参照)。これにより、エンド部材300及び蓄電素子ユニット200が固定壁部140に固定される。図4及び図5では表されていないが、エンド部材300は、X軸方向マイナス側にも貫通孔335a及び貫通孔325aが設けられており、1つのエンド部材300は、2つのボルト50で固定壁部140に固定される。
【0045】
本実施の形態では、上記構成を有するエンド部材300は、図4及び図5に示すように、蓄電素子ユニット200のY軸方向における両側のそれぞれに配置されている。これら一対のエンド部材300は、蓄電素子ユニット200の上方に配置される接続板380によって接続される。
【0046】
具体的には、接続板380の2つの貫通孔に、エンド部材300に設けられた2つの軸部329を差し込んでナット90で締め付ける。この作業を一対のエンド部材300のそれぞれで行うことで、一対のエンド部材300が接続板380によって接続される。
【0047】
2つの軸部329は、中間板材320に固定されている。具体的には、中間板材320は、第一中間板部321の上端から蓄電素子ユニット200の上方に向けて突出する突出部328を有し、突出部328には上方に向けて立設された軸部329が設けられている。外板材330は、第一外板部331の上端から蓄電素子ユニット200の上方に向けて突出する突出部332を有し、突出部332には軸部329が貫通する貫通孔332aが設けられている。中間板材320と外板材330とを組み合わせる際に、中間板材320の2つの軸部329が、外板材330の2つの貫通孔332aに挿し通される。これにより、エンド部材300の上端に2つの軸部329が配置される。
【0048】
さらに、一対のエンド部材300は、それぞれの外板材330同士がボルト60及びナット62で締結される構造を有している。具体的には、エンド部材300において最も外側に位置する外板材330の第二外板部335に、接続相手のエンド部材300の第二外板部335と連結される連結部336が設けられている。本実施の形態では、連結部336は、第二外板部335の先端部が外側に曲げられることで形成されており、第一外板部331に平行な板状部分として第二外板部335に設けられている。連結部336には複数(本実施の形態では3つ)の貫通孔336aが形成されている。図5に示すように、2つのエンド部材300を組み合わせた場合、一方のエンド部材300の連結部336の貫通孔336aと、他方のエンド部材300の連結部336の貫通孔336aとがY軸方向で重ねられる。さらに、これら2つの貫通孔336aに挿し通されたボルト60にナット62が螺合する。このようなボルト60及びナット62による締結箇所が6つ設けられる。つまり、2つのエンド部材300のうちの一方のエンド部材300のX軸方向の両端部と、他方のエンド部材300のX軸方向の両端部とが6箇所で締結される。
【0049】
すなわち、蓄電素子ユニット200を間に挟む2つのエンド部材300は、上方に配置された接続板380によって接続され、かつ、左右(X軸方向)の両端部が締結される。これにより、前後方向(Y軸方向)において2つのエンド部材300の一方は他方を強固に拘束できる。このように互いに接続された2つのエンド部材300は、固定壁部140に複数のボルト50によって締結される。つまり、2つのエンド部材300及びこれらに挟まれた蓄電素子ユニット200は、固定壁部140にしっかりと固定される。
【0050】
[3.エンド部材における各板材のサイズ及び形状]
上記、蓄電素子ユニット200に側面に当接して配置されるエンド部材300は重ね合わされた複数の板材で形成されており、本実施の形態では、これら複数の板材の大きさ及び形状は互いに異なっている。この点に関し、図6図8を用いて説明する。
【0051】
図6は、実施の形態に係るエンド部材300の構成要素及びユニット端面201の横幅の大小関係を示す斜視図である。図7は、実施の形態に係るエンド部材300の構成要素及びユニット端面201の縦幅の大小関係を示す正面図である。図8は、実施の形態に係るエンド部材300の斜視図である。図6及び図7において、「横幅」はX軸方向の幅であり、「縦幅」はZ軸方向の幅である。図7では、蓄電素子ユニット200を、ユニット端面201の側から見た場合の図が示されており、ユニット端面201に対する内板材310のおおよその配置領域が、内板配置領域310a(ドットが付された領域)として図示されている。
