(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240723BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021514891
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(86)【国際出願番号】 JP2020015626
(87)【国際公開番号】W WO2020213468
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2019078088
(32)【優先日】2019-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 至
(72)【発明者】
【氏名】土居 正一
(72)【発明者】
【氏名】河野 智子
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-326670(JP,A)
【文献】特開2001-056225(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0206095(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エージェントに固有の人格を規定する人格情報を記憶する
記憶部と、
前記エージェントの原作に基づく学習データを取得し、
前記学習データと第1の機械学習アルゴリズムとに基づいて前記人格情報を学習し、
前記人格情報と第2の機械学習アルゴリズムとに基づいて前記原作に存在しない状況を含む前記エージェントのシナリオを生成し、
前記シナリオと前記第1の機械学習アルゴリズムとに基づいて前記人格情報を再学習し、
前記エージェントが
ユーザへ向けて表出する行為である表出行為を、前記人格情報に基づいて制御する
プロセッサと、
を備える、情報処理システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記ユーザに関するユーザ情報を記憶し、
前記人格情報は、前記ユーザ情報の変化に影響を受けない、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記エージェントの原作者を少なくとも含む監修者を介して前記学習データを取得する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記人格情報は、前記エージェントが一般的に実施する前記表出行為を規定する基本情報と、前記エージェントの個性を規定する個性情報と、を含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記
プロセッサは、前記基本情報に基づいて生成された前記表出行為の候補である行為候補と、前記個性情報と、の整合度合に応じて、前記行為候補を前記表出行為とするか否かを判定することにより、前記エージェントによる表出行為を制御する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記人格情報を新たな新規人格情報に更新
可能に設けられ、前記新規人格情報に基づいて、前記エージェントによる表出行為を制御する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記
プロセッサは、前記人格情報について、流行に関する情報を更新する、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記人格情報は、前記エージェントが行い得る行為に関する行為情報を含み、
前記
プロセッサは、前記行為情報を更新する、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記人格情報は、前記エージェントが発し得る言葉に関する言葉情報を含み、
前記
プロセッサは、前記言葉情報を更新する、
請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記
プロセッサは、前記エージェントの状況に関する状況情報の変化
に基づいて、前記人格情報を、変化後の前記状況情報に応じた前記新規人格情報に更新する、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記状況情報は、前記エージェントの成長段階に関する成長情報を含み、
前記
プロセッサは、前記成長情報の変化
に基づいて、前記人格情報を、変化後の前記成長情報に応じた前記新規人格情報に更新する、
請求項10に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記
プロセッサは、前記人格情報に前記エージェントの新たな人格を規定する付加情報を付加することにより、前記人格情報を更新する、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記
プロセッサは、前記ユーザが参加するイベントに関するイベント情報に応じて、前記人格情報を更新する、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記人格情報は、前記エージェントに関する場所を表す場所情報を含み、
前記
プロセッサは、前記場所情報に基づいて、前記表出行為を制御する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記
プロセッサは、前記エージェントが、前記ユーザに前記場所に関する行為を推薦するように、前記表出行為を制御する、
請求項14に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記
記憶部は、複数の前記エージェントの各々に関する
前記人格情報を記憶し、
前記プロセッサは、複数の前記人格情報に基づいて、複数の前記エージェントから少なくとも1以上の前記エージェントを選択
し、選択された前記エージェントに関する前記人格情報に基づいて、
当該エージェントの表出行為を制御する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項17】
前記
プロセッサは、複数の前記エージェントの各々に関する前記人格情報と、前記ユーザに提供されるサービスに関する情報と、の関係に基づいて、前記エージェントを選択する、
請求項16に記載の情報処理システム。
【請求項18】
前記
プロセッサは、制御された前記表出行為をスクリプトの形式で
出力する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項19】
コンピュータが、
エージェントに固有の人格を規定する人格情報を記憶することと、
前記エージェントの原作に基づく学習データを取得することと、
前記学習データと第1の機械学習アルゴリズムとに基づいて前記人格情報を学習することと、
前記人格情報と第2の機械学習アルゴリズムとに基づいて前記原作に存在しない状況を含む前記エージェントのシナリオを生成することと、
前記シナリオと前記第1の機械学習アルゴリズムとに基づいて前記人格情報を再学習することと、
前記エージェント
がユーザへ向けて表出する行為である表出行為を
、前記人格情報に基づいて制御することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項20】
コンピュータ
に、
エージェントに固有の人格を規定する人格情報を記憶する
ことと、
前記エージェントの原作に基づく学習データを取得することと、
前記学習データと第1の機械学習アルゴリズムとに基づいて前記人格情報を学習することと、
前記人格情報と第2の機械学習アルゴリズムとに基づいて前記原作に存在しない状況を含む前記エージェントのシナリオを生成することと、
前記シナリオと前記第1の機械学習アルゴリズムとに基づいて前記人格情報を再学習することと、
前記エージェント
がユーザへ向けて表出する行為である表出行為を
、前記人格情報に基づいて制御する
ことと、
を
実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット端末などの情報処理端末を用いて、特定のキャラクターを模したエージェントによる発話などの行為を楽しむことができるサービスが普及している。こうしたエージェントの原作となるキャラクターは、一般的に特定の人格を持っている。このため、エージェントは、当該人格に応じた振る舞いを行うことが望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1には、エージェントの発話文データに対するユーザのフィードバックに応じて、エージェントが当該発話文データで示される発話内容を発話する可能性を更新する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、エージェントの発話内容を認識したユーザのフィードバックが必要である。このため、エージェントから表出される発話等の行為(以下、エージェントにより表出される行為を、「表出行為」と称する。)をリアルタイムに制御することができなかった。そこで、エージェントによる発話等の表出行為がユーザに提供される前に、エージェントの表出行為を制御することができる技術が希求されていた。
【0006】
そこで、本開示では、エージェントの表出行為がユーザに提供される前に、当該表出行為を制御することが可能な、新規かつ改良された情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、ユーザに関するユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶部と、エージェントに固有の人格を規定する人格情報を記憶する人格情報記憶部と、前記エージェントが表出する行為である表出行為を、前記人格情報に基づいて、制御する制御部と、を備える、情報処理システムが提供される。
【0008】
また、本開示によれば、メモリが、ユーザに関するユーザ情報を記憶することと、エージェントに固有の人格を規定する人格情報を記憶することと、プロセッサが、前記人格情報に基づいて、前記エージェントによる表出する行為である表出行為を制御することと、を含む、情報処理方法が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、コンピュータを、ユーザに関するユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶部と、エージェントに固有の人格を規定する人格情報を記憶する人格情報記憶部と、前記人格情報に基づいて、前記エージェントによる表出する行為である表出行為を制御する制御部と、を備える、情報処理装置として機能させる、プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る情報処理システム1の構成を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る情報処理システム1が備える情報処理装置10及びユーザ端末20の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】エージェントの人格情報を生成する方法の一例を示すフローチャート図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る情報処理装置10による処理の一例を示すフローチャート図である。
【
図5】第1の追加処理を示すフローチャート図である。
【
図6】第2の追加処理を示すフローチャート図である。
【
図7】人格情報の第1の生成方法を示すフローチャート図である。
【
図8】人格情報の第2の生成方法を示すフローチャート図である。
【
図9】人格情報の第3の生成方法を示すフローチャート図である。
【
図10】人格情報の第4の生成方法を示すフローチャート図である。
【
図11】人格情報の第5の生成方法を示すフローチャート図である。
【
図12】人格情報の第6の生成方法を示すフローチャート図である。
【