【0052】
図6に示すように、エンド部材300を構成する複数の板材のうち、ユニット端面201に当接する内板材310の横幅Waは、ユニット端面201の横幅Wsよりも小さい。エンド部材300において内板材310の外側に位置する中間板材320の横幅Wb及び外板材330の横幅Wcは、ともに内板材310の横幅Waよりも大きい。外板材330の横幅Wcは中間板材320の横幅Wbよりも大きい。外板材330の横幅Wc及び中間板材320の横幅Wbのそれぞれは、ユニット端面201とY軸方向で対向する部分を基準にしている。つまり、外板材330の横幅Wcは、第一外板部331の横幅であり、中間板材320の横幅Wbは、第一中間板部321の横幅である。このことは、外板材330の縦幅及び中間板材320の縦幅にも適用される。
【0053】
このように、ユニット端面201には、横幅がユニット端面201よりも小さい内板材310が当接し、その外側には内板材310よりも横幅が大きい中間板材320及び外板材330が配置される。内板材310は、中間板材320およびユニット端面201に対してX軸方向のプラス側またはマイナス側に著しく偏って配置されているのではない。内板材310のX軸方向の中央は、中間板材320およびユニット端面201のX軸方向の中央と一致(略一致も含む、以下同じ)している。言い換えれば、内板材310のX軸方向のプラス側またはマイナス側の端部は、中間板材320の第二中間板部325およびユニット端面202からX軸方向において所定距離だけ離間している。
【0054】
図7に示すように、エンド部材300の構成する複数の板材のうち、ユニット端面201に当接する内板材310の縦幅Haは、ユニット端面201の縦幅Hsよりも小さい。エンド部材300において内板材310の外側に位置する中間板材320の縦幅Hb及び外板材330の縦幅Hcは、ともに内板材310の縦幅Haよりも大きい。外板材330の縦幅Hcは中間板材320の縦幅Hbよりも大きい。このように、ユニット端面201には、縦幅がユニット端面201よりも小さい内板材310が当接し、その外側には内板材310よりも縦幅が大きい中間板材320及び外板材330が配置される。つまり、本実施の形態では、内板材310は、縦横ともにユニット端面201に小さく、Y軸方向から見た場合に、図7に示すように、ユニット端面201の外形の領域内の位置(内板配置領域310a)に配置される。
【0055】
内板材310は、中間板材320およびユニット端面201に対してZ軸方向のプラス側またはマイナス側に著しく偏って配置されているのではない。内板材310のZ軸方向の中央は、中間板材320およびユニット端面201のZ軸方向の中央と一致している。
【0056】
[4.効果等]
以上説明したように、本実施の形態に係る蓄電装置10は、複数の蓄電素子210を有する蓄電素子ユニット200と、蓄電素子ユニット200の第一方向(本実施の形態ではY軸方向)の側方に配置される部分を有するエンド部材300とを備える。エンド部材300は、Y軸方向に重ねて配置された、内板材310及び外板材330を含む。内板材310は、蓄電素子ユニット200のY軸方向側の側面であるユニット端面201に当接する。内板材310は、蓄電素子ユニット200と外板材330との間に配置されており、Y軸方向と交差する第二方向(本実施の形態ではX軸方向)において、内板材310の幅は、ユニット端面201の幅よりも小さい。外板材330のX軸方向の幅は、内板材310のX軸方向の幅よりも大きい。
【0057】
この構成によれば、エンド部材300により、少なくとも蓄電素子ユニット200のユニット端面201側が保護される。エンド部材300は、少なくとも2つの板材が重ねられる部分を有することで、保護に必要な強度を得ることができる。さらに、内板材310の横幅がユニット端面201の横幅よりも小さく、かつ、外板材330の横幅が内板材310の横幅よりも大きいため、外板材330の内側への変形を容易にさせる空間が存在する。つまり、図8に示すように、外板材330のX軸方向の端部には、内板材310が配置されていない空間が存在する。この空間は、外板材330の内側への変形が、内板材310によって阻害されない空間である。そのため、外板材330に、蓄電素子ユニット200向きの大きな外力が作用した場合、外板材330が変形することにより外力を吸収できる。これにより、蓄電素子ユニット200が損傷する可能性が低減される。つまり、本実施の形態に係るエンド部材300は、複数の板材が重ねられることで所定の強度を有し、かつ、外板材330の幅が内板材310の幅よりも大きいことで、衝撃吸収が可能な変形能も有している。このように、本実施の形態に係る蓄電装置10は、安全性が向上された蓄電装置である。
【0058】
より詳細には、エンド部材300では、全体の厚みを大きくするのではなく、部分的に厚みを大きくすることで、高い剛性が求められる箇所の剛性を確保し、かつ、エンド部材300の変形のための空間を確保している。さらに、エンド部材300では、部分ごとの厚みの違いを、複数の板材を重ねることで実現しているため、単一の材料からエンド部材300を削り出すこと、または、鋳型でエンド部材300を作製することと比較するとエンド部材300の作製が容易である。
【0059】
本実施の形態では、エンド部材300において、隣り合う2つの板材(内板材310及び中間板材320、並びに、中間板材320及び外板材330)は溶接によって機械的に接続されている。そのため、隣り合う2つの板材をボルト及びナット、またはリベット等で接続する場合と比較すると、蓄電装置10の軽量化または部品点数の削減が図られる。これによって、蓄電装置10の省スペース化および軽量化ができる効果がある。
【0060】
内板材310の大きさを、ユニット端面201と同程度にし、かつ、外板材330を、内板材310よりも大きく形成することで、外板材330の内側への変形を容易にする空間の形成は可能である。しかし、この場合は、蓄電装置10の大型化という別の問題が生じる。この点に関し、本実施の形態に係る蓄電装置10では、内板材310の幅を、ユニット端面201の幅よりも小さくしていることで、蓄電装置10の大型化を抑制するとともに、外板材330の内側への変形を容易にさせる空間を確保している。
【0061】
上記構成及びその効果の説明において、「外板材330」を「中間板材320」に置き換えることもできる。つまり、図6を用いて説明したように、内板材310の外側に配置される中間板材320の横幅は、内板材310の横幅よりも大きい。従って、図8に示すように、中間板材320のX軸方向の端部には、内板材310が配置されていない空間が存在し、この空間は、中間板材320の内側への変形が、内板材310によって阻害されない空間である。そのため、中間板材320は、蓄電素子ユニット200を保護するように、変形できる。さらに、上記構成及びその効果の説明において、第二方向である「X軸方向」を「Z軸方向」に置き換えることもできる。つまり、図7を用いて説明したように、内板材310の外側に配置される外板材330の縦幅は、内板材310の縦幅よりも大きい。従って、外板材330のZ軸方向の端部には、内板材310が配置されていない空間が存在し、この空間は、外板材330の内側への変形が、内板材310によって阻害されない空間である。そのため、外板材330は、蓄電素子ユニット200を保護するように変形できる。
【0062】
本実施の形態では、第一方向(Y軸方向)及び第二方向(X軸方向)と交差する第三方向(本実施の形態ではZ軸方向)において、内板材310の幅は、ユニット端面201の幅よりも小さい。内板材310は、Y軸方向から見た場合に、ユニット端面201の外形の領域内に配置されている(図7参照)。
【0063】
つまり、本実施の形態では、内板材310は、X軸方向から見た場合に、ユニット端面201の外形よりも小さいサイズに形成され、かつ、ユニット端面201の外形の領域内に配置される。従って、外板材330の変形を容易にさせる空間が増え、これにより、外板材330による外力の吸収効果が向上される。その結果、蓄電装置10の安全性が向上する。このことは、内板材310と外板材330との間の中間板材320にも適用される。つまり、内板材310がユニット端面201よりも小さいことで、中間板材320の変形を容易にさせる空間が増え、これにより、中間板材320による外力の吸収効果が向上される。このことは、蓄電装置10の安全性の向上に寄与する。
【0064】