図13】第1の応用例に係る情報処理システム2が備える情報処理装置11及びユーザ端末20の構成を示すブロック図である。
【
図14】第2の応用例に係る情報処理システム3が備える情報処理装置12及びユーザ端末20の構成を示すブロック図である。
【
図15】第4の応用例に係る情報処理システム4が備える情報処理装置13及びユーザ端末20の構成を示すブロック図である。
【
図16】第5の応用例において、情報処理装置10が実施する処理例を示すフローチャート図である。
【
図17】本開示の一実施形態に係る情報処理システム1を構成する情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.実施形態の概略
1.1.情報処理システムの構成
1.2.人格情報の生成
1.3.処理例
1.4.効果
2.人格情報の生成例のバリエーション
3.応用例
3.1.第1の応用例(人格情報の更新)
3.2.第2の応用例(広告出稿の管理)
3.3.第3の応用例(場所・イベントに応じたサービス)
3.4.第4の応用例(シチュエーションに応じたサービス)
3.5.第5の応用例(スクリプトの監修)
3.6.その他の応用例
4.ハードウェア構成
5.補足
【0013】
<1.実施形態の概略>
まず、
図1~4を参照して、本開示の一実施形態の概略について説明する。
【0014】
<<1.1.情報処理システムの構成>>
まず、
図1を参照して、本開示の一実施形態に係る情報処理システム1の構成について説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る情報処理システム1の構成を示す図である。
図1に示すように、情報処理システム1は、情報処理装置10とユーザ端末20とを備える。情報処理装置10とユーザ端末20とは、互いに各種のネットワーク30を介して接続されている。なお、情報処理装置10とユーザ端末20とは、互いに無線で接続されていてもよいし、有線で接続されていてもよい。
【0015】
情報処理装置10は、ネットワーク30を介して接続されたユーザ端末20に対して、所定の人格が規定されているエージェントが実施する各種の表出行為に関する情報を出力する装置である。かかる情報処理装置10の構成や実施される処理については、以下で改めて詳細に説明する。
【0016】
なお、ユーザ端末20は、
図1に示すようなスマートフォンに限定されず、例えば携帯電話端末、タブレット端末、PC(パーソナルコンピュータ)、ゲーム機、ウェアラブル端末(スマートアイグラス、スマートバンド、スマートウォッチ、又はスマートネック等)等であってもよい。また、ユーザ端末20は、人間、各種の動物、各種のキャラクター等を模したロボットであってもよい。
【0017】
次に、
図2を参照して、本開示の一実施形態に係る情報処理装置10とユーザ端末20とが備える構成について説明する。
図2は、本開示の一実施形態に係る情報処理システム1が備える情報処理装置10及びユーザ端末20の構成を示す機能ブロック図である。
【0018】
(情報処理装置)
情報処理装置10は、ユーザに関するユーザ情報及びエージェントに固有の人格を規定する人格情報を記憶し、さらに、エージェントが表出する行為である表出行為を、当該人格情報に基づいて制御する機能を有する。当該機能は、情報処理装置10が備えるインターフェース(IF)110、記憶部120、条件生成部130、意味理解部140、候補生成部150、及び制御部160が協働することにより実現される。以下、情報処理装置10が備える各機能部について説明する。
【0019】
IF110は、ネットワーク30を介して、各種の通信装置との間で各種の情報を送受信する機能を有する。例えば、IF110は、ネットワーク30を介してユーザ端末20等の各種の情報処理端末との間で各種の情報を送受信する。例えば、IF110は、ユーザ端末20からユーザが存在する位置又はユーザが存在する世界の時刻などの外部情報を受信することができる。また、IF110は、ユーザがユーザ端末20に入力した各種の入力情報を受信することができる。
【0020】
記憶部120は、各種の情報を記憶する機能を有する。記憶部120は、例えば、エージェントに固有の人格を規定する人格情報を記憶する。また、記憶部120は、エージェントが置かれている環境に関する環境情報及びユーザに関するユーザ情報を記憶してもよい。記憶部120が有する機能は、記憶部120が備える環境情報記憶部121、ユーザ情報記憶部122及び人格情報記憶部123が協働することにより実現される。
【0021】
ここで、エージェントに付与される人格のモチーフは、漫画、アニメ、ゲーム、ドラマ、映画等のキャラクター、実空間に実在する(又は実在した)芸能人や著名人、歴史上の人物等であってもよい。また、エージェントは、動物又は擬人化されたキャラクターであってもよい。さらに、エージェントは、ユーザ本人の人格を反映した人物、ユーザの友人、家族、又は知人などの人格を反映した人物であってもよい。
【0022】
環境情報記憶部121は、エージェントが存在する世界の環境情報を記憶する機能を有する。環境情報は、例えば、エージェントの世界の時刻、エージェントが存在している位置、又は、エージェントが置かれている状況などの当該エージェントの世界に関する各種の情報を含む。環境情報は、条件生成部130により、必要に応じて参照される。
【0023】
ユーザ情報記憶部122は、ユーザ端末20を使用するユーザに関するユーザ情報を記憶する機能を有する。当該機能は、ユーザ情報記憶部122が備える一次情報記憶部124、二次情報記憶部125、及びユーザ履歴情報記憶部126が協働することにより実現される。ユーザ情報記憶部122が記憶しているユーザ情報は、条件生成部130及び候補生成部150により、必要に応じて参照される。
【0024】
一次情報記憶部124は、ユーザの形式的な情報であるユーザ一次情報をユーザ情報として記憶している。ユーザ一次情報は、ユーザによる入力情報や行動履歴等から得られる一次的な情報を含み、例えば、ユーザの年齢、性別、名前、居住エリア、行動履歴、又は購買履歴などの情報を含んでもよい。
【0025】
二次情報記憶部125は、ユーザ一次情報に付随する情報であって、ユーザの個性を反映した情報である(ユーザの個性に関する情報である)ユーザ二次情報を記憶している。ユーザ二次情報は、ユーザ一次情報等から推定される情報を含み、例えば、ユーザの推定される嗜好情報、ユーザの人格やパーソナリティに関する情報、又はユーザによる購買の区分に関する情報(例えば、ユーザが購入した商品の種類を区分した情報)を含んでもよい。
【0026】
ユーザ履歴情報記憶部126は、ユーザとエージェントとのやりとりの履歴に関する情報であるユーザ履歴情報を記憶している。ユーザ履歴情報は、例えば、ユーザとエージェントとの会話の履歴、ユーザが使用した単語の履歴、又はユーザによりどのような意味で単語が使われたのか、を表す情報等を含んでもよい。これらの情報は、ユーザ二次情報の推定のために用いられてもよい。
【0027】
以上、ユーザ情報記憶部122について説明した。なお、ユーザ情報記憶部122が、複数のユーザのユーザ情報を記憶する場合には、ユーザ情報記憶部122は、ユーザ毎に、ユーザ一次情報、ユーザ二次情報、及びユーザ履歴情報を記憶してもよい。
【0028】
また、ユーザ情報記憶部122が有する構成は、
図2に示す例に限らない。つまり、ユーザ情報記憶部122は、ユーザ情報を、ユーザ一次情報、ユーザ二次情報、およびユーザ履歴情報に区分して記憶していなくてもよい。例えば、ユーザ情報記憶部122は、ユーザ情報を、一般ユーザ情報及び特定ユーザ情報として記憶してもよい。ここで、一般ユーザ情報は、特定のユーザではなく、サービス提供者が仮定する標準的な、あるいは平均的なユーザの特性に関するデフォルト情報である。また、特定ユーザ情報は、標準的または平均的なユーザの特性に対して、ユーザに固有の情報の差分を表す情報である。例えば、ユーザが標準的なユーザよりも外向的な人格を有している場合には、特定ユーザ情報は、標準的なユーザよりも外向的な人格を有することを表す情報を含んでもよい。
【0029】
人格情報記憶部123は、エージェントに固有の人格を規定する人格情報及びユーザによる当該エージェントの使用履歴に関するエージェント履歴情報を記憶する機能を有する。当該機能は、人格情報記憶部123が備える基本情報記憶部127、個性情報記憶部128、及びエージェント履歴情報記憶部129が協働することにより実現される。ここでエージェントの人格が固有であるとは、たとえばある原作作品に登場するキャラクターの人格をモチーフとしたエージェント製品において、当該キャラクターの人格を発揮しうるという意味で、他の製品群に対して固有である。あるいは、あるユーザの保有する特定のエージェントが、当該エージェントのみが有する特定の人格情報をもつ場合に、固有である。
【0030】
人格情報は、例えば、エージェントのパーソナリティ特性情報であってもよいし、セリフに含まれる単語の使用頻度、使用する単語の意味、又は話し方などに関する情報を含んでもよい。さらに、人格情報は、エージェントの嗜好、エージェントが存在する場所、エージェントが存在する世界の時間、エージェントが置かれている状況などに応じた振る舞いに関する情報などの情報を含んでもよい。本実施形態では、人格情報は、個別のエージェントに拠らない標準的な人格を規定する基本情報と、エージェントの個性を規定する個性情報と、に区分けして人格情報記憶部123に記憶される。
【0031】
基本情報記憶部127は、エージェントが一般的に行う表出行為を規定する基本情報を記憶している。より具体的には、基本情報は、様々なエージェントが共通して実施しうるような各種の普遍的な表出行為を規定する情報であり、エージェントが有する基礎的な人格を規定する情報であるともいえる。例えば、基本情報は、国語辞典のように、日本語等の単語と当該単語の一般的な意味を対応付けて規定した情報を含んでもよい。基本情報記憶部127に記憶された基本情報は、候補生成部150に伝達され、例えば、エージェントによる発話等の内容の候補を生成するために用いられる。
【0032】
個性情報記憶部128は、エージェントの個性を規定する個性情報を記憶している。より具体的には、個性情報は、エージェントの基本的な人格に対する、エージェントに固有の人格の差分を表す情報である。例えば、個性情報は、エージェントの人格から、当該エージェントが使用することが想起されるセリフについては、基本的な人格を有するエージェントよりも高い確率で使用することを表す情報を含んでもよい。例えば、個性情報は、エージェントが外向的な人格を有している場合には、外向的なセリフを発話し易いことを表す情報を含んでもよい。なお、上述した基本情報と個性情報とを併せて、人格情報とも称する。なお、人格情報は、後述するエージェント履歴情報又はユーザの利用状況に応じて、変化する場合もある。
【0033】
エージェントの表出行為は、人格情報に基づいて制御される。エージェントの表出行為が、基本情報に加えて、個性情報に基づいて制御されることにより、エージェントの表出行為は、よりエージェントの個性に即した表出行為に制御される。
【0034】
ここで、人格情報は、エージェントに関する原案に基づいて規定される情報であってもよい。例えば、人格情報は、エージェントの原案であるキャラクターの人格に基づいて規定される情報であってもよい。これにより、エージェントの表出行為は、当該エージェントに関する原案に即した表出行為となるように制御される。
【0035】
エージェント履歴情報記憶部129は、ユーザがエージェントとやりとりした履歴に関するエージェント履歴情報を記憶する機能を有している。エージェント履歴情報は、例えば、ユーザによりエージェントが使用された回数、時間、指示のカテゴリや指示内容等を表す履歴に関する情報を含んでもよい。
【0036】
人格情報記憶部123は、人格情報とエージェント履歴情報とに加えて、エージェントの基となったキャラクターに関する書誌的情報を記憶してもよい。書誌的情報は、例えば、エージェントの名前、性別、年齢、グラフィック、又は当該エージェントに関わるキャラクターの設定(例えば、出身地の設定、家族構成の設定など)等に関する情報を含んでもよい。
【0037】