本実施の形態では、複数の蓄電素子210のそれぞれは、長側面211をY軸方向に向けた姿勢で、Y軸方向に並んで配置されている。
【0065】
すなわち、Y軸方向の端部に位置する蓄電素子210の長側面211の外側にエンド部材300が配置される。これにより、蓄電素子210の変形しやすい部分である長側面211が保護され、長側面211の膨張が効率よく抑制される。その結果、蓄電装置10の安全性が向上する。
【0066】
本実施の形態では、エンド部材300は、内板材310と外板材330との間に配置された中間板材320を有する。中間板材320は、内板材310に対向する第一中間板部321と、蓄電素子ユニット200のユニット側面202に対向する第二中間板部325とを有する。外板材330は、中間板材320の第一中間板部321に対向する第一外板部331と、中間板材320の第二中間板部325に対向する第二外板部335とを有する。
【0067】
この構成によれば、エンド部材300により、蓄電素子ユニット200のユニット端面201及びユニット側面202の両方の保護が図られる。そのため、蓄電装置10の安全性がより向上される。
【0068】
ここで、本実施の形態では、上述のように、第二中間板部325の外側には、外板材330の第二外板部335が配置されており、図8に示すように、第二中間板部325のY軸方向の幅は、第二外板部335のY軸方向の幅よりも小さい。従って、X軸方向を「第一方向」と規定した場合、複数の蓄電素子210のそれぞれは、短側面212を第一方向(X軸方向)に向け、かつ、互いに隣り合う2つの蓄電素子210の長側面211が対向する姿勢で並んで配置されている、と説明される。さらに、第二中間板部325が、蓄電素子ユニット200のユニット側面202に当接して配置されている場合、蓄電装置10は、以下のように説明される。蓄電装置10は、蓄電素子ユニット200の第一方向(X軸方向)の側方に配置される部分を有するエンド部材300を備える。エンド部材300は、X軸方向に重ねて配置された、中間板材320(第二中間板部325)及び外板材330(第二外板部335)を含む。第二中間板部325は、蓄電素子ユニット200のX軸方向側の側面(本例の場合、ユニット側面202)に当接する。第二中間板部325は、蓄電素子ユニット200と第二外板部335との間に配置されており、X軸方向と交差する第二方向(本例の場合、Y軸方向)において、第二中間板部325の幅は、蓄電素子ユニット200のユニット側面202の幅よりも小さい。第二外板部335のY軸方向の幅は、第二中間板部325のY軸方向の幅よりも大きい。
【0069】
このように、本実施の形態では、複数の蓄電素子210の短側面212の外側にエンド部材300が配置される。これにより、蓄電素子210の内部において短側面212の近くに集電体が配置されている場合、短側面212がエンド部材300に保護されていることで、蓄電装置10に衝撃が与えられた場合において、集電体が電極体を損傷する可能性が低減する。その結果、蓄電装置10の安全性が向上する。
【0070】
図8に示すように、第二外板部335の内側には第二中間板部325が配置されていない空間が存在する。この空間は、第二外板部335の内側への変形が、第二中間板部325によって阻害されない空間である。そのため、第二外板部335に、蓄電素子ユニット200向きの大きな外力が作用した場合、第二外板部335が変形することにより外力を吸収できる。これにより、蓄電素子ユニット200が損傷する可能性が低減される。このことによっても蓄電装置10の安全性が向上する。
【0071】
本実施の形態では、エンド部材300は、蓄電素子ユニット200のY軸方向における両側のそれぞれに配置されている。2つのエンド部材300のうちの一方の外板材330の第二外板部335は、2つのエンド部材300のうちの他方の外板材330の第二外板部335と連結される連結部336を有する。
【0072】
このように、本実施の形態では、一対のエンド部材300により、蓄電素子ユニット200のY軸方向の両方のユニット端面201、及び、これらユニット端面201を接続するユニット側面202が保護される。一対のエンド部材300は、2つの第二外板部335が連結されることで、機械的に接続される。そのため、一方のエンド部材300が他方のエンド部材300を補強する部材として機能する。従って、蓄電装置10の安全性がより向上される。