また、人格情報記憶部123は、エージェントに関する人格情報を、ユーザ情報におけるユーザ一次情報、ユーザ二次情報、およびユーザ履歴情報と同様に、エージェント一次情報、エージェント二次情報、及びエージェント履歴情報に分類して記憶してもよい。
【0038】
また、人格情報記憶部123は、複数のエージェントに関する人格情報を記憶してもよい。この場合、人格情報記憶部123は、例えば、各々のエージェントの関する基本情報、個性情報、及びエージェント履歴情報を記憶してもよい。なお、人格情報記憶部123は、1つの基本情報を複数のエージェントに共通の基本情報として記憶してもよい。
【0039】
また、ユーザ端末20から情報処理装置10に新たなユーザ情報が送信される場合がある。これは、例えばユーザによる新たな情報の入力や、行動履歴の蓄積等により、ユーザ情報が更新される場合による。この場合、ユーザ情報記憶部122に記憶されたユーザ情報は、当該新たなユーザ情報を元々記憶していたユーザ情報に付加することにより、更新されてもよい。このように、ユーザ情報記憶部122が記憶しているユーザ情報は、変化する場合がある。
【0040】
人格情報記憶部123が記憶している人格情報は、ユーザ情報記憶部122に記憶されたユーザ情報の変化に影響を受けなくてもよい。より具体的には、当該ユーザ情報が変化した場合であっても、人格情報は変化しなくてもよい。後述するように、エージェントの表出行為は、当該人格情報に基づいて制御される。人格情報がユーザ情報の変化に影響を受けないため、エージェントの表出行為は、ユーザ情報の変化に依らず、よりエージェントの個性に即した表出行為となるように制御される。
その一方で、例えばユーザ情報の変化に応じて、エージェントの人格情報も変化してもよい。この場合には、エージェントは、ユーザの変化に寄り添ったり、ユーザの好みに応じた人格としてふるまったりすることが可能になる。具体的には、エージェントの人格情報の生成にあたり、ユーザ情報も参照するとともに、ユーザ情報の更新に応じてエージェントの人格情報も更新されることになる。
【0041】
条件生成部130は、エージェントが表出行為を行うための前提条件に関する条件情報を生成する機能を有する。条件生成部130は、IF110を介してユーザ端末20から取得した外部情報、環境情報記憶部121から取得した環境情報、及びユーザ情報記憶部122から取得したユーザ情報を統合することにより、条件情報を生成する。生成された条件情報は、意味理解部140に伝達される。
【0042】
意味理解部140は、条件情報に基づいて、ユーザ端末20から送信された入力情報の意味を理解する機能を有する。例えば、意味理解部140は、条件情報に含まれるユーザ情報に基づいて、ユーザによる入力情報に含まれる単語の意味を理解する。意味理解部140が理解した結果は、意味情報として候補生成部150に伝達される。
【0043】
候補生成部150は、ユーザ情報と、意味情報と、基本情報とに基づいて、エージェントによる表出行為の候補である行為候補を生成する機能を有する。例えば、候補生成部150は、表出行為として、エージェントによる発話を行為候補として生成する。生成された行為候補は、制御部160が備える行為制御部161に伝達される。なお、候補生成部150が生成する行為候補は1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0044】
制御部160は、エージェントの表出行為を、当該エージェントの人格情報に基づいて制御し、当該表出行為をユーザ端末20が備える出力部230に出力させる機能を有する。当該機能は、制御部160が備える行為制御部161及び出力制御部162が協働することにより実現される。
【0045】
行為制御部161は、エージェントの表出行為を、当該エージェントの人格情報に基づいて制御する機能を有する。より具体的には、行為制御部161は、候補生成部150により生成された表出行為の候補を、当該エージェントの個性情報に基づいて、ユーザ端末20が備える出力部230により出力される表出行為を決定する。決定された表出行為を表す情報は、出力制御部162に伝達され、IF110及びネットワーク30を介して、ユーザ端末20が備える出力部230に送信される。これにより、出力部230にエージェントの表出行為が出力される。このようにして、エージェントの表出行為が制御される。
【0046】
ここで、表出行為がエージェントによる発話である場合に、行為制御部161が表出行為を制御する方法の一例について説明する。ここでは、候補生成部150が行為候補を一つ生成した場合について説明する。例えば、行為制御部161は、候補生成部150が生成した行為候補と、エージェントの個性情報と、の整合度合に応じて、行為候補を表出行為とするか否かを判定することにより、エージェントによる表出行為を制御する。例えば、行為制御部161は、行為候補と個性情報との整合度合が低い場合には、当該行為候補を表出行為としないことを判定してもよい。例えば、エージェントが外向的のキャラクターであり、個性情報に外向的な人格を表す情報が含まれる場合に、行為候補が内向的な内容を含む発話である場合には、行為制御部161は、行為候補と個性情報との整合度合が低いことを判定してもよい。この場合、行為制御部161は、当該行為候補を表出行為としないことを判定してもよい。このとき、行為制御部161は、候補生成部150に、新たな行為候補を生成することを要求する要求情報を伝達してもよい。候補生成部150は、当該要求情報に応じて、新たに行為候補を生成し、行為制御部161に伝達する。
【0047】
一方、行為制御部161は、行為候補と個性情報との整合度合が高い場合には、当該行為候補を表出行為とすることを判定してもよい。この場合、行為制御部161は、行為候補を表す情報を出力制御部162に伝達する。
【0048】
以上のように、行為制御部161が、行為候補と、個性情報との整合度合に応じて、行為候補を表出行為とするか否かを判定することにより、表出行為を制御すると、エージェントは、当該エージェントの人格により即した表出行為を行うことができる。
【0049】
出力制御部162は、情報を出力することが可能な各種の公知の出力装置に、エージェントの表出行為を出力させる機能を有する。例えば、出力制御部162は、IF110及びネットワーク30を介して、ユーザ端末20が備える出力部230に表出行為を表す情報を送信することにより、ユーザ端末20が備える出力部230にエージェントの表出行為の出力を制御する。例えば、出力制御部162は、エージェントの発話を表す情報を出力部230に送信することにより、出力部230にエージェントの発話を表す音声を出力させることができる。また、出力制御部162は、エージェントが表出行為を行っている様子を示す画像を表す情報を出力部230に送信することにより、出力部230にエージェントが表出行為を行っている様子を示す画像を出力させることもできる。このようにして出力部230からエージェントの表出行為が出力されることにより、ユーザ端末20のユーザは、エージェントの表出行為を認識することができる。
【0050】
以上、情報処理装置10が備える機能について説明した。次に、ユーザ端末20が備える機能について説明する。
【0051】
ユーザ端末20は、取得した外部情報又は入力情報を情報処理装置10に送信する機能を有する。また、ユーザ端末20は、情報処理装置10から受信した情報に基づいてエージェントの表出行為を出力する機能を有する。当該機能は、ユーザ端末20が備える外部情報記憶部210、入力部220、及び出力部230が協働することにより実現される。
【0052】
外部情報記憶部210は、外部情報を記憶する機能を有する。外部情報は、エージェントが存在する世界と異なる、ユーザが存在する世界の情報であり、例えば、ユーザの位置、ユーザが存在する世界の時刻、又はユーザが参加しているイベントなどの各種の情報を含んでもよい。外部情報は、ネットワーク30を介して、IF110に送信され、条件生成部130に伝達される。
【0053】
入力部220は、ユーザからの各種の情報を入力する機能を有する。例えば、入力部220は、ユーザの音声などの各種の音波を取得する機能を有する音取得装置を備えてもよい。音取得装置は、例えば、マイクなどの各種の公知の音を取得する機能を有する装置である。また、入力部220は、キーボード又はマウスなどの各種の公知の情報を入力する機能を有する装置であってもよい。当該装置により入力される情報は、例えば文字列などで表される文字情報であってもよい。入力部220に入力された情報は、ネットワーク30を介して、情報処理装置10が備えるIF110に送信され、意味理解部140に伝達される。
【0054】
出力部230は、エージェントの表出行為を出力する機能を有する。例えば、出力部230は、スピーカーなどの各種の公知の音を出力する機能を有する音出力装置を備えてもよい。音出力装置は、エージェントの表出行為である発話の内容を音声として出力する。また、出力部230は、画像を出力する機能を有する各種の公知の画像出力装置を備えてもよい。画像出力装置は、例えば、エージェントの表出行為である当該エージェントの表出行為を表す画像を出力する。出力部230がエージェントの表出行為を出力することにより、ユーザは当該エージェントの表出行為を認識することができる。
【0055】
以上、情報処理システム1が備える情報処理装置10及びユーザ端末20の構成の概略について説明した。
【0056】
<<1.2.人格情報の生成>>
次に、
図3を参照して、エージェントの人格情報を生成する方法の一例について説明する。
図3は、エージェントの人格情報を生成する方法の一例を示すフローチャート図である。以下、
図3のフローチャートに沿って、人格情報を生成する方法について説明する。
【0057】
まず、エージェントに関するエージェント情報が用意される(ステップS101)。例えば、エージェント情報として、エージェントに関する原作の物語などの原作情報又は当該原作に現れるキャラクターなどの設定情報などが用意される。また、当該エージェントに原作が存在しない場合には、エージェント情報が新たに規定されてもよい。
【0058】
次に、人格情報が、エージェント情報に基づいて、学習又は設定される(ステップS103)。例えば、人格情報は、各種の公知の機械学習アルゴリズムに基づいて、生成されてもよい。また、人格情報は、エージェント情報に基づいて、例えば原作者の監修のもと、人格情報を規定する各種パラメータを直接入力する形式で設定されてもよい。以上のようにして、エージェントの人格情報が生成される。
【0059】
次に、人格情報を用いてエージェントの表出行為を制御する方法について、3つの例を簡単に説明する。
【0060】
第1の方法は、生成された人格情報を参照し、当該人格情報からエージェントの発話又は行動などの表出行為を生成する方法である。例えば、人格情報に基づいて、エージェントの人格に即した発話等の表出行為が生成される。
【0061】
第2の方法は、エージェントの基本情報に基づいて生成される標準的な表出行為に対して、個性情報が当該表出行為の生成確率にバイアスをかける方法である。例えば、エージェントの人格が外向的な人格である場合には、より外交的な内容を発話するように、表出行為が制御される。
【0062】
第3の方法は、エージェントの基本情報に基づいて生成された表出行為の候補のうち、人格情報と整合しないような不適切な候補について、個性情報に基づいて当該候補が表出行為とならないように修正する方法である。例えば、エージェントが外向的な人格であるとき、基本情報に基づいて生成された表出行為の候補が内向的な表出行為である場合には、当該表出行為がエージェントに実施されないように、表出行為が制御される。
【0063】
以上、人格情報に基づいて、エージェントの表出行為を制御する3つの方法について説明した。本開示の実施形態では、上記の第3の方法によるエージェントの表出行為の制御について説明する。
【0064】
<<1.3.処理例>>
以下、
図4~6を参照して、本開示の一実施形態に係る情報処理装置10による処理の一例について説明する。
図4は、本開示の一実施形態に係る情報処理装置10による処理の一例を示すフローチャート図である。以下、
図4のフローチャートに沿って、処理例を説明する。
【0065】
まず、条件生成部130は、情報を取得する(ステップS201)。より具体的には、条件生成部130は、ユーザ端末20から送信される外部情報、環境情報記憶部121から伝達される環境情報、およびユーザ情報記憶部122から伝達されるユーザ情報を取得する。
【0066】
次に、条件生成部130は、ステップS201で取得した情報を統合し、条件情報を生成する(ステップS203)。生成された条件情報は、意味理解部140に伝達される。
【0067】
次に、意味理解部140は、ユーザ端末20に入力された入力情報の意味内容を理解する(ステップS205)。より具体的には、意味理解部140は、ユーザによりユーザ端末20端末に入力された入力情報を取得し、条件情報に基づいて、当該入力情報の意味内容を理解する。意味理解部140が理解した結果を表す意味情報は、候補生成部150に伝達される。
【0068】
次に、候補生成部150は、行為候補を生成する(ステップS207)。より具体的には、候補生成部150は、意味情報、ユーザ情報、及び人格情報に基づいて、エージェントによる行為候補を生成する。以下では、一例として、候補生成部150は、行為候補として、エージェントが発話する内容の候補である発話候補を1つ生成するものとして説明する。なお、候補生成部150は、複数の行為候補を生成してもよい。生成された発話候補を表す情報は、制御部160が備える行為制御部161に伝達される。
【0069】
次に、行為制御部161は、個性情報に基づいて、発話候補を修正する(ステップS209)。例えば、行為制御部161は、候補生成部150が生成した発話候補と、個性情報との整合度合に応じて、発話候補を表出行為とするか否かを判定する。例えば、候補生成部150は、発話内容と個性情報との整合度合を算出し、算出された整合度合と閾値とを比較する。例えば、発話候補と個性情報との整合度合が低く、当該整合度合が閾値よりも低い場合には、候補生成部150は、発話候補をエージェントの表出行為とさせないこととする。この場合、行為制御部161は、候補生成部150に対して、新たな発話候補を生成するように要求してもよい。候補生成部150が新たな発話候補を生成する場合には、行為制御部161は、当該新たな発話候補を修正する。一方、発話候補と個性情報との整合度合が高く、整合度合が閾値以上である場合には、行為制御部161は、候補生成部150が生成した発話候補を、エージェントが表出する表出行為とする。この場合、行為制御部161は、発話候補を表す情報を出力制御部162に伝達する。当該発話候補を表す情報は、IF110に伝達され、ネットワーク30を介して、ユーザ端末20が備える出力部230に送信される。
【0070】
このように、行為制御部161は、基本情報に基づいて生成された表出行為(例えば、発話行為)の候補である行為候補と、個性情報と、の整合度合に応じて、行為候補を表出行為とするか否かを判定することにより、エージェントの表出行為を制御する。これにより、エージェントがよりエージェントが有する個性と整合度合が高い表出行為を行うように、表出行為が制御される。
【0071】
次に、出力部230は、エージェントによる発話を出力する(ステップS211)。例えば、出力部230は、エージェントを表す画像を出力するとともに、当該エージェントが、ステップS209において受信した発話候補の内容を発話するように音声を出力する。これにより、ユーザはエージェントの画像と共に、当該エージェントの発話を認識することができる。
【0072】
次に、追加処理が実施される(ステップS213)。追加処理は、発話候補と個性情報との整合度合が高いか低いかの判定が容易でない場合に実施されてもよい。より具体的には、当該追加処理は、ステップS211において算出される発話候補と個性情報との整合度合が、閾値付近の値である場合に実施されてもよい。つまり、整合度合が閾値付近の値でない場合には、追加処理が実施されなくてもよい。
【0073】
追加処理では、エージェントの原作者等の監修者又はユーザにより、発話候補の許容度が確認される。許容度とは、エージェントの人格を考慮したときにおける、エージェントが表出候補の内容を発話することのふさわしさの度合いである。
【0074】
ステップS213では、
図5又は
図6のいずれかに示すフローチャートの処理が、適宜選択されることにより実施されてもよい。
図5は、第1の追加処理を示すフローチャート図である。また、
図6は、第2の追加処理を示すフローチャート図である。まず、
図5に示すフローチャートに沿って、第1の追加処理を説明する。
【0075】
まず、行為制御部161が、エージェントに関する情報(例えば、エージェントの名前又は人格に関する情報など)と、発話候補を表す情報と、を情報セットとして送信する(ステップS221)。情報セットは、例えば、当該エージェントの監修者(例えば、当該エージェントの原作者)が使用する情報処理端末(図示しない)に、IF110及びネットワーク30を介して、送信される。情報セットは、監修者の情報処理端末に出力され、監修者は、情報セットの内容を認識することができる。
【0076】
次に、情報セットに基づいて、発話候補の許容度が確認される(ステップS223)。より具体的には、監修者は、エージェントの人格に基づいて、表出候補の内容のふさわしさを確認することにより、発話候補の許容度を確認してもよい。例えば、発話候補がエージェントの人格に照らしてふさわしくない場合には、監修者は、発話候補の許容度が低いこと判定する。一方、発話候補が、エージェントの人格に照らしてふさわしい場合には、監修者は、発話候補の許容度が高いことを判定する。
【0077】
次に、ステップS223における確認結果に基づき、人格情報の再学習が実施される(ステップS225)。例えば、ステップS223において確認結果が、情報処理装置10が備える人格情報記憶部123に送信され、人格情報記憶部123が当該確認結果を入力データとして、各種の公知の機械学習アルゴリズムに基づいて、人格情報を再学習してもよい。これにより、これにより人格情報記憶部123が記憶している人格情報が、監修者による確認結果に基づいて更新される。
【0078】
また、当該確認結果が、
図2に示す情報処理装置10とは異なる装置に蓄積されてもよい。当該装置に所定量の確認結果が蓄積されると、当該装置において人格情報が再学習される。ここで再学習された人格情報が、情報処理装置10に送信され、人格情報記憶部123に伝達されることにより、人格情報記憶部123に既に記憶された人格情報が、再学習された人格情報に更新されてもよい。
【0079】
以上、
図5に示す第1の追加処理について説明した。第1の追加処理では、監修者により、発話候補の許容度が確認される。例えば、一定量の発話候補(例えば、1000個の発話候補等)の中に、どの程度監修者の意図にそぐわない発話候補(許容度の低い発話候補)があるのかが計測されてもよい。例えば、一定量の発話候補の中における監修者の意図にそぐわない発話候補の割合が、所定の割合(例えば、1%)を下回ったら、当該人格情報を合格としてもよい。
【0080】
以上、
図5を参照して、第1の追加処理について説明した。次に、
図6を参照して、第2の追加処理について説明する。
【0081】
まず、ユーザ端末20のユーザは、エージェントによる発話の許容度を、当該エージェントの人格に照らして確認する(ステップS231)。
【0082】
次に、ユーザ端末20により出力されたエージェントの発話に関する情報が、監修者に通報される(ステップS233)。例えば、エージェントの発話に関する情報が、ユーザ端末20から監修者が使用する情報処理端末に送信される。発話に関する情報には、エージェントによる発話の内容、ステップS231において確認された許容度、及び前提条件などに関する情報が含まれる。これらの発話に関する情報は、タイムスタンプに紐づけられて監修者が使用する情報処理端末に送信されてもよい。
【0083】
次に、ステップS235及びS237の処理が実施される。ステップS235及びステップS237の処理は、
図5を参照して説明したステップS223及びS225の処理と実質的に同一であるため、ここでは説明を省略する。ステップS237の処理が終了すると、
図6に示す第2の追加処理が終了する。
【0084】
図5又は
図6に示す追加処理が終了すると、
図4に戻って、ステップS213の処理が終了し、
図4に示す処理が終了する。以上、本開示の一実施形態に係る情報処理装置10の処理について説明した。
【0085】
なお、ここでは、エージェントが、表出行為として発話を行う例について説明したが、これに限らず、エージェントは、発話以外の表出行為を行ってもよい。例えば、エージェントが例えばロボットのキャラクターである場合には、当該エージェントは、好奇心を表す行動、積極性を表す行動、又は共感的行動などを表出行動として行ってもよい。また、エージェントは、身振り又は手振りを表出行為として行ってもよい。また、エージェントは、顔の表情をつくることを表出行為として行ってもよい。さらに、エージェントは、ユーザに対して各種の行為、物、又はイベントなどを推薦する推薦行為を表出行為として行ってもよい。
【0086】
<<1.4.効果>>
本開示の一実施形態に係る情報処理装置10は、エージェントによる表出行為を、当該エージェントの人格情報に基づいて制御する。このため、エージェントの表出行為がユーザに出力される前に、表出行為が制御される。
【0087】
<2.人格情報の生成例のバリエーション>
上記の実施形態では、
図3を参照して、エージェントの人格情報の生成方法の一例について説明した。ここでは、
図7~
図12を参照して、人格情報の生成方法のバリエーションについて説明する。
【0088】
まず、
図7を参照して、人格情報の第1の生成方法について説明する。
図7は、人格情報の第1の生成方法を示すフローチャート図である。以下、
図7のフローチャートに沿って説明する。
【0089】
まず、学習データが用意される(ステップS301)。ここで、学習データは、例えば、エージェントの原作の設定資料に関する情報であってもよい。例えば、原作の設定資料は、セリフのセットであってもよい。より具体的には、学習データは、当該エージェントの原作中に登場するセリフを断片化したものを含んでもよい。また、学習データは、セリフが発せられる条件に関する情報を含んでもよい。当該条件に関する情報は、例えば、エージェントがセリフを発する際における、当該エージェントの感情(例えば、危険、誘惑、安心など)に関する情報を含んでもよい。また、学習データは、セリフを発せられる相手に関する情報を含んでもよい。さらに、学習データは、どのようなエージェントに対する呼びかけ(つまり、エージェントの相手のセリフ)への返答であるかに関する情報を含んでもよい。学習データは、例えば、エージェントの原作者などの監修者によって用意されてもよい。
【0090】
次に、五因子モデルに基づいて、学習データが識別される(ステップS303)。ここで、五因子モデルとは、外向性、神経質特性、誠実性、調和性、及び開放性の五因子に基づいて、人格を規定するモデルである。ここでは、ステップS301において用意された学習データである、セリフに関する情報に基づいて、学習データが識別され、五因子のスコアが特定される。例えば、セリフにポジティブな表現が多い場合には、外向性に高いスコアが付与されてもよい。また、セリフにネガティブな表現が多い場合には、神経質特性に高いスコアが付与されてもよい。五因子についてのスコアは、例えば、原作者により付与されてもよい。また、公知の各種の機械学習アルゴリズムに基づいて、五因子についてのスコアが付与されてもよい。
【0091】
次に、人格情報が生成される(ステップS305)。より具体的には、ステップS303において特定された五因子のスコアに基づいて、人格情報が生成される。ここで、人格情報がもつ役割について説明する。五因子の各々の因子は、因子のスコアの大きさに応じて、各種の単語又は単語の組み合わせ(以下、これらをまとめて単に「単語」ともいう。)が発話される可能性の高さが知られている。このため、人格情報は、各種の単語がエージェントに発話される確率を規定する役割をもつ。例えば、外向性の因子に高いスコアが付与されている場合には、エージェントによりポジティブな単語が発話される確率が高くなる。このような人格情報が人格情報記憶部123に記憶されることにより、エージェントの表出行為は、五因子モデルに基づいて生成された人格情報に基づいて、制御される。