【0073】
(他の実施の形態)
以上、本発明に係る蓄電装置について、実施の形態に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0074】
蓄電素子210の短側面212側の保護を主眼とした場合、エンド部材300は、内板材310が、ユニット側面202に当接する姿勢で配置されてもよい。つまり、エンド部材300の姿勢が、図4に示す姿勢と同じである場合、複数の蓄電素子210のそれぞれは、短側面212を第一方向(Y軸方向)に向け、かつ、互いに隣り合う2つの蓄電素子210の長側面211が対向する姿勢で並んで配置されてもよい。この場合、ユニット側面202は、第一側面の一例であり、ユニット端面201は第二側面の一例である。
【0075】
この構成が採用された場合であっても、エンド部材300は、複数の板材が重ねられていることで蓄電素子ユニット200の保護に必要な強度を得ることができる。エンド部材300には、内板材310よりも外側の板材(中間板材320及び外板材330)の内側への変形を容易にする空間が形成される。
【0076】
エンド部材300を構成する板材の数は3には限定されない。エンド部材300は少なくとも2枚の板材が重ねられることで構成されればよい。内板材310と中間板材320とでエンド部材300が構成されてもよい。この場合、内板材310から見ると、中間板材320は「外板材」である。内板材310と、内板材310に接合された外板材330とでエンド部材300が構成されてもよい。中間板材320をユニット端面201またはユニット側面202に当接させて配置した場合、中間板材320と外板材330とでエンド部材300が構成されてもよい。この場合、外板材330から見ると、中間板材320は「内板材」である。いずれの場合であっても、エンド部材300は、複数の板材が重ねられていることで蓄電素子ユニット200の保護に必要な強度を得ることができ、かつ、外側の板材の内側への変形を容易にする空間を形成できる。
【0077】
中間板材320は、第二中間板部325を有しない平板状の板材であってもよい。外板材330も同様に、第二外板部335を有しない平板状の板材であってもよい。この場合、接続板380のような、一対のエンド部材300を接続する接続部材が配置されていれば、一対のエンド部材300で蓄電素子ユニット200を拘束し、保護することは可能である。上述のように、内板材310の幅がユニット端面201の幅よりも小さい等の構成を有することで、内板材310の外側の板材(中間板材320または外板材330)の変形を容易にさせる空間は確保される。つまり、エンド部材300は衝撃吸収機能を発揮できる。
【0078】
実施の形態では、一対のエンド部材300を接続するために、ボルト60及びナット62を用いたが、一対のエンド部材300を接続する手法に限定はない。一対のエンド部材300の一部同士をかしめること、または、溶接することで、一対のエンド部材300が接続されてもよい。
【0079】
蓄電装置10の構成要素の素材は、実施の形態で説明された素材には限定されない。筐体100及びエンド部材300のそれぞれは金属製でなくてもよい。繊維強化プラスチックのような非金属によって筐体100及びエンド部材300が形成されてもよい。エンド部材300を構成する複数の板材のそれぞれの素材が異なっていてもよい。エンド部材300に求められる強度、剛性、または製造コスト等に基づいて複数の板材のそれぞれの素材が決定されてもよい。
【0080】
上記実施の形態に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置に適用できる。
【符号の説明】
【0082】
10 蓄電装置
200 蓄電素子ユニット
201 ユニット端面
202 ユニット側面
210 蓄電素子
211 長側面
212 短側面
300 エンド部材
310 内板材
320 中間板材
321 第一中間板部
325 第二中間板部
330 外板材
331 第一外板部
335 第二外板部
336 連結部
500 他の部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8