【0092】
なお、五因子モデルは、特定の状況下におけるエージェントの行為を規定する。このため、例えば実際に情報処理装置10により発話等の表出行為が制御される際に、当該特定の状況も加味して、発話等の表出行為が制御されてもよい。
【0093】
ここでは、五因子モデルに基づいて、学習データが識別されたが、これに限らず、MBTI法やエニアグラム法等の各種の公知のパーソナリティ理論に基づいて、学習データが識別されてもよい。また、ラッセルの円環モデルなどの情動理論に基づいて、学習データが識別されてもよい。さらに、学習データを識別する際に用いられるモデルは、ユーザが定義する所定のモデル、既存のキャラクターのいずれかについて規定されたモデルに似たモデル、又は機械学習により取得される特徴量に基づくモデルなどの各種のモデルであってもよい。
【0094】
次に、
図8を参照して、人格情報の第2の生成方法について説明する。
図8は、人格情報の第2の生成方法を示すフローチャート図である。以下、
図8のフローチャートに沿って、人格情報の第2の生成方法を説明する。
【0095】
まず、学習データが用意される(ステップS401)。ステップS401における処理は、
図7を参照して説明したステップS301における処理と実質的に同一であるため、ここでは説明を省略する。
【0096】
次に、人格情報が、ステップS401において用意された学習データと、機械学習アルゴリズムに基づいて、生成される(ステップS403)。ここで、生成される人格情報の役割について説明する。当該人格情報は、ある状況に置かれた場合におけるエージェントの発話内容や、ユーザからの入力に対する応答として、適したセリフ又は単語の組み合わせの生成確率を規定する。当該確率は、人格情報の生成にあたり、原作のキャラクターの発するセリフや単語の出現頻度、あるいは、特定の状況や他キャラクターの発話に対する発話又は回答の組合せなどに基づき、当該キャラクターが発しやすいセリフや単語の確率の空間として定義される。これにより、エージェントは、原作における当該エージェントのキャラクターが行う表出行為に似た表出行為を行うことができるようになる。
【0097】
次に、
図9を参照して、人格情報の第3の生成方法について説明する。人格情報の第3の生成方法では、人格情報に基づいて、エージェントのシナリオが生成される。さらに、当該シナリオに基づいて、人格情報を再学習される。
図9を参照して、人格情報の第3の生成方法について説明する。
図9は、人格情報の第3の生成方法を示すフローチャート図である。以下、
図9に沿って説明する。
【0098】
まず、人格情報が用意される(ステップS501)。ここで用意される人格情報を生成する方法は、特に限定されない。例えば、当該人格情報は、
図7又は
図8を参照して説明した人格情報の第1又は第2の生成方法により生成されてもよい。
【0099】
次に、機械学習アルゴリズムに基づいて、シナリオが生成される(ステップS503)。機械学習には、入力データとして、ステップS501において用意された人格情報が用いられる。ここで生成されたシナリオは、エージェントの例えば原作等から想起し得る状況であってもよいし、エージェントの原作等から想起し得うる状況であって当該エージェントの原作には存在しない状況でのシナリオであってもよい。例えば、当該シナリオは、エージェントが道案内する状況、コンテンツを推薦する状況等の各種の状況における仮想的な対話又は物語であってもよい。
【0100】
次に、ステップS503において生成されたシナリオに基づいて、人格情報が、機械学習アルゴリズムに基づいて、再学習される(ステップS505)。ステップS503で生成されるシナリオはエージェントの原作に存在しないシナリオである場合がある。このため、ステップS503において生成されたシナリオに基づいて生成された人格情報を用いることにより、原作に存在しないシナリオにおいても、エージェントに当該エージェントのイメージに沿った表出行為をさせることが可能になる。
【0101】
次に、
図10を参照して、人格情報の第4の生成方法について説明する。
図10は、人格情報の第4の生成方法を示すフローチャート図である。
【0102】
まず、基本情報が用意される(ステップS601)。ここで、基本情報は、例えば、辞書的な単語の意味を表す情報であってもよい。つまり、基本情報は、エージェントの個性を規定しない情報であってもよい。
【0103】
次に、エージェントに、基本情報に基づく表出行為を出力させる(ステップS603)。表出行為は、例えば、画像出力装置にエージェントの表出行為を表す画像が表示されたり、音出力装置にエージェントの音声が出力されたりしてもよい。当該表出行為は、例えば、エージェントの原作者などの監修者に認識される。
【0104】
次に、表出行為が好ましいか否かについてのフィードバックが実施される(ステップS605)。当該判定は、例えば、監修者が、エージェントの原作等から想起されるイメージに基づいて、フィードバックを実施してもよい。より具体的には、監修者は、表出行為がエージェントのイメージにふさわしい行為か否かを判定してもよい。
【0105】
次に、ステップS603において出力された表出行為と、ステップS605におけるフィードバックと、に基づいて、人格情報が修正される(ステップS607)。例えば、ステップS605において好ましくないと判定された単語又は単語の組み合わせが、表出行為として発生する頻度が低くなるように、人格情報が修正されてもよい。また、人格情報の修正は、環境情報に紐づけられてもよい。より具体的には、例えば、ある状況においては、ある単語の発生頻度が低くなるが、それ以外の状況においては、当該単語の発生頻度に変化が変わらないように、人格情報が修正されてもよい。なお、形成される人格情報は、ステップS601において用意された基本情報との差分を表す情報として生成されてもよい。
【0106】
ここで、生成された人格情報の応用例について説明する。例えば、製品開発段階では、監修者とエージェントとの対話に基づいて、エージェントの人格情報を生成することができる。つまり、監修者は、
図10に示すフローチャートに沿って、エージェントと対話をしながら人格情報を修正することができる。なお、監修者は、エージェントの原作となるキャラクターを作成した原作者であってもよいし、エージェントをユーザに提供する提供者であってもよいし、ユーザ端末20のユーザであってもよい。監修者が当該ユーザである場合には、当該ユーザは、楽しみながら人格情報を生成することができる。また、監修者がユーザである場合には、当該ユーザは、自らが生成した人格情報を販売等することにより、エージェントをユーザが生成したコンテンツとして扱うことができる。これらの応用例は、例えば、キャラクター育成系のゲーム又はバーチャルアイドルのゲーム等のゲームに適用されてもよい。ユーザは、ゲームの進行状況に関わらず、任意の時点で人格情報の更新を行うことができる。
【0107】
次に、
図11を参照して、人格情報の第5の生成方法について説明する。
図11は、人格情報の第5の生成方法を示すフローチャート図である。以下、
図11のフローチャートに沿って説明する。
【0108】
まず、質問票が用意される(ステップS701)。例えば、当該質問票は、キャラクターの性格又は振る舞いに関する質問、又は五因子のスコアに関する質問あってもよい。
【0109】
次に、質問票に回答される(ステップS703)。当該質問票は、例えば、キャラクターの原作者等によって回答される。
【0110】
次に、質問票の回答結果に基づいて、キャラクターの五因子が決定される(ステップS705)。当該回答結果に五因子のスコアそのものが含まれている場合には、当該スコアが五因子のスコアとして決定されてもよい。また、ステップS703において回答されたキャラクターの性格又は行動等の情報に基づいて、五因子のスコアが決定されてもよい。
【0111】
次に、決定された五因子に基づいて、単語情報が生成される(ステップS707)。ここで、単語情報とは、各種の単語がエージェントによりどの程度の頻度又はどのような状況で使用されるのかを規定する情報である。ここで、単語情報の生成には、五因子のスコア別の単語情報が用いられる。五因子のスコア別の単語情報は、五因子のスコアに応じて、例えば、各種の単語がどの程度の頻度又はどのような状況で使用されるのかを規定する情報である。例えば外向性因子が高い場合には、特定のポジティブな単語が発話されやすいなどの傾向が知られている。ステップS705において決定された五因子のスコアと、スコア別の単語情報と、に基づいて、単語情報が生成される。なお、当該単語情報は、人格情報に含まれてもよい。
【0112】
次に、
図12を参照して、人格情報の生成方法の応用例について説明する。
図12は、人格情報の第6の生成方法を示すフローチャート図である。ここでは、エージェントの人格が、当該エージェントの成長などにより段階的に変化することが想定されている。例えば、原作において、キャラクターには少年期、青年期、大人期の成長期があり、各々の成長期においてキャラクターの人格が異なる場合が想定される。ここでは、エージェントも、原作と同様に各々の成長期で人格が異なる。人格情報の第6の生成方法によれば、例えば、エージェントの成長期等の段階に応じた人格情報を生成することができる。以下、
図12に沿って、人格情報の第6の生成方法について説明する。
【0113】
まず、学習データが用意される(ステップS801)。例えば、原作の設定情報における、セリフに関する情報等が学習データとして用意される。例えば、エージェントの成長期の初期段階である少年期のセリフ等が、当該エージェントのサービス提供者により、当該エージェントによるサービスを提供する製品の出荷段階において、当該製品における学習データとして用意される。
【0114】
次に、機械学習アルゴリズムに基づいて、人格情報が生成される(ステップS803)。前回の処理がステップS801における処理である場合には、ステップS801において用意された学習データを入力データとして、機械学習アルゴリズムに基づき、人格情報が生成される。例えば、サービス提供者により元々用意されていた学習データに基づき、人格情報が生成される。
一方、後述するステップS805~ステップS807における処理において、新たに学習データが用意されている場合には、新たに用意された学習データを入力データとして、人格情報が生成される。例えば、ユーザにエージェントのサービスが提供されている際に、当該サービスの進展に応じて用意された新たな学習データに基づき、人格情報が生成される。
【0115】
次に、新たに人格情報が生成されるか否かが判定される(ステップS805)。例えば、キャラクターの人格情報の段階(例えば、少年期、青年期又は大人期などにおける人格情報)に応じて、新たに人格情報が生成されるか否かが判定されてもよい。例えば、人格情報が、ステップS801において用意された学習データに基づき生成された人格情報(例えば、出荷段階の学習データに基づき生成された人格情報)である場合には、新たに人格情報が生成されると判定されてもよい。一方、ステップS803~S807における処理が繰り返し実施されることで、エージェントの成長期が最終段階(例えば大人期)となっている場合には、新たな人格情報が生成されなくてもよい。新たな人格情報が生成されない場合(ステップS805:No)、
図12の処理は終了する。一方、新たな人格情報が生成される場合(ステップS805:Yes)、ステップS807に進む。
【0116】
ステップS805において、新たな人格情報が生成されることが判定される(ステップS805:Yes)と、新たな学習データが用意される(ステップS807)。当該新たな学習データは、例えば、エージェントの人格の成長段階に応じたセリフ等の情報であってもよい。例えば、既に生成されている人格情報が、エージェントの少年期の人格情報である場合には、新たな学習データは、エージェントの青年期に関する学習データであってもよい。また、既に生成されている人格情報が、エージェントの青年期の人格情報である場合には、新たな学習データは、エージェントの大人期に関する学習データであってもよい。
【0117】
次に、ステップS803に戻って、新たな学習データに基づいて、人格情報が生成される。例えば、新たな学習データが青年期に関する学習データである場合には、青年期の人格情報が生成される。このとき、例えば、既に生成されている人格情報が少年期の人格情報である場合には、少年期の人格情報から青年期の人格情報に更新されることになる。このようにして、人格情報の第6の生成方法によれば、エージェントの人格の変化に応じて、人格情報を更新することができる。なお、新たな学習データが大人期に関する学習データである場合には、ステップS803において、大人期の人格情報が生成される。このとき、既に生成されている人格情報が青年期の人格情報である場合には、青年期の人格情報が大人期の人格情報に更新されることになる。
【0118】
なお、新たな学習データに基づいて生成された人格情報は、既に生成されている人格情報に置き換わってもよいし、既に生成されている人格情報と共に併存してもよい。また、人格情報の更新は、所定のトリガに基づいて実施されてもよい。当該トリガは、例えば、時間の経過又はユーザとエージェントとの会話の回数の経過各種の条件であってもよい。
【0119】
以上、6つの人格情報の生成方法について説明した。ここで、人格情報の生成方法について補足する。例えば、学習データとして用いられる原作の設定資料は、セリフでなくてもよい。例えば、原作の設定資料は、キャラクターの設定集、他のキャラクターとの関係、キャラクターの性格などに関する資料であってもよい。また、原作の設定資料には、原作におけるキャラクターによる発話などの行為に基づき、当該キャラクターの性格が抽出されることにより生成された資料が含まれてもよい。また、原作の設定資料には、キャラクターの家族構成、出身地、略歴、特技、又は好物などの各種の設定情報が含まれてもよい。
【0120】
また、エージェントの原作となるキャラクターは、空想上のキャラクターに限らず、実在する人物であってもよい。例えば、実在する人物の実際の発話又は行動などの行為を解析することにより、当該実在する人物の人格情報が生成されてもよい。例えば、人格情報の第1又は第2の生成方法を用いて、TVタレント又はアイドルなどの実在する人物のパーソナリティ特性又は発話の癖などが解析することにより、人格情報が生成されてもよい。当該人格情報は、情報処理装置10が備える人格情報記憶部123に記憶される。また、実在する人物に関する人格情報が生成される場合には、実在する人物の本人が監修者として、当該人格情報を監修してもよい。
【0121】
ここまでは、エージェントの人格情報に基づいて、エージェントの表出行為を制御する例について説明した。これに限らず、エージェントの表出行為は、人格情報以外の情報に基づいて制御されてもよい。例えば、エージェントによる表出行為を禁止する言葉又は行為に関する禁止情報に基づいて、エージェントの表出行為が制御されてもよい。例えば、当該禁止情報は、人格情報とは異なる情報として保持されてもよいし、人格情報の一部として予め生成されてもよい。禁止情報が人格情報とは異なる情報として保持される場合、禁止情報は、人格情報とは独立して適宜アップデートされ、エージェントに対して追加又は更新されてもよい。なお、禁止情報には、禁止される言葉又は言い回しに限らず、禁止される振る舞い又は行動に関する情報が含まれてもよい。なお、禁止される言葉としては、エージェントが発話することが好ましくないワードに限らず、ユーザにより使用されることが好ましくないワード(たとえば、例えば、「死にたい」、「殺したい」等)が規定されてもよい。この場合、エージェントが、禁止情報に抵触しないように、どのように振る舞うべきかが人格情報に規定される。また、当該振る舞いは、エージェントによって異なってもよい。
【0122】
また、キャラクターの原作の物語が進み、人格情報記憶部123に記憶された人格情報の基礎となる学習データが増えた場合には、追加の学習である追加学習が既に生成された人格情報に対して実施されることにより、当該人格情報が更新されてもよい。追加学習により更新された人格情報が、例えば、ネットワーク30などを介して、情報処理装置10に送信され、人格情報記憶部123に伝達されることにより、人格情報記憶部123に記憶された人格情報が更新されてもよい。
【0123】
<3.応用例>
以下、
図1~
図6を参照して説明した本開示の実施形態の応用例について説明する。
【0124】
<<3.1.第1の応用例(人格情報の更新)>>
まず、第1の応用例として、
図13を参照して、人格情報が更新される例について説明する。
図13は、第1の応用例に係る情報処理システム2が備える情報処理装置11及びユーザ端末20の構成を示すブロック図である。
【0125】
第1の応用例に係る情報処理装置11の構成と、
図2に示した情報処理装置10の構成と、で異なる点は、第1の応用例に係る情報処理装置11が更新部190を備える点である。
【0126】
更新部190は、人格情報記憶部123に記憶された人格情報を更新する機能を有する。行為制御部161は、更新された人格情報に基づいて、エージェントの表出行為を制御する。このため、エージェントの成長段階等の状態が変化、又はユーザの世界における変化(例えば、流行している事柄の変化等)などの各種の変化が生じた場合にも、人格が適宜更新されることにより、ユーザは、エージェントの違和感のない表出行為を楽しむことができる。なお、上記実施形態では、エージェントが表出行為として発話を行う例について主に説明したが、更新部190が更新する内容は、人格情報に含まれるエージェントによる発話に関する情報に限られない。更新部190は、エージェントによる表情の表出などのエージェントが行い得る各種の行為に関する行為情報を更新してもよい。これにより、エージェントの表出行為がより適切に制御されるようになる。
【0127】
また、更新部190は、禁止情報を更新してもよい。例えば、更新部190は、好ましくない発話又は行動等の行為をエージェントが行わないように、禁止情報を更新してもよい。より具体的には、更新部190は、人格情報に規定された発話又は行動などの行為の内容に問題がある場合には、当該行為が抑制されるように、禁止情報を更新してもよい。問題がある場合の例としては、例えば公平性や倫理的観点、政治的意図を含む表現、あるいは文化的背景から好ましくないとされる表現など、倫理的又は社会的に好ましくない発話や行為が挙げられる。こうした表現は、時代や使用環境によっても変化するところ、更新部190により、禁止情報が更新されることで、エージェントは、例えば、時代の変化等に応じた行為を行うことができる。
【0128】
また、第1の応用例に係る情報処理装置11の外部装置又は、当該情報処理装置11が備える記憶部180が、例えばユーザからの報告に基づく、好ましくない発話又は行動に関する情報を一定期間収集してもよい。更新部190は、当該収集された情報に基づいて、人格情報を更新する。なお、更新された人格情報は、元の人格情報に置き換わってもよいし、元の人格情報に付与するかたちで人格情報記憶部181に記憶されてもよい。
【0129】
また、更新部190は、人格情報について、流行に関する情報を更新してもよい。例えば、更新部190は、流行している言葉がエージェントにより表出行為として使用される頻度が高くなるように、人格情報を更新してもよい。さらに、更新部190は、廃れた言い回しがエージェントにより表出行為として使用される頻度が低くなるように、人格情報を更新してもよい。また、更新部190は、世間で新たに使われるようになった新規単語又はお笑いの一発ギャグなどをエージェントが表出行為として使用するように、人格情報を更新してもよい。このように、更新部190が、人格情報について、流行に関する情報を更新することにより、エージェントは、流行に合わせた表出行為をすることができるようになる。
【0130】
また、更新部190は、エージェントの原作となるキャラクターの設定情報が蓄積された段階で、人格情報を更新してもよい。例えば、原作のセリフに関する情報が蓄積されている場合には、更新部190は、人格情報に当該蓄積されたセリフに関する情報を付与することにより、人格情報を更新してもよい。
【0131】
また、更新部190は、エージェントの状況に関する状況情報の変化をきっかけに、人格情報を変化後の状況情報に応じた新規人格情報に更新してもよい。更新部190は、状況情報を例えば、エージェント履歴情報記憶部129から取得してもよい。例えば、状況情報は、エージェントが置かれているストーリーの状況、又はエージェント自身の状況などであってもよい。状況情報の変化をきっかけに、人格情報が変化後の状況に応じた新規人格情報に更新されることにより、エージェントは、状況の変化に応じた表出行為を行うことができる。
【0132】
また、更新部190は、例えばエージェントの成長段階に関する成長情報の変化に応じて、人格情報を変化後の成長情報に応じた新規人格情報に更新してもよい。この場合、更新部190は、予め更新に必要な人格情報を備えていてもよい。更新部190は、例えばエージェントの成長に基づいて、人格情報を、予め備えている人格情報に基づいて、当該エージェントの成長段階に応じた人格情報に更新する。
【0133】
また、更新部190は、人格情報にエージェントの新たな人格を規定する付加情報を付加することにより、人格情報を更新してもよい。例えば、更新部190は、ユーザからの課金に応じて、付加情報を人格情報に付加することにより、人格情報を更新してもよい。ここで、当初の人格情報は、原作に基づいて生成された人格情報である場合について説明する。ユーザによる追加費用が支払われると、当該追加費用が支払われたことを表す情報が更新部190に送信され、更新部190は、原作の設定資料等に基づく、より詳細な付加情報を人格情報に付加することにより、当該人格情報をよりカスタマイズされた人格情報に更新する。また、人格情報記憶部181は、当初基本情報のみを記憶しており、例えば、上述のようにユーザから追加費用が支払われると、個性情報が更新部190に送信され、更新部190は、当該個性情報を個性情報記憶部184に記憶させることにより、人格情報を更新してもよい。このように、人格情報に付加情報が付加されることにより、エージェントは、より個性的な表出行為を行うことができるようになる。
【0134】
更新部190は、ユーザが参加するイベントに関するイベント情報に応じて、人格情報を更新してもよい。例えば、ユーザがイベントに参加すると、例えばイベントの主催者が用意している当該イベントに関するイベント情報が情報処理装置10に送信され、更新部190に伝達される。イベント情報には、当該イベントを表す情報又は、当該イベントに関わるキャラクターの人格に関する情報が含まれてもよい。更新部190は、送信されたイベント情報に応じて、例えばイベントに関わるキャラクター(例えば、イベントに出てくる芸人)の人格をエージェントが持つように、人格情報を更新する。このように、イベント情報に応じて人格情報が更新されるため、エージェントは、例えば、ユーザが参加するイベントに出てくるキャラクターに応じた表出行為を行うことができる。
【0135】
ユーザが参加するイベントに応じて、更新情報が、情報処理装置11が備える更新部190に送信されてもよい。例えば、ユーザがエージェントの原作キャラクターに関連するイベントに参加すると、所定のサーバ等から当該キャラクターに関する更新情報が、情報処理装置11が備える更新部190に送信される。更新部190は、更新情報に基づいて、人格情報記憶部181に記憶された人格情報を更新する。ここで、更新情報は、ユーザが参加したイベントならではの固有の情報であってもよい。また、エージェントの原作キャラクターがお笑いタレントを模したキャラクターである場合には、人格更新情報は、当該お笑いタレントの最新のネタ又は前回送信された更新情報からの差分の情報であってもよい。
【0136】
以上、第1の応用例について説明した。なお、更新部190が有する機能は、人格情報記憶部181が有していてもよい。
【0137】
<<3.2.第2の応用例(広告出稿の管理)>>
次に、
図14を参照して、第2の応用例について説明する。
図14は、第2の応用例に係る情報処理システム3が備える情報処理装置12及びユーザ端末20の構成を示すブロック図である。第2の応用例では、情報処理装置12が、ユーザ端末20の出力部230に各種の広告に関する広告情報を出力させる。より具体的には、第2の応用例では、情報処理装置12が備える広告制御部164が広告DB185に記憶された広告情報に基づいて広告の内容を決定し、出力制御部162に決定した広告の内容を伝達し、出力制御部162が出力部230に広告を出力させる。これにより出力部230から広告が出力され、ユーザは、広告情報を認識することができる。
【0138】
第2の応用例に係る情報処理装置12は、広告を出稿する広告出稿者が、エージェントを介してユーザに広告を提示することを可能とする。例えば、情報処理装置12は、出力部230に、エージェントが発話などの表出行為を出力させることにより、当該エージェントに商品又はサービスについて紹介させることができる。紹介される内容には、さらに、エージェントの独自のコメントが付与されてもよい。また、情報処理装置12は、出力部230に、リンクを提示させたり、広告画像を提示させたりすることもできる。
【0139】
このとき、情報処理装置12が備える広告制御部164は、広告DB185に記憶された広告情報と、人格情報とに基づいて、出力部230に出力させる広告の内容を決定する。例えば、広告制御部164は、広告に付与されたメタデータ又は広告中に登場する文章を解析し、エージェントの人格範囲から逸脱する広告の内容については、出力部230に出力させないように、広告の内容を制御してもよい。また、広告制御部164は、エージェントの人格情報と、広告の内容との整合度合に応じて、当該広告の出稿頻度、出稿時間帯、又はおすすめ度を変化させてもよい。
【0140】
また、広告制御部164は、エージェントに係る原作の物語又は原作のキャラクターの設定又は背景に関連した広告が出力部230に出力されるように、広告の内容を制御してもよい。つまり、広告制御部164は、原作の物語又はキャラクターの設定又は背景に紐づいた内容が出力されるように、広告内容を制御する。
【0141】
例えば、広告制御部164は、外向性の高い人格を有するエージェントが提示される場合には、パーティなど他人と交流するイベント、又は能力を向上するための広告が提示されるように、広告の内容を制御してもよい。また、誠実性の低いエージェントが提示される場合には、広告制御部164は、ギャンブル又は娯楽要素の強いイベントなど享楽的に広告が提示されるように、広告の内容を制御してもよい。なお、この場合には、出力部230により提示される広告の内容が法に触れないように、広告制御部164は、出力される広告の内容に一定の制限をかけてもよい。
【0142】
また、人格情報が、原作におけるセリフに基づいて生成されている場合がある。この場合、人格情報において、ある名詞(例えば、食べ物の名前など)がネガティブな意味又は「嫌悪」などの言葉と紐づけられている場合には、広告制御部164は、当該名詞に関する広告を当該人格情報に対応するエージェントにさせないように、広告の内容を制御してもよい。例えば、エージェントの原作キャラクターが特定の食べ物を嫌っているセリフを発している場合には、広告制御部164は、当該エージェントに当該食べ物の広告をさせないように、広告の内容を制御してもよい。
【0143】
<<3.3.第3の応用例(場所・イベントに応じたサービス)>>
次に、第3の応用例について説明する。第3の応用例に係る情報処理装置10は、
図2に示した情報処理装置10と実質的に同一の構成を有する。第3の応用例では、情報処理装置10は、場所又はイベントに関するサービスを、出力部230を介して提供する。
【0144】
行為制御部161は、エージェントの人格情報に基づいて、当該エージェントが、当該エージェント又はユーザ等に関連する場所に連動する行為を行うように、表出行為を制御する。例えば、行為制御部161は、エージェントの出身地など、エージェントに関する場所を表す場所情報に基づいて、表出行為を制御する。これにより、エージェントは、よりエージェントの個性との整合度合が高い表出行為を行うことができる。
【0145】
また、行為制御部161は、ユーザにエージェントに関連する場所に関する行為を推薦するように、エージェントの表出行為を制御してもよい。例えば、行為制御部161は、エージェントが、当該エージェントに関連する場所における聖地巡り又は当該場所のご当地巡り等を推薦するように、表出行為を制御する。これにより、ユーザは、エージェントの個性に応じた表出行為を、より楽しむことができる。
【0146】
また、行為制御部161は、エージェントが、当該エージェントの人格に応じた場所を推薦するように、表出行為を制御してもよい。例えば、エージェントが外向性の高い人格を有している場合には、行為制御部161は、当該エージェントが、多くの人が集まる場所又はイベントをユーザに推薦するように、表出行為を制御してもよい。また、行為制御部161は、エージェントが神経質傾向の高い人格を有している場合には、当該エージェントが慎重なルートを推薦するように、表出行為を制御してもよい。
【0147】
<<3.4.第4の応用例(シチュエーションに応じたサービス)>>
次に、第4の応用例について、
図15を参照して説明する。
図15は第4の応用例に係る情報処理システム4が備える情報処理装置13及びユーザ端末20の構成を示すブロック図である。
【0148】
第4の応用例では、人格情報記憶部123は、複数のエージェントの各々に関する人格情報を記憶している。つまり、人格情報記憶部123は、複数のエージェントの各々に関する基本情報、個性情報、及びエージェント履歴情報を記憶している。
図15に示す情報処理装置13は、
図2に示した情報処理装置10が備える機能部に加えて、選択部191を備える。選択部191は、人格情報に基づいて、複数のエージェントから少なくとも1以上のエージェントを選択する機能を有する。また、候補生成部150は、当該選択されたエージェントの行為候補生成し、行為制御部161は、当該選択されたエージェントの表出行為を制御する。これにより、複数のエージェントが存在する場合であっても、人格情報に基づいて、適切なエージェントを選択することができる。
【0149】
また、選択部191は、シチュエーションに応じて、複数のエージェントから提示するエージェントを選択する。より具体的には、選択部191は、ユーザに提供されるサービスに関する情報に基づいて、エージェントを選択してもよい。例えば、ユーザにニュースを提示するサービスが行われる場合には、選択部191は、秀才タイプの人格を有するエージェントを選択する。このようにサービスに応じた適切なエージェントが選択されることにより、サービスの質が高められる。
【0150】
<<3.5.第5の応用例(スクリプトの監修)>>
次に、第5の応用例について説明する。第5の応用例では、エージェントによる発話などの表出行為がユーザ端末20の出力部230に出力されず、スクリプト(例えば、台本等)で管理される。より具体的には、
図16を参照して、第5の応用例について説明する。
図16は、第5の応用例において、情報処理装置10が実施する処理例を示すフローチャート図である。以下、
図16のフローチャートに沿って説明する。
【0151】
まず、人格情報が生成される(ステップS901)。例えば、
図7~
図12を参照して説明した人格情報の生成方法により、人格情報が生成されてもよい。
【0152】
次に、表出行為の内容を表すスクリプトのドラフトが、人格情報に基づいて、修正される(ステップS903)。例えば、候補生成部150と同一の機能を有する機能部が、人格情報に基づいて行為候補を生成し、行為制御部161と同一の機能を有する機能部が、行為候補を人格情報に基づいて修正してもよい。
【0153】
次に、ステップS903の修正結果が最終確認される(ステップS905)。例えば、当該修正結果は、キャラクターの原作者により最終確認される。
【0154】
以上、第5の応用例について説明した。第5の応用例によれば、原作者がスクリプトのドラフトを確認される前に、人格情報に基づいて当該ドラフトが修正される。原作者は、当該修正されたドラフトを最終確認すればよいので、ドラフトを確認する負担が軽減される。
【0155】
<<3.6.その他の応用例>>
本開示の実施形態に係るその他の応用例について説明する。例えば、ユーザにニュースを提示するサービスが提供される場合には、行為制御部161は、エージェントが読み上げるニュースの内容を、当該エージェントの人格情報に応じて、変更してもよい。
【0156】
また、情報処理装置10には、定期的にエージェントに関する人格情報が送信されてもよい。例えば、情報処理装置10に、日々異なるエージェントに関する人格情報が送信されてもよい。これにより、情報処理装置10は、日々異なるエージェントをユーザに提示することが可能になる。
【0157】
また、情報処理装置10は、ユーザ端末20にエージェントによる電話対応の代理をするサービスを提供してもよい。この場合、行為制御部161は、人格情報に応じて、エージェントによる電話応対の仕方が異なるように、当該エージェントの表出行為を制御してもよい。
【0158】
情報処理装置10は、各種のコンテンツを推薦する内容をユーザに提示してもよい。当該コンテンツは、例えば、音楽、本、映画、テレビ番組、又は料理レシピ等であってもよい。この場合、提示されるコンテンツの内容は、エージェントの性格又は当該エージェントの原作における設定に基づいて、決定されてもよい。例えば、料理レシピが推薦される場合には、当該推薦を行うエージェントの性格に応じた気分などが、当該料理レシピに反映されてもよい。
【0159】
情報処理装置10は、出力部230に、人格情報に基づいて、日々当該エージェントにひとこと発話させてもよい。行為制御部161は、その日の天気又はイベントなどに関連する表出行為をエージェントがするように、表出行為を制御してもよい。例えば、行為制御部161は、エージェントがユーザのスケジュールを提示するように、表出行為を制御してもよい。より具体的には、行為制御部161は、協調性の高いエージェントには、友人とのスケジュールを厚めに提示するように、当該エージェントの表出行為を制御してもよい。
【0160】
<4.ハードウェア構成>
続いて、
図17を参照しながら、本開示の一実施形態に係る情報処理システム1を構成する情報処理装置10のハードウェア構成の一例について、詳細に説明する。
図17は、本開示の一実施形態に係る情報処理システム1を構成する情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0161】
本実施形態に係る情報処理システム1を構成する情報処理装置10は、主に、CPU601と、ROM602と、RAM603と、を備える。また、情報処理装置10は、更に、ホストバス604と、ブリッジ605と、外部バス606と、インタフェース607と、入力装置608と、出力装置609と、ストレージ装置610と、ドライブ612と、接続ポート614と、通信装置616とを備える。
【0162】
CPU601は、演算処理装置及び制御装置として機能し、ROM602、RAM603、ストレージ装置610又はリムーバブル記録媒体613に記録された各種プログラムに従って、情報処理装置10内の動作全般又はその一部を制御する。ROM602は、CPU601が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM603は、CPU601が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス604により相互に接続されている。例えば、
図2に示す候補生成部150、行為制御部161、及び出力制御部162は、CPU601により構成され得る。
【0163】
ホストバス604は、ブリッジ605を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス606に接続されている。また、外部バス606には、インタフェース607を介して、入力装置608、出力装置609、ストレージ装置610、ドライブ612、接続ポート614及び通信装置616が接続される。
【0164】
入力装置608は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、レバー及びペダル等、ユーザが操作する操作手段である。また、入力装置608は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、情報処理装置10の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器615であってもよい。さらに、入力装置608は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU601に出力する入力制御回路などから構成されている。情報処理装置10のユーザは、この入力装置608を操作することにより、情報処理装置10に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0165】
出力装置609は、取得した情報をユーザに対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置及びランプ等の表示装置や、スピーカ及びヘッドホン等の音声出力装置や、プリンタ装置等がある。出力装置609は、例えば、情報処理装置10が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、情報処理装置10が行った各種処理により得られた結果を、テキスト又はイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
【0166】
ストレージ装置610は、情報処理装置10の記憶部120の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置610は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置610は、CPU601が実行するプログラムや各種データ等を格納する。例えば、
図2に示す記憶部120は、ストレージ装置610により構成され得る。
【0167】
ドライブ612は、記録媒体用リーダライタであり、情報処理装置10に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ612は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体613に記録されている情報を読み出して、RAM603に出力する。また、ドライブ612は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体613に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体613は、例えば、DVDメディア、HD-DVDメディア又はBlu-ray(登録商標)メディア等である。また、リムーバブル記録媒体613は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CF:CompactFlash)、フラッシュメモリ又はSDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体613は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)又は電子機器等であってもよい。
【0168】
接続ポート614は、情報処理装置10に直接接続するためのポートである。接続ポート614の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート等がある。接続ポート614の別の例として、RS-232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)ポート等がある。この接続ポート614に外部接続機器615を接続することで、情報処理装置10は、外部接続機器615から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器615に各種のデータを提供したりする。
【0169】
通信装置616は、例えば、通信網(ネットワーク)617に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。通信装置616は、例えば、有線若しくは無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置616は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ又は各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置616は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置616に接続される通信網617は、有線又は無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信又は衛星通信等であってもよい。
【0170】
以上、本開示の実施形態に係る情報処理システム1を構成する情報処理装置10の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。なお、
図17では図示しないが、情報処理システム1を構成する情報処理装置10に対応する各種の構成を当然備える。
【0171】
なお、上述のような本実施形態に係る情報処理システム1を構成する情報処理装置10の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。また、当該コンピュータプログラムを実行させるコンピュータの数は特に限定されない。例えば、当該コンピュータプログラムを、複数のコンピュータ(例えば、複数のサーバ等)が互いに連携して実行してもよい。
【0172】
<5.補足>
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0173】
例えば、情報処理装置10及びユーザ端末20が備える構成は、
図2又は
図13~15に示した例に限られない。情報処理装置10及びユーザ端末20が備える各機能部は、適宜、情報処理装置10及びユーザ端末20に設けられる。例えば、上記の実施形態において情報処理装置10が備えるユーザ情報記憶部122は、ユーザ端末20に設けられてもよい。
【0174】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0175】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
ユーザに関するユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶部と、
エージェントに固有の人格を規定する人格情報を記憶する人格情報記憶部と、
前記エージェントが表出する行為である表出行為を、前記人格情報に基づいて、制御する制御部と、
を備える、情報処理システム。
(2)
前記人格情報は、前記ユーザ情報の変化に影響を受けない、
前記(1)に記載の情報処理システム。
(3)
前記人格情報は、前記エージェントに関する原案に基づいて規定される情報である、
前記(1)又は(2)に記載の情報処理システム。
(4)
前記人格情報は、前記エージェントの基本的な人格を規定する基本情報と、前記エージェントの個性を規定する個性情報と、を含む、
前記(1)~(3)のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(5)
前記制御部は、前記基本情報に基づいて生成された前記表出行為の候補である行為候補と、前記個性情報と、の整合度合に応じて、前記行為候補を前記表出行為とするか否かを判定することにより、前記エージェントによる表出行為を制御する、
前記(4)に記載の情報処理システム。
(6)
前記人格情報を新たな新規人格情報に更新する更新部を、更に備え、
前記制御部は、前記新規人格情報に基づいて、前記エージェントによる表出行為を制御する、
前記(1)~(5)のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(7)
前記更新部は、前記人格情報について、流行に関する情報を更新する、
前記(6)に記載の情報処理システム。
(8)
前記人格情報は、前記エージェントが行い得る行為に関する行為情報を含み、
前記更新部は、前記行為情報を更新する、
前記(6)又は(7)に記載の情報処理システム。
(9)
前記人格情報は、前記エージェントが発し得る言葉に関する言葉情報を含み、
前記更新部は、前記言葉情報を更新する、
前記(8)に記載の情報処理システム。
(10)
前記更新部は、前記エージェントの状況に関する状況情報の変化をきっかけに、前記人格情報を、変化後の前記状況情報に応じた前記新規人格情報に更新する、
前記(6)~(9)のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(11)
前記状況情報は、前記エージェントの成長段階に関する成長情報を含み、
前記更新部は、前記成長情報の変化をきっかけに、前記人格情報を、変化後の前記成長情報に応じた前記新規人格情報に更新する、
前記(10)に記載の情報処理システム。
(12)
前記更新部は、前記人格情報に前記エージェントの新たな人格を規定する付加情報を付加することにより、前記人格情報を更新する、
前記(6)~(11)のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(13)
前記更新部は、前記ユーザが参加するイベントに関するイベント情報に応じて、前記人格情報を更新する、
前記(6)~(12)のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(14)
前記人格情報は、前記エージェントに関する場所を表す場所情報を含み、
前記制御部は、前記場所情報に基づいて、前記表出行為を制御する、
前記(1)~(13)のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(15)
前記制御部は、前記エージェントが、前記ユーザに前記場所に関する行為を推薦するように、前記表出行為を制御する、
前記(14)に記載の情報処理システム。
(16)
前記人格情報記憶部は、複数の前記エージェントの各々に関する人格情報を記憶し、
複数の前記人格情報に基づいて、複数の前記エージェントから少なくとも1以上の前記エージェントを選択する選択部を、更に備え、
前記制御部は、選択された前記エージェントに関する前記人格情報に基づいて、選択された前記エージェントの表出行為を制御する、
前記(1)~(15)のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(17)
前記選択部は、複数の前記エージェントの各々に関する前記人格情報と、前記ユーザに提供されるサービスに関する情報と、の関係に基づいて、前記エージェントを選択する、
前記(16)に記載の情報処理システム。
(18)
前記制御部は、制御された前記表出行為をスクリプトの形式で前記ユーザに出力させる、
前記(1)~(17)のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(19)
メモリが、
ユーザに関するユーザ情報を記憶することと、
エージェントに固有の人格を規定する人格情報を記憶することと、
プロセッサが、
前記人格情報に基づいて、前記エージェントによる表出する行為である表出行為を制御することと、
を含む、情報処理方法。
(20)
コンピュータを、
ユーザに関するユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶部と、
エージェントに固有の人格を規定する人格情報を記憶する人格情報記憶部と、
前記人格情報に基づいて、前記エージェントによる表出する行為である表出行為を制御する制御部と、
を備える、情報処理装置として機能させる、プログラム。
【符号の説明】
【0176】
10、11、12、13 情報処理装置
120 記憶部
122 ユーザ情報記憶部
123 人格情報記憶部
127 基本情報記憶部
128 個性情報記憶部
150 候補生成部
160 制御部
161 行為制御部
162 出力制御部
164 広告制御部
190 更新部
191 選択部
20 ユーザ端末
220 入力部
230 出力部